10/6/23 第64回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成22年6月23日(水)9:30〜10:42 2 場   所   グランドアーク半蔵門 華の間(3階)  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 牛丸聡委員 森田朗委員 関原健夫委員          小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員           北村光一委員           安達秀樹委員 邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 松谷高顕専門委員          <事務局>          外口保険局長 佐藤医療課長 木下経済課長            迫井医療課企画官 磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○平成22年度薬価制度改革の概要及び次期薬価制度改革に向けた           検討事項等について          ○いわゆる2010年問題について ○遠藤部会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第64回中央社会保険医療協議会薬 価専門部会を開催したいと思います。  まず、委員の出欠状況でございますが、全員の方がおみえになっておられます。  なお、審議官が公務のため欠席される旨の報告を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、平成22年度薬価改定後の最初の薬価専門部会ということになりますけれども、 初めに、当部会の部会長についてお諮りしたいと思います。  新しい委員の方もいらっしゃいますので、これまでの経緯を簡単に申し上げますと、昨 年の3月に当部会の部会長であられた前田委員が退任されました。ちょうど薬価部会のほ うでは薬価維持特例という大きな制度改革の議論を始めたばかりという時期でもありまし たので、その後の薬価部会の部会長は、前田委員の前任として私が3年ほど薬価部会長を させていただきましたので、経験があるほうがいいだろうということで暫定的に薬価部会 の部会長に御推挙いただきまして私がやらせていただいていたということです。これはあ くまでも暫定的という位置付けでありまして、薬価改定も終わりましたことから、具体的 な議題の審議の前に改めて部会長の選挙を行いたいと思いますけれども、いかがでござい ましょうか。よろしいでしょうか。 〔「異議なし」との声〕 ○遠藤部会長  はい、ありがとうございます。  それでは、最初に部会長の選挙を行いたいと思います。  まず、ルールでございますけれども、社会保険医療協議会令第1条第6項の規定により まして、「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該 部会に属する委員が選挙する」ということになっております。部会長につきましては、例 えば総会の例によれば、1号側及び2号側の御意見を伺った上で、御賛同があれば決めて いくということとなっておりますので、薬価専門部会の部会長につきましてもこのような 方法をとりたいと考えておりますけれども、そのような方法でよろしいでしょうか。 〔「異議なし」との声〕 ○遠藤部会長  ありがとうございます。そのように進めさせていただきます。  それでは、いかがでございましょう、まず2号側の委員から御推薦をいただきたいと思 いますが、どなたかどうぞ。  三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  私、森田朗委員を推薦したいと思います。森田委員は、公共政策が御専門で、医療政策 や医薬品にも見識が高いというふうに理解しておりますので、部会長に森田委員を御推薦 します。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは、1号側、いかがでしょうか。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  私どもも三浦委員の御推薦になりました森田委員を推薦したいというふうに思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  そういたしますと、2号側、1号側ともに森田委員を御推薦いただきましたということ でありまして、森田委員に部会長をお願いしたいと思いますけれども、よろしゅうござい ますか。 〔拍  手〕 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは、改めまして、森田委員に部会長をお願いしたいと思います。森田新部会長よ り一言お願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○森田新部会長  森田でございます。ただいま大役に選任されまして、大変緊張しておりますが、精いっ ぱいやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今私の専門につきまして三浦委員のほうから公共政策というお話がございました。医療 政策その他の社会保障関係の政策についても関心を持っておりますけれども、私自身の専 門はまさに公共政策とか行政でございまして、医学とか薬学ではございません。そちらの ほうの知識については十分なものを持ち合わせておりません。しかしながら、この場で一 所懸命勉強させていただきたいと思っております。  ただ、私自身は研究者でございますので、筋の通らない議論というのは嫌いでございま す。ここでも論理的に筋の通った議論をしていきたいと思っておりますので、どうぞ御協 力のほどよろしくお願い申し上げます。 ○遠藤前部会長  どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。  それでは、早速、今後の議事を森田新部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○森田部会長  それでは、早速でございますけれども、平成22年度薬価制度改革の概要及び次期薬価 制度改革に向けた検討事項について、これを議題として取り上げたいと思います。  本日は、平成22年度改定後の最初の部会でございますので、おさらいの意味も込めま して、まず事務局から平成22年度薬価制度改革の概要として、現行の薬価算定基準や新 薬創出・適応外薬解消等促進加算の適用状況などについて御説明いただきたいと思います。  その後で、次期薬価制度改革に向けて、現在までに検討を行うことが提案されている事 項について事務局から御説明いただき、今後当部会で検討すべき事項や検討の進め方等に ついて議論したいと思います。  それでは、まず事務局から一連の資料の御説明をお願いいたします。よろしくお願いい たします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。私のほうから資料の説明をさせていただきたいと思います。  まず、中医協薬−1の資料をごらんいただきたいと思います。1枚目でございますけれ ども、現行の薬価基準制度ということでございますが、その中で赤字で書かさせていただ いているところが今回の22年度の薬価制度改革で導入や修正をした箇所でございます。 内容傍題にもございますけれども、簡潔に御説明させていただきたいと思います。  まず1枚おめくりいただきました2ページでございますが。現行薬価基準制度の概要と いうことで、そもそもどういう位置付けのものかということをここに記載をさせていただ いております。なお、既収載品については市場実勢価格を調査して定期的に改定すると。  それのやり方につきまして3ページでございますけれども、既収載品については薬価調 査で実際の販売価格を調べまして、それのデータからその加重平均値を求めて、それに調 整幅2%加えて薬価にするという形でございます。  4ページをお開きいただきたいと思います。同じく既収載医薬品の薬価算定方式という ことでございますが。先ほどの市場実勢価で決めるということは原則でございますけれど も、そのほかに幾つかのルールがございます。1番目といたしまして、いわゆる後発品が 薬価収載された場合の先発品の薬価の引下げ、追加の引下げということでございまして、 特例引下げというふうに呼ばさせていただいております。4〜6%の引き下げということ でございます。  それから、2番目が今回改革で入れました、小児・希少疾病に係る効能、効果が追加さ れた場合の改定の加算のルールということでございます。  それから、いつも薬価専門部会でいろいろ御議論ありますけれども、薬価の再算定のル ールということで4つほどございまして、このようなルールがあるということでございま す。  それから4番目といたしまして、最低薬価という制度で、算定値が最低薬価を下回る場 合にはそれを最低薬価で決めるということでございます。  それから、5ページでございますけれども、今回の薬価制度改革で一番大きな事項とい たしまして、新薬創出・適応外薬解消等促進加算というものでございます。ここに書いて ございますような革新的な新薬の創出や適応外薬の開発等を目的といたしまして、一定の 要件を満たす新薬につきまして、算定値に加算をいたしまして薬価引下げを緩和するもの でございます。  加算要件といたしましては2つございまして、後発品が上市されていない新薬、また市 場実勢価格の薬価に対する乖離率が全既収載品の加重平均乖離率を超えないというもので ございます。  今回の事例からいきますと、5.1%を上限で、ただし現行薬価を超えないと。  それからまた、適応外薬等の開発の要請を実際しておるわけでございますけれども、要 請した企業にあってはその開発に取り組むということが条件に加わっているわけでござい ます。  また、後発品が上市された後は薬価からそれまでの加算分を一括して引き下げると。  また、これについては平成22年度試行的に導入したということでございます。  6ページをごらんいただきまして、新医薬品の薬価の算定方式ということで、全体をま とめた表でございますが。類似薬のあるなしに分かれまして、類似薬効比較方式または原 価計算方式で算定をすると。その上で加算なり外国平均価格調整、規格間調整などをして 決めていくというフローチャートでございます。  7ページでございますけれども、新薬の薬価算定方式についての類似薬がある場合につ きましては、類似している薬の1日薬価に合わせて算定をしていくというものでございま す。  8ページでございますけれども、加算につきましてはいわゆる画期性加算、有用性加算 と、いわゆるその薬の有用性につきまして評価をする加算のほうと、それから市場性に着 目した加算と2つの部分があるということでございます。  9ページでございますけれども、新規性に乏しい新薬。過去を見ますと非常に類似の新 薬がたくさん出た時期もございまして、そういった場合について言うなれば厳しい算定ル ールがあるものでございます。  続きまして10ページでございますけれども、新医薬品の薬価算定方式ということで、 類似薬がない場合につきましては原価計算方式ということで、その医薬品をつくるために かかった費用を積み上げていきまして価格を設定するというものでございます。例を挙げ ますと、原材料費や労務費、製造経費、それから製造ないし輸入の原価を決めまして、販 売費や研究費、それから営業利益、流通経費、それに消費税を加えまして算定薬価を設定 するというものでございます。薬価については消費税を加えた額になってございます。そ の中で、革新性の程度に応じまして営業利益率にめりはりをつけるというルールができて いるところでございます。  11ページでございますけれども、外国平均価格調整のルールでございます。外国のリ ストプライスと比較をいたしまして、大きく異なる場合に調整をするというルールでござ います。  それから12ページでございますけれども、その外国平均価格調整についてはこれまで も薬価部会でいろいろ御議論がありまして、それについての特例のルールを設けさせてい ただいております。外国価格2カ国以上ある場合の5倍を上回る場合のルールですとか、 今回の改正で入れました外国価格が3カ国以上ありまして、そのうちの最高が相加平均の 2倍を上回る場合については2倍とめにするというものでございます。また、以下の場合 は引き上げ調整を行わないと、こういったルールも入れさせていただいているところでご ざいます。  それから13ページでございますけれども、規格間調整ということで、含量が違う場合 についてどのように算定するかのルールでございます。  それから、14ページでございますけれども、キット製品についての算定ルールでござ いまして、内容の薬剤費を算定いたしまして、キット製品の特徴部分の原材料費を加えて 算定をすると。また、有用性の高いキットについては加算をするというルールでございま す。  続きまして15ページでございますけれども、内用配合剤について特例の算定ルールで ございます。今回の22年度薬価制度改革で導入したルールでございまして、全ての配合 成分が自社品の場合については、配合成分の自社品の薬価の合計の0.8倍の価格を算定 する価格を基本とするというものでございます。どういうものが該当するか、このiから ivに該当するものがそのルールを適用するというものでございます。  また、その薬価については各配合成分の既収載薬価を下回らないというルールと、また 自社品と他社品の成分が混在する場合については、ここに(1)、(2)とございますけれども、 (1)、(2)で算定される薬価からどちらかいずれか低いほうを採用するというものでございま す。また、抗HIV薬については、上記ルールの対象外ということでございます。  続きまして16ページでございますけれども、これも新医薬品の算定の特例のルールで ございますけれども、どれも今回導入させていただいたルールでございます。用法・用量 を変更した新薬についての算定のルール。それから、これも大分御議論をいただきました けれども、トレリーフ錠の算定に端を発しまして御議論いただきました、成人対象の同一 成分・同一投与形態で効能・効果が異なる既収載品がある場合の新薬の算定のルール。そ れから、バイオ製品、タンパク質製剤においての後続品の薬価の算定ルールというもので ございます。  17ページでございますけれども、今度は後発医薬品の薬価算定方式でございますが。 初めてその成分での後発品が出る場合については0.7掛けにすると。また、既に収載さ れている場合にはその最低の価格の後発品と同価格とするというものでございます。  最後、18ページでございますけれども、その新医薬品の場合の薬価算定のプロセスと いうことでございまして、薬事承認から薬価の収載の申請がありまして、薬価算定組織に おける議論をするということでございまして、1回目で不服がある場合については不服の 意見を聞いて検討を決めるということでございまして、それにつきましては中医協総会に その算定案の報告をさせていただきまして、了承されれば薬価の収載をするということで。 基本的には年4回薬価の収載、新薬の収載をするというものでございます。  また、薬事承認から薬価収載までの標準的事務処理期間といたしましては、原則60日 以内、遅くとも90日以内ということで作業を進めさせていただいているところでござい ます。  続きまして、薬−2の資料をごらんいただきたいと思います。薬価制度改革の関連の資 料ということで、データ編でございますけれども、1枚おめくりいただきまして2ページ でございますけれども、これまでの薬価改定の経緯を今年の4月の改定の分も入れ込みま してつくらせていただいております。  それから、3ページでございますけれども、薬剤費及び推定乖離率の年次推移というも のでございまして、特に国民医療費が平成19年度まで発表されておりますけれども、今 回平成19年度の国民医療費に対する薬剤費、薬剤費比率をここに追加でお出しさせてい ただいてございます。  最後、4ページでございますけれども、薬価基準収載品目の分類別の品目数及び市場シ ェアということで、これまでも薬価の改定の際の議論で、後発医薬品についてはどの程度 数量シェアがいったのか、金額シェアがどうだったか、これは御説明をさせていただいた ところでございますけれども、そのほかの先発医薬品で後発医薬品がないもの、後発医薬 品が既に出ているもの、それからその他の非常に古い製品ですとか漢方ですとか生薬、こ ういったものがどの程度あるのかということで全体をおまとめしたものでございまして、 昨年の9月の薬価調査から推計をしたものでございます。  続きまして、薬−3でございます。特に今回の改正で大きなポイントといたしまして、 新薬創出・適応外薬解消等促進加算でございますけれども、どのような状況であったかと いうことでここにおまとめさせていただいております。加算要件を満たした成分・品目数 がここに書いてございますように337成分、624品目ございました。加算率につきま しては0%〜5.1%でございましたけれども、加重平均で4.9%。それから、この6 24品目のうち完全に薬価がその前の薬価と同じであったというものの品目の割合は48. 6%。それから、後発品のない先発品全体に占める加算対象の品目の割合が33%と。品 目リスト、企業リストはその後にお付けをさせていただいております。  それから、その下にございます、今回この加算を導入する際に、後発品のある先発品の 追加の引下げ、2.2%追加の引下げもやらせていただいておりますけれども、それにつ いての状況が513成分、1,472品目について今回その2.2%の追加の引下げをや らさせていただいているところでございます。  2ページ目以降でございますが、先ほど申し上げた新薬創出等促進、その加算について の全品目のリストをお付けさせていただいておりまして、2ページから見ていただきます と、全部で19ページまでその品目のリストをお付けさせていただいております。  20ページでございますけれども、それを企業別に見た場合に品目を5つ以上持つ企業 についてどのような状況かをまとめさせていただいております。  それから、最後の資料でございますけれども、中医協薬−4の資料でございますけれど も、次期薬価制度改革に向けまして、これまで総会なり薬価専門部会なりでこういうこと を議論すべきじではないかという御意見があったものについてリストアップをさせていた だいております。  1番目として、先発品より高い後発品の取扱いについて。  また、後発品の収載品目数と薬価の大幅なばらつきについて。  それから、内用配合剤について、配合されている単剤の成分に後発品が出て特例引下げ を受けるようなケースについて、内用配合剤のほうの取扱いをどうするかということ。  それから、原価計算方式で、例えば治験の費用ですとか市販後の費用ですとか、どんな ふうに算定をしているのか、それのおさらいをするということで、その取扱いについて。  またそれから、新薬の処方日数については、最初1年間14日の処方制限がございます けれども、これについてもどのようにするのかということがありましたので、それも入れ させていただいております。  それから、その他、平成22年度薬価制度改革の骨子、これについては参考資料でもお 付けをしておりますので御参照いただきたいと思います。それを抜粋いたしました中身と いたしましては、この新薬創出・適応外薬解消等促進加算の実施方法について、ここに書 いてございますようないわゆる試行的導入で、その後の財政影響や適応外薬の開発・上市 状況、後発医薬品の使用状況などを検証した上で、引き続き実施するかどうか判断すると いうことがこれは決まっておりますので、これについても記載をさせていただいておりま す。  私の説明は以上でございます。 ○森田部会長  どうもありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問御意見等がございましたらお願いします。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  幾つかございますが、まず確認させていただきたいのは、薬−1の10ページの新医薬 品の薬価算定方式(3)ですね。この原価方式のときのこれまでの御説明では原材料価格のみ ならず、市販前及び市販後の有効性調査に係るいわゆる治験の費用が相当高いという御説 明をしばしば受けてきたと思います。この表ですと、販売前及び販売後の治験というのは どこに入る、(5)に入るのでしょうか。 ○森田部会長  一問一答でお願いします。では、事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今安達委員の御質問の点でございますが、おっしゃるとおりで、(5)の研究費等の中に治 験の費用、それから基礎の研究費用、それから市販後調査の費用、こういったものがこの (5)の研究等の中に入ってくるものでございます。 ○森田部会長  よろしいでしょうか。 ○安達委員  ありがとうございます。  あと2つありますが、1つ、薬−3ですね、資料の。一番最後に加算を受けた企業リス トが掲示されました。成分数と品目数があります。ですが、品目数といっても国内で使わ れる量はものすごく差があります。薬価維持特例をつくった理由の1つは、外国の企業が なかなか参入してくれないということがあった。ですけれども、同時に国内の企業にも新 しい開発のインセンティブを与えたいということがあった。そういうことからすると、こ の指定を受けた品目のおよその国内使用量というのは分かるんじゃないかと思う。この受 けられた結果、各社の財政影響がどのぐらい大まかにいってあるのかということは、ある 程度は目安を出していただかないと、一部には外国企業にかなり優遇的だという御批判も 出てきている現状だろうと思いますので、そういうことは可能なのでしょうか。 ○森田部会長  事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  この新薬創出加算についての財政影響でございますけれども、トータルでは医療費ベー ス約700億円でございますけれども。各社別に割ったときにどの程度かということで、 それについては現時点ではまだ集計しておりませんけれども、集計可能かと思いますので、 その資料については事務局で精査をして、お出しできるようにしたいと思います。 ○森田部会長  安達委員、よろしいでしょうか。 ○安達委員  ありがとうございます。  最後でございますが、一番最後の紙にある、まだ案となっておりますけれども、薬−4、 現在まで検討を行うことが提案されている事項というのがありますが。確かにこういう提 案があった、私も一部はさせていただいた記憶は十分ございますが。これはこの部分は検 討する予定であるというふうに理解してよろしいのですか。 ○森田部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  これまで議論された事項をリストアップしたものでございますので、今日こういった事 項で御確認をいただきまして、今日確定をしていただければ、順次こういった内容を検討 するということでございます。この場で御確認をいただければというふうに思っておりま す。 ○森田部会長  安達委員、いかがでしょうか。 ○安達委員  ちょっとよく分からなかったのですが。では、ここでこの提案した事項を検討しましょ うということを決めなきゃいけないということですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  そういうふうにお願いできればというふうに思っております。 ○安達委員  では、私の御提案としては、ぜひこれは検討すべきなのでやりたいな、やっていただき たいと思いますけれども、各委員の皆様方の御意見が一致すればということでございます。 ○森田部会長  三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  私もぜひ検討していただきたいというふうに考えます。検討するに当たって、どのぐら い時間をかけてこれの内容を議論する、そういうタイムスケジュールといいますか、1年 半後ぐらいまでには薬価の算定ルールを決めなきゃならないわけですけれども、それに伴 いましていろいろ議論しなければならないと思います。これ1から5まで今回ずっと議論 してきた中身がここに書いてあると思いますけれども、これ1つ1つ今申し上げませんけ れども、これをきちんと、今安達委員がおっしゃったとおり、いつくらいまでにどういう タイムスケジュールで具体的に検討するかという、今すぐそれをお答えしていただくとい うのは難しいかもしれませんけれども、それについてまずお聞きしたいと思います。 ○森田部会長  検討事項として確認することは賛成であるが、具体的にどういう形で進めるかという御 意見だったと思いますけれども。この検討事項について確認するということにつきまして、 ほかの委員の方御意見何かございますか。  白川委員、お願いいたします。 ○白川委員  今の御発言については、ぜひとも検討すべきだというふうに思っておりますので、今日 は無理かと思いますが、三浦委員がおっしゃるとおり、どういう順番でいつぐらいまでに やるかというのをぜひ事務局のほうで整理をしていただければというふうにお願いしたい と思います。  それから、安達先生の御発言の中で、新薬創出加算の件でどれぐらいの規模になるのか という金額面の御指摘がありまして、私も実は質問したかった点だったのですけれども、 約700億という御回答がありましたけれども、それに合わせて、今度は未承認薬とか適 応外薬の開発にどれぐらい資金が回るのかということも私ども非常に関心がございますの で、今現在ではもちろん無理だと思いますけれども、ぜひその辺と合わせて数字をフォロ ーしていただきたいということをお願いしたいと思います。   ○森田部会長  ありがとうございました。  この今の検討事項について、これを確認してこれから検討を進めていくということにつ いて、特に御反対の御意見はございますか。  小林委員。 ○小林(剛)委員  これはぜひ検討いただきたいと思います。  それから、今の薬−4の今後検討する事項ということで挙がっております1番目の「先 発品より高い後発品の取扱いについて」の関連についてであります。一般的に、後発品は 先発品より安価であるということで私ども保険者としても加入者の皆さんの負担軽減にな るということから、例えば後発医薬品を使った場合どのくらい安くなるのか、負担軽減に なるのかということを通知するサービスを実施しております。それから、今回の一連の後 発品の使用促進策の診療報酬上の取扱いについては大変高く評価しております。  ただ、ここでは先発品より高い後発品とありますが、先発品と同じ額の後発品があると 聞いておりまして、それは事実なのかどうか。その実態について教えていただきたいと思 います。  それから、もしそういった薬が調剤されますと、後発医薬品調剤体制加算が加わります と逆に高くなってしまい、むしろ我々が負担軽減になると考えておりました意図と反する ものになってしまうので、そういったものについて加算をするというのは適切ではないの ではないかということで、これについても今回の検討事項の中で議論、整理していただけ たらと思います。  実態がどうかということも含めて、どんな状況かということをあわせてお聞きしたいと 思います。  以上です。 ○森田部会長  ありがとうございました。  ただいまのところ、この検討事項について、確認するということについては反対の意見 はないようですので、それはよろしいですね。  そうしたら、それに関連しまして、あとスケジュールをどうやって進めていくのかとい うことと、開発による財政影響700億円、これが開発にどのように今後使われるのか。 そして、今の資料4の1の先発品より高い後発品の扱いにつきまして、またその加算等に つきまして情報提供をしてもらいたいという御要望でしたけれども。これはそういうこと で事務局にお願いするということでよろしいですか。 ○小林(剛)委員  高い後発品ではなくて、先発品と同額の後発品があるのではないかということで、これ についても議論していただきたいということでございます。 ○森田部会長  失礼いたしました。わかりました。その同額のものも含めて情報を出していただくとい うことでお願いします。  それにつきましては、事務局のほうに調査をお願いするということで、これはまた改め て御議論するということでよろしいでしょうか。  それでは、この件につきまして、他に御意見は。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  どこで申し上げようかなと思ったのですけれども、この後長野専門委員からのいわゆる 解説をちょうだいしますので、その前に薬価関連のその他としてちょっと発言をさせてい ただきたいことが1つございます。  個別の案件で申しわけないのですけれども、要は出ているお薬の現在の規格と使用法の 設定との乖離というものが幾つかあると、これを改善したほうがいいだろうという指摘と 要望でございます。  具体的なものを1つ申し上げます。喘息に使う注射薬でゾレアというのがございます。 1バイアル150mg含有、この1規格だけでございます。これから後ちょっと数字を申し 上げますので、また白川委員に紙を出せよと言われるかもしれませんが、そんなに複雑な 話ではないので、ちょっと時間がなかったもので口頭で申し上げます。申しわけございま せん。  150mg入り1バイアル、それだけ1規格でございます。ところが、この喘息にこのお 薬を使うときの使用法がきちっと決めてございます。指標にするのは体重とその人のアレ ルギー、つまり気管支喘息を起こすアレルギー反応の強さを血液の中の免疫グロブリンに IGを測って、その量が多いほどアレルギー反応が強いと、一般的には医学的理解はそう でございます。その量の多少と体重とで換算をして、使用量が決められている薬剤でござ います。  決められている使用量が5段階あります。そのうちの2段階はこういうケースは150 mg使用、こういうケースは300mg使用ですから、1バイアル、2バイアル使えばそれで よろしいわけです。  残りの3段階は、こういう場合は75mg使用、半分なのですね。こういう場合は225 mg使用というと1本半なのです。もう1つありまして、こういう場合は375mg使用とい うのがあります。これは2本半です。つまり、0.5本、1.5本、2.5本という使用 の仕方が明示されている。にもかかわらず、150mgバイアル1本しか規格がない。  どうするかということで、これは保険請求上は医療機関としてはふたを開けて、例えば 半分残った分、その分それを保存できませんから廃棄せざるを得ない。残量廃棄は認めら れておりまして、そうすると、今の後から申し上げた3つの場合はいつでも0.5本分が 請求されるし、患者さんもお支払いになる。保険者もお支払いになるのですけれども、使 ってないものだと。じゃあ、医療機関は0.5本、1.5本、2.5本と請求すればいい かというと、そうすれば足が出るんです。なぜかといいますと、この薬剤は1本7万円で ございます。  つまり、それぞれの今申し上げた3つの条件だと、それに応じて3万5,000円ずつ が治療にも使われず余分な支払いを保険者の皆さん、それから患者さんにお願いしている ということになります。  これはやはり改善していただきたいと思う。これだけ特例もつくり、お薬の開発もお願 いをし、適正な医療に係る薬務上の取扱いをしようとしているときに、最初から0.5本 余るということが想定されているのにもかかわらず、150mg規格しかないということは 大変変な取決めだったと私は思います。75mgバイアルが1本あればそれで済む話なので す。75mgバイアルは多分この製品には規格として、これ外国輸入ですけれども、あった んじゃないかと思う、今もあるんじゃないかと思う。早急に是正をしていただいて、こう いう無駄はぜひ起こらないようにお願いをしたい。  過去の大腸がんのアイソボリンなんか何十本と我々アンプルを切らなきゃいけなかった んですが、そんなことじゃなくて375mgといったって75mgバイアルで5本切ればいい だけの話です。150mgバイアルがあったって3本は切らなきゃならない。手間でも何で もないわけでございますから、我々は決してそんな文句を申し上げることはないわけで。 高額なものでありますから、ぜひお願いをしたい。  ほかにもございますけれども、そういうことも含めて全体像としてももう少し慎重にこ ういうものの規格と使用条件との検討、出していただくべき望ましい規格ということにつ いても、この部会は今後も新しいものを決めるときにはぜひ考慮をしなければならない問 題ではないかと思いますので、現状として是正をしていただきたいというお願いと、今後 も注意をすべきだろうということで申し上げます。  以上でございます。 ○森田部会長  御指摘ありがとうございました。  これにつきまして、事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の安達委員の御指摘、ごもっともだというふうに思っておりまして、今のゾレアのケ ースから申し上げますと、75mgが必要であろうということについては当該メーカーのほ うにもそれについて要請をしていきたいというふうに思います。また、メーカーのほうか ら事前にお聞きをしているところによりますと、世界的にはまだ75mgを実質的には供給 していないということでございますけれども、75mgを供給できるように今開発もしてい るというふうにもお聞きもしておりますので、それについて早急に対応できるように再度 お願いをしていきたいというふうに思っております。  また、一般論といたしまして、用法・用量に合わせた必要な規格というものをそろえる ということについては当然大事なことでございますし、そういったことについてはこれま でも私どももしてきているつもりでございますけれども、さらにそういう点については各 企業にそのような必要な規格をきちっとそろえるようにということをお願いしていきたい というふうに思います。 ○森田部会長  重要な御指摘だと思いますのでよろしくお願いいたします。  安達委員、よろしゅうございますか。 ○安達委員  はい。 ○森田部会長  ほかに、どうぞ、牛丸委員。 ○牛丸委員  せっかく最初の薬−1で薬価基準の復習といいますか説明していただいたので、もう既 に前の何回かのところで御説明があったのかもしれませんが、いい機会ですからもう一度 確認させていただきます。  外国価格との対応といいますか比較を行いますので、当然為替レートの問題があると思 います。薬価の場合には為替レート、いつの時点のを使っているのか。これは既に前にど なたかがお聞きになってお答えいただいていたと思いますが、もう一度ここで確認させて いただきます。  それから、医療機器の場合にも同じような問題が起こると思いますが、私の記憶では薬 価とは違った時点のを使っていたのではないでしょうか。そのことの確認と、再度それが どうして違っているのか、その点を御説明お願いいたします。 ○森田部会長  では、事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の牛丸委員の御質問でございますが、参考に今の薬−1の資料の18ページをごらん いただきたいと思います。新医薬品の薬価算定プロセスということでございます。その薬 事承認がございまして、薬価収載の申請というのがございます。これで薬価収載の希望の 資料を当該企業が私どものほうに出してまいります。現行のルールでは、この収載に希望 を出したときからその前の1年間の平均の為替レートを、アメリカ、イギリス、ドイツ、 フランスの為替レートの1年間の平均を使って外国価を計算いたしまして、それを中医協 の資料にもお付けをしているところでございます。  医療機器につきましても基本的には同じ考え方でやっておりまして、この申請の時点か らさかのぼって1年間の平均の為替レートでやっているということでございます。ただ、 申請の希望書の出す時期が薬価の場合は定期的に年4回となってございますけれども、そ の若干のずれがそのように見えるということかというふうに思っております。 ○森田部会長  よろしいでしょうか。  ほかに、この件でいかがでございますか。  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  私も基本的なことの確認なのですけれども、薬−2の3ページの薬剤費なのですけれど も、非常に基本的な話なのですが、この薬剤費を推計しているのはレセプトから推計して いるのですか。それともあるいは生産動態といいましょうか、要するに供給側から推計し ているのかということで。  その質問の趣旨は、入院医療の包括化が進んでおりますので、その包括化されたものが レセプトの場合はどういうふうにここに反映するか実際は分からないわけでありますので。 その辺がどういうふうにあらわれているのかということで質問させていただきました。 ○森田部会長  事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の遠藤委員の御質問の点でございますが、薬−2の資料の3ページの薬剤比率の出し 方ということでございます。これについては基本的には社会医療診療行為別調査を使って おりまして、そこから薬剤比率を推計させていただいております。そのため、基本的には レセプトベースでやっているということでございます。  なお、今の入院の包括されている薬剤費については、含まれておりません。 ○遠藤委員  含まれていないということは、包括で使われた場合には薬剤費の中に入っていないとい うことになるわけですね。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  19年7.4兆円の中には入院の包括の使われた薬剤の分については含まれていないと いうことです。 ○遠藤委員  そういう意味ですね。わかりました。そうすると、包括が進んでいくと、薬剤費の増加 があっても、その分だけは減って見えるという形になるわけですね。わかりました。あり がとうございます。 ○森田部会長  よろしいですか。  それでは、ほかにいかがでしょうか。  特に御質問等もないようでしたら、本件につきましてはこのあたりにしたいと思います。 よろしいですか。  それでは、続いて、いわゆる2010年問題について。これについて議題としたいと思 います。今年3月の中医協総会におきまして、薬価制度を議論するに当たっては、大型の 新薬の特許期間が2010年ごろから次々に切れるといういわゆる2010年問題が今後 の新薬開発に及ぼす影響等についても留意する必要があるとの意見があったところでござ います。  これに関連して、専門委員から資料が提出されていますので、御説明をお願いしたいと 思います。長野専門委員、よろしくお願いします。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。発言の機会を与えていただき、感謝申し上げます。  お手元に資料で新薬の研究開発環境と製薬業界の課題について−いわゆる2010年問 題を中心に−という表紙を付した資料を用い御説明いたします。  この2010年問題という言葉は、数年前ごろから、主にメディア、アナリストなどの 間で使われ始めましたもので、言葉といたしましては日本特有のものでありますが、問題 の中身は日本に限定されたものではございません。  表紙の次の1ページをごらんください。いわゆる2010年問題という言葉の意味する ところは、1990年代に登場いたしました大型の新薬が2010年前後を皮切りに、そ れ以降、それもかなり近い将来に次々と特許切れを迎えるというものでありまして、これ は世界共通の問題であり、欧米に進出している日本の製薬企業にとっても経営上重大な問 題となっております。  1990年代は高血圧症でありますとか高脂血症などの生活習慣病を中心に数多くの革 新的新薬が開発されました。日本の製薬企業もこの時期に世界に通用する革新的新薬を創 出し、これを足がかりといたしましてアメリカを中心とする海外への進出を果たしてまい りました。  こうした1990年代に発売しました新薬は各社の主力製品となっておりますが、医薬 品の特許は御承知のとおり、発売後10年から15年、長くても20年程度で満了となる ため、これらが2010年以降、次々と特許切れを迎え、後発品に置き換わっていくと、 世界的な販売額、収益というものが急速に減少すると、こういうことでございます。  次に、この資料の中段にカラーの絵でお示ししておりますが、新薬の研究開発環境を見 てみますと、1990年代に研究開発領域の中心となっておりました生活習慣病薬、既に 治療満足度の高い新薬が多く開発されたため、各企業は研究開発対象をがんやアルツハイ マーなど薬物治療満足度の低い、言い換えればアンメット・メディカル・ニーズの高い疾 患にシフトし、こうした難しい疾患の治療薬開発にチャレンジしている現状でございます。  このような創薬の対象疾患、領域の変化は、当然のことながら成功確率の低下もござい ますし、開発が成功したとしてもその製品の大型化というものは従来のものほど大きくな るということはなかなか難しい状況でございます。  一方で、承認審査の厳格も当然あり、研究開発コストも上昇しているという状況がござ います。  世界の製薬企業の多くはこれまで1990年代に上市した主力製品の販売によって得た 収益を原資にして、研究開発に再投資してまいりましたけれども、こうした主力製品の特 許切れに対しまして、新しい大型製品でこれを補うことが難しい状況になっている、この 姿がいわゆる2010年問題であると申せます。  資料2ページ以降では、今御説明した内容に関するデータなどをごらんいただきながら 御確認いただくように進めてまいります。資料2ページをごらんください。左側に図がご ざいますけれども、大体90年代に開発されたものがこの紺とブルーで示したもので、お およそ75%を占めてしまいます。つまり、これらのものがこれから2010年問題とい う中で特許切れを迎えるというところでございます。大体金額ベースで1,400億ドル、 十数兆円となります。  それの50品目のうちのベスト10というものを右に掲げてございます。10品目ござ いますうちで、7品目が90年代に承認をとって、2010年か10年以降早い時期に特 許切れしてしまうと、後発品に置き換わると、こういう状況でございます。  これをもう少し詳しく見たのが次の3ページでございます。この3ページ上段が、特に 赤い点線でくくってあるところ、これは米、英、独、仏、スイスになりますが、欧米企業 のオリジナル製品がおおよそこの2010年問題のときに特許切れを迎えるものでござい ます。  下段、日本の企業でございますが。日本の企業はこういう形でこれらが赤い印の中が2 010年問題でこの辺で特許切れを迎えると、こういう各社の主力製品の状況でございま す。  これがおおよそ各製品も見ての状況でございます。  次に、資料4ページをごらんください。若干補足的な御説明を足早に申し上げます。こ れはごらんのとおりのところでございますが、新薬の研究開発の特徴でございます。大体 10年から20年かかるし、確率も非常に悪いと、高くないというのが特徴でございます。  次に5ページをごらんください。これは横軸にそれぞれ病気別、疾患別に治療の満足度 をとっております。縦軸にその治療における薬剤の貢献度、満足度をとっております。つ まり、右上のほうのカラムのところは治療満足度も高いし、そこにおける薬の貢献度も高 いと。一方で、左下、黄色い網掛けのしてあるところ、これは治療の満足度も右上と比較 するとまだまだであるし、そこにおける薬の貢献度も低いといわれるところであります。  従来、1990年代ですと右上のほうに多く企業は研究開発領域の軸を置いておりまし た。それが、それ以降ここでの満足度が上がったということで、この左下のオーファンド ラッグもありますし、がんあるいはアルツハイマー様々ございます。疾患数ではこのほう が圧倒的に多いわけでございますが、このほうに研究開発領域の中心軸をシフト、変え始 めていると。もう既に変えていると、こういうところが状況でございます。  6ページをごらんください。これは日本の状況と一変しまして、補足的に米国の状況を 1枚御説明資料として加えました。これは棒グラフ、横が年次推移でございます。棒グラ フがアメリカのFDAという政府機関で年次ごとに承認している製品の新薬の数。それか ら、赤の折れ線が年次のアメリカにおける企業の開発コストでございます。なかなか開発 コストは結果的に上がっているけれども、新薬の数はふえないというような状況がアメリ カにございます。  次に、資料の7ページをごらんください。3つのおのおのの切り口で異なる研究データ を用いていますので大変見づらいかもしれません。御容赦願います。一番左側のグラフは 成功確率の低下を年次推移で示しております。真ん中のグラフは開発期間の長期化、そし て右のグラフは開発コストの増加を示しています。出所も違いますし年次のとり方も違い ますのであくまで参考でごらんいただければと思います。  8ページをごらんください。今まで申し上げましたところが2010年問題及びそれに 付随した研究開発の大まかな状況でございます。時間の関係からも、資料の不足からも不 十分なところが多々あったかと思います。御容赦いただきたいと思います。  最後に、私ども製薬業界としまして、中医協の各側委員の御理解を得まして、新薬創出 ・適応外解消等促進加算を試行的に導入していただきました。今度私どもも本加算導入の 影響、あるいは適応外薬等の開発状況等検証を進めてまいります。ぜひとも本制度の今後 の導入に向けた継続、導入の可否、さまざま御検討を継続してお願いしたいと私どもから もお願い申し上げます。  最後のページでございます。9ページをお開きください。先ほど資料薬−4で次期薬価 制度改革に向けて検討が行われる事項について御審議がございました。ここには古いもの の安定供給というものが最後の9ページにございます。製薬企業は古くても医療上必要な 医薬品についても安定供給を各社続けている状況がございます。一応のとりまとめした資 料でございますが、収載が長期にわたり医療上必須で安定供給をしている医薬品の薬価の 在り方についても、ぜひ御検討の内容に加えていただきたいと存じます。  それから、先ほど薬−4でございました検討事項の中で、新薬の処方日数制限の話が最 後にございました。これにつきましても製薬団体も関係の深いところでございますので、 ぜひ製薬団体の方々からも意見聴取の場をおつくりいただければと存じます。  以上で説明を終わります。 ○森田部会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、何か御質問御意見等ございましたらどうぞお願いいた します。  関原委員、どうぞ。 ○関原委員  どうもありがとうございました。ご説明いただいた2010年問題でですが、開発費を 含めて欧米の話が中心でしたが、肝心の日本というのはどういうことになっているのか。  それから、コストはどんどん上がっている説明でしたが、10年とか15年のタームで、 その結果日本の製薬メーカーの収益は一体どういうことになったのか、大変厳しいのかど うかというようなことも含めて、日本の2010年のことについて別の機会にお話をいた だいたらというふうに思います。 ○森田部会長  それについて。 ○長野専門委員  資料とともに御説明を申し上げたいと存じますが、ちょっとだけコメントをさせていた だきますと、いわゆる研究開発の製薬企業のビジネスモデルというのが10年ぐらい前に、 まず海外の欧米メガファーマーといわれているものから変化いたしました。10年ぐらい 前に海外はどうしたかというと、合併を着手してビジネスモデルを変えていったと。それ が大体2000年ごろでございます。さらに、2005年ぐらいになって大体合併が一様 に済んだ後、今度垂直統合というんでしょうか、いわゆるベンチャービジネスとか、ベン チャーとかあるいはベンチャーの吸収、それからベンチャーとの提携というものをさらに 進めているというのが欧米メガでございまして。日本は大体5年遅れで同じモデルを走っ ていると、こういう状況でございます。  それからもう1つは、研究開発費と利益の状況でございますが。2005年ぐらいから 合併を当社も含めてやり、そしてベンチャーとの合併あるいは提携を進めているために、 第一三共の利益ですと、以前20%ぐらいあったのが1桁台に当然突入し、前年度は買収 もありましたので赤字にもなっておりますが。それを2010年問題という局面でどう打 開していくかというのは、もうまさに経営の問題だというふうにとらえております。  以上でございます。 ○森田部会長  ありがとうございます。  関原委員、よろしゅうございますか。  北村委員、どうぞ。 ○北村委員  ちょっと教えていただきたいんですけれども、一番最後のページに、古いものの安定供 給を継続している薬剤という資料がございますけれども。これに関連して、創薬の対象疾 患が大きく領域がシフトする中で75%に及ぶこれまでの大型製品が特許が切れるという ことになりますと、これにその後はこの現在の75%の特許切れ対象薬品がこれからも長 期にわたって、この最後のページに書いてあるような古いものの安定供給を継続する薬剤 と同じような状況になるというふうに考えてよろしいのですか。 ○森田部会長  長野専門委員、お願いします。 ○長野専門委員  お答えいたします。一部はそうなってくると思いますが、一部は代替可能なほかの新薬 あるいは後発品に置き換わっていくと思います。 ○森田部会長  よろしいですか。  それでは、ほかにいかがでございましょうか。  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  どうもありがとうございました。3ページの承認状況、製品別のです、それを拝見させ ていただき個別の品目ごとに分かって大変おもしろいのですけれども。ただ、これを見ま すと、確かに欧米のほうでは2000年ぐらいまでにかなり大型商品が集中的に上市され ているということは見えますが、それでも2000年以降もそれなりの新製品の開発が行 われています。  日本の場合は、そういう意味で見ると、会社の数が少ないですから間が空いているわけ ですけれども。この2000年直前に大量に上市されているというふうには見えないとこ ろもあるわけなのですが。  お聞きしたいのは、そうであったとしてもやはりいろいろな情報では2010年問題と いうのがあってなかなか次の大型商品が出てこないとよく言われておるわけなのですけれ ども、若干この図からはそういうのが読み取れるとは言えないのですけれども、仮にそう だとした場合、基本的な問題は大型商品がしばらく出ないという状況が続くことです。そ れは原因は何なんだというふうに業界はお考えになっておられるのでしょうか。先ほどの お話ですと、産業の再編が非常にこの時期行われましたから、それが一巡したがために、 それが新薬開発に影響を及ぼして少し停滞しているのではないかと、そのように受けとめ られたのですけれども。どんなふうに考えられているのか。  つまり、これは一過性の問題なのか、構造的に続く話なのかというところの見極めも若 干必要なのでお聞きしているわけです。 ○森田部会長  長野専門委員、お願いいたします。 ○長野専門委員  専門委員としての全く個人的な考えを申し述べます。先ほど関原委員からの御質問にお 答えして、欧米のビジネスモデルの変化、そしてそれから5年遅れることの日本の企業の ビジネスモデルの変化を言いました。結果的に日本の企業は2005年ぐらいを前後に大 手ないし中心に合併を繰り返し数社行っておりました。そういう会社を見ますと、合併に よってさらに求められる売上の規模が大きくなっていると。従来の2分の1なり3分の1 の規模ですとそこそこの大きさの新薬で売上の規模の新薬で企業運営できたのですが、欧 米と戦うという姿勢を各社鮮明に出しておりますので、合併もした、あるいはベンチャー も吸収している、その中での必要な規模の製品がなかなか出てきていないと。従来型の規 模はあるんですけれども、そこまでいかないというのが今の国内企業の苦しみであります。  したがって、さまざまなビジネスモデルをさらに広げて、新薬プラスワクチンとかある いは後発品とかそういったものも企業経営で考える企業もあるし、あくまで新薬でいいも のをつくっていくというビジネスモデルのメーカーも出てきているのが直近のところだと 思います。 ○森田部会長  遠藤委員、よろしゅうございますか。 ○遠藤委員  ちょっと私の質問とお答えがずれていたのかなと思うのですけれども。大体分かるので すけれども、要するに2010年問題というのが起きているということが事実だとすれば、 つまりその後の開発が抑制されているということがあるとすると、原因は何なのかという ことと、それからそれは一過性の問題なのか、そもそもが恒常的に余り大型製品というの は出なくなってくるようになっているのか、その辺の見極めをしたいということで感想を 聞いたのですけれども。  特に業界の中での何か統一的な考え方というのはないのでしょうか。例えば日本だけで も結構なのですけれども。 ○森田部会長  長野専門委員、お願いいたします。 ○長野専門委員  大型の新製品の開発は、少なくとも今の日本企業にとっては大変難しくなっていると。 それは、やはり競争の激化と、さらに研究開発コストが2,000億とか3,000億と いう1品目当たりの額になりますし。世界的なインフラの整備というものもトップランク で行わなければならないというところがありまして、そういう意味では非常に困難になっ ていると、日本企業についてはそう思っております。 ○森田部会長  ありがとうございます。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  私はちょっと違う考えなのですけれども。やはり先ほど長野専門委員がおっしゃいまし たベンチャーが日本には育ちにくいのが一番の問題じゃないかというふうに思っておりま す。特許が非常に難しい、産学共同で我々の関連する国立大学も独法化の後で、民間の共 同研究をいっぱいやったのですが、薬のシーズみたいなものができかけてはなかなかうま くいかないと。それから、特許を申請するための専門の事務官なんかもいっぱい雇って、 我々理科系は弱いですから、そういうふうなことをやってもなかなか規制というかシステ ムとかあるのと、日本の風土がベンチャーが育ちにくいような感じ、そのほうがこの20 10年問題には大きいのではないかと。構造的な問題ではないかと。余り薬価維持特例な んかでは救われないのではないかと私は思っております。 ○森田部会長  ありがとうございました。  禰宜専門委員、どうぞ。 ○禰宜専門委員  今までどちらかといいますと低分子ということで生活習慣病的な薬剤を開発して、ある 程度その薬剤についての問題点等も解消できたと思うのですけれども、やはりこれからは 遺伝子レベルということで、バイオ医薬品の研究というようなところへ方向が転換されて いるのじゃないかなと。もともと日本の企業は自前でいろいろ研究をしておったわけでご ざいますが、それではもう非常に技術のレベル等で立ち行きが行かなくなったということ で。今御指摘ありましたように、日本のベンチャー等がしっかりと発展しておればいいの でしょうけれども、今そのようなところを解決するために海外のベンチャーを買収したり、 あるいは技術を導入したりしてそういうものに対して取り組んでおるというような状況で ございますが。  やはり市場を見てみた場合、一遍あたりは今までの生活習慣病と比べまして非常にグロ ーバルに打ったとしてもそれほど大きな売上が確保できないというような状況でございま すので、今まで90年代に生活習慣病でグローバルに確保していたような、あれぐらいの 大きな薬剤というものは非常に難しい状況ではないかなというようなことで。逆に言えば、 非常にアンメット・メディカル・ニーズに対応するような薬剤をこれからもどしどしとや はり開発して提供していく必要があるのではないかなというふうに考えております。 ○森田部会長  ありがとうございました。  邉見委員、今のお答えございましたけれども、コメントよろしゅうございますか。 ○邉見委員 私もそのように思います。実は山中先生のIPS等は始まっていますので、あ あいうのがどんどん成功すれば大型の新薬は出るのではないかなというふうに期待してい ます。 ○森田部会長  ありがとうございました。  それでは、牛丸委員のほうからお願いします。 ○牛丸委員  ありがとうございました。この資料の1ページに基づいて先ほどお話がありまして、2 010年問題はこの2つのことが言われております。改めてお聞きしたいのは、2010 年問題、1990年代の特許が切れてくるということと、一方で新しい技術といいますか 大型のものがつくられていないということ、これらが重なるわけです。いわゆる2010 年問題というのはこの2つのことをあらわしますが、より重要というか深刻なのはどちら でしょうかということが質問の1点目です。  それから、先ほど来、今の後者の問題、なぜ開発が進まないのかということでいろいろ 御質問が出ています。いただきました資料の7ページ。先ほど取り方が違うので読みにく いかもしれないというお話の上でこの資料の説明をいただきました。この3つ、これらが やはり相当影響しているのでしょうか。というのは、開発期間も延びている、コストも上 がっている、こういう環境の中でやはり新しいものが出て来づらい。先ほど幾つかの理由 が挙げられましたけれども、この辺に大きな理由があるのでしょうかということを改めて お聞きします。いかがでしょうか。 ○森田部会長  長野専門委員、お願いいたします。 ○長野専門委員  最初の御確認は、特許切れよりも当然新規大型製品が出づらくなっているというところ が重大な問題でございます。  その上で、出づらくなった理由は幾つかございますけれども、私自身が感じております のは、やはりさまざまな薬の効き目を測る測定項目あるいは確認をする項目というのが多 彩になってきまして、まずは例えばそれを見つける、この薬はこう効いているんだという のを見つける項目、検証する項目が非常に進化していることと、それに薬の効果が追いつ いていくような物質が見つけづらい、時間がかかるというところが、ちょっと大まかな言 い方ですが、一番薬が出づらくなっている根源だと思います。当然付随的には、結果はコ ストが上がりますし、期間はかかりますしということになると思いますが。そのように私 は感じております。 ○森田部会長  よろしいでしょうか。 ○牛丸委員  はい。 ○森田部会長  それでは、北村委員、お願いします。 ○北村(光)委員  先ほどの長野専門委員のお答えに関連して、もう1つだけ質問があるんですけれども。 これから長い間市販される薬かなと思ったら、やはりもちろん後発医薬品が出てくるとい うことなのですが、このちょうど75%の大型製品の特許が切れることによって、後発医 薬品の市場に与える影響、これが劇的に拡大するのか、それからメーカー同士の価格競争 が非常に激化するのか。後発医薬品市場にどの程度の影響が見込まれるのか、もしお分か りになったら教えていただきたいんですが。 ○森田部会長  長野専門委員、お願いいたします。 ○長野専門委員  今日は資料を用意してございませんが、申しわけありません。少なくともかなり完成し た領域の薬の特許が切れるわけですから、それを追いかけるような新しいいわゆる新薬、 その領域の新薬というのはなかなか生まれてこないだろうと。したがって、従来よりも後 発品に置き換わる確率というのは非常に高まると。それは規模がすごく大きくなると、こ のように変化としてあると思います。 ○森田部会長  よろしいでしょうか。  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  関連で、私も同じような内容をちょっと違う側面からお聞きしようと思ったのですけれ ども、この資料の3ページの中のプログラフやハルナール、クラビットはもう実はジェネ リックは出ておりますね。その前のタケプロンも当然出ているということで。こういう非 常に私のような素人でも知っているような名前の薬ですから、こういうような有名な薬が ジェネリックが出てくるということで、新発品のほうは売れ行きがどれぐらい減ったのか と。特にクラビットは長野専門委員の会社だと思います。タケプロンは禰宜専門委員の会 社だと思いますので、何となくお分かりになると思いますが、国際的にどんなような変化 があったのかを、もし、イメージで結構なんですけれども、教えていただければと思いま す。 ○長野専門委員  クラビット、自社でございますので、海外の特許はまだ切れておりません。日本が先行 して切れました。それは日本が最初に開発したからということで。日本の場合は昨年切れ まして、数量ベースで二、三割減少しております。日本だけで。海外は来年以降でありま すが、大体1年以内に七、八割はダウンしてしまうだろうと。つまり、売れていたときの 二、三割の売上になるだろうと、このように推測しております。  以上でございます。 ○禰宜専門委員  タケプロンでございますが、非常に海外、アメリカでの売上が非常に大きいという関係 もございましたが、09年度に切れまして、数百億の売上ダウンということで。具体的に は、初年度でしたから30%以上のダウンがあったんじゃないかなと。ちょっと正確な数 字を持っていないのですが。  国内におきましては、いろいろな効能もございますので、またこのPPI自体の市場が 大きくまだ伸びているということでございますので、少しプラスでの伸長を今はやってお りますが、過去一、二年の伸びに比べますと非常に伸びが低くなっておるというのが現状 でございます。 ○遠藤委員  ありがとうございます。大型商品であっても特許が切れると売上はダウンするというこ とだということですね。ありがとうございます。結構です。 ○森田部会長  大分時間がたっておりますけれども、よろしいでしょうか、ほかに何か御発言ございま せんでしょうか。  それでは、ありがとうございました。これは大変大きな問題だと思いますけれども、薬 価が今度の開発にどれぐらい影響するのか、これまた少しその間にほかの要素も関わって くることではないかと思っております。  本日いろいろ御意見をいただきましたけれども、この本日いただいた御意見を踏まえま して、事務局または専門委員で必要な資料等を整理していただきたいと思っております。  また、本日の薬価専門部会での議論全体を踏まえまして、今後の当部会での検討の進め 方等について事務局で整理していただき、次回以降の薬価専門部会で具体的な議論を深め ていければと思っております。  それでは、本日の薬価専門部会はこのあたりで終了したいと思います。  次回の日程につきまして、事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  現時点では未定でございます。また今日、今後の事項なども整理していただきましたの で、資料を準備させていただいて御連絡をさせていただきたいと思います。 ○森田部会長  それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。  どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)