10/06/02 第173回中央社会保険医療協議会総会議事録 10/06/02 中央社会保険医療協議会          第173回総会議事録 (1)日時  平成22年6月2日(水)10:00〜12:19 (2)場所  全国都市会館 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 関原健夫委員        白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員 白川修二委員 勝村久司委員 北村光一委員          高橋健二委員(代理 田中) 伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員       邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       藤原忠彦専門委員 北村善明専門委員 坂本すが専門委員        住友雅人専門委員       <参考人>       加藤治文薬価算定組織委員長       <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 医薬品の薬価収載について       ○ DPCにおける高額な新規の医薬品への対応について       ○ 在宅自己注射について ○ 平成20年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成 21年度調査)報告について       ○ 平成22年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成        22年度調査)の実施について       ○その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  定刻になりましたので、ただいまより第173回中央社会保険医療協議会総会を開催い たします。  まず、委員の出席状況についてでございますが、本日は、中島委員が御欠席です。また、 高橋委員の代理で田中伸一さんがお見えになっておられます。  それでは、議事に入らせていただきます。  まず、「医薬品の薬価収載について」を議題といたします。薬価算定組織の加藤委員長 より御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。 ○加藤薬価算定組織委員長  薬価算定組織の委員長を務めております加藤です。私のほうから、今回検討しました新 医薬品の算定結果について報告します。  まず、資料の中医協総−1−1をごらんください。今回報告いたします品目は、資料1 ページの一覧表にありますとおり、12成分29品目です。  それでは、算定内容について説明します。  1番目に、ロゼレム錠。資料2ページをごらんください。本剤は、不眠症における入眠 困難の改善を効能・効果とする内用薬です。  資料3ページをごらんください。本剤は、効能・効果などが類似するゾルピデム酒石酸 塩を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、本 剤は、新規作用機序を有し、休薬後の不眠症状の増悪などが発現する可能性は低いと評価 されていることから、有用性加算(II)の適用は認められると判断しましたが、臨床的な 効果が認められたのは睡眠導入時間の短縮に限定されていることを踏まえて、加算率はA =5%を適用することが妥当と判断しました。  したがいまして、資料2ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬であ るマイスリー錠の10mgとの1日薬価合わせに有用性加算(II)A=5%を適用し、8mg 1錠82.60円となりました。  次に、リリカカプセルについて説明します。資料の4ページをごらんください。本剤は、 帯状疱疹後神経痛を効能・効果とする内用薬であります。  資料の5ページをごらんください。本剤については、既収載品の中に同様の効能・効果、 薬理作用などを持つ類似薬はないことから、原価計算方式による算定が妥当と判断しまし た。また、営業利益率については、平均的な係数を用いることが適当と判断しました。こ の当初算定案に対して新薬収載希望者から、国内でも外国と同様に1日150mg投与の有 効性・安全性が示されていること、また新規の作用機序を有しており、新たな治療の選択 肢を提供することを理由に、平均的な係数に10%加算した営業利益率の適用を希望する 旨の不服意見が提出されました。この不服意見につきまして、第2回算定組織において検 討しましたが、国内第III相試験において1日150mg投与で有意な鎮痛効果が示された のは投与初期のみであって、このため日本での用法・用量が外国と異なり1日300mgま で漸増することとなったこと、また欧米では種々の効能・効果を有しているのに対して、 日本では帯状疱疹後神経痛以外の効能・効果を取得できていないことなどから、営業利益 率に加算を適用することは適切でないと判断し、当初算定案どおりとすることと決しまし た。  したがいまして、資料4ページに戻り、本剤の算定薬価は、25mg1カプセル100. 50円などとなりました。  次に、ユニシア配合錠でございますが、資料の6ページをごらんください。カンデサル タンシレキセチルとアムロジピンベシル酸塩の配合剤でありまして、高血圧症を効能・効 果とする内用薬です。  資料7ページをごらんください。本剤の最類似薬には、既存の2成分の組み合わせが該 当すると判断しました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しないと判断 しました。  したがいまして、資料6ページに戻り、本剤は、平成22年度薬価制度改革で導入され た内用配合剤の特例ルールにより薬価算定を行うことが妥当と判断しました。具体的には、 まずユニシア配合錠HDの算定に当たって、自社品であるカンデサルタンの部分について は0.8倍の価格とするとともに、自社品がないアムロジピンの部分についてはより低く なる後発品の最低価格を採用し、計算しました。しかしながら、その結果、単剤であるブ ロプレス錠8の薬価を下回ったため、算定ルールに基づいて、本配合剤の薬価をブロプレ ス錠8の薬価と同額としました。また同様に、アムロジピンの含量が半分のユニシア配合 錠LDについても、ブロプレス錠8の薬価と同額といたしました。その結果、本剤の算定 薬価は、2つの規格とも1錠150.30円となりました。  次に、ネシーナ錠について説明します。資料の8ページをごらんください。本剤は、2 型糖尿病を効能・効果とする内用薬です。  資料9ページをごらんください。本剤は、効能・効果、薬理作用などが類似するシタグ リプチンリン酸塩水和物を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判 断しました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料8ページに戻っていただき、本剤の算定薬価は、最類似薬である ジャヌビア錠50mg/グラクティブ錠50mgとの1日薬価合わせを行い、25mg1錠20 9.40円などとなりました。  次に、メタクト配合錠についてでございますが、資料の10ページをごらんください。 本剤は、ピオグリタゾン塩酸塩とメトホルミン塩酸塩の配合剤であり、2型糖尿病を効能 ・効果とする内用薬です。  資料11ページをごらんください。本剤の最類似薬には、既存の2成分の組み合わせが 該当すると判断しました。また、補正加算については、いずれの要件にも該当しないと判 断しました。  したがいまして、資料10ページに戻っていただいて、本剤は、内用配合剤の特例ルー ルにより薬価算定を行うことが妥当と判断しました。具体的には、まずメタクト配合錠L Dの算定に当たって、自社品があるピオグリタゾンの部分については0.8倍の価格とす るとともに、自社品がないメトホルミンの部分についてはより低くなる他社先発品の薬価 の0.8倍を採用して計算しました。しかしながら、その結果、単剤であるアクトス錠1 5の薬価を下回ったために、算定ルールに基づいて、本配合剤の薬価をアクトス錠15の 薬価と同額としました。したがいまして、本剤の算定薬価は、メタクト配合錠LD1錠8 4.60円などとなりました。  次に、ビクトーザ皮下注について説明します。12ページをごらんください。本剤は、 2型糖尿病を効能・効果とする注射薬です。  資料の13ページをごらんいただきます。本剤については、既収載品の中に同様の効能 ・効果、薬理作用などを持つ類似薬がないことから、原価計算方式による算定が妥当と判 断しました。また、営業利益率については、平均的な係数を用いることが適当と判断しま した。この当初算定案に対して新薬収載希望者から、移転価格のうち製造設備費の償却分 については、他の糖尿病用薬での各国の市場規模に応じて決定すべきである旨、また単独 及びSU剤との併用における有効性の観点、低血糖や体重増加に関する安全性の観点など から、平均的な係数に30%加算した営業利益率の適用を希望する旨の不服意見が提出さ れました。この不服意見について、2回目の算定組織において検討しましたが、製造設備 費の償却分については、製造に関する直接的な経費であるため、日本向け製品の製造本数 に着目して割り振ることが適当と考えられること、また有効性については類似薬に対する 優越性が示されたわけではなく、低血糖や体重への影響についても審査報告書において肯 定的に評価されているわけではないことなど、営業利益率に加算を適用することは適切で ないことから、当初算定案どおりとすることといたしました。  したがいまして、資料12ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、18mg3mL 1キット9,960円となりました。  次に、ネスプ注射液について説明します。資料の14ページ及び15ページを見てくだ さい。本剤は、腎性貧血を効能・効果とする注射薬であり、既存の静注用製剤について、 保存期慢性腎臓病患者に対する効能・効果や、皮下投与の追加などを行うとともに、販売 名の変更などを行ったものです。  資料の16ページをごらんください。開発の経緯を踏まえ、本剤の薬価は、基本的に既 収載の静脈用製剤と同額とし、静注用製剤にない新たな規格である180μg製剤につい ては、規格間調整による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、14ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、10μg1mL1 筒3,086円などとなりました。  次に、ベクティビックス点滴静注について説明します。資料の17ページです。本剤は、 KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんを効能・効果とする 注射薬です。  資料18ページを見てください。本剤は、効能・効果が類似するセツキシマブを最類似 薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算につ いては、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料17ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬で あるアービタックス注射液100mgとの間で国内臨床試験での平均使用量に基づく1日薬 価合わせを行い、100mg1瓶7万5,567円となりました。  次に、ソリリス点滴静注について説明します。19ページをごらんください。本剤は、 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制を効能・効果とする注射薬です。  資料の20ページをごらんください。本剤については、既収載品の中に同様の効能・効 果を持つ類似薬がないことから、原価計算方式による算定が妥当と判断しました。  したがいまして、資料19ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、300mg3 0mL1瓶57万7,229円となりました。なお、本剤は、対象患者数が少なく、納入医 療機関も限定されているなど、流通経費が圧縮できると判断されたことを踏まえ、流通経 費率について、平均的な係数を用いるのではなく、査定をいたしました。  次に、コソプト配合点眼液について説明します。資料の21ページを見てください。本 剤は、ドルゾラミド塩酸塩とチモロールマレイン酸塩の配合剤であり、緑内障、高眼圧症 を効能・効果とする外用薬です。  資料の22ページをごらんください。本剤は、既存の2成分の組み合わせを最類似薬と した類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算について は、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料の21ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬 であるトルソプト点眼液1%及びチモプトール点眼液0.5%との1日薬価合わせを行い、 1mL668.00円となりました。  次に、デュオトラバ配合点眼液について説明します。資料の23ページを見てください。 本剤は、トラボプロストとチモロールマレイン酸塩の配合剤であり、緑内障、高眼圧症を 効能・効果とする外用薬です。  資料の24ページをごらんください。本剤は、既存の2成分の組み合わせを最類似薬と した類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正加算について は、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料の23ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬 であるトラバタンズ点眼液0.004%及びチモプトール点眼液0.5%との1日薬価合 わせを行い、1mL1,360円となりました。  次に、フェントステープについて説明します。資料の25ページです。本剤は、中等度 から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛を効能・効果とする外用薬であり、既存のデ ュロテップMTパッチは3日ごとに張りかえる製剤であるのに対して、1日ごとに張りか える製剤として開発されたものであります。  資料の26ページをごらんください。本剤は、効能・効果などが類似したフェンタニル を最類似薬とした類似薬効比較方式(I)による算定が妥当と判断しました。また、補正 加算については、いずれの要件にも該当しないと判断しました。  したがいまして、資料25ページに戻っていただいて、本剤の算定薬価は、最類似薬で あるデュロテップMTパッチ16.8mgとの間で平均使用量を踏まえた1日薬価合わせを 行いまして、8mg1枚3,695.10円などとなりました。  以上で報告を終わります。 ○遠藤会長  どうもありがとうございました。  事務局から補足はございますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特にございません。 ○遠藤会長 それでは、先ほど12の成分について報告がありましたけれども、何か御意 見、御質問はございますでしょうか。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  すみません。確認をしたいということと、教えていただきたいということもあるんです けれども、この6ページと10ページは同じことが起こったんですよね。2つとも合剤な んですけれども、今の算定方式だと、単剤の値段と同じになる。これは普通は、物を売る ときに、2つ合わせたら、もとの値段、片一方だけになりますかと、変なんです。ですけ れども、基本的には、これは考えてみると、それぞれを錠剤にするとすれば、これを1つ にすれば、賦形剤は半分で済む、形づくる錠剤の材料は。そういうことも勘案したもとも との計算式がそういう意味なんですかということが一つの御質問です。  それからもう一つは、より大事なことですが、前から申し上げていますが、臨床現場か らすれば、こういう降圧剤とか抗糖尿病薬とかは、オーダーメードの側面が非常に強いの が、合剤になると、薬用量がその1錠でもう決まってしまうということで、賛成できる面 ばかりではないんですけれども、こういう価格になってもなおかつ製薬会社のほうが販売 されるメリットというのはあると考えておられるから販売されるのでしょうか。これは多 分磯部課長にお伺いするのが一番いいかと思いますが。 ○遠藤会長  それでは、2つとも、薬剤管理官、お答えできる範囲で結構ですので、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  まず1番目の御質問に関してでございますが、今回、降圧剤の配合剤や糖尿病の配合剤 もございますけれども、このような内服の配合剤については、前回改定での薬価算定方式 について、一番大きく議論された部分だと理解しております。今、安達委員がおっしゃっ たことが、かなり薬価部会の中での御議論の大勢だったと理解してございます。そういう 中で、こういったものの必要性について、余り認められないと。ただ、こういったものを 認めないということまではなかなかできない中でどう考えるかということで、事実上のデ ィスインセンティブをつけて、こういったものの開発が余り促進されないような形という 議論があるのではないか。そういう意味では、安達委員のおっしゃるとおり、コストの面 をどう見ていくのかというのは確かにあると思いますけれども、このような内用配合剤の 医療上の必要性の議論をかんがみて、ある意味でこのような算定まで出るような厳しいル ールになったものと思っておりまして、必ずしもコストがどうかといったことを認識しつ つやったものではないということでございます。  2番目につきましては、企業のほうのメリットというものがどのぐらいあるのかという のは、また薬価部会のときにいろいろな業界の方からお聞きいただくのがいいと思ってお りますけれども、一つございますのは、たしか前回のときに嘉山委員のほうから出された、 いわゆる2010年問題といいまして、かなり大型の新薬の特許が近々切れていくという 中で、各製薬企業もどうやって新薬を出していくのかという中での新薬の開発戦略などの 問題もあろうかと理解してございます。 ○遠藤会長  安達委員、よろしいでしょうか。 ○安達委員  はい、わかりました。 ○遠藤会長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  ソリリスにつきまして、ちょっと事務方にお願いがございます。この薬は、説明を伺い ますと、非常に治癒困難な難病の方に劇的な効果を発揮するということで、しかも原価計 算方式できちんと価格づけをされているというのは分かりますけれども、それでも算定薬 価が57万円と高額です。月当たりにすると大体300万円になるかと思います。しかも 一生この注射をしなければいけないとも伺っておりますので、この価格設定自体はやむを 得ないと思いますけれども、これだけ高額な薬剤を一生使い続けるということは、もちろ ん患者さんの負担も大変ですし、保険者のほうも相当な負担になりますので、2年ごとの 薬価改定のときに、こういった高額のものについては、別ルールでという気はないのです けれども、よくウオッチしていただいて、ぜひ適正価格になるような御指導をお願いいた します。 ○遠藤会長  それでは、それは御要望があったと理解させていただきます。オーファンドラッグの場 合は、逆に開発者のほうからしてみると、マーケットが小さいので、高額にしてほしいと いう要請があるということで、そういうインセンティブとの兼ね合いになる話だと思うん ですけれども、そのような御要望があったということですね。  お待たせしました。鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  同じくソリリス点滴静注についてなんですが、非常に高額であるということにもかかわ らず、支払い側から今御意見が出ましたけれども、お認めいただいたということは、非常 に見識、良識ある判断をしていただいたと思いますし、こういった薬が所得のある、なし にかかわらず全国民に平等に使えるということは、我が国の国民皆保険制度のすぐれた点 だと思うのですが、その価格が米国、英国、ドイツ、フランスと載っているのですけれど も、このような極めて高額な薬がどのような使われ方をしているのか。海外でも、アメリ カは多分命の差がお金の差になるのかなという気がしますが、ほかの国ではどのような使 われ方をしているのか、ぜひ教えていただければと思っております。よろしくお願いしま す。 ○遠藤会長  それはなかなか重要な御指摘だと思います。我が国の場合は高額療養費のところでカバ ーしているというところが大きいと思いますけれども、高額療養費制度のない国のほうが 圧倒的に多いわけですので、その辺をどのようにこういうオーファンの高額な医薬品は使 われているのかということがもし分かれば、調べていただきたい。これはメーカーに聞け ば分かることかと思いますけれども。では、薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のソリリスに関しまして、欧米4カ国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスにつ いて、特に患者負担の関係がどうなっているかということについては、事前にメーカーを 通じて調べさせていただいております。その関係で、アメリカについては、民間保険の場 合はちょっとあれでございますが、低所得者や高齢者には事実上の自己負担はないとお聞 きしてございます。それから欧州におきましては、ドイツでは、一定の上限で月当たり6 5ユーロまでの自己負担で済んでいると聞いております。またイギリスでは、これはPN Hという病気なんですが、国立のPNHサービスというものがございまして、またフラン スでは、こういった革新性の高い医薬品のための特別のプログラムということで、この薬 については自己負担はないとお聞きしてございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。フランスの場合は、緊急性の高いものについては自己負担はな いんですが、そうでないものについてはたとえば100%自己負担ということで給付率を 変えているということがありますので、それに該当しているということですね。我が国の 場合は高額療養費という形でヘッジしているということになります。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  例えば、一定の年齢までという制限があるとか、あるいは何かそういった条件がほかに ないのか。使える人はそういうことなんでしょうけれども、だれでも平等に一生使えると いうことなのかどうかも含めてちょっと教えてもらえればと思います。 ○遠藤会長  では、もし分かるようなことがあれば、またいずれかの機会に教えていただければと思 います。我が国の場合は、そういう意味では一応高額療養費でここはリスクヘッジはして いるということですが、それでも年間ずっと使うことになりますから、相当な金額になる ということは事実です。またこの薬価を少々下げても、高額療養費の基準のかなり上のほ うにありますから、自己負担は余り変わらないと思います。  ほかに御質問はございますか。牛丸委員、どうぞ ○牛丸委員  細かいことですが、教えていただきたいと思います。17ページです。比較薬のところ に、比較薬の1日薬価は、「臨床試験患者の平均体表面積を基に算出している」と書いて あります。下の算定薬価のところは、今度は「平均体重を基に算出している」と書いてあ りますが、この違いについて御説明ください。  それからもう1点、21ページです。これはもしかしたら先ほど御説明があったかもし れません。そうでしたら、申しわけないです。外国価格のところで、「2%」というとこ ろに下線がついております。この下線には何か意味があるのか。これについてもお願いい たします。 ○遠藤会長  薬剤管理官、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初のベクティビックスのほうの質問でございます。17ページでございます。資料を ごらんいただきますと、ベクティビックス本剤につきましては、主な用法・用量のところ に書いてございますが、2週間に1回、6mg/kgということで、患者さんの体重によって 用量を調節するように用法・用量は決められてございます。ただ、比較薬につきましては、 抗がん剤にこういうケースはございますが、アービタックスの主な用法・用量は、下に小 さい字で書いてございますが、「週1回、初回は400mg/m2を2時間かけて」云々とい うことで、実はこれを人間の体表面積当たりでやるということでございまして、かなり比 例関係はあるのですけれども、用法・用量の設定が体重当たりのものなのか、体表面積当 たりのものなのかとなってございますので、いろいろな臨床試験のデータなどの結果で、 例えばベクティビックスについては、どのくらいの体重の方に実際に使われているのかと いうことを調べて1日薬価を算出し、またアービタックスについては、実際にどのくらい の体表面積の方に使われたかということで1日薬価を算出して、それで1日薬価合わせを しているということでございます。  続きまして、21ページでございますが、コソプト配合点眼液でございます。実は、今 回収載を提案させていただいている本剤については、ドルゾラミド塩酸塩の濃度が1%に なってございます。上の表記が分かりにくくて恐縮でございます。すみません。比較薬の ところにトルソプト点眼液1%1mLと書いてございますが、現在、外国ではこの1%の濃 度のものは使われておりませんで、濃度の高い2%のものが使われております。その違い がありますので、配合成分の濃度が同一の製剤はないので単純比較はできないことから、 このような注釈をつけさせていただいているところでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  牛丸委員、よろしいですか。  ほかに御意見はございますか。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  今回出てきている比較薬のところで幾つか、今年度からの新薬創出の加算に該当してい る薬があるのではないかと思うのですけれども、新薬創出の加算をした薬が比較薬になっ ているときの考え方とか、それからどの薬がそれに該当するのかも教えて頂ければと思い ます。報道などで300成分600品目ぐらいあったかと思うのですけれども、もう少し 可能な範囲で、それが分かるような表現で記載してもらったほうがよいのではないかと思 います。 ○遠藤会長  薬剤管理官、よろしいでしょうか。比較薬が新薬創出加算の価格になった場合の今後の 問題ですけれども、その比較はどのようになるのですか。薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今回のルールでは、新薬創出加算を受けて薬価が決まったものは、その加算を受けた後 の薬価で比較薬の対照にするという形でございます。つまり、市場の評価を受けて、ある 一定程度の乖離率以内におさまったということから、その新薬の評価をするものでござい ますので、その加算を受けた後の薬価を比較薬の対照薬価にして決めていくという形にな ってございます。今回のものでも、幾つかの成分では比較薬で新薬創出対象加算がついて いるものがございます。また、そういったものをよく確認したいということであれば、今 後、表記については、勝村委員のお話の、分かるような形では表記を考えさせていただき たいと思います。 ○遠藤会長  それでは、それが分かるような形で今後出していただきたいということですので、よろ しくお願いします。  ほかにございますか。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  すみません、12ページです。主な用法・用量、上から4つ目です。最近の薬剤という のは、従来は適宜増減と書かれたものが、上限を示して、これを超えないことと用法・用 量が規定される場合が一般的に多い。この薬剤も、実はここに決めた用量は、外国用量の それぞれ半量からスタートして、上限も半量と設定した。ですが、臨床の実態からいうと、 それを超えて使えば有効なんだけれども、ここでストップされるから十分な効果が得られ ないということが起こります。副作用や安全性等を考えながら、かつ他剤併用等も考えて も、そのものの、例えばこれですと、少し0.9mgを超える量を使ったほうがいい結果が 出るのだという臨床例には遭遇するわけです、このケースばかりではなく。それについて、 最近の用法・用量が、上限を設定して、これを超えないことであって、適宜増減という形 になっていない。その理由をまずお聞きしたいということと、もう一つは、上限を設定し たことのいわゆる規定の縛りの強さというのはどこまであるのか、そのことを教えていた だきたい。 ○遠藤会長  今の2つのことは関連しておりますので、薬剤管理官、よろしくお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の安達委員の御質問は2つあろうかと思います。最初の適宜増減という記載が最近の 新薬では余りないのではないかという御質問でございますが、それについては、薬の、特 に臨床試験のデータで、ある程度の用量を変えたときに、有効性、いろいろな患者さんの 群があるときに、効果が認められるようなケース、そういうデータで適宜増減を認めるケ ースは幾つもございます。本剤については適宜増減という記載がございませんけれども、 特に内服薬に多いかと思いますけれども、適宜増減という記載が入るものは幾つもあると いう理解をしてございます。  それから、本剤についても「1日0.9mgを超えないこと」と書いてございますけれど も、いわゆる通常最大用量イコール極量という形になろうかと思いますけれども、こうい った記載のあるものもございますけれども、今すぐにデータでお示しして御説明すること はちょっとできないんですけれども、今回の臨床試験のデータなどから、実際に有効性と 安全性をかんがみてこの「0.9mgを超えないこと」という設定がなされたものと思って おります。ただ、保険の審査はどうするのかということについては、即答できるものは現 時点ではございませんので、御回答はまたにしたいと思います。 ○遠藤会長  恐らく、この上限の強さというのは保険上の審査においてどう考えるかということだと 思いますが、今はちょっと正しいお答えが出せないということでありますので、また後日 何らかのインフォメーションをいただくということでよろしいでしょうか。 ○安達委員  はい、それで結構でございますが、お願いするとしますと、上限設定をされるときにも いろいろな理由が恐らくあると思います。これを超えると日本の臨床試験では非常に副作 用が強いんだという場合、あるいは大半のケースではここまでで効くはずだとか、いろい ろあると思いますので、臨床現場で使う、あるいはそれに対して保険審査をするという立 場から考えると、上限設定をするときは、それぞれの個々の例について、何を理由に上限 設定をしたのかということをできれば明示していただきたい。そのことで、使うほうも、 審査をするほうも、その上限設定の拘束力の強さは違うのだということを理解できる。そ ういうことにいつも苦慮しておりますので、お願いしておきたいと思います。 ○遠藤会長  薬剤管理官、今のような上限設定の根拠を何らかの形で明示してほしいということです ので、そのような方向で御検討いただきたいと思います。何か御意見はありますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  わかりました。今の御質問は当然あろうと思いますので、表記でどうするかはちょっと 難しい面もあるかと思いますが、なるべくそういった御要望にこたえられるような形のも のは考えていきたいと思います。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。  住友専門委員、どうぞ。 ○住友専門委員  2ページを使って、基本的なところでの確認をしたいと思います。新医薬品の収載に関 しましては、有効性の評価対象項目の一つとして、新薬収載希望者による市場規模予測と いうのがあると思います。例えば、初年度の予測患者数が6万人で、予測販売金額が13 億円で、10年後がピークになって大体こうなるだろうということ、これは、もちろんメ ーカーはそれぞれ検証していると思いますが、この結果といいますか、この検証というの はどこかで公表されているのかどうかということをお聞きしたいと思います。 ○遠藤会長  薬剤管理官、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の住友専門委員の質問に関しまして、実は改定のときに私どもは薬価調査を行ってご ざいます。これについては、これまでの事例ですと、ある1カ月間、すべての卸さんを対 象にいたしまして全数調査をさせていただいております。そういう中でどのくらいの数量 が出ているのか、それからまた年間の推計の数量も私どものほうでチェックしてございま す。実際にその中で、薬価算定ルール上必要になってまいりますのが、いわゆる市場拡大 再算定と申しまして、もともと予測したものよりも非常に大幅に売れてしまったというケ ースについては、薬価を補正する、切り下げるルールがございますので、事務局では、そ ういったものに該当するかどうか、そのメルクマールに従いましてチェックいたしまして やらせていただいているという状況になってございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。したがって、個別には出てきませんけれども、市場拡大再算定 にひっかかるものについては中医協に出てくるということですから、当然その背景では全 部調べているということになります。  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  25ページのフェンタニルクエン酸塩の形について伺いたいんですけれども、これは日 本独特のパッチタイプでの新製品のようですけれども、これから将来、在宅ケアとか、終 末期の問題とか、介護の問題を含めていろいろなことが考えられるときに、取り扱いが非 常に扱いやすく、こういうものは終末期の在宅医療の看護ケアなどにも有効なんでしょう か。ただ、強力な麻薬でしょうから、もちろん取り扱いが間違ったら大変なんでしょうけ れども。よろしくお願いします。 ○遠藤会長  わかりました。在宅で使えるような気がするけれども、ものは麻薬である。これは在宅 で使えるのかどうかということについてお聞きしたいと思います。薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  本剤は外用剤ということでございまして、当然ながら、いわゆる外来、在宅医療の中で は使えるものとして供給されます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。よろしいですか。  ほかにございますか。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ちょっと先ほどの続きなんですけれども、次回から該当する比較薬についてはその旨を 表記していただくということで、ありがたいことなんですけれども、これについてはせっ かく今話を聞かせてもらったところなので、今回の場合は、大体どれが該当するのかを、 どれぐらいのイメージなのかを知るためにもお伺いします。 ○遠藤会長  そうですね。それでは、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今回のもので申し上げますと、最初に、2ページにありますロゼレム、これの対照薬で あるマイスリー錠。それから、飛びまして14ページのネスプ静注用。続きまして17ペ ージのベクティビックスの対照薬であるアービタックス注射液。続きまして21ページの コソプト配合点眼液のうち、これは配合剤ですから、トルソプト点眼液の単剤の部分です。 チモロールは対象外ですが、トルソプト点眼液については対象でございます。次に23ペ ージのデュオトラバ配合点眼液の対照薬であるトラバタンズ点眼液。チモロールは対象外 でございます。それから、先ほど北村委員から御質問のありましたフェントステープの対 照薬でありますデュロテップMTパッチが対象でございます。合わせますと、全部で6つ の成分が新薬創出等加算の対象になったものでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。けっこうありますね。類似薬効比較方式の中でということにな りますから、かなりあるということです。  ほかに御意見はございますか。よろしゅうございますか。  それでは、ただいま御説明のありました件につきましては、いろいろな御意見が出まし たので、それにつきましてはまた事務局で改善していただきたいと思いますけれども、こ の12件につきましては中医協として承認したいと思いますけれども、よろしいでしょう か。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、加藤委員長におかれましては、長時間、本当にありがとうございました。 〔加藤薬価算定組織委員長退席〕 ○遠藤会長  それでは続きまして、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議 題といたします。資料につきまして事務局より説明をお願いします。企画官、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  医療課企画官でございます。1枚紙の総−1−2をごらんいただきたいと思います。  ただいま御審議、御承認をいただきました新医薬品、総−1−1の1枚目に一覧表がご ざいますが、その中で8番の薬剤、9番の薬剤、具体的にはベクティビックス、それから ソリリスにつきましては、これは通常の取り扱いを今回も適用させていただくのですが、 新規に薬価収載された医薬品の中で、現時点では診療報酬点数表に必ずしも反映されてお りませんので、一定の基準のもとで次期診療報酬改定までの間、出来高算定するという取 り扱いをしておりますが、今回そのクライテリアで該当いたしますこの2つの薬剤につき まして、当面出来高算定の対象にさせていただきたいという趣旨でございます。薬剤の詳 細につきましては、先ほど御説明、御審議がございましたので、省略させていただきます。  事務局からは以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。従来のルールで計算したところ、この2つの薬剤が該当すると いうことになりますので、次回改定までは基本的には出来高で見る。その後どうするかは、 今その新しい仕組みを考えておりますので、それとの絡みで対応する。そういうことであ りますけれども、承認するということでよろしいでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  それでは、御承認いただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとう ございます。  それでは続きまして、「在宅自己注射について」を議題としたいと思います。事務局よ り資料が出されておりますので、御説明をお願いしたいと思います。医療課長、お願いし ます。 ○事務局(佐藤医療課長)  それでは、総−1−3をごらんください。「保険医が投与することができる注射薬及び 在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について」です。  背景は、簡単に御説明いたしますが、在宅自己注射をすることができる薬剤については、 限定的に認めているということで、1ページの下のほうにありますように、インスリン製 剤から始まって、次のページのアダリムマブ製剤まであります。今般、先ほど御議論いた だきました、2ページ目の中ほどにありますビクトーザ皮下注というものをお認めいただ きましたので、これがいわゆる在宅自己注射の形で実施されるということですので、ここ につきましても先ほど参考のところでごらんいただきました対照薬剤並びでお認めいただ くということになります。  最後のページの「在宅自己注射を実施するに当たっての留意事項」は、これまでにも何 度か説明してきましたので、省略いたします。  以上でございます。 ○遠藤会長  何か御質問、御意見はございますでしょうか。  特にないようであれば、これまでもこういう対応をしてきておりますので、本件につき ましても中医協として了承するということにしたいと思います。ありがとうございます。  それでは続きまして、「平成20年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査報告につい て」を議題としたいと思います。検証部会におきましては、平成21年度分の特別調査の 最終的な報告書案が取りまとめられましたので、検証部会長の牛丸委員から御報告をいた だきたいと思います。よろしくお願いします。 ○牛丸委員  検証部会長の牛丸でございます。今、会長からお話がありましたように、平成20年度 診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の平成21年度調査の報告を行います。  既に昨年度実施いたしました特別調査6項目につきまして、速報として、昨年の11月 10月の検証部会で報告を行いまして、11月11日の基本問題小委員会の場において皆 様の了承を得まして、その上で平成22年度の診療報酬改定の議論に活用させていただい たところでございます。去る5月26日に開催されました検証部会においてその最終報告 を取りまとめましたので、そのことについて今日御報告いたします。詳細は事務局より説 明いたします。よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  それでは、事務局、よろしくお願いします。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室長でございます。それでは、お手元の資料でございますが、中医協 総−2−1、それから総−2−2から総−2−7までは、大変分厚い報告書になってござ いますけれども、ただいま部会長から御発言がございましたように、平成21年度調査の 最終結果でございます。これにつきましては、先ほど部会長からございましたように、基 本的な内容は既に昨年の11月に速報で御報告しているものと同じでございまして、この データにつきましては中医協におきましても平成22年度の改定の審議の際にところどこ ろで使わせていただいたというものでございます。したがいまして、本日は総−2−1の 検証部会としてのまとめのところをかいつまんで、検証部会としての評価のところを中心 に御報告したいと思います。  まず総−2−1の1ページ目でございますが、平成21年度調査といたしましては、1 ページの(1)から(6)にございます6項目についての調査を行いました。具体的には 明細書から後発品まででございますが、それぞれにつきまして、2ページ以降、主な結果 と検証部会としての評価ということをまとめておりますので、この検証部会としての評価 のところを中心に御説明いたします。  まず1項目めの明細書発行の一部義務化の実施状況調査につきましては、4ページから 5ページでございます。4ページの(5)のところをごらんいただきたいと思いますが、 平成21年度調査の時点では、明細書につきましては、レセプトのオンライン請求が義務 化されているところにおいて、求めがあった場合に出すという義務付けでございました。 平成21年度調査では、平成20年度の一部義務化を踏まえまして、この認知度あるいは 発行の実態、患者の受けとめといったことを中心に検証いたしました。  4ページの下のほうでございますが、まず施設調査結果によりますと、平成21年度時 点でございますが、医療機関の8割はこの義務化については認知しているが、実際に患者 に対する周知としては「特段の周知を行っていない」という回答が半数近くでございまし た。また、患者調査の結果でも、4ページの一番下のほうでございますが、明細書発行の 一部義務化についての認知度は約3割にとどまっておりました。  それから5ページでございますが、明細書の発行開始時期別に見た発行施設の割合は、 一部義務化が施行された平成20年4月以降伸びているということで、一部義務化は一定 の効果はあったと考えられる。しかし、実際の発行としましては、「全ての患者に対して 発行」と「一部の患者のみに発行」を合わせまして全体の4割という結果でございました。  また、5ページの下から2つのパラグラフでございますが、明細書の発行による患者側 の変化については、患者の3〜4割は明細書の発行によって「医療費の内訳が分かりやす くなった」あるいは「治療・検査内容が分かりやすくなった」という回答、また2割弱が 「施設への安心感、信頼感が増した」という回答が見られました。  また、手数料につきましては、平成21年度調査では、6〜7割の医療機関が無料発行 しているという結果でございました。  こういった結果も踏まえまして、平成22年4月からは原則として無料で全員に発行と いうことになっているわけでございますが、この検証につきましては、またこの次の調査 で調べていくということになろうかと思います。  続きまして6ページからは、7対1入院基本料算定病棟、それから亜急性期入院医療管 理料、回復期リハのそれぞれの調査、それから地域連携クリティカルパスに係る調査でご ざいます。これにつきましては、お手元の資料9ページから10ページが検証部会として の評価でございますが、10ページをごらんいただければと思います。この調査では、7 対1、それから亜急性期のそれぞれの患者像、あるいは入退院の流れ、他医療機関との連 携が主な検証項目でございました。  まずは7対1入院基本料算定病院でございますが、10ページの上から3行目からでご ざいますが、基本的にこういった入院料を算定している病院は、救急医療、災害医療など 地域医療の中核機能を担っている病院の割合が高い。また、実際に入院されている患者さ んの状況を見ましても、手術や侵襲性の高い検査・処置の実施割合が高くなっているとい うことで、おおむねこういった急性期医療を提供する病院において想定される患者像とな っていたということでございます。  また、入退院の経路としては、在宅から入って在宅に出ていくというものが非常に多か ったということでございますが、医療機関としては、7割のところが回復期リハビリ機能、 療養機能、亜急性期医療機能などを持った他の病院との連携をふやしたいが、そういった ものはまだ地域に十分にないといった調査結果でございました。  次に亜急性期入院医療管理料算定病院につきましては、入棟患者の状況につきまして、 ある意味で今回の検証調査で非常に特徴的なことが出てきたわけでございます。中ほどの ところでございますが、まず主傷病で見まして、骨折や関節症などの運動器系の傷病が4 割を占めている。実際に行われているサービスとしましても、運動器リハビリテーション がかなりの割合で行われているといったことがこの検証結果から分かってまいりました。 こういったことも踏まえまして、御案内のとおり、平成22年度の改定では、この亜急性 期病棟につきましてリハビリテーション提供体制加算というものも創設されたわけでござ います。  また、地域連携クリティカルパスにつきましては、現在、大腿骨頸部骨折と脳卒中の2 つの疾病で算定しておりますけれども、大腿骨頸部骨折のほうでは3割の患者が算定され ていたのに対しまして、脳卒中のほうは平成20年改定で入ったということもありまして、 2割を下回っていたという状況でございました。  続きまして11ページからは回復期リハビリテーション病棟の関係でございますが、こ れは13ページをごらんいただければと思います。回復期リハビリテーション病棟につき ましては、平成20年度改定でいわゆる質の評価が試行的に導入されまして、例えば退院 患者の在宅復帰率が6割以上、あるいは新規患者の15%以上が重症患者であるといった ことが、この入院料1の算定の要件とされたわけでございます。結果として患者の選別、 あるいは入院料1が非常に取りにくくなっているとか、そういったことがないかどうかと いうことが一つの検証の視点だったわけでございます。  今回の検証結果では、13ページの下から7行目からですが、実際には8割のところが 入院料1を算定していたということ、それから新規入棟者の重症患者の割合は平均30%、 また在宅復帰率も平均76%ということで、病院側の努力によってかなりの程度クリアで きていたという実態がございました。平成22年度改定では、御案内のとおり、こういっ た点も踏まえまして、15%という新規重症患者の条件を20%に引き上げたところでご ざいます。  また、軽症者を受け入れるような傾向になるのではないかという点につきましては、1 3ページの終わりのほうですが、この質の評価を導入した入院料1と、それを導入してい ない入院料2を比べると、むしろ入院料1のほうが重症患者の割合が高かったということ もありまして、こういったことは起こっていないということが出てまいりました。  そのほか、この調査の中ではいろいろ入退院の流れ等も見ておりますが、総体的に見て、 試行的に導入された質の評価は、全体としては患者の状態の改善に資する影響を与えてい るという結果が出ておりました。  また、この調査ではあわせてリハビリテーションの体制などについても調べましたけれ ども、土日や朝晩における体制がやや手薄になっているという状況がこの検証結果からも 出てまいりましたので、これも御案内のとおり、今回の改定では休日リハビリテーション 提供体制加算というものも創設したわけでございます。  なお、14ページの最後ですが、検証部会の議論の中で、在宅復帰率につきましては、 患者あるいは患者家族の社会的状況等の影響があるということで、今後こういったことに ついて検証を行う際には、これらについても考慮することが望ましいということも意見と して出されました。  次に、15ページからは歯科外来診療環境体制加算でございます。これにつきましては、 17ページの検証部会としての評価をごらんいただければと思います。この加算は、平成 20年度改定で創設されたものでございますけれども、安全で安心できる歯科医療を提供 するという観点から、医療安全や感染症対策等に対する歯科医師等の研修、それからAE Dなどの医療機器の整備、それから医科医療機関との連携といったことがこの加算の要件 とされております。この検証の結果を見ますと、特に歯科の診療所におきまして、例えば AEDなどの機器を平成20年4月以降に整備するところの割合がふえていたということ もありまして、この加算が一つの契機となって体制整備が行われたといった結果が出てお ります。  また、届出歯科医療機関の9割程度が本加算の要件について有効であると回答しており ます。また、患者調査におきましても9割程度がこういったところで歯科医療を受けるこ とにより安心度が高まると回答していることもありまして、おおむねこの加算における要 件設定は適切であったのではないかというのが検証部会としての評価でございます。  続きまして、18ページからはニコチン依存症管理料算定についての禁煙の状況という ことでございますが、20ページでございます。これは実は平成18年度、19年度に続 く3回目の調査でございまして、今回はこの管理料を算定している患者での指導終了時だ けでなく、指導終了後9カ月も含めました禁煙成功率の把握ということが主な目的でござ いました。結果としましては、これは3回目の調査でございますが、禁煙成功率につきま しては、終了時、それから終了9カ月後、いずれも前回調査よりも高くなっている。また、 指導回数が増加するほど、一たん中止した場合でも禁煙率が高まっていることから、一定 の効果を上げているという評価でございます。  最後に、21ページからは後発医薬品の使用状況調査でございますが、これは24ペー ジ、25ページのところでございます。このジェネリックの調査は、実はほぼ毎年やって おりまして、かなり経年的な傾向も読み取れるようになってきておりますが、平成21年 度調査では、まず24ページの薬局調査では、処方医の約7割は「後発医薬品への変更不 可」欄に署名していないという状況でございますが、実際に薬局での変更調剤の割合は1 割未満という状況でございました。その理由としては、「後発品の備蓄による在庫管理の 負担」というものが非常に多く挙げられていたということ。また、今後の後発品への変更 を進めるための要件としまして、「情報提供や安定供給」等々のほかにも、「剤形・規格 の違いにかかわらず銘柄変更調剤ができる環境の整備」といったことも挙げられておりま す。これも御案内のとおり、平成22年度改定でこういった点も踏まえて見直しを行った ということでございます。  また、25ページの一番上のほうでございますが、この検証結果では、入院患者に対し て後発医薬品を「積極的に使用」と回答している病院ほど、外来患者への後発品の使用や 処方に積極的であるという結果も出ておりまして、こういった検証結果を踏まえて、平成 22年度改定では入院基本料の加算という形で後発医薬品使用体制加算を創設しておりま す。  また、患者のほうにつきましては、この調査では、後発医薬品の認知度は全体として高 く約7割でございましたが、実際に使用した経験のある者は約5割ということでございま した。ただ、使用経験がある患者ほど満足度は高いといった結果も出ていたということで ございます。  以上、簡単でございますけれども、平成21年度調査の最終報告ということでございま す。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま御説明いただいた内容は、検証部会としての評価・意見ということです。総会 は検証部会の上位に位置するわけでありますので、検証部会の意見について忌憚のない御 意見をいただきたいと思います。御自由に御発言いただきたいと思います。  ボリュームが大きいので、すぐにはなかなかご意見も出ないかもしれませんが、牛丸部 会長、何かございますか。 ○牛丸委員  私のほうからは、こちらの平成21年度調査結果については、今事務局から御説明があ りましたことにつけ加えることは特にありません。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  私が大学人だからかもしれませんが、この評価の結果は、うまくいった、うまくいった という今の話なんですけれども、ほとんど、エンドポイントを患者満足度に置いてしまっ ているんです。例えば脳卒中の患者さんの死亡率が減ったとか、僕は今がんのことをそれ で徹底的にやろうと医師にも研究所にも言って、この6月1日から体制を変えてやってい るのですけれども、そういうものが全然ないんです。これだと、もともとWHOで言えば 日本が世界一の医療結果を出しているんですけれども、この調査結果というのは、患者さ んのエモーションを聞くためのものなんですか。もうちょっとサイエンティフィックなも のを入れたらいいのではないかと思うんですが、調査部会としてはどのような意見でこん な患者満足度ばかり調べているんですか。こんなのは、人間の欲望はどこまでもあるわけ で、ホテルの接遇を医療の質と勘違いするような評価の仕方になっていると私には思える んですが、もう少しサイエンスとしての評価をしたらいいのではないかと思うんです。こ れはどなたに聞いたらいいか分からないんですが。 ○遠藤会長  では、私がとりあえずお話しします。まずは、医療の評価あるいは医療政策の評価とい うことで、これは確かに患者さんの意向が大切だということで、医療の評価の中に患者満 足度というインデックスがあることは事実ですので、そういうことも聞いているわけです が、医師の意見を自由回答で聞いているとか、あるいは具体的な数値等々も入れるものは 入れています。ただ問題は、嘉山委員がおっしゃっているのは、もう少しクリニカルイン デックスを使ったものを調査するべきではないかという御意見だと思います。それについ てはほとんどやっていなくて、強いて言えば、禁煙のところで多少やっているかなという ところがありますので、それをやるのか、やらないのかというのは、今後の議論だと思い ます。御指摘のとおり、クリニカルインデックスを使った医学的な評価といったものにつ いては不十分だというところは確かにある。それを今後どうするかということだと思いま すが、これは本来検証部会長のするべきお話ですので、牛丸委員、ちょっと御意見をいた だきたいと思います。 ○牛丸委員  今、会長からお話がありましたように、これまで検証部会が行ってきた検証には確かに その面は余りないです。今後の調査に関しても、患者の意向というか、そういうことをよ くやってほしいという意向もありましたので、どちらかというと、確かに患者という側面 が強いかもしれません。今お話がありましたように、調査自体は患者だけでなく、施設、 それから医師のほうにも聞いておりますが、嘉山委員が指摘されたような科学的というか、 そういう面での調査はほとんどないということは確かです。今後この検証部会が行う検証 の中でそういうことをどうやって入れていくことができるかというと、私もちょっと専門 外ですから、科学的なことは分かりませんが、次に平成22年度の調査を行いますので、 そこでまた発言していただきたいのですが、そこにどういう形で入れられるか、それによ ると思いますが、いかがでしょうか。 ○遠藤会長  嘉山委員。 ○嘉山委員  まず2つあるんですけれども、私は、こういうことをずっと繰り返してきたので、日本 の国民が、医療の質というのは患者満足度と誤解しているところがあるんだと思うんです。 ですから、マスメディアで日本の医療の質が低いということに対して、関原委員が前にそ んなことはないと言っていただいたので、中医協としては初めてのああいう公益側の発言 だったと思って僕は本当に感謝しているんですけれども、患者満足度は医療の質ではない んです。今度からはそれを誤解されないような調査にしなければいけないのではないかと いうのが1点です。  もう一つは、森田先生ともよく話しているんですが、日本の医療評価のエビデンスがな いので、このような調査になってしまわざるを得ないので、一日も早くエビデンスをつく れるような、つまりエンドポイントが分かるような、がん登録一つにしても、まだほとん どできていない、3割から4割しかできていないという状態で、その科学的なものを入れ るのはなかなか難しいんです。ですから、厚生労働省としては、お国でもいいんですけれ ども、このエビデンスをつくれるような体制を早くつくる。今、牛丸委員がサイエンティ フィックなことをどうすればいいんでしょうねとおっしゃった答えとしては、エビデンス をつくるためには、正確な科学的な情報をきちんとつかめるようなシステム化をするとい うことが、何度も言っていることなんですけれども、大事だと思っています。 ○遠藤会長  ありがとうございます。今後の議論に非常に重要な御指摘をいただいておりますけれど も、ただしこれは患者満足度だけで聞いているわけでは決してありませんので。ただ、そ の中で医学的なインデックスを使っていないところは多いのですけれども、数量ベースの 定量分析をそれなりにしておりますので、政策の評価という点では、ある意味ではできる 範囲のことはある程度やっているということではありますので、その辺のバランスをどう するのかというのは今後の議論になるのかなとは思います。それから、医療の質の評価に 患者満足度はないというのは言い過ぎです。医療の評価の中の一つに間違いなく患者満足 度があるというのは、学界の定説です。 ○嘉山委員  そうではなくて、患者満足度はあってもいいんですが、それがイコールだと誤解される のは困りますということです。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ほかに何か御意見はございますか。白川委員、どうぞ。 ○白川委員  今、会長が言っていただいたので、私も申し上げようと思ったんですけれども、この調 査は本来、平成20年度の診療報酬改定の効果がどうかということを検証するために行っ た調査で、クリニカルな意味での医師としての効果とか、患者の満足度といっても、それ はここにありますとおり、明細書について診療報酬改定時に改定されたので、その効果が どうかということで調査をしているだけです。検証部会の部会長の発言も私にはちょっと 疑問なんですけれども、それが目的の検証部会のはずですので、それを超えるような検証 が必要ということになれば、これは本年度以降議論すればいい話だと私は思っております。 それだけちょっと申し上げたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  この問題は大変大きな問題であろうと思いますのは、国がこの中医協という組織にどう いうテーマとどういう対象責任を与えているのか、また我々はどういう問題について論議 しなければいけないのかということに関連するんだろうと思います。それで、今先生がお っしゃったような純粋な医学の専門的な知識の問題になると、私たちではとても対応でき ないんです。そうしますと、中医協としてなかなか難しいのではないでしょうか。ですか ら、この中医協というのは何が求められているのかなと。今、白川さんがおっしゃいまし たけれども、診療報酬と医療の行為と、それから患者の問題と、そういうところが総合的 にどういう関係があるのかといったところをここで3者、トライパータイトの関係で論議 をゆだねられているのではないのかなと私は思うんです。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  患者さんが日常生活の中で受けた医療からどのような感じを持つかというのは非常に大 事なことだということは、私も当然だと思います。ただ、WHOなどできちんとデータを 出すときには、先生は科学的で医学的なことは分からないとおっしゃいますが、寿命が1 年延びたとか、半年延びたということは、素人でも分かることなんです。それは我々医療 側にアカウンタビリティーの能力がないのかもしれませんが、非常に分かりやすいんです。 赤ちゃんの死亡率が減ったとかということですから、これは分かりやすい。それこそWH OがOECDに出しているデータの根本なんです。我々は何のために医療をやっているか と言えば、私は患者さんへの言葉も優しいんですけれども、中には腕がよくても言葉がき つくて受ける感じが違うといっても、実際は腕がいい外科医のほうがいいというのが国民 の皆さんの本音だと思うんです。ですから、先生方がおっしゃるような患者さんが受ける 感じも非常に大事なことはもちろん認めた上で、でもその上に、何のために医療費をどこ かにあれしているかと言えば、WHOでは、「ではエンドポイントはどうなのか。長生き したのか。寿命は延びたのか。がんがなくなったのか」と、彼らとディスカッションして いると、すごく冷静に言うのです。それは、この医療費をつけている以上は、我々の義務 として、数字の上では出さなければならないことではないかなと。平成20年度はもうし ようがないので、今、白川先生がおっしゃったように、今後のこととしては、どのくらい 長生きしたかどうかなので、あるいは赤ちゃんの死亡率がどうなったかとか、そういうこ とで、非常に分かりやすいですから、入れたほうがいいのではないかということです。 ○遠藤会長  一つよろしいでしょうか。私は初代の検証部会長でしたからちょっと申し上げますと、 嘉山委員のおっしゃっているようなことは非常に重要なことだということはよく分かるん ですけれども、先ほど来、1号側の委員の方々から出ていますように、これは目的が非常 に限定された調査なんです。例えば、改定した結果寿命がどのぐらい延びたかなどという ことを検証することは、事実上不可能なわけです。というわけですから、この改定に伴っ て実際にどういうことが起きているのかということ。ただし、それは全く医学的な意味で そういうものを見ていないというのもまずいので、その辺はある程度何か代替指標で必要 なことはしているわけですけれども、そのレベルの話なんです。あくまでも改定したこと によって生じている副作用や当初予定した主作用がちゃんと機能しているかぐらいのこと を探っているというレベルの調査なので、したがって長期的にはやらないということです ので。  では、牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  私の現検証部会長としての発言がちょっと誤解されたようなので、お話ししておきます。 白川委員及び会長がおっしゃったように、検証部会が行う検証というのは、診療報酬改定 の内容がどうであったかを検証する、それが目的であります。ですから、それを超えるよ うなことについての調査というのは、検証部会の範囲外であります。ですから、そういう 点で、もし嘉山委員がおっしゃるような、非常に興味深いというか、重要なことですけれ ども、検証部会が行う範囲以外のものに関しては、もし中医協がやるとすれば、ほかのと ころで何らかの形で調査をする。検証部会が行う検証というのは、あくまでも改定がどう なったか、その結果を見る。ただ、その場合でも、従来、仕方がないのですが、やり方と してこういうやり方をしてきた。その中で、嘉山委員がおっしゃるような科学的な要素と いうものが入れば、つかんだほうがいいだろうということです。ただし、それがどこまで つかめるのかということで、改定の検証と直接つながりがない、今会長がおっしゃったよ うな長期的なこととか、そういうものであるとすれば、それはちょっと難しいわけです。 ですから、もし嘉山委員がおっしゃるようなエビデンスとしての科学的なことが本来の検 証部会の検証の中に入れられるものであれば、入れようということは考えております。し かし、重要なことですけれども、それを超える部分に関しては検証部会では扱えないとい うことでございます。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  もちろん、北村先生が分かりやすくということで、寿命という言葉を使いましたが、例 えばリハビリの期間が短くなって社会復帰がどのくらいかというのは短期間でできる数字 なので、そういうものも入れられるものは入れてほしいということを私は申し上げて、余 りにも患者満足度に偏り過ぎているということを言いたかっただけです。  それから、あと質と、我々で言えば医療のクオリティーは違う。WHOから見れば違う んですということ。ほかの国では、アメリカで言えば、保険会社が医薬品を払うときには、 完全にエビデンスとして寿命が延びるのかということをちゃんと聞いてきますから、患者 満足度などは、保険会社は一切とは言いませんけれども、ほとんど聞かないで、科学的な エビデンスを出せ、それで保険料を払うと言いますので、そういう意味では、科学的なも のをできることならまぜないといけないのではないかなということです。 ○遠藤会長  重要な御指摘です。ただ、余り抽象的な話をしても食い違いがありますので、次回の検 証項目に絞り込んで、どういう質問にするかということを今後議論することになりますの で、それはまた総会にお諮りしますから、そのときに具体的にこういうことを聞くべきだ という形でおっしゃっていただきますと、我々としても非常に議論がしやすいということ になりますので、ぜひそのときによろしくお願いします。  ほかにございますでしょうか。  では、特にないようであれば、検証部会としてはこのような評価をしたということで、 これは報告事項ということになるかと思いますけれども、これについてどう評価されるか はまた後々の議論の中で反映していただきたいと思います。ありがとうございます。  それでは引き続きまして、同じく検証の話です。今度は、「平成22年度診療報酬改定 の結果検証に係る特別調査の実施について」を議題といたします。この件につきましては、 5月26日の検証部会で調査の基本的な枠組みがまとまりましたので、検証部会の牛丸部 会長より御報告をお願いします。 ○牛丸委員  それではもう一度、牛丸でございます。先ほどは、平成20年度診療報酬改定の結果検 証に係る特別調査の平成21年度調査の報告でした。今度は、平成22年度診療報酬改定 の結果検証に係る特別調査ということです。それで、既に4月21日の中医協の総会にお いて11項目の検証項目については御承認いただきました。去る5月26日に開催されま した検証部会において、その11項目のうち、2年間でやりますので、まず1年目の本年 度の調査実施分として、5項目について一応調査の骨格を取りまとめました。それをここ に御報告いたします。細かい内容については後ほど事務局より説明していただきます。  その5項目の調査項目の中に入れてありますが、今後のスケジュールに関しても少し申 し上げておきます。本日お出しします調査の骨格案が御了承いただけましたら、事務局の ほうで調査機関の選定手続に入りまして、検証部会の下に調査検討委員会を設置いたしま す。そこで具体的に調査票の作成などの作業を進めていくことになります。もちろん今日 は後ほど事務局から説明いただきます骨格案に対する御意見をちょうだいするわけですが、 それを受けて、今後設置されます調査検討委員会の中で、調査票の作成について細かい話 が進んでいきます。それについても当然委員の皆さんの御意見をちょうだいして反映させ ていきたいと思っておりますので、その都度御意見をいただきたいと思います。まだ具体 的なところへいっておりませんが、先ほど少し前の調査についての御意見が出ましたよう に、もし今度のことに関しても御意見があれば、今日でも構いません。それから、具体的 な日時はまだ分かりませんが、調査検討委員会で練った案についてはまたここにお出しし ますので、そこで、あるいはその途中でも構いませんので、御意見があれば事務局なりに 言っていただければ、それを反映させたいと思います。ただし、予算のこともありますし、 いろいろなことがありますので、全部反映させるということは難しいかもしれませんが、 実りある検証ということにしていきたいと思いますので、できる限り皆さんの御意見を反 映させたいと考えております。  それでは、細かい点について事務局のほうから御説明をお願いいたします。 ○遠藤会長  調査室長、お願いします。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  それでは、お手元の資料総−3−1でございます。なお、その下の総−3−2には前回 の総会で御承認いただきました平成22年度改定の検証項目11項目を並べておりますけ れども、総−3−1にございますように、この11項目の中から、今年度平成22年度は 5項目について検証調査を行ってはどうかということでございます。  具体的には、総−3−1の1ページ目の3というところにございますように、1点目は、 救急医療等の充実・強化のための見直しの影響調査。これは今回重点課題として取り組ん だことでございますので、この影響調査が1点目でございます。2点目は、外来管理加算 の要件の見直し、また、これと関連しまして地域医療貢献加算が創設されましたが、この 影響調査が2つ目。それから、歯科の関係では、(3)にございますが、今回創設されま した歯科技工加算創設の影響調査。4点目としましては、先ほど平成21年度の報告でも 行いましたが、後発医薬品の使用状況調査。そして5点目としまして、今年の4月から原 則義務化になりました明細書発行の実施商況調査。この5本で行ってはどうかということ でございます。  それぞれの調査の骨格でございますが、まず2ページ目でございます。1点目の救急医 療等の充実・強化のための見直しの影響調査でございますが、これも御案内のとおり、平 成22年度改定では、新生児集中治療あるいは小児救急等を中心に、急性期、救急につい てはかなり大幅な見直しを行いました。また、それだけではなくて、急性期後の受け皿と しましての後方病床機能の評価などもあわせて行ったところでございまして、こういった 改定結果が救急医療等の充実・強化にどのような影響を与えているかということがこの調 査の主たる目的でございます。  具体的には、そこの調査客体というところにございますように、救命救急入院料、ある いは新生児特定集中治療室、いわゆるNICUとか、こういった今回かなりの増点をしま したところを中心に、こういった入院料を算定している保険医療機関と、さらに後方機能 という意味では、例えば今回の改定では、救急搬送の患者につきまして、入院から5日以 内という超早期での連携ということで、救急搬送患者地域連携紹介加算、それから受入加 算というものをつくりましたが、こういった受入加算を算定しているところ、あるいは地 域の中で診療所が協力して小児の夜間救急診療を行う診療料といったところを算定してい るところ、いわば救急のコアの部分と、後方のバックアップ機能といったところを代表す るような、そういう点数を算定しているところを中心にサンプルの抽出を行ってはどうか ということでございます。  具体的な調査項目としましては、そこにございますように、まず施設なり病棟の状況、 あわせまして患者の状況、特に患者の状況につきましては、こういった救急の流れの中で 入院元・退院先がどう変化してきているのか、あるいは他医療機関との連携がどう変化し てきているのかといったあたりがこの調査の主眼になろうかと思います。  調査スケジュールは、後のものも基本的には共通でございますが、先ほど部会長から御 報告がございましたように、調査機関の選定をしました後、検証部会の下に調査検討委員 会を設けまして、ここで具体的な調査設計をしてまいります。ここの調査票の作成段階に 当たりましては、先般来の御議論もありますので、中医協各委員にてきるだけ早い段階で ごらんいただけるような手続をとりたいと思っております。実際の調査は年末になるかと 思いますが、年明け以降、回収、集計が終わり次第、中医協に報告していくというスケジ ュールになろうかと思います。  同様に、3ページ目でございますけれども、2点目の外来管理加算の要件見直し、それ から地域医療貢献加算創設の影響調査ということでございます。  外来管理加算につきましては、御案内のとおり、今回の改定で算定要件の見直しを行い ました。この外来管理加算につきましては、平成20年度の見直しの後も一度調査を行っ ていますが、今回のさらなる見直しを経てどう変化したかということで、具体的な調査項 目としましては、外来診療の実態の状況、診療内容とか、患者さんへの説明とか、診療時 間といった実際の診療の状況、それからこの加算についての医師側の意識、あるいは患者 の理解度等といったことが中心になろうかと思います。  それから、今回の改定で創設されました地域医療貢献加算につきましては、これは標榜 時間外においても患者からの問い合わせ等に対応できる体制を整えたところに加算をする ということでございますので、実際にこの加算を届け出ているところのそういった対応体 制の状況とか、実態としての患者からの問い合わせの状況がどうなっているのか、あるい はこの加算についての医師・患者等の意識がどうなっているのかといったあたりが基本的 な視点になろうかと思います。調査スケジュールは同じでございます。  それから、3点目ですが、4ページ目の歯科技工加算創設の影響調査でございます。こ れは、歯科診療所で歯科技工士を配置いたしまして、その技能を生かして、例えば有床義 歯修理等について、できるだけ患者さんの利便が高いような形で日数の短縮などを行って いくというところを評価したものでございます。これは今回の改定での創設でございます けれども、この加算の届出を行っている歯科医療機関を対象としまして、実際に歯科技工 の体制整備の状況がどうなっているのか、あるいは有床義歯の修理状況、それから実際に 歯科技工士を置いたことによってどういった効果があらわれているのかといったこと、あ るいは患者側の意識といったことが主たる調査項目になってこようかと思います。スケジ ュールは同じでございます。  それから、4点目ですが、後発医薬品の使用状況調査でございます。これは先ほども御 報告しましたように、ほぼ毎年のような形で行っております。したがいまして、調査項目 もある意味では前回の調査との継続性というものもございます。5ページの3のところで ございますが、特に今回の平成22年度の改定で見直しをしたところも調査項目の中に含 めていくということで、例えば調査項目の中の2つ目の「・」のところでございますが、 今回、含量違いあるいは剤形の変更調剤についての見直しを行いましたが、こういったと ころの変更調剤への状況についてのデータ、あるいは下から2つ目の「・」でございます が、保険医療機関(入院・外来)における後発医薬品の使用状況、今回創設しました後発 医薬品使用体制加算の算定状況を含めての調査ということになろうかと思います。後発医 薬品につきましては、毎年の調査ということもありますので、他の調査より若干スケジュ ールを早めまして、年末に速報での報告ができるようにということで、全体的にはほかの 調査より1カ月ぐらい早いペースで進めたいと思っております。  最後でございますが、6ページ目、明細書発行原則義務化後の実施状況調査ということ です。これも先ほど御報告しましたように、平成21年度調査でも行っておりますが、今 回は原則義務化後の状況ということで、従来のような明細書の発行実態あるいは患者の受 取状況といったことはもちろんですけれども、実際に発行する側の事務とか費用負担の実 態、これは今年2月の中医協の中でも御議論があったところですが、患者からの照会への 対応体制、あるいは設備整備に要する費用等、あるいは患者さんへの影響、待ち時間がど うなったのか等々、こういったあたりも新しい調査項目として加えて行っていく必要があ るのではないかということでございます。  以上、簡単ではございますが、今回の調査の骨格についての御説明でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  今後のスケジュールということで、今御説明もありましたけれども、検証部会として今 回示しました案は、余り細かいことは書いていないで、基本的な骨格だけを出しているわ けです。むしろ総会でさまざまな御意見を承りたいという考え方でこのような形にさせて いただきましたので、この場でいろいろと御意見を承れればと思います。また、急すぎる ということであれば、基本方針については総会でもう一回ぐらい議論してもよろしいです か。タイミング的には可能ですね。保険医療企画調査室長。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  だだ、全体の調査のスケジュールもありますので、この項目についてはある程度本日で 確定していただきたいと思っておりますが、調査の中身については、これからまさに調査 票もつくっていきますので、そういう意味ではまだ御意見をいただく機会はあると思いま す。 ○遠藤会長  恐らく、昨日の今日では、意見が十分出てこないという可能性はありますので、調査項 目の議論のときにまた御意見募集という形になると思いますけれども、それをもう一回皆 さんにお諮りする場があるかないかということでちょっとお聞きしたんです。では、その 辺はまた全体のスケジュールで考えますが、基本的にそういう形で、まずは基本方針を固 めていきたいということになります。その次に調査検討委員会をつくりまして、この中に は専門のお医者さんが1〜2名必ず入りますので、そこで実際の調査項目を考えるという 形になります。従来は、かなり固まってから段階で総会に出したので、もうそこはがちが ちになってしまってなかなか直せなかったということがありますので、今回はその途中で 総会にお諮りしたいということが牛丸部会長のお考えでもありますので、そういう流れに なります。でありますので、今回、この基本方針、それぞれの調査項目に対する視点とか 項目といったことについて御意見があれば承りたいと思います。白川委員、どうぞ。 ○白川委員  今御説明のありましたとおり、11項目の中で、本年度中に調査して意味があるものと いうのは限られていると思いますので、選ばれた5項目につきましては適切かなと考えて おります。やり方等につきましても、おおむねこれでよろしいかなとは考えますが、今会 長からもお話がありましたとおり、調査票の内容についてはまた別途議論する時間がとれ るようでございますので、具体的な内容については、それを拝見した上で、意見があれば 申し述べたいと考えております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  2号側、何かありますか。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  2つございます。一つは、まず今回の検証内容についてで、今回中医協で検証内容につ いてあらかじめ議論させていただけるということになりましたから、そこでまた申し上げ ますが、予告でございます。3ページの外来管理加算については、前回平成20年度改定 の後の検証部会が行われたときに、私はその当時は検証部会の委員として招集されて、日 本医師会からの推薦もあったのでしょうか、参加させていただきました。前にも申し上げ ましたが、そこでアンケート項目の変更や追加はあるかというお尋ねは形式的にはちょう だいいたしましたが、御提案はしたけれども、それは一切受け入れられることがなかった。 私が御提案したのは、あのルールにしたときに、その後の議論のことがあるので、算定回 数がどう変わるかということを聞くべきだということを申し上げたんです。ところが、そ れが入らなくて、そのために中医協の議論がそれに随分時間を費やしたということもござ いました。今回も5分間要件を外したんです。かわりに外したはずの5分間要件とかわら ない新要件を入れたにもかかわらず、予算的には120億円見てあるわけです。でありま すので、平成19年度から20年度の間、そして今回の改定の前後ということで算定回数 はどのように変化したのかという項目はぜひあるべきだと思うということを後ほどまた申 し上げますが、あえて予告で申し上げます。というのは、ある一つの限定された数ではあ るかもしれませんが、インターネットメディアの方たちもアンケート調査をしていただい ております。算定は、余り変わっていないではないか、本当に120億円要ったのかとい う結論もそこでは一定出るといった報道もあるという中ですから、今回はぜひ回数のとこ ろは入れていただくということは非常に強く議論の過程で申し上げます。そのことを予告 させていただきますということが一つです。  それからもう一つは、全体の話ですが、前回、私どもからの提案として、こういうこと をここでも議論させていただきたいということを御提案申し上げました。その一部に、今 後実施すべき調査内容で検証部会実施分を除くということで幾つか御提案をしております。 それは、例えば医療技術評価分科会や医療機関のコスト調査分科会でやっていただくもの から、外来基本料の意味やその中身、評価についての議論といった非常に根本的な問題ま でを挙げさせていただいているわけであります。これまでも予算は検証部会に相当とられ ていて、民間の調査会社に委託される。その調査の費用というのはかなり莫大なものがあ ろうかと思いますが、それと並んで、私どもの御提案した調査項目というものも、決して 羅列的に何でも入れたわけではなくて、かなり議論の中から厳選して入れたものでござい ます。これは検証部会とは別に調査をするということで、今後どういう取り扱いになる可 能性があるのかということについては、事務局の御見解を今の時点でお伺いしておきたい と思います。  以上2点でございます。 ○遠藤会長  わかりました。まず、前回安達委員に御出席いただいたのがその調査検討委員会という ところでありまして、そこは調査会社と検証部会の委員と学識経験者、学会関係という形 で、その学会関係という形で安達先生がお入りになったわけです。ですから、前回はそこ は修正できなかったというお話ですけれども、今回はその途中経過を総会に出しますので、 もちろん修正することはできるという流れになるかと理解しております。  実はもう一つ、今の話には意味がありまして、本来お金の問題は基本的には余り検証部 会の対象にしてこなかったというところがあるわけですが、それをやるかどうかというこ となんです。ほうっておけば社会医療行為別調査が出てきますから、それを使えば一番正 確ではないかという議論が従来からされていたんですが、それでは遅いという話が一方で はあって、やるかどうかというところ、その辺は1号側との議論もしながらどうするかを 少し議論したいと思っております。  もう一つは、検証部会の調査ではなくて、特に調査専門組織で行われる調査に2号側か ら提出されているもの、これもまだ議論がされておりませんから、この段階でどうという ことはできませんけれども、それはある程度確定した段階で果たして専門組織の調査に抱 き合わせられるのかどうかといったことの議論だと思うんです。1号側から何かのコメン トが出せるのは、次回ぐらいでしょうか。白川委員、どうぞ。 ○白川委員  2号側の先生方に御提案を受けた、中医協総会で議論したいというリストでございます が、次回は6月23日と伺っておりますので、そのときに私どもの考え方を発表させてい ただきます。 ○遠藤会長  わかりました。ということで、一応議論がここでされるという形になりますので、その 中にその調査をどうするかという問題も出てくる可能性があります。問題は、調査専門組 織の調査は独自で考えていると思いますので、タイミング的にうまく折り合うかどうかと いうことがありますので、スケジュール的には今のような中医協の審議の過程で、調査専 門組織がやるコスト調査等々のスケジュールとどのように兼ね合いを考えたらいいかとい うこと。これは事務局にお伺いしたいと思います。医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  今日この時点では即断はできませんけれども、今ありましたように、まず1号側からも 御意見が出るでしょうし、私どもも前回拝見しましたときに、事務局としてできそうなこ とと、簡単にはできそうにないこと、できそうになくとも、例えば他の調査を流用して持 ってくることができそうなこと、つまり調査専門組織も入れた中医協以外のところにあり そうなデータを持ってくることとか、さまざまありましたので、そこも可能であれば、事 務局としての現時点での見通しみたいなものを、次回になるか、次々回になるか分かりま せんが、提出する中で、間に合うもの、間に合わないもの、絶対入れたほうがいいものと いうことをちょっと峻別して御提示できればと思っております。 ○遠藤会長  わかりました。フィージビリティーを考える立場にもあるわけなので、事務局としても この件については案を出させてくれということですので、それを入れながら議論していく という方針にしたいと思いますが、よろしゅうございますか。 ○安達委員  それで結構でございます。前回も今回も、今、白川委員がおっしゃいましたが、次回ぐ らいに1号側の御見解も出てくるわけで、我々も御提案をして、今会長が御指摘のように、 事務局の体制としてどれがやれて、どのようにやるかということ、そういうものが3つそ ろわないと議論はできないと思いますが、一応今確認のために申し上げさせていただきま した。これもぜひ、少なくともどうするかという議論の対象にはしていただきたいという ことをお願い申し上げているということでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、話を戻しまして、平成22年改定の検証項目につきまして何か御意見があれ ば。渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員   2点ほど発言したいと思います。一つは、歯科技工加算のところでございますが、これ は御説明もありましたし、既に皆さんお分かりのように、歯科技工士を院内に配置するこ とによる効能・効果、また義歯修理に係る患者さんへの適切な対応がどうできるかという ことを調査することだと思いますが、ぜひこの調査設計が出たところでもその内容を見て 申し上げたいと思いますが、単に技工室内あるいは技工士さんのかかわりだけではなくて、 それに至る診療室における歯科医師がそれにかかわって初めて最終的にこの義歯修理とい うのは完成するということですので、そういうところの診療の流れについても踏まえたよ うなものをぜひあらかじめお考えいただいて調査設計していただければなと考えておりま す。  それからもう1点、前回のときに2号側から委員全員で出した中で、物と技術の評価と いうことが大きなポイントになっていると思いますが、その節にも若干触れましたけれど も、補綴物という言葉でお話ししましたが、ここの場で言えば、別の言葉で言えば、それ は技工物ということも言えます。歯科においては技工物、そして補綴物というものの占め る割合が非常に大きいです。そういう意味で物の評価を的確にするのにはその技工物の評 価をどう適切にするかというのが重要なのですが、今回のこの調査の中には調査の目的か らして、そうしたものが含まれていませんので、技工物については、次の平成24年度改 定に向けては、どうしてもその的確な調査に基づく評価の検討が必要だと思いますので、 医療課のほうで、この中医協の特別調査とは別に、歯科補綴関連技術の評価の調査といい ますか、この歯科技工にかかわる調査をぜひしていただければと考えております。それが 第1点目であります。  第2点目は、最後の6ページにあります明細書発行原則義務化後の実施状況調査ですが、 これについては、答申の附帯事項に入れました検討事項の中に、この明細書の発行の在り 方を検討するということがあります。単にここでどういう形でどういう提供が行われてい るかということではなくて、その在り方を検討するに資するような調査内容が欲しいと思 います。そういう意味で、特に歯科の立場で申し上げましたのは、まだ義務化されていな い状態の中で、実際にオンラインを手を挙げてやっているところは、この前の報告ですと、 わずか0.6%ぐらい。今は1%ぐらい超えたのでしょうか。正確な数値はちょっと分か りませんが、非常に少ないところなんです。そういうところはある意味では非常に先進的 にやっていて、体制をしっかり整えて、1%、100分の1ですから、そういうところな んです。そういうところだけを対象にされたということになりますと、非常に積極的に体 制を整えているところの調査結果しか出てこないということがありますので、原則義務化 されるまでにはまだ余裕があるわけですので、広く全体の歯科診療所のそうしたときの体 制がどうなのか、いわゆる診療所内の人員配置的な体制がどうなのかというところがこの 調査結果の中から出るようなこと。その中で、それでは具体的に在り方を検討するときに は、そういう状況から踏まえて、こういう在り方が適切ではないかということを検討する ことができるのではないかと考えておりますので、そのような設計。例えば客体の選出等 についても、そういう点も踏まえたものが必要ではないかとも考えておりますので、ぜひ その点についてお考えいただきたいと思っております。 ○遠藤会長  調査設計をする上で参考にさせていただきたいと思います。いずれ具体的な調査項目が 出てまいりますけれども、スケジュール的にはそれは9月以降という形になりますので、 かなりタイトスケジュールになることが予想されます。したがって、基本的な方針につい ては、むしろ今の段階でおっしゃっていただいたほうが、それに沿った形で調査項目が立 てられるということでお聞きしているわけです。しかし、昨日の今日ということもありま すので、とりあえず本日はお持ち帰りいただきまして、御意見等があれば、これは事務局 のほうにお寄せいただくという形で本日は対応させていただきたいと思いますけれども、 ひとつよろしくお願いいたします。  この件につきましては特によろしゅうございますか。  それでは、本日御意見をいただきましたし、また今後も御意見をいただけるということ でありますので、検証部会といたしましては具体的な調査設計を進めていっていただけれ ばと思いますので、牛丸部会長、よろしくお願いいたします。  次に、その他ということでありますけれども、何かございますでしょうか。安達委員、 どうぞ。 ○安達委員  すみません。お時間を余りとりたくはないのですが、前回鈴木委員のほうから御要望が あったと思います。今回の改定で、出来高払いの入院の患者さんがやむを得ずどうしても 他科の外来診療を受けなければならなくなった場合、その取り扱い方について、現場との 乖離があったり、入院の医療機関が薬品のデッドストックを背負わなければならないとい う不利があったりするといった御指摘が多々あったということで、改善方を要望されたも のだったと思います。そうしますと、我々にはこれを決めた責任があるわけでございます ので、記憶はある程度ないことはないんですけれども、一度その資料を確認させていただ きたいという意味で、まず事務局にお願いしたいんですが、どの内容だったかということ をちょっと確認していただけませんでしょうか。 ○遠藤会長  医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  前回そういう問題提起がございましたし、またあらかじめ資料もということでございま した。普通はお手元のバインダーの中に資料があるのですけれども、ちょうどごらんいた だきますように2月5日からの資料しかとじられておりません。今慌ててちょっと担当か ら配らせていただいておりますけれども、右肩に中医協総−6と書いた資料があろうかと 思います。その1月20日と書いてあるものをごらんください。  まず、入院中の患者に係る対診・他医療機関受診の取り扱いにつきましては、この資料 の1ページ目にもありますように、12月18日の中医協基本問題小委において御議論い ただきまして整理案を示したのですが、特に病院の関係の先生方から幾つか御意見をちょ うだいして、結果的にはこの1月20日にお示ししました形でおおむね御了解を得たと記 憶しております。  より具体的には、ちょっと資料を何枚かつけていますが、今、安達委員から出来高病棟 の話が出ましたので、それも他医療機関受診の取り扱いということでしたので、ちょっと 最後のページをお開きください。スライド番号で3と4と書いてあるものでございます。 「現状」と書いてあるのはこの1月20日に出した当時の現状でございまして、今は違っ ております。今はこの整理案の形で整理されております。  当時「現状」と言っていたスライド番号の3を見ていただきますと、DPC対象病院、 それから特定入院料等算定病棟につきましては、入院中の患者が他医療機関を受診した場 合の費用やその取り扱いについてはおおむね整理されていたのですが、中医協での問題提 起を踏まえまして整理するということにいたしました。その過程で、一番下の整理案とい うスライド番号の4にありますように、出来高病棟においても、特定入院料等算定病棟等 の均衡を考えまして、この際ということで整理したということでございます。  もう少し御説明いたしますと、※2と※4がございますが、まず※4から御説明します。 赤枠で囲っておりまして、今入院していらっしゃる医療機関をAとし、患者さんが外来受 診される病院をBとしますと、Aの病院においては、入院基本料は今ありますけれども、 30%を控除した点数を算定するとしております。一方、外来で診療するBにつきまして は、※2にありますように、医学管理、在宅等は算定できないとしております。  さらにもう少し深めて御説明いたしますと、※4の「入院基本料については30% (案)を控除した点数を算定」というのは、その左側にあります※1の「特定入院料につ いては70%を控除した点数を算定」ということを勘案しまして、実際の入院基本料の金 額等がどうなるかということもあらかじめ念頭に置いた上で、おおむねの額として入院基 本料については30%を控除した点数を算定といたしました。  一方、※2のほうですが、「医学管理、在宅等は算定できない」ということで整理し御 了解を得たわけですが、実際の運用に当たりましては、3月5日に「診療報酬の算定方法 の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の中で具体的に示しております。今日は資 料としては準備しておりませんけれども、簡単に御紹介いたしますと、短期滞在手術基本 料2・3、それからこの※2にもありました医学管理と在宅医療、それに投薬、注射、こ れは受診日の投薬または注射に係る費用を除く、それから処方料・処方せん料は取れませ ん、それからリハビリテーションも、言語聴覚療法以外のリハビリテーションは算定でき ないということで、課長通知で整理をいたしまして、4月1日の改定に向けての準備をし たということでございます。  ちょっと早口でございましたけれども、経緯についてはそういう状況になっております。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  安達委員の御質問でしたけれども、安達委員、よろしいですか。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  前回問題提起をさせていただきましたが、その後も現場からは非常に不満、苦情といっ たものが日医のほうにも寄せられております。先週末にも中四国や近畿での医師会連合会 の総会がございましたが、そこでも主要な議題の一つとなっております。確かに我々も協 議して決めたほうではありますが、印象としては、DPCについて取り決めがなかったの で、それをといった印象が強く、結果的に出来高の部分は十分な検討ができなかったとい う反省もあると思います。原則は転医か対診かということでございますけれども、高齢者 は複数の疾患を有していることも多く、医療資源の乏しい私どものようなところでは、基 幹病院は忙しくて、転院とか対診をしてもらう余裕はなく、連れてくれば外来で診ると言 われて、我々のほうで車や人をつけて受診させているような状況であります。この問題は、 主に精神科とか、有床診療所など、単科の医療機関とか中小病院を中心に全国的な問題と なっており、受診抑制や中小医療機関の経営の圧迫につながるという問題になっておりま す。  問題は大きく分けて2つあると思います。一つは他医療機関で処方する薬剤の取り扱い についてであり、もう一つは入院医療機関における入院料の低減の問題だと思います。こ のうち、まず薬剤については、少なくとも今回新たに取り決めができた出来高病棟に入院 中の患者の取り扱いについては、何らかの改善が必要であると思います。他医療機関で処 方する薬剤については、改定前の取り扱いに戻すということは考えられないのでしょうか。 これは課長の通達で決められることでありますので、包括病棟の扱いの変更も含めて、早 急に対応してほしいと思います。さらに、入院料の低減についても、現場では必要に迫ら れて他医療機関を受診させているのであり、今後レセプトの電子化による突合などが行わ れても返戻とならないように、その在り方も含めて調査をした上で、現場や患者さんが困 らないような対応を検討してほしいと思います。  以上です。 ○遠藤会長  御意見は承りました。そういう問題提起だということですが、何か1号側で御意見は… …。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  私が御質問したので、今の点をもう少しかみ砕いて具体的に申し上げたほうがいいかと 思うということですが、この全体の議論は、例えば入院基本料というのは一体何を積み上 げたものなのかという議論、そしてそのコストが正しいのかどうかという議論が要ると思 います。それから、外来の受診についても、例えばDPCのような総合病院の中で内科に おられて、目がおかしくなって、その院内の眼科の外来へ行かれたとき、ここの算定とい うのが外来で外から来た患者さんの算定と違うといった条件がある。それは本当に正しい のかどうか。やった医療行為から言えば同じですから、やった医療行為の評価をどうする のかということです。それは、前回の改定のときに時間がなくてペンディングにした、病 院の複数科の外来受診のときの取り扱いの問題でもあります。だから、こういうところを 全部総合して議論していただかないと、この問題に対する最終的な回答は出ないので、そ れについては別途必ず機会を設けて議論させていただけませんかということをまず申し上 げる。  ただ、現場で今起こっていることで一番大事なことは、そういう事情があって、数は多 くないと思いますけれども、やむを得ず運んででもほかの専門の外来で受診しなければな らないようなことが起こったケースについて、現在の取り扱いですと、Q&Aで緩めては いただいたけれども、その受診の日のお薬だけそこの外来の医療機関で出していいです、 残りは外来の病院から通知を受けて入院先の病院から請求しなさい、それで支払いを受け て、外来で診た医療機関あるいはその処方せんを受け取った調剤薬局との間で精算しなさ いということになっている。これは、要するに専門の部分が入院病棟にないために、その 患者さんの治療だけのために急に要るようになったお薬を買い込むと、必ずデッドストッ クができる。それは経済的に非常に大きな負担になるでしょうから、それを助けてあげま しょう、その分は改善してあげましょうという処置です。ですが、それは1日分で、残り の分は精算せよという非常に複雑でややこしい話で、かかる医療資源としては薬剤料はど ちらが請求しても同じはずなんですから、だったら外来の医療機関でこの急性期の変化に 対して、1週間なり10日なり、最大2週間とか、これぐらいだけは要りますというもの はそちらで処方されて請求されて、そちらへ支払われるということでいいのではないです か。そういう緩和を具体的な実態に合わせてしていただけませんか。そのほうがスムーズ ではないですかというのが、今のとりあえずの応急処置として、私どもが最低限これだけ はお願いしたいということの中身だと御理解いただきたいと思います。 ○遠藤会長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  今、鈴木先生、安達先生からお話を伺って、私自身はいろいろな雑誌等で今医療界がど ういう御意見なのかというのは承知はしておりますが、少なくとも今日出していただいた 資料だけでは何が問題になっているのかというのはよく分かりません。大変恐縮ですけれ ども、算定要件がどうなっていて、2号側の先生方はそこのどの部分をどうしてほしいの かということをまとめていただいて、その上で私どもと議論というステップを踏ませてい ただきませんと、2号側の先生方の現実に扱っていらっしゃる、あるいはいろいろな御意 見を伺っていらっしゃる立場からの認識が実は今日聞くまでは余りぴんとこなかったとい うのが正直なところです。ぜひそういう整理をした上で次回にでも議論させていただけれ ばと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。実際にそういうところがありまして、ここで議論したときには 今提出されている資料をベースに議論した。特にそのときの議論は、DPC病院になった 場合に、入院患者が外来に行ったときに不利益が生じないかと。それはDPC病院が急激 に拡大していますし、しかも昔のDPC病院はフルラインの特定機能病院でしたけれども、 今は違うので、当然専門病院に外来として行くこともあるでしょうということで、そこの ところを明らかにするために整理をお願いした。その中で、出来高病棟から外来に行くと いうケースは余りきちんと整理していなかったので、改めてここで再整理した。その中で こういうことが出てきた。しかもここでは、お手元の資料だと、B病院では○と書いてあ るものですから、算定できると我々は理解したわけですけれども、細部については、ここ ですべてを決めているわけではなくて、課長通知という形の中で決めている。その中の要 件がどうも現場を混乱させているといった話だと理解をしておりますけれども、安達委員、 そういう私の理解でよろしいですか。 ○安達委員  結構でございます。基本的にこの議論に対しては、我々もある意味で内心じくじたるも のがある。これは極めて例外的なケースであるはずなのだと思っております。本来は対診 請求が正しいのでしょうし、あるいはどうしてもということならば総合的に診られるとこ ろへ転科ということを考えるケースなんだろうと思うんです。ですが、現場では実際に今、 鈴木委員の御説明があったように、転科といっても、すぐにはベッドはあかない。かわれ ない。対診といっても、遠ければすぐに来てくれるとは限らない。そのような問題が多々 ある中で、現場に即して言えば、例外的にこういうことをやらなければならないかという 話でございますから、できるだけ速やかにここのところに即してやる。そう医療資源が余 分にかかるという話ではないはずなんです。薬をどっちで請求するかという話ですから。 今の白川委員の御意見はごもっともなので、今の通知と、その後のQ&Aと、現場で今何 が困っているのかという話と、そういう処置をせざるを得なかったバックグラウンドは何 だったのかということと、その辺をひっくるめてちょっとまとめて早急に次回お出しいた しますので、そこで御議論いただいて、御了承いただいて、現場の混乱というものをでき るだけ静めていただけるようにお願いしたい。そのように対応させていただきたいと思い ます。 ○遠藤会長  そういう対応でよろしいでしょうか。 ○白川委員  はい。 ○遠藤会長  鈴木委員もよろしゅうございますか。そういうことでありますから、次回に継続して議 論するという形になります。 ○鈴木委員  できれば薬だけでも早くと思うんですけれども、いろいろ1号側の先生のお気持ちも分 かりますので。 ○遠藤会長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  鈴木先生は薬だけとおっしゃいましたけれども、ここには薬に関することは何も書いて いないんです。 ○遠藤会長  それは課長通知に書いてあるんです。 ○白川委員  それは私も承知しているんですが、その手のものがないと議論のしようがないですよね。 ですから、ぜひそれは次回までにお願いしたいと……。 ○鈴木委員  今からでも出してもらえればと。 ○遠藤会長  恐らく鈴木先生のお考えは、課長通知としては、ある一定の裁量権を医療課は持ってい ますので、ここで議論をしなくても、それを取り下げればすぐできる話ではないかという お気持ちが多分あるのだろうと思うんですけれども、この辺は、医療課長、ちょっとコメ ントをいただけますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  全体の御決断というか、中医協の御決断に従いますが、今、白川委員からそういうコメ ントがございました。また、一方で課長通知なのだから、根本的なところは今後中期的に 議論するとしても、課長通知の中の当面対応できる部分については、大筋事務局で早急に 対応できるのではないかということだったと思います。今ちょっと白川委員からそういう 御発言があったので、通知の部分の字を大きくしたものを今準備していまして、ちょっと コピーに行きましたので、可能ならば御高覧いただいて、その上でそれでも不十分だとい うことであれば、また次回以降に議論ということでも構いません。とりあえずコピーには 参りましたので、御高覧はいただけます。 ○遠藤会長  わかりました。なかなかこの中医協で決めたことと細部の課長通知との間が微妙なとき が時々あって、しかし実際問題は、よく「神は細部に宿る」ということもありますけれど も、意外と課長通知が重要であったということがあるものですから、私は、実はそのこと があったものですから、通知は全部出してほしいということを一回申し上げたのは、それ に似たようなことが過去にちょっとあったものですから、そういうことを申し上げたので す。 〔追加資料配付〕 ○遠藤会長  大体回りましたでしょうか。安達委員の御発言は、前回中医協で議論した内容について も、もう少し掘り下げて議論するべきだというところがあるという話と、もう一つは、課 長通知で行われている内容について緊急対応してほしいということ、これはどちらかとい うと鈴木委員の御発言のように思いますが、この2つの問題は絡んでおります。課長通知 ではこういうことを言っているのだということがお手元に行きましたので、それでは課長 から御説明をお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  それでは、もう一度、今お手元に行ったものと、それから先ほどの総−6の最後のペー ジを見比べてください。今会長から整理をしていただきまして、特に出来高病棟における 課長通知の部分ということでございましたが、もう一度説明いたしますと、Bのところに ※2とあって○がついていまして、※2を見ますと、「医学管理、在宅等は算定できな い」と書いてあります。この部分は、この1月20日の時点ではこれでおおむね御了解を いただいたのですが、細かいことを決めたのは、今お手元にお示ししました、費用算定に ついてということで3月5日に出しました通知の抜粋になります。この点線の枠で囲んで いただいたところを見ていただきたいのですけれども、入院中の患者さんが他医療機関を 外来という形で受診された場合には、他医療機関において当該診療費用に係る費用するこ とができるのですけれども、「ただし」と言いまして、この点線の中が除外されておりま す。まず一つは、先ほども申し上げましたが、短期滞在の手術基本料の2と3、それから 診療情報提供料を除く医学管理等、それから在宅医療、そして今話題になっております投 薬、注射、そしてリハビリテーションとなっております。投薬・注射の括弧書きの中が非 常に重要なんですけれども、「受診日の投薬又は注射に係る費用を除き、処方料、処方せ ん料及び外来化学療法加算を含む」と書いてあります。一遍除いておいて、また「除き」、 「含む」と書いてあるので、ちょっと分かりづらいのですが、要するに受診日の投薬、B 病院なりBクリニックを受診した日の投薬とか注射に係る費用は取っていいと言っており ます。処方料、処方せん料、外来化学療法は取ってはだめとなっております。  そうしますと、例えば2週間分の薬が必要だったと仮定いたしますと、受診日当日、つ まり1日分はB医療機関のほうで取れるのですけれども、残りの13日分についてはB医 療機関では取れませんので、細かな手続は省略いたしますが、Aのほうで残りの13日を 準備するということになります。そうしますと、Aの医療機関にとってみると、必ずしも 自分の病院がよく熟知している薬剤ばかりとは限りませんので、薬の確保に困窮するとい うことになります。  今御提案いただいている内容は、恐らくは14日分必要ならば14日分をその薬の使い 方とか薬の注意点などに熟知しているB医療機関で出してあげたらいいではないかという ことのようです。つまり、純粋に保険財政のことだけを申しますと、Bですべて薬を準備 してあげるのか、それとも残りの13日分をAで準備してあげるのかということになりま す。患者さんの御負担、それはお金の負担もありますし、また手間とか、そういうことを トータルで考えますと、恐らくはAでやれるという方向を準備したほうがいいのだろうと いうことが2号側からの意見だろうと思います。そういうこともありまして、それ以外の ものも含めて、つまりこの点線で書きました投薬・注射以外の部分についてどうするのか、 あるいはもっと、そもそもDPCであれ、特定入院料の部分はどうなのか、あるいは、出 来高の場合であっても、A病院で根っこの入院基本料の部分を30%減額しているのだけ れども、これで実態に合っているのか、こういったことについては現状ではそう多くはな いケースと私どもは認識しておりまして、また社会医療診療個別調査等々を用いましても データは現時点では入手できませんので、また今後ちょっと、安達委員からもお話があり ましたように、データの入手方法等を考えた上で御議論いただいてもいいと思います。  くどくなりましたが、少しこの話の前半に申し上げましたように、薬の入手や、注意事 項の喚起といいますか、そういった部分についての手間等を考えると、必要な分はBで全 部出してあげられるようにすることが患者さんのためにもなるし、また繰り返しになりま すが、医療経済上もいわゆる財政中立ということになるので、課長通知ということである ならば、できる限り早めに対応してさし上げて、現場がお困りになっている状況を改善し たいと思った次第です。  以上です。 ○遠藤会長   ありがとうございます。  中医協で議論したときのB病院の算定のところは(2)ということで、「医学管理、在 宅等は算定できない」。その「等」の中身に投薬・注射とかリハビリテーションというの が入っているということで、その辺の細かいことは課長通知で通知したという流れですの で、課長通知なので、その課長の判断でこれをなくすこともできるのかもしれないのです が、今の課長の原案としては、この投薬・注射については1日という制約を除いたらどう かという話ですけれども、これはいかがでしょうか。どうぞ。 ○唐澤審議官  すみません。ちょっと医療課長に確認させてもらいたいんですが、これを直すとすると、 「受診日の」を取るということなんですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  具体的にどうするかはちょっとあれですけれども、この「受診日の投薬」と入れると取 れることになりますから、しかも「受診日の」を取ると、「投薬又は」……。そうですね。 恐らく「受診日の」を取ることで対応できるのかと。 ○遠藤会長  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  ぜひ薬のところだけはどうにかしてほしいなと思います。例えば、精神科の病院などで、 けがをしたら、行って、抗生物質というのは大体3日とか5日とか、そういうのはまたや やこしいでしょう。精神科の病院に、風邪薬ぐらいだったらいいんですけれども、全く違 った病気で、精神科の病院にはいろいろな科はないですから、そのようなことがいっぱい 起こっていますので、皆さん方の御同意が得られれば、できればそのほうがいいのではな いか。また、入院基本料がどうかとか、本来そこで、そんなのだったら入院せずにそっち へ行ったらいいのではないかといった難しい問題は、また後で討論したらいいのではない かと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  白川委員の御意見を伺ってからのほうがよかったか、それでいいと言っていただけそう な感じで今手が挙がったのですが、財源的には同じですから、そうなんですが、追加でも う一つだけ申し上げますが、この頭の部分に「当該専門的な診療に特有な薬剤」という書 き方をしてあるんです。これは、いわゆる役所用語としてはこうなのかもしれないんです が、ここに何か変な解釈で、非常にオーケーという範囲を狭めようといった審査基準を使 いたいような審査委員会が出てきたりしているんです。つまり、特有の精神科薬剤とか、 そういうものだけだと。今の趣旨はそうではないわけで、特定の入院の医療機関で診られ ない、やむを得ない事情で行くほかの専門の外来ですから、そこの外来でそのことに対し て薬効を薬事法上認めている薬はいいのですと解釈していただかないといけないので、こ この文章を直せるものなら直していただきたいんですが、そういう変な御意見が出てこな いように、ぜひ善処をお願いしたいと思います。 ○遠藤会長  白川委員、いかがでしょうか。 ○白川委員  薬の件につきましては、邉見先生の例示が非常によく分かりやすかったのですけれども、 おっしゃるとおり、精神科におられる患者さんのために例えば内科や外科の薬まで精神科 の病院のほうで準備しなければいけないというのは確かに変な話でございますので、この 件については、課長通知のほうを少し修正されたらいかがかなと思います。表現ぶりはど うすればいいかというと、私どもには具体案はないんですけれども。 ○遠藤会長  今の話では、日数制限だけではなくて、薬剤の特性のようなものも書いてあるけれども、 そういうものはなくして一般化したほうがいいのではないかという御主張でしたけれども。 ○白川委員  安達先生の御意見もごもっともなんです。ただ、私はすべてのケースを知っているわけ でも何でもないものですから、安達先生の意見に全面的に賛成だということはちょっとこ の場では言えないんですけれども、その辺は医療課とよく相談していただいて、私どもと しては、患者さんが不便にならないようにやっていただきたいというお願いだけはしてお きたいと思います。 ○遠藤会長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  私どもが申し上げているのもその1点でありまして、野放図にというんですか、これを 拡大解釈して変なことが起こるということを意図しているわけではないので、その点は避 けられるような通知にしていただくということが大事かと思います。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  大学とかそういうところでは余りこういうことはないんですが、今、白川先生が疑念に 思われた全部がということは、なかなか全部は御存じないということなんですが、問題が 起きているのは、先ほど北村先生もイメージされたように、精神科にはその薬がないんで す。そういう薬があるのなら、処方しません。例えばこういう薬を精神科で出してくださ いと我々大学などでも書きますので、問題が起きているのは、お薬がないということなん です。ですから、これは業務の改善だけなので、お金も別にかかりませんし、もしここで 認めていただければ、本当に現場は混乱しなくていいと思うので、私からもお願いしたい と思うんですが。 ○遠藤会長  三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  薬剤の話でありますので、1点確認しておきたいんですけれども、このB病院の場合で ありますけれども、院内、院外、両方あろうかと思いますけれども、その場合は、当然並 びというか、院内だろうと、院外だろうと、同じ仕組みをつくっていただきたいと思いま す。 ○遠藤会長  これは「処方料、処方せん料」と書いてありますので、院内、院外、両方、同対応とい う理解でよろしいですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  同じ扱いになるように対応したいと思います。 ○遠藤会長  三浦委員、よろしいでしょうか。 ○三浦委員  はい。 ○遠藤会長  それでは、ほぼ1号側、2号側の御意見が一致いたしましたので、これは、細かい内容 につきましては医療課にお任せいたしますので、課長通知の修正という形で対応していた だくということでよろしゅうございますね。  あと、本質的なところがもう一つあります。これは中医協でもう一回議論しなければい けないという議論がありますので、それについてはまた折を見てお諮りしたいと思います ので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。  次回の日程等につきまして、何かございますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  6月下旬にもう一回予定いたしております。詳細が決定次第、また連絡いたします。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。  それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)