10/03/23 第47回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録 第47回労働政策審議会職業能力開発分科会       日時 平成22年3月23日(火)        18:00〜        場所 中央労働委員会庁舎7階講堂 ○今野分科会長 それでは時間ですので、「第47回労働政策審議会職業能力開発分科 会」を開催いたします。本日は、黒澤委員、水町委員、瀧澤委員、山野委員が欠席で す。  本日の議事は6つあります。最初の3件は諮問案件で、後半の3件は報告案件を予定し ています。それでは、議題(1)ですが「独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する 法律案要綱について」です。これは厚生労働大臣より、労働政策審議会会長宛に諮問 がなされたところです。これを受けて、本分科会において審議を行うものです。まず 、事務局から説明をお願いして、議論をしたいと思います。 ○井上総務課長 お手元の資料1-1から1-3をご覧ください。まず資料1-2ですが、こ れは当分科会における報告ということで、前回3月3日の後に、また委員の皆様方のご 意見をお聞きし、文案を調整させてご了解をいただいたうえで、分科会長より労働政 策審議会、本審議会の会長に報告を行っていただいたところです。それを踏まえまし て、今般独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止する法律(案)要綱を作成し、諮問 させていただくものです。  その内容について、資料1-3「独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律 案の概要」に基づいて説明をさせていただきたいと思います。(1)は「独立行政法人 雇用・能力開発機構法の廃止」。(2)は「施行期日」ですが、平成23年4月1日を予定 しています。ただし、独立行政法人雇用・能力開発機構、このあとは「能開機構」 と略称させていただきますが、能開機構の解散等に係る準備行為については、公布日 を施行日と考えています。(3)は「能開機構の解散等」です。能開機構は、本法律案 の施行の時(平成23年4月1日)において解散するものとし、国が承継する資産及び負 債等を除き、その権利及び義務は、承継計画書の定めるところに従い、その時におい て独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、以下「新法人」と称させていただ きます。新法人、または独立行政法人勤労者退職金共済機構」(以下「勤退機構」) が承継することとするものです。  (4)は「都道府県に対する職業能力開発促進センター等の譲渡の特例等」です。そ の中の[1]ですが、平成24年度までの間に、能開機構、または新法人におきましては、 都道府県が職業能力開発促進センター等、ポリテクセンター等について、その機能を 維持することができると厚生労働大臣が認めるときは、ポリテクセンター等を譲渡で きることとするというものです。  [2]は、その際の譲渡額の特例などです。譲渡額の特例としましては、ポリテクセン ター等の職員の引受割合に応じて譲渡額を定めているところです。引受割合が2分の1 以上の場合は無償、3分の1以上2分の1未満の場合は、時価から8割を減額した価格、 引受割合が3分の1未満の場合は、時価から5割を減額した価格ということです。さら に、移管後2年間の運営費補助の特例を定めようと考えています。ここについても、 引受割合が2分の1以上の場合は10分の10、引受割合が3分の1以上2分の1未満の場合は 10分の8、引受割合が3分の1未満の場合は10分の5とすることを考えています。  次に(5)「独立行政法人高齢・障害雇用支援機構法の一部改正」です。[1]は新法人 の名称に応じて、法人の名称を独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(仮称 )とするというものです。[2]は、主たる事務所の所在地を千葉県とする、というもの です。現在、雇用・能力開発機構については横浜市、高齢・障害者雇用支援機構につ いては港区に所在しているところです。  [3]は、運営委員会を設置するということです。内容については、2頁に渡ってまい ります。職業能力開発業務の円滑な運営を図るため、労使代表を含む識見を有する者 からなる運営委員会を設置し、中期計画の策定等に際して議を経なければならないこ ととするというものです。[4]は、業務の範囲です。現行の能開機構の業務のうち、以 下の業務を新法人の業務とするということです。大きく2つあります。アは、職業能力 開発短期大学校等、公共職業能力開発施設、並びに職業能力開発総合大学校の設置及 び運営等の業務です。即ち、訓練の実施ということです。イは、雇用促進住宅の譲渡 等の業務です。これは、平成33年度までの暫定業務と考えているところです。  [5]は、区分経理です。現行の高齢・障害者雇用支援機構の業務と能開機構からの移 管業務を区分経理するというものです。[6]は、地域の協議会です。これは、ポリテク センター等の運営に当たり、労使の代表等からなる協議会の開催等により、地域の実 情に応じた職業訓練の運営に努めるというものです。[7]は、経済産業大臣との協議で 、中期目標の策定・改定に際し、厚生労働大臣は経済産業大臣に意見を聴くとするも のです。  (6)は、「勤労者財産形成促進法及び中小企業退職金共済法の一部改正」です。これ は、能開機構の財形関係業務のうち、財形教育融資業務は廃止し、財形持家融資業務 等については勤退機構に移管するものによるものです。  (7)は、「高齢・障害・求職者雇用支援機構及び勤退機構の職員の採用」です。[8]は 、新法人及び勤退機構は、能開機構を通じ、能開機構の職員に対し、労働条件、並び に採用の基準を示して募集を行い、職員のうち両機構の職員となる意思のある者でそ の基準を満たす者の名簿の中から採用することとするものです。[2]は、能開機構及び 厚生労働大臣は、新法人及び勤退機構に採用されない能開機構の職員の再就職支援に ついて、必要な措置を講じるよう努力することとするものです。  引き続いて、諮問させていただきます法律案要綱の資料1-1をご覧ください。まず表 紙ですが、別紙「独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案要綱」につい て、貴会の意見を求めるとするものです。以下、別紙の内容について読み上げをさせ ていただきます。 (予稿文読み上げ) ○井上総務課長 議題(1)についての説明は以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは、いまの説明についてご質問、 ご意見などありましたらお願いします。 ○井上委員 まず、この職員の雇用問題に関して、意見を述べさせていただきたいと 思います。この雇用問題に関しては、12月25日の審議会において、最初に機構の廃止 が出て以降、2月に入っては国が行う職業訓練と雇用・能力開発機構と今後のあり方 について議論を行ってきたと思います。その間、労働者代表のみならず、公益代表、 使用者代表からも、新たな採用を行うことについてたくさんの意見が出ていたにも関 わらず、この法案の第三の一に、職員の労働契約に係る権利及び義務を除き、移菅法 人に承継するものと記載されているのは、甚だ遺憾であります。この間、私からは「 特殊法人整理合理化計画において、独立行政法人に移行する際には、雇用・労働条件 とも承継をしてきた。よって、過去の経緯を踏まえた対応をお願いしたい」との意見 を述べたところです。これについては、当然過去の雇用に関する閣議決定についても 踏まえたうえで、発言をさせていただいています。  また、使用者代表からも「今回のこの問題は、社会保険庁の解体とは違う。採用試 験を行うことは、モラールの維持も含めて、結果としてはよい方向には向かわないの ではないか」という発言もありました。そして公益代表からは「独立行政法人につい ては、労働基準法、そして労働契約法の適応化にある」ということが説明され、「転 籍等は簡単ではない」という発言もありました。さらには、厚生労働省側からも「別 の閣議決定にあるが、雇用については十分配慮しなければいけないということが何よ りも大事である」と発言したにも関わらず、この法案の内容になっています。  この法案が前例となって、ほかの独立行政法人等の雇用問題に大きく影響するもの であると、私としては危惧しています。よって、私としてはこの法案については反対 であると言わざるを得ません。以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ほかにありますか。 ○新谷委員 先ほどの資料1-3及び1-1の説明をいただきまして、随分1-3の横書きの 内容と縦書きになったときの印象が違うものだなと、私は率直に感じました。もちろ ん、1-1の法律案要綱は、法律案としての明確性を求めるためにこのような形になる のでしょうが、随分印象が違うと思っているところです。その大きな理由は、やはり 労働契約を承継しないという部分にあるわけです。  過去数回に渡ってこの雇用の問題については、いま井上委員からご指摘がありまし たように、使用者側の委員、公益側の委員、もちろん私どもも指摘をしてきたところ です。その結果を踏まえて、前回確認された部会報告の末尾に「新たな組織における 職員の採用等」ということで追記をしていただいた中では、「新たな組織への移行に 関しては、雇用問題を生ずることなく円滑な移行ができるよう、配慮するべきである 」という記述となっているところです。  私どもの常識といいますか、労使関係の常識からいきますと、ここに記載してあり ます「雇用問題を生ずることなく」というのは、非自発的な離職者は出さないという 意味で、私どもはそう承知をしているのです。そういった意味で、縦書きの法律案要 綱では、論理性を必要とされることからこのような記述になっているわけですが、部 会報告にありますように「雇用問題を生じさせない」ということについては、希望す る新法人で、採用を希望する者が採用されないといったような非自発的な離職者が出 ないという趣旨として、我々は理解していいのかということについて、お聞きしたい と思います。 ○小野職業能力開発局長 いま新谷委員からお話のあった点について、私どもから説 明をさせていただきます。いろいろなご議論を経て、資料1-2の最後の所にあります、 職員の採用等についての記述についてどうなのだというお話であります。厚生労働省 としては、新法人の発足時におきまして、職業能力開発業務に移管される職業能力開 発業務を的確に実施をするための採用定数を確保していきたいと思っています。この 定数が不足することによって、新法人の職員となることを希望される能力開発機構の 職員の方が不採用となることのないようにしたい、という考えです。  それから、この新法人の発足時における採用定数については、いままでも説明をし た経緯がありますが、定年退職者の不補充あるいは、他の業務移管先による職員の受 入れなどによる数を、平成21年度期首の定数から減じたものとして考えているところ です。新法人における具体的な採用基準については、これから関係者の意見も踏まえ ながら、十分に検討したうえで策定されるものと思っています。厚生労働省といたし ましても、関係の独立行政法人において、雇用問題への配慮という趣旨を十分踏まえ た適切な対応がなされるように、我々としても要請をしていきたいと考えています。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○高倉委員 新法人の労働条件と採用基準は、いまお話のあったように今後詰められ るということなのですが、これは働く者にとって非常に根幹をなすもので、どうなる かが心配です。その場合に、どういうプロセスでお決めになるのかという中で、当該 労使の間で協議等をして詰めていくというようなプロセスを取られるのかどうかです ね。 ○小野職業能力開発局長 具体的な労使協議の対象となる範囲の質問だと思うのです が、個別の労使関係については、行政としてコメントするのは差し控えたいと思いま す。しかし、一般には新たな組織の発足時における労働条件、ご指摘の労働条件や採 用基準については、関係者のご意見も踏まえながら策定されることが望ましいと、行 政としては考えています。 ○中村委員 先ほど新谷委員からもありましたが、本件に関しては、これまで雇用に 関するいろいろな発言がありました。例えば前々回ですが、高橋委員からは、大野委 員の考え方についても、明確に発言があったと記憶をしています。しかしながら、本 日の資料1-1の法律案要綱を見ますと、1頁の第三の「雇用・能力開発機構の解散等」 の一の2行目に書いてありますが「職員の労働契約に係る権利及び義務並びに国が承 継する資産及び負債を除き、その一切の権利及び義務は承継計画書において定める所 に従い」ということは、職員の労働契約に係る権利については除く、と明確に書いて あるわけです。ということは、労働契約を包括承継しないと思っています。  そうした場合に、今回は職員について書いてありますように、「採用方式にする」 という取扱いになるわけです。このことについて、今後は同様の組織再編等が行われ る際の大前提とすべきではないと思いますし、前提としないという考え方でいいのか どうか、このことを伺いたいと思います。 ○小野職業能力開発局長 この組織の再編等に際して、これは独立業政法人等、いろ いろなパターンがあるということをいままでも説明をさせていただきました。労働契 約を包括承継する方式を取るのか、また改めて採用する方式を取るのか、その時々の 独立行政法人が置かれた状況や関係者間での議論などを踏まえながら、やはり案件ご とに決められていくべきもの、判断されるべきものだと考えています。 ○新谷委員 今後の処理については、案件ごとに判断されるべきものだということで すが、かつてこういう特殊法人、独立行政法人の移管に際して、直近では年金機構に 移管した社保庁のケースがありますが、古くは国鉄をJRに移管をする際のスキームが あったかと思います。あのときも新たな採用方式を取られたと思いますが、国鉄の場 合は雇用の受け皿として清算事業団というものがしばらく残っていまして、そこで雇 用の維持を図りながら、というスキームになったかと思います。  もちろん、あのときにはいろいろな要素が絡んでいまして、その後、不当労働行為 の裁判等もありましたが、今回のスキームについては、なぜこの雇用方式なのかとい うのが、なかなか理解しにくいと思います。受け皿についても、全く用意されないこ とも、随分荒っぽいスキームではないかなと思っています。ですから今後のありよう については、その都度考えるというご答弁でしたが、我々としては、これは前例とし て考えていただきたくないという意見を申し上げておきたいと思います。 ○大野委員 この前は欠席しまして、高橋さんにお願いしました。今日は実務的なお 話からお聞きしたいと思います。私たちは、この採用された方々に関わる実務をやっ ていていちばん気になるのは、例えば、退職金の勤務期間の継続というようなものは あり得るのかどうか、あるいは先ほどから意見がいろいろとありましたが、賃金は下 がるのですか、上がるのですか、といったような非常に切実なものをどうされるのか という問題が、行く方にとっては大変な心配ごとになるのだと思いますね。おそらく 大体の方は、おやりになる仕事はいままでと変わらないことをやるのだと思いますの で、そういった場合、そこの労働条件はどうするのだというところを、きちんとお示 しになるべきなのではないかという気がします。  この場合、一旦退職で採用だとすれば、勤続年数はそこで切れて、また新たに始ま るというようにも読めるわけですが、これまでここで働いておられた方々の想定して いたこれからの労働条件は、ここで切れるのか、継続されるのか、ということは非常 に大事な問題ですから、それはきちんとされるべきなのではないかなという気がしま す。  もう1つは「運営委員会のあり方について」です。これは縦書きの別紙、あるいは 資料1-3にも特に触られているような感じはしないのですが、資料1-2を見ますと、1 頁目の3つ目の○にありますが、「私のしごと館」や「スパウザ小田原」というよう なものが、雇用・能力開発機構のあり方に関する大きな議論の経緯になったような形 での書き方になっていると、私はみました。それを受けて、5頁の(5)に「労使の参画 によるガバナンスの強化」を図り、不断にそのようなことを見ながら、とりあえずこ のようなことは起きないようなガバナンスを効かせていこうと、ここで受けているの だと思っています。ここは非常に大事なところなのではないかと思うのですが、それ がこの縦書きと資料の1-3には抜けているのですが、この辺りは私の意見は間違って いるかもしれませんが、こういうところはいちばん大事な気がします。それが、やは り運営委員会の役割という形で、お触れになったほうがいいのかなという気がしてい ます。以上です。 ○小野職業能力開発局長 いずれも重要なご指摘を、本当にありがとうございました 。1つは退職金がどうなるかですが、当然、新たに採用ということであれば、通常は そこで途切れてしまうのですが、今回については基本的に退職金は、採用される方に ついては通算できるように対応していきたいと思います。これは、両法人の退職金規 定の話になるのですが、そのように要請をしていきたいですし、そのようにしたいと 思っています。賃金については、当然、新しい法人の労働条件になるのですが、基本 的な独立行政法人については、国家公務員のラスパレス指数を100に近付けていくと、 どの法人もそういう方向で措置していますので、そういう形になっていくのではない かと思います。  それから運営委員会については、今回の諮問の内容についても5頁の運営委員会の 所に、この運営委員会で諮っていただく内容が書かれています。中期計画、年度計画 ですが、これは運営委員会の議を経なければなりません。先ほどのガバナンスをきち んとやっていくのだというときに、能力開発業務について中期的にどういう方向でも っていくのだと。それを毎年毎年実行していくわけですから、年間の計画、例えば、 職業訓練の実施計画をどうするのだというものを、労使の代表、有識者の方に入って いただいて、その場での議を経て、初めてそれが有効になっていくという形で、ガバ ナンスの維持に反映させていく。あるいは、それ以外の事項は6頁になりますが、能 力開発業務の運営に関して、理事長の諮問に応じて重要事項について意見を述べる。 それから諮問がなくても、運営委員会自らが必要と認める事項について、理事長に建 議をしていくと。当然建議を受ければ、執行機関はそれに対してしっかりガバナンス に反映させていくという仕組みになっていますので、先ほどのこの審議会の報告書が 具体的に法案の中でどう退化しているのかは、こういう形で具体化を法案上している ということで、実行上もこれに基づいてやっていきたいと思っています。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○高倉委員 いま運営委員会の話が出ましたので、構成メンバーなのですが、国と地 方の役割分担を考えますと、都道府県立校ですね。地方のそういう訓練の実態をよく 把握されている方についても、構成メンバーに入れたほうがいいのではないかと思う のですが、いかがでしょうか。 それから新法人の名称なのですが、これは何人かの 委員から名称について、少し検討してくれという意見が出されていましたが、どうい う検討がされてこのような新法人の名称にするというように、最終的に決められたの かをお聞かせいただきたいと思います。 ○小野職業能力開発局長 まず、運営委員会のほうの地域を代表する、都道府県を代 表するような方々に入っていただく必要があるのではないかと。「労働者を代表する 者、事業主を代表する者及び職業能力開発業務の適正な運営に必要な学識経験を有す る者のうちから」となっていますので、最後のところで、都道府県の業務等を熟知さ れている方に入っていただくことを、少し検討してみたいと思います。  それから、名称についていろいろご意見をいただいたことは事実です。非常に長い 名前でもありますし、もう少しわかりやすい名前がないのかを内部でも検討しました 。いままで、高齢・障害者雇用支援機構は、やはり高齢者と障害者に対する業務だけ をやっていたということでそういう名称になっていたのですが、今回はやはり職業訓 練を行うということで、基本的には離職者の方全員を対象にしていくといったときに 、どうしてもその範囲で収まらないと。といって、例えば高齢者や障害者の方々を、 求職者に包含してしまうという案もいろいろ考えたのですが、やはりそれぞれの対象 者の方の対策の重要性というのでしょうか。高齢者対策は、これからますます重要に なってきますし、障害者の関係の業務も、是非障害ということを残してほしいと。こ れは、障害者団体からいろいろなご意見もありまして、最終的にこのような名称にさ せていただきました。途中いろいろな検討もしました。ただ結果的には、こういう名 称でやらせていただきたいということで、諮問に至りました。 ○今野分科会長 その点に関連して、資料1-3の1頁の下にありますが(仮称)となっ ています。法律要綱案は、そういうものは入っていないのですが、これは仮称の気持 なのでしょうか。それとも、資料1-3がミスでしょうか。 ○井上総務課長 申し訳ございません。ご指摘のとおり、資料1-3のほうが誤りです。 失礼いたしました。 ○新谷委員 先ほどの高倉委員のご質問も、大野委員のご指摘もそうなのですが、こ の能開機構にも労働組合があります。ここは、労働基準法も労働組合法も適用になる 非公務員型の独立行政法人と認識しています。そのうえで、平成19年12月24日に「独 立行政法人整理合理化計画」閣議決定されていまして、当時の自公政権のもとで「廃 止等を行う独立行政法人における労使協議及び独立行政法人にまたがる労使の団体間 における個々の法人の労使の独立性・自立性を尊重した協議を進めること」と謳われ ており、まさしく労使協議をきちんとやるべしということが、閣議決定されています。  先ほどの答弁の中では、個別労使関係には踏み込まないと述べられました。もちろ んそういうことになるわけですが、その一方でこの法律によって入口と出口が雇用関 係についてはきちんと決められてしまっているということです。個々の労使協議が実 を結ぶように、厚生労働省、本省としての指導を、是非お願いしたいと思っています。 ○高橋委員 2つ質問をさせていただきたいと思います。まず1つは、雇用関係で議論 がありましたが、資料1-1の10頁の第九の第一項に「職員の採用の基準を提示して」と いう所がありますが、どのようなものを想定されていらっしゃるのかを、予めイメー ジができれば教えていただきたいと思います。  もう1点は、ポリテクセンター関係の所で、例えば2〜3、4頁に出てまいりますが「 引継職員比率」という言葉が出てまいります。当然、ある県にあるポリテクセンター について、ある県が譲渡を希望する場合の引継職員といった場合に、先ほどの説明に ありましたとおり、自然退職の方もいらっしゃるでしょう、あるいは、その県のポリ テクセンターに勤めていらっしゃるけれども、自分としてはその県に留まりたくない という方もいらっしゃると思うのですね。そうすると、引継職員比率という定義は一 体どういうもので算定されるのかについて、教えていただければと思います。 ○井上総務課長 採用基準ですが、先ほど小野職業能力開発局長からも説明申し上げ ましたように、関係者の意見を十分に聴きながら策定されることが基本となるものと 考えています。現時点では、具体的なものということでお示しできる内容はございま せん。今後詰められていくものと考えています。  それから、3頁の引継職員比率です。これは、あるポリテクセンター等が譲渡の対象 となるとした場合に、そのポリテクセンター等において、現に勤務している職員の数 をベースに考えています。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○新谷委員 私ども労働側のまとめての見解を申し上げたいと思います。今回、長妻 大臣から諮問を受けて、法律案要綱を答申するということですが、私ども労働側の意 見として、以下の意見があったことについて、答申書の中に労働側の附帯意見として 付けていただきたいと思っています。読み上げさせていただきます。  「独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止にあたっては、厚生労働省、独立行政法 人雇用・能力開発機構、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構及び独立行政法人勤 労者退職金共済機構は、現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、非自発的退職者の発生 を防止するなど、雇用に関する問題が一切起こらないよう最大限努力をするとともに 、職員のモチベーションの維持・強化に尽力すべきである」。「今後、独立行政法人 の統廃合などがあった場合には、今回の独立行政法人雇用・能力開発機構の職員の労 働契約に係る権利及び義務のなど承継のあり方や、採用・労働条件などの取扱いにつ いて、今回の内容を前例とするべきではない」と、この2つの意見を付けさせていた だきたいと思います。以上です。 ○今野分科会長 ほかにご意見はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、 私としてはこのような扱いにさせていただければと思います。今回の要綱については 、概ね妥当としたうえで、いま労側から意見が出されましたので、それを付記した形 で労働政策審議会会長宛に報告をするという形で対応させていただければと思います。 いかがでしょうか。よろしいですか。 (異議なし) ○今野分科会長 ありがとうございます。それでは、それに併せて答申案を準備して いただかなければいけませんので、しばらく休憩をさせていただきたいと思います。 準備ができ次第、また再開をしたいと思います。それでは、しばらく休憩します。 (休憩) ○今野分科会長 でき上がりましたので、配っていただきます。 ○井上総務課長 お手元に資料が配られたと思いますので、読み上げさせていただき ます。  平成22年3月23日、労働政策審議会 会長諏訪康雄殿。職業能力開発分科会 分科会長 今野浩一郎、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案要綱について。平 成22年3月23日付け厚生労働省発能0323第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった 標記について、本分科会は、下記のとおり報告する。記、「独立行政法人雇用能力開 発機構法を廃止する法律案要綱」について、厚生労働省案は、おおむね妥当と認める 。なお、労働者代表委員より、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止にあたっては 、厚生労働省、独立行政法人雇用・能力開発機構、独立行政法人高齢・障害者雇用支 援機構及び独立行政法人勤労者退職金共済機構は、現下の厳しい雇用失業情勢を踏ま え、非自発的退職者の発生を防止するなど、雇用に関する問題が一切起こらないよう 最大限努力するとともに、職員のモチベーションの維持・強化に尽力すべきであると の意見があった。また、労働者代表委員より、今後、独立行政法人の統廃合などがあ った場合には、今回の独立行政法人雇用・能力開発機構の職員の労働契約に係る権利 及び義務などの承継のあり方や、採用・労働条件などの取扱いについて、今回の内容 を前例とするべきでないとの意見があった。 ○今野分科会長 よろしいでしょうか。今回は、特に付記した文があったので読んで いただきました。 ○高橋委員 新谷委員に質問させていただきたいと思います。付記書きしていただい た「記」の3行目からの「なお」以下の所についての趣旨というか意味ですが、この間 、雇用関係については本分科会でずっと議論してきており、これは労側委員だけでな く使用者側委員、公益側委員の全委員が一致して議論を重ねてきたところです。その 考え方、結論が資料1-2の分科会報告の5頁(6)に結実しているわけです。確認ですが、 ただいま提示された「記」以下の3行目以降の数行は、資料1-2の5頁(6)の内容を上回 るもの、ということで労側意見として出されているのか、それとも資料1-2の5頁(6)を 労側意見として確認的に出されているのか、その辺りを教えていただければと思いま す。 ○新谷委員 資料1-2の最後に書いてある、雇用問題を生じさせないよう配慮をする べきである、の意味についてですが、先ほど私から事務局に、非自発的離職者を発 生させないという理解でいいのかという質問をしたところです。その際、局長から もご答弁いただいたのですが、明確に非自発的離職者は発生しないのだと。新法人 に採用を希望する人からは離職者は発生しない、ということを明確に答弁していた だければ、このようなことは必要なかったわけです。この分科会報告を法律案要綱 とする際に、その辺の取扱いが法律案要綱には出てこないこともあって、私どもが 懸念するところをこの答申の中に記述したということです。 ○今野分科会長 これは労側がこのような意見であったと付記したわけです。それ では今お配りした案でいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。                   (了承) ○今野分科会長 それでは、労働政策審議会会長にはそのように報告させていただ きます。引き続き、次の議題の「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省 令案要綱について」に入ります。こちらも先ほど同様、大臣より労働政策審議会会 長宛に諮問がなされたものであり、それを受けて本分科会で審議するということで す。まず、事務局からの説明をお願いいたします。 ○田畑能力開発課長 議題(2)の「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省 令案要綱について」説明いたします。資料2-1は省令案要綱の諮問文です。改正内容 は資料2-2に基づいて説明いたします。公共職業能力開発施設で実施する職業訓練に ついては、職業能力開発促進法第19条に基づき、施行規則第10条から第15条で、訓 練課程ごとに訓練の対象者、教科、訓練時間、訓練期間について基準を定めており ます。また、第37条では指導員の免許、職種についての規定を置いておりますが、 これらの基準については、規則の別表でその内容を定めております。今回は、これ らの規則別表のうち、「情報・通信分野」について近年の産業技術、産業動向等と の隔たりが見られる部分がある3点について、見直しを行いたいと考えております。  1点目は、普通課程の職業訓練に関する見直しです。いちばん下の枠囲みの1にあ るように、情報・通信分野の訓練科の見直し、検討等を行い、産業技術の動向等を 踏まえ、訓練基準を改正するというものです。2点目は、応用課程の訓練基準に関 する見直しです。応用課程、専門課程の高度職業訓練の修了者、または、これと同 等以上の技能及びこれに関する知識を有する方々を対象に行う2年間の訓練です。 電子分野と情報分野を融合する産業の進展等に対応した人材需要の高まりを踏まえ 、応用課程の訓練科を新設するというものです。3点目は、訓練を担当するための 指導員免許に関するもので、1点目の普通課程の訓練基準課程の見直しに合わせて、 指導員免許の免許職種、情報処理科の学科試験の科目を開設するというものです。  次頁には、改正内容がもう少し詳しく書いてあります。なお、今回の省令改正を 行うに当たっては、情報・通信分野及び職業訓練等の有識者で構成する専門調査員 会を設置し、そこでの検討結果を踏まえた改正内容となっております。改正内容の 1点目、普通課程の普通職業訓練の見直しは(規則別表第2)に関わるものですが、 従来の汎用コンピュータから、現在コンピューターシステムの主流となっているク ライアントサーバーシステムの運用または設計のための能力及び情報セキュリティ 、ネットワークの能力が必要となっているということで、第一種情報処理系の訓 練科として、これにはOAシステム科、ソフトウエア管理科、データベース管理科 が含まれますが、コンピュータのシステムの運用を行うことができる能力を取得 できるよう、訓練科目の内容、訓練時間の配分の見直しをすることとしておりま す。第二種情報処理系の訓練科としては、プログラム設計科、システム設計科、 データベース設計科が含まれますが、コンピュータのシステムの設計を行うこと ができる能力を取得できるように、訓練科目の内容、訓練時間の配分を見直した いと考えております。  2点目の応用課程の高度職業訓練の訓練科の新設ですが、平成19年に(規則別 表第6)、これは専門課程の高度職業訓練の訓練科について定めているものです が、電子情報分野の訓練科を新設し、専門課程の修了生がさらに電子情報分野の 専門性を高めることができるよう、応用課程の高度職業訓練の生産電子情報シス テム技術科を新設するというものです。3点目の免許職種「情報処理科」の学科 試験の科目の見直しについては、普通課程の普通職業訓練の訓練科目に、ネット ワークや情報セキュリティの科目が追加されており、それに合わせる形で指導員 免許の学科試験科目を改正したいと考えております。省令の施行については、平 成22年4月1日からと考えております。なお、省令要綱案の読み上げについては省 略いたします。 ○今野分科会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいた します。 ○大野委員 全体のカリキュラムを知らずに申し上げるのは大変恐縮なのですが、 IT関係の職種の一部にはメンタル・ヘルスと言いますか、うつ病の方が他と比較 して多くなる仕事があると思います。今は、どのような職種でも増えてはいるの ですが、この分野もその可能性があると思っております。いわゆるストレスにど のように耐性を持つか、あるいはコミュニケーションをどのように取るのか、つ まり、周りの人々とどのようにコミュニケーションを取り、自分のストレスをマ ネジメントしていくかということの基礎を学ぶことが、やはり学生のときから必 要ではないかと思っております。そのような形にしないとどんどん増えていき、 ブレーキが効かないほど増えていく可能性があると思っております。もし入れる 余地があるならば、ストレス耐性をどのようにつくっていくか、どのようにして 周りとコミュニケーションを取っていくか。コミュニケーションは毎日の取り方 が非常に大事で、打合せのときのコミュニケーションだけでは、こういった職種 の問題はとても解決できないと思っておりますので、コミュニケーションの取り 方の講座のようなものも入っていたほうがいいような気がいたします。 ○田畑能力開発課長 現行の基準では、学科として、情報工学概論、ソフトウエ ア工学概論などを定めており、いま指摘された内容については規則上は明記され ておりません。ただ、規則で定めた科目以外に、それぞれの訓練コースにおいて 適宜定めることができる部分もありますので、ご指摘の点を含めてそれぞれの訓 練コースで適切に対応できるように考えていきたいと思います。 ○今野分科会長 たぶん、教える指導員にとっても重要なことでしょうが、基本 的に寂しい質問です。仕事の仕方を変えて、そのようなことが起こらないように ならないでしょうか。 ○大野委員 いろいろなことをやる必要があるのです。トータルの労働時間を減ら していくということもやらなければいけないですし、コミュニケーションを取る技 術をどのように身に付けるかといったことも必要です。うつ病になった人の再発を どのようにして防ぐかということもあるのですが、ITの仕事の一部にはうつ病を発 症する方が比較的多いと考えています。いまの日本の産業界、あるいは産業界に限 らず、いろいろなところでメンタル・ヘルスの問題というのは、ある程度のスピー ドで増えているように思いますから、そのような統計をきちっと取りながら、どう やっていくかを考える。早く手を打たないと、マネジメントできないようになって は困ると思っております。特にITの仕事は、個人でやっていく仕事ですし、最初は 取り組みやすい人と取り組みにくい人が出てくるので、取り組みにくい人に対する 配慮といったものが十分なされないと、うまくステップアップできていかないとい う問題があるように思っております。 ○今野分科会長 いずれにしても、そのようなご意見があったことを伝えていただ ければと思います。その他、何かあればお願いいたします。 ○新谷委員 資料2-2の下に、今回の見直しに当たっては「産業技術の動向等を踏ま え」とか、「産業の進展等に対応した人材需要の高まりを踏まえ」という文言があ ります。ただ、今回の改正内容を見ると、汎用コンピュータのシステムからクライ アントサーバシステムへの運用に切り替えるということになっておりますが、私が クライアントサーバーという言葉を聞いたのは今から20年ぐらい前ですから、世の 中一般に、浸透してから10数年経つのではないかと思います。職業能力を高めると いうことは、まさしく産業が求める人材を国としてどう支援して育成していくかと いうことであり、それを考えると、今回の改正というのは、ここに書いてあるよう な動向に本当にキャッチアップしているのかということを感じざるを得ない、まさ に遅きに失するという感じがしております。  特に、荒委員、大野委員のご専門であるコンピュータの分野では、クライアント サーバの次のコンピューターシステムとしてクラウドコンピューティングというも のが出てきておりますので、即戦力ということで考えれば、産業動向にキャッチア ップした訓練計画にしていただきたい。たぶん現場では既にやっていて、省令の改 正が遅れているのだと思いますが、是非、省令の改正についてもアップデイトをや っていただきたいと思っております。 ○田畑能力開発課長 情報・通信分野は速いスピードで変化しているということは ご指摘のとおりと思っております。情報・通信分野の改正はかなり以前ですので、 従来の文言には相当古いものも入っていたと思います。専門調査委員会を設けて、 最近の情報・通信分野の動向も踏まえ、当面の情報・通信分野の進展をカバーでき るよう規定しているところですが、これによって今後の産業技術の動向等に適切に 対応できるよう教科の細目等を定め、現場の運用についても心がけていきたいと考 えております。 ○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。 ○荒委員 この省令の内容の若干の古さには驚きまして、事前にお話を伺ったとこ ろ、現場ではもっと柔軟にやっているとのことですので安心いたしました。ただ、 今後の考え方として、何を教えるべきかとか、何を基準にすべきかなどといったこ とを省令に定めるのではなくて、ちょっと大ざっぱな言い方ですが、何を目指すの かと。そのようにもっと上位レベルで規定し、細々と定めないほうがよろしいので はないかと思いました。 ○今野分科会長 その他よろしいでしょうか。ないようですので、当分科会として は、この省令案要綱について、おおむね妥当である旨の報告を、私から労働政策審 議会会長宛に行いたいと考えております。その他今日いくつかあった意見は、関係 の方々に伝えていただきたいと思います。それでは、事務局から報告文案の配付を お願いいたします。今度のものは短いので、事務局で読み上げは行いませんから、 各自お読みいただければと思います。よろしいですか。それではそのように報告さ せていただきます。  引き続き、議題(3)の「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱につ いて」に入ります。これまでと同様、こちらも厚生労働大臣より労働政策審議会会 長宛に諮問がなされたところです。これを受けて、本分科会においても審議を行う ということです。まず、事務局から内容の説明をお願いいたします。 ○浅川育成支援課長 資料3-1にある雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案 について、資料3-2と合わせて説明いたします。今回お諮りしたいのは、キャリア 形成促進助成金と認定訓練助成事業費補助金の改正についてです。  まず、キャリア助成金ですが、キャリア形成助成金には訓練等支援給付金があり ます。資料3-2の3枚目をご覧いただくと、訓練等支援給付金の概要が出ております 。内容としては、事業主が従業員に職業訓練などを受けさせた場合などは、訓練等 に要した費用の一部を助成するというものです。いちばん上にある「その雇用する 労働者に職業訓練を受けさせる中小事業主」のメニューですが、原則1/3の助成のと ころ、平成20年度より今年度末までの暫定措置として1/2の助成を行ってきました。 また、資料3-2の2枚目をご覧いただくと、(4)中小企業雇用創出等能力開発助成金と いうことで、中小企業労働力確保に基づく改善計画の認定を受けた事業主が、従業 員に職業訓練などを受けさせた場合、それに必要な費用の一部を助成するというメ ニューがあります。このうち小規模事業主が従業員に職業訓練を受けさせた場合、 経費、賃金について原則1/2の助成としているところ、平成20年度よりの暫定措置 として、2/3の助成を行ってきたところです。  これらの特例的な暫定措置は、平成19年6月に安倍内閣が閣議決定した「成長力 底上げ戦略」に基づき、実施してきたものです。この戦略は、原則として3年間で 集中的に推進するということで、本年度は集中実施期間の最終年度に当たるわけで す。この暫定的な措置を使い、助成金によって中小企業を支援してきた結果、利用 実績も順調に上がり、集中実施期間において人材育成というものにも一定の役割を 果たしてきました。また、中小零細企業における助成金の普及といったことにも成 果があったと評価しております。  これらの企業の能力開発を進める上で、現在のさまざまな情勢は未だに厳しいと いうことについては認識しているところです。しかし、現政権の下、昨年末に「新 成長戦略(基本方針)」が策定されましたが、この中で中小企業の人材育成につい ては、ジョブ・カード制度等別の切り口で進めるということになりましたので、こ れまでキャリア形成促進助成金の中で助成率を一時的に上げてきたものについては 、原則の助成率に戻し、ジョブ・カード制度等のスキームの中で、中小企業におけ る人材育成を支援していくこととしております。これがキャリア形成促進助成金に 係る見直しです。  もう1点、認定訓練助成事業費補助金について説明いたします。こちらの助成金 は平成19年度に創設された「実習併用職業訓練」を普及定着させるためのものです 。平成21年度までの暫定措置として、認定職業訓練施設を座学の受け皿として活用 するために、これらの施設を認定している県に対して、実習併用職業訓練普及定着 アドバイザー等を設置し、制度の周知や説明会の実施、訓練の実施計画の作成支援 などに対して、必要な経費を補助してきたものです。これは実習併用職業訓練の普 及定着に必要な期間を3年間と想定して設けた措置ですので、本年度は期間の最終 年度となることから、措置を終了させていただきたいと考えております。  なお、この実習併用職業訓練については、既に平成20年度よりジョブ・カード制 度の一環として、商工会議所のネットワークを活用し、別途普及促進を図っている ところであり、今後はこの仕組みの中で認定訓練施設を含め、実習併用職業訓練の 定着を図ることとしたいと考えております。 ○今野分科会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたし ます。 ○中村委員 説明の中にあった一定の役割を果たしたとか、あるいは別の対策で人 材育成をしていくということは理解できるのですが、ご承知のように、現在雇用情 勢が極めて悪化している状況の中、あえて打ち切る理由をもう少し具体的に教えて いただければありがたいと思います。 ○浅川育成支援課長 政策をどのように仕組むかということだと思います。重複す ることになるとは思いますが、それぞれの政権の下で政策を検討してきた結果、成 長力底上げ戦略に基づき、この暫定措置を実施してきたわけです。しかし、現政権 の下での新しい成長戦略というものが、今までの政策の検証の結果行われ、策定さ れたということですので、それに沿った政策を仕組み直した結果、暫定措置を別の 形で継続すると。つまり、中小企業に対する支援は、キャリア形成助成金の別のメ ニューの中で行うことにしたということです。 ○上原委員 政策は効果があったということで、ほかのところにも出てくるのです が、PDCAを回すとしっかり書いてあります。もう少し具体的にどうだったのかとい うことをまとめて、次に活かすことが必要だろうと思います。また、暫定期間が終 わるということは法律的にはしようがないと思いますが、ベースになっているのは 雇用二事業ですから、財源的には大変厳しいものがあり、そこは引継ぎがあればし ようがないと思うのですが、政策の効果がどうだったか、先ほどの利便性が上がっ たとか、一定の役割があったということの中身を、もう少し教えていただけるとあ りがたいです。 ○浅川育成支援課長 政策の効果については、中小企業への普及という面で見ると 、平成19年度は、支給額ベースで75%ぐらいを中小企業が利用しております。平成 21年12月末の最新の数字では、ほぼ100%が中小企業の利用ですから、中小企業によ り広く利用していただいているという状況があります。また、訓練対象者数ですが 、この制度を使って中小企業で働く約16万人が毎年訓練を行っております。そのよ うな形で、こういった方々の能力開発に効果があったと私どもは評価しております。 ○上原委員 16万人というのは累計ですか。 ○浅川育成支援課長 いいえ、その年の実績です。 ○上原委員 わかりました。 ○今野分科会長 その年というのはいつでしたか。 ○浅川育成支援課長 それぞれの年度です。 ○今野分科会長 それぞれの年度に16万人ぐらいいたということですか。 ○浅川育成支援課長 そうです。確かに、今回は暫定措置を元に戻すという判断を したわけですが、キャリア形成助成金というのは、もともと中小企業を念頭に置い た助成金であります。メニューによっては、対象者が中小企業に限定されていたり 、助成率も中小企業には高率のものを適用したりと、元に戻ったからといって、中 小企業に対する重点的な支援がなくなるということではない、ということも申し上 げておきたいと思います。 ○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。ないようですので、当分科 会としては、この省令案要綱については概ね妥当と認める旨の報告を、私から労働 政策審議会会長宛に行うことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                 (了承) ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは、また報告文案を配付してい ただきます。今回のものも短いですので、各自でお読みいただければと思います。 よろしいでしょうか。それでは、そのように報告させていただきます。諮問案件は 以上です。これ以降は報告案件で、議題(4)は「平成22年度職業能力開発局重点施策 と予算案の概要について」ですが、事務局から説明をお願いいたします。 ○井上総務課長 お手元の資料4「平成22年度職業能力開発局重点施策と予算案の概 要について」をご覧ください。まず、平成22年度の予算案の概要を説明いたします。 平成22年度に予定される総額は1,408億円で、以下は大きく5本の柱に整理しており ます。1つ目の柱は、「緊急雇用対策」として405億円を計上しております。この中 には離職者への訓練、職業能力形成機会に恵まれなかった方に対する訓練などの経 費が含まれております。ポイントは2つあります。1点目は、これらの予算によって 、離職者訓練については平成21年度と同様の訓練定員の規模である22万人を確保し たいと考えているということです。2点目として、資料にも書いてありますが、保育 士の資格取得を目的とした職業訓練の創設です。現在、資格取得を目的とした2年制 の訓練として介護福祉士がありますが、これに加えて保育士の資格取得を目的とした 職業訓練を創設したいと考えております。  2本目の柱は、「生涯にわたるキャリア形成支援・職業能力開発支援」として489億 円ということです。1つ目の◎は、介護・福祉士、医療、情報通信等の分野における 能力開発の推進は、1本目の柱を再掲しているものです。次は、職業能力評価等によ る労働市場の基盤整備の推進です。1つ目の○の職業能力評価の基盤整備の推進は、 職業能力評価基準の整備、技能検定制度の実施などを内容とするものです。2つ目の ○は、新規のもので、国際標準化等の動向を踏まえた労働市場の基盤整備に係る総合 的な取組です。これは、現在教育訓練サービス分野に係る国際標準化規格(ISO)の 検討がなされておりまして、2010年のうちに発行することが見込まれているため、必 要な取組を推進していきたいということです。  次の◎は、ジョブ・カード制度を活用した職業能力開発支援の一層の展開というこ とです。これは、キャリア形成の過程を標準化したキャリアマップの作成等により、 ジョブ・カード制度の活用を一層図っていこうとするものです。次頁の◎は、生涯キ ャリア形成支援の推進ということです。1つ目の○は、多様な働き方に対応したキャ リア形成支援の推進で、労働者のキャリア形成を支援する事業主に対する助成、ある いはキャリア・コンサルティングなどを内容とするものです。次の○は、新規のもの で、学校教育との連携によるキャリア形成支援の推進です。これは、キャリア教育の 推進を担うことができる専門人材養成のための講習を新規に実施していきたいという ものです。次の◎は、ものづくり立国の推進ということです。各種技能競技大会の実 施、あるいは若年者に対する技能啓発などを内容とするものです。  大きな3本目の柱は、「若者・女性・障害者等の就業実現及び両立支援」というこ とです。1つ目の◎は、フリーター等に対する職業訓練の推進で、年長フリーター等 を対象とした訓練コースを実施することなどを内容としたものです。次の◎は、ニー ト等、若者の職業的自立支援の強化ということで、地域若者サポートステーション事 業について、設置拠点を拡充するとともに、内容の充実を図っていくというものです 。次の◎は、女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推進ということです 。母子家庭の母等子どもの保育を必要とする方が職業訓練を受講する際、併せて託児 サービスを提供するというものです。次の◎は、障害者に対する職業能力開発支援の 推進です。これは、障害者職業能力開発校における障害者に対する訓練の実施、ある いは多様な委託先を活用した委託訓練の実施などを内容とするものです。  次頁は4本目の柱で、「非正規労働者への総合的対策」ということです。◎のジョ ブ・カード制度を活用した職業能力開発支援の一層の展開ということで、再掲してい るものです。5本目の柱は、「外国人労働者問題等への適切な対応」ということです。 内容は◎にあるように、技能実習制度の適正な実施のために、改正入管法の施行に向 けて、新たに義務づけられる初期講習のための体制の整備などを図っていくというこ とです。 ○今野分科会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたしま す。 ○大久保委員 予算概要について確認したいのですが、一覧表を見ると、「中高年齢 者」という言葉がどこにも出てこないのです。高齢者向けの再訓練などといったもの は、対象外なのでしょうか。 ○井上総務課長 1本目の柱の緊急雇用対策の中で、平成21年度と同規模の22万人の定 員を確保し、離職者訓練を実施する予算を組んでおります。中高年齢者のみを対象と した施策ではありませんが、離職者訓練ということですので、かなりの部分が重なっ てくると考えております。 ○大久保委員 離職者訓練ということで、ほかのところは女性、若者、フリーター、 障害者など政策的な柱が立っているのですが、中高年齢者については政策的な柱は立 てていないという理解でよろしいですか。 ○井上総務課長 いま申し上げましたように、中身としては、離職者訓練を中心とし て実施することを考えております。今回この概要において、中高年齢者対策を立てな かったということに、特定の意図はありません。概要ということで、全体を整理した 中で立てなかったということです。 ○今野分科会長 立てていないということです。 ○上原委員 職業能力訓練について、ヨーロッパは非常に手厚く、日本は、アメリカ よりやや手厚いということのようです。説明を聞いていると、いろいろとやられてい て個人的にはいいのではないかと思うのですが、世界的なレベルで見ると、このよう な予算の規模はまだ下のほうなのでしょうか。GDP比などで見ると、非常に少ないとい う報告を受けております。 ○井上総務課長 OECDが調査したGDPに対する教育訓練費の割合を見ると、ご指摘のよ うに、ヨーロッパの中でドイツやフランスは日本よりもかなり高い割合です。たしか 、日本はアメリカ並みだったと記憶しております。 ○大野委員 ジョブ・カード制度のことですが、その実績はどのような感じになって いますか。かなり増えてきているのか、あるいは今後増えていく可能性があるのか。 ジョブ・カードを採用している企業や、これによって恩恵を受けた人の数というのは どんな感じになっているのでしょうか。 ○高森実習併用訓練推進室長 ジョブ・カード制度の実績ですが、この制度は、平成 20年4月からスタートし、本年2月末までのジョブ・カード取得者数は20万4,000人です 。訓練プログラムは、雇用型訓練と委託型訓練の2パターンがありますが、雇用型訓練 の受講者数は約7,700名、委託型訓練の受講者数は1月末で約7万2,000人です。就職の 実績ですが、訓練修了後3カ月の状況としては、雇用型訓練では90.2%という非常に高 い数値であり、委託型訓練については、72.5%の方が就職へ移行しているという状況 です。今後の発展については、昨年暮れにまとめられた新成長戦略の中でも、ジョブ ・カードの取得者数を2020年までに300万人にするという新たな目標が設定されており まして、それに向けて制度の普及を図っていきたいと考えております。 ○大野委員 コストパフォーマンスの問題とか、やはり趣旨は非常にいいと思うので すが、どうも使いづらいというか、入りづらい。実際にやっていないのに言うのは申 し訳ないのですが、その辺の課題がこの問題には結構あるのではないかという気がし ておりまして、そのような意味で、入りやすいようなものができるのかどうか、ある いは300万人という目標を達成できるかどうか。そのようなことはやっていけば次第 に大体わかってくるのではないかと思いますので、是非、その辺をご検討いただきた いと思っております。 ○今野分科会長 その話題は、今後この分科会でもたぶん頻繁に出てくると思います ので、その都度ガッ、ガッと言っていただければと思います。 ○浦元委員 同じくジョブ・カードのことで確認したいのですが、いま大野委員から の質問の意図は、この制度の認知度が高まっていかない理由は何か、どのような形で 300万人という目標に向けて高めようとしていくのかということだったと思いますが、 その辺りをお聞かせいただきたいと思います。もう1つは、先ほど20万4,000人が利用 したと言われましたが、このような形で制度を利用するために、いまハローワークに 何人が応募し、それが実際に使われないというか、応募している人たちはたくさんい るが、それがなかなか活用されないのか、その辺の具体的なことをもう少し教えてい ただければと思います。 ○高森実習併用職業訓練推進室長 平成20年度からスタートいたしまして、やはり新 しい制度でしたので、伸び悩みが見られたところですが、平成21年度に入りまして、 大変厳しい雇用失業情勢の中ではありましたが、順調に推移しているところでありま す。それで、訓練のコースにつきましても、これに取り組んでいただいているのは、 中小企業がメインになっているわけでありますが、いろいろな実績コースも増えてき まして、それを雛形として、新たな中小企業の方が取り組んでいただいているという 状況であります。  それから、カードと訓練プログラムの関係がありますが、先ほど実績を申し上げま したが、20万4,000人の方々がカードを取得しています。その中で、実際に訓練プロ グラムに進まれた方が、7万9,000人ということであります。訓練プログラムに進まれ ていない方々のその後の就職状況のフォローというのはできておりませんが、カード を作成されて、就職活動に利用されているのだと確信をしているところであります。 あまりお答えになっていないかもしれませんが、失礼します。 ○今野分科会長 たぶんそうなると、浦元さんは、未訓練の人たちの就職動向も今後 調べておいてね、ということになるでしょうね。でも把握するのは難しいかな。  ○高森実習併用職業訓練推進室長 カードの取得をされて、その後またキャリア・コ ンサルティングに来ていただいて、最後まで追っかけられればいいのですが、一度キ ャリア・コンサルティングをされてジョブ・カードを発行して、その後接触がないと いった方々もたくさんおいでになるわけでありまして、ここのフォローというのはな かなか現時点では難しいという感じがします。 ○今野分科会長 いずれにしても、政策上の効果を考えるときに、一応ポイントであ ることは事実ですので、何か工夫をしてあげれば。それともう1つ、今後どうやって 認知度を高めるのかというご質問があったのですけれど。 ○高森実習併用職業訓練推進室長 このジョブ・カード制度の普及に関しましては、 先ほどもお話があったと思うのですが、日本商工会議所さんのご協力を得まして、全 国で134の商工会議所のネットワークを使いまして、各事業主さんに周知を図ってい るところであります。それから今後の取組といたしまして、離職者の方だけではなく て、在職者の方、あるいは一般求職者の方を含めまして、さまざまな方にジョブ・カ ードを普及していきたいということを考えております。 ○今野分科会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○高倉委員 単純に1から5まで足すと、総額に155億弱まだ足りないのですが、これ は何かまだその他というのがあるという理解でよろしいのですか。 ○井上総務課長 2つの面がございます。1つは、この総額1,408億円のうち、主な施 策内容と予算を取り出して構成させていただいているということがあります。それか らもう1つは、大きく5本の柱に分けているわけですが、◎の所で、複数の大きな柱に 該当するものについては、再掲ということにさせていただいております。それら2つ の関係がありまして、全体の額を合計したものが、このいちばん上の1,408億円にはな らない結果となっております。 ○新谷委員 次年度以降、この資料について、大変忙しい官僚の皆さんに注文を付け て申し訳ないのですけれど、今年度と次年度の対比がわかるようなものがあると、次 年度はどこに予算的に注力して、行政としてどこに注力をしたかとわかると思います 。単純に、この19億円だとか、146億円だとかというのをどうやって評価するのかと いうのが、私自身はよくわからなくて、やはり増減がわかったほうが、行政としての 力点がよくわかるのではないかなと思いました。次年度は工夫をいただければと思っ ております。  それともう1つ、後学のために教えていただきたいのです。この平成22年度予算額 の1,408億円と言うのは、雇用保険二事業から投入する部分と、一般会計から投入す る部分の案分からいくと、どうなっているのか教えていただければと思います。 ○井上総務課長 まず1点目です。前年度との増減につきましては、次回以降そのよ うにさせていただきたいと思います。それから2点目です。平成22年度予定額1,408 億円のうち訳ですが、一般会計が135億円、労働保険特別会計の内の雇用勘定が1,270 億円、労災勘定が2.9億円ということです。 ○今野分科会長 こういう予算ですから、収入と支出と両方あったほうがいいから、 来年以降は収入を。 ○井上総務課長 かしこまりました。 ○三村委員 これまで学齢期のキャリア形成を一貫して強調させていただいた者とし て、新規の中の1つに、学校教育との連携によるキャリア形成支援の推進ということ で、2,200万円という額をいただいているところについて、お伺いしたいと思います。 「私のしごと館」が廃止になりまして、学校教育の関係者は非常に施設の利用ができ ないということで嘆いている中で、こうしたものが新規として生まれてきたことはう れしく思っています。ここにキャリア教育推進を担う専門人材養成のための講習を実 施するとありますが中身についてお伺いします。キャリア教育推進ということですか ら、学校教育、文部科学省とどのような摺合せをしているのかということ、そして専 門人材養成については、経済産業省もキャリア教育コーディネーターという形で養成 をしております。それとのすみ分けがどのようになっているのか。そして新規という ことですから、今後どういう展望でこの事業をお考えになっているのか、以上3点に つきましてお伺いしたいと思います。以上です。 ○伊藤キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長です。三村委員からご指摘があ りました、この学校教育との連携によるキャリア形成支援の推進です。現在、若者の 雇用をめぐって生じているさまざまな課題に対応する上で、失業状態、あるいはフリ ーターといった状態に立ち至った方に対して、事後に対応するだけではなくて、学校 在学段階から職業意識の啓発とか、あるいは職業能力の前提となるジェネリックスキ ル等々の習得を計画的に進めていくことの必要性は、各方面からも指摘をされており ます。この間、文部科学省とも協議を重ね、ご案内のように、現在、文科省でも中教 審におけるキャリア教育推進のための特別な議論も行われているわけです。そういっ た文脈におきましても、厚生労働省が持っておりますキャリアコンサルタントであっ たり、あるいは職業情報、職業適性検査、そういった私どもが有しております資源を このキャリア教育にどう有効に活用していくのかということが、学校教育の側からも 強く求められている状況です。  そういった観点で、私どもが取り組むべき課題は非常に多岐にわたるわけです。そ の緒に就く取組の1つといたしまして、この新規事業、この講習の対象者として、も ちろん学校の教員の方ということもありますし、ハローワークのジョブ・サポーター として現実に学校と連携をしている方々、それから、これまでキャリアコンサルタン トとしての一般的な知見の勉強は重ねてきたけれども、その学校教育現場での展開に までは至っていない方々。こういった方々を対象といたしまして、キャリア教育の企 画、運用、評価等を担い得るような人材養成のためのプログラム、教材の開発、また 講習の実施といったことに、もちろん文科行政等の協力も得ながら着手をしたいとい うのが。この事業の狙いとするところです。  そこから先の展開につきましては、現時点で明確な具体的な計画まで備えているわ けではありませんけれども、ここで養成をした方々を、現実に、特に中学、高校と言 ったキャリア教育の現場において活用していただくということを文科省に働きかけを していくということは、是非、真っ先に進めていきたいと思っております。こういっ た人材が関与する中で、今日のこれまでの審議の中でもPDCAと言った指摘もいただい ておりますけれども、キャリア教育の成果評価といったことも行いながら、そういっ た評価を踏まえ、キャリア教育をより具体的に展開していく手立てについて、検討を 進めてまいりたい。また、文科省、それから経済産業省がいまキャリア教育に係るコ ーディネーターの養成評価といったことに着手をしつつあるということは、私どもも 承知をしているところです。  経済産業省が現在進めております人材養成については、キャリア教育の現場と経済 界を含む関係機関をつなげていくということに、その主たるポイントがあると承知を しておりまして、私どもが考えておりますキャリア教育プログラムの企画、運用、評 価ということと一部重なっている部分はありますけれども、それぞれ独自の部分もあ ると。こういった事業推進に当たっての基礎的な研究の場には、経産省、文科省とも に参画をいただいているところです。役割分担については、文科省、経産省とも引き 続き十分協議を図りながら、十分な連携の下でこういった事業を進めていきたいと考 えております。 ○今野分科会長 よろしいでしょうか。それでは、もう20時なのです。予定は2時間 ですので、あと議題が2つありまして、30分はたぶん確実にオーバーしないと思いま すけれど、オーバーすると思いますので、お急ぎの方は静かにお帰りいただければと 思います。それでは、次の議題に入りたいと思います。次は議題(5)の「職業訓練実 施計画(平成22年度)について」です。これもまず説明をお願いできますか。 ○田畑能力開発課長 それでは、平成22年度職業訓練実施計画の概要についてご説明 申し上げます。資料5をご覧ください。まず、計画の目的です。平成22年度中におけ る公共職業訓練対象者の数を明確にして、計画的な訓練の実施を通じて、労働者の雇 用の安定等を図るものということです。  次は、労働市場の動向です。雇用失業情勢は依然として厳しい状況です。特に若年 者につきましては、新規学卒者の就職環境は非常に厳しく、またフリーター数は平成 21年には6年ぶりに増加している状況ということで、こうしたことから、若年者にとっ て良好な雇用機会の創出や、その育成のための重点的実施が必要であります。併せて ジョブ・カード制度を推進し、正社員への移行を促進していくことが重要ということ を記載しています。また、障害者の支援としては、福祉から就労への移行を促進する ため、障害者の職業安定を図ることが必要であること。さらに、母子家庭への母等へ の自立就労を総合的に支援する制度が必要ということを記載をしております。  3は、実施する職業訓練の対象者及び主な取組です。(1)離職者訓練の対象者数につ きましては、202,300人、うち民間教育訓練機関等への委託訓練が170,700人です。こ の委託訓練のうち、4,800人については、介護福祉士及び保育士の資格取得を支援す る2年間の訓練として設定をしています。さらに、46,500人について、日本版デュア ルシステム等の職業訓練として、2,200人については、母子家庭の母等に対する職業 訓練として実施したいと考えています。また、これらの訓練を効果的に実施するため に、引き続き、地域や企業のニーズに応じまして、民間教育訓練を活用した多様な職 業能力開発機関の提供や、安定的な雇用の実現のため、長期間の職業訓練を積極的に 設定するなどの取組を行っていきたいと考えています。  (2)在職者訓練の対象者数につきましては、57,000人としています。高度なものに 特化して実施をしていくこととしているところです。それから、(3)学卒者訓練の対 象者数につきましては、5,900人としています。引き続き、産業界及び地域の人材ニ ーズを把握をしまして、訓練科の見直しも図りながら、効率的な実施に勤めていくこ ととしています。(4)障害者に対する職業訓練の対象者数につきましては、13,200人、 うち委託訓練の実施分として9,600人を計上しているところです。以上が、主なこの 内容です。その後に、資料として、これまでの実績等をお付けしていますが、時間 の関係もありますので、説明については省略をさせていただきます。  いずれにしても、平成21年度と比較をしまして、当初の比較ですと補正の27,000人 が別途ありますので、約30,000人増の計画数ですが、補正予算後の計画数と同規模の 訓練を実施するということを考えているところです。以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見ございますでしょうか。 遠慮なく、そんなに時間に協力しなくて結構です。よろしいですか。どうぞ。 ○荒委員 いまここは、職業訓練について述べる場ですので、場違いだったら申し 訳ないのですけれども、障害者の福祉から就労への移行を促進するためとおっしゃ るのであるならば、私は、いまの頑な労働法をもっと軟らかく、労働時間について もっと考慮いただきたいと思っておりました。ちょっと説明が足りませんでした。 障害のある方が働くに当たっては、私はいまの労働時間、最低労働時間と言うか、 もう1つ申し上げると、雇用率をカウントするに当たっての労働時間は長過ぎるの ではないかと思っています。もう少しいろいろな柔軟な働き方が許されて、かつそ れが、企業にとって雇用率にもカウントできるというのをお考えいただいてもいい のではないかと思っています。ただ、すみません、場違いですね、申し訳ございま せん。 ○今野分科会長 と言うか、場違いではなくて担当ではないと。 ○井上総務課長 私ども直接の担当ではありませんが、いまの委員の意見につきまし ては、担当部局に伝えさせていただきたいと思います。 ○荒委員 ありがとうございます。 ○今野分科会長 あるいはそちらの分科会に入るかですね。他にありますか。 ○新谷委員 時間がない中ですみません。この職業訓練の実施計画の中で、国として の雇用情勢とのリンクと言いますか、機動性をどう考えるかということに関連してな のです。実は、別紙で付けていただいている離職者の訓練の計画と実績の一覧をいた だいていまして、平成20年度までなのですが、その下に完全失業者数が出ております 。たぶん平成21年度はまだ年度途中なので出ていませんが、たぶん失業者の数は300万 人を年度平均で超えているのではないかと思いますし、雇用保険の受給者の実人員も、 年度平均でかなり増えていると思います。それに対して、離職者の訓練の実績と計画 をこれとどういう形でリンクをさせるのか、させないのかということなのです。要す るに、公共職業訓練のカバーをどうやって考えるのか、これだけ完全失業者がいる中 で、こうした人たちに訓練を施して、また労働市場に戻ってもらうというところが、 行政としてどうお考えになっているのかというのがあれば、お聞かせいただきたいと 思います。 それに関連して、実は、この資料5の2頁の下のほうに学卒者訓練の数が 出ていまして、これが昨年の6,300人からここだけ人数が5,900人に減っているわけで す。高卒の方々とか、中卒、大卒の方々の就職内定率がかなり厳しい中にあって、学 卒訓練の新年度の計画をなぜ減らしてあるのかというところで、先ほどお聞きした雇 用情勢とのリンクをどのように考えるのかということで、これも併せてお聞きしたい と思います。 ○田畑能力開発課長 まず、雇用情勢とのリンクです。お手元の資料の5の9頁に、平 成21年度の計画数を掲げています。全体の計画として、219,271人の計画を立てていま す。雇用情勢に応じて、必要な数の確保に務めていくというのが基本的なスタンスと いうことで、理解をいただければと思います。学卒者の訓練について、6,300人が5,9 00人ということで、昨今の少子化等の状況を踏まえて、こういった数字を置いたとこ ろです。雇用情勢が非常に厳しいという状況の中で、学卒者の就職対策、訓練につい てもどういうふうに対応していくかということですが、これにつきましては、新規未 就職者の対策と言うことで、公共訓練とは別になりますけれども、緊急人材育成支援 事業の中で、新規未就職卒業者の方の訓練を設定をするということで、必要な対応に 務めているところであります。いずれにいたしましても、雇用の状況とか、その時々 の就職状況を踏まえて、できる限り適切な対応に勤めていきたいと考えています。 ○今野分科会長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、その次に 進めさせていただきます。これが最後です。改正技能実習制度についてです。まず、 この説明をお願いします。 ○福澤外国人研修推進室長 外国人研修推進室長です。資料6に基づきまして、技能実 習制度推進事業運営基本方針の改正についてご説明させていただきたいと思います。 資料6の1頁です。まず技能実習制度推進事業運営基本方針というものの性格です。こ れは、技能実習制度が創設された平成5年に、技能実習制度の理念、仕組み及び運営の 基本事項を明示するとともに、技能実習への移行対象職種や移行手続を中心として、 技能実習制度推進事業の円滑かつ適正な実施を目的として、労働大臣名で官報公示さ れていたものです。今回入管法令等の改正によります技能実習制度の改正伴い、本基 本方針も改正が必要になったということです。入管法令の改正の概要につきましては、 昨年のこの分科会で何度か説明させていただいていますが、参考資料として資料6の10 頁以下に付けさせていただいています。  資料6の10頁の上段が現行制度で、下段が本年7月1日から施行される新制度です。主 なものとしては、技能実習という在留資格が新設されまして、1年目から雇用関係の下 での実習となり、労働関係法令が適用されまして、一次受入れ団体は3年間を通じて二 次受入れ企業の監理責任を負うことになります。これは団体監理型であります。以上が 入管法改正の概要です。  その次の11頁です。改正入管法に基づきます、省令以下の部分の入管法令の改正概要 です。これも時間の関係で省略させていただきますが、11頁の右側の所に改正の主な内 容が書いてあります。ここを見ていただければわかりますとおり、技能実習生への保護 に係る要件、それから団体監理型におきます監理団体、一次受入れ団体のことですが、 この監理責任の非常に大きな強化というものが、今回の入管法令の改正で出てきていま す。この法務省令等は、昨年12月25日に公布されています。これも本年7月1日から施行 ということです。こういう改正を受けまして、厚生労働大臣公示であります技能実習制 度推進事業運営基本方針も改正が必要になってきたということです。  また資料6の1頁に戻っていただきまして、1、2頁に改正の概要を付けさせていただい ています。3頁以降が運営基本方針の本文です。資料6の1頁の所、時間の関係もあります ので、資料6の1、2頁について、実質的な改正部分に絞って説明させていただきたいと思 います。まず資料6の1頁の真ん中から下、下から3分の1ぐらいの所です。各論の4という 所、技能実習生の受入れ等につきましては、これは1年目から労働関係法令が適用になり ますので、職業安定法も適用になります。監理団体が技能実習生をあっせんするというこ とは、職業紹介事業に該当することになりますので、職業紹介事業の許可・届出の義務が 自動的にかかってくるということになります。  それから1頁の一番下の5の(1)技能実習計画の作成です。到達目標と実習内容を具体的 に明記するとともに、各年毎の技能検定の受験など修得した技能を評価する時期と方法 を明記することとされています。それで、技能等の修得の目標の明示ですが、2頁に。 ○今野分科会長 すみませんけれど、2頁は我々の資料にはないです。たぶんこれ、裏の コピーを忘れたので、資料は後から。あるのですか。口頭で少しゆっくりめにしゃべって いただけますか、2頁目については。 ○福澤外国人研修推進室長 では、本文のほうを参照していただきながら、説明させてい ただきます。 ○今野分科会長 あるいはゆっくりお話していただければいいです。それで資料はいまか らもらいますから。 ○福澤外国人研修推進室長 いま申し上げました、まず技能実習計画の中で目標を明示 してくださいということになっていますが、これは従来から、1年目終了時には技能検定 基礎2級の合格、これはもう1年目から2年目に移行するための必須要件ですけれども、こ れは最低条件として変わらないということです。それから、2年目につきましては、技能 検定の基礎1級相当レベル、それから3年目、これは技能実習3年間の終了時ですけれども 、これは3級合格が最低目標ということですが、これをきちんとどのような目標にするか を技能実習計画の中に書き込んでくださいということです。  それからもう1つ、技能実習計画に含むことができる作業範囲の考え方です。これは、 2年目以降、移行対象職種作業というのが、現在65職種121作業というのが定められていま すが、この作業に限定するのではなく、大体全体の計画時間の概ね半分以下を限度とし て、その関連する職種作業についても技能実習計画に含めることによって、技能移転を図 っていただくことも構いませんということになります。これは、日本の現場では多能工化 が進んでいるということで、例えば実際の現場で、金属プレス作業であれば、ただ金属プ レス作業だけをやっているだけではなくて、いろいろな作業もやっていらっしゃるでしょ う。金属プレスした製品の溶接作業、バリ取り作業などもやっておられるでしょう。そう いうことを実際にその現場でやっておられて、指導体制もあるのであれば、金属プレス作 業として移行された方々についても溶接作業を含むことができるということです。  それからその次、お手元に参りましたでしょうか。2頁の5の(2)は、適正な雇用契約の 締結ですが、これは1年目から雇用契約の下での実習となりますが、雇用契約自体は入国 前に雇用契約を締結していただく。実際にそれを理解した上で、技能実習生は日本に入 ってきていただくということになります。団体監理型につきましては、日本に入国後、原 則として2カ月、これは団体が実施する座学の講習というのがあります。雇用契約の始期 は、その団体が実施する原則2カ月の講習終了後からスタートする。実際に現場に入って から雇用契約はスタートするということになります。  それから少し飛ばして7、修得技能等の評価です。これは先ほど申し上げましたとおり、 目標を技能実習計画に書いていただくことになりまして、なおかつ、その目標に到達した かどうかを評価する時期と方法も計画に書いてください、ということになっています。し たがいまして、当然最後、最長3年を終わった段階では、下線を引いていますとおり、技 能実習計画に基づいて修得した技能等を評価していただき、これは成果の確認と、技能実 習生の帰国後のキャリア形成に資していただきたいということです。  これらにつきましては、当然のことですが、入管法令の施行と同様に、7月1日以降に入 国、あるいは在留資格の変更する技能実習生から適用されることになります。説明は以上 です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見ありましたらどうぞ。 ○井上委員 これは以前にも質問させていただいたことがあるのですが、7月1日以降にこ の法律が改正されるということで、適用前の所はどうなるのかというところについて教え ていただきたいと思います。 ○福澤外国人研修推進室長 適用前については、当然現行のままということになります。 ○井上委員 例えば、労働基準法であったり、いわゆる労働法令の遵守がされていないケ ースなどがあったことによってこういう改正になったというのもあるわけですね。そうす ると、やはり7月1日を境にして、それが適切に対応される者と、対応されない場合が出る のではないかという心配があるのかと思っているのですが、その辺はどうなのでしょうか。 ○福澤外国人研修推進室長 この辺りは、入管法令の世界になってしまうわけですが、配 慮されていまして、例えば、7月1日以前に入国する方々というのは、研修という在留資格 で入ってきて、その方々は労働関係法では適用されないことになってしまうわけです。た だ、平成22年1月以降に在留資格認定証明書を交付される場合、22年1月以降に入ってくる 研修生、従来の研修生は、何も問題がなければ1年間という在留資格が与えられていたの ですけれども、研修6カ月というような在留資格を与えて、なるべく早く技能実習に移行で きるようにというような配慮はなされています。 ○今野分科会長 他にいかがでしょうか。 ○荒委員 念のためにお伺いします。2頁、入国前の雇用契約の締結という所ですが、雇用 契約と言うのは、言語は何をお使いなのでしょうか。というのは、その国の言語と日本語と いうことですか。 ○福澤外国人研修推進室長 ここには詳しく書いていませんけれど、母国語で労働条件をき ちんと明示してください、と書いてあります。それから、技能実習生、候補者ですね、候補 者がこういう条件を理解しましたという文章を入管に提出することになっています。それは 、在留資格認定証明書の申請時にそういう文章を提出しなければいけないということになっ ています。 ○荒委員 安心しました。ありがとうございます。 ○今野分科会長 他にどうでしょうか。よろしいでしょうか。やはり30分ぐらいオーバーし ましたね。これで今日は終わりたいと思います。次回以降の分科会の日程については、改め てまた事務局から連絡をさせていただきます。今日の議事録の署名ですが、労働側委員は中 村委員に、使用者側委員は大野委員にお願いをしたいと思います。それでは、今日はこれで 終了いたします。ありがとうございました。 【照会先】職業能力開発局総務課総括係(5738)