10/06/30 平成22年6月30日薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会の議事録について 平成22年6月30日薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会議事録 指定薬物部会 議事録 1.日時及び場所   平成22年6月30日(水) 15:00〜 厚生労働省 共用第9会議室 2.出席委員(10名)五十音順    石郷岡   純、 沖   幸 子、 合 田 幸 広、  小 沼 杏 平、   ○鈴 木   勉、 曽 良 一 郎、 鍋 島 俊 隆、 花 尻 瑠 理、    ◎望 月 正 隆、 和 田   清 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    妹 尾 栄 一、 藤 岡 淳 子 3.行政機関出席者 岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    國 枝   卓(監視指導麻薬対策課長)、     宿 里 明 弘(監視指導室長・麻薬対策企画官)他 4.備  考    本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な    審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。     ○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会平成22 年度第1回指定薬物部会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中、御出席を賜りま してありがとうございます。当部会の委員数は12名ですが、本日は10名の先生方に御 出席いただき、定足数に達していることを御報告いたします。開会に当たりまして、岸 田審議官から御挨拶をお願いいたします。 ○審議官 大臣官房審議官の岸田でございます。本日は暑いところ、またお忙しいとこ ろを御出席いただきましてありがとうございます。  最近の薬物事犯の状況は、覚せい剤の事犯は従来と同様に多く、大麻事件も特に若者 を中心に多いという傾向は変わっていませんので、こういったところに対する取締りと いうものをしっかりやっていかなければならない。と同時に、大麻は軽いものではなか ろうかという安易な気持が、そういうところに波及するのだろうと思います。そこは今 回ここで御審議いただく指定薬物も同じでありまして、初めは取っつきやすいところか ら入っていくのだろうと思われます。  そこで、そういう情報をいち早く入手して規制をすることによって、そういう新しい 薬物に手を染めることを防ぐことができるわけです。お蔭さまで、ここで指定されたも のが、その後問題になっていない、又は、問題が沈静化されていくという状況でござい ますので、非常に感謝申し上げております。また、こういった新しい薬物の情報という のは、国際条約の中では、特に情報交換は義務付けられておりませんけれども、やはり、 ここは国際的な情報交換を密にして、外国の情報を持ってきて日本で早く規制をする。 また、日本の情報を外国に提供して早く規制をしてもらう。そういったところが今のイ ンターネット社会においては重要ではなかろうかと思っております。先の麻薬委員会で も、合成カンナビノイドについてのいろいろな情報交換をしましょうという提案を日本 からもして、採択もされていますので、そういう仕事がますます重要になってくると思 います。  今日は5物質の審議が予定されていると聞いておりますが、科学的な見地から種々御 議論いただき、忌憚のない御意見を賜われれば有り難いと思っております。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○監視指導・麻薬対策課長 議事に先立ちまして、本部会の委員の御紹介をいたしたい と思います。まず望月正隆委員です。部会長をお願いしております。石郷岡純委員。沖 幸子委員。合田幸広委員。小沼杏坪委員。鈴木勉委員。曽良一郎委員。鍋島俊隆委員。 花尻瑠理委員。和田清委員です。妹尾栄一委員と藤岡淳子委員は、本日御欠席をされて おります。  続きまして事務局の紹介をさせていただきます。まず岸田審議官です。私は監視指導 ・麻薬対策課長の國枝です。宿里監視指導・麻薬対策課監視指導室長兼麻薬対策企画官 です。担当課長補佐の安田です。担当の高橋違法ドラッグ監視専門官です。高橋は4月 1日に着任しております。  本部会の取扱いにつきましては、総会での議論の結果、「会議を公開することにより、 委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある」 と判断されたことから、非公開とされております。また、非公開で開催された会議の議 事録の公開に際しては、暫定的に発言者氏名を除いた議事録を公開し、さらに会議の開 催日から起算して2年経過後に発言者氏名を含む議事録を公開することとなっておりま すが、本部会については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧 力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、2年経過後においても発言者氏名を除 いた議事録の公開として合意されておりますので、よろしく御承知おきください。それ では、望月正隆部会長にごあいさつをお願いしますとともに、以後の議事をよろしくお 願いいたします。 ○望月部会長 望月正隆でございます。私自身は有機化学の専門でありますが、環境汚 染の問題、その他に関してもあちらこちらに顔を出しております。この部会においても、 皆さんの議論は非常に有り難く、私自身も勉強させていただいております。どうぞよろ しくお願いいたします。  早速、本日の議事の進行を務めさせていただきます。議事に入ります前に、事務局よ り配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。まず「議事次第」、「座席表」、 「委員名簿」、「諮問書」の写しです。  資料1「指定検討物質一覧」です。5物質とその通称等について記載されております。 資料2「指定検討物質構造式」です。資料3「各物質の中枢神経系の作用について」で す。参考資料1「薬事法(抜粋)指定薬物関係部分」です。参考資料2「指定薬物の規制」 です。概要をまとめたものです。参考資料3「指定薬物の一覧」現在指定されている薬 物一覧です。参考資料4「平成22年度第1回指定検討物質検出情報一覧」です。審議物 質で、今回審議される5物質の国内検出状況に関するまとめです。参考資料5「平成22 年度第1回指定薬物部会における指定検討物質に共通する医療等の用途(案)」です。参 考資料6「平成21年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果について」です。以上です が、資料がお手元にない場合はお知らせ願います。 ○望月部会長 議事に移ります。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。個別 の物質の審議に入る前に、指定薬物に関する規制について、事務局より簡単に説明して いただきます。 ○事務局 制度の概要について説明させていただきます。参考資料1は、薬事法のうち 指定薬物に関する部分を抜き出したものです。資料2のポンチ絵も併せて御覧ください。  まず参考資料1の薬事法についてです。冒頭の部分にある定義の第2条第14項には、 指定薬物は「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、か つ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」として、 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの、と規定されており ます。また第76条の4には、「指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の 身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの以外 の用途に用いるために製造、輸入、販売、授与等について、これを行ってはならない」 という規定があります。また、医療等の用途につきましては、厚生労働大臣が「人の身 体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途」として省令で定めるということになっ ております。  指定薬物制度によって一旦物質を指定しますと、一般消費者が店舗において購買する ことは、ほとんど無くなっているのではないかという感じがございます。しかし、一方 でインターネットを通じた販売があるようで、注意すべき重点が少し移ってきていると いう状況もあろうかと思います。  参考資料2は、従前の薬事法による規制から指定薬物制度、あるいは合法の制度に関 しての概略です。下の括弧ですが、昔は違法ドラッグについて無承認・無許可医薬品と いうことで、薬事法第13条と第14条の承認・許可のない医薬品の製造販売・製造等は できないことになっておりまして、そこで規制をしていたわけですが、実態として、こ れは医薬品ではないという偽装等もありまして、規制するのは難しいということで、指 定薬物という新しい法律の条項を作って、このような乱用系のものに対して指定して規 制するという枠組みを作ったものです。  さらに、指定薬物に指定されたものの中から、依存性や精神毒性の評価について、よ り厳密なデータの得られたものについては、麻薬として指定することにより、さらに厳 しい規制を行うことになっております。その場合には「指定薬物」からは除かれて「麻 薬」への指定ということで麻薬の方に移行するという形になります。  これまで本部会で御審議いただいて、現在45物質が指定されておりますが、この45 物質の一覧が参考資料3です。昨年度は、平成21年10月21日に省令を告示して6物質 が新たに追加されております。省令の施行が11月20日で、それらの物質について販売 等の規制がかかりました。その6物質を合わせて、現在45物質、植物については1植物 が指定されているという状況です。薬事法の規制に関する概要は以上です。 ○望月部会長 薬事法第2条第14項の規定では、指定薬物の指定の際には、厚生労働大 臣は、薬事・食品衛生審議会に意見を聴くこととされております。今回は5物質につい て厚生労働大臣より諮問されております。本日の審議物質について、事務局より説明を お願いいたします。 ○事務局 各物質について説明いたします。諮問書で5物質が厚生労働大臣より薬事・ 食品衛生審議会の会長宛に諮問されたわけですが、資料1に、諮問された5物質とその 通称を並べてあります。  1物質目が1-(2,5-ジメトキシ-4-ニトロフェニル)プロパン-2-アミン(通称DON) です。2物質目が2-(2,4,5-トリクロロ-3,6-ジメトキシフェニル)エタンアミン(通称2 C-C-3)です。3物質目が、1-(2-フルオロフェニル)-N-メチルプロパン-2-アミン(通 称N-メチル-2-FMP)です。4物質目は(1-ブチル-1H-インドール-3-イル)(ナフタレ ン-1-イル)メタノン(通称JWH-073)です。5物質目が、2-(2-メトキシフェニル)-1-(1- ペンチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(通称JWH-250)です。  これらの物質の化学構造式が資料2です。これらの5物質は実際に販売されていた製 品から国内で検出されておりまして、製品を買い上げて検査を行って検出された物質が 中枢神経系への作用を有する蓋然性が高いと判断したものについて「指定薬物」として 指定して規制する必要があり、今回この5物質を提示したわけです。これらの物質の検 出状況は参考資料4にあります。また、これら5物質の医療等の用途について、現時点 において、特別に用途があるという情報は得ておりません。医療等の用途については本 部会での審議事項ではありませんが、参考資料5として配付しております。各物質の中 枢神経系への作用について資料3にまとめておりますので、それに沿って各物質の説明 をいたします。  資料3-1に通称DONの構造式を、類似化合物についていくつか挙げてありますが、 麻薬のDOM、麻薬のDOB、麻薬のDOI、そして指定薬物のDOC、これらと構造 が非常に類似したものです。ニトロ基の部分が違うだけです。  中枢神経系への作用に関する情報をその下にまとめておりますが、まず(1)として、 ラットを用いた弁別試験の報告がございます。麻薬のDOM1.0mg/kgを用いて弁別した ラットに対してDONは般化を示したという報告です。ED50の値は、旋光性がマイナ スのDONで0.57mg/kg、ラセミ体ですと0.76mg/kgという値が示されております。参 考として、ラセミ体のDOMのED50値は0.44mg/kgです。こちらは文献1になります。 事前にお送りしたものですが、机の何か所かに置かれている赤いファイルに本日の文献 と関係する参考文献を入れてありますので、必要に応じて、併せて御覧いただきたいの ですが、今回は、文献1の報告でラットの弁別試験がなされたというものです。  文献(2)の報告は、セロトニン受容体5-HT2へのDONの結合能に関する報告です。 1984年と少し古い報告です。ラット前頭葉皮質膜分画へのケタンセリンの結合に対する DONによる阻害から、セロトニン受容体との結合能(Ki値)を計算してあります。旋 光性マイナスのDON、Ki値は210nM、DONラセミ体では300nMという値が得られ ています。参照として、この文献で示されたDOMの結合能については、Ki値が60n M、ラセミ体が100nMです。  (3)は、5-HT2A、及び5-HT2cの受容体のアゴニスト活性に関する報告です。これはヒ トのこの2種類のセロトニン受容体をそれぞれ安定して発現するチャイニーズハムスタ ー・オーバリーセルを用いて、アラキドン酸の放出(Phospholipase A2を介した反応)、 それとイノシトールリン酸の蓄積(Phospholipase Cを介した反応)、この二つを指標に してセロトニン受容体へのアゴニスト活性を測定したものです。  これが文献3です。これによりますと、DONのセロトニン受容体に対する活性につ いては、相対活性、これはセロトニンの場合と比較した最大値の比較ですが、セロトニ ンに対して、アラキドン酸放出に関しては4割強程度、イノシトールリン酸の蓄積に関 しては5割強程度の相対活性を示しております。また、5-HT2cのレセプターにつきまし てはアラキドン酸放出が、セロトニンに対して約6割、イノシトールリン酸の蓄積につ いては約8割強の活性を示しております。それぞれについて、この作用を与える濃度の 対数のマイナスの値、pEC50を示しておりますが、5-HT2Aについてはアラキドン酸放出が 6.01、イノシトールリン酸蓄積が5.74。5-HT2cについては、アラキドン酸放出が5.63、 イノシトールリン酸の蓄積が5.62というpEC50値が報告されております。参考として、 同じ論文で報告されている麻薬DOMのその値を見ますと、相対活性として、5-HT2Aで アラキドン酸放出で相対活性4割、IP蓄積が約4割強。5-HT2cのレセプターについて は、アラキドン酸放出で12割、IP蓄積については8割。pEC50については、それぞれ ここに示した値が報告されています。  このように、DONはDOMと類似の作用が見られたというもので、以上の論文を用 いて、DONは中枢神経の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高いので はないかと考えて指定薬物への指定を提案させていただきます。よろしくお願いいたし ます。 ○望月部会長 資料3-1の物質DONについて、委員の先生方からの御意見をお願いい たします。 ○□□委員 今、御説明がありましたように、対照薬物のDOMとの弁別反応でもマイ ナス体はほとんど同じ強さがありますし、ラセミ体でも2分の1ぐらいの作用がありま す。それと、参考文献のうちのGlennonの文献を見ますと、ヒトの幻覚とセロトニン受 容体の親和性との相関を取ったグラフですとか、それからヒトの幻覚作用の強さと薬物 弁別でのED50の相関を取ったら非常に良い相関がある。弁別で強いものは、ヒトでも 幻覚が強い。そういうデータが示されていますので、御提案の趣旨でいいと私は思いま す。 ○望月部会長 ほかの委員の御意見はいかがでしょうか。それでは、本日御欠席の委員 からの意見をご紹介いただけますか。 ○事務局 今回、御欠席の妹尾委員と藤岡委員からは、御意見をいただいておりません。 ○望月部会長 その他御意見はございますか。□□委員の御意見がすべてを尽くしてい るような気がしますので、本物質DONについては、薬事法第2条第14項に規定する指 定薬物として指定することが適当であるとしてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは次の物質について説明をお願いいたします。 ○事務局 次の物質は、資料3-2にある2C-C-3です。類似の構造を有するものとし ては、指定薬物である2C-Cと塩素の数が違うのみです。その他麻薬の2C-B、同じ く麻薬の2C-Iといったものが類似のものかと思われます。  中枢神経系への作用に関しましては東京都よりデータの提供があり、そのデータにつ いては文献4に基づいて説明いたします。これはマウスを用いた行動及び中枢・自律神 経症状の観察です。こちらについては、東京都からいただいた資料の中にスコア表があ り、それの結果を基に再整理したものを記載してありますので、東京都の結果のまとめ の表記と若干違うところもございますが、あらかじめ御了承ください。  マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察は、マウスに2C-C-3を、0mg/kg、 0.2mg/kg、2mg/kg、20mg/kgをそれぞれに経口投与して行動、中枢神経症状及び自律神 経症状を観察したものです。行動及び中枢・自律神経系症状については、投与後0.5時 間、1時間、2時間に観察を行ってスコア表を作成し、5匹の平均で評価するというも のです。  行動観察ですが、まず0.2mg/kg投与群では影響は認められておりません。2mg/kg投 与群では、痛反応の増強が認められました。こちらについて、スコア表で1以上のスコ アについては「関係性あり」ということでまとめており、スコアの0.6〜0.8については、 括弧書きで(傾向が見られた)という表現でまとめました。2mg/kgについては、痛反応 の増強が認められました。傾向としては反復動作の増加、外界反応及び触反応の増強傾 向、また、立ち上がり行動の増加傾向が見られたという状況です。20mg/kg投与群にお いては、反復動作の増強、洗顔運動の抑制及び痛反応の増強が認められたというもので す。外界反応及び触反応の増強傾向がみられた。立ち上がり行動は、30分後に抑制し2 時間後には亢進する傾向もみられています。  次に中枢神経症状の観察です。0.2mg/kg投与群においては、影響は認められておりま せん。2mg/kg投与群において、払いのけ反射の増強が認められております。その他自 発運動の亢進傾向、耳介反射及び角膜反射の増強傾向、指間離開の抑制傾向がみられて おります。20mg/kg投与群においては、30分後に自発運動の抑制傾向が認められますが、 その後2時間後にはこれが逆に亢進するということが認められております。また、抑制 作用として異常姿勢が認められています。その他耳介反射、角膜反射、払いのけ反射及 び懸垂力はともに増強傾向が認められております。その他の傾向としては、抑制作用の 異常歩行傾向、挙尾反応の増加傾向、指間離開の抑制傾向が見られました。  自律神経症状の観察については、0.2mg/kg投与群では影響は認められておりません が、2mg/kg投与群において眼瞼の開裂が認められた。また傾向として、散瞳傾向、皮 膚の色変化の傾向も見られております。20mg/kgになりますと、散瞳、眼瞼開裂、立毛、 皮膚の色変化が認められております。心拍数の増大傾向も見られております。  動物の運動等につきましては、自発運動及び立ち上がり行動に関して、投与後初期の 段階で抑制的に作用し、後に亢進的に移行するという点、また異常歩行が抑制的である 点、懸垂力に影響がある点、排尿・排便の回数に変化が見られないという点でメタンフ ェタミンとは異なる結果を示しております。これには陽性対照としてメタンフェタミン を用いたデータも併せて付いておりまして、それと比較したものです。  次は、マウスを用いた自発運動における運動量の測定です。マウスに2C-C-3を2 mg/kg投与した後、10分間毎の運動量の変化を3時間まで測定したデータが示されてお ります。測定時間中を通して、対照群と比べて有意差は見られなかったというものです。 自発運動の運動量の測定という測定方法を用いると、差が出なかったというものです。  (3)に、in vitroのモノアミンの神経伝達系への影響として、前シナプス側における 試験結果が示されています。ドパミンについてはラット脳の線条体、セロトニン及びノ ルエピネフリンについては皮質を用いて粗シナプトソームを調製し、そこにモノアミン 類、ドパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、それぞれの取込み及び遊離に対する2 C-C-3の影響を測定しております。  モノアミン類の取込みあるいは遊離促進については5ページの表にまとめてあります が、取込み阻害作用についてはIC50値を示します。ドパミンでは4.2×10-5、セロトニ ンは3.1×10-5、ノルエピネフリンが3.6×10-5と、弱いながらもIC50値が求められて おります。陽性対照として実施されているメタンフェタミンと比較しますと、ドパミン では2桁、セロトニンでは1桁、ノルエピネフリンでは2桁と、セロトニンが一番近い のですが、1桁弱いということです。  モノアミン類の遊離促進作用についてもEC50値が示されておりますが、こちらは2 C-C-3の活性が弱いようです。EC50値が求められたものはノルエピネフリンだけで、 かろうじて1.0×10-4という値が出ました。ドパミン及びセロトニンで遊離促進作用は 若干見られましたが、IC50値が求められるまで遊離促進はしなかったということで、 この値はND(not detective)となっております。  2)は後シナプス側における試験結果です。ラット全脳から調製した粗シナプトソーム を用いて、G蛋白質活性化の指標である〔35S〕GTPγSの結合式を指標に2C-C-3の影 響を測定したものです。2C-C-3は1.0×10-4Mにおいて、セロトニンの約30%のG 蛋白質活性化作用を示した、というデータが示されています。用いたセロトニンの値は 1.0×10-5Mで濃度が違うのですが、その最大値と比較してより高濃度で、約30%のG蛋 白質活性化作用が見られたというものです。  (4)は、マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化についてです。自由行動下の マウス大脳基底核・線条体内の神経細胞外モノアミン量をマイクロダイアリシス法によ り測定しております。2C-C-3投与後10分間隔で3時間後まで経時的に測定したデー タが示されておりますが、モノアミン量の変化について有意差は見られなかったという ものです。  データは以上ですが、総合的にこれを見た場合、この2C-C-3についても中枢神経 系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高いと考えて「指定薬物」への 指定を提案させていただきます。2C-C-3については以上です。 ○望月部会長 資料3-2の物質2C-C-3について、委員から御意見等がございました らお願いいたします。 ○□□委員 ちょうど先週、CPDDというアメリカの薬物依存の会議がありまして、 参加してまいりました。そこで2C-C関連の弁別試験に関する報告がありまして、LS Dで弁別を獲得した動物に2C-C-3は般化する、しかしアンフェタミンでトレーニン グした弁別動物には般化しないという報告がありました。これも合わせて考えると、こ れは「指定薬物」に指定した方がいいのではないかと思います。 ○□□委員 今の□□委員の意見は非常に強い意見だと思いました。LSDなどではな かなか実験ができませんから、そういう情報が入ると、これは間違いなく指定薬物にな るのだろうと思いました。データ的に、ここに出てきているデータは少し弱いデータな のです。ただ、実際的にこういうものが日常的に商品で出ているということは明らかで、 我々の立場でいうと、そういう意味でも、これは規制すべきだろうと思います。LSD の脳の作用が少なくともネズミで見られるということであれば、間違いなく指定薬物だ ろうと思います。 ○事務局 1点確認させていただきたいのですが、□□委員がおっしゃった、アメリカ での会議でLSDあるいはアンフェタミンとの般化が見られるか、見られないかという ことの比較は2C-Cですか、それとも2C-C-3ですか。 ○□□委員 シリーズでかなり多くのものをやっていて、その中に2C-C-3もあるの です。 ○事務局 2C-C-3もあるのですね。ありがとうございました。 ○□□委員 事務局の方に質問したいのですが。参考資料4は買い上げの結果というこ とだったかと思うのです。今審議している薬物は液体の1製品のみということなのです が、1製品というのは、製品としてはこれだけれど、それがいろいろな店で売られてい るという意味なのでしょうか。それとも、一つの商品として一つだけ見つかったという ことなのでしょうか。 ○事務局 一つの商品として1店舗で売られていることを確認したという状況です。 ○□□委員 一つだけというのが何となく気になったものですから。売る側にしてみる と、売れるものはいろいろな所に売る、そういう市場原理はあるかと思うのです。そう いう意味では、これはもしかすると、乱用者たちの間でも余り人気がないとか。  実は、それで一つ気になるのは、□□委員も言われましたが、今回のデータは全体的 に弱くて、果たしてどうなのかという疑問が残るのです。私はこうすべきだという強固 な意見は何一つないのですが、少し弱いという気がします。 ○□□委員 私も、データを見ていて対照薬が悪いと思うのです。メタンフェタミンを 取っています。受容体結合実験だとか遊離実験のデータを見ましても、ドパミンがメタ ンフェタミンの作用と相関すると思うのですが、ドーズレスポンスがありません。高用 量の方が遊離が少ないとか、そういうデータが出ています。今、□□委員がおっしゃっ たLSDですと、セレトナージックな関係なのです。セレトナージックですと、ドーズ レスポンスが遊離にもあります。先ほどの取込阻害作業のIC50も、-5乗レベルですか。 これはみんな一緒ですが、メタンフェタミンと比べれば、これに関しては10分の1とい うことで、セロトニン系が強く出ているので、□□委員が言われたようなことでいいの ではないかという気がいたします。自分でやっていないので分かりませんので、強くで はないのですが。 ○□□委員 □□委員に質問いたします。今先生が紹介してくださったデータで、用量 としてはどういう用量が選ばれたかは覚えていらっしゃいますか。 ○□□委員 詳しくは記録を留めていないのです。その場でも聞いたのですが、論文は 投稿準備中と言っていました。今日もネットで彼らの論文などを調べたのですが、まだ 出ていなかったのです。 ○□□委員 その情報があれば、□□委員や□□委員のお話も少し焦点が絞りやすくな ると思うのですが。 ○□□委員 私も、いろいろな先生方が述べられたように、弱いというのを感じます。 行動も、観察の方では自発運動が亢進していたりということなのですが、運動量の測定 をきちんとすると差が見られないということなので、そこも余りはっきりしない。スコ アリングというか、数値で表すと、はっきりしないということですね。モノアミンの変 化も、ダイアリシス法なので、かなり強いレスポンスでないと検出できるほどに現れな いと思うのです。ただ、データ的には有意な差がないということなので、これだけのデ ータだと少し弱いという印象です。□□委員の御報告があれば、こちらは規制に向かっ ていいと思うのですが、このデータだけでは、という気がします。 ○□□委員 構造を見ていただくと分かるのですが、これは全部塩素を入れているので す。全くのスペキュレーションなので分からないのですが、こういうものというのは彼 らがどのくらいコントロールして合成しているか分からないのです。多分これは塩素が 全部入ってしまったものなのではないかと思うのです。塩素が入ったものも売りたいか ら、それも売っているのだろうという気がしますが、その前の、塩素を一発だけコント ロールして入れたものの方がきちんと効くのだろうと思うのです。  そういう状況なのですが、実際上、商売としてはそういうものも商品として出てしま っていますから、これは、そういう意味でもコントロールした方がいいのではないかと 私は考えます。 ○□□委員 確かに構造的には反応として塩素が全部入り得るものです。 ○□□委員 そうです。 ○望月部会長 欠席の委員から何か御意見はありますか。 ○事務局 御意見はありませんでした。 ○望月部会長 いかがいたしましょうか。 ○事務局 先ほど□□委員から御指摘のありました、検出事例が液体で1製品というこ とで、少ないがどうか、という話がございました。事務局といたしましては、確かにあ まねく店をチェックして、その中でこれだけの品目がありましたということで買ってい るわけではありません。要するに、これが品目として出てくるということ自体、それが 世の中に流通している可能性が高いということで、指定していく、あるいは議論してい く必要性があるのではないかと思っております。それで今回、これは1製品であるとは 言っても、データと合わせてやることによって、こちらの審議に掛けさせていただいて いるものです。  先生方からも、今回事務局が準備したデータが少し弱いという話がありまして、確か に私どももそう思ってはいます。ただ、マウスを使った中枢・自律神経系の症状観察、 あるいはメタンフェタミンと比較したときに、10分の1ぐらいのレベルで、その効果が あるというところは看過できないと思っております。事務局としてはその観点から、先 ほど□□委員も言われましたが、この物質だけにきれいに出ているわけでもない。既に 麻薬として存在している他のものも、これと同じような形で流通しているものもござい ますので、これは指定薬物として考えた方がいいのではないかということで、提案させ ていただいたものです。 ○望月部会長 そのような説明もございますが、皆さんの意見をまとめますと、弱いに しても、この委員会の立場としては、指定しなければいけないのではないかというよう な雰囲気のようですが、いかがでしょうか。  それでは本物質2C-C-3については、薬事法第2条第14項に規定する指定薬物とし て指定することが、適当であるとしてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。 ○□□委員 資料3-2がもし保存されるのでしたら、「自立神経」を「自律神経」とす る等タイプミスを直していただきたいと思います。 ○事務局 確認して、修正いたします。大変失礼いたしました。 ○望月部会長 資料の修正を前提として、これを指定薬物として指定させていただくこ とにいたします。  それでは次の物質についての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3-3を御覧ください。3番目の物質はN-メチル-2-FMPです。この物質は、 構造としてはメタンフェタミンと類似ですが、フッ素に置換されていないものがメタン フェタミンです。フッ素の位置が違うものとしては、指定薬物のN-メチル-4-FMPがござ います。  中枢神経系への作用については、同じく東京都様よりいただいたデータ、文献(4)に 基づいて説明いたします。  マウスを用いた行動及び中枢・自律神経症状観察については、N-メチル-2-FMPをマウ スに0.2〜20mg/kg経口投与して、行動を中枢神経症状及び自律神経症状を観察いたしま した。行動及び中枢・自律神経症状については、投与後0.5〜2時間まで観察しており ます。それぞれ得点表を作成し、5匹の平均で評価しております。  行動観察について、0.2mg/kg投与群では、影響は認められません。ただし、外界反応、 触反応及び痛反応の増強傾向が見られております。  2mg/kg投与群におきましては、反復動作の増加、触反応及び痛反応の増強、立ち上 がり行動の増加が認められております。洗顔運動の抑制傾向、外界反応の増強傾向が見 られております。さらに、20mg/kg投与群においては、反復動作の増加、洗顔運動の抑 制、外界反応、触反応及び痛反応の増強、立ち上がり行動の増加が認められております。  中枢神経症状につきましては、0.2mg/kg投与群では影響は見られませんが、払いのけ 反射の増強傾向が見られております。2mg/kg投与群において、自発運動の亢進、払い のけ反射の増強が認められております。2mg/kg投与群において見られた傾向として、 異常歩行(興奮作用)の増加傾向、耳介反射及び角膜反射の増強傾向も見られております。 さらに20mg/kg投与群においては、自発運動の亢進、異常歩行(興奮作用)、異常姿勢(抑 制作用)、そして耳介反射、角膜反射、払いのけ反射の増強がそれぞれ認められておりま す。また、挙尾反応の増加傾向、指間離開の抑制傾向も見られます。  自律神経症状の観察におきましては、0.2mg/kg投与群においては影響は認められませ んが、2mg/kg投与群において眼瞼開裂が認められております。さらに、散瞳の傾向、 排尿及び排便回数の減少傾向が見られております。  20mg/kg投与群においては、散瞳、眼瞼開裂、排尿及び排便回数の減少が認められて おります。さらに、眼球突出や立毛、皮膚の色変化(赤紫色)を呈する個体も見られてお ります。概して、陽性対照のメタンフェタミンと類似の反応を示したというものです。  マウスを用いた自発運動における運動量の測定を行いました。これは2mg/kgを投与 した後10分間毎の運動量を3時間まで計測したものですが、この計測におきましては、 対照群と比べて有意差は見られておりません。  in vitroのモノアミン神経伝達系への影響ですが、前シナプス側における試験結果と して、ラット脳の線条体及び皮質を用いて調整した粗シナプトソームにドパミン、セロ トニン、ノルエピネフリンの取り込み及び遊離に対するN-メチル-2-FMPの影響を測定し たものですが、それぞれの作用は表にまとめたとおりです。再取り込み阻害作用のIC 50値にいたしますと、ドパミンの取込阻害は5.9×10-7、セロトニンが8.8×10-6、ノル エピネフリンが3.1×10-7というオーダーで見られております。陽性対照のメタンフェ タミンと比較しますと大体似た値で、オーダー的にはそれぞれ同じオーダーが出ており ます。また、モノアミン類の遊離促進作用につきましては、ドパミンで5.0×10-8、セロ トニンで1.4×10-6、ノルエピネフリンが2.1×10-8で、陽性対照のメタンフェタミンと 比べて、いずれもオーダー的にはほぼ同じ。セロトニンが若干オーダーは変わりますが、 5.8×10-7と1.4×10-6ですから、そう大きな違いではないかと思っております。  次ページは2)後シナプス側における試験結果です。ラット全脳から調整した粗シナプ トソームへの〔35S〕GTPγSの結合を指標にN-メチル-2-FMPの影響を測定したものです。 N-メチル-2-FMPは1.0×10-4Mにおいて、セロトニンのG蛋白質活性化最大値の約10% の活性化が見られたというものです。セロトニンの最大値とは濃度が違いますが、それ ぞれの最大値を比較した場合、約10%というものです。  最後に、マウス中枢神経系内モノアミン量の経時的変化です。自由行動下のマウス大 脳基底核・線条体内の神経細胞外モノアミン量をマイクロダイアリシス法により測定し たものですが、N-メチル-2-FMP投与により、ノルエピネフリン及びドパミンについては 5mg/kg以上の投与群において、セロトニンにつきましては10mg/kg以上の投与群にお きまして、神経細胞外のモノアミン量の有意な増加が観察されております。  以上の結果をもちまして、このN-メチル-2-FMPにつきましても、中枢神経系の興奮若 しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高いと考えまして「指定薬物」への指定を 提案させていただきます。この物質については以上です。 ○望月部会長 資料3-3の物質N-メチル-2-FMPについて委員の先生方から御意見を伺い たいと思います。 ○□□委員 この化合物は非常に活性が強くて、メタンフェタミンとほとんど変わらな い数字も出ています。それから、フッ素が入っている化合物というのは非常に持続性が あるのです。これは非常に危険な化合物だと思いますから、迅速に指定薬物に指定すべ きではないかと思います。 ○望月部会長 ほかの委員から御意見はございますか。ないようですが、欠席の委員か らの御意見はありましたか。 ○事務局 欠席の先生からは意見をいただいておりません。 ○望月部会長 はっきりした結論かと思うのですが、いかがでしょうか。それでは本物 質N-メチル-2-FMPについては、薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定す ることが適当であるとしてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。 ○□□委員 資料3-3のメタンフェタミンの所に「麻薬」と書いてあるのですが、これ は「覚せい剤」に直してよろしいのではないでしょうか。6ページの構造式ですが。 ○事務局 すみません。「覚せい剤」です。大変失礼いたしました。 ○望月部会長 次の物質についての説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3-4ですが、事前にお配りしたものと差し替え部分がありますので、本 日配付分を御覧ください。通称名はJWH-073で、昨年度指定したJWH-018とインドール 環のNの所に付いた炭素鎖の長さが、炭素数にして一つだけ違うというものです。中枢 神経系への作用について(1)の報告(文献5)、マウスにおける自発運動量の抑制作用、 抗侵害受容作用及び、これは精神作用ではないのですが、中枢系への作用ということで 体温低下作用が報告されています。マウスにおいて、JWH-073により、自発運動の抑制、 抗侵害受容作用及び直腸の体温の低下に関してED50値を測定したものです。  下の表ですが、自発運動につきましては、0.34μmole/kg、mgに直しますと0.11mg/ kgにおきまして、ED50値を示すというものでして、その次の抗侵害受容作用につきま しては、尾退避反応潜時試験というのでしょうか測定試験というのでしょうか、 tail-flick testと言いまして、尾っぽを温浴につけますと、熱くてはね除けるのです が、大麻系の薬が効いてきますと、痛みを感じなくなって、そのままつけっぱなしにな るということで、どれだけ尾っぽをつけたままにする時間が延びるかと、それを%に表 わしたものです。それの増加というところからED50値を求めまして、1.3μmole/kg、 0.43mg/kgのED50値を示しております。  また参考としまして、体温低下につきましても3.3μmole/kg、1.1mg/kgというED50 値です。この論文にΔ9-THCにおける各ED50値も示されておりまして、それぞれ自発運 動抑制につきましては0.92、抗侵害受容作用につきましては2.7、体温低下につきまし ては2.5ということで、いずれもJWH-073と同じオーダーの値というデータが示されて おります。これが文献5でございます。  10ページ(2)です。マウスにおける抗侵害受容作用及び体温低下作用に関する報告 で、文献6になります。同じくtail-flick testによります抗侵害受容作用を調べてい まして、JWH-073で、これは濃度は少し高い値20mg/kgを用いているわけですが、%MPE といいまして、要は一定の期間、cut-off timeをとるのですが、この場合30秒ですが、 その間ずっと尾っぽを動かさないと100%と、通常どおりに尾っぽをはね除けてしまえ ば0%という測定で測定しましたところ、約40%という値を示しております。参考とし て体温低下が−7℃というデータが示されております。同じ論文に示されましたΔ 9-THC、これは10mg/kgを用いた場合の値ですが、抗侵害受容作用、tail-flick testの 値は約50%という値を示しています。参考として体温低下は−4℃です。  (3)、CB1受容体、これは中枢系のカンナビノイド受容体ですが、これの結合能に 関する報告でして、上記文献5にある報告です。ラット大脳皮質膜分画への〔3H〕 CP-55,940の結合に対しますJWH-073による阻害から、この物質のCB1受容体への結合 能(Ki値)を計算したものでして、Ki値は8.9±1.8nMということが示されています。 同じくこの論文で示されますΔ9-THCの結合能につきましては、Ki値は41nMという値 が示されていまして、この数値を見るかぎりにおきましては、大麻の薬理活性成分であ りますTHCよりも結合能が少し強いかということです。  (4)CB1受容体アゴニスト活性に関する報告で、これは上記の文献6です。マウス 小脳膜分画への〔35S〕GTPγSの結合。これはG蛋白質活性化作用の指標ですが、これを 見ましてCB1受容体経由のアゴニスト活性ということで測定した値で、% stimulation、Emaxの値は53±9ということで、その際のED50%の反応を与える濃度に つきましては、490nMという計算値が示されております。同じ論文で示されますΔ9-THC の値といたしましては、Emaxが54±10、ED50値については260nMということで、T HCとオーダー的には同じ値ということで示されています。こちらにつきましては薬理 作用等につきましては以上です。  参考資料4です。国内の検出状況としましては、植物片が13製品、樹脂が2製品とい うことで、かなりたくさんの数が出ております。これは昨年指定しました合成カンナビ ノイドもそうなのですが、最近のこの合成カンナビノイドにつきましては、何らかの植 物片に合成カンナビノイドの粉を振りかけたような商品が出回っておりまして、そうい ったものがたくさん出ているというものです。これは正確に御報告をいただいたものの 数字だけを示していまして、速報でいただいたものとかまだほかにございますので、そ ういったものも含めますと、かなりの製品数が出回っている状況でございます。この JWH-073につきましては以上です。 ○望月部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御意見をお願いいた します。 ○□□委員 これらの合成カンナビノイドですが、昨年の11月に2化合物が既に指定薬 物に指定されておりますが、その後も今回指定薬物の候補としてあがりましたJWH-073 及び250のほかにも、既にもう構造類似化合物が続々と検出されております。また、事 務局からも御説明がありましたが、JWH-073、その次の250に関しましても参考資料4以 外にも、既に複数の機関から相当数の検出事例が上がっておりますし、また販売形態が インターネットなどで、いわゆる大麻様の作用を標ぼうして宣伝してもナチュナルとい う形で興味をあおっているような販売形態ですので、こういうような合成カンナビノイ ドの流通を少しでも止めるためにも、指定薬物として指定するのが妥当だと考えており ます。 ○□□委員 確かこれはヨーロッパではいくつかは規制されているのですね。それで早 く日本も規制をしなくてはいけないのだろうと思いますので、是非今回、指定薬物に指 定していただければと思います。 ○望月部会長 ありがとうございました。ほかにはどなたか御意見がございますか。□ □委員お願いします。 ○□□委員 全く異論はないのですが、私はWHOの委員をやっていまして、もう一つ の考え方として、ドロナビノールとかそういうものが、WHOの方でも医薬品としての 有用性が出てきているので、その規制を弱めた方がいいのではないかというような議論 も一方であるわけなのですね。  医薬品として現在ドロナビノールが使われているのは、ケモでの吐き気止め、後は食 欲増進、これはエイズの患者さんに非常に有効であるということです。あと、先ほどデ ータでも出ています抗侵害、鎮痛薬としても有望ではないかということで、いろいろ検 討をされているわけです。アメリカではマリノールという商品名で出ていますが、その 辺とのバランスというか、そういうものをこの中でもある程度議論をした上で、規制と いうような形にもっていった方がいいのかというふうに思うのですが、いかがでしょう か。 ○望月部会長 指定薬物と医療との関係ですね。お願いいたします。  ○□□委員 このJWHのシリーズは、医薬品として、もともと開発をしていたけれども、 結局いろいろな問題があるから開発を中止したものなのですね。ですから、いわゆる完 成した医薬品ではないので、逆に言うとその中止をした理由が確かにどこかにあるはず ですから、そういうのが流通すると、そこで中止した理由に基づいて人の身体機能に悪 影響は確かにあるだろうと思います。ですからこれは、あくまでもレギュレーションと してこういうものを流通させないということは、非常に大事なのではないかと思います。 医薬品である場合には、有効性と安全性の両方のバランスを考えないといけないのです が、これは今のところ、医薬品としての有用性はないという形で論文報告をされている と、私は理解をしています。 ○事務局 海外の規制につきましては、お手元の赤いファイルの参考6にヨーロッパの モニタリングセンターからの報告が出ていまして、JWH-073につきましては28ページに 一覧表があります。JWH-073につきましては既にリトアニア、ルクセンブルグ、スウェ ーデンで規制が実施されています。参考資料3-6の28ページの表の右から3つ目です。 JWH-073、一番下に規制されている国としてリトアニア、ルクセンブルグ、スウェーデン ということで、既にヨーロッパの方でもこの植物片に振りかけた商品が流通していまし て、その中から検出されて、規制の対象になっているというものです。  また医療との関係ということで御指摘がございましたが、今のところこの物質に関し て医療の用途というのは把握しておりません。そういうことは考えにくいとは思うので すが、もし仮に今後、医療等の用途の研究がなされて、これは有用だということになれ ば、その際に改めて症例で個別の医療等の用途を設定すれば足りることですので、今回 は医療等の用途は個別の設定は考えませんが、今回はあくまで流通を止めるために指定 することを提案させていただきます。 ○□□委員 結局CB1のアゴニストをすべて規制するという形で考えるのか、あるい は個々の物質について、それぞれ議論をしながら決定していくという、後者に多分なる と思うのですが、そういうような形で今回のJWH-073、これはやはり規制すべきと私も 考えます。 ○望月部会長 ありがとうございました。ほかにはございませんか。 ○□□委員 私も規制する方針に対しては異論はございませんが、抗侵害作用、鎮痛作 用ですね。鎮痛作用そのものの評価が、この依存に直接影響すると考えるかどうか。で すから□□委員の鎮痛薬としての可能性ということと、少し関係するのですが、この場 合は依存性があるか、乱用につながるかどうかということを審議すると思うのですが、 確かにカンナビノイドの作動薬として、それで恐らく鎮痛という項目を挙げてこられた と思うのですが、ただ、鎮痛そのものは直接、乱用・依存ということには結びつかない ので、その辺どういうふうにお考えかを、お聞きしたいと思います。 ○望月部会長 事務局からお願いします。 ○事務局 基本的に作用機序としまして、THCと同等な作用機序を持つものであれば、 それはまず要チェックであるということで、実際に国内でその乱用系の商品として、以 前指定されたようなものと、ほぼ似たような商品という形で検出されているものに関し ては、これはやはり引っかける必要があるのではないかと、そういうふうに考えていま す。その鎮痛作用等につきまして、また個別にその有用性ということがあれば、またそ れは別途手当をするということですが、一応、乱用ということに関しましては、THC と同等の機序を有して、実際にそういった乱用系の商品が出回っているという状況であ れば、それは指定した方がよろしいのではないかということで提案させていただいてい ます。 ○事務局 私の方から一つ。□□委員がおっしゃっていました、この物質全体をどうい うふうに見ていくのかということですが、この物質、私どもはこれは合成カンナビノイ ドと言っていますが、実はこれ冒頭の岸田審議官の御挨拶にもございましたとおり、今 年の3月の段階で、国連の中でも、世界的に発生している合成カンナビノイドをどうや って防止することができるのかという議論がありまして、最終的にはその定義がうまく できないということで、その最終的な定義はシンセティック・カンナビノイド・レセプ ター・アゴニストということで、脳内のレセプターに及ぼす物質一般について、そこで 包括して議論をして、その中で良いものもあれば悪いものもありますので、そういう各 国が持っている情報を共有しながら、規制をするのであれば規制をしていこうという形 で、効果的に使っていこうということでまとまっています。  今後こういうシステムを作っていかなければならないのですが、私どもからしてみま すと、この部会の中での指定というのは、物質ごとにそれぞれその妥当性、蓋然性があ るかどうかということで判断をするのですが、それだけだと効果的ではないところがあ りますので、我々が持っている情報は国際的にも提供し、国際的にもあるところについ ては我々も使いながら、こちらの方で規制をするのみならず、先ほど□□委員がおっし ゃった他の有用性とかがあったときに、それをどう考えていくかは私どもだけではなく、 ほかの国で起こってくる話と併せて考えることができるのではないかと思っておりま す。ですから、そういう中でこの物質については、両面を見ながら考えなければいけな いのだろうというふうには考えているところです。 ○□□委員 私は鎮痛作用があること自体をプラスに考えるという意味では発言してい ないのですよ。ですから乱用・依存につながる指標として、鎮痛効果をこの中に入れて いいのかという、全く別の概念です。 ○□□委員 私の理解では、この(Wiley)の論文を読んだときに、THCの薬理学的スペ クトルの一つとして、抗侵害作用があるから、それのポテンシーを比較したという考え 方だと思います。 ○□□委員 それが今回の乱用・依存に直接繋がるデータとして扱えるのかと。 ○□□委員 ですから扱っていないと思います。 ○望月部会長 関連して□□委員、御発言ください。 ○□□委員 これは法律の条文の中味に中枢神経系への作用ということが書いてあっ て、中枢神経系への作用の一つとして、今のことを見ているから、それがここで紹介さ れているのです。その判断基準であるわけではないのですが、こういうものは大体医薬 品ではないので、データが余り多くありません。それで考えられる中枢神経系の作用と いうのは全部ここに挙げてもってきて今は審議しているわけですね。その中のone of themとして出ているというふうに理解しています。 ○望月部会長 □□委員よろしいですか。 ○□□委員 私も、そこはそういう理解で解釈しています。ですから受容体親和性もカ ンナビノイドよりも4.5倍ぐらい強いし、いろいろな薬理作用を見ていますけど、それ も2倍〜3倍ぐらい強い。そういう理解ですけれど。それと薬理作用は、去年指定した 18番と同じぐらいの強さであるということで、そういう点から言っても、指定薬物にす る意味があるのかと。弁別試験などこれでやられていないですね。そういう点でははっ きり言えないのですが、あればよかったのですが、去年指定したのも今回のも、弁別試 験はこの論文でされてないです。 ○□□委員 これは□□委員の言われたことと、ある意味で同じなのかも分からないで すが、もっとストレートに言うと、正に□□委員が言われたように弁別試験がないとい うことが一つ気になるところです。もっとストレートに依存性の評価というか、そもそ もここの委員会でのメインに扱うところがどうなのか、そもそも評価系を作ること自体 が難しいのかどうか分からないのですが、この辺が少々気にはなります。ただ、結論と して、これは何らかの形での規制ということではいいと思います。 ○□□委員 確かにCB1アゴニストの作用そのものにつきましては、有用な作用とか も多々あるかと思いますし、先ほど□□委員がおっしゃったように弁別試験など、非常 に出にくい化合物だとは思うのですが、実際の販売形態が今インターネットなどで非常 に広く、乱用をあおるような形で実際の製品が売られていまして、簡単に手に入る状態 となっております。これは今きちんとした論文を持っていないのですが、昨年指定薬物 になりましたJWH-018につきましては、ロシアで犯罪に関わった被疑者の尿中からも検 出されていまして、実際に妄想などが出ていた被疑者の尿からJWH何とかを実際に吸っ たということで検出されていることなども考えますと、犯罪などに使われる可能性も否 定はできないと考えております。  ○□□委員 結局、今コマーシャルベースでかなりピュアなものがいくらでも入るわけ です。それと実際にこういう乱用実態のあるものをどういうふうに今規制していくかと いうことだと思うのですが、結局、乱用実態があれば、やはりこれは規制に踏み切って いくべきかと思うのです。一方、そういうコマーシャルベースでありますから乱用に手 をつけられれば、そういうものも、規制していかなければいけない形になっていくのか と思うのですが、なかなか難しいと思います。 ○事務局 弁別試験についてなのですが、論文5のフィギュア3は、弁別試験をやって いるようでして、今回は資料3には出さなかったのですが、CP-55,940.で、弁別したラ ットです。 ○□□委員 5はこの化合物はやっていない。ほかの化合物はやっている。 ○事務局 これブチルと書いてあるのはこれは。 ○□□委員 ブチルはやっていないです。 ○事務局 これは違いますか。 ○□□委員 はい、ブチルはやっていません。 ○事務局  これは1001ページのフィギュア3です。論文5、題名がstructure activity relationship of indole云々なのですけれども、それのフィギュア3、●がブチルと書 いてありますので、R'の方の記載はないので、JWH-073なのか、R'にメチルがついた ものなのか分からないのですが、JWH-073ではないかと思うのですが、CP-55,940.に対 してそれぞれΔ9-THCと、このブチルのものが般化していると、THCとの直接の対比 ではないのですが、そういったデータは示されているようでございます。 ○□□委員 メチルエーテルと書いてある。 ○事務局 メチルエーテルと書いてありますか、ではこれは違いますね。失礼しました。 メチルエーテルですから、これは違います。 ○□□委員 表になかったから、私もこれを印はしていたのですけど。 ○事務局 先ほど□□委員から「コマーシャルベースで、合成カンナビノイドというも のが売られていますね」ということで、それどうするのですかという話でしたが、私ど もも実はかなり気にしていまして、実際、日本国内で合成カンナビノイドを自分たちで 作っている会社はありません。すべてが海外からの輸入品になっています。海外から輸 入する会社は大体確定できていまして、そこの会社には販売する際においては、指定薬 物でしたらいいのですが、指定薬物になっていなくても、どういう用途で売るのかとい うことを、自分たちの身を守る上できちんとやってくださいということをやっています。 販売するに当たっては、基本的に一般の方に売るということはありませんので、ほとん どが大学あるいは国の研究所、あるいはそういう研究所関係のところに売っているとい うことは承知しております。その意味では一般の方が勝手に海外から買ってきて売ると いうことは、ほとんど考えづらいと思っております。 ○望月部会長 ありがとうございます。ほかにはどなたかございますか。 ○□□委員 参考までに教えていただきたいのですが、参考資料4ですが、植物片とし て13製品ということで、随分多いということなのですが、これは商品名としては一つだ けとかそういう枠ではなくて、いろいろな商品名の下に、これはそこに入っていたとい うことでしょうか。 ○事務局 はい、これは商品名で重複を省いて残った数ということでして、更にこれは 正式な報告書として御報告いただいたもので、製品名に若干の疑義もないものというこ とで絞った数ですので、速報でいただいたものですとか、若干、製品名に疑義があるよ うなものも含めますともっと数がいきます。次々出回っているという感じだと思います。 ○望月部会長 ほかには、今日御欠席の委員からの意見はございますか。 ○事務局 ありませんでした。 ○望月部会長 ほかはよろしいでしょうか。問題なく指定しなければいけないというこ とだと思いますが、この参考資料というのは、今日3人に一部しか配られていないよう なのですが、せめて2人に一部ぐらいに、これからはしていただきたいのです。 ○事務局 はい、改善したいと思います。 ○望月部会長 文献は前もって送っていただいているからいいのですが、参考資料はこ の次のサンプルにも関係しているので、是非お願いいたします。 ○事務局 次から改善いたします。 ○望月部会長 それでは本物質JWH-073については、薬事法第2条第14項に規定する指 定薬物として指定することが適当であるとしてよろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは次、最後の物質についての説明をお願いいたしま す。 ○事務局 最後の資料3-5について御説明させていただきます。ものの通称はJWH-250 です。昨年指定いたしましたJWH-018と構造が類似していますが、ナフタレンのところ が違いまして、新たな構造を有するものでございます。中枢神経系への作用に関しまし て文献7の報告がありまして、内容についてはCB1受容体への結合能に関する報告で す。ラット脳膜分画への〔3H〕CP-55,940の結合に対しますJWH-250による阻害から 受容体への結合能、Ki値を求めたものでして、Ki値は11±2nMという値が示されて います。参考といたしまして、同論文に示されますΔ9-THCの結合能、これは既報値で 先ほどと同じですが、Ki=41±2nMということで、この数値を見るかぎりにおきまし ては、CB1受容体への結合能はTHCよりも強いということになります。  このことをもちまして、JWH-250につきましても中枢神経系への作用の蓋然性が高い と考えまして、指定薬物への指定を提案させていただいたものです。商品数につきまし ては参考資料4ですが、植物片6製品、粉末2製品ということで、速報値等も入れます と更に商品の数は増えます。このものにつきましては以上でございます。 ○望月部会長 ありがとうございます。資料3-5の物質JWH-250について御意見等いた だけましたらと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○□□委員 勉強のために教えていただきたいのですが、この植物片というのは大麻か 何かに混ぜているのですか。 ○事務局 大麻ではないようですが、いろいろな種類の植物があるようです。参考資料 6、ヨーロッパのモニタリングセンターの報告ですが、8ページに事例が出ております。 8ページの表に植物の種類が出ていますが、このようにいろいろな植物に混ぜていまし て、結果として合成カンナビノイドですから、結果として大麻と同じように扱われてい るということかと思います。 ○□□委員 少々補足させていただきます。こちらの方のspice系の植物片に合成カン ナビノイドが混じったような製品なのですが、こちらの植物につきまして、私どものと ころで遺伝子解析をしまして、どういう植物が含まれているかを解析しましたところ、 製品のパッケージに書いてある植物そのものが入っている事例はほとんどございません でした。EMCDDAのレポートにはパッケージに書いてある植物が書いてあるのですが、実 際は製品によってばらばらでして、例えばメスカリン含有のウバタマのようなサボテン とかが入っているものもございましたし、実は大麻が入っている製品もありましたが、 基本的にはそれほど強い活性のあるような植物よりは、むしろ西洋の方で西洋ハーブと して広く市場に出回っているような植物を何種類か混ぜて、そこに合成カンナビノイド を加えたような製品が多数出ています。ただ、製品によってはその植物につきましては、 かなりまちまちになっているかと思います。 ○望月部会長 ありがとうございます。いろいろなことをやりますね。 ○□□委員 いわゆる基剤のような感じで植物をただ入れているので、その植物がどう いう植物であったとしても、彼らは本当はかまわないのです。やっている人たちはそう いう植物の中で、従来から違法薬物市場で流通していそうな植物の破片というか粉を入 れている場合が多そうなのですね。ですから、たまたま先ほど言いましたように、メス カリンが出てくるような植物も入っています。要するにラベルと、入っている植物とい うのは全くパラレルではない。一つぐらいは合うものもあるのですが、実際には、まず 無茶苦茶な状態でいろいろな植物が入っている。その植物そのものというのが、一つの パッケージ毎にまたコンビネーションが違うので、適当に何かいろいろやって、その適 当にやった中にまた適当に合成物を振りかけている。振りかけている量も濃度的に10 倍ぐらいの差はあるような量で振りかけているので、1個1個で多分効き方もかなり違 うのではないかと思いながら見ていました。  彼らは売りたいがためにパッケージにはナチュナルハーブのような形で売るのです。 ですから、そういうものが効いているように思わせたいために、そういうところで大体 流通しているような名前を入れている。たまたまその中で1点だけは大麻が本当に入っ ているのがありましたから、これはどうして大麻が入っているのかという気がすること もございました。 ○□□委員 これは検出を妨げるような目的もあるのですか。 ○□□委員 どうでしょうか。こういうものというのは、新しい化合物が入ってくる方 が検出が難しくなります。ですから、今は大きなピークが出ればそれをすぐに検索をし て何かということを調べるのですが、新規の化合物が入ってくるというわけではなくて、 過去に論文上に発表された化合物とか試薬で売られている化合物のようなものが新しく 出てくる場合が多い。そういう意味で言うと、今は新しいピークが出てくれば何かそう いうものが出てこないかということで逆にそちらの方から検索して、これだということ になるのです。 ○望月部会長 ほかにはどなたかございませんでしょうか。欠席の委員からは何かござ いますか。 ○事務局 ありませんでした。 ○望月部会長 特に御意見がないようですけれども、これも問題なく指定した方がよい というふうに考えます。それでは本物質JWH-250については、薬事法第2条第14項に規 定する指定薬物として指定することが適当であるとしてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。そのほか全体的に御意見等がございましたらお願いいたしま す。発言が出尽くしたと思いますので、今回御審議いただきました5物質については、 いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると されました。ありがとうございます。事務局より今回の物質に関して医療等の用途の取 扱いについてありましたら説明してください。 ○事務局 医療等の用途について説明させていただきます。参考資料5になります。今 回御審議いただきました5物質につきまして、医療等の用途を記載させていただいてい ます。これはこれまでの指定薬物すべてに共通します医療等の用途ということで考えて いまして、これらの用途は公的な機関や大学などにおけます学術研究又は試験検査の用 途、薬事法に規定します試験あるいは検査の用途、そして犯罪鑑識の用途ということで す。参考資料5につきましては以上でございます。 ○望月部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方、医療等の用途に関しま して御意見等がございますでしょうか。よろしいですか、ありがとうございます。それ では事務局から本件に係る今後の手続、スケジュール等についての御説明をお願いいた します。 ○事務局 今後のスケジュール等について御説明させていただきます。今後は本日の御 審議の結果を受けまして、答申のために必要な手続を進めますと同時に、パブリックコ メント、WTO通報等、必要な手続を行いまして、指定薬物に指定するための省令改正 の手続に入ります。  医療等の用途につきましては、今回指定する物質とともに、パブリックコメントを求 めまして、そこで上がってくる意見を踏まえまして、可能な限り適正な使用に支障をき たさないように対応する所存でございます。また、本件の結果につきましては、9月末 に開催予定であります薬事分科会で報告をさせていただく予定です。スケジュール等に つきましては以上でございます。 ○望月部会長 ありがとうございます。以上の件で御意見等がございますか。ありがと うございました。次に報告事項に移ります。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 参考資料6になります。「平成21年度無承認無許可医薬品等買上調査の結果 について」説明させていただきます。これは例年行っております買上調査ですが、いわ ゆる健康食品のうち強壮効果を標ぼうするものですとか、痩身効果を標ぼうするもの、 そして、違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグを対象に買い上げて検査を行うものです。  調査方法等につきまして、参加都道府県は希望があった参加都道府県ということで買 上業務を委託して買い上げまして、それが昨年の9月15日〜10月30日までです。これ らについてどのような成分が含まれるかということを分析するものです。  結果につきましては2です。健康食品等314製品、重複を除きますと255製品に関し まして、国立医薬品食品衛生研究所において分析を行った結果、強壮用健康食品につき ましては、重複を除いて134製品のうち14製品から、「シルデナフィル」、「チオキナ ピペリフィル」、「ノルホンデナフィル」、「アセチルアシッド」を検出いたしました。 「アセチルアシッド」につきましては専ら医薬品に該当するか検討中ですが、こういっ た医薬品成分を検出した状況でございます。  また痩身用健康食品につきましても重複を除き95製品。痩身用のものについては検出 されたものはなかったということです。違法ドラッグに関しましては、重複を除き26 製品のうち5製品から、「カンナビシクロヘキサノール」、「JWH-018」、これは毛色が 違いますが、併せてリドカインを検出しています。このカンナビシクロヘキサノール及 びJWH-018につきましては、昨年度指定していますが、施行が11月ですので、この買上 げ時期のものにつきましては、これはまだ指定薬物になる前に使われていたもので、こ れが即薬事法違反になるというわけではありません。  対応状況につきましては、医薬品成分が検出された製品につきましては、無承認無許 可医薬品に該当することから、都道府県におきまして、当該製品を取扱う業者等に対し、 流通・販売状況の確認、あるいは回収等の必要な措置を行っているところです。昨年度 の調査につきましては以上でございます。 ○望月部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの報告について、御意見等 がございますか。教えてください、「アセチルアシッド」とは何ですか。 ○□□委員 名前がそう付いてしまっているのでどうしようもないのですが、実はシル デナフィルの類縁体で、合成中間体に非常に近いものです。シルデナフィルの右半分が 全部あるものです。そういう名前で、もう試薬で出てしまっているのです。過去に一検 体だけシンガポールで検出例がございまして、日本でもこれが出たということです。 ○望月部会長 ありがとうございます、ほかにはどなたかございますか。 ○□□委員 今のカンナビシクロヘキサノールやJWH-018等、この製品が出たときにま だ指定薬物化はされていないのですね。ただ、意図を考えるとこれは薬事法違反という 形が、薬事法なら、普通の専ら医薬品ということだけではなくて、その目的性を考えて 薬事法違反という形がとれる可能性もあるのかと思ったり私はするのですが、そのよう なことはないのですか。指定薬物としての規制ではない。 ○事務局 販売されている様態等から、人の身体機能への影響ですね、それを目的とす るということが判断できる場合については、これは無承認・無許可薬品ということにな りますので、薬事法違反となりますが、それが難しいものにつきましては、指定薬物に 指定されないと薬事法でひっかけるというのは、なかなか難しいかという状況でござい ます。  ○監視指導・麻薬対策課長 成分自体はこれからもうすぐに指定するのですが、そのも の自体が経口で摂取する形態をとっていなくて、しかも何も言っていないと、薬事法上 なかなか取り締まることができないという状況があります。私どもとしては、これにつ いてはどういう形で対応していくかというのは少し考えていかなければいけないと思っ ています。つまり、指定のプロセスの中で一定期間パブリックコメントを求めるのです が、その段階で、逆に「このような乱用されるようなものがありますよ」と、改めて周 知するような形になってしまうものですから、どのようにするか。いずれにせよ今回了 解いただいた段階で、各都道府県とか税関にはここに該当するようなものの写真も含め て、「こういうものは一定期間後に指定薬物になりますよ」と周知を図る形にしていま すので、不穏な動きがあればしっかり把握できるような形になっています。 ○□□委員 指定薬物と専ら医薬品をコンビネーションでできないのかと思うのです ね。専ら医薬品への指定はすぐにやってしまって、そこで一応流通を止めておいて、パ ブリックコメントをとり終わったら指定薬物にする。何かそういうシステムがあれば、 とりあえず専ら医薬品で取り締れるように。この様な化合物は、考え方から言えば専ら 医薬品の考え方にはぴったりはまるものですね。ですから、単純に専ら医薬品としての 規制はわりと早くできそうな気がするのです。ただ、こういうものというのは、どこで 公表するかというタイミングとの闘いなのですが、本当はこういう部会が開かれるよう なタイミングの時には専ら医薬品、この1日後とか2日後ぐらいに専ら医薬品になって いて、それからずれて指定薬物になるというか、そういう手続をうまく考えていただけ ればいいかと思います。  ○監視指導・麻薬対策課長 □□委員の御意見は前に聞いておりまして、中で検討して いるのですが、まだ結論は出ていません。 ○望月部会長 引続き検討をお願いします。ほかにはどなたか御意見がございますか。 よろしいですか。その他として何か事務局からございますか。 ○事務局 結構でございます。 ○望月部会長 本日の議題は以上です。事務局から連絡事項がありましたらお願いいた します。 ○事務局 本日は御審議、大変ありがとうございました。次回の指定薬物部会の開催に 関しましては、今のところは未定でございますが、事務局といたしましては年度内にで きればもう1回開催をお願いしたいと思っています。まだ日程等につきましては未定で すが、後ほど時期がきましたら調整をさせていただきますので、その節はよろしくお願 いいたします。以上でございます。 ○望月部会長 本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして平成22年度第 1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうござ いました。 ○□□委員 直接議題とは関係ないのですが、私、広島で精神科の病院に勤めているの ですが、昨日当直をやっていまして、たまたま製品として制汗剤の「□□□」を本当に シンナーと同じような形で吸引して、明らかに幻視・幻聴が出る。それで毎たび経験す る、という事例を経験しました。かなりいろいろな物質が入っているみたいなので、そ の何が幻視・幻聴の原因物質なのか。LPGとかそういうのが入っているから、そうい うブタンガス関係のもので幻覚が出るのかという感じもしているのですが、その辺お調 べいただければというお願いなのです。 ○望月部会長 ほかの先生、情報がございますか。制汗剤などで幻覚が出ることに関し てです。 ○□□委員 臨床的には、それこそかつてシンナー遊びと言われたものが有機溶剤の乱 用ですが、検挙者数だけを見れば第二次覚せい剤乱用期は、むしろ有機溶剤検挙者の方 が圧倒的に多かったのですね。これが第三次覚せい剤乱用期になってからは本当に減り まして、実際にシンナー遊びをやっている人たちを見ることが、ほとんど不可能なほど 減ったのは事実です。けれどもその陰でガスパン遊びとか、ガスパンと言われる言い方 で、そういうガスを吸うのが決して多いとは言えませんが、根強くあるのは事実です。 そういうものの当初から「□□□」は使われていた。ただし、これが臨床的にもきちん とそれに目を向けてどういう症状が出て、あるいはどういう害があるか、医学的にトー タルに調べるとかいう研究が実は一切ないのです。同時にそういうものを調べるだけの 母集団が揃うことがまずないのです。せいぜい1例報告があるとか、それがパラパラ出 てきているとか、その程度なのです。これは非常に難しい。ただ、どこかで何らかのデ ータをまとめられるのであれば、是非必要な作業ではあると思うのです。 ○□□委員 確実に幻視・幻聴が出るのですね。 ○□□委員 だからそこで逆にその人の個人的な脆弱性の下でのものなのか、いわゆる 「□□□」ないしはブタンガスとの関連性となると、また別だとか、いろいろな考えが あると思うのです。ですから、それだけでは何とも言えないと思いますが、その辺のい わゆるガスパンの問題は、どこかできちんとある程度、まとめる必要があるかと思いま す。 ○□□委員 LPGだけの問題、まだほかにまだそういう幻覚を出すような物質が入っ ているのかも分からない、そのような気がしますのでお調べいただければと思います。 ○事務局 例えばシンナーでありますとか、今先生のお話を聞いていまして、中に入っ ている基剤によるのかという気もするのですが、これどちらかと言いますと、縦割りの 話で申し訳ないのですが、こういう案件は内部的には、例えば毒物・劇物などの範疇に 入ってきまして、そちらの方である程度、情報とかももってきているところもあります ので、いただいた情報はそちらの方にも提供させていただいて、こちらでも今後留意さ せていただければというふうにも考えております。 ○望月部会長 ありがとうございました。ほかには何かコメントがございますか、なけ れば以上で終わります。ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 江野(内線2779)