10/05/10 第11回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録               厚生科学審議会疾病対策部会                第11回 難病対策委員会           日時:平成22年5月10日(月)10:00〜12:00           場所:KKRホテル東京 孔雀 ○中田課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「厚生科学審議会疾病対策部会 第11回難病対策委員会」を開会いたします。  委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  前回の委員会では、御欠席のために御紹介できなかった委員につきまして、御紹介さ せていただきます。  青森県健康福祉部長の一瀬篤委員でございます。  千葉大学教授の広井良典委員でございます。  本日の委員の出欠状況でございますが、小池委員、杉田委員、山本委員から欠席の連 絡をいただいております。また、小幡委員より、途中退席の連絡をいただいております。  本日の特別ゲストといたしまして、国立保健医療科学院の林謙治院長及び国立保健医 療科学院の児玉知子室長にも御参加いただいております。  それでは、カメラ撮りは以上とさせていただきます。 (報道関係者退室) ○中田課長補佐 これ以降の議事進行につきましては、金澤委員長にお願いいたします。 ○金澤委員長 どうも皆さんおはようございます。お忙しいところ、お集まりいただき ましてありがとうございます。第11回目の難病対策委員会でございますが、どうぞ御議 論いただきたいと思います。  最初に、資料の確認を簡単にお願いします。 ○中田課長補佐 資料の確認をさせていただきます。  お手元に議事次第がございます。  資料1「特定疾患治療研究事業に関する要望及び提言」。こちらは一瀬篤委員より御 提出いただいた資料でございます。  資料2「今後の難病対策研究のあり方を考える」。こちらは国立保健医療科学院の林 謙治院長より御提出いただいた資料でございます。  資料3「第10回難病対策委員会(平成22年2月15日)での議論の概要」。  参考資料1「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム(第1回)資料」。  参考資料2「平成22年度難治性疾患克服研究事業研究課題(第1次公募後)」。  参考資料3「平成22年度難治性疾患克服研究事業第2次公募募集要項」。  参考資料4「第10回難病対策委員会議事録」でございます。  また、委員の机上に、第9回、第10回の難病対策委員会の資料を御参考までに配付 させていただいております。  以上でございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。不足分がございましたら、どうぞお申 し出ください。  それでは、議題1「今後の難病対策について」ということで進めていきたいと思いま す。  先日、新聞紙上にも出ておりましたけれども「新たな難治性疾患対策の在り方検討チ ーム」というのがありましたが、事務局からそれを含めて御説明ください。 ○中田課長補佐 まず、お手元の資料3をごらんください。こちらは第10回難病対策委 員会での議論の概要ということで、前回2月15日に開催しました議論の概要をまとめて おります。  こちらの内容につきましては、参考資料4に議事録そのものを添付させていただいて おります。また、資料の内容につきましては、各委員にも御確認いただいておりますの で、それらの説明は省略させていただきたいと思います。  また、お手元の参考資料1をごらんください。こちらは「新たな難治性疾患対策の在 り方検討チームの設置について」でございます。先ほど委員長からもお話がございまし たとおり、4月27日に第1回会合を開催いたしまして、その経過報告をさせていただき たいと思います。  こちらの検討チームの趣旨でございますが、難治性疾患対策について、医療、研究、 福祉、就労・雇用支援施策等、制度横断的な検討が必要な事項について検討を行うため に、厚生労働省に「新たな難治性疾患対策の在り方検討チーム」を設置するものでござ います。  こちらの検討事項といたしましては、(1)難治性疾患の患者に対する医療費助成の 在り方。こちらは小児慢性特定疾患に関するキャリーオーバーの問題も含んでおります。  (2)難治性疾患に関する研究事業の在り方。医薬品開発を含んでございます。  (3)難治性疾患の患者に対する福祉サービスの在り方。  (4)難治性疾患の患者に対する就労・雇用支援の在り方。  このような事項につきまして検討を行うものでございます。  構成といたしましては、2ページにございますとおり、長浜副大臣を座長といたしま して、両政務官、また主要局長級のメンバーを中心といたしまして、この検討チームを 設置しているところでございます。  また、この検討チームの事務局は、疾病対策課で行うこととしております。  お手元のパワーポイントの「今後の難治性疾患対策について」の資料をごらんくださ い。こちらは4月27日の第1回検討チームの会議の際に、議論の参考として提示させて いただきました資料でございます。  「難治性対策に関する課題の検討の進め方」という図をごらんください。  難病対策に関する現状の課題といたしましては、この難病対策委員会でも御議論いた だいておりますとおり、さまざまな課題がございますが、我々事務局といたしましては、 ここにある3点でまず整理をさせていただいております。  まずは「現状の課題」といたしまして「医療費助成」。こちらにつきましては、本日 も御発表がありますとおり、都道府県の超過負担を踏まえた安定的な財源確保の課題。 これまでさまざまな対象疾患を拡大してほしい要望がある。また、小児慢性特定疾患治 療研究事業のキャリーオーバーの問題といったことが現状の課題としてございます。  「福祉」につきましては、障害者自立支援法など、既存の対象とならない方に対する ホームヘルプなどの福祉サービスが今、十分でないということでございまして、福祉制 度にも谷間がある。  「研究」につきましても、研究対象疾患を拡大してほしい。また、これまで「希少」 でない疾患をどのように扱っていくのか。希少疾患に対する医薬品の研究開発との連携 をどう図っていくのか。  こういったこれまで挙げられているさまざまな課題があるところでございます。これ らの課題に対しまして、それぞれ検討の方向性をまとめさせていただいております。  こちらを検討する際に留意すべき事項でございますが、例えば「医療費助成」におき ましては、特定疾患治療研究事業の見直しについては、まさに高額療養費制度の見直し、 役割分担・連携が今後必要になってくるのではないか。そういった観点といたしまして、 安定的な財源確保に留意しながら検討していくべきではないか。  「福祉」につきましては、これまで内閣府におきまして、障がい者総合福祉法に関す る議論が進んでる。  「研究」につきましても、今後、難治性疾患克服研究事業の見直しなど、研究の在り 方を検討していく必要があるのではないか。  こういった検討の方向性に考慮いたしまして、今後の検討の場といたしましては、「 医療費助成」につきましては、高額療養費など、小児慢性特定疾患治療研究事業のキャ リーオーバーの問題など、さまざまな部局に関連する問題もございますので、この難病 対策委員会で議論するのは勿論のこと、健康保険につきましては、医療保険部会や、そ れぞれ他部局にわたるような事項につきましては、省内の検討チームでも検討していく ように、省内の連携を図るような対応をとっております。  「福祉」につきましては、先ほど申し上げました内閣府におきましても議論が行われ ておりますので、そういった議論を踏まえながら、難病対策委員会でも、難病に関する その他の福祉の問題についても検討していくこととしています。  「研究」につきましては、難病に関する研究でございますので、まさに難病対策委員 会で中心に議論をしていくということでございます。  パワーポイントの2、3ページ目は、既存制度の現状でございますので、説明は省略 させていただきたいと思います。  パワーポイントの4ページ目以降は「難病対策に関する課題」ということで、先ほど 3つの観点に分けたそれぞれ具体的内容をまとめさせていただいています。この内容は、 難病対策委員会でこれまでも何度も議論されてきた内容でございますので、本当に簡単 に御紹介だけさせていただきます。  まずは、医療費助成における問題点といたしましては、医療費助成制度の「谷間」が あるのではないか。  具体的には、難治性疾患についても、特定疾患治療研究事業の対象疾患(56疾患)と ならないものにつきましては、高額療養費制度以外の医療費軽減の仕組みが原則として ないような状態になっています。そういった状況の中で、難治性疾患の要件を満たして いない疾患の取扱についても、今後検討が必要ではないか。  特に、小児慢性特定疾患治療研究事業のキャリーオーバーの問題についても、20歳以 降、医療費助成を受けることができないという課題も挙がっておるところでございます。  安定的な財源確保につきましても、今後、安定的な財源を確保できることを前提とし た制度の構築が課題になってきます。  また、医療費助成の事業の性格につきましても、研究事業という位置づけでありなが ら、公費で医療費助成を行うという福祉的側面も有するような事業の在り方でございま したので、こういった在り方についてもまた検討が必要なのではないか。その際には、 健康保険制度との関連も合わせて検討していく必要があるのではないかということで、 まとめさせていただいております。  課題(2)の福祉施策につきましては、難病患者であっても、障害者自立支援法などの対 象にならない者につきましては、現在、ホームヘルプサービスなどの福祉サービスが使 えない状況になっております。  また、難病患者も含めて、障害者の範囲をどのように考えていくのか。これは内閣府 の方でも議論をいただいておりますので、難病対策としての福祉施策と障害者施策の関 係を今後整理する必要があるのではないかということでございます。  課題(3)の研究につきましては、これまで臨床調査研究分野が130疾患、研究奨励分野 が平成21年度は177疾患の研究を行っておりますが、希少性疾患が5,000〜7,000あると 言われております。また、研究対象の追加要望も非常に絶えないところでございまして、 現在研究対象となっていない疾患も含めまして、今後どのように研究していくのかが課 題となっているところでございます。  難治性疾患の要件を満たしていない疾患の取扱いについても、今後研究の在り方を検 討する際に、こういった議論も必要ではないかと思います。  その他といたしまして、現在、希少疾患の医薬品開発の要望が非常に多うございます が、これまで難病研究で行われる研究事業の成果と医薬品開発研究との関連も、今後連 携していく必要があるのではないかということで、そこの連携の在り方についてもひと つ課題になっているのではないかということでございます。  第1回目の議論を踏まえまして、今後さまざまな課題、論点整理をこういった検討チ ームでも行って、省内での連携をはかっていくということで、検討を進めていく予定で ございます。  また、難病対策委員会につきましても、まさに皆様方から、これまでにさまざまな検 討課題につきまして御提言いただいておりますので、そういったものにつきましても、 検討チームの中で御紹介していきながら、政府としてもしっかりと取り組んでいくとい う対応をさせていただきたいと思っています。  説明としましては、以上でございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。  参考資料2はいいんですか。 ○中田課長補佐 失礼いたしました。  参考資料2につきましては、平成22年度の難治性疾患克服研究事業の第1次公募が終 わったところでございまして、その研究課題について採択されたものをとりまとめたも のでございます。こちらは後で御参考にごらんいただければと思います。  また、参考資料3につきましては、難治性疾患克服研究事業の第2次公募を実施して おりまして、主に横断的基盤研究分野と研究症例分野につきまして追加公募となってお ります。こちらにつきましても、締切りが明日までとなっておりますが、御紹介をさせ ていただきます。  以上でございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。  いろんなことを話してもらいましたけれども、少なくとも参考資料1で、省内で新た な難治性疾患対策の在り方検討チームというものができたそうでありまして、パワーポ イントの1ページ目の「検討の場」には、3つの話題に対応する検討の場が書いてあり ますが、その中にこの難病対策委員会が3つとも出ているということを御理解いただき まして、深くこれに関与していただくことになるだろうということを申し上げておきた いと思います。  また、その中にいろいろなことが書いてありますけれども、これまで皆様方からいた だいた御意見が、恐らくそのままストレートに載っているだろうと思います。前回、キ ャリーオーバーの話も出ておりましたね。そういうわけで、この委員会が非常に重要な 意味を持っているということを、あるいは逆に言いますと、ここで議論したことの受け 手がちゃんとできたということだと思いますので、意欲を持って議論をさせていただき たいと思いますので、よろしくお願いします。  さて、早速ですが、今の御説明に御意見、御質問でも結構でございますが、何かござ いますでしょうか。感想でも結構です。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 今、金澤先生が意欲を持って検討していきたいとおっしゃっていただいた ので、大変心強いんですが、若干危惧するのは、やはりこれだけ多様なところで難病の 問題が議論されていますと、思わぬ方向での議論がどこかで先行しかねないということ もありますので、下手すると、福祉は福祉、医療は医療、研究は研究みたいなことにな ると、難病対策が八つ裂きになってしまう恐れもなきにしもあらずということで、是非 この難病対策委員会の議論が本家本元といいますか、中心となって全体的な議論に反映 されるように、これは事務局の方に強くお願いをしておきたいと思います。こういう感 想です。 ○金澤委員長 別々のところで議論するようになってしまうことの危惧ですか。 ○伊藤委員 そうではなくて、ここがしっかりと主導権といいますか、まず難病対策は こうあるべきだという議論は、この難病対策委員会が先行していくぐらいの気持ちで。 ○金澤委員長 こちらの方に意味があるわけですね。わかりました。  というのは、伊藤さんが最初におっしゃった、研究と福祉をある程度分けて議論しな くてはいけないというのは、実は前々から言われていることでして、これはお許しいた だきたいんです。 ○伊藤委員 そういう意味ではなくて、例えば難病というものをどうとらえるかという 議論でね。 ○金澤委員長 わかりました。ほかにどうでしょうか。  福永さん、どうぞ。 ○福永委員 まさにそのとおりだと思うんですけれども、2点ございます。  1つは、やはり財源の問題があるかと思います。地域というか、都道府県によって、 かなり受ける恩恵というのが違うのではないかと思います。まずその点をできるだけ地 域によって格差がないようにしてほしいということがあります。  それから、はざまの問題を取り上げられていましたけれども、確かに非常に臨床の現 場では矛盾を感じることが多くて、特に私は筋ジストロフィーを専門にやってきたんで すが、例えば筋ジスの患者さんで在宅で、障害度がそんなに強くない、いわゆる自立支 援法の網にかからない障害度の軽い人の場合には、それこそ生活保護とか、そういうこ とでなければ、なかなか医療費で障害が軽い30〜40歳ぐらいの人の場合に、非常に困っ ている例が現実にあるものですから、そういうはざまの問題を是非検討していただきた いと思っています。 ○金澤委員長 確かに谷間ですね。ほかにいかがですか。  ほかの時点でもまた御意見を伺うチャンスはあるかと思いますので、その都度お伺い いたしましょう。  それでは、本日のお客様をお迎えしておりますので、今後の難病対策についての議論 の1つとして資料をいただいております。一瀬委員からお話をいただきます。資料1で すね。よろしくお願いいたします。 ○一瀬委員 それでは、資料1をごらんください。青森県の一瀬でございます。特定疾 患治療研究事業に関しまして、地方行政の立場から意見を述べさせていただきたいと思 います。  2月からこの委員会に参加させていただくことになっていたのですが、あいにく2月 は参加できませんでしたので、そのときに各都道府県にアンケート調査を行いまして、 その意見をまとめたものがこの資料となります。  会議に参加するに当たりまして、前回、前々回等の議事録を拝見させていただきまし た。その中で委員長から、事業費は国と地方が折半のはずだが、現実には国が3、地方 が7ということになっている。地方の支出が増えているのではないかというお話があり まして、事務局の方からは、地方の財政支援策として、1兆円の地域活性化・経済危機 対策臨時交付金を補正したと。これが地方のことを考えたことになっているとの御説明 があったところでございます。  しかしながら、この臨時交付金では、本事業で抱えております地方の超過負担を解消 するには至っておりません。私ども青森県では、平成21年度当初予算の決算におきま して、本事業の超過負担額は3億円近いと見込んでおります。  また、平成21年度から、地方の超過負担を軽減するためとして実施されました高額療 養費の取扱いの変更につきましても、保険者への所得区分照会等の事務量が非常に増加 しております。その効果はまだ不透明なところでございます。また、この事務処理の増 加に伴いまして、受給者証の発行までに時間を要すること等、受給者からの苦情が増え ているような状況であります。  本事業名は、治療、研究でございますが、かなりの部分が医療費の助成事業となって おるものと考えております。対象者数の増加に伴いまして、事業費も年々増加し続けて いることですから、国庫負担の2分の1の原則も遵守されなければ、地方の超過負担は ますます増える一方でございます。国として十分な財源確保ができず、その負担を地方 に押し付け続けることは、地方分権の趣旨にも反するもので、現行制度は崩壊寸前と言 わざるを得ない状況と認識してございます。  各都道府県から、超過負担の回収はもとより、医療保険制度の中での患者負担の軽減 施策に関する意見も出されているところであり、この事業につきまして、全国衛生部長 会でも大きな問題として取り上げ、今回の要望及び提言という資料のうちにまとめた次 第でございます。  地方としましては、国と地方の役割や財政負担等を明確にするための法制化を含めま して、本事業の抜本的な見直しを早急に実施されるよう、強く要望してまいる所存でご ざいます。  資料1をごらんいただきまして「背景」でございます。  この部分につきましては、各先生方は十分御存じのとおりと思いますが、衛生部長会 としましても、本事業が対象疾患の原因究明や治療法の開発、臨床研究等の推進に成果 を一定程度上げてきたことは認めるところでございますが、その一方で、やはり対象疾 患以外にも数多くある、原因不明で治療法が未確立の病気への対応、また疾患の医療費 負担に対する公費支援の在り方、長期にわたる治療、看護、リハビリテーション、介護 を支援するシステムづくりなど、検討すべき課題が山積みであるものと考えてございま す。  また、本事業の実施主体であります都道府県が、長年にわたり国の方に要望してまい りました事業の法制化、また補助金、超過負担の解消については、一向に改善されず、 平成21年度では、超過負担が更に増加する見込みとなってございます。これは資料の後 ろの方に付けてございます。今後、この事業の安定的実施が非常に困難になるおそれが 現状あります。今後の制度改革に当たりましては、本事業の目的を改めて明確にすると ともに、上記の課題解決を図るため、早急かつ抜本的な解決策の検討が必要であると考 えてございます。  先ほど、新しい検討チームができる、立ち上がるということでありましたけれども、 具体的な検討スケジュール、締切り等を示していただくと、大分わかりやすくなるので はないかと考えてございます。  具体的な提言にまいります。  本来、対策の実施責任とそれに必要な財源確保の責任は一体化することが重要と考え ております。特定疾患に限らず、原因不明で治療法が未確立の疾患の原因究明や治療法 の開発などの研究の推進、また患者への医療費公費支援につきましては、国が実施すべ きものと考えております。  一方、地方自治体は何をするかと申しますと、その地域の実情に応じた適切な治療、 看護、リハビリテーション、介護システムを構築するという、それぞれの役割を国、地 方で明確にした改革が必要と考えております。  その改革の道筋としまして、次に掲げる項目を提言いたします。読み上げさせていた だきます。  一、原因不明で治療法が未確立の疾患の原因究明と治療法の開発については、国が責 任をもって進めることが重要である。国はその対象とする疾患の定義を改めて検討した うえで、対象疾患を選定し、新たな制度として法制化する必要がある。  二、医療費負担に対する公費支援については、高額または長期の医療費負担を要する すべての疾患も含めて、患者が負担する医療費の総額と所得を考慮し、医療保険制度に おける特定疾病療養制度や高額医療費制度、また、自立支援医療制度など他制度との比 較のうえで、それら制度の活用も含めて適切な負担と公費支援のあり方を検討する必要 がある。  三、特定疾患をはじめ長期の療養が必要な患者に対しては、相談支援や適切な治療、 看護、リハビリテーション、介護の提供が必要である。そのためには、訪問看護制度や 介護保険制度、障害者自立支援制度等の他制度との連携を密にした、患者や家族が活用 しやすい支援制度の検討が必要であるとしております。  2ページが、各都道府県にアンケートをしました特定疾患治療研究事業費に占める都 道府県超過負担額の割合でございます。平成20年決算と平成21年度見込みとなっており ます。平成21年度分は見込みでございますので、確定分ではございません。  真ん中辺りを見ていただきますと、平成20年度の都道府県超過負担額が194億円とし てありますところ、平成21年度の超過負担額の見込みは276億円と、非常に増加してい る状況でございます。  高額療養費の見直しによりまして、事業費全体が約2割縮小する国の見込みとは大分 異なっておりまして、全体事業費も956円から1,058億円と、1割程度伸びている見込み となってございます。  3ページの別紙2は、特定疾患治療研究事業につきまして、各都道府県にさまざまな 自由記入という形でアンケートをとったものでございます。それを1〜7番に分けてお りまして、1番の超過負担につきましては、どの都道府県もやはり超過負担が非常に重 荷になってきているというお答えが返ってまいっております。是非見直しをやってほし いということでございました。  2番の医療費助成制度につきましては、ここに書いてありますけれども、例えば特定 疾病のように既存の医療保険制度の中で特定疾患を組み入れて医療費を助成するなど、 制度そのものの見直しを行うことについての意見ということで聞いておりますので、条 件付けをして聞いたことによりまして、答えが若干偏っている部分もございますが、基 本的には医療費保険制度の中で見ること自体は賛成という意見も多数ありました。ただ、 一方で反対する意見としましては、保険者の負担が増えたり、現行の患者さん側の負担 が更に厳しくなったりすることに関しては反対という意味で反対という、両論併記のよ うな回答となってございます。細かくは、後ほど見ていただければよろしいかと思いま すので、先に進みます。  5ページ「3 難病研究について」でございます。  こちらでは、例えば特定疾病のように、既存の医療保険制度の中で特定疾患を組み入 れて医療費を助成するなど、制度そのものの見直しを行った場合の難病研究についての 意見ということで、ここでも半ば肯定的な意見と反対する意見がございまして、やはり 研究は推進すべきであるという意見と、一方で研究から漏る疾患が出てくるという理由 で反対される意見。あと、研究データをどうやって集めればいいのか。具体的に実施す るに当たって、現在の事業の方がやりやすいのではないかというところで反対するよう な意見なども書かれておりました。  6ページ「4 法制化について」でございます。  こちらは、基本的には法制化をしていただきたい。やはり、この予算に基づいた事業 といいますか、非常にあいまいな位置づけでありますので、明確にしていただきたいと いう意見が書かれてございます。  7ページ「5 他制度との関係」でございます。  こちらは、やはりどんどん制度が複雑化しておりますので、もうちょっとならしてと いいますか、わかりやすい制度にしていただいて、他制度と比較してそごがないように していただきたいというものがございました。  「6 事務手続の簡素化等事務改善について」でございます。  こちらも手続が非常に複雑化しておりましたり、1年に1回しかやらないということ もありまして、その時期だけ事務が膨大になったりすることから、そういうものを何と か改善してほしいという意見がございました。  「7 その他」でございます。  こちらには、さまざまな意見がございます。  私の方からは、簡単でございますが、以上でございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。こういう資料というのは、私は今まで 余り見たことがなかったので、大変参考にさせていただきたいと思っておりますし、衛 生部長ですから、現場のトップですね。そういう方が御意見をまとめたものは非常に貴 重だと思います。  何か御質問、御意見はございましょうか。  2ページ目のグラフが大変印象的なんですけれども、194億円が267億円になってしま ったというのは、10.7%の伸びがあったのでこうなってしまったんですかね。 ○一瀬委員 全体が増えているのに対しまして、国庫負担が増えておりませんので、当 然地方の負担は増えることになるかと思います。 ○金澤委員長 前回聞いたときには、そうではないでしょうねと聞いたつもりだったん だけれども、やはりこうなっているんですね。 ○一瀬委員 21年度分は見込みですので、確定ではございませんが、大よそこの数字に なるものと考えております。 ○金澤委員長 こうはならないでしょうねと聞いたつもりだったんだけれども、覚えて いらっしゃる方もおるかと思うんだがね。  さて、どうぞ御意見をくださいませんか。御質問でも結構でございます。  小幡委員、どうぞ。 ○小幡委員 今のものについては、厚生労働省の方からお話を伺いたいのですが、乖離 というのはよくある話なのですかね。 ○金澤委員長 確定ではないそうですけれども、何かコメントをくれますか。 ○難波疾病対策課長 まず、21年度は何が変わっているかといいますと、高額療養費の 見直しによって、事業の制度設計を少し手直ししているということがあります。それに ついては、実施される都道府県で、時期的に少しばらつきが出ているという点がありま す。 もう一点,昨年度は、11疾患を補正予算で追加しています。これらが例年とは違 う要素として入ってきておりますので、そういったことが変動の要因としては考えられ ます。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○小幡委員 そうすると、本委員会としては、このようにはならないようになっている はずであるということと理解してよろしいのでしょうか。 ○難波疾病対策課長 予測したものと乖離する要因として、今のような点が考えられる ということだと思います。 ○金澤委員長 これは勿論、疾病対策課だけの問題ではないので、先ほど、省内で新し く検討会が立ち上がりましたね。そこで是非話題にしていただきたいということだけお 願いしておきましょうか。非常に大きな問題だと思います。  ほかに何か御意見ございますか。  ありがとうございました。勿論、後でまた思い出したころに御意見をいただいても結 構です。   ○金澤委員長 社会保障を御専門になさっている広井委員からコメントがあればどうぞ。 ○広井委員 ということでございますと、十分な知見を持っているとは全く言えないん ですが、その前の資料のことも含めて申します。  私は以前、厚生省の更生課というところで障害福祉の関係をやっていたこともありま して、それもかなり以前のことになるんですが、やはりそのときも、当時からといいま すか、医療と福祉のはざまという問題があり、また、疾病と障害というのが非常に連続 化しているといいますか、そういう中でまさに難病の話が、医療と福祉の両方にまたが るということで、概して谷間になりがちだという話がずっとありまして、その課題が今 もある意味でずっと続いているという、印象にすぎませんが、それを持ちつつ、先ほど 来のお話を伺っておりました。  個人的には、先ほどの前の資料での障害の定義とか、福祉サービスの範囲をもっと柔 軟にといいますか、拡充するような方向の施策が少なくとも必要ではないかということ を思っておりましたが、そういったことが課題としてあるかと思います。  それと、今のお話につきましては、やはり財政費用の負担の話は非常に難しい問題で、 一般的によく所得保障の部分は国がナショナルミニマムとして行い、福祉サービスは自 治体の方にという、所得保障と医療、福祉サービス、研究も含めて役割分担の話があろ うかと思いますけれども、そこら辺は非常に難しい問題が依然残っているということを 感じたというところで、今、お話を伺って、感想めいたもので恐縮なんですが、この辺 りはまさに大きなテーマだと思いました。 ○金澤委員長 ありがとうございました。  今の広井さんのお話に何かコメントはありますか。御質問でも結構です。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 広井先生が委員に加わっていただいたということで、一度広井先生からの お話も伺いたいと思っていたんですが、今日、全国衛生部長会の資料が出て、これも大 変重要だと思うんですが、都道府県と国との役割を明確にすべきだというのは、私もそ う思います。ずっと患者団体も、難病対策はもっと国が責任を持って行うべきだという ことを主張していたんですが、反面、患者さんたちが生活しているのは地域で、自治体、 都道府県や市町村の中で生活しているわけですから、そういう意味では、当然税金も納 めているわけですけれども、自治体が自分のところの住民に対してどういうスタンスで、 こういう病気の方々、あるいは難病というものに関わっていくのかということは、これ もまた非常に重要なので、単に介護とかリハビリテーションということだけではなくて、 もっと自治体も難病対策に対する責任というのがあるような気がするというか、あると 思うんです。  難病対策は国がやるにしても、医療も医療機関へのアクセスも、さまざまなサービス についても、それは自治体が財政難だから困難だということだけでいいのか。自治体の 役割というのは、こういう問題に対して、どこまで自治体の責任とか役割があるのかと いうことも、ここのところもこれからもうちょっと議論をしていっていただきたいとこ ろだと感じました。  以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  今、広井さんのお話の中にも少し出てきたし、最初の事務局からの説明の中にも出て きたんですが、障害者の定義が、厚生労働省の場合と内閣府の場合と必ずしも一致して いないみたいに聞こえたんだけれども、それはどこかにちゃんと書いておいてくれませ んか。こちらではこういう定義、向こうではこういう定義。どういうところに違いがあ るのかもわかるようにしてくださると大変ありがたいと思います。将来でもいいですが、 今でもわかればお願いします。 ○中田課長補佐 まさに障害の定義を今、議論していると伺っていますので、どういう 経緯で議論をしているのかについては、また次回以降、整理したいと思います。 ○金澤委員長 今の時点でどうなっているかというのもちゃんと教えておいてもらって、 どこが問題なのかというのがわかるといいですね。  伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員 そういう意味では、今の障がい者制度改革推進会議の中で設けられた総合 福祉部会で日本社会事業大学の佐藤久夫という先生が座長をされているんですが、たび たびあちらこちらで難病がなぜ障害者制度に入っていないのかということを書かれたり、 発言されたりしているようです。そういう障害者の定義ということと、難病という 問題について、どうお考えになっているのか、一度お招きして、お伺いしてはどうかと も思っているんですが、どうでしょうか。 ○金澤委員長 ありがとうございました。深く考えさせていただき、検討させていただ きます。  ほかにいかがですか。葛原委員、どうぞ。 ○葛原委員 現在、都道府県ごとの財政負担が非常に高いんだということが問題になっ ていますけれども、これは実際の現場でどういうことになっているかというと、例えば 東京都は財政事情がいいから非常にサービスがいいわけですね。だけれども、その点、 埼玉県は東京都に比べると悪いということで、難病の患者さんが東京都に引っ越してく る方が現にいらっしゃるわけです。だから、実際に住む場所が変えられる人はいいけれ ども、変えられない場合は地域によっては非常に悪いサービスを甘受せざるを得ないこ ともきっとあるだろうということ。  もう一つは、今、伊藤委員が地方自治体の責任ということをおっしゃいましたけれど も、これは国が指定していらっしゃるんだったら、やはり国で財政負担も全国平等にな るように考えるべきだろうと思います。都道府県でやるのだったら、財政事情に応じて 難病が都道府県ごとに違ってきてしまうということだってあり得るのではないかという 気がしますので、私自身は、国で指定して、全国どこでも平等な患者さんの医療と福祉 の面である程度の便宜が得られるということは、是非きちんと対応していただきたいな と思います。  もう一つは、難病の中では、マイオザイムなどは1人についてたしか1年間2,000万 円かかるのではなかったでしたか。ああいう方が1人出ると、多分小さい市町村などは 市の予算ががらっと変わるということもあると思うんです。  そういう点からいうと、安い医療費なら何でもないかもしれませんが、1人に何千万 もかかるような患者さんが何名か出るということで、それこそ市町村の財政が破綻する ということもあり得るということを考えると、やはりこれは国レベルで是非考えていた だきたいと思っております。  以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。いろいろ議論になるでしょうね。  ほかにいかがでしょうか。本間委員、どうぞ。 ○本間委員 一瀬さんに伺いたいんですが、この難病のアンケートの結果の原データと いうか、詳しいものはいつごろ発表されるのでしょうか。それを拝見したいのですが。 ○一瀬委員 これより更に詳しいものですか。 ○本間委員 そうです。これは抜粋したものですね。 ○一瀬委員 全部ではないです。あくまでも抜粋して、今回の会議用に作成したもので、 特に発表する予定では調査をしておりませんでしたので、この委員会に提出するための ということで、各都道府県にお願いして出したものですので、今のところ発表する予定 はございません。 ○本間委員 では、患者サイドとしてのお願いなんですが、実はこの超過負担の問題は、 患者サイドから見ますと、確かにこういう説明を受けますと、そうなのかなと思うんで すけれども、実際に全国各地にいる患者個人からすれば、一体どうしたらいいかわから ない話になってしまうんです。  だから、言い方は悪いかもしれませんけれども、助成が国であろうが、地方であろう が、どちらでもいいわけなので、要するに私の場合はどうなるのだろうかという関心は あるわけです。  ただ、これがネックになって、なかなか医療費が進まないということになりますれば、 それはそれで患者サイドとしても考えるべき話ではありますので、そういう意味では、 各自治体によって状況はかなり違う面もあると思うんですね。例えば今、おっしゃった ように、東京や埼玉と青森や北海道などとやはり状況はかなり違うと思います。特に都 市部でも県庁所在地と郡部の山間部の患者さんは違うと思います。交通費1つとっても 相当違うと思うんです。ですから、その違いというものをやはりそれぞれの患者がわか るようなデータというものをいただけると、より議論しやすいかなと。患者サイドでは わかりやすいのかなという気がしたので、できればそれを公開していただければ助かり ます。これは要望です。 ○金澤委員長 一瀬委員、どうぞ。 ○一瀬委員 本間委員からの要望につきましては、衛生部長会の方に持ち返りまして、 検討させていただきたいと思います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 せっかく衛生部長会のこういうデータがあるので、もう一言発言しておき たいと思います。  実は、疾病別に特定疾患の患者さんのデータを集めているわけですね。把握している と思うんですが、今はほぼどの疾病も、発生率によって地域格差、特性は余りないんだ と言われているんですけれども、47都道府県別に患者さんの特定疾患の受給者証を持っ ている方の数と人口を割って調べていきますと、相当な差があるんですね。  ということは、自治体である県の患者さんは、かなりの数の患者さんが特定疾患の受 給者証として持つことができるのは、そういう診断も受けて、治療も受けることができ ているということだと思うんですが、ある県の患者さんは、その何倍かの人が、いるか どうかは調べなければわからないのでしょうけれども、いると思われているにもかかわ らず、患者数が少ないというのは、それだけその患者さんが治療を受ける機会を失って いるか、あるいは特定疾患の制度利用を受けることもできないでいるかという問題にな るわけですから、そういうことについては、葛原先生のおっしゃっていることは勿論そ うだと思っているんですが、そういう意味で自治体の努力というものも一方では要求さ れるのではないかと思います。難病対策は国が進めるべきだけれども、そういう自治体 の努力の格差みたいなものがやはり目につくんですね。それはそのまま患者さんの治療 や生活に直接影響を与えているということも、もう一方では見ていただいて、そこのと ころでも全国の自治体での検討をしていただきたいという要望です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。  それでは、もう一方、特別ゲストにおいでいただいております。国立保健医療科学院 で難治性疾患克服研究事業の指定研究といたしまして、まさに今後の難病対策の在り方 に関する研究というものを実施していただいておりますが、その結果につきまして、林 院長から、今後の研究の進め方と研究成果の第1回目といたしまして、諸外国における 希少疾患対策の動向ということについて、併せて御発表いただきたいと思います。どう ぞよろしくお願いします。 ○林院長 御紹介に預かりました国立保健医療科学院の林でございます。  実は、このタイトルはいささか大きいわけでございますけれども、私どもが昨年、未 分類疾患に関する研究というテーマをいただきまして、調べました結果、さまざまな未 分類疾患といっても、一体診断がなかなかできないことによって生じたことなのか、あ るいは本当に新しい病気なのかということがございまして、日本ではなかなかそういう 研究が進まないので、外国ではどうなっているのかということも含めて、検討させてい ただいたわけでございます。そのときの研究成果を踏まえて、本日お示しするデータを 提供させていただくわけでございます。  周知のように、私どもは本年から、この難病に関するファンディングエージェンシー という立場もございますので、そういうことから、単なる事務的な作業をするというこ とではなくして、マクロという観点から考えて、いわゆるこういったサイエンティフィ ックなエビデンスを集積した上で、行政なり、ここの委員会なり、あるいは患者の会な りに、それをどういう形でお示しして提供できればいいかということを工夫することが 大事ではないかということで、このようなテーマをいただいたかと思っております。大 変責任の重い仕事だと考えております。  そこで、提供させていただいたデータは、今後、難病対策の研究というのはどのよう に考えていけばいいか。特に私どもの国立研究機関としての立場で、個々の病気に対し て踏み込むというよりか、全体の研究の基盤整備をどのような形でサポートできるか。 そのような立場で考えさせていただきました。  この資料にもございますように、順序は逆でございますけれども、難病対策及び難病 に関する研究開発の在り方の検討が1つございます。  その次に、難病対策の基盤となる研究開発環境を整備するための方法論をどのように 考えればいいか。  それから、我が国及び諸外国における難病対策の動向や成果の分析を行いまして、今 後の難病対策を推進する上で、行政が抱えるさまざまな課題に対して、何らかの提言を 行うことはできないだろうかという趣旨の下で始めております。  3ページです。それでは、研究開発環境を整備するための方法論をどのように考えれ ばいいかということでございますが、最初に、実態把握は何といっても重要でございま す。確かに今、疫学関係の研究班もございますが、少し規模が小さいようでございます ので、もうちょっと規模を大きくして、掘り下げていきたいと考えまして、難病患者の 発生率の推計方法及び疫学的な特徴の把握方法の開発、つまり、推計モデルあるいは疫 学モデルの開発を目指しております。  先ほども出ましたけれども、地域格差の問題でございます。既に私たちが幾つか実際 わかっている例を拾い上げました。例えば静岡県の富士川流域に何とか病が多いとか、 あるいは和歌山県に何とかという病気が多いとか、そういうわかっているものについて、 私どもの地域性に関する研究というグループから提供されたモデルを当てはめますと、 よく関連されるわけでございまして、可能性として私は期待しておるわけでございます。  次に、診断困難症例の情報収集・集約・分析・提供システムの開発でございます。  難病患者は何といっても、どうして自分たちの診断がすぐに出てこなくて、5年後あ るいはそれ以上遅れて病気の診断がなされるかということでございますが、こういった ことというのは、専門家が少ないということもございますし、データの集積も余り系統 的に行われていないということもございます。  このようなシステムを開発する必要があろうかと思いますが、それに加えて、未分類 疾患というのも含まれているのではなかろうか。未分類疾患に関して、どのようにアプ ローチすればいいかということについては、米国のモデルは大変参考になりますので、 後ほどまたお話しさせていただきたいと思っております。  3番目は、難病患者の実態把握の手法の開発でございます。  実態把握は、マクロとミクロ両方の立場があろうかと思いますが、例えばマクロでは、 私どもが現在構想しておりますのは、国民生活基礎調査という国の大きな調査がござい まして、何万人ものデータが入っているわけでございますが、細かい生活の項目もたく さん入っております。これと同じような項目を難病患者にも調査させていただきまして、 それを比較した上で、一体国民全体の中での生活実態と難病患者の実態では、どのよう な位置づけになっているのか。その差異はどの程度のものかということは、まずマクロ の意味では出てくるものと思われます。  そのほか、ミクロの研究というのは、別途考えております。  4ページは、難病対策及び難病に関する研究開発でございます。  現在、臨床調査個人票がございますけれども、これも私が例えばこの委員会での前回 の議論を拝聴いたしましても、むしろそれは医療費の観点からつくられた個表であって、 疫学調査にはとても応用するわけにはいかないということで、これをそういったものに つくり変えるためには、一体どういう形式がいいかということを検討する必要があるの ではなかろうかと思われるところでございます。  それと同時に、臨床の先生がすべてデータ入力をするのは大変な負担のようでござい ますので、これをどのようにして軽減していくか。そして、つくられたデータベースを 臨床研究でどのように生かせるか。その方法論についても考えたいと思っております。  5番目は、難病に関する技術評価の手法の開発。  技術評価といいましても、4つの要素がございまして、例えばその治療に関するコス トの問題、効果の問題、そして安全性の問題、ソーシャルインパクトの問題がございま す。こういったことを検討する必要があるわけでございますが、治療薬あるいは治療技 術の問題についても、難病であるがゆえに、国内患者は非常に少ないわけでございまし て、国内だけである疾患について、それを検討することは、他の病気と違って、非常に 難しさが伴うわけでございますが、その際には、International Clinical Trialみたい なものを考えていかないと、なかなかオーファンドラッグの開発につながらないのでは なかろうかと考えられるわけでございます。これについても国内で例えばPMDAのよ うなところもございますが、性格が異なりますので、これはまた別途、どういう組織で 考えればいいかということをいずれ提案させていただければと思います。  6番目は、災害時に難病患者の支援体制を一体どのようにすればよいのか。そのとき に希少医薬品の供給はどのように確保するか。病院、施設の安全性の向上等の問題も検 討する必要があるわけでございますが、特にこの難病においては、医薬品の供給確保と いうことは、一般の患者の場合と違うわけでございますが、例えば呼吸器を必要とする ALS患者については、他の疾病においても同じような状況にあるかとは思いますが、 薬品に関しては、また難病に特徴的なことかと思います。  以上を踏まえて考えますと、5ページです。我が国の難病対策の現状について、ここ に整理させていただいております。  まず、発症予防の観点から見ますと、スクリーニングの精度向上に関して、子ども家 庭総合研究事業の中で行われておりますが、先天性代謝異常症の障害発見の防止につい ては、先天代謝異常症等検査事業という事業の中で行われているわけでございます。  治療とケアについては、難治性疾患克服研究事業という研究として制度があるわけで ございますけれども、この研究の成果を反映させたものとして、医療費の問題で特定疾 患治療研究事業及び小児慢性疾患治療研究事業と2本立てになっておりまして、先ほど 議論が出ましたように、キャリーオーバーの話というのは、これに絡んでおるわけでご ざいます。  ケアの問題については、先ほども出ましたように、障害者自立支援事業という観点か らも関連するわけでございますが、それぞれ生活支援事業及び入院施設確保事業といっ た体系が一応あるわけでございますけれども、先生方が御議論のように、さまざまな齟 齬を来している面があるので、これをどのようにして今後考えていけばいいか、整理し ていけばいいかというのが大きな課題になっておるかと思います。  6ページは、日・米・欧における難病の定義と規定について説明させていただきます。  周知のように、難病の定義というのは、日本特有のものでございまして、いわゆるレ アディジーズとして、患者数が約5万人未満ということで、これは薬事法の第77条の2 において、希少疾病用医薬品または規制疾病用医薬機器として指定する要件として「対 象者の上限を5万人」とされていることと関連しているわけでございますが、2番目の 条件として、原因不明、効果的な治療が未確立、4番目としては、長期療養を必要とす るという4本立てで定義が示されているわけでございます。  関連法規としては、ここに書いてありますように、対策要綱及び薬事法の改正による 副作用の救済法があるわけでございますが、それに比べますと、米国には難病という定 義がございません。単にレアディジーズという、希少の疾患であると、患者が20万人未 満と規定しておりまして、約6,800疾患、患者推計数は2,500万人と言われているわけで ございます。  勿論、これは有効な治療法が未確立のものでございますけれども、こういった定義と いいますか、レアディジーズはどのようにしてこのような規定になってきたかと申しま すと、1983年につくられた希少疾病医薬品法、Orphan Drag Actという法律、つまり希 少疾病に対する医薬品をどのように開発していくかということと関連して、このレアデ ィジーズが決められたわけでございます。  そして、その法律が決められた背景として、患者、家族の要求に沿って、治療法を確 立してほしいという要望の下に、遺伝子情報のデータベース及び臨床データベースのリ ンクが行われたのが最初でございまして、それを背景としてできた法律でございます。  ヨーロッパでは、希少性といいましても、患者数が1万人に5人以下と決められてお りますと同様に、特に難病という言葉は使っておりません。ヨーロッパ全体で約3,600 万人が想定されております。日本と共通しておりますのは、生活に重大な困難を及ぼす 非常に重症な状態ということでございますが、後ほどお話ししますが、これに対する医 療費の補助というのは、特に希少性だからといって、特別に補助があるということでは なくして、生活に重大な困難を及ぼすという病気に対して補助が行われるわけでござい まして、したがって、その中には希少性疾患も混じっておりますし、そうでない疾患も 混じっているわけでございます。  先ほど申し上げましたヨーロッパの7,000疾患というのは、レアディジーズのみなら ず、周産期やその後の環境汚染と関連した病気も含まれております。ヨーロッパは広い わけですから、欧州レファレンスネットワークというものをつくっておりまして、各国 の難病センターの連携を強化しております。そして、こういった一連の制度に関連して、 法的な規定としては、欧州希少医薬品規制が99年につくられております。そういう意味 では、非常に米国、ヨーロッパとも希少医薬品の開発という観点から希少疾患に対処し ているわけでございます。  7ページ、米国における希少疾患対象の臨床研究体制です。  これは私どものスタッフを派遣いたしまして、つぶさに考察してきたわけでございま すが、大変日本の参考にもなるような気がいたしております。  左下のチャートをごらんいただきたいと思いますが、NIHの傘下にまずORDR、 Office of Rare Diseases Researchという組織がございます。この下に、御存じのよう に、NIHのいろんな組織があるわけでございますが、こういったシステムを通して、 臨床研究体制を構築しているわけでございます。  ORDRというのは何かといいますと、一番上にございますように、2002年に法的な 位置づけがございまして、これは希少疾患に特化した研究の推進、つまり研究の調整、 支援、研究費助成、患者への情報提供など、希少疾患研究全体の運営を行う。この2002 年の法律というのは、希少疾患対策法という法律がつくられまして、それによってOffi ce of Rare Diseases Researchの機能が規定され、義務化されたわけでございます。  そして、具体的に治療を目的とする臨床研究の推進については、新薬開発に主眼を置 いて、NIHとFDAの連携が強化されて、今までに87疾患についての薬品が認可さ れております。  臨床研究の推進においては、必ず患者団体とのパートナーシップが要求されておりま す。研究申請については、患者支援団体の関与が原則になっております。  そこで、そのネットワークというのはどういうものかといいますと、これはネットワ ークを最初に構築されたものと、その後に構築されたものの2通りございまして、最初 に構築されたフェーズ1は、2007〜2009年の間に患者登録及びデータ管理システムが集 中的に実行されたわけでございますが、そのためのデータセンターが構築されたところ でございます。  フェーズ2として、2009年〜2014年まで計画されているわけでございますが、これは いわゆるコンソーシアムでございます。これは米国内外の医学部附属病院及び研究施設、 病院がネットワーク化して、コンソーシアムを形成して、これにはスイス、カナダなど、 海外からも参加。5,000人以上の研究者が登録されておって、5年間計画で予算が約102 億計上されておりまして、先ほど申し上げましたNIH傘下の7つの研究施設が、この ネットワークの運営に関与しているという仕組みで転がしております。  ORDRのもう一つの役割は、例えばよくわからない疾患というのを臨床病院あるい はクリニックからリクルートしまして、検査はすべて無料でございまして、NIHの機 関に任せてあります。例えば遺伝子の検査等も含めてです。それで、これは一体診断し にくいために延び延びになっていたのか、あるいは全く新しい病気なのかということを NIHの機関に分析してもらっているという役割を担っております。  8ページは、欧州各国の医療制度及び難病患者に対する医療費軽減制度の概要でござ います。  先ほど申し上げましたように、ヨーロッパにおいては難病という概念ではなく、長期 にわたる高額な医療費がかかる疾患を対象に、医療費の支援を実施しております。  赤い枠組みが、難病といいますか、レアディジーズ患者の医療費軽減制度について、 各国の対応を示しているわけでございます。上の部分については、一般の医療費の患者 負担及び医療費の財源を示しているわけでございます。  イギリスにおいては、処方料の自己負担が免除されております。  フランスにおいては、特定重症慢性疾患が30疾患指定されておりまして、それについ て自己負担の免除及び公的な給付金が支給されているわけでございます。その特定重症 慢性疾患の中には、下の注にございますように、再生不良性貧血、パーキンソン病、ク ローン病、SLEの疾患が含まれているわけでございます。  ドイツにおいては、一般の患者の医療費負担については、世帯の年間所得の2%でご ざいますけれども、レアディジーズの場合は上限を世帯の年間所得の1%に減免してお ります。  スウェーデンにおいては、難病に限らないんですが、長期あるいは重篤な疾病の場合 は、薬剤費は無料とだけになっておりますが、実際問題としては、スウェーデンでは一 般の医療費の患者負担は非常に少ないので、つまり国の補助が非常に大きいということ もあって、こういったまれな疾患についても、それほど補助しなくてもこれだけあれば 十分カバーできるという体制になっております。  以上の状況がヨーロッパでございますが、多分先ほどの議論と関連する話であろうか と思いますので、更に今後詳細な検討をしたいと思っておりますし、先生方からの御要 望も承りまして、どういうエビデンスが社会科学的に必要なのか、疫学的に必要なのか、 私どもは鋭意考えさせていただくつもりでおりますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。  以上でございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。大変詳細な御紹介をちょうだいいたし ました。ありがとうございました。  これに関連して、何か御質問をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。  妙な質問をさせていただきたいのですが、外国の状況をお教えいただいたんですが、 随分前の話ですけれども、外国にはこういう難病という概念がなくてという話は伺って おりましたし、患者さんを集めるということも大変難しいんだということをアメリカの 人からも聞いたことがあったんですが、こういう制度がほかの国でも少しずつでき上が ってきているようですので、これは日本の影響を受けたんでしょうか。どうでしょう。 ○児玉室長 日本の影響を受けたかというと、やはり世界的な動きの中にあったと言う 方がいいのかなという気がするんですが、ケア福祉の面に関しましては、米国でも日本 には決して及ばないと担当者が話しております。 ○金澤委員長 昭和41年でしたか、難病に対してのまなざしを向けたのは日本が最初だ と思いますよ。そういう意味では、向こうが影響を受けたのではないですか。違います か。 ○児玉室長 韓国の例ですと非常に顕著でありまして、希少疾患に関しても難病の治療、 研究、ケアなどの体制に関しては、かなり日本のものを取り入れているということがあ ります。 ○金澤委員長 それを言ってほしかったんです。ありがとうございます。  ほかにどうぞ。伊藤さん、何かコメントがありますか。 ○伊藤委員 こういう研究を我々も待っていたといいますか、こういうことを知りたか ったということで、本当にありがとうございます。  質問としては、ないみたいなものなんですけれども、ただ、スライドの7ページで、 ORDRのところで運営についてですが、患者団体とのパートナーシップということを 書かれていますが、具体的にはこのパートナーシップというのは、どういう形で行われ ることを指しているのでしょうか。 ○児玉室長 こちらの資料にも書いてありますように、まずは研究申請に関しては、必 ず患者団体の関与が必要ということになっています。疾患によりまして、患者団体が組 織化されていない疾病もたくさんございますので、そういった疾病に関しましては、N ORDという患者団体やそのほかにも幾つかの大きな患者組織がありますので、そうい ったところから援助、支援を受け、研究の運営に関わるという支援体制ができ上がって いるということです。 ○伊藤委員 ということは、NORDなどがファンドを集めて、この研究にお金を出す ことも含めているという話なんですか。社会的支援なんですか。 ○林院長 私の方で申し上げます。  実は、NIHのファンディングの方法とも関連しておるわけでございますが、私が以 前にNIHの中にCenter for Scientific Researchというファンディング専門の機関が ございまして、そこに見学に行ったわけでございますけれども、そこでも別に難病の研 究でなくても、2段階審査のような形になっておりまして、第1段階は専門家の先生が この研究はいいとか、悪いとか決めるんですが、第2段階はかなりポリティカル、ある いはアドミニストレイティブな観点が必要だということで、必ず市民代表を研究の最終 判定に加わらせるといった風土がもともとございまして、特に難病の場合については、 単なる市民団体というよりは、患者団体の代表として出ていくという姿勢かと思います。 ○金澤委員長 小幡委員、どうぞ。 ○小幡委員 いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。  難病は日本が初めというのは知りませんで、そうであればますますそういう国がしっ かり制度を整えていくという必要性があるのかなと思って拝聴いたしました。  法律的なことをお伺いしたいのですが、そうであれば今、薬事法の77条の2の希少 疾病用医薬品というところに、法律上は一応何らかのとっかかりとなるような定義があ るようでございますが、それ以外は、難病対策要綱というものが1972年ということで すが、これは閣議決定なのでしょうか。これのみですか。つまり、そういうふうに日本 が最初に取り組んだということであれば、およそ先ほどから法制度上は、医療費との関 係とか、いろいろな仕組みの中に入れ込んでいくという非常に難しい問題があるという ことを伺ってきたのですが、基本的に難病というものについての取組みの基本方針のよ うなものが、どこで定められているのかということを伺いたいのです。 ○金澤委員長 事務局からどうぞ。 ○中田課長補佐 1972年に難病対策要綱がまとめられましたのは、特に法律的事項に基 づいているものではなく、あくまでも運用といたしまして、こういった要綱をまとめて、 難病対策を実施してきたというところでございますので、何か閣議決定という法的事項 に基づいているというものではございません。 ○小幡委員 今でもこれがあるのみということですか。 ○中田課長補佐 今でもこれに基づいて、これからさまざまな制度が発生してきている という形になっております。 ○金澤委員長 伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員 ただ補足すれば、70年代ぐらいから、国会などでたくさん議論が行われて、 さまざまな専門家の方々の御意見や患者団体の訴えなどがあって、それがこの要綱にな っていると思うんですが、それはそれでいいんですね。 ○中田課長補佐 はい。 ○金澤委員長 ほかにいかがでしょうか。  葛原委員、どうぞ。 ○葛原委員 先ほど「難病」というのは日本発の言葉だとあったのですが、これは確か に私もそうだろうと思うんですが、逆に言うと、難病というのが何で日本から出てこざ るを得なかったかということもきっと問題があるんだろうと思うんです。  今、科学院の方からもあったのでお聞きしたいのですが、日本で難病の話になると必 ず医療費 をどうするかというお話が、今日もずっと自治体のことも含めて出てきてい ます。アメリカとかヨーロッパでは難病の話というと、研究だとかで、医療費は普通そ ういう場では論議にならないわけです。恐らくその背景というのは、医療制度が違うこ とがあって、ヨーロッパでは、どんな病気になろうとも自己負担はないので、難病だけ お金をどうこうするということは、多分論議にならないと思うし、アメリカでは、基本 的に普通の医療というのは、全部自己保険とか、あるいはこういう患者さんの団体、パ ーキン病、ALS、あるいはリウマチの患者さんの協力というか、ああいう民間団体が お金を集めて、医療費とか研究費を補助しているということです。そういう背景がある から、逆に日本で「難病」という言葉が出てこざるを得なかったのではないかと思いま す。  先ほどの資料も含めて、難病だけが特別に医療費の関係で出てくるような背景という のが外国にはあるのでしょうか。ないのでしょうか。 ○林院長 まず、米国にはございません。これは先ほども申し上げましたように、この 法律に基づいてできたその後の行き方でございますので、ございません。  ヨーロッパは、古くから健康保険制度等が、日本ほどでないにしても、かなり充実し てきておりましたので、それに乗っかった形で希少性疾患に行われているわけでござい まして、したがって、日本の場合は、1972年の難病対策要綱がそのときにできたという ことからさかのぼって考えてみますと、日本はやはり救済事業ということから非常に概 念づくりをしていったと考えた方が自然かと思います。  もう一つ、先ほどの先生のおっしゃったことと関連しますけれども、ヨーロッパ、ア メリカの考えでは、特にヨーロッパですけれども、例えばがんでもほかの疾病でも、数 は多いんですが、なかなか治療法がないという病気は数多くあるわけでございます。そ うしますと、レアディジーズというだけの理由で、プラスαの医療費が上乗せするとい うことになりますと、論理的になかなか付き合わせが難しいということもあったかと思 います。 ○金澤委員長 伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員 患者団体としては、レアディジーズというのをどういう具合に解釈してい るかということなんですが、ここでは文字どおり希少疾患なんでしょうけれども、私た ちはそれだけでは、やはりレアディジーズの本質にちょっと遠くて、先ほどの先生の発 表などもずっとお聞きしていますと、やはり我々が今、使っている難治性・希少疾病と いう概念で何か全体が行われているかのような感じなんですが、それはそういう解釈で もよろしいのでしょうか。要するに、あくまでも希少ということが大事だということ。 今の先生のお話は、そうではなくて、数だけではない部分もカバーをされているような 印象だったんですが、どうなんでしょうか。 ○林院長 ヨーロッパではそうでございます。 ○金澤委員長 ほかにございますか。  各国によって状況が違うということは当然でありますし、患者さんの団体といっても、 日本の患者さんの団体と例えばアメリカの患者さんの団体というのは、やはり本質的に は違うわけです。アメリカの場合は研究を推進する団体ですね。研究費に協力をする団 体であったりとか、いろいろそれぞれの国によって異なりますから、同じ言葉を使って いても、内容が違うので、その辺は一つひとつ明確にしながらでないと、誤解を招く危 険性があるんですね。  例えばパーキンソン病、筋ジストロフィー、日本では難病には入れませんけれども、 結局研究を 進めたのは患者さんの団体なんですね。研究を本当に進めて、いい結果を出していった のはですね。要するに、ドネーションの制度はどこまできちんとあるかということによ るわけですけれどもね。それぞれ各国の状況が異なることは了解の上で、今のお話を理 解したいと思います。  広井委員、どうぞ。 ○広井委員 この資料も非常に印象深く拝見させていただいたのですが、1つ、先ほど 葛原委員もおっしゃられましたように、これはアメリカとヨーロッパの特徴が非常によ く現れているといいますか、アメリカはやはり何と言っても医学研究に非常に国が力を 注いでいて、医療保障という面ではさほどでもないわけですけれども、それに対してヨ ーロッパが全体的に医療保障が手厚くて、難病というのを取り出して特別にというより は、全体的に自己負担がかなり低く抑えられています。、これは国際比較が非常に難し いところではあるんですけれども、いろいろなデータを見ますと、日本で今は一般的に 医療費の自己負担の割合が、ヨーロッパの主要国に比べてかなり高くなっているという ことがありまして、そういう意味では、難病だけに限らない医療費の負担の保証をどう するかというフレームの中でも考えていくべきテーマではないかと思ったのが1つです。  もう一つは、ないものねだりといいますか、いろいろリクエストをしてしまうことに なるんですけれども、特にヨーロッパで非常に手厚いのが福祉サービスの部分で、ここ は医療の話が中心に出ているわけですけれども、そういった福祉サービスの部分をどう いうふうにしているか。また、そこで医療と福祉がどうタイアップしているかという辺 りも、もし可能であれば、この国際比較の中で加えて見ていくと、より全体像が見えて くるのではないかと思いました。 ○金澤委員長 ありがとうございました。  広井さんは御専門だから、余り私のような素人が言うべきではないんだけれども、例 えばドイツにしても、スウェーデンにしても、フランスにしても恐らくそうだと思うん ですが、医療費の総額としては、日本よりはパーセンデージとしてははるかに多いわけ ですね。ですから、そういう問題も一方であるわけで、必ずしも難病の患者さんへのま なざしだけがというわけでもないと思うんですね。これは非常に多次元方程式を解くよ うなもので大変難しいんですが、いかがでしょう。  福永委員、どうぞ。 ○福永委員 スライドの3、4枚のところですけれども、例えば災害時の難病患者の支 援体制等々に関しては、今、研究班等でも大分進められて、具体的でわかりやすいんで すが、この「難病患者」という言葉の中で、(2)だけが「診断困難症例」となっています。 先ほどの御説明では、未分類疾患という形でお話をされたんですけれども、このこと自 体は、実際の臨床現場では非常に多いわけですね。例えばパーキンソン、類縁疾患、筋 ジスにしても、いわゆる診断困難症例です。その中から希少疾患として今後分類される ものを抽出しようというもくろみなのか、あるいは逆に今度は福祉的なことで、そうい うことも含めた中での、例えば類縁疾患を広げていくという形での意図とされているの か。この中から未分類疾患、レアディジーズを発見していくことにつなげたいのか。そ の辺を少しお聞きしたいです。 ○林院長 昨年の私どもの試みでございますけれども、当初、厚労省の方から、未分類 疾患あるいは未知の疾患を探知できるシステムはできなかろうかという相談を受けまし て、非常に難しいなと考えておったわけでございますが、トライしてみた結果、ある程 度明りが見えてきたという印象を持っているわけでございます。  どういうことかといいますと、私どもは例えばアメリカ辺りなどでは、デスクトップ で開業医が症状とか検査成績を打ち込むと、多分それに当てはまる病気のリストが出て くるというシステムがございまして、それを真似して、私どもも構築いたしまして、ま だ完成してはいないんですが、それぞれ候補になる病気の、先ほど申し上げた入力した データから出した候補の病気であり得る確率というのを算出しまして、それの理論構築 は一応できました。  ということで、方法論としてはわかってきたんですけれども、ただ、データを実際集 めて検証して、本当に実用に耐え得るかどうかというのは、これからの課題でございま す。それが1つでございます。  もう一つは、先ほど申し上げましたように、例えばアメリカのOffice of Rare Disea ses Researchのように、全国のよくわからないような疾病を集めて、それをどこかの大 学なり、国の研究機関なりにそれぞれ割当てて、遺伝子検査なり、専門的な検査をする ようなやり方をして、それが果たして新しい病気なのかどうかということを、そういう 仕組みが構築できればいいかなとは思うんですが、ただ、未分類疾患の場合、ちょっと 考慮をしなければならないのは、果たして未分類疾患を明らかにすることが、いつでも 意味があるのかどうかということでございます。  1例を申し上げますと、我々が昨年の研究班でわかったことですが、例えば自閉症と いう病気がございます。自閉症もよく調べると、ある大学の先生の研究成果でございま すけれども、遺伝子の欠損としては3パターンあると。そうすると、自閉症というもの を3つの疾患に分けるということもできるわけです。なんですが、今のところ、症状も ほぼ似ているようなものでございますし、治療法も特に差別化する必要はないというこ とになりますと、治療の意味からして、3つの病気に分ける必要があるかどうか。そう いう問題もございまして、なかなか複雑な面があるわけでございますが、それを明らか にするというだけでも、学問的な進歩かとは思います。 ○金澤委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  葛原委員、どうぞ。 ○葛原委員 今の御発言と福永委員の御発言も含めて、やはりこのスライドの3番目と 4番目のところで私が感じていることを申し上げたいと思います。  今の診断困難症例のことと、もう一つは臨床調査個人票の有効活用ということで、こ れはこの前も申し上げたんですが、こういうところで新しい病気、あるいは自閉症のこ とが例に挙がっていましたが、自閉症という症状からいろんな遺伝子の異常が関係ある というのをその中から分けていくというのも大事な仕事だと思います。そうした場合に 問題なのは、臨床調査個人票とか、今の登録システムというのは、何でも病名で出すよ うになっているわけですね。  ということは、わかっている病気しか出てこない、あるいは、まだ未分類の病気であ れば、無理にこじつけて、研究事業ではなくて、今度は先ほどの医療費の救済というの がみんな頭にあるので、とにかくわかっている病気に合わせてしまうということが現実 に起こっているわけです。  先ほど福永委員がおっしゃったように、パーキンソン病しか昔は難病指定になってい なくて、例えば現在は含まれています多系統萎縮症とか、進行性核上性麻痺とか、大脳 皮質基底核変性症は、パーキンソン病とよく似ているんだけれども、別の病名だと全部 はじかれて、パーキンソン病よりは難病なんですけれども、何の補助も受けられないと いうことになってしまいます。それを避けるために、それらはパーキンソン病という名 前に当てはめて申請したということがあるわけです。  ですから、今の臨床調査個人票というのは、制度上、未分類の病気を見つけ出すとか、 本当の患者数を出すということができないような仕組みになっているんだという根本 的な欠陥があるわけです。ですから、そういう点は是非、今後この難病対策委員会で検 討していただきたいし、本当の難病を見つけたり、あるいは本当の難病の人を救済して あげるためには、既知の病名だけで難病指定するというのは、非常に制度的な欠陥があ るんだということは申し上げておきたいと思います。  今、申し上げたような理由で、臨床調査個人票では、前提として、必ずしも書かれて いる病名が医学的には本当の病名を正しく反映していないんだということです。それも 疫学データとしては根本的な欠陥です。  もう一つは、多分今でも各県の担当者が打ち込むことになっているので、私が前に神 経難病の神経変性班の班長をやっていたときに調べると、ALSとか、ああいうありふ れた病気でも、県ごとに打ち込み量が10〜90%まで差があるために、県ごとに物すごく 患者数が違うんです。それは県の段階で受け付けていても、コンピュータ入力していな いということがあるので、現場に任せているとこういうことも一緒に起こってくるとい うことです。今、おっしゃったような、非常に大事な事業だと思うんですが、その趣旨 をきちんとやるためには、今のような難病の指定のシステムと臨床個人調査票の扱い方 というのは、非常に大きな欠陥があるんだということを申し上げておきたいと思います。  以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。  今のことについて、林先生、何かありますか。 ○林院長 ごもっともなお話だと思います。  それで、疫学モデルをつくって検出したところで、それが真実ということに恐らく必 ずしも直結しないかと思いますが、ただ、疫学データが重要なのは、今、おっしゃった ように、A地区とB地区では非常に患者のインシデンスが違うということがわかります と、それは一体どういう理由によってその差ができたのか。登録率の問題なのか、ある いは本当に疾病集積性があっての話なのか、診断能力の問題なのか、それが今度検討の 対象になっていくかと思います。  いずれにしても、私どもですべて賄うということは不可能ですので、そういった問題 点を取り上げながら、厚労省と相談して、そういった検証をする研究班を立ち上げるべ きかどうか決めていただくことが重要かと思います。 ○金澤委員長 どうもありがとうございます。非常に大事なことをおっしゃっていただ きました。  この難病対策委員から今のようないろいろな問題点を保健医療科学院の方にぶつけ て、指定研究として今後やっていただくということを是非お願いするということもあり 得ると思っておりますので、是非皆様方からの御意見をこれからもちょうだいしたいと 思います。  いかがでしょうか。何かほかにございますか。大体こんなものでしょうかね。  ないようでしたら、次に移りたいと思います。  今、最後に申しましたけれども、今後、保健医療科学院の方でこういうことを是非お 調べいただきたいということがございましたら、事務局の方にお申し出いただきたいと 思います。  では、次回以降の予定について、事務局からお願いします。 ○中田課長補佐 本日、皆様方からさまざまな御意見をいただきましたので、事務局に おきまして論点整理を行わせていただきたいと思います。  それを踏まえまして、次回以降の開催につきまして、調整の上、御連絡申し上げたい と思います。  以上でございます。 ○金澤委員長 ありがとうございました。  それでは、ちょっと早めなんですが、大体このぐらいにしようかと思いますけれども、 今までのお話とは必ずしも関係のないところでも結構ですが、何か御意見がありました らお願いします。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 本当に関係ないかもしれないんですけれども、今後どんなふうに進められ るのかなということを伺いたかったなと思って思い出したんですが、この疾病対策課に 難病保健福祉専門官というのは初めてだと思うんですが、どういうことをされるという ことで、この専門官がおられるのか。こういう今後の対策について研究されようという ことなのか、何かわかりましたら教えていただきたいと思います。 ○藤村課長補佐 新しい職責ではなくて、もともとあった職責を専任にしたということ でございまして、特に個別の目的があるということで設けたわけではございません。 ○金澤委員長 もうちょっと何か言ってくれませんか。心意気などを述べていただける と。 ○藤村課長補佐 そういう意味でいきますと、検討チームが立ち上がるということもご ざいますので、まさに難病をしっかりやらなければいけないということで、専任の者を 就けて仕事をするという、組織としての意気込みということで御理解いただければと思 います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにございますか。  南委員、どうぞ。 ○南委員 感想みたいなことになってしまうんですが、今日のお話を伺っていまして、 やはり諸外国との比較とか、いろいろなことを俯瞰して、日本の難病対策のこれからの 課題というものがある程度見えてきたかと思います。  一般の国民の立場からすると、いつ自分及び家族が患者になるかもしれないわけで、 患者さんの立場というものは十二分に尊重されないといけないと思うのですが、他方、 限られた財源をどう対策に使うかということも考えなければならない。歴史的に救済と いうところから始まったというのは、非常にいいことだと思うのですが、1970年代に始 まり、諸外国にはなかった救済の立場の強い対策がとられたのは、日本ならではだと思 います。考えてみれば、当時、患者と医療の関係というものも、今とはまるで違います。 今日では患者さんにも、随分いろいろな立場が出てきています。まだまだ患者さんの会 とか組織は、アメリカなどのような力は、とてもないわけですが、でも、70年代に比べ れば、患者さんの立場と医療全体の立場や、医療をめぐる環境というものは変わってき ているわけでます。その中で、難病対策の中で何を力点に、どういうことをしていくの かということ、それが新しくできる戦略の会議なのかもしれないんですけれども、研究 の立場なのか、救済の立場なのか、学術政策なのか、福祉政策なのかそれはやはりある 程度整然と議論していかないと方向は決まらないのではないか思います。さらに、時間 軸でも視野に、余り固定的でなく対応していかないといけない分野であると思うので、 そのノウハウみたいなものを是非、保健医療科学院の方にやっていただきたいと思いま す。そうでないと、結果的にはものすごくダブることをしていたということも、長い歴 史軸で見ていけば、あるのだと思います。先ほど葛原先生がおっしゃったような、制度 の欠陥の問題も、おぼろげには伺っていたんですけれども、今日改めて伺うと、不確か なデータの集積という上で、決定的な欠陥だと思います。そうしたことも含めて問題の 所在を整然とさせて議論していかないと、限られた財源の中で、幾らお金があっても足 りない、ということになりかねないのではないか、そこのところを痛感しますので、是 非よろしくお願いしたいと思います。  うまく申し上げられなくて済みません。 ○金澤委員長 大変よくわかりました。  恐縮ですが、私もちょっと言わせていただきたいと思います。  多分、ちょっと誤解があるのではないかと思うんだけれども、この難病に対する対策 の出発点は、福祉ではないと思いますよ。そうではなくて、御承知かもしれないですが、 スモンという病気がありました。これは結果的には薬害ですけれども、そのスモン本質 がわからなかった時代に、解明のために国がお金を出して、研究班をつくって、わっと やったら結果がすぐ出たわけです。こういうやり方というのは、今で言う難病の解決に は非常にいい方法なのではないかということで、たしか昭和47年ぐらいにこういう制度 ができた。それ以後に始まったのは、患者さんたちに御協力をいただいた見返りとして、 医療費をお支払する、免除するということから出発していたはずなんです。  ですから、登録をなさる方々は、つまり医療費の補助を受ける方々は、研究に協力を するというのが条件だったはずです。ですから、単なる福祉の話ではないんですね。逆 に言うと、これが一番日本的だったと思うんですが、ただ、それがだんだん患者さんと おつき合いをしていると、これぐらいはやはり援助してあげたいと思ってしまうわけで す。そうすると、やはり現場で書く筆も鈍るわけでありまして、だめというわけにはな かなかいかないというものもあるわけです。そういう氏育ちがあるわけです。ですから、 これをどうするかということは考えないといけないと思うんですね。  何て言うのでしょうか。自分の病気のことを調べてもらいたいというお気持ちが患者 さんたちに多いということは、一方では強く感じるんですが、医療費の補助がないとし た場合、これだけ御協力がいただけたかという問題も一方ではある。その辺の解析とい うのは、大変難しい問題ですね。  もっともっと難しいのは、一旦補助を始めると、切ることができないということです。 これはこういうなかなか治りにくい、恐らく治らないような病気の場合には、常につき まとう問題で、入り口を絞った方がいいのか、あるいは絞りつつ卒業生を出すべきなの か。ワーキングシェアではありませんけれども、みんなで少しずつ分け合うように方向 転換すべきなのか、いろんな考え方があろうかと思うんです。  でも、やはり大事なことは、恐らく財源には限界があるだろうということだと思いま すので、そこをどう折合いをつけていくかですね。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 これは是非患者団体としても、一言お願いしておきたいと思います。  第9回の委員会のときに発表させていただきましたけれども、患者団体としても、今 の難病対策のまま進めていくと、当然先生方がおっしゃるような問題がいっぱい出てく るわけですから、今の難病対策というのは、研究ということと、医療費の助成というこ とが一体になっているわけですね。その中でさまざまな問題が起きてきますし、財源の 問題も起きてきますので、患者団体としての意見ということで、第9回の委員会で私ど もが提案させていただいたのは、難病対策というのは研究に特化すべきではないか。医 療費の問題というのは、やはり別なところ。この保健医療施策のところにあるのではな いかということを発表させていただきました。そういう点では、このドイツのような年 間所得2%、一般でも2%ということは大変ありがたい話なんです。  現在、日本ですと、高額医療費の助成制度を使っても、所得の少ない方は年間所得の 100%とか、120%というパターンが起きているわけです。そういう意味では、まず、所 得に対しての負担をどうするかという医療費の問題と、難病対策として行うべき研究と か、さまざまな体制整備の話というのは、やはり切り離して議論をしていただかないと、 同じところをずっと堂々巡りするわけですから、是非その点もお願いしたい。  ある新聞ですけれども、昨日、今日と大きなニュース、紙面の第1面トップに出てい ますけれども、特効薬をやめて容態が悪化したと。これは白血病の患者さんのことです けれども、薬代がなくて払えなかったということで、治療を中断して、悪化するという ことが大きく出ていますが、これはがんに限らず、ほかの疾患でもあるわけで、そうい う意味では、今の国民、特に所得の少ないような患者さんでも、どんな患者さんでも一 律で高額療養費の助成が定額で決まっているということ自体が、非常に大きな問題でし て、そこのところはきちんと担保されるのであれば、この難病対策というのは、今、言 ったように、研究や体制整備に特化していく。それは私どもの提案であります。  ただ、本当に大前提になるのは、日本の保健医療制度が、所得の多い人、少ない人、 病名に限らず、きちんとお金があってもなくても、医療が受けられるという体制になる ことが大前提なんですが、そういう方向に是非持っていきたいし、保険全体を動かすの が大仕事なわけですから、大変だとすれば、少なくとも高額療養費制度を大至急変えて いくという提案もしていただければありがたいと思います。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。ほかにございますか。  葛原委員、どうぞ。 ○葛原委員 最初に中田課長補佐から説明がありましたパワーポイントの6ページの難 病対策の課題というところにも書いてあるんですが、実は先ほどから何度も出ています 難病研究と救済とが一緒になっているということの唯一の例外が、例の去年からつきま して難病の100億円という予算でして、ここにある177疾患という研究奨励分野というの は、今まで日の目を見なかった難病に初めてお金が、しかもある種のひも付きではなく て投下されたわけです。  ですから、これはばらまきではないかという御意見も一部にはあるんですが、今まで は病名のお墨付きがないと研究費が貰えなかった、非常に稀な本当のレアディジーズが 初めて取り上げられたということでは画期的です。私はこの177疾患を取り上げられた というのは、ある種の非常に賞嘆すべき政策だったと思っています。これが3年でどう いう結果になるかわかりませんけれども、やはりときどきはこういう形のことをやって いただかないと、お墨付きでない病気はいつまで経っても日の目を見ないということで、 これは非常に高く評価しておりますし、是非続けていただきたいということを追加して おきます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。そろそろよろしいでしょうか。  それでは、今日の難病対策委員会はここまでということにさせていただきます。御協 力ありがとうございました。 以上   ○照会先                                 厚生労働省健康局疾病対策課                            tel 03−5253−1111                           (内線 2355・2356)                         fax 03−3593−6223