10/05/25 第17回厚生科学審議会感染症分科会結核部会議事録 日時 平成22年5月25日(火) 14:00〜16:00 場所 中央合同庁舎4号館1階108会議室 1.開会 2.議題 (1)今後の議題の進め方について (2)自治体ヒアリング 3.閉会 ○水野補佐 ただいまから、第17回「厚生科学審議会感染症分科会結核部会」 を開催させていただきます。委員の皆様方、ヒアリング担当の自治体の皆様方 には、ご多忙中のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。私 は、健康局結核感染症課で課長補佐をしております水野です。しばらくの間、 進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。本部会の 開催にあたり、福島結核感染症課長より一言ご挨拶を申し上げます。 ○福島課長 結核感染症課長の福島です。委員の皆様方におかれましては、大 変お忙しいところを、第17回厚生科学審議会感染症分科会結核部会にご出席い ただきまして誠にありがとうございます。また自治体の皆様方におかれまして も、ご多忙の中をご協力いただきまして誠にありがとうございます。  皆様ご承知のとおり、結核に関する特定感染症予防指針が策定されて5年が 経ったわけです。この間、結核の患者数は順調に減少はしておりますが、一方、 それに伴って結核対策を取り巻く環境は大きく変化をしてきております。例え ば、結核医療に携わるスタッフの確保が困難になるという状況もあり、その人 材育成ということ、あるいは地域に適切な知識の普及を図ること、さらには、 DOTSに代表されるような良質な医療の提供、あるいは患者支援を行っていくた めに、医療機関・保健所・福祉施設を結んだ地域連携の体制の構築が求められ ている状況になっております。  このような状況を踏まえ、私ども厚生労働省といたしましては、結核に関す る特定感染症予防指針を今年度中に見直しをしたいと考えており、今回の部会 から委員の先生方にご協力いただき、現在の結核対策の実態を反映した予防指 針を策定し、結核対策を一層推進していきたいと考えております。  本日は、予防指針の見直しに関する今後の議論の進め方についてご議論いた だきたいと考えております。また、6都県の皆様方から、それぞれの自治体にお ける結核対策の取組みについてご報告をいただき、それについて先生方からい ろいろヒアリングを行っていただくことを考えております。是非委員の先生方 には、専門的かつ大局的な見地からのご意見を頂戴するようにお願い申し上げ まして、冒頭の挨拶にさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願い申 し上げます。 ○水野補佐 開会に先立って委員の出欠状況です。本日は飯沼委員、高橋委員 から欠席のご連絡をいただいております。また南委員からは、途中からの出席 とのご連絡をいただいております。部会委員総数12名のうち、現時点で9名の ご出席をいただいておりますので、出席委員が過半数に達しておりますので、 本日の部会は成立いたしますことをご報告いたします。  本日は、前回の部会でご相談させていただきました自治体ヒアリングを行う ことになっておりますので、自治体のヒアリング担当者の紹介をさせていただ きます。東京都感染症対策課結核係長の勝目様です。長野県健康長寿課長の小 林様です。島根県薬事衛生課感染症グループリーダーの沖原様です。徳島県南 部総合県民局保健福祉環境部技術課長補佐の藤原様です。高知県健康対策課チ ーフ感染症担当の高橋様です。長崎県県央保健所地域保健課係長の長谷川様で す。医療政策課主事の高比良様です。  次に事務局職員を紹介いたします。本年4月に結核感染症課勤務となりまし た原田補佐です。カメラ撮りはここで終了とさせていただきます。  続いて配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料一覧、座席表 があります。それから資料1、資料2、資料3があります。そのあとは参考資料 1から参考資料6まであります。東京都結核予防推進プランが追加で付いており ます。以降の議事進行は坂谷部会長にお願いいたします。 ○坂谷部会長 皆さん、本日はよろしくお願いいたします。福島課長のお話に ありましたように、1年かけて結核対策の国の中期計画といいますか、5年計画 といいますか、2期目のそういうものをきちんと立てましょうということですの で、じっくり議論を進めてまいりたいと思います。  まず議題1「特定感染症予防指針に関する今後の議論の進め方について」を事 務局から説明をお願いいたします。 ○水野補佐 資料1「結核に関する特定感染症予防指針に関する今後の議論の進 め方について」(案)を作成しております。今回の第17回結核部会では、都道 府県の結核対策への取組みに関するヒアリングを行い、各自治体が直面してい る課題や、参考にすべき事例等を探ることを目的とし、ご議論いただきたいと 考えております。  次に、前回の結核部会でのご指摘を踏まえ、結核に関する特定感染症予防指 針の各項目について、各関係自治体に対してアンケート調査を実施していると ころです。その調査結果等に基づき、平成22年度内に予防指針を改訂すること を目的として、現行の予防指針の項目に沿って、次回以降、順次議論を進めて いくこととしてはどうかと考えております。  また、これまで本部会において議論を積み重ねてきた、今後の結核医療のあ り方については、次頁に参考として第16回結核部会において提示しました議論 の概要から抜粋を付けておりますが、この各検討項目について、予防指針の項 目の第3「医療の提供」を議論する際に併せて議論する等、予防指針にかかわる 議論の中で検討を進めていくこととしてはどうかと考えております。  以下に、今後の結核部会の開催スケジュール案があります。6月下旬に第18 回部会を開き、その後は9月より順次開いていきたいと考えております。  次に、「結核に関する特定感染症予防指針の論点」(案)という4段の表があ ります。前回部会でのご指摘を受けて、結核対策の課題の整理のために、さら に加藤委員のご意見を踏まえ、予防指針の各項目につき、「指針に基づく施策」 「議論の視点」「対応策」の一覧をたたき台として作成したものです。左の段に 予防指針全文が載っております。「指針に基づく施策」は、国の施策、結核研究 所の単独事業、その他関係機関による事業と分け、適宜挙げさせていただいて おります。「議論の視点」のところは、特に加藤委員のご意見を踏まえて作成し ております。「対応策」の欄は、今後の部会で埋めていく予定のところです。た だし、今後の医療のあり方については、前回までの部会において議論が既にな されているところであるため、記載しているところがあります。 今回、特に 「議論の視点」についてご確認をいただき、今後の議論内容にかかわりますの で、現時点で委員の方々からご意見があれば伺いたいと考えております。以上 です。 ○坂谷部会長 特定感染症予防指針に関する今後の議論の進め方について、ま ず全体のスケジュールについては事務局から簡単にいま説明がありましたが、 それでよかろうかと思います。今回は、前回の轍を踏まないように、前もって 資料を委員の方々にお送りしておりますので、読んでいただいているかと思い ます。それを踏まえて、各項目について今後の各回にて議論を進めていくこと になります。水野補佐から説明がありましたように、議論の視点のところにつ いて追加・修正などがありましたら、この場でご意見をお願いいたします。各 分野を代表しておいでいただいておりますので、それぞれの担当の分野に関し て、こういう項目が抜けているのではなかろうかということがありましたら、 是非ともいまの段階でおっしゃっていただきたいということです。本日はマス コミ代表と医師会代表が抜けていますが、そのことについてほかの委員の方々 がおっしゃることはないと思いますけれども、いかがですか。 (特に発言なし) ○坂谷部会長 加藤委員のご意見を入れて、項目としてはたくさん入れたつも りですけれども、本日でなくても気がつかれたところがありましたら、随時事 務局に意見を提出していただいたら結構かと思います。事務局で取りまとめを して、最終的にこの項目が増えるかもしれません。  議題2「地方自治体のヒアリングについて」を事務局から説明をお願いいたし ます。 ○水野補佐 資料2「地方自治体ヒアリングについて」をご説明させていただき ます。目的は、平成16年から平成20年の結核罹患率の推移を基に、事情の異 なると考えられる自治体から、結核対策の背景・施策等について聴き取り、予 防指針改訂のための基礎資料とするということです。平成16年から平成20年 の結核罹患率の推移を基にということですが、結核に関する特定感染症予防指 針は、平成19年に結核予防法における指針を引き継いだ形で策定されていて、 結核予防法における指針は、平成16年に策定されていることから、平成16年 からの推移を基にということにさせていただきました。  対象都道府県は東京都、長野県、島根県、徳島県、高知県、長崎県になりま す。5年間において罹患率の推移を基に選定させていただき、ご協力いただいた 都道府県ということになります。参考データを見ますと、東京都は罹患率が高 めのところで5年間では減少しています。長野県は罹患率が低いところで5年 間では横ばいです。島根県、徳島県、長崎県に関して、罹患率は中ぐらいであ り、5年間では若干増えているか横ばいです。高知県に関して、罹患率は中ぐら いのところであり、5年間では若干下がっている状況です。  ヒアリングにあたっての主な視点は、結核対策の概要について、・近年の現状 と課題、・どのような計画を策定しているか―予防計画の概要、結核対策の指針 などです。・どのような施策を講じたか―特に重要課題に対する施策に当たりま す。  対策の結果については、・結核法に沿って対策を講じた結果、結核罹患率状況 等はどのように変化したか―指標の達成度等になります。  対策の評価については、・結核罹患率状況等が変化した理由は何か、というこ とで、罹患率が減少している場合は、特に功を奏したと考えられる対策は何か。 罹患率が停滞している場合は、対策があまり功を奏していない原因は何が考え られるかというようなことです。・結核罹患率状況等に影響を及ぼした外部要因 が何かあれか見ていただきます。・今後強化すべき対策・改善すべき点は何かと いうことです。これらの視点を中心にヒアリングをしていただければと思いま す。  次の頁は、6県の概況をざっと把握していただくために添付したグラフ等です。 ここの頁は「全結核罹患率の推移」ということで、全国と6都県について示し ております。  次の頁は「喀痰塗末陽性者数・全結核罹患率・死亡率」になります。左軸が 罹患率・死亡率、右軸は陽性者数に当たります。  次の頁は「小児結核罹患者数」です。これは積み上げ棒グラフになっていて、 5〜14歳、0〜4歳と分かれてお示ししております。  次の頁は「結核患者のうち外国籍の者の割合」を示しております。ダイヤの マークで太い線のものが全年齢を示しております。そのほかのものは、その年 齢階級における外国籍の割合です。ざっと見ていただきますと、ここは20〜29 歳、30〜39歳を中心に若年齢のほうが高めになっていることをお示しするため に作らせていただきました。  次の頁は「新登録結核患者数」です。これは、どの年代の割合が多いかをわ かりやすく見ていただくために作らせていただきました。  次の頁は「職業等別患者数」です。どこの県も無職・その他が多くなってお りますが、これは高齢者の数が反映されているものと思われます。グラフは以 上です。  次にヒアリングの進め方を説明させていただきます。各県ヒアリングが10分、 質疑応答が5分となります。ベルは9分のところで1回鳴らさせていただき、 10分のところで2回鳴らさせていただきますので、担当者の方はご留意いただ きますようお願いいたします。順番は東京都、長野県、島根県、徳島県、高知 県、長崎県の順番で行います。  各自治体の資料は、資料3「自治体ヒアリング資料」です。1頁に予防計画の 項目に基づいた課題、具体的な方向、結果等の一覧を作成していただいており ます。その後は各自治体独自に構成していただいた資料です。それでは、よろ しくお願いいたします。 ○坂谷部会長 都道府県の選び方は水野補佐がおっしゃいましたように、罹患 率で見て最近大幅に下がった所、高め安定の所、低め安定の所という選び方で、 この6都県を選んでおります。順番は、行政の中で全国の都道府県を北から南 へ並べるときに順列があるらしいのです。決まった一覧表があって、それに準 じた順番になっています。特別それ以上の意味はありません。  全体として予防指針が、国の結核対策の目標である5カ年計画、中期計画が どのように推移し、うまくいったかどうかを検証しましょうということを前回 決めました。それを現実的にやっておられるのは、各自治体が中心になって現 場でやっておられます。そういうことで、最近の自治体の現状についてヒアリ ングを行うという趣旨です。それでは、東京都からスタートいたします。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○東京都ヒアリング担当者 東京都の結核対策についてご説明させていただき ます。資料は1頁のまとめた表に従ってご説明いたします。現行の東京都結核 予防計画は都知事の諮問を受け、東京都感染症予防医療対策審議会が答申した、 東京都結核予防計画の策定に向けた基本的な考え方についてを具体化したもの で、平成17年12月に策定され、平成17年から5年間を対象期間としています。 なお、本計画は結核予防法の感染症法への統合に伴い、平成20年3月に策定さ れた、東京都感染症予防計画の一部として位置づけられておりますが、本日は 平成17年12月に策定した東京都結核予防計画についてご説明させていただき ます。  本計画は5つの戦略を実施することにより、3つの数値目標を達成することを 掲げています。さらに、東京都は特別区及び市町村との一体的取組みを円滑に 進めるため、都内各自治体の代表・有識者及び関係団体からなる検討会を立ち 上げ、行動計画に当たる東京都結核予防推進プランを平成19年3月に策定しま した。本プランは、予防計画で5つの戦略に掲げた項目を踏まえて4分野・8プ ランにまとめ、各プランにおける主な取組みについて具体的に列挙し、さらに 東京都特別区・市町村それぞれの役割についても整理しています。本日お配り いたしました資料については、本プランにおける分類に基づき作成しておりま す。  本プランの策定に伴い、平成20年度に2つの新規事業を開始いたしました。 1つ目は4頁にある、重点対象者への取組みとして、東京都など罹患率の高い大 都市に特徴的な、個別施策層、住所不定者、外国人、若者に対し、それぞれの 特性に応じた健康診断を実施しております。また、平成20年度及び平成21年 度に急遽実施した派遣村健診についても、本事業の一環として実施いたしまし た。  2つ目はプラン5の、DOTSの手法を用い、結核医療をネットワーク化するこ とにより、結核患者の治療を中断することなく治療完了まで支援する、結核地 域医療ネットワーク推進事業(5頁)です。本事業の具体的な事項は、自宅など でDOTSを実施するDOTS支援員の確保、薬局・診療所でDOTSを実施する医 療機関DOTS、患者さんの治療経過の共有化及び服薬チェックを行うツールであ る、地域連携パスノートの作成などです。  その他、具体的な取組みを着実に行った結果、予防計画で掲げた数値目標の 達成状況がどうなったか。1頁の表で、数値目標1が、プラン1の右側にありま す。予防接種の欄ですが、生後6カ月時点におけるBCG接種率95%について、 平成20年度は96.7%ということで達成済みです。  数値目標2が、プラン5のDOTSの結果の欄にありますように、治療失敗・ 脱落率を5%以下とする。この目標については残念ながらいまだ達成しておりま せん。しかし、参考にありますとおり、平成19年と平成20年を比較いたしま すと、わずか0.4%ではありますが改善が見られます。しかし、引き続き強化し てまいりたいところです。  数値目標3は、いちばん下の枠外になりますが、結核罹患率を27%以下に引 き下げ、これについては平成20年が25.1%ということで達成済みです。  この数値目標の達成状況を見て、何が大きく影響したかを計ることはなかな か難しいところではありますが、東京都が他県と大きく異なる点として、特別 区があるため、保健所を所管する自治体が25に分かれています。これらの自治 体が一体となって対策を行うことが大変重要と考えます。この広域的な連携体 制についてはプラン8にありますように、例えば広域対応を伴う事例発生時に おける情報提供を、電話やメール、各種会議等で行ったり、また感染症危機管 理情報ネットワーク・システムという、都内の保健所が見ることのできるシス テムを活用し、結核病床空床情報の提供や、その他広域的な対応が必要な場合 の情報等について提供しています。  その他、外国人対策については、外国人医療通訳の派遣や、外国人結核健診 におけるNGOとの共同により、行政がなるべく前面に出ないような対策につい て行っているところです。  最後に、今後強化すべき課題ですが、プラン4の医療提供体制について、結 核患者の減少以上に、結核病床の減少が進んでおり、危機感を抱いております。 また、合併症の治療に対応するためのモデル病床の整備を促進しているところ ですが、整備後の病床における結核合併症患者の受入れが進まず、透析などの 合併症患者の受入れに苦慮しているところです。このため、平成20年度に結核 医療提供体制検討会を設置し検討を行いましたが、新規事業等の施策構築には 至っておらず、事態が好転する兆しも見られないことから、今年度も引き続き 検討を行っていく予定です。以上で、東京都の結核対策についての説明を終わ ります。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。質疑の時間を5分間設けております ので、活発なご議論をお願いいたします。 ○川城委員 大変努力をしていることに敬意を表します。特に知りたいと思っ たのは、重点対象者に対する健診の強化です。あれをもうちょっと具体的に教 えていただけますか。例えば、フリーターを調べたいと思ったときにはどうい うふうにしているのか。健診車はどこのを使っていて、ドクターはどこから来 て、どこに行って、その予告はどうしていて、どのように集まってもらってと いう具体的なところをご示唆いただければと思います。 ○東京都ヒアリング担当者 重点対象者健診について特に難しいところは、若 者健診のところです。実際に行っているのは、主要な駅構内、あるいは駅の近 隣の公園で、その場でレントゲンの結果が出るCR車を設置して健診を行ってい ます。広報についてはチラシを作り、それを都内のネットカフェに置いたり、 あるいは区市町村に配布したりということで行っています。  ただ、実際にやったところ、あまりうまく啓発ができていないです。チラシ とか日程調整については、事前に計画を組んでやることが必要なのですけれど も、ここ2年は周知期間が取れなかったりして、今年度についてはホームペー ジ等でも若者健診の実施についてということで募集を行いました。それを見た 日本人学校からの学生が集まったりということで、実際には健診実施者数につ いてはかなり集まった状況なのですが、果たしてそれがこちらが目的としてい る若者健診のターゲット層にきちんと伝わっていたかについては、今後もちょ っと検討を進めていきたいところです。  住所不定者についてですが、東京都では住所不定者、あるいは簡易宿泊所な どを利用する山谷地域については非常に罹患率が高く、台東区については非常 に罹患率の高い所です。そちらに、城北労働福祉センターという、就労を紹介 する東京都の施設がありますので、そちらを利用したり、簡易宿泊所への健診 の広報等についてチラシを貼っていただくなどで周知を図っています。  外国人対策については、NGOの方に協力していただき、実際にやったのは板 橋区と新宿区の外国人が集まる施設等で実施いたしました。 ○川城委員 こういう人たちというのは、生活のサイクルが昼間働いていて、 私たちが仕事する時間には健診ができない、どこかへ行ってしまっていていな いという話がよくあります。その辺の時間帯をずらすというような工夫までは できなかったですか、できたのですか。 ○東京都ヒアリング担当者 それは、工夫の余地があると思います。住所不定 者健診等について、東京都については大体午前とか午後という形で半日程度の 設置です。職業の紹介の始まる前、早朝健診は非常に効果があるようです。 ○川城委員 早朝健診をされているのですか。 ○東京都ヒアリング担当者 東京都で実施したものについては、残念ながら今 回は早朝健診はできなかったのですが、台東区等では早朝健診を実施しており ます。 ○川城委員 患者さんはどのぐらい見つかったのですか。 ○東京都ヒアリング担当者 東京都でやったものでは、平成21年度の健診で 発見されて入院に至った患者さんは1名いました。 ○東海林委員 これに関連してかなり以前の話ですが、私は台東区の浅草保健 所にいたときに、山谷地域へは夏の夕方に健診に行きました。城北福祉センタ ーの診療所の先生と一緒になってやったことがあります。その場に健診希望者 に直接並んでもらって、レントゲン車で胸部レントゲンと撮り、当時はCRのよ うなものはありませんでしたから、レントゲンを急いで現像して、結果は2日 後に掲示しました。番号順でやっていますので受診者にナンバーを発行するの ですが、その番号で受診を呼びかけましたが、なかなか診療所までは結び付か なくて、3分の1ぐらいはどこかへ行ってしまいました。  また、城北福祉センターの中でやりますというアナウンスを事前にしておく と、その中で健診を受けたい人が集まりました。夕方は仕事が終わって帰って くる時間ですから、その時間帯に合わせてやりました。一方で食事をしたり、 お酒を飲んだりしている人もいるということでした。それでも、集団でやる方 が、個別に呼びかけるよりは効果があると思いました。 ○坂谷部会長 そういう地域は、東京都だけでなくて全国的に大都会にはあり ます。各地で同じような問題を抱えています。ですから情報交換をされてとい うか、オールジャパンでどのようにするかというノウハウ。地域特性もあるで しょうけれども、みんなで考えていく必要があろうかと思います。 ○菅沼委員 若者、フリーター、住所不定者、外国人とか、東京都の中に想定 されている人数の何パーセントぐらいにそれらの健診ができましたか。 ○東京都ヒアリング担当者 何パーセントというのは非常に。 ○菅沼委員 パーセントまでいかなくても、半分とか3分の1とか、4分の1と か。 ○東京都ヒアリング担当者 そんな割合には全く至っていないと思います。東 京都が直接行える健診の回数は限られています。4頁に出ていますけれども、平 成20年度実績では都内では12回しかできていない現状があります。直接健診 をやる行為と、そのターゲット層にどの程度啓発をするかというところが非常 に重要なところなのですけれども、それが果たして健診を直接実施する機会を、 こういう形で12回で果たしてどれだけ東京都内の重点対象者に対する健診効果 が上がるかというのは甚だ難しいところです。若者についても、もう少し有症 状受診等を呼びかけるような啓発行為についても必要なのかなというところで す。 ○菅沼委員 1人見つかって入院ということですが、たった1人だとしても、も し見つけなければかなりの感染源になったと思いますので、できたらもっと広 げていっていただけるといいのかと考えました。 ○坂谷部会長 東京都は、珍しく結核病床が不足している地域なのです。これ が全国に波及しないとは思いますけれども、ちょっとやり方が間違うと、全国 的に結核病床が足りなくなることもあろうかと思います。どうしてそうなった か、それに対して急速に用意をするためにどうしているか。先ほどのお話にも ありましたが、追加のお話をいただければありがたいと思います。 ○東京都ヒアリング担当者 平成20年に検討会を立ち上げ、その中でいくつか の課題整理がありました。こちらの結核部会のほうでも議論になっているよう ですが、いまの結核病棟としての病棟単位での設置等について、もう少し柔軟 に図れないかという議論があります。今後結核病床が減り続けることについて、 歯止めをかけることが難しいということであれば、DOTSの推進によって、退院 してからの連携とか治療体制を視野に入れた患者さんの支援体制をもっと構築 していく必要があるかという議論があります。 ○坂谷部会長 重要なことをサラッとおっしゃいましたけれども、大事なポイ ントだと思います。併せて、ナースを含めて、ドクターも含めて人材の育成に ついて、これもオールジャパンの話で東京都だけの話ではありませんけれども、 重要なポイントだと思います。東京都ばかりに時間を割くわけにいきませんの で、このようなやり方で各県からのご発表とディスカッションを進めてまいり たいと思います。続いて長野県からのご発表をお願いいたします。 ○長野県ヒアリング担当者 資料3の7頁です。長野県は全国一罹患率が低い ということです。本日のテーマは最近の状況ということですが、7頁の上のグラ フにあるように、戦後全国レベルで高かった罹患率が、戦後直後のところでか なり減少してきていて、それが今に至っていることをまずご確認ください。  平成21年の状況が7頁のいちばん下に載っています。罹患率自体は若干上昇 しています。この数字がわかっていれば、本日もしかしてヒアリングに呼ばれ なかったかもしれません。これは、まだ細かく分析はしておりません。現在、 QFTの普及に伴って、肺外結核等の診断がかなり進んでおります。右側にある 塗抹陽性患者で見ると、昨年よりは減少しているということで、でこぼこはあ りますけれどもそのような状況になっております。  10頁は患者さんの区分です。いちばん上と2つ目にあるように、高齢社会で ありますので、全国に比して高齢者の患者さんが多いという特徴があります。(5) にある外国人の状況も、おそらく全国に比べて多いということになっておりま す。この辺りが長野県の1つの特徴かと思います。  現在はHIVの関係で、重点都道府県からは外れておりますけれども、つい数 年前までは比較的多い県ということです。ちなみに10頁の外国人のところです が、平成20年末で45人登録されています。国籍は中国人が14名、フィリピン 人が10名、タイ人が6名という内訳になっております。必ずしも全部が全部ハ イリスクということではありませんけれども、例えば、そのうち定期外健診で 見つかっている患者さんが7名、あるいは定期外健診で初感染結核、今でいう と潜在性結核として見つかっている方が7名、合計14名です。定期健診で見つ かった方も7名ということで、外国人イコール必ずしもハイリスクということ ではありませんが、そういう内訳になっております。  11頁は、結核研究所でお出しいただいている資料です。右側の黒い棒グラフ の概ね右側に向いているほうがあまり良くないもので、左側に向いているのが 比較的良いということになります。罹患状況はもちろん低いわけですが、潜在 性の方が多い。それから医療機関での診断については比較的よろしいと。あと は接触者健診についてもかなり幅広にやっている特徴があります。12番は肺外 結核が多い。残念ながら長野県は19番から24番に至るDOTSの関係では取組 みが遅れている状況です。  このような状況を踏まえ、私どもが現在行っている取組みは6頁に戻ります。 6頁の左側は、それぞれ法律等に書かれている事項です。具体的にはいちばん右 側にある平成20年の取組みが参考になると思います。高齢者の受診困難な方に 対しては、昭和61年から私どもが施設等に赴いて健診の機会を提供しておりま す。外国人の数は少ないですが、これは長野県内にある日本語学校に出向いて の健診です。それから記載はありませんが、各母国語教室というのでしょうか、 タイならタイの言葉を教える集まりがあるということで、そういう所に保健所 が出向いて健診のPR等も行っております。こちらについては、最近の実績とし ては1桁に留まっている状況です。定期外健診の実施率は比較的良好かと思わ れます。BCGも高い率ですが、服薬確認については、全国の平均よりかなり下 回っている状況です。  最後に、信州婦人健康の集いということで、婦人による結核の普及啓発とい うことで、これは昭和50年代から行っている取組みです。先ほど申し上げませ んでしたが、戦争直後に結核が大きく減少した1つの要素として言われている のが、保健補導員という、民間のボランティアの方々による普及啓発が大きく 功を奏したのではないかと言われております。現在でも長野県内で1万4,000人 の保健補導員が地域で活動しております。  以上を踏まえ、私どものほうで罹患率が減少している、その要因は何かとい うことです。普及啓発が1つの大きな柱、それから定期外健診の徹底した実施、 病院での比較的早期の発見が挙げられるかと思います。  逆にいま長野県で苦慮している問題が何点かあります。高齢者の患者さんの 早期発見の部分、外国人の問題、そして服薬確認です。長野県は広いので、医 療機関とどのようにタイアップしていくか、これは私ども自身の取組みをもっ ともっと進めていかなければいけないところです。  以下に申し上げる2点は、是非国レベルでの対応をお願いしたいと思います。 1つは院内感染対策としての結核の部分です。現在、長野県ではこれまでの経緯 もあり、病院の中で患者さんが見つかった場合のいろいろな対応については、 法律上は「保健所の」と書かれておりますけれども、比較的病院とタイアップ して、あるいは場合によっては病院にある程度一定のものをお願いをしてとい う実施をしております。この辺りは病院の中で発生した場合には、保健所が中 身までしっかりかかわっていくのだという、こういう指針をニュアンスとして 整えていただけるとありがたいと思います。  それから、結核医療の問題も出ていました。現在、長野県では2つの病院で 合計44床の運用病床でやっております。次々と減少していく中で、集中化はや むを得ないと思いますが、それに伴う経営上のいろいろな問題等があります。 現在、国立病院機構と県立病院機構が担っているわけですが、そうは言っても 何かしらの運営的な面での補助もないと、だんだん少なくなっていく結核医療 の確保が難しいと感じておりますので、その辺りの対応もお願いできればと思 います。以上です。 ○坂谷部会長 質疑応答の時間ですが、よろしくお願いいたします。 ○加藤委員 長野県はあまり罹患率が減っていないという状況ですが、分析は QFTの適用で肺外結核の診断が増えている、あるいは外国人が増えているとい うことで、的確に分析をされていると思います。そうした分析は、どちらで、 どんな形で行われているのですか。例えば、定期的に評価会議をやっていると か、内部でやっていらっしゃるとか、どのように評価されているのですか。こ れは計画を立てる意味を考えたら非常に大事だと思うので教えていただけます か。 ○長野県ヒアリング担当者 参考資料2に私どもの予防計画があります。これ に書かれている結核の部分は非常に少ないのですが、4頁に結核の定期健診、い わゆる罹患率が高い場合には定期健診を広げることができると。そこに呼応し て記載をしている程度です。この部分は正直なところあまり豊富な内容にはな っておりません。  これも含めて長野県のほうでは感染症の委員会を、外部の先生方により委員 会を構成しておりますが、そこで年に1度結核に関する報告を多少させていた だきます。そこで新たな施策として出てくるというのは、最近ではあまりあり ません。  分析等の数字的な部分は、私どもの課の職員が代々行っております。お示し した横長の結核研究所で出していただいている管理図は、そういう意味では私 どもができない分析を非常によく、端的にしていただいていますので、これは 私どもにとっても非常に有用に使わせていただいております。是非この部分の 結核研究所の対応を今後も継続できるようにご配慮いただければと思います。 ○菅沼委員 私の父親の実家が長野県ですので、子どものときからずっと行っ ております。子どものころは、実家の嫁が、農協で健康によい料理の仕方とか 塩抜きとか、そのころから生活習慣病予防のような指導を受けて、習ってきた から作ったということをよく聞いていました。現在も、生活習慣病の罹患率は 低いですし、男性は日本の中でいちばん長寿です。なおかつ、従兄弟などはよ く働いていて、健康寿命も長いと思うのです。  結核に関してもかなり低い罹患率であって、みんなに対する啓蒙はどこがい ちばん担ってやっているのか。それとも、自発的にそれぞれの地域が、そうい うものに関心を持って、高い知識欲でやっているのでしょうか。 ○長野県ヒアリング担当者 一部の説には、結核の罹患と蛋白質の量は反比例 すると言われています。長野県は、食糧は豊富ではありませんけれども、自然 に恵まれたザザムシとかイナゴとかを食べています。 ○菅沼委員 よく食べさせられました。 ○長野県ヒアリング担当者 それはともかく、普及啓発についてはいろいろな パートがありまして、おっしゃられた農協というのは、正確には厚生連という ものです。農協が行っている保健衛生の活動、あるいは病院の運営ということ で厚生連という組織があります。全国的に有名な佐久総合病院をはじめ、そこ だけではなくて10カ所の厚生連病院があります。そこで健康教育や健康診断、 昔でいうと結核の発見が大きな責務としてあったと思いますが、そうした活動 があります。  片方で、国民健康保険による病院での取組み。その下部組織として、先ほど 申し上げました保健補導員という、現在でも県下で1万4,000人の活動がありま す。そうした大きな2つの潮流があります。保健補導員は、特に市町村が国民 健康保険医療機関とタイアップして育成したり、実際に健診のお誘いをしたり という活動をしております。  行政というか県レベルですと、主に厚生連とのお付き合いがあります。そう した普及啓発の部分が、ただ行政だけではなくて、特に医療機関が予防活動に 熱心に取り組んでいただいたということが、おそらくほかの県とはちょっと違 う状況なのかと感じております。 ○坂谷部会長 長野県は教育の分野でもそうですけれども、官民挙げてという か、呼応して上手にやっておられます。昔、日本全体がそうだったと思うので すが、それの良いところが残っているという感じでやっておられます。それで、 自前のやり方がうまくいっているものですから、世界的なトレンドになってい るDOTSに食い付きが悪いのだと思います。自信があるのだと思います。だか ら、今のままでうまくいっているから、どうしてそういうことをしなければい けないのだという気がするというのはわからないでもないです。 ○重藤委員 いまのDOTSに関してですけれども、脱落・中断が10%というの はちょっと多いです。やはりDOTSがあれば続けられた人がかなりあるという 分析ですかね。中心となる医療機関が2施設だと、わりに連携は取りやすいの ではないかと思うのですが、その辺りはいかがですか。 ○長野県ヒアリング担当者 このDOTSの数字は、私ども保健所のほうで確認 が取れていない部分もありますので、ここは是非今後も精査していきたいと思 います。それから、長野県は非常に長い県土でありますが、その中で医療機関 が2カ所ということで、医療機関としては連携は取りやすいのですけれども、 逆にいろいろなバックグラウンドがある保健所がそれぞれあります。単純に言 うと5つの保健所ずつが関係するわけですけれども、うまく共通の歩みで、こ ういう方向でやりましょうというところの意思統一の辺りが、これまでやや十 分ではなかったということですので、これからは是非そこに取り組んでいきた いと思っております。 ○川城委員 いまの話の続きですが、DOTSを実際にやっている場所としては病 院でやっているのですか。2カ所の病院だけでやっているわけではなくて、例え ば薬局でやっているとか、開業の先生方がやっているとか、その辺はどのよう な割合になっていますか。 ○長野県ヒアリング担当者 院内DOTSは、もちろん入院期間中に病院でやっ ています。 ○川城委員 外来DOTSはいかがですか。 ○長野県ヒアリング担当者 外来についてはお住まいの所です。私も保健所に ついこの間までいましたけれども、実際に患者さんの住んでいる場所、あるい は昼間の職場の場所のほうがよろしいということになると、そこまで保健師が 出向いて行っています。患者さんごとに、いちばん影響の少ない所を選んで行 っています。 ○川城委員 私が聞きたかったのは、出前健診、寝たきり高齢者をずっと気に しています。長野県ではなさっていると聞いたのですけれども、どのような工 夫をして、どのようにやっているのでしょうか。でも、発見は0人と書いてあ りますが、あまりいないものなのでしょうか。私はたくさんいらっしゃるので はないかと思っていたのです。 ○重藤委員 これしか健診していなければ。 ○川城委員 そんなものなのでしょうか。 ○長野県ヒアリング担当者 資料の6頁にある0人というのは、平成20年の1 年間で発見した患者が0人で、累積では2万9,000人に健診して12人の患者が 発見されています。 ○川城委員 この累積というのは、高齢者の累積なのですか。 ○長野県ヒアリング担当者 そうです。 ○川城委員 高齢者の健診が2万9,000人。 ○長野県ヒアリング担当者 はい、昭和61年から20年以上にわたっています。 ○坂谷部会長 健診によって発見されたのが0人と理解するべきで、症状が出 て自らお医者さんを呼んで発見されたのは入っていないと思うのです。 ○長野県ヒアリング担当者 そうです。それはまた別立てです。あくまでもこ の健診で見つかった人です。 ○川城委員 どういう方の所に訪問されるのですか。 ○長野県ヒアリング担当者 特別養護老人ホーム等で、本来は施設健診が行わ れてしかるべき場合であっても、実際にはなかなかそこまではという場合に、 県が健診車を用意しています。特に、最近はストレッチャーでもそのまま入っ て、寝た状態でも撮れるような仕組みがある車を用意して実施しています。 ○川城委員 在宅の場合はどうされるのですか。 ○長野県ヒアリング担当者 ここの取組みでは、基本的に在宅はほとんど入っ ていないです。 ○川城委員 そういう施設にいて、ストレッチャーでレントゲン車まで出せる ような所に出前していると。 ○長野県ヒアリング担当者 はい。 ○坂谷部会長 ほかによろしければ、次に島根県からのご発表をお願いいたし ます。 ○島根県ヒアリング担当者 資料は12頁です。島根県の計画は、参考資料3の いちばん最後の頁を一緒に見てください。初めに、島根県では平成17年に予防 計画を策定し、平成20年8月に計画対策推進計画に改正いたしました。全結核 の罹患率を15.0%、平成17年に策定したときの平成15年の状況が19.9%でし たので、15.0%という数字を定めて対策を進めてまいりました。  計画の目的は12頁から13頁にあるように10項目に定めています。1番目に 接触者健康診断の徹底ということで、接触者健康診断の受診率100%を目指して やっております。2番目に早期発見の推進ということで、発病から登録まで3カ 月以上のものを10%以下、受診の遅れは10%以下と定めてやっております。  1番目の接触者健診については、86.2%から100%ぐらいということで、ここ はまだ推計の数字なので、概ね達成されている形になっております。2番目の早 期発見の1番と2番については、10%以下という目標なのですが、15.6%と18.8% と目標に達することができておりません。  第3番目は、適正医療の普及、治療期間の短縮です。PZAを含む4剤の処方 割合を70%以上にするということで、現在全体では50.9%ですが、70歳未満の 場合には87.8%と高い数値を示しております。  第4番目の患者管理については、入院中、退院前を含めてDOTS実施100%と いうことでやっております。DOTSは、入院勧告をされた方については入院時も 退院時も100%なのですが、「入院勧告以外」と「その他の入院」の方について は、それぞれ96%と76%と若干低くなっております。  第4の4番目は、新規の登録患者(喀痰塗抹陽性肺結核患者)の初回治療の 失敗・脱落割合を5%以下ということでやっておりますが、平成20年には1名 出ております。これについては、9か月の治療期間ということですが入力上の問 題で270日に少し足りなかったということで「脱落」になっていますが、実際 は「完治」です。  第5番目の院内感染、施設内感染対策については、それぞれ講演会や研修会 等を設けて、医療機関の職員の意識啓発を図っているところです。それと、施 設入所者の定期健康診断の受診率95%以上を掲げておりまして、若干下がって おりますが、93.5%。これがなるべく下がらないようにということで、先ほど言 いました研修会や講演会等を行っております。  第6は、定期健診の受診率、予防接種率の向上です。BCGについては、生後 6カ月時点で97%、生後1年時点で98%と概ね良好な状態にあります。しかし、 65歳以上の定期健康診断(市町村実施分)については、平成17年に89.8%でし たが、平成20年は70%と下がっております。  13頁にいきます。第7は、関係機関との連携です。これは研修会や講演会等 をして医療機関、施設、市町村等との連携を図っております。  第8は、結核発生動向調査の精度向上ですが、喀痰塗抹陽性患者の初回治療、 コホート対象者の情報不足割合を0%ということでやっております。年末時点で の登録者の「病状不明」の割合は3%以下ですが、現在は11.7%と下がっており ます。これについては今、調査をかけて対応を図っていきたいと考えておりま す。  人材育成、それと人権の尊重につきましては、研習や講演会等で対応してい るところです。  2番に戻っていただきます。早期発見の推進ということで、市町村との連携を 深めながら、住民への啓発活動を進めていこうと考えているところです。第6 番目についても、65歳以上の定期健康診断の受診率が70%なので、これも合わ せて住民の方への啓発を図るようにしているところです。 ○坂谷部会長 8番、初回治療のコホートで、情報不明割合は0%ですが、その 右側に「判定不能」の割合が6.8%とあります。ですから、追跡は間違いなくで きているが、正確な判定に資するデータは手に入っていない人が6.8%あるとい うことですか。 ○島根県ヒアリング担当者 そうです。 ○坂谷部会長 ディスカッションをお願いしたいのですが、私から1つ。院内 感染対策の話で、保健所が医療機関に対して介入できないということはないで すか。治外法権ではないわけで、関係を良好に保つために遠慮なさって、保健 所が医療機関に任せておられるのかもわかりません。そういう事例を我々はあ まり考えたことはないのですが、ほかの都道府県の担当者の方はどうでしょう か。 ○島根県ヒアリング担当者 医療機関の入院患者から出た場合なのですが、病 院の職員については、医療機関で年に2回健康診断を実施しておりますので、 直近のもの、あるいは届出以降すぐにある場合は、そういうものを利用して接 触者健診に当てております。また、入院されている患者さんにつきましては、 医療機関のほうでお願いいたしまして、退院されている患者さんにつきまして は保健所で対応しています。職員については、病院から定期的な報告をいただ くようにしております。 ○坂谷部会長 必要なデータは医療機関に求めて、医療機関のされたデータを 手に入れられればいいですね。 ○島根県ヒアリング担当者 はい。発生した場合には必ず病院内での院内感染 対策会議が開かれますので、その場で職員への徹底を図ってもらうようにして おります。 ○坂谷部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○加藤委員 この計画の中に指標が入っているのですが、指標というのは、 Outcome Indicatorといって最終的な罹患率などの患者指標とProgram Indicatorすなわち、各事業自体の実施に関する数値目標があるのですが、各事 業自体の目標を入れられた策定時の経緯を教えてください。計画するときにこ れを含めるとなかなか難しいのですが、各事業自体の数値目標に向かってやっ ていくこと自体がうまくいっているカギになっていると思ってお聞きしたので すが、もし、そういう経緯がわかれば教えていただきたいのです。それと評価 をどのようにしているか、もう少し教えていただきたいのです。 ○島根県ヒアリング担当者 まず評価のほうですが、毎年度末に県下の感染症 審査委員会の結核部会の皆さんにお集まりいただきまして、全県の患者さんの 症例について検討します。それによって技術の向上を図っているところです。  計画策定に当たってそれぞれ数値目標を出した経緯ですが、私は平成19年当 時のことが分からないのです。後ほど必ず回答したいと思いますので、よろし くお願いします。 ○坂谷部会長 いまの話は、事業がきちんと行われているかどうかの指標と、 事業の目的を達したかどうかの指標とは明確に区別して立てるべきであって、 両方の数値の並べ方は適切に並べないと駄目だ、ということですね。 ○加藤委員 はい。 ○坂谷部会長 時間がきております。続いて徳島県の方からお願いします。 ○徳島県ヒアリング担当者 鳥取県や高知県、長野県と同じように、私どもの 徳島県におきましても、人口推移で高齢化が進んでいるというのは確実に感じ ております。この中で、資料の中にありますように、徳島県の新しく登録され る患者様の中で、60歳以上の方が占める割合が7〜8割であるということが1つ あります。またご存じのように、徳島県には糖尿病の死亡率が全国1位を長期 間にわたって続けているという恥ずかしい現実がございます。こういったとこ ろを踏まえながら説明を差し上げたいと思います。  平成20年度には180名の新たな患者がありましたが、そのうち55名が肺外 結核です。平成15年のデータによると6人に1人が糖尿病で、合併症がある ということです。  それと高齢化です。高齢者と申しますと、自宅にいられる方、あるいは長期 療養型の病院施設に入院されている方、あるいは老健施設に入院されている方 といった分類があろうかと思いますが、最近におきましては、老健施設等で排 菌されて発症されるという方が多く見受けられます。この中で、職員が二次感 染を受けたというような現実もあるわけです。併せて精神病院、これも長期療 養型という認識があろうかと思いますけれども、この中でも患者が発症し、そ の看護をする看護職員、あるいはそこに来ていた学生が二次感染を受けるとい った事例も時々見受けられるという現状があります。  こういった現状を踏まえて、私どもは病院に対して、あるいは老健施設等に 対して、こういったことにならないためにどうしたらいいのか、あるいは、な ったときにどうしたらいいのかというようなことを啓発する重要性を非常に感 じております。先ほど長野県からも話がありましたように、医療機関が施設で 起こったときに、感染症の対策委員会とどう協調して保健所が対策を講じてい くかという問題があります。私どもはこれまで、病院のほうに、このメニュー で健診を行ってください、あるいは、この時期に健康診断を行ってくださいと いうことで協力をお願いする。そして、十分話をしながら対応していただくと いうようなことでお願いをしてまいりました。ほとんどのところにご理解をい ただきながら、今まで実施してきたところです。ただ、16頁にある「徳島結核 対策パッケージ21」の定期外健診や接触者健診での発見率は低いという状況で す。これは平成19年2.27、平成20年は、恥ずかしながら1.6という数字が上が っています。私どもはQFTを使いながらそういったところの健診を進めてまい りたいと考えているところです。  罹患率が停滞している原因は、高齢化、そして糖尿病による何らかの影響が あるのではないかと考えられます。  それからもう1つ。これまでに外国人、特に中国人の研修生が私どもの県内 にたくさん入っています。こういった方々への健診を充実していこうというこ とで、こういった方々を雇用している組合と連携しながら、広く県内で健診を 充実させていくという形で実施しております。また住所不定者、要するにホー ムレスの方が、東京や大阪よりは非常に少ないのですが、私どもの県にもいら っしゃいます。こういったところについては、NPO法人と協働で健診を実施す るという形で動いております。  今後につきましては、症例検討会などを通じて、DOTSの確実な実施を含めて、 主要な病院等と協働的な動きをさせていただきながら、さらに対策を講じてま いりたいと思っております。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。有識者を含めて の県と市の対策委員会というのは、もちろんお持ちですね。 ○徳島県ヒアリング担当者 保健所で実際に実務をしている職員を中心とした 担当者が国立病院機構と連携を持ちながら、症例検討、それから指標の検討と いう形で検討会を持っております。 ○坂谷部会長 中期計画の中で、今年の目標はどうしましょうとか、去年はど うだったとか、そういう分析や検討をする場はあるのですか。 ○徳島県ヒアリング担当者 それはございます。 ○坂谷部会長 ディスカッションです。何か問題があるとか、よくやっている とか、いかがでしょうか。 ○菅沼委員 9頁で、60歳以上の方が7〜8割ということでしたが、お年寄りの 方の結核の割合はどのくらいか教えていただけますか。小児のほうは入ってい るので。 ○徳島県ヒアリング担当者 それは徳島県の新しく結核になられた方の中で7 〜8割ということです。 ○菅沼委員 60歳以上の方の結核の割合というのはどのくらいなのでしょうか。 正確でなくてよろしいのですが、高齢化ということで、そちらのグループに結 核の人が増えているのか。それと糖尿病との関連は非常に重要なので、お年寄 りの方々の割合と糖尿病の割合と結核の割合とがリンクするところがあるかど うかを知りたいと思います。 ○徳島県ヒアリング担当者 まず平成20年度には新しく登録された方が180名 いらっしゃいます。この中で55名の方が肺外結核でしたが、180名の中で約7 〜8割の方が60歳以上ということです。 ○菅沼委員 その7〜8割がお年寄りなのですか。 ○徳島県ヒアリング担当者 そうです。そして、平成15年には6人に1人が 糖尿病との合併症だったということです。 ○菅沼委員 糖尿がベースになって発病しやすいと言われております。結核対 策もそうなのですが、糖尿病対策は一緒になさっているのでしょうか。 ○徳島県ヒアリング担当者 徳島県といたしましては、徳島県の医師会と協力 しながら、糖尿病対策を各保健所でも講じております。食事のことや運動のこ と。地域の飲食店を営んでいる方については、ヘルシーメニューを出してくだ さいとかと具体的な話をいたします。阿波踊り体操とか、そういった形で運動、 食事、あるいは医療、この3つを主眼に置いて対策をしています。 ○坂谷部会長 ちなみに、糖尿病が多いというのは何か理由があるのですか。 ○徳島県ヒアリング担当者 その辺りの分析は非常に難しいところだと思いま す。うちの経済に詳しい方の話ですと、徳島県人というのは貯蓄が非常に多い のだ。その上で、甘いものの消費率が全国的にも非常に多いのだ。また、健康 への投資、要するに、どこかのジムへ行くという活動に対する投資が逆に低い のだというようなことも言われております。そういうことで食事の関係、また 運動の関係、こういったところがあります。また、公共の交通機関が非常に発 達していなくて、車での移動が多く、歩かないということも言われております。 ですから、徳島県人は、全国的な平均と比べても約1,000歩ほど歩く数が少ない のではないかとも言われております。「プラス1,000歩運動」を県の医師会がす る等具体的な対策を講じていますが、そういったことが原因であろうと考えら れています。 ○坂谷部会長 逆が長野県かもしれませんね。ほかに質疑応答はございません か。 ○加藤委員 この参考資料は「結核感染症予防計画」となっているのですが、 結核だけを別にしたものはお作りになっていないという理解でよろしいですか。 ○徳島県ヒアリング担当者 そうです、一緒になったものだけしかございませ ん。 ○重藤委員 徳島県で罹患率が高いと言っても、大体大阪の周辺は高いのです。 その辺の影響は感じられますでしょうか、例えば住所不定者に関して。 ○徳島県ヒアリング担当者 住所不定者として自治体がつかんでいるのは20〜 30名という数のようです。ただ、NPO法人によりますと60人程度いるのでは ないかと言われています。数が倍違うので、調べ方によって数の上がり方が違 うのかと思います。ただ、徳島県と大阪とは海を隔てているわけで、自転車と か歩きで行くのはちょっと難しいということがあります。経済的困窮者が大阪 と徳島を行き来するというのは難しいのかなという部分があって、そこら辺の ことはあまり感じてはいないのですが、一部行き来はあるようです。 ○重藤委員 糖尿病対策と結核対策を多少ともくっつけるという努力はないの でしょうか。 ○徳島県ヒアリング担当者 ご指摘でございますが、いまのところ、その業務 をリンクさせた事業というのは徳島県には存在していないのです。 ○坂谷部会長 どうもありがとうございました。それでは続いて高知県に移り たいと思います。高知県の予防計画には「第二次高知県結核根絶計画」という 副題が付いております。 ○高知県ヒアリング担当者 高知県の分を発表させていただきます。まず、お 手元の資料の21頁で、近年の高知県の現状からお話させていただきます。全結 核の罹患率は、平成16年は22.9%でしたが、平成20年は17.1%と罹患率は年々 低下しておりますが、減り方は鈍化傾向が見られます。平成21年度は登録患者 が20年から比べると増えているような状況になっています。新規登録患者に占 める70歳以上の高齢者の割合は、ここ数年65%を超えております。島根県や徳 島県と同様に高齢者対策の比重が増してきております。  このようなことを受けて、平成21年度に「高知県結核予防計画、副題・第二 次高知県結核根絶計画」の平成20年度が終わった段階での検証を行いました。 本来であればこの検証結果を踏まえて次期計画を昨年度中に作らなければなら なかったのですが、今回この部会で検討されているように、国の予防指針が変 更になるとお聞きしていました。そこで、その指針に沿った形で予防計画を策 定していきたいと思って、いま検証から出てきた課題について、それをどのよ うにしたらいいかという形で取組みを始めております。  この予防計画ですが、「二次」と書かれているように、実は第一次根絶計画と いうのがありました。これは平成11年3月に策定されておりまして、各保健所 ごとにWGを作りまして、この取組みの成果をまず検証し、その結果を受けて 第二次の計画を作っております。計画自体がボトムアップで上げられた計画で す。  まず大目標を掲げて、その第目標を達成するための対策として6つの柱を立 てて、それらが総合的に効果が発揮できるように、6つの柱それぞれの中に中目 標を立てております。その中目標の達成指標、そして、その目標を達成するた めにはどういうことをしていったらいいかということを掲げて、「高知県におけ る結核対策パッケージ」という名称で作っております。それがお手元の資料の 21頁に書かれているパッケージです。結核の関係者とか機関のすべてがこのパ ッケージに示された指標・目的を意識しながら、結核患者の人件に配慮しつつ 結核対策を展開していこうということでこの計画が成り立っております。  結核対策の指標としましては、全結核罹患率の年平均減少率を6%と考えまし た。そして、平成16〜21年の5年間で、平成15年を基準として、この罹患率 23.9%の70%に当たる16.7%以下にしていくということを大きい目標として、 それに向かって6つの施策を立てております。  資料にありますように、中目標として、「接触者健診の強化」「院内感染対策」 「DOTS推進による患者管理の向上、」「適正医療の普及」「効果的な定期健康診 断」「BCG接種に向けての支援」「結核予防意識の普及と対策推進のための情報 活動」という形で施策を立てております。実際にこれに基づいてやっているの ですが、特に重要課題に対する施策は特別なものがなくて、6つの施策に総合的 に取り組むという形で進めてまいりました。  例えば「接触者健診の強化」につきましては、関係機関や施設等との連携を 強化して患者と接触者の的確な把握を行う。また、集団感染が疑われた場合に は発生時対策検討会を行い、地域の医療施設等と一緒になって保健所が取り組 んで、役割分担を決めて、どういう形で進めていくかを一緒に話し合って対策 を講じてまいりました。  また「DOTSの推進による患者管理」については、高知県地域DOTS実施計 画というものを策定して、関係機関と連携して患者管理を行っております。そ れと合わせて、高知県も県内が横に長くて、6つの保健所の中で対応しているの ですが、県下統一の服薬手帳というものを作りまして、服薬指導についても統 一したものを行っていくということで対策を組んでおります。  その結果、その後罹患率等がどうなったかです。まず指標の達成度なのです。 大目標に掲げた罹患率ですが、平成20年は17.1%となっております。全国順位 も、平成16年の33位、平成20年は22位と全国的にも中位になっております。 平成15年次と比べますと71.5%に当たるのですが、目標はほぼ達成できている のではないかと考えております。それぞれの中目標については、資料に結果を 載せておりますので省略させていただきます。  この対策の評価です。まず、高知県での罹患率は減少しているのですが、6つ の施策について総合的に取り組んでおりましたので、これをやったから低くな ったというものとして特に考えられるものはありません。ただ、高知県地域 DOTS実施計画というものを平成17年に作って、各保健所でそれを地域に根付 かせるということでやっていきました。それで医療機関との連携は非常にスム ーズにできております。高知市が中心になっておりますが、院内のDOTSカン ファレンスは定例化できておりまして、保健所のほうから働きかけをしなくて も病院のほうから、今日やるので、日程などはどうでしょうかと、こちらのほ うへ連絡してくるような状況で、関係が非常に良好になってきております。  影響を及ぼした外部要因が何かあるかということですが、高知県でも患者の 高齢化が進んでおります。そして、既感染者の再燃事例が増加しておりまして、 罹患率の減少が鈍化している。いろいろな指標の結果を見ていく中で、それが 要因として出てきております。  今後強化すべき対策や改善点ですが、まず、接触者健診の徹底ということが 必要になってくると思います。患者管理の中で、経過観察が2年と長く、対象 者の方の健診に対する意識が希薄になりつつありますので、それをどのように して未実施にならないように持っていくかが問題になっております。また、高 知県の地域DOTS実施計画に基づいた患者管理なのですが、医療機関でのDOTS カンファレンスは非常に良好なのですが、地域DOTSの部分が弱いところがあ りますので、今後それを進めていかなければならないという課題がございます。 さらに、患者の減少により、保健所によっては非常に事例が少なくなってきて、 保健所が連携して合同で施策を組まなければいけないような状況にもなってき ております。コホート検討会については、今も合同でやっていかなければなら ないぐらいに対応ができなくなってきております。今までやってきた中で、計 画が実施できているか、どれぐらいの達成があったかということは保健所レベ ルで対応しておりました。その中で、自分たちが抜け落ちている部分に職員が 気付くような形で、これもしなければならなかった、あれもしなければならな かったという細かいことがいくつか課題として出てきております。このように、 自分は何か抜けているのではないかと気付いて、そこから患者さんたちあるい は地域に対応していくということが非常に大事であった、ということが検証す ることでわかりました。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。ご質問はいかがでしょうか。 ○東海林委員 医療機関と保健所等との協力関係がいいというのは以前からな のでしょうか。それとも、比較的最近、県のいろいろな計画を進める中で出て きたことなのでしょうか。 ○高知県ヒアリング担当者 平成17年に高知県のDOTS推進計画を立ち上げた ときは、この時間はどうなるのだとか、報酬はどうなるのだとかいろいろあっ たようですが、結核病床の看護師、職員たちとやってきた中で、服薬は大事だ ということが病院方も、連携をとりながら協議している中でわかってきて、今 はスムーズな状態になりました。ちなみに、これは高知市保健所が非常に力を 入れて、良好な関係をとってくださったという成果があります。今はコホート 検討会にも病院の方が一緒に入ってくださって検討していくことになっており ます。 ○川城委員 21頁の中ほどにある、治療成功率54.3%。これはどんなふうに評 価されているのか。また、その原因はどこにあるとお考えですか。 ○高知県ヒアリング担当者 これはシステムの中から出してきたデータです。 検証している中で、どうしてこんなに低いのだろうかということは検討の課題 になりました。そうしたら、270日に足りない方の分が。医療機関側から、治療 は完了しましたという報告があった日をそのままストレートにシステムの中に 入れたことによって日数が足りなくなったということがいくつか見られました。 検証の中でそれがわかりまして、実際に調べてみると、前はちゃんとした数字 を入れるとシステムが動かなかったのだけれども、今のシステムになって、数 値が抜けているところがあっても前に進んでいくので、そのままやってしまっ たという感じで、本当に恥ずかしいのですが、職員のシステムに対する理解力 が弱かった部分で、実際に登録される数値が低くなっております。 ○重藤委員 いまのお話にはあまり出てこなかったと思うのですが、「適正医療 の普及」で、戦略として結核審査協議会の機能強化が挙げられています。具体 的には何か対策をお考えでしょうか。 ○高知県ヒアリング担当者 先ほど課題の中でお話させていただきましたが、 実は件数が非常に少なくなって、単独の保健所で審査会を開くのが困難な状況 になってきております。高知市は中核市ですので単独で1つあるのですが、あ との5つの保健所は合同で開催するという形を高知県ではとっております。そ うすることによって、全部の保健所が集まってそれぞれの症例を聞くことがで きるということ。あとは、結核審査会の先生方がおられます。それを感染症協 議会の中に作っており、6つのカテゴリーの中に指定医療機関の先生方も入って くださっていますので、4剤の推進というものも進めてくださって強化ができる ような形になっております。 ○重藤委員 合同だと、かなりの人数の委員が集まるということですか。 ○高知県ヒアリング担当者 県全体で1つの協議会になっておりますので、6人 の先生方です。それぞれの保健所がその6人の先生方にご意見を聞くという形 をとっております。 ○重藤委員 私の経験でいきますと、だんだん人数が減ってきますと、その地 域の委員がその地域の患者さんを診ていると、自分で自分を審査するというこ とに、どうしてもなってしまうのです。ですから、その辺のところを、ほかの 県の方々もどうしていらっしゃるのだろうかと疑問に思っているのですが。 ○坂谷部会長 6人の委員とおっしゃいましたが、一堂に会してではないのです か。 ○高知県ヒアリング担当者 一堂に6人の先生に集まっていただきます。カテ ゴリーにあります感染症指定医療機関の先生とそれ以外の先生、人権擁護の関 係の方、そして弁護士など法律の専門家ということで6人の方に集まっていた だいて開催しております。 ○坂谷部会長 ほかになければ、最後に長崎県からご発表をお願いします。 ○長崎県ヒアリング担当者 長崎県から県内の状況について説明させていただ きます。資料3の22頁から、及び参考資料6をご参照ください。  まず、長崎県の現状につきましては、新登録結核?の罹患率は、全国と同様、 徐々に減少傾向にありましたが、平成16年以降はほぼ横ばいの状況が続いてお ります。平成20年の罹患率は、全国ノワースト3という状況で、塗抹陽性の罹 患者総数も、ここ数年は横ばいの状況が続いております。  これを年齢別に分析したものが資料3の24頁にございます。年齢別の割合の 分布を比較検討したものですが、これで見ますと、若年層の罹患率は全国平均 を下回っているのに対して、70歳以上の高齢者の罹患率が全国平均を上回って いるという状況にあります。他県と同様、高齢者対策が本県における重要課題 として考えられます。以下高齢者対策を主にお話させていただきます。  長崎県の結核対策につきましては、参考資料の6にありますように、平成17 年に策定した結核予防計画によって、罹患率を全国平均以下にする、というこ とを目標に掲げ、早期受診と早期治療推進のための戦略を立てて実施してまい りました。具体的には、長崎県の結核予防計画の7頁の模式図に示したとおり、 「医療体制」「患者発見」「予防対策」「発生動向」「普及・啓発」の5つの柱に 基づいて実施しております。このうちの高齢者対策といたしましては、まず地 域DOTSを推進するということで平成17年度から。それから、グループホーム 等の高齢者施設に向けての研修あるいは健診を平成20年度から。また、高齢者 から若年層への感染の拡大防止対策という位置づけで、BCGの予防接種の推進、 それから接触者健診の実施が主要対策として位置づけられるかと思われます。  以上の施策について、まず評価と課題について以下のとおり述べさせていた だきます。まず、地域DOTSの取組みについては、平成20年度時点において、 県内すべての保健所で取組みを実施いたしました。県内には10の保健所があり ますが、DOTSの実施状況については、新規に登録された喀痰塗抹陽性(初回治 療)の方々に対する実施率が、患者が亡くなったとか、転出されたとかという ような理由を除けば、すべての方々に対して実施されている状況にあります。  次に、市町村が実施する65歳以上の高齢者の方々への定期健康診断の受診率 の推移についてですが、こちらは平成17年以降対象者の方々が増加傾向にある のに対して、健診者の数が伸び悩んでいるというのが現状です。この結果、受 診率は低迷しているというのが実情です。  一方で社会福祉施設の受診率は、一旦減少したものの、年度を経るにつれて 徐々に増加傾向にあります。また、接触者健診については微増傾向です。  BCGの予防接種については、平成20年の接種率が、生後6カ月時点及び1 歳時点を併せておよそ98%で、予防計画に謳っている当初の目標95%を上回る 実施率となっております。  以上の現状から導き出される本県の課題ですが、その1点目としては、高齢 者健康診断の受診率の伸び悩みが挙げられるかと思われます。これについては、 県として市町村の健診事業をいかに支援していくかが今後の課題として考えら れるかと思います。市町の方にお話を伺ったところによりますと、実際のとこ ろ、肺がん健診や特定健診等に合わせて結核健診を実施している市長が多いよ うに思われますが、結核健診に限らず、特定健診等の他の健診についても受診 の伸び悩みに苦慮しているということでした。  高齢者の健診の向上を図る一方で、現状といたしましては、新規登録の患者 のうち医療機関で実際に発見された方々というのが圧倒的に多くございました。 例えば平成20年度については、新登録患者354名中、医療機関での発見が300 名と圧倒的に多くなっております。このことから、医療機関における早期発見・ 早期診断に対する取組みが必要かと考えられますので、医療従事者向けの研修 についても今後重点的に実施していく必要があるかと考えております。  次に、接触者健診、未受診者の存在がございます。これについては、健診を 実際に拒否されるような方々がいらっしゃることから、担当者の質の向上を図 るとともに、今後十分な説明や説得に基づいて受診率の向上に努めていく必要 があるかと思われます。また、平成20年から実施している、グループホーム等 における健診事業や研修については、高齢者施設に対する健診意識の定着化を 図るためにも、今後も引き続き継続して実施していく必要があると思われます。  BCGの予防接種についても、引き続き接種率の向上に努め、100%減らしてい く必要があると思われます。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。長崎県に特化した話ですが、質疑を お願いします。ないようですので各県別のことはこれで終わりまして、全体を 通しての質疑に移りたいと思います。最初に私から、各県に質問があります。 まず、この計画を立てるとき、あるいは計画を検証・評価するときに国の方、 本省のご意見を伺う、結研や地域のNHO(国立病院機構)の専門家を呼んで計 画の立案のときに参画させているかどうか。評価のときに意見を聞いているか どうかについて一言ずつおっしゃってください。東京都はいかがですか。 ○東京都ヒアリング担当者 東京都につきましては、策定のときに有識者や関 係団体、あるいは行政(区市町村の代表等)からなる検討会を立ち上げており ます。結核研究所の方にも専門家、有識者として参加をいただいております。 ○長野県ヒアリング担当者 私どもには結核病床を持っている国立病院機構が ありますので、そこの先生のご意見を伺っております。 ○島根県ヒアリング担当者 私どもでは検討会を設け、有識者の方を集めて作 成しております。そして、毎年度の評価は3月にやっております。 ○徳島県ヒアリング担当者 長野県と同じように、国立病院機構の結核病床の 先生のご意見を聞きながら評価しております。 ○高知県ヒアリング担当者 検証の部分につきましては、感染症対策協議会と いう協議会の中に結核部会を設けておりまして、その部会の中で検証を確認し ていただいております。その中には国立病院機構の先生も委員として入ってい らっしゃいます。最終的な計画につきましては、親会である感染症対策協議会 の中で再度ご検討いただいて策定するという形をとっております。 ○長崎県ヒアリング担当者 私どもでは、感染症の審査会におきまして先生方 にご意見を伺っております。 ○坂谷部会長 皆さんおわかりになると思いますが、それぞれの資料の第1頁 目に予防計画の中身の大項目が書かれているわけですが、順番が違うのです。 それぞれの地域でいちばん重要だと思われるものがいちばん先にあります。こ の順番、重要の度合いはどのようにして決めておられますか。その地域でこれ がいちばんポイントであると考えられたから1番に載っているのだと思うので すが、それをいかに判断して決めておられますか。長野県はいかがですか。 ○長野県ヒアリング担当者 私どもは1項目しかありませんが、順番について は特に意識せずに、おそらく国の指針の順番に準じて構成だてられているかと 思います。 ○島根県ヒアリング担当者 重要な順番だったと思いますが、ちょっと、そこ は。 ○高知県ヒアリング担当者 第一次計画の検証の後に、その当時は罹患率が高 くて、何とか下げていかなければならないというときに、接触者健診の強化と いうのは非常に大事な部分であるということで、それがまず1番に上がったと 思われます。 ○長崎県ヒアリング担当者 長崎県のものも、重要性とその順番には特に考慮 していないと思われます。 ○坂谷部会長 教科書的な順番だということですか。 ○長崎県ヒアリング担当者 はい。 ○坂谷部会長 私からは以上です。委員の方から、全体を通していかがですか。 時間があまりありませんので5分程度になろうかと思いますが、すべてのご発 表に対してのご意見や改めてのご質問がありましたらおっしゃっていただきた いと思います。 ○菅沼委員 「地方自治体のヒアリング」の4〜5頁の喀痰塗抹陽性者数、全結 核患者・死亡率の表なのですが、東京都と長崎県の喀痰塗抹陽性者数がほかに 比べてかなり高いと思われます。東京都はホームレスがこれを押し上げている のかなと思ったのですが、長崎県はどういうわけでしょうか。東南アジアから の外国人が多いとか、何か考えられることがあるでしょうか。 ○長崎県ヒアリング担当者 保健所で実際に結核の対策をしている者の感触で は、外国人が多いということは感じられません。なぜ塗抹患者が多いかという のを推測すると、高齢者の発症が多く、発見の遅れが多い。特に、高齢者施設 に入所されている方で、微熱や咳症状が続いているのだけれども、検査がされ ていなくて、塗抹陽性になってから診断されるというケースが印象としては多 いです。 ○菅沼委員 先ほどの徳島県のヒアリングでも、かなり高齢者が多いというこ とですが、この数値は非常に低いのです。取組みの仕方によるのでしょうか。 ○坂谷部会長 右端のカラムのインディケーターに即して実数が載っているわ けです。例えば徳島県で、2008年には60人程度です。 ○菅沼委員 ただ、喀痰塗抹です。なぜかなと思うのです。では、発見が遅い ということになりますか。そうしますと、それをポイント的に抑えれば随分下 がるのではないかなと思うのですが。 ○長崎県ヒアリング担当者 ありがとうございます。 ○坂谷部会長 島が多いということとは何か関係がありますか。 ○長崎県ヒアリング担当者 離島での発生よりも本土での発生数のほうが圧倒 的に多いので、離島の影響というのはあまりないと思います。 ○坂谷部会長 ほかにはいかがですか、全体を通しての話ですが。それぞれ地 域の特性を活かして問題点、スポットを当てるところをそれぞれ変えて、重要 ポイントを選んでやっておられると思います。印象として、自前で努力されて おられるのは間違いないのですが、国との連携、それから専門家をいかに取り 込んでコンサルテーションをかけてやっておられるかとかという点について、 私が最初に質問しましたように、もう少し連携プレーがあってもよかろうかな と、そんな感じを持ちました。先生方はいかがでしょうか。 ○川城委員 全体的な印象としては、高齢化の問題もあるのですが、治療成功 率、私の言葉で言うと「治療貫徹率」がどこも低いですね。東京もそうかもし れないし、ほかもそうかもしれないのですが。もう少し具体的に言うと、退院 後のDOTSが途中で切れてしまうのでしょうか。何かその辺のところが。薬は あるのだから、飲んでくれればいい。そういう意味で、この病気は治る病気な のです。どこがどうというのではなくて、日本全体として、けじめをつけると ころの援助が難しくて、そこに何とか力を入れないといけないのかなと思いま す。 ○坂谷部会長 罹患率を下げるのも目標ですが、そのためには完遂率を高めな いといけない。その完遂率を高めるというところで、もう一歩の努力が要るか なと、こういうことでしょうか。 ○川城委員 はい。 ○坂谷部会長 加藤先生、何かありませんか。 ○加藤委員 先ほど坂谷先生から出たご質問と関連するのですが、当時研究班 で、結核予防計画策定のためのツールを作ったのです。エクセルのシート等を 作って、策定支援のためのツールを作ったのです。当時のことですから分から ないかもしれませんが、そこら辺が参考にされていたかどうか聞きたいなとい う気はします。今すぐは回答が難しいかもしれませんが。 ○坂谷部会長 ほかの委員の方々はいかがでしょうか、特に、いままでご発言 のない方。深山先生、何かありませんか。 ○深山委員 高齢者の方とか、在宅の方の健診をどうしていくかというのも今 後大きな問題になるのだろうなと思います。施設の方の健診は、進めようと思 えば進めることができるような気がしますので、在宅の方のほうがこれから問 題になるかと思います。 ○坂谷部会長 それに関して長野県はわりあい積極的に自治体のほうから出か けて行ってされていますね。 ○長野県ヒアリング担当者 在宅については当初ポータブルX線撮影装置がわ りと使えたのですが、いろいろな医療関係のほうから、あまり自由に使わない ようにと、だいぶ制限的なものがあって、現状では、自宅にポータブル機を持 っていって撮るというケースはかなり減っているかと思いますので、あとは往 診。在宅診療をしている先生が普段聴診等でしっかり診察をしていただく、そ ういう普及が大事かなと思います。 ○坂谷部会長 長野県にもう1点。よくやっておられると思うのですが、その 費用、行政からのそういう事業をやるためのお金の手配というのは、どういう ふうに工面されているのですか。 ○長野県ヒアリング担当者 高齢者の施設に出向いて行く場合は、国の補助金 を活用して行政負担で行っております。 ○坂谷部会長 ほかの方はいかがですか。 ○加藤委員 長野県の方に教えていただきたいのですが、医療機関に対して啓 発するのに、結核は数が減ってきましたので、どちらかといえばハイリスクア プローチをしなければいけない部分があると思います。罹患が非常に減ってい る長野県でも、医療機関側に結核をどうやって意識づけるかというのは非常に 難しいと思うのですが、具体的にどのようにやっているのか、秘密のようなも のがあればお聞きしたいと思います。 ○長野県ヒアリング担当者 私どもの管理図で、確かに医療機関発見の期間と いうのは短いので、わりと良い状況だと思いますけれども、最近の状況で、特 段医療機関に個別に働きかけは行っておりません。私どもがいま心掛けている のは、施設関係を対象にした研修会というのがあります。最近ですと、ノロウ イルスとか今回のインフルエンザ等も含めて、年に1回、どこの地域でも必ず それをやるようにということでノルマづけをしておりまして、その中には結核 のこともしっかり盛り込んでPRしております。  それから、長野県では高齢者大学の受講率が高いので、そういうところを活 用してPRしておりますので、それが間接的に医療機関の先生方にも伝わってい るのかなという受け止めはしています。 ○坂谷部会長 丹野委員、何かございますか。 ○丹野委員 いろいろ聞かせていただいて、地域でもかなり差があるというこ とは感じました。それで1つ。長野県では、院内感染という形で保健所がちょ っと入り込めないというイメージがあるというのが気になったのです。医療連 携ができているというのであれば、逆にきちんと入っていって一緒にやれると 思いましたが、そこのところがどういう状況かというのが分かりづらかったと 思います。 ○坂谷部会長 今回のヒアリングの結果につきましては、次回以降の部会で行 われる指針の改訂作業によく反映させていただきたいと考えております。次に その他の議事について。これは報告ですが、事務局からお願いいたします。 ○水野補佐 これについては資料がなく、口頭で報告させていただきます。QFT 検査の不適正な実施事例についてです。前回の部会において、平成22年1月28 日に、大阪府保健所などにおいてクォンティフェロン(QFT)TB2G検査を実施 するに当たり、QFT検査機器の使用説明書に記載された本来使用すべき検査プ レートではなく、別のプレートを使用していたために、間違った検査結果が生 じていたというような問題がございました。これに関してその後、関係自治体 に事務連絡を発出しまして、不適切なQFT検査による影響を調査いたしました が、対象者への再検査の実施、同一検体を用いた両プレート間での比較試験の 実施等により検査結果への影響を検証したが、検査結果の相違について特に問 題は認められなかった。また、受験者へのその後の調査においても特に異常な 影響はなく、結果的に、今回の不適切なQFT検査による影響は認められなかっ たということでしたので報告させていただきます。 ○坂谷部会長 ただいまのQFTに関するご報告について、何かご意見のある方 はございませんか。ないようですので、本日の議題はこれですべて終了いたし ました。事務局から次回以降のことについて何か伝達事項がございましたらお 願いいたします。 ○水野補佐 次回の部会は、現時点では6月29日に予定しておりますが、正式 な日時、また議題につきましては追ってご連絡させていただきます。 ○坂谷部会長 本日の部会はこれで閉会といたしたいと思います。参考人の 方々、本日はどうもありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省健康局結核感染症課 TEL:03-5253-1111(内線2931、2381)