10/03/31 第71回労働政策審議会職業安定分科会議事録 第71回労働政策審議会職業安定分科会  日時 平成22年3月31日(水) 15:30〜  場所 厚生労働省職業安定局第1会議室(14階)                        ○大橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第71回労働政策審議会職業安 定分科会」を開催いたします。議事に先立ちまして、当分科会の下に置かれております 部会に属する委員の交代がありましたので、ご報告いたします。分科会に置かれる部会 に属する臨時委員等につきましては、労働政策審議会令第7条第2項の規定によりまし て、分科会長である私が指名することになっております。労働力需給制度部会の労働者 代表委員について、長谷川委員に代わりまして、日本労働組合総連合会総合労働局長の 新谷委員にお願いしております。  なお、本日の委員の欠席は公益代表、白木委員、清家委員、宮本委員、使用者代表は 石井委員、久保委員です。なお、荒委員は遅れて到着とのことです。  それでは議事に入ります。本日の議題は「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省 令案要綱について」、及び「地域雇用開発促進法施行規則を改正する省令案等要綱につ いて」、及び「その他」です。「その他」については、本日13時から開催されました雇 用保険部会において、あらかじめご議論いただき、「雇用保険法施行規則及び雇用対策 法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の 規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱について」を議題として追加いたしま す。  最初に、「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」及び「地域雇用開発 促進法施行規則を改正する省令案等要綱」について、いずれも4月1日施行の案件ですの で、事務局よりまとめてご説明願います。 ○総務課長 職業安定局総務課長の宮川です。よろしくお願いいたします。  資料はNo.1とNo.2を使わせていただきます。まず、資料No.1はNo.1-1、1-2、1-3と分かれ ております。No.1-1が今回諮問する諮問文です。No.1-2はこの省令案改正のポイントを 2枚にまとめていますが、資料No.1-3を用いて具体的な内容のポイントのみを説明いたし ます。平成22年度の雇用保険二事業の助成金に関しましては1頁に書いてあるような助 成金、丸印を付けているところにつきまして見直し等が行われるもので、本日、これに ついてお諮りするものです。  2頁からはポイントのみ説明させていただきます。まず、雇用調整助成金の中に、残 業削減、雇用維持奨励金があります。残業時間の削減により雇用維持を図った場合の助 成金ですが、右側の見直し概要にありますように、この助成金は利用状況も低調である ということで、平成22年度は経過措置のみで平成21年度限りで廃止するものです。  3頁の労働移動支援助成金ですが、まずいちばん上の求職活動等支援給付金、これは 再就職援助計画などを作って求職活動のための休暇を付与したり、職場体験講習などを させたりと様々な助成金のメニューでしたが、右側にありますように求職活動のための 休暇を付与された助成額を4,000円から7,000円に引き上げて、ここを重点化するという 意味で、その余の職場体験講習などの助成措置を廃止するものです。真ん中の再就職支 援給付金ですが、これは再就職援助計画対象者に、民間の業者に費用を負担して委託 し、再就職支援を行おうという内容ですが、右側にありますように助成率を1/3(中小 企業事業主は1/2)に引き上げる。あるいは利用の少ない新規・成長15分野に対する助 成額加算措置の廃止という内容です。いちばん下の離職者住居支援給付金ですが、これ は雇用保険の被保険者に、離職後も住居を無償で提供する事業主に対する助成措置で、 平成21年2月6日より実施していたわけですが、住宅手当等を直接支援する制度の充実等 を踏まえまして、利用が減少しているところですので、この3月31日限りで廃止、あと は経過措置という内容です。  次に定年引上げ等奨励金です。まず、いちばん上の中小企業定年引上げ等奨励金です が、これは65歳以上への定年引上げですとか、希望者全員を対象とする70歳以上までの 継続雇用制度の導入等々の取組みを行う中小企業事業主に対する助成金ですが、これに つきましては、右側にありますように事業措置を講じた後に6か月以上、その措置の運 用を引き続き行っている事業主を支給対象とすることを明確にするとともに、一部の支 給額については64歳以上の雇用保険被保険者を雇用していない場合、支給額を半額にす るという内容です。いちばん下の中小企業高年齢者雇用確保実現奨励金ですが、これは 事業主団体への助成措置でありました65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入に取り組 むものでしたが、非常に実績が低調なこともあり、一旦これを廃止させていただきまし て、右側の真ん中にある、従来は中小企業のみを対象としていたものですが、企業規模 を問わず傘下の事業主に対し65歳以上の定年企業等、あるいは「70歳まで働ける企業」 の普及などを中心とした取組みを行う事業主団体に対する助成金を新たに設けるもので す。  5頁ですが、自立就業支援助成金、一種の創業助成金ですが、それぞれ高年齢者が3人 集まった場合、あるいはいちばん下の雇用保険被保険者を対象としたものと2種類あり ます。まず、高年齢者のほうですが、従来、支給割合については都道府県における有効 求人倍率、従来は全国平均を使っていたのですが、最近の高失業情勢を踏まえまして、 有効求人倍率1倍を境にいたしまして支給割合を変えるものにするということです。そ れから、受給資格者創業支援助成金ですが、従来、費用の1/3(上限200万円)としたと ころですが、上限は150万円に引き下げる代わりに、雇用する労働者が2名以上の場合は 上乗せ分として50万円支給する形で、従来よりもインセンティブの働く形に変えるもの です。  6頁ですが、試行雇用奨励金、いわゆるトライアル雇用の中で技能継承の受け手の方 のトライアル雇用という制度がありましたが、これは実績が低調なため廃止いたしまし た。7頁の通年雇用奨励金ですが、これは積雪寒冷地における様々な通年雇用化などの 助成措置ですが、これらにつきましては助成率を今後3年間、1/3から1/2に引き上げる など充実を図るとともに、平成22年3月15日あるいは4月30日までの暫定措置とされてい たものにつきまして、これを3年間延ばす内容のものです。  次に、育児・介護雇用安定等助成金の関係です。両立支援レベルアップ助成金の中に いくつかのコースがありますが、右側にある子育て期の短時間勤務支援コースにつきま しては、他の助成金と統合して助成制度を簡略化するとともに、支給額の拡充を図ろう とするものです。事業所内保育施設設置・運営等助成金につきましては、平成21年度末 までの時限措置という形で費用の2/3を中小企業の助成率としていましたが、平成22年 度以降もその助成率を継続するというものです。中小企業子育て支援助成金につきまし ては、他の助成金と統合するなどし、更に継続勤務要件を1年間とする内容です。育児 休業取得促進等助成金につきましては、平成21年度限りの措置としていた助成率の引上 げなどの措置を、当分の間の措置として継続するものです。  9頁の中小企業労働力確保法絡みの人材確保等支援助成金ですが、人材能力発揮奨励 金という生産性向上などが特に必要な認定中小企業者の取組みに対する支援ですが、こ れは平成20年度創設の奨励金ですが、実績低調のため廃止させていただきました。それ から、真ん中の中小企業基盤人材確保助成金ですが、これは基盤人材を雇い入れたり、 それに伴い一般労働者を雇い入れた場合などに助成金を支給する内容ですが、これにつ きましては基盤人材に係る助成額の一部を引き上げるとともに、一般労働者に係る助成 を廃止するなど、上乗せ措置なども一部廃止をする内容です。中小企業雇用安定化奨励 金ですが、これは正社員転換制度を導入したり、あるいは共通の処遇制度、若しくは共 通の教育訓練制度を導入するような場合の助成措置ですが、右側にあるような形で一定 の額の引上げを図るものです。  10頁の建設関係の助成金です。まず、建設雇用改善推進助成金の中の教育訓練の助成 金、あるいは雇用改善推進の助成金、これにつきましては助成単価を見直して一部引き 上げる内容とともに建設業人材育成支援の助成金として、小・中・高などのキャリア教 育への支援を事業主が行った場合、建設事業主に、要した経費の一部を助成する内容で す。11頁の短時間労働者に対する均衡待遇推進ということで、正社員と共通の資格・評 価制度等を導入する事業主に対する助成措置です。対象者2人目〜10人目への助成を拡 充する内容です。12頁は障害者雇用の関係の助成金です。2件、新しい助成措置が盛り 込まれています。1つは精神障害者の雇用安定奨励金ですが、精神障害者が働きやすい 職場づくりを行った事業主に対し、具体的に申しますと精神障害支援専門家を雇い入れ たり、それから委嘱して謝金を払ったり、あるいは同じ職場に働く労働者に対して講習 を受講させる事業主などに対し費用助成を行うものです。上から2番目の障害者就業・ 生活支援センター設立準備助成金ですが、これは各種法人が就業・生活支援助成センタ ーの指定を受けるための準備を行った場合に、就業支援に要する費用の額につきまして 助成措置をするという内容です。障害者初回雇用奨励金、特例子会社等設立促進助成 金、これらは障害者雇用促進法の施行に伴い、短時間労働者を雇い入れた場合の措置を 内容とするものです。最後にキャリア形成促進助成金、認定訓練助成事業費補助金です が、暫定措置が終了したということで所要の改正を行うものです。雇用保険法施行規則 等の一部を改正する省令案要綱の内容につきましては以上です。  続きまして資料No.2です。地域関係のものですが、要綱はNo.2-1、具体的な内容につい てはNo.2-2を用いて説明いたします。1枚目の概要にありますように地域雇用開発促進法 という法律に基づきまして、雇用情勢の特に厳しい地域である「雇用開発促進地域」、 それから、かなり雇用情勢が厳しいものの雇用創造に向けた意欲の高い地域である「自 発雇用創造地域」、この2つの地域要件の緩和を行い、地域における雇用創出の取組みを 支援するものです。  地域雇用開発促進法のスキームをご覧ください。いずれの施策につきましても、左側 に雇用開発促進地域、右側に自発雇用創造地域がありますが、真ん中にありますように それぞれの地方自治体が計画を自ら策定していき、厚生労働大臣と協議をして同意を得 た上で国の支援措置を行うという仕組みになっています。雇用開発促進地域ないし自発 雇用創造地域の中の基準がありまして、その1つとして雇用情勢が判断基準となっていま す。  1頁に戻って見直し案、省令改正の内容をご説明いたします。(1)にありますように、 雇用開発促進地域については現在、全国平均の2/3ですが、全国平均がものすごく低い 状況になっていることなどから、該当しないところも出てくることも勘案しまして、全 国平均の2/3を原則としつつも、「0.5未満である場合には0.5。ただし、全国平均が0.5 未満である場合には全国平均」という下線部分を追加する内容の改正です。それから、 自発雇用創造地域についても同様でして、現在、全国平均以下の地域ということですが、 「全国平均が0.67未満である場合には0.67」以下の地域を対象とする。この下線部分を 追加するのが今回の省令改正です。これに基づきまして、従来の地域は概ね対象となる と考えております。No.1、No.2のそれぞれの資料説明については以上です。よろしくお願 いします。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。本件につきましてご質問、ご意見がありま したらお願いいたします。 ○斉藤委員 雇用保険二事業の助成金の件なのですが、いまご説明があったように重点 配備をするために、精査をして特化をしたというご説明の項目もありましたが、中には 廃止というような項目等の中で、いわゆる使用実績が低調であるためという文言で終わ っているところがあるのですが、やはり廃止するにせよ、引上げを図るにせよ、状況に 鑑みてこういう措置を取ったのか、もともとの考え方そのものの中で、使用しづらいと か、いろいろな要件があって低調であったのか等々、どういう中身を分析なさった上で の、廃止であるとか統合であるとか、この辺は上げていこうとかが見えないものですか ら、その辺の経過を教えていただきたいと思います。 ○総務課長 それぞれ個別の内容については、それぞれ個別の理由がありますので、一 般論として申し上げますと、基本的には各種助成金、現在雇用保険二事業につきまして は、いわゆるPDCAサイクル、Plan,Do,Check and Actionという形で目標を設定し、それ をチェックして修正していくという一連の作業を、すべての事業につきまして毎年行っ ているところです。このようなチェックの中で目標を満たさなかったもの、あるいは実 績が上がらなかったものにつきまして、それぞれ各担当のところで十分情勢を分析した 上で施策の内容について、こういう目的のものが必要だったのかどうかも含め、さらに こういう手法はよかったのかどうか、こういう手法もよかったのかもしれないが実績が 上がらないことについて周知の問題だったのか等、様々な面から分析した上で、最近の 雇用・失業情勢が非常に厳しい中で、雇用調整助成金などを中心として雇用対策をある 程度重点化していく必要性のあることを鑑みた上で、必要性を判断し、予算要求につな げていく。一般的にこういう形で作業した結果が今回の内容でございます。もし個別の 内容についてご質問等がありましたら、それぞれの担当課から答えさせていただきたい と思います。 ○斉藤委員 例えばで結構ですが、6頁の試行雇用奨励金は、「実績が低調なため」と ありますが、これをちょっと紹介していただけますか。 ○雇用開発課長 この試行雇用奨励金は技能継承分というものですが、これは平成18年 度にできまして、まず実績からご紹介させていただきますと、18年、19年と実績が0で、 その後20年、21年が2件ずつと極めて実績が低くなっています。理由といたしましては、 同じ試行雇用奨励金で若年者を対象としたものがありまして、それとほぼ助成内容が同 じでございまして、それで代替できるということと、その一方で、この助成金を使う場 合には、中小労確法の雇用管理改善計画の認定を都道府県知事から受けるという手続が 必要になるということになっていまして、手続のわりには助成内容が、効果的ではなか ったと思っています。そういうことが原因で実績が低迷していると思っております。そ うした中で検討した結果、先ほど申しました若年者のトライアル雇用の奨励金で代替で きると判断しましたので、これは廃止をしてもいいのではないかと、そのように結論を 出した次第でございます。 ○斉藤委員 いまおっしゃったような形ですべてに全部やっていると、そういうことで すよね。 ○雇用開発課長 そういうことでご理解いただければ結構です。 ○吉岡委員 いまのPDCAサイクルの部分は、あくまでも行政の中で皆さんがご担当され ていると思うのですが、本来であれば、ある程度どこまでの範囲が出せるかというのは あるかもしれませんが、このような審議会の中である程度その辺のところをお出しをし ていく。低調と言われる部分の中身がどのぐらいのものなのかということにつきまして も、年度の予算、括りとかいろいろな面はあろうかと思いますが、このような審議会の 中で、少しでも議論の中に挙げていくということも必要ではなかろうかなと我々は思い ますので、是非その辺のことも、今後の部分についてはご検討いただきたいと思いま す。 ○総務課長 今後の中で検討し、適切な情報を提供してまいりたいと思います。 ○堀委員 雇用保険二事業の関係なのですが、総務省が行政評価をされて厚生労働省に 勧告があったと思うのですが、今回の助成金の見直しには、どの辺りで反映されたので しょうか。 ○総務課長 今回の助成金は昨年の概算要求を踏まえた形での予算編成の中で固まった ものです。お話のありました行政評価の関係につきましては、11月ということですの で、時期的にはこの内容で既に指摘を受けて対象になったものについて、もう既に整 理、処理しているところもありますが、今後見直さなければならない部分もあるという ことで、今回のものは、それと基本的にはリンクしていない形のものとご理解いただけ ればと思います。 ○大橋分科会長 そのほかいかがでしょうか。 ○石村委員 1つ要望を申し上げておきたいと思います。先ほど説明がありましたが、 利用実績等々を踏まえて、その都度雇用の状況を見ながら、奨励金や助成金の見直しを するというのは非常に大事なことだろうと思いますが、利用実績がない理由の中に、周 知がされていなかった、低調だったといいますか、そういうことも当然予想されるわけ でございまして、こういった見直しをするということになりますと、やはり中小企業も いろいろ利用したいという所がありますが、やはり余裕があるわけではありませんの で、徹底を是非図っていただきたいということと、不正受給防止対策を講じた上で、可 能な限り手続の簡素化をお願いをしておきたいと思います。以上です。 ○総務課長 ご要望の趣旨は承りたいと思います。いまお話がありましたように、一方 で不正受給の防止や目的に合わないような形での利用ということがないように、きちん とチェックしつつ、一方ではできるだけ事業主の負担にならないようにと。周知の問題 につきましても、どこまで費用をかけるのかという問題はあるにしても、効率的、効果 的な周知については意を尽くしていきたいと思っております。 ○澤田委員 すみません。No.1-3の8頁にある「育児・介護雇用安定等助成金」の「両立 支援レベルアップ助成金」についてなのですが、これは子育て期の短時間勤務支援コー スだけの見直しの内容が記載されているのですが、他の4コースについては、いままで どおりでよろしいということでしょうか。 ○雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課長 ご紹介いたしますと、ここに書いておりま すうちで代替要員確保コース、休業中能力アップコースについては、これまで過去1年 の継続勤務要件がついておりましたのを外して、より使いやすくするという改正をして おります。また、職場風土改革コースですが、こちらは21世紀職業財団が運営しており ますが、21世紀職業財団で募集をした企業が職場風土改革の取組みをして成果を上げた 場合に助成金を出すというものでしたが、2年間の助成コースのうち、2年目については 支給をしますが、1年目については新規募集はしないということで、縮小廃止と考えて おります。この理由といたしまして、21世紀職業財団につきましては、昨年の事業仕分 けの中で、なるべく効率的な助成金の実施、将来的には21世紀職業財団での助成金の支 給をやめるという結論が出ているということに基づくものです。 ○大橋分科会長 ほかにございませんでしょうか。特にないようでしたら、当分科会と しましては、厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告を申 し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それでは報告文(案)の配付をお願いいたします。                (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長 あて、ご報告することとしてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それではそのように報告させていただきます。  次の議題は「雇用保険法施行規則及び雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要 綱及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告 示案要綱について」です。雇用保険法等の一部を改正する法律につきましては、本日成 立し、関係する省令案などの要綱につきまして、本日厚生労働大臣より諮問がなされま した。これにつきましては、施行日との関係から、雇用保険部会において、あらかじめ 議論を行っていただいております。事務局よりご説明をいただき、そのあとで岩村雇用 保険部会長代理により、雇用保険部会における議論のご報告をお願いいたします。 ○雇用保険課長 事務局の雇用保険課長でございます。私のほうから、今回お諮りさせ ていただいております内容についてご説明いたします。まずお手元の資料No.3-1と3-2が 今回お諮りする省令案についての要綱とその概要です。後ほど併せてご説明しますが、 22年度の雇用保険率の変更の告示案の諮問文が3-3、概要が3-4ということです。No.3-5 には、参考資料としまして、雇用保険部会報告、参照条文等を配付させていただいてお ります。  まず1点目の省令案の要綱についてご説明いたします。お手元のNo.3-1の省令案要綱を ご覧いただき、No.3-2の概要も参考にしていただければと思います。今回の省令改正の 内容ですが、今般、適用基準の改正を行うということで、31日以上の雇用見込み等を法 律で定めましたけれども、併せて適用除外となる方についての法律の整理をしておりま す。その際、適用除外となる学生または生徒の範囲を新たに定めるということが1点。 被保険者となった場合に、被保険者の資格届出の提出を事業主にしていただくことにな っておりますが、その添付書類に関する規定を改正するということがもう1点です。  最後には、日雇労働被保険者から一般労働被保険者への切替えの手続についての規定 を追加するという点、この3点が今回の省令の改正の内容です。  まず1点目の適用除外となる学生または生徒の関係ですが、お手元の省令案要綱の第 一の一になります。この点につきましては、このたびの法律改正において、適用範囲の 明確化を図る中で、学生につきましては原則として適用除外とするということとした上 で、その具体的なところを省令に引用するという形にしております。省令におきまして は、適用となる方をわかりやすくするために、一の柱書きにありますように、省令で掲 げる方以外を適用除外とするという形としており、学生であっても適用される方を規定 するという形を取っております。今般、ここで具体的に規定している方についてが適用 となるということになります。この内容につきましては、新たな適用基準の変更ではな くて、現在においても適用対象となっている方について明確化をしていくということで す。  (一)から(四)にありますように、具体的には卒業予定をしている方であってとい うことですが、大学4年生などの内定者の方を意図して書いております。(二)は休学 して働く方ということです。(三)は定時制の課程に在学する方ということです。 (四)はこれらに準ずる方として、職業安定局長が定めるものということで、具体的に は安定局長の通知要領で定めることとしておりますが、具体的には通信制の学生であっ たり、あるいは企業から派遣されて大学や大学院の学生となられる方を予定しておりま す。  2つ目です。被保険者となったことの届出についての添付書類等に関する規定の改正 です。この点につきましては、年末の雇用保険部会の報告にもありましたとおり、今 般、適用拡大をするということで、事業主側での事務手続の負担軽減を図るべしという ことで、被保険者の資格取得届の提出の際の添付書類の軽減を行うためのものです。具 体的には(一)として資格取得届を提出する際に、現在は労働契約書、労働者名簿、賃 金台帳の3点を原則として提出していただいていますが、それを原則として添付不要と するというのが2頁の冒頭です。ただ、(二)にありますように、一定のケースについ ては、職業安定所としてより確認が必要ということから、この3点についての提出をお 願いするということです。具体的には(二)のイ以下に提出していただく場合を書いて おりますが、その事業主において初めて資格取得届を提出する場合、資格取得届の期限 を超えて提出する場合、過去3年間に不正受給に関与していた事業主の場合ということ です。  ニにその他として書いてありますが、資格取得届の記載事項に疑義がある場合という ようなことで、例えば有期契約なのに期間の定めがないというような形で、記載内容に 疑義があるというようなケースについては提出をしていただく。あるいはそれに同じく して、著しい労働関係法令の違反が見受けられるような事業主については、安定局長が 定める場合という形にしてご提出をお願いするということです。  次の頁の(三)以下ですが、いま申し上げた(一)(二)が原則ですが、従来どおり の取扱いを省令として明定しておりますが、同居の親族あるいは安定局長が定めるもの ということで、例えば会社の取締役というような方などで、特に労働者であることの確 認を要するというケースが出てくる場合については、先ほどの3点に加えて、安定局長 が定める書類として、例えば就業規則などの提出を求めるというものです。(四)は、 現在も従来どおりですが、社会保険労務士や労働保険事務組合を通じて手続をされると いう場合については、書類を添えないことができるということです。  三は、日雇労働被保険者から一般被保険者への切替えについての規定の整備です。現 行も日雇労働被保険者から2か月、各月で18日以上雇用日がある方については、その翌 月から一般被保険者に切り替わるという措置が置かれていますが、今回の一般被保険者 の適用拡大に合わせまして、一般の適用基準である31日以上、同一の事業主に継続して 雇用される日雇労働被保険者の方については、その実績をもって、31日目に一般労働被 保険者に切り替わるということが、法律の改正ということで盛り込まれています。現在 のところ、先ほどのような、2か月で18日という者と同様の手続で、31日以上の雇用実 績で切り替わる方についても措置をするということがこの大きな三です。具体的には、 (一)以下の手続で、例えば(一)は、切り替わった日の翌月の末日までに被保険者手 帳を安定所長のほうにご提出いただくというような手続を書かせていただいておりま す。手続は(一)から(三)ということになります。(四)で厚生労働省令で定める率 ということで、13/2000という率を定めていますが、こちらのほうは切り替わった場合 に、賃金日額を算出するのに必要な一般被保険者としての賃金を算出するために、切り 替わる前の印紙保険料の額から、一定の割合で割り戻して、日雇の労働被保険者であっ た期間の賃金を計算するということで、印紙保険料から、元の賃金を近似値として出す ための比率を定めさせていただいています。その他、技術的な所要の規定の整備を行う ということを内容としており、施行期日は平成22年の4月1日からということでお諮りを するものです。  続きまして資料No.3-3、3-4です。こちらのほうは、冒頭申し上げましたとおり、平成 22年の雇用保険料率についてお諮りをするものです。No.3-3の次の頁にもありますよう に、平成22年の4月1日から1年間、雇用保険率を15.5/1000とすることをお諮りをすると いうものです。具体的には資料No.3-4の「趣旨」にありますように、失業等給付に係る 雇用保険料率につきましては、積立金の状況を勘案し、原則16/1000であるところ、年 末の部会報告でもありましたように、弾力条項の発動ということで、12/1000に引き下 げるということでお諮りをさせていただくというものです。  また、雇用保険二事業に係る雇用保険料率については、今般成立した「雇用保険法 等の一部を改正する法律案」によりまして、平成22年度につきましては、弾力条項を 発動しないということで、3.5/1000とするということで、合わせて、2の「告示の概要 」にもありますように、一般の事業におきましては15.5/1000、農林水産・清酒製造業 につきましては17.5/1000、建設業につきましては18.5/1000と、平成22年度の雇用保 険料率を定めるという形で告示をさせていただきたいという案です。事務局からの説 明は以上です。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。それでは岩村部会長代理より、雇用保険 部会での議論についてご説明をお願いいたします。 ○岩村委員 清家部会長が所用でご欠席ですので、部会長代理の私から報告させてい ただきます。ただいまご議論いただいております、「雇用保険法施行規則及び雇用対 策法施行規則の一部を改正する省令案要綱及び労働保険の保険料の徴収等に関する法 律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱」につきましては、この分科会に 先立って、先ほど行われました雇用保険部会において審議いたしまして、厚生労働省 案を妥当と認めるという結論を得たところでございます。以上、ご報告申し上げます。 ○大橋分科会長 ありがとうございました。本件につきましてご意見がありましたらお 願いいたします。よろしいですか。特にご意見がないようですので、これまでの議論を 踏まえまして、当分科会としましては、厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働 政策審議会長にご報告を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それでは報告文案の配付をお願いいたします。                (報告文(案)配付) ○大橋分科会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長 あて、ご報告することとしてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋分科会長 それでは、そのように報告させていただきます。  続きまして、改正労働者派遣法案の国会提出状況等について、森山職業安定局長より ご発言があるとのことですので、よろしくお願いいたします。 ○職業安定局長 安定局長の森山です。私のほうから、改正労働者派遣法案の閣議決定 までの経過のご説明とお詫びを申し上げます。この法案は3月19日に閣議決定をされて います。それまでの間、この内容につきましては、労働政策審議会におきまして、労使 がぎりぎりの合意をしたものであるということを踏まえまして、私ども厚生労働省にお きましては、長妻大臣以下、この法案の内容は答申どおりとすべきという方針で、政府 与党内での調整を続けてまいりましたが、その調整が完了せず、いわゆる派遣法のよう な予算非関連法案の閣議決定が3月12日までが提出期限でしたが、そこまでに調整がで きなかったということで、3月12日の閣議を遅延をせざるを得なかったわけでございま す。まとまらないということでしたので、翌週の3月17日に、基本政策閣僚委員会が開 かれました。これは与党党首のこういう問題での話し合いの場ということですが、それ が開催をされました。  その場におきましても、長妻大臣からは、この内容は答申どおりとすべきであるとい う主張をしていただきましたが、その場におきまして、無期雇用の派遣労働者につい て、特定目的行為、いわゆる事前面接等を可能とするという項目につきまして、削除を するということで決着を図るようにとの裁定がありました。政府としまして、この法案 を提出することが急務であるなどの諸般の事情を考慮いたしまして、政治判断によりや むを得ず了承したということです。  このことによりまして、この労働政策審議会におきまして、公労使三者の合意の変更 をしたこと、そしてまた、労働政策に関する政策決定過程のあり方に懸念を与えること になってしまったことにつきまして、誠に申し訳なく、お詫びを申し上げる次第でござ います。私としましては、今後ともこの労働政策審議会の答申が公労使三者の合意であ ることを十分に踏まえながら、これを尊重して、今後は今回のようなことがないように する所存でございます。また、この改正の労働者派遣法案につきましては、速やかな国 会成立を期しつつ、成立の暁には、円滑な施行を図ってまいりたいと思っています。今 後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします。 ○大橋分科会長 私も安定分科会長として一言申し上げさせていただきます。三者構成 による労働政策審議会というのは、大変重いものでして、ある意味では社会契約と考え てもいいと思います。閣議決定に至る経過を見ますと、社会契約というものをあまり尊 重されないような形で事態が展開したというのは、大変残念に思います。しかも、社会 契約ですから、契約の自由ということも、この社会では前提になっていると思います。 しかもそれが派遣労働者に有利な形で改正案ができたにもかかわらず、それに対して反 対があったということは大変残念ですし、また、当然尊重をされて然るべき案だと私は 思います。すみません、そういうことで。 ○新谷委員 いま、森山職業安定局長から経過と謝罪のお言葉をいただいたわけです し、この間の経過につきましては、連合としても十分に承知をしているところでござい ます。また、大橋分科会長からもお言葉がありましたので、くどくどとは申し上げませ んが、今後はこういうことのないように、公労使三者で構成する審議会の答申内容をぜ ひ尊重をしていただきたいと思いますし、また派遣法の改正法案につきましては、2008 年の閣法が廃案になったという経過もあります。こういう経過を再びたどらないよう に、今国会での早期成立に向けて、政府としても全力を上げて取組みをいただきたいと 思っています。  どこで申し上げようかと思っていたのですが、1点申し上げたいところがあります。 いま地方分権改革に関する論議がなされておりまして、内閣府では地域主権戦略会議が 設置をされて、検討されていますし、一方では、全国知事会の中でも、「国の出先機関 原則廃止プロジェクトチーム」が結成されて検討が進められております。先日、この全 国知事会のプロジェクトチームの中間報告が出されております。その中で、都道府県労 働局の地方移管ということが中間報告の中で結論づけをされています。この職業安定分 科会にも関係するところですが、公共職業安定所が行っている、無料職業紹介事業の事 務であるとか、また労働保険の認定・給付及び労働保険料等の徴収の事務について、こ れらを都道府県に移管をするということが論議されております。私どもとしては、国と 地方のあり方は十分論議をしていただくとしても、全国一律的に国が責任を持ってネッ トワークを残していただく部分は当然あると思いますので、国に残す事務のあり方につ いては、慎重に検討していただきたいと思っています。厚生労働省としても、その辺の 論議をぜひ前向きに捉えていただいて、ご対応をお願いしたいと思います。以上です。 ○大橋分科会長 全般的に総務評価に、いろいろな推進委員会なるものができたり、本 来ここで議論すべき論点がほかでなされたりして、その視点がいろいろと違っているわ けです。例えばハローワークの議論でしたら、いまの推進会議のほうでは、地方分権と いう形で議論がなされていますし、ここは職業紹介事業の本来あるべき姿を検討してい るわけですから、その辺の視点の違いのようなものをどのように調整していくか。本来 ならばまず最初にあるべき姿を議論して、それからいろいろな視点を入れていけばいい と思うのですが、端のほうというと問題かもしれませんが、そういった視点から議論さ れるのは、はなはだ遺憾だと思います。  ということで、ほかにご意見がありましたらどうぞお願いいたします。 ○征矢委員 ただいまの点につきまして、私も昔、実際に経験したものですから、基本 的にこの問題については、前にも申し上げましたが、ILO条約あるいは憲法の27条、22 条、これが出発点であり、そこを踏まえてどうあるべきかということを、きちんと議論 すべき問題だと思います。 ○岩村委員 1点だけ付け加えますと、労働局の都道府県移管、あるいは例えばハロー ワークの都道府県移管、その他何でもいいのですが、現行の地方自治法の下では、要す るにそれを民間に出すことができてしまうのです。いわゆる地方分権で、労働政策関係 を地方でばらばらにやるというだけではなくて、さらにそれを民間委託でしていってし まうという、そういう問題も実は裏に、さらに入っているということも、意識しておく 必要があるだろうと思います。国ですとそのようにならないので、別途法律上の議論を しなければいけないのですが、都道府県になってしまいますと、地方自治法上指定管理 者制度も入っているものですから、直ちにできるということがありますので、議論のコ ンテキストが、実はほかのところに広がるということも踏まえておく必要があるだろう と思います。 ○大橋分科会長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本日の分 科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審 議会運営規程第6条により、会長のほか2名の委員にご署名をいただくことになっていま す。つきましては労働者代表の堀委員、使用者代表の上野委員にお願いいたします。ど うもありがとうございました。                   (照会窓口)                     厚生労働省職業安定局総務課総務係                     TEL:03-5253-1111(内線5711)