10/04/23 平成22年4月23日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年4月23日(金) 16:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(10名)五十音順    加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、 手 島 玲 子、     ○永 井 良 三、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、 檜 山 行 雄、    村 田 美 穂、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他参考人1名   欠席委員(7名)    大 石 了 三、  千 葉   勉、 成 冨 博 章、 西 澤   理、     古 川   漸、 ◎松 井   陽、 山 本 一 彦 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    成 田 昌 稔(審査管理課長)、    内 海 英 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役) 他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 予定の時間になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を 開催させていただきます。本日はお忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございま す。  まず、事務局から、部会の委員の異動を御報告させていただきます。飯沼委員、内海委 員におかれましては、当部会の委員を御退任されておられます。また内海委員におかれま しては、4月1日付で、医薬品医療機器総合機構の理事に就任されておりますので、御紹 介させていただきます。 ○審査センター長 4月1日からPMDAの審査センター長になりました内海でござい ます。引き続きよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 本日は参考人として、日本医師会常任理事の鈴木邦彦先生にお越しいた だいております。よろしくお願いいたします。以上、御紹介申し上げました。  現在のところ、当部会の委員数17名のうち、10名の委員に御出席いただいております ので、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。  本日は、大石委員、千葉委員、成冨委員、西澤委員、古川委員、山本委員、松井部会長 より、欠席の御連絡をいただいております。  続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御報告申し上げます。本日は欠席 ですが、4月より医薬品医療機器総合機構の新薬審査第三部長としまして、斉藤和幸が着 任しております。  本日は松井部会長が御欠席ですので、永井部会長代理に、以後の進行をお願いいたしま す。 ○永井部会長代理 早速本日の審議に入ります。事務局から配付資料の確認、審議事項に 関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。席上に、議事次第、座席表、当部会委員の 名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1〜9においては、あらかじめお 送りしています。このほか、資料10「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取 り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について (案)」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を本日配付 しております。また、当日配付資料として、資料6-2医薬品サイビスクディスポ関節注2 mLに係る「諮問書」、当日配付資料1「薬事分科会における医薬品の『報告』の取扱等 について(案)」を配付しています。  続いて、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」、資料12に基づいて 御報告します。各品目の競合品目選定理由については以下のとおりです。まず資料12の 1ページ、「タケプロンカプセル15、タケプロンOD錠15」です。本品目の申請する効 能・効果は、「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の発症抑制」で、 この効能・効果を有する薬剤は国内に存在しないこと等から、競合品目及び競合企業はな しとしています。  2ページ、「ミカムロ配合錠AP」です。本品目はアンジオテンシンII受容体拮抗剤と Ca拮抗剤を組み合わせた配合剤であるため、この資料に掲げるとおり、現在までに国内 で承認されている同じ組合せの配合剤等を競合品目として選定しています。  次のページ、「オレンシア点滴静注用250mg」です。本品目の効能・効果等から、TN F阻害薬であるレミケード、エンブレル、ヒュミラ及び(IL)-6阻害薬であるアクテム ラの4品目が、競合品目として考えられる中、売上高の上位3品目を競合品目として選定 しています。  次のページ、「フォルテオ皮下注キット600μg、フォルテオ皮下注カート600μg」 です。本品目と同様に、骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者を対象とするものの内、処方数 が多い薬剤として、ビスフォスフォネート系製剤があり、この製剤のうち、売上高の上位 3品目を競合品目として選定しています。なお、先生方に対しまして、利益相反の申告書 を御送付いただく際に、競合品目2のベネット錠、アクトネル錠に関する企業として、エ ーザイ株式会社が含まれておりましたが、これについては販売業者であり、製造販売業者 ではないことから、この競合企業リストの対象ではないということでしたので、審議及び 議決不参加の基準には該当しないということを御報告させていただきます。なお、これに 伴う議決参加等への影響はございません。  5ページ、「トラマールカプセル25mg、トラマールカプセル50mg」です。本品目と同 様に、WHOがん疼痛治療法の第2段階薬として位置付けられているもの、あるいは第2 段階薬の代替として使用されている薬剤の中から、製造販売業者が重複するものを除い て、販売量の多い品目を競合品目として選定しています。  6ページ、「サイビスクディスポ関節注2mL」です。本品目は、疼痛を有する変形性膝 関節症患者に対し、広く使用される関節液補填剤であり、効能・効果、使用目的が異なる ものの、ヒアルロン酸ナトリウム関節内注射液が幅広く、変形性膝関節症患者に使用され ている実態を考慮しまして、限定的ではありますが、競合が予想されていることから、資 料に掲げるとおり、ヒアルロン酸ナトリウム関節内注射液のうち、売上高の上位3品目を 競合品目として選定しているものです。以上です。 ○永井部会長代理 ただ今の御説明に対して、何か御質問はございますか。よろしいでし ょうか。特になければ、ただ今の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては 皆様の了解を得たものとします。  委員からの申出状況について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。まず議題1は退室委員はい らっしゃいません。また、議決に参加しない委員としまして、永井委員、野田委員です。  議題2の退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、加藤委員、永井委 員、野田委員、林委員です。  議題3の退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は林委員です。  議題4は、退室委員は加藤委員です。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、 本橋委員です。  議題5の退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委 員、本橋委員です。  議題6のサイビスクについては、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委 員は林委員です。  したがいまして、議題1、議題2、議題4、議題5については、薬事分科会規程第5条 第1項において、「部会長及びその職務を代理する者のないときは、当該部会員のうちか ら選任された者が、仮に議長として会議を開くことができる」とされていますので、御選 任をお願いします。 ○永井部会長代理 自薦、他薦がありましたらお願いします。事務局からはいかがでしょ うか。 ○事務局 事務局としましては議題1、議題5については加藤委員、議題2、議題4につ いては佐藤委員にお願いしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。そうしますと、議題1、議題5については加藤 委員、議題2、議題4については佐藤委員に、議事進行をお願いしまして、円滑に議事進 行を行うために、議題の順番を、議題1、議題5、議題2、議題4、議題3、議題6と整 理して、審議を行います。  本日は審議事項が6議題、報告事項が3議題となっております。最初に加藤委員に議長 をお願いします。 ○加藤委員 御指名いただきましたので、ただ今より議題1と議題5の議長を務めさせて いただきます。議題1に入ります。議題1について、機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 議題1、資料1、「医薬品タケプロンカプセル15及び同OD錠15の製造販売承 認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」医薬品医療機器総合機構より 御説明します。  虚血性心疾患等の既往のある患者では、低用量アスピリンによる抗血小板療法が広く行 われておりますが、アスピリンでは副作用として消化管潰瘍が知られており、抗血小板療 法中に出血を伴う消化管潰瘍を発症した場合、アスピリンの抗血小板作用のために止血が 困難であること、また出血により基礎疾患である虚血性心疾患等の重篤化を招くおそれが あることが問題となっております。  さらに、消化管潰瘍の治療のために、低用量アスピリンを中断すると血栓が生じ、致死 的な転帰をたどる可能性もあるため、容易に低用量アスピリンを中断できない状況があり ます。以上から、低用量アスピリンを継続しつつ、消化管出血の発症を防ぐことが重要で あると考えられております。  ランソプラゾール、以下、「本薬」と言いますが、本薬は武田薬品工業株式会社により 開発された酸分泌抑制作用を有するプロトンポンプ阻害薬であり、国内においては既に本 薬は胃潰瘍等の効能・効果で、1992年10月に承認されております。また、海外において は、本薬は2010年1月現在、世界100か国以上で承認されており、「非ステロイド性抗 炎症薬による消化管潰瘍の発症抑制」の適応では、2000年3月に英国で承認されたのを はじめ、米国、欧州で承認されており、2010年1月現在、世界22か国で承認されており ます。今般、国内臨床試験成績に基づき、低用量アスピリン投与時の消化管潰瘍の発症抑 制効果が確認されたことから、当該効能・効果等を追加する承認事項一部変更承認申請が なされました。本品目の専門協議では、本日の配付資料11に示します専門委員が指名さ れております。以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させて いただきます。  国内で実施された第III相試験及び長期継続投与試験の2試験の成績が、臨床試験成績と して提出されております。まず有効性に関してですが、報告書7ページの表1及び図1を 御覧ください。胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有し、基礎疾患のために低用量アスピ リンの長期投与が必要な患者を対象に実施された国内第III相試験の結果をお示ししてい ます。本試験では中間解析が実施され、主要評価項目である「初回処方日から胃潰瘍又は 十二指腸潰瘍の発症までの期間」について、本薬群において、ゲファルナート群に対する 潰瘍発症のリスクの有意な低下が認められたことから、この時点で試験が中止されまし た。また、報告書10ページの表4及び図2に、最終解析結果をお示ししています。中間 解析結果と同様に、本薬群で有意な潰瘍発症のリスクの低下が認められております。以上 から、機構は有効性は示されたと判断しております。  なお、国内第III相試験は、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴のある患者を対象としてい ることから、効能・効果としては、「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指 腸潰瘍の再発抑制」とすることが適切と判断しております。  安全性に関してです。報告書8ページの表2を御覧ください。国内第III相試験において、 ゲファルナート群に比べて本薬群で高い発現率を示した主な有害事象として、下痢及び便 秘が認められましたが、こちらは高度の事象は認められませんでした。また、報告書14 ページの表8を御覧ください。国内第III相試験で認められた重篤な有害事象に、群間で特 定の傾向は認められておりません。長期継続投与試験においても、有害事象の発現率が増 加する傾向は認められていないことを確認し、また国内外の製造販売後等の安全性情報に おいて、本薬長期投与時に認められた事象についても、既に添付文書において注意喚起が なされている事象であり、現時点で新たな問題は認められていないことを確認しました。 以上から、低用量アスピリン投与患者に対する本薬投与において、現時点で特段安全性上 問題となる事象は認められていないと考えました。  以上のような機構での審査の結果、本薬の追加効能に対する有効性は認められ、安全性 は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審 議されることが適当と判断いたしました。なお、本薬は新効能・新用量医薬品に該当する ことから、再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会で は報告を予定しております。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○加藤委員 委員の先生方から、御質問、御意見をいただきます。いかがでしょうか。 ○清水委員 今の説明では、この臨床試験のデータをもって、もともとの申請は発症抑制 であったものを、既往歴のある患者さんへの再発抑制での承認という説明でした。低用量 アスピリンを使う患者様において、新たな潰瘍の発症率はどの程度だと報告されているの でしょうか。 ○機構 機構より御説明申し上げます。潰瘍の既往がある患者さんに対して、今回臨床試 験が行われて、このような結果になったわけですが、潰瘍の既往のない患者を含めて、潰 瘍の発症率に関しては、情報としては余り得られておりません。出血のリスクに関しては 調査が行われているわけですが、1,000人年あたり2〜3というような報告があります。 ○清水委員 既往歴のある患者さんの方がリスクが高いということは理解できるのです が、既往歴のない患者様であっても、途中で継続を中断することが難しい薬剤ということ を考えると、安全に低用量アスピリンを服用していただくために、この薬剤を早期に使用 することにも有用性はあるかと思うのですが、そこの見解はいかがでしょうか。 ○機構 今回、臨床試験が実施された際には、低用量アスピリン長期投与中の患者の潰瘍 の発症頻度はどこまで高いものかが明らかになっていないということで、まずは潰瘍の発 症リスクが高い患者を対象に、今回は実施されたわけです。  そういうことを考えると、潰瘍の既往のない患者さんに対する、有効性、安全性に関す る情報が、現段階では得られておりませんので、現段階ではこのように再発抑制とさせて いただくことが適当と考えております。 ○加藤委員 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしければ、議決に入ります。な お、永井委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参 加を御遠慮いただくこととします。  本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承 認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。  引き続いて議題5です。機構から概要を説明願います。 ○機構 議題5、資料5、「医薬品トラマールカプセル25mg及び同カプセル50mgの生物 由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並 びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。  本剤は、トラマドール塩酸塩を有効成分として含有するカプセル剤で、オピオイドμ受 容体作動作用に加えて、モノアミン再取り込み阻害作用を有すると考えられています。本 邦において、本薬を有効成分とする製剤は、1978年2月に注射剤が、「各種癌及び術後 における鎮痛」を効能・効果として承認されており、本薬の経口剤は2010年2月現在、 ドイツ等100か国以上において承認されております。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されております9名の委員を指名いたしま した。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。  まず本剤の臨床的位置付けについて、審査報告書38ページを御覧ください。本剤はW HO方式がん疼痛治療法において、3段階除痛ラダーの第2段階(軽度から中等度の疼痛 に適用される薬剤)に位置付けられる弱オピオイド鎮痛剤であり、モルヒネと比較すると 鎮痛効果は弱いものの、オピオイド鎮痛剤による治療を円滑に導入するために有用な薬剤 であると考えられております。同じ位置付けとして、本邦ではコデインが承認されており ますが、100倍散を除き麻薬に指定されていることや活性代謝物がモルヒネであるため、 モルヒネと同様の副作用を発現すること等の理由から、本邦のがん疼痛治療において、コ デインの使用は十分に普及しておりません。一方、本剤は麻薬指定を受けない薬剤であり、 3段階除痛ラダーの第2段階に位置付けられる薬剤として、新たな選択肢を提供できるも のと考えております。国内第III相試験では、このような本剤の臨床的位置付け及び本邦に おけるがん疼痛治療の臨床使用実態を考慮し、非オピオイド鎮痛剤を投与中で、安静時の 痛みの程度のVAS値が25mm以上のがん疼痛治療患者を対象に、低用量のモルヒネ経口 剤(20〜80mg/日)と同程度の有効性を示しながら、本剤のベネフィットを示すために便秘 スコアで優越性を示すことを主たる目的として実施されました。  審査報告書の34ページの上の表を御覧ください。定時投与として、本剤100〜300mg/ 日又はモルヒネ経口剤20〜60mg/日、レスキュー・ドーズを含む総投与量として、本剤100 〜400mg/日又はモルヒネ経口剤20〜80mg/日を二重盲検下で2週間経口投与したとき、審 査報告書33ページ脚注35にお示した7段階で評価された便秘スコアの分布は、本剤群と モルヒネ群の間で統計学的な有意差が認められ、本剤による便秘の程度はモルヒネと比較 して軽減されていることが確認されました。また、有効性について、審査報告書39ペー ジの表Aを御覧ください。最終評価時のVAS値の変化量は、本剤群で−28.9±17.0、モ ルヒネ群で−30.5±27.0であり、本剤は低用量のモルヒネ経口剤とほぼ同程度の有効性 を有することが示唆されております。  有害事象の発現状況については、審査報告書の46ページの上の表を御覧ください。本 剤群及びモルヒネ群のいずれにおいても、主に便秘、悪心、嘔吐、傾眠等のオピオイド鎮 痛剤に特徴的な有害事象が認められており、本剤群ではこれらの発現率は、いずれもモル ヒネ群と比較して低値を示しております。しかしながら、本剤はモノアミン再取り込み阻 害作用を有するため、悪心、嘔吐等の副作用が高度で認められる場合もあり、本剤の安全 性については、製造販売後調査において、引き続き検討する予定です。  なお、添付文書に関して1点修正がございます。お配りしております添付文書の2ペー ジを御覧ください。相互作用の項に「併用禁忌」としてモノアミン酸化酵素阻害剤を記載 しておりますが、末尾に記載しております「本剤投与後にモノアミン酸化酵素阻害剤に切 り替える場合には14日以上の間隔をあけること」については、本剤の消失半減期が5〜 6時間であることを踏まえ、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるミル ナシプラン塩酸塩と同様に、「2〜3日間の間隔をおくことが望ましい」との記載に修正 したいと考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、製剤は劇薬に該当し、生 物由来製品、特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では 報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○加藤委員 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いします。 ○本橋委員 この薬はモノアミン再取り込み阻害作用を有するという、非常にユニークな 作用があると思います。添付文書の併用注意のところでは、三環系抗うつ剤、選択的セロ トニン再取り込み阻害剤、セロトニン作動薬と三つ並んでおりますけれども、最近はまた 違った型の抗うつ薬が出てきていますので、もう少し広く注意を促しておいた方がよろし いかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 類薬との記載に倣って、今回このような形で提示させていただきましたが、御指 摘を踏まえて、その点についてはもう少し幅広い注意喚起ができるよう検討したいと思い ます。ありがとうございます。 ○加藤委員 ほかにございますか。 ○清水委員 1点目は、この薬剤の特徴として、便秘についてはモルヒネ等よりもメリッ トのある評価が出ているのですが、悪心、嘔吐の副作用についてが、耐性ができにくく、 長期間続くリスクが報告されているようなのですが、添付文書の書きぶりを見ると、そこ はモルヒネ等に比べて少し状況が違うことが分かりにくいとも理解できるので、添付文書 の記載がいいのか、その他の資材で情報提供するのがいいのかという選択肢はあると思い ますが、そこのところは十分な導入当初からの処置が行われるような情報提供をしていた だくことは大事かと思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 悪心、嘔吐等については御指摘のとおりで、オピオイドμ受容体に対する作用で あれば、モルヒネ等のようにだんだん慣れていくのに対して、本剤はモノアミン再取り込 み阻害作用も有しているということから、発現する症例数そのものは少ないのですが、発 現した症例の中では、一部持続期間が少し長い症例も認められております。しかしながら、 発現率そのものは類薬と比べると低いため、添付文書上においては、特にこの薬剤を投与 するときに、悪心、嘔吐に着目しなければいけないというような注意喚起はしておりませ ん。ただ、御指摘のとおり、中には高度な症例も認められておりますので、十分な観察を 行っていただくことや、発現時には適切な処置を行っていただくことは、関連資材等で情 報伝達をさせていただきたいと思います。 ○清水委員 もう1点は、余りこの場の議論で適正かどうか分からないのですが、心配さ れることとしては、想定外の使用をされることがないかどうかです。つまり、薬物濫用の 中に取り込まれることがないかどうかですが、その辺についてはどのようにお考えでしょ うか。 ○機構 この薬剤については、本薬の注射剤もそうなのですが、麻薬及び向精神薬に指定 されておりません。本剤も同様の扱いをする予定で考えておりますが、依存性に関しては、 注射剤のときに、非臨床でラット及びサルを用いた検討がされておりまして、その結果、 非常に弱い軽度の身体依存性はあるものの、コデイン、ペンタゾシン等に比べると、その 作用は弱く、モルヒネとの交差依存性は認められないという結果が出ております。  海外では、トラマドールの経口剤が非常に古くから発売されていますが、それ以降この 濫用等の事象を再度集積して、WHOの依存性委員会の中で確認するという作業が1992 年〜2006年にかけて実施されております。その結果、最終的に2006年にはトラマドール 濫用の危険性は少ないということで、これ以上のレビューは必要ないという判断がなされ ております。  国内では本来は注射剤しか販売されていないので、濫用の報告等は認められておりませ ん。また、世界的な状況を見ましても、現時点では、本剤のいわゆる医療目的外使用が多 くなることは想定しにくいのではないかと考えております。 ○加藤委員 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしければ議決に入ります。なお、 永井委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、 議決への参加を御遠慮いただくことといたします。  本議題について承認可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可 として薬事分科会に報告させていただきます。  議長を佐藤委員に交代します。引き続きよろしくお願いいたします。 ○佐藤委員 御指名いただきました佐藤でございます。議題2及び議題4について、担当 させていただきます。まず議題2について、機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、「医薬品ミカムロ配合錠APの生物由来製品及び特定生物由来 製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の 要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。  本剤は既承認のアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるテルミサルタンとカルシウム 拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする降圧薬同士の配合剤です。今般、 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社より、国内臨床試験成績を基に、テルミサルタ ンとアムロジピンの用量が、それぞれ40mgと5mgの製剤の医薬品製造販売承認申請がな されました。  なお、テルミサルタン80mgとアムロジピン5mgの製剤も同時に申請されましたが、有 効性に関する臨床試験成績が不足していたことから、一旦申請が取り下げられておりま す。  本品目の審査に関して、専門委員として、資料11に記載されています委員が指名され ております。  本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について説明させていただきます。審査報告 書18ページの表1を御覧ください。これはアムロジピン5mg単剤投与により、十分な降 圧効果が得られていない、日本人本態性高血圧症患者を対象に、本配合剤投与による降圧 効果がアムロジピン5mg単剤投与時と比較して、優れていることを検証する無作為化二 重盲検比較試験の結果です。  有効性の主要評価項目である治験薬投与8週間後の、トラフ時坐位拡張期血圧、左のD BPと記載されているカラムです。この血圧下降度は、アムロジピン5mgよりも、本配 合剤群で大きな値を示しております。  次に審査報告書19ページの表3を御覧ください。こちらはテルミサルタン40mg単剤投 与により十分な降圧効果が得られていない日本人本態性高血圧症患者を対象に、本配合剤 投与による降圧効果がテルミサルタン40mg単剤投与時と比較して、優れていることを検 証した二重盲検比較試験の結果です。同じく、有効性の主要評価項目であるトラフ時坐位 拡張期血圧の血圧下降度は、テルミサルタン40mg群よりも、本配合剤群で大きな値を示 しております。  次に審査報告書21ページの図1を御覧ください。これは先ほどの2試験を終了した患 者を対象に実施された長期投与試験の結果です。治療第I期では、テルミサルタン20mg と、アムロジピン5mgを併用により2週間投与されたあと、テルミサルタン40mgとアム ロジピン5mgの配合剤が6週間投与され、治療第II期では、治療第I期終了後、降圧効 果が十分の場合はテルミサルタン40mgとアムロジピン5mgの配合剤が引き続き投与さ れ、不十分な場合はテルミサルタン80mgとアムロジピン5mgの配合剤が8週間投与され ました。さらに治療第III期では、治験責任医師の判断により、配合剤間の用量の変更や他 の降圧薬の併用が可能とされております。図は先行して行われた2試験の適格性判定期に おけるアムロジピン5mg又はテルミサルタン40mg単剤投与開始前からの坐位拡張期血圧 の推移を示したものです。図には示されておりませんが、治療第I期に組み入れられた 259例中211例に、テルミサルタン40mg、アムロジピン5mgが投与され、テルミサルタ ン40mg、アムロジピン5mgの群で治療第III期終了時に坐位拡張期血圧が90mmHg未満であ った症例の割合は92.8%であり、持続した降圧効果が認められました。  次に安全性についてです。審査報告書18ページの表2及び20ページの表4を御覧くだ さい。本配合剤と各単剤を比較した臨床試験における主な有害事象を示しておりますが、 本配合剤群で特に発現率が高くなる有害事象は認められませんでした。審査報告書22ペ ージの表5を御覧ください。長期投与により、特に注意すべき有害事象は認められません でした。  以上より、現時点では血圧低下に関連した有害事象やその他の各単剤において懸念され る有害事象並びに腎機能障害患者、肝機能障害患者、高齢者に対する本剤投与時の注意喚 起については、各単剤の添付文書と同様とすることで差し支えなく、本剤は添付文書に記 載されている注意等に従い選択された患者に対して適正に使用されれば、承認の可否に影 響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断いたしました。  次に、テルミサルタンとアムロジピンを配合する意義についてです。審査報告書の22 ページの下から6行目以降です。臨床試験において、本剤投与群で、各単剤継続投与群を 上回る降圧効果が示されていること、両剤の併用により安全性の懸念が大きく増加するこ とを示すデータはないことから、両剤を同時投与することに科学的合理性はあり、併用療 法の選択肢を配合剤という形で提供することは、意義があると判断いたしました。  次に本剤の臨床的位置付けについて御説明させていただきます。同じく審査報告書の 23ページの下から2行目以降を御覧ください。本邦の高血圧治療ガイドライン2009では、 II度以上、血圧でいくと160/100mmHg以上の高血圧の場合は、通常用量の単剤若しくは少 量の2剤併用から開始してよいとの提言がなされておりますが、用量調節が必要となる可 能性が高い治療開始の段階では、併用ではなく、配合剤を使用するメリットは特に高いと は考え難いこと、さらに各有効成分の用量を含有する製剤は既に上市されており、配合剤 を初期治療に使用しなくとも、実質的に患者に不利益をもたらすことはないことから、本 剤を第一選択薬としないとする申請者の主張は適切であると考えております。  また、テルミサルタン単剤の「用法・用量」に、「1日20mgから投与を開始し漸次増 量する」と記載されていること、これまで承認された類薬の添付文書の記載を踏まえ、「用 法・用量」及び「用法・用量に関連する使用上の注意」の記載は、審査報告書の35ペー ジ及び36ページの記載が適切であると判断いたしました。  製造販売後調査について、審査報告書36ページの9行目以降を御覧ください。使用実 態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、高血圧症患者 1,000例を対象とした特定使用成績調査を実施し、臨床試験において投与経験が限られて いた75歳以上の高齢者、腎機能障害患者、肝機能障害患者等における安全性等について の情報収集を行う予定です。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品 第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は劇薬に該 当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。再審査期 間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定してお ります。なお、今回申請を取り下げましたテルミサルタン80mgとアムロジピン5mgの配 合剤について、申請者は開発を続ける意向を示しておりますので、今回申請のあったテル ミサルタン40mgとアムロジピン5mgの配合剤1剤のみの上程とはなりましたが、販売名 には接尾語の「AP」を付けたままになっております。  最後に、本日机上に配付しております製剤見本ですが、時間が間に合わずシートには「ロ ムレット」という申請時の販売名が書いてありますが、この販売名に関しては、今後「ミ カムロ」という名前に変更する予定です。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいた します。 ○佐藤委員 委員の先生方から、御質問、御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○清水委員 審査報告書23ページの配合の意義のところで、今お読みいただいたさらに 下の尚書きのところに、「本剤が患者の利便性の明らかな向上に繋がるという申請者の主 張については、本剤により患者のアドヒアランスが改善するという客観的なデータは示さ れておらず、利便性が『明らかに』向上するとまでは言えないと考える」とあります。こ の辺を市販後調査に組み入れていただく、そこのところを明らかにするようなデータも取 っていただくということは、考え方として難しいものでしょうか。 ○機構 市販後で、客観的に利便性が明らかとなると言えるほどのものが取れるかという と、少々疑問はございますが、必要があれば取るような形をしてみたいと思います。ただ、 実際にこれが取られたからといって、利便性が本当に明らかになったのかということが、 市販後にどれほど明らかになるのかというところです。 ○清水委員 配合剤を出すことの意義というのは、そこにあるのではないでしょうか。併 用は配合剤を出さなくてもできるわけですから、配合剤を新たに承認をするということの 一番大事なところではないかと私は考えるのですが、いかがでしょうか。 ○機構 先生のおっしゃることは、もちろんそのとおりで、ただ、利便性の向上というと ころ、配合剤に関しまして、2剤を1剤というところの利便性の向上も、当然重要なとこ ろだと思いますが、降圧薬の場合、何剤も投与されたりするところもありますので、どこ まで明らかにあるかも分かりませんし。ただ、降圧薬を2剤併用することによって、さら に高い降圧効果が、当然併用でも得られるのですが、それを確実に投与できるというとこ ろもありますので、配合の意義はあると考えています。  ただ、今後利便性に関してどのような方法で明らかにすればいいかということは、申請 者の考えも含めて、対応を考えていきたいと思います。 ○清水委員 その利便性のところの意味の問題もあるかもしれませんが、確実に投与でき るというところも、利便性に含まれるのだろうと思うのです。そのことも踏まえて御検討 いただければと思います。 ○機構 検討はしたいと思いますが、これまで配合剤というのは、この会社だけではなく いくつも配合剤をやっておりますが、この会社だけにどこまでやらせるのかというところ も含めて、また何ができるかというところも詰めて、検討させていただきたいと思います。 ○佐藤委員 ほかにございますか。なければ議決に入ります。なお、加藤委員、永井委員、 野田委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御 遠慮いただくこととします。  本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認 を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。  続いて議題4です。加藤委員においては、議題4の審議の間は別室での御待機をお願い します。 ── 加藤委員退室 ── ○佐藤委員 議題4について、機構より概要の説明をお願いします。 ○機構 議題4、資料4-1及び資料4-2、「医薬品フォルテオ皮下注カート600μg及び 同皮下注キット600μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承 認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器 総合機構より御説明します。本剤の有効成分であるテリパラチド(遺伝子組換え)は、ヒト 副甲状腺ホルモンの1〜34番目のアミノ酸に相当する遺伝子組換えペプチドであり、骨 形成促進作用を有する薬剤です。2010年1月現在、世界83の国又は地域で承認されてお ります。  本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいて おります。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させてい ただきます。  本邦における開発では、ブリッジング戦略が選択され、審査報告書の71ページの図8 に示しましたように、ブリッジング試験として国内第III相試験が、ブリッジング対象試験 として海外第III相試験が、それぞれ位置付けられております。骨粗鬆症領域において、ブ リッジング開発が行われた場合、有効性については骨密度増加効果を基に、国内外の類似 性を検討した上で、骨折予防効果が検証された海外臨床試験成績の外挿可能性を判断する こととしています。  本剤の有効性について、骨密度増加効果を評価したところ、84ページの表43に示した ように、国内外に大きな違いは見られませんでした。薬物動態や安全性等も含めて、総合 的に検討した結果、新規椎体骨折が生じた被験者の割合について、54ページの表17に示 したように、プラセボとの有意差が検証された海外第III相試験の成績を日本人の検証的試 験の成績として外挿することは可能と判断しました。  安全性については、80ページの表41や81ページの表42に示したように、ブリッジン グ試験及びブリッジング対象試験以外の、国内外のプラセボ又は実薬を対照とした臨床試 験を含めた併合解析結果から、国内外に大きな相違は見られず、また89ページの1)〜93 ページの7)に示したように、個別の事象についても検討した結果、本剤の安全性は許容 可能と判断しました。  なお、海外第III相試験が実施中であった1998年12月に、ラットがん原性試験において、 骨肉腫を含む骨腫瘍性病変が認められたため、当時実施中のすべての本剤の臨床試験が、 自主的に中止された経緯があり、海外では投与期間を臨床試験における投与期間に基づい て、24か月間として承認されております。国内においても、今後、投与期間を24か月間 に延長するための申請がなされる予定ですが、本審査においては、提出された18か月投 与による国内臨床試験成績に基づき、用法・用量として、「本剤の投与は18か月間まで とすること」を明記しました。骨肉腫に関しては、海外において市販後の追跡調査及び研 究が実施中であり、現時点で本剤の投与歴が確定している患者における骨肉腫の発生は認 められておりません。  製造販売後調査については、104ページの(6)に示したように、調査期間は18か月間、 目標症例数を1,800例とした長期使用に関する特定使用成績調査が計画されており、高尿 酸血症、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者及び高齢者における安全性、高カルシウ ム血症、心血管系障害等に係る安全性、抗体産生に係る安全性及び有効性に係る情報が収 集される予定です。さらに、本剤投与と骨肉腫発生との関連性については、当該調査のみ ならず、海外の追跡調査も含め、今後も引き続き検討される予定です。  以上のとおり、機構での審査の結果、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果と して、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが 適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8 年が適当であると判断しております。原体及び製剤は劇薬・毒薬のいずれにも該当せず、 また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬 事分科会では審議を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○佐藤委員 委員の先生方から、御質問、御意見をいただきます。 ○清水委員 製剤に関することで教えてください。審査報告書の10ページの1)からの流 れの一番最後の尚書きです。「カートリッジ製剤の容量は、28日用とされているキット 製剤と同一であるが、カートリッジ製剤においては専用ペン型注入器であるフォルテオ 14ペンの構造上、1回の注射につき、投与前に1回の空打ちを前提とした14日用とされ ている」とあります。同じカートリッジを使うわけですが、キット製品であれば28日使 え、専用の注入ペンを使った場合には14日分の使用期間になるというところで、こうい った場合には、同じものであっても、例えばの話ですが、同じ薬価が付くことにはならな いということでしょうか。 ○機構 薬価については私の答える範疇ではないのですが、確かに同じ容れ目でありなが ら、なぜこのようなことになるのかという話は審査の過程で詰めておりまして、基本的に 海外ではキット製品が使われて、日本でもそれで統一できればいいのですが、御承知のよ うに、新薬の場合、最初の1年間は14日処方という制限があります。それに対応する製 剤として申請者が用意したのが、このような形でありまして、カート専用の注射器を用意 して、その注射器であれば、毎回空打ちが必要になってしまう。正確に打つためにという ことで、このようなことになっております。薬価との絡みについては、本省の関連部署と 今詰めている最中でして、我々の審査のレベルを超える話ですので、これ以上は言及でき ません。 ○清水委員 ここで薬価の話をすると嫌われるのは理解しているのですが、どう考えて も、考え方としてこれをどのようにするものなのかという、ザックリなところでよかった のですが、御意見をいただきたいと思いました。  それと、承認初期は14日分しか現在の保険制度では認められないというところに起因 した、専用ペンを使った製剤の開発と理解をするということでよろしいわけですね。 ○機構 御承知のように、1年以降、両者が混在するような形になったときに、キットの 方は、初めて使うときに1回空打ちすればいいという形になっていますので、製剤の空打 ちの必要性、取り違えないような情報提供が必要になりますので、その辺は申請者側も、 パンフレット等を今作成している段階で、適切な情報提供を目指して、今指導もしており ます。 ○佐藤委員 本部会の段階としましては、今の意見で御理解いただけましたでしょうか。 ありがとうございます。ほかになければ議決に入ります。なお、永井委員、野田委員、本 橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただ くこととします。  本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を 可とします。なお、本剤は新有効成分であり、かつ既存の類薬がありませんので、薬事分 科会に上程し、審議することとさせていただきます。  それでは、永井先生よろしくお願いいたします。 ○永井部会長代理 議題3です。機構から概要の説明をお願いします。 ○機構 議題3、資料3、「医薬品オレンシア点滴静注用250mgの生物由来製品及び特定 生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬 の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明いたします。本剤の有効成分で あるアバタセプトは、ヒトcytotoxic T lymphocyte-associated antigen4(CTLA-4) の細胞外ドメインと、ヒトIgG1のFcドメインより構成された遺伝子組換え可溶性融 合タンパクです。アバタセプトは、抗原提示細胞表面のCD80及びCD86に特異的に結 合することで、CD80/86とCD28の相互作用による共刺激シグナルを選択的に阻害し、 T細胞の活性化を抑制することから、自己免疫疾患に対する有用性が期待され、関節リウ マチの新規の治療薬として開発が行われたものです。海外においては、2005年12月に、 米国で関節リウマチの効能で承認されて以降、2010年3月現在、関節リウマチの効能で 50以上、また若年性特発性関節炎の効能で20以上の国と地域で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されている11名の委員を指名いたしました。 審査内容について簡単に説明させていただきます。  審査報告書43ページを御覧ください。本申請はブリッジングコンセプトに基づくもの であり、図3のように、海外試験成績を利用した臨床データパッケージにより申請資料が 構成されております。次に44ページの下から11行目の2)のメトトレキサートです。報 告書中では「MTX」と略しています。効果不十分な日本人関節リウマチ患者(以下「R A」)を対象とした第II相試験の項を御覧ください。本試験はMTXで効果不十分なRA 患者194例を対象に、本剤2、10mg/kg又はプラセボをMTX併用下で、1、15、29日目、 以後28日間隔で点滴静注した際の用量反応性を検討する二重盲検並行群間比較試験とし て実施されており、海外用量反応試験に対するブリッジング試験として位置付けられてお ります。その結果、45ページの表11に示しておりますように、有効性の主要評価項目で ある投与169日後のACR20%改善率は、10mg/kg群で、77.0%、2mg/kg群で62.7%、 プラセボ群で21.2%であり、本剤の各用量群ともにプラセボに対する有意な改善が認め られ、また、10mg/kg群の有効性は2mg/kg群を上回る傾向が示されております。  本試験で認められた用量反応性は、47ページの表14に示している海外第二相試験成績 と類似した結果であったこと、さらに安全性プロファイル及び薬物動態についても日本人 と外国人で大きな相違はないと考えられたことから、機構は関節疼痛等の症状に対する本 剤の薬効評価において、海外臨床試験成績の外挿は可能であると判断しております。  次に、海外で実施された主な検証的試験の結果について説明させていただきます。49 ページの下から13行目、3)MTX効果不十分な外国人RA患者を対象とした第三相試験 の項を御覧ください。本試験はMTXで効果不十分な活動性RA患者652例を対象に実施 されたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験です。なお、第三相試験における用量には、 用量反応試験成績に基づき、10mg/kgが選択されていますが、投与を簡略化し、誤投与を 防ぐため、おおむね10mg/kg±25%となるように設定された体重別固定用量、すなわち体 重60kg未満では本剤500mg、60kg〜100kgでは750mg、100kg以上では1,000mgの用量が 用いられています。試験結果については50ページの表17に示しておりますように、有効 性の主要評価項目の一つである投与6か月後のACR20%改善率は、本剤群で67.9%、 プラセボ群で39.7%であり、本剤群において有意に高い改善率が示されております。  このほか、TNF-α阻害薬で、効果不十分なRA患者を対象としたプラセボ対照比較 試験も実施されており、結果については52ページの表21に示しておりますように、本試 験においても、投与6か月後のACR20%改善率などにおいて、本剤群における有意な改 善効果が確認されております。  これらの成績より、機構はRAの関節疼痛等の症状に対する本剤の有効性は示されたも のと判断しております。一方、本邦においては関節破壊に対する本剤の抑制効果は検討さ れていないことから、本剤のリスク・ベネフィットをより明確にできるよう、製造販売後 に臨床試験において当該効果についても検討することが適切であると考えております。次 に65ページの下から3行目、(4)安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試 験における有害事象の発現状況を次の66ページの表29及び30にまとめておりますが、 現時点では死亡、重篤な有害事象、すべての有害事象等について、本剤群とプラセボ群で 大きな違いは認められておりません。また、TNF阻害剤やIL-6阻害剤などの他の生 物製剤の安全性データも参照とした検討の結果、66ページ以降に示しておりますように、 現時点では本剤で特に発現率が高いと考えられる有害事象、特有の有害事象などは示唆さ れておりません。しかしながら、67ページの表31に示しておりますように、重篤な感染 症については、プラセボ群に比べて本剤群での発現率がやや高い傾向にあり、肺炎や肺血 症などの致死的な感染症、また海外試験では少数ではありますが結核の発現例も認められ ていること、本剤も免疫機能に影響を及ぼす薬剤であることを踏まえると、他の生物製剤 と同様に、重篤な感染症の発現には、厳重な注意を払う必要があると考えられます。また、 重篤なアレルギー反応、悪性腫瘍、間質性肺炎等の発現傾向も他剤と類似していると考え られ、免疫機能への影響やタンパク製剤としての類似性を考慮すると、他の生物製剤で知 られている副作用の発現には、本剤においても留意していく必要があると考えられます。 さらに海外も含め本剤の使用経験は他剤と比べまだ少なく、今後十分に情報を集積した上 で安全性プロファイルをより明確にする必要があることなども踏まえると、製造販売後に は、既存の生物製剤と同様の安全対策として、一定数の症例が集積されるまでは、全例で の使用成績調査、さらに長期投与時の安全性等を検討するための長期特定使用成績調査を 実施し、適正使用の徹底、副作用情報の把握と臨床現場に対する情報提供の徹底等を図る ことが適切であると機構は判断しております。  以上の審査を踏まえ、承認条件として製造販売後に、全投与症例を対象とした使用成績 調査及び長期特定使用成績調査を実施すること、並びに関節破壊の抑制効果を検討するた めの臨床試験を実施することを付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達 し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。  本申請に係る再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当す るものと判断しております。薬事分科会では審議を予定しております。よろしく御審議の ほどお願いいたします。 ○永井部会長代理 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見 を承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○檜山委員 製剤見本に専用のシリンジが付いているのですが、さらに添付文書の2ペー ジの上、「本剤に添付されたシリコーン油を塗付していない専用のものを」という注意書 きがあるのですが、この辺のポイントはどこにあるのか、説明をお願いしたいのです。専 用であることと、シリコーン油というところがポイントなのか、前後のところがよく分か らないものですから説明いただければと思います。 ○機構 機構からお答えいたします。本剤の開発の過程で、シリコーン油との相互作用に よると考えられる本薬由来の微粒子の産生が認められたため、シリコーン油を塗付してい ない調製専用ディスポーザブルシリンジが添付されたという経緯がございます。シリコー ンコーティングシリンジ内で本薬を溶解、保存する際に産生した先ほどの微粒子について は、カニクイザルを用いた単回静脈内投与毒性試験により、毒性学的に意義のある変化が 認められないものであったことは確認されているのですが、本剤の調製時にはその微粒子 の産生を抑制するために、専用のシリンジを用いることとされております。 ○檜山委員 ありがとうございました。 ○永井部会長代理 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 使っている用語の件で1点、教えていただきたいと言ったら変ですが、審査 報告書を読んでいて、添付文書案を見たときに、少し違和感があったのが、審査報告書の 中では「TNF阻害薬」という言葉を使って報告書が書かれていた中で、添付文書が「抗 TNF製剤」という記載に変わっているのですが、そこのところは何か意味がありました でしょうか。 ○機構 はい、機構よりお答えさせていただきます。特に書き分けているものではござい ませんので、同じものを指しているということで御理解いただければと思います。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○清水委員 欧米の添付文書では調製方法の中で、無菌処理を求めている書きぶりになっ ているかと思うのですが、今回の添付されている添付文書案では、特に無菌調製をするよ うにというような文言は書かれていないようなのですが、そこのところはどのようにお考 えでしょうか。 ○機構 機構よりお答えさせていただきます。本剤に関しては点滴静注用製剤ということ で、自己投与は行われず、必ず医療機関によって投与されることになります。医療機関で の投与においては必ず無菌的な調製が行われるであろうと考えられますので、あえては書 いていないというところです。 ○永井部会長代理 ほかにいかがでしょうか。御意見はございませんでしょうか。もし御 意見がございませんでしたら、議決に入ります。林委員におかれましては、利益相反に関 する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。  本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ございませんようですの で、承認を可とさせていただきます。  本剤は新有効成分であり、かつ既存の類薬がありませんので、薬事分科会に上程し、審 議することにさせていただきます。ありがとうございました。  では、議題6に入ります。機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題6、資料6、「医薬品サイビスク関節注2mLの生物由来製品及び特定生物 由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指 定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。  本品はホルムアルデヒドで架橋処理を施しました高分子ヒアルロン酸誘導体の水溶液、 及びこれをさらにビニルスルホンで架橋処理をした不溶性のゲル状物質を混合したもの です。健康な人の関節液と類似したレオロジー特性を有するように開発されたものです。  海外では1992年にカナダ、1995年にイギリス、ドイツ、フランスを含む欧州、さらに 1997年にアメリカにおいて医療機器として承認又は認証され販売されています。また、 スウェーデン、ニュージーランド、シンガポール等の国々では、医薬品として販売されて おり、2008年10月現在で世界71か国において、承認又は認証されております。  本申請の専門協議の委員としては、資料11に記載した5名の委員を指名しています。 主な審査内容について簡単に御説明させていただきます。  まず、本品の有効性ですが、審査報告書17ページのPMA5試験の項を御覧ください。 こちらの試験は二つの比較試験から構成されています。一つ目の試験は4週間の非治療期 間を設定し、関節穿刺を対照とした無作為化比較試験です。治療2週までのVASスコア に基づく改善度について、本品群と対照群との間に有意差は認められませんでしたが、非 治療期間に疼痛が増悪した再燃患者について解析をした結果、本品群では対照群に比べて 改善度が有意に高かったことから、明らかな疼痛を有する再燃患者への有効性が示唆され ました。一つ目の試験終了後8週間にて疼痛再燃した患者集団を対象として、反復治療に おける有効性及び安全性を評価した試験では、関節痛の評価項目のVAS値について、1 クール目と2クール目に有意差は認められませんでした。  次に審査報告書、18ページのPMA6試験です。こちらは非ステロイド性抗炎症薬、 NSAIDによって疼痛の軽減が得られなかった患者に対し、非治療期間を設けずに実施した 無作為化3群比較試験です。3群とも初回注入前のベースラインと比較して、治療12週 後のVASスコアは有意に改善しました。本品とNSAIDの治療の併用、あるいはいずれか 一方の単独治療も、その有効性に有意差は認められませんでしたが、本品単独群とNSAID +関節穿刺群が同程度の治療効果が得られ、NSAIDが奏効しない患者、又は使用できない 患者においては、非治療期間を設けなくても、本品による疼痛緩和が得られる可能性があ ると考えております。  次に本品の安全性についてですが、これは実施された4つの試験について、審査報告書 の14ページ、下から4行目、PMA2試験です。16ページ下から4行目、こちらがPM A3試験です。それから先ほど説明したPMA5、PMA6試験については18ページ9 行目及び19ページ7行目にそれぞれ安全性について記述していますが、いずれも重篤な 全身性及び局所の不具合は認められず、後遺症を残すことなく鎮静化しており、安全性に ついて大きな問題はないものと考えています。本品は当初、医療機器として承認申請がな されましたが、本品の本質であるヒアルロン酸の架橋処理成分と類似するヒアルロン酸ナ トリウムを含有し、同様の目的で関節腔内注射液として使用される製品が、医薬品として 承認されていることを踏まえ、本品を医薬品として承認することが適当であり、医薬品第 一部会で審議されることが妥当と判断しました。  さらに販売名については、医療過誤防止の観点から、申請時の「シンビスク」から「サ イビスクディスポ関節注2mL」に変更することが妥当と判断しました。本申請に係る再審 査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特 定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定し ています。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長代理 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見 をいただきたいと思います。 ○佐藤委員 有害事象について質問させてください。外国ではアナフィラキシーショック があったのも数例であり、心配は心配だけれども、問題がないのではないか、日本の場合 には注入する際のいろいろな問題で、痛みがあったりということだから、余り問題がない かもしれない、とおっしゃっていますが、これは異種タンパクを入れることですので、ア ナフィラキシーのことはやはり考えていかなければいけないと思うのです。機構が考えら れて、構造の中でタンパク質がポリマーの内側に埋没した状態になっていると書かれてい ますが、もしかするとこれはポリマーの中に取り出した地点が中に入っていたかもしれま せんが、このポリマーとしても周りに拡散して溶けていくわけですから、必ずそのタンパ クがもし吸収されなければそこにあるわけで、それがアレルゲンになる可能性は大いにあ ると思います。それで、アナフィラキシーの反応が現れたときに、臨床的には注入を中止 して、適切な処置を行うこと、と記載しますと。これは当然のことなのですが、では、実 際にアナフィラキシーのショックが起こったときに、その原因になるものを除去しなけれ ばいけないけれども、こういうふうに注入したものを限定して、それがこれだということ を取り出すことは、これから入れようとするのを止めることはできますが、入れてしまっ たものがどれであるかというのは絶対的に無理だと思うのですが、何かいい考えがあっ て、この注意書きは、「適切に処置を行うこと」というのは、少々不親切ではないかと思 いますが、その点、いかがでしょうか。 ○永井部会長代理 いかがでしょうか。 ○機構 確かに先生の御指摘のとおり、審査報告書の中でもアナフィラキシーの存在につ いては書かせていただいています。審査報告書の繰り返しになりますが、海外で7年間に 販売されているうち100万例に1例〜2例程度のそういうものが認められたということ で、先ほど御説明しました臨床試験は、いずれも海外で実施されたものですので、国内で の安全性ということでは、審査報告書の中でも書かせていただいていますが、使用成績調 査1年の比較的長期の使用成績調査の中で、どの程度のアナフィラキシーショック、ある いは感作性等が出てくるかということを重点項目として、調査させていただく予定です。 ○佐藤委員 質問が長くて申し訳ありませんが、最初の段階でこれはスキャフォードの一 部の中に、ポリマーの中に取り込まれていると書かれています。内部に入っているという のは、これは物理的な問題として、化学的に取り込まれる構造式として入っているわけで は多分ないと思いますが、その辺のところは何かポリマーの内側の埋没した状態と書かれ ていますが、そういうことなのでしょうか。実際はそこのところが化学構造でくっ付くわ けではないですね。内側に入っていても、必ず周りのポリマーが溶けて、拡散していきま すから、溶けて表に出てくるわけですが、ここに書かれていることはそういう意味なので しょうか。簡単に御説明いただけますでしょうか。 ○機構 先生の御指摘のところは審査報告書の10ページになるかと思いますが、構造的 にタンパク質がポリマーの内側に埋没した状態になるという、申請者の回答について、詳 しい構造については確認をしておりません。ただ、もう一方、審査報告書の11ページ〜 12ページの冒頭にかけてですが、本品に含有される二つの架橋ポリマーのうち、より高 分子のものについては、関節内での半減期が大体8〜9日程度ということで、さらにそれ が加水分解された血中の半減期は22分程度で、大半が尿中に検出されています。本品は 以上、関節腔内に注入された後、代謝物というのは血中より低分子のヒアルロン酸が主で、 それらは直ちに排出されると考察されています。 ○永井部会長代理 よろしいですか。 ○本橋委員 細かいことで恐縮なのですが、医療安全の観点から「サイビスク」という名 前に変えるとお聞きしたのですが、このスペリングはこのままなのですか。これでそう読 むのは結構難しいような気がするのですが。 ○機構 今、先生方のお手元にございますのは、英名のシンビスク、申請時のサンプルで す。今日は外箱等もお示しておりませんので、今後、販売名については申請者とやり取り をさせていただき、適切に変えさせていただきたいと思います。 ○清水委員 今の点について、添付文書案もそのスペルになっていますので、そこのとこ ろも見逃さないようにお願いします。私が質問したかったのは、効能・効果なのですが、 臨床試験の中で行われていたデータを見ると、NSAIDが不十分な場合の臨床試験結果かと 思うのですが、効能・効果の中では経口薬物療法が十分奏効しない疼痛というように今回 の適用はなっているようなのですが、そこのところはどういう意味を持って、こういう用 語になったのかを御説明いただけますでしょうか。 ○機構 先生の御質問については資料概要の24ページを御覧いただきたいのですが、こ ちらに海外の本剤の承認の内容を記載しています。特に医療機器として承認されているア メリカFDAの場合には、従来の非薬物療法及び単純鎮痛剤、いわゆる例えばアセトアミ ノフェンというところで、余り限定的な薬物という書き方をしていないので、海外に合わ せる形で、このような効能・効果にすることが妥当と判断しています。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。 ○手島委員 この製剤の場合、アナフィラキシーが起きることがあるかもしれないという ことが気になるところではあると思うのですが、23ページの総合評価の(1)の中には、 アレルギー反応が発現した場合は抗体検査を実施して、市販後調査においては調査を行 う、ということがあるのですが、こういう抗体検査を実施するということは、添付文書の 中の2ページの重大な副作用の、適切な処置を行うことというところの後には、特に記述 する必要はないものでしょうか。 ○機構 今、先生の御指摘いただきましたのは、審査報告書23ページの(1)の最後の記 載でよろしいでしょうか。先ほども少し申し上げましたが、本剤は日本での使用経験がご ざいませんので、それを市販後の使用成績調査の中では、場合によっては医療現場の先生 と御相談しつつ抗体検査を実施させていくということにさせていただきました。添付文書 まで抗体検査ということを具体的に記載するところは考えておりませんので、そこは現場 の御判断で、それも含めて必要だということであれば、その検査をしていただければとい うふうに今のところ考えておりますが。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。 ○審査管理課長 アナフィラキシーの件については本件の調査すべき話だと思っており ますので、情報提供の仕方については、申請者の方と検討させていただきたいと思います。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。もし御質問がございませんでしたら議決に入り たいと思います。なお、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決 への参加を御遠慮いただくということにいたします。  本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議ございませんようですの で、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。どうもありがとうござい ました。  では報告事項にまいります。説明を事務局よりお願いいたします。 ○機構 報告事項の議題1、「医薬品タンボコール錠50mg及び100mgの製造販売承認事 項一部変更承認について」御説明します。資料7を御覧ください。本剤はフレカイニド酢 酸塩を有効成分とする抗不整脈薬であり、「頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、心室 性)」の効能・効果で承認されています。今般、「小児:頻脈性不整脈(発作性心房細動・ 粗動、発作性上室性、心室性)」の効能追加に関して、平成21年12月28日付厚生労働省 医薬食品局審査管理課長通知「薬事・食品衛生審議会で事前評価を受けたフレカイニド酢 酸塩の小児薬物療法に関する承認申請について」に基づき、効能追加の製造販売承認事項 一部変更承認の申請がなされたものです。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断い たしました。議題の1については以上です。 ○事務局 続いて報告事項の議題2、資料8、「ジノプロスト(プロスタグランジンF2 α)注射剤の製造販売承認事項一部変更承認について」です。ジノプロストは妊娠末期に おける陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進などを効能・効果としており、静脈注射によって使 用されるものです。今回この御報告をさせていただくことになりました背景については、 2番に記載していますが、本剤については安全対策の観点から、添付文書の見直しを検討 していたところ、用法・用量については現状とは異なるという指摘があったことから、対 応について検討していたというものです。  指摘された問題点は用法・用量の1.の(1)点滴静注のところで、本剤1mLをブドウ 糖液500mLに希釈するということになっていますが、添付させていただいた教科書やガイ ドラインにも記載がされているように、臨床現場においては、本剤2mL〜5mLを輸液の 500mLに希釈するという方法で使われているということです。  2ページ目です。ただし、ジノプロストの投与速度については用法・用量と同じという ことですので、このような投与方法が用いられる背景としては、分娩時の過量の水分負荷 を避ける目的であるというところです。また、希釈する輸液についてはブドウ糖液などが 指定されていますが、耐糖能異常患者などへの使用については、これが適当でないという 場合も考えられるということで、糖液に限定する必要性も大きくないと考えられていると いうことです。  このようなことから4番ですが、臨床現場での使用実態に合わせるために、下の用法・ 用量以下に書いてあるような形で、用法・用量を変更することが適切ではないかと考えま したので、御確認いただければと考えています。  なお、本剤については投与速度を管理すべきものであるというものですので、投与にあ たっては精密持続点滴装置を使用するということを「警告」「用法・用量に関連する使用 上の注意」の項に記載することにしたいと考えています。  御確認いただけましたら、製造販売業者に対して、一部変更承認申請をするよう依頼す る予定です。以上です。 ○永井部会長代理 続けてお願いいたします。 ○機構 続きまして報告事項の議題3についてです。議題3は「医療用医薬品の再審査結 果について」まとめて報告します。資料9-1〜9-5で、これらはいずれも医薬品再審査確 認等結果通知書となります。資料9-1は、一般的名称は「ベシル酸ベポタスチン」、販売 名は「タリオン錠5mg 他」。資料9-2は一般的名称は「オキシコドン塩酸塩水和物」、 販売名は「オキシコンチン錠5mg 他」。資料9-3は一般的名称は「オメプラゾールナト リウム」、販売名は「オメプラール注用20」。資料9-4は一般的名称は「ファレカルシ トリオール」で販売名は「フルスタン錠0.15他」。資料9-5は一般的名称は「レビパリ ンナトリウム」、販売名は「クリバリン透析用1000単位/mLバイアル5mL 他」になりま す。これらの品目について市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査等の成績等 に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等 の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。なお、資料 9-5に記載のあるローモリン注については、再審査報告書作成以降に承認整理がなされ、 再審査申請についても取り下げとなっていることを付け加えます。議題3については以上 です。 ○永井部会長代理 ありがとうございました。それではただ今の報告事項について御意見 をお願いいたします。 ○清水委員 資料7のタンボコールの小児の適用に関することですが、既存の製剤を使っ て、小児に適用をするために必要な製剤学的なデータというのは、今回インタビューフォ ームに随分記載していただけたということで、現場でも調剤をするときに粉砕をすること のエビデンスがつかめることと思うのですが、やはり重要なのは審査報告書の5ページに 書かれているように、小児の適用をもったからには、小児用の製剤を基本的には開発すべ きだろうと私も感じております。現在そこのところの進んでいる話がもしあるようでした ら、教えていただきたいと思います。 ○機構 機構よりお答え申し上げます。その辺はメーカーともお話を始めておりまして、 開発を進める方向ということでやっていますので、どのくらいの期間ということは、まだ はっきりとしたところは分かりませんが、方向性としてはそのようになっています。 ○永井部会長代理 よろしいでしょうか。ほかに御質問はございませんでしょうか。もし 御質問、御意見がございませんでしたら、報告事項については御確認いただいたというこ ととさせていただきます。事務局から連絡事項、あるいは当日配付資料について御説明を お願いいたします。 ○審査管理課長 当日配付資料1ということで、先生方のお手元に配付させていただいて います資料について御説明させていただきたいと思います。先月の3月24日に開催され ました薬事分科会で御説明させていただいて、御了解いただいた内容です。一つは新医薬 品第一部会、第二部会の所掌の見直しです。ここに記載させていただいていますように、 平成21年度の審議、報告品目の数ですが、第一部会はかなり多うございます。第二部会 についてはワクチン等のなかなか難しい品目もありますが、品目に偏りがありますので、 第一部会と第二部会の御審議いただきます薬効分野の見直しを検討させていただくとい うことで、薬事分科会に御了解いただいたものです。内容についてはまた第一部会の先生 方、第二部会の先生方と相談の上、進めさせていただきたいと思っております。  2番目ですが、薬事分科会報告品目のうちの希少疾病用医薬品の取扱です。薬事分科会 への報告品目については、部会において承認して差し支えないということで答申をいただ いたものについて事後報告するわけですが、取扱上は事後報告で差し支えないということ とされていますが、新医薬品の承認については、分科会の開催時に報告した後、正式に答 申をいただいているというのが現状です。  しかしながら、日本脳炎ワクチン等の取扱の場合には、事務的に手続を速やかに行って 供給すべきではないかというような部会の御意見があり、部会、分科会長の御了解が得ら れた場合に、分科会への報告については分科会の開催を待たずに、分科会の先生方に、審 査報告書等の資料を送付して、報告させていただいて、答申手続を行うという取扱をさせ ていただいたところです。  未承認薬・適応外薬等の検討のおりに、希少疾病用医薬品等についてはできるだけ事務 的手続を早くしたらいかがかという御意見をいただいておりましたので、今後、希少疾病 用医薬品についても特に事務手続を速やかに行うべきということで、部会の審議の際に御 意見をいただいた場合には、同様の取扱にさせていただこうと思っております。というこ とで、これについても分科会の方の御了解はいただいたところです。以上です。 ○永井部会長代理 それでは連絡事項をお願いいたします。 ○事務局 次回の部会は既に御案内のように6月3日(木)午後4時から開催させていた だく予定ですので、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長代理 それでは本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線 2746)