10/03/24 平成22年3月24日医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験出題基準改定部会議事録 医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験出題基準改定部会議事録 1.日時及び場所   日時 平成22年3月24日(水)15:30〜    場所 全国都市会館 第2会議室 2.出席委員(47名)五十音順   旭   満里子   石 田 寿 昌   井 関   健   市 原 和 夫   伊 藤   喬   井 上 圭 三   上 田 志 朗   上 野 雅 晴   生 出 泉太郎   大 石 一 彦   大 石 了 三   岡   淳一郎   荻 田 喜代一   奥   直 人   小 澤 孝一郎   小野嵜 菊 夫   片 岡 泰 文   堅 田 利 明   金 尾 義 治   金 澤 秀 子   亀 井 美和子   児 玉   孝   櫻 井   弘   鈴 木   孝   高 野 幹 久   高 橋   寛   手 島 玲 子   寺 崎 哲 也   豊 岡 利 正   長 友 孝 文   中 村   洋   那 須 正 夫   夏 苅 英 昭   成 松 鎭 雄   早 川 和 一   原 山   尚   平 野 和 行   藤 田 卓 也   藤 原 英 俊   堀 内 龍 也   三 木 知 博   宮 田 興 子   宮 本 悦 子   宮 本 法 子   山 崎 正 利   吉 川 雅 之   渡 邊 善 照   3.欠席委員(9名) 井 手 速 雄   岩 本 喜久生   奥 田 真 弘   辻 本 豪 三   手 島 邦 和   寺 田 勝 英   永 野 康 己   平 塚   明   山 田   洋          4.行政機関出席者   岸 田 修 一(大臣官房審議官)  山 本   史(薬事企画官)   近 藤 恵美子(総務課長補佐) 他 5.備考   本部会は、公開で開催された。 ○井上部会長 ただいまから平成21年度第2回「医道審議会薬剤師分科会薬剤師 国家試験出題基準改定部会」を開催いたします。本日、委員の先生方におかれまし ては、ご多忙中のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。  議事に入る前に事務局から、本日の出欠状況の報告と配付資料の確認をよろしく お願いいたします。 ○総務課長補佐 本日の委員の出欠状況をご報告させていただきます。「出題基準 改定部会」は56人の委員の先生がいらっしゃいますが、本日、これまでのところ、 46人の委員の方にご出席をいただいていますので、本部会は成立していることを ご報告申し上げます。  それから、配付資料の確認をいたします。お手元の資料をご確認ください。まず 「議事次第」と「座席表」があります。それから、資料1「委員名簿」、資料2「各 領域の出題の範囲について(たたき台)」、資料3「出題に際しての留意事項にお ける検討課題」があります。参考資料としまして、参考資料1「薬剤法施行規則の 一部を改正する省令の公布について」という通知、参考資料2、これは前回の配付 資料を今回改めて配付していますが、「薬剤師国家試験出題基準の検討における論 点(案)」、参考資料3も、前回資料を一部改編してお配りしています。参考資料 4として、現行の「薬剤師国家試験出題基準」があります。  以上でございます。過不足がありましたら、事務局までお願いいたします。 ○井上部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。  それでは、ただいまより議事に入ります。本日の議題は「薬剤師国家試験出題基 準について」ですが、前回の部会以降、出題の範囲、あるいは出題に際しての留意 事項等について、領域ごとに検討をお願いいたしました。これまでの検討状況等に ついて、事務局から、まず資料に基づいて説明をお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○総務課長補佐 これまでの検討状況等についてご説明申し上げます。まず参考資 料1をお手元にご用意ください。これは前回、昨年12月に本部会が開催されて以 降の動きですが、本年1月に「薬剤師法施行規則の一部を改正する省令」が公布さ れています。資料1は省令公布の際の「局長通知」でして、3頁目には、具体的に 改正された省令が記載されています。前回の部会でもご報告しましたが、省令で薬 剤師の国家試験の試験科目を定めていますので、この1月20日付の省令をもって、 薬剤師の国家試験の科目が正式に定められたわけです。  13頁目をご覧ください。同日付で、「新薬剤師国家試験について」、どのよう な方向で実施していくかについても、併せて「局長通知」を発出しています。問題 の出題形式や解答形式、試験問題数などについて示しているものでして、14頁目 には「一覧表」として、それぞれの科目・領域ごとに必須問題、一般問題がどれだ け出題されるかについても示しています。本日、ご議論いただく出題基準について は、それぞれの科目においてどのような内容の出題をしていくか、あるいは、出題 にあたってどのような留意点を考慮していくかといったことについて、まとめてい ただくものです。以上、参考資料1が前回の部会以降の動きということでご報告を させていただきました。  続きまして、資料2をお手元にご用意ください。併せて、参考資料2、3につい てもご用意いただければと思います。参考資料2は、前回の本部会における資料で す。前回は参考資料2に示しているとおり、「出題基準の検討における論点(案)」 を示しまして、この項目を念頭におきながら、出題の対象範囲について、ご検討を お願いしてきたところです。具体的には、参考資料2の2、3頁目にそれぞれの科 目(領域)ごとに、現在の薬学教育のモデル・コアカリキュラムを基本にしたとき に、その大項目、中項目というものが、その科目に対応するものとしてどんな項目 が入ってくるかを示しました。この大項目、中項目についてそれぞれ、基本はこの ような内容でいいかどうか、あるいは、他領域に移したり、入れ替えたりするよう なものがあるかどうかについてもご検討をいただきました。  参考資料3をご覧ください。5頁以降が、現在のモデル・コアカリキュラムに沿 って、各科目(領域)ごとにどのような項目が入ってくるかを整理したものです。 例えば5頁目でいえば、これは【物理・化学・生物】の中の「物理」分野です。こ れは先ほどご覧いただいた参考資料2の大項目、中項目と対応していますが、そこ に小項目の例示として、それぞれどのような項目がぶら下がってくるかをこちらで ご覧いただけます。  こちらをベースとしまして、各領域の作業グループから、それぞれの大・中・小 項目の例示について、どのように整理していけばよいかという意見の提出をお願い したのが前回の部会以降です。それによって、提出された意見を整理したものが資 料2です。例えば「物理」分野でいえば、資料2の1頁目と、先ほどの参考資料3 の5頁目をご覧いただくと、意見の中で変わってきている部分などをご覧いただけ るかと思います。出題の範囲に関しては、前回の部会以降、このような形で各領域 のご検討をお願いしたところです。  続きまして、出題に関する基本的な考え方や問題作成に関する留意点ですが、こ れについても、各領域においてご意見をいただきました。そのいただいたご意見で すが、領域ごとに重複するものもありますので、事務局のほうで整理したものが資 料3です。資料3もお手元でご覧いただければと思います。「出題に際しての留意 事項における検討課題」ですが、各領域からいただいたご意見を整理するにあたっ ては、事務局のほうで、「全般的な留意事項」と「各領域における留意事項」に分 けて整理しました。まず、「全般的な留意事項」としましては、現行の出題基準に おいて、斜線の小さい文字で示しているような留意事項が挙げられています。これ につきまして、「新薬剤師国家試験について」に基づけば、(4)「問題の文章構成や 条件設定に留意して、正解は一つだけであり、それ以外は正解でない問題とする」 という現行の留意事項については、実践の場でとり得る選択肢から、もっとも適切 なものを選択する問題などについても、出題も考慮していくことを考えていくべき ではないかと考えられます。またその他に、どういった点に留意すべきかというこ とが検討の課題になるかと思います。それから、出題に関連する情報をその一部を 含む小冊子や画像、写真等の資材の他、会話事例、対応事例などを活用した出題に ついても考慮してはどうか、といったご意見もいただいています。また、一般名、 商品名等、医薬品の名称について、問題に応じてどのように取り扱うか、あるいは 複合問題作成に当たって、どういう点を留意すべきか、その他、どのような留意事 項があるかなどが検討課題になるかと思います。  また、「各領域における留意事項」ですが、【物理・化学・生物】でいいますと、 例えば、「物理」は薬の物理化学的・分析的な考え方が身についているかどうかを 問うと、そういったことに重点をおいた問題としてはどうか、といった問題提起を いただいています。「化学」については、「医薬品の性質を理解すること」を主題 として、有機化合物としての医薬品の性質についての基礎的な理解、基礎的な知識 を利用した応用力を問う問題としてはどうか、というようなご意見をいただいてい ます。「生物」については生体の構造、機能及び生体成分の代謝などに関する基礎 的知識及び感染症の原因微生物とそれが引き起こす症状、免疫のしくみなどに関す る基礎的知識を中心に問うこととしてはどうか、というような問題提起をいただい ています。その他、どのような点に留意すべき事項があるかをご検討いただければ と思います。  2頁目です。【衛生】については、現行の出題基準においては、以下のような留 意事項が挙げられていて、この他に留意すべき事項として何があるかということが 考えられると思います。なお、「衛生」ですが、現行の出題基準においては、法律 が変わったときに、法律をどのぐらい出していくのかについて、やはり一定の期間 を経てからという考え方が示されています。その点をどう考えていくかについても、 「衛生」だけの問題ではないかもしれませんが、問題事項になるのではないかとい うご指摘もいただきましたので、ここで付け加えておきます。  【薬理】につきましては、「薬理」分野と「病態・薬物治療」分野の領域につい ての調整をどのように考えていくべきか。例えば、「薬理」領域においては、薬理 作用や作用機序に関する出題を中心にしてはどうかというご指摘をいただいてい ます。  【薬剤】につきましては、「薬剤」分野は、生体で薬が効果を示すプロセス及び 製剤に係る「化学」の両方の分野について、バランスを考慮して出題が必要ではな いかといったような論点があるかと思います。  続いて、【病態・薬物治療】です。「病態・薬物治療」につきましては、患者の 病態生理を理解して、適正かつ安全な薬物治療法の遂行等のために必要な知識等を 問うものとしてはどうか。また、先ほどの「薬理」との関係にもなりますが、「病 態・薬物治療」分野においては、病態生理、代表的な治療薬、使用上の注意に関す る出題を中心として、作用機序に関する出題は避ける。つまり、作用機序に関する 出題は「薬理」分野のほうで取り扱うこととして、臨床検査の基礎知識も含めた問 題も、「病態・薬物治療」の中で作成を考慮してはどうか、といったご指摘をいた だいています。  また、「抗悪性腫瘍薬」及び「抗菌薬」については、資料2の現在の検討案の中 では、「薬理」には含まれていなくて、「病態・薬物治療」に含まれているという ことで、基本的には薬理作用は「薬理」で問うという整理とはしつつも、「抗悪性 腫瘍薬」と「抗菌薬」については「病態・薬物治療」で問うことでよいか、といっ た問題提起もいただいています。  続きまして、【法規・制度・倫理】です。「法規・制度・倫理」は、薬剤師とし ての業務を遂行するに際して必要な法的知識及びこれらに関連する各種の制度な らびに医療の担い手としての任務を施行するための保持すべき倫理規範的知識や 態度について問うこととしてはどうか。また、末梢的規制の問題作成は避ける、あ るいは法律などに照らして薬剤師の行動が正しいかどうかを問うような問題も考 慮してよいのではないか、「原則として」といったような言葉の有無によって、正 誤が入れ替わるような出題はできるだけ避けてはどうか、といったご指摘をいただ いています。  それから、【実務】です。「実務」における出題のうち必須問題に関しては、医 療の担い手である薬剤師として特に必要不可欠な資質を確認することとし、医薬品 を一商品としてではなく、生命と関連性が高いことを常に意識して、安全性が最優 先されることを理解しているか、また、患者の希望に沿った医療に貢献できるよう 人間関係の必要性を理解しているかといった内容を問うてはどうか、というご指摘 をいただいています。  また、一般問題としましては、医薬品に対する高い科学的知識が必要であること を理解して、チーム医療の中で、薬のプロフェッショナルとして、薬物の適正使用 のための情報提供ができているかなど、医療の担い手である薬剤師が直面する一般 的課題を解釈・解決するための資質の確認を問うような問題としてはどうか、とい ったご指摘をいただいています。また、「実務」においては他分野すべてが土台と なることから、重複のないように分野間の調整には十分な配慮が必要ではないかと いったご指摘もいただいているので、このような検討課題を基にご議論いただけれ ばと思います。  これまで前回の部会以降、主として資料2、3について、各領域でご議論いただ いてきたご意見をまとめていただきましたので、本日は、領域間の意見交換なども 含めてご議論いただければと思います。以上でございます。 ○井上部会長 ありがとうございます。ただいま事務局から資料に関する説明をい ただきました。  続きまして、資料2及び資料3について、各領域で行っていただいた作業の考え 方、あるいは、議論となった点等について、領域ごとに補足説明をお願いしたいと 思います。  では、最初に【物理】からよろしくお願いいたします。 ○金澤委員 慶応大学の金澤です。【物理】の所で補足説明をいたします。私ども 6名の委員によりまして、各項目について検討しましたが、資料2に基づいてご説 明します。大きく変わった所だけをご説明しますと、C1の(1)「物質の構造」の「原 子・分子」の所にありました「代表的な分子の分光スペクトルを測定し、構造との 関連を説明できる」という項目は、「構造との関連」という所が大きいことから、 C4の(4)「化学物質の構造決定」に移行していただくことになりました。  次に、C1の(2)「物質の状態I」の所ですが、「代表的な過程(変化)における 熱と仕事を計算できる」というような。これ以降、こういった「技能」の項目につ いてはすべて、「説明できる」とか「計算できる」といった言葉を除いて項目を整 理しました。  次に、「物質の状態II」の「自発的な変化」におきまして、通常、例示は「酵素 反応」を用いて「共役反応」の説明をしているわけですので、「共役反応」の項目 については例示が難しいということから、やはり生物系の「酵素反応の特性」の項 目に移行したほうがいいという意見になりました。  続きまして、C1の(3)「物質の状態II」の「物理平衡」の所ですが、ここに「分 配平衡」という項目を追加しました。ここには、「物理平衡」を計算できるという ような「技能」の項目が入っていましたが、そういった項目については「物理平衡」 の他の項目と重複するということで、ここに「分配平衡」の項目を追加しました。  次に、C1の(4)「物質の変化」の所の「反応速度」の項目です。やはりここにも 「技能」の項目が入っていましたが、「反応次数と速度定数」の中に微分方程式と 積分方程式を含むことで項目を整理しました。それから、「反応速度」の所に、「酵 素反応およびその拮抗阻害と非拮抗阻害の機構」という項目がありましたが、やは りこれも生物系の「酵素」へ移動したほうがわかりやすいのではないかとのことで、 ここには入れずに生物系の「酵素」へ移動することにしました。  続きまして、C2の(1)「化学平衡」の所です。ここにあった「化学物質のpHによ る分子形、イオン形の変化」という項目ですが、これも表現が少し曖昧でしたので、 「化合物のpHによる化学種とその濃度の変化(speciation)」という項目に変更し ました。  それから、C2の(2)「化学物質の検出と定量」という項目です。3頁目になりま すが、「クロマトグラフィー」という項目です。ここは「技能」も少し入っていま して、項目を明示したほうが出題範囲がわかりやすいのではないかということで、 要望を整理して、「クロマトグラフィーによる分離分析」という項目を立て、それ から、「薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ ィー」といったような項目をそれぞれ独立させました。さらに、こちらの資料では クロマトグラフィーの上のほうに入っていますが、「光学異性体の分離分析法」と いう項目を「ガスクロマトグラフィー」の後に追加することになりました。  (3)の「分析技術の臨床応用」という所ですが、ここに「薬物毒の分析」という 項目があります。この中の「代表的な中毒原因物質(乱用物質を含む)のスクリー ニング法」という所ですが、これは衛生部会と相談の上、「乱用薬物」は「衛生」 のほうへ入れるとのことで、(乱用薬物を除く)というようにしたいと思います。  【物理】の委員会ではこのようなことになりましたが、以上でございます。 ○井上部会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答は後に回して、【化 学】のほうをよろしくお願いします。 ○伊藤委員 昭和大学の伊藤と申します。それでは、いまの資料2に基づいてご説 明します。  まず、5頁目です。先ほど物理系の先生からもご説明がありましたが、「物理」 領域から「分光スペクトル」を移動してはどうかということで、それは化学系でも、 こちらに入るほうが妥当だろうということで、ここに入れることにしました。  それから、6頁の267〜274にかけて、小項目の「生体分子の化学構造」「生体内 で機能する複素環」という所ですが、これが生物系と内容がダブッていると、生物 系の先生から提案がありました。ただ、これは化学系でも出題すべき所と考えます ので、小項目の例示の所を少し変えて、化学構造に特化した小項目の例示に書き直 す前提で、ここに残すことになりました。  次に、7頁の所ですが、そこに吹出しで、下のほうにコメントがあります。(2) 「リード化合物の創製と最適化」、1004の所です。これは「薬剤」に移動すべき という意見があったとのことですが、「薬剤」の担当の先生方と相談の上で、やは り化学系で出題したほうがいいということで、ここに残すことにしました。  それから、17頁の725です。「薬理」の所で、「化学構造」「代表的な薬物の基 本構造」を取り扱っていますが、これも化学系のほうでも取り扱うとのことで、「薬 理」の先生とうまく棲分けをしながら、ここも化学系で出題しようということにな りました。  あと、小項目の表題として少し不適切な所があったので、3点ほど直しました。 5頁目の196です。小項目は「概説」となっていますが、これを「基本事項」とし ました。同じく5頁目の243の「総合演習」とありますが、これを「構造決定」に 変更しました。それから、6頁目の264の「総合演習」を「目的化合物の合成」に 変更しました。それ以外に、現在の資料の小項目の例示については30数カ所訂正 しましたので、ここではそれについてコメントしません。以上です。 ○井上部会長 【生物】をよろしくお願いします。 ○奥委員 静岡県立大学の奥です。「生物」領域の前回から直したのがここに出て いるわけですが、主に「主な」「代表的な」など、そういう言葉は取れるだけはな るべく取って、わりとシンプルにした形にしています。本日直した所だけを述べた いと思います。  資料に基づいていますが、10頁に「衛生に移動すべきとの意見あり」という吹 出しがありますが、小項目で、「ビタミン、無機質の種類・構造と特性」とありま すが、そこの「無機質」を取り、それは「衛生」で扱っていただくということで、 「ビタミンの種類・構造と特性」ということで扱います。例示に関しては、「ミネ ラル」「必須微量金属」「欠乏・過剰による疾病・症状」という所はすべて削り、 「衛生」で扱っていただくということになりました。  11頁に行き、「酵素」のことは先ほど言ったとおりで、「物理」のほうでは扱 わなくて、こちらで扱うことになりました。  12頁の「遺伝子機能の解析技術」のあとに、これから言うものが入ります。何 が入るかというと、13頁のいちばん最後に、「バイオ医薬品」というのがありま す。「バイオ医薬品」に関しては、「薬剤に移動すべきとの意見があり」というこ とで、今日、「薬剤」と調整し、「組換え体医薬品」「遺伝子治寮」、この項目に 入るもの、例示を入れると全部で4行になりますが、そこはすべて「薬剤」で扱っ ていただくということです。  残りの「細胞を利用した治療」「ゲノム情報と創薬」「疾患関連遺伝子」を先ほ ど言いました12頁の所に入れるということにします。順番としては、「ゲノム情 報と創薬」「疾患関連遺伝子」「細胞を利用した治療」という形で、いま言いまし た12頁の「遺伝子機能の解析技術」、中項目でいうと、「遺伝子操作・遺伝子工 学」の中に入りますが、小項目の「解析技術」のあとに、いまの小項目3つを入れ るという形にします。  もう1点あります。13頁の上から3行目、「予防接種の種類と実施状況」という のがありますが、「予防接種」に関しては、「衛生」では「予防接種の種類」や「実 施状況」などいろいろのことをやっていて、生物系では主に「ワクチンの原理」と か「ワクチンの種類」と言っても上の行に書いてある「生ワクチン」や「不活化ワ クチン」、どちらかというと、そういう生物的なことを扱うので、3行目の「予防 接種の種類と実施状況」は、ここでは削除し「衛生」で扱っていただくということ になりました。  同じく13頁の先ほどの「バイオ医薬品とゲノム情報」のすぐ上ですが、小項目 でいう「感染症の予防」というのがあります。「院内感染の発生要因、感染経路、 原因微生物、防止対策」「日和見感染症」、この部分については「衛生」で扱って いただくということで削除しました。 ○井上部会長 次に、【衛生】のほうをよろしくお願いします。 ○成松委員 岡山大学の成松です。14頁を開けてください。ここには載っていま せんが、左側の数字の557には元々、「脂質の体内運搬における血漿リポタンパク 質の栄養学的意義」といった小項目の例示がありましたが、これは「生物」の449 に「血漿リポタンパク質と脂質輸送」という例示がありましたので、重複があると いうことでここは省きました。  追加としては、中ほどで571と572の間に番号がない所で1つ例示があります。 それは「アレルギー原因食品の法的規制」、これは元のものからすると、新たに追 加をしました。  今日のディスカッションで他分野との調整をしたのが、562の「栄養素の過不足 による主な疾病」ということで、先ほどご紹介があったと思うのですが、栄養素の 中で特にビタミンやミネラルなど、そういったところは「生物」との重複があると いうことで、「衛生」領域では過不足による疾病、そういったものに重きを置く、 中立ちで出すということで、生物系の417の「無機質」の所を削除していただいて、 418の小項目の例示の中で、「ミネラル」「必須微量金属」「欠乏過剰による疾病・ 症状」、こういったものを除いていただいて、「衛生」で出題するということにし ました。  それに加えて、ほかの分野との調整と変更ということで、先ほど、「物理」から ご説明があったと思うのですが、462の「化学物質(乱用薬物を含む)による中毒 と処置」の小項目の所ですが、これは15頁の624ですが、「物理」では3頁の124 に「代表的な中毒原因物質(乱用薬物を含む)のスクリーニング法」ということで、 (乱用薬物を含む)という文言を(乱用薬物を除く)に変更していただいて、「衛 生」領域ではここに書いてあるように、624の1番目に「代表的な中毒原因物質(乱 用薬物を含む)の中毒量、中毒症状、作用期間」という項目例示、2番目に同じ枕 言葉ですが、「代表的な中毒原因物質(乱用物質を含む)の分析法」、3番目とし ては「代表的な中毒原因物質(乱用薬物を含む)の救急処置法、解毒法」、こうい う形で3つの例示を出すことにしました。  先ほど最初にご説明がありましたが、実はご存じのように、感染症や食品衛生な ど、こういった「衛生薬学」領域で法律がしばしば改正される。そういうことで「衛 生薬学」領域ではどう考えるかディスカッションをしましたが、薬剤師として6年 間過ごしたあと現場で働くに当たって、特に必要な法律に関しては、できるだけ早 い機会に国家試験にも出すべきではなかろうか、というのが「衛生薬学」領域の考 えです。 ○井上部会長 次は、【薬理】のほうからよろしくお願いします。 ○岡委員 東京理科大学の岡です。資料2の17頁と参考資料3の20頁をご覧くだ さい。参考資料の20頁を見ていただくと、中項目が大きく3つにしか分かれてい ませんので、今回、主に小項目の所にある項目を中項目に移し、以前にあった中項 目は削除しました。それに伴って小項目の例示をもう少し手直しいたしました。  現在の出題基準、全国で使われている教科書の章立てに合うように、新しい中項 目にありますが、項目の順番を置き換えました。それが資料2の17頁で、「薬の 作用」の次に「自律神経系」「知覚神経・運動神経系」「中枢神経系」「循環器系」 等という形にします。参考資料の網掛けになっている部分、「技能」の部分ですが、 これはすべて削除しました。  672の「薬効に個人差が生じる要因」というのは、先ほど相談して、22頁にあり ますが、「病態・薬物治療」の「テーラーメイド薬物治療を目指して」という所の いちばん最初に、672の項目を入れていただくということで、「薬理」からは削除 をしました。  資料2の17頁ですが、少し小項目の例示を追加したということと、小項目2行 目の「薬物の作用するしくみ」というのは、先ほど相談して、「薬物標的分子」と いう表現に変更しました。  「自律神経系」「知覚神経・運動神経系」の所の小項目が「交感神経系」という 形になっていましたが、すべてその後ろに、「に作用する薬」という言葉を入れて、 「交感神経系に作用する薬から運動神経系及び骨格筋に作用する薬」としました。  「中枢神経系に作用する薬」の中の下の2つ、「中枢神経疾患」と「精神疾患」 の所も、後ろに「治療薬」を付け、「中枢神経疾患治療薬」「精神疾患治療薬」と します。「循環器系に作用する薬」の4つ目の項目の「高血圧治療薬」の次に小項 目として、「その他の循環器疾患治療薬」を設け、小項目の例示としては「代表的 な低血圧治療薬・末梢血管拡張薬などの薬理作用、機序、主な副作用」という項目 を追加します。「消化器系に作用する薬」のうちの3番目、711になりますが、「催 吐薬と制吐薬」という所を「制吐薬」だけにして、小項目の例示を「代表的な制吐 薬と催吐薬」と順番を入れ替えました。  「ホルモンと薬」の最初の所の小項目を「ホルモン分泌異常症の治療薬」という 短い言葉に変更します。下から3行目と2行目、「関節リウマチ治療薬」と「アレ ルギー治療薬」の所の例示は「代表的な」を頭に出し、「代表的な関節リウマチの 治療薬」「代表的なアレルギーの治療薬」とします。  最後の「化学構造」は先ほど「化学」分野からご説明がありましたように、「構 造活性相関」は従来、古くから「薬理」の所で扱っており、教科書でもアセチルコ リンやアドレナリンの構造活性相関は詳しく出ているので、将来的に作問する上で そういうものも必要ですので、こちらにも残しておくことにしました。  出題の基本方針としては、あくまでもその頁を見ていただくとわかりますように、 「薬理作用」と「作用機序」というものを中心に出題したいということで、副作用 は薬理作用の1つですので、それも含めて作用機序を中心に出題したい。それに伴 い、「病態・薬物治療」では、それ以外の所、実際に臨床考量する上での問題点に ついて扱っていただければと思います。  出題の際ですが、作用機序を考えると、例えば受容体に結合するものはエンの形 で付くわけではありませんので、「作用機序」を聞く限りは、「薬理」領域では、 薬物名は薬物本体の名前のみで出題する、現在の国家試験もそのようになっていま すが、そういう形を基本としたい。臨床適用時の副作用や相互作用など、剤系が問 題になる場合はその限りではありません。 ○井上部会長 次に、【薬剤】のほうからよろしくお願いします。 ○金尾委員 福山大学の金尾です。第1回、今日の第2回を通して委員からいろい ろなご意見が出ました。すでに基礎科目で「薬剤」との関連のことをいろいろお伝 えいただきましたが、重複するかもしれませんが、もう一回全体を通してご説明を したいと思います。  薬剤学は、従来から薬学の中で根幹を成す学科であったと考えています。そうい った歴史的な背景もあり、生物系の薬剤学、薬物動態学、製剤学、調剤学といった 非常に広範にわたる学科の出題、教科を担当してまいったわけです。  それに付随して、今日の医療薬学の進展に伴い、様々な付属する学科も薬剤学で ある程度カバーして出題していた経緯があるわけです。そういった背景があるもの ですから、前回、今回の議論の中で、実は4つの出題範囲に関する提案がありまし た。それは第1番目は、資料2の7頁です。これは化学系の領域になるのですが、 先ほどご指摘がありましたようにいちばん下のほうのC17の「医薬品の開発と生 産」は、薬剤学も以前から深く関わってきたジャンルです。  小項目2の「リード化合物の創製と最適化」の中で、医薬品開発の部分は過去の 国家試験でも出題してきたわけです。そういう経緯があり、委員の中から、これは 「薬剤」に移動すべきではないかという意見もありましたが、前回、今回の議論を 通し、化学系の委員との調整もし、出題の基準は当初のとおり「化学」の部分に置 いておくことになりました。もちろん薬剤的な考えもあるので、将来の出題に関し ては、「実務」との関連だけではなくて、教科間の複合的な出題も必要ではないか、 という意見が出ました。  次に、2番目ですが、同じく資料2の13頁です。これは生物系との関わりになっ てくるわけですが、同じくC17の「医薬品の開発と生産」という所です。1014の項 目になりますが、ここで「バイオ医薬品」も、最近、薬剤学でいろいろな新薬が台 頭し、いろいろ教科としても享受しているところです。  この件に関しては生物系の委員と話し合い、先ほどご説明がありましたように、 1014〜1017までの4つ、「バイオ医薬品とゲノム情報」の項目の中で、「組替え体 医薬品」、いわゆる「遺伝子組替えの製剤」と「遺伝子治療」に関しては「薬剤」 から出題するのが妥当ではないかと、そういう意見になっております。薬剤学のジ ャンルでも、こういった最新の医薬品はこれからますます増える状況ですので、製 剤学、薬剤学を基にした考えで出題するのが妥当ではないかという意見になりまし た。この4行の4項目は「薬剤」から出題したいという考えです。  3番目は同じく資料の22頁です。これは「病態・薬物治療」のジャンルですが、 この中で「テーラーメイド薬物治療を目指して」という項目があります。これは実 務とも非常に関連する項目になるのですが、薬剤学も、実は病態におけるADME(薬 吸収・分布・代謝・排泄)、ADMEと病態、妊婦とか、そういった関連の出題をい ままで行ってまいりましたが、こちらへ出題基準が移動するということで、「病態・ 薬物治療」の委員の先生方と今日打合せをしました。  出題基準はここに残すというのは、「薬剤」の範疇から少しずつ発展し、本来の 薬物治療も大きく取り込んだ、これから私どもが目指す医療薬学にとって非常に重 要な項目であろうと。病態など、そういう知識を基に組み立てるアプローチがさら に重要になるだろうということで、ここの出題基準は「病態・薬物治療」からして いただくことになりました。ここも先ほど申し上げたように、「薬剤」から出して はどうかという考えがあったわけですが、いま申したような結論になりました。  最後の4番目ですが、同じくC17の「医薬品の開発と生産」に関することです。 資料の23頁のいちばん上の行ですが、「医薬品の開発と生産のながれ」、これも 薬剤学の評価の中で長く、いろいろなフェーズワン、フェーズツウを通して、医薬 品の開発の過程を講義してきたわけです。ただ、近年ではさらに非常に複雑化され てまいりまして、「法規・法令」、そういうものからアプローチする出題のほうが 妥当ではないかということになり、この件に関しては本来どおり「法規・制度・倫 理」のほうで出題していただきたい。  いま4つのジャンルをお話しましたが、いずれも薬剤学がいままで関わってきた 科目です。ですから、これから新国家試験に当たっては、そういう出題委員間、教 科間の連絡をさらに密にしていただいて、有機的な出題になればいいのではないか と思います。 ○井上部会長 次に、【病態・薬物治療】からよろしくお願いします。 ○市原委員 「病態・薬物治療」のグループからご説明します。資料2と参考資料 3を比較しながらお話をしたいのですが、膨大ですので、端折ってお話をします。  まず、新しく直したほうの資料2を中心にします、(1)「体の変化」、「症候」 という小項目があり、モデル・コアカリキュラムの症候では足りないということ、 薬剤師が行うフィジカルアセスメントという立場から、大体、資料2の20頁のい ちばん上に載っているものを入れ込みました。ただ、アットランダムに並んでいる ように見えるので、一応、今日、全身性の症候、消化器に関する症候、循環に関す る症候、呼吸器系の症候、腎・泌尿器に関する症候、神経系に関する症候、月経異 常だけが別の女性のということで、並べ替えて見やすくするつもりでいます。「痒 み」などは「掻痒」としたり、「しこり」も必要な症候ですが、「腫瘤」という少 し学問的な表現にしたいと思います。  具体的な疾患と薬物治療に入りますが、元々モデル・コアカリキュラムには「心 臓疾患等」に中項目はなっていて、その中に消化器も含まれるので、学生が戸惑う だろうということで、きちんと全部、資料2の20頁に記述してあるように、「循 環器系疾患・血液系疾患・消化器系疾患」と中項目にすべて小項目の内容を入れ込 みます。  例えば、20頁の「循環器系の疾患」「血液系の疾患」「消化器系の疾患」の小 項目の例示の所に、現在、何かわからない言葉が入っているのですが、これを「以 下の疾患の病態生理の理解、適切な治療薬の選択およびその使用上の注意につい て」と中項目の並びに記述して、その下には循環器系の疾患として「不整脈」「心 不全」「高血圧」等を並べ、「その他の疾患」も含めて、「病態生理、適切な治療 薬の選択、およびその使用上の注意」について問うということにします。  この文言は、(3)の「泌尿器系疾患」21頁の(4)「精神疾患」も同様の構成に して、中項目の並びの小項目の例示の所に同じ文言「以下の疾患の病態生理の理解、 適切な治療薬の選択およびその使用上の注意について」を入れます。  ただ、(5)「病原微生物・悪性新生物と戦う」には、この構成がそぐわないので、 ここはこのままにします。  20頁に戻っていただき、グループの中で、「その他の疾患」に入れたいという ものがありましたので、追加した疾患の例を挙げます。「循環器系疾患」で「その 他の疾患」に追加した弁膜症、心筋症がモデル・コアにはない疾患になります。「血 液系」では骨髄腫を入れました。「消化器系」では消瘍器性大腸炎と過敏性腸症候 群が入っています。「腎臓」ではループス腎炎が入っています。  21頁の「神経・筋の疾患」の所で、「脳血管性痴呆」とありますが、これはい ま「認知症」ですので、言葉を換えています。「精神疾患」の所で、「その他の疾 患」に不眠症を加えてあります。「皮膚疾患」の所では、褥瘡を追加しています。 そういった変更を加えています。  22頁のC15「薬物治療に役立つ情報」の(1)「医薬品情報」、これは照らし合わ せなければならないのですが、技能や態度に関する、要するに国家試験としてはふ さわしくない項目はここで11項目、たぶん比べればご理解いただけると思うので すが、削除してあります。例えば、「インターネットなどを利用して代表的な医薬 品情報を説明できる」などが典型的かもしれませんが、そういうものは削除してい ます。それから、ここに吹出しで書いてあるのですが、「テーラーメイド薬物治療 を目指して」というのは、「薬剤に移動すべき」という議論があったのですが、「薬 剤」のほうからも申入れがあり、これはこのまま置いて、複合問題等を出しやすく、 このままここに置くということにしています。  「法規」から「バイオスタスティックス」というのが「法規・制度」に入ってい て、おかしいとの申し入れがあったので、「基礎的な統計」から、重複している「ラ ンダム化比較試験」「コホート研究」などを、資料2の22頁の「EBM」の所で、引 き受けることにしました。  その下、「テーラーメイドの薬物治療」を「薬剤」に回さず、こちらで「薬物治 療」という観点で行うということでしたが、「薬理」から、薬効の個人差について の項目もここで扱ってくださいということでしたので、それも含めて行いたいと思 います。以上です。 ○井上部会長 その次に行きます。【法規・制度・倫理】をよろしくお願いします。 ○亀井委員 それでは、ご説明いたします。昭和大学の亀井と申します。「法規・ 制度・倫理」については資料2、参考資料3を用いてご説明します。まず、「法規・ 制度・倫理」の大項目には、C17の「医薬品の開発と生産」、C18の「薬学と社会」、 そのほかに「ヒューマニズム」と「イントロダクション」が含まれております。特 にC17の「医薬品の開発と生産」については、「イントロダクション」でも重複す る部分がありましたので、そういう重複する部分を整理することをまず行いました。 まず、23頁の上、いちばん最初の992になっており、これはもともとは987からあ ったものを24頁の「イントロダクション」の下から5行目の所に3項目ほど移動 しましたが、本日の話合いの結果、やはり987の「医薬品開発のコンセプト」につ いては、元に戻して23頁のいちばん上の行に持ってこようということになりまし た。また988の「疾病統計により示される日本の疾病の特徴」という小項目の例示 がありますが、これは「衛生」分野で「保健統計」の所に含んでいただけるのでは ないかということで、まだ「衛生」分野には伺っておりませんが、ご検討いただき たいと思っております。  24頁の下から3行目の991の「ジェネリック医薬品の役割」という小項目の例示 がありますが、この「ジェネリック医薬品の役割」については、23頁の1073も「薬 剤経済」の中に含めようということになりました。このように医薬品開発について は、市場という部分と薬事法での承認申請を基本的には分けて考えようということ になりました。  続いて、先ほど「病態・薬物治療」分野でもご説明がありましたが、参考資料3 のC7の「医療品の開発と生産」で1035の(5)「バイオスタスティックス」とい う項目がありました。これは中項目でしたが、「法規・制度・倫理」からは削除と なっております。こちらは削除ということで当初ご意見を申し上げましたが、やは り必要な分野だろうということで、先ほど「病態・薬物治療」の分野にご相談して、 C15の「医薬品情報」に含めていただくことになりました。また「薬剤師を取り巻 く法律と制度」という中項目の「法律と制度」の中に、1142の「日本薬局方の意 義と内容」、こちらはもともとは「イントロダクション」の所に含まれておりまし たが、「法律と制度」の中に含めることとしました。  また、1141の「薬害」という小項目です。「薬害」については、元々は「医薬 品開発」、「イントロダクション」にも「薬害」に関連する小項目の例示がありま したが、こちらについてはまとめて中項目を立てようということになりました。そ こで「薬害」だけではなく、「副作用被害」も含めた中項目を立てるということで、 (1)「薬剤師を取り巻く法律と制度」と、その次の(2)「社会保障制度と薬剤経 済」の間に1つ中項目を作り、「薬害と副作用被害」という項目で、「薬害」ある いは「副作用被害」を含めることにしました。また、その中に1055にある「製造 物責任法」もこの「薬害と副作用被害」という新しい中項目の中に含めようという ことになりました。  次に、23頁の資料からは削除しておりますが、参考資料3の1060と1061で「放 射性医薬品」に関する小項目がありました。こちらの「放射性医薬品」については 法規というよりはむしろ取扱いが重点となる内容であろうということで、26頁の 「実務」の項目の1192と1193に放射性医薬品の種類、取扱いについての項目があ りましたので、「実務」の分野にご相談して、こちらで内容を含めていただくとい うことで、「法規」からは削除としました。  続いて23頁の1185、実は1185の下に「薬物治療の経済評価」という項目があり、 こちらを削除しておりましたが、やはり「薬剤経済」の中で必要であろうというこ とで、「薬物治療の経済評価」、これは参考資料3でいますと、1074の項目です。 この1074を元に戻して、小項目の例示の表現を「薬物治療の経済評価」という言 葉に変えました。以上です。 ○井上部会長 それでは、最後の【実務】をお願いします。 ○高橋委員 【実務】の佐野調剤薬局の高橋といいます。よろしくお願いします。 使用するのが資料2と資料3の「出題に際しての留意事項における検討課題」の2 つを使います。「実務」の所は、技能・態度にまたがる領域が非常に多く、そこを 検討しました。まず、「出題に関しての留意事項」の1頁、「全般的な留意事項」 の所にも書かれていますが、従来の試験とは違い、小冊子や画像、写真等の資材が 使えることがあるので、技能も問えるのではないか。また会話事例や対応事例を用 いることにより、態度も問えるのではないかというところから検討しました。「実 務」の所はその結果、技能や態度の領域が非常にあるのですが、試験問題として問 える所は、小項目の例示として変換してあります。まず、それが第1点です。  次に、大項目で「病院実習」と「薬局実習」の大きい区分があるのですが、内容 を見ていくと、小項目で重複している部分があります。そこで重複している部分は まとめました。その結果が、資料2の26頁から最後の頁という形になっています。 そこで26頁、まずほかの領域へ移動させた部分があります。26頁の1155の「医薬 分業」の下、小項目では「臨床試験」という項目になりますが、ここの4つです。 「CRCの業務」「IRB事務局業務」「臨床試験のデザイン」「医薬品承認審査のプ ロセス」「臨床試験の実施にかかる種々の指針」、この4つは「法規」の所と重複 しているので、「法規」に移動させることに今日の話合いで決まりました。  次に、ここに印刷してあること以外に、今日追加になった部分を説明します。ま ず、26頁、1153の「チーム医療における薬剤師の役割」、ここに具体的なキーワ ードとして、NST、ICT、癌化学療法、緩和ケアといった具体的言葉を入れます。  次に、1198ですが、これはミスプリントで、「講悪性腫瘍剤」のコウは「抗」 になります。次に28頁の1310の「患者のニーズに合った情報の収集、加工および 提供方法」の所です。ここに追加で、「ジェネリック医薬品の適正な評価」という 言葉を追加します。さらには29頁、1437の「一般用医薬品・医療用具・健康食品」 で「セルフメディケーションのための一般用医薬品、医療用具、健康食品などの選 択・供給方法」の所で、この後に「一般用医薬品のリスク区分」、改正薬事法で出 た部分を追加することです。さらには1447の「地域で活躍する薬剤師」の所、「訪 問薬剤管理指導・業務」の後に「他職種連携」という言葉を入れます。それから、 1454の「地域保健」という所の「学校薬剤師の職務とその役割」の後に「学校保 健安全法、保健指導」という言葉が入ります。そして1456で、「麻薬・覚せい剤 等薬物乱用防止運動云々」とありますが、その後に「スポーツファーマシストの役 割」という言葉が入ります。  もう一点、検討課題の3頁、先ほど言ったように、項目の例示では病院業務・薬 局業務で重複していることをまとめた関係上1点追加で、問題作成に当たっては、 例えば、「一包化調剤」「薬歴管理」というのは共通のキーワードになるのですが、 実は行われている実態が多少異なります。したがって、病院でやる、薬局で行うと いう背景を意識した上で是非作っていただきたいということをお願いしたいと思 います。以上です。 ○井上部会長 それでは、2つに分けて、まずは出題の範囲、資料2に関してご質 問、ご意見等がありましたら、よろしくお願いします。 ○堀内委員 【薬理】で「動物実験」の項、黒いのがかかっているのは削除すると 考えてよろしいのでしょうか。そうすると、「動物実験」を全部削除ということで すが、これはどういう理由によるのでしょうか。 ○岡委員 先ほど申し上げたように、「薬理」領域の出題の根本は、作用部位に薬 が到達したときに、その薬がどういう作用機序で作用するのかを中心にするという ことで、実験の部分は。 ○堀内委員 逆に言うと、倫理的な所に入れたほうがいいかと思いますが、いま「動 物実験」は極めて倫理的にきちんと委員会を作ってやらないといけないということ になっておりますので、これはいまは入っておりませんでしたが、そちらのほうに 移動したらいかがかと思います。 ○岡委員 私もそう思います。動物愛護法のようなものは、「法規」で扱っていた だけるといいなと思います。 ○堀内委員 もう一つよろしいですか。「実務」の所で、「チーム医療」、先ほど のご説明で26頁、「チーム医療における薬剤師の役割」ということで、NST、ICT、 癌化学療法、緩和ケアという具体的な言葉を入れるという話でしたが、チーム医療 というのが2つあると思うのです。病院で横断的な、ここで述べたようなNST、ICT などそういうものと、それから個々の患者に対してチームで治療に当たる。そうい う両面があるので、これだけでは極めてアンバランスになるので、それを含め、考 慮した表現にしていただきたいと思います。往々にしてこういう横断的なものだけ がチーム医療だという捉え方をしがちですので、個々の患者に対してチームで行う 医療、これもチーム医療の大事な側面ですので、是非、表現のことはNST、ICT、 癌化学療法だけを入れると、極めて間違いやすくなると思いますので、考えていた だきたいと思います。 ○井上部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。先ほどの動物実験の倫理、 これはどちらにしても先生の所ですから、そのままやっていただければよろしいわ けですね。「倫理・法律・制度」部会ですから。それはちょっと考えていただくと いうことにさせてください。ほかにはいかがでしょうか。 ○成松委員 「衛生薬学」領域ですが、先ほどご指摘があった988の「疾病統計」 です。「衛生薬学」領域でいま協議をして、14頁の585と586の間、「疫学」の前 ですが、585の「高齢化と少子化によりもたらされる問題点」の後に、「疾病統計」 を据えたらどうかと考えております。 ○井上部会長 それはその方向でお考えいただければと思います。よろしくお願い します。ほかにはいかがでしょうか。 ○大石委員 「病態・薬物治療」の所で、癌に関する病名が小項目の例示の所に、 例えば、血液系、消化器系、それぞれの所で挙がっているのですが、866の「悪性 腫瘍の病態と治療」の所に、今度は「代表的疾患」として癌がいくつか挙げられて いるのです。それでここの所はこれが代表的と言うと、大腸癌などがここにないわ けです。だからそれぞれの領域の所で挙げるなら、それぞれの領域の所できちんと 挙げるべきものは挙げておいたほうがいいのではないかと思います。まとめるので あれば、866の「代表的疾患」にきちんと、特に試験に出る可能性がある疾患は、 ここできちんと挙げておくべきではないかと思うのですが。 ○市原委員 元々、消化器系疾患として、資料2の20頁に、大腸癌などいろいろ な消化器系の癌がたくさん入っていたのですが、それを20頁の801で、「消化器 系癌」として一応まとめました。21頁の中項目(5)「病原微生物・悪性新生物と 戦う」の所では、どちらかと言うと、薬が中心にしてあります。元々は曖昧な表現 で、「悪性腫瘍の病態生理、症状、治療」となっていました。「悪性腫瘍の病態生 理、症状、治療とは何ぞや」ということが、議論されて、もう少し具体的にという ことで胃癌、肝臓癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌等を入れました。大石先生がご指摘 の大腸癌がないのですが、それは先ほどの「消化器系の疾患」の「消化器系癌」に 含めてしまったのですが、まずければ、検討します。 ○井上部会長 誤解があると問題ですので、その辺はご検討いただくということに させていただき、時間が押していますが、ほかにございますか。 ○夏刈委員 私は「バイオスタティックス」の所がとても気になるのですが、今回、 「法規・制度・倫理」の所から、先ほどC15に移るという話をされました。授業を やっている上で、どこまで教えるかというのは本当に難しい問題なのですが、今回、 C15に移ったときに、886の「EBM」の辺りに全部入れるということなのでしょうか。 聞き漏らしたかもしれませんが、よろしくお願いします。 ○井上部会長 どうぞお答えください。 ○市原委員 臨床系の例えば、オッズ比、EBMに関するものは入れられるのですが、 基礎的な統計学の項目をEBMにどこまで含められるのかということになります。22 頁の「EBM」の所に点を入れて、「EBM・バイオスタティックス」というように入れ るように、いま話をしているところです。 ○夏刈委員 そうすると、基本的に元あった1034〜1046まで、その辺は組み換え て考えるということでよろしいのですか。 ○市原委員 それは確かに「法規」の所にこれが入っているというのは違和感を感 じましたので、一応お受けしたという形になっています。 ○井上部会長 その辺はまだまだ整理が必要ではないかなと思いますので、さらに ご検討をお願いします。ほかにはいかがですか。まだまだ問題はあろうかと思いま す。よろしいでしょうか。少し気になるのは「法規」の中に、例えば、「種々の薬 の剤形とその使い方」などという項目などがそのまま残っていたりするのですが、 こういう項目は残した理由は何かあるのでしょうか。 ○亀井委員 「イントロダクション」の部分については、一部はきちんと議論がで きて移動ができたのですが、まだ十分検討されていない項目が残っております。 ○井上部会長 わかりました。では、さらにご検討をよろしくお願いします。時間 がほとんどございませんので、「出題に関しての留意事項」をご検討いただいたわ けですが、これに関してご質問、ご意見等があればお願いします。 ○成松委員 先ほども法律に関して申し上げました。必要に応じて国試にも出した らどうかというご意見ですが、もちろんそれは公平にいずれの大学でもきちんと教 えている、新しい情報を学生にインプットするという、そういう必要条件は当然揃 えなければいけないだろう。例えば、同じ科目、「衛生薬学」で何年生に教えるか、 それで6年間のうちのいつ教えるのか。それで教えたときに、例えば3年ぐらいで 教え、6年のときにまた変わるというようなことになると、そういうアフターケア が是非とも必要であろうというのが、我々の考えです。そこのところをよろしくお 願いします。 ○井上部会長 それは厚労省で是非ご検討いただくということでよろしいですね。 これは国試を超えている問題ではないですかね。情報をきちんと的確に各大学に周 知するなどということも含めてです。 ○総務課長補佐 いまのご指摘は、重要なものについては早い段階で取り入れてい く。重要なものについてはやはり厚生労働省としても制度が変わっているというこ とは、各大学にというか、国民の皆さんに周知を含めて、きちんとやっていくとい うご指摘と受け止めてよろしいでしょうか。 ○井上部会長 はい。ほかにはよろしいでしょうか。まだまだこれは不完全で、さ らにこの会を繰り返していかなければいけないだろうと思います。もし今日の議論 でさらに追加のご意見等があれば、後ほどでも事務局にお寄せいただければ幸いで す。寄せられたご意見等については、事務局から関係する領域へ連絡、検討依頼な どをお願いしたいと思います。本日は領域横断的なご意見など、さまざまなご意見 をいただきましたので、本日の意見または領域間の文言の統一等を含めて、事務局 において整理の上、出題基準のたたき台を作成していただければと思います。よろ しくお願いいたします。今後の予定について事務局からお願いします。 ○総務課長補佐 本日は長時間にわたりありがとうございました。本日の議論を踏 まえて、いま部会長からご指示がございましたので、事務局で整理をしたいと思い ます。なお、整理に先立ち、本日のご議論の中でいろいろ修正点などがあったと思 いますので、各領域で修正をおまとめいただける部分については、恐縮ですが、後 ほどメールで作業のお願いをいたしますので、それをいただき、また事務局で文言 の整理、あるいはたたき台ができた時点から、制度の上でも変わっている部分など があり、いま気がついた点で、例えば、「GPMSP」という言葉がまだ残っていたり、 あるいは副作用報告制度について触れられていない部分があるかと思いますので、 そういった最新の状況についても事務局でチェックをして、整理をしたいと思いま す。また、本日時間がなくご発言いただけなかった点もあるかと思いますので、そ れについてもご意見を後ほどいただければと思います。次回の開催については、た たき台の整理ができたところで日程調整をさせていただきたいと思います。どうぞ よろしくお願いします。 ○井上部会長 はい、それではそのほか全体を通じて、何かここで是非発言してお きたいことはございますでしょうか。なければ、以上で第2回薬剤師国家試験出題 基準改定部会を終了させていただきます。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省医薬食品局総務課 TEL:03−5253−1111(内線2715)