10/03/30 第44回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第44回 労働政策審議会 障害者雇用分科会議事録 1.日時    平成22年3月30日(金)9:00〜10:30 2.場所   厚生労働省 共用第7会議室(5階) 3.出席者  ○ 委員 (公益代表) 今野委員、岩村委員、菊池委員、松矢委員   (労働者代表) 石上委員、野村委員、花井委員、矢鳴委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、高橋(弘)委員   (障害者代表) 川崎委員、鈴木委員、松井委員、大久保氏(副島委員代理)  ○ 事務局  熊谷高齢・障害者雇用対策部長、吉永企画課長、奈尾障害者雇用対策課長、藤井地 域就労支援室長、渡辺障害者雇用対策課調査官、佐藤障害者雇用対策課主任障害者 雇用専門官、松崎障害者雇用対策課長補佐    4.議題 (1)労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間的な取りまと め(案)について (2)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について (諮問) (3)その他 5.資料  1 労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間的な取りまと め(案) 2 障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問文) 6.参考資料 1 障害者雇用納付金制度に基づく助成金の短時間労働者への拡大等について 2 障害者雇用納付金制度に基づく助成金 7. 議事録経過 ○今野会長  それでは、時間になりましたので、ただいまより「第44回労働政策審議会障害者雇 用分科会」を開催いたします。本日は、佐藤委員、平木委員、副島委員が欠席です。 なお、副島委員の代理として大久保さんが出席されています。    それでは、議事に入らせていただきます。お手元の議事次第にありますように、今日 は第1番目は、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間 的な取りまとめ(案)について、2番目は、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規 則の一部を改正する省令案要綱について、3番は「その他」になっています。     まず、1番目の議題から入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。 ○障害者雇用対策課長  議題1についてご説明します。お手元の資料1をご覧ください。資料1「労働・雇用 分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間的な取りまとめ(案)」で、 これまでの議論の概略をまとめております。最初の10行で今回の取りまとめ(案)の 経緯と趣旨を書いています。これを読ませていただきます。 「 当分科会においては、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方 に関する研究会における成果を踏まえ、障害者権利条約の批准が行われる場合には、 これに合わせて障害者雇用促進法の改正を含めた対応を図ることとするため、昨年 10月より、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する具体 的な検討を行ってきたところである。当分科会においては、昨年12月までに、労働・ 雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する主要な論点について一 通りの議論を行ってきたところであるので、今後の障害者雇用促進法の見直しに係 る議論に資する観点から、以下のとおり、当分科会における障害者雇用促進法の見 直しに係る主な議論を中間的に取りまとめた。 」    具体的な中身につきましては、第1以降で書いており、第1が「基本的枠組み」、 第2として「差別の禁止」、第3で「合理的配慮」、第4の「権利保護の在り方」という ことで、ほぼ議論した順番に沿いまして取りまとめたものです。以下、読ませていた だきます。   「 第1 基本的枠組み    1 枠組みの全体像    労働・雇用分野における障害を理由とする差別の禁止及び合理的配慮の提供につ いては、実効性を担保するための仕組みを含めて国内法制に位置づけることが必要 であることについて、異論はなかった。また、障害者雇用率制度について、障害者 権利条約(以下「条約」という。)においては積極的差別是正措置をとるべきだとい うことが盛り込まれており、また、我が国における障害者雇用率制度は成果を上げ てきていることから、引き続き残すべきことについて意見が出され、異論はなかっ た。    2 差別禁止等枠組みの対象範囲 (1)障害者の範囲  差別禁止等の対象とする障害者の範囲は、現行の障害者雇用率制度の対象より 広範囲なものとし、障害者雇用促進法第2条に規定する障害者としてはどうかと の意見が出され、異論はなかった。また、労働者代表委員から、発達障害者支援 法第2条に規定する発達障害者についても障害者の範囲に入れてはどうかとの意 見が出された。    (2)事業主の範囲  労働者代表委員からは、差別禁止等を義務付ける事業主の範囲については全て の事業主とすべきとの意見が出された。これに対し、使用者代表委員からは、と りわけ中小企業事業主については、段階的な実施も含め、一定の配慮が必要との 意見が出された。    第2 障害を理由とする差別の禁止    1 基本的考え方     障害を理由とする差別を禁止することについて、異論はなかった。また、労働者代 表委員及び障害者代表委員から、差別禁止の実効性を担保するためには、企業での 啓発的な活動を合理的配慮の内容に位置付けるべきではないかとの意見が出された。    2 禁止すべき差別     条約においては、雇用に係るすべての事項を差別禁止対象としており、主な対象と しては、募集・採用の機会、賃金その他の労働条件、昇進・配置その他の処遇、教 育訓練、雇用の継続・終了(解雇・雇止め等)が考えられることについて意見が出 され、異論はなかった。また、労働者代表委員から、禁止すべき差別の中に間接差 別も含まれるのではないかとの意見が出された。これに対し、公益委員及び使用者 代表委員から、具体的な判断基準を示すのは困難ではないかとの意見が出された。    3 その他     労働者代表委員から、障害を理由とする解雇や雇止めなどを無効にするといった、 私法上の効果を規定すべきとの意見が出された。    第3 職場における合理的配慮    1 合理的配慮の内容  (1)基本的考え方  障害者に対して職場における合理的配慮の提供を事業主に義務付けることにつ いて、異論はなかった。また、合理的配慮は個々の労働者の障害や職場の状況に 応じて提供されるものであり、多様かつ個別性が高いものであるので、法律では 合理的配慮の概念を定め、具体的な配慮の内容等については、配慮の視点を類型 化しつつ、指針として定めることが適当であることについて意見が出され、異論 はなかった。合理的配慮は、障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で 可能な限り提供されるべき性質のものであり、最初から細部まで固定した内容の ものとすることは適切でないことについて意見が出され、異論はなかった。    (2)合理的配慮提供の枠組み  公益委員から、合理的配慮提供の枠組みとしては、例えば、施設・設備の整備、 人的支援、職場のマネージメント及び医療に関する配慮といった枠組みで考えて いくべきではないかとの意見が出された。    (3)合理的配慮の内容  募集・採用の機会(採用の機会におけるコミュニケーション支援等を含む)が 合理的配慮の内容に入ることについて意見が出され、異論はなかった。公益委員 から、教育訓練についても対象となるのではないかとの意見が出された。また、 使用者代表委員からは、通勤時の移動支援等、労働時間外のものを合理的配慮の 対象に含めることは適当でないとの意見が出された。(4)合理的配慮提供の実効性 担保。合理的配慮提供の実効性を担保するためには、あまり確定的に権利義務関 係で考えるのではなく、指針等により好事例を示しつつ、当事者間の話合いや第 三者が入ってのアドバイスの中で、必要なものを個別に考えていくことが適切で あることについて意見が出され、異論はなかった。労働者代表委員から、合理的 配慮を求めた障害者に対する事業主の不利益取扱を禁止すべきであるとの意見が 出された。労働者代表委員、使用者代表委員及び障害者代表委員から、障害者に 対する合理的配慮を行う事業主の負担に対する助成の在り方を検討するべきでは ないかとの意見があった。    2 合理的配慮の提供のための仕組み  相談体制も含め、合理的配慮が適切に提供されるための仕組みを検討する必要が あることについて意見が出され、異論はなかった。また、公益委員及び障害者代 表委員から、職場において、具体的にどのような合理的配慮が必要か、障害者本人 が十分な意思表示をできない場合は、第三者が関与できるようにした上で、使用者 と障害者が話し合えるようにする必要があるとの意見が出された。    3 過度の負担  (1)過度の負担の判断  事業主にとって配慮の提供が過度の負担となる場合には、事業主が合理的配慮 の提供義務を負わないということについて、異論はなかった。過度の負担につい ては、合理的配慮と同様に非常に個別性が強いことから、企業の事業規模等を総 合的に勘案して、個別に判断する必要があり、判断基準として一律の数値基準を 設けることにはなじまないということについて意見が出され、異論はなかった。 また、使用者代表委員から、仮に指針において過度な負担の判断基準を記載する としても、あくまで一つの参考情報として位置付け、基準に対応した事例の集積 を待つことが適切であるとの意見が出された。使用者代表委員から、過度の負担 か否かを判断する要素として、企業規模のみならず、企業がその時々に置かれて いる財政状況や経営環境全般が考慮されるべきであるとの意見が出された。障害 者代表委員から、企業が新しく障害者を雇う際には、企業が提供可能な合理的配 慮の限界を提示する必要があるとの意見が出された。労働者代表委員から、過度 の負担に該当するかについては、使用者側がまず説明責任を負うべきではないか との意見が出された。    (2)公的助成との関係  労働者代表委員及び使用者代表委員から、公的な助成等を考慮した上で過度の 負担か否かを判断すべきではないかとの意見が出された。    第4「権利保護(紛争解決手続)の在り方」    1 企業内における紛争解決手続 企業内における労使の十分な話し合いや相互理解等により、できる限り自主的に 問題が解決されるべきであること、企業内で自主的に解決しない場合は、外部の 第三者機関による解決を図るべきであるが、刑罰法規や準司法的手続のような判 定的な形で行うのではなく、調整的な解決を重視すべきであることについて意見 が出され、異論はなかった。    2 外部機関等による紛争解決手続  紛争の早期解決、実効性を考えると、紛争解決手続として、既に存在する紛争調 整委員会を活用した仕組みとすることが妥当であることについて意見が出され、 異論はなかった。労働者代表委員から、仮に紛争調整委員会を活用する場合には、 出頭命令を行いうることとした上で出頭命令に応じられない場合に過料を課す等の 権限の付与や、勧告権限、企業名公表等の権限の付与が必要であるとの意見が出さ れた。また、原告労働者に負担がかからないよう使用者との立証責任の配分をある 程度決めておく必要があるとの意見が出された。公益委員及び労働者代表委員から、 仮に紛争調整委員会を活用する場合には、労使代表、障害者雇用に関する専門家や 障害当事者の関与を可能とすることが必要であるとの意見が出された。 」   以上です。   いまの件について、ご意見、ご質問がございましたらお願いします。 ○大島委員  まず、資料の1頁の第1の2の(1)の「障害者の範囲」ですが、差別禁止等の対象とす る障害者の範囲は、現行の障害者雇用率制度の対象より広範囲なものとし、障害者雇用 促進法第2条に規定する障害者とする、とありますが、これについて意見を申し上げたい と思います。現行の障害者雇用率制度においては、障害者の範囲を明確に定めていて、 対象となる障害者を客観的に判断することが可能です。   一方、より広範囲なものとなる障害者雇用促進法第2条に規定する障害者については、 障害者と判断するための客観的な基準が必要と考えられます。例えば採用の段階で企業 側が、障害を持つ求職者から障害の有無を告知されていない場合、企業がその実態を予 見することができなければ、事前に合理的配慮の提供ができないということもあり得ま す。結果としてその人が不採用となった場合に、後に障害者から配慮がなかったとの申 告をされ、トラブルとなる可能性も出てまいります。企業の立場としましては、特定の 労働者が障害者に含まれることについて、予見の可能性が担保されることを求めたいと 思っています。 ○今野会長   ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。 ○大島委員  もう1点よろしいですか。資料の2頁の第3の「職場における合理的配慮」の項ですが、 合理的配慮並びに過度の負担について、指針で定めるに当たっては、以前から申し上げ ているのですが、企業にとって予見可能性を持たせる表記となるように、できるだけ努 めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○今野会長   ほかにいかがですか。 ○花井委員  2頁の第2「障害を理由とする差別の禁止」の2の「禁止すべき差別」のところですが、 「条約においては」とありますが、条約においては、たぶん合理的配慮の拒否も差別に 当たるとなっていたかと思うので、そのことが含まれているという前提なのか、そこの 確認をお願いしたいと思います。 ○今野会長   ご質問ですね。 ○花井委員   はい。 ○障害者雇用対策課長  条約におきましては、差別の定義の中で、合理的配慮の提供の否定を含む、という書 き方であったかと思います。4枚の今回の取りまとめですが、これまで5回の10月以降 の議論を取りまとめたものです。その中で明示的に合理的配慮の提供の否定が差別に含 まれるべきであるというご意見がなかったのではないかと思っておりますので、この中 では取りまとめられていないというものです。ただ、これは中間的取りまとめですので、 今後、具体的にさらに議論を深めて、法制化を図るタイミングがきた段階で、どのよう に考えていくべきかというのは、また別途ご議論かと思っております。 ○今野会長   ほかにいかがでしょうか。 ○高橋(弘)委員  何点か質問と意見があります。まず1点目は、1頁目の第1の「基本的枠組み」の1の 「枠組みの全体像」の2行目のところなのですが、「実効性を担保するための仕組みを含 めて国内法制に位置づける」と。国内法制という言葉がよくわからないのです。私の個 人的な感想かもしれませんが、私としてはこの分科会で議論しているのは、障害者雇用 促進法の改正を念頭において議論をさせていただいていたつもりでしたので、「国内法制」 という非常に抽象的な表現になったのはどうしてなのか、これは質問です。   2点目は意見なのですが、2頁の上から3〜4行目のところです。「これに対し、使用者 代表委員からは、とりわけ中小企業事業主については、段階的な実施も含め、一定の配 慮が必要との意見が出された」ということですが、皆様のご意見、中小企業の代表の委 員のお話を伺っていても、単に段階的な実施だけではなくて、やはり中小企業の職場の 現場の状況や外部の支援といったことも非常に重要だというご指摘も、再三されていた のではないかと思いますので、「段階的実施も含め」の前に何らかの文章を挿入していた だいて、職場の就業環境とか、公的な支援機関の整備状況といったようなものも勘案し ながらという趣旨の表現を挿入していただいたほうがよろしいのではないかなと思いま す。   これも意見なのですが、3頁の(4)の「合理的配慮提供の実効性担保」の最初の段落で す。「指針等により好事例を示しつつ」のあとなのですが、「当事者間の話合いや第三者 が入ってのアドバイスの中で、必要なものを個別に考えていくことが適切である」と。 全体としてはそういう趣旨なのですが、私の意見といたしましては、まず何よりも実効 性担保のためには、いきなり第三者が入るというような形ではなくて、まず当事者間の 話合いが有りきで、そこで十分に話し合っていくと。それで必要に応じて、第三者が入 ってアドバイスを求めていくという趣旨のほうがよろしいのではないかと思いますので、 その辺りを含めて、少し文章を修文していただいたほうがよろしいと思います。   それから、3頁の下から4行目からの「使用者代表委員から」という3行にわたる文章 なのですが、「過度の負担か否かを判断する要素」ということで、文章の趣旨自体は理解 するのですが、ここの部分は私も強く申し上げていた部分なのですが、企業規模有りき というような形のようにも読めるような文章だと思います。極めて個別性が強い、合理 的な配慮という概念からいたしまして、様々な要素を勘案するという趣旨だと思うので すが、「企業規模のみならず」となりますと、まず企業規模が有りきなのだというように 読めますので、その辺りを修正していただいたほうがよろしいのではないかと思ってい ます。   もう1点。これは単に確認的に質問させていただきたいと思いますが、4頁の2行目か ら3行目にかかる、労働者代表委員からの意見ということで、「過度の負担に該当するか については、使用者側がまず説明責任を負うべきではないかとの意見が出された」、この 趣旨というのは、職場において労働者側から意見が出された場合に、まず使用者側が説 明責任を負うという趣旨であって、裁判等も含めて意識をしているつもりはないという ことだというように理解をしてよろしいかどうかということです。以上です。 ○今野会長   それでは質問からいきましょうか。2点ありましたが。 ○障害者雇用対策課長  まず1点目の1頁の第1「基本的枠組み」の1の「枠組みの全体像」の中で、2行目の 「国内法制」という趣旨です。ご指摘のとおり、去年の10月から議論を開始していたわ けですが、その際の10月の議論といたしましては、労働・雇用分野で障害者権利条約へ の対応の在り方を検討すると。その際は、障害者雇用促進法の改正を含めた対応を図る ということで、最初に議論が開始した経緯かと思います。そのうえで国内法制という言 葉ですが、これは障害者権利条約全般の動向の中で、どういった法制を見直していくべ きかというのは、政府全体の方針の中で現在まだ検討中という段階ですので、障害者雇 用促進法の改正のみで対応できるのかということは、現段階ではそこまでは確定できな いだろうということで、当然、障害者雇用促進法の改正を含めてですが、国内法制とい う書き方になっているところです。これがまず第1点です。   それから、いちばん最後の頁で、過度の負担の説明責任ですが、いま手元にはどなたの どの回のご発言かというのはないわけですが、過度な負担につきましては、労働者の側 から、こういった配慮をしていただきたいという話があった場合に、基本は、そこでそ れは過度な負担だからそこまでは難しいという話があろうかと思います。基本的に説明 責任といった場合に、これは難しいですよという労使での現場での話合いの場の説明と いう場面があろうかと思いますが、通常、説明責任といった場合には、そういった話と、 あるいはもうちょっと正式な段階の話と両方含み得るのかなというニュアンスがありま すが、実際その辺りの議論がどういう経緯でその場でされたのかというのを、少し精査 しながら見ていく必要があるかと思っております。恐縮ですが、すぐには今お手元にこ の部分の発言がありませんが、こういう発言が事実あったわけですので、それを取りま とめさせていただいたというものです。 ○今野会長  2点目については、労働者代表委員から意見が出されたのだから、労働者側委員はどう 考えられましたかということだと思います。花井さんどうですか。 ○花井委員  ここの趣旨は、裁判までは想定しておりませんがが、要するに財政状況が厳しいから とか企業規模によって厳しいから、最初からできないのだということではなくて、なぜ できないのかを使用者側が説明する。ですから高橋委員がおっしゃった、裁判まで想定 してということではなくて、企業の中での話合いのときにという趣旨で意見を言ったと いうことです。 ○今野会長  あとはご意見ですので、伺っておきますか。文章を読むと、みんな平気ではないかと いう感じもしたのだけど、ですから修文を少し考えさせていただけますが。例えば2頁目 で高橋委員がおっしゃられたのは、「段階的な実施も含め」の前に、もう少し具体的に、 こういうことがあり得るのだという例示か何かを入れてくれということですよね。 ○高橋(弘)委員  勘案する事項などの例示を入れたほうがよろしいのではないでしょうかという提案な のですが。 ○今野会長   いずれにしても、趣旨は変えろということではないので。 ○高橋(弘)委員   趣旨を変えろということではありません。 ○今野会長   では、修文は考えさせていただいて。ほかにいかがでしょうか。 ○高橋(弘)委員   あと3頁の(4)ですが、まずは当事者間の話合いをという趣旨の。 ○今野会長  これも普通に考えたら、まずは当事者で話をしてということだと思うのですが、それ を明確にしろという話でしょう。でも、いろいろなケースが考えられるから。普通にい ったらそうですよね。最初からこじれていたらそうはいかないなとか、いろいろなケー スが考えられますが、普通に考えたらまず当事者で話して、なかなかまとまらなかった ら第三者に入ってもらうのでしょう。最初からこじれたら、最初から第三者というのも あり得ないことではないのですが。ですから、これでは駄目ですか。 ○高橋(弘)委員  3行目の「必要なものを個別に考えていく」というのも、今一つ文章の意味がよくわか らなかったのです。もともと個別なので、必要なものを個別にという趣旨もよくわから なかったのですが。 ○今野会長   必要な対応策を個別に考えていくのではないのですか。 ○高橋(弘)委員   それが原則ですよね。 ○今野会長   これはそういう意味でしょ。 ○高橋(弘)委員  すみません、私が個人的にもし直すのであれば、この文章を大きな趣旨を変えろとい うつもりはないのですが、当事者間の話合いを基本におきながら、必要に応じて、第三 者が入ってのアドバイスを活用するなど、個別の状況を十分に考えていくことが適切で ある。 ○今野会長  たぶん、ここの文章の「必要なもの」というのは、そういう意味の必要なものではな いですよね。たぶん必要な対策とか、そういう趣旨ですよね。 ○岩村委員  よろしいですか。高橋委員の言われることはわかるのですが、例えば知的障害者のこ とを考えると、そもそも当事者間での話合いということからスタートできるかどうか問 題なので、そうすると、まず当事者間というように位置づけるのが、ちょっと難しいの ではないかという気がするのです。ですので、そのときの「当事者」をどう定義するの かという問題もありますが、ここのところは知的障害者の方とか、そういうことを考え ると、この程度の表現にしていただいたほうが、適切ではないかという気はいたします が。 ○今野会長  たぶん、普通にいったら当事者で話し合うのが最初だというようには、皆さん思って いらっしゃるので、そこはあまり心配されなくても大丈夫なのだと思うのですが。 ○岩村委員  だから、この第三者というのも、全くの関係ない第三者というよりは、ここでのイメ ージは、やはり知的障害者あるいは精神障害者の方のことを考えたときに、当事者間で のコミュニケーションがなかなか難しいというようなことを考えた上での、第三者が入 ってアドバイスをするというイメージかなと私は理解していたので、高橋委員がおっし ゃるように、完全に2段階に分けてしまうというのは、逆に実態とは合わないのではない かという危惧を持ちます。 ○川崎委員  当事者のほうからも、いま先生方のおっしゃったとおりで、やはり最初に当事者の話 合いが有りきでもなくて、精神の人はなかなかコミュニケーションがとれないので、そ ういうサポートとして第三者が入るということが必要ではないかと思っております。 ○今野会長   高橋さん、大丈夫ですよ。もう1つ、3頁目の「企業規模のみならず」という。 ○岩村委員  それは企業規模の後の「のみならず」を削ってしまえば、「企業規模、企業がその時々 に置かれている財政状況や経営環境全般が考慮される」と。そのようにしたらよろしい のではないでしょうか。 ○今野会長   いずれにしても企業規模は重要な変数であることは確かですね。 ○高橋(弘)委員   重要な要素であることは否定しません。 ○今野会長   その辺は少し修文を考えさせていただきます。ほかにございますでしょうか。 ○大久保氏(副島委員代理)  今日は代理なのですが、気になったところだけ一言申し上げたいと思います。4頁目に 「権利保護(紛争解決手続)の在り方」とあります。このところで、いわゆる、いま片 一方で議論されている例えば差別禁止法の議論の中で、救済機関という考え方がありま すね。救済機関とこの調停委員会との位置づけというか関係性というか、この辺はどの ように考えたらいいのか、問題提起をさせていただきます。 ○障害者雇用対策課長  これまで、特に12月の議論におきましては、紛争の解決や実効性を考えた場合には、 既に存在する、しかも労働関係にノウハウが深い紛争調整委員会を活用するべきだと、 こういうことで大体異論がなかったかと思います、その上で、これは今後の全体の議論 次第かと思いますが、差別禁止法的なものが仮に今後どうなるか、その全体の中での紛 争解決機関ができた場合はどうなるのか、この辺りは全体像が見えた段階でまた少し検 討が必要かなと考えています。 ○今野会長   そういう問題提起があったということでお聞きしておけばいいですね。   ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、いくつもの意見をいた だきましたので、それを踏まえて一部修文をさせていただいて、中間取りまとめとした いと思います。文言の修正については私にご一任いただけると助かるのですが。                 (異議なし) ○今野会長   ではそういう形で対応させていただきます。  次の議題にまいります。次は「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を 改正する省令案要綱(諮問)」についてです。まず事務局から説明をお願いします。 ○障害者雇用対策課長  資料2をご覧ください。資料2の最初の2枚ですが、厚生労働省設置法第9条第1項第 1号の規定に基づき、別紙「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正す る省令案要綱」について、貴会の意見を求める、という本日付のペーパーがあります。   資料2の2頁目ですが、省令案の要綱といたしまして、第1として、納付金制度におけ る助成金の対象となる障害者の範囲の拡大ということで、第1の1で、各種助成金の名前 が並んでおりますが、こういった助成金で身体・知的の短時間について、助成金の対象 として追加するということが書かれています。第2として、施行期日ですが、平成22年 7月1日から施行するというものです。   この趣旨ですが、ご案内のとおり、先般の法律改正におきまして、今年の7月1日から、 重度以外の短時間労働者での障害者につきまして、0.5人カウントで雇用率制度に算入す るということが決まっています。この中で、では納付金でやっている助成金については どうするかということを考えた場合に、基本は同様に短時間である身体・知的の重度以 外の障害者も対象にすべきであろうということで、今回のご提案です。   要綱だけでは非常にわかりにくくて恐縮ですので、参考資料の1、2で主に説明します。 まず参考資料1ですが、「障害者雇用納付金制度に基づく助成金の短時間労働者への拡大 等について」という表題があり、黒で網掛けを付けた部分で、障害者の雇用の促進等に 関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、重度でない身体障害者又は知的障害者 である短時間労働者を、納付金制度に基づく助成金の対象にするという趣旨を書いてい ます。   現在、具体的にどういった助成金があるかについては、参考資料2をお開きください。 現行の助成金の概略からご説明します。現行の納付金制度の助成金の主なものをピック アップしています。順番に申し上げますと、まず1番上の四角ですが、障害者の方が作業 を容易に行えるような施設の設置・整備を行った場合の助成措置等です。1つ目の○が、 作業施設を設置等した場合。作業を容易に行うことができるような作業施設、例えばパ ソコン専用のソフトやハード、あるいは色別パトライト等がこれに当たりますが、こう いったものを設置・整備、賃借でももちろんいいのですが、そういったことをされた事 業主の方に支給する。実際掛かった費用の3分の2の額が助成される。上限額がそこに書 いてありますが、例えば設置の場合に450万円といった上限が設定されています。  次の○は、福祉施設設置等の助成金です。これは作業施設と異なり福祉施設ですが、 障害者の方が利用できるような保健施設、給食施設等の福利厚生施設。例えば休養室等 もこの場合に該当します。こういったものを整備して掛かった費用の3分の1を助成する、 上限は225万円ということです。   3つ目の○は、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金、いわゆる重多助成金です。 重多事業所の設置等を行った場合に支給されるものです。例えば新規雇用5〜9人で掛か った費用の原則3分の2、上限は1.5億円。これが10人以上になりますと、上限2億円と いった助成額です。   次に上から2つ目の四角で左側ですが、介助の場合の助成金があります。例で挙げてお りますが、障害者介助等助成金、適切な雇用管理のために必要な介助者等の配置・委嘱 を行う事業主に支給するものです。いくつか種類がありますが、例えば重度障害者の方 に職場介助者を配置したり委嘱するといった場合に、その要した費用の4分の3を助成し て、1人月15万円を限度とする。あるいは健康相談のための医師の委嘱をした場合に、 掛かった費用の4分の3を助成するなど、そういったものがいくつかあります。   その右側ですが、通勤の配慮を行った場合にも助成がありまして、重度障害者等通勤対 策助成金ということで、障害者の方の通勤を容易にするための措置を行う事業主等に支 給するということで、1回2,000円を支給する。あるいは主なものを申し上げますと、例 えば障害者用の住宅を新築した場合、賃借した場合にその一部を助成するとか、あるい は通勤用のバスを購入したり運転手を委嘱する場合に助成をするといったようなものが あります。   下から2つ目の四角ですが、職場適応援助者についての助成、いわゆるジョブコーチの 助成です。ジョブコーチは3つほど類型がありますが、例えば福祉施設に置かれている場 合の助成、あるいは事業主が職場適応援助者の配置を行う場合に、日額1万4,200円を原 則として支給するといった助成があります。   最後に能力開発の助成措置で、能力開発助成金。能力を開発し、向上させるための訓練 事業を行う事業主等の方が施設・設備の整備を行う場合に支給されるものです。これも いくつか種類がありますが、例えば第1種の上限2億円の助成です。   これを前提にして、どのように拡大するかは参考資料1に戻ります。参考資料1のIで すが、重度障害者等通勤対策助成金のように、事業主の負担が障害者の勤務時間と関係 しない助成金などを含めて、原則として、短時間労働者については、フルタイムの障害 者と同じ取扱いのまま、助成金の対象とする、というのが原則かと思います。これは例 えば通勤に掛かる費用や住宅の賃借・新築に要する費用は、フルタイムであってもパー トタイムであってもおそらく負担は変わりないだろうということで、同じ内容のまま拡 大したいというのがIの原則です。   IIですが、事業主の負担が作業時間の長短に比例するなど、異なる限度額等を設定する ことが適当な助成金については、例えば3行目にありますが、既にある業務遂行援助者の 配置助成金、これと同様に、限度額をフルタイムの半分にすると。現在、業務遂行援助 者につきましては、フルタイムが3万円、パートタイムが1.5万円で運用していますので、 それに倣いまして、支給限度額をフルタイムの半分にすると。具体的にこのIIに当たる ものが、作業施設設置と福祉施設設置です。これは作業時間の長短に概ね比例するかと 思いまして、支給限度額のみ半分にするということです。支給限度額のほかに支給率が ありますが、例えば作業施設については、支給率が掛かった費用の3分の2、福祉施設に ついては掛かった費用の3分の1ですが、支給率については変更しないということで、限 度額のみ半分にするという案でございます。   いちばん下のIIIですが、重度でない身体障害者及び知的障害者が対象になっていない助 成金やモデル的な内容を持つ助成金は、今回は対象にしないということです。これに該 当するのが介助等助成金の一部で、現在でも既に重度しか対象になっていないものが多 いということで、これは対象にならないわけでございます。いわゆる重度助成金につき ましては、多額の助成をするというのは、モデル的な色彩がかなり強いということで、 これにつきましては短時間の重度以外の身体・知的障害者は対象にしないということで 考えております。   したがって結論から言いますと、IIに該当するものは括弧書きの2つ、IIIについては現 行でも重度以外対象になっていないものについては、従来と同じく対象にしないという ことで、それ以外のIについては、基本的にフルタイムと同様の内容で拡大するという のが今回の提案でございます。 ○今野会長   それでは、ご意見、質問をお願いします。 ○川崎委員  実は精神障害者がこの対象になっていないということは、私の理解が間違っていれば ご指摘いただきたいのですが、雇用の義務率に入っていないということで、現行法がこ うなっているのでしょうか。もしもそうならば、やはり精神障害者も雇用義務の中に入 れていくような、私どもの働きかけが効果を出せるようなことをしたいと思っておりま すが。 ○障害者雇用対策課長  法定雇用率制度に対してはご指摘のとおり、精神障害者の方は入っていないわけです が、助成金については基本的に同様に対象にしています。 ○川崎委員   そうですか。 ○今野会長  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会としては厚生労 働省案を妥当と認めて、その旨を私から労働政策審議会会長に報告をして、労働政策審 議会会長から大臣へ答申がなされるということにしたいと思います。よろしいでしょう か。                 (異議なし) ○今野会長   そのようにさせていただきます。それでは案文を事務局から配付していただけますか。 ○障害者雇用対策課長  日付は本日付でございますが、今野分科会長から諏訪労働政策審議会会長宛の文書で ございます。 「 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」につ いて。平成22年3月30日付け厚生労働省発職高0330第1号をもって労働政策審議会に 諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記。厚生労働省 案は、妥当と認める。 」  以上でございます。 ○今野会長  よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。今日は「その他」 というのを考えたのですが、ないですね。それでは今日はこれで終わりたいと思います。 ○大島委員  本日の議題に載っていないと思うのですが、当分科会と政府による障害者制度推進会 議との関係についてなのですが、以前にも何人かの方からご意見が出ていると思うので すが、労働政策の決定に当たっては、公労使の三者構成による労働政策審議会の合意が 最大限尊重されるべきであり、先日の派遣法の改正案が労働審議会の諮問から一部変更 になったことは、大変に残念に思っています。政府による障害者制度推進会議において、 障害者権利条約の批准を視野に、施策分野別の分科会創設が予定されているということ ですが、本分科会がこれまで行ってきた議論を尊重されるべきだというように思います。 よろしくお願いします。 ○今野会長   そういう強い意見があったということをお伝えすればいいのですが、何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  内閣府に置かれております障害者制度改革推進本部と推進会議ですが、趣旨といたし ましては、障害者権利条約への対応、批准を前提とした国内法制の見直しと、それを含 めた障害者政策の全般的な見直しということで置かれているものと承知しています。こ の推進本部、推進会議と各省で行われている審議会というのは、これは各省とも同じよ うな問題がありますが、先般の派遣法の議論におきまして、国際条約等の要請がありま して、その中で労働施策については労使の意見を最大限尊重するべきだといった議論が あったかと思っております。基本的には、内閣府の推進本部と推進会議と、各省の調整 は、内閣府のほうで検討中と聞いていますが、本日そのような意見があったことについ てはお伝えしていきたいと思っております。 ○今野会長  強い意見があったということです。よろしくお願いします。それでは今日の分科会は これで終わりにしたいと思いますが、今後の障害者権利条約に対応するための本分科会 での議論の進め方についてですが、障害者権利条約の批准に向けた動きに合わせて、今 後行っていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。それでは今後の日程に ついて事務局からお願いします。 ○障害者雇用対策課長  分科会の今後の日程につきましては、分科会長ともご相談し、また追って事務局より ご連絡させていただきたいと思います。 ○今野会長  それでは、議事録の署名です。労働者代表委員は高橋睦子委員にお願いします。使用 者側代表委員は高橋弘行委員、障害者代表委員は松井委員でお願いいたします。それで は今日はこれで終わりにします。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係  〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2   TEL 03(5253)1111 内線(5783)