10/06/03 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年6月3日(金) 14:00〜   航空会館501+502会議室 2.出席委員(12名)五十音順   大 石 了 三、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、  清 水 秀 行、  鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子、 ○永 井 良 三、  野 田 光 彦、 林   邦 彦、 古 川   漸、 ◎松 井   陽、 山 本 一 彦     (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(6名)   千 葉   勉、  成 冨 博 章、  西 澤   理、  檜 山 行 雄、  村 田 美 穂、  本 橋 伸 高 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    成 田 昌 稔(審査管理課長)、    内 海 英 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、  赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、 他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催さ せていただきます。本日は、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。  事務局から当部会の委員の異動につきまして御報告いたします。新たに当部会の委員と して、日本医師会常任理事の鈴木邦彦先生に御就任いただいております。本日は御出席予 定ですので、後ほどいらっしゃると思います。  本日、千葉委員、成冨委員、西澤委員、檜山委員、村田委員、本橋委員より欠席の旨、 御連絡をいただいております。現在のところ、当部会の委員数18名のうち11名の委員の 御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。そ れでは、松井先生、お願いいたします。 ○松井部会長 本日の審議に入ります。よろしくお願いいたします。事務局から配付資料 の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告ください。 ○事務局 事前に資料2として送付いたしました「インヴェガ錠」につきましては、申請 資料に不備が認められたため、本日の部会の議題から削除しておりますので御報告いたし ます。これにつきましては資料が整い次第、改めて部会に上程させていただきたいと考え ております。  それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会 委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜資料14をあらかじ めお送りしております。このほか資料16「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会におけ る取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否につい て(案)」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配付し ております。また、当日配付資料として資料1-2「ビビアント錠添付文書(案)」、資料15-1 「ストラテラカプセル5mg他の小児期AD/HD患者の成人期への継続使用について」、 資料15-2「アジア人の成人AD/HD患者を対象とした第III相試験の概要及びスケジュー ル」、当日配付資料1「医薬品第一部会及び医薬品第二部会の所掌について」を配付して おります。  続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたし ます。資料18を御覧ください。「ビビアント錠20mg」です。本品目は「閉経後骨粗鬆症」 を効能・効果とする選択的エストロゲン受容体モジュレーターであり、この効能・効果を 有する薬剤であって、本品目と同じ薬理作用を有するエビスタ錠のほか、骨粗鬆症の効能 ・効果を有するもののうち売上高上位2品目の薬剤を、資料に掲げるとおり競合品目とし て選定しております。  2枚目を御覧ください。「パルミコート100μg他」です。本品目は「成人及び小児を 対象とした気管支喘息」を効能・効果とする副腎皮質ステロイド剤であり、成人及び小児 を対象とした気管支喘息薬として承認されている副腎皮質ステロイド剤のほか、成人を対 象とした気管支喘息薬として承認されている副腎皮質ステロイド剤であって、現在、小児 の気管支喘息を対象とした開発が進められている薬剤を、資料に掲げるとおり競合品目と して選定しております。  次のページ、「アレロック錠2.5他」です。本品目につきましては、小児におきまして 「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒」を効能・効果とする選択的ヒスタ ミンH1受容体拮抗薬であり、これと同じ効能・効果、薬理作用等を有する薬剤のうち当 該申請品目と同様に、錠剤の剤形にて7歳以上の小児に適用を有する薬剤及び本品目の検 証的試験の対象薬であって、小児に対する標準的な治療薬として評価されている薬剤を、 資料に掲げるとおり競合品目として選定しております。  続きまして、「イーケプラ錠250mg他」です。本品目は、「他のてんかん薬で十分な効 果が認められないてんかん患者の部分発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・ 効果とする抗てんかん薬でありまして、既に承認されている抗てんかん薬のうち本品目と 同様の効能・効果を有する品目であって売上高上位3品目となる薬剤を、資料に掲げると おり競合品目として選定しております。  続きまして、「ヤーズ配合錠」です。本品目は、「月経困難症」を効能・効果とする黄 体ホルモンと卵胞ホルモンの低用量配合剤でありまして、本品目と同様の効能・効果、配 合成分、用法・用量等を有する低用量女性ホルモン配合剤のほか、効能・効果に月経困難 症を含む中用量女性ホルモン配合剤のうちの売上高上位2品目につきまして、資料に掲げ るとおり競合品目として選定しております。  続きまして、「ヴォリブリス錠2.5mg」です。本品目は「肺動脈性肺高血圧症」を効能 ・効果とするエンドセリン受容体拮抗薬であり、同種同効のエンドセリン受容体拮抗薬で ある薬剤のほか、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果とする経口剤のうち売上高シェア上位 2品目につきまして、資料に掲げるとおり競合品目として選定しております。  続きまして、「ミジスマーゼ(遺伝子組換え)」です。本品目は「特発性肺線維症」を効 能・効果とするものでありまして、本品目と同じ効能・効果として承認されている薬剤を 競合品目として選定しております。  最後に、「ノルバスク錠10mg、アムロジン錠10mg他」です。本品目は「高血圧症及び 狭心症」を効能・効果とする1日1回投与の持続性ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬 であり、現在承認されているジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬のうち本剤と同じ高血 圧症及び狭心症の効能・効果を有し、かつ1日1回投与である薬剤のうち売上高上位品目 の薬剤を、資料に掲げるとおり競合品目として選定しております。以上です。 ○松井部会長 ただ今の御説明について、特段の御意見はありませんか。それでは、委員 の皆さんの御了解を得たものと考えます。次に、委員からの申出状況について御説明くだ さい。 ○事務局 各委員からの申出状況について御説明いたします。  議題1、退室委員は大石委員、議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委員、野田委 員、古川委員、山本委員です。  議題2、退室委員は、古川委員、議決に参加しない委員は野田委員です。  議題3、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委 員、野田委員、林委員です。  議題4、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、古川委 員です。  議題5、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委 員、山本委員です。  議題6、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、古川委 員です。  議題7、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員です。  議題8、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、 林委員、山本委員です。以上でございます。 ○松井部会長 本日は審議事項は8議題、報告事項が6議題です。早速、議題1に移りた いと思います。大石委員におかれましては、議題1の審議の間、別室で御待機ください。 ──大石委員退室── ○松井部会長 議題1「医薬品ビビアント錠20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品 の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否 について」審議します。機構から概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1-1、資料1-2、「医薬品ビビアント錠20mgの生物由来製品及び特 定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇 薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  初めに、部会資料における「添付文書(案)1.8」に不備があったことをおわびいたしま す。先生方の机の上に配付させていただきました資料1-2に差し替えていただきたいと思 います。不備の原因は、最終整備後の添付文書案を部会資料とすべきところを、申請者が 最終整備前の添付文書案を綴じてしまったことによります。変更点につきましては、1.8 添付文書(案)の3ページ左下の「【臨床成績】2.外国人における成績」の9行目〜12行 目の文章「また、」〜「(ログランク検定)。」までを削除したものが本日配付させてい ただいた資料1-2になります。それでは、品目の説明をさせていただきます。  本剤は、バゼドキシフェン酢酸塩を有効成分として含有する選択的エストロゲン受容体 モジュレーターであり、閉経期の急激な体内エストロゲンの低下に伴って発症する閉経後 骨粗鬆症に対する治療薬として開発されました。国内では、同様の作用機序を有する薬剤 としてラロキシフェン塩酸塩が既に承認されております。2010年3月現在、本剤は閉経 後骨粗鬆症の治療薬として欧州及びスイスで承認され、□□□□□□□□□□□□。本品 目の専門協議では、資料17に示す先生方を専門委員として指名させていただいておりま す。  以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきま す。本邦ではブリッジング戦略に基づく開発が行われ、審査報告書の63ページ図4に示 しましたように、国内の用量反応試験と海外の骨粗鬆症治療試験との間で、腰椎骨密度増 加効果の類似性が検討されました。その結果、68ページ表35に示しましたように、プラ セボ群における腰椎骨密度のベースラインからの変化率に国内外で相違が見られたもの の、両試験ともに本剤群の変化率はプラセボ群より大きく、69ページ図6に示しました ように、プラセボ群と本剤の各用量群との差に関して本剤20mg群と40mg群の相対的な関 係に国内外で大きな相違は見られなかったこと等から、本剤投与時の腰椎骨密度増加効果 は国内外ともに同様に示されていると判断しました。薬物動態や安全性等も含めて総合的 に検討した結果、54ページ表20に示しましたように、投与36か月後の新規椎体骨折発 生率について、本剤群とプラセボ群との間に有意差が認められた海外の骨粗鬆症治療試験 の成績を日本人の検証的試験の成績として外挿することは可能と判断しました。  安全性については、70ページの表37に示しましたように、全有害事象、投与中止に至 った有害事象の発現状況について両試験間、及び本剤群とプラセボ群間に大きな相違は見 られていないこと、75ページの1)〜79ページの5)で個別の事象について検討した結果 から、本剤の安全性は許容可能と判断しました。  製造販売後調査については、84ページの(4)に示しましたように、観察期間を3年間、 登録予定症例数を3,000例とした長期使用に係る特定使用成績調査が計画されておりま す。当該調査では、静脈血栓塞栓症及び虚血性脳卒中が重点調査項目とされており、肝機 能障害、乳房障害及びその他の生殖障害の発現状況や、高トリグリセリド血症患者、高齢 者、肝機能障害又は腎機能障害を有する患者における安全性について情報収集される予定 です。  以上のとおり、機構での審査の結果、「閉経後骨粗鬆症」を効能・効果として、本剤を 承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断い たしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であ ると判断しております。原体及び製剤は劇薬・毒薬のいずれにも該当せず、また、生物由 来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会で は報告を予定しております。ご審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。 ○佐藤委員 私は、口腔領域から、少し確認をさせていただきたいと思います。  今、特に口腔領域の中で、骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート剤によって顎骨壊 死とか顎骨の骨髄炎とかが起こり問題になっているのですが、その場合にオステオブラス トの働きを抑制するのがBPの薬ですが、本薬では、作用機序のところは今お話にはなか ったのですが、作用機序が違うので、局所的な問題として将来、顎骨壊死等は起きないも のなのかということを確認させていただきたいと思います。 ○機構 将来起こらないという保障はできませんが、既承認類薬は国内で発売されてもう 6年ぐらい経ちます。海外でもこの領域では標準的治療薬として使われておりますが、現 在のところ、ビスホスホネート剤のような顎骨壊死等の報告は出ていないということで す。ただし、作用機序が違いますけれども、この薬剤で起きないかと言われると、これは 起きないという明言はできないのですが、今のところそういう報告はないということは言 えるかと思います。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。今、佐藤委員の御質問で、作用機序が違うという ことでしたが、実際にはどういう機序か御説明願えますか。 ○機構 この薬剤の作用機序としては、骨あるいは皮質代謝においてはエストロゲン作用 を有しておりますが、エストロゲンのように例えば乳房とか子宮といった組織ではエスト ロゲン様作用はこの薬では示さないということです。組織等によってエストロゲン作用を 持ったり、あるいは持たなかったりということで、選択的エストロゲン受容体モジュレー ターという分類名として、略称で言うとSERMということで広く呼称されています。も う一つ標準的治療薬として使われているビスホスホネートとは明らかに機序が違うとい うことです。 ○山本委員 血栓症について、FDAとの食い違いを少し説明していただけますか。FD Aと食い違いがあったということなのですが。 ○機構 その点については審査報告書の75〜76ページ辺りに記載させていただいたので すが、血栓症については75ページの1)静脈血栓塞栓症という項目の4行目ですが、患者 数の食い違いがあるという指摘を受けたということで、米国ワイス社とFDAが協議をし て、改めてその再判定を行うということで合意が得られたということで、表40と表41に 書きましたが、表40が再判定前の結果です。その後、FDAとの合意に基づいて再判定 した結果が表41ということで結果を示しております。表40も41もそうなのですが、プ ラセボ群、本剤20mg、40mg、ラロキシフェン、そういった群で比較してもさほど大きな 違いは見られていない。もちろん、再判定前と後では数字自体が動いてはいますが、群間 比較という意味ではさほど大きな違いは見られていないということで、そういう結果に至 っております。それから、同じように、77ページの表44、表45についても、これは脳血 管障害についての再判定前と後ということで結果が示されていますが、同じように群間で 見てみると、プラセボも含めて、さほど大きな違いは見られていないということです。 ○山本委員 少し増えているように見えるのですが、その辺は大丈夫ですね。 ○機構 数字は動いていますけれども、プラセボとの比較という意味で見比べると、ラロ キシフェンというのは国内でも承認されている類薬ですが、プラセボあるいは実薬と比較 してもさほど違いは見られていないということです。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。特にないようですので、議決に入りますが、加藤 委員、永井委員、野田委員、古川委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申 出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。そのほかの委員の先生 方、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  異議なしと認めますので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。大石先生にお 入りいただいてください。 ──大石委員入室── ○松井部会長 議題2に入ります。古川委員におかれましては、議題2の審議の間、別室 で御待機をいただきたいと思います。 ──古川委員退室── ○松井部会長 議題2は「医薬品パルミコート100μgタービュヘイラー112吸入、同200 μgタービュヘイラー56吸入及び同200μgタービュヘイラー112吸入の製造販売承認事 項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」審議します。機構から概要を説明 してください。 ○機構 議題2、資料3、「医薬品パルミコート100μgタービュヘイラー112吸入、同 200μgタービュヘイラー56吸入及び同200μgタービュヘイラー112吸入の製造販売承認 事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より説 明いたします。  本剤は副腎皮質ステロイド薬であるブデソニドを有効成分とする吸入用散剤であり、本 邦では、成人における気管支喘息治療薬として、1999年6月に承認されております。ま た、本薬の小児用製剤としては、パルミコート吸入液が6か月以上5歳未満の乳幼児用と して2006年7月に承認されておりますが、5歳以上の小児については使用可能な製剤及 び用量がないため、今般、5歳以上の小児に対してもパルミコートタービュヘイラーの使 用が可能となるよう開発が進められ、小児用量の追加に係る承認申請が行われました。海 外においては、パルミコートタービュヘイラーは、2009年6月現在、106か国で承認され ており、そのほとんどの国で小児への適応も承認されております。本申請の専門委員とし ては、資料17に記載されております5名の委員を指名いたしました。  主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書5ページ中段の(1) 第III相試験の項を御覧ください。主要試験として、吸入ステロイドによる治療が必要な5 歳〜15歳までの日本人気管支喘息患児244例を対象に、低用量群として本剤200μg/日及 び高用量群として本剤400μg/日を6週間投与した際の有効性及び安全性を検討する無作 為化非盲検並行群間試験が実施されております。その結果、表1に示しているように、有 効性の主要評価項目である起床時のピークフロー値の正常予測値に対する割合(%mPEF) の投与前から投与6週時の変化量は、本剤の群全体では8.04%であり、投与前後で有意 な改善が認められております。また、本試験では、既に医療現場で汎用されているフルチ カゾンプロピオン酸エステル吸入剤が比較参照薬として設定されており、表1の下段にF P群として示しているように、フルチカゾンの群全体でも投与前後で有意な改善が認めら れております。また、本剤群とフルチカゾン群を比較した結果は6ページの表2に示して おりまして、低用量群、高用量群、群全体のいずれにおいても対応する両群間で大きな差 が認められておりません。これらの成績より、機構は、本剤の5歳以上の小児に対して設 定された用量の妥当性は示されたものと判断しております。  次に、安全性に関してですが、第III相試験における有害事象の発現状況について、本剤 群とフルチカゾン群を比較した結果を表2の下辺りに記載しておりますが、有害事象の発 現率は本剤群50.8%、フルチカゾン群48.4%と両群で大きな差はなく、また、発現した 事象の種類も両群で同様でした。さらに、11ページの下から4行目の(4)安全性につい ての項を御覧ください。本項では特に吸入ステロイド薬の長期使用時に懸念される副腎皮 質機能への影響、成長への影響について、海外臨床試験成績、市販後安全性情報等に基づ き検討しており、その結果については12〜13ページに記載しているように、いずれにつ いても小児への使用に際して大きな問題となる点は示唆されておりません。これらの結果 より、機構は、小児における本剤の安全性について、現時点では特段の問題はないと判断 しておりますが、国内臨床試験で検討された症例数は限られているため、製造販売後調査 において、長期投与時の副腎皮質機能や成長への影響も含め、安全性を引き続き検討する 必要があると考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤の小児用量の追加を承認して差し支えないとの結論に達し、 本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は 4年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御 審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方、どうぞ御質疑をお願いいたします。 ○佐藤委員 口腔に関しての有害事象のことなのですが、4歳以下の方でも効果があった ということを先ほどおっしゃっていましたので、量のことは問題ないでしょうし、Asthma を抑制されることがあって大変良い薬だと思うのですが、成人で使っている例を見ても、 吸入した後に必ずうがいをしてということが厳しく言われます。まして、子どもが対象に なるときに、副有害事象だとは思いますが、舌の上に口腔カンジダ症をかなり起こしてく ることがあります。添付文書にはもちろん書かれるのでしょうが、書かれるだけではなく、 子どもにうがいをうまくさせるということも考えていかなければいけないことかと思い ます。同時に、口腔内ではありませんが、嗄声はうがいでは防げないことですが、この辺 の有害事象について特に慎重に考えていただかないといけないかと思っております。 ○機構 御指摘ありがとうございます。小児において本剤の使用の仕方、適正使用が徹底 して行われるようにということは、重ねて申請者に指示をしたいと思います。それから、 有害事象に関しましても、製造販売後調査でさらに検討されることになっておりますが、 今ご指摘いただいたような点は重点的に調査がされるように検討したいと考えておりま す。 ○松井部会長 子どもにうがいをさせるのはなかなか難しいですね。 ○佐藤委員 はい。大変難しいですね。 ○松井部会長 清水委員どうぞ。 ○清水委員 パルミコートの吸入液を使っていた患者さんが成長に伴って剤形を変える ときの情報が11ページの表8に載っています。この情報は現場で知っていないと結構困 る情報かと思うのですが、この情報の提供方法は何か考えているところがあるのでしょう か。添付文書には記載がないようですが。 ○機構 吸入液とパルミコートタービュヘイラーの有効性を厳密に比較した試験という のは、海外、国内ともに実施されていないという状況です。ですので、用量対応関係が厳 密に評価されているわけではないという状況です。こちらの報告書に書かせていただいて いる表は、これまでに得られている各剤の試験成績から考えるとこのような対応関係にな るであろうということで、目安的な形でつくられているものですので、添付文書に載せる 情報としては十分ではないと考えております。情報提供の仕方ですが、医師向けの説明資 材という形で提供されるということを想定しております。 ○松井部会長 ほかに御質疑ありませんか。よろしければ議決に入りたいと思います。野 田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮 いただきたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。  異議なしと認めます。承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。  古川委員に入室していただいてください。 ──古川委員入室── ○松井部会長 議題3「医薬品アレロック錠2.5及び同錠5、同OD錠2.5及び同OD錠 5の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」審議します。 機構から概要を説明してください。 ○機構 議題3、資料4、「医薬品アレロック錠2.5及び同錠5、同OD錠2.5及び同O D錠5の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医 療機器総合機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるオロパタジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗薬であ り、本邦においては、既に錠剤2.5mg及び5mgが、アレルギー性鼻炎、じん麻疹及び皮膚 疾患に伴うそう痒に対して成人に対して1回5mgを1日2回の用法・用量で2000年12月 に承認されておりますが、今般の申請は、7歳以上の小児の用量として、成人と同じ1回 5mg1日2回を追加するものです。なお、口腔内崩壊錠2.5mg及び5mgの剤形追加が、成 人に対する用法・用量で2010年5月に承認されており、これらについても小児用量の追 加は併せて申請されております。本申請の専門委員としては、資料17に記載されている 6名の委員を指名いたしました。  主な審査内容について簡単に説明させていただきます。小児の用量の設定については、 審査報告書12ページの中段の表5を御覧ください。小児に本剤を投与したときの薬物動 態が検討され、7歳以上の小児に本剤5mgを投与した際の血漿中薬物濃度は、成人に推奨 用量である5mgを投与した場合の濃度範囲とほぼ同様であることが確認されております。  有効性については、14ページ下の(2)「第III相小児通年性アレルギー性鼻炎患児を対 象とした二重盲検比較試験」の項を御覧ください。7歳以上16歳以下の通年性アレルギ ー性鼻炎患児301例を対象に、本剤2.5mg、5mg又はプラセボを1日2回、2週間投与し た際の有効性及び安全性を検討する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されてお ります。その結果、次の15ページの表7に示しているように、主要評価項目とされた3 主徴合計スコアの観察期からの平均変化量は、本剤2.5mg群では−0.95、本剤5mg群では −1.38、プラセボ群では−0.88であり、本剤5mg群のプラセボ群に対する優越性が検証 されております。また、同じページの下の(3)「第III相小児アトピー性皮膚炎患児を対象 とした二重盲検比較試験」の項を御覧ください。7歳以上16歳以下のアトピー性皮膚炎 患児305例を対象に、本剤5mgについてケトチフェンフマル酸塩を対照とする二重盲検並 行群間比較試験が実施され、次のページの上の表9に示しているように、主要評価項目と されたそう痒スコアの投与前からの平均変化量は、本剤5mg群−0.78、ケトチフェン群− 0.71であり、本剤群のケトチフェン群に対する非劣性が検証されております。これらの 成績より、機構は小児のアレルギー性鼻炎及びそう痒性皮膚疾患に対する本剤の有効性は 示されたものと判断しております。  次に、安全性についてですが、小児を対象とした国内臨床試験における安全性解析対象 例417例中62例(14.9%)に副作用が認められております。21ページ上を御覧ください。 副作用の主な事象はここの所に記載されている傾眠22例(5.3%)の他、ここには記載があ りませんが、ALT増加18例(4.3%)、AST増加8例(1.9%)等で、小児に特有の事象 及び臨床上大きな問題となる事象は認められておりませんが、国内臨床試験では症例数が 限られていることから、製造販売後の調査において引き続き検討するよう指示しておりま す。  以上の審査を踏まえ、本剤の小児用量の追加を承認して差し支えないとの結論に達し、 本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は 4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御 審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。 ○古川委員 小児の痙攣の話がいろいろ出ているのですが、その辺をまとめて話していた だけますか。 ○機構 審査報告書では20ページ(4)「安全性について」の所に記載しておりますが、 非臨床試験で幼若動物で痙攣の所見が認められていることそれから、痙攣、てんかん等が 重大な副作用とされている類薬があることから、この事象について特にこの本剤で起こっ ているかどうかということに関して審査の中で確認した経緯をここに記載しております。 結論としましては、臨床試験で認められた事象は傾眠と頭痛のみであり、初回承認の後の 製造販売後の使用成績調査において小児227例に投与されていますが、その中でも特段の 事象は認められていないということから、現時点で本剤においてそのリスクは認められて いないと考えております。ただ、そこは製造販売後調査の中で確認していきたいと考えて おります。 ○松井部会長 20ページの脚注にも多少の記述があるようですね。これもそれに関連す る脚注と考えてよろしいのですか。 ○機構 20ページの脚注は、臨床試験の中で2.5mgが投与された患者さん1名がてんか んの合併症を有するのですが、てんかんの合併症を有する患児の組入れの妥当性というと ころが問題になりますので、過去3年間てんかんの発作がなくて、治験の対象として適切 と判断されたので組み入れたという旨を脚注として追記しております。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。 ○山本委員 慢性の症状の患者さんがずっと飲む可能性があるので、小児といっても傾眠 というのは大きなファクターになると思うのですが、H1受容体拮抗薬の中ではほとんど 傾眠がない他剤があると思うのですが、それとの比較とか、そういうものについての情報 はあるのでしょうか。5.6%というのはどのぐらいのものなのかというのはなかなか分か りにくいのですが。 ○機構 類薬と比較するのは、お互いに臨床試験としてデザインが異なっているというこ ともあってどうしても限界があるかと思います。また、本剤の臨床試験でも、例えば先ほ ど申し上げた通年性アレルギー性鼻炎患児を対象とした試験では、本剤群で2.5mg群で傾 眠2例、5mg群で1例、プラセボ群で1例というような感じで、試験間でいろいろなばら つきもあるかと思われ、類薬との比較に関して、現時点で何ともお答えはできないという ところがありますので、そこも製造販売後調査の中で小児において、傾眠が問題とならな いかについては確認していきたいと考えております。 ○山本委員 成人でこの程度の傾眠傾向を有するほかの薬剤で、小児で既に承認されてい るものが実際にあって、それは特に問題になっていないかどうかというのはどうでしょう か。簡単に言うと、ある薬品はラベルとしてほとんど眠気はないという抗ヒスタミン薬が あるわけですね。それに対してこれを小児に認めることが妥当かどうかということについ ては、一応、見解があった方がいいのではないかと思うのですが。 ○松井部会長 山本委員も当然お読みだと思いますが、ここには軽症の者が22例で一番 多いというふうに書いてありますね。それで、本剤を投与中止することなく回復を認めた という説明ではありますが、今の御質問に対してはいかがですか。ほかに有害事象の少な い薬があるのに、これに対してどう思うかという御質問だと思います。 ○機構 御指摘のとおり、そのような薬剤も存在しますけれども、今お話もありましたと おり、審査報告にも書かせていただきましたが、本剤についても、傾眠、投与の長期化に 伴って発現するというものではなくて短期間で発現するものが多く、また、軽度なもので あったことから、臨床上大きな問題となるようなものではないと考えており、本剤におい てそれほどの大きな問題にならないというふうに考えております。 ○松井部会長 ただし、そういう有害事象があるのだということは、服薬する患者の家族 に言っておく必要があるわけでしょうね。 ○機構 はい。成人と同等の添付文書での注意喚起を予定しております。 ○林委員 製造販売後の調査についてお聞かせください。先ほどのはたまたま小児だった のですが、先ほどの議題のものは1年投与を市販前にやっていて、市販後に2年投与を目 標にする長期の試験をされているのですが、今回の議題のものは12週投与が長期試験と いうふうに呼ばれていて、市販後も12週で行う。小児の場合は、この薬剤の場合は12週 を超えることは基本的にないというふうに考えてよろしいですか。その辺のルール等があ れば教えてください。 ○機構 先ほどのパルミコートの場合には、成長などへの影響も考慮しなければいけない ので長い製造販売後調査の観察期間を考えなければいけないと思うのですが、本剤につい てはそこまでのリスクは今のところ見られていないということと、12週間投与して、そ の結果を見て、小児において、長期間投与で成人と比較して何か特段のリスクが認められ るような場合には、またその時点で長期の観察について再度検討したいというふうに考え ております。 ○林委員 ということは、必ずしも、小児では長期で投与される可能性がある薬剤でも、 薬剤によっては6か月というようなことは見なくても構わないと考えていい。 ○松井部会長 要するに、疾患ごとにその辺の対応を変えているのかどうかという御質問 と考えてよろしいのでしょうか。 ○機構 抗ヒスタミン剤は安全性プロファイルはよく分かっておりますし、まずは成人と の比較というところでそこを見てということで、12週間という観察期間でも大きな問題 はないというふうに考えております。 ○大石委員 用量の所で、成人の用量と同じにしてもAUC等にそれほど変わりはないと いうデータを示されておられますが、例えば添付文書の用法・用量の所に、成人の場合は なお年齢、症状により適宜増減すると書いてあるわけですけれども、小児の場合は一切書 いてないのですが、そういうファクターは小児にも当然当てはまることではないかと思う のです。用量は同じと書いても、その下に、成人の場合は適宜増減と。年齢とか体重とか も考えてということでしょうけれども、例えば7歳以上はこれでいいとすると、体重がか なり低い人の場合でもこれに従って投与するということになるので、この注意事項という のは成人も小児も両方を受けて書くようにするようにできないのでしょうか。 ○機構 小児の開発の中で、低年齢・低体重と高年齢・高体重の患児で有効性や安全性の 比較とか薬物動態の比較等も行われていて、現在のところ、そういった年齢・体重が大き く影響を及ぼすようなファクターが認められておりませんので、現時点でそこのところを 年齢によりというふうな記載をするだけの根拠はないと考えて、用法・用量には特に記載 をしておりません。また、適宜増減に関してですが、増量についてはこの臨床試験の中で 増量が行われておりませんのでそれを含めない。それから、減量についても、減量したも のに関して有効性が確認されているとは言えないということから、今回の用法・用量の所 ではそれを記載しないということにしたものです。 ○大石委員 それも含めて市販後に調査をするということになりましょうかね。 ○機構 はい。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。 ○清水委員 今の所なのですが、大石先生の質問の関連なのですが、14〜15ページの頭 の1行ですが、2.5mg群とプラセボ群間に有意な差は認められなかったというのが根拠と いうことでしょうか。 ○機構 こちらの試験が根拠でありますし、あと、薬物動態的にも、実際に表5で示され ているとおり、2.5mgを投与したときの曝露量というのは、成人での有効推奨用量に達し ておりませんので、そこら辺も含めてそのような判断になりました。 ○清水委員 添付文書を見たときに、今の表記というのは、上がってきた添付文書を見た ときに薬剤師は必ず引っかかるだろうと。大人にあってなぜ小児にないのだということに なると思うので、もしそのことが根拠であるならば、その臨床試験成績の所の小児の所に、 0420試験のデータが出ているかと思うので、2.5mgではプラセボとの優越性が認められて いないということの記載をしておくというのは方法かと思うのですが、いかがでしょう か。 ○機構 御指摘いただいたところは今後検討させていただきたいと思います。ありがとう ございます。 ○松井部会長 必要なことだと思います。よろしくお願いいたします。ほかにはありませ んか。それでは、議決に入りたいと思います。加藤委員、永井委員、野田委員、林委員に おかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮ください。 ほかの委員に対して伺います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。  異議ないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告といたします。  それでは、議題4に移ります。議題名は省略いたします。機構から概要を御説明くださ い。 ○機構 議題4、資料5、「医薬品イーケプラ錠250mg及び同錠500mgの生物由来製品及 び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又 は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるレベチラセタムはベルギーのユーシービー社で開発されたピロ リドン誘導体であり、海外では1999年11月に米国で成人てんかん患者の部分発作に対す る他の抗てんかん薬との併用療法の効能・効果で承認されて以来、2010年1月現在、92 の国又は地域において承認されております。本邦においては、□□年□月から臨床試験が 開始され、今般、部分発作(二次性全般化発作を含む)の抗てんかん薬との併用療法におけ る有効性及び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われたものです。本申請の 専門委員としては、資料17に記載されております10名の委員を指名いたしました。  審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。有効性についてですが、 審査報告書46ページの表を御覧ください。第II/III相試験において、主要評価項目である FASでの評価期間における週当たりの部分発作回数の減少率はプラセボ群と比較して、 本剤群で20.9%、本剤1,000mg/日群では18.8%と有意な減少が認められています。また 審査報告書47ページ下から4行目を御覧ください。第III相試験においては、主要評価で あるFASでの評価期間における観察期間からの週当たりの部分発作回数減少率におい て、本剤1,000mg/日群、3,000mg/日群及びプラセボ群の3群間において統計学的な有意 差は認められませんでした。審査報告書55ページの表を御覧ください。第III相試験にお いて本剤群とプラセボ群で差が認められなかった理由は必ずしも明確にはなっておりま せんが、第II/III相試験で本剤の有効性が認められていること、第III相試験においてレス ポンダーレート及び発作消失割合では、本剤1,000〜3,000mgはプラセボ群を上回ってい ること、海外臨床試験では本剤1,000〜3,000mgの有効性が示されており、本剤は海外で 既に標準的な薬剤と位置付けられているということを踏まえ、本剤の有効性は示されたと 判断しております。  次に、安全性についてですが、審査報告書58ページの表及び図を御覧ください。本剤 投与により中枢神経系の有害事象として傾眠、浮動性めまい及び頭痛等が認められました が、多くは軽度から中等度であり、発現時期についても長期間投与することにより増加す る傾向は認められておりません。また、審査報告書60ページの上及び中央の表を御覧く ださい。国内外の臨床試験において、好中球及び白血球数減少が認められており、国内臨 床試験での発現率が高い傾向が認められておりますが、国内臨床試験における好中球数及 び白血球数のベースライン値が低かったことが要因と考えられており、認められた事象も 軽度から中等度であったことから、特に臨床上大きな問題はないと考えております。この 点につきましては添付文書上で注意喚起をしており、これらの事象の発現状況について は、製造販売後調査において引き続き検討する予定としております。  以上の審査を踏まえ、本剤の他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患 者の二次性全般化発作を含む部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法に対する 効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが 適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間を8年、原 体及び製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製 品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会は報告を予定しており ます。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。 ○佐藤委員 61ページの辺りだと思うのですが、自殺について伺います。併せて本剤に よる自殺リスクについてということが書かれていますが、通常、こういう部分発作につい て使う薬でこういうことが起こってくる、サイドエフェクトとして起こり得る理由は何か あるのでしょうか。これは否定できないというふうに読めているのですが、いかがなので しょうか。 ○機構 現在、抗てんかん薬に関しては、米国FDAで自殺リスクに関する検討が既に行 われておりまして、その中で、否定はできないという話が出ております。海外でもそうい う検討がなされていることから、この薬剤に関しても検討はさせていただきましたが、特 段、この薬でそのリスクが高まることはないであろうということから、現在、ほかの抗て んかん薬でも併せて注意喚起させていただいている内容で十分問題ないであろうと判断 しております。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。この発作減少回数とレスポンダーレートの点につい ては、皆さん、私も含めて、疑問符を持っていらっしゃる方は少なくないと思うのですが、 多少、説明を加えていただけますか。 ○機構 部分発作回数減少率といいますのは、てんかん発作の部分発作の回数を投与前後 で比較したときに、具体的に何%程度下がったかというのを見ているのが今回の部分発作 回数の減少率となります。また、レスポンダーレートにつきましては、患者さん個々に、 投与前後で50%以上若しくは75%以上減少したような患者さんがどの程度いたのかとい うのを示すのがレスポンダーレートです。発作消失割合というのは、完全に発作がなくな ったというような患者さんがどれぐらい出たかということでその割合を出します。 ○松井部会長 ということは、レスポンダーレートというのは、その50%というのは痙 攣の強さとか定性的な部分も含まれているという、単なる回数だけではないということで しょうか。 ○機構 回数だけになります。 ○清水委員 今のところはなかなか難しいところだと思うのですが、市販後のことが書か れていてそこを読んだのですが、今のような点が拭えるような市販後調査の内容になって いるのかどうか読み取れなかったのです。そこのところを教えていただければと思いま す。 ○機構 少なくとも、患者さんが来院された際に、家族等も含め、実際に発作がどの程度 起きたかということを、聞き取り調査という形にはなりますが、確認させていただきなが ら発作回数を確認する予定になっております。 ○清水委員 市販後調査がきちんと一定数まとまったときには、一定の新たな評価を出せ るということは考えられる。 ○機構 そうです。その結果をきちんと出せると考えております。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。ないようですので議決に入りたいと思います。永井 委員、野田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決 への参加を御遠慮いただきたいと思います。ほかの委員の先生方、本議題につきまして、 承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。  それでは、議題5に移ります。機構から概要を説明してください。 ○機構 議題5、資料6、「医薬品ヤーズ配合錠の生物由来製品及び特定生物由来製品の 指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否に ついて」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  本剤は、黄体ホルモンであるドロスピレノン(以下、DRSP)3mgと卵胞ホルモンで あるエチニルエストラジオール(以下、EE)0.02mgを含有する淡赤色の実薬錠24錠及び 有効成分を含有しない白色のプラセボ錠4錠からなる28錠を1シートに包装した製剤で す。海外では、避妊の効能・効果で2009年5月31日までに米国及び欧州等71か国で承 認されております。  経口避妊薬を含む黄体ホルモン/卵胞ホルモン配合剤は、月経困難症の症状緩和効果を 有し、国内外のガイドライン及び月経困難症に関する多くの総説に記載されており、米国 及びカナダでは副効用として添付文書に記載されております。本邦において本剤は、月経 困難症治療薬としての医療上の必要性、並びに低用量経口避妊薬の月経困難症治療への適 応外使用の実態等を考慮し、月経困難症治療薬として臨床開発が行われました。今般、第 II/III相DRSP用量設定及びプラセボ対照比較試験(310283試験)並びに第II/III相EE 用量設定及び長期投与安全性試験(310284試験)などの成績に基づき、月経困難症を効能 ・効果とする製造販売承認申請がなされたものです。  本品目の審査に関して、専門委員として、資料17に記載されている委員が指名されま した。本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について説明いたします。有効性につい てですが、審査報告書59ページの表3を御覧ください。国内第II/III相DRSP用量設定 及びプラセボ対照比較試験(31028試験)では月経困難症患者を対象として、DRSP1 mg/EE0.02mg、DRSP2mg/EE0.02mg、DRSP3mg/EE0.02mg、又はプラセボが4周期(16週)投 与されました。その結果、実薬錠3群は、いずれもプラセボ群と比較して主要評価項目で ある月経困難症スコア合計の有意な改善が見られ、各実薬群の月経困難症に対する有効性 は示されました。DRSPの用量については、本剤投与中の患者は、経口避妊薬を投与で きないこと、他の避妊手段を用いることができない患者も少なくないことを考慮し、患者 の妊娠を可能な限り避ける観点からは、日本人患者においても排卵抑制作用が期待でき、 海外では経口避妊薬として承認・使用されている、DRSP用量である3mgを選択する ことが妥当と判断いたしました。  審査報告書59ページ下から5行目を御覧ください。国内II/III相EE用量設定及び長期 投与安全性試験(310284試験)では、月経困難症患者を対象にDRSP3mg/EE0.02mg(13周期) 及びDRSP3mg/EE0.03mg(6周期)が投与されました。主要評価項目とされた試験薬投与開 始後第6周期の月経中間出血の発現率は、DRSP3mg/EE0.02mg群で12.6%、DRSP3 mg/EE0.03mg群で7.1%であり、95%信頼区間の上限の発現率は、あらかじめ臨床的に許 容可能な範囲として設定された閾値発現率である27.56%を下回っていたことから、EE の用量として0.02mgを選択することは妥当と判断いたしました。  これらの試験結果により、本剤の用量はDRSP3mg/EE0.02mgとすることが妥当であり、 用量については臨床試験の用法どおり、実薬錠を1日1回24日間経口投与し、続いてプ ラセボ錠を1日1回4日間経口投与することが妥当と判断いたしました。  安全性についてですが、審査報告書59ページ表4を御覧ください。310283試験のDRSP 3mg/EE0.02mg投与群でプラセボ群より多く見られた有害事象は、頭痛、悪心、不正子宮 出血、凝固検査異常等でした。また、審査報告書60ページの表6に記載されているよう に、DRSP3mg/EE0.02mgが13周期(52週)投与された310284試験でも有害事象の内容はほ ぼ同様でした。本剤投与における有害事象は、既存の低用量経口避妊薬の有害事象の発現 状況と類似しており、未知の副作用は特に認められていないことから、本剤を月経困難症 患者に投与した際の安全性は忍容可能であり、適正に使用されれば大きな問題はないと判 断いたしました。  なお、製造販売後調査については、審査報告書73ページの下から8行目から記載され ているように、再審査期間中に、3,000例を対象に、機能性月経困難症及び器質性月経困 難症患者の本剤使用実態下における副作用発現等の安全性に関する情報を収集する調査 を実施する予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を月経困難症の効能・効果で承認して差し支えな いとの結論に達し、本医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断い たしました。本剤は原体・製剤ともに毒薬・劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物 由来製品に該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると 判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお 願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質問、御意見等を伺う前に、このヤーズというのは手 元にあるこれですね。 ○機構 お手元に製剤見本をお配りしていると思います。 ○松井部会長 この白いのが、プラセボということですね。 ○機構 はい。 ○松井部会長 それでは御質疑をお願いいたします。 ○佐藤委員 プリミティブな質問で申し訳ございません。59ページの表4の「主な有害 事象」というのがあります。この表の読み方ですが、月経困難症を治す薬であるのに、有 害事象として頭痛や月経困難症や鼻咽頭炎などと挙がってくる理由は。減少したというこ となら分かるのですが、有害事象と取るのはどうしてなのでしょうか。教えていただきた いと思います。 ○機構 機構より御説明いたします。月経困難症自体が、もともと鎮痛剤などの治療を必 要とする疾患ですので、そういうところで患者さんの訴えがあったときに、医師が有害事 象として報告したということであると考えられます。完全に月経困難症がなくなった患者 さんもいるでしょうが、軽度改善はしたけれども、完全には治らなかった患者さんも含ま れています。そのときに有効性の指標としての月経困難症スコアで、有効性の改善も見て おりますが、副作用としてではなくて有害事象として月経困難症が報告された症例も一定 数ある、というように御理解いただければと思います。 ○佐藤委員 例えば、頭痛がその人にとって、もともとの月経困難症の一つの症状であっ ても、それが取れていないときには有害事象として評価というか、ポイントしているとい うことでしょうか。 ○機構 そのように報告されてくることもあるということです。 ○佐藤委員 そうすると、余り薬としての有害事象とは薬効があったといえないわけです が。 ○機構 もともと原病で起こるような症状を有害事象として報告されることも当然あり ますので、その範疇に含まれるものと御理解いただければと思います。 ○松井部会長 ほかにいかがですか。 ○清水委員 この薬剤が市場に出たときの運用で一番問題になるのが、保険で使える低用 量ピルが出たということにならないようにするための方策、あるいは指導等行っているこ とがあったら教えていただきたいのですが。 ○機構 適正使用に関しては、患者への資材、医療関係者への資材の提供等も含めて検討 させていただければと考えております。保険で使える低用量ピルという問題については、 恐らく本剤を使うか、現在市場に出ている低用量ピルを自由診療で用いるかについては、 患者さんの負担する薬価の問題にもかかわってくると思います。そこの問題も含めて、薬 価は保険局の方で御検討いただけると考えております。あとは添文や患者への情報提供資 材、医療関係者への情報提供資材等で適正使用を図っていくことを、今日の先生の意見も 踏まえて検討してまいりたいと思います。 ○清水委員 添付文書の2ページの「2.重要な基本的注意事項」の(1)に、「本剤を避 妊目的で使用しないこと」と書かれています。これをもう少し格を上げて、効能・効果に 関する使用上の注意という立場で、効能・効果の下に書くことは難しいのですか。これは 意見ですが、どうでしょうか。 ○機構 御意見ありがとうございます。どの位置にあるから注意がどの程度違ってくるか ということですが、基本は書いてあれば、きちんと情報提供されなければならない情報だ と思っておりますが、先生の御指摘があったということも踏まえて、企業の方にも申し伝 えてみたいと思います。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。 ○加藤委員 非常にプリミティブなことを伺いたいのです。64、65ページに、この薬効 をどう評価したかというデータが出ています。表7にはビジュアルアナログスケールによ る評価が出ており、表8には月経困難症スコアの合計がどう変わったかというのが出てい ます。このスコアをどうして選んだかという根拠が、63〜64ページに出ているわけです が、これがどのようなスコアかということをいろいろ考えてみると、どう見ても指標とし ては、ノンパラメトリックな指標のように感じます。  さらに、鎮痛剤の使用スコアを単純に和として表現するとか、その下の段落に月経困難 症のスコアの変化量を−2.5と設定したとあります。表7、表8と全部、有意性がt検定 で評価されているのですけれども、こういう指標を単純なt検定で有意性があると評価し てもいいのかどうかということについて、非常に原則的なことですけれども伺いたいと思 います。 ○松井部会長 ノンパラメトリックなデータを。 ○機構 機構よりお答えいたします。これは、類薬で先般承認されているルナベル配合錠 のときも、同様の評価項目を用いて有効性の評価が行われております。ルナベル配合錠の 開発のときに、このスコアを単純な和として計算することの妥当性も含めて、月経困難症 の有効性を評価していいスコアかどうかということが、検討されております。そのときの 検討結果も踏まえて、今般この申請者が、今回の薬剤の有効性の指標にも用いてもよいと。 スコア自体はノンパラメトリックな見た目ですけれども、平均値を用いた評価をしてもよ いのではないかというところで、今回評価がなされてきているところです。 ○松井部会長 その辺は林委員、御専門の立場から御意見をお願いします。 ○林委員 一般的に言うと、確かに御指摘のように、これは順序を指標にした統計量を使 うのが一般的です。ただ、順序の指標を使わなくても分類の段階が増えていくと、徐々に 計量的な扱いにしてもいいということになります。この場合は多分合計が6点までいくの ですかね。では何段階まで行ったらいいかというのは、なかなかはっきりは言えないので すが、ざっくりと近づいてきているので、使ってもいいだろうという感じはあるだろうと 思います。通常の0123ぐらいだけですと、多分順序分類の扱いをしているのだと思いま すが、そういうことも検討されたということなので、それほど問題ではないのではないか と思っております。 ○松井部会長 ほかに御意見、御質問はありませんか。それでは議決に入ります。永井委 員、野田委員、山本委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただきたいと思いま す。そのほかの委員の先生方に伺います。本議題について、承認を可としてよろしいでし ょうか。  ありがとうございます。御異議がないと判断いたしましたので、承認を可として、薬事 分科会に報告いたします。  次は議題6をお願いします。機構から概要を御説明ください。 ○機構 議題6、資料7、「医薬品ヴォリブリス錠2.5mgの生物由来製品及び特定生物由 来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定 の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  アンブリセンタンはドイツKnoll社(現:Abbott Ladoratories社)により創製された、 エンドセリン受容体拮抗薬であり、肺動脈性肺高血圧症の病態との関与が大きいとされて いるエンドセリン受容体、サブタイプAを選択的に阻害する薬剤です。本薬は、米国で 2007年6月に、「WHO機能分類クラスII又はIIIの症状を伴う肺動脈性肺高血圧症患者 における運動耐容能の改善及び臨床的増悪の遅延」の効能・効果を承認されたのをはじめ、 2010年3月現在、米国及び欧州を含む40か国で承認されております。  本邦では、2007年からグラクソ・スミスクライン株式会社により本薬の開発が開始さ れ、2009年6月に医薬品製造販売承認申請がなされましたが、原薬及び製剤の安定性試 験の成績が不足していたため、一旦申請が取り下げられ、2009年12月、「肺動脈性肺高 血圧症」を効能・効果として再度承認申請されております。なお、本剤は2007年5月に、 「肺動脈性肺高血圧症」を予定効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されておりま す。  本品目の審査に関して、専門委員として、資料17に記載されている委員が指名されて おります。本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について説明いたします。まず、有 効性について説明します。審査報告書55ページの表5及び表6を御覧ください。日本人 肺動脈性肺高血圧症患者25例を対象に有効性及び安全性を確認する国内第II/III相試験 が非盲検で実施されました。投与12週時までは、原則として本薬5mgが投与され、投与 4週時に被験者の忍容性に懸念が認められた場合には2.5mgに減量し、12週まで投与を 継続することとされております。また、投与12週時から投与24週時までの12週間は、 10mgまで本薬を増量することができ、被験者の状態に応じて2.5mg、5mg及び10mgが投 与可能とされております。  表5に示しておりますように、有効性の主要評価項目とされた投与12週時の6MWD と記載している6分間歩行距離のベースラインからの変化量は、+33.49mと増加してお ります。投与24週時には+46.82mとさらに増加しております。また、表6に示した副次 評価項目のうち、右心カテーテル検査の血行動態パラメーター、mPAP(平均肺動脈圧) 及びPVRI(肺血管抵抗係数)のベースラインからの変化量についても、投与12週時、 さらに投与24週時にベースラインと比較して改善していることから、本薬の有効性は示 されたと判断しております。  次に審査報告書57ページ、図2を御覧ください。これは国内第II/III相試験を完了した 被験者を対象とした長期投与試験における6分間歩行距離のベースラインからの変化量 を平均して推移を示したものです。横軸は、国内第II/III相試験のベースライン時を0週 としてありますので、長期投与試験の開始時は24週時点となります。6分間歩行距離の 改善は、投与84週時においても認められており、本薬の有効性は長期にわたって維持さ れていることが示唆されております。  次に、安全性について御説明いたします。審査報告書56ページの表7を御覧ください。 本剤を24週間投与したときに見られた主な有害事象を示しております。発現割合の高か った頭痛、鼻閉、末梢性浮腫、潮紅等については、本薬の血管拡張作用に起因すると考え られ、慎重に投与することで管理可能であると考えております。  続いて審査報告書70ページの下から7行目以降を御覧ください。本邦で既に承認され ている類薬のボセンタン(販売名:トラクリア錠)において、肝臓に関連した副作用が臨床 的に問題となっております。特にALT、ASTが増加することが知られており、ALT、 ASTが基準範囲上限の3倍を超える肝機能検査値異常は、9%見られていることが報告 されております。一方表16に示したように、国内II/III相試験では、ALT及びASTが 基準範囲上限の2倍を超えた症例は認められず、表には記載しておりませんが、国内長期 投与試験で21例中2例に基準範囲上限の3倍を超えるASTの上昇が見られましたが、 一過性のものでした。  また、海外臨床試験においても、ALT、AST、総ビルビリンともプラセボ群の発現 割合と同程度以下の成績が得られており、本薬が重度の肝障害を引き起こす可能性は、ボ センタンよりも低いと推察されます。したがって、ボセンタンでは、肝機能検査を投与前 に実施し、投与開始3か月間は2週に1回の肝機能検査が望ましく、その後も少なくとも 1か月に1回実施する旨、添付文書において注意喚起されておりますが、本剤では、肝機 能検査を投与前に実施し、投与中においても少なくとも1か月に1回実施する旨注意喚起 することが適切であると判断しております。  本薬の用法・用量についてですが、審査報告書86ページの上から6行目以降を御覧く ださい。国内第II/III相試験では、本薬5mg群において、日本人肺動脈性肺高血圧症患者 に対する有効性が認められていること、国内第II/III相試験を完了した21例のうち、用量 調節期間に本薬5mgから2.5mgに減量した被験者はいなかったことに加えて、本薬10mg から5mgに減量した被験者は1名のみであり、10mgの忍容性はおおむね良好であると考 えられたこと、さらに、国内外の臨床試験で、日本人及び外国人の肺動脈性肺高血圧症患 者において同様の安全性プロファイルが示されていることから、日本人患者においても、 海外と同様に投与開始時には本薬5mgを1日1回投与することとし、忍容性に問題がな い場合に症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量することは妥当と判断してお ります。  続いて、本剤の臨床的位置付けについて御説明いたします。審査報告書83ページの中 段を御覧ください。本剤は類薬であるボセンタンと比較して、重度の肝機能障害発現の可 能性が低いことが推察されることのほかにも、本剤はボセンタンよりも薬物間相互作用が 少ないこと、ボセンタンは1日2回の投与ですが、本剤は1日1回の投与であることは、 ボセンタンと比較して本剤のメリットはあると考え、ボセンタンと同様、肺動脈性肺高血 圧症の第一選択薬又は併用療法で用いる治療薬とすることが可能な薬剤であると考えて おります。  製造販売後調査についてですが、審査報告書87ページの中段以降を御覧ください。国 内での治験症例は極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータ が集積されるまでの間は、本剤が投与された全症例を対象とした使用成績調査を実施する ことにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関 するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずることを承認条件とする 必要があると判断しました。なお、使用成績調査では、重点調査項目として貧血、体液貯 留、出血、心不全及び肝機能障害の発現状況、並びに肝機能障害患者における有効性及び 安全性について情報収集を行う予定です。  以上の検討を行った結果、全症例の使用成績調査を承認条件として付した上で、本剤を 「肺動脈性肺高血圧症」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第 一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、原体及び 製剤ともに毒薬、劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判 断しております。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間 は10年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定してお ります。  最後に、机上に配付している製剤見本を御覧ください。本剤は、裏側ですが、PTPシ ートにシールを張ったチャイルドレジスタント包装がなされております。添付文書におい て適応上の注意の項で注意喚起をするとともに、患者には、机上に配付しているヴォリブ リス錠の取出し方の資料を配付する予定となっております。以上です。御審議のほどよろ しくお願いいたします。 ○松井部会長 それでは委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょう か。 ○清水委員 今、包装形態についての御説明があったのですけれども、今回、この薬剤に ついてこの包装形態を採ったことの理由というのは、何かあるのでしょうか。 ○機構 機構よりお答えいたします。本剤だけに適用したということではありません。グ ラクソ・スミスクライン株式会社においては今後、適用に応じてこのような包装を採用し ていくということです。ただ、これがグラクソ・スミスクライン株式会社で初めての本邦 での採用となります。 ○松井部会長 子供も取り出しにくいし、老人が包装ごと飲んでしまうこともないでしょ うね。ほかに御質疑はありませんか。よろしいでしょうか。  それでは議決に入ります。この議題については永井委員、古川委員には議決への参加を 御遠慮いただきたいと思います。残りの先生方、この議題について承認を可としてよろし いでしょうか。  御異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告いたします。  次は議題7です。事務局から概要を御説明ください。 ○事務局 議題7、資料8、「ミジスマーゼ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指 定することの可否について」事務局より説明いたします。資料8の「評価報告書」を御確 認いただければと思います。これは機構の事前評価報告書ですが、こちらに沿って希少疾 病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について 御説明申し上げます。  まず、本剤に予定される効能・効果は、特発性肺線維症です。申請者は株式会社LTT バイオファーマです。はじめに、対象患者についてです。御覧のページの1.「対象者数 について」に沿って御説明いたします。特発性肺線維症は、肺胞隔壁を主な病変とする原 因不明の疾患群である特発性間質性肺炎の一疾患です。次のページの上から5行目を御覧 ください。本邦における特発性間質性肺炎の患者数は、種々の疫学調査の結果から4,000 人〜1万5,000人と推定されております。申請対象疾病である特発性肺線維症は特発性間 質性肺炎に含まれることから、希少疾病用医薬品の指定要件の一つである、5万人以下を 満たすものと判断しております。  同じページの2.「医療上の必要性について」を御説明いたします。いわゆる難病の一 つである特発性肺線維症は、予後が不良であり、5年生存率は約20%と報告されており ます。米国胸部学会/欧州呼吸器学会の共同声明において、副腎皮質ステロイドと免疫抑 制剤の併用療法が暫定的に推奨療法とされ、本邦でもこれに準拠した治療法が行われてお りますけれども、有効性の明確な根拠は乏しいとされております。また、2008年に特発 性肺線維症の適応で承認されたピルフェニドンという薬がありますが、光線過敏症、消化 管障害等の副作用のため、治療の継続が困難な患者が存在している状況です。そのため、 薬物療法の新たな選択肢が求められているところです。本剤の有効性、安全性が今後の審 査で認められれば、特発性肺線維症に対する治療に貴重な選択肢の一つを与えるものであ ろうと判断しております。  最後に、3の「開発の可能性について」を御説明いたします。本剤については、国内第 II相試験が実施され、安全性及び有効性が検討されているところです。現在、プラセボ対 照二重盲検比較試験の実施が検討されているところです。  以上より、本剤の開発の可能性はあると考えており、対象患者数、医療上の必要性、開 発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと 判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 それでは御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○手島委員 この薬は新しい作用機作を持つということで、希少疾病用医薬品として指定 することに大きな問題はないと思うのですけれども、純度と投与期間という2点だけ御質 問したいと思います。13ページの中程に純度試験というのがあるのですが、これは、メ インバンドは純度□%以上ということで、それ以外の類縁物質が□%以下ということで す。これは菌体から精製してきたものですが、純度□%以上というのは菌体成分はほとん ど含まれていない。それで□%の類縁物質というのは、本体の分解物などであるという認 識でよろしいのでしょうか。あと、類縁物質がメインピークの前部にショルダーピークを 認めないとあるのですが、これはSODにレシチンを結合したもので、凝集体などを作る ことがないのかどうか。静注を使われるということなので、そういうことについてお聞き できればと思いました。 ○松井部会長 純度と、それから投与期間と先生がおっしゃったのは。 ○手島委員 「投与方法、投与期間」というのが33ページの(5)に書かれているのです。 臨床の第II相試験では80mg連日静脈内投与を1か月実施していたということで、動物実 験でも17ページの図ニ-3で、14日の連日投与で1.5mg/kgで、動物で有効性が出たとい うのが基になっていると思うのです。もう一度33ページに戻りますけれども、これから の試験の中で、まず連日投与を1か月間した後で、動物での薬理試験結果に基づき、その 後は80mg、週1回の静脈内間歇投与として、総投与期間26週間するとあるのです。動物 実験では□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、その後の実験というの は、かなり慎重に行う必要があるのではないかということです。 ○松井部会長 26週間の根拠は何か、という御質問と換えてよろしいですか。 ○手島委員 はい、そうです。 ○松井部会長 いかがでしょうか。二つの御質問です。 ○事務局 事務局より回答いたします。本剤についてはまだ申請前ですので、医薬品とし て最終的にどのような純度の規格を設定するのか、あるいは今回は製剤の純度ですけれど も、どういった試験を行うか、そういった辺りについてもここで決定というわけではあり ません。最終的に、申請までの間に具体的に必要なものを詰めていって申請されれば、審 査の中でそれが適切であるかを判断されることになろうかと思います。今般いただいたメ インバンドの純度が□%以上ということですが、現時点ではこれ以上の情報が事務局側と してもありませんので、そういった御指摘があったことを踏まえて、今後もし申請されれ ば、審査の中でも考えてまいりたいと思います。  投与期間に関する話ですけれども、これも同様に、第III相試験のプロトコールについて は、現在まだ検討を進めているところですので、どういった観点で安全性等に関して十分 な注意を行うべきかといった部分については、今後とも事務局あるいは機構等から指導し てまいりたいと考えております。 ○松井部会長 今のような質問が出たことを申請者に伝えて、次回の申請のときには、そ の点を十分に留意して申請するようにお伝えください。それでよろしいですね。 ○事務局 はい。 ○松井部会長 ほかに御質問はありませんか。この件については指定ですね。それでは議 決に入ろうと思います。永井委員におかれましては利益相反に関する申出に基づいて、議 決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしい でしょうか。  異議なしと認めますので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。  それでは審議議題8について、事務局から概要を説明してください。 ○事務局 議題8、資料9「ノルバスク錠10mg及び同OD錠10mg並びにアムロジン錠 10mg及び同OD錠10mgの毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より説明いたしま す。概要を御覧ください。本剤の有効成分であるベシル酸アムロジピンについては、平成 5年の承認時に薬事法施行規則において、化合物及びその製剤は毒薬に指定され、そのう ち1錠中、ベシル酸アムロジピンとして6.93mg以下を含有するものは毒薬から除外され、 劇薬に指定されております。  今般、アムロジピンの高血圧症適応の用量が1日最高10mgになったことに伴い、剤形 追加として、ノルバスク錠10mg他3品目が申請されておりますが、現行の規定では毒薬 に該当いたします。原薬での急性毒性のLD50値は37mg/kgですが、製剤では、例えば ノルバスク錠10mgにおいて1錠の重量は257.5mgですので、製剤でのLD50値を換算い たしますと約687mg/kgとなり、毒薬指定基準以上の値を示すことになります。他の製剤 も同様のため、これらの製剤を毒薬の指定から除外し、劇薬とすることが適当であると考 えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ただ今の議題について、委員の先生方から御質疑をお願いしたいと思いま す。いかがでしょうか。毒薬の指定から除外するということです。議決に入ってよろしい でしょうか。それでは、永井委員、野田委員、林委員、山本委員には、議決への参加を御 遠慮いただきたいと思います。ほかの先生方、本議題について、劇薬に該当することとし てよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、劇薬に該当することとして、薬事分科会に報告いたします。 以上が審議事項ですが、総じて何か問題がありましたら、御指摘いただきたいと思います。 よろしいでしょうか。それでは事務局からの報告事項ということで、御説明をお願いいた します。 ○機構 報告事項議題1、資料10、「医薬品レミケード点滴静注用100の製造販売承認 事項一部変更承認について」説明いたします。本剤は、インフリキシマブ(遺伝子組換え) を有効成分とする、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であり、現在「クローン病の治療 及び維持療法(既存療法で効果不十分な場合に限る)」等の効能・効果で承認されておりま す。  今般、田辺三菱製薬株式会社より、既存治療で効果不十分な潰瘍性大腸炎に対する効能 を追加する新効能医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医 薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしま した。  続いて報告事項議題2、資料11、「医薬品アマリール0.5mg錠、同1mg錠及び同3mg 錠の製造販売承認事項一部変更承認について」です。本剤は、スルホニルウレア剤である グリメピリドを含有する経口血糖降下薬であり、現在は、成人のインスリン非依存型糖尿 病について承認されております。今般、サノフィ・アベンティス株式会社から、小児及び 成人の2型糖尿病患者を対象とした製造販売後臨床試験成績に基づき小児2型糖尿病患 者への投与を可能とするための用法・用量変更に係る製造販売承認事項一部変更承認申請 がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、現行の用法・用量か ら「成人には」を削除して、小児の2型糖尿病患者への投与も可能とし、また、開始用量 として1日0.5mgを追加することを適切と考え、本剤を承認して差し支えないと判断いた しました。  続いて報告事項議題3、資料12、「医薬品パリエット錠10mgの製造販売承認事項一部 変更承認について」です。本剤は、ラベプラゾールナトリウムを有効成分とする、プロト ンポンプ阻害剤であり、現在、「胃潰瘍」等の効能・効果で承認されております。  今般、エーザイ株式会社より、非びらん性胃食道逆流症の効能を追加する新効能医薬品 としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構に おける審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。 ○松井部会長 議題1〜3までで、何か御質疑がありますか。よろしいですか。それでは 議題4からお願いします。 ○機構 報告事項議題4、資料13-1〜13-9、「医療用医薬品の再審査結果について」御 報告いたします。これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。  資料13-1、一般的名称はロピバカイン塩酸塩水和物、販売名はアナペイン注2mg/mL他。 資料13-2、一般的名称はウルソデオキシコール酸、販売名はウルソ錠50mg他。資料13-3、 一般的名称はトラフェルミン(遺伝子組換え)、販売名はフィブラストスプレー250他。資 料13-4、一般的名称はグリメピリド、販売名はアマリール1mg錠他。資料13-5、一般的 名称はニフェカラント塩酸塩、販売名はシンビット静注用50mg。資料13-6、一般的名称 はレボノルゲストレル・エチニルエストラジオール、販売名はトリキレラ錠21他。資料 13-7、一般的名称はレボノルゲストレル・エチニルエストラジオール、販売名はアンジュ 錠21他。資料13-8、一般的名称はノルエチステロン・エチニルエストラジオール、販売 名はシンフェーズT28錠他。資料13-9、一般的名称はノルエチステロン・エチニルエス トラジオール、販売名はオーソM-21錠他。  これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に 基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられてい る承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認 事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。PMDAからの報 告は以上です。 ○松井部会長 今の議題4について、何か御質疑はありますか。それでは議題5をお願い いたします。 ○事務局 報告事項議題5、資料14-1及び14-2、「医療用医薬品の承認条件の解除につ いて」事務局より御報告いたします。資料14-1を御用意ください。機構より承認条件に 係る審査報告書が提出されております。1ページを御確認ください。  品目の販売名はエピぺン注射液0.3mg及び同注射液0.15mg、一般名はアドレナリン、 承認取得者はマイラン製薬株式会社です。今回の審査対象になった承認条件ですが、ペー ジ中ほどの下線部で示している、使用実態把握及び安全性に関するものです。この承認条 件については同ページの2のIにあるとおり、平成15年8月1日に承認された際に付さ れたものです。今般、承認条件2に基づき、本剤の使用実態下における既知及び未知の副 作用の発現状況及び有効性を把握することを目的として、承認取得者が本剤の使用情報を 入手した全症例を対象にした使用成績調査の結果が提出され、機構において審査が実施さ れました。  6ページの最初の段落を御覧ください。本剤の安全性については、合わせて10例の副 作用が報告されましたが、現時点までに特段の問題はないと判断されております。また有 効性についても、同じページの中段の表に取りまとめられております。8ページを御覧く ださい。これらの結果から審査の結果、承認条件1及び3に基づく措置については引き続 き実施することとした上で、本剤の使用実態について把握することができ、安全性、有効 性について、現時点では特に大きな問題はないと判断したため、承認条件2は解除しても 差し支えないものと判断いたしました。  続いて、資料14-2を御覧ください。1ページですが、品目の販売名はビスダイン静注 用15mg、一般名はベルテポルフィン、承認取得者はノバルティスファーマ株式会社です。 今回の審査対象になった承認条件は、承認条件2です。経緯については2の(1)にあると おり、本剤の承認に際して、臨床試験における日本人の症例が少なかったこと、光線力学 的療法(PDT)が本邦で初めての療法であり、PDTに精通した眼科医のみが使用する必 要があること、本剤投与48時間以内の光線過敏状態に対する皮膚保護が必要であること が理由とされております。今般、承認条件2に基づいて実施された使用成績調査の結果、 提出された資料に基づいて機構において審査が実施されました。関係する重点調査項目 が、7〜8ページに取りまとめられております。これらの結果からは添付文書の改訂等、 新たな対応が必要な特段の問題点は認められませんでした。  14ページを御覧ください。これらの審査の結果、承認条件1の措置を継続し認定医の みにより投与されること、承認取得者による医師への十分かつ適切な情報提供を引き続き 実施し、必要に応じて患者を入院管理することを前提とすれば、承認条件2にある、全症 例に対して一律に入院管理を行わなくても光過敏反応への対応は可能であり、承認条件2 については解除しても差し支えないものと判断いたしました。以上です。 ○松井部会長 ただ今の議題5について、御質疑はありますか。よろしいでしょうか。そ れでは、以上の報告事項については、併せて御確認いただいたものといたします。  本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。 ○事務局 その他として、「医療用医薬品の使用上の注意事項の改訂について」御説明い たします。資料15-1、15-2を御覧ください。「ストラテラカプセル5mg他の小児期AD /HD患者の成人期への継続使用について」という資料です。  ストラテラカプセルは小児期のAD/HDを効能・効果に持つ医薬品で、有効成分はア トモキセチン塩酸塩です。日本では平成21年4月に承認されております。日本ではこの 医薬品とコンサータのみが、AD/HDを効能・効果に持っているのですが、いずれも小 児期に限定されており、これまで学会や患者会から、AD/HD治療薬の成人への適応に 対する要望が寄せられてまいりました。今般はそのストラテラについて、小児期AD/H D患者の成人期への継続使用を可能とするため、添付文書を改正するという趣旨の御説明 です。その背景となる本剤の現状について、諸外国における状況、国内での状況、既存の 有効性、安全性に関する情報の3点を順番に御説明したいと思います。  まず、本剤の諸外国の承認状況です。米国等の一部の国では18歳未満のみならず、成 人期のAD/HDを適応症として、既に承認がなされております。また、欧州各国では、 本剤による治療において、明らかなベネフィットが認められた青年については、成人期に おいても継続することが適切な場合がある旨の記載が添付文書にあります。承認の範囲と しては、少年期という状況になっております。具体的な内容については資料15-1の中の 別紙1で、その抜粋を記載しております。  2ページを御覧ください。本剤の国内での開発状況を御説明したいと思います。本剤は、 日本人を含むアジア人の成人AD/HD患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験 とその継続試験が現在実施されております。今後はこれらの試験成績に基づき、本剤の成 人期AD/HDへの効能・効果に関する一部変更承認申請が行われる予定となっておりま す。計画の詳細については、資料15-2に記載してありますので、後ほど御覧いただけれ ばと思います。  本剤の製造販売業者は、今年の1月に本剤の使用実態調査を実施しております。その調 査によれば、本剤については、150名の成人AD/HD患者が、小児期から継続的に使用 していると推計されております。また、既に400名以上の患者が、成人となったことを理 由として本剤の服用を中止したとの推計がなされております。  最後に有効性、安全性について御説明します。まずは有効性についてです。本剤が小児 に対する適応を取得した際に、第II/III相試験及びその長期継続試験が実施されておりま す。その試験に参加した患者さんの中には、12例、試験期間中に18歳以上になった患者 さんがいらっしゃいました。それらの患者さんの有効性については、 ADHD RS-IV 日本語版合計点の経時推移という有効性の指標が、2ページの図に示されております。ま た、個別の患者ごとの経時推移が、次のページの上段の図で示されております。この結果 から、ほとんどの症例では、18歳に達した時点以降であっても本剤の有効性が維持され ていることが分かりました。  次に安全性です。先ほど申し上げた試験において、18歳以上となった症例及び18歳未 満であった症例における有害事象を比較したところ、発現率や発現した内容に大きな相違 はありませんでした。それが3ページの中段下の表に取りまとめられております。18歳 以上となった患者のうち、18歳以上で認められた有害事象については、次のページの上 段の表にまとめられております。また、国内製造販売後の自発報告のデータにおいて、年 齢が18歳以上の症例で認められた有害事象は13件あります。そのうち重篤な有害事象に ついては、3件2例(自殺企図、死亡、骨折)が認められておりますが、それらに関しては 因果関係は否定されております。  以上の結果から、本剤の投与を18歳未満から開始し、有効性が認められ、臨床的に投 与の継続が必要と考えられる症例については、18歳を超えて本剤を継続投与した場合で も、本剤の投与時のリスクが小児期と比較して増大する可能性は低く、定期的に有効性及 び安全性を確認しながら投与することで、本剤投与時のベネフィットはリスクを上回るも のと考えられました。  以上、本剤の現状について御説明いたしましたが、AD/HDについては、小児期に発 症し、18歳以上になっても薬物治療が必要と判断された患者に対して、適応を有する治 療薬が国内に存在しないこと、関連学会等から医療上の必要性が高いことが指摘されてい ること、実際に18歳以上で使用できなくなった患者さんが存在していること、欧米等諸 外国において、本剤の小児期から成人期への継続使用が認められている国があること、本 剤の製造販売業者が成人のAD/HDに対する効能・効果を取得する目的で治験を行って いること、現在の治験からはこのような継続使用に関して安全性、有効性に大きな問題が 認められていないことを踏まえて、これらの患者に対して本剤の継続的な使用ができるよ うにすることは差し支えないものと考えております。それに伴い添付文書の改訂を考えて おります。  別紙2、資料15-1の後ろから2枚目を御覧ください。添付文書について、<効能・効 果に関連する使用上の注意>という所があります。「18歳未満で本剤により薬物治療を 開始した患者において、18歳以降も継続して本剤を投与する場合には、治療上の有益性 と危険性を考慮して慎重に投与するとともに、定期的に本剤の有効性及び安全性を評価 し、有用性が認められない場合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しないこと」と追記 することによって、こういった使用を考慮した内容にしたいと考えております。  ページを戻って、5ページの「その他」を御覧ください。同じくAD/HD治療薬であ るコンサータについても、本剤同様の要望が寄せられているところです。一方で、本剤に ついては、国内臨床試験において成人期への継続使用をされた事例が存在しないことや、 日本人が参加する成人AD/HD患者への治験が実施されていないこと等、本剤とは状況 が異なるところもありますので、現時点では本剤と同様に扱うことは困難であると考えて おります。今後の対応については、引き続き製造販売業者と協議してまいりたいと考えて おります。以上です。 ○松井部会長 今の事務局からの変更案を含めた説明は、今日は提案ということでしょう か。審議をしてほしいということでしょうか。 ○事務局 審議事項ではありません。こちらからこういった考え方で施策を進めたいと考 えているということです。 ○松井部会長 それはAD/HDに対して、本剤に関して限定したという意味ですね。 ○事務局 はい。 ○松井部会長 このことについて検討していきたいということを、委員の先生方に御紹介 したというように考えていいのですね。 ○事務局 御意見があれば、それを踏まえて考えていきたいということです。 ○松井部会長 何か御意見はありますか。司会者でありながら、小児科医としてあえて発 言させていただくとすれば、私どもは「トランディショナルピアリ」と言っているのです けれども、こういう小児期の患者が成人して、こういう機会がこれからますます増えてい くことが十分に予想されますので、是非とも皆様の御理解をいただきたい。これが一つの 端緒になればと、個人的には思っております。どうかよろしくお願いいたします。ほかに ありますか。 ○審査管理課長 御審議、どうもありがとうございました。本日、御審議いただいた議題 の中で肺動脈性肺高血圧症は、オーファンドラッグということで御審議いただいておりま す。前回も御報告いたしましたように、過去に抗インフルエンザ薬とか、特定のワクチン とか、できるだけ早く提供した方がいいのではないかという場合については、特別に事務 手続を早くしております。オーファンドラッグについても、特別のものがあればというこ とで対象にしたいというように御報告いたしました。  今回については、実は第二部会の方で、サリドマイドの類縁薬でレナリドマイドという のがあります。これもオーファンドラッグだったのですけれども、有効性に関しては、サ リドマイドの無効例について効く可能性が高いのではないかという御指摘があって、事務 手続については、できるだけ早くやるということで御報告しております。今回、第一部会 で審議いただいた品目については、一応オーファンドラッグではあるのですけれども、有 効性等については特段の無効例がどうということではなく、既にこの効能は2番目ですの で、通常の手続で対応させていただきたいと思っております。  続いて、本日の「当日配付資料1」を御覧ください。前回の部会でも御報告いたしまし たように、第一部会と第二部会で御審議いただく対象疾患群を見直したいと御説明いたし ましたが、現状でどういう品目について御審議いただいているかをまとめた表です。第二 部会が抗菌薬、抗がん剤、ワクチン、血液製剤等です。それ以外が第一部会という扱いに なっております。今、事務局で検討しているのが、なかなか難しいのですけれども、中程 辺りのアレルギー抗炎症薬、アレルギー用薬等については、第一部会から第二部会でとい うことを検討させていただこうかと考えております。特段の御意見があればお伺いして、 分科会等で御相談させていただきたいと思っております。また、先ほど御指摘のあった診 断薬関係については、確かにがんの診断薬が多いので、そういうものは第二部会というこ とも考えられるかとも思っております。 ○松井部会長 こういう事態を知ってしまいますと、一日も早くというように思います。 どうかひとつよろしくお願い申し上げます。  ほかに何か御意見はありますか。審議事項は以上ですが、よろしいですか。それでは事 務局から、次回の予定についてお伝えください。 ○事務局 次回の部会は既に御案内のように、7月30日(金)、午後4時から開催する予 定ですので、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線 2746)