10/03/29 平成21年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録 平成21年度第10回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 日時 平成22年3月29日(月) 18:00〜      場所 ホテルはあといん乃木坂 312号室 ○佐野課長補佐 定刻になりましたので、平成21年度第10回「薬事・食品衛生審議会医 薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。本日の調査会は公開で行いま すが、カメラ撮りは議事に入るまでといたします。マスコミ関係者の方々におかれまし ては、ご理解とご協力をお願いいたします。傍聴の方々には、傍聴に際しての留意事項、 例えば静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと、座長及び座長の命を受けた事務 局職員の指示に従うことなどの厳守をお願いいたします。  本日ご出席の先生方におかれましては、お亡しい中お集まりいただき、ありがとうご ざいました。まず初めに参考人の先生方を紹介させていただきます。日本病院薬剤師会 副会長の遠藤先生、日本医師会常任理事の木下先生、東京大学大学院医学系研究科助教 の佐藤先生、日本骨髄腫患者の会副代表の上甲先生、大阪大学大学院薬学研究科教授の 那須先生、群馬大学医学部保健学科長の村上先生です。なお、日本薬剤師会副会長の生 出先生がご欠席です。また、安全対策調査会の委員の大野先生がご欠席です。  これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろ しくお願いします。  議事進行を松本先生にお願いいたします。 ○松本座長 事務局から審議参加に関する遵守事項について報告してください。 ○佐野課長補佐 まず、薬事分科会審議参加規程についてです。本日ご出席された委員 の方々の過去3年間における関連企業からの寄付金、契約金等の受け取り状況を報告し ます。本日の議題は、議題1及び議題2ともにサリドマイド製剤にかかるもので、多発生 骨髄腫の治療薬の製造販売業者である藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社、 セルジーン株式会社(申請中ですが)の三つの企業から過去3年度の寄付金等の受取りに ついて申告いただきました。なお、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資 料をお送りして確認をいただいています。  各委員からの申し出の状況から、今回の審議への不参加の委員はいませんでした。ま た、参考人におかれては、村上先生がセルジーンから50万円未満の受取り、藤本製薬株 式会社及びヤンセンファーマから50万円超から500万円の受取りとの申告がありました。 那須先生が藤本製薬から500万円以上の受取りとの申告がありましたが、しかしながら那 須先生は今回審議をするサリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)の第三者評価のための 受託研究で受領されていることなどから、今回の審議への参加には問題ないと考えられ ます。 ○松本座長 ただいま事務局からの説明がありました審議の際の申合わせ事項について はよろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて 了解いただいたものといたします。ありがとうございました。  続いて、事務局から本日の資料の確認をお願いします。 ○佐野課長補佐 本日お手元にお配りしている資料の確認をさせていただきます。「配 付資料一覧」を順に確認していきたいと思います。資料1-1「TERMS改正(案)」、資料 1-2「カプセルシート及び薬剤管理シート」、資料2「サレドカプセル100添付文書改正 (案)」、資料3「医薬品の安全管理審査に関する調査事業」、これは医薬品・医療機 器総合機構で行われた調査事業の報告です。  参考資料1、平成22年3月19日の安全対策部会の資料で、「医薬品等の安全管理方策 に関する審議について」です。参考資料2、「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)」、 参考資料3「国立病院機構仙台医療センターのサリドマイド製剤誤投与」昨年起きたも のですが、記者発表資料と通知のセットです。参考資料4「サレドカプセル100添付文 書」、参考資料5「TERMS第三者評価の現状」、以上が本日の資料です。 ○松本座長 資料はよろしいでしょうか。それでは、議題1及び2を続けて審議したい と思います。 サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)の改正及びサレドカプセル100の添付文書の改 正です。先生方にはよろしく御審議のほどお願いいたします。  本日の議事及び資料について、事務局から説明をお願いします。 ○佐野課長補佐 引き続き本日の資料の御説明をさせていただきます。資料1から2の 「TERMS及び添付文書改正(案)」などを御説明する前に、背景事象から御説明させて いただきます。  参考資料1を御覧ください。これは本年3月19日の医薬品等安全対策部会の資料です。 ここでサリドマイド製剤の安全管理手順(TERMS)及びそれに類する医薬品の安全管理 方策について新たに作成する、あるいは変更を行う場合には、この安全対策部会長の了 解を経て、安全対策調査会において事前整理及び調査審議等を行い、医薬品等安全対策 部会に報告することになりました。  参考資料3を御覧ください。昨年11月6日の医薬品等安全対策部会の資料です。昨年 8月に仙台医療センターにおいて、入院時に患者さんが持参したサリドマイド製剤が別 の患者さんに誤投与されたという事例が発生しました。健康被害は特段報告されており ません。この事例を受けて、仙台医療センターでは全職員を対象とした研修会の実施や その投薬時の患者確認の徹底、オーダリングシステムの患者情報画面にサリドマイド製 剤の服用に関する情報を明示させるといった対策を講じることになりました。    厚生労働省においても、参考資料3-2にありますとおり、当面の手当てとして、 各都道府県等自治体に対して、サリドマイド製剤を使用する患者が入院する場合の持参 薬の確認、管理を徹底すること、患者の取り違え、誤使用等の防止方策や適正に使用す る方法などについて改めて周知徹底を図るように、という通知を発送しました。同時に、 TERMSでは、入院時の持参薬の取扱いなどが必ずしも明確には規定されていないため、 このような事例の再発防止を行うために、新たに入院時の数量管理等の規定も必要では ないかということから、後に御説明しますが、この数量管理等の規定を設けたいと考え ています。  参考資料5を御覧ください。本年3月19日の安全対策部会の資料です。TERMSの第三 者評価委員会、那須先生のほうで行われているものですが、ここでは、患者、医師・薬 剤師のインタビュー調査の結果を御紹介しています。時間の関係で全部御紹介すること は割愛します。この参考資料5の2ページ目の中ほどに「TERMSに関して」ということ で、この患者さんの声が紹介されています。この「TERMSに関して」の項目のいちばん 上、「2週間分しか処方されないのを延ばしてほしい」、133名と非常に多くなってい ます。この点についても改善が必要ではないかということです。  資料3に戻ってください。医薬品医料機器総合機構(PMDA)が今年から行っている調 査事業です。詳細は長谷川課長からお願いします。 ○総合機構薬剤疫学課長(長谷川) 医薬品・医療機器総合機構の長谷川です。資料3 に基づいて、調査の内容について御説明させていただきます。この調査は、1ページ目 にあります「実施要旨」に書いてありますが、副作用のある医薬品について、サリドマ イドのようにリスク管理方策を条件に承認される医薬品の場合、その実施状況を確認し、 今後の改善等に結び付けようというもので調査を実施しています。  実施の全体像は、2ページ目の上にありますが、「TERMSに関する調査の作業行程」 ということで示させていただいています。1月から始まり6月までという予定で行い、 3月末に一旦その中間報告をまとめることになっています。その結果について御説明さ せていただきます。  この調査は、70歳未満の方、70歳以上の方に分けて実施していますので、このような 形になっています。実際はどのような調査かということですが、いまの2ページ目の下 に「質問票の質問概要」があります。「全体版の調査」と「月別調査」の二つに分かれ ています。「全体版の調査」は実際に、服用されている患者の方の背景情報とか通院状 況、教育、登録手続き、処方手続き、家庭内管理、医療費、個人輸入の場合の状況など について、実際、患者さんがどのような状況なのかというのを確認するような調査内容 になっています。  右側にあります「月別調査」は、各患者さんに実際に服用していただいて、それを記 録していただくということを主な目的にしています。ですので、月ごとのその服用状況、 管理状況の調査、処方実績と残薬、薬剤の管理状況、このような形のものを実際に、調 査として実施させていただいています。  実際、「全体版の調査」は、そのあとの資料3-2、「月別調査」は、15ページの3-3で、 このような形で調査票を作成して、調査を行っています。  実際の調査結果を簡単に御説明させていただきます。31ページ、資料3-4が全体版の 調査の調査結果です。「薬剤(サレドカプセル)の家庭内管理及び安全管理手順(TER MS)に関する調査(全体版調査結果速報)」ということで記載させていただいています。 32ページの下にありますが、今回の調査は、中間集計ということで、集計対象患者、 573票ありまして、この調査結果についてこちらに記載させていただいています。  「調査結果の速報」、35ページの問5「サレドカプセルの治療を始めるために転院し たか」という質問に関しては、「病院を替えていない」という方が9割ぐらいいらっし ゃいましたが、1割弱の方が「病院を替えた」という結果になっていました。  36ページ問5「サレドカプセルの治療を始めるための転院の理由」は、約半数の方が、 いちばん上にありますように、「サレドの処方ができないため」という形で転院された という方がいらっしゃったという調査結果です。  39ページを御覧ください。問9に「現在の通院頻度は」ということで、下のほうにあ りますが、現在の通院頻度は約9割方の方が「2週間に1回程度」という通院頻度にな っています。  40ページ、問11、「サリドマイドが多発性骨髄腫の治療薬であることを知っていたか」 という質問は、いちばん上に「診断される前から報道等で知っていた」が22.3%、「こ れまでの治療中に本や医師から教えられて知っていた」が57.8%で、約80%ぐらいの方が 知っていたということですが、あとの20%の方が「今回の治療を始めるに際して医師か らの説明で知った」という状況でした。  41ページ問12は、「サリドマイドは過去に大きな薬害を起こしたことを治療開始前に 知っていたか」という質問に関しては、「知っていた」がほとんどで、93.5%になって いました。「今回の治療を始めるに際して医師からの説明で知った」が6.5%という状況 です。  43ページ問15「教育(説明)のために通院した回数」は、「1回」が60%ぐらいの方 だったのですが、「2回以上」の方もいらして、約40%弱の方々は大体2回以上通院さ れていたという結果になっています。 少々ページ数を飛ばしていただいて、60ページ7の[1]、問45「サレドカプセル開始後 に医療費の支払いは増加したか」は、8割の方が「増えた」という結果でした。  62ページ、問48、「個人輸入でサリドマイド治療を受けたことがあるか」という質問 は、「個人輸入で治療を受けたことがある」という方が34.9%いらっしゃいました。そ の方々に、更に質問させていただきました。63ページ、問49、「個人輸入によるサリド マイド治療時の通院回数は」は、「1月に1回程度」ということで、現在の2週間に1 回ではなく、当時は1月に1回程度だったという結果になっています。問50「個人輸入 によるサリドマイド治療時の家庭内での保管」について質問させていただいているので すが、当時は「1ヶ月分程度保管している」いう結果になっていました。  65ページから月別調査になっています。資料3-5です。66ページを見ていただきます と、集計の関係で中間報告集計対象票としては、1月は515票、2月は82票しか集まっ ていませんが、それを集計したものです。結果としては、まとめたところとして、73ペ ージを御覧ください。3「薬剤の管理状況について」、[1]「調査期間中にサレドカブ セルを処方どおり服用しなかった日は」という質問です。「ない」と答えられた方が 92.3%で、「ある(飲まない日もあった)」という方は5.5%という結果でした。下の質 問です。[2]「調査期間中にサレドカプセルを紛失したことは」は、「紛失はなかった」 が97.8%、「紛失があった」という方が、ちょっとこの表から数値は分かりませんが、 0%です。ですから、すべての方は、この期間中に紛失の事故はなかったということで 調査結果が出てきています。  このような結果をもとに委員会を開催して、その委員会においては、その調査方法等 について御意見をお伺いしている委員会ですが、全体的に、患者の方は、サリドマイド の薬害についての認識はあるのではないかと、調査を行った範囲では、紛失等の重大な 問題は起こっていないと、一方、個人輸入の時に比べて、通院回数、通院時間、治療費 の問題、開始までに教育に時間がとられるなど、患者の方の負担が多いので改善してい ただいたほうがいいのではないかという御意見をいただいています。以上です。 ○佐野課長補佐 資料1から資料2の「TERMSの改訂について(案)」、「サレドカプ セル100の添付文書の改正案について(案)」について御説明させていただきます。資 料1-1を御覧ください。TERMSの改訂(案)をお示ししています。二つありまして、上の 7.2処方は、患者さんの負担を軽減するという観点から現在14日間と限定されている処 方期間を延長するものです。具体的には、このTERMSの363行〜365行の記載を削除して、 処方期間の延長を行うものです。  同時に、患者さん御自身の長期間の薬剤管理をサポートする観点から、資料1-2-1と 1-2-2を御覧ください。資料1-2-1は委員と参考人の皆様の所に、いま、サレドカプセル の見本をお配りさせていただきましたが、これを今回の処方期間の延長に合わせて改正 しようというもので、具体的には、どこが変更になったのかと言いますと、この絵が削 除になったものと同時に、上から4、5、6行目、カプセルシートは全部で何冊で、こ のカプセルシートは何冊目ですということが明記されたのが1点目です。次に、次回診 察日はいつですというところが変わったのが2点目です、大きく分けてこの2点が変わ って、これをもって患者さんの管理をサポートしたいというのがあります。  資料1-2-2です。先ほど資料3のPMDAのアンケート事業で用いた様式と一部似ており、 具体的には、資料3の28ページを御覧ください。今回の資料1-2の問は、基本的に概念 として同じものです。どのようなものかと申し上げますと、この医師から処方を受けた 数と患者さんが服用された数、前回から繰り越した数が資料1-2にありますが、こうい ったものを含めて、実際計算上の残った数と実際に残っている残薬の数を両方照し合わ せて、確かに残薬はこれだけですと、具体的にはA+B-Cと書いてありますが、こういっ た一覧表を併せて作ることによって、患者さんにとって残薬の個数を把握することを容 易にして、患者さんのそのサリドマイド製剤の自己管理をなるべくお助けしたいという のが、この資料の1-2-2です。  資料の2を御覧ください。この資料2はTERMSの改正を受けて、同じ内容の改正を添 付文書においても行うというものです。具体的には、この右側の原稿の記載の(2)を削 除するというのが改正内容です。事務局からの資料の説明は以上です。御審議のほどよ ろしくお願いいたします。 ○松本座長 ありがとうございました。ただいま事務局から説明がありましたことにつ いて御質問、御意見等ありますでしょうか。 ○佐藤参考人 今の最大処方量の14日分という制限を一切なくすという御提案かと思う のですが、リスク管理上から考えると、然るべき上限が当然あるべきではないかと思い ます。2週間に1遍、今のような繁雑な手続をすることは患者や医療機関にとって負担 になっていることは、これは誰もが一致する点だと思うので、それを延ばすことに関し ては全く異論はありませんが、どの程度延ばすのが適切であるかに関しては、きちんと した検討が必要ではないかと思います。  今、アメリカのSTEPSの規定は、最大処方日数は28日です。さらにそれを超えて長い 期間処方をされることの経験は、実は世界的に見てもまだないようです。どの程度長く しても安全管理がきちんと担保されるかに関しては、かなり慎重な検討が必要ではない かと思います。  もし仮に1ヶ月を超える上限を設けるとしたとしても、一つは、妊娠可能な女性の患 者に関する妊娠検査の頻度が、最低1ヶ月に1回は必要ではないかと思うのです。つま り、女性の生理機能のサイクルがあるので、これは処方日数の上限とは別の話ですが、 仮に処方日数の上限がもう少し1ヶ月を超える長い上限になった場合でも、妊娠検査だ けは1ヶ月に1回受けて、その結果を医師が報告することは外せないのではないかと思 います。  もう一つですが、男性の患者に対する避妊についての注意喚起をどの程度の頻度で行 うべきかです。これは非常に難しい問題で、一概一律に答えを出すのは難しいかと思う のですが、何ヶ月も間が空いてしまうのは問題が起こり得るのではないかと思います。 大多数の患者さんは年齢も高いし、実際上、私も骨髄腫の患者さんにお会いして、大多 数の患者さんはきちんとそういうことを考えて適切な対処をされていることは十分承知 していますが、アウトライヤーというか、そういう規定を守らない患者がごく少数でも いて、そのことが事故につながると、全体がこわれてしまうことがあるわけです。本当 はそういうごく少数の例外の方を見つけ出して、その方に特別な注意喚起をすることが できれば理想的でしょうが、それはなかなか難しいので、そうするとどの程度の頻度の リマインドが適切かをきちんと吟味する必要があると思います。  リスク管理上、頻繁にやればいいかというと、必ずしもそうではなくて、今のように 2週間に1遍程度ですとあまりに頻度が高過ぎて、逆に患者がなぜこのようなことを2 週間に1遍もやらなくてはいけないのかと、その意義自体が理解できなくなって、かえ ってモチベーションが下がることがあると思います。そうかといって何ヶ月も間が空い ていると、だんだん緊張感が緩んでくることもあるので、安全管理が担保され、かつ患 者にとってアクセプタブルな適正な頻度が、おそらくどこかにあるのだと思うのです。 それをきちんと議論することが重要ではないかと思います。 ○松本座長 14日分の処方日数を撤廃することと安全管理は裏表になろうかと思います が、先生自身は14日分の処方日数を撤廃することに関しては反対ではないと。 ○佐藤参考人 そうです。撤廃してしまうと、例えば極端な話、処方日数が180日で半 年間があったときには、半年に1遍しか医療機関でのチェックがなされないことになる ので、そういうことが起こり得るのだとまずかろうと思うので、どこかに上限値を決め て、例えば14日分をもう少し長い日数の上限に変えることが適切ではないかと思います。 一切制限をなくすことに関しては、私としてはそれでは安全管理の担保が外れてしまう のではないかと思います。 ○松本座長 一般論として180日処方はあまり考えにくい処方の日数だとは思うのです が、この辺に関しては村上先生、何かコメントいただけませんか。 ○村上参考人 今の処方日数の問題ですが、確かにおっしゃるとおり安全管理上ある程 度の制限は必要かもしれませんが、現実的には6ヶ月も出すことはまず9分9厘あり得 ません。  実際、治療している患者に関しては、半年も外来に通わないことはありませんし、 安定した場合、最高長くても3ヶ月の方はいらっしゃるかもしれない。ただ、通院期間 は大体1ヶ月1遍ぐらいですので、現実的な面から見ると6ヶ月間も処方する可能性は 非常に低いです。私はわざわざ制限を設けなくてもいいのではないかと思っています が、管理上の不備が起こると言われてしまえば仕方がないと思います。しかし、TERMS はものすごいシステムで、私は最初は1時間以上かけて説明をして、きちんと御理解い ただけた方ということを前提でこの薬を処方しているので、先ほどの調査にもありまし たように、管理が不適切な例も、今のところないということですので、私はそれほど厳 しい制限を設けなくてもいいかと思うのです。 ○土屋委員 私も一挙に撤廃はいかがなものか、というのが正直な気持です。実際、こ の薬は現在、院内処方になっているのだと思うのですが、そういう長期投与という場合 に、今日、残念なことに薬剤師会の方がいらっしゃらないので困るのですが、院外処方 を考え得るのかどうかによってまた違ってくると思うのです。正直申し上げて、病院に いらっしゃるということ、院内投薬だとすると、90日分、例えば今おっしゃった3ヶ月 分ということで90日間、その事実上のチェックは効かないのだと思うのです。ところが、 例えば保険薬局で院外処方箋にしたときに、これは私は薬局でもないのに勝手に言って はいけないかもしれませんが、例えば30日ごとにチェックを掛けるということは、より 薬局が患者には近いわけですから、そういったチェックが可能になるわけで、そういう 方式が採られるのかどうか。今は院内に限定が現実の姿だと思うので、病院で管理をす るといっても、仙台医療センターの件もそうですが、自院で処方して自院で持参薬を持 ってきても、中でも通じてないぐらいですので、そういったことからいうと、理想を言 うのは簡単ですが、現実の姿を見ると、そこら辺は厳しく見ておかざるを得ないのかと いう気がするのです。  残念なことではあるのですが、そういったところがあるということからいうと、一挙 に無制限にするところに合理的な理由があるのかというと、むしろ私はそこはいろいろ な諸事情を考え、今まで起きてきたこと、あるいは記録を見ると、3人ぐらいですか、 紛失なさったとか、そういうことがあるというと、そういうチェックをきちんとしてい くことが、まだ今の段階では、もちろん2週間ということに限る必要はないと思います が、第1段階目は4週間投与ぐらいでやるのが基本ではないかという気がします。 ○松本座長 院外処方になった場合に、確かに歯止めが効かないことはあるかもとは思 うのですが、処方するのは医者なので、医師が最初から長期に処方する可能性はあると 考えられるわけです。 ○土屋委員 歯止めが効かないけれども、むしろ院内が歯止めが効かないわけで、院内 の場合にはそれをチェックするリフィル的なやり方で途中でチェックをする。これも14 日が一つの1冊になっているわけですから、調剤を14日で止めて、14日後にもう1回確 認しながら渡すという分割調剤が院外だとできますので、そういったやり方で確実にや っていくやり方はあるのかという気がするのです。ただ、病院でそれをやれといっても、 なかなか現実としてはチェックが効かないのかというのがあるので、むしろそこら辺が、 今まで院内原則というやり方をこの際院外も含めて考えるのかどうかによって、チェッ ク体制は変わってくるという気はします。 ○松本座長 ほかに御意見はありませんか。 ○安全対策課長 今、院内・院外の話が土屋先生から出ました。ただ、これはTERMSの 最初にスタイルをセットする段階で、実際の運用状況をよく見て、現場における対応の 習熟度などをよく考えて、その上で院外に出していく場合の受け止め体制とか、そうい うものの準備もよく整えて、そして議論の上でそうしましょうというお話だったと思う のです。  今回の改定に関していうと、いざ、実態の調査は、今日も説明しましたように、1月、 2月、3月の間の処方されている患者の実態としてお答えいただいた回答は、ものすご く回答率が良くて、調査として非常に熱心に協力いただいていて、実情がかなりよく分 かる格好になっていると思うのです。このデータが十分出そろったものを基にして、も っとTERMS全体の改善点を網羅的に御検討いただく必要があると考えています。しかし そのための検討にはもう少し時間が必要だと考えており、TERMSの網羅的な見直しは、 実際に処方が開始されてから、今およそ1年ぐらい経っているのですが、1年経過をし たこの実績を基にして、このあとどうしましょうかというところを御検討いただく段階 にいよいよ入ってきたのかと考えているのです。  ただ、一つ、処方日数の制限に関していうと、こうやって調査をしている中でも、実 際に患者の皆さんや医療現場の方々からのいちばん改善の希望の多いところでして、こ れを何とか早く手当をしていただきたいと強い要望が来ているわけです。  入院時の持参薬の所での問題については、これは役所が通知を出しただけではなくて、 病院薬剤師会も看護協会もそれぞれの職能・職域として大変な問題だということで、そ れぞれが動いていただいて、現場における注意喚起をそれぞれやっていただいたところ でもあります。  その他、患者が携帯するカードやカプセルシートのデザイン等もその際に手直しをし て、どこへ行っても患者はカプセルシートや携帯カードを持っておられれば、サリドマ イドという薬を飲んでいるのですということを、患者御自身もその薬を渡される医療従 事者の方々も、はっきり認知できるようにすることをやってきているわけです。そのこ とをTERMSの本体に、入院した際の薬剤管理をきちんとしましょうという部分を簡潔明 瞭に書くことも、これはできるだけ早くやったほうがいいと思います。  入院時の話の部分と処方日数についての現実的にやっていける日数を、許容できるよ うにする手直しは、少しでも早くやりたいということで、その2点だけ絞った形でまず お諮りをし、その上で今回やっている実態調査のデータ全体、それから那須先生にやっ ていただいている電話アンケートの結果、これもかなりたくさんの回答をいただいてい るので、それも併せた形できっちり議論をしていただいて、全体として手当することを やりたいと考えています。それはあまり時間をかけて先送りにする話ではなくて、今日 の話を御議論いただいた上で、早速にも次のステップの内容の検討を次の機会にお願い したいと事務局としては考えています。そういう今の展望を持っていることは、是非御 理解いただきたいと思います。 ○土屋委員 それは当然十分理解した上で、例えば個人輸入でも1ヶ月に1回程度で通 院をしているとするならば、それは第1段階は1ヶ月に1回ぐらいの長さにするのが基 本ではないかと私は思います。様々なことを考えたときに、もちろん例外的な何かがあ って、2ヶ月分出すことがあるとしても、原則は基本的には1ヶ月分を限度とするぐら いのことをまずやって、しかも院外だとかそういうことも含めて検討をして、それから 無制限にするにしても、遅くないのではないかと。私は現場の実態を考えると、そこで なぜ無制限にするかについて理解ができないです。 ○松本座長 その辺の安全性はかなり担保されているわけでしょう。14日処方を撤回す るからには、長期に安定投与するからには、安全性はある程度考えられている。 ○安全対策課長 わかっている調査の結果、その他を踏まえて見ても、すぐさまそうい う危険が生じるというふうには全然思っていません。ただ、実際に骨髄腫の診療をなさ っている臨床現場の先生方がどのようにお考えになっているかというところは、村上先 生からも今ほどお話をいただいているところです。実際に14日という期間をセットした 経緯を思い起こしてみると、まずは血液などの専門医の先生がこの薬を使い始める段階 で、どういう病状の患者を診ているときにサリドマイドの選択肢を考えるのかという御 議論がありました。  この際に患者のサリドマイドの治療を考えるときの病状からすると、最初は2週間に 1回ぐらいはきちんと来てもらって、副作用の発生状況や効果の出具合など、そういう のを診る必要があるとおっしゃられた、というところが一つの発端になっていました。 つまり2週間に1遍ぐらいは受診をしてもらい様子を見ておく必要があるので14日とい う話が出たという経緯があります。薬価収載された1年間は医療保険上の制約で14日以 上の処方ができないという話と、この二つの話があります。処方と受診の間隔との関係 を併せた格好で運用してきたと、そういう経緯があるのです。  ただ、1年経過して遵守状況、認識状況をこうやって明らかにしてまいりますと、医 療保険上の制約はなくなっています。実際に受診の間隔について、これは専門医である 血液内科の臨床家が、全例登録は依然として続いているし、血液内科の専門医であり、 骨髄腫診療の専門家の方々が病状を見ながら、受診の間隔は今までどおり必要なインタ ーバルできちんと診てフォローしていただくことは、一切手を付ける話ではありません。 ただ、薬の処方ニーズについての制約という部分を取れないかというところでお話をし ているわけで、受診がそれほど延びてしまっていいというふうには、たぶん血液内科の 先生はお考えになってないと伺っています。 ○村上参考人 上甲さん、患者の皆さんの実情を話していただければいいかと思うので すが。 ○上甲参考人 骨髄腫患者の会の上甲です。このTERMSが作られたとき、作るときとい うのですか、こういうものが全く日本にはありませんでしたので、患者がきちんと守る か、いや、むしろ患者はいい加減で、管理もずさんで、薬害のことなど知らなくて、ど うでもいいと思っていて、いい加減な管理しかしないのではないかであるとか、処方す る医師も調剤する薬剤師も、過去の薬害は過去のことであって、今、熱心にそれを再発 防止のためにTERMSをやらないのではないか、医者はそのようなもの、薬剤師はそのよ うなものというのが、申し訳ないのですが被害者団体の方の一部の方の中にありました。  初めて作られたものですから、誰も分かりませんでした。だからアメリカにあった STEPSをベースにして、それよりもある部分ではより厳しいSTEPSと、ある部分では同等 の作り方をしました。発売が始まって、患者さん方が大変困っているという声が私ども に、本当に毎日毎日電話がジャンジャン掛かってまいりました。それで困った、困った。 困った、困ったということを行政に言うのですが、ただ困った、困ったでは、どうする こともできないので、何がどう困っているのか、あるいは本当に患者はいい加減なのか、 医療現場はいい加減なのかをきちんと調べて、データを取って、それに基づいてTERMS は改良していかなければいけないのですと、そういうことでした。  先ほど長谷川課長から御説明があった調査事業をしていただきました。資料3-1の32 ページに「調査目的」が書かれています。調査目的の2行目に「改善点の抽出のみなら ず患者や家族の意識レベルを正確に評価するなど、今後の安全管理審査のあるべき姿、 それに近づけていくためにこの調査をするのだ」ということが最初にも挙げられていま す。調査された中間報告が出ました。これを見たら、誰がどう見ても、大変真面目に管 理されていることが分かります。那須先生の所でなさっている医師や薬剤師のインタビ ューでも、不満はたくさんありますが、でも大変真面目に、これを今やらなければ将来 の還りはないのだと思って真面目に取り組まれていることがはっきり出ています。まず そこをどうか皆様方に認識していただきたいです。  だからといって、のべつ幕無しに緩めてくださいとは思っていません。処方制限の完 全撤廃が一足飛びであって、問題であるならば、上限を決めていただいても結構かと私 も思います。思いますが、上限を決めていただくときに、大変申し訳ないのですが、少 し安全管理と離れることを申し上げて大変恐縮ですが、委員の先生方にお考えいただき たいのは、サリドマイドは経済的な負担が大変重いのです。先ほどの資料3の60ページ でも、医療費の支払いが増加したということが80%以上の患者で出ています。  これを何とかしたいのです。したいという気持が私どもにあります。では、どうした らいいかで私たちも無い知恵を絞ったところ、サリドカプセルの価格でいくと、健康保 険3割負担の患者だと、30日間、1ヶ月分の高額療養費制度にかからない支払限度額ぎ りぎりの8万円の少し下の所で止まってしまって、患者は8万円近くを1年中払い続け なければならないのがサリドカプセルの薬価です。  こうやって調べてもらって、患者が真面目である、きちんとTERMSに取り組まれてい ることが担保されたならば、処方制限を解除していただくとき、是非そこを30日で止め ないでいただきたい、というのが、実は私たちの隠れた願いです。でも、安全も担保で きないのに広げるわけにはいきませんと言われたら、それはそのとおりだと思うので、 高額療養費制度にかけてほしいから数字を考えてくださいとお願いするつもりは毛頭あ りませんが、最初に申し上げたように、患者が大変真面目に取り組まれていることを知 っていただきたい、それが1点目です。  もう一つ、患者も医者も薬剤師も信じられないと言ってしまうと、これから先のTERMS の改良も必ずそこで止まってしまいます。先ほど佐藤先生がおっしゃったように、どの 患者は、この人はどうも危なさそうだというのは主治医の先生は分かるのではないか、 と私は思うのです。そういう方に対して何日も何日も長くも病院に来なくてもいいとい うことは、私は主治医はしないと思うのです。医者は、自分の患者に薬害を起こしたい とは絶対思いません。そのあたりを医者も医療者もあるところでは信じていただきたい。 患者のところも信じていただきたい。だから、私は上限撤廃されたということは、皆さ んが信じてくださってこうなったのだと、この案を見たとき大変嬉しかったのです。し かし、佐藤先生や土屋先生がおっしゃることも大変理解できるので、完全撤廃はしてい ただかなくても結構ですが、このような薬管理シートやらも作っていただいて、カプセ ルシートも書いていただいて、安全に管理できるのはさてどれぐらいでしょうかという ところを、高額療養制度のことは忘れていただいて結構ですから、御議論いただきたい です。 ○土屋委員 私はこの薬を承認するときに薬事分科会でも申し上げたのですが、実はこ れがいくら薬価が付くかによって非常に大きな問題になると。なぜかというと、結局、 個人輸入がもう1個生きてしまう。そうすると、TERMSという厳格な管理をするシステ ムとアンダーグラウンドに行くものの二つになってしまう。これはアメリカが1万円、 あるいは、実際、私は厚生科研でまだこれが個人輸入されているときの実態調査をした 人間ですので、よく存じ上げているのですが、例えばイギリス製のものを輸入されてい た方が、高いからということでブラジル製にされるとか、薬価が及ぼす影響は極めて大 きなものです。  したがいまして、私は、本来こういうものが、管理システムがあるから薬価が高くつ くのは、それはある意味ではしょうがないのかもしれませんが、しかしそれをやると、 結局、ダブルスタンダードになってしまうのではないかと。そのことでいちばん恐れる ことは、そこが問題になるのではないかということは考えています。  本当に薬価にすべて管理制度のシステムを乗せるのがいいのかどうかについて、薬価 のことを言うと薬事分科会で怒られるので、そこはここでは話ではないと言われるので あれですが、薬価を含めて流れ全体を見ないと、こういう薬はきちんと使える仕組みを つくる、なおかつ、今おっしゃったように、本当に高額医療制度のぎりぎりのところで、 結局、全額負担というとおかしいですが、保険負担分が少しもその補助がされないとい うのか、そういうことでやるべき薬かについて、私は正直いって疑問には思っています。  ただ、本当にこういうサリドマイド製剤をどのようにうまく我が国できちんと表舞台 に乗せた上でチェックしていくか、その意味でTERMSは大事な仕組みです。そのTERMSに きちんと乗せることが本当に大切だし、そこに一定の合理的な制限をかけることは必要 だとは思っています。ただ、何でもかんでも制限するのは人を信用しないからという意 味ではなくて、私は安全部会が開かれる度にそこを確認しているのですが、今度は個人 輸入は少しチェックされるのだと思いますが、そうすると一方で、一向に本当にそうい う個人輸入も、本当にダブルスタンダードになってしまうことは決していいことではな い。早くみんながこちらのシステムに乗る仕組みをつくることが大事だということは、 私は人一倍強く思っているわけで、そういった中で合理的にやっていくことが必要だと 思います。何でもかんでも反対とかそういうことではなくて、ただ現状をいろいろ考え ると、中間段階があってもいいのかと、何日という縛りかどうかは別としても。ただ、 何も制限がないのは少しいかがなものかという気は私はします。ほかの薬も、ひょっと してこれは安全対策課としては、薬には縛りがかかってないけれども保険で縛りがかか るのだ、という言い方をされるのかどうかは知りませんが。 ○安全対策課長 いや、そのようなことは絶対ないです。 ○土屋委員 ほかの薬も2週間しか出ない薬とか、そういうのがあるわけですね。医師 はこれは何日でも出していいと思っているにもかかわらず、それが使えないのが我が国 の保険制度そのものであるので。 ○安全対策課長 ただ、それは1年限りの話ですから。 ○土屋委員 いや、1年経っても何日分しか出ない薬はあるわけですよね。 ○安全対策課長 ただ、一般則としてそうなってないです。 ○土屋委員 いや、原則的にはそうであっても、そうでない薬があるわけですよね。 ○安全対策課長 それは個々の必要事情に基づいての話だとは思いますが。 ○土屋委員 ひょっとすると、そのときにこれが一般則に当たるのか、そういう制限が ある種の薬に当たるのかということは検討しなければいけない。それは保険の問題かも しれませんが、それを含めて考えるべきですし、私はやはりそこは個人輸入というもの を一方でにらみながら、14日という縛りは合理的ではないと思うのです。14日というこ とは合理的でないことは確実に違うと思うのです。しかし、それを前面にするかどうか ということについては疑問があるということです。 ○村上参考人 我々患者さんを診ている現場の人間としてお話させていただきますけれ ども、このTERMSのシステムは非常にしっかりしていて立派なシステムで、今は円滑に 動いていると思うのです。  その中で大きな問題は患者さんと医師側から見ますと二つあると思うのですね。一つ は今までの14日処方というのは、とにかく通院回数が多くて、また2時間以上在院時間 が延びているのです。先生がおっしゃるとおり1月に1遍、28日処方にすれば患者さん の負担も減りますし、安定した患者さんの通院時間としては、ちょうどいいぐらいにな ります。  もう一つ、群馬県の場合は最高遠い患者さんは2時間ぐらいかかって来院します。実 を申しますと北海道は、4時間、5時間かけて通院されている患者さんがいるそうです。 TERMSのシステムでは、処方医師が決められています。今のところ血液学会の指導医で なければ処方できないのです。そうすると、北海道の場合はどこに処方できる先生方が いらっしゃるかというと、札幌と旭川などの大都市にしかいないのですね。根室とか室 蘭とか東部の北海道には全然処方できるお医者さんがいらっしゃらない。ただ、そこで は血液の臨床を一生懸命にやっている先生方がいらっしゃって、多くの骨髄腫患者さん を診ていらっしゃるのですね。実際に移植もやっています。ただ、臨床の現場で忙しい から専門医試験とかを受けていない先生がたくさんいらっしゃるのです。そこで患者さ んはサリドマイドの処方を受けられず、しようがなくて札幌まで4時間かけて通って処 方をしてもらっているのです。そういう時間が非常に負担です。もう少し処方期間が長 くなれば、その先生が処方医とチームを組んで、患者さんを診ながら診療ができる。患 者さんの負担が少なくですね。それが医療制度として正しいかどうかは分かりませんが、 例えば3ヶ月処方していただいて、1ヶ月ごとに専門指導医は持っていないけれども血 液疾患の治療を一生懸命にやっている先生に診ていただけるという可能性が出てくるの です。  もう一つは、先ほどの薬価の問題で、処方できない患者さんが減ると思うのですね。 実際、私の診ている患者さんの中に、リストラされてお金がなくて処方できない方がい らっしゃいます。高齢者はいいですが、若い患者さんの中には1錠でも飲めなくて、サ リドマイド治療を断念している患者さんがいらっしゃるのです。もし、高額医療制度を 適用できれば、そういう患者さんは救われることになります。ただ、1ヶ月処方になり ますと現場としては、問題が残ると思います。  私は先ほど制限をつけるなと言いましたが、6ヶ月とか1年とか、そんなとんでもな い処方はもちろん制限すべきだと思います。ただ、あまりにも短い1ヶ月という制限は、 現場の人間としては困ります。もう少し長く、少なくとも3ヶ月ぐらいにしていただけ れば、現場は非常に助かると思います。以上です。 ○松本座長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。 ○佐藤参考人 こういう薬のリスク管理のときに考えなければいけない原則というのが ありまして、一つは安全を担保するということですが、もう一つは患者さんにとってア クセプタブルであるということ。それから、それは経済的な負担も含めて、患者さんが サリドマイド治療をきちんと受けられることを保障するということも、もう一方で重要 なことなのですね。この二つをいかに両立させるかが、非常に困難な課題ではあるので すが、それを両立させることが、このリスク管理の目的になります。  先ほど私が申し上げたことの要点は、安全を担保できる上限で、いま村上参考人が言 われたように、なおかつ患者さんにとってもアクセプタブルな上限というのは、どの程 度の日数が適切なのかということを御議論いただくのがよろしいのではないかなと思っ ております。 ○松本座長 そうですね。その辺に関して。 ○安全対策課長 議論といっても何も材料がないと、なかなか見えないところもあると 思います。これは骨髄腫の診療をなさっている専門医の先生方に対して、大体どれぐら いの日数の処方をされますかと、仮に14日という制限がなかった場合にどれぐらいの期 間の処方をされますかということでアンケートを取っていただいたデータがあります。 今それを参考に委員の方にご覧いただきたいということでお配りしますので、これも見 ていただいたらと思います。  村上参考人から3ヶ月、90日というふうなお話が出ているのも、ここでやっているア ンケートの中で出ている最大の処方日数というのが大体どれぐらいなのですかという聞 き方をしたときに、そこで返ってきている答のいちばん上が90日です。ただ、データを よく見ますと、「普通の処方日数はどれぐらいですか」という質問、平均的には30日。 多い方の平均値が56日、8週間というデータになっていて、およそ血液内科の専門医の お考えになっている処方日数の実状が大体こういう数字の範囲ということが、これは非 常にきれいに出ています。こういう日数分の処方が現実に臨床医の専門家のお考えにな っている長さだというところなので、この日数というのは、一つの目安になるかなとい うふうに私どもは考えています。このデータもよくにらみながら考えていただければと 思います。 ○松本座長 ありがとうございました。 ○土屋委員 だからこそ私は今、佐藤委員がおっしゃったことも含めて、それの両者の 妥協点がどこにあるかといったときに、私は最初に申し上げた院外処方のシステムをき ちんと考えるべきではないかと思うのです。それは、やはり患者さんとの距離というの は、病院の外来の場合に比べたら確実に保険薬局の場合の患者さんとの距離は近いので すね。  私は病院にいながらこんなことを言うのもなんですが、やはり病院という所はどうし ても外来患者さんに対して何分の一というやり方しかできない部分もあって、個々のこ とにかかわりたいのだけれども、やはり今は病棟の患者さんに中心を置くということか らいったときに、院外処方せんが出ることによって、そのチェックがより効きやすくな るのではないかと私は思うのですね。今でも、通常のときでも患者さんに対して電話を したりとか、そういうような確認をすることは保険薬局ではよくやっているわけですか ら、そういう折角ある仕組みをうまく利用するのは一つの方法ではないかという気がす るのです。  今まではどちらかというと、院外は駄目とは言っていないけれども、現実は駄目だよ というやり方できたのに対して、今後は院外を含めたうまいやり方を考える。そしてそ れは、おそらく先ほどの安全を担保しつつ、例えば56日投与ですかね、このシートから いうと56日投与という格好になるのだと思いますが、まあ、56日投与というものがあっ ても、その中間で確認をするとかいうやり方が、それは院内でやるよりはずっと合理的 にやられる可能性が高いと私は思いますので、そういうやり方をこの際きちんと考えた ほうがいいのではないかというわけです。長くするときにその担保をどうとっていくか をやるのに、そういうやり方があるのではないかと思うわけです。  そこは何が何でもと言っているのではなくて、いまの院内でということだけを前提に してしまうと、そこは少し。もともとこれはほかの薬をもらっていたり何かしてもチェ ックを効かせるとかいう意味でも、保険薬局にいったほうがある意味ではいいことがご ざいますので、そういったことを含めたときに、長期にしてもチェックが効くのではな いですかという意味で、私はそれは院外処方というものをうまく利用するというやり方 で、その安全性を担保しつつ長期の投与を可能にするというやり方はあるのだと思いま す。 ○安全対策課長 今の土屋委員のお話を私ども事務局で少し噛み砕いてというか、私ど もが理解できるところとして、もともとTERMSの規定が院内だけでスタートしているこ とは事実ですが、その際に院外に出るということを患者さんの治療機会をちゃんと確保 する上でも、それはやはりできるようになったほうがいいというのは、当時の議論とし ても間違いなくありました。  それがさらに処方日数をもう少し延ばすよという話をしている際にも有効に機能する という発想で、管理を調剤薬局にもしっかり担ってもらうことによって、充実させるこ とができるではないかと、こういう御提案というか御指摘だと思います。この話は今後 のTERMSの全体の見直しをしていく中では、非常に重要な御提案だと私どもも考えます。  今日は本当に残念ですが、薬剤師会の小出先生がおいでになっていないのですが、た だ、これはこの場で「はい」とか言って「すぐやります」とかいうような格好でもなか なかできない、準備も必要ですし、どんな受入れで調剤薬局側がやるのか、会員に対す る周知はどうするのだとかいう話もよく整えてやっていく必要があるかと思いますので、 非常に前向きな取組み方として、院外処方、そして、調剤薬局がそういう長期処方につ いてのチェックについて重要な役割りを担うことができるではないか。こういう御提案 として受け止めさせていただき、今後のTERMS全体のさらなる見直しをしていく中で、 どのようにそれを実現するかということについて、課題とさせていただいて、関係の薬 剤師会にもよく御相談をして進めさせていただきたいと考えますが、いかがでございま しょうか。 ○土屋委員 そうですね。薬剤師会の方とは本来の医薬分業の意義ということを考えた ときにも、そういう役割りがあると思うのですね。なかなか我々、病院にいますと外来 患者さんに一人ずつ丁寧にやりたいというのはあっても、現実時間に追われていて、で きないというところがあるものですから、そういった意味で医薬分業のその仕組みをう まく利用する。こういう薬こそそういうことをやって、患者さんの利便性も図り、なお かつ安全性も担保するというやり方に適しているのではないかなという気がするもので すから。是非一度、薬剤師会の方とお話合いをされたらいいと思います。 ○松本座長 ありがとうございます。大変いいお話だと思います。お話を伺っています と、処方日数の制限が患者さんとか医療機関にとりまして、大変負担になっている現状 というのは、皆さん御理解いただけるのではないかと思います。そういうことになりま すと、この結果どうするかということになりますが、処方日数を14日に限定するという ことは、やはり撤廃する方向に関しては、委員の先生方、特に問題がないのではないか と思いますが、よろしいでしょうか。  ただ、この場合に先ほどからお話がありますように、上甲参考人のお話もあるかとは 思うのですが、上限を設けるというのが入っておりますが、佐藤委員、土屋委員とも上 限に関して設けることに意見を持っておられるみたいなのです。私にとりましては、上 限を付けようが付けまいが撤廃することにおいては、実際専門の先生が処方をしますの で、同じことではないかという考えは持っておりますが、やはり両方の意見をまとめる 意味からいけば、上限を設けたほうがいいような感じがしますが、いかがでしょうか。 そういうことになりますと、どれぐらいの上限にするかということなのですが、常識的 には普通は1ヶ月処方が一般的に多いのではないかと思いますし、2ヶ月というと、患 者さんの状態とか病態などによって、ときに2ヶ月ぐらい処方をすることがあるかもし れませんが、30日というのはあまり多くはないと思いますので、その辺を考えて、先ほ ど配布されました資料を考えまして、どのぐらいの上限をかけるかに関して御意見がご ざいませんでしょうか。先ほど村上参考人から90日という御意見がありましたが。 ○木下参考人 村上参考人に伺いたいのですが、こういう患者さんをフォローアップし ていくときには、外来通院というのは何ヶ月ごとに来させているのでしょうか。  ○村上参考人 先ほど申しましたが、安定した場合大体1ヶ月に1度です。つまり、長 期投与をしたところで、放っておくということはあり得ない疾患です。本来であるなら ば、1ヶ月ごとに受診するので、処方期間は1ヶ月でいいはずですが、お話に出た様々 な点を考えますと、便宜も図って差し上げるという意味で、少なくとも2月ぐらいが合 理的ではないかなと思います。  無制限ということになりますと、いろいろな心配ごとが出てきます。ただ、処方期間 を2〜3ヶ月にいたしましても、1ヶ月ごとに診察するわけですので、現実的にはおそら くそういう心配事は出てこないのだろうと思います。是非1ヶ月以上に延ばして差し上 げたら良いと思います。 ○松本座長 ありがとうございます。その辺、土屋委員どうですか。 ○土屋委員 私は基本的に数字で出すのがいいのかはあれですが、本当に昔から言って いるように、必要と思われる量を必要な期間出すという原則はあると思うのですが、と りあえず、1ヶ月というと今度は何かがあったときに逆にとれないとか、そういうこと があるといけないので、そういう意味では2ヶ月ぐらいをといいますか、今度は2とい う数字を出すとまたそれがあれなのかどうかというのもありますので、暗黙の合意とい うことをやるかどうかは別として、そういったことでちょっと。  ただ、無制限ではないということを、何らかの形で示しておかないといけないのでは ないかと。合理的なのはおそらく1ヶ月ぐらいだけど、ただ1ヶ月で切らなくてはいけ ないという合理性があるかということは、そこはまた例えば長期投与でゴールデンウィ ークがかかるとか、診療日がちょうど重なると月曜日の診療の先生方が、いま本当に専 門外来が開けないような現状がありますので、そういったことを考えますと、いま木下 参考人が言われたような2ヶ月でもいいですが、とにもかくにも少なくとも何らかの形 の文章は必要だろうという気はいたします。 ○松本座長 ありがとうございます。専門の実際に診療されている先生が一応90日とい う日を出しておられますので、この辺を目処にするのはいかがでしょうか。 ○佐藤参考人 いまの処方日数の上限をどうするかということの議論と同時に、もう一 つ、いまTERMSの仕組みや、その処方ごとに患者さんにリマインドのために事前にファッ クスを送っていただいて、また診療のときにも医師及び薬剤師が一緒に確認することに しているわけですが、それはTERMSが決まったときには、もう処方日数は14日と決まっ ていましたので、それが自動的にセットになってしまったのですが。今度は処方日数が 何らかの上限が付くとしても、長い人と短い人がいて、それによってリマインドの頻度 が変わるというのもリスク管理の観点からいうと、ちょっとおかしなことなのですよね。 要するにTERMSの仕組みというのはSTEPSでもそうですが、基本的な発想は、ある適正な 定期的な頻度で患者さんに薬の管理と避妊についてチェックをしていただく。上甲参考 人が患者さんを信用してほしいと言われて、私も基本的には信用をしていますが、人間 ですのでなるべくそういう事故がないようにという配慮もあって、定期的なリマインド をするということも非常に重要なのですね。  そういう意味では、例えば3ヶ月間全然リマインドがないときに、果たして安全管理 が担保されるのかということも考える必要があると思います。仮に処方自体は3ヶ月ご とであったとしても、リマインドの頻度というのは、もう少し小刻みであってもいいの か。それが先ほど土屋委員が言われた調剤薬局でチェックをするというようなことなの かなと思うのですね。 ○松本座長 それは先ほど先生も妊娠検査の回数とか、男性の避妊のことをお話しされ ていましたので、この辺に関して課長、何か安全対策に関して御意見がありますか。 ○安全対策課長 リマインドということに関して、どれぐらいのインターバルでやると いちばん患者さんたちの認知度が下がらずに、そして過剰な負担にならないのかという ことについて、この1年間は全く手探りの状態なので、まず2週間間隔という、最大限 厳しい形でスタートをして、ここまではとにかく皆さんものすごく真面目にやっておら れる。そのための苦労がまたものすごく大きいということが分かってきている状態です。  ただ、こうやって丹念に丹念に実態をフォローし、把握をする調査をいろいろな角度 からやってきておりますので、その実態把握は今後も、処方日数の制限を変えるとか、 あるいは妊娠検査のインターバルをもう少し間を開けようというような話が出ています が、それで一体どういうふうに様子が変わってくるのかをきちんと把握して評価をする 必要があると思います。 現実にこういう実態調査を今回やったことによって分かって きている実状・認識度、家族も含めた理解度は、いま非常に高い状態にありますから、 それがもう少し処方日数を延ばして、それでも一応上限をという御議論になっています ので、その上限の中で実際にどれぐらいの日数の処方が行われ、どれくらいのインター バルでリマインドがされているかを、このあとさらに実態把握をするということは必要 だというふうに思っています。  その実情をできるだけヒヤリ・ハットのようなことを含めて、早期警戒警報をきちん と出せるような格好で集めて、では、こういうインターバルでやっていることがどれぐ らい現実にかなっているのかということを、またチェックをしていくことは是非やりた いというふうに思っています。  ただ、それだけではなくて、今日、御説明しましたように、薬だけもらったら受診は 忘れてしまうことにならないようにするという点で、次回診察日というのをカプセルシ ートに記入し、これを毎日毎日見るようにしてもらいます。飲むとき必ずこれから出し て飲まなければいけないことになっているので、患者さんがどうやっても忘れないよう にここに書くというのもそうですし、それからお薬を入れる袋に帳尻がちゃんと合って いるかどうかを全部書いてくださいというふうにしているのも、これも実態調査で月ご と調査の中で3ヶ月の間700〜800人の患者さんたちが実際に付けていって、それで帳尻 がこういうふうになっていますということを調べている、そういう中でそれによく似た 形の管理、薬袋みたいなものを補助資材として用意をしてやっていくという格好で、リ マインドが落ちないようにする準備を併せてやることにしています。  ですから、一定のそういう修正を加えて実際にそれが運用されたときに、実際にそれ がどういうふうに現われていくかをチェックしながら進んでいくことが、このTERMSを 進めていく上での基本的な考え方と思いますので、そこを今回御用意をしているという ことも併せて御説明させていただきました。 ○土屋委員 私はこのカプセルシートの持つ特性というものは、アメリカ等でリパッケ ージをするときに、この薬を飲んでいるかどうか。日本は一包化するときに基本的には 散剤のシステムを使った一包化をしますが、アメリカは飲んだか飲まないかが一目瞭然 であるシートが通常の所でもやっているわけです。こういったことはすごく大事。パッ と見て分かるということはいいのですね。それはすごく大事だと思うのです。  今日、資料1-2-2で残薬の数をいちいち数を数えるのは大事なことではあるのですが、 逆にそうしたときに、これから例えばここで飲まなくて残っていたものを飲んで次にと かとやると、これまた複雑になってしまうのですね。そういう意味でいうと、安全管理 ということから言うと、飲まなかったものについては、それは飲まなかったねというこ とが今ドクターの間でも飲まなかったときにはそれを記録するということになっていま すが、それはそれでこのシートは2週間で完結させる。要するに使わない場合にはそれ は全く別に保管しておくなり何とかして、その1個をうまく帳尻を合わせようとか何と かとやり出すと、また変なことになりますので、そこは2週間単位をベースにしたとき に30日とか60日という数字は調剤シートには合わなくなるのですね。 そういったこと からいうと、2週間単位のものでNの数を数えていくということと同時に、この残薬の 数を数えるのはいいのだけど、そこを穴埋めをして、ここから飲んでとかとやりだすと、 また複雑になりますので、そういったことはしないということをきちんとしていくこと は必要ではないかと思います。 ○上甲参考人 お手元のカプセルシートを開いていただくと、日付と服用数量を毎日書 きましょうということになっていまして、これが7日分しか入らないのですが、14日分 入るものもさらに最近作られていまして、それがたぶんいちばんたくさん入る分なので す。  この妊娠回避の文字の右側に、服用したお薬をカプセルシート内に残した状態で次回 持っていきましょうと。患者さんの概念としては非常に難しい、本当は順番に飲みたい のですが、最初にもう日付を書いて、その横のが残っていても次の日はその下のを飲む というふうな指導をされていますので、たぶん数が増えたとしても、最後、帳尻を合わ せて飲んでいないけど出しちゃってポイしようというようなことは、し辛いしつらえに はなっているのではないかと思いますし、このPMDAがしてくださった調査の中でも、 98%の人がカプセルシートのままずっと保管しているということが出ていますので、い っぱい書いていて何だかなと思うのですが、これに勝るリマインドはないと思うのです ね。毎日、毎日これ見るわけですから、これを使っていないという状況であるならば問 題だと思ったのですが、そうではないところから、かなりリマインドの役割も果たして いるのではないかと思っています。 ○遠藤参考人 渡すときは病院の薬剤師が窓口でかなり詳細に説明をしているので、そ の辺については、きちんと患者さんも理解していただいていますし、また、来られたと きにもし不都合であれば、また再度我々も確認をしていますので、ここについてはたぶ ん大丈夫だと思います。 ○松本座長 ありがとうございます。どうぞ。 ○土屋委員 私は本当に普通のものもこういう、アメリカではこういうものをしょっち ゅう使うものですから、こういうパッケージのほうが一包化でも何でもいい、通常のも のもこのほうがいいだろうなと本当は思っているのです。本当に飲んだか飲まないか、 それは患者さんにとっても病院にとっても分かりやすい。  ただ、できれば1-2-1の第1版とありますが、この次回診察日はいつですか、カプセル シート14日用で14日分と書くのかどうかは知りませんが、ここには、このシートの服用 期間は何日から何日ですよと書いてあげるのが普通であって、そういう書き方をしてあ げたほうが、この何冊目ですとかというよりは、どうせ2週間ごとでやっていくのです から、このシートは何月何日から何月何日ですと、そこをきちんと明記してあげたほう がずっとエラーが減るのではないか。もともとエラーはそんなに起きないとは思います が、でも、やはりそれは親切というものではないかなという気がするのですね。ですか ら、その辺は少し工夫されたほうが、ここに14日用で14日分とか何とかと書くのかどう かは知りませんが、その辺は稚拙だなという気がいたしますので、もう少しここのデザ インをお考えいただいたほうが、ヒューマンエラーは少なくなるかなという気はいたし ます。 ○安全対策課長 土屋委員のご指摘の点、私どももこの案をもう一遍よく見て、14日用 というのは、もしかしたら誤解してしまうことがあるのではないかなというふうな懸念 多くの患者さんがきっちり守っているということが、これだけ明らかになっているわけ ですから、このカプセルシートのデザインはできるだけ改良したほうがいいということ で、その御提案として、御指摘として受け止めさせていただきます。  余分なと言ってはなんですが、ロゴ的なものは今回削ってもらって、スペースを空け て、それで必要なことを分かりやすく書くことのために、このカプセルシートを最大限 利用しようと、良くしようということでやっておりますので、そういう御趣旨として対 応させていただきたいと思います。 ○土屋委員 こういうときに注意、注意、注意って、あまりいろいろ注意をすると、結 局は注意がいかなくなるというのが、大体世の中の人間、ヒューマンエラーでやるとこ ろのやり方なのですね。ですから、なるべくすっきりさせる。ゴチャゴチャ書かないと いうことが大事だと思います。  私はこのサレドカプセルという下に、服用期間何月何日から何月何日というふうに書 いて、そこをむしろすっきりさせることが大事ではないかという気はいたします。やは り赤だと注意だと言いますが、いろいろ色が付くとまた目が散らばりますので、そうい ったところもうまく、もう少しすっきりさせて、大事なことだけをパンと書いておけば、 患者さんは実際分かっているわけですから、そこのところがどれを使うのかということ、 これはいつだなということを見ながら確認しながらやっていくという、よりエラーの少 ないやり方をとるべきだと思います。 ○松本座長 ありがとうございました。確かに赤が多いのは事実みたいなので、できる だけ分りやすく誤解がないように工夫していただければと思います。そういうことでリ マインドに関して佐藤参考人よろしいですか。 ○佐藤参考人 それに関しまして、もう一つなのですが、先ほどのリマインドの頻度な のですが、妊娠可能な女性と妊娠可能でない女性、今でいうと女性患者BとCの間で、 リマインドの頻度というのはかなり違っていいと思うのです。やはり妊娠可能な女性の 患者さんは月に1回妊娠検査をすべきですし、リマインドも月に1回はやはりやったほ うがいいと思うのですが、女性患者Bに当たる妊娠の可能性のない方に関しては、問題 は家庭での薬の管理だけですから、そういう方はそれこそ3ヶ月に一遍でも十分なのか もしれないと思います。  難しいのは男性患者の場合で、今まではSTEPSでも月に一遍のリマインドがされてい たわけで、それを超えた場合にどの程度なら問題がないかということに関しては、なか なか決めるのは難しいと思いますが、その処方日数が長い場合でも何らかのリマインド ができる仕組みが担保されるといいのかなというふうに思います。  例えば患者さんが自宅から送るファックスの頻度だけは月に一遍にされるとか、その ようなことがあるだけでも全く違うのではないかなと。要するにリスク管理の目的は、 患者さんに適切な行動をしていただくためのリマインドを定期的にするということに尽 きるのですよね。 ○松本座長 ありがとうございます。この点に関しましては、この14日分の処方制限を 撤廃して、どれぐらいの制限をかけるかによって違ってくるのではないかと思うので、 そちらのほうを決めていただきたいと思うのです。 ○佐藤参考人 今、私が言いたかったのは、処方日数と、それが自動的にリンクしない ほうがいいのではないか。処方日数はある程度長い場合には、リマインドの頻度だけは その処方の日数によらずに、例えば3ヶ月、90日間の処方が出たという場合でも、その 患者さんが自宅から送るファックスだけは月に一遍とかとされれば、受診はしなくとも 必ずしもいいわけですし、それでもリマインドをするということに関しては、ある程度 担保される。 ○松本座長 その辺は事務局、何かありますか。Cの患者さんに関しては月一遍とかと いうふうな。 ○安全対策課長 現行は2週間に1回の頻度でずっと検査をやっておられるのが、月1 回と、4週に1回というインターバルで妊娠検査をやるという規定を具体的にきちんと しておくことによって、そこは担保できるという話になると思います。いま妊娠検査に ついての規定をしているところが21ページの8.3になります。そこに記載がございます。 ここの487行からの部分に、受診の際に妊娠検査を考慮してもらって、その間隔が4週 以上空かないようにするというような趣旨のことを書き込むと担保にはなると思います。 ○藤本製薬(株) 2週間に1回というのは、添付文書で規定をされている。 ○安全対策課長 どちらもそうなのですが、ただ、ここでいっているいちばん直載的に 妊娠検査のことについて言及しているTERMSのところの話をいましているので、ここの 部分の中身としてどういうものが書かれるとはっきりするのかというところをいま申し 上げています。それに関連した添付文書の記載があるということについて今おっしゃっ ていると思うので、それはそことの連動の話になるということは考えなければいけない と思うのですが、まずこちらのTERMSが安全管理の全体像ですので、そこにどういうふ うに盛り込んだら、いわゆる1ヶ月間隔の妊娠検査がちゃんとされるようになるのかと いうところを今申し上げているのです。そこは具体的な手だてとして考えるところだろ うと思います。 ○上甲参考人 佐藤参考人がおっしゃった患者さんがファックスを流すのだけでも、そ の頻度云々という。それ何のことをおっしゃっているかというと、参考資料2の51ペー ジ、52ページ、53ページにある診察前調査票、ここのことを言われていまして、いまこ れを2週間に1回患者さんは自分の家だとかコンビニエンスストアーからTERMS管理セ ンターに送る。そして診察に行く。  診察に行ったら先生は先生のところでまたTERMS管理センターにファックスを送って、 家から送られてきているものと照合して、言っていることがおかしくないかなというこ とをチェックすることを2週間ずつにやっているもの。これのことを言われているので すが。PMDAがやってくださった調査の50ページに書かれているのですが、44.7%の 人が2週間ごとに毎回同じことを聞かれる意味が分からない。20%の人はあり得ない質 問に毎回答える意味が分からない。だから60%以上の人が意味は分かるのですが、なぜ こんなことをしないといけないのか分からないと言われているのです。  そういうものが出ていますので、これを送ることが果たしてというところが、もう一 度考えないと、これを送っていればいいのではないかということでもないのではないか ということがここで出ていますので、そこはもう一度お考えいただければ。そうでない とこの調査をした意味が何も反映されなければ大変辛いです。 ○松本座長 結局はどういうふうにしてもらいたいのですか。 ○佐藤参考人 私の提案はこの診察前調査票を送る頻度だけは、処方日数が例えば90日 であった場合でも、もう少し頻繁であったほうがいいのではないかという提案です。そ れであれば病院に行かなくともファックスを送ることは可能で、そのリマインドはされ るということなのですが、いま上甲参考人が言われたのは、おそらく質問項目が患者さ んにとって、避妊などは性交渉をしていなくて避妊の必要もない患者さんに対しても一 律にそういう踏み込んだ質問がされているので、それに毎回答えるということの意味が ないということの御趣旨は非常によく分かるのです。ですから、そういう意味ではこの 質問項目の表現だとか内容についても、少し見直しが必要なのかもしれないですが、そ ういうことと実はどの程度の頻度がちょうどいいかということは、セットで考えなけれ ばいけないことではあるのですね。  そういう意味では、今回は診察前調査票のリマインドの頻度というのは、どの程度が いいかというのと、質問項目の内容について要検討であるというような共通理解の下に、 2、3ヶ月のうちにもう一度、そこについて改めてきちんと議論をするというようなこ とでもいいのかなというふうに思います。 ○松本座長 内容については再検討をするということでよろしいですか。今ここで検討 をするといっても、簡単に結論が出ないのではないかと思いますので。そういうことで もうそろそろ結論を出さなければいけないわけなのですが、14日分の処方制限を撤廃す るのはよろしいですね。  この場合に上限に関しましては、今、村上参考人が言われましたように90日とすると いうことに関してはいかがですか。よろしいですか。それとも何かこれならばというの があれば。これは根拠が乏しいので何日というのは非常に難しいとは思うのですが、一 般的にいって、90日処方するというのはあまりないと思うのですね。この病気の場合、 通常はまあ60日、60日でも結構多いかもしれない。ただ、薬をもらっている患者さん側 とすれば、確かに60日でもあっという間にきてしまうのですね。できるだけ長いほうが いいのは間違いないのですが、やはりこれは安全性との兼ね合いですので、かなり注目 されている薬ですので、その辺はある程度我慢していただくのも必要ではないかと思う のですが、一応、上甲参考人、上の方14日を撤廃して無制限にではなくて、90日ぐらい の制限をかけて、90日以内を限度としてということでよろしいですか。   ○土屋委員 あえて申し上げるとするならば、例えば何週と言ったほうがいいのかな。 これを考えますと、2週間単位で考えていったほうがいいかなと。そうすると90という のは端数が出ますので、最大12週とするとか。最大限12週を超えないものとするとか、 そういう言い方はあって。やはり2がベースになっていますよということは貫いた方が いいのではないかという気がするのです。 ○松本座長 それでは12週以内とするということでよろしいですか。ほかによろしけれ ば承認可、として報告とさせていただきます。  もう一つ、昨年の入院中の患者さんに対するサリドマイド製剤の誤投薬がありまして、 これをきっかけに、入院時の取扱いに関する規定を追加するTERMSの改訂案が出ており ますが、これはいかがでしょうか。特に問題はないのではないかと思うのですが、よろ しいですか。 ○遠藤参考人 是非こうしたほうがいいと思いますので、規定に入れたほうがいいと思 いますので、これでいいと思います。 ○松本座長 これに関して御意見がございますか。よろしいですか。これは妥当として よろしいですね。事務局の方で最終的にまとめた文章で読んでいただけますか。 ○安全対策課長 1点確認をしておきたいのですが、妊娠可能な女性患者Cという、そ この妊娠検査の間隔に関して今は2週に1回になっているのを4週に1回というふうに 間隔を延ばすという手当を一緒にやるべきだという御意見ですので、いまは添付文書の 方にも2週に1回と書いてあって、TERMSの方もそれとは明示的に書いてないですが、 14日処方に伴って2週に1回となっていますが、そこは4週に1回の妊娠検査という格 好に変えることになります。  リマインドの間隔がそれで適切かどうかとか、それ以外のリスク分類の患者さんにと って、どれぐらいのインターバルでリマインドするのがいいかということについて、引 続きいろいろな角度から検討をしていくことを求めておられるということですし、私ど もの方でもそのための検討は是非やらせていただきたいというふうに考えておりますが、 そういう考え方でよろしいでしょうか。 ○松本座長 よろしくお願いいたします。事務局はTERMSの実施状況を引き続きよく注 視して、改善を要する点については情報収集に今後も努めていただきたいと思います。 そういうことでよろしいですか。 ○安全対策課長 若干具体的なところを一言だけ、折角上限についての具体的な案をい ただきましたので、いまのTERMSの中で、今回資料の1-1では全部削除と書いてあるので すが、それを削除ではなくて「本剤の1回の処方量は12週分を超えないものとする」と いう御議論ということで、90日という話があったのですが、そこは実際の受診が大体週 ごとにというようなところで、大体、受診日は通常曜日で決まっているので、それでい くと、12週というのはむしろ合理的であるという御意見だったと思いますが、そういう 日数というか、期間を超えないというふうにして、そうすると12週まで入りますので、 そこまでは一応処方できる格好にするということでよろしいでしょうか。 ○松本座長 改めてそういうふうに書くと、1回の処方が12週を超えないとすると、12 週まで処方するでもいいかなというふうな誤解を抱く可能性はあるのですが、最大限と して、専門の先生が処方されますので、その辺の裁量はあるのではないかと思いますが、 よろしいですよね。ほかに何か事務局ありますか。 ○土屋委員 是非とも院外処方のことはお考えくださいということだけは。 ○安全対策課長 よく分かりました。ありがとうございます。一応用意しました議題は 以上でございますが、今日は非常に活発に御議論をいただきまして、いろいろと思いも あるということは事務局もいろいろ伺っていますが、少しでも現実味のある、患者さん にとって受け入れられる内容にTERMSを改めていくことが安全管理を実のあるものにす るためには必要だと、このように考えておりますので、是非今後もどのようにすればよ り良くなるかということについて、先生方から積極的に御意見を賜ればありがたいと思 いますので、今日は本当にありがとうございました。  一応、話の中で私申し上げたのですが、藤本製薬の方もいらっしゃっているので、添 付文書の方も今日の御議論に併せて、所用の修正をすることになります。その点につい て、藤本製薬の方も今日ここにおられて、御議論をお聞きになっているので対応いただ けると思います。そのことについて、このような文書に改めますというところも、当初 用意した改訂案から変わってくるということですので、その改訂する部分、それから TERMS本体の改訂部分、これについては整理をいたしました上で先生方にまたお送りを して御確認をいただけるようにいたしますので、よろしくお願いいたします。できるだ け速やかに現場における処方の制約が4月にもきちんとできるようにということで、周 知することも正しく理解していただくことも大事ですから、そのようなことについても 事務局としてもできるかぎり学会とも協力をしてやっていきたいと考えていますので、 その点も併せて報告させていただきます。ありがとうございました。 ○松本座長 全体を通じて御発言がございませんでしょうか。本日の会議はこれで終了 といたします。長い時間活発な御議論をありがとうございました。 照会先:医薬食品局安全対策課 電話番号:03−5253−1111