10/03/31 第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録         第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会                 日時 平成22年3月31日(水)                    13:00〜                 場所 中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)14階                    職業安定局第一会議室 ○清家部会長 ただいまから「雇用保険部会」を開催します。本日の出欠状況ですが、林 委員、豊島委員、古川委員がご欠席です。  議事に移ります。本日の議題は「求職者支援制度」及び「その他」でございます。本日 はまず1つ目の議題、「求職者支援制度」についてご議論いただきたいと思います。前回、 当部会において要望がありました基金事業の実績に関するデータについては、現在事務局 において訓練実施機関を通じてアンケート調査が実施されていますので、これが取りまと められましてからお出しいただくことにしたいと思います。前回、今回結果を出していた だくというようなことで申し上げましたが、皆様にはいましばらくこれについてはお待ち いただいて、後日、しっかりとした調査が出てまいりました時点で事務局からご説明いた だくということにいたします。  そこで、本日は前回の論点に示していただいた「給付の位置づけ」についての資料を用 意していただいておりますので、説明をお願いいたします。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 事務局より資料の説明をいたします。「議事次第」の後ろにあ ります「求職者支援制度関係資料」、こちらの資料をご覧ください。  こちらの資料の説明の初めに、後ろから2枚目をお開きください。ちょっと日がたって おりますが、前回、第56回の雇用保険部会、「求職者支援制度の創設に係る論点」の素案 としてお示ししたものであります。IからIVまでありますが、本日、Iの「位置づけ」に 関係する資料を中心に提出しています。  位置づけとしましては、給付の位置づけをどのように考えるかということであります。 論点としては雇用保険制度、第1のセーフティネットと言われる雇用保険制度における給 付というものは、個人に着目した給付となっている。一方で生活保護制度、これについて は世帯に着目した給付となっているということです。個人単位か、世帯単位かというのが 1つ、位置づけにおいて論点になるのではないかという記載をさせていただいています。 今回、用意した資料も前回からの補充資料とともに、雇用保険制度、生活保護制度もご紹 介しながら、世帯単位か個人単位か、新たに創設する制度はどういうものにしていくべき かということに資するための資料とさせていただいていますので、そのような目で見てい ただければと思っています。ここが本日の主たる議論の場であります。  そのほか、前回、お示しした論点につきましてはご紹介だけしておきますが、IIの「訓 練」の中で、給付の対象となる訓練のあり方についてどのように考えるかとあります。こ れは現行の緊急人材育成支援事業が行われていますので、この中では公共職業訓練や基金 訓練を給付の対象としているということを前提にどう考えるか。また、[2]としては必要と なる訓練の量・種類の確保、訓練量について地域差が少なくなるような実施体制について どのように考えるか、というようにしています。この訓練については別途、労働政策審議 会の下に職業能力開発分科会というものがありますので、そちらのほうで検討することに なっています。雇用保険部会としても、そこでの議論を踏まえてこういったものをどのよ うに考えるかというようにさせていただいています。  IIIの「給付について」です。対象者についてどのように考えるか、ということでありま す。現行の緊急人材育成支援事業は、雇用保険の適用がなかった者、雇用保険の受給が終 了した者、自営廃業者等を制度の主たる対象者としています。この対象者をどのように考 えるかということで、本日は雇用保険制度、生活保護制度のほかに、諸外国の例などもご 紹介をしたいと思っています。  [2]の給付要件についてどのように考えるかです。現行の緊急人材育成支援事業における 給付要件は、公共職業安定所長、ハローワークの所長に指示をされた訓練に8割以上出席 していることに加え、世帯の主たる生計者であること、個人の年収が200万円以下であり、 かつ世帯全体の年収が300万円以下であること、また資産要件として世帯全体で保有する 金融資産が800万円以下であること、現在住んでいる土地・建物以外に、土地・建物を所 有していない者であることとしています。こういった形で、現行の緊急人材育成支援事業 におきましては、ある程度世帯の資産要件も見たりしているという現状です。ただ、今後 給付する制度はどのようにしていくかということでございます。  それから、給付額についてどのように考えるか。現在の緊急人材育成事業における給付 額は、単身者であれば1か月に10万円、被扶養者を有する者であれば1か月に12万円と いう形で一律に給付することになっています。  次頁をお開きください。給付の期間です。給付の期間については、当初、緊急人材育成 支援事業というのは経済対策の中で、3年間の暫定措置として実施されておりました。訓 練を受講している期間のうち、2年分について給付を支給することとしています。恒久化 するに当たっては、給付の期間というものもどのようにするかというのが論点になると考 えて、前回お示しさせていただいたところです。  「その他」として、適正な給付のための措置についてどう考えるか。現行の緊急人材育 成支援事業については3年間の暫定措置ですので、繰り返し受給することをあまり考えな くてもいいという事情がありましたが、恒久化するに当たりましては、多年に当たり繰り 返し受給するようなものを防止する措置が現在設けられていない、ということを踏まえて どう考えるかを論点としています。最後ですが、新たに安定的な財源を確保することが必 要となるがどのように考えるか、ということです。当然、恒久化していくということです ので、こういったものも論点かと思って前回提示をさせていただいたところです。これら が前回の論点ですが、本日はいちばん冒頭の、「給付の位置づけをどのように考えるか」に 資する資料をご用意しています。  全体の構成はPART1、2、3、4としています。まず、PART1、現行の緊急人材育成支援事 業の関係を説明させていただきます。PART2としては雇用保険制度をご紹介させていただ きます。繰り返しになるところがあるかもしれません。PART3として、生活保護制度とい うことで資料を用意しています。最後に、PART4として諸外国の制度ということで、諸外 国においても第2のセーフティネットとして失業扶助制度というものがありますので、そ の諸外国の事例をPART4としています。  それでは、PART1の1枚目をお開きください。「『未就職卒業者向け』職業訓練の実施及 び訓練・生活支援給付の拡充」です。これまでも緊急人材育成支援事業の中身については ご説明させていただきましたが、その中で行われている未就職卒業者向けのもの、また次 頁でご説明しますが合宿型のものも今回追加的にご説明をさせていただくものです。まず、 未就職卒業者向けの職業訓練の実施です。仕組みとしては、これまでの緊急人材育成支援 事業と大枠は一緒です。ただ、民間教育訓練機関がコースを設定して、未就職卒業者をそ こに受け入れていただくというものでございます。左ですが、コースを設定するに当たっ ては訓練のコーディネート機関、実際は独立行政法人の雇用・能力開発機構都道府県セン ターが行っていますが、この都道府県センターが高校・大学、労働局、都道府県、地域の 産業界と連携してニーズの把握をしていく。できるだけ、ニーズに沿ったコースを設定し ていただこうということで、民間事業者にコースを設定していただきます。これはいまま でのコースとは別途に新設し、未就職卒業者向けのコースとしています。  中身としては、○の3つとしております。1つは社会人としての心がまえ、就職に必要 な基礎力の養成と主要な業界、業種に係る短期間の体験機会等を提供するというものです。 ○の2つ目ですが、実践的な演習に向けたレディネスの付与と具体的な職種選択へ向けた 動機付けを支援です。訓練の期間は標準6か月を想定しています。  カリキュラムのイメージが3つ目です。枠の中にありますが、一般課目、基礎演習、業 界実習、キャリア・コンサルティングというようにしています。まず、基礎学力というの は数学等を行う。基礎演習というのは自己理解、就職マインド、表現・思考スキル、コミ ュニケーション力の向上。それから接遇、面接指導等社会人力、就職力の向上も行います。 そのほか、基礎ということですが、実際に活用できるものということで帳票作成、表計算 等のITスキル。総務・経理、一般事務の事務処理能力の向上。ものづくり基礎力の向上と いったものがあります。その下、業界実習ということで、医療、福祉、IT、販売、製造等 の業界がありますが、こういったもののガイダンス、職場見学、職場体験、職業人講話等 を行います。  最後にキャリア・コンサルティングですが、訓練期間中に3回以上実施ということであ ります。未就職卒業者ですので、通常の場合よりは多く、3回以上ということで手厚くキ ャリア・コンサルティングをしようというものです。右のほうに行きますが、そういった ことを通じ、訓練していただいたあと、希望職種に応じ、そのまま就職していただく場合 もありますし、場合によっては実践演習コース、または公共職業訓練へ誘導することもあ るということで、就職に結びつけていこうというものでございます。  これは訓練のほうですが、下の段、矢印が下から出ていますが、訓練を受ける方につい て訓練・生活支援給付を行うということです。これは既存の訓練・生活給付の拡充という 形で行っています。世帯年収300万円以下の未就職卒業者に訓練期間中の生活保障として、 月10万円を給付するというものであります。通常の場合、主たる生計者要件が係っており ますが、未就職卒業者の場合、「主たる」という点は通常ありませんので、主たる生計者要 件を外して、あとの要件が合致しましたら月10万円を給付する形になっています。  次頁をお開きください。「緊急人材育成・就職支援基金による合宿型若者自立プログラム の概要」です。これは合宿型ということで、平成22年度から実施をする予定になっていま す。対象者ですが、基本的な生活習慣、働く自信等、自立に向け困難な課題を抱え、合宿 型のプログラムにより就職の実現が見込まれるニートの方ということで、大体40歳未満を 想定しています。こういった方を優先的に対象者にしていこうというものです。入塾(受 講)の手続ですが、各実施機関によって適格性判断をするということに加え、ハローワー ク等において就職可能性等を判断して受講を勧奨する。その後も就職支援に一貫して関与 していく、ということがございます。プログラムは生活訓練、労働体験、基礎技能習得に 加え、社会的事業等分野でのOJT、これを訓練時間の4分の1以上行うということがプロ グラムにあり、概ね3か月から6か月のプログラムというようにいたします。  「実施の体制」です。訓練では宿泊施設が一定の規格を満たすということ、それから指 導者の配置ということに加え、キャリア・コンサルティング等の就職支援が受けられる体 制があることという要件を設けています。実施機関に対する支援、これは受講者ではなく て実施機関、コースを設定するほうの実施機関に対する支援です。受講実績に応じた訓練 奨励金を1人、月当たり10万円支給する。それから実施計画・実績に応じた新規の訓練設 定奨励金といったものがございます。ただし、若者自立塾事業実施団体については、相当 のプログラムの拡充、これに応じた施設整備を図った場合に限るという形にしています。 受講された方に対する支援です。まず、訓練経費は無料となっています。宿泊を伴います のでホテルコストは自己負担となっています。一定の要件を満たす場合に訓練・生活支援 給付、月10万円が支給されることになっています。実施団体・箇所数ですが、上記による 認定基準の下で訓練計画の認定を受けた団体が実施をするということですので、若者自立 塾の運営団体等、30箇所程度の実施を見込むということです。実際、どれぐらいになるか というのは、平成22年度になってからと思っています。入塾の受講規模というのは、600 名以上の受講規模を目指すことにしています。  いままでのところが追加的に説明した部分です。次の頁は、「基金訓練に係るハローワー ク等の業務の流れ・ポイント」ということであります。訓練を受けさせる、受講していた だくだけではなくて、どのように就職させていくかというものを流れにしているものでご ざいます。大きな業務の流れ、上段をご覧ください。流れ・ポイントとなっていますが、 まずニーズを把握するということがあります。その上で周知をする。その訓練のコースに ついて受講あっせんをする。そのあと就職支援という大まかな流れになっています。  具体的にまずニーズの把握ですが、訓練終了後の就職に資するコース設定のために、ハ ローワークと雇用能力開発機構、これが訓練のニーズの把握とコースの開拓を徹底すると いうことでございます。下段をご覧ください。ニーズの把握の具体的な業務内容を記載し ています。ハローワークにおいて、求職者から要望が多い訓練コース、それから求職者の 就職に資すると考えられる訓練コース等の訓練ニーズを労働局に報告いたします。労働局 はハローワークから来る報告を集約し、雇用能力開発機構の都道府県センターに情報提供 していく。雇用能力開発機構の都道府県センターにおいては、労働局から提供を受けた訓 練ニーズ、直接訓練の実施機関から把握している受講者の訓練ニーズ、そのほかに地域の 経済団体や労働団体も入っている地域の訓練協議会、こういったものにおいて把握した地 域ニーズなどに基づき、訓練コースの開拓を実施いたします。  ニーズを把握したあとのコースの周知ですが、また上段に戻っていただきますと、ハロ ーワークにおいて、全ての求職者に対しカード型のリーフレットを交付する等により周知 を行っています。ハローワークの求職者以外への周知も実施しています。具体的には下段、 全ての新規の求職者に対して、カード型のリーフレットを配付しています。また、そのほ かホームページ、ポスター等、できるだけ求職者の目に触れるような工夫をしています。 そのほか、実施主体である中央職業能力開発協会においても、駅や無料求人誌への広告掲 載なども実施しています。そういったことでハローワークに来る方、来られない方も含め て、できるだけ周知がされるよう努めているところです。  3の受講あっせん、これは安定した就職のために、訓練受講による技能の向上が必要な 求職者に対し訓練を誘導する。それから、不合格者もおりますので、不合格者等へのフォ ローアップ等の取組を実施しています。具体的にはそういった誘導のほか、2つ目、労働 局においては、都道府県センターに未充足コースの募集期間の延長要請をしたり、都道府 県センターは、労働局からの要請を踏まえ、各訓練実施機関に募集期間の延長を要請する など、出来るだけ充足への取組をしています。いかに就職に結びつけるかということで訓 練修了者の早期就職を実現するために、訓練の実施機関と都道府県の機構センターが連携 した積極的な取組を実施しています。具体的な業務ですが、ハローワークにおいては、訓 練の修了前から就職を支援するということで、求人情報や面接会の情報提供、ハローワー クの利用勧奨等を行っています。それから、都道府県センターから提供される「就職状況 報告書」、こういったものを活用して未就職者への就職支援を実施しています。都道府県セ ンターは、訓練実施機関に対し、ハローワークと連携した就職支援を要請するということ を実施しているところです。こういった流れを通じ、就職まで結びつけていこうというも のです。  次頁は「緊急人材育成支援事業の具体的な利用例」ということで、就職に至ったケース にはどういうものがあるかを少しご紹介させていただいています。まず、就職事例を4つ 紹介しています。ケースの1つ目は基金訓練を受講して就職したケースです。男性、20歳 代後半です。訓練の受講前はアルバイトをされていたということです。受けたコースは職 業横断的スキル習得コース(IT基礎)を3か月受講、これは訓練・生活支援給付を受けな がらです。訓練修了後に事務職の正社員に就職したという事例です。ケース2、この方も 基金訓練を受講したというケースです。基金訓練を受講して、訓練・生活支援給付を受け た事例です。40歳代前半の女性、離婚を機に就職を希望した方です。この方については訓 練修了後に販売補助(パート)に就職をした。現在も事務職の正社員を希望して就職活動 中という事例です。  ケース3も基金訓練を受講しているケースです。ケース3は訓練・生活支援給付は受給 せずに、基金訓練を受講しているケースでございます。30代後半の女性、この方は子育て が一段落して就職を希望したということです。保育士補助の実践演習コースを3か月受講 されました。訓練修了後、保育士の補助として託児サービス会社に有期雇用という形で就 職をしています。来年度採用の区立保育園の正規職員に応募中というケースです。ケース 4は訓練・生活支援給付を受けながら公共職業訓練を受講したケースです。40代後半の女 性、以前は事務職をしていたが介護職に興味を持ち、介護分野への就職を希望ということ で、4か月の公共職業訓練を行う。中身としては、介護カウンセリング実践科というもの を受講いたしました。訓練修了後、グループホームを経営する会社に正社員(介護職)と して採用されたというケースです。  その他、就職事例ということではありませんが、訓練の受講例としてはケース5でござ います。これは基金訓練を連続受講したケースです。20代後半の男性、不動産会社を退職、 建築関連への就職を希望しているということであります。まず「職業横断的スキル習得コ ース(IT基礎)を3か月受講後に、建設設計CAD科の6か月の実践演習コースを受講中で す。この方は雇用保険を初め受けておりましたが、雇用保険受給終了後は訓練・生活支援 給付を受けながら訓練を受けているというものです。ケース6、公共職業訓練を受講中と いうケースです。30代前半の男性、建設会社を業績悪化により退職、これは20代の後半 時から長期失業をされている方ということです。介護職への職種転換を希望して、介護福 祉士資格取得、2年の公共職業訓練を受講中というケースです。以上、具体的なケースを ご紹介させていただきました。  続いてPART2、「雇用保険制度関係資料」でございます。5頁です。ご承知かと思います が、おさらいとして雇用保険制度について説明させていただきます。「失業等給付の概要」 ということで、下線が引いてありますが、失業した場合において離職日以前2年間に12月 以上ある場合には給付される。これが原則ですが、倒産・解雇、有期契約が更新されなか った等の離職の場合については、1年間のうちに6月の被保険者期間があれば基本手当が 出るということになっています。これはご承知のとおり、雇用保険については基本的に個 人単位ということになります。世帯の資産などを見るのではなく、個人の失業状態がどう いう事由によって発生したか、その方の被保険者期間がどうであったかといった点を、個 人に着目して給付をしています。個人に着目するのですが、下に表がありますが、まず倒 産・解雇によるか自己都合によるか、就職困難者であるか等によって給付の設定を変えて います。また、被保険者であった期間が基本的には長くなるほど、また年齢については中 高年齢層がいちばん厳しいということで、被保険者であった期間と年齢に応じて給付日数 を変えています。  6頁をお開きください。簡単にご説明しますと、[2]の基本手当の給付率でございます。 基本的に賃金の低い方については給付率を高く、具体的には80%という形に設定をしてい ます。賃金が高い方については給付率50%という形、賃金の低い方には手厚い形で給付率 を設定しています。これが「基本手当日額」の設定の考え方です。  7頁をお開きください。これが今国会に提出しました「雇用保険法等の一部を改正する 法律案の概要」です。これも従前ご説明しているものですが、雇用保険の適用を拡大しよ うということで、現在、非正規労働者の方への適用基準である「6か月以上雇用見込み」 というものを「31日以上雇用見込み」に緩和するというものです。その他、遡及適用期間 の改善、下段では雇用保険二事業の財政基盤の強化等を内容としているものでございます。  PART3、「生活保護制度関係資料」です。8頁、「生活保護制度の概要」をご覧ください。 これは個人のみに着目するのではなくて、世帯を見ていくということでございます。あと で説明しますが、いろいろ資産要件などを見ることになっています。制度の目的としては 最低生活の保障ということで、資産、能力等すべてを活用しても、なお生活に困窮する者 に対して、困窮の程度に応じた保護を実施するということです。自立の助長ということも 目的にしています。最低生活の保障としては、[1]、資産、能力等あらゆるものを活用する ことが保護の前提。また、扶養義務者による扶養などは、保護に優先されるということで す。不動産、自動車、預貯金等の資産、稼働能力の活用、年金、手当等の社会保障給付、 扶養義務者からの扶養等を見る。これは保護の開始時に調査をいたします。また、保護の 適用後も届出を義務付けて、そういった資産、能力があるかということを確認することに なっています。支給される保護費の額というものは、厚生労働大臣が定める基準で計算さ れる最低生活費から収入を差し引いた額を保護費として支給をしています。この表にある ように最低生活費があって、そこから年金等の収入を差し引いた額を保護費として支給す るというものでございます。自立の助長のためには、世帯の実態に応じて年数回の訪問調 査を行うことになっています。また、就労可能性のある方に対しては就労を指導するとい うことで自立を助長することにしています。  次頁をお開きください。「生活保護基準の内容」ということでございます。生活保護基準 というのは、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別に応じて、必要な事情を 考慮した最低限度の生活需要を満たすために十分なものであって、かつ、これを超えない ものでなければならない、と生活保護法に謳われています。具体的にはこの表にあります ように、左のほう、種類としては「日常生活に必要な費用」「アパート等の家賃」「義務教 育を受けるために必要な学用品費」「医療サービスの費用」「介護サービスの費用」「出産費 用」、それから「就労に必要な技能修得等にかかる費用」ということで、高等学校等に就学 するための費用を含むということであります。それから、「葬祭費用」といったものが費用 としてあって、それに対応する給付がなされているところです。  10頁、「生活扶助額の例」ということです。これは地域、世帯構成によって異なります が、例えば標準3人、夫婦と子ども1人ということですが、東京都の都区部であれば月16 万7,170円、地方の郡部であれば13万680円という形になっていますし、当然、世帯構成 によって金額が変わってくることになっています。これが緊急人材育成支援事業は、地域 によって額が変わらないということに対して、生活保護は地域、世帯構成によって変わる という意味では、まさに世帯単位の構成かと思います。(4)、「生活保護の手続」は、事前 の相談を受けて、保護の申請をしていただいて保護費の支給をするという仕組みになって います。保護費の支給をしたあとも年数回の訪問調査、資産要件等の確認、就労の可能性 のある者への就労指導を継続して実施することになっています。(5)、「保護の実施期間と 費用負担」です。まず実施主体は、町村部については都道府県、市部については市が実施 をしています。都道府県・市は福祉事務所を設置し、被保護世帯に対して担当のケースワ ーカーを設定して実施をしています。保護費の費用負担ですが、国が4分の3、地方自治 体が4分の1を負担することになっています。  11頁をご覧ください。11頁は「自立支援プログラムの基本方針」です。自立を支援しよ うということで、平成17年から行われているものです。まず、自立支援プログラムを策定 する。2つ目の自立の概念ですが、経済的自立というものは就労による経済的自立を目指 す。その他、生活保護世帯については、そもそも病気になった方、高齢の方などいますの で、必ずしも就労の自立だけではありません。経済自立のほかに日常生活の自立、社会生 活の自立といったものも自立の概念としてはありますので、生活保護制度としては就労を 実現するプログラムのみならず、長期入院の防止等のためのプログラム、高齢者について 健康的な自立生活を維持するためのプログラムなどもやっています。「実施体制の充実」と いうところでは生活保護法以外、他法他施策や関係機関、この中にハローワークも含まれ るのですが、こういったところの積極的活用。民生委員、社会福祉協議会等への外部委託 の推進や非常勤職員の活用。セーフティネット支援対策等事業費補助金や生業扶助の積極 的活用。こういった他機関との連携も取りながら自立支援のプログラムを進めていこうと いうことになっているわけです。  PART4、「諸外国の制度」をご覧ください。12頁、「諸外国の事例」です。この事例につ いては、雇用保険と生活保護の間の失業扶助制度について、大陸の主な国であるドイツ、 フランス、イギリスというものを事例にさせていただいています。これはJILPT(労働政 策研究・研修機構)において資料収集、調査をし、作成をしていただいたものです。まず、 現行の基金事業との違いですが、いま日本で実施している基金事業とこれらの国との大き な違いは、これらイギリス、ドイツ、フランスにおいては訓練を受けていなくても給付を 受けられる制度になっているということです。現在、日本の場合、訓練を受けた方に給付 をするということになっていますが、この3つの国の例では必ずしもそうはなっていない ということが大きな違いかと思います。  具体的な制度でございます。まず3つ目の段の「受給対象者」です。イギリスは、失業 保険の受給資格を持たない求職者、ドイツは、働くことはできるが仕事がなく生活に困窮 している者、フランスだけこの中ではちょっと特徴があります。原則、失業給付の受給期 間を満了した長期失業者の方を対象としています。「受給要件」、4段目のところです。イ ギリスの場合は職業に就いていない方だけではなく、具体的には週平均16時間以上従事し ていないことということですが、一定の場合には労働者であっても受給できることとなっ ています。それから、イギリスの受給要件のポツの5つ目ですが、資産が1万6,000ポン ド(約233万円)以下であることということで、資産の要件をかけています。ドイツの受 給要件です。これも、働くことはできるが仕事がなく生活に困窮している方ではあるので すが、要件としては2つ目のポツ、1日3時間以上は就労できる方であること、それから3 つ目のポツ、適当な仕事に就き、資産や収入を利用しても自身の生計を十分に確保できな い状態にある者またはそのパートナーであること、ということが特徴になっています。こ れは本人のみならず、他の構成員についても受給要件があるということです。世帯資産に ついては、現金は対象者及び対象者の配偶者について、年齢ごとに金額が設定されます。 年齢1歳ごとに日本円で約2万円ですので、例えば30歳であれば60万円といった資産要 件が設定されているところでございます。  フランスです。フランスについては1つ目のポツ、離職前10年間に5年以上就業してい たことというのが原則になっています。雇用保険、失業給付の受給を満了した方というこ とですが、さらに受給要件としては離職前10年間に5年以上就業していたことが要件にな っています。3つ目のポツ、資産要件もあり、世帯の月収が一定額に満たないことという ことで、単身であれば日本円で言うと約14万円、配偶者がいる方の場合は約22万円とい う世帯の月収要件があります。  「給付水準」でございます。給付水準については、ドイツの場合、年齢によって違いま すが25歳未満の場合、週で約7,411円、25歳以上で9,352円ということですので、25歳 以上でも月に直しても5万円前後となっています。ドイツの場合、単身者の場合は月5万 円となっています。ドイツの場合は本人のみならず、パートナーの方、扶養される方があ る場合には加算がされるということがあります。そういう意味では、「5万円×家族」の分 が支給されるという仕組みになっています。フランスの単身者の場合、月収が8万円未満 の場合は約6万円、あとは月収によって額が異なってきます。この場合も、配偶者がいる 場合については一定の額の加算などがあります。  「給付期間」です。イギリスについては、年金支給開始年齢までとなっていますが、そ れまでは無制限です。ドイツは原則6か月ですが、更新可能で65歳までは実質無期限です。 フランスについては原則6か月ですが、更新可能で60歳までは実質無期限というようにな っています。  いちばん下は「給付実績」です。イギリスが73万人で、支給総額が日本円で3,098億円 となっています。真ん中のドイツが受給者477万人となっており、支給総額約5兆5,438 億円となっています。ドイツの場合は本人のみならず、パートナーや世帯単位で出してい ますので人数が多くなっているものと思われます。フランスが受給者32万人、支給総額約 2,615億円となっています。  諸外国の例を紹介させていただきましたが、やはり社会情勢なども違います。例えば、 失業率などもこれらの国においては基本的に高くなっています。またドイツ、フランスで は、給付をもらえるために就職のインセンティブが上がらないという議論もあると聞いて いるところです。そういった意味で、これらを参考にするに当たっては各国の文化や習慣、 それから一般財源ですべてこの3か国は行われていますので、税率についても異なるとい うことを踏まえ、単純には比較できないということがあります。雇用保険制度と生活保護 の間の、いわゆる失業扶助制度をやっているという例を紹介させていただき、今後の議論 に資すればと思っています。以上で資料の説明を終わります。 ○清家部会長 ありがとうございました。それでは、先ほどご説明いただきましたが、前 回、この「求職者支援制度の創設に係る論点」というかたちでご紹介していただき、ご議 論を始めていただいたわけですが、今回は特にその中のいちばん初めの所に出てまいりま す給付の位置づけという論点について、資料を少し整理して、ご説明いただいたわけです。  ただ今の事務局からのご説明につきまして、何かご意見、ご質問等ございますか。、 ○岩村委員 いちばんわかりやすいというか、話しやすい所から。いちばん最後に、諸外 国の事例をご説明いただいて、主として失業扶助という所でお話いただいたのですが、今 回の求職者の支援ということとの関係で言うと、調べている範囲が狭すぎるのではないか という気が、ちょっとするのです。ドイツは、野川先生や橋本先生にお願いしたいと思う のですが、フランスについて言えば、確かに失業保険があって、失業扶助があってという ことではあるのですが、それ以外に、さらに日本で言うと、生活保護には当たるのですが、 ややちょっと違うもので、かつ、それに社会統合であるとか、就職に結びつけるような、 そういう支援活動といったものと結びつけたような制度というのが1989年以来あり、つい 最近もそれがさらにバージョンアップして別の制度に変わったというようなものもあるの で、今回の議論との関係でいったときには、もうちょっと調べる範囲を広げたほうがいい のかなという気がします。それから、これもどこまでそうなのか、私もよく知らないので すが、例えば、スウェーデンやそういった所でも、同じような試みがされているというこ とも聞いていますので、少し失業扶助という狭い所に限らず、もう少し調べる範囲を広げ ていただいたほうが、今回の議論を考える上で、いろいろな意味での参考になるのではな いかと思います。ドイツは、野川先生なり橋本先生なりにお願いしたいと思うのですが。 ○橋本委員 前回、野川先生からのこの新しい基金訓練の制度は、第2の労働市場のため の施策になるということで、そういう窓口があるというご紹介がありましたが、第2の労 働市場といった場合に、ドイツで紹介がありました第2種失業手当と呼ばれる制度ですが、 これだけではなくて、もっといろいろな施策がありまして、職業訓練の施策なども多々あ ります。私自身もちゃんと自分で勉強していないので、詳細はまだ把握しかねているので すが、そういう制度全体を見る必要があるのかなと思っています。それらを比較した上で、 訓練と結びつけたわが国の基金訓練というものも、位置づけがより明確になるのではない かと思います。 ○野川委員 全くそのとおりですが、一言付け加えると、ドイツはご承知のとおり、特に フランス等とは異なって非常に地方分権の進んだ国でして、こうした労働市場政策も、各 州自治体の独立性がかなり認められております。ですから、例えばマインツモデルという、 マインツという都市がありますが、あそこでやっているコンビ賃金というのがあって、自 治体からの支援と、それから、実際自分が稼いでいるお金と両方合わせて一定額になるよ うな仕組みを編み出して、そういう施策をしている。ほかの自治体ではもちろんやってい ないわけですが、そういう州の独自な施策というものもいくつか注目すべきものがありま す。もちろん全部を見ることはできませんが、特に注目すべきものについては、ちょっと 調べればわかるものもありますので、そういった点も検討されたらより実質的に参考にな るのではないかと思います。 ○岩村委員 余計なことですが、ドイツは地方分権が進んでいるというよりは、もともと 地方分権国家でしょう。 ○野川委員 そこは、歴史的な国のあり方をどう評価するかという問題で、議論すれば30 分ぐらいできますが、一応、基本的な概念では、分権というか地方が独立性が高いという ことですね。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 JILPTのほうには、少しそういう意味では、日本の生活保護 に当たるような、いまおっしゃった幅広い所を少し調べてはいただいたのですが、いろい ろ各国によってラインが違いますので、今回は、その失業扶助的な部分を特に抜き出した ということです。そういう意味では少し幅広にということですので、その中からすべてと いうことにはならないかもしれませんが、やはり、幅広く日本の生活保護に当たるような 部分、各国違いますので、その就労的な部分というのもあると思うので、そこを抜き出し てご紹介できるように今後検討したいと思っております。 ○岩村委員 例えばフランスの場合だと、ちょっと私も記憶がそれほど正確ではないので すが、つい最近の改正で、雇用保険の給付と訓練というのを連携させるとか、そういった ようなことも、たしかやっていたような気がするので、雇用保険は横に置いておいてとか、 あまりそういう限定をつけずに、少し広く調べていただいてということをしないと、たぶ ん、うまく比較なり、考察を深めていくということはできないかなという気がしますので、 その点よろしくお願いします。ちょっといまの最後の点は、私も記憶がそれほど正確では ないので、違っている可能性はありますが。 ○清家部会長 ほかにご質問、ご意見ありますか。 ○遠藤委員 今回いただいております資料で申し上げますと、これは、最後のPARTIIIの11 頁なのですが、生活保護の自立支援プログラムについて、平成17年から開始しております ということのご説明があり、その中で、それぞれいろいろな問題を抱えている方々がいら っしゃる中で、それぞれの自立を考えていくというご説明があったかと思います。その中 の1つとして、就労による経済的自立を図るためのプログラムも、事実上走っているとい うことなのですが、このプログラムの中身についてもう少し何か、ご説明いただけるもの がありましたらお願いいたしたいのですが。 ○吉田雇用保険課課長補佐 生活保護の自立支援プログラムで、経済的自立という所です が、ここには、稼動能力を有する方が就労に向かって実現するという例が書かれています。 このほかに聞いておりますのが、例えば、学校に進学することによって自立ができる場合 にも経済自立に入ると聞いておりまして、経済自立の中に、就労だけではなく、そのほか の概念も含んで経済自立というのがあると聞いております。その中で、就労にターゲット を絞った施策につきましても、例えば、ハローワークと福祉事務所が連携して、いわゆる 労働市場で職探しをするというプログラムもあると。それとは別に、例えばケースワーカ ーがハローワークに同行して、職探しを1人でできない方に対して就労支援するというプ ログラムもあるとか、困っている段階に応じて個別のメニューがいろいろ用意されている と聞いております。 ○宮川総務課長 生活保護受給者等就労支援事業という事業を行っておりまして、具体的 には就労支援チームというものがあります。ハローワークとケースワーカーの方で対象者 を選びまして、そういう方々に対しての特別な就労支援プランを作りまして、その就労プ ランを、ハローワークのほうで非正規の就労支援の関係の相談員がおられますので、その 方が担当者制をとった形で、さまざまな活動を就労支援していくと。こういう形でのメニ ューを用意しておりまして、就労への自立を具体的に行っているという状況です。 ○新谷委員 ちょうどいまの頁ですので、ちょっと関連して教えていただきたいのですが、 今後、この第2のセーフティネットを考えるときに、いま社会保障の第3のセーフティネ ットといわれる生活保護について、もう少しデータがあれば教えていただきたいと思いま す。それはなぜかと言うと、現在生活保護を受けておられる世帯の数と、新規に生活保護 を受けられる方、それと就労されて生活保護から自立をされて、就労につながっていく方、 この辺のトレンドがわかるようなデータをいただくと、今後の参考になるのではないかな と思っております。 ○清家部会長 そのデータは、いかがですか。 ○吉田雇用保険課課長補佐 データにつきましては、トレンドということであれば、資料 を整理してですが、いま足下の平成20年の数字だけご紹介させていただきます。始まった 方ですと、平成20年であれば、1万6,310世帯が入っております。前年が1万3,885世帯 ですので、増加しているということです。その中の理由ですが、傷病によるという理由が 4割程度あると聞いています。2番目に多いのが、働きによる稼動収入が減少・喪失したと いうのが19.7%、2割ぐらいあるというのが足下の状況です。生活保護廃止、保護から出 たという数ですが、足下の平成20年につきましては、1万1,198、1万2,000世帯がほぼ廃 止されたと。前年が1万程度だったということです。理由ですが、いちばん多いのは、死 亡によると、お亡くなりになったということで、保護が廃止になったというのが31%ある ということです。稼動収入が増えたということで、保護廃止になったという方は13.5%あ るというのが足下の状況です。 ○岩村委員 できれば、そこに数字があるのであれば、生活保護世帯の属性別の割合を紹 介してもらったほうが実態がわかると思うのですね。母子世帯、傷病、高齢者、障害とか いうのが、生活保護の統計で出ているのでしょう。それをちょっとご紹介いただいて。そ うすると、大体生活保護を受けている人たちが、どういう属性の人たちなのか、世帯なの かというのがわかる。 ○吉田雇用保険課課長補佐 平成20年7月現在の数字が手元にありますのでご紹介いた しますと、総数で111万7,660世帯あると。そのうち高齢者世帯というのが52万4,500世 帯あるということです。以下、次は母子世帯ですが、8万5,470世帯です。障害者世帯と いうのが15万8,860世帯ございます。傷病者世帯というのが25万6,520世帯です。その 他の世帯というのが9万2,300世帯となってございます。おそらく、失業とかということ であれば、その他の世帯のほうに記入されると。 ○岩村委員 その他と母子の所に入っている可能性が失業者の場合は多いということと、 あと全体のトレンドとしては、障害者も含めて、非常に高齢化が進んでいるというのが最 近の大きな特徴というか、傾向だと思います。 ○清家部会長 そのトレンドも含めて、いま新谷委員からご要望がありました資料を次回 あたりまでに揃えておいてくださいますか。 ○新谷委員 前回も出て今日もいただいているのですが、論点の素案というのが出ており ます。参考資料13頁、求職者支援制度の位置づけという所で今日論議をするということな のですが、位置づけの[1]と書いてあって、その次の○が個人なのか世帯なのかというのが 論点として挙がっているのですが、その位置づけということであれば、前回の対象者をど うするかということもかかわってくるのですが、今回の施策というのは、まず雇用政策な のか、社会政策なのか、どっちに軸足を置くのだというようなところを論点として挙げる べきではないかと思うのです。あと、対象者を考えるときに、いま生活保護の高齢者が多 いといったときに、例えば年齢制限をどうするのかといったときに、例えば70歳の方も対 象にするのかということなども絡んでくると思うのです。ですから、論点の整理をされる ときに、位置づけというときに、確かに個人なのか世帯なのかというところは重要な観点 ですが、もっと最初に考えることは、この政策の性格や目的はどこに置くのかということ が大事ではないかと思っています。それは、政策を作ったあとに検証するときの指標をど こに置くのかということとも絡んでくると思いますので、その点も論点に入れていただい たらどうかなと思っています。 ○清家部会長 それでは、事務局もそのような形でお願いします。新谷委員、よろしいで すか。 ○新谷委員 はい。 ○清家部会長 ほかに、何かご質問ございますか。 ○西馬委員 先ほど生活保護の話で、ケースワーカーの話が出ましたが、今日の3頁目、 ハローワーク等の業務の流れ・ポイントということで、就職支援とかをご紹介されており ましたが、これはいろいろ新しい教育制度を作っても、最後に就職に結びつけていくには、 こういったコンサルティングのところをきめ細かくやらないと、就職につながっていきに くいと思うのですが、そういったところで、ハローワークのそういったコンサルティング の見直しだとかいうのが十分に足りているのかどうか。この間テレビを見ていたら、ケー スワーカーは非常に少ないという話も出ていましたし、金を付けるのもいいのですが、体 制をしないとということで気になっているので質問したいのです。  もう1点同じように、それをやっていきますと、緊急人材育成、4頁ですが、具体的な 利用例は紹介していただいたのですが、これはまだ始まったばかりなので無理かもしれま せんが、こういう教育をしても就職につながらないのはどういう人ですかというのを分析 しないと、雇用創出ということでは意味のある制度にならないのではないかと思っている ので、教えていただきたい。この2点です。 ○清家部会長 事務局から、それぞれ分担してお願いします。 ○中村首席職業指導官室室長補佐 ハローワークの就職支援についてのご質問ですが、現 在、ハローワークの3頁にお示ししている業務を行うに当たっては、専門の相談員を全国 のハローワークで約1,200名ほど配置しており、ご本人の能力や適性に合った訓練のあっ せんから、最後、おっしゃったところの就職支援まで担当するということでやっています。 足りているかどうかは、これから対象者も増えていくので、なかなか判断は難しいところ ではあると思いますが、現時点ではそういう体制でやっているということです。 ○清家部会長 事例等についてはどうですか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 ご指摘の就職につながらない人がどういう 人かという分析は、手元には当然ないのですが、まずは成功例を集めて、どういった方法 が効果的かをとりまとめてみたところです。つながらない人については個々の状況によっ てかなり多様かということと、緊急人材育成支援事業の対象者のみならず、ハローワーク の求職者とも重なる理由は何かあるかもしれませんし、基金対象者のみを取り上げて把握 する状況にはないのですが。 ○西馬委員 そのことも含めて、分析していくには窓口の体制が十分なのかなと思ってお 聞きしたのですが、そのあたりも、慎重に足りているのかどうかをよく見ていただきたい と思います。 ○清家部会長 いまの点は事務局、よろしくお願いします。ほかに何かありますか。 ○新谷委員 前回の部会の中でもお願いをした点ですが、平成21年度は今日で締まるわけ ですが、今年度の基金訓練の予算の執行状況について、施策ごとの一覧表をいただけない かと前回お願いしたと思うのです。関係官庁との関係もあってなかなか難しいかもしれま せんが、かなり執行率が低いということも聞いているので、その辺の分析も含めてですが、 できたら次回あたりにでもいただければと思います。 ○清家部会長 それは、いま資料を整理して収集中ということですか。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 執行状況については、前回の宿題としても いただいていたところですが、精査をした上で次回お出しできればと思います。ただ、1 つ申し上げておきたいのは、予算に対しての執行状況を見る際に、現時点で支出を行って いるもののみならず、予算上の考え方は、基本的に今年度中に執行が予定されるものも含 めての予算になっているので、整理をした上でということになります。つまり、認定をし た訓練について、訓練自体に対しての奨励金は実施の数箇月後にお支払いをすることにな っていますが、今年度中に支払いの責務を生じているものについては、予算上はカウント をしているという考え方に立っているので、その辺も含めて多少データを整理した上でお 出しできるかということだと思います。 ○清家部会長 その辺の定義等をきちんと説明していただいた上で、しっかりしたデータ を出していただければと思います。新谷委員、よろしいですか。ほかには。 ○西馬委員 先ほど新谷委員から、これを雇用施策として考えていくのか社会保障施策と して考えていくのかというご意見がありましたが、雇用施策ということで考えていって、 なおかつ、いまのものは緊急暫定措置ということで3年間ですが、そうではなくて恒久的 に考えていこうと。これは意見ですが、雇用施策だけで考えるのではなくて、当然のこと ですが、経済産業施策との関連で大きなところで考えていかないといけないと思います。  農業の自給率をもっと高めるなどということであれば、それと関連した形でやらないと。 失業対策ならば暫定措置でいいと思うのですが、恒久措置でやるのであれば、もっとグロ ーバルに視野を広めて考えていく必要があろうかと思います。 ○岩村委員 コメント的なものですが、今日の論点の素案の位置づけの個人か世帯かとい うところです。1つは、どの年齢層をターゲットとして考えるかがたぶん関係していて、 例えば高卒ぐらいから25、26歳までという人たちを考える。今日のご紹介であれば、未就 職者の支援、未就職の卒業者向けの訓練コースがありますが、そういったことを考えたと きには、これは世帯というふうに着目してしまうと、結局、この人たちは支援の対象にな ってこない可能性があるのです。つまり、親は収入があるので扶養してもらえばいいでは ないかということになってしまう。そうすると、その人たちを対象として生活支援給付を 払って訓練する、というふうにいかなくなってしまう可能性があるのです。  こういう人たちもターゲットにして考えるということになると、個人ということである 程度整理して考えていかないと、世帯の収入でカバーされるからそれでいいではないかと いうことで対象から外れてしまう。そういう結果になってしまうのかと思っています。た だ、そうは言っても、世帯という色彩を完全に取れるのかどうかは、例えば1,000万円と いう収入がある所などといった極端な例を考えると、もちろん難しいのですが、そういう ところが考えるポイントとしてはあるかと思っています。給付の位置づけということで、 ここでは世帯か個人かという切り口で考えていますが、先ほど雇用か社会保障かというお 話もありました。  もう1つは、これも先ほどの議論の中で少し出てきたことですが、あくまでも過渡的な 給付と考えるのかどうか。つまり、これはとにかく一時的にもらって訓練を受けて出てい ってもらう。出ていってもらうというとまた語弊があるのですが、要するに就職してもら ってこの制度からめでたくご卒業いただくという仕組みとして考えるのか、というのがも う1つのポイントとしてあると思います。ただ、これはたまたま、今回、厚生労働省の科 学研究費というプロジェクトで私たちがやっている研究なのですが、別の要件でフランス に行ったときに、その調査に便乗して聞いてきたのですが、制度設計の当初、過渡的とい うことで制度設計しても、結局駄目だったと。みんな入ってくると出ていかないと。  先ほどのご質問につながるのですが、逆にいうと、少し訓練してご卒業いただける人は、 実は全然問題のない人なのです。「過渡的な」としてつくったとしても、いろいろな問題を 抱えていらっしゃる方が入って、雑多な方、いろいろなパターンの方が入ってこられると、 結局、訓練をしてもご卒業いただけないで、そのまま制度に居残ってずうっといってしま うという結果になるのだという話も聞いてきたところです。そこのところが、給付の位置 づけ、具体的な制度設計の問題、そして他制度との連携をどううまく整合的に整理して区 分けしていくかと。そこがおそらく給付の位置づけを考えたときのもう1つのポイントか と思います。たぶん制度設計の根本として給付を一時的な、過渡的なものだと位置づけた としても、現実にそうなるかどうかは別の問題かという気もするので、逆にいうと、そう いうことも想定しながら考えていかなければいけないのも事実かもしれないと思います。 ○清家部会長 1つだけいまのに関連して野川委員にも伺いたいのですが、先ほどの諸外 国の事例でドイツの例などを見ると、この制度の中だけでも受給者が477万人と出ていま す。ドイツの人口規模等から考えると、これはかなり高い比率で受給しているように思う のですが、いまの岩村委員のお話とも関連しますが、ドイツなどではこういう制度に人々 が滞留してしまっているのではないかとか、そういう問題意識はないのですか。 ○野川委員 私が把握している限りでは、もちろんあります。それは制度をつくるときか ら当然懸念されていたことですが、制度をつくる前からおっしゃったことについて随分議 論がありました。したがって、制裁効果というか、これももたせるということで、例えば 若い人については特に厳しくですが、こういう求職者給付を与えて、訓練を受けるなり職 業紹介を受けるなりしたときに、断ることができないいろいろな仕組みを備えているわけ です。自分としてはあまり気に入らない職であっても、例えば、20代の人であれば、それ を一定の期間に何回か断ると給付額が半額になるという形で、非常にインセンティブを強 くするようにしている。  紹介する職業も、例えば自治体等が公園の掃除といった形のボランティア的な仕事をご くわずかな賃金で与えて、最初はそれに見習い的な形で就く。しかし、そのうちにだんだ んともらっている給付とわずかでも受けている賃金とを合わせて、一定の余裕ができてく ることによって次のステップに進むといった形で、一定の制裁効果を持たせながら対応し ていくという工夫はしているということです。  もちろん、ドイツの場合は世帯単位ですので、世帯の判断を非常に厳しくするようにし ている。試行錯誤ですが、それでもいろいろな抜け道をつくって、当然ですが、不正受給 をする人が出てきて、最初の2年ぐらいは世帯の不正受給のモグラ叩きがものすごく大変 だったのです。ただ、いまはある程度落ち着いていて、むしろ逆にどのような事情の違い があっても、世帯の中の子どもについては一律に一定の額しか与えないというのは違憲で あるという判決が出たり、差別につながると、そういう状況にもなっているということで す。これだけの大規模な制度ですので、おっしゃるような懸念は生じてはいますが、それ を防ぐための努力も非常になされているということだと思います。 ○新谷委員 個別の内容で、PART1の1頁の未就職卒業者の訓練について教えていただき たいと思います。これについては、もともと7月から始まった基金訓練のあとに、たしか 12月8日の緊急雇用対策の中で追加をされた項目だと認識をしていますが、すでに3月31 日となって、たぶん対象となる学生・生徒の方々が卒業して社会に出ていくと思うのです が、現在の緊急対策として打ち込まれた実績というか訓練の開拓状況、並びにそれに対す る応募状況について、わかる範囲で教えていただきたいと思っています。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 未就職者向けの訓練については、現時点、3 月24日現在の数字ですが、70コース、1,677人という定員について認定をしています。計 画について受理をしたものを含めれば、全体で大体3,000人分ぐらい、いま予定見込みと しては把握しているところです。いちばん早いスタートで、労働局などとも協力しながら、 東京において3月30日の開講ということで4コースを設定し、東京の未就職の高卒者の方 については全員にダイレクトメールを送り周知を図ったところです。ただ、その結果、4 コースについて、多い所では定員の半分ぐらいは応募があったのですが、少ない所は数人 という応募に終わったものですから、これについては開始時期を4月14日に延期をし、引 き続き募集をしている状況です。いまの状況はそのようなところです。 ○三木委員 これはダイレクトメールということですが、それは定期的にこれからもやっ ていくということですか。その他にも何らかの対応策は政策的には考えているのかどうか。 とりわけ学校関連だと情報がどうしても少なくなってくるという状況の中で、そこら辺は 本当に徹底するのかどうか。いま非常に深刻な状況ですので、そこら辺は少し具体的にど う、就職できなかった方をその中で就職に結びつく一定の形に持っていくかは、非常に大 切だと思うのです。一旦、未就職でそのまま行ってしまうと、ずうっとそのまま行ってし まうケースが非常に懸念されるものですから、そこら辺の対策の継続的なあり方について もお聞かせいただければと思っています。 ○小野寺職業能力開発局能力開発課課長補佐 ご指適のとおりでして、この訓練について は、特に開始時期も設定の仕方も微妙で、まず就職を目指すということで支援を続けてき たわけですが、その中で並行して、仮に就職できずにご卒業した場合であっても、こうい った訓練というセーフティネットがあるということを、事前に如何に徹底してお伝えする かというところで、まず事業全体の周知については、学校サイドに対して文科省や教育委 員会を通じて周知を図ったところです。あわせて、生徒側にも、先ほどの東京の例は、実 は募集の期間が非常に短かったということもあり、個々の皆さん方に確実に情報を届ける ということでダイレクトメールを使っていましたが、これについてもできる限り継続的な ことができればやっていきたいと思っています。個々のコースの周知と事業全体の周知と を併せてやっていくと。  ハローワークにジョブ・サポーターという未就職者に対しての支援のスタッフを配置し ているので、その方たちを通じて引き続き働きかけを図っていくことになろうかと思いま す。なるべくご卒業までに、ジョブ・サポーターを通じて学校側と連携をしながらハロー ワークに求職登録をしていただく流れもつくっていただいているようですので、引き続き ハローワークとも連携をしながら、訓練のほうに誘導していただきたいと思っています。 ○新谷委員 これは新政権で緊急雇用対策の1つとして打ち出されたもので、緊急施策と しての着眼点はよかったと思うのです。ただ、実績がいま定員で1,600件ぐらいというこ とですので、新卒未就職者の数からいくと、定員の数も不足しているし、応募者の周知も なかなかできていない状況ですので、是非、そこは周知と制度の利用促進をお願いしたい と思います。職業能力開発分科会でも申し上げたのですが、新卒者の方々の緊急施策とし ては今回はこれで仕方がないと思っているのですが、今後の第2のセーフティネットとし て新卒者向けのコースとしてこれを常設することについては、大いに論議をしたほうがい いと思っているので、その点についても申し上げておきたいと思います。  続けて申し上げておきたいのですが、今日出てきた先ほどの論点の素案ですが、今日は 位置づけの所が出てきていますが、次回以降、こういう形で論点に沿って論議を進めるこ とになると思うので、今後の論点として打ち込むべき内容は、このような点についても検 討されたらどうかということがあるので、併せて申し上げてよろしいですか。 ○清家部会長 はい。 ○新谷委員 IIの訓練ですが、ここは訓練のあり方と地域差と実施体制について書かれて いるのですが、例えば[3]として、現実的な助成金のあり方についてどうするかも、論議を しておかないといけないのではないかと思っています。給付と同額が受託訓練先に出てい っているし、助成金も何種類かあるようですので、助成金のあり方についてが[3]としてあ ったらいいのではないか、ということが1つです。  IIIの給付で、これは対象者と要件と給付額といきなり来ているのですが、これは生活給 付だけしか考えてないのではないかと思うのですが、給付の種類として生活支援給付以外 に、例えば雇用保険にある通所手当のような受講者に対する受講機関への交通費の支給を どうするかとか、あと待機手当みたいなもの、要するにコースが始まるまでの間に手当を 出すのか出さないのか、といった給付の種類についても考える必要があるのではないかと 思っています。  [3]の給付額のところに現在の単身者10万円と扶養者あり12万円について書かれている のですが、給付額を検討するに当たっては、先ほどの生活保護ではないですが、地域差を 考えるのか考えないのか。いまは一律単身者で10万円、扶養者ありで12万円ですが、例 えば最低賃金のような形で地域差を認めるのか認めないのかとか。あと雇用保険の失業給 付の金額、これは10万円を下回る金額の方もおられると思うのですが、これとの関係をど う考えていくのか、というのが1つあると思います。  14頁に給付期間とありますが、ここについても、いま、これは2年間の緊急施策なので 書かれていないのだと思いますが、再利用のときのクーリングオフ期間、再利用の要件、 出たり入ったりというところの防止を考えるときに、再利用要件というのも検討の中に入 れておいたらどうかと思っています。 ○清家部会長 そのような論点も併せて議論するということで、よろしいでしょうか。  ただいま法案が先ほど成立したという報告をいただいたので、「雇用保険法等の一部を改 正する法律」の成立に伴い、2つ目の議題の「その他」に移りたいと思います。施行に伴 う省令等について、ご議論をいただくということです。関係資料の配付をお願いします。                  (資料配付) ○清家部会長 いまお手元にお配りいただいた資料、2つの要綱についてご議論いただき たいと思います。昨年12月に当部会において議論をした「雇用保険法等の一部を改正する 法律案」については、先ほど申しましたように、本日、無事に国会において可決成立し、 明日施行する予定です。本日議題としている省令等は、この施行に伴うものですので、本 日中に厚生労働大臣から労働政策審議会に対して諮問がなされた形になっています。本来 であれば、職業安定分科会において先に議論が行われ、当部会において議論、審議するこ ととされるべきものですが、施行までに時間がないということですので、今回は職業安定 分科会に先立ち、あらかじめ雇用保険部会で審議することとしたいと思います。まず事務 局から、資料のご説明をお願いします。 ○篠崎雇用保険課課長補佐 初めに、「雇用保険法施行規則及び雇用対策法施行規則の一部 を改正する省令案要綱について」という資料をご覧ください。省令改正については、今回 の雇用保険法改正に伴い整備する省令の内容です。具体的には、適用除外となる学生又は 生徒の範囲を新たに定めること、資格取得届の添付書類に関する規定を改正すること、日 雇労働者から一般被保険者への切替えの手続に対しての規定を追加すること、以上3点を 主な内容としています。  別紙をご覧ください。別紙の第一の一にありますが、「適用除外となる学生又は生徒の範 囲」の関係です。このたびの法改正においては、適用範囲の明確化を図る中で、学生につ いては原則として適用除外とすると。その具体的なところを省令委任をしています。  省令においては、適用となるものをわかりやすくするために、省令で掲げる者以外を適 用除外とするという形にしており、学生であっても適用される方を規定する形を取ってい ます。ちなみに、これは新たな適用基準をつくるという適用基準の変更ではなくて、現在 でも適用対象となっている方について、法令で明確化していくものです。  具体的には、(一)ですが、「卒業予定している者であって、適用事業に雇用され、卒業 した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの」などです。例えば、大学 4年生で内定者などはこういうケースがあるのではないかということです。(二)としては 「休学中の者」、(三)としては「定時制の課程に在学する者」ということです。(四)とし ては、それに準ずる者として「職業安定局長が定めるもの」ということで、職業安定局長 が定める業務取扱要領において定めることを予定しています。具体的には、通信制の学生、 企業の命を受けて大学や大学院の学生となる者といったものを職業安定局長通知で定める ことを予定しています。  二、「被保険者となったことの届出の改正」です。これについては、年末の雇用保険部会 の報告書にもありましたが、適用範囲に伴い31日以上の雇用見込みの方は適用範囲を拡大 するということですので、事業主の皆さんの事務の手続が増える分があるのではないかと いうことで、負担軽減として、被保険者の資格取得届を提出していただく際の添付書類の 軽減を図るための改正です。具体的には、現行では、資格取得届を提出する際に、被保険 者となったことの確認のために労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳といったも のの3点を原則として提出していただくことになっていますが、この3点について原則と して添付を不要とするということです。その上でハローワークとして確認が必要とされる 場合のみ、こういった3点の書類を提出していただくという形にする省令改正の内容です。  ちなみに、ハローワークで確認が必要な場合として省令で規定する内容としては、2頁 の(二)のイ以降にありますが、例えば、その事業所において初めて資格取得届を提出す る場合、ロですが法定の提出期限を超えて資格取得届を提出する場合、ハとしては、過去 3年間で不正受給に関与した事業主とか、そういった場合には、原則は不要ですが確認書 類を提出していただくこととしています。ニにおいては、そのほか記載事項に疑義がある 場合その他の当該届出のみでは被保険者となったことの判断ができない場合として、職業 安定局長が定める場合としています。これはどういった場合かと申しますと、例えば、有 期契約となっているのに期間の定めがないとか、そういった場合などが予定されるのでは ないかと思っています。  以上が原則です。次に3頁ですが、従来どおりの取扱いとしては、例えば同居の親族で ある労働者や会社の取締役の方など、特に労働者であることの確認が必要である場合につ いては、これまでの必要としていた賃金台帳等の3点セットとともに、職業安定局長が定 める書類として就業規則等の提出も必要とすると。これは従来どおりの取扱いですが、そ ういった同居の親族や会社の取締役の場合には、そういったことを確認させていただくこ とにしています。  3頁の(四)ですが、これは、そのほか「事業主は、(二)又は(三)にかかわらず、安 定局長が定めるところにより、(二)又は(三)に定める書類を添えないことができるもの とする」ということです。具体的には、想定しているのは、社会保険労務士や労働保険事 務組合を通じて資格取得届の手続を行う場合については、従来どおりですが確認書類を不 要とするという旨を規定することとしています。  「日雇労働被保険者であった者に係る受給資格の調整の改正」です。ここについては、 現行、日雇労働被保険者として2か月の各月で18日以上雇用日がある方については、翌月 から一般被保険者へと切り替わる措置が置かれていますが、それをこのたびの法改正で、 一般被保険者の適用拡大に合わせて、一般の適用基準である31日以上同一の事業主に継続 して雇用される日雇労働者については、その31日以上継続するという実績をもちまして一 般被保険者に切り替わることが、改正法の内容に盛り込まれています。このため現在は2 か月のうち各月18日で一般に切り替わる日雇労働者と同様の手続を、31日以上の雇用実 績がある方で一般に切り替わる方にも措置するものです。  具体的には、手続面ですが、切り替わった月の翌月末までに被保険者手帳をハローワー クの所長に提出していただく。賃金日額を算出するのに必要な一般被保険者としての賃金 を算出するための印紙の保険料の額から、一定の割合で割り戻して日雇労働被保険者であ った期間の賃金を計算することが改正法で措置されていますが、この一定の割合の省令委 任をされている。割り戻した額が印紙保険料の元の賃金の近似値となる2000分の13とす ること、こういったことを現行の2か月で各月18日で切り替わる場合と同様ですが、今回、 措置することとしています。  「その他」ですが、法律の改正により生じた条項のずれなど技術的な改正をすることと しています。なお、省令の施行日は、平成22年4月1日からで、施行に当たり必要な経過 措置を整備させていただきます。以上が、改正省令の要綱の内容です。  もう1つ、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更す る告示案要綱」をご覧ください。こちらについては、平成22年度の雇用保険の料率を定め るものです。具体的には、一般の場合については1000分の15.5、農林水産業及び清酒製 造業については1000分の17.5、建設業については1000分の18.5とすることを内容にして います。こちらについては、次頁の「告示の概要」ですが、下の表をご覧ください。審議 会でもご議論いただきましたが、一般の事業については平成22年度の雇用保険の料率、本 来、原則1000分の16のところを法律上の下限である1000分の12とするという内容です。 労働者負担は1000分の6、事業主負担は1000分の6となっています。  雇用保険二事業に係る保険料率については、弾力条項により1000分の3となるところで したが、今般の法改正において弾力条項の発動を停止し、平成22年度の雇用保険二事業に 係る保険料率は1000分の3.5とする内容です。1000分の12と1000分の3.5を合わせて、 一般の事業については1000の15.5、農林水産・清酒製造業、建設業については、それぞ れの上乗せがあり、合計でこちらの表のとおりになるという内容です。これは平成22年度 の雇用保険料率を定めるものですので、適用日は平成22年4月1日となっています。 ○清家部会長 ただいまの事務局からの資料に基づいたご説明について、ご意見、ご質問 等がありましたらお願いします。 ○栗田委員 いよいよ明日から施行ということになるわけですが、今回の改正は、これま での周知と、今後、どうやって周知していくか、というところを1点お尋ねしたいという ことです。それから、今回、31日以上となったことからすると、適用者がかなり拡大とい うか多くなると思うのですが、例えば経営者が得てして故意に申請を怠ったとなった場合 に、どういう行政指導をされるのか、罰則はないのかということも含めてお聞きしたいと 思うのですが。 ○坂口雇用保険課長 いまご質問のありました、今回、適用範囲の拡大ということで、31 日以上の雇用が見込まれる場合に適用となるわけですが、いまもご指摘があったとおり、 明日から施行ということになります。私どもとしても、国会でも答弁しておりますが、全 力を挙げていろいろなツール、手法を使いながら周知をしっかりしたいと思っています。  当然、私どものホームページであったり、ハローワーク等現場でのリーフレット等での 周知ということは元よりですが、今後は必要な手続をしてということになりますが、大体、 適用事業所全体で約200万の事業所があるわけですが、5月下旬にはダイレクトメールで、 料率も変わっているということもありますので、適用範囲の拡大、料率の変更については、 直接、そういったダイレクトな葉書ということで周知をしっかりしていきたいということ です。こういう審議会の場で、しかも省令の要綱の告示をお願いしている状況の中で申し 上げるのも申し訳ありませんが、ご出席の労使の団体の皆さま方にも、今日ご了解いただ ければ、私どもは、今そういったリーフレットの原稿・電子媒体で用意しているので、本 日にでも提供させていただいて、また傘下の団体にもご提示いただいて、周知等について も是非ご協力をいただければということで、この場ですがお願いを申し上げたいと思いま す。  もう1点、いま、事業主が故意にということがありました。当該適用に関しての資格取 得等の届出については、雇用保険法上罰則があるという規定ですが、故意にということに ならないように、私どもとしてもしっかりご理解をいただき、周知をしっかりするという ことが大事だと思っていますが、いろいろな場面では厳格な指導ということも含めてしっ かり事業主さんにもお願いを申し上げたいと考えています。 ○清家部会長 ほかに何かご質問はありますか。よろしいですか。特にご意見、ご質問が ありませんようでしたら、ただいま事務局からご報告いただいた「雇用保険法施行規則及 び雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要綱」、もう1つ、「労働保険の保険料の徴 収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料率を変更する告示案要綱」については、これ を当部会として妥当であるということでよろしいですか。                   (了承) ○清家部会長 ありがとうございました。報告文案の配付をお願いします。                  (案文配付) ○清家部会長 ただいま配付していただいた省令案要綱と告示案要綱についての職業安定 分科会長あての報告文案ですが、いまお手元に配付していだいた形で報告したいと思いま す。よろしいですか。                   (了承) ○清家部会長 ありがとうございました。「雇用保険法施行規則及び雇用対策法施行規則の 一部を改正する省令案要綱」と「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき 雇用保険料率を変更する告示案要綱」については、妥当である旨、本日このあとに開催さ れる職業安定分科会にご報告をいたします。なお、大変恐縮ですが、私は公務のために職 業安定分科会には出席することができませんので、私に代わりまして部会長代理の岩村委 員から報告をお願いすることになっていますので、ご了承いただきたいと思います。  以上をもちまして第57回雇用保険部会を終了します。本日の署名委員は、雇用主代表坪 田委員、労働者代表新谷委員にお願いします。委員の皆さまには、お忙しい中どうもあり がとうございました。次回の日程については、事務局から改めて各委員にご連絡をします。 よろしくお願いします。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     03−5253−1111(内線5763)