10/05/31 第25回社会保障審議会介護保険部会議事録 社会保障審議会 第25回介護保険部会議事録 1 日時及び場所    平成22年5月31日(月) 16時00分〜19時00分    全国社会福祉協議会:灘尾ホール 2 出席委員    山崎、石川、井部、岩村、小方、貝塚、勝田、川合、河原、北村、木村、久保田、木間、 小林、齊藤(秀)、齊藤(正)、田中、野呂(代理:青木参考人)、橋本、桝田、三上、 結城、吉田の各委員    葛原、小西、櫻井、土居の各委員は欠席 3 議題    介護保険制度の現状について 4 議事内容 (カメラ撮り) ○大澤総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第25回社会保障審議会介護 保険部会を開催させていただきます。  本日は、大変お忙しいところお集まりをいただきまして誠にありがとうございます。私は、本 部会の事務局を担当いたします老健局総務課長の大澤でございます。どうぞよろしくお願い申し 上げます。  それでは、まず初めに、会議の開催に当たりまして、本来であれば、冒頭長妻厚生労働大臣か らごあいさつ申し上げるべきところでございますが、国会等の用務のため出席ができませんので、 かわりまして宮島局長から一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 ○宮島老健局長 どうも今日はありがとうございます。社会保障審議会介護保険部会、久々の開 催ということでございます。  介護保険創設から10年たちました。御存じのとおり、3期1年をサイクルとして運営がされて おりますが、今、4期目の2年目ということです。皆さん御存じのとおりですが、3期目に当た って介護予防の導入でありますとか、施設の居住費、食費負担というような改正が行われたとこ ろです。4期目につきましては、折からの不況とか介護職員の処遇の問題と確保の問題というこ とがあって、4期目に当たっては介護報酬の3%改定、市町村の保険料の軽減対策、あるいは介 護基盤の緊急整備、それから介護職員処遇改善交付金1.5万円というような、そういうリーマン・ ショックに続く不況対策、経済対策の中での介護諸問題へ、これは主に予算措置で基金というよ うな形で行われたということなわけです。  次に第5期ということになって、これは2年後になるわけですけれども、ここに向けて、給付 費は制度発足当初から倍になったとか、高齢化もこれから進むと。人材確保も大事だというよう なことで、持続可能な介護保険制度の構築ということが大きな課題になっています。  したがいまして、この介護保険部会におきましては、持続可能な介護保険制度を構築するため の財政や負担のあり方、あるいは地域の実情に応じたシステムを確立するための保険者機能や自 治体の役割強化。良質で効率的な給付のあり方、こういった介護保険法の見直しや改善を行うべ き事項についてぜひ御提言いただきまして、私どもとすれば次期通常国会に介護保険法の改正案 を提出していきたいということで考えているところでございます。  本日、御出席の委員の方々には、諸問題につきまして専門的な観点から御検討いただきたいと 思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大澤総務課長 済みません、カメラのほうは退出願います。 (カメラ退出)  次に、前回まで部会長として大変御尽力をいただいておりました貝塚部会長におかれましては、 一身上の御都合により御退任されることになりました。したがいまして、部会長選出までの間、 私が議事進行役を務めさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げま す。  それでは、まず再開第1回目ということで、委員の皆様方の御紹介を僣越ながら、私のほうか らさせていただきたいと存じます。お手元に社会保障審議会介護保険部会委員名簿五十音順にお 名前を挙げさせていただいている1枚物がございますので、この紙の順番に従いまして御紹介を させていただきたいと存じます。  まず、全国市長会 介護保険対策特別委員会委員長で稲城市長でいらっしゃいます石川良一委 員でございます。  日本看護協会副会長の井部俊子委員でございます。  東京大学大学院法学政治学研究科教授・岩村正彦委員でございます。  健康保険組合連合会副会長の小方浩委員でございます。  東京大学経済学研究科特任教授の貝塚啓明委員でございます。  認知症の人と家族の会副代表理事の勝田登志子委員でございます。  全国老人保健施設協会会長の川合秀治委員でございます。  UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長の河原四良委員でございます。  民間介護事業推進委員会代表委員の北村俊幸委員でございます。  日本介護支援専門員協会会長の木村隆次委員でございます。  本日は御欠席でございますが、鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科特任教授の葛原茂 樹委員でございます。  続きまして、日本経済団体連合会専務理事の久保田政一委員でございます。  本日は御欠席でございますが、関西学院大学大学院経済学研究科/人間福祉学部教授の小西砂 千夫委員出ございます。  続きまして、高齢社会をよくする女性の会理事の木間昭子委員でございます。  全国健康保険協会理事長の小林剛委員でございます。  全国老人クラブ連合会理事・事務局長の齊藤秀樹委員でございます。  医療法人真正会理事長の齊藤正身委員でございます。  ちょっと遅れて来られるという御連絡を承っておりますが、学習院大学法学部教授の櫻井敬子 委員でございます。  続きまして、日本介護福祉士会名誉会長の田中雅子委員でございます。  本日は御欠席でございますが、慶応義塾大学経済学部教授の土居丈朗委員でございます。  次に、本日は代理の方が御出席いただいておりますけれども、全国知事会 社会文教常任委員 会委員で三重県知事の野呂昭彦委員でございます。  立教大学コミュニティ福祉学部教授の橋本正明委員でございます。  全国老人福祉施設協議会介護保険委員会委員長の桝田和平委員でございます。  日本医師会常任理事の三上裕司委員でございます。  神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授の山崎泰彦委員でございます。  淑徳大学総合福祉学部准教授の結城康博委員でございます。  日本労働組合総連合会生活福祉局次長の吉田昌哉委員でございます。  委員の御紹介は以上でございます。  続きまして、先ほどごあいさつ申し上げました局長、私のほか老健局からの出席者を紹介をさ せていただきます。  まず審議官の三輪でございます。  介護保険計画課長の古川でございます。  高齢者支援課長の水津でございます。  老人保健課長の宇都宮でございます。  認知症・虐待防止対策推進室長の千葉でございます。  振興課長の土生でございます。  介護保険指導室長の菱川でございます。  企画官の藤原でございます。  以上が老健局からの出席者でございます。  続きまして、部会長の選任についてでございますが、部会長はこの部会に属する社会保障審議 会の本委員の互選によって選任することとされております。本部会におきましては3名の社会保 障審議会の本委員、すなわち貝塚委員、木間委員、山崎委員がいらっしゃいますけれども、あら かじめこの3名の方々に御相談を申し上げましたところ、山崎委員に部会長をお願いすることと なりました。これにより互選により選出されたものとさせていただきます。  それでは、山崎部会長、議事進行方よろしくお願いをいたします。 ○山崎部会長 部会長を仰せつかりました山崎です。よろしくお願いします。  冒頭、局長から来年の法改正を考えたいという御発言がありました。期間が非常に限られてお りますし、何よりも財政的な制約が非常に強いものがあります。そういう非常に厳しい条件でご ざいますが、我々委員、介護保険制度を何とか持続させ発展させたいという思いは1つだと思い ます。そういう意味では非常に私としても心強いものがあります。委員の皆様の御協力を得て、 会の円滑な運営に努めたいと存じますので、よろしくお願いします。  また、貝塚先生には学識のみならず豊富な審議会の運営のご経験がございますので、引き続き 御指導いただきますようよろしくお願いします。  なお、社会保障審議会令第6条第5項に、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員 または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされてお ります。  そこで、部会長代理は、岩村委員にお願いしたいと思いますので、岩村委員、よろしくお願い します。 ○岩村委員 はい。 ○山崎部会長 次に、本部長の議事の取扱いにつきまして、事務局より御説明をお願いいたしま す。 ○大澤総務課長 それでは、議事の取扱いにつきまして御説明を申し上げます。社会保障審議会 運営規則第5条第1項におきまして「審議会の会議は公開とする。ただし、会長は、公開するこ とにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときその他正当な理由 があると認めるときは、会議を非公開とすることができる」と規定をされております。  また、同じ規則の第6条第2項、第3項におきましては、「議事録は公開とする。ただし、会長 は、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときそ の他正当な理由があると認めるときは、議事録の全部又は一部を非公開とすることができ」、「議 事録の全部又は一部を非公開とする場合には、会長は、非公開とした部分について議事要旨を作 成し、これを公開するものとする」とされております。  したがいまして、この介護保険部会におきましても、原則として、(1)会議及び会議資料を公開 とするとともに、(2)議事録についても公開とすることとしたいと考えております。どうぞよろし くお願い申し上げます。 ○山崎部会長 ただいま事務局から、会議、会議資料及び議事録について、原則公開したいとい う提案がありました。この点につきまして、ご質問等ございますでしょうか。  特に質問もないようですので、議事の取扱いにつきましては、事務局の提案どおりとさせてい ただきます。  続きまして、部会の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、今後のこの部会の進め方等について、事務局からの説明を申し上げ ます。  この介護保険部会におかれましては、当面月1〜2回程度開催をしていただきまして、その後、 主要な論点について精力的に御議論いただいた上で、ことしの11月をめどに御意見を取りまとめ ていただければと考えている次第でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 ○山崎部会長 ただいま部会の進め方につきまして、事務局より説明がありました。そのとおり とさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  特段の御意見がないようですので、部会の進め方につきましては、ただいま、事務局より説明 のあったりとおりとさせていただきたいと思います。  続きまして、資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○大澤総務課長 それでは、黒いクリップで綴じてございます議事次第以下の資料をクリップを 外していただきまして、資料1、参考資料という2種類の横長の資料によりまして、簡単に御説 明をさせていただきたいと存じます。  まず参考資料のほうでございますが、こちらについては、本日時間の関係等もございますので、 説明は省略をさせていただきたいと存じますけれども、これまでの介護保険制度をめぐる経緯で ありますとか、御審議の参考となるような各種データ、各種サービスの概要、介護保険制度の仕 組み等について取りまとめさせていただいておりますので、必要に応じ御参照をいただければと 思います。  それでは、資料1「介護保険制度の現状について」によりまして、御説明を申し上げたいと存 じます。  先ほど局長からのあいさつにもありましたように、介護保険制度につきましては、今年度は、 昨年度から始まりました第4期の介護保険事業計画、平成21年度〜23年度までの介護保険事業計 画の2年目に当たります。目下の最大懸案事項といたしまして、介護拠点の緊急整備、介護職員 の処遇改善について目下取り組んでいるところでございます。  表紙をめくっていただきまして、1ページをごらんください。これは平成21年度の第1次補正 予算によって措置をしております「介護拠点等の緊急整備」の概要でございます。平成21年度〜 23年度までの3年間におきまして、特別養護老人ホーム、老人保健施設等合計16万人分の整備を 進めているところでございます。定員29人以下の小規模特別養護老人ホームやグループホームな どの整備に係ります市町村交付金の拡充、定員30人以上の施設の整備に係ります都道府県補助金 に対する地方財政措置の拡充によりまして、地域の介護ニーズに対応しようとするものでござい ます。  (2)助成のスキームは、特別養護老人ホームの場合でございますけれども、向かって左側、 定員29人以下の小規模特別養護老人ホームの場合でございますが、従来、1床当たり200万円の 交付金単価でありましたものを150万円引上げまして、都合350万円の交付金単価とした上で、 開設等にかかる経費として新たに1床当たり60万円を上限とする開設等経費に対する助成制度 を創設をしたところでございます。  一方、定員30人以上の特別養護老人ホームにつきましては、平成18年度以降、いわゆる一般 財源化をしておりますので、地方財政上の措置ということに基本的に相成るわけでございますけ れども、1床当たりの単価につきましては、29人以下のものとほぼ同様に各都道府県の実事業費 に応じた引上げ措置を講じたところでございます。  加えまして、開設等経費に対する助成につきましては、小規模特別養護老人ホームと同様の措 置を講じているところでございます。  3年分の事業規模といたしまして、合計約3,011億円に相当する各都道府県単位の基金を造成 いたしまして、目下この執行に努めているところでございます。  1枚めくっていただきまして2ページ「介護職員処遇改善交付金」でございます。  介護職員の処遇改善につきましては、昨年の4月から介護報酬を3%引上げることによる措置 を講じたものでございますけれども、この交付金はそれに加えまして、平成21年度の第1次補正 予算によって措置を講じたものでございます。介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1万5,000 円の賃金引上げに相当する額を介護職員の処遇改善に取り組む事業者へ交付するものでございま して、直近の申請率は、平成22年3月31日現在で、事業所ベースで申請率82%、従業員数で一 定のもとに推計をいたしますと、約88%の方々に対してこの交付金が対象とされているところで ございます。昨年の10月サービス分から実施をいたしまして、24年3月までの2年半分を予算計 上しているところでございまして、事業規模は約3,975億円。  こちらも各都道府県ごとに基金を造成していただきまして、国保連を通ずる介護報酬の審査・ 請求支払いのルートにのせまして、交付金の支払いをさせていただいているところでございます。  続きまして、3ページをごらんください。今後の一層の高齢化の進行を見据えたときに、私ど もといたしましては、ここにあります「地域包括ケアシステム」の構築が極めて重要な課題では ないかと認識をしております。  国民にとって身近な地域、例えば中学校区程度の地域ごとに地域包括ケアシステムを構築する ことが今後必要になってくるのではないかと考えております。この取組みは、そこにございます ように4つ、まず(1)医療との連携強化、(2)介護サービスの充実強化、(3)見守り、配食、買い物な ど、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、そして(4)高齢期になっても住み続けること のできるバリアフリーの高齢者住宅の整備、こういった4つの適切な組み合わせによって利用者 のニーズに応じて包括的にサービスを提供すること。そして入院から退院、在宅復帰を通じまし て、切れ目なくこれらのサービスが継続的に行われること。これがこのシステムにおいては必須 条件ではないかと考えておるところでございます。  医療との連携強化ということであれば、具体的にはそこにございますように、24時間対応の在 宅医療、あるいは訪問看護やリハビリテーションの充実強化が課題となってこようと思います。  また介護サービスの充実強化ということであれば、先ほど申し上げました介護拠点の緊急整備 はもとより、24時間対応の在宅サービスの強化が重要でございます。  生活支援サービス、権利擁護ということでは、今後一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加が見 込まれ、さらには認知症の方々の増加が見込まれることを踏まえ、さまざまな見守り、配食など の生活支援、あるいは財産管理などの権利擁護サービスといったものを推進をしていくことが不 可欠でございます。  また、高齢期になりましても住み続けることのできる住宅ということで、国交省さんが所管を されておる高齢者専用賃貸住宅と生活支援拠点の一体的整備ということが課題となってきましょ うし、また持ち家のバリアフリー化の推進も進めていかなければならないと考えております。  続きまして4ページでございます。これは「今後の介護保険料について」あらわしたものでご ざいますが、御案内のとおり、現在の第4期におきます65歳以上の方の第1号保険料の全国加重 平均は4,160円月額となっているところでございます。ただ、この水準は、実はそこにございま すように、まず介護従事者処遇改善臨時特例交付金、これは昨年4月からの介護報酬改定3%引 上げに伴う介護保険料の上昇を抑制するために、平成20年度の補正予算において、国の税財源に よって措置をされたものがございます。  また、平成21年度第1次補正予算におきましては、御説明申し上げたように、介護職員処遇改 善交付金、介護拠点の緊急整備を進めているところでございますが、これらの措置はいずれも第 4期中までの措置ということでございますので、平成24年度からの第5期においては、こういっ た措置がどうなるかという問題がございます。もちろんそれに加えまして、第4期〜第5期まで の自然増も当然見込まれますので、平成24年度からの第5期におきまして、場合によると5,000 円を超えることも懸念をされるところでございます。  そこで最後のページ、5ページでございます。ここで今後の「議論の基本的な論点」として、 非常に大ざっぱに論点整理をさせていただいております。  まず第1に「サービス体系のあり方」、地域包括ケアを実現するためのサービス体系をどうする かということですが、まず地域の中での介護サービスの提供。そのためには、24時間対応の在宅 サービスなど在宅支援をいかに強化するか。あるいは特養、老健等の緊急整備は進めてまいりま すけれども、各施設の地域における介護拠点としての機能をいかに強化するかなど多機能化をい かに進めるか。  また、医療と介護の連携体制の強化ということでは、在宅療養の強化、訪問看護の体制をいか に確保していくか。  高齢者住まいにおける介護サービスの充実、施設の居住環境の向上ということも課題となって まいります。  また、現下の最も重要な課題の1つであります介護職員の資質の向上。  また、今後さらに一層増加が見込まれる認知症を有する方々に対するサービス確保。  こういったようなことがサービス体系のあり方ということでは論点になってこようかと考えて おります。  また「持続可能な制度の構築」ということですが、先ほど申し上げましたように、平成24年度 からの第5期におきまして、保険料上昇が一定見込まれるわけですが、この保険料上昇を抑制す るために何をすべきか。  介護職員処遇改善交付金、介護拠点の緊急整備は、平成23年度までの措置でございますので、 24年度以降その反射効果等も見込まれ、また、次期介護報酬改定は、診療報酬と同時改定という ことで、平成24年度行われるわけですが、これについてどのように考えるか。  こういったようなことが基本的な論点として考えられるのではないかと思っている次第でござ います。  甚だ簡単ではございますけれども、事務局からの御説明は以上とさせていただきます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から基本的な論点をお示しいただきま したけれども、今後の審議を進めるに当たりましては、委員の皆様お一人お一人の現在お考えに なっている介護保険制度をめぐるお考えも踏まえた上で、論点を絞っていきたいと思っておりま す。  既に事務局から事前にお願いしてあるということでございますが、今日はスタートでもありま すので、自己紹介も兼ねて各委員より順番に、3分程度、介護保険めぐって現在お考えになって いることを御披露いただければと思います。この名簿の御出席の順にお願いしたいと思いますが、 岩村委員と貝塚委員につきましては、最後に各委員の方々の御意見を伺った上で御発言をいただ ければと思います。  それでは、石川委員、よろしくお願いします。 ○石川委員 全国市長会の介護保険特別対策委員長を務めております東京都稲城市長の石川でご ざいます。私も市長として、既に19年が過ぎまして、最後の任期の20年目ということになった わけでありますけれども、介護保険制度につきましては、10年を経過いたしまして、これまで高 齢者への安定した介護サービスの提供のために一定の役割を果たしてきたというふうに評価がで きるものだと思っております。  今後、急速に進む高齢化に対応してそれぞれの地域で必要な介護サービスが創造され、安定的 に提供されることが必要でありますが、需要がこれから急激に伸びていくわけでありまして、こ れまで以上に住民の負担と給付のバランスをどのようにとるのかという議論をしていかなければ ならないと考えております。また増え続ける給付費を抑制するために、例えば生活支援型のサー ビスをどこまで公的保険で給付する必要があるのか、地域の互助・共助で担うことができないか といった介護保険の給付範囲に関する議論も必要になってくるのではないかと思っております。  さて、全国市長会では、これまで財政運営、低所得者対策等介護サービスの基盤整備と第1号 保険料、要介護認定、地域包括支援センター等について提言・要望を行ってきているところであ ります。その中で特に介護給付費負担金については、各保険者に対し給付費の25%を確実に配分 をし、現行の調整交付金は別枠化すること。低所得者に対する介護保険料や利用料の軽減策につ いては国の責任において財政措置を含め総合的かつ統一的な対策を講じるよう抜本的な見直しを 行うということについて、既に毎年のように決議をして要請してきたわけでございますが、一向 に前進をしないということでございます。調整交付金の問題、そして低所得者に対する軽減の統 一的な対応ということについては、これは全国市長会としても大きな課題だということについて 指摘をしておきたいと思っております。  そして本市では、地域支援事業の介護予防事業であります、いわゆる高齢者ボランティアポイ ント制度を活用した介護支援ボランティア制度を導入してきております。65歳以上の方で介護が 必要な方で元気な方が介護にかかわるボランティア活動等を実施していただければ年間を通じて ポイントとして還元をすると。その還元額というのはおおむね介護保険料の1割程度ということ で、既に地域支援事業ということで実施をしてきております。人口8万人強の町でありますけれ ども、400人近い方が登録をしていただいて、90歳以上の方も実際にボランティア活動して、結 果として元気である方にとってもメリットがあると、こういうようなことで、しかも地域活動に も貢献をしていただいているということで、結果としては、平成20年度ベースでは高齢者の保険 料が月額で11.1円程度の抑制効果があったというような試算もされているところでございます。  このように介護予防事業では、介護保険給付を補完するものとして地域でさまざまな工夫が行 われておりまして、高齢者自身の健康観の向上なども含めた介護予防の成果が見られてきている のではないかと思っております。さらに地域での実践例を集めて紹介することも効率的な事業実 施に役立つものと考えるものであります。こうした市町村保険者への支援もお願いしたいと思っ ております。  以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、井部委員、お願いいたします。 ○井部委員 私は日本看護協会の副会長です。介護保険並びに介護報酬に関する役割を持ってお ります。  現在介護保険で実施されております在宅や施設のサービスの中で看護職員の配置が定められて いるサービスは38種類中の13種類にのぼっています。介護保険サービスに従事している看護職 員は、平成20年現在18万人ぐらいおります。今後、介護保険の利用者の医療必要度や要介護度 が進みますと、さらに認知症の高齢者の増加も見込まれております中で、介護保険サービスに従 事する看護職員は、高齢者の安全を守り、かつ尊厳ある生活を支えるために不可欠な存在となっ ています。介護職員に比べますと、看護職員はかなり少数派でありますけれども、必要とされる 看護職員が確実に力を発揮できるよう、日本看護協会としても、質の向上や支援に努めていきた いと考えているところでございます。  本日、3点について申し上げたいと思います。  まず第1点は、24時間365日の在宅療養、この体制の整備をどうするかという点であります。 平成24年の介護報酬、診療報酬同時改定に向けましては、在宅サービスに関してやはり24時間 365日必要なときに在宅で医療や介護が受けられる体制整備を第一に考えていくべきと思います。 施設サービスでありますと、特に病院などは夜間や急変したときにも何とかしてもらえるという 安心感があるわけですけれども、地域の在宅サービスではまだ十分提供ができていない状況であ ります。看護に関して申し上げますと、医療依存度の高い人やあるいは重度の要介護者を多く抱 えます訪問看護の24時間体制の確保に取り組む必要があると考えます。  現状では全国約3分の1の市町村に訪問看護ステーションが設置されていないという状況があ ります。地域によりましては、利用者ニーズや人材確保に多少違いはあるかもしれませんが、や はり市町村の介護保険事業計画の中に訪問看護など在宅医療、介護の基盤整備がきちんと盛り込 まれていないことが訪問看護の地域偏在を生んでいると考えられます。次の第5期の介護保険事 業計画では、介護施設の整備目標だけではなく、訪問看護など在宅医療、介護の整備、介護サー ビスを支える人材の確保計画も盛り込まれますよう、基本方針で明記していただきたいと考えて ます。  2つ目は、介護保険施設の役割、機能の見直しについてでございます。介護保険施設に関しま しては、近い将来を見据えて、施設の役割、機能の抜本的な見直しに着手する必要があると考え ます。介護施設の看護職にヒアリングをしたところでは、それぞれの施設で入所者の重度化、高 齢化が進んでおりまして、特養や老健といった施設類型型による入所者像の差がなくなってきて いるということでございます。また、病院から送り出します退院調整看護師の側から見ても、施 設類型で選ぶというよりも、患者を受けてくれるところを必死で探しているというのが実情であ ります。入所者の状態と施設の人員配置並びに必要とされるサービスなどの体制はかなり乖離し てきているというふうに考えられます。この4月から特養で介護職による痰の吸引と経管栄養の 実施が条件づけで容認されております。現在の特養の体制では医療の必要な入所者に対応するた めにはやむを得ないというところもございますが、今後に向けては特養だから医療サービスへの アクセスが制限されるのではなく、入所者の状態像に応じて、どの施設に入所しても必要なサー ビスが受けられる体制を検討していく必要があると考えます。すべての介護施設が自前で医療サ ービスの体制を整えることは難しいと思いますけれども、訪問看護などの医療サービスを入れら れる仕組みを検討すべきと思います。  3点目は、医療依存度の高い利用者を支える仕組みでございます。在宅サービスの整備と並行 して何らかの解決策が必要と思われる問題であります。現在の介護保険の支給限度額では、独居 高齢者で要介護(4)もしくは(5)の重度者の在宅療養は支えられないという指摘を訪問看護 や訪問診療の関係者から受けております。独居の場合は生活介護、家族に頼ることがないため、 訪問介護、訪問看護で支えようとしても、訪問看護を必要回数入れることができず、支給限度額 を超えて自己負担になったり、在宅療養自体をあきらめるケースが出ております。今後、独居や 老夫婦二人世帯の増加が見込まれることを考えますと、在宅の重度要介護者の支給限度額の見直 し、あるいは訪問看護の部分を医療保険適用にするなど家族の手をかりなくても、最後まで在宅 療養ができる仕組みを検討していく必要があると考えます。以上、3点について申し上げました。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、小方委員、お願いいたします。 ○小方委員 健康保険組合連合会の副会長を仰せつかっております小方と申します。よろしくお 願いします。  健康保険組合と介護の関係ですと、御承知かと思うのですが、まず介護保険料の徴収業務の点 でかかわり合いがあるということでございまして、それを納付させていただいているということ でありますのですが、日常の業務の中で、これは医療関係等もありますものですから保健事業、 健康保持・増進、こういったための事業を各組合で展開をしているわけでありまして、御承知の ように健診業務も義務化をされておるということもありますものですから、そういう意味では健 康な人を増やしていくという意味で介護にならないようにということでは少しは貢献をしている のではないかと思っているところであります。  介護保険制度につきましては大枠では特に異論はないわけでありますが、ただ、制度の内容の 改善でありますとか、あるいは拡充という点ではまさにこの部会のテーマでありましょうけれど も、議論をしていく必要があると考えているところであります。  1つは、先ほど事務局から冒頭ご説明がありましたが、サービス体制をどういうふうに充実を していくかということかと思うのでありますけれども、私の立場上もいろんな介護の必要な方々 の意見を聞く中で、1つは、介護の必要が生じたときにどこに御相談したらいいのか、あるいは 介護保険の利用はどうしたらいいのかとか、また当然介護の必要のある方はある程度高齢の方が 一般的であるわけでありますが、そういう方々は何らかの疾病も伴っているというのが現状では ないのか。そうしたときに、最初に医療機関に行けばいいのか、あるいは介護の施設のほうに入 所させていただくような、受け入れていただくようなアプローチをしたらいいのかとか、大変戸 惑いを感じておられるのが実態ではないのかという気がするわけであります。当面市役所であり ますとか、そういったところの窓口へ御相談へ行くわけでありますが、そういったときの対応で ありますとか、また、それをいろんなケアプランをやっていただくようなケアマネジャーの方の 対応、こういったところをもう少し、そういった方々の目線に合わせてわかりやすく説明するな どそういった対応が必要なのではないかと思っているところであります。そういう意味では、先 ほど冒頭に事務局から提案ありましたように、地域包括ケアというのか、諸機関あるいは関係者 の方々の連携強化をもっともっと工夫をして、そこの国民に対するケアをしていくというような ことを深く突っ込んだ議論をしていく必要があるのかというふうに感じているところであります。  そしてもう一つは、現在医療の世界では、これも御承知のように、現在高齢者医療制度改革会 議というのが進行中でありまして、そういう意味では介護と医療制度は基本的に65歳以上の方々 が対象となっているということから、先ほど申し上げましたように、医療制度のサービスを受け る方々にとって、そういった戸惑いがいろいろあるわけでありますから、先ほど説明ありました ような介護と医療の連携強化というのはまさに必要でありますが、これをさらに発展させて、高 齢者の視点に立った介護と医療の一体サービスといいましょうか、そういったものの構築、提供 するようなことも検討していく価値はあるのかなというふうに考えているところであります。  いろいろそういう課題は多いとは思うのでありますが、いずれにしましても、こういった必要 なサービスを拡充すべきとは思いますものの、ますます進展する高齢化に向けたこういった状況 の中で、負担と給付のバランスを考えざるを得ないわけでありますから、また、我々が抱えてい る被保険者、ご家族の方々、現役世代の支援というものも限界がありますものですから、負担と 給付のバランスということをよく考える必要があるのかなと。  したがって、国としても介護だけではなく、医療や年金も含めた、これはもちろん報道もされ ておるところでありますが、我が国の社会保障制度のグランドデザインを示していただくことが 重要なのではないか。そして当然のことながら、その裏づけとなる財政問題、これは国庫負担の 拡充を含めて早期に検討していただくようにお願いしたいと考えているところであります。  以上であります。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  勝田委員、お願いいたします。 ○勝田委員 認知症の人と家族の会の勝田です。「認知症の人と家族の会」は、1980年に結成をし まして、ことし30年になります。  この間、認知症の人と家族が安心して暮らせる社会の実現ということで運動してまいりました。 この間、いろんなことで意見表明や要望をしてまいりましたが、それは33回に及んでおります。 2007年に私どもは初めて「認知症があっても安心して暮らせる社会を実現するために」という「提 言」を発表しました。その主な内容、基本的な考え方には6つございます。  まず1つは、認知症があっても一人暮らしでも希望する自宅で、また施設でも安心して暮らせ る制度にしてほしいということ。  2つ目は、早期から終末期まで切れ目のない支援体制を整備すること。  3つ目には、認知症があっても笑顔で生きられる支援体制を整備すること。  4つ目には、介護に従事する人材の育成と確保のために待遇改善を継続的に図ること。  5つ目には、暮らしを支え、生活を保障する社会保障制度へ。 そして2009年度に新たにつけ加えましたのが高福祉を応分の負担でという考えであります。  財政的には大変なことでございますけれども、心にゆとりを持って安心して生活することがで き、過分でも過少でもない国民の負担であるということです。  介護保険が導入されて10年、私たちは介護の社会化を願って運動して意見表明をしてまいりま したが、この10年間で一番大きく変わったこと、それは家族の形が大きく変わりました。一人暮 らしや老老世帯が増え介護の形も変わりました。介護というのは部分的なものではなくて暮らし の中にあります。介護サービスを利用しながら認知症という病気があっても、一人の人間として の尊厳を守るというこのことがとても大切なことだと思っております。  そういう点では、この10年間、介護保険が導入されて以降、10年間の中で介護心中や介護殺 人が400件にも及んでいる、増えているという現状をとても憂いています。  現在では認知症があってもしっかり自分の意見を述べる方もたくさん出てきました。私たちは、 どうしたら介護心中などが防げるのかということを皆さんとともにしっかり考えていきたい。介 護には休みがありません。暮らしの中に介護があります。介護保険が人間の尊厳を守るとりでに なるように、しっかり論議を重ねていきたいと思っています。 よろしくお願いいたします。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、川合委員、お願いします。 ○川合委員 全国老人保健施設協会の川合でございます。  冒頭事務局のほうから3分間だぞと言われたときに、ちょっと思い出しましたのが、即席カッ プラーメンとウルトラマンであります。ウルトラマンほどの能力を期待されているのか、それと も3分間だけ瞬間的にしゃべって、それでおとなしくなれと言われているのか、若干不安なもの がございますが、私、市町村の方々がおっしゃった財政との均衡という点に関しましてはやはり 憲法第25条の自助・互助・公助をどのように考えていくのかということをこの場でしっかりと、 御議論をお願いしたいと、これまで介護保険制度に関して創設以前から、走りながら考えましょ うということでした。しかし、その後の経過をみると、どうも足元をすくわれてきたような気が するんですね。ウルトラマンではないですけれども、11月まできちんと議論をしようということ ですので、ここで立ちどまって考えてみることもしたいと思っております。  まず、その問題として3点、構造的問題はどうなのか、財政的問題はどうなのか。現場的問題 はどうなのか。この3点は全部私が従来から主張しておりますように、エンドユーザーの自由な 選択権にかかわることであります。この点におきまして、私、細かい点には゛3分間でございま すので、今日は述べませんけれども、たとえて言って、財政的問題を考える場合に大きい問題も いろいろございますでしょうけれども、小さい問題として、私は決して小さくないと思いますけ ど、この介護保険というのは介護事故に対する保険であります。ところが平成17年10月に前倒 しされ、実施されました食費・居住費の補足給付に関しましては、これは経済事故に対する経済 援助であります。この財源をほかの福祉財源ではなくて、目の前においしそうにぶら下がってい る介護保険財源から取られているのであるならば、当然介護保険財政が悪くなるのは当たり前の 話であります。論理的にやはりこれは矛盾している。介護保険給付費でこのことを強く主張した のは、日医の三上委員と私2人だけであります。この点はきちんと議事録に記載をしていただき たい。大きい問題として議論しなければいけないことはいろいろありますけれども、目先ここぐ らいは解決してほしいというふうに思います。  現場的には今日いただいた資料の5ページ、これは私は強く反省しております。まさしくこれ は我々が期待されている介護老人保健施設の役割5つであります。これがやはり認識されてない ということについては、私ども執行部の落ち度であったと思っております。この点で介護老人保 健施設は頑張っていきたいと思っております。  3分間、延長しましたけど、ありがとうございました。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、河原委員、お願いします。 ○河原委員 日本介護クラフトユニオンの河原でございます。3分守れるかどうか、ちょっとわ かりませんけれども。全国の介護に従事する約6万人が結集している労働組合でございます。今 回介護保険部会の臨時委員としてお声をかけていただきました。大変光栄であり、厚生労働省関 係各位に感謝申し上げたいと思います。  私どもの組合は訪問介護員、ケアマネジャー、看護師、事務職等介護事業に携わるたくさんの 職種の労働者が結集しております。今回の臨時委員につきましては、そういった組織に着目いた だいて、介護現場の声も参考にしたいということではないかと思っております。私もできる限り、 現場の意見や考えを伝えることがより良い介護保険制度の構築につながることになることを信じ て発言してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  早速ではございますが、本日の配付資料にも記載してございます介護人材の処遇に関連して一 言だけ発言をさせていただきます。参考資料の最後のほうだったと思いますけれども、私たちは 介護の現場で働く者の立場として介護保険制度は私たちが支えているとの信念で介護従事者の職 業的地位の向上に取り組んでまいりました。介護を必要とする人に寄り添うあこがれの職業にす ること。安心・安定の職業にすること。長く働き続けて日本の高齢社会に尽くせること。  この10年間、ある者は好きな仕事から離れざるを得なかった人たちもいましたが、介護現場で 働く人たちは厳しい労働環境の中で必死に働いてきたと思っております。こうした大切な人材の 賃金の改善、離職の原因にもなっている人手不足で休みがとりにくいなどの介護保険制度を支え る人材の処遇に関する議論は、この1〜2年を除いて極めて少なかったように思います。あえて 賃金だけに話を絞りますと、処遇の改善を目指した3%の引上げや、介護職員処遇改善交付金、 そして与党・民主党の4万円の賃金引上げ計画。  どの政策も大変にありがたい政策であると思います。しかし大切な点、その政策の目指す具体 的な水準の議論が抜け落ちているように思います。介護従事者のあるべき、あるいはありたい賃 金水準や昇給システムを政労使が共有しない中で3%、平均1.5%の交付金、そして4万円。とり あえず改善だと言われても、そこには福祉政策の施しのようなにおいがしないでもありません。 ただ、上げればまずはよしではなく、ある水準を目指した取組みの一段階、二段階の位置づけで あるとした共有の認識がほしいと思っております。  私たちのクラフトユニオンではその水準を、だれでもまじめに働けば、常勤者では全産業平均 である年収450万円。時間給者で均等待遇の考えを基本に時間給で1,800円を目標に立て活動し ております。これは介護従事者が誇りを持って働くためには、全産業平均賃金を下回ってはなら ないとする考え方です。介護保険制度また人材とサービスの質を一層向上させるためにも、本部 会での議論では、労働者へ希望の持てるメッセージが聞こえてくるような、働く者に焦点を当て た切り口もぜひ必要ではないかと思っております。  最後に事務局へのお願いでございますけれども、今後の開催スケジュールとか今後考えられて いる具体的な議題につきましては、可能な範囲で結構でございますので、できるだけ早く前もっ て教えていただければ、いろんな意見の集約がしやすいと思っておりますので、よろしくお願い したいと思います。  私のほうからは以上です。 ○山崎部会長 続きまして、北村委員、お願いします。 ○北村委員 民間介護事業推進委員会の北村でございます。  私ども民間介護事業推進委員会は7つの団体から構成されておりまして、日本在宅介護協会、 民間事業の質を高める全国介護事業者協議会、そしてNPOの市民福祉団体全国協議会、JA高 齢者福祉ネットワーク、日本生活協同組合連合会、さらには全国社会福祉協議会、そして社団法 人シルバーサービス振興会、この7団体の構成によりまして代表委員として出させていただきま す。どうかよろしくお願い申し上げます。  さて御案内のとおり、介護、医療すべてを含めまして、御案内の新成長戦略・ライフイノベー ションの中にとらえられておりまして、特に介護、医療につきましては、産業の育成と雇用の創 出というところで大いに期待されているところでございます。その中でも特に介護の成長産業化 というところと基盤整備の強化というところに視点を当てていただき、かつ近年これだけ10年た ちながらさまざまにサービスのニーズの多様化、そして需要と環境の変化といいますか、そうい ったものに十分対応できてないところがあると思っております。特に従事者、処遇改善のところ も同様と思っております。  そのようなところを捉えまして、ぜひ積極的な効率化が図れるような、そして魅力ある、成長 力のある産業となる形で大きな雇用を創出していきたいと思っております。更にはそれに応えら れるようなサービスシステム化をしていきたいと考える次第でございます。  先ほどもございましたが、参考資料の45ページに区分支給限度額、それからさまざまな要介護 認定の話もあると思っております。当然これらはケアマネジャーの質の問題なのか、それとも逆 に使い控えというものがまだまだあるのか、さまざまな観点から、支給限度額の5割、6割を切 っているというような状況であります。逆にそれだけ保険料、その他の財源もありまして、計画 上のサービスをもっと増やしてもいいのかどうかというようなところを考える次第であります。 そういった様々な規制や基準をぜひ緩やかにしながら、更には、同様に居住系とかグループホー ム等の総量規制、この枠の問題も、この支給額の利用率を見れば余っているのかどうかというと ころを検討いただきたい。また新たな負担をしなくていい方法もさまざまな規制緩和をすれば必 ず出てくると思っている次第でございます。  もう一方で、資料の3ページにありました地域包括ケア。確かに24時間365日、すき間のない サービスが必要となっています。一部分に巡回型短時間というサービスの話も出てまいりまして、 確かにそのサービスも必要だと思います。状態把握は非常にしやすいです。ただ、年間を通しま して、時どき例えば軽度の風邪を引かれたときには集中的な1週間程度の介護が必要になります。 この部分は滞在型で対応する訪問介護、看護の部分もあると思います。そういった部分をうまく ミックスして、全体の地域ケアシステムが成り立つのだろうと思っております。当然そのために は費用もたくさんかかるということになります。それらもぜひ検討していきたいと思っている次 第でございます。  最後に追加、1つでございます。先ほどウルトラマン、3分間という話がありましたけれども、 若干事前に事務局のほうから、この部会の進め方と、当面月に1、2回程度と、11月をめどに意 見の取り纏めというお話がありました。大変初めてのことで不慣れなものですから、そのときに 意見を言うのを忘れて、議事を戻すようで大変申し訳ないのですが、これだけの課題と内容、そ れから、3分以内の時間と集約的に行うためには他の部会でもありますような検討委員会とかワ ーキング等を設置してテーマによって、具体的に開いていただきながら、もう少し議論、検討の 場をつくっていただくというようなことが可能であれば大変ありがたいなと思っています。ぜひ その辺のお考えを議事を戻すようで申し訳ないのですけど、ご検討いただければと思っている次 第でございます。そのあたりのお考えをお示しいただければと思います。今後ともよろしくお願 い申し上げます。ありがとうございました。 ○山崎部会長 3分というのは非常に厳しい時間の注文をいたしているのですが、今後の運営に つきましては十分、ただいまのご発言に配慮したいと思います。例えば文章でご意見をお示しし ていただくというようなこともあろうかと思います。  続きまして、木村委員、お願いします。 ○木村委員 日本介護支援専門員協会の木村でございます。本協会は介護支援専門員個人で構成 されている職能団体がございます。現在3万8,000人の会員がおります。  今日の示された議論の基本的な論点については、これから現場をよく知っている介護支援専門 員に調査をし、ここでしっかり提言をしていきたいと考えております。本日は4点ほど、全国を 回って聞いていることをまず述べたいと思います。  1に、財源でございますが、在宅でも施設でもケアマネジメントを徹底するということで適正 な介護給付費の運用という形になると思います。ここのところをとにかくさらに徹底するそうい うことをお願いしたいと思います。  2つ目に、介護支援専門員は平成17年6月法改正で総則に記載され、法のかなめとしてしっか り位置づけがはっきりしました。ともに専門職として初めて資格の更新制が入りました。その後、 3年間いろいろ努力をしてきましたが、今、資格の管理、また研修(義務研修)は都道府県の管 理下にあります。つまり47都道府県ばらばらで研修をされているということがございますので、 均一に研修をする義務研修というものをどこか法のところで示せないかということを考えており ます。また、10年間やってきて、物すごい責任が重いわけでございますが、資格の管理は都道府 県管理でございますので、逆に言えば、国家資格ではありません。ここで身分法を制定して、国 家資格にする。ともにケアマネジメントのプロとしての新人養成のための大学教育の導入等の議 論を始めるべきと考えています。  3つ目に、日本の介護保険の最高にすばらしいところは、地域支援事業とか要支援者のところ にケアマネジメントが導入されていることと考えます。今、一番やらなければいけないのは、地 域包括支援センターを本当の意味で育てることが必要だと考えております。それには参考資料の 中にもありましたが、介護予防事業のスキームの変更が必要だと思います。例えば、要支援者の ケアマネジメントを二枚看板である地域包括支援センターにこのまま置いておいたら、地域包括 支援センターを育てることはできないと考えております。要支援者のケアマネジメントをどこで やるかは、また別途議論したいと考えております。  最後でございますが、3ページにあります地域包括ケアシステム、ここを完結されるために、 今現場のケアマネジャーに協会として、在宅での一人暮らしを支える、また在宅で看とりをして いくケアマネジメントということをしっかりやっていきたいと研修を開催しています。前段の在 宅での一人暮らしを支えるということを考えますと、自助・互助、特に介護給付の外のサービス を徹底した利用を促進するというようなことをここで議論する必要があると思います。また、看 とりのところを考えますと、医療保険と関連することでありますが、訪問診療、訪問看護、この 訪問看護のところは薬局からの医療材料、衛生材料の供給も含めて考えています。また24時間365 日の訪問介護、私どものケアマネジメントの徹底、こういうことが地域に整備されることが必要 だと思います。また現場から悲鳴が上がっていることがあります。医療ニーズの高い利用者さん が、緊急的に泊まるところがないと。介護保険始まる前の在宅三大サービスと言っていました訪 問介護、通所介護、ショートステイとありますが、今、本当の意味でのショートステイが活用さ れているかというところとか、その辺のところの議論もしたいと思います。  最後に事務局の方にお願いでございます。私は平成17年法改正のとき、それから前回のコムス ン問題のときの改定法のところの部会の委員をやっておりますが、甚だどこが法の改正なのか、 どこが報酬の基準改定なのか、混乱した議論になることが多いと思います。ですので、資料の示 し方とか、論点の整理を法のどこを改正すれば、どこが変わるのかということをぜひ整理して検 討をこの後、進めていただきたいと思います。  以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、久保田委員、お願いします。 ○久保田委員 経団連の久保田でございます。よろしくお願いいたします。  高齢者の方にとりまして、安心して住みなれた地域での生活を継続するには、在宅医療を支え る医療提供体制を強化するなど、先ほど資料にもございましたように、医療と介護が連携した地 域ケア体制を整備するということは非常に重要だと考えております。こうしたサービス面での機 能強化と、効率化の同時達成を目指すとともに、財政面の裏づけについてバランスよく考えなけ ればいけないと考えております。  介護サービスの充実・強化を図るためには、国民全体で負担増へのコンセンサスを得ていく必 要があると考えております。また国民が納得して費用を負担するためには給付サービスの内容を きちんと検証して、先ほどから指摘されているところですが、自助・共助・公助の観点から、社 会保険として賄うべき範囲を再検討して適正化を進めていくべきだと考えております。  例えば、ドイツと比べますと、我が国の介護保険につきましては、給付対象者の範囲が広い上 に給付限度額も大きいということです。現在の給付水準を維持していくのか否か、財政面とのバ ランスも踏まえてきちんと議論していく必要があると考えております。  特に、今後、少子高齢化が急速に進む中で、中長期的な観点に立って、この介護保険制度の持 続可能性、安定性を確保するための方策の検討が必要だと考えておりまして、小手先の見直しだ けでは対応できないのではないかと思っております。現行のままでも高齢化の進展に伴い、公費 負担は増加していきますので、消費税を含む歳入の抜本改革を通じて、将来にわたってしっかり 財源を確保することが重要です。  自助の観点ということでは、高齢者にも負担能力に応じて適切な負担を求めるということも考 えられますけれども、既に第1号被保険者の保険料が月額4,160円という状況をふまえなければ なりません。また2号被保険者、現役世代にもかなりの負担がのしかかっており、介護保険料の 引上げだけで対処するにはもう限界が来ております。将来の人口構成を踏まえて、公費と保険料 の負担割合を見直すとともに公費等は拡充していくというようなことを検討すべきではないかと 考えております。  以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、木間委員、お願いします。 ○木間委員 高齢社会をよくする女性の会の木間でございます。  私どもは昨年11月に介護保険制度の実態と問題点について、会員などを対象に調査を行いまし た。その調査結果を踏まえて、先月、長妻厚生労働大臣に要望書を提出いたしました。その中か ら7つの項目について申し上げます。  1つは要介護認定の見直しについてです。要介護認定はお金と手間がかかりすぎます。簡素化 する必要があります。  2つ目は支給限度額を上げることについてです。調査では、支給限度額内では十分な介護がで きず家族の負担が増すばかり、といった声や、もう少し利用すれば良くなる場合でも限度額を超 えると全額自己負担になるため利用をあきらめて状況が悪くなることが多いといった意見が寄せ られました。在宅生活を継続するために支給限度額を上げる必要があります。  3つ目は生活援助は介護保険から外してはならないという点です。生活援助を保険給付から外 して公費負担にするということについて、調査では、公費負担とした場合、利用者負担はどうな るのか。人間らしい生活は保障されるのか。サービス利用に行政のブレーキはかからないか。一 部の人しか受けられないサービスとなる危険があるのではないか。地域差が生じるおそれがある のではないかなど、保険から外すことを危惧する声が多数寄せられました。生活援助は在宅の命 綱であります。生活援助は介護保険から外してはなりません。  4つ目は財源についてです。公費の割合を5割からまず6割に増やすこと。介護保険の歳出入 をわかりやすく公表し、予算のむだを排除すること。消費税率を含め税制など財源のあり方を検 討すること。  5つ目は高齢者の人権として、終の住みかの確立が必要という点です。施設の住宅化、在宅の 施設並み安心化を求めます。特養の多床化は時代に逆行するものです。  6つ目は家族への支援の充実です。  7つ目は介護人材についてです。待遇を改善し、量と質を確保することが必要であるというこ とです。 以上です。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、小林委員、お願いします。 ○小林委員 このたび委員となりました全国健康保険協会、協会けんぽの小林でございます。  全国健康保険協会は、主に中小企業で働く方とその御家族の方が加入者になっておりまして、 全国で約3,500万人の方が加入されている医療保険者であります。  介護保険を考える上では、医療保険との連続性の視点が必要であろうと思っております。私は 医療保険制度に関連いたしまして、医療保険部会と中医協等の委員もさせていただいております が、利用者から見ますと、同じ人が医療と介護のサービスを同時に受けることがありますので、 医療と介護のサービスを切れ目なくというニーズは高いと考えております。特に平成24年度は介 護報酬と医療保険の診療報酬が同時改定される年に当たりますので、この22年度から23年にか けましては必要な医療・介護の連携、医療と介護のサービスが切れ目なくスムーズに提供できる ような検討を進めていく必要があるのではないかと思っております。  一方で、利用者の視点とともに今後ますますニーズが増えていき、それに伴って費用負担を増 えていくことが予想される中で、負担する側の理解と納得を得ていくためには、医療保険と介護 保険では費用負担の仕組みが異なりますので、医療サービスとして提供するほうがよいものと介 護サービスとして提供されるほうが適切なものとは区分して考えるとともに、医療と介護のどう いう組み合わせが全体として利用者の負担が大きくならないかという全体の視点を入れて議論し ていく必要があるのではないかと思っております。  私どもの加入者・事業主の方々を始めとして、国民が納得できる制度として充実させることが できるように議論に参加させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。  以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、齊藤(秀)委員、お願いします。 ○齊藤(秀)委員 全国老人クラブ連合会の齊藤と申します。  もし、この介護保険制度がなかったらと、そういうふうに考えますと、この10年のこの制度が 果たしてきた役割というのは大変大きなものがあると感じております。他方、これで安心して老 いの生活ができるかという声もあるのは事実でございます。安心と信頼ということについて少し 申し上げたいと思います。  まず高齢者が尊厳を持って安心して老いることのできるシステム、利用者はそういう方向を求 めております。介護保険法の第1条を改めて読み返してみますと、自立した日常生活を営むこと ができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスを給付する、こう書いてございます。 福祉・介護・医療、相互に連携をして、高齢者の生活をトータルに支援しなければ、尊厳を保つ ということはできないだろうと思っております。ボランティアによるサポート体制も重要であり ますけれども、まず公的な福祉・介護・医療サービスが切れ目なく提供される、そういう体制づ くりが先決であると考えております。  もう一つの安心でありますが、介護従事者が安心して働ける環境づくりが必要であります。未 来に夢を持てない職場で高齢者の尊厳を保つということ、そういう介護ができるでありましょう か。老いに寄り添ったことで自分が成長しているように思う。これは若いヘルパーの言葉であり ます。質の高いサービスというのは、単なる専門性だけのことではないと思っております。高齢 者にとりましては、人を人として大切に扱う、その人間性の高い価値に介護の必要性を見出して いる人たちは大勢いるわけであります。志の高い介護従事者が育つ、そういう環境づくりが大事 だというふうに考えております。  信頼について申し上げます。この10年間、給付抑制があり、軽度者への対応があり、要介護認 定の見直しなどによりまして、適正化の下に行われてきました改正は、介護保険制度に利用者か ら見ますと、不安と不満を招いたと考えております。とりわけ要介護認定の妥当性には利用者の 間で不満が少なくないと感じております。また改正の都度、制度が複雑になりました。サービス 内容もわからなくなりました。自分では利用料の計算もできなくなりました。やはり制度はシン プルなものを目指す、こういうことが必要ではないかと思います。  財源論は大事であります。しかし財源論が先行して、どのように安心して老いを迎えるか、老 いを生きるか、これについて国民が選択に資するビジョンを提示をすることが何より大事であり まして、走りながら考える制度の10年から、検証しながら、成熟を目指す制度の10年であって ほしいと思っております。  ぜひ高齢者が安心できる、そういうシステムをみんなで構築していただきますようにお願い申 し上げて、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  続きまして、齊藤(正)委員、お願いします。 ○齊藤(正)委員 よろしくお願いします。医療法人真正会、埼玉県の川越市で病院と老人ホー ムをやっております。  私たちの病院は、いわゆる老人病院として始まりましたが、今はリハビリテーションを中心に した入院機能、特に回復期リハビリ病棟を中心に展開しています。もう一つ療養病床の病院もあ ったのですが、実は昨年すべて療養病床というか、病院を1か所やめて有床の在宅療養支援診療 所にいたしました。これは訪問・通所の介護保険に対応した在宅期の、特に先ほどお話が出てい ましたが、要介護で4、5の方々が通える通所リハをつくろうと。療養病床の持っていた能力を 活かして、そういう形のサービスを併設した、対象者を選ばない展開というか、通所系のサービ スは軽度の方々が行くところという、そういう現状を打破しないと今後は在宅のシステムができ てもなかなかうまくいかないだろうということもあって、それをパイロット的にやっているとこ ろです。  私個人は、介護保険制度が始まる前後に、その当時、厚生省でしょうか、高齢者ケアサービス 体制整備検討委員会の委員を仰せつかり、その後、ケアマネジャーの介護支援専門員標準テキス トの委員、それと高齢者リハビリテーション研究会と、いろいろかかわらせていただいています が、本日久しぶりでございます。今現在、私自身は、介護保険の現場では介護認定審査会、認知 症のサポート医、医師としては訪問診療、通所リハにもかかわりを持って、現在も現場から離れ ずにやっていますが、立場もあって、専門職への啓蒙活動をする機会が非常に多いです。  しかし、そういう中で、今までこの10年間いろいろ変わってきたことに対して、専門職、特に 私の場合は医療の専門職が多いかもしれませんが、そういう多くの施策が周知されていないとい うか、関心を持たれていないということがいつも気になります。研修会や勉強会をやっても、そ ういう場に来てくださる人は、言い方は正しくないかもしれませんが、できている人たちです。 そうではない、どんな方も理解できるようなというか、それに自分のこととして感じていただけ るようになってもらいたいなというのが願いであります。  介護保険制度は導入されたときに非常にうれしかった思いがあります。それはリハビリ前置主 義ということで、介護保険制度は始まったと理解していますが、しかし現実問題、今どうなのか というと、何名かの方が言われているように、支給限度額があるがために介護サービスにしよう か、リハビリのサービスにしようか、どちらを選択しようかということがケアマネジャーも含め て悩みというか、選択せざるを得ないのが現状です。しかし両方とも必要です。そういう場合を 考えたときにどちらを捨てるというか、やめるということを強いる様な制度はいかがなものか。 やはりここの部分は今後十分に考えていかなければいけないところだと思いますし、支給限度額 の中で、範囲内だけで語られては限界があるのではないかと思っています。出来高にするのか、 医療保険を考えるのか、その辺のことも含めて議論ができればと思っています。  もう一つ、リハビリテーションの立場で言うと、退院直後に短期集中的なリハビリが入ること はできて、制度上・報酬上も設定されているのですが、実際にはそういう方々だけではなくて、 在宅療養中にレベルダウンしたケース、今こそリハビリを集中的にというときに直ぐに入れない というのが実は非常に困っているところで、結果的にそれが入院に至ってしまうというようなこ とを改善していかないといけないのではないかと思っています。私どもの病院では、そこについ ては短期集中リハ入院、在宅で介護保険サービスを受けている方のレベルダウンに対して、2週 間集中的にリハビリを行ったり、日帰りのショートステイで毎日リハビリということをしていま すが、全国的にどこでもやれるようにということを考えれば、在宅にいながらにして集中的にリ ハビリが受けられるような体制が必要だと思っています。  今、在宅療養支援診療所は24時間体制ですから、それが主目的のようになっておりますが、ぜ ひリハビリを重視した「在宅リハセンター」と私たちは呼んでいますが、そういうスタイルの診 療所もいいのではないかと思うところです。  最後になりますが、私は医療保険と介護保険の関係というのはどうつなぐかではなくて、二本 のレールとしていくべきではないかというのが持論であります。医療保険から介護保険に移った らどうつなぐか、連携というよりは、一緒に両方とも必要なサービスだというふうに理解してい るので、それがうまく制度設計に役立っていけばいいなというのが私の思いです。  以上です。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  田中委員、お願いします。 ○田中委員 私たち介護福祉士会は、これまで介護保険制度に関する要望といたしまして、介護 が必要になった場合においても真に在宅での生活が継続できるようにすること。また、居宅や施 設においても利用者の方々の尊厳が守られるような介護が実現する。そのための人材養成のあり 方について論じてまいりました。  昨年の介護報酬改定に当たっては、介護福祉士の割合に対して一定の評価が与えられたところ でありますが、しかしながら、この介護保険制度の入った10年を振り返った場合、いえ、その前 の福祉サービスにおける介護従事者のあり方について考えてみた場合、介護人材の確保は経済情 勢に大きく左右されてきたと言っても過言ではないと思っております。例えば介護保険制度が導 入される前、それはまさしく民間事業者の参入を可とする。そういった状況であったわけですが、 その時代においては、どのような形で介護従事者を採用してきたのだろうかというと、そこには 無資格者優遇、「やさしければ」といううたい文句のもと、多くの従事者を募ってまいりました。  しかし、その後、人の数がある程度確保されると、資格者優遇、「ヘルパー2級以上求む」、特 に介護福祉士優遇と募集欄には特記していました。その後、コムスン事件により介護のイメージ は大きくダウンし、募集しても人が来ない状況となりました。また、2年前に世界的な不景気に 陥った時、多くの人は介護の仕事へ活路を見出そうとしています。これまで他の産業が好景気と なり成長すれば介護分野は人材難。不景気になれば介護の分野は就職難。そういった悪循環を繰 り返してきた、そういった業界でありました。  この間、私どもが申し上げたいのは、サービスの質に着目した人材の養成が問われることがな かったと言わざるを得ません。これからの介護ニーズを考えた場合、質の高い介護従事者の確保 が何よりも喫緊の課題であります。昨年でしょうか、国は、平成21年度第一次補正予算で現任介 護職員の研修支援を行っています。しかし、これにつきましても、平成24年3月の時限措置とい うふうに聞いております。これまで介護従事者の養成に関しては、事業者任せ、あるいは個人任 せ、こういった流れについて、ぜひ国全体として、まさに国民に期待される安心と安全の介護の ためにどのような人材を養成するかについて考えるべきときが来たと考えております。  さて、これからの良質なケアというものを効率的に提供するためには、介護の人材には当然量 的な確保も求められるところでありますが、一方では質的な、要するに良質のケアといったもの が求められているわけであります。そういう意味において、これからの介護人材の養成について は効率的に提供するための人材の役割分担といったことについても着目すべきではないでしょう か。とりわけ認知症ケアということを考えた場合、例えば現状におきましては、グループホーム や小規模多機能等においては、介護福祉士の配置割合を求めているものではありません。必要と されるのは介護支援専門員の配置だけでありますが、これからは質の確保、良質なケアの提供と いうことを考えた場合、そういった介護福祉士を始めとする専門職の配置割合について見直しを すべきではないかと考えております。  さらに、またこれからの介護を必要としている方々が安心して、そのニーズにありますように、 できる限り住みなれた住まいで暮らし続ける、そういったニーズに応えるためには、在宅サービ スについてのあり方についても見直さなければなりません。とりわけ訪問介護における身体介護、 生活援助のサービスは一体的に行う必要があります。パッケージとしてサービスを提供すること で、実はサービス内容を利用者にわかりやすく説明をすることができますし、かつ利用者にとり ましては、利用しやすいものともなります。そういう意味におきましても、訪問介護のサービス の提供のあり方についても一本化を含めた見直しをすべきではないかと思います。さらには医療 ニーズの抱えた多くの利用者の方々の在宅での生活、そういったものを可能にするために、いわ ゆる医療行為の範囲をある程度介護福祉士等に行わせることが必要となります。介護福祉士に一 定の研修等を課した上で、事業所の判断で一定の軽微な医療行為が行えるよう対策を考えるべき ではないでしょうか。  いずれにいたしましても、これからの介護サービスのあり方を考えた場合、これまでの道をそ のまま踏襲するわけではなくて、本当に利用者の側のニーズの変化に合わせた柔軟な対応、人材 育成も含めて、そういった柔軟な対応を考えるべきときが来たと考えております。  どうもありがとうございます。 ○山崎部会長 続きまして、野呂委員、お願いします。 ○野呂委員(代理:青木参考人) 三重県知事が全国知事会の社会文教常任委員会の委員をしてお りますので、この部会の委員をさせていただいておりますけれども、本日、野呂知事の日程調整 がつきませんでしたので、代理で出席させていただいております、私、三重県健康福祉部の総括 室長をしております青木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、介護保険制度に対します現状認識についてでございますけれども、高齢化の一層の進行 に伴いまして、特に75歳以上の高齢者の増加、それから一人暮らし高齢者、認知症高齢者の大幅 な増加が今後見込まれる一方で、生産年齢人口が減少していく状況に直面しております。  このような中で、現行の介護保険制度の枠組みの中では、介護サービスの量に応じまして、住 民、地方自治体の負担が設定されることとなりますので、介護に要する費用は年々増加をし続け ております。このような状況が続きますれば、高齢化の進行が急激な市町村や財政基盤が脆弱な 市町村におきましては、制度の維持に危惧を抱かなければならない状況になると考えております。  昨今、報道されました新聞社のアンケート調査の結果を見ましても、全国の多くの市町村が介 護保険制度自体については一定の評価をする一方で、住民の介護保険料の負担の増加等を理由に しまして、現行のままではこの制度の維持は困難と考えている状況にございます。三重県におき ましても、この介護保険制度発足時と比較いたしまして、介護サービス給付費は約2倍に、それ から第1号被保険者の保険料額は1.5倍に増加をしております。県の財政におきましても、介護 給付費県負担金が毎年約5%ずつ増加をしておりまして、厳しい財政状況の中、大きな負担を求 められているという状況になっております。  高齢者の介護、福祉に関します取組のあり方につきましては、最も身近な基礎自治体でござい ます市町村におきまして、地域の特性、実情に応じた取組を行うことが重要であると考えており ます。  一方、広域自治体でございます都道府県としましては、市町村の取組に対します支援とか、単 独の市町村では対応することが難しい介護人材の確保に向けました取組や、介護事業者の指導・ 支援などを担うものと考えております。  このような取組の方向性としましては、地域の高齢者の安全・安心な暮らしの確保に向けまし て、介護保険制度だけではなくて、保健、医療、福祉サービスにインフォーマルなサービスを加 えました高齢者の生活全般を支える仕組みをそれぞれの地域において構築していくことが重要で あると考えております。  今後の課題と対応につきましては、75歳以上の高齢者の増大や生産年齢人口の減少のもとでは、 さらなる介護人材の確保、定着を図ることが重要でございまして、介護職員の処遇改善を含め総 合的な取組の展開が必要と考えております。また、介護サービスの質の確保や向上を図っていく ことが重要と考えておりますが、介護基盤整備が進む中、増加するサービス事業者に対しまして は、支援、指導体制のさらなる充実をもって対処していく必要が生じております。  介護保険制度につきましては、高齢者の安全・安心な生活を確保する上で根幹となる制度でご ざいまして、この制度を持続可能なものとしていくためには、国と地方の負担割合を含めました 介護保険財政のあり方を始めとする制度改革に向けた議論を地方自治体や関係者の御意見を踏ま えながら行っていくことが重要と考えております。  以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  橋本委員、お願いします。 ○橋本委員 立教大学の橋本でございます。実は私はもともとは介護保険が導入されるずっと前 から高齢者福祉の現場で仕事をしてきて、現在も介護保険の事業・施設をいくつも経営もしてお ります。そんなことでいろいろな思うことがございます。  まず1つ、大学で最近の傾向としては、若い人が高齢領域の仕事を選ばなくなった。特にプロ パーな社会福祉の現場、高齢領域に就職してくれなくなった。実は以前はそんな感じではござい ませんで、社会福祉士、介護福祉士の資格制度でき、介護保険始まった段階、高齢領域に非常に 興味を持って進んでくれる学生は多かった。夢と希望のある職場だったと思います。どこの段階 でどうなってしまったか。今でも学生が社会福祉学部に入学して来る大きなきっかけは、身近に、 あるいは家族の中に高齢者の介護問題があって、それがきっかけで福祉を学ぼうと思ったという ようなことをよく1年生の段階で話します。しかし、だんだん学んでいくと、結局重労働で低賃 金で社会的な評価も低く、キャリアパスもあまり見込めないような領域では仕事としては選べな いということで、ほかの領域、分野に行ってしまうとか、一般企業を選んでしまいます。そうい うような感じで、私自身としては大学の現場で高齢者福祉を教えている立場では危機意識を持っ ております。介護福祉士の養成校においても本当に高齢者ケアの現場で働く人材の養成につなが っているのか、とても心配をしているところがあります。そういう意味でいえば、非常に情緒的 な言い方でありますが、高齢福祉、こういった仕事は価値があり、夢があり、それなりに社会か ら支えられる仕事にどうしてもしていく必要があると思っています。これは今の状況というより も、先のことを考えていって、ますます超高齢の方、介護が必要な方が増えていく日本の社会で ぜひこのことは考えなければいけないことだと思っています。実は、私個人的な体験でいえば、 両親が父も介護保険を使って最後は特養で生活して、看とってもらいました。母は今、介護1で 在宅サービスを利用して生活をしております。そんなことを考えながら、この介護保険の持つ意 味や役割は非常に有り難く重要なことだと認識しているところです。  先ほど勝田さんのお話で、この10年間介護殺人、あるいは介護事件が400件もあるとのことで した。これはなかなか表に出ないので把握することは難しいのですけれども、私もそのことを非 常に重要なところだと思っています。介護保険ができて、在宅生活を支援し、専門職が支えてく れるということで10年経過しました。以前は、介護サービスを利用しなかったからだという言わ れ方をよくしましたけれども、今は必ずしもそうではないんですね。居宅介護サービスを利用し ながらも、介護事業を止められなかった。このことは私ども十分に注目をして考えていかなけれ ばいけないことだと思っています。  そんなことを思いますと、正論でありますけれども、自立支援、在宅生活支援ということが、 介護保険として果たしてそれだけでいいのだろうかというのが私の今の問題意識であります。な ぜならば老いというのは必ず最後は死につながるわけであります。そのことをきちんと見きわめ ておかなければいけない。もっといえば、どういうふうに天寿を全うできるかということを示し ておかないと、常に積極的に生きるとか自立とか言われても、重介護になった人たち、認知症が 重度になった方々にどういうケアをしたらいいのか。私は看とってあげることの意味と価値をも っと考え評価するべきだと思います。穏やかに逝けること多くの人の気持ちなのです。特別養護 老人ホーム等では、最近、経管医療(胃ろう)の方が大変増えてきております。このことは非常 に大きな状況であるし、これについて何とか考えなければいけないと思うのです。少なくとも北 欧の介護施設ではみることのない状況なのです。  看取り加算制度ができたり、また、せざるを得ないということで特養等の介護施設の現場では 看とりに取り組んでいるわけですが、その実践活動を見ておりますと、多くの場合経管になった り胃ろうした人では自然な死を迎えることが難しいんですね。栄養は口から摂ることが大切なの です。自然に老いていき、弱ってきて、天寿を全うするような形で亡くなっていく。天寿を全う することを支えられる介護、あるいは介護が支える天寿のケア、これが私はとても大事なポイン トだと思っています。高齢者の介護とは生きることの支援ばかりではないんですね。それを介護 保険の論議の中にをどう組み込むかはともかくですが、実際それは大切なことだという認識を持 つ必要があるのではないかと思っています。  いくつか具体的なことを申し上げさせていただきたいと思います。私もソーシャルワークの教 育と実践をしている者として、地域包括支援センターの機能は非常に重要であると認識していま す。それは決して高齢者の生活支援ということだけでなくて、地域のソーシャルワークの拠点に なるところだと考えます。かかわる多くの事例には多くの多問題ケースがあります。私はそのこ とが重要なことだと思っています。  ところが、地域包括支援センターの大きなエネルギーは、予防給付、要支援の予防ケアマネジ メントにさかれている。予防給付自体はともかくですけれども、そのケアマネジメントをどこで 担当することが好ましいかといえば、居宅介護支援事業所で包括的なケアマネジメントするとい うのはごく自然な考え方だと思います。今は要支援2と要介護1ではケアマネジャーが変ってし まうのです。ケアマネジメントの原理からみていかにも不適切だと考えます。地域包括支援セン ターは地域の中で人々が安心して暮らせる支援をしていく。介護保険の財源ということですが、 これは非常に重要な、日本の地域社会を支えるということだと思っておりまして、介護保険を超 える論議になっていくのかもしれませんが、このことは非常に重要なことだと思っております。  次に、今着目されている小規模多機能型介護のことです。全国で1,500カ所を超えて事業が進 んでいることは承知しておりますけれども、都会部ではなかなか整備が進まないわけであります。 考え方としては非常に地域生活を支えるという意味を持っていると思います。泊まり、通い、訪 問サービスを、一緒に受けられるわけでありますから。しかし、そのことは働く人の負担の上に 成り立っているということを承知しておかなければなりません。地域の状況によりますから、い ちがいには言えないのですけど、私は小規模多機能は、あまりにもサービスの囲い込みで、基本 的にほかのサービスを使えない。私はもうちょっと柔軟に使えるような仕組みにすると、地域の 生活をもっと支える機能を果たせると思います。  そこで思うのは、3つの機能のうち、オーバーナイトのサービスが加わっているというのは非 常に難しいんですね。一人でもお泊まりの方がいれば夜勤1名つけなければいけないわけです。 これは合理性のみで言うわけではありませんが、特養やグループホームと比較するまでもなく、 働く人の低賃金、重負担につながるのです。レスパイトケアとしてショートステイサービスは、 非常に重要な介護生活を支えるサービスであります。小規模多機能の中に必須サービスとしてそ れを組み込んでいるということに私は小規模多機能が十分に機能発揮できなかったり、働く人に 強い負担をかけたりする難しい状況があるということを感じています。多分そこはほかのサービ ス、例えばグループホームなどと併設になって、泊まりは泊まりでもうちょっと規模を大きくす るとか、あるいは選択性を取り入れショートステイは除いて通所と訪問だけを専門にできるよう にするとか、その辺、制度を柔軟にすることによって運営も楽になり在宅生活を支えるいいサー ビスになっていくと考えております。  それから、日本の介護保険の特徴は生活援助のところだと思っています。介護保険に入る前か らのホームヘルパー制度の流れもあるわけでありますけれども、現在軽介護の方も、要支援から 介護2程度の方がどんどん増えているわけであります。この人たちの生活を支えるというのは、 私は介護を改善させるということは置いておいても、その方々の生活をどう支えていくか。その 方々はある意味で適切な生活の援助がなければ、重介護になる予備軍なわけです。その人たちが 地域の中でどう生活していくか、一人では本当に危なくて生活できない人たちを支えるのは生活 援助のところなのです。  私は介護保険の中で、身体介護と生活援助は一体にするべきだと思いますけれども、生活援助 のところは非常に重要なサービスです。それが今予防給付の中で非常に使いにくいサービスにな って、制限的になって、これが保険料を払っている被保険者の軽介護で虚弱なお年寄りたちに非 常に不安な状況にさせているということをしっかりと認識しなければならないと考えます。  高齢者介護や働く人の問題というのは、都会部と地方という地域格差があると思います。介護 報酬のなかの地域係数をもっと妥当な数字を検討していかないと、それこそ地方においては介護 報酬で非常に経営がいいというところもあれば、都市部ではどの事業者も本当に人件費を含め経 営に苦労しているわけで、これが働く人の待遇にはね返ることであります。地域毎のきめ細かな 配慮が必要と思っています。  最後に介護保険は制度が非常に複雑になっています。シンプル・イズ・ザ・ベストだと思いま す。何とか制度をシンプルなものにして、だれでも使いやすく、理解しやすく、そういうものに なってほしいと、思います。  少し長くなって申し訳ございません。失礼いたしました。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  桝田委員、お願いいたします。 ○桝田委員 全国老人福祉施設協議会の桝田でございます。特別養護老人ホームを中心とする事 業者団体でございます。  介護保険制度ができて10年余。その間で、特別養護老人ホームの中でどういうことが起こって いるか。本当は介護の社会化のために保険制度がつくられて、家族介護の限界を支援するのが一 番だった。でも実際に家族介護力というのは、この10年間見てもだんだん弱っていって、それこ そ家族介護力ゼロのいわゆる独居老人が増えていく。老人世帯が増えていく。そういう状況下で、 特別養護老人ホームの入所待機者というのが昨年の厚労省の調査で42万1,000人と。全老施協(全 国老人福祉施設協議会)では45万人という把握をしておりますけれども、どんどん増えていって いる。  そうすると介護保険制度というのは保険制度ですので、いわゆる介護事故が起こった場合に給 付が受けられる。そのために保険料を払っていると。でもいざ特別養護老人ホームの入所が必要 になったけれども、申込みをしても何年先になるかわからない。いわゆる保険給付が受けられな い方が45万人もおられる。この解消策として、特養ホームの整備という問題が起こってきますけ れども、それもかなりつくられていますけれども、整備よりも希望者のほうが増えていく率のほ うが高くて、希望者のほうがどんどん膨れ上がってきている。将来設計的に考えると、家族介護 力がこれからどうなっていくのか。地域の介護力がどうなっていくのか。介護保険の給付により どのように在宅介護ができていくのか。それで在宅介護の限界になれば、施設サービスというの が当然必要になってくる。その場合の受け皿というのが、例えば特別養護老人ホームがあること によって家族の方は安心して在宅介護が続けられる。でも今の実態というのは、いわゆる特別養 護老人ホームに入所申込みをして、順番が来てひょっと入れるようになったと。その方にとって、 まだ私頑張って、ご両親なりの介護を続けられる状況なんだけれども、このチャンスを逃してし まうと、もう次の入所のときには私の体がもたないことが考えられるので、そのときに入所をせ ざるを得ない、そういう悪循環も生み出している。  そうなると、ここで1つ、この10年間の中で、費用対効果の検証の問題と国民が今何を望んで いるのかを議論する必要がある。特にこの数年間ユニット型特養を中心に特養は整備されてきた。 ほぼユニット型に限定されますよね。そうすると問題として起こってくるのが、低所得者の問題。 ユニット型の特養では低所得者の生活保護所帯の方は入所できませんので、既存の施設しか対象 にならない。その中で起こってくるのは費用問題。一番の費用問題として、介護保険制度内にお いて、低所得者対策はどう見ていくのか。食費、居住費の補足給付、いわゆる特定入所者介護サ ービス費のシステムができましたけれども、それ自体は介護保険制度内において、公費負担を持 っている部分、それの部分からして介護保険制度内につくられたと。  全国老施協としては、それはワンストップサービスの観点もあるし、公費負担の観点から考え ても堅持すべきでないのかとの意見です。別の低所得者対策の別の制度に持っていくというのは やはり利用制限になっていくし、いざというときに間に合わなくなっていく可能性も強い。細か な部分になっていきますけれども、要介護認定の問題から始まって、少し今までの10年間で費用 の問題と効果の問題をまず検証をして、次に介護保険制度をどう持っていくのか、それこそ中福 祉・中負担にするのか、高福祉・高負担になるのか、いわゆる財源問題と絡めて、その問題をま ず検討せざるを得ないのではないか。まず財源ありきの問題、制度とすれば、公費負担の問題と いうのも絡んでくると思います。  それとやはり保険制度として、予防的な部分をそのまま介護保険の中で見ていくのがいいのか、 別の形に変えていくべきなのか。その中で介護予防事業、介護予防給付、介護給付と3つに分か れている中で、予防給付と介護給付はマネジメントがついてまいりますよね。そこで真ん中で線 を引かれて、いわゆる予防プランは地域包括支援センターの方ですよ、介護プランの方は居宅介 護支援事業者の方ですよという、まず利用者を無視した形の現状をどう解消するのかというのが 大きな課題と思います。そこらの部分、全体として、今までの問題点を洗い出していって、問題 点を解消する。次にこれから起こってくる問題を想定した制度設計が必要ではないか。  細かな話になるといろいろ問題がありますけれども、今回はこれぐらいにしておきますけれど も、費用対効果を考えた制度設計が今一番重要ではないかと思っております。 ○山崎部会長 三上委員。 ○三上委員 日本医師会の介護保険高齢者医療を担当いたしております三上でございます。  介護給付費分科会、中医協の慢性期入院医療評価分科会、さらに昨年の11月から開始されまし た高齢者医療制度改革会議の委員などをさせていただいております。介護給給付費分科会では、 介護問題についていくつかの問題提起をさせていただきましたけれども、給付分科会の課題では ないということで、議論させてもらえなかったので、やっとこの介護保険部会が開催されたとい うことで非常に感謝をいたしております。  我が国の高齢化、当然今後の介護費用というのは増大していくわけで、財源問題というのが非 常に大事であります。消費税などの大きな課題もあるわけですけれども、先ほど川合委員からも 指摘されました補足給付の問題についてはぜひこの11月ぐらいまでの間に解決していただきた いと思います。もともと持続可能性のために給付の効率化・重点化、保険料の上昇を抑えること を目的に、いわゆる保険財源を節約するということで、食費、居住費が介護保険の給付対象外と なったわけですけれども、低所得者対策は、結局は基準費用額との差額分を介護保険から出すと いうことで、本来生活保護費などから出すべきものをこういった介護保険財源から支出というの は筋違いではないか。やはり疑問に思っておりますし、変えていただきたい。  また、この食費、居住費問題では、先ほど桝田委員からも出ましたけれども、特別養護老人ホ ームの個室・ユニットケアの問題、低所得者が利用できないような形になっているということに ついて、こういった方への居住費の負担等については配慮すべきであり、施設の特性を考えて施 設のあり方を再整理する必要があるのではないかと思います。  もう一つ、給付費分科会でも申し上げてきたのですが、介護サービスの情報公表制度について ですけれども、これはあまり大きな問題ではないかもしれませんが、非常に不合理だと感じてお りましたので、これもぜひ俎上に上げていただきたいと思います。この公表制度につきましては、 平成16年の5月に開催されたこの介護保険部会の資料に、シルバーサービス振興会がまとめてお ります「利用者による介護サービスの適切な選択に資する情報開示の標準化について」という中 間報告が出されて、費用負担のあり方としてグループホームや福祉サービスの第三者評価等の例 を踏まえ、事業所負担とすることが適当だということで決定されてしまいました。その後、17年 5月に実際の報告書が出されていますが、全く審議をされた形跡がなく、こういったことが進め られたということでございます。最終的にはこれは利用者自らが選択・公表するということでは なく義務的公表ということでありますので、報告書の中身とニュアンスが違ったものであり、非 常に遺憾であると私たちは申し上げてきました。これについてぜひこの介護保険部会で検討して いただきたいと思います。  また、この問題につきましては、アクセスについてはインターネットで見ることができ、本来、 高齢者が自分がどの施設を利用したいかということを調べるためのものなのですけれども、ほと んどがケアマネジャーが使っておられまして、要介護の高齢者がインターネットでこういったも のを調べるということはまずできませんし、また、医療のほうでは、医療機能情報提供制度とい うのがございますけれども、これは医療保険のほうで義務的公表ということから立入調査等の情 報が都道府県のホームページに公表されるということですけれども、医療機関側の負担はなく、 介護のほうでも、これは指導監査等の調査の情報をこういった形で行政が公表するということに なれば、調査の費用、あるいは公表の費用も行政費用で賄えるのではないかと思っておりますの で、ぜひこの点についても御議論いただきたいと思います。 (山井大臣政務官入室)  それから、今日の皆さんのお話と提示をされた資料を見ますと、議論の基本的な論点の中で、 1つは「サービス体系のあり方(地域包括ケアの実現)」ということがうたわれているわけですが、 ここで「医療と介護の連携体制の強化」ということで、(在宅療養の強化、訪問看護の体制確保) というのが書いてありますが、先ほどから井部委員のほうからも、さまざまなところで在宅が難 しくなるような、独居の方が多くなる、あるいは認知症の方が多くなるというようなこともござ いましたので介護施設における医療の提供のあり方についてもぜひ議題としてのせていただきた いと思います。したがって、介護拠点の緊急整備についても、小規模特養だけではなくてさまざ まな形の施設サービスの整備についても俎上にのせていただきたいと思います。  また、地域包括ケアの中で、先ほど桝田委員でしたか、橋本委員でしたか、地域包括支援セン ターの問題が出てまいりました。これはほかの障がい者部会とかさまざまなところで障がい者の 地域移行の問題、あるいはうつに対する自殺予防の問題、さらには認知症の問題とさまざまな形 で地域包括支援センターというのは活用できる可能性が非常に高い。ただ、援護局でありますと か、老健局、もう一つ、今、地域医療推進支援事業というのが医政局がやっているのですけれど も、こういったものが縦割りで走っているというのが非常にむだがあるなというふうに感じてお りますので、ぜひこのところは縦割りを取っ払っていただいて、厚労省内のことでございますの で、横断的に事業を進めていただければと思っております。  以上です。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  山井政務官がお見えになっておりますので、途中でございますが、ごあいさつをお願いしたい と思います。 ○山井大臣政務官 皆さんこんにちは。最初にお礼とお詫びを申し上げたいと思いますが、本日 は、諸先生方・委員の方々は大変お忙しい中、この第1回の介護保険部会に御参集いただきまし て誠にありがとうございます。特に山崎部会長には、これからいろいろな取りまとめとリーダー シップを発揮していただきたいと思いますが、どうか皆さんよろしくお願いいたします。  本来でしたら、第1回ということで、何をおいても長妻昭厚生労働大臣が出席させていただい てお礼とお願いを申し上げるところでしたが、本日、本会議が大変長引いておりまして、今も休 憩中なんですが、また晩の9時から再び行われるということでずっと断続的に本会議がございま して、それと同時に、中国から温家宝首席が来られておりまして、その関係の式典にどうしても 長妻大臣は本会議の合間に出なければならないということで、私が代わりに出席をさせていただ きました。本当に申し訳ございません。  介護保険も10年たちました。10年後の見直し、本当にこの介護保険、大きな夢と希望をのせ てスタートした制度でありますが、財政的な制約もあり、恐らくここに御出席の先生方皆さんが、 100点満点というふうにはとても言えない状況だということを御認識をされていると思います。例 えば今のままの在宅ではやはり家族にとって十分ではないのではないか。「介護の社会化」と言い ながら、まだまだ家族の負担というのは重くなっているのではないかと。今も三上先生の話の中 に重度の方が在宅にも施設にも増えているというお話がございました。  また一方、在宅重視と言いながら、10年間を振り返ってみて気がつけば、42万人の特養の待機 者がいて、施設が必要だ、施設が必要だという大合唱になっております。これはもちろん施設も 必要でありますし、逆にいえば、いかに在宅がまだまだ支援が不十分かということの裏返しでは ないかと思っております。  そのようなことも含め、来年度の介護保険法の改正、また再来年度の医療の診療報酬と介護報 酬との同時改定も踏まえて、委員の先生方にこの場で御議論をいただきたいと思います。何より も夢を語れば語るほど必要となってくるのが財源でありまして、ここは本当に大きな大きな一番 重い課題であります。  ただ、1つ皆様に申し上げたいのは、今回の所信表明演説でも、長妻昭厚生労働大臣は、経済 成長にとって社会保障というのはお荷物ではないと。経済成長と社会保障というのは車の両輪で ある。社会保障の充実が経済成長の基盤であるということを言っております。これは今までの従 来の発想とは、私は1つの転換であると思っておりますし、国会の審議の中でも、鳩山総理や菅 財務大臣も、介護というものを負担とだけとらえるというのはやめようと。介護というのは1つ の雇用創出の場でもあり、新成長戦略でもあり、そういう前向きなものなのだということを総理 も菅財務大臣も答弁をされておられます。  このようなことを含めて、長妻昭厚生労働大臣は“ポジティブ・ウェルファ”ということを今 回の所信表明演説で話をされました。“ポジティブ・ウェルファア”というのはちょっと横文字で 誠に申し訳ないんですけど、じゃ何のかと。ポジティブ:前向き、積極的なウェルフェア:福祉や 社会保障。やはり社会保障というものを、確かに財源がつきもので、負担という部分はあるけれ ど、これは社会に対する投資、未来への投資なのだという前向きな積極的な意味でもう一度とら え直そうではないか。もちろん財源論というものはセットで議論しながら、そういう前向きな積 極的な現場に元気が出るような、そういう社会保障や介護を議論していかねばならないというふ うに思っております。  まだまだ私たちも政権交代をして8か月で、試行錯誤を重ねておりますが、今のお話を通じて、 この介護問題、とにかく今まで以上に力を入れていきたいという、そういうような思いをお酌み 取りをいただければと思います。  最後に、私ごとになりますが、私の祖母も20年間寝たきりの末に亡くなりまして、私も介護問 題がきっかけで、こういう政治の世界を志すことになりましたし、今日も傍聴に来させてもらっ ておりますが、私の国会事務所の秘書も一人は元介護施設の職員で、もう一人は元自治体の介護 保険課の職員ということで、介護関係のスタッフとともに私も仕事をさせていただいております し、今日も一緒に出席させていただいております老健局などの職員と力を合わせて、皆さんの思 いを、現場の声を踏まえた介護保険の改正案、介護報酬の取組みにつなげてまいりたいと思いま す。  今日も、この後、また本会議に戻らせていただきますが、これからもぜひとも御指導をいただ きたいと思います。  本日は誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○山崎部会長 どうも御多忙な折、ごあいさついただきましてありがとうございました。  続きまして、結城委員、お願いします。 ○結城委員 3分間弱と聞いていましたので、勝手を言って事務局に、私はレジュメ1枚を用意 させていただきましたので、ご覧いただければと思います。スピードよくお話しさせていただき ます。  介護保険そのものができたことに対しては、大変評価しております。私の考えとしては、介護 保険は大変評価をしていて、これからもぜひ発展させていただきたいと思います。しかし、10年 間なかなかメンテナンスをしてこなかったことで、現場では大きな問題が生じています。特に2005 年、5年前の法改正が大きな問題で、これによってさまざまな問題が現場では生じていますので、 これまでの10年間を検証しながら、今回の制度改正をきちんとやっていくべきかと思います。  主な論点としては、12点挙げさせていただきました。  1点目、要介護認定と給付上限額でございます。他の委員の先生方もおっしゃっているとおり、 認定問題、給付上限額は見直すべきだと思っています。これは自治体責任で行っている業務です が、調査員のあり方も含めてでございます。  2点目、これは給付費分科会の案件でございますが、運営基準などにおいて、制度と非常に関 係してありますので、この辺も給付費分科会と連携して議論すべきかと思います。  3つ目、先ほど政務官もおっしゃっていたように、財源問題、現実的にこれからの介護保険が 持続発展するために、どのぐらいのお金が必要なのか。また、利用者自己負担はどうなのかとい うことも議論して、補足給付の問題なども含めて考えていくべきかと思っております。  次に4つ目は、利用者を中心とした制度改正、これは非常に重要で、現在の介護保険の仕組み は、この10年間でたいへん利用者にとってわかりづらいものに変遷されてきました。具体的には、 書類に何枚も印鑑を押すなど、これは契約主義の弊害とも言えると考えられますが、このような わかりづらく複雑な事務手続が問題で、それによって煩雑となり介護従事者も非常に困難に陥っ ています。この問題を議論すべきかと思っております。  5つ目は、介護保険は、つまり、介護というサービスが介護保険に非常に特化してきたのでは ないか。老人福祉、ヘルスといった保健制度、インフォーマルな役割はどうなのか。自助・互助・ 共助とか言われていますけれども、インフォーマルにおいては地域によっては民生委員の後継者 問題などが深刻で、その点も十分に議論すべきかと思っております。  6つ目は、介護予防についてでございますが、これは地域支援事業を含む介護予防、新予防給 付の介護予防もどうするかです。しかも、エビデンスはどうなのか、果たして地域支援事業が今 の状態でいいのかどうかということも議論すべきかと思います。  それから、7.地域包括支援センターの役割は、他の委員もおっしゃっていたように、今の新 予防給付の二枚看板でいいのかどうか。特定高齢者を含めた介護予防の拠点となっていますけど、 本当にそれでいいのかということも議論すべきかと思います。  8.ケアマネジメントのあり方におきましては、在宅及び施設、特に施設のケアマネジメント がどうなのかということも含めて議論すべきかと思います。  9つ目の保険者機能と法令遵守ですが、介護保険ができた当時は3,000弱の自治体(保険者)、 しかし、現在、平成の大合併によって1,700弱になっております。こういう広域化された自治体 で、範囲というものも考えていくべきかと思います。それから、指導監査の問題も含めて保険者 機能、例えば、実地指導とかを、自治体職員のみでやっているのですが、これが果たしていいの かどうかということも議論すべきかと思います。  10.11.12.レジュメの通りでございますが、3分を超えてしまいましたので、ご覧いただけ ればと思います。いずれにしても、これらの問題点を含めながら、ぜひとも現場に即した制度改 正を望みたいと思います。  以上でございます。 (山井大臣政務官退室) ○山崎部会長 ありがとうございました。  吉田委員、お願いします。 ○吉田委員 労働組合の連合から委員参加をしております。先ほど山井政務官のほうからは、“ポ ジティブ・ウェルフェア”というような概念が紹介されましたが、ちょうど10年前、欧州連合で 採択されましたリスボン戦略の中では、同じく「積極的福祉国家」というような概念が紹介され ております。  その背景にはちょうどその3年前に連合とドイツの労働総同盟(DBG)が共同研究で発表し ました「労働を中心とした福祉型社会」というような考え方があるということで御紹介させても らいたいのですが、連合が言っております労働を中心とした福祉型社会、積極的または能動的な 福祉という観点からいくつか御指摘させていただきたいと思います。  まず最初に、介護サービスのニーズ、この急速な伸びに対応していくためには人材確保が必須 条件であります。そのためには介護労働者の処遇、とりわけ賃金を始めとする労働条件を改善し ていく必要があります。賃金は労使の自主的な交渉によって決定されるべきという考え方もある かと思うのですが、また、介護保険の場合、市町村と事業者の間には直接的な契約関係はないと、 調達するというような関係はないということは重々承知しているわけですが、公的な保険制度の 枠組みの中で事業を実施している、そういう理由から行政として賃金水準を含めた賃金のあり方 について一定の考え方、例えばガイドラインといった形でそういう賃金のあり方についても示し ていく必要があるのではないかと考えております。いずれにしろ、3%の報酬改定、今回の処遇 改善交付金がどのように介護労働者の賃金改善に資しているかということを検証し議論していく 必要があると考えています。  また、介護職員の働きがいのある将来の展望を持ったキャリア形成という点では、職務と賃金 がリンクする、職務を上げていくためにはどういうキャリア形成が必要であるかということを総 合的に議論をしていく必要があると考えております。今年度から処遇改善交付金にはキャリアパ ス要件が入るわけなんですが、その影響、効果についても検証するべきであるというふうには考 えているのですが、小規模事業所が多い、また労働力の流動性が非常に高いという介護労働市場 の特徴を考えますと、企業内のそういうキャリアパスだけではなくて、企業の外の社会的なキャ リア形成をしていく仕組み、キャリアパスの社会的仕組みというものがやはり必要なのではない かと考えております。教育機会を提供する教育費の補助を給付する。研修期間中の所得保障、生 活保障をする、また、教育休暇などを設けている事業者に対して補助をしていくといった、そう いった包括的なキャリアパス制度というものをつくっていく必要があると考えております。  2つ目が介護と医療の連携についてです。急性期医療から在宅への移行という点で、切れ目の ないケアを提供するという観点からは、とりわけ在宅看護と在宅介護、この連携が非常に重要に なってくると考えております。また、介護職員による医療行為、医療類似行為につきましては、 もちろん利用者、介護職員の利益という観点から教育研修体制をしっかりと整備するということ ももちろん重要になってくるとは思うんですが、先ほど言いましたように、キャリアパス形成に 資するような仕組み、例えば介護福祉士の上により専門的な資格を設けて、それを職務とリンク させて賃金改善に結びつけていくといった、そういうような仕組みを検討していく必要があると 考えております。  3つ目ですが、サービスの提供という点では、もちろん要介護者に対して必要なサービスを提 供していくことも重要であります。一方で、先ほど何名かの委員の方からも御指摘されたように、 依然「介護の社会化」が完全に整備されてない。介護者である家族に過剰な負担を強いていると いうのが現状であると考えております。介護者である家族が社会から孤立、排除されないような 仕組み、早期の相談、情報提供、または働きながらも介護を続けていく継続就業支援。または介 護が終わってからの就業支援なども総合的に介護者に対する支援を整備していく必要があると考 えます。  そして、介護職員の処遇改善、サービス提供体制の拡充という点では、これらのことを実現す るためには財源が必要になってきます。安定した財源抜きにはやはり軽度を切ればいいといった そういう安直な議論にもなりかねないというふうに考えております。そういう点ではこの介護保 険制度の発足時から課題でありました普遍化についてこの部会でも議論していただきたいと考え ております。障がい者につきましては、内閣府の推進会議で総合福祉法の議論も現在されている と聞いております。介護保険のほうでも受給対象者の拡大、そして被保険者の拡大をセットにし て普遍化についての議論をぜひ再度していただきたいと要望をいたします。  以上です。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  それでは、岩村委員、お願いします。 ○岩村委員 岩村でございます。私は大学では法学部でございまして、社会保障法という科目を 担当して講義や演習をし、他方で労働法の研究者ということでもございます。前回、コムスンの 事件のときをきっかけとする法改正のときからこの審議会の委員として参加させていただいてお ります。  今日、皆様方のお話を伺いまして、介護保険というものに対するこの審議会の皆様の思ってい る期待の高さというものと、他方でいろいろな問題点というものを皆様それぞれお感じになって おられるということがわかりました。そういう意味で、この審議会での議論というものに対する 期待の高さを改めて実感した次第であります。  私の見た感じとしましては、介護保険というのは発足して10年になりますけれども、当初はと にかくサービスを急いで充実しなければいけない、保険料負担あって給付なしということでは困 るというので、当初は非常に急速にサービスの供給を拡大するというところに重点が置かれてき たのだろうと思っています。ただ、それが5年たち何年たちと年数がたつに従って、サービスそ のものはもちろん見方によってはいろいろ十分でない点はあるにしても、かなり充実してきたと いうところはあるわけで、そのことは同時に給付の費用の増大ということにつながり、それが今 度は負担増へつながっていくと、そういう時期に入ってきてしまった。先ほど一番最初に事務局 からの説明がありましたように、介護保険の制度に関する議論というのは、この2〜3年、ある いはもうちょっと前から、むしろこの制度をどうやって持続させていくかというところへ重点が 移っているのだろうと思っております。  今回の今日始まったこの部会についても、どうやって持続性を持たせる制度にしていくのかと いうところが一番大きなポイントだろうと思っています。それとの関係でいくつかコメントをさ せていただきたいと思います、まず第1に、介護保険というのはその名前が示すように、他の社 会保険と同じように、括弧つきでありますけれども、保険というメカニズムに基づいています。 つまり要介護認定、あるいは要支援認定といった保険事故が発生したということをとらえて給付 を行う、そういう仕組みです。そして保険というのは、社会保険がどこまでそう厳密に言えるか という問題はあるにしても、給付支給事由に一定の偶発性、客観性というのがないと成り立たな いです。それを実は担保しているのが、今の要介護認定の仕組み、要支援認定の仕組みであり、 それから、もう一つは、給付上限額といったような仕組みです。後者は介護報酬の問題でもあり ますけれども、保険というものを担保する仕組みになっています。したがって、要介護認定とか 要支援認定、あるいは給付の上限額の設定というところをルーズにしてしまうと、保険としては 維持できなくなってしまうという問題があります。そういうことから、多分要介護認定・要支援 認定がこの10年間で非常に細かく精緻化されてきたというところがあるだろうと思います。  今日の議論でも、いくつか要支援認定・要介護認定、給付上限額の設定の問題の御指摘があり ました。これらはある意味で介護保険のかなめであり、問題があるということであるのはそのと おりだろうと思いますが、それをどういう方向で議論して変えていくかというのは介護保険の根 幹にかかわる問題でもありますので、いろいろ慎重な形な議論が必要だろうと思いました。  それから、2番目としては、持続可能性ということを考えていくと、どうしても財源というの は考えていかないといけない。最初に財源論をやってというのは非常にどこへ行っても評判が悪 くて嫌われるのですけれども、財源の裏づけがないとどういう改革を議論しても全部空論になっ てしまいます。そういう意味では財源の問題をどうしても避けては通れないと私は思います。  それとの関係では、介護保険というのは、先ほど申し上げた保険の仕組みを転用していますの で、論理的には保険料が基本的な財源になると思います。もちろん公費が入っていますので、そ こはそれとしてありますけれども、保険料というのが基本にある。そして保険料を払うというこ とが、実は給付やサービスを受けるということの基盤をなしています。今日の議論でも、例えば 補足給付の部分とか、生活援助の部分を介護保険の外に持っていってしまうと利用制限が起きる のではないかという懸念が少しでていましたが、それはある意味で介護保険がどういう性格を持 っているかというのを非常によく示していると思います。そういう意味では、保険料を払うとい うのは非常に大事だということを、ぜひ皆さん理解していただきたい。保険料を払うことによっ てサービスを受けるということがきちんと担保されているのだということ忘れないことが重要だ ろうと思います。  それから、私もいろいろ各審議会等で社会保障の問題にかかわっていますが、どこの審議会に 行っても、もっと公費負担をという議論が言われます。しかし各制度でそれぞれ公費負担をもっ と増やせということになると、莫大な財源が要ることになってしまいます。したがって、税の財 源をどこから持ってくるかということの議論抜きに公費負担もっと増やせという話はできないし、 その点についてこの部会、むしろ部会というよりは各委員の皆様方の間で、その税財源をどこか ら持ってくるかということについて、ある程度コンセンサスが持てないと公費負担を増やせとい う議論にはなかなか乗っていけないということになるだろうと思います。  それとの関係で、これもどこかの場で申し上げたのですが、公費負担といっても、別にこれは 抽象的に国が出しているわけではないので、先ほど申し上げたように、税金から出てくる。した がって、問題は公費負担を増やすということは税からもっと持ってくるということであり、それ は結局税の負担者がもっと払うという話です。ですので、税というのは一体だれが負担している のかということを議論する必要があります。単純に公費負担を増やせということも、実は誰かに 場合によってはひずみをかけて多く負担をさせるということになりかねない。そこのところを意 識すべきだろうと思います。  財源に関するもう一つの注意すべき点は、公費負担が増えることによって、制度の設計とか政 策に対してより発言力を持つようになるのは誰かということも実は考えるべきです。この発言力 の問題が、保険料を払うということと、公費負担ということの財源のバランスをどうするかとい うことと実は密接に関係するということもやはり意識していただく必要があるかと思います。  あと2点だけですが、給付とサービスとの関係は、今申し上げたように、負担とのバランスで 出てくる話なので、給付だけを、あるいはサービスだけを充実させようということであると、そ の後の財源の裏づけはどうするのだという話になります。この負担と給付とのバランスについて のコンセンサス、つまり給付やサービスをもっと増やしましょうということであれば、皆さんも っと負担しましょうということについてのコンセンサスがとれないと議論は一歩も進まないだろ うと思います。  それとの関係でいえば、負担とのバランスという関係であれば、給付やサービスについては一 体どこに今後持続可能性等の関係で重点を置いていくのかということについて考える必要がどう しても出てくるかと思っています。  最後でありますけれども、こういういろいろな制度についての全体的な議論をすることになる と、感覚的な議論ではなくて、できるだけデータに基づいた議論をすることが必要だろうと思い ます。これは部会長のおっしゃることなのかもしれませんが、私から申し上げますと、委員の皆 様方がもし議論をする上で必要なデータとか何とかということがあれば、早めに事務局のほうに ご要望いただいて、それを受けて事務局のほうで可能な限り用意していただけるだろうと思いま す。そうしたことによって、できるだけデータに基づく議論がこの場でできるようになればよろ しいなと思います。ぜひその点は事務局及び委員の皆様方にご協力をいただければと思います。  長くなりましたけれども、以上でございます。 ○山崎部会長 総括的なコメント、ありがとうございました。  最後になりましたが、貝塚先生、お願いします。 ○貝塚委員 私は財政学と金融論を専門にしておりまして、いわゆる経済学の分野ですが、社会 保障の問題は、基本的には私は財政学やっているときに歳出の中でどんどんウエートが、社会保 障の支出が増えてきて、それから関心を持つようになったということですが、私は現在思ってい ることは、前から介護保険部会は関係しているのですが、介護保険というのはそれなりに出発点 によってある種の成功をもたらしたということは間違いがないのですが、時間がたつにつれて、 日本の社会はかなり変わってきたと思うんです、10年か15年で。どこが変わったかというと、残 念なことですが、コミュニティの役割は弱くなったということです。これが1つの問題です。  したがって、先ほど資料にも出てきているわけですが、単独世帯とか、そういうのが増えてき て、元来はコミュニティの中で包摂できればいいのですが、必ずしもそうではなくなったという 状況が今の残念な状況ですが、私は別に厚生労働省のほかの委員会というか、生活保護の委員会 にも出ているんですが、そこの感じが随分昔とは変わってしまって、例えば住民票で登録されて ない人が結構いるんですね。例えば日比谷公園の人なんていうのは必ずしも自治体が把握できて いるわけでもない。そういうタイプの人が増えてきて、これはかなり大きな問題ではあります。  もう一つは、日本は確かに高齢化と同時に、先ほども言われたのですが、若い世代がどうなっ ちゃっているかという話があって、どうなっちゃったというのもおかしいのですが、30代とか20 代の若い世代というのは、かつては生活力がある程度保障されていたことはそうなんですが、今 やそうではなくなっちゃった。若い世代の経済力が落ちたときに、これは相当の問題です。だか ら若い世代は必ずしも上の世代を支援できるだけの平均的には力がだんだん薄れてきたというの がかなりの問題で、今の日本のいろんな問題はその問題を裏側に抱えておりまして、社会保障も 非常に大きな影響を受けて、介護保険制度そうだろうと思いますが、そういうわけで、本来なら ば、これを言っていくと、現在の政権の批判になりますのであまりは言えないのですけれども、 普天間基地とかそういう話ではなくて、日本の経済を今後持続的に少しでもいいから成長率を高 めていくためにはどうすればいいのかというのが一番の重要問題で、その点に関して戦略をちゃ んと持ってほしいですね。  簡単にいえば、日本は元来は技術の水準は高いのですから、例えば大学院でも、私は東大とか 関係しているんですが、東大の理工系の人が今どこで一番困っているかというと、要するに大学 院で博士号をとった人がまともに就職ができない。そうなったときに一体、目先のきく学生諸君 は、そういうところはだんだん志望しなくなるのですが、そこのところを、例えばわかりやすく いえば、5年なら5年ぐらい給付費、そんな数は多くないんですから、そんなにお金はかからな いんですね。5年間ある程度の奨学金をきっちり出すということです。それは大したお金ではな いんです。高校の全入制度などに比べればはるかにお金はかからないんですね。だからそういう ところにお金を使うのが一番重要で、私は経済、文科系の人間というのはそんなに技術のことは あれではないんですが、そういうところが日本の一番重要な部分で、それは主要大学の理工学部 とか、そういう大学院の学生諸君を、これで何とかやっていけるし、これでやれるのだというイ ンセンティブとか、希望を持たせるようなやり方をとるのが私は一番戦略的には重要だというの が私の個人的な意見であります。  そういうことで、結局日本経済というものは、とにかく最小限ある程度持続的に成長していく。 それがないといろんな問題は物すごく苦しくなって、苦しくなるというのは、負担の問題にして も、少しでも所得が増えていく状態と、現在はむしろ所得が少し減りぎみです。そういう状態と 増えていく状態というのが、全体としての経済の循環は非常に違ってきて、なるべくならば好循 環、少しでもやるように。要するに現在の日本の政策担当者は、そこのところをきちんと押さえ て、そこでこういうふうにやるのだということをはっきり出してもらう。だから諸外国から見た ときに、日本の経済がなぜこんな変になっちゃったのか、みんなどうしたんだということになっ ているんですが、多分そこに大きな原因がある。  社会保障の問題も、最後には経済の問題で考えると、経済が少しずつでもいいから伸びていく 状況のもとで、現在言われている問題も、ある部分はそんなに深刻な対立を招かない形でいくの ではないか、そういうふうに思っているということであります。  あまり社会保障の問題と関係ないのですが、そういうふうに考えていて、介護保険の問題とい うのは、今後、個別的ないろんな難しい問題があるということはそうなんですけれども、今まで やってきた実績を将来になるべくならばちゃんと活かして、日本の社会の変化に対して、少しで もいいから少しずつ変えていって、それに合わせていって、何とか持続可能性が保てるように、 制度として、これは大体何とか大丈夫そうだと思わせるところが一番重要な点ではないかという のが私の意見です。 ○山崎部会長 ありがとうございました。  今、社会保障全体を見てみますと、年金、医療、特に差し当たっては医療では、高齢者医療制 度のあり方でございますが、いずれも大きな対立があります。これは与野党の対立だけでなくて、 専門家の間でもかなり激しい対立があります。高齢者医療につきましては、岩村委員が検討会の 座長をしておられまして、先日も私も意見を求められたわけでございます。しかし幸いなことに、 介護保険に関しては与野党の対立はありません。むしろ民主党の菅厚生大臣の時代に準備し、小 泉厚生大臣になって法案を提出し成立させたということでございます。しかも法律の施行直前に なりまして、待ったという声も与党内の一部から出ましたが、市民運動の盛り上がりの中から毅 然と実施したというものでございます。この与野党を超えた国民的な支持のある介護保険の価値 というものを非常に私大事にしたいと思っております。  ただ、今日の委員の皆様の御意見を聞いておりまして、前回改正をそのまま引き継ぐべきもの と思い切って反省して見直すべきものを整理しなければいけないのかなという感じがしてきてお ります。事務局にとっては非常に厳しいことかもわかりませんが、誤りがあったとすれば、それ は見直すという勇気も持たなければいけないと思いました。  それから、もう一つは、共通して税財源がもう少しほしいということなのですが、岩村委員も おっしゃいましたが、保険という仕組みは大事にしたいと私自身も思いますが、問題は民間保険 と違って社会保険でございますから、いろいろ保険になじまない部分を抱えているわけです。保 険料の負担能力のない人、あるいは利用者負担を十分に払えない人たちも抱えながら保険制度と して運営していくといったときには、税財源をうまく保険になじまない部分に重点化するという 工夫も必要なのかと思っております。最近の社会保険の動きでは、現在の基礎年金では一律2分 の1の負担というわけでございますが、民主党のほうは、低所得者に重点を置いて、最低保障年 金という形で税財源を配分したいと言っておりますし、それから、国保や後期高齢者医療制度の 中では、給付費の一律2分の1程度の公費負担がありますが、その一方で、低所得者については また別途税財源を振り向けるといった工夫もしておりますから、その辺の流れも受け止めて少し 介護保険の中で工夫して入れられないのかなというふうなことを考えながら、今までの議論を聞 いておりました。  いずれにしましても、事務局が考えております論点のほかに、今日かなり共通に取り上げるべ き論点というものが皆さんから指摘されたと思っております。事務局と相談しながら、早めに今 後の本部会で検討すべき論点を整理したいと思っております。  さて、次の日程につきまして、大澤課長のほうからお願いいたします。 ○大澤総務課長 次回の日程でございますけれども、既にお知らせしておりますが、6月21日(月 曜日)午後4時から一応7時までを予定しております。場所はこの場所ではございませんで、千 代田区平河町の砂防会館の別館会議室を予定しておりますが、詳細はまた後日御連絡させていた だきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 ○山崎部会長 ありがとうございました。本日の部会はこれで終了しますが、次回は、厚生労働 省でまとめておられます介護保険制度に関する国民の皆様からの御意見募集の結果について、そ の概要をまず報告していただきたいと思います。さらに皆さんご存じの方、多いと思いますが、 地域包括ケア研究会の報告書が出ております。今後の審議を進めていく上で非常に重要な報告書 だと私考えておりますので、田中滋先生をお招きして、その報告をいただきたいと思います。そ して、今日いただきました御意見、あるいは事務局の考えております論点に沿った審議というの はその次からにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、本日はどうもありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省老健局総務課総務係 加藤  連絡先 03−5253−1111(内線3913)