10/03/26 平成22年3月26日薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会議事録 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成22年3月26日(金) 10:00〜   航空会館「501会議室」 2.出席委員(9名)五十音順   ○赤 堀 文 昭、 石 川 光 一、◎大 野 泰 雄、 奥 田 晴 宏、    黒 木 由美子、 城 内   博、 白 濱 龍 興、 出 川 雅 邦、     宮 川 宗 之 (注) ◎部会長  ○部会長代理    3.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   山 本 順 二(化学物質安全対策室長)、    柴 辻 正 喜 、  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 ただ今より平成21年度第1回毒物劇物部会を開催します。当部会の総委員数 は9名ですので定足数の過半数は5名ですが、本日は9名全員の先生方に御出席をして いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、本会 議は公開で行われ、資料及び議事録も公開となっています。本日は大臣官房審議官が所 用で遅れておりますので、化学物質安全対策室長の方から御挨拶をお願いします。 ○化学物質安全対策室長 おはようございます。委員の先生方には、本日は早朝またお 忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は全員の先生方 に出席をいただいているということでありますので、よろしくお願いいたします。  昨年の1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選がございまして、それ以来この会議 をしておりませんでしたので、ほぼ1年少々の間、委員に就任していただいてから会議 はなかったのでありますけれども、改めまして、今回先生方にはこの審議会委員をお引 き受けいただきまして、どうもありがとうございました。  今回初めての部会ということでもありますので、部会の審議の事項について、改めて 申し上げますと、一つには、毒物劇物に指定をする物質についての毒性の評価をしてい ただいて、指定の可否について議論をしていただくということです。もう一つは、毒物 劇物の取扱い、運搬その他の取扱いに関していろいろな基準がありますので、その基準 の在り方について議論をしていただくと。主な事項はそういう事項であります。     今日も審議事項の中に、毒物劇物に指定をすべき、また、指定の見直しに関する事項 と、それから運搬容器等に関する基準に関する事項について御審議をいただくという予 定にしています。  非常に盛りだくさんの内容でありますけれども、午前中に御審議をよろしくいただき まして、我々の方では審議の結果を踏まえて、毒物劇物行政に反映をさせていきたいと 思っておりますので、よろしくお願いします。 ○事務局 次に各委員の御紹介をさせていただきます。昭和大学の赤堀文昭先生です。 全国農業協同組合連合会の石川光一先生です。国立医薬品食品衛生研究所の大野泰雄先 生です。同じく奥田晴宏先生です。財団法人日本中毒情報センターの黒木由美子先生で す。日本大学の城内博先生です。自衛隊中央病院の白濱龍興先生です。静岡県立大学の 出川雅邦先生です。労働安全衛生総合研究所の宮川宗之先生です。以上、9名の先生に 御出席をいただいております。  また、薬事・食品衛生審議会令におきまして、部会長に事故があるときには、当該部 会に属する委員又は臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者がその職務を 代理することとなっております。ということで、部会長に部会長代理を御指名いただき たいと思います。 ○大野部会長 まず、私から一言挨拶ということで、皆さん、毒劇部会に対して協力し てくださってどうもありがとうございます。年に1度ぐらいしか開催されないので、な かなか私は慣れなくて、不手際はあると思いますけれども、どうぞ御協力よろしくお願 いいたします。  部会長代理を指名するということでございますけれども、先生方はそれぞれの分野で、 特に毒性学的な分野で大きな経験を積んでこられている先生で、どなたがやってくださ っても十分にやっていただけると思いますけれども、前年度もやっていただいた赤堀先 生に、本年度もお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。よろしくお願いいたし ます。 ○事務局 それでは大野部会長の御指名により、赤堀委員に部会長代理をお願いしたい と思います。以後の進行は大野部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 まず事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 配付資料の確認をします。1ページ目に議事次第です。その下が座席表と出 席者一覧です。その後に審議事項として、毒物又は劇物の指定に係る検討をいただく10 の物質について、資料1〜10までが付いています。資料11は「四アルキル鉛を含有す る製剤の運搬等についての技術上の基準等の改正について」です。また、報告事項とし て、資料12「多硫化カルシウム及びこれを含有する製剤について」、資料13「2-ジフ ェニルアセチル-1,3-インダンジオンの毒性試験について」を付けています。 参考資 料として「毒物劇物の判定基準」と「毒物劇物部会について」の説明のペーパーを最後 に付けています。  机上のみの配付としています資料12に関して、データを付けたものを当日配付の資料 としています。それから、前回部会の宿題となっていましたが、「毒物及び劇物取締法 における製剤中の有効成分含有量の表示値に対する管理方法について」という1枚紙を 机上のみの配付としています。配付資料は以上です。過不足がありましたら事務局にお 申し付けください。 ○大野部会長 過不足はありませんか。それでは審議に入ります。  議題1、「毒物又は劇物の指定について」ということで、(1)の物質は、「3-アミノ メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(別名イソホロンジアミン)及びこれ を含有する製剤」です。これについて、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 議題1、資料1です。名称は「3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロ ヘキシルアミン(別名イソホロンジアミン)及びこれを含有する製剤」です。この物質は 国連危険物輸送分類において、腐食性物質に分類されていることから、国立医薬品食品 衛生研究所の有害性情報の収集を実施し、その結果報告において、毒性試験の結果につ いては、別紙2を御参照ください。急性経口及び急性経皮のデータは、確認することが できませんでした。また、急性吸入については、飽和蒸気圧濃度を考え、試験結果を換 算したところ、劇物に相当すると考えられました。また、強い皮膚腐食性があります。 よって毒物劇物調査会では、原体及び製剤について、「劇物」として取り扱うことが適 当との結論でございました。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それではご審議いただきますが、赤堀 先生から追加はありますか。 ○赤堀部会長代理 特にありません。 ○大野部会長 いかがでしょうか。強い刺激性、腐食性があるということで、劇物相当 だろうということですが、御意見ございますか。特にないようでしたら、この案の劇物 に指定するということでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次の議題ですが、「オキシ三塩化バナジウム及びこれを含有する製剤」です。事務局 から説明をお願いします。 ○事務局 資料2です。名称は「オキシ三塩化バナジウム及びこれを含有する製剤」で す。この物質は国連危険物輸送分類において、腐食性物質に分類されていることから、 国立医薬品食品衛生研究所の有害性情報の収集を実施し、その結果報告において、別紙 2を御参照ください。急性経口LD50値はラットで140mg/kg、急性経皮LD50値及び急 性吸入LC50値に関する情報は認められず、急性経口毒性値から劇物に該当すると考え られました。さらに、本物質は皮膚・眼に対する強い刺激性物質であると考えられてい ますが、急性経口及び皮膚・眼に対する刺激性試験の試験結果だけでは判定が困難と考 えられることから、この度、皮膚腐食性試験を国立医薬品食品衛生研究所において実施 いたしました。皮膚腐食性試験代替法として、OECD化学物質試験ガイドライン431 のヒト皮膚3次元モデルEpiDermTM及びVitroLife-SkinTMを使用して検討いたしました。 2試験の結果は、ともに腐食性陽性と判定され、当該物質が腐食性物質と判断されたこ とから、毒物劇物調査会では、原体及び製剤について、劇物として取り扱うことが適当 との結論でした。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 ありがとうございます。赤堀先生から意見はございますか。 ○赤堀部会長代理 判定基準どおりに判定させていただきました。 ○大野部会長 私から一言追加させていただきます。今まで皮膚腐食性試験はvivo の試験を動物でやっていたのですが、世の中で動物実験をやる場合にも動物福祉を考え なければならないという意向が強く、OECDでは動物実験を使わずに、in vitroの EpiDermTMという方法を皮膚腐食性試験として認めてガイドライン化されたのです。 VitroLife-SkinTMというのは、それとほとんど同じ能力を持っている日本産のキットで、 バリデーションでそれを確認されたのです。その両方で試験をして、陽性であるという ことです。これが陽性となるようなものを、動物実験すると皮膚がただれてしまうので、 これは動物実験をやることがとても許されるようなものではないということで、腐食性 に関してはそれで判断していいだろうということにされているのです。前の検体につい ても、そういうことで、vitroの試験で判定されています。  この物質については、経口毒性と皮膚腐食性試験の両方で劇物相当ということですが、 先生方から御意見はございますか。石川先生お願いします。 ○石川委員 唯一私が研究者でないものですから、確認させていただきます。今大野先 生に御説明いただいた、OECDのガイドラインに従って行ったという腐食性試験のin vitroですが、動物愛護の観点からそのような方向になっているのは当然だと思うので すが、その場合に、いわゆる毒劇物の部会決定である判定基準の中で、現行では皮膚に 対する腐食性は、「最高4時間までの暴露の後試験動物3匹中1匹以上に皮膚組織の破 壊云々」という一つの判定基準が出来ています。これに代えてin vitroでの試験の結果、 陽性と判断すればというものを追加する必要があるのかどうかという質問です。 ○大野部会長 そうですね。それについての御意見はいかがでしょうか。事務局からは いかがですか。 ○事務局 毒物劇物の判定基準の中の(3)「その他の知見」に、「化学物質の反応性等 の物理化学的性質、有効がin vitro試験等における知見により、毒性、刺激性の検討を 行い、判定を行う。」と入っていますので、既に基準の中に盛り込まれています。 ○石川委員 そこで読めるということですね。了解しました。 ○大野部会長 ありがとうございます。これはOECDでガイドライン化するときに、 in vivoのデータと比較して、in vivoで腐食性が認められるものは、この試験系でも認 められることが確認されている方法です。それについては私もある程度詳しくチェック いたしました。ほかに御意見はございますか。黒木先生お願いします。 ○黒木委員 動物愛護の観点から、だんだんin vitroの試験が増えてくると思いますの で、今の(3)「その他の知見」により、といったことでお話がありましたが、今後も定 着するような試験方法があれば明記していく形の方が、迷わずに済むかと思いますので、 今後御検討していただければと思います。 ○大野部会長 そうですね。それとともに、この試験系がどれだけの能力を持っている かを先生方にお示しした方がいいですね。OECDのバリデーションのレポートとかで すね。もしよろしかったら、そういうものを送っていただけますでしょうか。事務局に なければ、私が手配します。 ○赤堀部会長代理 黒木先生、ただ、試験方法を基準の中に書き留めるというのは、ど のような方法でも信頼性があればいいというのが原則だと思いますので、こういう方法 であるという書き方は少し工夫しなければいけないのではないかと思うのですが、いか がでしょうか。 ○黒木委員 そうですね。今の話ですと、OECDで既にこれが大分、定着しているよ うなお話でしたので、その方法とこの方法で腐食性があった場合は認めるとか、いくつ か列挙していただくとか。まだ信頼性が乏しいのであれば、方法自体を載せることが難 しいということですね。それは段階を踏んでということで結構です。 ○大野部会長 例えば、OECDで認められた方法あるいはそれと同等であると公的に 認められた方法とか、国際的に認められたものという表現ではいかがでしょうか。日本 産の方法がOECDのガイドラインに載ることは大分難しいのです。OECDのガイド ラインも、その製品そのものの名前は必ずしも載せていないのですが、それでないとで きないというニュアンスのガイドラインになっているのです。OECDのガイドライン か、それに相当することが公的に認められているもの、という形になれば、いかがかと 思うのですが。 ○黒木委員 資料1の腐食性試験のin vitro試験というのは、どういった基準の試験で しょうか。事務局でおわかりでしたら教えてください。 ○事務局 一つ目と二つ目、オキシ三塩化バナジウムと全く同じ試験方法です。 ○大野部会長 in vitroの試験でやった結果です。多分、VitroLife-SkinTMを使ってい ると思います。ほかに御意見がないようでしたら、この部会としては、劇物に相当する という事務局案のとおりでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次に「1,3-ジクロロプロペン及びこれを含有する製剤について」の説明をお願いし ます。 ○事務局 資料3です。名称は「1,3-ジクロロプロペン及びこれを含有する製剤」で す。既存の農薬として使用されている物質ですが、今般農林水産省から審議依頼を受け、 毒性が明らかになったものです。別紙2に毒性データが記載されています。データはい ずれも製剤となっていますが、E体とZ体の合計のパーセンテージが92%ないし98%と 高い濃度の製剤となっています。こちらを御覧になっていただきますと、経口毒性、経 皮毒性、吸入毒性のいずれも劇物相当の基準に入ります。  吸入毒性について、1点補足説明を申し上げます。こちらは揮発性の液体ということ ですので、吸入毒性は蒸気の欄で判定いただくことになります。そうなりますと、判定 基準は「mg/L」の単位ですが、こちらは「ppm」の単位になっていまして、単位が違いま す。こちらを簡単に説明させていただきますと、ppmは一般に分子量から換算すること ができまして、概ねこの物質のこの分子量の場合、1,000ppmが4.5mg/Lに相当します。 500ppmですと2.25mg/Lくらいに相当します。それを踏まえて御覧いただきますと、こ ちらは900ppmとなっていますので、概ね4mg/Lに相当するということです。そのよう な計算を行いまして、判定基準の蒸気の吸入部分を御覧になっていただきますと、明ら かに劇物相当になりまして、そのような判定をしております。こちらの試験結果を踏ま えまして、経口、経皮、吸入毒性が、劇物相当であることから、事務局としては、原体 及び製剤について、「劇物」として取り扱うことが適当と判断し、調査会において御了 承いただいております。  もう1点御説明させていただきますと、1,3-ジクロロプロペンは2種類の異性体が あり、それでE体、Z体も含めますが、その混合比は問わず1,3-ジクロロプロペンと 呼ばれているものはすべて指定するという扱いです。御審議のほど、よろしくお願いし ます。 ○大野部会長 赤堀先生から補足はございますか。 ○赤堀部会長代理 結構です。 ○大野部会長 ありがとうございます。動物実験で、経口、経皮、吸入毒性試験、いず れも劇物に相当するということですが、先生方の御意見はいかがでしょうか。出川先生 お願いします。 ○出川委員 混合物として、あるいはそれぞれの異性体として、劇物という扱いという ことですが、これは単体で、どちらかの異性体だけでやったときに、もっとひどい毒物 としての判定になることはないのでしょうか。 ○大野部会長 単体とした場合ですか。これは製剤としては混合物ですね。 ○出川委員 単体としてはあり得ないということでよろしいのですか。 ○大野部会長 どうでしょうか。事務局から何かありますか。 ○事務局 事務局から説明いたします。こちらは調査会でも議論になりまして、単体で もどちらかが極端に毒性が強い場合に、毒物に指定すべきではないかという議論があり ました。こちらは単離が非常に難しいだろうという御意見もございましたし、大体現実 では1対1の混合物でやられるだろうという実態もあります。  仮にどちらか片方の毒性が強く、なおかつどちらか片方の濃度だけを極端に上げたも のに毒物相当の毒性があることが判明した場合には、そのときをもって議論することが 可能です。現時点ではこのデータがありますので、最低でも劇物相当には入るだろうと いうことをもって、劇物に指定させていただきます。その後、混合比が変わることによ って、毒性が明らかになり、例えば除外できる、あるいは毒物に引き上げる必要がある となった場合には、そのときの審議にさせていただきたいと思っています。 ○大野部会長 これについて、ほかの先生方から御意見はございますか。 ○宮川委員 単体の場合の毒性がどうかということに絡んでですが、蒸気圧が4,850Pa と2,982Paと少し違いますが、蒸気の吸入の試験をするようなときには、発生する蒸気 は混合比が液体のときと変わってくるのではないかということを考えました。実際の蒸 気の吸入の試験のときには両方を完全に気化させた状態でやられているのだと思います が、そこを確認したいと思います。それから、一般論として、判定基準で、ミストと蒸 気はどのように区別しているのかを、参考までにお聞きしたいと思います。 ○大野部会長 事務局からいかがでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。明示的な区別については、すぐには回答できませんが、 基本的にはGHSのような考え方と同様と認識しております。  こちらの方は揮発性の液体であるということと、試験法にかんがみて、蒸気というこ とで計算しています。 ○大野部会長 この辺に関して、科学的にみて奥田先生から御意見はございませんか。 ○奥田委員 この気体がこのときにどうなっていたかで、全部蒸気になってしまえば、 それでということですから。私が思ったのは、このもの自身が単体として、これを分け るということは相当コストがかかる、実験科学的にはやってやれないことはないぐらい の話だと思うのです。ですから、現実的にはミクスチャーとして流通するのだろうと思 います。それであればその段階で、まずは規制をこのデータでかけるのがいいのだろう というのが、調査会の判断だったと思います。これをピュアにするのは、工業的に相当 大変だと思います。 ○石川委員 今日メーカーさんが傍聴されているのかもしれませんが、今奥田先生の言 われたことと同じになりますが、1,3-ジクロロプロペン、農薬名でD-Dの場合は、昨 年あたりでしたか、在庫が不足するのではないかという話がありました。それはいわゆ る原油高やリーマンショックなどもあって、多くの工業製品の製造に用いられるエポキ シ樹脂の需要が落ちたことの影響ということです。  このD-Dは元々エポキシ樹脂を生産する際の副産物を利用しているということです ので、そういったことからも生産コストを考えれば、これをわざわざE体、Z体を分け てということはまず考えられないと思います。 ○大野部会長 現実的に流通するものは混ざったものだということと、別途分けたもの で毒性試験が行われて、それについて毒物相当という結果が出た場合には、指定をし直 すという御説明だったと思います。そういうことで、とりあえずは両方を混ぜたデータ に基づいて、1,3-ジクロロプロペン及びこれを含有する製剤については、劇物相当と いうことにするということでよろしいですか。  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  議題2、「劇物からの除外について」です。シアンの残基を持っている化合物が7つ 挙がっていますが、それについて除外をして適切かどうかということについての審議を お願いいたします。(1)アセトニトリル40%以下を含有する製剤についての説明をお願 いします。 ○事務局 資料4ですが、この説明に入る前に資料番号のない1枚紙の「毒物及び劇物 取締法における製剤中の有効成分含有量の表示値に対する管理方法について」の説明を させていただきます。  こちらは先ほど申し上げましたように、昨年度の部会の宿題事項でした。そのときの 背景を簡単に御説明します。対象となったのは農薬でしたが、5%製剤の除外を検討し ていました。そのときの実際の試験の濃度が、たまたま5.0いくつとか、5.1%ぐらいで ありまして、そこから5.0いくつとか、5.1%で、実測するとそのような濃度のものがあ り得るわけですが、5%以下を除外するといった場合に、そういったものは5%製剤の 範疇に入るのか、こういうものは大丈夫なのだろうかという議論がありました。言うな れば「5%製剤」と表示を冠しているものについて、実測をしてみたら5.何%だという ものについて、事務局として整理させていただきましたので、御説明申し上げます。  管理方法の「1.趣旨」を御覧ください。まず、製剤中の有効成分の含有量は、例えば 製造時、あるいは実際に濃度を分析するときのばらつき、あるいは有効成分が経時的に 減ったり変動するもの、表示値なり規格値なりはメーカーによってあるものとしても、 その有効成分の含有量の実測値と表示値は、必ずしも一致しない場合があります。  そこで2ポツですが、有効成分の含有量の表示値というのは、言うなればロット間の 平均、あるいは製造時から有効期限までの時間的な概念も含めて、要するにいろいろな タイミングやロット間のものを含めて、平均値であるとか、ある程度代表値のようなも のを示すことが望ましいわけです。ただ、実際には有効期間内の減衰であるとかそうい ったものまでを含めて、完全にその幅を管理することは困難だという実態もあります。  3ポツですが、こういう理由から、例えば表示値が「5%製剤」というものがあった としまして、5%以下を除外することがあった場合に、その流通している製剤を分析し た結果が、例えば5.何%、5.0何%とか、ある程度の許容範囲であれば、それは5%製 剤なり、そのような表示値の範疇に含める、と整理させていただきたいと考えています。  5%製剤あるいは50%製剤なり、そういった濃度があった場合、具体的にどこまでの 範囲が許容されるかを示したものが、「2.表示値に対する許容範囲」の表です。上から 説明させていただきます。例えば表示値が2.5%以下のものについては、毒劇法では大 体プラスの部分しか問題にならないと思いますが、±15%ぐらいでしたら、常識的な振 れ幅だとして、それは問題がないものとみなしましょう。ここでいう±15%は表示値に 対して、さらに15%です。例えば2%の製剤があったとすると、それのさらに15%とい うことで、振れ幅は0.3%で、±0.3を見越して、2%製剤について実際に測ってみたら 2.3%という場合も、それは許容できる幅だとして、2%製剤の範疇に含めると考えるこ とにします。同様に2.5%〜10%までの間は、その表示値の±10%、10%〜25%の表示 値のあるものについては、その振れ幅の±6%で、以下順繰りになっていきまして、50 %を超える高濃度については、1kg当たり±25gということで、こちらは固定で2.5% の振れ幅、要するに60%製剤を除くとあった場合には、許容できる範囲として、実測し てみたら62.5%あったというものも認めることにさせていただきたいと思います。  こちらの考え方は、農薬の考え方で、このような管理がされているとされていまして、 農薬は平成16年からこのような管理にされていると伺っています。したがって、毒物劇 物取締法においても、表示値に対して実測値が多少上回っていたとしても、これぐらい の範囲であれば常識的な振れ幅だということで認めさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 今回初めての先生もおられるので、私から少し補足させていただきます と、前回問題になったのは、単に5%製剤について、普通のばらつきの範囲だったとい うことではなかったのです。それは仕方がないだろうと思ったのですが、5%製剤につ いて、初めから5.5%とか割増しをして製剤を作っているのです。そういうものについ てどうするかということで議論をして、事務局に整理していただきました。今回のこの ペーパーで示すのは、そういうものも含んでいるということですね。 ○事務局 そういうものも含むということです。製造上のばらつき、経時的な変化も含 めてということになります。濃度が減衰していくものであれば、最初は割増ししておい て、経時的に見れば平均して5%が規格値だというものも認めるという範囲です。ただ、 最初から5.5%とうたっているようなものを認める趣旨ではありませんのでその点はご 了解いただきたいと思います。 ○大野部会長 5%と表示しているけれども、そのような経時的な変化を見込んで5.5 %を仕込んでいるものは認めるということですね。法律の適用で、厳密に考えるといろ いろと問題が出るのですが、商売をやる上ではそういうことはよくあると思います。ア ンプルの1cc溶液は、「1cc」と書いてあるけれども、1ccを注射しようと思ったら、 1ccを注射器にとれなかったということで、若干多めに入れたりしますので、そういう ことで若干増やしたり、そのようなことはやむを得ないと思います。先生方から御意見 はございますか。 ○宮川委員 質問です。資料の表の最後の行だけが「g/kg」で、あとは「%」で、%は ボリュームボリュームあるいはグラムグラムと読めばいいと思うのですが、一番下だけ g/kgになっているのは、何か理由があるのでしょうか。 ○事務局 こちらはパーセンテージで表現されているものは表示値に対する%なのです が、一番下のものは固定値と申し上げましょうか、固定で2.5%許容量を見るという趣 旨になります。例えば10%製剤ですと、10%はさらに±10%ということで、±1%を認 めます。パーセンテージになっているものはそのような趣旨です。50%ですと、±5% で2.5%を認めると。  下については、例えば90%製剤があったとしたとき、±方式にすると、かなり振れ幅 が出てしまいますので、50%を超えるものについては、固定で2.5%±として、単位を 変えてこのような表現で区別しています。 ○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。この文書はどのような位 置付けになるのですか。こういった形で通知されるのでしょうか、それともこの会の運 用方針というための確認のペーパーという位置付けなのでしょうか。 ○事務局 行政側として運用していく上での方針ということで、本部会の記録として残 させていただきたいと思っています。現時点で通知などは考えていません。 ○化学物質安全対策室長 先ほど部会長から御紹介があったように、こういう点で議論 があって、この部会で議論した毒性評価のものと、それに基づいて政令で濃度を決めた ものと、さらにそれを運用したときにどのように運用するか、その関係はどうなってい るかという議論がありましたので、それについてはこういう考え方に基づいているとい うことを、部会に御紹介したものです。 ○大野部会長 今日は公開でやっていますし、この内容は何らかの形でパブリックにな ると。 ○化学物質安全対策室長 はい、公開でやっていますし、記録も残りますので、差し支 えなければ、この議論があったことは記録に残したいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。出川先生お願いします。 ○出川委員 今、許容範囲の話で、農薬の関係でこのような形で規定されているという 話がありました。それはそれでよろしいですか。 ○事務局 実際上、農薬でこのように管理されているという理解です。 ○出川委員 ほかの化合物がどのような形になっているか、例えば医薬品などはどのよ うな範囲で許容範囲が規定されているのかは分かりませんが、農薬の範囲を使用したと いう理由はございますか。 ○奥田委員 例えば医薬品で日本薬局方に載っている製剤で、振れ幅はもちろんあって、 多くのケースでは90〜110ということです。±10%ぐらいで管理されている例が多いよ うに思います。ですから、それは医薬品という厳密な世界の話ですから、これで見ると、 大体10%ぐらいのところ、15%という少し大きなところはありますが、それはその濃度 にもよりますから、そこはケース・バイ・ケースかと思います。医薬品は大体±10%が 局方では多いです。 ○出川委員 これを内規みたいな形にするならば、この根拠を示しておいた方がよろし いのでは。こういった規定はあるけれども、この部会としては農薬で使われているもの で考えると、そこをきちんとしておいた方が、後々とよろしいのではないかと思ってお 尋ねさせていただきました。 ○赤堀部会長代理 出川先生の御発言の元には、農薬だけに対象を絞るのか、あるいは ここに出てくる物質全部を絞るのかということについては、まず基本的にどちらかを考 えなければいけないということではないかと思うのですが、そうでしょうか。 ○出川委員 ここにはいろいろな化合物が挙がってきますので、農薬の場合も違う場合 もあるかもしれません。すべての場合をこの許容範囲内でいろいろと縛るということに なれば、範囲を決めた理由をきちんとしておいた方が、後々すっきりするのではないか と思います。 ○赤堀部会長代理 農薬の場合だと、根拠があると理解できるわけです。農薬でない場 合には、何を根拠に決めたのかということですね。これは、とりあえず農薬を対象にす ることは難しいことなのでしょうか。全部に当てはめないといけないということなので しょうか。元々の議論は農薬から発したのです。 ○化学物質安全対策室長 医薬品は扱わないのですが、御指摘のようにいろいろな物質 をここで扱います。農薬以外にも工業製品のようなものも出てくるので、許容範囲ある いは別の基準があるのかもしれませんが、そこまで確認ができるものでもないものです から、一番主要なもので、毒物劇物取締法の扱う範囲として多い農薬で、このようにき っちりとしたものがありますので、これをとりあえず適用してはどうかということで考 えています。ほかのものについて、別のルールのようなものがあれば、それはまた別の 扱いをすることがあるかもしれませんが、とりあえずよく分かっているものは農薬です ので、これをほかのものに適用しても、今のところは差し支えがないと考えられるので、 これでやったらどうかということです。 ○大野部会長 生物学的な毒性のばらつきという面から見ると、10%、15%ぐらいのば らつきは、十分あることです。例えばLD50などだと、施設によって倍くらいの差が出 ることはざらにありますので、10%、15%ぐらいの濃度を許容しても、毒物劇物の指定 と、それに基づいて実際に使用者の安全性管理の上で支障は来さないのではないかと私 は思います。今回は農薬を例に問題が出て、このようなことをしましたが、これはほか のものについて同じように適用しても特に問題ないのではないかと思うのですが、いか がですか。 ○黒木委員 先日議論があったときは確かに農薬で、農薬は農取法でこの規定があり、 農薬は殺虫効果なり殺菌効果なりを求めているので、若干プラスになっているというこ とでこの表は理解できます。しかし、これでこの許容範囲をOKしてしまうと、次の資 料4に早速アセトニトリル40%以下を含有する製剤を劇物から除外するときに、42%の ものも除外するという決議をここでするという形になってきます。こういう化学品と、 殺虫効果、殺菌効果を持つ農薬と微妙に違うのではというのが、今受けた印象です。先 生方、いかがでしょうか。 ○石川委員 ここまでの話になると、過去の経緯を少し申し上げなくてはいけないかと 思います。私は自分がその場にいたわけではないので、聞いた話ということです。そも そもこの議論は毒劇物部会での蒸返しの議論なのです。平成12年の毒劇物部会、このと きは特別部会と名が付いており、位置付けはよく分かりませんが、議事録そのものは入 手できませんでした。そのときに大野先生が言われましたように、仕込値ということで、 表示値に対してその数値が高すぎるのではないか、予め入れる仕込量が多すぎるのは問 題ではないかという意見が出ました。それを受けて、毒劇物部会での意見を踏まえて、 厚生労働省の当時の担当から農水省に、この対応について要請があったと聞いています。  そのときには、農薬の有効成分量の表示は下限値でした。例えば5%と表示がある農 薬製剤について、そのサンプリングは農水省が工場等の立入検査でやりますが、それは 下限値表示ですから、分析をして例えば4.5%だったら含有量不足でいけないというこ とになります。それで5%以上を仕込むという対応をやってきたわけです。そこで毒劇 物部会でそれはやはり問題ではないかということになり、医薬品に準じて、中央値管理 にできないのかというお話があって、それを受けて、農水省で平成16年から、中央値管 理に変更し、このような表示の許容範囲で調整しようということで、平成16年〜平成 20年度末ぐらいまでかけて、農薬メーカーにお願いをして、全部中央値管理に切り換え ていきました。ですから、現在はこれで管理していますと。そのような位置付けのもの であって、これはあくまでも登録農薬についての表示値の管理方法と考えていいと思い ます。 ○大野部会長 それでは5%というと、5%を仕込んでいるということですね。ばらつ きがあるとしても。 ○石川委員 そうです。分析したときに、この場合でしたら4.5%〜5.5%の範囲内なら ば、表示値5%でOKですということです。 ○大野部会長 黒木先生のお話ですが、ほかの物質について、例えばアセトニトリルな どについても、同じ化学物質ですから、毒性試験をやれば同じようなばらつきが出てき ます。どこかでカットオフポイントを決めて管理せざるを得ないので、そのときにどう してもそういうばらつきが出てくることは加味しなければいけないということで、それ も含めて、実際の行政的な管理もしなければいけないということもありますので、農薬 以外のものについても同じように適用していいのではないかと思います。黒木先生のお 話に答えていることになりますか。 ○黒木委員 先生方のお考えもお聞きしたいのですが。 ○大野部会長 ほかの先生方、いかがでしょうか。 ○奥田委員 ものを分析するとどうしてもばらつきが出るのです。仕込値というものも ありますし、例えばそれを持ってきて、自分で分析するときにばらつきが出ます。どの くらいのばらつきを許容しているかというと、いろいろな測定法にもよるのですが、私 は医薬品のことしか分からないのですが、医薬品の分析で、例えば原薬の場合でクロマ トグラフィーで分析するときは、98〜102という形で、原薬そのもの100%のものについ て、例えば工程書の規格は98〜102という形で立てることが多いのです。特に上限がそ のようになるというのは、分析誤差みたいなものもどうしても出るということで、下の 方は農薬と一緒で、余り量が少ないのは駄目ということで決まるのですが、上の方はど うしても分析誤差を考えて、そのような形で設定されることが多いので、いずれにせよ、 どこかでは少し上も含めて決めないと、分析上は不都合が生じてしまうということにな ると思います。ですから、どうしても100というときに、100という数字は実際に分析 してみるとなかなか出ないというのが事実です。 ○大野部会長 医薬品と比べて、それ以外の物質については、医薬品ほどの濃度の厳密 差を要求するのは実際的ではないと思います。ほかの先生はいかがでしょうか。いろい ろと御意見をいただきましたがほかになければ、事務局から出していただいた今後の管 理方法でやっていくということでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは承認していただいたということで、そのようにさせ ていただきます。 ○事務局 資料4に入ります。「アセトニトリル40%以下を含有する製剤」について御 審議いただきます。繰り返しになりますが、先ほど議論がありましたように、42%まで を何でも許容するという趣旨ではありません。あくまでも規格値として40%までを認め ますと、ただ実際に分析したときには、上を含めた誤差もあり得るということで御理解 いただきたいと思います。それを含めまして、40%以下を含有する製剤という趣旨です。  本物質は有機シアン化合物として、包括的に劇物に指定されている物質ですが、40% 以下の製剤について除外を検討していただきます。  アセトニトリルというのは非常にありふれた物質で、EHCなどいくつかの文献に毒 性試験が出ています。そちらは別紙2に文献データとして記載しています。文献の値で すので、試験方法、投与動物によって様々な結果が出てきて、劇物相当から全く劇物に 当たらないような結果が出ています。現時点で、判定基準上、文献の評価をどうするの かについては記載がありませんので、一番強く出ているものを評価させていただきまし ょうということで、一番強い毒性のものを評価すると、文献の結果の中では、経口毒性 と経皮毒性が、劇物に該当するおそれがあるということになります。  そこでこちらの経口毒性と経皮毒性について、40%水溶液で試験をやっていただいた ところ、こちらは劇物から明らかに除外ができるという試験結果が出ましたので、40% 以下について除外を検討するものです。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 赤堀先生から追加はありますか。 ○赤堀部会長代理 事務局の説明のとおりです。 ○大野部会長 先生方から御意見ございますでしょうか。これは今の説明だと、皮膚毒 性がないからということでしたが、原体では強い眼刺激性があるということです。この 40%製剤について、眼刺激性はどうなのですか。急性毒性や経皮毒性が弱くても、40% でも強い眼刺激性があった場合に、毒物と劇物の判定基準の中では、「ウサギを用いた Draize試験において、少なくとも1匹の動物で角膜、虹彩又は結膜に対する、可逆的で あると予測されない作用が認められる、または、21日間の観察期間中に完全には回復し ない作用が認められる」場合には劇物相当ということになりますが、これについての情 報はあったのでしょうか。 ○事務局 はい。製剤については眼刺激性については知見がありませんが、原体の眼刺 激性の記載で、強い眼刺激性というものは、今の判定基準上の文章よりも1ランク弱い 刺激性という意味合いになっています。GHSなどでは、強い眼刺激性よりも、さらに 強い腐食性という、区分1というものがございます。この関係から、劇物に指定してい るものは、その腐食性相当というものを指定していることから、これは大丈夫だろうと いう判断になります。 ○大野部会長 分かりました。角膜混濁のスコアは1.45ということで、それほど高いも のではないですね。城内先生お願いします。 ○城内委員 濃度を決めて、その濃度以下だったら、毒物とか劇物からは除外する例と いうのは、ほかにもたくさんあるのでしょうか。 ○大野部会長 今までそのような製剤が出た場合に、安全性を確認して、もし該当しな いというデータが示されれば除外しています。 ○城内委員 そうですか。分かりました。ただ、私が懸念するのは、今は水で薄めた場 合というお話だったのですが、水で薄めて毒性が強くなるようなものについても、混合 したときにも法律上は除外されるということですね。 ○大野部会長 そうですね。その製剤で安全性試験をやって問題がなければそうなりま す。 ○城内委員 例えばアセトニトリル40%以下を含有する製剤であるけれども、ほかのも のが入っていたら、また試験をしなければいけないということにはなっていないと思う のですが。 ○大野部会長 別のものを加えたら、別の評価になりますよね。例えば毒物相当のもの が入った場合に、そういうことですね。 ○事務局 毒物相当であるとか、劇物相当であるとか、すでに指定されているものが入 っている場合には、そちらに依存します。ただ、一般に全くそのような指定のされてい ない物質というか、そのようなもので薄めた場合には、城内先生のおっしゃるとおり、 それはあくまでも同じ40%製剤という範疇で除外される趣旨になります。水で薄めて も、有機物で薄めても、それはほかに毒劇物の指定のないもので薄めている限りは除外 される趣旨になります。 ○城内委員 分かりました。 ○宮川委員 例えばアセトニトリル33%のものなら除外になるわけですが、100%だと 指定されているのだけれども、それぞれを調べると40%以下のアセトニトリルと同じよ うなものがあったとして、それを3つ混合して合計で100%になるようなものは、仮定 としてはあり得ると思うのですが。 ○大野部会長 そういう場合は、元々は劇物だけれども、40%以下だったらいいと。メ タノールで5%以下だったら劇物でなくていいというときに、混ぜて両方が基準以下に なればいいかどうかということですよね。 ○宮川委員 はい。 ○大野部会長 今全然指定されていないもので希釈するならいいけれどもというお話だ ったと思うので、指定されているもの同士で希釈されても駄目だということになるので はないかと思うのですが、そのような理解でよろしいですか。 ○事務局 今の配合濃度の件ですが、アセトニトリル40%ということであれば、60%が どのような物質なのか。組成と配合比というのが必ずあります。残りの60%が毒物ある いは劇物に指定されている物質で、そして、配合濃度の規制がどれだけかかっているの かにもよりますがその毒物及び劇物は個々の物質での指定によるものですので、どのよ うな組成比でその製剤が成り立っているかということでの判断になります。アセトニト リル以外の60%のものが毒物劇物の指定にしていないものであれば、優先順位からする とアセトニトリルに着目する必要があるかもしれませんが、仮に、他の60%の配合され ている物質が毒物あるいは劇物に指定されていて、配合濃度も規制されているものであ れば、各物質の毒性をみるという形になります。 ○宮川委員 指定されていて、これと同じように何%以下なら除外するというようにな っているもので、その濃度が仮に40%で指定されているものがA、B、C3物質あった ときに、それを33%ずつ混ぜて新しい物を作ったときに、個々に見ていくと全部クリア してしまうと思うのですけれども。 ○事務局 それについては、個々の物質でのみ、成分ごとでのみ評価がなされます。極 端なことを言うと、毒劇法では、原体100%のもののみが指定されている物質というの があります。100%のものを半分ずつ混ぜて50%、50%混ぜたらどうなるのかと。当然、 単純計算すれば、毒劇物相当の毒性があるのではないかと誰もが想定するところです。 ただし、こういうものは法的には劇物ではなくなります。あくまで各成分で判断いたし ます。また無限に組合せというものはあります。 ○大野部会長 法的にはそういうことですが、ただ、社会的に例えば問題が起きるとか、 そうなった場合には、それを別途取り上げて指定するということは可能なわけですね。 ○事務局 もちろんです。この物質とこの物質と混合したら極端に毒性が高いというも のが明らかである場合には、当然そういったものは「これとこれの混合物」であるとか、 「こういった製法で作ったもの」とか、そういった実例というものも当然あります。 ○大野部会長 分かりました。何か抜け穴みたいなのがある様ですけれども、わざわざ そんな抜け穴を探って物を作る意味があるかどうかという、そういう問題もあります。 まあ、よろしいのではないかと思います。では現実に何か社会的な問題が起きたときに は、また別途対応するということです。  それでは、これについては、40%以下を含有する製剤ということで、このアセトニト リルの40%製剤にについては、除外するということでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。そのようにさせていただきます。  それでは次の品目「Pigment Yellow 185及びこれを含有する製剤について」、説明を お願いします。 ○事務局 資料5を御覧ください。名称「(別名Pigment Yellow 185)及びこれを含有す る製剤」です。いわゆる顔料、色を着けるための物です。有機シアン化合物としてこれ も劇物に指定されている物の一つです。原体の毒性データが別紙に提出されておりまし て、除外を検討する物です。経口毒性、吸入毒性、それから眼刺激、皮膚刺激試験が行 われていまして、いずれも劇物除外を検討できるという結論ということで調査会ではい ただいています。御審議の程、よろしくお願いします。 ○大野部会長 これについて、調査会の方では何か追加ありますか。よろしいですか。 ○赤堀部会長代理 はい、ありません。 ○大野部会長 それでは、これは数字的には基準値よりずっと毒性が弱いというデータ が出ていますけれど、先生方、御意見ありますでしょうか。  よろしければこれは劇物から除外するということにさせていただきます。  それでは次の品目、これも長いのですけれど、「4-[トランス-4-[2-(トランス-4- プロピルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル]ベンゾニトリル及びこれを含有する 製剤について」、御説明をお願いします。 ○事務局 こちらの方は、非常に構造が似通っている類似物質ですが、まとめて御審議 させていだたければと思いますが、よろしいですか。 ○大野部会長 お願いします。品目の(3)(4)(5)です。 ○事務局 (4)「ベンゾニトリル」、又は(5)「ベンゾアート」ということですが、こ れは全部有機シアン化合物として劇物に指定されています。原体の毒性データが提出さ れておりまして、いずれも数値と提示されているデータもほぼ同じです。経口毒性と吸 入毒性と皮膚刺激性試験が行われまして、いずれも劇物除外が検討できるものと考えら れます。このことから、調査会におきましては、劇物から除外することが適当であると いう結論をいただいていますので、御審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 ありがとうございます。赤堀先生から何か追加がありますか。 ○赤堀部会長代理 ありません。 ○大野部会長 では、先生方から御意見ございますでしょうか。実際の試験をやったら 該当しないということです。除外するということでよろしいですか。  それでは劇物から除外するということで結論としたいと思います。  それでは、資料9の「別名エタボキサム及びこれを含有する製剤について」の御説明 をお願いします。 ○事務局 資料9を御覧ください。名称は略称で「(別名エタボキサム)及びこれを含有 する製剤」です。植物の病害の原因となる糸状菌に対する殺菌剤として農薬登録申請が 行われているものです。有機シアン化合物に該当するため、農林水産省から果たして本 当に劇物に該当するかどうかということで審議依頼を受けているものです。原体の毒性 データにつきまして、別紙2に記載しております。経口毒性、経皮毒性、吸入毒性、皮 膚刺激、眼刺激、全部のデータが提出されていまして、いずれも劇物除外が検討できる データとなっているかと思います。御審議のほど、よろしくお願いします。  ○大野部会長 ありがとうございます。これについて、赤堀先生の方から追加はありま すか。 ○赤堀部会長代理 特にありません。 ○大野部会長 先生方から御意見ございますでしょうか。  これについても劇物の指定から外すということでよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。  次の品目は、(7)、「4-[6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]-4′-シアノビ フェニル及びこれを含有する製剤」について、説明をお願いします。 ○事務局 資料10を御覧ください。「4-[6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]- 4′-シアノビフェニル及びこれを含有する製剤」です。有機シアン化合物として現在劇 物に指定されておりますが、原体の毒性データが提出されているために、除外を検討す るものです。毒性データについては別紙2を御参照ください。経口毒性、経皮毒性、吸 入毒性、眼刺激性試験が行われまして、いずれも劇物除外を検討できる値になっている かと思います。このことから、調査会では劇物から除外することが適当であるとの結論 をいただいています。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○大野部会長 ありがとうございます。赤堀先生何か御意見ございますか。 ○赤堀部会長代理 資料のとおりです。 ○大野部会長 先生方から御意見ありますか。奥田先生、この化学名は問題ないですね。 ○奥田委員 これで大丈夫です。 ○大野部会長 他の先生はよろしいですか。  それでは、これについても動物実験結果から、劇物に該当するような毒性はないとい うことで、劇物から除外するという結論にさせていただきます。ありがとうございまし た。  今日の審議事項の3番目としまして、「四アルキル鉛を含有する製剤の運搬等につい ての技術上の基準等の改正について」ということで、審議していただきたいと思います。 では、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料11を御覧ください。「四アルキル鉛を含有する製剤の運搬等についての 技術上の基準等の改正について」ということです。毒物の運搬容器の基準について今度 は御審議いただくことになります。よろしくお願いいたします。四アルキル鉛という物 は「特定毒物」に指定されているものですが、この四アルキル鉛を含有する製剤の運搬 につきましては、政令で技術上の基準を定めることができるとされていまして、具体的 には毒物及び劇物取締法の施行令第40条の2に四アルキル鉛を含有する製剤、無機シア ン化合物、弗化水素の3種類につきまして、こういう容器を使うようにという基準があ ります。ただ、無機シアン化合物と弗化水素を運搬する場合の容器については、いわゆ る国際海事機関が採択した国際海上危険物規程に適合する運搬容器、要するに国際基準 に合致する国連容器ということですが、こちらの方による運搬が現在可能となっていま す。四アルキル鉛については、それが現時点で認められておりません。四アルキル鉛に つきましては、現時点では日本工業規格に適合するドラム缶による輸送しか認められて おりませんが、現在国際基準に合致する容器で海外から輸入などが検討されているとい うことですので、この基準のままドラム缶しか国内輸送を認めないということにしてお きますと、仮に国連の容器で日本の港まで来た場合に、わざわざドラム缶に移し替えて 輸送しなければならないと、非常に手間がかかるばかりであるどころか、移し替えのと きに取扱者が暴露するおそれが想定されるということもあります。この国連の運搬容器 というものが、非常に頑丈でドラム缶と同等以上の物が担保できるものであるのならば、 そういった国連容器による国内輸送も認められるのではないかということから、今回審 議させていただくものです。  御参考までに、現行の毒劇法における運搬容器に関する法体系について、参考資料1 として付けさせていただいています。「毒物及び劇物取締法における運搬に関する基準 体系図」です。まず法律の第16条で、「運搬等について技術上の基準を政令で定めるこ とができる」と規定されています。これを受けまして、政令で運搬容器の基準というも のが第40条の2に書いてありまして、そこには四アルキル鉛、無機シアン化合物、それ から弗化水素の3種類について、こういう運搬容器を使いなさいという規定があります。 ただし、無機シアンと弗化水素につきましては、そこからさらに右側に行きまして、省 令で「国連容器使用時の基準の適用除外」、要するに国連容器だったらいいですという 規定があります。ただし、四アルキル鉛については、これがまだ現行ありません。さら に政令で第40条の3〜第40条の5まで、今度は運搬方法について、その容器の使い方 であるとか、積み方であるとか、あるいは運ぶ場合の運搬方法についての基準が細かく 定められています。これら四アルキル鉛、無機シアン、弗化水素の3種類以外につきま しては、通知によって運搬容器の基準が定められていますが、今回の審議事項でありま せんので、こちらの説明は省略させていただきます。今回はこの、四アルキル鉛につき まして、国連容器が使えるかどうかということを御審議いただきます。  資料11に戻っていただきます。2.を御覧ください。四アルキル鉛という物は、無色、 可燃性の揮発液体ですが、毒性が非常に高いことから、現行毒物及び劇物取締法で「特 定毒物」に指定されています。使用者や用途について厳しい規制が行われていまして、 学術研究又は毒物劇物製造のための製造原料ということの例外的な使用を除けば、用途 としては石油精製業者による「ガソリンへの混入」のみが認められている物質です。そ ういうことから、我が国の年間輸入量は8tと非常に限られたものになっており、実際 輸入される物としては、自動車燃料用のアンチノック剤、自動車燃料と言いましても、 現実今の日本の国内には、自動車ガソリンにはこういうものは入っていませんので、実 際には、航空燃料、飛行機に使われる燃料として一部こういうものが輸入されていると いう実態です。四アルキル鉛につきましては、参考資料2に詳しくこういうものですと いうものを、毒性とかも掲載していますけれども、今回は割愛させていただきたいと思 います。少々補足します。本日申し上げる「自動車燃料用アンチノック剤」という表現 は、いくつか資料中に出ていますが、この中には常に航空燃料用ということが含まれて いるということで御理解ください。これは国連の基準で「Motor Fuel Anti-knoch Mixture」という英語が使われていて、Motorという語は直訳すると自動車になってしま うために、どうしても自動車燃料用となっておりますが、そこには航空燃料用も含まれ るということで御理解いただきたいと思います。以下特に注釈なく、自動車燃料用アン チノック剤と呼ばさせていただきます。  3番目です。四アルキル鉛を含有する製剤の内、自動車燃料用アンチノック剤につき ましては、国連容器でポータブルタンクというものが定められています。さらにポータ ブルタンクにもいくつか運ぶ物質によっては基準がかなり厳しくなっているものもあり まして、その内、要件T14というものが規定されています。T14という要件を満たすポ ータブルタンクはどういうものかというものを参考資料3に載せています。文章が非常 に長いので、簡単に説明させていただきます。まずポータブルタンクは、一般に以下の 要件を満たしていなければならないということで三つの条件があります。まず構造設備 を取り外すことなく荷役ができなければならない、であるとか、胴体の外側に安定装置 を有して、物質を満載した状態でも吊上げができることと、車両船舶に積載できるよう に設計されていることと、それを容易にするための架台や台座、又は付属装置が付けら れていること、要するにその容器単体できちんと吊上げとか荷役とか、あるいは自動車、 船などに容易に載せられるような、かなりガッシリとしたタンクであるということです。 さらに要件T14というものが付くとどうなるかと申しますと、こちらの方が最小試験圧 力が6barでやらなければならない、胴体板厚が6mm以上である、承認された圧力安全 装置を備えること、それから底部開口部が禁止となっております。底部開口部というの はどういうものかと申しますと、液体を最大限充填したときに、その液面より下に容器 の入口なり、開口部なり、要するに開く場所があってはならないということです。これ は万が一開口部に緩みであるとか不具合があった場合にも、液が漏れ出さないような最 小限に漏れが収まるような、そういう措置として、非常に危険な物質ですので、液面よ り下にそういう開口部があってはならないと、そういう厳しい条件があります。こうい ったものを満たすのがポータブルタンクT14です。あとは、アンチノック剤を輸送する 場合には、特別要件として下の二つ、50℃において95%までしか充填してはいけません ということと、呼吸用保護具、呼吸具を備えなければ運般してはいけませんという規定 があります。これが国際基準の容器です。  こういったポータブルタンク、要件T14に合致するものをドラム缶と同等以上の強度 があれば、同等以上の安全性があるのであれば、国内輸送も認めてもいいのではないか という観点から調査会の方では、ポータブルタンクが国内輸送に使えないかということ で御審議いただきました。結論から申し上げますと、これは認められるということで、 ドラム缶と同じような規制を付けることで、きちんと同等以上の安全性を担保できて、 ポータブルタンクによる輸送を認められるのではないかという結論をいただいていま す。  審議内容につきまして、その時の調査会で審議したことについて簡単に御説明します。 次のページの5.を御覧ください。まず、これは現行を認められているドラム缶とポータ ブルタンクの規定です。性能を比較してあります。容器容量については、ドラム缶とい うのは大体大きさが決まっているのですが、ポータブルタンクは現実的には規定はあり ません。ただ大体4KLのものが使われていると聞いています。側壁の厚さ、壁の厚さと いうものは明らかにポータブルタンクの方が分厚くなっているということ。充填率につ きましては、ドラム缶の方には規定は特にありませんが、毒劇法では90%までしか充填 してはいけないという、そういう趣旨の規定があります。ポータブルタンクは国際基準 で50℃において95%までは充填できると、そういう設計になっているという基準があり ます。あと圧力安全装置がポータブルタンクの方にはあります。底部開口部については 禁止されています。こういった性能の比較があります。大体これを概括していただいた 結果、ポータブルタンクはドラム缶よりも安全なのではないかと、同等以上の安全性が 見込めるのではないかということを御結論いただきましたのが1点です。  また、ドラム缶とポータブルタンクを運ぶに当たっては、政令でさらにいくつか、ど のような運び方をしてもいいというわけではありませんで、容器の運び方につきまして 規定があります。ポータブルタンクにも基本的にはドラム缶と同様の規制を課すことが 適当であると考えています。ただ、2点ほどドラム缶と違う、ドラム缶ではこうだった けれどもポータブルタンクでは必要ないのではないかという規定を御議論いただきまし た。こちらの方を2点説明させていただきます。まず充填率につきまして、6番の表の 一番上です。現行の毒劇法では、ドラム缶には90%までしか詰めてはいけませんと、10 %以上の空間が残されていることが毒劇法上の要件です。ただポータブルタンクは、先 ほど説明しましたように、国連基準で既に50℃において95%までしか詰めてはいけない と、そういう規定になっていますので、そういうことを前提に設計されているタンクで すので、こちらの方はドラム缶と同じような規定にせずとも、国際基準に合わせても問 題はないのではないのかと考えまして、こちらの方はドラム缶とは規定を変更させてい ただきたいと考えています。もう1点です。今度第40条の4は、「積載の様態」と書い てある所の一番上、「ドラム缶の下に厚いむしろの類がしかれていること」、現行の毒 劇法ではこういう規定があります。ポータブルタンクというものは、参考資料3に写真 がありますように、下側にある写真の一番外側は、これはコンテナでポータブルタンク ではありませんが、中にある白っぽい部分、これがいわゆるポータブルタンクです。か なりガッシリした設備でして、この下にむしろを敷くという必要もなかろうと。実際外 側にコンテナ等のコード設備が付随している、ポータブルタンクとは一般的にそういう 要件は備えていなければならないというのは、先ほど御説明したとおりです。むしろな どを敷いてまで漏洩があったときを予防する必要はないだろうということで、わざわざ 敷く必要がないと考えています。  これ以外の点につきましては、ほぼドラム缶と同じような規制をもって同等以上の安 全性を担保して運送ができるのではないかと考えています。これが調査会の結論ですの で、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございます。ドラム缶にこれだけ厳しい基準があるとは全然 知りませんでした。これについては、石川先生の担当の調査会で審議されたのですね。 ○石川委員 いいえ、城内先生です。 ○大野部会長 先生の方から何か追加はありますでしょうか。 ○城内委員 いえ、特にありません。 ○大野部会長 よろしいですか。それでは、ただ今の御説明を受けましたけれども、国 連の規定したポータブルタンクで運んでもいいのではないかというお話ですけれども、 そういった形に替えるということについての御意見ありますでしょうか。 では、替えることについて問題はないということでよろしいですね。 ○事務局 補足させていただきますけれども、ドラム缶は現行どおり認めさせていただ く。それに加えてこれも認めると、両方認めるという趣旨です。 ○大野部会長 分かりました。ではよろしいでしょうか。  ありがとうございます。それでは、ポータブルタンクの利用も認めるということにさ せていただきます。  今度は報告事項になります。議題の4として、「多硫化カルシウム及びこれを含有す る製剤について」、御報告を事務局からお願いします。 ○事務局 資料12を御覧ください。多硫化カルシウム及びこれを含有する製剤について ということで、調査会での審議経過を御報告をさせていただきます。経緯の所に書いて ありますとおり、無機硫黄を主成分とする殺菌剤でして、古くから使われている物です。 現在でも果実の病害防除の標準的な殺菌剤として広く用いられていまして、2008年の出 荷数量が約6000kLを超える程度というようなことです。  調査会の審議経過です。本件は、本剤の毒性や本剤による事故の状況等から、本剤を 毒劇物に指定すべきではないかという民間のNPOからの申出に基づきまして、調査会 にお諮りしたものです。ラット急性毒性試験の邦文の文献におきまして、劇物の判定基 準に合致するLD50の報告がありましたことから、メーカーの方にもお願いをしまして、 詳細な試験成績の提示を求めました。これを踏まえまして、調査会で御審議をいただき ましたところ、前者の邦文の文献に関しましては、GLP準拠で実施したものではない ということが明らかとなりまして、また、明確なデータの公表などもされていなかった ということでして、これらについては、信頼性の観点より評価から外すべきではないか というような議論をいただいたところです。この試験以外の毒性試験データ、これはメ ーカーの方で実施した試験の結果は提出していただいていまして、机上の配付資料につ いては、別紙2の方に添付をしています。別紙2のとおり判定基準上劇物には該当して いないということで、調査会の方では本剤は劇物には該当しないものという形で結論を いただいたものです。  なお、本剤では、適正でない使用方法による事故というものが多数報告されています ことから、メーカーの方では、小容量の包装品、これは例えば500mLでありますとか、 1Lサイズの物で、簡単に買えるというような状況の物については、農薬の登録抹消で ありますとか、インターネット販売の自粛要請等を含む流通におけるその販売時の注意 喚起を実施するということで、現在取り組んでいただいているということですので、併 せて御報告をさせていただきたいと思います。以上です。 ○大野部会長 ありがとうございました。小容量包装品の農薬登録抹消というのは、小 容量のものが、そういう不適切に利用される可能性が高いという、そういうことですか。 ○事務局 そうです。実は、農家の方で使われる物は18L入りの物を中心として大容量 の物を実際にはその農家の方で使っているということで、それとは違う流通ルートで一 般の御家庭でも使えるような感じの普通の500mLの瓶みたいなものでも、実際には供給 をされているという状況がありました。ただ、これは適切でない使用があるということ でありましたので、これは農薬の登録を抹消するということになりますと、以後製造で きないということになりますので、そういうことによって、最終的には小容量の包装の ものについては市場からなくなるということです。 ○大野部会長 分かりました。最初これを見たときに変な感じがしたので。大容量の方 が問題かと思ったのですけれど、状況はよく分かりましたので結構です。 ○黒木委員 調査会のときもコメントを申し上げたのですが、石灰硫黄合剤の方は、毒 劇物判定では普通物といったことで、これまで通り流通という形で結構かと思います。 ただ、本剤の方では適正でない使用が社会問題となりまして、日本中毒情報センターへ も問合せがありました。大変危惧していましたけれども、取扱いメーカー各社の方で自 主的にこの小容量、500mLと1Lの包装品を農薬登録を抹消するという御英断をいただき まして、さらにインターネット販売の自粛要請を含む流通販売時における注意喚起、及 び販売者、使用者への教育強化など、大変御尽力いただいているということで、人命を 第一に考えていただいたその御努力に敬意を表したいと思いますし、大変感謝していま す。ありがとうございます。 ○大野部会長 他に御意見ありますでしょうか。石川先生お願いします。 ○石川委員 全農の組織のひとりということから申し上げると、やはり農家にとってこ の石灰硫黄合剤はいろいろな意味で使い易い剤ということです。それがこのような対応 をとることになったことについては、非常に結果としては喜ばしいと考えています。既 にご案内のとおりですけれども、石灰硫黄合剤は冬場に使える果樹の殺菌剤であり殺ダ ニ剤ということで、成分がカルシウムと硫黄ということですから、食品衛生法上の残留 基準の設定も不要で、ポジティブリスト制度対象外物質という扱いになっていますので、 残留上の問題はまずない。その上、国際的にも有機農業、日本では有機JASですけれ ど、有機農業で使用しても構わない天然由来の物質、農薬ということ。さらに国内では、 特別栽培作物ということで、極力化学合成農薬の数量を減らして栽培するのを特別栽培 と言うのですが、その場合に使うことができる剤ということです。このような剤が本当 に使いにくくなってしまうと、現場の農家は非常に困るという実態があります。先ほど 事務局からの御説明がありましたように、通常農家が使う場合は、10L、18Lという大き な容器なものですが、それに対して小口の方が500mLと1Lというのがありまして、こ ちらは農協経由や、農薬の販売店経由ではなくて、いわゆるホームセンターとか、それ からインターネット等で扱われやすい。こういう小口の物が、やはり不特定多数の人が 簡単に入手できますので、問題となる目的外使用に使われる可能性が高いということか ら、今回この剤の登録メーカーが確か11社ぐらいでしたか、団結して対応をすることと し、小口は登録も失効させて、要するに販売もできませんという対応をすることになっ たということです。 ○大野部会長 御説明どうもありがとうございます。他の先生から御意見、御質問等あ りますでしょうか。よろしいですか。それではこの報告はしていただいたということに いたします。どうもありがとうございました。  次の報告事項ですが、議題5、「2-ジフエニルアセチル-1,3-インダンジオンの毒 性試験について」、説明をお願いします。 ○事務局 資料13を御覧ください。この物質の0.005%以下を含有する製剤は、現在、 劇物に指定されていますが、この配合量の下限値をもって、劇物に該当しない物質とし て殺鼠剤として販売したいというメーカーからの意向があり、その後、平成18年度の毒 物劇物調査会、及び毒物劇物部会で審議を経て、この物質の毒性、いわゆるこの物質特 有の血液抗凝固作用に対する安全性をどのように見ていくかということになりまして、 この0.005%製剤にて5日間の反復投与における無毒性量(NOAEL)を求めるということ で、申請のあった企業にこの内容を提示し、追加の試験データを要求し、当該データが 提出されたことから、毒物劇物調査会では、当該データの信頼性の妥当性については了 承されました。しかしながら、劇物から劇物に該当しない物質への妥当性への判断につ いては、参考資料と書いてある、別紙2の「製剤(0.005%)」にも示していますように、 吸入毒性試験等全ての、除外に該当する試験データが実施されていないことから、毒物 劇物の判定基準に従い、当該試験の実施を申請者に要求し、当該試験データが提出され た際には、さらに毒物劇物調査会で審議することとしております。以上、NOAELの試験 成績書が企業から提出され、そのデータに関して調査会で了承を得たということの御報 告をさせていただきたいと思います。 ○大野部会長 赤堀先生の方から追加はありますか。 ○赤堀部会長代理 これは本当にもう長い間、部会で議論していただいて、また、調査 会へ差し戻すということの内容です。毒劇の調査会としましては、毒性があるかないか という観点から評価しようと。有効性と毒性が相反するというデータが出ていまして判 断に困ったのです。片方では効果があると言って売っていて、その量では毒性がないと いうのが出てきておりまして、非常に困ったのですけれども、有効性の問題は私たちの 範疇でないということで、出てきたデータに信頼性があるかどうかということと、その データに基づいて劇物に相当するかしないかという判断をさせていただいたということ で、5年以上かかりましたけれども、やっと結論が出たということです。 ○大野部会長 ありがとうございます。先生方から何か質問はありますでしょうか。  ないようでしたら、「その他」ということですけれども、その他審議事項等は事務局 からありますでしょうか。 ○事務局 特にありません。 ○大野部会長 よろしいですか。先生方から何かありますでしょうか。それでは、岸田 審議官の方から何か一言ありますか。 ○審議官 大臣官房審議官の岸田です。会議がありましたため、遅れてまいりまして、 失礼いたしました。この会議、一昨年の11月ですか、構築して、少し時間が経って今日 の開催になったわけでありますけれども、この今日の議題を見ますと、結構たくさんあ るわけで、もう少し頻度を高めてやってはいかがかと、こう思っています。その場合に は、先生方にはお忙しいところいろいろ御迷惑をおかけするかもしれませんが、やはり できるだけ速やかな審議に努めてまいりたいと、こう思っています。それからまた、先 ほどいろいろな先生方の御意見に基づいて包装単位を制限するとか、そういったことに よって国民の健康を守ると、こういう観点からいい対策ができたと、こう思っています。 今後とも国民の保健を守る、それは作業者の保健も含めてでありますけれども、そうい う観点からもいろいろな御意見をいただきたいと、また、私どもに対するいろいろな要 望などがありましたら、忌憚なく言っていただければ有り難いと思います。どうもあり がとうございました。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、先生方から特に御意見があ りませんようでしたら、これで終了とさせていただきますけれど、よろしいでしょうか。  本日は御協力どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 柴辻(2910)