10/04/20 第1回じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会議事録 第1回じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会 日時 平成22年4月20日(火) 13:30〜 場所 経済産業省別館8階850号会議室 ○事務局 ただいまから、第1回「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会」を開催いたし ます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。座長が選出されるまでの 間、労働衛生課の中央じん肺診査医森が議事を進行させていただきます。本日の検討会は、議題1「石 綿健康被害救済法における石綿肺の取扱いを踏まえたじん肺健康診断のあり方について」の一部につ いては個人情報等にかかる資料があるため、その部分の議論については非公開とさせていただき、資 料については机上配付とさせていただきます。また、そのため傍聴の方におかれましては、大変恐縮 ではございますけれども、その時点でご退席をお願い申し上げますので、あらかじめご容赦ください。 なお、公開部分の議事録については、厚生労働省のホームページで公開されることとなっております ので、よろしくお願いいたします。傍聴者におかれましては、静粛を旨として、会議の妨害となるよ うな行為は慎んでいただきたいと存じます。ほかの傍聴者のご迷惑になりますので、守られない場合 には退席いただくこともありますので、何とぞご了承願いたいと思います。  初めに、安全衛生部長の平野から、一言ご挨拶を申し上げます。 ○安全衛生部長(平野) 安全衛生部長の平野でございます。先生方また参考人については、お忙し いところお集まりいただきありがとうございます。昭和35年に制定されましたじん肺法においては、 じん肺に対して適正な予防および健康管理等を行うことによって、労働者の健康の保持を進めてきた ところです。そういうことで、粉じん作業に従事する労働者に対するじん肺健康診断は定着している というように考えております。  ただ、一方、じん肺の新規有所見者数は長期的には減少傾向にございましたが、近年は横這いとい った状況にあります。また、現在も40万人を超える労働者が粉じん作業に従事されている。いまだに 5,000人を超える方がじん肺の有所見者ということで、いまなお重要な職業性の疾病だというように認 識しております。  後ほど担当より詳細に説明させていただきますが、現在、石綿健康被害救済制度における指定疾病 に関する考え方について、昨年、平成21年10月26日付で担当大臣のほうから、中央環境審議会に対 して諮問が行われました。同審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会において審議されました 結果、今年3月に「石綿健康被害救済制度における指定疾病に関する考え方について」の(案)が取り まとめられております。その中で、石綿肺については、石綿健康被害救済法の趣旨に照らしまして、 著しい呼吸機能障害を来している場合は救済の対象とすることが適当であるというようにされたとこ ろで、石綿肺に対する最新の医学的知見等を踏まえて、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺にかかった ことを判定するための考え方についても示されております。  厚生労働省としては、このような状況も踏まえまして、じん肺法におけるじん肺健康診断のあり方 について、最新の医学的知見を基に、必要な見直しについて検討してまいりたいと考えています。委 員の皆様によりご意見をいただきまして、それらを踏まえて石綿健康被害救済制度の変更と併せて、 必要な見直しを実施していきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 ○事務局 次に、第1回検討会ですので、各委員のご紹介をさせていただきます。資料2の委員名簿で、 上から順にご紹介させていただきます。阿部委員、東海大学医学部教授です。岸本委員、岡山労災病 院副院長、今日はご欠席の連絡をいただいております。工藤委員、結核予防会複十字病院病院長。坂 谷委員、近畿中央胸部疾患センター名誉院長、今日はご欠席の連絡をいただいております。中原委員、 京都大学大学院医学研究科教授。名取委員、中皮腫・じん肺アスベストセンター所長、今日はご欠席 の連絡をいただいております。吉田委員、名城大学薬学部教授。なお、本日は参考人として、石綿対 策全国連絡会事務局長の古谷参考人にご出席いただいております。  引き続き、厚生労働省職員の紹介をさせていただきます。平野安全衛生部長。鈴木衛生課長。桐生 主任中央じん肺診査医。最後に、中央じん肺診査医の森です。よろしくお願いいたします。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料6については個人情報にかかるため机上配付と いたしますが、資料1から5、参考資料1から10まで確認いたします。資料1「じん肺法におけるじん 肺健康診断等に関する検討会開催要綱」。資料2「当検討会の参集者名簿」。資料3「じん肺法におけ るじん肺健康診断等の主な検討項目」。資料4「じん肺法におけるじん肺健康診断等の主な論点等」。 資料5「じん肺健康診断の流れ」。  参考資料としては、参考資料1「じん肺診査ハンドブック」。参考資料2「石綿健康被害救済制度に おける指定疾病に関する考え方について(案)」。参考資料3「石綿肺の呼吸機能の評価の在り方につ いて(案)」。参考資料4「日本人のスパイログラムと動脈血液ガス分圧基準値(抄)」。参考資料5 「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版(抄)」。参考資料6「呼吸機能 検査ガイドライン(抄)」。参考資料7「呼吸機能検査ガイドラインII(抄)」。参考資料8「臨床呼 吸機能検査第7版(抄)」。参考資料9「高齢者の肺機能に関する調査研究報告書(抄)」。参考資料 10「じん肺有所見者の肺機能の評価に関する研究報告書」。落丁などありましたら、お気付きになり 次第事務局にお知らせいただければと思います。  続きまして、議事に入る前に、資料1「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会開催要 綱」について、鈴木課長から説明させていただきます。 ○労働衛生課長(鈴木) 資料1、この検討会の開催要綱についてです。先ほど部長の挨拶にありまし たとおりですし、委員の皆様に就任をお願いした際に概要は説明しておりますが、目的にありますよ うに、じん肺法に基づくじん肺健康診断については、昭和53年の通達において、じん肺ハンドブック (昭和54年改訂)に記載された内容を基本として行うこととしております。今般、環境大臣から中央 環境審議会に対して、「石綿健康被害救済制度の在り方について」の諮問が行われ、小委員会におい て石綿肺に関する最新の医学的知見が示され、石綿健康被害救済法の趣旨に照らした石綿肺の取扱い にかかる考え方などが検討されているところです。  これらを踏まえて、厚生労働省で行っておりますじん肺法におけるじん肺健康診断のあり方につい て、最新の医学的知見を基に必要な見直しの検討を行うこととするものです。この目的について、先 日4月3日に当安全衛生部の所管しております審議会の分科会、さらにその下にありますじん肺部会、 ここでこの検討会の開催が了承されたところです。検討内容については、ここに簡単に書いてありま すが、環境省の小委員会において提示された報告書には、じん肺診査ハンドブックに関連する事項が いくつか書いてありますので、ハンドブックの項目に沿って、後ほどまた検討項目を提示させていた だきますが、それぞれ現場の混乱が生じないように、緊急性を要するもの、あるいはしばらく様子を 見ていいものなどに分けた後に、必要な見直しについて検討を行うということになろうかと思います。  3.のその他についてですが、事務的な規定を定めておりまして、座長を置く、あるいは座長が議事 を整理する。また、別紙参集者以外の有識者の出席を依頼することができるということで、本日も先 ほどご紹介がありました古谷参考人に出席いただいているところです。本検討会は原則として公開と いたしますが、本日の資料6のように検討事項に個人情報等、特定の個人の権利または利害を害するお それがあるときは非公開とするということです。あとの部分については省略いたします。以上です。 ○事務局 ご意見・ご質問がありましたら、お願いいたします。開催要綱3の(1)に記載されているとお り、本検討会には座長を置くこととなっています。事務局から、じん肺部会の委員でいらっしゃる中 原委員に座長をお願いしたいと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。 (異議なし) ○事務局 それでは、中原委員に座長をお願いします。その後の進行については、中原座長にお願い いたします。 ○中原座長 中原です。よろしくお願いいたします。いま事務局のほうからご説明がありましたよう に、石綿健康被害救済法における石綿肺の取扱を踏まえ、じん肺に対してどのように対処するか、あ くまでもじん肺法に基づくじん肺という労働災害に対する解釈ということ、その点を踏まえて検討し ていきたいと思います。  本日の議題にはいりますが、石綿健康被害救済法における石綿肺の取扱を踏まえたじん肺健康診断 のあり方について、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局 資料の説明をいたします。資料3、資料4、資料5、併せて一連の内容ですので説明します。 まず、資料3です。じん肺法におけるじん肺健康診断等の主な検討項目、以下の項目について、新たな 石綿健康被害救済制度と必要な整合性を図る観点から、見直しの緊急性およびその内容について検討 する。主な検討項目として、以下の6つの項目を挙げておりますが、これは、じん肺診査ハンドブック の項目に沿って抽出したものになります。  続きまして、資料4の説明に入ります。資料3の大枠に沿って、じん肺法におけるじん肺健康診断等 の主な論点として、事務局のほうで論点そのものを挙げました。括弧の中は、石綿健康被害救済小委 員会による答申案のほうから、相当するようなところを抜粋させていただいております。参考資料2に 答申案を載せていますので、適宜ご覧ください。1.粉じん作業についての職歴の調査、こちらについ ては石綿健康被害救済制度のほうでは「石綿へのばく露の確認」に相当。じん肺の判定に当たっては、 じん肺にかかるおそれがあると認められる作業への従事状況について、基本的に、事業者や同僚等の 情報を確認することが可能であり、これらの情報から粉じんへのばく露の確認を行っているというの が論点になっております。  環境省の石綿健康被害救済小委員会のほうからは、石綿小体計測結果や石綿線維計測結果等が提出 された場合の取扱が提示されております。これらについては、粉じん作業については従来どおり事業 者や同僚等の情報から従事状況の確認を行うことを基本とする。石綿小体計測結果等の取扱について は、当面の間、情報収集に努めることとするとしてはどうかという内容になっております。  続きまして、エックス線写真の変化およびエックス線写真の読影。こちらについては石綿健康被害 救済制度における「画像所見の確認」に相当します。新たな医学的知見を踏まえ、以下の項目につい て検討するということで、胸部単純エックス線写真の撮影条件、胸部CT写真の活用、胸部CT写真の撮 影条件、所見の変化の確認、石綿肺における大陰影の取扱、以下の点については厚生労働省のほうで、 いままでの課題として挙げております。デジタルエックス線写真における取扱、読影における新たな 留意点、じん肺標準エックス線フィルムの改訂、じん肺CT写真の標準化、混合粉じん性じん肺の取扱、 以上の点に関して胸部CT写真については検査の普及が進んでおり、じん肺にかかるCT写真の国際的な ガイドラインが発刊されている一方、事業者がじん肺健康診断の費用を負担すること、読影技術の普 及が必要であることから、その他の項目を含め、必要な情報収集を行った上で、検討の必要性につい て判断してはどうかとしています。  続きまして、3.胸部臨床検査、石綿健康被害救済制度では、「総論(判定に必要な情報につい て)」「著しい呼吸機能障害の有無を判定するための考え方について」、こちらの項目において一部 取り扱われています。新たな医学的知見を踏まえ、以下の項目について検討したらどうかということ で、喫煙歴の把握を挙げております。こちらについては、じん肺およびじん肺の合併症の健康管理や じん肺の鑑別に役立てるため、じん肺健康診断において喫煙歴を把握することとしてはどうか。  続きまして、4.肺機能検査です。石綿健康被害救済制度では「著しい呼吸機能障害の有無を判定す るための考え方について」に相当しています。新たな医学的知見に基づき、以下の診断基準等を設定 する。全体の流れ(肺機能検査の改正体系、フローチャート)、検査項目の追加・削除、基準値の改 正、検査結果の確認方法にかかる留意点、これらについて二つの制度において、異なる基準を用いる ことにより生じる混乱を避けるため、最新の医学的知見に基づき、じん肺法における肺機能検査の基 準等の見直しが必要ではないかとされています。  続きまして、5.合併症に関する検査。新たな医学的知見を踏まえ、以下の項目について検討する。 じん肺の合併症にかかる検査方法等、胸部CT写真の活用(合併症検査における肺がん検診等)を挙げ ております。以上については、新たな医学的知見を収集する等、一定の時間をかけて検討してはどう か。  6.その他の検査。新たな医学的知見を踏まえ、以下の肺機能検査以外の検査について検討する。心 電図の取扱、選択的肺胞気管支造影の取扱、こちらがハンドブックに挙げられている検査になります が、これについては、新たな医学的知見を収集する等、時間をかけて検討してはどうかとしています。  続きまして、資料5、これまで説明しました現行の健康診断を流れとして表しております。じん肺診 査ハンドブックから抜粋しています。粉じん作業職歴の調査、エックス線写真撮影および読影、胸部 臨床検査、肺機能検査、合併症の検査、その他検査を一連の流れにしたものです。  続きまして、10頁の肺機能検査。肺機能検査の実施が可能と判断されたものについて1次検査、2次 検査を行います。参考として11頁、石綿健康被害救済小委員会の資料を添付しています。11頁は、救 済制度におけるフローチャートとして石綿肺診断から救済に至る流れを示しています。12頁は、その 中の著しい呼吸機能障害による呼吸機能評価のフローチャートを示しています。これについては、2月 24日会議の時点での資料であり、答申案ではご意見等を踏まえ、若干修正がなされています。例えば 注意していただきたいところは、12頁の呼吸機能評価フローチャートで、2月24日時点の資料では、 低酸素血症に関する評価でPaO2が60Torr以下という項目を掲げておりますが、その後、現行のパブリ ックコメントの案ではPaO2が60Torr以下に加えて、AaDO2の著しい開大が見られるという条件が加わ っているという状況になっています。資料の説明については以上です。 ○中原座長 ただいまの説明について、委員の先生方からご自由にご質問等いただければと思います。 ○吉田委員 資料4の6頁に、前後の流れでよくわからないのですが、石綿肺における大陰影の取扱と いうことが書いてあるのです。これは石綿肺は大陰影は含まないというのですが、どういうことなの でしょうか。 ○事務局 環境省のほう議論があったものですが、石綿肺の判定に当たっては、大陰影のみが認めら れる場合を除くというようなことです。大陰影は、基本的に石綿肺ではみられないということで、石 綿作業に従事している方に大陰影が認められる場合、どういう取扱をすべきかというような関係で項 目に掲げております。 ○吉田委員 従来のじん肺健康診断で、石綿肺で大陰影があるという人はどうなのですか。 ○事務局 石綿肺かどうかの判断の前に、石綿及び石綿以外の作業に従事していたかを踏まえ評価す ることになるかと思います。 ○吉田委員 石綿の作業に従事していて、例えば下肺野に少し不整形陰影があるというような人に大 陰影が出てくる。参考資料2の4頁の(2)ですが、石綿肺にかかったことを判定するための考え方につい て、3頁からの続きで、ばく露の確認のあと、画像所見の確認があって、「石綿肺の判定に当たって は」という所で、「ただし」の括弧の中で。 ○事務局 何頁ですか。 ○吉田委員 参考資料2の4頁の(2)。 ○事務局 画像所見の確認の所ですか。 ○吉田委員 はい。ここの2行目から3行目にかけての括弧の中。ここだけ抜粋すると、少し流れがわ からない。 ○事務局 「ただし大陰影のみがあるような場合」は、石綿肺と判定することは難しいということだ と思います。 ○事務局 ここでは石綿健康被害救済法なので、じん肺全般ではなくて石綿肺において、エックス線 検査の画像所見で見られるかということについて書かれているところなのですが、基本的にはじん肺 法の中の不整形陰影が認められるものということなのですが、大陰影のみが認められて、そういった 不整形陰影がないようなケースについては石綿肺とはならないということを定義しているというよう に考えられます。 ○吉田委員 一般に大陰影だとする場合には、いまお話があったように石綿だけではあまりないでし ょうが、いわゆる混合性ばく露みたいなもので解体業みたいなものの場合にあり得るかどうか。私は 実際こういうケースは知らないですね。 ○事務局 可能性としてはあると思います。 ○中原座長 要するに石綿肺で大陰影のみが見られる場合が問題なのです。 ○事務局 だからといって、じん肺ではないと言っているわけではないので、そこは当然ご理解いた だければと思います。 ○中原座長 そのほかにありますでしょうか。もしなければ、順番に1項目ずつ順を追っていきたいと 思います。資料4の5頁で粉じん作業についての職歴の調査という所、この項目について何かご意見は ありますか。これは環境省のほうは石綿以外にこだわっているわけで、うちとしてもじん肺健康診断 という観点で議論をしなければいけないのですが、やはり石綿肺について特に留意して、環境省のほ うの動向に合わせるような形で、こちらも考えたほうがいいとは思います。そこら辺のスタンスは、 やはり我々のほうはじん肺法に基づくじん肺健康診断ですので、石綿肺に限るということを論理的に いま説明しろと言われても、これは無理なのです。この会議が招集されたのは、やはり環境省の石綿 肺の問題との関係。そこを重点的に考えるべきではないかなと私は思います。そういうことで考えて いただければ、じん肺法で、じん肺にかかるおそれがある作業が基準になる。当たり前のことですが、 石綿小体や石綿の線維についての測定方法についてのデータがあれば、それは総合的に評価するが、 当面の間、情報収集に努めるということで、従来どおりの粉じん作業についての従事状況を確認する ことで、我々のという言い方はおかしいですが、じん肺法に基づくじん肺健康診断では、基本的に、 事業者などから従事状況を確認することは可能であるという趣旨ですね。何かご意見はありますか。 ○阿部委員 石綿救済被害法での職業性ばく露の話ですが、職歴の聴取については従来のやり方で大 きな変更をする必要はたぶんないのだろうと思います。ただ、石綿小体の計測云々というのは、環境 ばく露みたいな従事歴が明らかでないような場合については、臨床的にいろいろなものが求められる のかもしれないですけれども、職業性という視点に立てば、この記載でよろしいのではないか。当面 の間、情報収集に努めるで。 ○吉田委員 じん肺診査ハンドブックにおいて、石綿が24に載っているはずですが、じん肺診査ハン ドブックの117頁を見たら23号までしかないものが置いてありますが、24号の記載で何か問題がなけ ればいいと思うのですが。 ○中原座長 ということで、いまの24号の記載で、じん肺法上の粉じん作業の職歴に対しては、ある いは問題があるのでしょうかということなのですが、事務局。 ○事務局) いま手元にないのですが、事務局としては特にあそこのところは特段問題はないという ように理解はしていますが、確認した後、説明させていただきます。 ○中原座長 ご欠席の名取委員からのコメントに、1.粉じん作業についての職歴の調査と書いてあり ます。読み上げてもらいましょうか。 ○事務局 名取委員のコメントを読ませていただきます。1.粉じん作業の職歴の調査についてのコメ ントです。「1人親方、事業主の作業歴、その中での雇用と雇用の従事状況の聴取は、通常の医療機関 の外来では困難であり、環境省関連でもできない場合が想定されるため、資料4の論点等の意見に、以 下の点をご追加いただきたいと考えます。『粉じん作業については、従来どおり事業者や同僚等の情 報から従事状況の確認を行うことを基本とする。建設の一人親方、事業主期間がある場合は、所轄監 督署と環境省が連携して粉じん作業の従事状況の調査を隙間なく行うことを基本とする。石綿小体計 測結果等の取扱については、当面の間、情報収集に努めることとする』」。このようなコメントをい ただいています。 ○中原座長 前段の3行は、労働者でないときにばく露した状況についても、ちゃんと調べなさいよと。 それは労働基準監督署というか、労働側で調べるのではなくて、環境省側で調べるのが本来の趣旨で ある。そういう趣旨ですね。 ○事務局 粉じん作業に従事、雇用形態の変化とか職場を転々とする中で、きちんとデータを蓄積し ていくというか、確認できるようなというのは我々の課題ではあるのは間違いない。それについて、 どうするかというのは、また別途検討しなければいけないと思いますが、ここにご提案のものについ ては環境省の考え方を確認した上で、またお答えしなければいけないと思います。これは今日の時点 の宿題として、一旦預からせていただくということでいかがでしょうか。場合によっては、事業主か らの確認が困難であるような事例も時々経験するわけですが、かといって石綿小体計測について、か なり侵襲性を伴うものでありますから、いきなりそれを行うというのは現時点では難しいのではない かなと事務局では考えているのですけれども。  そういうことになる場合については情報収集に努めて、有用性とか必要性については、またこの結 果を踏まえて検討していきたいと思います。 ○中原座長 おそらくこれは、後のその他の検査で、選択的肺胞気管支造影がありますが、この時代 はもちろんCTがないわけです。それから、気管支鏡で気管支肺胞洗浄や肺生検というのは70年代後半 ですので、全くないわけなのです。ですから、こういったものはいまの石綿小体計測と同じようにそ ういうものがたまたまあれば、病理組織学的に診断されてしまうような場合は、それは入れるという ことであって。むしろその他の検査のときに、どう扱うかということが大事なのではないか。病歴と いうか職歴聴取は、それはそれで扱っていくのかと。 ○古谷参考人 1つこれで気が付いたのは、労災補償のほうでは24号の粉じん作業に限定しないで、 それ以外で石綿にばく露した場合も補償が行われているというように思いますので、もしこちらのじ ん肺も健康管理との絡みで言うならば、労災補償のほうで24号以外の作業で補償されているというの がどんな感じで出てきていて、例えばじん肺法の健康管理体制の下に広げたほうがいいというような 石綿ばく露作業があるかどうかという部分をもしここで今後、長期的なり事務的なり、検討する機会 があれば、検討させていただくのも1つなのかなとの意見が出ておりました。  名取氏の意見も、もしかしたら健康管理の話と若干、労災補償の取扱の話も含まれているかなと思 って読んだのですが、監督署もいま石綿で労災補償が出てきた場合は、事業主の期間とか事業主以外 の期間も含めて、調べた上で合法的に判断していると思います。 ○中原座長 この問題についてはよろしいでしょうか。 ○事務局 先ほどの石綿作業に関する24号の規定ですが、いまコピーを準備しておりますので、で き次第、委員の皆様方のお手元にお配りしたいと思います。 ○中原座長 ほかにご意見がなければ、次の2.エックス線写真の検査及びエックス線写真の読影とい う所について、ご意見はありますか。写真について細かいことが書かれていますが、いかがでしょう か。 ○吉田委員 例えば重喫煙者の問題は除いて、吸気不良の者に対しては現行のじん肺法の中ではレン トゲン写真を撮り直すということができない。 ○事務局 都道府県労働局の審査において、必要であれば、検査命令をかけて撮影していただくこと ができます。 ○工藤委員 CTは健診に持っていくのはちょっと難しい、コストもあるし。CTだと、放射線は、かな り被ばく量が少ないですけれども、単純エックス線写真よりやはり多い。ただ、じん肺健診で、じん 肺が引っかからなかった人で、どこかへ行ってCTで見つかった場合、それをどうするか。CTのほうが、 おそらく解析度は数倍ないしは10倍ぐらい高い。 一般的には、一律にCT検査を健診でやるものではない。 ○阿部委員 実際の審査では、運用面では単純写真を提出していただき、地方じん肺診査医会でもど こでも、CT写真が出てくればそれをエビデンスとして使うということになるかと思います。 ○事務局 それは運用上では、いま求めてはいないのですけれども、出てくれば審査の参考としてい ます。 ○事務局 単純エックス線写真について、重喫煙者の話とか吸気不良、これは細かいことですが、現 行のハンドブックには明確な記述がありませんので、運用上やっているとはいえ、この際はっきり数 字か何かの形で出してはどうかというのが1つ論点です。  それから、CTに関しては、環境省のほうでも現に必須にはしていないわけですので、じん肺健康診 断においてもただいまのようなご意見もありますし、その点からさらに必要な情報収集をするという ことでいかがかということです。ただ、単純エックス線写真ではなくてCTで見つかった場合の取扱、 これは当然このハンドブックではないのです。ここの取扱のルールが明確化していませんので、この 際、明確にできるものがあればご意見いただきたいと思います。 ○安部委員 実際上は地方じん肺診査の段階で、胸部単純エックス線写真フィルムから判定して、そ れをじん肺健康診断という範疇を外れるかもしれないけれども、CTを撮ったり、いろいろなことで補 強をして、その上でじん肺を診断していくのかと考えたのです。そうすると、重喫煙者とか吸気不良 の者に対する撮影の条件について、もう少し条件をきちんと明示する必要がある時代になっていると。 そういう具合に理解しています。 ○事務局 これは論点として可能性があるということで2つ言っただけで、運用上でうまくいっていれ ばいいのですが、特段何かハンドブックの改訂というような形でまとめて出す必要はないのではない かということについて、ご意見いただければと思います。 ○中原座長 だから、いまの工藤先生のお話を聞いている限りは、どうもあまりきちんと通知を出す とか、そういうところのお話をされたわけではない。重喫煙とか吸気不良とか。 ○工藤委員 喫煙については職業性のものと、やはりこれはじん肺でも石綿肺でもそうですが、決め ないようにしているのです。喫煙というのは、多くの場合、喫煙率は非常に高い方が多い。もう1つは、 喫煙自身が相当影響するので、鑑別診断等をやる場合にも、それは必見です。それから、喫煙でじん 肺のいろいろなものが促進される、そういうこともあるので、バックグラウンドとしては、職歴と合 わせて喫煙も非常に大きな要素だろうと思います。 ○事務局 この喫煙歴の問題はあとで6頁、胸部臨床検査のところで、喫煙歴の把握について記載して います。 ○吉田委員 すみません。重喫煙者のことに関して今の話を聞いて思うのは、下肺野に変化があった 場合に、石綿肺と、いわゆる喫煙による小さな局所に影があるような場合、そういうものを鑑別しな ければいけないということであれば、これはHRCTは効めがあるのではないか。そういう意味合いでし たら、重喫煙者にある不整形陰影を鑑別するためにはHRCTは必要であるという気がします。 ○中原座長 それはじん肺健康診断として必要ということでしょうか。 ○吉田委員 そういうことではないと思うのです。ただ、この文脈を見ていますと、石綿肺類似の軽 い不整形陰影が重喫煙者で見られることはよくありますので、その辺の鑑別ということを、ここでは 言っているのだと思うのです。 ○中原座長 入っています。1つの問題点であるという認識では検討会においては一致している。それ はそれでいいと思うのですが、ほかにございますか。 ○吉田委員 石綿健康被害救済制度の中には、とにかく怪しげな、と言っては失礼なのですが、仮に 不整形陰影があった場合には、HRCT撮影をして鑑別をしていくということが最近行われているのです ね。 ○事務局 先ほどと同じ参考資料2の4頁の(2)の少し下なのですが、「この際、胸部の所見を的確に把 握するためには、胸部CT写真、特にHRCT写真が有用である」という記述にとどまっております。それ を用いて鑑別すべきということにはなっていないのです。今回は環境省のこういった決定を踏まえて、 どう考えるかということですので、これをさらに超えるようなことまで、現時点で事務局では想定し ておりません。 ○事務局 私から補足です。じん肺法と、この石綿健康被害救済法には制度の違いが若干ございます。 じん肺法では健康診断に必要な検査を法律なり規則で定めておりますが、石綿の健康被害の救済制度 では、法令レベルでこういう検査が必要だということは特に定めていなくて、通知の中で、こういう 検査が重要だとか、そういったことが定めてあります。申請した中にそういった検査があれば、そう いう検査も認定時に考慮する、そういった制度の違いがございます。 ○中原座長 公衆衛生の立場で考えますと、じん肺法とか労働災害における認定、それと一般の公衆 衛生関係、あるいは厚生労働省が労働でないときに採る考え方というのはだいぶ違うのです。労働災 害の場合は、労働者に対して一生補償するようなところまで結びついてしまうので、あるときは相当 厳しく、厳格にやるところもある。だけれども石綿申請の場合、そこまでの厳しさは普通ないのです。 環境省のほうは、こういう検査は有用であるとか、こういうものを参考にしなさいと書いてあったと しても、絶対にそれを参考にしなければいけないというわけではないのです。最終的には医者の判断 です。  ところがこちら労働災害のほうは、参考にしなさいと書いてあったものは本当に参考にしなければ いけない。そこら辺のところの考え方にだいぶ違いがあるのです。だから、環境省のほうに書かれて いるからと言って、こちらのほうで全部取り入れるわけではないと私は思います。また、そこまでの ことを要求するには、先ほど工藤先生がおっしゃったように、じん肺健康診断がものすごく大変なこ とになってしまうのです。CTを撮れ、それもHRCTを撮れとかという話になると、運用がものすごく難 しいのです。だからそこまでのことが環境省のほうの報告書に書かれていたとしても、こちらでそれ を準用するというわけではないのです。じん肺健康診断という範疇で考えれば、そこまで全部に要求 するのは難しいというような考え方です。座長が勝手なことを言って申し訳ございません。だからこ の点については、ここに書いてあるように、「必要な情報収集を行った上で、検討の必要性について 判断してはどうか」、簡単に言うと、今のこの時点でこれをしなさいということではっきり決めてし まうというのは難しいのではないかと思います。  ただ、私がちょっと気になるのは、じん肺にかかるCT写真の国際的なガイドラインが発刊されてと 書いてあるのですが、これはどういうものなのですか。 ○事務局 それは教科書のような扱いとして、発行されている文献になります。 ○中原座長 ILOか何かの決定なのですか。 ○事務局 そうではないのです。専門家の先生方の監修です。 ○中原座長 古いことなので私の記憶が間違っていたら訂正してほしいのですが、今のじん肺健康診 断の病状写真は、たしかILOが大筋を定めて、それを日本流に導入したという記憶があるのです。だか ら、最適な基準に落とす形でやっている。それが現在もずっと続いていて、それの診断基準は、CTを 導入したわけではなくて、いまだにと言うとおかしいのですが、慣用的な形でやっている。だから、 そこの根本的なところを変えるという話を議論するのはあまりにも時期尚早、現実には難しいのでは ないかと思うのです。私はそこが非常に気になったのです。 ○工藤委員 CTは肺がん健診等でも導入されたということがありますが、あくまでも、それは受診者 の希望を土台にしているもので、基本的にやった人しか入らない。あとは被ばく量の問題があるわけ です。あとは、かなり進んだいろいろな診断の追加方法というのがある。だから、これは有用である と書いてもおかしくはないかもしれないけれど、何もそれをやることはないわけです。少なくとも、 じん肺の健診の中でやるようなことではないと思います。 ○中原座長 ほかに意見はございませんか。それでは次に「胸部臨床検査」の項についてご意見を伺 いしたいと思いますが、いかがですか。 ○吉田委員 これも古い話で申し訳ないのですが、胸部臨床検査の中に、喫煙歴の把握が。問診票と しては重症期の問診票があって、その最後に喫煙歴という項目が入っています。じん肺健康診断の問 診票として、43〜45頁にかけて、Hugh-Jonesの分類だとかの最後に喫煙について聞くことがじん肺診 査ハンドブックには入っているのですが、それを書くか、書かないかです。胸部臨床検査の自覚所見 と他覚所見の下の部分に喫煙の問題を入れるか、入れないかという話です。 ○事務局 いま、国の様式としては、喫煙歴は設けられていないのですが、じん肺診査ハンドブック の問診のほうで把握することとなってますので、じん肺健診の様式において喫煙歴を把握することに ついて、検討させていただければと思います。 ○中原座長 真ん中よりちょっと下の辺りに、せき、たん、心悸亢進というのがあるけれども、ここ ら辺に、喫煙歴が有か、無かと記入するということでしょうか。 ○事務局 じん肺診査ハンドブックの45頁の下の部分に、タバコを吸ったことがあったかどうかとい うことと、喫煙の状況を聞く問診票が最初から入っておりまして、それを、健診の様式に入れたらど うかという話です。 ○事務局 どういうふうに書かせるかは我々の検討です。運用上では問診において喫煙歴を聞いてい るわけですが、この様式においては記載する欄がないので審査の際の参考としては役立っていない。 ○中原座長 そうですね、役立っていないですね。だから役立たせるために、健診の様式の中に喫煙 歴を入れる。いかがですか。 ○工藤委員 胸部臨床検査というのは誤解を与えかねないのではないか。 ○事務局 ハンドブックの4番のタイトルがこれでいいのかどうかということはあるのですが、文言を 直そうとすると、ハンドブック全体の改訂にいきますので、それはそれで、また検討したいと思うの ですけれど。 ○工藤委員 要するに、ただ単に問診の内容で、タバコを吸っている吸っていないということを書く ということなのですか。僕自身が誤解していまして、いまの説明で分かりました。 ○事務局 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、今回環境省からの答申案で、ハンドブック にないものを拾ったものを検討し、論点に入っているものです。たまたま3の胸部臨床検査の項ではこ れが該当していたということです。 ○安部委員 喫煙歴をこの中に入れたほうがいいと思いますが、4番の胸部臨床検査に、この喫煙歴を 書くというのは。 ○事務局 それはまた、時間をかけて全体を見直すときに是非考慮したいと思います。 ○事務局 いまのことを補足させていただくと、「胸部臨床検査」のところにハンドブックでは書い てあるのですけれども、法令上はじん肺法の施行規則の中に「胸部に関する臨床検査」という項目が ございます。その中身は、既往歴の調査と、胸部の自他覚所見の有無の検査をする。「検査」という より「聴取」に近いと思いますが、そういう項目があります。そういうことでハンドブックに書かれ ていて、その流れの中で、問診としてこんな項目も聞いたらどうかということで問診票が添えられて いて、そこに喫煙歴が書かれていた。そういった流れでここには書かれています、バックグラウンド を見るということです。 ○中原座長 昔習った内科診断学で、既往歴の検査というのは検査ではあるのです。現在考える検査 という中には、既往歴などというものはきっと入らないのだろうけれど。 ○事務局 そうですね、あくまでも今のじん肺法上の検査という意味で。診療報酬とかでの医学的な 検査とはまた違う意味合いがあるのです。 ○中原座長 でも、施行規則などで法令上きちんと位置づけられているのだったら、そう簡単にいじ れる話ではない。まあ、そこをいじっても仕様がない話です。内容を理解すればわかると思いますが。 ○事務局 そこのところをいじるのには、また改正が必要なのです。ただ、自他覚症状の所見なので。 喫煙歴はそれに関連してハンドブックに書かれている。喫煙歴の位置づけはハンドブックの中での書 く位置は考慮したいと思います。 ○中原座長 喫煙歴の把握についてはじん肺健康診断の健診結果において把握することとする。これ についてはあまりご異論はないと思います。ほかになければ次の「肺機能検査」にいきたいと思いま す。これについて、何かご意見はありませんか。 ○工藤委員 ここでいちばん大きな問題は、%VCと%FVCの取扱いです。世界的には大体今はFVC。ア メリカの石綿肺のアドバイザリーの文献でも、VCでなくFVCを使っているようです。ただ、日本呼吸 器学会はVCなのです、肺活量は。肺線維症、特発性間質性肺炎の診断基準でもVCなのです。ただアメ リカやヨーロッパは、もうFVCです。あまりエアトラック等がないから、VCでもFVCでも構わないの ですが。  向こうの人たちに、何でVCを使わないのだろうかと聞いたら、1秒率を測るのに、1回検査をすれば それでおしまいなのだ。VCというと、別な測定をしなければならないのだ。だからFVCなのだと。し かし、これは阿部先生のほうが詳しいかもしれないけれど、おそらく、国際的には不整合が将来的に は起こってくる。今すでに来ていて、どうするかというのは、これから重要になるのです。でも、い ろいろな所でもうVCで行っている中でどうするか。1秒量もFVCの中に含まれているし、1秒率もFVC が必要です。 ○安部委員 環境省のほうでは、FVCのことは何か議論がなされているのですか。 ○事務局環境省の小委員会の場では特になかったかと思いますが。 ○中原座長 全然違う立場、公衆衛生の立場に立つと、それならば呼吸器学の方で検討していただい て、その後考えましょうと考えてしまうのですが、いまのお話は非常に専門的なレベルの話です。 ○工藤委員 そうなのですが、検査をやるときには2回、違うことをやらなければいけないわけです。 VCの測り方とFVCの測り方は違うわけですから、2回異なる検査をしなければいけない。 ○中原座長 非常にありがたいご意見ではあるけれども、現実的にはスタッフ、現場サイドでの対応 があって、現場では対応はできない。いまお話はご意見としていただきます。そのほかにはございま せんか。  事務局の作ったメモを素直に読むと、基準の見直しをやったらどうかと、こういう具合に聞こえる ので、それでよろしいですか。最後に「基準等の見直し」と書いてある。何しろ昭和53年当時の基準 ですが、今は呼吸器学会や何かの新しい基準が決められているから、そっちへシフトしていくという か、乗り換える、これはそういうことを言っているわけですね。それは必要でしょう。 ○事務局 ご指摘のとおりで、環境省での石綿の健康被害救済の制度でも、向こうでは呼吸機能と言 っているのですが、呼吸機能の新しい知見に基づいた判定の方法が示されているので、それに合理的 に合わせられる、合わせるべき点については合わせていくというのが流れなのではないかと考えてい ます。 ○吉田委員 2001年に呼吸器学会が提案したものを載せるとかと書いてあるのです。じん肺健康診断 とはまた別の基準がいまだに規定されているのですが、それがなぜ示されているのか。じん肺健康診 断等に関しては、だいぶ前にどこかで通知が出たとか、そういうことなのですか。 ○事務局 ハンドブックの50、51頁に、肺活量につきましてはBaldwinの予測式がございまして、こ の判定法を使わせていただいておりました。それは50頁の下のほうに書いてあります。51頁に1秒率 ということで、Gaenslerの式が書いております。Baldwinの予測式は、性別、年齢別、身長別になって おり、73、74頁に1秒率及びV(・)25の表を掲載しております。 ○吉田委員 Baldwinの予測式というのは寝て計測されたデータを使っています。今は基本的に座位で 計測しており、Baldwinの予測式は相当古典的なものみたいです。 ○安部委員 Baldwinのものをまとめたのでいま思い出したのですが、1948年に発表された、欧米人で 求められた数値です。欧米人と日本人というのは、身長、それから足の長さ、胴の長さが全然違うの で、まず体形が違うところで求められた数字であるということです。それから高齢者が非常に少ない です。Baldwinのやったものは米国人男性60名、女性40名でやって、高齢者はほとんど入っていない のです。 ○中原座長 わかりました。これは特に問題なく、変えるべきだという結論になりそうな感じがしま す。 ○事務局 我々の資料の10頁に書いてあるフローチャートの1次検査、スパイロメトリーフロー・ボ リューム曲線において、%VCと1秒率が著しい低下が見られない場合、NOで右に進むことになります が、V(・)25を身長で割った値が検査値として用いられることになっているのですが、環境省において は、V(・)25を身長で割ったものは、ばらつきが大きい、再現性に乏しいという理由で採用されており ません。  参考資料9に、全国労働衛生団体連絡会が委託で調査した報告書で、呼吸機能検査全般について編集 してあるものがあるわけですが、とりあえずこの時点でばらつきが大きいということで、運用上では フローチャートは生き残っておりますが、ここはあまり考慮されていないということがあります。で すから、これも環境省の今回の決定を踏まえて時代に合わせていくべきではないかというのが1つの論 点です。これは資料6の議論で詳細に説明したいと思います。 ○中原座長 V(・)25の取扱いについては環境省も採用していない。こちらのほうも、時代の流れで、 これはもう必要ないのではないかということにしようと。 ○事務局 それが2つ目です。1つ目は先ほど言いました、新しく出てきているもの、それから検査項 目自体についても採用を検討するべきであると。 ○中原座長 それはそのとおりだと思います。4で検討するのはそれだけですか。 ○事務局 もう1つよろしいですか。環境省で出されたものの中で、パーセント肺活量については同じ なのですが、閉塞性障害を評価する指標として、1秒率と%1秒量をプラスする。これについて我々じ ん肺法のほうでは、現在、1秒率を使って評価しておりますが、この点についてご意見をいただきたい のです。 ○中原座長 要するに、%1秒量を加味するという案でどうかということですね。 ○事務局 現行の1秒率につきましては、実測の1秒率を、性別、年令ごとの予測値と比較して評価を しているのですが、今回環境省のほうで示されたものは、1秒率については実測値を70%で切った上 で%1秒率を評価しています ○工藤委員 1秒率は日本でも世界でも共通していますが、COPD、閉塞性障害といいますか、皆さんわ りあい治りにくい。そういうものを把握するために1秒率を使う。重症度に関して%1秒量を使うので すが、使い方が違うのです。%1秒量のほうは閉塞性障害でも下がりますが、拘束性障害があっても下 がるのです。 ○中原座長 これについては特にご異議はありませんか。 ○事務局 また資料6のほうで詳細に検討していただければと思います。 ○中原座長 名取先生から肺機能検査について何か資料が出されています。 ○事務局 名取委員から伺ったポイントをお話させていただきます。肺機能検査につきましては、日 本呼吸器学会等の方針について異論はありませんが、試算の詳細を提出いただきたいとのコメントが ありました。 ○中原座長 これは資料6の話だから、後ほど議論していただきます。 ○中原座長 4.の肺機能検査についてほかにご意見がなければ次は5.合併症に関する検査です。ご意 見はございますか。 ○事務局 5も6も※がないところからお分かりのように、環境省の検討を踏まえた影響は全くござい ません。あとは事務局として、いま積極的にある課題というのを具体的に挙げさせていただいきまし た。合併症の診断フローというのは環境省の検討会で話題にはなりましたが、結論的にはここに反映 すべきものはございません。 ○中原座長 それはこの辺りでやることですか。職業病の臨床の場で必要ということがあれば、やっ ていく必要はある。しかし、この場で議論をするという形の話だとは思えないのです。あまりにも大 それた話ではないかと思います。それから、6.のその他の検査についてご意見はいかがですか。 ○事務局 この際に、項目を全部挙げてみたところです。心電図とか、気管支造影の今日的なじん肺 健康診断における意義はどうなのだろうか。折角の機会ですのでご意見を聞かせてほしいということ です。 ○中原座長 いかがですか。 ○吉田委員 心電図はおそらく、これは肺性心のための検査だったのです。すごく重症のじん肺で、 肺機能は準不全状態になっている。それは健診でやるような話ではなくて、もう医療です。それから、 選択的肺胞気管支造影というのは、今では一切やられていない。 ○中原座長 健診としてはやらなくていいと。 ○吉田委員 無理に入れるとすれば、さっきも言ったような経気管支肺生検あるいは胸腔鏡下肺生検 とかというようなものは今日あるけれども。 ○中原座長 ありがとうございます。その他の検査等も、時代の流れで必要ないような感じではござ います。次は個人情報を扱う関係がありますので、古谷参考人、また傍聴の方にもご退席いただくこ とになりますが、最後に全国労働安全衛生センター連絡会議事務局長であり、石綿対策全国連絡会議 事務局長である古谷参考人にお話をいただきます。 ○古谷参考人 今日はいろいろ勉強させていただきました。ご紹介いただきましたように、全国安全 衛生センターは労災の患者さんや家族を支援するということで、私自身、労働組合と市民団体と一緒 に石綿対策全国連絡会議という全国の組織になって、もう21年になるのですが、そこの事務局長もや っています。今日は再三参考にされている参考資料2ということで、環境省の審議会、石綿健康被害救 済小委員会の中間報告が出た。それがきっかけとなってこの検討会が持たれたということですが、環 境省の小委員会の委員にもなっているので、たぶんその絡みでここへ出席させていただいたのだと思 うのです。  直接関係ないのかもしれませんが、小委員会のこれまでの議論というのは、要は救済法の救済対象 となる指定疾病を取り扱うわけですが、私がここに入りまして申し上げたこと、それは実際に現場の 患者さんや家族が望んでいることなのですが、あえて言いますと、救済となる指定疾病については、 いまの労災補償として認められているような、要するにアスベストばく露によって起こることがはっ きりしているような石綿関連疾患については救済法で救済してほしいということが1つです。ではその 場合にどのような状態になったときそれを救済の対象にするのかということについては、これまた労 働省と同様に、療養が必要になったという段階をもって積極的に悪化を防いだり、治療を含めて救済 を果たしていくというものが議論されてきました。  それと合わせて、ではどうやって判定するかという判定基準の立場に立って国内の議論が出てきて いるわけです。結論的には、特に救済の対象に追加しようということになった石綿肺あるいは慢性胸 膜肥厚、両方についての救済の基準が、著しい肺機能障害を持っているということ。その著しい肺機 能障害の判定方法について、いまの救済法の体系と異なる体系が提案されているということです。私 が特に申し上げたのは、このことにより現場が混乱することを非常に恐れる。現場が混乱することに よっていちばん被害を受けるのは患者であり、家族であるから、そのようなことは避けてほしいとい うこと、そのことを強く申し上げました。  そこで提案しましたのは、仮により良い方法、良い体系があったとしても、いまじん肺法なり労災 補償でやられる体系と環境省だけが変えるというようなことでは堪えられない。仮にやるとしたら、 いまのじん肺法なり労災補償の体系に従うべきである。その上で、より良い形があるのならば、全体 に混乱をもたらさないような形で良い形にしてほしい、ということを申し上げました。そういう仕組 みが必要になるだろうとも考えています。  結果的に、いま環境省のほうは審議会で動き出しました。厚生労働省のほうは、それに対応しなけ ればいけなくてこの検討会をやらなければいけないという、その事態が望ましい事態になっていない。 根本的なことの問題が解決されていない。この検討会も節目になるのかどうかわかりませんけれども、 もし先生方のお考えでご提案できるようなことがあれば、是非、このことを繰り返さないような形を 作って是非していただければと思うところです。  実際に眺めると、私も調べも何もついていないところもありますけれども、変更したり、変えると きに、仮にこれが理論的に正しいと思われることであっても、そのことを実際にどう検証されるのか、 そのことを現場のコンセンサスや理解はどうするのかということを是非併せて考えていただきたい。 患者さんや家族のいちばんの望みは、いまより厳しくなるのではないか、救済はされないのではない かということが最大の関心事でもありますから、そういう面も含めた検証を然るべくやっていただけ たらとお願いをしておきます。  具体的なことでは、特に最初環境省の提案を見たときに、PAO2が60torr以下だなどと言うから、こ れは随分厳しいハードルになってしまうのではないかと思いましたが、これはお配りになっています ように、PAO2と併せて、AaDO2の著しい開大がみられるという形に今の案はなっているようです。  V(・)25を使うか、使わないかというのはそんなに大きな要望があるわけではないのですが、呼吸困 難度が3度以上という指標といいますか、呼吸困難度がそれだけある人たちの重さ、その人たちのこと を取り扱うのだということは、いままでの体系と変わらないように考えていただけたら、ということ は具体的なところでお願いしておきます。  合わせてもう1つだけ言いますと、特にじん肺法の健康管理の体系の中では、F++だけではなくてF+ という判定もあるのですよね。判定基準や何かで言えば、F++だけだっていいわけですが、やはりF+の 扱いなどが若干新体系の中でどうなるかといったようなこともご検討いただければと考えているとこ ろです。  その上で最初のところの整合性に戻りますが、本来、環境省のほうの話が救済の判定基準ですから、 労働省でも採用するのは労災の認定基準なのです。ところが、石綿肺と慢性胸膜肥厚については著し い呼吸機能障害が労災認定の要件になるので、この判定はじん肺法に従って判断するということにな ってくるから、やはりここに戻ってくる。そういう意味で整合性なり、検討も必要なのでしょう。  そのことだけではなくて、考えてみますと、本来の健康管理をみますと、現役のアスベストばく露 の労働者の健康管理はじん肺法の体系と特化則の石綿健診の体系と、それと離職者については健康管 理手帳による健康診断があります。だから、もしも救済という面だけではなくて、ハイリスク者とい うか、ばく露が疑われるようなばく露の可能性の高い人たちに対する健康管理のあり方という面でも、 実は整合性があって、先ほどCTの記録を見て、じん肺健診という枠での議論だと思うのですが、アス ベストにばく露した方々の健康管理、労働者じゃなく全体を通して見たときに、じゃあCTはどういう 扱いになっているかということは、たぶん出てくるだろうと思うのです。最終的にうまく動くような 仕組みと言うのですかね、これは是非厚生労働省の皆さん、厚生労働省の中でも安全衛生部と労災補 償が関わってきますし、厚生労働省と環境省が関わってくる話でもありますので、環境省の問題は次 のところで制度全体の検討をすることになると思いますが、よくよくのご配慮をご検討いただけたら ということで、今日はどうもありがとうございました。 ○中原座長 どうもありがとうございました。それでは次の議題に移りますので、よろしいですか。 ○事務局 その前に吉田委員からご指摘いただいた24号が記載された資料をお配りしているのでご確 認ください。 ○古谷参考人 取りあえず、先ほど言いましたように、もし可能であれば、24号以外のところからど れぐらいの認定者が出ているかも一度ご検討いただいて、じん肺健診の細則なり石綿ばく露作業を広 げる必要があるのかないのか、ご検討いただければありがたいと思います。 ○中原座長 ということで、申し訳ありませんが、傍聴の方と参考人はご退室をお願いいたします。 (傍聴人・参考人退室) ○中原座長 それでは次回で最終回ですので、短い間ですが、ここでご意見をいただいたものを踏ま えてとりまとめていきたいと思います。それでは今日はこれで終わりにしたいと思います。 ○事務局 どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課じん肺班 電話03-5253-1111(内線5495)