10/05/31 平成22年5月31日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成22年5月31日(月)  16:00〜 厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(11名)五十音順    新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、     清 水 秀 行、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 土 屋 友 房、     ○堀 内 龍 也、 山 添   康、◎吉 田 茂 昭  (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(6名)   鈴 木 邦 彦、 浜 口   功、 早 川 堯 夫、 半 田   誠、   前 崎 繁 文、 溝 口 昌 子     3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、 成 田 昌 稔(審査管理課長)、 内 海 英 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会」を 開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。  まず、事務局から部会の委員の異動について御報告いたします。本日はお二人とも御欠 席ですが、日本医師会常任理事の鈴木先生、慶應大学医学部輸血・細胞療法部長の半田先 生に、新たに部会にお入りいただいております。  本日の委員の出席ですが、鈴木委員、浜口委員、早川委員、半田委員、前崎委員、溝口 委員より欠席との御連絡をいただいております。また、田村委員におかれましては少し遅 れていらっしゃるものと思いますが、現在、当部会委員数17名のうち10名の委員に御出 席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告します。  それでは、吉田先生、よろしくお願いします。 ○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から配付資料の確認と、審議事 項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名 簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜10について、あらかじめお 送りしております。このほか、資料11〜13を配付しております。また、当日配付資料と して資料1-2「RevMate(レブラミド適正管理手順)の概要」を配付しております。なお、 本日は審議事項(議題1)と報告事項(議題2)が関連したものであるため、併せて御審議、 御確認をお願いしたいと思っております。  続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」、資料No.13につ いて御報告します。各品目の競合品目選定理由についてです。  資料No.13の1ページを御覧ください。「レブラミドカプセル」ですが、本品目につい ては「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とするものであり、この効能・効果 を有する薬剤は、サリドマイド及びボルテゾミブであり、これらを競合品目として選定し ております。  2ページを御覧ください。「トーリセル点滴静注液25mg」ですが、本品目は「根治切 除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果とする分子標的薬mTOR阻害剤であり、こ の効能・効果を有する薬剤のうち、分子標的薬mTOR阻害剤及びVEGFR阻害剤について、 資料に掲げましたとおり競合品目として選定しております。  3ページを御覧ください。「ボリノスタット」ですが、本品目は「皮膚T細胞性リンパ 腫」を効能・効果とする「HDAC阻害作用」を有する抗悪性腫瘍剤です。現在承認され ている薬剤の中で、効能・効果、薬理作用、組成及び化学構造式等からみた競合品目はあ りませんが、海外で承認されており、本邦でも開発が行われることが公表されている Denileukin diftitoxを競合品目として選定しております。なお、インターフェロンγ製 剤であるオーガンマについては、これに関する適応を有しておりましたが、平成22年4 月1日に薬価が削除されたため、競合品目からは除外しております。  4ページを御覧ください。「細胞培養H5N1インフルエンザワクチン」ですが、本品 目は「H5N1インフルエンザの予防」を効能・効果とする、細胞培養H5N1インフル エンザワクチンであり、この効能・効果を有し、かつ、細胞培養インフルエンザワクチン として開発中のワクチン、この効能・効果を有して承認されているワクチンについて資料 に掲げるとおり、競合品目として選定しております。以上でございます。 ○吉田部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に、特段の御意見等 々ございますか。  ないようですので、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について は、皆様の了解を得たものとします。  それでは、各委員からの申出状況について御報告をお願いします。 ○事務局 各委員からの申出状況について御報告します。議題1「レブラミド」は、退室 委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員もいらっしゃいません。議題2「トー リセル」は、退室委員は田村委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題3 「ボリノスタット」は、退室委員は田村委員、議決に参加しない委員は竹内委員です。議 題4「細胞培養H5N1インフルエンザワクチン」は、退室委員は竹内委員、議決に参加 しない委員はいらっしゃいません。以上でございます。 ○吉田部会長 それでは、審議事項4議題、報告事項6議題を開始します。  議題1及び関連する報告事項の議題2と併せて、医薬品機構から概要の説明をお願いし ます。 ○機構 議題1、資料1、医薬品レブラミドカプセル5mgの製造販売承認の可否等につ いて、医薬品医療機器総合機構より御説明します。  本剤の有効成分であるレナリドミド水和物は、サリドマイドの誘導体として創製された 抗悪性腫瘍薬であり、サリドマイドと同様に、アポトーシス誘導、腫瘍壊死因子(TNF)- α等のサイトカイン産生抑制、Tリンパ球やナチュラルキラー細胞の活性化、血管新生抑 制等の作用により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。  多発性骨髄腫は、完治する期待が乏しい造血器悪性腫瘍であり、我が国では推定で年間 約3,000人が罹患しております。初発時の治療は、デキサメタゾンを含む抗がん剤の併用 療法や、自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法などが施行されますが、これらの 治療が奏効した場合でも、ほぼすべての患者が再発します。再発後は、種々の救援治療が 行われますが、いずれも臨床的な効果は十分満足されるものではない状況です。  本剤は、平成20年1月の当医薬品第二部会にて議論され、希少疾病用医薬品に指定さ れております。今般、本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して効果を示す薬剤と して申請されました。なお、海外では53か国で承認されています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料No.12にありますとおり、 11名の委員です。  以下、本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。  主な臨床試験成績としては、海外で実施された二つの第III相試験と、国内で実施された 第I相試験が提出されました。  有効性については、審査報告書43ページ本文下から7行目以降、44ページ本文下から 3行目以降、47ページ下から6行目以降に示しますように、海外第III相試験の結果、再 発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、デキサメタゾンと本剤を併用した場合に、デキサメ タゾン単独投与に比べて無増悪期間の延長が認められており、本剤の有効性が示されたと 判断しました。  安全性については、審査報告書49ページ下から11行目以降に示しますように、本剤の 使用において注意すべき有害事象として、骨髄抑制、静脈血栓塞栓症、末梢性ニューロパ チー、間質性肺疾患、心臓障害などが認められており、国内臨床試験においても海外臨床 試験と同様の事象が発現しています。  これらの有害事象については、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な 処置により対応可能と判断しておりますが、本剤の日本人における検討症例は限られてい ることから、審査報告書62ページ下から6行目以降、81ページ本文5行目以降に示しま すように、製造販売後には、全例調査により安全性情報を迅速に収集し、情報提供等を行 う必要があると考え、承認条件として設定することが適切であると判断しました。  また、本剤はサリドマイドの誘導体であり、サルにおいて催奇形性が認められているこ とからも、本剤の使用においては、胎児への薬剤曝露の防止を目的とした厳格な薬剤配布 システムを構築し、製造販売後の安全管理を行うことが重要です。これにつきましては、 別途、安全対策調査会で検討されています。  以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果と して、本薬を承認することは可能と判断しました。  本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査 期間を10年とすることが適当であり、原体及び製剤は毒薬に該当すると判断しました。 また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。  なお、報告事項の議題2、資料6-1、資料6-2の医薬品レナデックス錠4mgについては、 本剤との併用での使用も想定される新たな経口デキサメタゾン製剤として、「多発性骨髄 腫」の効能・効果にて、レブラミドカプセル5mgと同時にセルジーン株式会社より承認 申請されており、機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断しております。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 ありがとうございました。ただ今の説明にありました、承認条件の中の「安 全管理方策の適切な実施」について、事務局から現在の検討状況の説明をお願いします。 ○事務局 安全対策課でございます。レブラミドカプセル5mgの「安全管理方策の適切 な実施」について説明いたします。当日配付資料1-2を御覧ください。レブラミドの適正 管理手順であるRevMateにつきまして、資料1-2の2ページ以降の手順の案が、申請者で あるセルジーン株式会社より提出されております。  1ページ目の概要を御覧ください。管理手順の概要について御説明いたします。図の左 側、青字で記載しておりますが、セルジーンの社内にRevMateセンターを設置し、RevMate の管理を一元的に行うとともに、社内に運営委員会を設けています。  処方する医師及び責任薬剤師の登録に当たっては、図の(1)の矢印にあるとおり、それぞ れがあらかじめセルジーンからRevMateに関する説明を受け、(2)のとおり登録がなされま す。さらに、患者等に対しては、(3)のとおり処方の前に患者用説明資材等による説明を行 い、十分な理解を得た上で処方せんを発行します。毎回の処方に当たっても、処方医師か ら患者へのカウンセリングが行われます。  責任薬剤師は、患者からの処方せんなどの持参を受け、初回においては矢印の(6)のとお り、RevMateへの患者登録を行います。そして、(7)のとおり処方ごとに責任薬剤師と RevMateセンターとの間で処方の適格性が確認できたところで、(8)の薬剤交付・服薬指導 が行われます。なお、処方の適格性の確認については、ハンディ端末を用いて電子的に行 われることとなっております。  また、図の中央、赤枠の中に白字で書いていますが、定期的に患者本人からRevMateセ ンターにRevMateの遵守状況を郵送にて連絡することとされております。  このほか、セルジーン株式会社とは独立したRevMate第三者評価委員会を設置し、患者、 処方医師、責任薬剤師を対象に独自の調査を実施し、RevMateの遵守と患者のレブラミド へのアクセスの確保の両立について、確認及び提言を行うこととしております。  なお、このRevMateですが、5月17日からパブリックコメントを実施しており、意見 を集めております。提出された意見を踏まえ、本日6時から開催される「薬事・食品衛生 審議会医薬品安全対策部会安全対策調査会」において検討されることとなっております。 以上でございます。 ○吉田部会長 ありがとうございました。安全対策に関しましては、当部会の直接的な議 題というわけではないのですが、承認の背景として説明をお願いしました。この安全対策 は、市販後の試験期間以外にも続けるということですね。 ○事務局 はい、これはずっと続きます。 ○吉田部会長 ということだそうです。ありがとうございました。委員の先生方からの御 質問、御意見をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○庵原委員 一点確認ですが、薬の臨床データについて、日本のデータと国外のデータが 違いすぎるような気がするのです。日本のデータは、コントロールにしても死亡率が低く てドロップアウトが少ないのですが、国外のものだとDEXの使用例が落ちているので す。この辺は、エントリーに制限か何かあったわけですか。その違いは何かありますか。 ページで言うと43〜45ページ、48ページです。Kaplan-Meierの落ち方の違いをどう説明 されるのかということなのですが。 ○機構 43ページのKaplan-Meierの図と45ページに関しては、海外第III相試験の主要 評価項目であるTTP(無増悪期間)の無増悪の割合を縦軸に取っております。48ページ に関しては、Overall survivalの生存割合を縦軸に取っております。  国内の試験に関しては、第I相試験ということで、主に忍容性を確認することを目的と した試験で、有効性に関しては42ページに記載しているとおり、奏効、最良の治療効果 に関して評価されていますが、Time to Eventに関しては、国内臨床試験では評価はされ ていません。 ○庵原委員 要するに、評価項目が違うから、こういうKaplan-Meierの違いが出てきた ということでよろしいですか。 ○機構 この図の説明としましては、評価項目の違うものになっておりますので、43ペ ージ、45ページ、48ページに関しては、いずれも海外の第III相試験、同一の試験ですが、 評価項目の違う結果ということになります。 ○庵原委員 そうすると、日本の第II相の結果を国外の第III相と同じような評価方法にす ると、同じようなKaplan-Meierが引けるということですか。 ○機構 そのような検討は実施されておりませんが、国内の臨床試験はデキサメタゾンと の併用に関しては6例と非常に限られておりますので、その評価には限界があると思いま す。 ○吉田部会長 有効性の判定については、海外の試験の成績を使ってやったと。43ペー ジのTTP(無増悪期間)の試験の成績を、45ページの違う試験の結果でも、再現性があ るとしており、開きも大体似ているとなってますね。  48ページがOverall survivalでの比較ですが、右側の差がなくなっているのはどうし てかというと、クロスオーバーしているからでしたか。 ○機構 こちらの試験は、主要評価項目のTTPの中間解析の結果、早期の有効中止がさ れており、その後クロスオーバーされておりますが、48ページのOverall survivalの図 に関しては、クロスオーバーする前の二重盲検期間中の結果です。 ○吉田部会長 分かりました。そういうことで、差が少し違って見えているということで す。ほかにございますか。 ○堀内部会長代理 これはサリドマイドの誘導体なのですが、基本的にサリドマイドと比 較をして、有効性・安全性はどういうことになりますか。 ○機構 サリドマイドと比較した臨床試験成績は得られていないというのが現状です。今 回の臨床試験の中では、サリドマイドの治療歴のある方も含んでいるわけですが、そうい った症例に限っても、49ページに書いていますように、治療効果が期待できるものと考 えておりますので、実際には国内でもそういった症例に使われることはあり得ると思いま すし、有効性も期待できるものと判断しております。  安全性に関しては、直接比較した試験成績はないものですから、詳しく御説明できる材 料はないのですが、出てきている有害事象のプロファイルを見ると、基本的には同様の事 象が発現していると判断しております。 ○堀内部会長代理 同様の事象が出ているのはいいのですが、2008年にサリドマイドを 再び臨床応用を可能にしたときにかなりいろいろ調べていると思うので、それと比較して どうかというデータはないのですか。先ほどのお話だと、副作用と言っても催奇形性の話 は余り強く出ていなかったと思うのですが、実際上一番問題なのはそこであるわけです ね。例えば、催奇形性に対する強さ等はどのように評価しているかということについて教 えてください。 ○機構 催奇形性に関しては、臨床試験の方では認められていないのですが、非臨床の方 で検討されています。28ページの毒性試験です。こちらの試験ではサリドマイドを陽性 対照として、1用量しか検討されておりませんので、いずれの薬剤の方が催奇形性が強い かに関しては言及はできません。しかし、本剤に関しても検討した最低用量から出ており ますので、催奇形性に関しては同様の注意が必要と判断しております。 ○堀内部会長代理 要するに、ここが一番大きな問題点ですが、28ページでは、催奇形 性はどの濃度でも出たということですね。臨床応用25mg/dayということは、大体ここで やっている一番低い濃度0.5mg、50kgとしても0.5mg/kgになりますよね。ですから、臨 床応用で十分に出る可能性があるということですね。  サリドマイドについては、重度の四肢奇形が観察されたというのは、15mg/kgやってい るから、その一点だけですね。 ○機構 こちらの試験に関しては1用量ですね。 ○堀内部会長代理 ですから、本来ならカニクイザル等できちんと比較をさせるべきでは ないかと思います。どのくらい可能性があるかについては、極めて重要な問題だと思いま す。したがって、本来ならそこはきちんとやるべきだと思います。早く出したい気持は分 からなくはないのですが。  もう一つは、8ページで細胞株に対する作用を見ていますが、ここではサリドマイドよ りも強いと記されています。8ページの中央に、「上記の表に示した検討では対照群にサ リドマイドが設定され、そのIC50値はすべての細胞において100μmol/L超であったこ とから、サリドマイドに比して本薬がMM細胞の増殖抑制に有効である」という表現にな っています。そうすると、かなり作用が強いのではないかということが推定されますが、 そう考えてよろしいですか。 ○機構 こちらの薬効薬理試験に関しては、in vitroの試験結果になりますが、IC50 値では、サリドマイドに比べてより増殖抑制に対する効果が強いことが示されたと判断し ております。この結果から、催奇形性が直接強いことを示唆すると結論付けることはでき ないと判断しております。  くり返しますが、催奇形性の検討結果に関しては、サリドマイドと比べたのは、サリド マイドを陽性対照とした1用量の検討しかないのが現状です。こちらの薬理試験の検討結 果からは、催奇形性に関しては判断ができないと考えています。サリドマイドに関しては、 代謝物が関わる可能性も考えられておりますので、この有効性の点からは、催奇形性に関 して結論できないものと判断しています。 ○堀内部会長代理 今の御答弁は、機構としては、既に出ているサリドマイドと比較して、 有効性・安全性についてきちんと比較しなくてもよろしいという判断ですか。 ○審査第五部長 比較検討についてですが、例えば安全性について比較検討は、ヒトでは なかなかできるものではないというのが一点と、構造等々から、あるいは作用から考えて、 サリドマイドと同等の催奇形性が予想されるだろうということに、カニクイザルの結果も 含めて考察して、それについて最善の安全対策を実施していくということで対応できるだ ろうという判断をしております。  有効性に関しては、サリドマイドについては、先般、かなり古い結果を御審議いただい た内容を覚えておられると思いますが、レナリドミドに関しては比較的多くのデータがあ って、エビデンスの量から言っても高い信頼が得られているだろうということも含めて考 察しますと、少なくともサリドマイドの後に本剤を投与した患者がいらっしゃいますが、 サリドマイドと直接比較することは、なかなかできるものではありませんので、そのよう なことを総合的な判断ということで、直接比較の必要はないと判断しております。 ○堀内部会長代理 要するに、類似した副作用も出るだろうということですね。そうしま すと、添付文書の「警告」のところですが、2で「本剤はヒトにおいて催奇形性を有する 可能性が否定できないため」となっています。これはものすごくマイルドな書き方になっ ていると思いますが、これまでサリドマイドでヒトにおける催奇形性で何が起こったかは 御存じのとおりです。先ほどの資料1-2の最初の「背景」を見ますと、「催奇形性を示す 可能性がある」と言っていますが、添付文書では「可能性が否定できない」という極めて マイルドな書き方になっています。これはもっときちんと書くべきではないかと思います が、いかがですか。添付文書においても警告を十分にすべきであるということを申し上げ たいのですが。 ○審査第五部長 実際、催奇形性に関しまして、ヒトで起こしてはいけないというのを前 提として考えていますので、明確な結論として、あるのだということは書きづらかったの だろうと思います。これは案ですので、御指摘いただいたように、この点に関しては検討 したいと思います。 ○堀内部会長代理 動物実験のデータ等も少し入れていただければ有り難いと思います。 ○吉田部会長 あるいは、「動物実験において催奇形性が認められた」ということでもい いわけですね。それは間違いないですか。 ○機構 そちらに関しては、添付文書の2ページ「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」のと ころで、非臨床試験成績について説明をしております。 ○堀内部会長代理 類薬でという話ですか。 ○機構 類薬ではありません。6の「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項の1)に今の 記載がありますが、本薬の毒性試験成績を記載しております。 ○堀内部会長代理 これは「否定できていない」という言い方ですね。「否定できていな い」というのと「可能性がある」というのでは、意味合いが大分違うと思うのですが。 ○審査第五部長 御指摘の点は、分かりやすく示してくださいというところかと思いま す。また、場所によってもはっきり分からないという御指摘だと思いますので、総合的に 検討したいと思います。 ○吉田部会長 ほかにございますか。 ○守殿委員 警告の3.の「妊娠する可能性がある女性」うんぬんのところで、「投与開 始予定4週間前から投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合は」とありますが、この4 週間というのはどういう根拠から来ているのでしょうか。卵子は、女性の性周期で4週間 でメンストレーションが始まるので、そのようなことを考えての根拠なのでしょうか。 ○機構 こちらに関しては、先ほど御説明しました適正管理手順の設定と合わせていると いうところです。 ○守殿委員 女性の場合も男性の場合も、卵母細胞、男性なら精母細胞、それから精子、 卵子に移行していくのですが、男子の場合も記載では「精液中へ移行することから」うん ぬんとありますが、内服によっての精巣組織、精母細胞への影響、もっと細かいことを言 えば、精子のDNAに影響するような形は検討されての結果なのでしょうか。あるいは、 これは世界的に4週間という形になっているからそのようにされたのか。その点はいかが ですか。 ○機構 こちらの設定に関しては、海外と同様の期間となっております。 ○守殿委員 ただ、催奇形性を心配した場合、精子は精母細胞から精子になるまで72日 かかります。したがって、服用した時に精母細胞であった細胞は精子になるまで最大72 日間薬剤の影響を受けることになります。精液中精子のDNA等への影響は調べられてい ないのなら、心配としては残るのです。いかがですか。私は4週間というより、安全を見 込んで3か月は、男性の場合はコンドームをすべきではないかと思いますが、その辺りの ことはいかがかなと思います。 ○審査第五部長 御指摘の部分に関しては、十分な議論という形では行っていないところ なのですが、世界的には4週間の設定であるということは事実です。精子自体が奇形を持 った場合と本剤の催奇形性とは、また少し離れた議論だとは思います。また、精液中へ含 まれてくる可能性については重要な部分だと思います。  本剤の体内半減期や代謝を鑑みて、4週間という設定になってきたのだろうと思われま すが、先生の御指摘の精子の奇形がどう影響するかという細かい議論までを考察して、4 週間の設定はされていないと思います。 ○守殿委員 まとめて言いますと、精母細胞のときに本剤を飲んで、催奇形性を持った細 胞になってしまったものが精子へと発育していって、その精子により受精した場合、催奇 形性を持った精子による受精となりますので、奇形等に対する心配があるものですから。 ○審査第五部長 サリドマイドあるいはレナリドミドの催奇形性のメカニズムは細かく は分かっていない部分はあるのですが、御存じのとおり、妊娠初期の発育での問題が一つ 取り上げられており、そこが中心だろうという考えがあります。したがって、精子の奇形、 あるいは精子が持つ能力なりが本剤の催奇形性とどう関係するか、どう影響するか、とい うところが大きな論点とはなっていない状況ということです。 ○守殿委員 世界的にそうならば特に言いませんが、適正管理手順の概要やこういうもの が作られているのに、その辺が考慮されていないのは少しおかしいなという印象がありま す。 ○吉田部会長 サリドマイドがあれだけの騒ぎになったときも、催奇形性のメカニズムの 中に精子がどのぐらい関与しているかというデータは見つからないのですか。ないと思い 込んでいるのか、それとも本当にあるのか、その辺も調べて情報提供した方がいいかもし れないですね。4週間と書いてあって、ただしこういうことも考えられますよというよう なことは、あれば書いても悪くないですね。なければ別ですが。 ○清水委員 レブラミドの適正管理のRevMateのことは、この後、安全調査会で審議され るということですが、本来、この薬剤の承認条件に適正管理手順は含まれているわけです よね。ですから、本来、この薬剤を承認するのは、安全管理方策の適正な実施も含めての 承認になるかと思うのですが、そこのところの見解はいかがですか。 ○審査管理課長 サリドマイドの管理基準等は安全対策部会にお願いしております。そち らでサリドマイドの関係等も含めて詳しくやっていただきたいということで、この後お願 いしますので、承認条件等については案が示されておりますが、審議の状況はまた御報告 させていただきたいと思っております。 ○堀内部会長代理 本来逆でしょう。あらかじめ安全部会をやって、そこで案を作って、 それからここへ出してくるべきではないですか。 ○審査管理課長 もう一つ申し上げると、管理基準自体は、有効性・安全性自体というよ りは実際の使い方が問題ですので、どちらかというと承認の専管事項ではなくて、流通の 問題と考えております。しかし、実際物を流通させるときに、承認条件として明確化させ ないといけないのではないかと思っておりますので、そういう意味では、承認の中の承認 条件とした方が添付文書でも明確になりますし、いいだろうということで、RevMateの方 は、管理基準については安全対策部会にお願いしますが、それをもって承認条件としたい と思っております。はっきり申し上げれば、流通管理の問題については安全対策、行政上 の有効性・安全性の直接のものではないのではないかと思いますが、承認条件とはしたい ので、こういうことでお願いしているところです。 ○吉田部会長 日程的に逆ならよかったですね。しかし、この部会で不承認となったら、 安全対策部会でせっかく議論していただいても無駄になってしまうし、その辺りはなかな か難しい関係ですね。いずれにしても、今の安全対策に関しては、この後調査会が行われ るということですので、そちらの結果を見た上でという条件つきの承認をするかしないか ということについて、部会長に一任というような形にしていただいた上で、話をつけたい と思うのですが、よろしいでしょうか。 ○新井委員 少し前に戻ってしまいますが、作用機序と催奇形性の問題が、何となくあい まいな表現が多いと思うのです。作用機序については、直接な増殖抑制作用や免疫賦活作 用は結局よく分からないと書かれている中で、でもがん細胞に対しての毒性はサリドマイ ドに比べて、最低でも100倍程度効果がいいという表現もあります。だからサリドマイド よりいいのではないかという表現になっていて、都合のいいところがうまくつなぎ合わさ れていて、効果がいいということになっていると思うのですが、そういう意味で聞きたい 点は、サリドマイドが催奇形性を出していたときの血中濃度と、本剤の血中濃度はどのぐ らい違うのでしょうか。 ○機構 サリドマイドについては、国内で先般行われた臨床試験では、100mgを1回投与 したときのCmaxが1.68μg/mLで、AUCが15.87μg・hr/mLという記載が添付文書上に あります。本剤については、25mg単回投与でCmaxが642ng/mL、AUCが添付文書に記 載があるように2835ng・hr/mLとなっております。 ○新井委員 そうすると、わずかに低い程度ということで、直接がん細胞に対する効果の 強さでは説明できないというのか、逆に言うと、もう少し濃度を下げられる可能性がある かとか、そういう点は考慮されてきていると思いますが、これがもっと低くできれば、当 然、催奇形性も下げられるかと期待できるのではないでしょうか。 ○機構 本剤に関しては、用量の検討は詳細にされていませんので、これよりも低用量で 有効かどうかという部分については、はっきりしないところです。サリドマイドとの関係 もそもそも分からないところもありますので、現時点では25mgから開始していくという 用量のみが推奨できるものと判断しております。 ○庵原委員 結局、有効血中濃度に達したときの濃度が催奇形性を有しているかどうかと いう、そこの結論はどうなっているのですか。 ○審査第五部長 催奇形性を起こした血中濃度というのは、本剤が起こしているわけでは ないので、結論はありません。サリドマイド自体が当時どのぐらい使われていたかという のは調べているのですが、当時はかなり幅広く、経口剤で余り吸収のよい製剤ではないの で、個体差が大きいということもあって、抗がん剤としてMultiple Myelomaに対して作 用する濃度より低い濃度でも起きていくだろうという予想です。そういう状況だったとは 確認しているのですが。 ○庵原委員 そうすると、ヒトで有効と思われる血中濃度を、カニクイザルないしはウサ ギで実験して、その濃度ができたときに、果たして催奇形性が出てくるのか出てこないの かという動物実験はされているわけですか。 ○機構 ウサギについては、本剤で母動物の方で毒性が出ていまして、催奇形性は本薬の 方は認められていません。サリドマイドの方では陽性対照という形で認められている状況 です。  もう一点、本薬もそうですが、サリドマイドについて様々な代謝物も出てきており、そ れが薬効にどういう関わりをしているかという部分も、不明なところがかなりあります。 本当に未変化体の濃度だけで議論していいのかどうかというところも、まだ解決していな いところがあります。 ○吉田部会長 カニクイザルの実験では、血中濃度はどうなっているのですか。投与量で 実験したのではなかったですか。 ○堀内部会長代理 サルの場合は投与量ですね。 ○吉田部会長 そうですよね。同じだと思うのですが。 ○機構 カニクイザルですと、1mg/kgで、Cmaxが雄で743ng/mL、AUCが1,438ng・ hr/mLと、審査報告書の19ページにToxico Kineticsのデータを示しております。 ○吉田部会長 これはヒトでやると、このデータと比べて。 ○機構 ヒトですと、審査報告書の33ページは日本の国内第I相試験になりますが、こ の表ではCmaxで約500ng/mL、AUCですと、2,000ng・hr/mL前後になります。催奇形性 を検討したサルの試験では一番低い用量で0.5mg/kgですので、先ほどの1mg/kgの値付 近と考えると、同程度のレンジで非臨床で認められています。 ○吉田部会長 何でこれだけもめるかというと、抗腫瘍効果がどうも強そうだと。サリド マイドの効かないのも効きそうだと。そういうような抗腫瘍効果があるということは、そ の分、催奇形性も、例えばサリドマイドと比べて桁違いにひどいとなるのではないかとい うことを皆さん心配しているからと思うのです。ですが、今のデータにありますように、 種によって出たり出なかったりだし、投与量的にもサリドマイドと比べて桁違いに大きい というデータは示唆されてはいないですね。ですから、恐らくほぼ同等程度ではなかろう かというところで申請がなされている状況だと思います。  問題は、ヒトに出るか出ないかなのですが、私が審査概要を読んだところでは、治験中 に妊娠してしまった方がいて、出産したのだけれども、その子供は無事だったとなってま すね。1例だったか2例だったか忘れてしまいましたが、そういうこともあるので、そう 百発百中というわけでもなさそうだと。ということであれば、先ほどの資料1-2にありま したように、安全対策をしっかりやることで、人体における奇形のリスクを可及的に減ら してもらうことになるのだろうと思います。ほかにございますか。 ○清水委員 審査報告書の77ページですが、海外での薬剤配布プログラム(RevAssist) の管理下でも被曝報告が出ているということですが、どの程度の発生であったのかという ことと、分かればで結構ですが、サリドマイドのTERMSで避妊の失敗によるそういった報 告は現実に出ているのかどうか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。 ○機構 まず、RevAssistの件ですが、今、全部でどれぐらいの症例に投与されて、こう いった事象が何例挙がっているかという部分に関してはお答えできない状況です。 ○安全対策課長 サリドマイドは、TERMSによる管理がなされて、実質的におおよそ1年 ぐらいお使いになっていて、今1,400人ぐらいの患者がお使いになっていますが、妊娠あ るいは避妊に失敗してしまったという事例はありません。 ○清水委員 デキサメタゾンの使用方法の記載で、添付文書の中には、特に用法・用量に 関係する辺りには、デキサメタゾンの用法・用量に関する記述は、併用することの記述し かありませんが、イギリスの添付文書には、用法・用量の中に併用すべきデキサメタゾン についての用法・用量も記載がされているようです。その方が分かりやすいのかと思うの ですが、いかがでしょうか。 ○機構 本薬と併用するデキサメタゾンにつきましては、本薬の添付文書に併用相手の用 法・用量は書きづらいという部分もありましたが、添付文書の4ページに、臨床試験で用 いられたデキサメタゾンの用法・用量は書いております。 ○清水委員 「臨床試験の項参照」ということは、どこか用法・用量に近い所に書いてお かないと、そこまではなかなか目が届きにくいのではないかと思うのですが。 ○機構 分かりました。参照できるような形に調整したいと思います。 ○堀内部会長代理 デキサメタゾンの話が出ましたので、これは4mg錠で、錠剤の大き さは200mgぐらいになっています。デキサメタゾンとして40mgだから1回に10錠、重量 として1g飲まないといけないということで、場合によるとかなりコンプライアンスに影 響してくるのではないかと思うのです。10錠も飲みにくいですよね。8mgについては契 約の問題があるということが書いてありますが、将来的にはもっと大きなものにするとい う方向性は、きちんとしているのでしょうか。 ○審査第五部長 将来的な部分に関して、細かく議論しているわけではありません。しか し、現在世の中に出ているものが0.5mg錠、つまり80錠ほど飲んでいるということより は、コンプライアンスに関しては明らかに前を向いているのだろうと予想しております。 ○堀内部会長代理 ですから、まだ分からないということですね。 ○審査第五部長 先程も述べましたように、分かりません。 ○山添委員 デキサメタゾンの併用の話が出たのですが、かなりの量でステロイドなの で、併用時の安全性、催奇形性に与える影響は、過去に論文としてあるのでしょうか。つ まり、ステロイドなので、ある遺伝子発現に影響する可能性はゼロではないと思うのです が、過去にそういうことを検討されたものが、併用時における安全性、単独ではなくとい うものがあれば教えていただきたいと思います。 ○機構 今回提出された資料の中には、そういった検討はされておりません。今のところ、 私どもの手元にもそういった情報はありません。 ○吉田部会長 例えば、リンパ種とか、膠原病とか大量のステロイドを、今までたくさん 使っている例があるではないですか。そのときの注意事項を検討されたことはないのです か。経口ではなくて、静注でもそうですが、特に今までがんの領域で大量のステロイドを 使う場合の注意事項のようなもので、何か共通の指針のようなものができているわけでは ないのですか。 ○機構 今のところ、そういったものはこちらでは把握できていない状況です。 ○吉田部会長 相手がかなり重症の病気だということなので、恐らくそこまで細かな解析 がなされていないのだろうと思います。よろしいでしょうか。 ○清水委員 だんだん現実的な問題になってくるのですが、包装について、21日間服用 する、休薬をするという薬剤で、数の管理もきちんとしなければならない中で、10錠× 4というシートの提案なのですが、これは7でのシートとか21でのシートという検討が あった結果、10になっているのでしょうか。 ○機構 こちらの包装に関しては、今御指摘いただいたような処方の日数等も考慮した部 分は検討されておりません。 ○吉田部会長 検討されていないのですか。よく聞こえなかったのですが。 ○機構 検討はされていないと思います。 ○清水委員 是非検討してください。数の管理をきちんとしなければいけないということ も併せて、管理用にできると中に書かれていたかと思うのですが、そのことも含めて、数 の管理が適切にできる包装形態を御検討いただきたいと思います。 ○吉田部会長 御指導のほどよろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 40mgを4日間投与して、それでポンと切ってしまうわけですね。リ バウンドについてはどこかに書いてあったと思うのですが、漸減していくのが普通だと思 うのですが、そこは大丈夫ですか。 ○機構 デキサメタゾン40mgに関しては、40mgを4日間投与するのを1サイクルの中で 3回行うという使い方で、レナリドミドとの併用の試験ですが、この中で検討されており ます。一応の忍容性に関しては問題ないだろうと判断しております。 ○吉田部会長 有害事象に、ステロイドに絡んだそういう有害事象は出ていないというこ とですか。 ○機構 休薬に伴うリバウンド現象が出てくる部分はあるのですが、試験では、その中で 忍容は可能であったという結果であると解釈しております。 ○吉田部会長 ないわけではないと。ほかにございますか。  そろそろ議論も尽きたかと思いますので、そろそろ議決に入りたいと思います。  本品目の安全管理方策、先ほど御質問いただきましたが、今後の医薬品等安全対策部会 安全対策調査会において議論していただくことになっております。その適切な実施を承認 条件に加えることをもって、承認の可否について議決したいと考えておりますので、最終 的な承認条件の文言については、後日部会長において確認するということで考えておりま す。よろしいでしょうか。  それでは、お諮りします。審議事項議題1について承認を可、報告事項議題2について は御確認をいただいたということにしてよろしいでしょうか。  ありがとうございました。御異議がないようですので、審議事項議題1については承認 を可とし、薬事分科会に報告し、報告事項議題2については御確認をいただいたものとさ せていただきます。なお、本品目につきましては、希少疾病用医薬品として指定されてお ります。対象疾患についても予後不良であり切迫しているという状況もありますので、分 科会報告の事務手続は前回お諮りしたような速やかな方法で行うべきと考えております が、いかがでしょうか。  ありがとうございました。事務局においてそのように検討していただくということで、 お願いしたいと思います。よろしいですか。  それでは、議題2に入ります。田村委員におかれましては、議題2の審議の間、別室で 御待機をお願いします。 ── 田村委員退室 ── ○吉田部会長 議題2について、医薬品機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品トーリセル点滴静注液25mgの製造販売承認の可否等に ついて、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるテムシロリムスは、細胞内のFKBP-12に結合して複合体を形成 し、この複合体が、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質であるmTORを介した細胞の増 殖シグナルや血管新生を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられていま す。  本剤は、米国で2007年5月に腎細胞癌を適応として承認され、現時点で、海外の52の 国又は地域で承認されています。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料No.12にありますとおり、 12名の委員です。  以下、本剤の臨床試験成績を中心に説明いたします。  今回の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された一つの第III相試験 と、本邦を含むアジア3か国で実施された一つの国際共同第II相試験が提出されました。  有効性については、審査報告書46ページ下から9行目以降、及び89ページ上から13 行目以降に示しますように、サイトカイン製剤を含む全身治療歴のない進行性腎細胞癌患 者を対象とした海外第III相試験の結果、高リスク患者で、本剤群のインターフェロン群に 対する全生存期間が有意に延長され、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。  安全性については、忍容可能と判断いたしました。  ただし、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書48ページ上か ら14行目以降、及び89ページ上から20行目以降に示しますように、間質性肺疾患、以 下、ILDと略しますが、ILDや、過敏症反応、感染症、高脂血症等の脂質関連有害事 象、高血糖、低リン酸血症・低カリウム血症、粘膜炎関連有害事象、皮膚障害、腎臓関連 有害事象が認められております。  これらの事象のうち、特に、ILDについては、画像評価では日本人腎細胞癌患者では 計20例中11例と約5割に、海外第III相試験に参加した患者では178例中52例と約3割 に発現例が報告されていること、また、日本人では見られませんでしたが、外国人で死亡 に至った症例が認められていることから、製造販売後には少なくとも審査報告書55ペー ジ上から1行目以降、69ページ上から12行目以降、90ページ下から16行目以降、98ペ ージ下から2行目以降に記載したような極めて厳重な安全管理の下での使用が必要であ ると考えます。  加えて、審査報告書68ページ上から14行目以降、97ページ下から19行目以降に示し ますように、製造販売後には全例調査を実施し、有害事象を迅速に把握し、得られた情報 等から更なる安全管理対策の必要性の検討や迅速な情報提供等を行う必要があると考え、 審査報告書101ページ下から10行目以降に記載した内容を承認条件として設定すること が適切であると判断いたしました。  以上のような審査の結果、機構は、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効 果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。  本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年とすることが適当で あり、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。また、生物由来製品には該当 しないと判断いたしました。  御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いしたいと思います。 ○堀内部会長代理 間質性疾患がかなり出るので、注意しなければいけないというお話 は、そのとおりだと思います。治験の段階で間質性疾患がかなり出てくるということは、 イレッサのときよりも、日常の治療の中で使うと、はるかに起こってくる可能性があると 思います。イレッサの場合にはいまだに間質性肺炎で亡くなる方もかなりおります。注意 して使っても、まだ発生をしており、亡くなる方もまだある。これについてはどのぐらい の重症度というか、これを見るとかなり重症の方も出てきているのではないかと思います が、その判断はどのようにされていますか。  もう一つは、間質性肺炎は、使っていてどのぐらいの時期に起こりますか。イレッサの 場合はわりと早く起こり、1か月位で起こってくるケースが多いと思いますが、どんなパ ターンで起こってくるのでしょうか。 ○機構 最初の御質問ですが、本剤の有効性が検証された第III相試験では、審査報告書の 65ページを見ていただくと分かりやすいかと思いますが、六つ、こちらは腎細胞癌でよ く使われるMKSCCのリスク分類ではなくて、申請者が独自に、試験で設定したリスク因子 ですが、このうちの三つに該当する高リスクの患者さんが組み入れられて有効性が検討さ れた試験です。その試験の中で、高リスク患者集団に対して全生存期間(OS)の延長が認 められたことから、予後が極めて不良な高リスク患者に対しては、本来の有効性、及び重 要な間質性肺炎を発症する可能性を含むリスクを考慮しても、そのベネフィットが上回る だろうという判断をさせていただいております。  あと、ILDの発現時期についてですが、審査報告書では52ページにグラフを載せて いますが、本剤については、投与後から割と長い日数が経った後も発現が見られている状 況です。こういった情報については、現在、申請者とも情報提供用の資材の作成を詰めて いますので、そちらの方で情報提供をしていきたいと考えております。 ○審査第五部長 少し補足したいと思います。安全対策はしっかりやっていただくという ことは、この薬の大前提だと思います。特に、初期の状況を把握するために、厳しいよう なのですが、投与する前と定期的にCTを撮っていただくというようなことをお願いする 予定です。通常だと、日常診療、特に胸部のX線が頻繁に行われるところかとは思うので すが、そこはかなり細かく、初期の状況を把握していただくためにも定期的にお願いした いということで、CTの義務付けということで警告として書かせていただいております。 ○吉田部会長 ほかにありますか。 ○清水委員 投与前に抗ヒスタミン剤を投与するその情報なのですが、添付文書の中に は、「用法・用量に関連する使用上の注意」の4.の所で触れられているかと思うのです が、前投与は非常に重要な問題かと思うので、ここのところが臨床成績の中でどういった プロトコールであったかという情報も盛った方が分かりやすいのではないかと思うので すが、そこのところはいかがでしょうか。 ○機構 今回の主要な臨床試験においては、過敏症の予防を目的とした前投薬が行われて いたというところで、機構としては前投薬を行わなかった場合の安全性情報が不明である ので、前投薬は必要であるだろうという判断をさせていただいております。その情報提供 のやり方等については、適正使用ガイド等も含めて、もう一度検討させていただきたいと 思います。 ○吉田部会長 守殿先生、泌尿器科の立場として、最近、スーテントとかアフィニトール、 mTORもですが、そういった同じようなメカニズムの標的治療薬がいろいろ出てきてお りますが、この薬の意味とか位置付けみたいなことで何かコメントはございますか。 ○守殿委員 これで4剤目なのですが、スニチニブがファーストラインで、これも一応フ ァーストライン的に考えられています。それと、スニチニブ、ソラフェニブ、それぞれの 治療成績もいろいろと症例が集積されて評価されてきていますが、まだOverall survival、その辺の結論がまだ出ていないのですが、それぞれの1剤だけでは少し十分な 成績が得られていないということもあります。mTORは機序も違いますし、併用とか、 そういうことも含めて、現場では期待している薬剤です。 ○吉田部会長 分かりました。そういうことだそうです。ほかにございますか。問題にな るのは間質性肺炎ですけれども、肺癌の場合は、もともと肺に癌巣があって、間質の炎症 が誘導されやすいという条件も一つはあると思うのですが、逆に、診断する側からすると、 がんと混じってしまうのでなかなか確診が難しいときがありますね。しかし、これは腎臓 癌ですので、肺のチェックさえしておけば、かなり早期にチェックすることが可能だと思 うのです。ですから、かなり頻度は高いのですが、臨床的な管理はそれほど難しくないの ではないかと予想しているのですが、よろしいでしょうか。  では、御意見も特にないようですので議決に入りたいと思います。本議題につきまして、 承認を可としてよろしいでしょうか。  ありがとうございました。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に 報告とさせていただきます。  次に、議題3に入りたいと思います。田村委員におかれましては、議題3の審議の間、 引き続き別室で御待機いただくこととします。  議題3につきまして、事務局から概要の説明をお願いします。 ○事務局 資料3を御覧ください。ボリノスタットを希少疾病用医薬品として指定するこ との可否についてでございます。2枚めくっていただいた所に評価報告書を付けておりま す。品目の名称はボリノスタット。対象疾病が皮膚T細胞性リンパ腫。申請者は萬有製薬 株式会社となっております。  評価結果としましては、希少疾病用医薬品に該当という判断ですが、その内容を三点に 分けまして御説明いたします。  一点目は対象患者数ですが、皮膚T細胞性リンパ腫は、T細胞性悪性リンパ腫のうち、 皮膚を主たる病変としてCD4陽性細胞の浸潤が認められる節外性の悪性リンパ腫とい うことでありまして、この中に菌状息肉症あるいはSezary症候群といったものが含まれ ております。本邦の悪性リンパ腫全体の5年有病者数は3万3,000人余りでありまして、 うち、菌状息肉症あるいはSezary症候群の患者割合が1.16%であること、また、本剤が 対象としております皮膚T細胞性リンパ腫のうち、これらの菌状息肉症あるいはSezary 症候群の割合が約半数であるということを掛け合わせまして、本剤の対象患者数は約 1,000人と推計されておりますことから、5万人以下という要件を満たすと判断をしてお ります。  二点目に、「医療上の必要性について」ということですが、Stageにより様々な治療法 が用いられていますが、これまで既存の治療法を施行しても進行・再発を繰り返すという ことで、新たな治療法の開発が望まれているということで、この医療上の必要性について は、これが有するということであります。  三点目に、「開発の可能性について」ということですが、本剤の第II相試験におきまし て、客観的奏効率29.7%ということが示されておりまして、これと主要な症状であるそ う痒の緩和といったことも併せて考えると、本剤の開発の可能性は高いと考えておりま す。  以上三点から、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御 審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。疾病の予後の不 良さ、あるいは頻度の少なさ、学会等からの要請等々の背景はクリアしていて、問題は効 果ということになろうかと思います。日本のデータの6例だけではなかなか難しいとは思 いますが、外国の成績を見るとそれなりの成績、奏効率はあるというような状況のようで す。 ○清水委員 本質的なことでなくて恐縮ですが、昨今、内服薬の処方せんの記載様式とい う通知が出たところなのですが、「別紙 使用価値が特に優れていると判断する理由」の 3ページの一番上の所で、「米国承認用法・用量と同じ1日1回400mg(400mg×1)」と いう記載があります。2ページの方にもそれと同じ書き振りが1か所出てくるのですが、 この括弧書きの意味はどういう意味になるのでしょうか。 ○事務局 これにつきましては1日1回400mgということかと思いますけれども。 ○清水委員 1日1回400mgということと同じ意味を括弧で書いているということです か。 ○事務局 はい。 ○清水委員 書く必要はあるのですか。 ○事務局 書く必要はなかったのかもしれません。 ○清水委員 まさか400カプセルのものを1カプセルということではないですよね。 ○事務局 そういう意味ではありません。 ○清水委員 はい。 ○吉田部会長 前回の議論のときに、表現をどうするという話が議論になったような気が するのですが、この辺は統一的にどういう記載にしたらよいかというのはまだ決めていな いのですか。 ○堀内部会長代理 決まったのです。「×1」はやめましょうと。 ○吉田部会長 そういうことであれば、この記載については、作った基準で書いてほしい ということで、後で調査しておいてください。 ○事務局 ありがとうございます。 ○吉田部会長 ほかにございますか。では、ないようですので議決に入りたいと思います。 なお、竹内委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加 を御遠慮いただくことといたします。  本議題につきまして指定を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 田村委員入室 ── ○吉田部会長 議題4に入りたいと思います。竹内委員におかれましては、議題4の審議 の間、別室で御待機いただくことといたします。 ── 竹内委員退室 ── ○吉田部会長 それでは、議題4につきまして、事務局からの概要の説明をお願いします。 ○事務局 事務局から御説明いたします。BLB-750(細胞培養H5N1インフルエンザワク チン)を希少疾病用医薬品として指定することの可否につきまして、資料4に基づき御説 明いたします。資料4に評価報告書を付けておりますが、対象患者数、医療上の必要性、 開発の可能性の三点について御説明いたします。  品目の名称はBLB-750(細胞培養H5N1インフルエンザワクチン)です。対象疾病はH 5N1インフルエンザの予防です。申請者はバクスター株式会社です。  本申請の対象疾患である新型インフルエンザにつきまして、対象患者数の件ですが、こ れまで我が国において、症状を伴うH5N1型インフルエンザの感染例は報告されており ません。また、抗体陽性例につきましては98名が報告されております。これらのことか ら、国内対象患者数5万人以下を満たすものと判断しております。  次に、「医療上の必要性について」ですが、H5N1型高病原性インフルエンザウイル スがヒトに感染して発症した場合、致死率60%以上の非常に重篤な疾病を引き起こすと いうことで、対象疾患の重篤性は高いとされております。  また、本剤はアフリカミドリザル腎細胞を用いて製造されたHA抗原を含むワクチンで あり、従来の鶏卵を用いた製造方法に比べて弱毒化工程を省略でき、より短期間でのワク チン製造が可能であること、それから、本剤の製造は鶏卵の供給に依存しないといった利 点があると考えており、これらを踏まえまして、医療上の必要性はあるというふうに判断 いたしております。  三番目に、本剤の「開発の可能性について」ですが、本剤は海外第III相臨床試験におき まして、本剤のH5N1型インフルエンザウイルスに対する抗体産生の誘導が確認され、 2009年3月にEMEAより承認を得ておりまして、本剤の国内臨床開発につきましては、 2011年秋から検証試験としての第II相試験が開始される予定です。  これらのことから、本剤の開発の可能性はあると判断いたしております。  以上の三点によりまして、本剤につきまして希少疾病用医薬品としての要件を満たすも のと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは、委員の先生方の御質問、御意見をお願いします。 ○庵原委員 確認したいことが幾つかあります。一点は、H5N1の株すべてどれでもい いから認めるという表現でよろしいのかということです。要するに、ベトナム株とかイン ドネシア株とか、株限定ではなくて、H5N1の株すべてを認めるという感覚でいいです か。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○庵原委員 二点目は、そのH5N1の株のオリジナル由来は培養細胞で分離された株し か使えない、ないしは卵でとれたものも使ってよい、ないしは、今、遺伝子操作でリコン ビナントしていますけれども、そういった株すべてどれでもよい、H5N1ならばオーケ ーという、広く認めるわけですか。  最初の書き振りは、「卵で分離された」うんぬんという書き方をしているのですが、将 来、培養細胞を用いてワクチンを作っていく場合、余り卵を使わなくてよくて、培養細胞 で分離した方がよいという話になってくると思うのです。そうしたときにVeroで分離 されるということが余りスタンダードではないのです。MDCKで分離するというのがス タンダードの方法なのです。そうすると、MDCKで分離された株をここへ持ってくると いうことも可能にするのか、ないしは、これはVero細胞由来のワクチンである以上は、 Vero細胞で分離したオリジナルな株でしか使ってはいけないという形にするのか、そ の辺の考え方です。 ○機構 御指摘のとおり、鶏卵を使わないことは、一つ本剤の利点である。それから、実 際に、オリジナルの製造株はまだ少し不明な点があります。御存じのように、WHOとか、 各国のリファレンスラボラトリーを介してワクチン株が単離されますので、そのときの状 況に応じてまた検討されるのかと思います。そうしますと、緊急対応ということを考慮す ると、恐らく、そのようなケースも使える形にするのが緊急対応としては必要なのかもし れません。それにつきましてはまた状況に応じて、審査の際にも先生方に御意見をいただ いて検討していきたいと思っております。 ○庵原委員 最後ですが、これはバクスターだけなのですが、抗体陽性を1対20以上に しているのです。ほかのメーカーは全部1対40以上なのです。そこを認めていいのかど うかです。それから、バクスターの評価方法でEMEAを通っている以上は認めていいと いう意見もあるかと思うのですが、その点の御検討はいかがですか。 ○機構 データの評価につきましても、また審査の際に検討させていただきますが、実は、 抗体価の測定法とか評価法は、若干、メーカーによって違う部分もありますので、審査の 際にその辺を整理して、他剤との比較をある程度可能な範囲で評価していきたいと思って おります。 ○吉田部会長 今の庵原先生の質問で、少し分からなかったので聞きたいのですが、要す るにH5N1インフルエンザのワクチンは細胞培養ですね。物としては、例えば今、ある 物がオリジナルとしてあるとしますよね。それで、ほかにいろいろ派生的に出たときは、 それはすべて自動的にオーファンで指定してしまうということですか。 ○審査管理課長 これはH5N1のパンデミックになっていませんので、プレパンデミッ クワクチンとしてまず承認するということで、取りあえず、そのプレパンデミックワクチ ンとして承認する際の株についてどうするかというのは、庵原先生の御指摘のあったとこ ろだと思います。あとは、実際にパンデミックが起きたときの株について、これを適応す るかというところですが、それは、一応、プレパンデミックということで承認しますので、 そのパンデミック株が使えるような形に何とかさせていただきたいと。 ○吉田部会長 幾つかの株を用意しておいてということではない。 ○審査管理課長 パンデミックの株はどういう株になるか分かりませんので、その出た株 はこの承認の中で使えるような形を考えるということです。 ○庵原委員 パンデミックのときの株を取ってくるときに、卵で取ってきたりMDCK細 胞で取ってきたり、Vero細胞で取ってきたり、取り方がいろいろありまして、そのと きにこれがVero細胞由来のワクチンであるということは、Vero細胞で取ってきた 株しか使えないという厳密な形で決められてしまうと応用がききにくくなります。ですか ら、どれでもいいような形で、「どの株でも使っていい」よという形でしてもらった方が、 最後はやりやすいのではないかと思います。そのところの縛りをきつくするのか、それと も、おおらかにするのかという、そこの考え方なのです。 ○審査管理課長 それは、これから審査の段階でやりますけれども、プレパンデミックワ クチンという前提で考えれば、できるだけ広く対応できるような形を考えるという話だと 思います。 ○吉田部会長 つまり、間口の広い形のインフルエンザワクチンということで今回認めて おこうと。 ○審査管理課長 希少疾病用医薬品として指定すると。 ○吉田部会長 株は由来は問わないで、出たときにピタッと合うものを探して、それが使 えるようにするということですね。 ○審査管理課長 手続をどうするかというのはまた別な問題がありますが、一応そういう ことでございます。 ○堀内部会長代理 そうすると、2ページの所に具体的に、「Vero細胞を用いて製造 された」となっていますけれども、それを消しておくということですか。 ○審査管理課長 一応、取りあえずH5N1ということで、Vero細胞でも何でもいい のですが、何か指標株といいますか、使える株で臨床試験をしないといけませんので、そ れがH5N1の代表株でいいのかどうかということもありますが、そこはそういう株でや っていただくのだと思います。 ○堀内部会長代理 「例えば」を入れるとか。要するに、これだと限られた形に読めるの ではないかと思うのです。どれにも適応するということであれば、変えた方がいいのでは ないかと思ったのです。 ○審査管理課長 それは治験のプロトコールの中で、また別途考えさせていただきたいと 思います。 ○吉田部会長 ほかにございますか。  ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、指定を可として よろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告 とさせていただきます。  続きまして、報告事項にまいりたいと思います。 ── 竹内委員入室 ── ○吉田部会長 報告事項は1〜6までお願いします。 ○機構 それでは、報告事項の議題1、「エポジン皮下注用シリンジ24000の製造承認申 請について」報告いたします。資料5になります。  本剤は、エポエチン ベータ(遺伝子組換え)を有効成分とするエリスロポエチン製剤で す。  同一有効成分の既承認品目として、750単位〜12000単位までの「エポジン注アンプル」 及び「同シリンジ」が存在しており、含量規格により異なりますが、静脈内投与及び皮下 投与での腎性貧血、皮下投与での未熟児貧血、静脈内投与での自己血貯血などの承認を取 得しております。  今般、中外製薬株式会社から、既承認品目にない24000単位について、皮下投与におけ る自己血貯血の効能・効果、用法・用量の取得を目的として、本申請がなされたものです。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いた しました。  続きまして、議題3、資料7になります。これは品目が多いので省略させていただきま すが、「タケプロン等15品目の製造販売承認事項一部変更承認について」の議題です。  胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクターピロリ除菌療法として、プロトンポン プ阻害薬、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの3剤併用療法が2000年9月に 初めて承認されました。また、一次除菌療法で除菌不成功であった患者に対して、クラリ スロマイシンをメトロニダゾールに変えた3剤併用療法による二次除菌療法が2007年8 月に承認されております。  2008年12月に日本ヘリコバクターピロリ学会が、「胃MALTリンパ腫、特発性血小 板減少性紫斑病、早期胃癌の内視鏡治療後の異時性胃癌発生抑制に対して、H.pylori除 菌療法が有効であることは、多くの臨床研究等によって確認されており、また臨床現場に おいては、適応外使用ながらも日常的に実施されているとして、これら3疾患における適 応追加の要望」を厚生労働大臣に提出いたしました。  今般の申請は、当該要望を受けて、新たに臨床試験を実施することなく、公表論文等を 基に「胃MALTリンパ腫」、「早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃」及び「特発性血小 板減少性紫斑病」におけるH.pylori除菌療法について製造販売承認事項一部変更承認申 請がなされたものです。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料7に記載いたしました効能・効果及 び用法・用量にて、承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして、議題4です。こちらも品目数が多いので省略させていただきますが、「ゾ ビラックス錠400等66品目のアシクロビル製剤の製造販売承認事項一部変更承認につい て」の報告になります。  アシクロビル(ACV)は、単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスに抗ウイル ス作用を示す薬剤です。本邦においては、昭和60年に、点滴静注用ゾビラックス及びゾ ビラックス眼軟膏が承認されたことをはじめとして、現在までに錠剤、顆粒剤、シロップ 剤、ドライシロップ剤、内服ゼリー剤、軟膏剤、眼軟膏剤及びクリーム剤が市販されてお ります。  欧米におきましては、ゾビラックス製剤については、注射剤は90か国以上、錠剤は110 か国以上、懸濁液は70か国以上で承認がなされており、小児に対して使用される薬剤の 一つとされております。本邦においても、ACV製剤(経口剤、注射剤)の必要性が認めら れたため、「薬事・食品衛生審議会で事前評価を受けたアシクロビルの小児薬物療法に関 する承認申請について」(平成21年12月28日付 薬食審査発1228第1号、医薬食品局審 査管理課長通知)にて、グラクソ・スミスクライン株式会社を代表とする23社に対し、A CV製剤(経口剤、注射剤)の小児薬物療法に関する承認申請について承認事項一部変更承 認申請が要請されました。  今般の申請は当該通知に基づき、新たに臨床試験を実施することなく、承認事項一部変 更承認申請が行われたものです。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料8に記載いたしました効能・効果及 び用法・用量にて、承認して差し支えないと判断いたしました。  医薬品医療機器総合機構からは以上になります。 ○事務局 続きまして、議題5「優先審査指定品目の審査結果」につきまして、資料9-1 〜9-4に基づきまして順次御説明いたします。  優先審査品目につきましては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して 判断することとしているということが、2ページ目に書いておりますが、まず1品目目、 医薬品ハーセプチン注射用60、同注射用150、一般名はトラスツズマブ、申請者は中外製 薬となっております。  申請効能が、「HER2過剰発現が確認された□□□□□□□進行・再発の胃癌□□□ □□□□□□」となっております。  こちらにつきましては、適応疾病は重篤な疾病であるということ、それから、国際共同 第III相臨床試験におきまして、基礎となるコントロール群ですが、フッ化ピリミジン系の 抗悪性腫瘍剤及び白金系抗悪性腫瘍剤の併用、又はカペシタビンとシスプラチンの併用に 対して、本剤トラスツズマブを上乗せしたときの比較で、全生存期間の有意な延長を示し たということから、本剤は既存の治療法と比較して優れているということで、優先審査品 目と指定することといたしたいということです。  資料9-2の□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□有効性の評価が示されなかったということでありまして、本申請に つきましては、優先審査品目に指定しないということで考えております。  資料9-3の□□□□□ですが、一般名エリブリンメシル酸塩、申請者エーザイ株式会社、 申請効能は「手術不能又は再発乳癌」となっております。こちらにつきましては、海外第 III相臨床試験において、主治医選択治療群と比較して、全生存期間の有意な延長を示した ということから、こちらは優先審査品目に指定することとしております。 ○事務局 最後に、資料9-4の、□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□ からの申請です。これにつきましては、「□□□□□□□□□□□□□□□」の効能・効 果に係る承認申請がなされたものです。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を呈す ることがありますが、□□□□□□適切な治療が行われれば死亡することはまれであり、 また、ほとんどの症例では□□□□□□□□□□□□□□□□□のみであり、疾患の重篤 性等に該当しないと考えられております。また、□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□は現時点では承認されておらず、既存の□□□はありませんが、□□□□ □□□□□□□□□□□□□対症療法が行われることで、ほとんどの症例は後遺症なく治 癒するということから、適応疾病の重篤性から判断しまして、本品目は優先審査品目に指 定しないこととしております。この品目につきましては、総合機構による通常どおりの審 査及び調査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただくこととなりますので、よろしく お願いいたします。以上でございます。 ○事務局 続きまして、議題6「医療用医薬品の承認条件の解除について」、事務局より 御報告いたします。資料10を御用意ください。  医薬品医療機器総合機構より、「承認条件に係る審査報告書」が提出されております。 1ページを御確認ください。品目の販売名はインテレンス錠100mg。一般名はエトラビリ ン。ヤンセンファーマ株式会社の製品です。  今回審査の対象になった承認条件ですが、中ほどの下線部で示しておりますとおり、薬 物動態試験に関することです。この承認条件につきましては、本文の2の(1)にあります とおり、承認申請時には、日本人における薬物動態に関する情報が得られておらず、製造 販売後に、日本人における薬物動態を確認することが求められたという経緯があります。  そして、今般、日本人健康成人を対象としました薬物動態試験の試験結果が提出された ことから、機構において承認条件に係る審査が実施されました。  3ページの表を御覧ください。日本人健康成人におけるエトラビリンの薬物動態は、こ れまでに得られている外国人健康成人における薬物動態と同様であることが確認されま した。  なお、3の「総合評価」の項にも書いているとおり、現在、日本人患者における有効性 ・安全性データは収集中であること、及び海外において現在実施中又は計画中の臨床試験 があることから、今般は承認条件1及び2の一部、つまり、日本の国内薬物動態試験に係 る承認条件を解除しても差し支えないものと判断いたしました。以上報告いたします。  また、先ほどありました議題3につきまして若干補足をさせていただきます。議題3の 中で、フラジール内服錠250mgという医薬品がありまして、その添付文書を御確認くださ い。資料7です。後ろの方から緑色の紙で2枚目に「フラジール内服錠」がありますが、 この中で、「禁忌」の中の2番目に「血液疾患のある患者」と書かれております。今般、 製造販売承認事項一部変更承認の中では特発性血小板減少性紫斑病が含まれておりまし て、血液疾患ということでありまして、この部分が内容的に重複するところがあります。 ただ、この禁忌につきましてはかなり古い、1970年代ごろと思われますが、そのころに 付けられた禁忌でありまして、現在、海外でも、この血液疾患が禁忌とはなっていないこ となどを踏まえまして、また、製造販売後の安全性の情報等についても、こういったもの が極めてまれな有害事象であるということもありますので、禁忌の見直しの必要性に関し まして、別途、検討させていただきたいと考えております。もし差し支えなければ、この 検討結果につきましては、別途、部会等に文書等で報告させていただきたいと考えており ますが、よろしいでしょうか。以上でございます。 ○吉田部会長 以上報告事項でございます。議題1は、最初に行った治験のクオリティが 悪くて差し戻しになったために、少し遅れてしまったため、類薬と横並びの適応になりま したということ。議題3ですが、これは我が国での臨床試験の結果プラス公知ということ で学会からの申請があった。議題4は、これも小児の学会からの公知申請ということです。 それから、優先審査ですが、ハーセプチンは国際治験で有用性が確認されていて、緊急性 があるということで優先審査と。□□□□□□□□□□□□□□□□□□緊急性がないの で優先審査としない。□□□□□静注に関しては乳癌ということで、重症疾患のため優先 審査とする。□□□□□□は□□□□□□□□ということで、死亡が少ないということで 除外する。議題6は、国内試験が開始されたことに伴って承認条件を解除したいというこ とのようでございます。どこか御質問はありますか。 ○堀内部会長代理 議題3、ヘリコバクターピロリなのですが、全体として適応追加は結 構だと思うのですが、一つは、適応の中で新しく加わった胃MALTリンパ腫というのが あります。これについては、審査報告書の34ページですが、進行期の胃MALTリンパ 腫については対象外で、限局性の胃MALTリンパ腫がピロリ菌の除菌法の対象と考える となっていますが、適応症についてはその制限は余りかけていないと思いますが、「限局 性」ということを入れないでよろしいのでしょうか。 ○機構 御指摘の点ですが、効能・効果としては制限はしておりませんが、その添付文書 を御覧いただくと、「効能・効果に関連する使用上の注意」で二点目に、進行期胃MAL Tリンパ腫に対する有効性は確立しないという旨を注意喚起することで、逆に、限局期で の投与を推奨するというふうに注意喚起しています。それにつきましては、既に、今回、 審査の中で用いた公表論文で、進行期も含めたエビデンスの報告があるのですが、確実に 有効性が期待できるのは限局期の症例に対してのみ有効性が期待できると判断できるこ とから、このような注意喚起、効能・効果にさせていただきました。 ○堀内部会長代理 よく「有効性は確立していない」という表現をお使いになるのですが、 極めてあいまいな言い方だと思います。ですから、もう少し明確に書けませんでしょうか。 審査報告書の中でも、その限局性のものだけが対象と考えるということをおっしゃってい るわけです。「確立していない」ということは極めてあいまいな言い方ですね。まだエビ デンスがないというだけですよね。 ○機構 はい、乏しいということです。機構はそういう理解でおります。 ○堀内部会長代理 効くかもしれないという意味ですか。ですから、効くかもしれないか ら使っても構わないということになりますね。 ○機構 そうですね。ただ、疾患の重篤度とかを考えると、その進行期の状態の患者様に おいて、ピロリ除菌をすることが、その他の治療法のリスクベネフィットのバランスから 考えて。 ○堀内部会長代理 だから、それは医師の判断でよろしいということですね。 ○機構 はい、そうです。 ○堀内部会長代理 分かりました。そう考えるならばそれで。 ○吉田部会長 基本的に、多くの場合、ピロリがMALTリンパ腫の原因と推定されてい て、除菌治療で治るのは確かに初期だけなのですが、因果関係があるものですから、例え ば進行期に入ったものについては放射線治療プラス除菌というような使い方があり得る のです。ですから、そういった意味で可能性を残してあるのだと思います。ほかにありま すか。 ○堀内部会長代理 先ほど一つ禁忌のお話がありましたが、例えばプロトンポンプインヒ ビターでアタザナビルを使っている患者については禁忌であるということなのですが、こ れもCYP3A4との関係で血中濃度が変わるから禁忌という話だろうと思いますが、そうい うものは幾らでもあるし、エイズの患者にこれを使っていた場合には、エイズの患者はほ とんどCYP3A4が絡んできます。こういうものも禁忌から外してはいけないのですか。 ○岡委員 アタザナビルが禁忌になっているのは、胃酸が出ていないと吸収が悪いもので すから、それでプロトンポンプとの併用は禁忌。 ○堀内部会長代理 時間をずらしてやればいいわけでしょう。そうでもないですか。例え ば、朝と夜との飲み方を変えるとか、そうすれば問題はないのではないかと思います。一 緒に飲めば問題が起こるというのはそのとおりだと思います。 ○吉田部会長 今のデータを見ると、プロトンポンプインヒビターの投与下では相当長い 時間胃酸が抑制されているので、そういう意味では、薬の飲み併せだけではなくて、バッ クグラウンド自体が違ってくるというリスクの方がむしろ高いと私は思います。 ○機構 機構としてもそのような理解でして、抗HIV薬については、血中濃度を維持し てウイルスをたたいていくということが非常に重要ですので、PPIと併用してそのよう なリスクはあるということは、エイズ患者の治療にとっては非常にリスクが高いので、そ ういう意味も含めまして禁忌にさせていただいている経緯があると理解しております。 ○吉田部会長 分かりました。ほかにございますか。  ないようですので、報告事項につきましては御確認いただいたものといたします。  本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。 ○事務局 その他事項としまして、前回の部会におきまして御審議いただいたパズクロス の件につきまして御報告させていただきます。田辺三菱製薬株式会社のパズクロス注300 mg及び同500mgの名称につきまして、医療事故防止の観点から、現場に混乱を招かないよ うな対応をしてほしいという御指摘をいただいたところですが、この度、御指摘を踏まえ まして、速やかに「パズクロス点滴静注液300」及び「同500」と変更させるという対応 をいたしましたので御報告いたします。以上です。よろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 前回御指摘いただいたところですね。 ○審査管理課長 続いて、当日配付資料1を御覧いただきたいと思います。前回の部会の 際に、医薬品第一部会と第二部会の御審議いただく薬効群について見直しをさせていただ きたいと御説明いたしましたが、現状の第一部会と第二部会の医薬品の薬効群について は、当日配付資料1に示しているとおりです。今、事務局でいろいろ検討させていただい ておりますが、第二部会は血液製剤、ワクチン、抗がん剤、抗菌薬というような割り振り でお願いしているところですが、そういう意味では、炎症性のところということで、アレ ルギー用薬等を第二部会でお願いするというような形で考えているところですが、第一部 会の先生方の御意見も踏まえまして、また御報告させていただければと思っているところ です。 ○吉田部会長 これは私たちがどうのこうのとは言えないのですよね。やれと言われたら やるしかないので。 ○審査管理課長 委員の先生方にはどうするかも、また御相談させていただきたいと思い ます。 ○吉田部会長 何か御意見がありましたら、相談にはのってくれそうなので、よろしくお 願いします。事務局から次回のことも含めてお願いします。 ○事務局 次回の部会は、既に御案内のように、7月29日(木)午後4時から開催させて いただく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとう ございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線 2746)