10/06/23 第60回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録         第60回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 日時 平成22年6月23日(水) 10:00〜 場所 厚生労働省14階職業安定局第1会議室 ○清家部会長 ただいまから第60回雇用保険部会を開催します。本日の出欠状況は、公益 委員の林委員がご欠席です。なお、本日は資料の関係で、職業安定局総務課首席職業指導官 室の中村補佐、職業能力開発局総務課の高橋企画官、職業能力開発局能力開発課の渡部補佐 にご出席をいただいています。  議事に移ります。本日の議題は求職者支援制度についてです。今回も、引き続き求職者支 援制度の創設にかかわる論点の項目についてご議論いただきたいと考えており、本日は求職 者支援制度の給付期間、適正な給付のための措置、就職につなげるための取組み、訓練につ いてご議論をお願いします。まず事務局から資料についての説明をお願いします。 ○大隈雇用保険課企画官 本日の資料は資料1から資料3までございます。資料1「求職者 支援制度の創設に係る論点」、資料2は各論の資料で、part1からpart3までです。資料3 は参考資料です。  まず資料1「求職者支援制度の創設に係る論点」です。毎回それぞれの委員の方からいた だいたご意見を追加しているものです。前回は第59回ですが、3頁をご覧ください。前回 は給付要件、給付額についてご議論をいただきました。いただいたご意見としては、[2]「給 付要件」の3つ目の・で、未就職卒業者について、主たる生計者要件を外して世帯年収要件 のみを残していますが、「主たる生計者要件のあり方については、世帯年収要件との関係で 十分な議論が必要である」というご意見がありました。1つとびまして、年収要件について で、ここは個人年収要件と世帯年収要件の両方を掛けていますが、「世帯年収だけを縛って おけばいいのではないか」というご意見がありました。金融資産の要件ですが、その確認方 法については「ある程度厳密に行う必要があるのではないか」とありました。資産要件の水 準について、「800万円という水準は少し高いのではないか」とありました。土地建物の要 件で、現在住んでいる土地建物以外にほかに所有していないことという要件ですが、これに ついては「価値がそれほどない山林などを持っている場合などがあり、この要件については 検討が必要」というご意見がありました。  [3]「給付額」についての2つ目の・の給付額についてです。「生計費を給付金に依存する ことがないように、地域差を付けてもいいのではないか」というご意見がありました。それ から、現行制度を見直すに当たって、どこに立脚点を置くかが大事だということで、それを 踏まえた上で「地域差を設けるかどうか、あるいは生計費という概念を入れるかどうかを検 討する必要がある」というご意見がありました。給付額の水準については、現行は1カ月 10万円または12万円となっていますが、これも世帯に対する給付とするのかどうか、世帯 年収要件を掛けるのかどうかという、「上の給付要件との関係も出てくる問題である」とい うご意見がありました。  雇用保険との関係ですが、「基本手当て日額の最低額で1カ月雇用保険を受給するよりも、 この月10万円のほうが高い場合もあり得るので、その辺は雇用保険との関係、あり方を考 える必要がある」というご意見がございました。  いちばん下の通所手当、訓練機関までの交通費ですが、「基金訓練の現場の実態、交通費 がどうなっているかを把握する必要があるのではないか」というご意見がありました。  次の頁です。本日ご議論いただきたいのが、[4]「給付期間について」です。当初、現行の 緊急人材育成支援事業は3年間の暫定措置として実施することとされていましたが、その中 で訓練を受講している期間のうち2年分について、給付を支給することになっています。こ れについてご議論いただきたいと思っています。  前回もここについてご意見をいただいておりまして、この給付は、訓練期間中に給付を行 う仕組みですので、「そもそも訓練にどのくらいの期間が必要かも考える必要がある」とい うご意見です。IV「その他」の[1]「適正な給付のための措置」についてどう考えるか。こち らは多年にわたり繰り返し給付を受給するような者を防止する措置についての論点です。こ れについてのご意見として、「恒久化するに当たって、給付期間のインターバルをどのよう に置くのかを考える必要がある」というご意見をいただいております。  資料2の各論のほうに移ります。各論のpart1の給付期間、適正な給付のための措置です。 具体的には7頁をご覧ください。これは現行の仕組みのご説明です。給付期間については、 緊急人材育成支援事業は、制度創設当初、3年間の暫定措置として実施することとされてお りました。その下の図でいうと、「基金事業の開始」から、右側の「基金事業終了(当初)」 でして、ここが当初は3年間ということで制度設計されていました。その中で、訓練生活支 援給付は、訓練を受講している期間のうち、最大2年分まで給付を支給することとされてお ります。この2年というのは、対象となる訓練のうち、1つの訓練期間の最大のものが2年 であったということから、設定されているものです。  具体例で申し上げますと、例1です。これはIT関係の訓練を受講するケースです。まず 最初に、職業横断的スキル習得コース(3カ月)を受けて、その次に少し隙き間が開きます が、1つ段階の高い実践演習コースです。これでIT応用のコースを3カ月受けた場合です。 最初の3カ月の訓練を受けている間に、給付が3カ月出ます。少し隙き間が開いて、次の訓 練3カ月期間中も3カ月間給付が出るというパターンで、これですと給付期間は最大24カ 月ですが、6カ月給付を受けて、このあとに就職につながっていくという流れです。  8頁です。訓練をもう少し重ねて受講するケースです。これも同じITの例です。最初に 基礎演習コース(6カ月)を受けて、6カ月の給付を受けます。少し隙き間が開いて実践演 習コースを3カ月受講します。さらに高度な訓練を受けたいということで、公共職業訓練の 中の高度情報処理科(6カ月)を受講します。このように、6カ月、3カ月、6カ月というこ とで、訓練と給付を受けることになりまして、このケースだと給付期間最大24カ月のうち の15カ月分の給付を受け、このあとに就職につながっていくというケースです。  例3です。こちらは給付を最大限の24カ月もらうケースです。最初に基礎演習コース(6 カ月)を受け、そのあと公共職業訓練の中で最も長い介護福祉士等の2年間のコースがあり ますので、そちらに移行した場合です。そうすると、給付期間は最大の24カ月になるので、 2つ目の訓練を受けている最初の18カ月は、給付もセットで出ますが、その残りの部分は 訓練を受けることは可能ですが、給付は出ません。これが現行の仕組みです。  9頁です。このように訓練と給付がセットですので、設定されている訓練の期間がどのよ うなものかということが、給付の期間にも影響してくるということです。ここは基金訓練の 訓練期間別の設定の割合が書いてあります。訓練の期間については、3カ月、4〜6.5カ月以 下という区分で書いてあります。3カ月の訓練が全体の4分の3ぐらいで、75.9%を占めて います。ここが、具体的にはITの職業横断的スキル習得コースなどが含まれています。次 に多いのが、4〜6.5カ月で、ここが残りのほぼ4分の1です。基礎演習コースであったり、 CADオペレータ、実践演習コースなどがあります。これより長いコースはほとんど現状では ありませんで、社会的事業者等訓練コースなどに、一部あるくらいです。  これが平成21年度、平成22年度で平均しますと、基金訓練では3.7カ月となっています。 これは一つひとつの訓練の期間ですので、これらを組み合わせて受けることはあるというこ とです。  10頁です。こちらは公共職業訓練の、同様の訓練期間別の設定割合です。公共職業訓練 のうち、施設内訓練は標準6カ月、委託訓練は標準3カ月ということです。この分布を見て みると、3カ月未満は比較的少なく、3〜5カ月が全体の3分の2ぐらいです。6カ月が22.8% で、施設内訓練が多いということです。それ以上の7〜12カ月は3%です。  こちらの数字は平成20年度実績で、平均訓練期間は4.2カ月ですので、基金訓練より少 し長いということになっています。先ほど2年の訓練があると申し上げましたが、これは平 成21年4月から、介護関係の2年のコースなどを設定しておりますので、この数字の中に は入っておりません。  11頁です。こちらは直接基金訓練そのものではありませんけれども、比較の意味で、雇 用保険受給者について、所定給付日数内で、公共職業訓練の受講指示を受けている場合につ いては、給付手当の支給期間を延ばすという訓練延長給付の仕組みがあります。そこにある とおり、所定給付日数は90日から330日ですが、公共職業訓練等を受講する場合は、その 訓練を受けている期間は給付を延長する、この延長する最大は2年間を限度としています。  12頁は、この訓練延長給付の実績です。平成21年度でいうと、初回受給者数で10万5,000 人ぐらいです。支給金額で400億円ぐらいです。  続いて、適正な給付のための措置の関係資料で、14頁です。こちらが現行の緊急人材育 成事業における訓練の利用制限です。複数連続して訓練を受講する場合に、どのような訓練 の組合せを受けることが認められているかという資料です。  基金訓練については、よりレベルの高い訓練を受講する場合に限って、連続して複数の訓 練を受講することが認められています。したがいまして、同じレベルで別の内容の訓練を複 数受けることは、認められておりません。そこにありますとおり、介護の訓練について、基 礎的な訓練を受けて、農業の訓練を受けるというようなものは認められておりません。その ようなルールの上で、先ほどの訓練を受講している2年分を限度として、支給することにな っています。  そこの下にあるとおり、認められている複数受講の例は、横断的スキルのコースを受けた あと、実践にいって、公共訓練にいくという3段階であったり、横断的から公共にいくなど、 いろいろなケースがありますが、すべて専門性の高い訓練に移る場合だけということです。  15頁です。公共職業訓練についても、訓練の受講制限があります。これも公共職業訓練 を終了したあと、1年間は次の公共職業訓練は受けられないとなっています。間隔は1年以 上は開けなければならないとなっています。資料の説明は以上です。 ○清家部会長 ご意見、ご質問がありましたらお願いします。 ○遠藤委員 資料2の15頁に関連してです。公共職業訓練を受講する場合、1年間の受講 不可の説明をいただきましたが、公共訓練を受けた方が現行の基金訓練を受ける場合につい ても、1年の間隔を開けなければいけないという運用上の約束事があるかと思います。1年 間開けたあとの受講する基金訓練の中身については、何か運用上の制約があるのでしょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 1年開けないと受けられないということなので すが、そのあとの運用上の縛りは特にありません。また、1年経った場合は、横断スキルコ ースとか基礎演習コースということも、運用上可能です。 ○遠藤委員 極端な例として、公共訓練で、ある分野のある一定程度のレベルのものを受け ていた方が、基金訓練で同じ分野を基礎的な部分から学ぶことも、現行上はできるという理 解でよろしいのでしょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 そうです。訓練に送り出すときにハローワーク でいろいろとご相談等をさせていただきますので、そこで必要がないということであれば、 誘導しないような話はあると思いますが、制度上そのようなことができないという形にはし ておりません。 ○新谷委員 先週、政府で新成長戦略が策定され、発表されたわけですが、その中に行程表 がありました。いま我々が検討している求職者支援制度についても、2011年度に制度を創 設するということが明記されていますので、非常に心強く思っているわけです。  その制度の創設と、現行の基金訓練との関係で確認させていただきます。資料2の7から 8にわかりやすい絵が描いてありますので、これを使って質問させていただきます。当初3 年間ということで、現行の事業が行われているわけで、それが2年間に短縮されたというこ とですので、来年の3月31日で基金事業としては終了することになると思っています。  お聞きしたいのは、例えば来年2月に新規に申込みをされた方が、半年とか1年間の訓練 を紹介され、受講を始めたときに、残余期間が基金事業としては1カ月しかないということ になるので、訓練の継続はどのようになるのか。これでいくと、基金事業終了となっていま すので、残余期間で訓練が終わってしまうことになりかねませんので、その辺の現行基金事 業の運用はどうなるのか。  それと、いま我々が検討している制度が、国会で法律として制定されたときに、現行の基 金訓練との接続の問題です。切れめがないようにするべきであると思っているわけです。基 金訓練の終了と新法(求職者支援制度)による新しい訓練を、切ったところに接続するのか、 重ねるのか。これから検討することになるのかもしれませんが、必ず切れめのないようにし ていただきたいということです。  それと、そのときに、いま論点にもあるように、給付の対象者を考えたときに、現行の基 金訓練での対象者と新法で考える対象者が、必ずしも一致しない可能性があるので、制度の 接続の際に、新旧の対象者の要件の違い等をどのように乗り越えていくのかについて、いま の考えがあれば、事務局にお伺いしたいと思います。 ○清家部会長 課長からお願いします。 ○坂口雇用保険課長 1点目についてですが、基金の終了の時期が2年なら2年ということ であるのですが、基金の終了の近くになって訓練を受けられている、訓練を受けて給付を受 けられている方について、基金の終了が3月末だからそこで切れるということは、通常の法 令上の措置、予算上の措置でも、経過的な権利の保護は必要だと考えています。基金の終了 があるから、そこでぶちっと切れるのではなく、経過的な期間を設ける部分で、そのまま継 続して訓練を受けていただき、給付が出るようにすると。それとか、基金というのも、これ までもいろいろな形で、補正予算等で基金を組んでいることもありますが、時が来ればその 時点で切って終わるとはなかなかいかないわけで、いまのようなものも含めて、終了時期以 降も支出があれば、そういったものも清算期間を設け、清算をした上で、残があれば国庫に 返納する形にするのが通例かと思います。そこは国民の皆様にご心配のないような形で、基 金の終了をしていこうと思っています。  2点目については、これから年末にかけて、この部会あるいは能開分科会でもご議論いた だき、制度設計をして、通常国会に法案を出して、その上で国会で法案審議もしてとなって いくわけです。いずれにしても、現在基金事業としてやっている基金訓練、あるいは訓練期 間中の生活支援の事業と、いまご議論いただいている恒久化していく事業の隙き間がないよ うにすることが、政府としても重要な点だと思っていますので、そこについてはそのような 形で運営できるように、全体として最終的に制度がうまく回るようにしたいと考えています。  3点目については、給付の対象者等について、まさしくいま恒久措置としての制度設計に ついてご議論いただいていますので、いま委員のご指摘のとおり、基金事業の現状をご議論 いただいていますが、ここ数回でもご議論いただいているように、いまの基金事業と全く同 じでなければいけないということはなくて、いろいろ改善をしていくべきで、あるいは恒久 的な措置として相応して対象者であったり、要件ということがあろうかと思います。ただ、 その点については、そういう点で恒久的な措置としての内容は出来上がってきますが、その ときに受けられている方ということでいくと、いちばん最初の1点目に立ち返るわけですの で、そういった方が急に明日から、1カ月目までは訓練を受けていたけれども、2カ月目か らは受けられないことにならないようにということは、配慮していかなければならないとい うことです。 ○清家部会長 ほかにございますか。 ○古川委員 この訓練は2年間受けられるということで、出産が重なってしまったりとか、 介護とか、自分が病気になることもあると思うのです。もちろんハローワークの認定が必要 だと思いますが、その認定を受けて一時的に訓練をストップして、そこで終わりというので はなくて、その事態が解消したら続けられると。そのようなことも必要なのではないか、そ の辺も配慮していただけないかなと思います。 ○清家部会長 ではそれはご意見ということで。 ○新谷委員 いまのことに関連してですが、現行の基金訓練では、どのような扱いになって いるのでしょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 通常は次の訓練を連続して受ける場合には、よ りレベルの高い訓練でなければ駄目だという整理をしていますが、介護など合理的な理由が あって訓練を途中でやめざるを得ないという方については、その事情が解消したあとに、同 じような種類の訓練コースを続けていただくことも運用上は可能にしています。 ○豊島委員 さらにそれに関連してです。47頁の[2]「訓練実施機関から寄せられた要望、 意見、苦情等」にいろいろ書いてありますが、例えばこの方は問題があるので辞退していた だいたほうがいいという方がおられた場合に、その旨ハローワークに申し出て、ハローワー クがそれを認定して遠慮してもらう。そうでなければ、あるいはそうならないように、しっ かりと訓練を受講してもらうような働き掛けは、ここに書かれている悩みを抱えている実施 機関の皆さんは、そういうことがあるのかないのか。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 ハローワークと訓練の送り出しの関係ですが ハローワークとしては、本人が希望した訓練に対して受講を勧奨する扱いになっていますの で、公共職業訓練の場合のような、受講の指示という形ではありませんので、問題があった ときに、ハローワークからその訓練に行くのはやめろという形にはしづらいところがありま す。  現状の基金で、そのような方がいらっしゃった場合には、訓練の実施機関の判断にはなり ますが、そのような方に引き続き訓練にいてもらうと、訓練全体の進行がうまくいかないと いうときには、訓練実施機関の判断で退講等を可能としています。  訓練実施機関が、実態として判断をするのが難しいという場合には、訓練の関係の相談を 雇用能力開発機構の都道府県センターがやっておりますので、そういう所にご相談いただき ながら、退講もやむを得ないかなといった判断をしていただいているのが現状です。 ○遠藤委員 先ほど、介護、病気の話がありまして、複数受講に関するある意味での柔軟な 対応ということで理解をしたのですが、改めて聞くのも申し訳ないのですが、出席日数が8 割に満たないような場合についても、合理的な理由があればという話を、以前にご説明とし て伺ったかと思います。その合理的な理由が整理されていれば、いくつか教えていただきた いのです。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 出席日数の8割については、合理的な理由とい うものはほとんど認めていないところです。出席日数は厳しく見るというところもありまし て、8割の範囲の中で、何か起きたときの対応もお願いしているのが現状です。裁判員制度 等、法で定められたことで出ていかなければいけない理由があるような場合、インフルエン ザが流行したときに、そのような事情を見ているところで、あとは基本的には認めておりま せん。 ○坪田委員 私どもは検定試験をやっているので、試験会場として契約をしている民間のと ころでアンケートをやってみました。150カ所ぐらいに聞いたら、107カ所ぐらいが基金訓 練を実施しているということです。そのようなところを見ると、この制度は訓練期間イコー ル給付期間となっているのですが、訓練の中身によって随分差があるというか、就職意欲の ない人など、給付金目当ての方が含まれているという意見も聞きます。  そのようなことを考えますと、どのような訓練をどの期間やるかということをきちんとや らないといけない感じがしています。是非それをお願いします。例えば今後の目標、ライフ プラン、キャリアプランをしっかりとレポートで出させて、しっかり持っている人と、そう でない人というのは差を設けるとか、きちんと線引きをすることが必要だと思います。  それから、いままで教育訓練とは関連のなかった業種からの新規参入があるようで、実積 のないところの訓練の効果があるのかどうか疑問だということもありますので、機関の認定 についても、しっかりとやっていかなければならないと思います。  実施機関によっても、訓練の質、訓練生の満足度は全然違っているという意見もあります ので、訓練をしっかりと決めて、それに合わせた給付期間をやっていくことをお願いしたい と思います。 ○栗田委員 関連してですが、資料2の45頁の「基金訓練の認定基準の概要」でも、訓練 をする機関ということなのかとは思いますが、中段ちょっと下の「実施コース」で、「直接 職業能力の開発向上に関連しないもの、あるいは一定の関連性があっても、一般的に趣味、 教養、生活との関連の強いもの、職業能力のごく一部を開発向上するにすぎないもの、通常 の就職に当たって特別の教育訓練を要しないもの等は対象としない」という基準が設けられ ていますが、実際に対象としないものは、どのようなものがあるのでしょうか。  それと、先ほど8割の出席率の話がありましたが、8割の出席率の把握方法についてなど、 運用上のものがあれば教えていただきたいと思います。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 8割の把握の方法は、訓練実施機関で日誌等を 付けています。出勤簿のようなものを置いておいて、来た方がそれぞれ判こを押して、それ を回収して、出欠状況を確認しています。そういった形で、訓練実施機関が日々出席状況を 確認して、毎月の状況を取りまとめて、支給申請のときに上げています。  最初のほうの趣味等に関することですが、実例として把握していませんので、どのような ことがあるかについては調べてみます。 ○坪田委員 先ほどハローワークの話が出ていましたが、107の機関がすでに訓練を実施し ているということですが、20カ所ぐらいがハローワークとの連携がうまく取れていないと いうことです。これは厚生労働省の宿命なのでしょうけれども、職安局と能開局の垣根があ ります。ジョブカードでも何でもそうなのですが、うまく連携が取れないことが多いです。 そのため非常に効率の悪いケースがあるのです。それはしっかりやっていかないと、この制 度はうまくいかないと思います。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 連携はしっかり取っているものと思っていま すが、具体的にこういうところがうまくいかないということがあれば、ご指摘いただければ 改善させていただきます。 ○坪田委員 出しているはずですが、改善されません。例えば人を送ってくるとか、認定企 業をつくったにもかかわらず、人の送り込みが全くないとか。 ○清家部会長 この制度は、いずれにしても訓練とか就職に結び付かなくてはいけない、単 なる給付ではなく、目標は最終的には就職で、そのための訓練という種類のものでしょうか ら、その意味では、いま坪田委員が言われたような、ハローワークの役割というのは非常に 大きいと思うので、そういう意味でもハローワークの機能を充実してもらうとか、そのよう なことは必要だと思いますが、事務局から何かありますか。 ○坂口雇用保険課長 その点はpart2以降の資料でご説明させていただきますが、いろいろ とご指摘のあることも事実だろうと思います。現行の基金訓練の受講者の方も就職にどう結 び付けていくか。ご議論いただく恒久化に向けての制度設計についても、位置づけのところ でも、皆さんからいろいろとご意見があったように、再就職、就職にどう結び付けていくか がキーポイントだと思うので、その点ではいま坪田委員からもご指摘があったように、ハロ ーワークとの連携をうまく制度設計をして、就職に結び付けていくかは重要だと思うので、 いま基金訓練も去年7月に立ち上げて、受け皿をどう確保するか、実施機関の裾野をどう広 げていただくかも、当初は重きを置いていましたが、就職に結び付けていくためにいろいろ な取組みも行いつつありますので、後ほどそういったこともご紹介しながら、ご指摘を踏ま えて、今後も制度設計をしていきたいと思います。 ○岩村委員 感想めいたコメントですが、1つは訓練などをやって、対象として就職に結び 付けるというと、どのような人が入ってくるか、どのような人に訓練をするかがポイントだ というご指摘があって、それはおっしゃるとおりだと思います。  例えばプランを立てるとか、そのようなことはアイディアとしてもいいと思うし、そうい うこともあると思うのですが、いま難しいのは、そういうことをやっても、ネット上で「こ のようにやれば通る」とか、そのようなものがすぐに出回るのです。生活保護ですら、こう やると生活保護が受けられるというものが、ネットには山ほどあるのです。そういう問題も、 リアクションとしてあることを少し考えなければいけないかなと思います。やるなという意 味ではないのですが、そう思います。  先ほど8割の出席のコントロールの仕方の話がありました。これは大学の先生はよくご存 じのように、来るときだけ出席カードを取って、そのまま帰ってしまうような方は山ほどい るので、その出席のコントロールは難しくて、出口と入口でコントロールしなければなりま せん。ただ、それをやると、今度はやる気のない人が教室にいて、そこで大学の先生たちは 苦労していることもありますので、そのコントロールの仕方をどうするかも、1つ考えなけ ればいけないかなという感想を持ちました。 ○清家部会長 この先に事務局からご説明をいただく部分についても、すでにご意見をいた だいている部分もございますが、引き続き資料のpart2までご説明をいただきます。 ○大隈雇用保険課企画官 Part2「就職につなげるための取組み」です。17頁です。基金訓 練受講者の就職までの流れを描いたものです。新たに訓練を受講される方については、ハロ ーワークへ求職の申込みをいただく必要がありますが、[2]でハローワークでの職業相談ある いはキャリアコンサルティングを受けていく過程で、ハローワークの窓口職員が受講希望者 の就職意欲の有無を確認し、すぐに就職させられるということならいいのですが、訓練によ る技能の向上が必要であると判断すれば、ご本人の希望や適性を見極め、訓練に誘導してい くことになります。  適切な訓練を見定めたところで、受講申込みになりますが、訓練の実施機関の選考が入っ てきます。あとで応募倍率などが出てきますが、いま1倍を超える状況ですので、試験や面 接の選考があります。ここの選考を通れば、ハローワークによる受講斡旋ということで、正 式に訓練実施機関につないでいくことになります。  次の頁で、訓練の受講が開始されます。ここが3カ月だったり、6カ月の訓練が始まるわ けです。[7]ですが、訓練受講中であっても就職支援を行うことになっていまして、1つは訓 練実施機関が行う就職支援があります。これは訓練によって、座学の訓練などであったりす るわけですが、それだけではなく、職場見学の機会の提供、求人情報の提供、履歴書の書き 方の指導をするなど、訓練実施機関も取組みが求められています。これは訓練実施機関の認 定の基準の中に、就職支援をするということが書いてあります。  あとハローワークも、訓練受講中についても支援をすることにしておりまして、訓練実施 機関と連携し、ハローワークからの出張相談であったり、出張セミナー、ハローワークが持 っている求人情報の提供、就職面接会の情報の提供などがあります。それから、どのような サービスをしていて、どこにあるというような、ハローワーク自体の情報提供もしていくこ とになっています。  そういう過程を経て、[8]で訓練が終了します。ここで就職がすぐに決まればいいわけです が、未就職の方もいらっしゃるので、就職状況報告書により未就職の方の把握をし、未就職 の方については、定期的に連絡を取ることになっています。  未就職の方は、できるだけハローワークに来ていただくということになりますが、[9]にあ りますが、ハローワークの担当窓口できめ細かな希望職種などの希望を聞いて、ハローワー クの様々な支援サービスのどれを使うかを決めていきます。あと、いまモデル的な実施を始 めていますが、ハローワークで職員の担当を決めて、担当者制による支援をします。それか ら、訓練は複数の訓練を連続で受講できますので、さらにレベルの高い訓練を受けたほうが 就職につながると判断される場合であれば、よりレベルの高い訓練につないでいくことにな ります。また次の訓練にいく場合は、[4]から[8]のプロセスを経て、就職につなげていくこと になります。  19頁は実際の訓練修了者の就職率の数字です。訓練修了者の就職状況は、公共職業訓練 についてもそうですが、訓練修了3カ月後に就職できているかどうかの数字で取っています。 ここは平成22年1月末までに修了したコースの就職状況です。コース数は350コース、回 答のあった修了者数は3,852人で、これが母数になります。この中にはほかの訓練を希望す る方もいまして、これが809人です。就職者数は1,806人です。母数は3,852人から他の訓 練を希望する方を引いて、そのうちの就職者数の1,806人の比率を計算すると、59.3%にな ります。  59.3%という数字との比較の意味で、公共職業訓練の就職率がどうなっているのかという のが20頁です。これは平成20年度の公共職業訓練の種類別の就職率です。基金訓練に相当 するものとしては、離職者訓練になります。そこの合計で見ていくと、施設内訓練で74.5%、 委託訓練は68.3%というのが、公共職業訓練の就職率になっています。  資料3の参考資料です。訓練を受けていない場合の、ハローワークに来られる方の就職状 況の資料で、67頁です。こちらは平成21年度で、新規求職者数が764万7,000人です。就 職件数は181万4,000件で、この就職率が27.7%になっています。  次の頁です。前回委員からのご指摘で、生活保護受給者についての自立支援プログラムの 場合、就職率が50%を超えているというお話がありましたが、それの関連資料です。68頁 に自立支援プログラムの全体が書いてありますが、「3つの類型」の中の「経済的自立に関 するプログラム」の例で囲ってあるところに関連する事業が書いてあります。2つありまし て、1つが、福祉事務所とハローワークが連携して、就労支援をするプログラムです。実績 が書いてありまして、平成20年度の就職率が51.3%です。もう1つは、福祉事務所に配置 された就労支援専門員を活用して、就労支援するプログラムです。こちらの就職・増収率は 35.6%となっています。  この具体的な事業の内容は後ろに付けています。69頁が、1つ目のほうの事業の概要です。 「生活保護受給者と就労支援事業」ということで、平成17年度から始まっています。これ はハローワークと福祉事務所が連携して、生活保護受給者に対して、きめ細かな支援を行う というもので、支援対象者は、稼働能力を有する者、就労意欲がある者、就職に当たっての 阻害要因がない、当事業への参加に同意している。このような対象者を選び出して支援をす るというものです。  次の70頁に、ポンチ絵で具体的な内容があります。これが生活保護受給者と就労支援事 業の全体図です。福祉事務所で、生活保護受給者である程度就職に近いような方を対象とし て選んで、ケースワーカーがプログラムに乗せます。そうすると、就労支援チームというこ とで、福祉事務所のケースワーカー、ハローワークは就労支援ナビゲーターということで、 チームをつくって、チームで対象者に面接をしたり、個々の就労支援プログラムをつくって、 ハローワークのさまざまな就労支援メニューを組み合わせて、就職につなげていくという、 かなりきめ細かな取組みを行っています。これで就職率は51.3%ということです。  71頁はもう1つの就労支援員による就労支援の概要です。こちらは1つ目のプログラム に乗るところまではいかないけれども、就労意欲、能力は一定程度あるような方について、 支援をするものです。これは自治体が配置する就労支援員がありますが、経歴、資格として は、ハローワークOBであったり、民間企業の人事担当者OBであったり、キャリアカウンセ ラーなどが就いているということです。  事業の流れとしては、ケースワーカーの方がこの事業に乗せられそうな対象者を選び、こ のケースワーカーと就労支援員が話し合って、支援方針を決定し、本人へ説明して同意を受 け、具体的支援を行います。具体的支援としては、例えばハローワークに同行訪問というこ とで、本人と就労支援員が2人でハローワークに行くというようなことがあります。このよ うな取組みをして、就職率が35%ほどとなっています。就職につなげるための取組みの関 連の説明は以上です。 ○清家部会長 ご意見、ご質問はございますか。 ○遠藤委員 資料2の18頁に一連の流れが書かれており、その中の[7]の訓練受講中の吹出 しの部分ですが、複数の委員からご指摘がありましたように、訓練受講中にハローワークと 連携していくことの重要性は、まさにそのとおりだと思っています。ここの吹出しに[1][2][3] とあるのは、この3つの内容のどれか1つが行われていればいいという状況なのか、それと も[1][2][3]、とりわけ[1]が必須の内容になっているのかということを教えて下さい。 ○中村首席職業指導官室室長補佐 訓練実施機関の状況にもよると思うのですが、基本的に は[1][2][3]のすべてを実施することにしています。実施機関のほうで、すでに就職支援のノウ ハウがあるということであれば、わざわざそこに出張相談やセミナーは不要ですので、そう いったところはあえてやらずに、必要なところに出向いて行くという形で、実施機関のノウ ハウの程度に応じて、我々のほうもご協力するという形でやっています。 ○遠藤委員 以前、キャリアコンサルティングの回数についてお伺いしたときに、新卒未就 業者の場合は3回ということで、他のコースに比べると1回多いというご説明を聞きました。 ということは、一般のコースであれば2回のキャリアコンサルティングを行うということだ と思います。キャリアコンサルティングの内容と、いまおっしゃった必要の有無の話との兼 ね合いは何かあるのでしょうか。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 キャリアコンサルティングですが、訓練の認定 基準の中で、学卒未就職者の基となっている基礎演習コースについては、訓練の受講期間中 にキャリアコンサルティングを3回以上受けられる体制にすることということが入ってい ます。ほかのコースについては、特にそのような規定はありませんので、3回とか2回とい うことではないのですが、一方で訓練実施機関が訓練期間中に、受講生に対する就職支援も することということで、どのようなことをするかは書かせるようにしておりますので、そう いう中でキャリアコンサルティングなどもやるという実施機関もあります。  実施機関がそのようなことをやっていることと併せて、そこは実施機関がやっていればハ ローワークがやらないということではなくて、実施機関もそういうことでやっていますが、 併せてハローワークも協力を取りながら就職支援については取り組んでいるということで す。 ○三木委員 17、18頁の流れの関係で、受講訓練の中でハローワークの連携も吹出しに出 てきますので、ハローワークとの連携は当然必要ですし訓練から速やかに就職ができるよう に持っていくのはこの目的だと思います。そういう意味で、訓練期間中であっても、求職活 動のような仕組みがあるのかどうか、それも重要だと思うのです。その仕組みは現状の中で どうなっているのでしょうか。あるいは訓練期間にそれに集中しすぎてしまうと、訓練が疎 かになることは避けなければなりませんので、そこの辺りの仕組みはどう考えたらいいのか。 いまの現状ではどのような問題があるのかを含めて、お聞かせいただければと思います。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 現状では、訓練の実施機関が行う就職支援につ いても、訓練の計画の中に入れていただくことにしています。併せて、ハローワークの行う 就職支援への協力をするようにとか、あとは訓練の日程をうまく組んで、就職活動の中でハ ローワークに行く時間をつくってほしいとか、そのような要請について、雇用能力開発機構 の都道府県センターから、実施機関に働き掛けをしています。 ○三木委員 この中というのは。 ○渡部職業能力開発局能力開発科課長補佐 就職支援については、ハローワークと連携を取 りながらということで、訓練実施機関のほうは、訓練の中の一部として取り組んでいるとき にはカリキュラムには入っていると思いますが、あくまでも訓練の部分と、就職支援では違 うということであれば、その分ハローワークに行く時間などの配慮をいただいている形です。 ○中村首席職業指導官室室長補佐 補足的に申し上げます。ハローワークの実態を聞くと、 訓練受講中からもかなりハローワークをご利用いただいて、就職後の職業相談などもなさっ ているということですので、実態としては配慮いただいている実施機関も相当程度あると思 っています。 ○坪田委員 私どものアンケートで107がすでに訓練をやっています。課題として、約4分 の1が、就職率が悪い、上がらないと言っています。最終的に就職に結び付けなければいけ ないというのがこの制度の目的なので、雇用情勢が大きく影響しているのだろうとは思いま すが、仮に雇用情勢が影響しているなら雇用情勢がよくなれば、この制度を恒久化する必要 はないという気がするのですが、恒久化するのであれば、就職につながる隘路は何かという のは分析してほしいと思います。すでに訓練を受けた人で就職できない人の事例で調べてほ しいと思います。 ○岩村委員 先ほどご説明いただいた参考資料の68頁の生活保護の自立支援プログラムに 関してですが、経済的自立に関するプログラムの就労による経済的自立を目指すというとこ ろで、支援対象者数、就職者数、就職率などの数字があがっていて、人数がそれほど多くな いので、細かく聞いてもデータ的にどれほどの意味があるのかはよくわかりませんが、もし わかれば、例えば対象者、就職者の属性を教えていただければと思うのです。生活保護との 関係でいうと、傷病世帯、母子世帯、障害者世帯、高齢者世帯、その他となっているはずな ので、その内訳がわかればということです。それから、地域的なばらつきがあるのかどうか がわかれば、教えていただけるとありがたいです。  もう1点は、データを見る上での注意点で、私もはっきりとは裏づけはありませんが、平 成20年度の数値で、後半にリーマンショックがきましたが、実はその前の部分も入ってい るということが1点です。だから、雇用状況が微妙であるということです。  それから、このときは母子加算がなくなっている時期なので、もし対象者、就職者の中に、 かなり母子家庭という類型が入っているとすると、母子加算が復活したあと、この数字でい くかどうかは微妙で、もう少し最新のデータを見ていかないと、現状における実態はわから ないと思いました。 ○清家部会長 先ほどの坪田委員のご要望、いまの岩村委員のご指摘も踏まえて、少し分析 が可能な部分がありましたら、後ほどご報告頂けたらと思います。坪田委員、そのようなこ とでよろしいですか。それでは新谷委員、お願いします。 ○新谷委員 ちょっと数字を教えてほしいのですが、資料2の19頁に、訓練修了3カ月後 に現基金訓練の就職率が出てきて、非常に重要なデータだと認識をしております。その中の、 数字の確認です。20頁には、いま公共職業訓練の全修了者分における就職者ということで 就職率が出ていて、これとの対比で説明をいただいたときに、19頁のほうは、3,852を母数 としたときに、回答のあった修了者数と書いてあって、これは基金訓練の修了者の数ではな くて、回答があった修了者と、訓練の全修了者とどう違うのか、一致するのか、一致しない のかというところも含めて、非常に重要なポイントだと思いますのでわかれば教えていただ きたいと思います。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 回答があったとしておりますのは、就職状況の 把握の仕方ですが、それぞれの受講生の方から、就職状況報告書というものを訓練修了時点、 訓練修了3カ月時点で訓練実施機関に提出をしていただいて、それを順次回収していくよう な形で取りまとめております。回答のあったとしておりますのは、就職状況報告書の回答が あったものということにしておりますので、訓練を受講した方とは一致しない数字になりま す。  回答のあった方の割合というのは、大体73%ぐらいの方から回答をいただいております。 残りの方は途中で就職以外の理由で辞めてしまい連絡がつかなくなってしまった方とか、何 度連絡しても捕まらなくなってしまった方などが含まれます。 ○新谷委員 先ほどの説明の中で、20頁の公共職業訓練は全修了者の数に占める就職者の 数で数字をつかまえているわけで、19頁は回答のあった数ということになると、基金訓練 を修了した方の総数ではなくて、75%の回収率に占める就職者の数ということになると、比 較の意味では、正確な比較のベースにはならないのではないかと思うのですが、これについ てはどうお考えになりますか。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 基本的には就職率ということで割合ですので、 捕まえた方、意図的に補足をしなかった方がいない限りにおいては、同じような比較ができ るのではないかと思っております。 ○清家部会長 ただ、サンプルセレクションというか、就職に成功した方が答えやすいとい うことがあるのではないかというのが、たぶん新谷委員のお考えだと思いますが。 ○渡部職業能力開発局能力開発課課長補佐 基本的には本人の報告を待ってということで はなくて、実施機関のほうにそういう状況を把握することというのは、認定基準の中で課し ておりますので、どうしても把握できなかったという部分は落ちてしまいますが、実施機関 のほうが基本的にはすべての方について回収するということでやっているものです。 ○新谷委員 このパフォーマンスを評価するに当たって、やはり、そこに投入したお金に対 して、どういう政策効果を上げたかということだと思うのです。そうすると、基金訓練に対 しては、基金訓練修了まで訓練と給付を続けたわけですから、それに投下した人数に対して、 どれだけの方が就職をしたかということが、政策効果を図る上での指標ではないかと思って います。たまたま回収ができた75%のうち就職者がこうでした、ということをもって59% が就職率ということでは、正確な政策効果は計れないのではないかと思っております。59% が一人歩きしていて、公共職業訓練との対比においてどう見るかとかというのでは、正確な 比較ができないのではないかと思っております。 ○清家部会長 そうですね。 ○豊島委員 回収率との関係では、受講者数との関係で言えば、20頁の表と同じように合 わせるとかなり低くなるのでは。それはちゃんと出すべきではないのでしょうか。 ○清家部会長 これは調査の費用対効果の問題もあるかもしれませんので、少し検討をして いただくということでよろしいですか。もし調査をするのは非常にコストがかかるというこ とであれば。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 これは緊急事業として昨年セットしておりまして、個 人情報をどこまでいただくかということで、訓練を受けていただくときの前提として、携帯 の番号まで聞いて、必ず強制的にその状況を出してもらうというところまでやるのかどうか というのは、そこはまだ十分に検討できていないのです。この事業はこの事業としてできる 限り訓練実施機関から、受けた方にはコンタクトを取ってもらいデータを収集してもらう努 力は今後も続けたいと思います。それはあくまで強制的に携帯に出ない人に、出るまで取組 みを続けさせるのがコスト的にいいのかどうか。 ○清家部会長 修了された方をどこまで追跡できるかという問題はあるのでしょう。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 それは一定の限界もあろうかと思います。この基金事 業は基金事業として、求職者支援事業の中の訓練で政策効果を検証するために、どの程度ま で、補足するべきかどうかということは、能開分科会のほうで、今野分科会長の下に訓練の 具体的な設計のあり方を検討していただいていますので、そちらの方で御審議をお願いした いと思っております。 ○清家部会長 そうしましたら、いま新谷委員と豊島委員からご要望がございましたので、 いまのご要望にどのような形で、あるいは代替手段でもいいのですが、お答えは可能かどう か検討していただけますか。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 私どものほうで検討させていただきたいと思ってお ります。 ○坪田委員 提出が義務づけられているものだとばっかり思っていたので、これはやはり公 費を使っているのだから、提出を義務づけてもいいのではないですか。是非、公共制度にす るのだったらそこまで考えないと。 ○清家部会長 就職の結果についてですね。 ○小林委員 私も同じで、350コースの回答のあった修了者数と、もう1つは350コースを 修了した人を母数にして、ちゃんと就職が何人というものを両立てでもいいですから、ちゃ んと出していただきたいというのが1点です。  もう1つお伺いしたいのですが、17、18頁で、訓練基金の受講生の就職の流れがあって、 先ほど来、各委員から訓練受講中のハローワークの関わり合いというのが重要だということ でご指摘があったのですが、私もそのとおりだと思います。[7]の[3]のハローワークへの誘導 票の交付というのがありますが、誘導票というのはどういうものなのか、私はハローワーク へ行った経験がないものですから、ちょっと伺いたいのです。 ○中村首席職業指導官室長補佐 特に定まった様式というわけではなく、各ハローワーク、 各労働局で誘導しやすい形で作っているものです。要は、訓練中、あるいは訓練が修了して も自発的にハローワークにいらっしゃらない方が、ざっと調べたところでは4割ぐらいいら っしゃるようである。そうすると、そういった方は自発的に就職活動をされていればいいの ですが、そうでないとそのまま就職せずに終わってしまいますので、まずはそういった方々 にハローワークに来ていただいて、ハローワークのほうで支援をしていこうと。そういった 目的でハローワークのほうでは、こういう支援メニユーがあります、いらっしゃるときには こういう窓口にお越しください、というような誘導のチラシといいますか、紙を作成して実 施機関を通じて受講生に配付しているものです。 ○小林委員 もう1つは、基金訓練の実施機関で、従来の能開機構の委託を受けている団体 が、同じような基金訓練をやっているというものもあれば、新聞によれば、学習塾とか、そ ういう所も基金訓練の実施機関になっているわけです。いくつか就職の支援で、訓練実施機 関自体が就職支援を、もともと専修学校みたいな所だったら、就職先の卒業生を斡旋すると か経験があるから、ある程度企業を知っているわけです。そういう機関と学習塾みたいな所 というのは、逆に斡旋先は知らないわけです。そこまでいろいろ広げて、訓練機関を増やし てきて、コースを増やしてきたのはわかるのですが、本来の訓練実施機関自体が持っている 就職斡旋機能があまりない所と言っては失礼ですが、属性によって分けることができるかと 思うのです。今回、基金訓練をやって、専修学校とか学習塾とか、実施機関を分けていただ いて、それが就職にどれだけ結び付いたかというのが出せるかどうか。  これは何を言っているかといいますと、将来的に恒久措置をするのであれば、能開機構に 任せるのだったら能開機構でもいいのですが、それ以外の所はたぶん委託で、その訓練機関 でこういう訓練コースを作っていくのだと思うのですが、むやみにいろいろな所に認めてい くのが本当にいいのかどうかというのは、難しいところはあるのだと思うのです。折角基金 訓練を1年間やってきたわけですから、その属性に合わせてどれだけの就職率があるのかと いう、実績を把握していただきたいというのが1つお願いです。 ○清家部会長 はい、これは事務局で。 ○高橋職業能力開発局総務課企画官 おっしゃるところはよく理解をしております。これか ら私どもは能開分科会の中でどういう機関を受け皿として、新しい求職者支援制度の下での 職業訓練を担っていただくのかということを、ご議論をしていただきたいと思っております。  そのときにご留意をいただきたいと思っているのは、学習塾だから一律排除する。あるい は統計を取って就職率が、こういう機関については、比較的ほかの類型と比べてよろしくな いので一律排除するというのではなくて、訓練実施機関のそれぞれが就職支援の機能をどう いうふうに兼ね備えているのか、あるいは実施された機関の就職率が実際のところどうであ ったか、1つ1つ個別に見ていくことが必なのではないかと思っております。いずれにして も、具体的には能開分科会でこれからご議論をいただこうと思っております。 ○清家部会長 よろしいですか。 ○野川委員 私は所用で中座しなければならないので意見を言わせていただきます。訓練機 関とハローワークの連携ということですが、就職に向けて個別にその都度、必要に応じた連 携というのではなくて、もう少しシステム化された連携が絶対に必要だと思います。例えば、 両方から人員を出して、恒常的な協議機関、あるいは共同の何らかの実施機関を作るぐらい のことがないと難しいのではないかと思っているのです。  それと関連して、参考資料の中に、「ハローワークと福祉事務所のほうが連携し、生活保 護受給者に対してニーズに応じた就労支援を行っていく」と書いてあるのですが、ハローワ ークと福祉事務所がどう連携しているのか、具体的な中身について、次回で結構ですので、 できる限りわかりやすい形でご説明をいただければと思っております。というのは、福祉事 務所とハローワークとの連携が本当にうまくいっているのか、ちょっと私は懸念があるので す。それは同じことをドイツでやっておりまして、大きな改革をしたときに、いままで日本 流生活保護を受けていたような人たちを含めて、まさに我々が議論しているようなターゲッ トの人たちを市場に戻すときに、日本の福祉事務所に当たる機関と、日本のハローワークに 当たる機関と合体させて、1つの機関として機能させようとしたのですが、そこがうまくい かないというのが最大の問題点の1つだったのです。  そういうこともありますので、先ほど申し上げたような訓練機関と、ハローワークとの連 携のシステム化を考えるに当たって、おそらく会社で言えば企業風土の違う福祉事務所とい う機関と、ハローワークという機関がどう連携して本当にやっているのか教えていただいて、 それを参考に私が申し上げたような方向を考えていきたいと思いますので、よろしくお願い いたします。 ○清家部会長 それは事務局に少し資料を整理していただきたいと思います。 ○坂口雇用保険課長 わかりました。 ○清家部会長 ほかに何かご意見はございますか。そこのところまで議論が進んでおります が、改めてもう一度パート2以降の資料について、特に訓練に関するところですが、資料の ご説明をお願いします。 ○大隈雇用保険課企画官 パート3、訓練の資料のご説明に移ります。資料の22頁をご覧 ください。資料1の論点の2頁です。訓練の部分については、全体的な位置づけとしては、 論点のIIにあります。1点目は、給付の対象となる訓練の在り方についてどう考えるか。2 点目は、必要となる訓練の量、種類の確保。訓練量について地域差が少なくなるような実施 体制についてどのように考えるか。というのが、この部会の論点として挙げております。  [2]の下に書いてあるとおり、訓練の個別具体的なことにつきましては、主として職業能力 開発分科会において検討することになりますが、雇用保険部会としても、そこでの議論を踏 まえてどのように考えるかということとなっております。  22頁を見ていただきますと、これが職業能力開発分科会の提出資料です。職業能力開発 分科会は、4月23日に1回開催されて、この論点ペーパーに議論のたたき台が説明されて おります。その次は5月31日に2回目の議論が行われたということです。こちらが能開分 科会の論点です。そこに書いてあるとおり、訓練の目的についてどう考えるか。訓練の受講 対象者の範囲をどう考えるか。3.訓練コースの設定で、どのような内容、性格、水準の訓練 を設定すべきか。訓練の規模についてどう考えるか。訓練実施機関の属性について、どのよ うな訓練実施機関を対象とすべきか。訓練実施機関の確保、コース設定及び奨励の在り方に ついてどのように考えるか。4.求職者の訓練への誘導、就職支援について。対象となる求職 者の選別、適切な訓練への誘導方法についてどう考えるか。先ほど話が出ておりましたが、 訓練実施機関における就職支援についてどう考えるか。評価について。訓練実施の評価につ いてどのような基準により評価すべきか。次の頁で、訓練の事業運営体制。現行の公共職業 訓練との役割分担をどう考えるか。これが議論のたたき台として、論点が提示されておりま す。  5月31日までの議論で、委員からの意見が書いてあります。訓練対象者の範囲につきま しては、雇用保険を受給できない者のうち、過去の就業状況、年齢等に鑑み、どのような属 性のものを訓練の対象として考えるか。  3-[1]、訓練コースについて、出ている意見としては、基金訓練は就職に直結する訓練のほ か、公共訓練でやっていないような基礎的能力習得のための訓練を実施しているけれども、 このような訓練をどう考えるか、という意見が出ております。  3-[3]、訓練実施機関の確保に関連して、地域によって教育訓練機関の設置状況に偏りが見 られることについてどのように考えるか。その頁のいちばん下に、受講者が訓練を最後まで 適切に受講するような動機付けが必要ではないか。現行の基金訓練の奨励金に相当する仕組 みのあり方について十分な検討が必要ではないか。このような意見が出ているというのが、 能開分科会の状況です。次回は6月30日に開催されると聞いておりますので、また、能開 分科会の検討状況はこちらの部会でもご報告したいと思います。  訓練の関係の資料は、24頁以降、基金訓練の資料を付けております。訓練の関係は、雇 用保険部会でも2月4日に1回ひと通りの資料はご説明しておりますが、その後、新しい数 字が入った部分がありますので、またひと通りの資料を用意させていただいております。  25頁は現行事業の概要です。厚労省が基金を造成して、中央職業能力開発協会で訓練の 認定基準の作成であったり、計画の認定、給付金、奨励金の支給決定などを行っております。 一部の訓練コーディネート等は委託先団体としては、雇用・能力開発機構に委託されており ます。  訓練実施機関は株式会社であったり、専修・各種学校などが認定されておりますが、ここ の訓練実施機関への奨励金として、訓練コース新設にかかる初期費用の助成。ここで100万 円から300万円の奨励金が1つあります。もう1つは、訓練実施にかかる助成。ここは受講 生1人月額6万円、または10万円という、2種類の奨励金がある仕組みです。  次26頁は、以前ご説明した資料で、基金訓練の種類です。職業横断的スキル習得コース が1つあり、基礎的なITスキル等を内容としております。新規成長・雇用分野の訓練コー ス。ここで基礎演習コース、実践演習コースと2つに分かれております。もう1つの類型と して、社会的事業者等訓練コースということで、NPO等の社会的事業の担い手を育成するこ とを目的とした訓練の類型がもう1つあります。  27頁は、少し具体的に噛み砕いたものです。実践演習コースの主な実施分野については、 情報通信、介護福祉、医療などの分野で訓練が設定されております。  28頁は、これも最初の議論で出てきましたが、複数受講の流れです。基礎から実践的な ものへという流れです。29頁からは、直近の実績です。基金訓練の計画のコース数、定員 数で、開講月別でまとめたものです。平成22年度に入ってからは、4月、5月、6月のコー ス数は1,000件を超えており、毎月定員数も2万人を超えている数で延びてきております。  30頁、認定されたコースの内容は基礎的なものなのか、実践的なものなのか。実践的な ものについて、さらに細かい分野別の数字です。30頁は、平成22年度に入って4月から6 月8日までの数字です。訓練のコース数で2,621、定員は5万8,951人となっております。 基礎科、応用科ということで言いますと、実践演習コースが半分弱ぐらいの比率になってお ります。実践演習コースの内訳で見ますと、分野で多い順に、IT、介護福祉、事務・医療事 務、この4つが非常に多くなっております。  31頁は、同じ数字について平成21年度中の数字を取ったものです。平成21年度中は、 全体のコース、定員に占める実践演習コースの比率は少し低い。どちらかというと基礎的な ほうが多いということです。  実践演習コースの中の分野としては、介護福祉、IT、医療事務、事務の4つが多い設定と なっております。  32頁は、都道府県別にコースと定員の数を見たものです。これも以前お配りしたことが あるものの、最新のデータです。32頁が平成22年度に入ってからの数字です。これでいち ばん多いのが東京、その次が大阪ということで、都市部にコース、定員が多く設定されてお ります。33頁は同じ数字の平成21年度中のものです。これも東京、大阪、福岡、北海道な どが多くなっております。  34頁は基金訓練の応募状況です。その表題の下に、応募倍率につきましては、事業が始 まった開始後は、平均で1万に満たない状況でしたが、積極的な周知に努めたということも あり、最近の応募倍率は1.35倍程度となっております。  定員の充足率につきましては、事業開始直後の平均で7割程度であったところ、最近では 80%以上の充足率となっております。  3頁は実施主体別に見た訓練の認定件数と定員数です。いちばん多いのが、株式会社とIT 関連企業とか、さまざまな株式会社が多く、その次が専修学校等となっております。その次 はかなり桁も違って、数もグッと少なくなりますが、NPO法人などが続いております。  37頁からは奨励金の支給の状況については、いちばん最初の資料にありましたが、奨励 金には2種類ありまして、初期費用を助成する新規訓練設定奨励金がございます。こちらが 訓練機関等、定員に応じてそれぞれ定まった額を奨励金としてお支払いする。例えば、3月 以上6カ月未満の10〜14人コースでやれば、50万人という形になっております。奨励金の 支給実績はそこにあるとおりの数字となっております。  38頁は、もう1つの訓練奨励金。こちらは受講生1カ月、1人当たりいくらということで、 コースによって6万円、あるいは10万円ということで奨励金をお支払いすることになって おります。支給決定件数は1,751件で、支給総額は53億円余となっております。  39頁、訓練の類型の中で、3つ目のものとして社会的事業者等訓練コースがございます。 これはNPO等の社会的事業者の担い手を育成するという訓練のコースです。訓練の期間は6 カ月から1年ということで、やや長めに設定されております。訓練の類型としても、ワーク ショップ型訓練、OJT型訓練と2つありまして、奨励金がそれぞれ付いております。  社会的事業者等訓練コースの中の1類型として、40頁に合宿型若者自立プログラムとい うのがありまして、こちらがいわゆるニート等の若者について合宿型プログラムで生活訓練、 労働体験等を実施するものということです。  41頁から、いまの社会的事業者等訓練コースの実施状況があります。41頁が合宿型若者 自立プログラムを含んだ社会的事業者等訓練コースの全体の数です。認定済みコースで52 件、認定済み定員数で806人ということで、受講者数は一定の把握された部分の暫定値では ありますが312人となっております。  42頁がその内数です。合宿型若者自立支援プログラム部分の実施状況です。認定済みコ ースは24件、認定済み定員数は281人、受講者数は把握されたコースについての暫定値で すが、74人ということになっております。  43頁は、これまでの部会でも議論になっておりましたが、未就職卒業者向けの訓練の内 容の資料です。カリキュラムが基礎的な部分のカリキュラムを作っております。ここが訓練 生活支援給付について、世帯主要件300万円というところだけがかかっておりまして、主た る生計者要件というのがないというところが特例になっております。これの実績につきまし ては44頁です。これは6月2日現在の数字です。認定済み訓練コースは203件、認定済み 定員数は4,729人です。これも受講者数で把握された分の暫定値ですが、1,549人となって おります。  45頁は、すでに議論になりましたが、基金訓練の認定基準です。実施機関はさまざまな 機関が可能となっておりますが、定員が概ね10人〜30人。訓練期間と訓練時間が1日5、6 時間を標準として、1カ月100時間以上の設定になっております。  修了証の発行については、これも先ほど議論になっている8割以上出席をもって修了とす るということです。実施コースもすでに議論になっておりますが、直接職業能力の向上に関 連しないもの、趣味・教養・生活との関連性が強いものなどは対象としないということです。  受講者に対する就職支援。先ほど就職支援の流れにもありましたが、訓練実施機関として も就職支援を行う旨を訓練計画に明記する、ということが認定基準に入っております。就職 状況の報告、受講者に対する相談体制、ここも認定基準に入っております。  46頁は技術的ですが、訓練実施機関側から見て、どういう手続で進んでいくかというこ とです。訓練計画を実施機関が作って、中央職業能力開発協会で認定をもらう。そのあとは ハローワークのほうで求職者とお話をして、求職者が訓練実施機関に受講申込書を提出する。 訓練実施機関が受講申込者に対して選考を実施して、選考の結果を本人とハローワークに通 知するということになります。選考により、受講が可能と判断されれば、ハローワークが受 講勧奨ということで、訓練開始につながるということです。  訓練実施機関は受講者の出席状況を確認して、毎月その手続を行うことになっております。  47頁、これもすでに話がありましたが、前回委員からのご意見もありまして、基金訓練 の実施機関、受講者からの声としてどういうものがあるかということでしたので、これは職 業能力開発局のほうでまとめていただいたものです。[1]受講者から寄せられた要望・意見・ 苦情等については、受講者側から見ると、訓練の内容や進路、習得への不安というのが1つ です。それから、ほかの受講者の受講態度への不満などがあります。  [2]訓練実施機関側からの要望・意見等については、これも受講者の受講意欲や態度、受講 者それぞれのレベルの違いや、精神的に不安定な受講者への対応に対する苦慮などが寄せら れております。対応状況としては、先ほど訓練の認定基準にも入っておりましたが、訓練実 施機関として受講者からの要望・意見・苦情については話し合いにより解決する、というこ とが盛り込まれているわけです。それで対応をいただくわけですが、それに加えて、本省労 働局とハローワーク、関係機関がこのような要望・意見・苦情を把握した場合には、その関 係機関が連携して、訓練実施機関への助言・指導等を行うということや、情報の共有化を図 るという対応をしております。  48頁以降は、5月31日の職業能力開発分科会で配布された資料で、こちらの部会でも情 報の共有として今回お付けしているものです。内容としては、こちらの部会でも基金訓練受 講者のアンケートについて、前々回とか前回お配りしておりますが、それのクロス集計です。 最初の所に書いておりますが、以前お配りしたアンケートの部分について、年齢、性別、家 計の主な担い手か否かという点からクロス集計をしたものです。  これはかなり分量も多いので、また後ほどご覧いただければと思います。例えば、結果の 概要の黒ポツで書いておりますが、性別で見ておりますので、男女別の傾向が出ます。男性 は直近に常用労働者であった割合が、パート・アルバイトであった割合より高いとか、男性 は女性と比較して、週40時間勤務していた割合が高いと。年齢でも見ていますので、中年 男性は若年男性と比較して、雇用保険の受給終了者の割合が高いとか、そのような傾向が見 て取れる資料です。この資料が55頁まであります。  56頁は交通費の関係です。これも基金訓練受講者のアンケートから取れまして、基金訓 練受講者について交通費は1カ月当たりどれぐらいかかっているかということで見ますと、 1万円未満が57.7%、1万円以上1万5,000円未満が22.3%などという結果になっておりま す。  公共職業訓練についての資料は、以前この部会でお出しした資料で、一部追加、あるいは 数字をリバイスしたものです。58頁は、離職者訓練のうちの施設内訓練の概要が書いてあ ります。59頁は、同じ公共の離職者訓練のうちの委託訓練の内容が書いてあります。  60頁は、離職者訓練の分野別の平成20年度の実績を載せております。平成20年度は受 講者数が13万1,800人、施設内が4万人、委託が約9万人という状況です。  61頁も同じく平成20年度で、受講指示、受講推薦別です。受講指示というのが、注2に 書いてありますが、主に雇用保険受給者、受講推薦が非受給者です。公共職業訓練は、雇用 保険受給者に対するものが多くて、概ね5対1で受給者と非受給者ということになっており ます。62頁は、同じく平成20年度の数字で、分野別の訓練の応募倍率です。事務系、情報 系、介護系などが応募倍率が高く、建設、製造などが比較的低い倍率となっております。  63頁は、委託訓練の実施要領です。これも先ほどの基金訓練の認定基準に相当するもの ですが、定員、訓練の内容、期間、実施コースで直接職業能力の開発向上に関連しないもの は駄目だとか、そのようなことが規定されております。  64頁は、委託訓練の場合の委託費についてです。先ほど基金訓練は訓練生1人1カ月当 たり6万円、または10万円ということでしたが、委託訓練については一部成果報酬制度(イ ンセンティブ方式)が入っております。2番の就職支援経費の中で、訓練実施経費は上限5 万円というのが基礎額としてありますが、就職率に応じて上乗せするということになってお ります。例えば、就職率75%以上のコースであれば、訓練生1名1カ月当たり2万円上乗 せして支給する、というような仕組みが入っております。  65頁は、交通費の関係です。先ほどは基金訓練受講者のアンケートがございましたが、 こちらは通所手当ということで、雇用保険受給者が公共職業訓練を受講する場合の通所手当 で、これは平成21年度の実績値です。全国計で平均受給月額を見ますと1万853円という ことになります。訓練週4日、あるいは5日で、月で言えば20日、あるいは22日ぐらいに なりますので、1日当たりまで割り戻すと、500円を超えるぐらいになるかと思います。資 料の説明は以上です。 ○清家部会長 ただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問はございますか。 ○坪田委員 36頁の非訓練認定件数というのは、45頁の認定基準に沿って認定されている のだろうと思います。できるだけ門戸を開放して、受講しやすくするのは非常に良いと思い ます。私どもがやったアンケートで見てみますと、総論としては、門戸を開放してどういう 審査をされているのかわかりませんが、先ほども言いましたが、これまで教育訓練をやった ことのないような業種が新規参入してきているので、そういう所の訓練というのは、果たし て効果があるのか、同業者から見て疑問だという意見が出ているということです。実施機関 によっては、訓練の質とか、訓練生の満足度に差が生じてきている。何らかの格付けまでは 難しいでしょうが、レベルの統一が必要だという意見が総論としてあります。  具体的には、いちばん皆さんが課題として挙げているのは、107のうち47の訓練機関は、 幅広い受講者に対して訓練レベルの設定が難しいという課題を挙げています。それに関連す るのだろうと思いますが、訓練カリキュラムに対して適切な教材が見当たらないというのも 10カ所ぐらいの機関が言っています。その辺もきちんと認定に当たってやっていかないと、 ただ単なる訓練で終わってしまう可能性があるのではないかと思います。それは強く要望し たいと思います。 ○豊島委員 いまの坪田委員のご発言とか、先ほどの小林委員のご発言とも少し関連すると 思うのですが、64頁に現行の委託訓練における成果報酬制度のペーパーがあって、いま説 明をいただいたのですが、この基金訓練を恒久化する場合に、こういうインセンティブのよ うなものも必要になるであろうということと、64頁には、30%未満のコースについてはと いうことで、委託の対象としないというところも書いてありますので、実施機関があまり就 職率が上げられないような所については、退場をいただくという仕組みも必要ではないかと 思います。これは意見です。 ○清家部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○新谷委員 ずっとこの資料を拝見して、いい資料を作っていただいたのですが、25頁に、 いまやっている事業の概要図が書いてありまして、ずっとお聞きしていて、今回の事業は、 確かに雇用情勢が厳しいときに、当時の前政権が7,000億円の基金を造成して、緊急避難的 にやられた事業。しかもその事業の運営に当たっては、厚生労働省が直接やるのではなくて、 特殊民間法人のJAVADA(中央職業能力開発協会)に基金を造成して、法的な措置に基づか ずにいま事業をやられているわけです。いまこの事業が回り始めてきて、雇用情勢は厳しさ が残っているものの、かつてほどは厳しくなくなってきたときに、改めてじっくりこの事業 を見直しをするといった場合に、緊急避難で無理矢理押し込んだ制度が、かなり無理を生じ てきてはいないかという危惧があるわけです。  例えば、JAVADA(中央職業能力開発協会)が委託先の能開機構に委託訓練先の開拓をお願 いして、機構のほうは機構のほうでノルマを与えられて、目標があって、何万件やれという ことで委託先を見つけてくる。それがないと求職者を送り込めないということがありますの で、まず委託先を開拓するということがあります。  25頁のいちばん下に、訓練コース新設にかかる初期費用の助成ということで100万から 300万円。具体的にはそのお金が、資料の37頁に新規の設定の費用があって、これは期間 が書いていないですが、いずれにしてもこの時点で31億円が出ていっている。新規にコー スを設定すれば、例えば3カ月以上6カ月未満で定員20人以上ですと100万円もらえる。 しかも、これは定員の設定だけなので、充足したかどうか問わないということで押し込んで あるわけです。ですから、20人で設定したが、実際は2人しか来なかった、1人しか来なか った、あるいは0人だったと言っても100万円が下りている仕掛けになっていると思います。  そのときに31億円に対して、充足率が一体どのような条件になっているのか等々、よく わからないところがあるのです。いずれにしても、これは緊急避難でやった制度ということ があるので、無理矢理押し込んだというふうに思います。ですから、恒久化に当たっては、 この辺の緊急避難であるということの違いを明確にするべきではないかと思います。  実は、無理矢理押し込んだ中に、設定されたコースがJAVADAのホームページに一覧が出 ています。都道府県別にコースの内容をずっと見ていったら、それが本当に就職につながる のか、先ほどの趣味とか生活に非常に近くて、本当にこれが職業訓練なのかというものもい くつか散見されています。そのようなコースでは、労働市場とどういうふうに結び付けてい くのか。そこに職業訓練をきちんと指導する人が本当にいるのかどうか。  先ほど、公共職業訓練の訓練先の要件の中には、講師については、職業訓練の指導免許等 を有する職業訓練の適切な指導が可能とあると認められているというのがあるのですが、こ れが基金訓練の委託先には入っているのか、入っていないのかわかりませんが、いずれにし ても、ここには書いていませんのでよくわからない。ですから、本当に緊急避難で広げてい った現状の制度は、恒久化に当たって十分な見直しが必要だと思っています。また、新法を 検討するだけではなくて、現状の制度の運営についても、財政逼迫の今日において、これは 本当にふさわしく執行されているのかどうか。2年間で3,500億円と巨額の国費を投入する わけですから、事業仕分けではありませんが、これは本当に政策効果をきちんと上げている のかどうか、改めて見直しをする必要があるのではないかと思いました。以上です。 ○遠藤委員 まさにいま新谷委員がおっしゃったことについては、私もそのとおりだと思い ます。その中で1つ考えられ得る選択肢として、例えばコースの中身について、今後成長し ていく分野など、ある程度限定的に考えていく中で、その人材を養成していくという考え方 も1つあり得るのではないかと思っております。今後、分科会のほうでご検討されるという ことですので、是非、いまの時代に合って、皆さんで制度を支えていく中身になり得るよう なコース設定になるように取り組んでいただければと思っております。 ○岩村委員 今日お出しいただいた資料の22頁に、能開分科会のほうでは求職者支援制度 における訓練の受講対象者の範囲をどう考えるか、ということもご議論されるということで、 この資料はできていますが、結局、こちら側で議論している支援給付のほうは、これと表裏 一体の関係に立つということになります。  そうしますと、まさに要は制度の対象者を一体どういうふうに考えるのか。それとの関係 で、新しく恒久化する制度の対象にならない人たちというのは、どこへ行ってしまうのかと いう、実はもう1つ別の問題があるのです。それはおそらくいまの現行制度を前提とする限 りは、たぶん最終的には生活保護で受けるということにならざるを得ないのです。やや私が 危惧を持っているのは、そういう整理で本当に最終的に押していけるのかということについ て、やや懸念を持っています。別に私がそういう意見だということではないのですが、受講 対象者の範囲をもっと広げるべきだろうという議論も、こちらが想定して考えたよりも当然 あり得るわけです。これは、やはり事務局のほうで1回ご検討をいただく必要があると思う のですが、こちらの求職者支援制度と、そこから漏れてしまう。へたすると制度の谷間にま た落ちてしまう人たちの受け皿をどこで、何を考えるのかということが、たぶん厚労省全体 として考えておかないと、ここの部会と能開分科会だけで考えたことが、実は最終的に通ら なくなってしまう危険性もあるので、そこは是非厚労省全体のレベルの中でご検討をいただ く必要があるかなと思います。これは私の意見です。 ○清家部会長 ほかにございますか。今日はいろいろと積極的なご議論をありがとうござい ました。最後に新谷委員、遠藤委員も言われたように、おそらくこれは恒久的な制度になる に当たっては、現在の緊急避難的な基金制度とどこが違うのか。あるいは恒久的な制度とい う観点から言えば、いま遠藤委員も言われたように、これからの成長分野というか、あるい は成長戦略等とも整合性を持ったものにしていく必要があるのかとも思いますので、その辺 も少し含めてご議論をこれからもいただきたいと思います。  今日の議論の中で、労使双方の委員からも繰り返し出ておりましたが、やはり、これを恒 久的に国が責任を持って行う制度として行うためには、質の高い効果的な訓練を実施すると いう観点からも、また、それを受けて、それをしっかりと就職に結び付けるという観点から も、ハローワークの役割というのは非常に重要になってくるかとも思いますので、今日は森 山局長もご出席ですが、その辺も含めて実施体制といいますか、単にお金を給寄付するだけ ではなくて、質の高い効果的な訓練を実施し、なおかつそれをしっかり就職に結び付けると いう点から、やはり国が責任を持ってハローワークの機能を整備していくことも非常に重要 になってくるかと思います。その辺も含めてこの場所で議論をしていただければと思います。  今日は非常に活発なご意見をありがとうございました。また引き続き議論を進めてまいり たいと思いますが、とりあえず今日は以上をもちまして第60回の雇用保険部会は終了させ ていただきます。なお、本日の署名委員は、雇用主代表は小林委員、労働者代表は古川委員 にお願いいたします。委員の皆様にはお忙しい中をどうもありがとうございました。次回の 日程等につきましては、事務局において改めて各委員の皆様にご連絡をさせていただきます。 どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)