10/05/18 第48回先進医療専門家会議議事録 第48回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成22年5月18日(火) (2)場所  厚生労働省内 専用第22会議室(18階) (3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、赤川構成員、飯島構成員、金子構成員、        北村構成員、田中(憲)構成員、田中(良)構成員、谷川原構成員、        福井構成員、渡邊構成員    事務局 審議官、医療課企画官、保険医療企画調査室長、歯科医療管理官、        薬剤管理官、医療指導監査室長、高度医療専門官、平賀課長補佐、他 (4)議題  ○第2項先進医療に係る新規技術の届出状況について         (1)3月受付分の届出状況         (2)4月受付分の届出状況        ○第3項先進医療(高度医療)に係る新規技術の科学的評価等について (5)議事内容 午前10時00分 開会 ○猿田座長  それでは、時間になりましたので、第48回の先進医療専門会議を始めさせていただき ます。皆様方、お忙しいところを御出席いただきまして、どうもありがとうございました。  今日は学会そのほかのことがあって出席がよくないようですが、本日は新井構成員、岩 砂構成員、加藤構成員、笹子構成員、竹中構成員、辻構成員、坪田構成員、戸山構成員、 永井構成員、樋口構成員が欠席ということでございます。  続きまして、資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。  まず、座席表がございまして、次に議事次第がございます。次に、構成員の先生方の名 簿がございまして、その次でございますが、先−1の資料といたしまして、第2項先進医 療の新規届出技術について(3月受付分)という紙が1枚ございます。続きまして、先− 2の資料といたしまして、第2項先進医療の新規届出技術について(届出状況/4月受付 分)という紙が1枚ございます。次に、先−3の資料といたしまして、こちらは高度医療 評価会議において承認された新規技術に対する事前評価結果等についてという紙が1枚ご ざいます。その別紙としまして、別紙1と上に書いてございますホチキスどめの資料、同 様に別紙2の資料もございます。  資料は以上でございます。不備がございましたら事務局までお申しつけください。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  資料のほうはよろしいですか。  それでは、早速この議題に従いまして、第1番目の第2項先進医療に係る新規技術の届 出状況でございますけれども、3月分の受け付けにつきまして、事務局のほうから御説明 をお願いいたします。 ○事務局   まず、利益相反の確認をさせていただきます。今回対象となっております技術に関しま して、特別に関与する事例はございませんでしょうか。よろしかったでしょうか。  回答なしということでよろしいでしょうか。  では、まず3月受付分の第2項先進医療の新規届出技術について御説明いたします。お 手元に先−1の資料を御用意いただきたいと思います。  3月受付分といたしましては、ごらんのとおり3つの技術が受け付けに至っております けれども、いずれも返戻となっております。整理番号207番に関しましては、追加資料 の提出待ちということで一たん返戻とさせていただきました。208番は、書類不備を認 めまして返戻とさせていただきました。209番に関しましては、イマチニブの血中濃度 を見ながら慢性骨髄性白血病の治療管理を行っていくという技術でございますけれども、 血中濃度測定の手法が従来のものと特に変わりがないということでしたので、次回改定の 際に学会要望を行っていただくということとなりました。その旨を申請者より伺いまして、 取り下げを提案されましたので、了承いたしました。  この資料に関しましては以上です。  次に、お手元の先−2の資料を御用意いただきたいと思います。第2項先進医療の新規 届出技術について(届出状況/4月受付分)となってございます。  4月受付分といたしましては、ごらんの4つの技術が現在届け出の受け付けを行ってい るところでございます。今後、先生方に御評価いただくことになるかと思いますので、そ の際はよろしくお願いいたします。  こちらの資料については、事務局からは以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明ありましたように、3月受付分に関しましては、207のNKT細胞を利用 した頭頸部がんに対する免疫療法、これは追加書類が出てくるということで、それを待ち たいということで、一応返戻と。  それから、2番目のフローサイトメトリーによるパーフォリンたんぱくの発現スクリー ニングでございます。これは完全に書類不備ということでございます。  それから、209に関しましては、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブの血中濃度測 定ということ、これは一応、渡邊先生に見ていただいていたんですけれども、何か学会の ほうとのやりとりだということで、急遽取り下げをしたいということで、今日はこの3月 分の受け付けに関しましては、ここで審議することはないということになってしまいまし た。  それから、今お話がありました先−2のほうの4月受付分に関しましては、一応今、4 つのものを受け付けているということでございます。書類不備とかそのほかなければいい と思いますけれども、一応それが3月受付分と4月受付分の状況でございます。  何かございますか。渡邊先生、特にこれはもういいですね。 ○渡邊構成員  はい。 ○猿田座長  では、そういう形でお認めいただいたということにさせていただきまして、それでは、 続きまして、今度は第3項先進医療の高度医療の科学的評価につきまして、これは一応、 高度医療評価会議において承認となりました新規の技術に関しまして、審議を行いたいと 思います。  まず、事務局のほうから御説明いただけますでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。お手元に先−3と右肩に振っております資料並びに別紙1及び別 紙2を御用意いただきたいと思います。  先−3は、高度医療評価会議において承認された新規技術に対する事前評価結果等につ いてでございます。  整理番号009番、5−アミノレブリン酸溶解液の経口または経尿道投与による蛍光膀 胱鏡を用いた膀胱がんの光力学的診断でございますが、こちらは別紙1をごらんいただき たいのですが、事前評価は吉田英機先生にお願いしておりまして、総評は適といただいて おります。適応症に関しましては、筋層非浸潤性膀胱がんでございます。内容に関しまし ては別紙1をごらんいただきたいと思います。後ほど事務局のほうからも簡単に説明させ ていただきます。  次に、整理番号010番、腫瘍抗原ペプチドを用いたテーラーメイドがんワクチン療法 でございますが、こちらは別紙2をごらんいただきたいと思います。こちらも事前評価は 吉田英機先生にお願いしておりまして、総評は適といただいております。適応症に関しま しては、ドセタキセル不適格であるホルモン不応性再燃前立腺がんで、ヒト白血球抗原H LA−24陽性である者に限る、でございます。こちらも内容的なものは別紙2をごらん いただきたいと思います。内容的なことに関しましては、また事務局のほうから後ほど簡 単に説明させていただきます。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今日はこの高度医療評価会議のほうから回ってきたものが2つということで、ともに吉 田先生にお願いしてございますけれども、それでは早速ですけれども、いいですか。00 9のほうから、吉田先生、よろしくお願いいたします。 ○吉田座長代理  この009の5−ALAですけれども、確かに膀胱がんの場合、従来こういう発光技術 がないものですから、突出した腫瘍に関しては摘除できるんですが、その周囲がよく分か らないということで、特にビロード状のやつはよく分からないので、原則的に腫瘍の周囲 1センチぐらいを電気凝固するというのが原則だったんです。  こういう新しい色素が出ますと、資料にありますけれども、けっこう悪性腫瘍の部分が 蛍光を発するんです。そうしますと、今までその局所だけTUR−Btというのは削って いたんですけれども、この蛍光を発するところをバイオプシーしてみますと、けっこう悪 性腫瘍が見つかるということで、広範囲に電気凝固できるということで、もともとこうい う従来の手法ですと大体2年で約70%再発するんです。この蛍光療法を使ったほうが再 発率も大分減るということで、非常に有用じゃないかと思います。  ただ、この申請書の中に、膀胱灌流液がウロマチックというんですが、あれが自費で入 っていたんですけれども、あれは今、膀胱内手術で保険通っていますので、保険収載でき るので修正しなさいということで、最初の申請がこのときは7万5,000円でしたけれ ども、ウロマチックSというのは保険通りますので、それを省いていただいて、1回につ き5万円の実費ということで、これは非常に臨床的に有用だと思います。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今の御説明にどなたか御質問ございますでしょうか。  お手元に高度医療評価のときの概要もあるかと思うので、最初のところ、技術としては 非常に画期的なことであって、先ほど吉田先生からお話がございましたように、かなりは っきり表在性のものは分かってくるということで、手術して、その後の予後もいいという ことでございます。  ただ、これから高度医療評価としてやっていくときのプロトコール、そのほか症例数と か、そういったことで高度医療評価のところでは1回お戻しさせていただいて、そこを直 していただいて出していただきました。そういうことで、皆様方のほう、高度医療評価と しては問題ないということで許可させていただきまして、ここへ出させていただいたとい うことでございます。  今、吉田先生からの御評価では、よろしいのではないかということでございますけれど も、どなたか御質問ございますでしょうか。 ○吉田座長代理  追加でいいですか。 ○猿田座長  どうぞ、吉田先生。 ○吉田座長代理  最初の申請で、経口投与と、それから膀胱内注入療法があったんですが、委員に意見を 聞きましたら、経口投与での効果が実際は分からないじゃないかという意見があったんで すが、膀胱内注入ですと、尿がしょっちゅう出ますので、薄まってしまう。臨床的には経 口投与のほうがむしろ集積率がいいんじゃないかという意見でしたので、これはどっちで もいいんじゃないかと。  最初は経口投与について実績がないので、これは治験的な意味合いかという意見があっ たんですが、日曜日の話では、膀胱内注入では尿で薄まってしまうので、なかなか確定で きないと。むしろ経口のほうがいいんじゃないかという意見でした。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  そういったことで御検討も先生方のほうでもいただいているということですが。  どうぞ、金子先生。 ○金子構成員  すみません、細かいことですけれども、3ページ目の先進技術としての適格性の現時点 での普及性はBになっていますけれども、これはCの間違いでしょうか。 ○吉田座長代理  実際、学会で見ていますと、東北と、それから関東、それから九州地区で、ひそかにや っているんですね。別に保険請求していませんので。10件ないので、ある程度普及して いないという判断になったんです。ですから、これがもし先進医療として認められると、 相当早い時期に普及すると思います。  要するに、膀胱がんは非常に再発しますので、再発を抑える意味でも、広範囲に蛍光で きたやつを焼くというのが再発率の低下につながると。ですから、現時点ではBにしたん ですけれども。 ○猿田座長  もし、ほかに御意見ないようでしたら、これをお認めいただくということにさせていた だいてよろしいでしょうか。  それでは、ここでは認めたということにさせていただきます。どうもありがとうござい ました。  それでは、続きまして、010ですね、腫瘍抗原ペプチドを用いたテーラーメイドワク チン療法、これも吉田先生ですけれども、よろしくお願いいたします。 ○吉田座長代理  これも数年前から学会発表でぽちぽち出ているんだそうです。それで、これは特に前立 腺がんでホルモン抵抗性の場合には、今は新しい抗がん剤を使うんですけれども、なかな か効果がない。世界的にホルモン不応性の前立腺がんはもうバンザイ状態だということな んです。そこで新しくワクチン療法が出てくるんですが、委員会で検討しまして、一応コ メントがあるんですが、確かにホルモン抵抗性のがんに対する治療法は、ほとんど今はな いと。こういうテーラーメイドワクチンが多分効くだろうけれども、実はこの申請書の中 に、提供する機関が1機関なんですね。それで各委員から、1機関で独占的にやって広が るのかという議論がございまして、うまく全国的に広がるのかという懸念があったので、 適格性ですけれども、普及性についても一応Cとしてございます。  それから、効率性については一応、本来の治療よりもやや効果があるだろうと。  将来の保険収載ですけれども、先ほどのテーラーメイドの供給医療機関が1施設という ことで、すぐ保険収載というわけにはいかないんじゃないかと。高度医療でも指摘がある んですが、数年様子を見て、あちこちの機関で平等にできるようになった時点で、もう一 回、先進医療専門家会議で考えていかなければいけないと。ですから、現時点では、保険 適用不可にしてしまうと大変ですので、一応可にしていますけれども、こういう条件つき でございます。  それから、総合判定も一応、適になっているんですけれども、実は同じようなものが胃 潰瘍と消化器がんで先進医療があるんです。それが今回の再確認で、総合判定Cといって、 もうほとんど症例がないという状況なんです。ですので、ある委員が、従来の例の丸山ワ クチンみたいな形になってはいけないというので、定期的にこの高度医療評価会議へ提出 してもらったらいかがかと。広くいろんな機関でテーラーメイドワクチンが普及できるよ うな状況を判断してから、検討してはいかがかと。ですので、ちょうど中間の判定なんで す。だからこういうコメントを入れました。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  特に今の保険ということでは、書類上にあるんですけれども、実際に高度医療に出てく るものは非常に幅広いです。それで、こういったペプチドワクチンやそのほかの初期の段 階のものは、先生がおっしゃるように、やられてみて本当に効果がなければ問題でござい ますし、保険適用からは遠いところにあり、今のここのところは先生が御説明いただいた とおりだと思います。そういった形で一応、高度医療評価のほうでも受けとめております。  それからもう一つは、実際にテーラーメイドをやったときのワクチンの効果の判定です。 随分、議論が出ているところでございまして、どれだけ本当に効果があるかで、なかなか 効果判定の方法が難しいということでございました。  今、吉田先生からのお話では、そういった保険の問題は別として、技術的なこととか、 それからある程度の効果があるとか、そういったことで先進医療の技術としてこの会議で 認めて、いくつかの施設で多数例で検討してもらうという形のことになると思うんですけ れども、ぜひ御意見をいただきたいと思います。  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  これは保険導入とは別に、先進医療としての見直し、そういうことは何かお考えになっ ていらっしゃいますか。 ○吉田座長代理  従来、2年おきの保険改定のときに、猿田先生を座長にして、先進医療のやつから保険 を導入すれば、ここで検討していますよね。そういう場がありますので、だからそのとき は、今回もそうですけれども、全然1例もないというと、もう廃止みたいな勧告が行って いますので、そういう機関がありますから、そこで2年後に判定していただいて、ほかの 例の先進医療みたいに2年間やってもゼロなんていう症例がある場合には、また御判定い ただきたいと思います。 ○猿田座長  この間も先生方に見ていただきましたように、結局ある程度の症例でやっていただいて、 皆様と検討して、これはこのまま先進医療で続けていくのか、もう症例がなければやめる のか。それから、もっとどんどん進んでくれば、そこで保険に持っていくかどうかを先生 方と一緒に評価させていただいて、保険申請を決めさせていただくということです。その あたりのところは、高度医療から来るものは特に新しい形が多いものですから一歩一歩進 めていくものだと考えます。  どうぞ。 ○事務局(高度医療専門官)    今回申請がありましたペプチドワクチンなんですけれども、基本的には、まずこの高度 医療で、臨床研究という形で5年計画されております。その間に何度か高度医療評価会議 にも中間評価という形で報告のほうをいただきまして、最終的にはこれは有効性がありそ うだというようなことであれば、申請者側は治験を考えております。治験の中でペプチド ワクチンについて薬事承認を得た後に保険導入ということを考えていきたいというような ロードマップのほうを高度医療評価会議に提出いただいておりますので、いわゆるその辺 の有効性に関しましては、着実に一歩一歩積み重ねた上で、保険導入のほうに行くという ようなストラテジーでございます。  以上です。 ○猿田座長  ですから、案件によって今みたいに治験へ行けるものもあれば、それでいいですけれど も、そうでない場合もあって、そのときはかなり有効なものであって、症例は少ないけれ ども、副作用もないし、これはもう保険を通すのがいいだろうということであれば、そこ でまた議論をさせていただくことになると思います。治験の形でいけば、多数例での検討 が可能ですけれども、必ずしも治験を行ってくれる企業もあるかないか分からないという こともございますものですから、一応そういう考えで動いているということでございます。  どうぞ。 ○田中(憲)構成員  これについてはよく分かりましたが、例えば他施設がこれをやりたいといったときには、 従来であれば、届け出だけでできたはずですが、今回は内容が微妙なところがありますの で、他施設の申請のときも審議等があったほうがよろしいと思います。 ○猿田座長  それは一応、高度医療を受け付けるときに、高度医療専門官のほうから言っていただけ ますか。 ○事務局(医療課企画官)  医療課企画官でございますが、まず御議論いただく前提として、この評価療養全体の中 で、先進医療と高度医療を分けて御検討いただいています。今日、御審議いただいている のは、高度医療に属するものです。  前提としてお考えいただきたいのは、有効性について必ずしも明確な評価がなされてい ない技術も含まれておりまして、今後、ですからプロトコールを明確にはっきり定めて、 つまり評価がちゃんとできるようなスキームに乗せていただいて、評価をしていただくと いう第1段階の枠組みがこの高度医療です。  通常、御審議いただいております先進医療との違いは、施設をあらかじめ限定しており ますので、今、御懸念をお示しされましたが、そのような通常の先進医療のように、施設 要件を定めて、合致すれば手を挙げてできますよというものとは違います。  この高度医療の評価が終わった後で、実は幾つかの選択肢があるんですが、先ほど高度 医療専門官が申しましたとおり、この技術については、先進医療で広げていくのではなく て、治験に持っていくことを考えていますと、こういう道筋だということです。  ですから、道筋があらかじめ定まっているというのが1点と、それから他の施設との関 係について言いますと、これは届け出等々を適用する先進医療ではなくて、あくまで高度 医療の評価で進めていきたいと、こういうことでございます。 ○猿田座長  田中先生がおっしゃいました高度医療のほうで何施設かが共同でやるときは、しっかり 各施設の状況を見させていただいております。チームでよく相談して出してくるというこ とでございます。  ちょうどよい機会ですから、ほかに御意見ございますか。そういう形でいろんなタイプ のものが高度医療評価で出てくるということで、お分かりいただければと思いますけれど も。  どうぞ、吉田先生。 ○吉田座長代理  確かに従来の先進医療とちょっと違う形なんですね。それで今、企画官から説明があっ たみたいに、テーラーメイドの場合に、これは委員から意見が出て、先進医療としてこの 会に出てきますけれども、これを本当に先進医療みたいに、この部分85万円だけ自費で、 あと保険でいいんですかという質問があったんです。だから、先進医療と同じように、い わゆる混合診療としてやっていいんですかねという話が出たんですけれども、それでいい んですね。高度医療だけれども、先進医療に出てきて承認されると、いわゆる、混合診療 みたいな形でやって構わないと、それでいいんですね。 ○事務局(医療課企画官)  ここで御議論いただきまして、この高度医療の評価が適当だということで御結論いただ きましたら、保険との併用ができるようになりますと、そういうことでございます。 ○猿田座長  どうぞ、北村先生。 ○北村構成員  今の吉田先生の話の続きみたいなんですけれども、結局、臨床研究という位置付けの部 類に入る研究だと思うんですね。それに対しまして、従来、保険局は、臨床研究に保険を 用いてはならないということを一貫して述べてこられた中で、こういう新しい高度医療と いう形で第3項先進医療と承認をとれば、それは例外となると。こういうことで広く医学 界に伝えてよろしいですね。 ○猿田座長  一応私はそう承っていまして、昔の高度先進医療がございました。これも大体同じ形で、 かなり高度先進はバラエティーに富んでいました。現在行われている高度医療評価は、高 度先進医療の場合と類似していますが、すべて適応外の薬品か機器が使用されていること がポイントです。 ○北村構成員  そうしたら、そのときに、保険局のほうも臨床研究に保険を併用してはならないという 項目を、こういう高度医療の申請をしてということを明確に伝えていっていただけたほう がいいと思うんですよね。以前は、保険局は臨床研究はだめですというのが基本的にあり ますね。そうですね。 ○事務局(医療課企画官)  もしかしたら審議官にお答えいただくのが適当かもしれませんが…… ○審議官  北村先生から御指摘がありましたので、発言させていただきます。  先生のお話のように、以前は医療費を、特に財政状況も厳しいものがありましたので、 研究や教育については保険の費用ではなくて、研究費であるとか、公費であるとか、そう いう財源でやってほしいということを申し上げておりましたが、高度な医療についてはあ る程度、有効性と安全性がこうした場で確認をされて、国民の皆さんの要請も強くなりま したので、それについては先生がおっしゃったように、保険の併用を認めるというふうに、 そこは方針を転換しているということでございます。 ○猿田座長  それでよろしいですか。 ○北村構成員  はい、ありがとうございます。 ○猿田座長  これで確認させていただいたということで、よろしくお願いします。  どうぞ、福井先生。 ○福井構成員  違うテーマでよろしいですか。  従来の検証型の臨床研究であれば、最初からサンプルサイズを計算して、何例について 検証すれば有意差が出るという予測をして始めるのですが、この場合にはそういうことが できません。最近やったことがないのでうろ覚えなのですが、シークエンシャルアナリシ スという方法がありまして、一例一例、症例をふやしていくたびごとにデータを解析して いって、それが有意差を持ったところでどちらかの判断をするということが必要になると 思います。 ○猿田座長  その方式でやっているものもございます。もうランダマイズできませんから、それで一 例一例を細かく見て、今先生がおっしゃったように、そこで検討していくという形になっ ています。 ○福井構成員  それを積み重ねていって、ある場合には20例くらいで有意差が出るということもある でしょうし、ある場合には100例ぐらい積み重ねないと有意差が出ないということもあ ると思います。そこのところの判断をできるだけ早く、無駄な症例が組み込まれないよう にする必要があると思います。 ○猿田座長  実は、委員になっている人の半分ぐらいが、そういう生物統計学者や臨床研究を手がけ てるいる方が入っています。さらに、そのような先生方に加えて、技術面の専門家が沢山 入っておられます。  もし高度医療専門官のほうから何かあれば追加してください。 ○事務局(高度医療専門官)  生物統計的な検討につきましては、高度医療評価会議の中に生物統計家の委員を今回も さらに充実してまして、十分に検討いただけるように配慮していますので、よろしくお願 いいたします。 ○猿田座長  ありがとうございました。非常にそれが重要な点です。  どうぞ、渡邊先生。 ○渡邊構成員  細かい点ですけれども、倫理的問題等はないと書いてあるのですが、これは従来の先進 医療は、倫理委員会を通すことということで倫理的問題はないということになっていたと 思うのですが、この場合は倫理的問題はないということですか。 ○猿田座長  御存じのとおり、倫理指針が出ましたね。それで高度医療に出してくるときも、できる だけ各施設の倫理委員会で認められたものを出してくれということになっています。この 間制度が変わって一層倫理面には力が入れられています。かつては必ずしもそうではなか ったんですけれども、できるだけ倫理指針に従っているということです。 ○渡邊構成員  うちの病院でもこれに近いような、ペプチドの臨床研究があって、倫理委員会を通さな ければならないということになりました。高度医療のものと、臨床研究のものとは読んだ 感じが非常に似ているものですから、同じような有効性があっても、高度医療であれば倫 理性がなくてもいいということでしょうか。 ○猿田座長  いや、必ずしもそうではなくて、やはり倫理の問題は非常に重要ですから。 ○渡邊構成員  必ずしも、先ほどおっしゃったように、有効性が確立されていないと。数年たって、き ちんと有効性を判断した上でそれをやるときに、何らかの倫理的な基準が患者さんに必要 であると思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。  どうぞ。 ○事務局  事務局でございます。こちらの別紙2に参考資料4というものを織り込んでございます。 こちらが平成21年9月30日に第11回高度医療評価会議でお決めいただいた、国内外 ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる医療技術を評価する際の観点についてというこ とで、高度医療評価会議でおまとめいただいた内容がございます。未承認の医薬品や医療 機器を用いる場合ということで各要件を定めておりまして、倫理委員会等の手続等に関し てもこのような形で決めさせていただいております。  簡単に説明させていただきます。高度医療評価会議におきまして、国内外ともに未承認 の医薬品・医療機器を用いる医療技術の評価の際には、原則として以下のすべての要件を 満たされることが必要であることとするとしております。  まず1点としましては、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術を評 価する際に特に必要とする要件としまして、有効な代替医療技術のない疾患を対象として いること。関係する法令、指針等の遵守のもとに行われた数例以上の当該施設での臨床使 用実績があること及びその一症例ごとの十分な検討がなされている。  次に、3としまして、使用する試験薬・試験機器の品質を担保するために、試験薬・試 験機器概要書が提出されているということです。  次に、高度医療評価制度に申請されるすべての医療技術に求められる要件ではあります けれども、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術については、特に厳 密に考慮される要件といたしまして、高度医療技術の試験実施計画(プロトコール)が、 単なる未承認製品の試用にとどまらず、当該臨床試験を実施した結果、被験製品の有効性 及び安全性について治験につながる科学的なエビデンスが得られる設計となっていること。 また、次に行なわれるべき治験の試験計画の設定根拠となるエビデンスをつくり出せる設 計となっていること。  また、5としまして、高度医療として行われる臨床研究は、治験を計画あるいは実施で きない正当な理由を明示した上で、医師または歯科医師が主体となって計画・実施される ものであるということ。  あとIIIとしまして、国内外ともに未承認の医薬品・医療機器を用いる新規技術の採択後 に求められる要件としまして、安全性・有効性が確立しておらず、その評価が不足した医 療技術であることに鑑みまして、高度医療評価会議が指定する期間ごとに試験結果を報告 しまして、医療技術の実施を継続することの可否について高度医療評価会議の判断を仰ぐ。  最後の要件としまして、高度医療技術の評価期間中は、当該高度医療技術につきまして は、実施医療機関におきまして、高度医療評価会議で承認されました試験実施計画のみに 基づいて実施すること。ただし、当該医療技術を用いた当該疾患以外の疾患を対象に行う 臨床試験を制限するものではないということ。  このような形で高度医療会議のほうで決定しております。 ○猿田座長  今の参考資料4で分かりますか。特にここで重要なのが、「関係する法令または指針 (GCPもしくは該当する臨床研究指針等)の遵守のもとに」という形にして、ここで新 しい倫理規程が入ってきたものですから、そういったことに従ってくれという形でやって いるわけでございます。  一応そういうことでございまして、今の010の腫瘍抗原ペプチドを用いたテーラーメ イドワクチン療法というのは、吉田先生のほうでお認めしてもよろしいということですが、 ここでお認めいただけますでしょうか。  それでは、この件もお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありが とうございました。  そのほか、どなたかこういった関連で、御意見ございますでしょうか。  どうぞ、田中委員。 ○田中(良)構成員  全く専門外で申しわけないんですが、いわゆるがんワクチン療法という範疇だと思うん ですが、一般の人たちにはワクチンが開発されれば、抗がん剤の代用の療法としてちゃん とした地位を築くんじゃないかというふうに期待されているんですが、例えば前立腺がん で、こういうふうに抗原提示されるような症例というのは、例えばこの場合、ドセタキセ ルの不適格例で再燃して、ホルモンで不応になってきたというものの中で、どの程度の割 合の症例がこれに該当するとか、その辺の想定というのか、予想というのかありますでし ょうか。というのは、何でもかんでも効くというふうに僕は理解していないんですけれど も、ちょっとその辺を教えていただければと思っているんですが。 ○吉田座長代理  正確ではないんですけれども、実は失禁の件で、今、東北大学を中心に、全国の前立腺 がんの全摘が何例ぐらいかと調べましたら、大体3万例ぐらいあるんです。要するに全摘 するということは、ステージが低いやつですよね。それ以外の多分、日本で言いますと大 体7割ぐらいがもう転移を起こしちゃって、手術不能だというのですので、その手術不能 の7割の患者に対して、このホルモン療法が効くのは約6割なんです。残りの4割は効き ませんので、そういうものはどんどんこういう抗がん剤療法に行くんですが、今のタキソ テールを使ってもせいぜい2年ぐらいしかもたないんです。  テーラーメイドを使っていますと、けっこうPSAが下がってくるという例があるんだ そうです。ただ、症例が非常に少ないので、それでさっきお願いしたように、きちんとこ の委員会に一個一個症例を出してほしいと。福井先生がおっしゃったみたいに、そういう 条件をつけてあるんです。  とにかくこれは相当数の数が要ると思います。というのは、日本の場合、厚労省じゃな いですけれども、PSAの健康診断が無意味だという意見が出ちゃったんです。あれがあ るものですから、学会は怒っているんですけれども、そういう論文が出ちゃったので、県 によってはもうやめちゃった県があるんですよ。アメリカみたいに自費であれば全部やる んですけれども、各県によっては、変な論文が出ますと、もうやめたと言って、地方自治 体はやってくれないので、できるだけ学会としてはもう一回組むようにも言っていますけ れども、このPSA検診がまだ始まって5年ぐらいなんです。胃がんとか乳がんに比べて 非常に浅いんです。もうちょっと症例を見ればもっとふえると思いますけれども、この前 立腺がん検診、特にPSA検診が普及しますと、もっとそれ以上の症例が出るんじゃない かと。  従来、20年ぐらい前に、九州の公衆衛生のほうから論文が出まして、それで僕は検定 しろというので見たんですが、その中に、死亡例からいろんな推計があったんですが、前 立腺がんという症例はないんです。一例もないんです、20年ぐらい前の例で。何故です かと言ったら、要するに死亡診断書を見て、よく分からないので、全部心不全とか呼吸停 止でやっているんだと。もとの疾患が分からないのがけっこうあるんだそうです。胃がん とか乳がんですと分かるので書いてあるんですけれども、前立腺がんについては全然検査 していませんので、分からないので、心不全や呼吸不全でもって統計をとりましたという んで、そういう変なデータがあったんです。  だからそれを機会に、学会としてPSA検診などを広げようと今やっているもので、そ うすれば、10年ぐらいたちますと、また症例がふえてくるのかなと思います。 ○猿田座長  実際に高度医療でこの前立腺の治療の評価をしたときに、その効果面の指標として1つ は、どのぐらい寿命が延びているかということ、もう一つは、PSAの値を見て、PSA が高値の人では、この治療後徐々に下がっているんです。PSAはある程度意義があるの で、効果判定に使用できると思います意。寿命が長くなるということと、PSAが下がる ということで、一応効果的治療と判断いたしました。  随分議論した結果、今、福井先生がおっしゃったように、一例一例を細かく見ていくと、 やはりある程度効果があるとされました。その結果、高度医療評価委員会としては承認し て、今後さらに症例をまして検討していくのがよいだろうとされました。 ○吉田座長代理  全然関係ないんですけれども、泌尿器科関係で、ダヴィンチに続いて2例目なんです。 ダヴィンチのときにそうでしたけれども、いろんな意見が僕のところに来るんですけれど も、よく分からないので、今回これは大変複雑な症例ですので、久留米大学から症例があ ったら高度医療専門官のほうに問い合わせをしてくださいと言っていいですか。  もともとこれは医政局が中心になってやると決まったものですから、いろいろ聞かれて もちょっと分からないので、行政的なことは高度医療専門官に振っていいですね。多分い ろんなところから意見が来ると思うんですよ。それだけ確認したいので、よろしくお願い します。 ○事務局(高度医療専門官)  行政的なことに関しましては答えさせていただきたいと思いますけれども、具体的な医 療のほうに関しましては申請医療機関のほうで聞いていただいた方がよいかと思います。 ○猿田座長  本日は前立腺に対するワクチン療法が出てきましたけれども、これから食道がんだとか、 色々なものが多分出てくると思います。これから、その都度また検討していかなければい けないかと思いますが、一応今日はこれをお認めいただいたということにさせていただき たいと思います。どうもありがとうございました。  ほかに事務局からございますか。 ○事務局  事務局のほうから特に連絡事項的なものはございませんが、次回の日程的なもの等に関 しましては、また追って連絡をさせていただきます。 ○猿田座長  せっかくお集まりいただくのですけれども、返戻が多かったり、ぎりぎりになって取り 消しがあったりということで、十分に審議していただく案件がなくて申しわけありません。 随分予定より早いですけれども、これで終わらせていただきたいと思います。どうもあり がとうございました。 午前10時42分 閉会 【照会先】 厚生労働省保険局医療課医療係 代表 03−5253−1111(内線3276)