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節電に向けた労働時間の見直しなどに関するQ&A
1.総論
- Q1-1夏期の電力不足に対応した操業計画の変更により、労働者の労働時間等の変更が必要ですが、その際に気をつけなければならないことはありますか。
- (A)各企業においては、夏期の電力使用の分散化・平準化を図るため、事業計画、生産計画等の変更を行うこととなり、それに伴い、以下のような労働条件の変更等が必要となることが想定されます。
- 昼間の節電対策のために、始業・終業時刻の繰り上げ、所定労働時間の短縮、所定外労働時間の削減
- 平日(月〜金曜)の節電対策のために、所定休日の見直し(所定休日を土日以外の日に変更する)
- 夏期の節電対策のために、所定休日の増加、年次有給休暇の計画的付与制度の導入、秋期への事業活動の振替 等
- Q1-2始業・終業時刻の繰り上げや変形労働時間制の導入等を行うために、就業規則の変更を検討していますが、法令上留意すべきことはありますか。
- (A)始業・終業時刻の繰り上げや変形労働時間制(1か月を超え1年以内の期間を対象期間とするもの)の導入等を行う場合(※)は、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、事業場の労働者の過半数労働組合等の意見を聴いた上で、就業規則の変更を行い、変更後の就業規則を労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条、第90条)。また、変形労働時間制の導入等については、さらに、法に基づく労使協定の締結と届出が必要です。
また、労働時間等の見直しに伴い、就業規則を変更するに当たっては、当該見直しは、労働者の生活に大きな影響を及ぼす労働条件の変更となることから、労働契約法(第9条及び第10条)の趣旨に基づき、労働時間等の変更の必要性等について労働者に十分説明するとともに、労働者への影響を最小限のものとするなどの配慮を行うことが望ましいと考えられます。
※ 始業・終業時刻等の労働条件を労働協約により定めている場合に、始業・終業時刻の繰り上げや変形労働時間制の導入を行う場合には、労働協約の改訂も必要となります。 - Q1-3当社のA工場には過半数組合がありませんが、労使協定を結ぶために、過半数代表者はどのように選出すればよいですか。
- (A)労使協定は、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは適正な手続により選出された労働者の過半数を代表する者と使用者が書面により締結する必要があります。
「労働者の過半数を代表する者」は次のいずれの要件も満たす必要があります(労働基準法施行規則第6条の2第1項)。
- (1)監督又は管理の地位にある者でないこと
- (2)労使協定の締結当事者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等(労働者の話合い、持回り決議等労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続)の方法により選出された者であり、使用者の意向によって選出された者ではないこと
なお、使用者は労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益取扱いをしないようしなければなりません(労働基準法施行規則第6条の2第3項)。 - Q1-4夏期の節電対策として、始業・終業時刻の繰り上げや変形労働時間制の導入等を行うに当たり、労働者に対し、必要な配慮をしたいと考えていますが、雇用管理上、留意すべき点は何でしょうか。
- (A)夏期の電力不足の影響により、生産量等が減少する場合であっても、安易に労働者の解雇・雇止めを行わないことはもちろんのこと、労働時間等の変更等を行う場合にも、非正規労働者など一部の労働者に負担が偏らないよう、労使で十分に納得した上で、節電対策を実行できる環境を整えることが重要です。
夏期の所定労働時間や所定労働日数を削減する場合、特に時間給や日給月給で働く労働者については、労働者の賃金の減額にもつながりかねず、労働者の生活に大きな影響を及ぼす労働条件の変更となることから、労働契約法(第8条、第9条、第10条)の趣旨に基づき、所定労働時間の短縮の変更の必要性等について労働者に十分説明するとともに、労働者への影響を最小限のものとするなどの配慮を行うことが望ましいものです。
このほか、育児・介護を担う労働者など、家族的責任を有する労働者に対し、配慮すべき事項についてはQ5-1〜Q5-6をご覧ください。 - Q1-5節電対策の実施に伴い、事業活動を縮小せざるを得ません。所定労働日(休日)の変更を行っていませんが、所定労働日を休業とする場合、労働基準法の休業手当の支払義務はありますか。
- (A)夏期の節電対策に伴い、生産・サービス供給の減少が見込まれる場合であっても、まず労使でよく話し合い、できる限り休業を回避してすることが重要です。やむを得ず休業せざるを得ない場合には、労働契約や労働協約、就業規則等に基づき、賃金、手当等の支払を定めているときは、当該労働契約等に基づき当該手当等を支払う必要があります。
最低労働基準を定める労働基準法との関係では、同法第26条において、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
ただし、天災事変等の不可抗力の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。ここでいう不可抗力とは、[1]その原因が事業の外部より発生した事故であること、[2]事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
休業が使用者の責に帰すべき事由によるものであるか否かは個別に判断されるものですが、夏期の節電対策に伴う休業については、節電対策が求められることは想定されていること、所定休日の見直し、秋期への事業活動の振替等の対応が考えられること等から、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業に該当し、休業手当の支払が必要と考えられます。
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