10/03/11 第2回訪問看護支援事業に係る検討会議事録 第2回訪問看護支援事業に係る検討会 日時 平成22年3月11日(木)17:00〜19:00 場所 厚生労働省 共用第8会議室(6F) ○川村座長 それでは、定刻になりましたので、第2回訪問看護支援事業に係る検討会を開催さ せていただきます。  本日は、茨城県保健福祉部長寿福祉課介護保険室の川上参考人においでいただいております。 ありがとうございます。  まず、事務局から、資料の確認をお願いいたします。 ○八田看護専門官 お手元の資料について確認させていただきます。  議事次第、座席表に続きまして、事務局提出の資料1、1回目の主な御意見に続きまして、資 料2、吉田委員の御提出資料、資料3、川上参考人の御提出資料、資料4、木村委員御提出資料、 参考資料1といたしまして、みえ高齢者元気・かがやきプラン、こちらの方は委員の方のみ席に 配付させていただいております。  以上でございます。 ○川村座長 それでは、議題に移らせていただきます。  まず、事務局より、資料の説明をお願いいたします。 ○八田看護専門官 事務局でございます。  先日開催されました第1回目の訪問看護支援事業に係る検討会の主な御意見といたしまして、 資料1をごらんください。  まず、「訪問看護支援事業の推進」に関する内容といたしまして、「1)訪問看護推進協議会の 設置」こちらの方には事業の開始にかかわる御意見を含めて整理させていただいております。訪 問看護支援事業の推進のためには、訪問看護にかかわる団体、多職種、行政関係者が連携して取 り組む必要がある。協議会の設置の時点より関係者と協力して事業を進める必要があるのではな いかという御意見をいただいております。  ○の2つ目ですが、行政に訪問看護を支援する必要性が理解されていないのではないか。地域 で安心して暮らせるよう在宅療養環境の充実を図るという事業の意義を理解して、行政が中心と なって訪問看護を推進すべきではないか。  ○の3つ目といたしまして、地域の看護協会や訪問看護にかかわる当事者組織が連携して事業 実施に向けて都道府県等に働きかけることも必要ではないか。  コールセンター事業に関する御意見といたしましては、退院後スムーズに在宅療養を送れるよ う、利用者・家族、病院関係者、在宅介護に関わる者が多職種間で利用者の状態を把握・共有す ることが重要である。そのためには、退院や退所時の連携について強化が必要である。  ということで、先ほどの推進協議会の設置とコールセンターの事業に関しての具体的な取組に つきましては、後ほど、三重県、茨城県の委員の方より具体的な例を御紹介いただく予定にして おります。  続きまして、「3)医療材料等供給支援事業」につきまして、医療材料等については、すみませ ん。こちらの方「在宅療養指導」という文字が抜けておりまして、在宅療養指導管理料算定者で ある医療機関が訪問看護ステーションに対し供給すべきであるとの周知がまず必要ではないか。 その上で地域の薬局と協力してシステムを構築する必要があるのではないかということで、医療 材料等の供給の事業に関しましては、今回実施中の自治体からの御意見といたしまして、取り組 む自治体の御希望は多かったんですけれども、取り扱える医療材料の選定ですとか、薬局との連 携が難しいという御意見も複数ありまして、今回、木村委員の方に情報提供をいただければとい うふうに考えております。  「4)その他事業」に関しましては、看護は病院・診療所などの医療機関だけではなく地域に おいても提供されるものであることが、病院関係者やケアマネジャー、一般の住民の方にも理解 されていないのではないか。さらなる訪問看護の周知が必要ではないか。  次のページにまいりまして。こちらには訪問看護支援事業以外のその他の御意見ということで まとめさせていただいております。  訪問看護の供給量を増やすためには、都道府県、市町村がそれぞれ連携し、介護保険事業計画 や地域医療計画の中に在宅療養を行う診療所数や訪問看護の必要量を明記すべきではないか。今 後予測される地域の医療ニーズの増加について把握するとともに訪問看護の必要性を認識すべき ではないか。  次の○ですけれども、訪問看護と訪問介護では、報酬上の単価がかなり差があるにもかかわら ず、サービス内容の違いがわかりにくい。ケアマネジャーすら内容を理解できていない状況にあ る。  次の○にまいりまして。訪問看護事業所は小規模であるために、夜間・早朝など24時間の訪問 看護を行うことが困難で、小規模事業所については、複数の事業所間でネットワークを組んで訪 問看護を実施することも考えられるのではないか。  しかし、小規模な事業所でネットワークを組むとしましても、日常圏域をネットワーク対象エ リアとした場合、訪問看護を行うに当たっては対象者が少なく、経営面で成り立たないのではな いか。日常生活圏域をより広い地域に核となる半官半民的な事業所をモデル的に設置して、スケ ールメリットを出して、住民のためのサービスを提供するということが必要なのではないかとい うような御意見を1回目の検討会ではいただいております。  事務局からは、以上でございます。 ○川村座長 ありがとうございました。  本日は、ヒアリングの時間を設けまして、各自治体の実施状況をお聴かせいただきます。三重 県の吉田委員、茨城県の川上参考人にお願いをしてございます。時間に限りがありますので、お 一人15分前後でお願いしたいと思います。また、質疑応答につきましては、2つまとめて後から 時間を取らせていただきたいと思います。それでは、吉田委員よろしくお願いいたします。 ○吉田委員 資料2に基づきまして、訪問看護支援事業の三重県の取組について御説明を申し上 げます。  まず1ページ目でございますが、三重県が目指している姿は、“2025年・2035年を見据えた地 域ケアの確立”という形で進めております。きょうは、委員だけでございますが、こういうふう に三重のプランも配らせていただいておりますが、地域ケアの確立をうたいまして、その確立に 向け、まず2007年12月に「みえ地域ケア体制整備構想」(地域ケアビジョン)を策定いたしまし て、30年先を展望して、三重県が置かれた高齢化はどういうふうに進むのか等々も含めてでござ いますが、三重県の置かれた状況と、今後の施策の方向性、これを医療関係者も含めて皆さんで 共有化して、共に歩み始める標(しるべ)と書かせていただきましたが、方向性を議論をして提 示をさせていただきました。そして、翌年、介護保険の第4期の計画のスタートに合わせまして 「みえ高齢者元気・かがやきプラン」というものをつくっておるんですが、これを改訂いたしま して、「みえ地域ケア体制整備構想」で示した三重県の未来予想図と書かせていただいていますが、 その姿の実現に向けて、介護の計画でございますので、2009年度からの3年間、この3年間に県 としてどのように取り組むかということを明示しました。そこで「3つの戦略と50の具体的行動」 を定めさせていただきました。  「みえ高齢者元気・かがやきプラン」は、介護保険事業支援計画また高齢者福祉計画ではあり ますが、「介護基盤整備」から「“地域ケア”の体制整備」へと展開が必要であると明記した保健・ 医療・介護・福祉の“総合計画”とさせていただいております。1ページ目の下に少し図を入れ させていただいていますが、「元気に輝きながら暮らせる地域」をつくっていこうということで、 元気力、地域力、さらには都道府県でございますので、介護人財についてしっかり考えていこう という三本柱で、3つの戦略を持って、50の具体的なアクションですね。県のマニフェストに近 い部分でございますが、こういうことをやっていこうというものを定めました。ダイジェスト版 で細かくは具体的な紙を見ていただければと思いますが、この中で、地域力という部分に、「介護 基盤整備」から、「“地域ケア”の体制整備」へという形を明示させていただいておりまして。具 体的施策展開のところでも、住まいを考えましょう、見守りを考える、食事を考える、三重県は 公共交通網が非常に脆弱でございますので、福祉輸送をどうするかというのも考えなければいけ ないわけでございますが、その移動が4番。さらに医療を考え、そして、最後の最後に介護だと いうふうな計画に仕上げております。  2ページを見ていただいて、「三重県が目指す地域ケアのイメージ」を書かせていただいており ますが、下の方で「地域での暮らし」がありますが、その地域の中で、「健康づくり・介護予防」 をやっていく。比較的お元気なところは、地域の支え合いで支えながら、さらに、少し要介護が 進んでも、地域の介護基盤を多機能にして、地域で極力支える。もし悪くなって施設に入っても、 「施設の自宅化」と書かせていただいていますが、自宅と同じような生活習慣を維持しながら暮 らせる環境をつくっていかなければいけない。そして、いくら予防とかをやっていても、急性期 医療を発症してしまうケースがございます。そういうときは急性期医療をちゃんとやると。三重 県は例に漏れず、今、地方の医療は若干ほころびが出てきておりますが、この部分もしっかり整 備をしながら、急性期医療ですべてのリハビリ、さらには在宅の準備はできませんので、回復期 や老健につながなければいけない。つなぐ部分は、地域連携クリティカルパスをしっかり普及さ せていこうと。回復期リハが足りないので、三重県は増やしていく。老健も、第二の特養と一緒 ではいけないので、在宅復帰、在宅支援という機能を強化していかなければいけない。病院、老 健から出る、つまり退院時・退所時にはちゃんとケアカンファレンスを進めていく。そのカンフ ァレンスには、赤字で書かせていただきましたが、在宅で支えるメンバーになります主治医・訪 問看護師・ケアマネさん。ケアマネの下には福祉系がぶら下がると思いますが、こういう人たち がちゃんとカンファレンスに参加する環境をつくる。カンファレンスに参加して情報をもらった 後、在宅ではこの3職種が連携をして高齢者の生活を支えていく。こんなイメージで三重県は施 策を、介護のみならず保健・医療・福祉・生活支援まで含めたトータルなことをやっていきまし ょうということを政策目標で掲げて、今施策を推進しております。  少し長くなりましたが、訪問看護事業の実施もこの一環で考えさせていただいております。「事 業実施に至った経緯」でございますが、地域ケアを進めていくというふうにうたってはいるもの の、三重県の現状でございますが、三重県の訪問看護ステーションの従事者数及び事業者数は、 人口当たりでほぼ全国平均水準ではあるものの介護保険制度導入後、事業者数は伸び悩んでおり ます。1人当たりのサービス料も全国平均を大きく下回る状況となっております。ステーション の数でございますが、2000年度4月1日現在ですが、63箇所、2009年度4月1日で82にしか伸 びていない。ただ、今6箇所ぐらい増えて88という状況でございます。一方、この間、デイサー ビスは三重県のみならずですが、非常に増えている状況ということでございます。  県としては、地域ケアの確立を目標としている以上、在宅医療・看護・介護の連携は不可欠で ございます。訪問看護の供給量拡大・安定供給が至上命題との認識を持っております。  このような中、国の平成21年度概算要求で「訪問看護支援事業」が盛り込まれたことを知りま したので、このモデル事業を積極的に活用することが突破口にならないかと考えまして、先ほど 御説明申し上げました「みえ高齢者元気・かがやきプラン」の50の具体的行動の1つにも明確に 位置づけ、21年度当初から、三重県としては事業に取り組んできたところでございます。  先ほど事務局の説明で、行政主導で進めるべきだという話もございましたが、三重県はまさに 行政主導でやらせていただいております。  3ページの上でございますが、これは三重県の1人当たり給付費を全国と比較しているもので ございますが、サービス種類別に全国平均の1人当たり給付費を1にして三重県がどういう状況 かと。つまり、青の中に入っていれば給付費が低く、飛び出ていれば給付費が高いということで ございますが、訪問看護・訪問リハ・居宅療養管理指導等々、在宅医療系が非常に弱い。訪問看 護は0.8、訪問リハも0.7ぐらい、居宅療養管理指導に至っては半分ぐらいという状況でございま して。ここをしっかり検討して支援していかなければ、先ほど言った「地域ケアの確立」も絵に 描いたもちになってしまうと思って取組を進めております。  「事業実施体制」でございますが、既に県内の大多数の訪問看護ステーションが加入する「訪 問看護ステーション連絡協議会」がございましたので、これを活用させていただきました。しか しながら、少々厳しい言い方で恐縮ですが、協議会自体は形骸化しておりました。何もやってな いという状況でございましたので、行政と書かせていただきましたが、私もメンバーに入らせて いただき、さらには、3師会も理事に加わっていただきまして、てこ入れをしました。三重県で は、後に説明しますが、現在、医療材料の供給支援事業をやっております。先ほど、事務局は、 なかなかこれが難しいというお話がありましたが、薬剤師会に入ってもらったことは、非常にこ れが進む要因になったなと思っております。  平成20年度は、請求事務等支援事業、コールセンター支援事業、医療材料等供給支援事業、普 及啓発事業の4つの事業に取り組みまして、各々部会を設けて、事業内容の検討、企画立案をや ってまいりました。ちょっとお配りはしてないんですが、連絡協議会で、すべてのステーション にアンケートをして、どういうことをやっていったらいいかということも考えて、ニーズに合う 事業をやろうと思ってやりました。この部会には、延べ24回やっておりますが、行政も必ずとい いますか、極力参加をして、それを側面支援をさせていただいております。  4ページに行きまして、「事業内容」でございます。  「(1)請求事務等支援事業」でございます。県内の大半のステーションに事務職員が配置されて おりまして、今年度、請求事務の一元化についてそもそもニーズがあるかどうかを、先ほど言い ましたように部会を設けて、ステーション・アンケートもして調査をさせていただきました。今 年度は実はそれだけという部分ではございますが、参加希望のあるステーションがわずか8箇所 にとどまりましたこともあって、来年度どういうふうにやっていくかは少し検討課題と思ってお ります。同一法人でも、システムが違っていたりして、なかなかやれないという話もあります。 この8箇所に手を挙げていただいてはいるもののどういうふうにやれるかは少々疑問があるとい うところになっております。  (1)でございますが、「コールセンター支援事業」。これにつきましては、21年9月にコールセン ターを設置させていただきまして、新規依頼等の相談受付を24時間体制で実施をさせていただい ております。広報、チラシ等々で周知を図っているものの、相談件数の伸び悩みが課題でござい ます。よくPRはやるとその瞬間は周知され、相談が来るんですが、日に日にその効果がなくな って、また、忘れ去られていくという部分をどうにかしていかなければいけないと思っておりま す。  (3)でございますが、三重県はこれをしっかりやっているんですが、医療材料の供給支援事業で ございます。訪問看護の利用者が必要な医療材料を入手しやすい体制をつくるためには、まずも って医療機関・薬局の御協力が不可欠でございます。現在、地区医師会並びに地区の薬剤師会の 御協力を得まして、桑名・員弁地区、また、鈴鹿・亀山地区、2つの地名が並んでいますが、地 域性の同じようなところで、その2つの地域で医療材料の供給支援事業をやらせていただいてお ります。具体的には、医療材料の規格をまず統一して、医療機関からの指示書に基づいて基幹薬 局で一括購入・小分けを行う体制でございます。下に流れを書かせていただいておりますが、ネ ットワークに参加した訪問看護ステーション個々と医療機関連携していただくわけですが、桑 名・員弁地区で9のステーションが連携していて、鈴鹿・亀山地区で5個のステーションが連携 を図っております。規格を統一していただいて、医療機関で診察する。必要な医療材料を、基幹 薬局を設けていましてそこに(1)で発注していただくということ。基幹薬局は、メーカー・卸から 発注・納品という手続を踏みますが、必要な物品を調達して、利用者の状態に応じて、ここで小 分けをするということでございます。各ステーションに配付して、利用者に円滑に供給するとい うことでございます。  在宅医療を確かに推進という形で言っていますが、現状は、まだ在宅医療のそもそものパイが 小さいのが現状でございます。このような中、箱単位で医療材料を買って、そのたびに使用して いくと、どうしても使用期限切れというものが出てしまいます。これは非常に社会的なロスでも あると思っておりますので、その必要性をちゃんと説明させていただき、地区の医師会、また、 薬剤師会の全面バックアップのもとやれているという状況でございます。ただ、まだ在庫が結構 残っていて、その在庫が切れたらちゃんと発注しますよと言ってくれている医療機関さんが多く て、これからはしっかり軌道に乗せていきたいというふうに思っております。  (4)でございますが、これはありきたりでございますが、「普及啓発事業」でございます。ケアマ ネさんの理解という話も事務局からございました。訪問看護の普及促進を図るため、ケアマネ向 けのパンフレットも作成いたしました。県内の82のステーションがどういうところに対応できる のかも含めてケアマネさんにわかってもらうような、こんなパンフレットですね。「在宅を支える ために手をつなごう」ということで「ケアマネジャー編」という形で後ろの方にステーションの 対応できるのを○×で付けたりして配らせていただいております。さらには、シンポジウムもや らせていただきまして。一般県民も来ていただきましたが、200人規模でやって、半分がケアマネ さんの御参画を得てやらせていただきました。これも一過性に終わらせてはいけませんので、し っかりケアマネ協会とも連携して、今後とも訪問看護の理解を高めていきたいと思っております。  「今後の課題」でございますが、本事業に取り組むことで、3師会を含む関係者が、訪問看護 に問題意識を持って、議論を行えたことは大きな成果だったと思っております。  本事業も有効な取組の一つではあると思いますが、これだけで訪問看護の安定供給には結びつ かないのは言うまでもないと思っております。地域ケア、地域包括ケアの推進のためには、在宅 医療・訪問看護の供給量拡大とこれらと介護支援専門員等との連携が必要不可欠であるにもかか わらず、これまでの各保険者の介護保険事業計画は、私は三重県のものしか見ておりませんが、 どうしても特養・老健、地域密着型サービスの整備に重点が置かれていて、ある意味、「福祉・福 祉している」と私はよく言わさせていただいているんですが、地域における在宅医療・訪問看護 の安定供給に向けた保険者の姿勢が見えないのが現状でございます。各保険者が策定している介 護保険事業計画を、是非三重県は介護基盤整備から地域ケア体制整備へというふうにうたってい るわけですが、住まい・生活支援、この中には見守りとか、食事等々があると思います。それに 訪問看護在宅医療を含めた医療、そして、最後に介護と、こういうものを含めた地域のケアの体 制を考えていくものに是非とも発展させていくべきであるというふうに思っておりまして、この 点は私としては是非提言をしたいと思っております。  厚労省がやっているわけではないと思いますが、地域包括ケア研究会が報告書をまとめられて いたと思います。田中滋慶応義塾大学教授の研究会がまとめたものでございますが、この中にも いろいろいいことを言っておるなと思っておるんですが、赤線で引かせていただいているように、 例えば都道府県が策定している従来の「地域ケア体制整備構想」を市町村(保険者)が策定する 形で発展させていくべきではないかというのも一つの論点だと言われております。私はこの方向 性に大いに賛成をしたいと思っております。  少し幅広い観点で述べさせていただきましたが、三重県は、訪問看護の支援がどうしても必要 だと県庁自身が思って、3師会の御協力も得て、看護協会とも連携して進めさせていただいてお ります。  以上でございます。 ○川村座長 ありがとうございました。  それでは、川上参考人よろしくお願いいたします。 ○川上参考人 それでは、資料とパワーポイントを使いましてスライドで御説明させていただき ます。お手数でも、スライドの方を見ていただければと思います。  茨城県の保健福祉部の長寿福祉課の介護保険室の川上と申します。よろしくお願いいたします。 茨城県の訪問看護支援事業の実施状況について報告させていただきます。  報告につきましては、まず、茨城県の訪問看護の現状と、この事業に取り組みました経緯、そ れから、事業の内容と方向性、それから、評価方法と今後の課題という内容で報告させていただ きます。  まず、茨城県の訪問看護の現状でございます。本県の人口は、昨年10月1日現在で297万人と なっておりまして、高齢化率は全国平均を下回っておりますが、近年急速に高齢化が進んでいる 状況にございます。介護保険の要介護認定率、同じく全国に比べて低い状況にございますけれど も、全国同様、制度開始当初の倍以上の約86,000人と増加しておりまして、それに伴いまして、 介護給付受給者数も年々増加しております。受給者の増加に伴いまして、事業者数も大きく増加 しまして、特に居宅サービス事業者は、制度開始当初の2倍以上に増加しております。受給者全 体の約6割の方が居宅サービスを利用されているという状況にございます。しかし、訪問看護の 利用件数につきましては、ほとんど増加しておりません。ここに利用件数ということで、線グラ フで表してございますけれども、ほとんど増加せずに横ばいという状況になっております。  訪問看護の利用件数の推移と居宅サービス全体からの利用率ということで3ページに、全国の 訪問看護ステーション数の表を載せてございます。これは「平成19年度介護サービス施設・事業 所調査」厚生労働省の調査によりますと、茨城県の訪問看護ステーション数は、人口10万人単位 3.2事業所ということで、全国平均よりも低い状況にあります。スライドの方にもございますよう に、本県の事業所数を線グラフで表しておりますが、一時100事業所を超える事業所数がありま したが、現在は95事業所前後ということで、ほぼ横ばいとなっております。  次に、事業に取り組みました経緯でございます。本県では、平成17年から3年間、茨城県看護 協会に御協力をいただきまして、訪問看護推進協議会を設置いたしまして、訪問看護ステーショ ンの実態調査などを通しまして、訪問看護の現状と課題を分析・検討いたしました。皆様のお手 元には、明らかになった状況ということで、6ページに状況が載せてございます。経緯は7ペー ジとなってございます。この事業で、6ページの資料にもございますように、訪問看護を取り巻 く関係者の置かれた様々な状況がわかってまいりました。訪問看護の推進のためには、これらの 課題に対してどうすべきか、細かく検討をしていく必要があるということです。  先ほどの課題の対応につきまして、この3年間の事業の中で、訪問看護事業所同士の情報共有 の仕組みづくり、それから、経営基盤の弱い事業所への支援体制、それから、訪問看護のネット ワークを強化していくために、基幹型訪問看護ステーションの設置などの必要性が協議会で提言 されたという経緯がございます。  平成20年度には、全国訪問看護事業協会が実施いたしました「訪問看護事業所の機能集約及び 基盤強化に関する調査研究事業」に本県でも参加させていただきました。本県では、先ほど御説 明しました協議会の提言を受けまして、ネットワーク化による経営の安定化をテーマに、情報共 有の仕組みやネットワークを強化することによる訪問看護ステーションの支援の検討をするとい う形で1年間検討をさせていただきました。平成21年度の、厚生労働省の訪問看護支援事業の中 で、これら事業の結果を受けまして、コールセンター機能を有する訪問看護サポートセンターの 設置を中心といたしまして、訪問看護の効率化・ネットワーク化を目指して事業を開始しており ます。  次に、事業の実施内容について御説明させていただきます。「訪問看護サポートセンター事業概 要」というスライドでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、茨城県では、コ ールセンターとして訪問看護サポートセンターを設置いたしまして、訪問看護の相談調整事業を 中心に情報の共有化・ネットワーク化を図っております。県内全地域での実施は難しいので、都 心に近く、医療機関や訪問看護ステーションが多い県南地域で事業を開始いたしました。この地 図にございます県南地域で実施しております。  事業の推進体制でございますけれども、訪問看護推進協議会が中心となりまして、全体的な計 画立案・強化を行っております。訪問看護推進協議会には、部会を2つ設置しております。具体 的な事業の内容を検討する検討部会、それから、マニュアルの作成や検討部会で検討された内容 について意見を集約する地域部会の2部会設置しております。地域部会は、事業を実施するすべ ての訪問看護ステーションで構成しております。県南地域の訪問看護ステーションすべてで構成 しております。訪問看護推進協議会は、これまでに2回開催しており、検討部会・地域部会に関 しましては、9月以降毎月1回ずつ実施しているという状況にございます。  なお、事業の円滑な実施に向けまして、事業実施地域の訪問看護事業所の管理者会議の後に、 昨年5月から毎月打合せを行い、訪問看護サポートセンター設置準備と地域部会の設置準備を実 施しておりました。  次に、訪問看護サポートセンターの概要の説明をさせていただきます。訪問看護サポートセン ターは、茨城県看護協会の訪問看護ステーション内に設置しております。専属のコーディネータ ーを2名雇用いたしまして、勤務は交替制で常時1名配属しております。また、開設時間内には、 携帯電話でコーディネーターといつでも連絡がとれるようにしております。  12ページに訪問看護サポートセンターの実施事業の内容が書いてございますけれども、訪問看 護サポートセンターでは、事業の広報、訪問看護ステーションの情報収集、訪問看護の利用に係 る相談を受け付けなど、紹介事業を行っております。  訪問看護サポートセンターの設置の際に一番配慮いたしましたのが、コーディネーターの資質 ということでございます。単純に看護師であることや、訪問看護の経験があるということのみで はなく、病院や訪問看護ステーションでの業務経験、特に管理業務を含んだ経験があり、また、 訪問看護について豊富な識見と指導力を有する方、また、当該地域で保健・医療・福祉に精通し ている方ということで、かなり人選には苦労したという経緯がございます。幸いにもこの要件に 適合した方にお願いすることができました。  訪問看護サポートセンターの実績でございます。14ページにございますのは、広報・情報収集 活動として、コーディネーターが広報や情報収集のために訪問を行った件数ということになって おります。  スライドは、その次のページの「相談実績」になっております。相談実績は、1月までに行い ました実相談件数でございます。39件で、全体の6割は電話相談ということになっております。 また、そのうちの10件が、訪問看護の新規の利用についての相談でありまして、実際に導入され たのは7件ということになります。この事業につきましては、医療機関、居宅介護支援事業所、 地域包括支援センターなど、市町村の関係機関に、12月に広報活動を開始したということもござ いまして、広報活動を開始しました後、相談件数が増加してきているという状況がございます。  次に、これは事業実施地域での訪問看護の利用件数の推移ということになります。利用者数は 増加しておりますが、冬は利用者が増えるとも聞いておりますので、事業開始後間もないので、 事業効果というよりは、季節的な影響かと考えております。ただし、毎月新規利用者が増えてい るという状況がございます。サポートセンターでは、訪問看護のコーディネートをするために毎 月の利用者数を把握しておりますが、この利用者数についても事業の評価に利用していきたいと 考えております。  資料には、訪問看護サポートセンターの介入により、訪問看護の導入に至った事例を3事例掲 載しております。時間の関係上、(1)の事例のみ紹介させていただきます。これは病院看護師から 具体的内容を聞き取り、訪問看護導入に至った事例ということになります。病院看護師は、相談 の時点では、どのように患者を支援するサービスを導入するか迷っており、訪問看護サポートセ ンターが対応することで訪問看護の導入に至ったという事例でございます。このようなケースの 場合、ベテランの訪問看護師やケアマネジャーなら同様の対応ができたかもしれませんが、病院 の看護師から見れば、たくさんある事業所の中で、そのようなベテランの看護師やケアマネジャ ーのいる事業所を見分けて選択するのは非常に難しいと考えます。  次に、「訪問看護の効率化・ネットワーク化事業」の内容の御説明をしたいと思います。資料は 21ページになります。事業といたしまして、訪問看護の効率化・ネットワーク化を目的といたし まして、サポートセンターのPRのリーフレットの作成は勿論、先ほどの三重県の事例でもござ いましたけれども、訪問看護ステーションの具体的なPRパンフレットの作成、それから、共通 マニュアルとして「災害対策マニュアル」の作成をしております。また、訪問看護記録の統一と して、病院看護師にも検討に加わっていただきまして、訪問看護の看護サマリーと病院からの看 護サマリーと、相互の情報を整理いたしまして、相互のサマリー様式などを作成しております。  次に、事業評価方法について説明をさせていただきます。  昨年10月に、事前調査ということでベースライン調査を行いました。この調査は、全国訪問看 護事業協会の調査様式とほぼ同様の内容で実施しております。事業評価は、ほぼ1年後の来年度 11月に実施を予定しておりまして、事前・事後実施の状況を比較して評価をする予定です。また、 ベースライン調査及び事業評価事後調査は、県内全部の訪問看護ステーションに対して実施いた しまして、この事業の実施地域と未実施地域での比較した評価も行う予定にしております。24ペ ージにどんな評価方法を検討しているかという表が載せてございますけれども、資料にございま すように、具体的な評価は、経営の安定、それから、利用のしやすさの2点に絞って評価してい きたいと考えております。2年間事業でございますので、あまり大きな目標設定は難しいと考え、 2点に絞って評価をしていきたいと考えております。  ベースライン調査の概要につきましては、資料25〜26ページにございます内容をごらんいただ ければと思います。  ベースライン調査の結果の概要につきまして、特徴的なところを少し御紹介させていただきま す。ただし、現在この調査票を収集中でございまして、今回の集計は、1月末時点で集まった暫 定数で集計しておりますので、御了解いただければと思います。従事者数と常勤換算数というこ とで載せてございますけれども、常勤換算数を見ていただきますと、中央値が3.8ということで、 規模の小さな事業所が多いということがわかるかと思います。また、事務職員は、8割の事業所 で配置されていないということもわかります。  それから、次のスライドでございますけれども、利用者数、延べ訪問件数でございますけれど も、10月1か月間の利用者数と延べ訪問件数でございます。常勤換算数当たりの利用者数、下の 表でございますが、12.3名で、延べ訪問件数は64.4件ということになっております。  次の表でございますけれども、黒字化する訪問件数ということで、調査票の中に「あなたのと ころが黒字化する訪問件数は何件でしょうか」というような質問をしております。上の表は「黒 字になるのは何件」という事業所の訪問件数です。下の表は、1か月最大に訪問した場合の訪問 件数を回答いただいたものです。「黒字になる」事業所の常勤換算1人当たりの訪問件数の中央値 は66.2件でございました。また、常勤換算1人当たりの最大訪問件数の中央値は69.7件というこ とでした。この前のスライドで、看護職員の常勤換算1人当たりの訪問件数の平均値を出させて いただき、*印で表の一番下に載せてございますが、64.4件で、現在の訪問看護実施件数にはま だ余裕があり、1か月最大の訪問件数をコンスタントに満たしていけば、黒字となり、経営も安 定すると考えられます。  次に、訪問看護の依頼を断ったことの有無ということでアンケートを取らせていただいており ます。これは、訪問看護を断ったことのある事業所数ですが、ほぼ半数の事業所が「断ったこと がある」ということで回答をしておりました。その理由は、タイミングもあるかとは思うんです けれども、断った理由の34%は、問い合わせを受けたときに、訪問看護可能数を超えていたため ということでした。そのときに問い合わせた方々はどこに行ったのか、うまくほかの訪問看護事 業所につながればよいのですが、在宅はなかなか難しいということであきらめて、施設等を選択 したりということがあるのではないかと思います。このために個々の訪問看護ステーションの情 報を掌握して、うまく訪問看護などにつなげて、在宅療養につなげるところが、場所が必要なの だということで考えております。  当県の次年度に向けた課題ということでございますけれども、訪問看護や訪問看護サポートセ ンターの周知は勿論ですけれども、現在は、訪問看護の供給状況(空き情報)に関してはファッ クスで行っておりますが、今後、どのように行えば継続して行うことができるのか、情報の共有 体制の検討が必要と考えております。特に今回の2年間の事業終了後、この事業をどのように継 続して実施していくか、全県に拡大したときに、サポートセンターの運営をどのようにしていけ ばよいのか、ほかの地域での実施に向けた具体的なモデルの構築が課題ということで考えており ます。  当県の訪問看護ステーションの計画ということでございますけれども、「茨城県地域保健医療計 画」及び「茨城高齢者プラン21」の中で、住み慣れた家庭や地域で24時間365日安心した療養 生活が送れるよう、訪問看護ステーション数を増加していく必要性をうたっております。今後こ れらの計画改定に合わせまして、在宅医療、介護のニーズの増加等、訪問看護の必要量について 把握することが課題となっております。  御静聴ありがとうございました。 ○川村座長 ありがとうございました。  お二人の先生方にそれぞれの取組について教えていただいたところですが、いかがでしょうか。 何か御質問、御意見おありでしたらどうぞ。 ○上野委員 三重県の方にお伺いしたいんですが。コールセンター支援事業の具体的なことを、 もしよろしければ教えていただきたいのですが。体制等。 ○吉田委員 体制は、ちょっと細かいことはわからないんですが、看護協会がやっている訪問看 護ステーションがございまして。こちらにコールセンターを、勿論通常業務とは切り分けてスタ ッフを配置しております。利用者、家族、また、ケアマネさん等々、訪問看護師からの相談も広 く受け付けるという形をしています。  先ほど、茨城県さんはちょっとサポートセンター的な話だったかもしれませんが、そういう機 能も兼ね備えられるようにはしているつもりですが。ただ、そんなに実績がない、お恥ずかしい ぐらいの実績がないというのが実態です。 ○上野委員 地域限定ですか。 ○吉田委員 一応地域としては、津市をモデルにしていますが、コールセンター、相談を別に地 域限定でやる必要性を私自身は感じてないので、電話相談ですので、どこかの地域からかかって きても、それは受け付ければというふうに思っていますが。 ○上野委員 そうしますと、広報、チラシは全県にばらまいたといいますか。 ○吉田委員 ケアマネ協会を通じてまいた部分もございますので、そういう意味では広く周知は できているかもしれませんが。こういうチラシなんですけれども。 ○上野委員 ありがとうございました。 ○川村座長 よろしいですか。 ○上野委員 はい。 ○川村座長 では、そのほかに何か。 ○上野委員 もう1点お願いします。 ○川村座長 はい、どうぞ。 ○上野委員 また吉田委員の方にお願いしたいんですが。医療材料のネットワークに参加したと ころが、桑名と鈴鹿地区ですよね。 ○吉田委員 はい。 ○上野委員 9ステーションと5ステーションというふうにお伺いしたんですが。 ○吉田委員 はい、そうです。 ○上野委員 それ以外のステーションは、参加希望がなかったのか。ステーションの数がそれだ けだということですか。違いますよね。 ○吉田委員 先ほど、医療材料の実態把握はやったという話をしましたが、利用したいと言って いる施設は40か所に上っていまして。それはこの地域だけには限定されていません。ただ、この 供給事業をやるためには、医師会の御理解と薬剤師会の御理解がない限りできませんので、いく らステーションがやりたいと言っていても無理な部分がございます。地元の御理解をちゃんと賜 りながら進めていきたいと思っております。今は2地区でございますが、順次広げていければな と思っております。 ○上野委員 2地区のステーションは全員参加しているというふうに解釈してよろしいですか。 ○吉田委員 ちょっと後で回答します。全部は参加してないですね。感覚論で言って申しわけな いんですが、鈴鹿の地域で5つしかステーションがないということはあり得ませんので。  材料も、規格を統一しようとしていますけど。私は専門家ではないのでよくわかりませんけれ ども、これでもまだ多いので、これとは違うのでやりたいと言っているところがあったりすると、 また、参加できないのかもしれないですけれども。 ○上野委員 わかりました。ありがとうございました。 ○川村座長 では、そのほかにはいかがでしょうか。 ○木村委員 茨城県さんにお伺いしますけれども、28〜30ページを通して見たときに、今、ステ ーションの開設はたしか最低2.5人ですよね。この黒字が出ているというところで、まだ最終デー タではないというのは承知の上で聞くんですけれど。大体どれぐらいの看護師数がいて、その訪 問回数がどれくらいで。それから、訪問するエリア、この3つをクロスをかけたときに、感覚的 にもまだわからないですかね。 ○川上参考人 申しわけありません。まだそこまで細かい解析はしてない状況にございます。実 は1月に集めて上がってきたような形で、急ぎまとめた感じですので、これから細かい解析をさ せていただきたいと思います。 ○木村委員 人数と訪問回数。多分回数が多いということは、エリアが結構狭いと思われますの で、その辺の分析を是非よろしくお願いします。 ○川村座長 ありがとうございます。  何かありますか。 ○宮島老健局長 両方の県の方にお聞きしたいんですけれども、1つは、夜間のケアは一体どう いうふうになっているのかという話ですね。それから、訪問看護と訪問介護の組合せは、この提 供の中で、ケアマネジャーに任せてしまっているのかどうかというその辺なんですけど。その2 点をちょっと教えてもらいたいんです。 ○吉田委員 なかなか難しい質問なんですが、夜間については、訪問看護の24時間の加算を取っ ているところは大半ではありますが、実態どこまでサービス料が確保できているのかというとこ ろは把握し切れてないというのが実態でございます。  訪問介護と訪問看護の組合せの部分でございますが、その部分も県主導で何かできているわけ ではなくて、ケアマネさん任せになっているのは実態でございます。 ○宇梶委員 まず、地域密着型の夜間対応型訪問介護,これは24時間の訪問介護ですが,県内で は4か所だったと思います。 ○宮島老健局長 ナイトケアのね。 ○宇梶委員 はい。ただ、事実上、サービスを提供している事業所はほとんどないです。認可だ け取っていて、できないというのが実態です。  看護の方は、基本的には訪問看護ステーションの範囲内でできるところはやっているので、深 夜に関してやっているかどうかというのは把握していませんけれども、一定程度夜の時間でやっ ているところはあると思います。  それから、24時間の訪問介護の認可を受けないで、一般の訪問介護事業所が、夜中にいわゆる 普通の訪問介護としてやっている事業所がありまして。件数は少ないですけれども、そういう意 味で夜間についてできる範囲でやっているというのが実情だと思います。逆から言えば、利用者 として夜間・深夜を含めて希望をしても、現実にやってくれる事業所が少ないということは事実 だと思います。 ○宮島老健局長 どうもありがとうございます。 ○川村座長 では、そのほかにはいかがでしょうか。 ○野中委員 前回の議論と重なるかもしれませんが、訪問看護には、医療保険からの訪問看護と 介護保険からの訪問看護があります。介護保険の訪問看護はケアプランに基づいて提供される原 則があります。そして本来は複数の訪問看護ステーションが協力して提供し必要であれば24時間 365日を保障します。ですから、確かに御提案のように大規模の事業所の方がよりその保証などが 実現しやすい事は理解できます。しかし、大規模の事業所がまだ現状として実現できないのであ れば、その辺は現状の事業所が連携して解決していくのが利用者さんのニーズを克服するための 第1策と思います。その連携が、現状として、ニーズがあるのにできないのは、どんな問題であ るのでしょうか。  それから、今、局長が質問されたことから、生活を支えるには、訪問介護と訪問看護との連携 は本来は大事ですから、そこの密なる連携が、24時間体制であるからどっちの役割という話では ないと思います。私たち医師との関係においても、何か病状の変化が起きるとすぐ医療機関には 連絡が来ますが、殆どのことは日ごろの生活がどの様にケアされているか、つまりケアプランに 沿って提供されているかが実は大事であって、このケアプランに則った連携がまだまだ現状では 不足している背景にあると思います。こういう支援事業としてのサポートによって、解決できる ことは非常に好ましいと思いますし、それは利用者さんにとって良いことと思います。しかし、 現実に訪問看護ステーションとか他の介護サービス事業者が抱えている問題の解決に繋がるか検 討を続ける必要があると思います。三重県の取組の話をお聞きして、特に2ページ目の「三重県 が目指す地域ケアのイメージ」を事業開始時に考え提案をされていることは、この支援事業が生 きてくるとお聞きをしました。1つは感想と、そして三重県の取り組みに対してケアプランに対 して現実にはどうであるかをお聞きしたいと思います。  多職種における情報共有で患者さんのニーズに合わせてどの様なケアプランをつくるかに解決 策はあると思います。その辺に関してどうお考えになるかをお聞きしたい。 ○吉田委員 三重県ではこんなふうにやっている地域もあるんですが、在宅を支えるお医者さん が、最初に1回目に往診する際には、必ずケアマネとバッティングするというか、一緒にその在 宅に行って、そのときにプランを考えていくといいますか、そういう取組をやっている地域もあ るんですね。そういうふうにやっていけば、ケアマネも訪問看護も組めますし、必要なら訪問介 護も組めると。ケアプランというのは、ケアマネが1人でつくるものではなくて、みんなでつく るものですし。ケアプランはケアマネのものではないというふうに思っていますので、先生の御 指摘のとおり、ニーズがあるのに提供ができないというふうにはなってはいけない部分はあるん ですが、みんなで本当に一人の高齢者をどうやって支えていくのかを目の当たりにすれば連携し ていくに決まっていますので、こういう実践を積み重ねて、もしそれをシステムにする必要があ るのであれば、地区の医師会、地域のケアマネさんとみんなで合意し合っていけばいいかなと思 って取組を進めています。 ○宇梶委員 茨城県の場合のサポートセンターの目的としまして、今、野中委員からありました 訪問看護ステーション同士の連携とかも含めて、サポートセンターがアドバイスといいますか、 調整といいますか、ケアマネさんも含めた中でそういうことができればと、思っています。  ドクターとケアマネさんは、ケアマネさんの方に遠慮があったりとか、いろいろな課題がござ います。まさに野中委員がおっしゃるようなことが普通にできるように、訪問看護サポートセン ターが,実験的な実践を積み重ねてほしいと期待しております。訪問看護サポートセンターのア ンケートで,医療機関からの要望、それから、ケアマネからの要望、それをうまく組み合わせる ことできっと相当うまくいくはずです。実態として、私の知っているケアマネさんは、それを実 行していまして、24時間の訪問看護も含めた在宅のサービスをやっておられます。そういう方の ノウハウをいろいろな方に示していけば、今、野中委員がおっしゃられたようなことが実現でき るのではないかという気はします。訪問看護サポートセンターの蓄積を、次の計画にどうやって 県が反映させられるのか,PRを含めた仕組みをどうつくっていくのかということが、次の大き な課題なのかなというふうに考えております。 ○野中委員 どうもありがとうございました。本来、医師がサービス担当者会議に参加しないこ とが盛んに言われ、それが元凶のように言われるのは、私としても本当は悔しいのですが、それ も現状では理解できます。確かにサービス担当者会議が必要である事は十分認識しております。 このサービス担当者会議と同様に大切なのが病院における退院調整です。残念ながら病院医師と 同様に病院の看護職員をはじめ多職種がこの退院調整の重要性を理解していない事が大きな問題 であって、そのことを含める支援事業になっていただきたいのが意見です。どうもありがとうご ざいました。 ○吉田委員 そういう意味では、私の資料の中にも書かせていただいているんですが、この事業 をやることによって訪問看護の安定供給に一気につながっているわけではなくて、3師会を含め ていろいろ議論をできたと。これが非常によくて、国の方からは請求事務とコールセンターと医 材の話が出ていますが、それでも広くやっていいものだというふうに私たちも思っているので、 来年度以降は、ある地域で医者とケアマネの連携で進んでいるんですが、こういうのを広げたり とか、退院調整も、ケアカンファレンスをちゃんと回している地域もあるんですが、こういう取 組をもう少し広げる、そんな支援に使えたらなというふうに思っております。 ○川村座長 大変新しい機能がこの事業の中に入ってきたと思いますけれども、そのほかには。 または、今のことに関して御意見がおありでしょうか。 ○上野委員 茨城県さんにお伺いしたいんですが。ベースライン調査の結果で、事務職員がいな いところが半数以上というデータですが、今後事務業務の省力化とか、レセプト請求等とか、サ ポートセンターの方でそういった構想はおありなんでしょうか。 ○宇梶委員 詳細な分析はできてないのですけれども、全県で95のうち、いわゆる医療法人系の 訪問看護ステーションさんは、法人の事務局で事務を集約しているという部分があるように思い ます。それで事務がいないということなのですね。一方、そうでないところは、管理者さんが事 務を兼ねていたりということはありますので、それはある面で今後の課題かなとは思っています が。  一方で、今、川上からありましたように、例えば空き情報などをネットを使ってやりたいとう ちから提案するのですが、ほとんどの訪問看護ステーションさんが、インターネット環境がある にもかかわらず使いたくないとおしゃいます。それは、まだ事務も含めてあまりの仕事の複雑さ、 多さによってネット環境が十分に使いこなせていないんだと思うんです。そういう中で事務の共 用はちょっと先の課題かなというふうに今は思っております。ただ、介護保険の請求は、茨城の 場合、95%ネットで請求されておりますし、フロッピーを入れますと99%データで請求されてい るわけです。ですから、そういうことと訪問看護ステーションでの実態とのギャップをどう考え たらいいかというところが今ちょっとありまして、事務のそういう省力化というのは将来のこと かなと思っております。 ○上野委員 はい、ありがとうございました。 ○川村座長 ほかにはいかがでしょうか。 ○宇都宮老人保健課長 コールセンターの関係でお聞きしたいんですが、まず茨城県さんの資料 で、15ページ、16ページに、相談実績という形で出ておりますけれども、この実績は結構よく利 用されているなと見るのか、そうでないのかということですね。というのは、三重県さんの方は、 数字をおっしゃったのか、私が聞き漏らしたのかちょっとわからないんですけれども、評価がち ょっとからいですよね、伸び悩みということでおっしゃっていて。それは実際に具体的に何件ぐ らいということなのか教えて頂きたい。  あと、茨城県さんも、これは24時間でやっていらっしゃるんですか。相談の時間帯とか、その 辺も教えていただきたいし。そもそも三重県さんでも、伸び悩んでいるという理由は、これは広 報のせいだみたいな書き方をしているけれども、実際のニーズとして、本当に24時間でやるニー ズはどのぐらいあるのかとか、その辺との兼ね合いとか、そういったところを、両方の県にお聞 きしたいんです。 ○吉田委員 三重県の実績は、この茨城のように積み上がってないですね。もっともっと少ない。 ちょっと正確な数字が思い出せませんが。それはおっしゃるとおりですね。24時間結構金かけて やっているんですけど、本当にそこまで必要かという話も確かにあります。 ○川上参考人 茨城県の場合は、実質広報開始したのが12月からになっており、それまではサポ ートセンター職員が病院訪問をしながら歩いて広報している期間でございました。件数的には、 広報後の1月や2月の方が増えてきておりますので、これから広報をしていけばもう少し増えて いくのではないかと考えております。  あと、時間につきましては、先ほど資料の概要のところで記載しておりましたように、昼間だ け月曜日から金曜日という形になっております。病院などを中心に訪問看護ステーションを紹介 するという関係もございまして、通常、外来が開設している時間ということで、一応月曜日から 金曜日までの9時〜5時という形で設定させていただいております。 ○宇梶委員 本県の訪問看護サポートセンターにつきましては、一般の利用者の「助けてコール」 を何とか訪問看護ステーションにつなげようということが主な目的ではなくて、いわゆる医療機 関と訪問看護ステーションのミスマッチとか、そういうことも含めて最低限の拾える訪問看護の ニーズを拾おうということで始まりましたので、勿論一般へのPRもしておりますが、基本的に は、医療機関、ケアマネ、そして、訪問看護ステーション同士の連携というところでやっていま す。資料の16ページに見ていただけますように、件数は少ないですけれども、相談経路が訪問看 護ステーションだったり、医療機関であったり、居宅介護支援事業所であるということからする と、今の事業を開始した目的は、一定程度達成されつつあるのかなと思っています。たった7件 ではあっても、新規の本来であればミスマッチでだめであったものが、別な訪問看護事業所につ ながっていったということは、サポートセンターの事業ではプラスと評価しているところです。 ○宇都宮老人保健課長 そうしますと、平日の日中しかやってなくても、それに対して休日もや ってほしいとか、あるいは夜間もやってほしいとか、特にそういう声は挙がってないということ ですか。 ○川上参考人 現時点では、先ほどお話ししましたように、始まったばかりということもござい まして、まだそういう形の要望は、私は直接聞いておりません。 ○川村座長 いろいろ御質問や御意見が出て、大変深まってきていると思います。  本日はちょっと時間も押しておりますので、では、木村委員の方から、資料4についての御説 明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○木村委員 今日は、この支援事業の中の医療材料等供給支援事業に関して、もともと社団法人 全国訪問看護事業協会さんの方と連携をとりながら調査研究をやってきた経緯がありますので、 そこの話を前半させていただいて、後半は、この訪問看護ステーションをどういうふうな形で支 援というか振興していったらいいかという観点でお話をしたいと思います。  早速ですけれども、1ページです。平成20年度の老人保健健康増進等事業で、日本薬剤師会が 「在宅医療、在宅療養推進のための医療材料、衛生材料供給のあり方に関する調査研究事業」と いうことで実施したものであります。今ほどお話ししましたとおり、保険薬局において医療材料・ 衛生材料の提供の実態・課題に関するアンケート調査、それから、地域における具体的にモデル 地区を決めまして、医療材料等の調達・供給・管理について調査をしたものであります。  2ページへ行きますと、実施方法でございますが、全国の保険薬局を対象としたアンケート調 査と、福岡県久留米市、長野県上田市、神奈川県鎌倉市、この3か所において具体的な医療材料 の調達・供給・管理について調査をし、一つの提言というか、そういう形がまとめられたもので す。きょうは、海外調査は割愛させていただいておりますが、この調査の内容には、オーストラ リア、デンマーク、スウェーデン等のことも記載されております。 アンケートの調査でござい ますが、全国調査では423件の薬局、それから、患者調査ということで、別個に訪問薬剤管理指 導を実施して、かつ患者票を記載できる薬局ということで92薬局ピックアップし、調査をしまし た。  次ごらんいただきますと、回収率が出ております。それぞれ、全国調査は262件、患者調査は 51件ということで、後ほど、特に医療材料・衛生材料に関しての内容のところのグラフ等々を示 しましたが、ほかには、薬局そのものが訪問薬剤管理指導に対してどういうふうに感じているか とか、訪問看護ステーションとどういうふうに連携をとるべきかということ等がありますが、特 にきょうの宿題の医療材料等供給支援事業にかかわるところに参考になるということでピックア ップしたものを報告させていただきます。  モデル事業のところは、先ほど言ったとおりでございます。  そして、回収しました全国調査、4ページでございますが、薬局そのもののNが262と大変少 ないのでございますが、下にありますそういう品目があるか、ないかということになりますと、 85.9%在庫があると。  次のページへ行きまして。その在庫していたものの中で、供給したことがあるか、ないかとい うことになりますと、38.9%ということで、大分少ないわけであります。  それから、さらに、その薬局に対して、医療機関等々の連携はどうなっているかと聞きました ら、6ページの下にあります病院、一般診療所、訪問看護ステーションということで見ますと、 数から言って、一般診療所との連携はそれなりに保険薬局ですのでやっているという形になりま すが、訪問看護ステーションで見ますと42%。また、入院施設があると見た方がいいと思います が、病院としては36.9%連携という形で出ております。  そして、次に意識調査でございますが、その回答してくれた薬局の薬剤師が、在宅療養患者へ 供給する薬局が関与することが望ましい医療材料の種類数が出ております。行ったり来たりにな ってはだめなので、ここでちょっと話をしたいのですけれども。医療ガーゼとか脱脂綿とか患者 さんの消耗品的なところが、薬剤師から見て望ましいと感じているわけでございますが、訪問看 護ステーションから見ると、真ん中にありますチューブ、カテーテル、針等々ですね。そういう ところのニーズが高いというふうに私は思います。ですから、保険薬局の薬剤師が今感じている ことと、多分、訪問看護ステーションからのニーズは、今の時点ではミスマッチかもしれません。 ですから、今回のこの事業で、後ほど久留米の例を出しますが、具体的にどういうものを薬局に 置いて流通させていくかということの提案が必要だということがここから見えると思います。  次に、問題点でございますが、8ページ。この全国調査のところでまず一回まとめてみたいと 思います。先ほど三重県さんの方からもありましたけれども、この医療材料等々の包装単位が大 きい、それから、多種多品目である、それから、ものによっては使用期限が切れてしまう。それ と、償還価格、特定医療材料のところで逆ザヤになっているというもの等があると。ここは改善 策の中で一つ出さなければいけないものだと思っています。  とはいうものの、前回野中委員の方からお話がありました、薬局としての役割はどうなんだと いうことになりますと、意識としてはやらなければならないと。しかし、上記にあるこういうこ とを解決していかないと、結局、医療材料を流通することそのもので赤字が出るということ等も 出ているものですから、そこをどう解決していくかということになると思います。  そして、全国調査の中で、非常にわかりやすい回答が1つあったということで、ここに示され ています。9ページですね。参考にしていただければと思いまして、一応載せさせていただきま した。薬局側から見ると、人材の問題。薬局そのものも一人薬剤師のところが非常に多いわけで あります。そして、この流通を24時間どうしていくかということの問題を考えると人材の問題、 それから、開局時間の問題、それと、在庫・品揃えの問題、それと、医療機関・訪問看護ステー ションとの連携の問題、ここが本当に具体的に出ていると思います。大手ドラッグストアは上記 3つは今やっているとは言うものの、本当は、在宅療養している患者さんに対して訪問薬剤管理 指導とか介護保険で言う居宅療養管理指導をきちんとやっていて、まちの薬局が、真ん中にある 2つの○でございますが、患者や家族に関わって、その疾患薬剤の関連がしっかり把握できてい るまちの薬局がやるべきだと。それから、緊急対応。近いということで、これは可能になってい くだろうということであります。連携についてでございますが、患者から見て、医療機関から見 て、薬局から見てということで、先ほど言った裏返しの話だと思います。薬局にどういうものが 置かれているかということで連携がとりやすくなっていくということがありますから、ここは地 域でいろいろ整理していけば可能なことではないかなと思います。  10ページ、11ページでございますが、これは患者調査で、答えられた50件の薬局の答えでご ざいます。11ページをごらんいただきますと、具体に患者さんがいますと、訪問看護ステーショ ンの連携が、先ほど40%ぐらいでしたけれども、本当にN数が少なくて恐縮でございますが、62% まで上がっていくと。ですから、具体の患者さんがいて、こういう医療材料・衛生材料の流通に きちんと関与していると、おのずとステーションの連携はとれてくるのかなと思います。  12ページは、先ほどの調査と似ていますので、割愛させていただきます。  次に、13ページへまいりまして。3モデル地区の中で、今回、久留米三井薬剤師会が積極的に 関わったところが非常にいい効果を出しているということがありましたので、ここをかいつまん で説明させていただきます。  13ページの下2行にありますが、医療機関は病院43施設、一般診療所377、歯科診療所211、 それから、訪問看護ステーション21事業所、ここと会議をずっと開いて、14ページにありますと おり、このスケジュールでずっとやってきたということであります。それで、いろいろなニーズ 把握をしたわけでございますが、きょうは特出しで「医療材料・衛生材料で薬剤師が求めること」 ということで訪問看護ステーションからアンケートを取って、一方的にこういうニーズが出てき たわけであります。もともとお医者様の方から出る、2段目の「・」にある在宅処置管理料に含 まれるものがきちんとされる・されないとか、それから、ドラッグストアではうまくやれるけれ ども、扱いが少ないとか、具体的にここに見えてきているものがあります。  これは文字が少し間違っていましたので、上から5行目のところに、本当は「清拭綿」だと思 います。これは逆ですね。それから、下から4行目のところに、同じ表示になっておりますが、 これは記載ミスだと思いますので、「清拭綿」ということで直していただければ結構だと思います。  こういう形のニーズがあるということをまずごらんいただきたいと思います。  これらに対応するために、16ページでございますが、久留米の薬剤師会とこの連絡会で、ここ にあるリストのものを、全部の薬局ではありませんが、モデル薬局を選択し、最低この商品名の この規格のものは置きましょうということで、今トライアルをやっているということであります。 ですから、この絞り込みにかなり苦労したということになりますが、逆に言えば、こういうもの をどんどん地域から出していただいて、絞り込みをどうやってやったかということとかを、今度 自分もリサーチしたいと思っています。  今ほど解説の中でずっとお話ししましたけれども、17ページに行きますと、今の裏返しの話で 出てきています。真ん中に下線を引かさせていただきましたが、訪問看護ステーションからの依 頼はわずかであり、保険薬局と訪問看護ステーションの連携が不十分である。そこを逆に進める ためにこの支援事業等を使ってうまくやっていきたいということもあります。それから、多種多 様な規格のもの、そういうところをどういうふうにしていくかということ。それから、患者さん に対して結局売る形になるんだけれども、管理料の中で見れるものはどれなのか。それから、具 体に消耗品的なものはどういうものがあって、患者さんの家族に買ってもらうかとか、そういう 形のことが出てきています。  18ページのところは、上段は、逆ザヤの話が載っています。それから、真ん中ほどに書いてあ るものは、卸業者の流通の話です。小包装のものをきちんとできるようにやっていかなければい けないということ。小分けの話が出てきています。一番下段のところは、診療報酬等々のところ で、もう一回見直しをする必要があるのかなということであります。  考察でございますが、今ほど話したことの裏側の話です。19ページの下から5行目のところの 「ただし、」からのところでございますが、保険薬局が地域で在宅医療に取り組むためには、在宅 医療の中心的役割を担っている医療機関と訪問看護ステーションと積極的にコミュニケーション をとることが重要であり、保険薬局の在宅医療における役割・機能への理解を求めて努力してい くのが肝要であるということで、とにかく薬局側もやらねばならぬと。ですから、その環境を今 回の支援事業でとらまえていくべきと思っています。  後半の方でございますが、ここから話は全然変わります。昨年4月から、居宅介護支援事業所、 ケアマネジャーが所属する事業所に対する評価ということで、いわゆる主任看護支援専門員を1 人置いて、2人または3人の常勤専従の介護支援専門員がいるところということで、地域におい て24時間連絡できる、サポートできる、そういう安心な事業所づくりということの評価だと私は 理解しております。そのときに、この20ページのポンチ絵がわかりやすいと思いますので、点々 (…)の大きな枠が日常生活圏域と考えていただいて、そこには地域包括支援センターが必ずあ るわけであります。そこに主任介護支援専門員がおり、ほか、社会福祉士、保健師もいるわけで す。その人たちと主任介護支援専門員がいる事業所がコラボレーションして、まさに目指してい る地域包括ケアマネジメント、ひとり暮らしの方でも看取りまでやっていけるということを、こ の訪問看護も入れてきちんとつくっていかなければいけないだろうということでありまして。一 人事業所もかなり多いわけでございますが、とりあえず3人以上ということで見たときに、この 1年間どういう動きになってきたかということを少し数字で見たいと思います。  一言で言いますと、訪問看護ステーションの大規模化、人数を多くということでありますが、 私はある意味のインセンティブを働かせなければいけないだろうということで、1つの例示とし て22ページをごらんいただきたいんですが、22ページに、細かいことはちょっと割愛させていた だきます、後で質問で答えますので。上から2つ目の(1)が、常勤かつ専従の介護支援専門員を3 名以上配置しているということで、これは(1)があって、主任介護支援専門員がいて、さらに、3 人以上いるということの評価であります。ほかの条件は下にあります。一番右にあります、(11)番 と(12)番が整備されていなければいけないということなんですけど、主任介護支援専門員が1人い て、そして、常勤専従のケアマネジャーが2人以上いると、こういうことで、IとIIということ で、Iの加算要件がこれ全部揃いますと、1人利用者に5,000円、それから、IIがきちんとできま すと、1人利用者に3,000円加算が付くという形であります。  これが昨年4月から始まったわけでございますが、まだ途中経過ですけれども、23ページにあ ります、この一番上にある数字でございます。特定事業所加算Iは、まだハードルが高いという ことで、1.86%程度の加算取得でございますが、2段目にあります、主任介護支援専門員が1人、 常勤の専従のケアマネジャーが2人以上の特定事業所加算IIを約3割の事業所が取り始めている ということであります。ですから、いろいろな条件はありますが、一番のねらいは、地域の利用 者様の安心という形になりますが、こういう形で人数が増えた体制ということで、濃密な安心で きるサービス提供ができていくには、ある意味拡大していくという形になると思います。そのと きに、私どもは大きな法人の中でこういうふうになっていけばいいとは感じていません。1人と か2人の事業所が合体して地域のためにやっていくということ。または、話し合いがつけば、社 会福祉法人、医療法人から出向した形で4〜5人の事業所をこういうふうにつくっていって、本 当に公正中立な事業所づくりをやってもいいのではないかと、こういう考え方も持っているわけ であります。  これが1つの例として、24ページに「訪問看護振興のために」ということで、前回も私はいろ いろ言いましたが、それを箇条書きにしてみました。今話したように、ステーションの大規模化 ということでどういう評価をつけるかということはありますが、人数が多いところ、そうすると 供給量が多くなる。そこに対してどういうふうな評価をしていくか。大規模化していくときのイ ンセンティブを働かせるようなことが必要だろうと。それから、基幹ステーションの設置もやは り必要でしょうと。先ほど、第1回目の記述がありましたが、例えば医師会立、看護協会立、そ ういうところでまずは核となるところをつくって、さらに、そこからサテライトという形でやっ ていって、地域に安心な量の供給ということをまずやるべきではないかと。それにはケアマネジ メント、マーケティングを含めてしっかりしたものをやらなければいけないであろうと感じてい ます。イコール、サービス提供量、エリアの検討ということでもあります。それから、ケアマネ ジメントの中で、これはしっかりしたデータをまだ取ってないので、聞いている話を言いますと、 訪問看護の単価が訪問介護に比べて高いというわけじゃなくて、限度額を考えると回数制限をせ ざるを得ないと。ですから、訪問看護の利用回数を増やすというねらいを定めていかなければい けないとすれば、もう少し単価を下げて、利用しやすくして、回数を増やすということは必要だ と思います。それから、一連の退院時のカンファレンスのところ、医療機関側のチームから在宅 側のチームに移っていくところに、当然ですが、訪問看護師、それから、ケアマネジャーも当然 ここに入って、きちんと連携をとっていくということをやりながら見ていくということで。です から、多面的にいろいろな課題を整理していかなければいけないだろうと思います。  最後に、先ほど言い忘れたんだすけれど、薬局も、薬剤師会立の会営薬局等を軸にそういう医 療材料の備蓄センター的なことをやっていかないと持たないだろうということを先ほど言うのを 忘れましたので、最後に1点付け加えさせていただきます。  長くなりましたが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○川村座長 ありがとうございました。  地域としてはいることに非常に第一歩が踏み出せていくというふうに思いますが、いかがでし ょうか。何か御質問、御意見。 ○野中委員 前回も発言しましたが、確かに現在の訪問看護ステーションが困っている実態は理 解できます。医療機関においても今御説明頂いた小包装の課題あるいは在庫の課題は悩みは一緒 です。本来、これら医療材料は、在宅処置管理料に含まれるものですから、患者さんに必要な材 料は、医療機関が確保して患者さんに提供するのが原則です。問題は、医療機関が訪問看護ステ ーションに医療材料を提供しないことが起きたときに発生します。そのため、訪問看護ステーシ ョンは薬局から材料を購入しその医療材料を使用した際に、患者さんから費用徴収をします。実 はこれが本来問題にされるべき実態なのです。医療機関が訪問看護ステーションに医療材料を提 供して在宅処置管理料を請求するのが本来の姿であり、その事の理解の普及こそがまず現状では 大事な話の筈です。それが、訪問看護ステーションが現状では困っているから、そのため薬局か ら容易に買える、例えば在宅処置管理料に含まれない医療材料だったらまだいいですが、在宅処 置管理料に含まれる医療材料は訪問看護ステーションが購入して負担するのはおかしいし、さら に患者さんが負担すべきものではない筈です。  ですから、この在宅処置管理料について整理して解決する必要があります。当然、医療機関に おいても、薬局が医療材料を小分けで配置してくれれば、診療所にとって、そんな便利なことは ありません。しかし、この問題の原点を忘れてはいけない。そのことに関しては、厚労省には、 在宅処置管理料の診療報酬点数が正当に評価されてないために、医療材料の中には医療機関の持 ち出しになっているケースがあることを含めて検討して頂きたい。さらに訪問看護ステーション が医療機関から医療材料を提供されないから薬局から購入してそれを患者さんに請求しているか どうかは問題です。そこをまず老健局には認識してもらうことも大事と思います。訪問看護ステ ーションが非常に困っている要因として、医療機関の在宅処置管理料に対する認識不足は十分理 解します。私の診療所も在宅医療をしていますが、必要な医療材料は訪問看護ステーションから あらかじめ必要量を連絡してもらい訪問診療を行く際に患者宅に持参するようにしています。そ れが本来の姿であり、そのことに対する理解の普及が必要なのです。 ○上野委員 野中先生のような医師がたくさんいらっしゃれば、本当にいいと思います。それが 理想だと思いますし、先生のように、利用者の1か月分のものを利用者宅にきちんと置いてあれ ば、それはステーションの人が行って、それを使って、なくなりましたで済むことなんですね。 本来はそうあってほしいというふうに思いますけれども、それは本当に稀な事例だと思います。 この件は、私がステーションを始めてからずっと尾を引いていまして。ただ、あり方検討会の14 年ですかね。そのときにもこれがクローズアップされまして。その後に、厚生労働省から通知が ドクター宛てに出たわけですね。それから、ときどき聞くんですが「出ていますよ」というとこ ろもあるんです。  実は、20年度に野中先生にもお入りになっていただいた検討した結果があるんですが、先ほど 木村委員がおっしゃったような、例えばシリンジであるとか、チューブ類であるとかといったも のに関しては、例えば中心静脈栄養輸液セットとかというものは医療機関が出しているケースが 非常に多いんです。ただ、ガーゼであるとか、綿花であるとかという本当の衛生材料的なものは、 医療機関からではなくてステーションが若干のものは準備はできる状況ですので、準備してあっ たり、それからあと、利用者が買ってきて置くとかという感じのところが非常に多くて。このデ ータの中では、衛生材料はどちらかというと医療機関からよりもステーション・患者たちが準備 していると。ただし、医療材料に関するものは医師が出していると。ただ、その医師が出してい るところが、例えばポートカテーテル1本しか出されないと、例えば不潔にしてしまった。その ときの代替がないので困るというのが現場の御意見なんですね。確かに通知の問題もあるとは思 いますが、先生方の在宅処置管理料の査定の問題もあるかというふうに思いますし、先生方の方 が在宅処置管理料を算定してないという場合もあるんですね。それは例えばポートカテーテルを 1本、Aさんが要るからAさんのために取り寄せますよね。その方がもしお亡くなりになったと いうときは、それが不要になるわけです。そうすると、箱単位ですので、それはもう返品できな い。それは先生方側の事情がそこにあって、そこのところを何とかできないかというのが今のシ ステムに移行していくのかなと思うんです。ですから、そこの備品の問題というか、備蓄の問題 に関して解決できれば、もっとスムーズにできていくのかなという感じはしています。 ○野中委員 それは現場の事情としてよくわかりますが、一番問題は、誰がその費用負担をすべ きかを解決しないと例えば訪問看護ステーションが負担すべきという話にもなりかねない。 ○上野委員 負担すべきだとは思っていません。 ○野中委員 訪問看護ステーションが負担するのもおかしいし、さらに患者さんが負担するのも おかしい。そこの辺は厚労省に適切に理解して整理して欲しい。 ○上野委員 あと、三重県さんが非常にいいシステムをつくられているわけなんですが、三重県 さんの場合の請求ルートですね。基幹薬局みたいなのをつくっていますよね。その請求ルートを どんなふうにして、医師の先ほどの指導管理料との関係の辺りの整理はされているのでしょうか。 ○吉田委員 すみません。即答できないんですが。また、うちのスタッフに聞いてきますので。 ○木村委員 私が答えるのはおかしいですけれども、多分、4ページの図を見ていると、薬局が 備蓄センター的になっていると思います。ですから、薬局で、ある程度先ほどリストにあったそ れが箱で当然買っているわけですけど、それを私どもは持っていますよということをここに関連 している医療機関側とステーション側にお知らせしているわけですから、そこから発注が来て、 多分幾ら幾らで売買という形のことをとっていると思いますよね。その中で、レセプトというか 診療報酬にレセを出しているものと、それから、ステーション側と、それから、個人負担という か、そういう整理をしているんじゃないかなと思いますけれども。 ○上野委員 久留米のモデル事業のところは、久留米市の薬剤師会が中心になって、それをどこ かの薬局に委託をしているという形ですよね。 ○木村委員 13ページにありますけれども、このエリアには147薬局あるんですよね。モデル薬 局ですから、たしか手を挙げさせたはずなんですよね。そして、その手を挙げさせた中で、薬局 名が全部並ぶわけですから、「○○薬局にはこれがありますよ」というふうに、16ページにあるリ ストのこれがありますという形で周知していったというふうに、間接的に私は聞いていますけれ ども。 ○上野委員 配送はどうするんでしょうか。  三重県さんの場合は、デリバリするんですよね。どちらかというとデリバリ方式なんですが、 配送は、例えばステーションの方が取りに行くのか、例えば市川のように利用者さんがそこに取 りに行くのかというところはどんなふうになりますか。 ○木村委員 そこまではちょっと私も確認していません。確認しておきます。 ○川村座長 よろしいですか。 ○上野委員 はい、ありがとうございました。 ○川村座長 この間、この事業の中間報告があって、そのときの資料で伺ったところでは、三重 の4ページの下の方の図ですけれども、医療機関が(1)で基幹薬局に発注をして、そして、基幹薬 局はその請求を医療機関に出しているふうにうかがえます。ただ、そのときに、その取りこぼし があるというのが問題になっているということでした。  それから、発送・配達につきましては、(5)のところに各ステーションへ宅配をすると。そのス テーションが利用者宅に訪問のときに持って行って、ほとんどそこで看護師が使う場合が多いの で、配達は訪問看護師というふうにそのときの説明はありました。利用者の中で、このようなガ ーゼが、この大きさものがどれくらい欲しいかと、それが適切かということについては、それを 使っている訪問看護師が一番わかるので、そのことを情報として病院に伝えというようなことで 伺っております。これも間接的な伺いで申しわけありませんが、必要でしたら、また、次回でも きちんとお知らせいただければ幸いです。  ほかには。 ○上野委員 非常に聞きにくいんですが、三重県さんは、医師会が入っていますよね。そのとき に今野中先生がおっしゃっていたようなことは、医師会の先生からは御意見はなかったですか。 ○吉田委員 ありましたよ。 ○上野委員 それはクリアされたわけですよね。 ○吉田委員 いえ、クリアできてないです。現場の持ち出しになっている部分もあるという話も 聞こえてはきていますね。 ○野中委員 以前、訪問看護ステーション事業所の毎年の指導において、東京都庁でこの在宅処 置管理料について講演したのを思い出します。この問題は在宅処置管理料は医療保険の話であり 老健局の担当ではなく、一方訪問看護ステーションは老健局の担当である事がなかなか解決でき ない要因と思います。たがいに連携をとって、現場の不都合を解決すべく働きかけていくことも 大事と思います。この事業が間違って理解されると、かえって患者さんの負担が多くなってしま う不安がありそれは避けたいという意味ですので、どうぞ御理解いただきたいと思います。 ○上野委員 事業協会としては、同じように、会員さんには、医師にはきちんと「ください」と 言いなさいというふうに指導はしています。ただ、必要なときにすぐ使えるということを考えて いくと、何らかの対策が必要かなという感じはしています。 ○吉田委員 補足させていただくと、三重県も、この4ページの図にあるように、医療機関が発 注すると。医者の責任でやるという前提でやっています。ただ、現場としては、やる前は、訪問 看護ステーションの持ち出しとか、患者の持ち出しもあったという現場の声は聞こえてきていま す。ただ、こういうことをやることによって今野中先生がおっしゃられたようなことがもう一回 徹底も図られるし、今一度みんなで議論をできると。これはやった甲斐があったなと思っていま す。 ○川村座長 ほかの御意見でも構いませんが、いかがでしょうか。  これは長いこと時間を積み重ねて、長い間の懸案なので、つい力が入りますね。  ほかには、何か御意見や御質問があるでしょうか。  よろしいでしょうか。  それでは、いろいろ意見が出ておりますけれども、局長以下皆様聞いていただいていますので、 また、どういう解決か、幅広くお願いができると有り難いと思います。  実際に行われた支援事業がどのように行われているかということについて、皆様に御理解をい ただいたところです。  それでは、今日はこれで終わりにさせていただきます。大変活発な御意見をいただきまして、 ありがとうございました。  それから、本日は大変遅い時間から始まるということになりまして、皆様方には大変御無理を 申し上げているということも多いかと思いますけれども、大変御熱心な御意見をいただいて有り 難かったと思います。ありがとうございました。  最後に、事務局の方から何か御連絡がおありでしょうか。 ○八田看護専門官 次回3回目の開催につきましては、日程等、後日御連絡をさしあげたいと思 っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○川村座長 では、本日はこれで終わりにいたします。大変ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 北澤  連絡先:03−5253−1111(3989)