10/03/10 第5回麻しん対策推進会議議事録             第5回麻しん対策推進会議                         日時:平成22年3月10日(水)10:00〜12:00             開催場所:国立感染症研究所戸山庁舎共用第1会議室 ○梅澤課長補佐 おはようございます。定刻になりましたので、これより第5回麻しん対策 推進会議を開会いたします。本日は、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうござ います。  最初に、出席者の御紹介をさせていただきます。まず、委員の方々より御紹介いたします。 国立感染症研究所感染所情報センター長、岡部委員でございます。国立感染症研究所ウイル ス第三部長、竹田委員でございます。国立成育医療センター総長、加藤委員でございます。 財団法人阪大微生物病研究会東京事務所長、福田委員でございます。武田薬品工業株式会社 医薬営業本部流通推進部グループマネージャー、佐藤委員でございます。SSPE青空の会 副会長、畑委員でございます。社団法人日本医師会常任理事、飯沼委員でございます。こっ こクラブ編集長、蒲生委員でございます。東京都公立高等学校PTA連合会会長、森谷委員 でございます。江戸川保健所長、佐藤委員でございます。失礼しました。佐藤委員は今日は 御欠席でございます。北海道乙部町長、寺島委員でございます。寺島委員も御欠席でござい ます。東京大学大学院教育学研究科健康教育学分野教授、衛藤委員でございます。本日は御 欠席でございます。島根県奥出雲町立三沢小学校教頭、荊尾委員でございます。東京都福祉 保健局感染症危機管理担当部長、前田委員でございます。JVCエンタテインメント、玉城 委員でございます。本日は御欠席をしております。JVCエンタインメント、金城委員でご ざいます。本日は御欠席をしております。  本日は、衛藤委員、金城委員、玉城委員、寺島委員、4名の御欠席でございます。16名 中12名の出席によりまして、当会議は成立しております。委員の御紹介は以上でございま す。  続きまして、今回、各地方自治体の取り組みを御紹介いただくために、参考人として御参 加をいただいております方々の御紹介をさせていただきます。まず、秋田県教育庁、岸本様、 秋田県健康福祉部健康推進課、滝本様、沖縄県福祉保健部医務課、糸数様、堺市衛生研究所、 田中様、茨城県保健福祉部保健予防課健康危機管理対策室、赤津様、茨城県立波崎高等学校、 長谷川様。以上でございます。  また、今回、地衛研における麻しん検査診断推進のための取り組みを御報告いただくため、 国立感染症研究所の駒瀬先生、麻しんの発生状況等を御報告いただくため、国立感染症研究 所感染症情報センターの島田先生に御参加をいただいております。  それでは、開会に当たりまして、上田健康局長よりあいさつを申し上げます。 ○上田健康局長 おはようございます。健康局長でございます。委員の皆様方、また参考人 の皆様方には、本会議の第5回目の開催に当たりまして、御多用中にもかかわらず御出席を いただいております。誠にありがとうございます。また、日ごろより、麻しんを含む感染症 対策の推進について御指導をいただいております。ありがとうございます。  さて、麻しん対策につきましては、平成19年に策定されました「麻しんに関する特定感 染症予防指針」に基づき、平成24年度までに国内からの麻しん排除を達成することを目標 に、平成20年に麻しん対策推進会議を設置し、その対策を進めているところでございます。 本年度はその対策が開始されて2年目に当たり、来年度はその中間年を迎えようとしている ところでございます。特に、本年度においては、新型インフルエンザ対策に対応していただ く中で、麻しんの予防接種につきましては、昨年同期と比較してほぼ同程度の接種率を維持 できましたことはありがたく思っているところでございます。しかしながら、現状に目を向 ければ、麻しん排除を達成するための目標でございます予防接種率95%を達成するには至 っていないという状況にあり、この辺は大変心配をしているところでございます。  国民の皆様方には、麻しん排除に向けて必要な予防接種の接種率95%達成に向けて御協 力いただけるようお願いしているところであり、また各自治体等におかれましても対策につ き御尽力をいただいているところではございますが、引き続き、関係の皆様方のより一層の 御協力をお願いしたいと考えているところでございます。  一方で、我が国の麻しん患者の発生数が減少していることを踏まえ、麻しんと類似の疾病 等を正確に見分けることが重要であると考えておりまして、麻しんの検査診断体制の充実が 必要であると考えております。この点につきましても、御意見を踏まえて検討をしていきた いと考えているところでございます。  本会議におきましては、麻しん対策に関する様々な取り組みを今日は御紹介いただきまし て、我が国の麻しん排除に向け、各委員の皆様方から活発な御意見をいただきますことをお 願いし、我々も目標に向けて全力で取り組んでいきたいと考えておりますので、よろしくお 願いいたします。  どうもありがとうございました。 ○梅澤課長補佐 上田局長におかれましては、所用のため、ここで退席させていただきます。 (上田健康局長 退室) ○梅澤課長補佐 先ほど出席者、欠席者の数を御説明させていただきましたが、訂正させて いただきます。欠席者につきましては、先ほど4名と御説明させていただきましたが、衛藤 先生、金城先生、玉城先生、寺島先生、佐藤先生、この5名が欠席でございます。11名の 出席をもちまして本会議は成立しているということに訂正させていただきたいと思います。  それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。  また、今回事務局として文部科学省から参加をいただいておりますので、御紹介いたしま す。スポーツ・青少年局学校健康教育課、高山専門官でございます。  それでは、以後の議事の進行につきまして、加藤座長にお願いしたいと存じます。加藤座 長、よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 皆さん、おはようございます。年度末で大変御多忙な折、また大変お寒い折、 各委員、また参考人の皆様におかれましては御出席をいただきまして、誠にありがとう存じ ます。  早速議事に入るところでございますが、本日、参加されておりますSSPE青空の会、こ れは麻しんによる亜急性硬化性全脳炎患者と親の会でございますが、本日御出席の畑委員の 御子息が本年1月にお亡くなりになりました。前回のこの委員会でも私が申し述べましたと 思いますが、私は御子息が中学生の折、初めて診察をさせていただきました、そのときの症 状はほとんどなく、ただ御両親が一緒に御来院されまして、学校の成績が極めて著しく劣っ てきたことが1点、それから若干話す言葉に集中力がなくなりつつあるような気がするとい うことで私の病院に参りまして、私が初めて診察をさせていただきました。  そのときに私がお尋ねした1点は、外見上は異常は認めませんでしたが、御両親の訴えに はかなり強烈なものがございましたので、はしかにかかったことがありますでしょうかとお 尋ねをいたしました。1歳弱冠のところで軽くはしかにかかったと、このように畑委員は申 し述べましたので、私はSSPEを鑑別診断の中に入れまして、即日入院をしていただきま した。診断は直ちに翌日我が病院で診断をつけることができ、そして御両親にそれを伝えま した。  私はSSPEを3例、自分で患者さんを拝見した経験がありますところ、ほとんどの御両 親は御理解を示さず、そんなことはあり得ないでしょうということを考えますが、今回、畑 委員の御子息のようになることは現在の医学では自明のことでございます。  このように、早く診断をつけてしまったこと自体、御両親が早く闘病生活に心から入らざ るを得なかったことにつきましては、座長といたしまして非常に心苦しい。したがいまして、 やはりはしかというものは根絶しなければいけないということを心を新たにしたわけでご ざいます。  ここに畑委員の御子息が亡くなりましたことを受けまして、皆様一同より、公私ともに心 より冥福をお祈りいたす次第でございます。畑委員におかれましては、今後とも麻しん対策 の推進にお力添えをいただきたいと存じます。  それでは、本日の議事を進めます。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 資料の確認をさせていただきます。まず、座席表、議事次第、委員名簿が ございます。それと、資料といたしまして、まず資料1、平成21年の麻しんの発生状況、 資料2、平成21年度第3四半期の接種率について、資料3−1が、麻しん風しんの第2期・ 第3期・第4期の積極的な勧奨についての厚生労働省結核感染症課長からの通知でございま す。それと、資料3−2といたしまして、同じく厚生労働省結核感染症課長から文部科学省 に対する通知でございます。それと、資料4でございます。文部科学省からお出しいただき ました麻しんの積極的な勧奨等についての通知でございます。資料5、秋田県の麻しん対策 における教育庁と健康福祉部の連携でございます。資料6、茨城県波崎高校MR混合予防接 種の取り組みでございます。資料7、地方自治体における麻疹検査診断体制に関する調査で ございます。資料8、沖縄県麻しん対策についてでございます。資料9、麻しん排除に向け て−地方衛生研究所から−でございます。それと、資料10、地衛研における麻疹検査診断 推進のための取り組みでございます。それと、資料11、病原微生物検出情報の月報2月号 でございます。それと、パンフレットといたしまして、「2012年の麻しん排除をめざして」 ということで、「検査診断に御協力を!」というパンフレットを参考としておつけさせてい ただいております。また、小冊子で、沖縄県から『はしかゼロに向けて』という冊子も併せ てお配りをさせていただいております。過不足等がございましたら、お申しつけください。 ○加藤座長 ありがとうございました。資料の御確認はよろしゅうございますか。よろしい ようでございます。  本日の麻しん対策推進会議は、先ほど健康局長から申し述べましたとおり、平成19年12 月28日に策定されました「麻しんに関する特定感染症予防指針」に基づきまして、平成24 年度までに麻しんを排除し、かつその後も排除状態を維持することを目標として、国、県、 市区町村が実施している各種の施策につきまして、その進捗状況を確認いたし、有効に機能 しているか等の評価を行ないまして、今後の施策に反映することを目的といたしているとこ ろでございます。  そこで、本日は、まず各関係者からの御説明及び御報告をまとめて行なっていただきまし て、それらを踏まえた上、委員の皆様には現在の対策の進捗状況につきまして御確認をいた だき、活発な御意見をいただきたいところでございます。  それでは、最初の議題でございます平成21年の麻しん発生状況につきまして、麻しん対 策技術支援チームより国立感染症研究所感染情報センターの島田先生からの御説明をお願 いいたします。 ○島田参考人 感染症情報センターの麻しん対策技術支援チームの島田と申します。よろし くお願いいたします。  早速ですが、本日は平成21年の麻しんの発生状況ということで、平成21年、すなわち 2009年になりますが、主に2008年と比較しながら、全体の報告数の推移と併せて都道府県 別、年齢別、検査診断方法別の報告数の状態を御説明します。スライドをお願いします。 (PP)  これは定点報告数だった1999年から2007年までの報告数の推移をお示ししております。 数年ごとに大きな流行を繰り返している状況ではありましたけれども、ごらんになりますよ うに、2002年以降は全体的に減少傾向にあったと言えます。  ところが、2007年ですが、ここが成人麻しんになりますけれども、年齢層が変化して、 流行の中心が高校生、大学生というふうになりました。この高校生が例えば修学旅行に行っ て、ほかの国で発症してしまって、麻しんの輸出国と報道されたのもこの年のことでした。  このような状況を受けて、国としては2012年までに麻しん排除を目的として対策に乗り 出すことになるわけですが、その大きな対策の3つの柱がありまして、その1つである発生 動向の正確な把握ということで、2008年には全数報告というふうになりました。 (PP)  これが2008年の全数報告における麻しんの報告数の推移です。ここをごらんになります ように、第1週は1月から立ち上がり始めまして、2月から4月下旬まではほぼ毎週のよう に400以上の報告数があるような状況でした。この下がりは13週、14週、春休みの期間で すけれども、それを挟んで大きなピークを形成しているような状況でした。2008年は合計 で1万1,015名というような報告数がありました。 (PP)  これはセクラートレンドを表している表ですけれども、先ほどの表でも出ておりましたけ れども、昨年は合計で741例の報告数ということで、2008年に比べると93%減少という状 況でありました。2008年は、4月から第3期、第4期、そして追加接種も5年間の限定で すけれども、始まった年でもあります。 (PP)  これが都道府県別の100万人当たりの麻しんの報告数です。麻しん排除の定義の一つに人 口100万人あたり1人という指数がありますけれども、2008年は全国で見ると指数が86と いう状況でしたけれども、2009年は全国で見ると5.8というところまで減少しました。と ころが、排除の定義の1未満というふうにかなうところは4都道府県でありまして、今日お いでになっている秋田県、あと石川県、高知県、熊本県のみが達成されている状況でした。 (PP)  次は、年齢別の変化を表しているものですけれども、これが2008年、ここではごらんに なりますように10代を中心とした年齢層が患者の大半を占めている状況でした。ところが、 先ほど申し上げました3期、4期の接種の効果などもありまして、2009年はここの山がす っぽりなくなったような状況になっております。その代わり、流行の中心は1歳、ゼロ歳が 中心になってきたというところです。  先ほどSSPEのお話もありましたが、幼少時にかかってしまうと、SSPEのリスクも 高くなるということで、まだまだ心配される状況ではあるということになるかと思います。 (PP)  これは都道府県別に診断方法別に見たグラフであります。2008年と比べると、全体とし ては、このグリーンのところが検査診断例になりますが、2008年とはちょうど逆転して検 査診断例が約6割に達しているという状況です。  ところが、去年はここのほとんどがIgMで診断されたという状況でありました。これは 後ほども出てくるかと思いますが、診断が必ずしも100%IgMでできるものではないとい うことと、あと年齢層が1歳、ゼロ歳が後発になっているわけですが、この年齢層でよく起 きるほかの発疹性疾患との鑑別がIgMだけではなかなか難しいという状況ですので、検査 診断例が増えたということは喜ばしいことなんですけれども、IgMが中心ということはま だまだ改善の余地があると思われます。 (PP)  IgMの診断だけではなくて、遺伝子型の診断が大事だということをお示しする一例とし て、輸入例の診断のお話をさせていただきます。これは2009年、去年に感染地域が国外と して報告された症例ですけれども、全部で17例ありました。ところが、去年は新型インフ ルエンザの流行もあり、その影響かとも思いますが、この中で遺伝子型まで確認されたのは、 ここでお示ししている山形県の1例と沖縄県の1例だけでありました。  参考のスライドにお示ししていますように、日本国内では2006年以降D5型という遺伝 子型が主に存在しているわけですが、それとどのように違うかということまで診断して初め て輸入例の確認というふうにできることが一番理想的かと思います。あと、排除の定義でも 国内での発生例がないということもありますので、今後、報告数が少なくなるにつれて、ま すます遺伝子型の診断というのは、国内例か、国外例かを診断するためにも必要になってく るかと思われます。  まとめますと、2009年は2008年と比べると90%減を達成していまして、100万人当たり の報告数も日本全体では5.8というふうになりました。今後は、その少ない患者さんの中で 確実に麻しんという診断を行なうために、検査診断例、特に遺伝子型の診断を充実させてい く必要があるかと思います。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、2番目の議題でございます、平成21年度麻しん風しん第2期から第4期の 予防接種率に関しまして、事務局からの御説明をお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 それでは、資料2をお開きください。平成21年度の第3四半期まで、12 月末までの接種率を表にしたものでございます。まず、第2期でございますが、一番下の全 国というところをごらんになっていただきますと、第2期におきましては67.3%の接種率 でございます。同じく第3期が65.8%、第4期が56.6%というような状況になっておりま す。  1枚おめくりいただきますと、第2期についてのそれぞれの対象人数、接種者数を都道府 県別に記載をさせていただいております。  1枚おめくりいただきます。3ページでございますが、これは2008年と2009年の12月 末の時点を比較させていただいているものでございます。2008年12月については66.4%で ございました。今回、2009年の12月末と比べまして0.9%、2009年の12月末が接種率が増 加しているというような状況でございます。また、接種の率が高い福井県の79.7%を初め として、多い順に並ばせていただいておりますけれども、一番低い福岡県、高知県がそれぞ れ57.1%であったというような状況でございます。  続きまして、4ページはそれぞれの接種率を都道府県のグラフ表として色分けをしたもの をつけさせていただいております。  続きまして、資料の5ページは第3期の接種の状況でございます。茨城県の91.8%を筆 頭に、ずっと各都道府県を接種率の高い順から並ばせていただいております。やはり、高知 県、福岡県というのが53.6%という接種率になってございます。合計で全国で66.3%であ ったという状況でございます。  また、1枚おめくりいだきまして6ページでございますが、2008年の12月末と比べさせ ていただいております。2008年の12月末が66.4%でございました。今回、0.7%減少して いるというような状況でございます。  続きまして、8ページをお開き願いたいと思います。8ページは第4期の接種率でござい ます。福井県の81.4%を筆頭に、これも高い順に並ばせていただいております。東京都の 40.2%、神奈川県の36.3%というのが一番低い接種率でございます。全国平均で56.6%と いうような状況になってございます。  1枚おめくりいただきまして、9ページでございますが、これも2008年の12月と比較を させていただいております。2008年12月が58.1%でございます。今回56.6%とございま すので、マイナス1.5%減少しているというような状況でございます。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、3番目の議題でございまして、学校における取り組みに関しまして、平成 21年12月末までの接種率調査結果を踏まえて発出されました厚生労働省から文部科学省等 に対する通知につきまして、事務局より御説明を願います。 ○梅澤課長補佐 それでは、資料3−1をお開きいただきたいと思います。資料3−1は、 厚生労働省健康局結核感染症課長から各都道府県の衛生主管部局長あてに出した通知でご ざいます。先ほど資料2で御説明をいたしましたとおり、麻しん排除達成における指標であ ります接種率95%に届いていないという状況であること、それぞれポイント数が減少して いるということ、こういったことから、私どもとしましては文部科学省に対しまして入学手 続の機会等を利用して、市町村が実施する定期の予防接種の機会に関する周知、それと健康 関係部局における衛生関係部局との接種勧奨にかかる連携に関する協力というものを依頼 させていただいたところでございます。  そういったことから、未接種者における接種の確実な実施を期するためということで、接 種対象者の多くが教育機関に属していることから、教育機関との連携を密にして、引き続き 接種勧奨に取り組まれるようということを各自治体にお願いをさせていただいたところで ございます。  また、資料3−2でございます。これは厚生労働省から文部科学省の学校健康教育課長、 学生・留学生課長、生涯学習推進課長、それぞれ3課長様に対しまして積極的な勧奨の依頼 をさせていただいていたところでございます。それぞれ麻しんの接種率が届いていないとい うのは、先ほどと同じ御説明でございます。また、教育関係部局において、衛生関係部局と の連携を密にしていただいて情報提供をお願いする、積極的な勧奨をお願いするというよう な内容にさせていただいております。また、未接種者の接種勧奨の推進に当たりまして、小 学校、大学等にあっては、入学手続の機会を利用して、定期予防接種を受ける機会があると いうこと、また未接種者の場合には入学前に接種を完了すること、こういったことの周知を お願いさせていただいたところでございます。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。  さて、これまでの4回の麻しん対策推進会議におきましては、接種率の高い地域を低い地 域等から、接種率の向上に向けて取られている対策について御説明をいただいたところでご ざいます。  第3の資料がございました。ただいまの第3の資料を受けまして、文部科学省からの通知 及び取り組みについての説明をお願いいたします。 ○高山専門官 資料4をごらんください。厚生労働省からの通知を受けまして、文部科学省 から3月9日付で各都道府県教育委員会等に対して通知を発出いたしました。  内容としましては、今回の接種率の調査の結果、その接種率の状況がそれほど高くないと いうことを受けまして、接種の積極的勧奨の更なる取り組みを促しているところでございま す。また、接種の期限が3月31日までであるということもありますので、残りの期間の間 に接種の勧奨をお願いしますということを求めております。また、大学、そして小学校など に入学する者のうち、小学校に入学する者については第2期、そして大学または専門学校等 に入学する方については第4期、高校3年生相当に対しまして、入学手続の機会を利用して、 接種の機会があること、そして未接種の場合には入学する前に接種を受けるよう周知をする ことなどについて対応を依頼したところでございます。  そして、資料4の3枚目の資料ですけれども、これは平成21年度に文部科学省におけま す健康教育行政担当者、または健康教育または学校保健に関係する課の課長の会議等で、麻 しんについて説明をさせていただきましたので、そのリストについて挙げさせていただいた ところです。  1番目の健康教育行政担当者連絡協議会につきましては、担当者レベルでの協議会ですけ れども、その中で2008年度の麻しんの予防接種率、そして麻しん対策が効果的だったポイ ント、これは第3回の麻しん対策会議、本会議の資料を紹介させていただいて、このような 取り組みを行なっている自治体が麻しんの接種率が非常によかったということを紹介させ ていただきました。  2番目と3番目の主管課長会議につきましては、こちらの方から本年度7月16日付で発 出した通知について説明させていただき、接種勧奨を求めたところです。  以上、文部科学省からの取り組みについて御説明いたしました。 ○加藤座長 ありがとうございました。文部科学省からの御説明を意識的に飛ばしたのでは ございませんので、ちょっと事務的な失敗で失礼しました。後ほどじっくりと文部科学省か らの御意見を伺います。  このように、今回は単独の部局の取り組みではございませんで、自治体における教育関係 部局と保健福祉部局との連携によりまして、接種率の向上に貢献している取り組み等につき まして御報告いただくことといたしております。  早速、秋田県岸本様、そして滝本様より御報告をお願いいたします。 ○岸本参考人 失礼いたします。こちらでよろしくお願いいたします。秋田県教育庁保健体 育課と岸本と申します。 ○滝本参考人 秋田県健康福祉部健康推進課の滝本です。それでは、発表に入ります。スラ イドをごらんください。 (PP)  秋田県において平成19年度末に麻しんの流行がありました。発症者の6割が小、中、高 校生で、教育委員会は当時学校保健法の規定に基づきまして、未接種者の未罹患者について 出席停止の措置をとっております。この通知を出して、その方針により接種者が急増しまし て、そして感染者が激減し、死亡者や脳炎合併例がなく、このように大館市に限局した形で 流行を局地的に抑えることができました。 (PP)  これが当時の新聞記事でございます。出席停止の記事に併せまして、こちらに「対策部も 非常事態宣言」というのがありますし、こちらに「全県麻しん緊急会議」という記事がつい ています。当時、関係者は同時期にそれぞれに具体的な対策を実施しまして、その情報を共 有していました。 ○岸本参考人 (PP)  これは出席停止に関する緊急の通知分です。赤の下線部にありますように、ワクチンの未 接種者を感染のおそれがある者ととらえまして、出席停止の措置をお願いしております。こ の対応は大館市の対策会議の方針を受けまして、大館市教育委員会が市内の小、中学校へ要 請したものです。 (PP)  こちらは、大館市教育委員会の対応を受けまして、県教育委員会が所管する県立学校に対 しても同様の対応をとるよう通知しております。 (PP)  対象となったのは県北地区の学校で、この大館市を中心に、能代市、それから鹿角、小坂 町、ここの周辺にある県北地区の高等学校18校、特別支援学校4校を対象といたしました。 県立学校の場合、通学範囲が広いため、大館市への通学圏内にある学校を対象といたしまし た。 (PP)  1月15日に、大館市では正規のワクチン接種に向けた接種費用の助成が始まりました。 この時点で約500人の小中学生が未接種でした。その後、1日の接種者が40人と急増し、 教育委員会から出席停止措置の通知が出されてからは更に増えまして、このような経過をと って、2月6日に小中学生の未接種者がゼロとなっております。その効果により、2月14 日以降は新たな発症者はありませんでした。 (PP)  県教育委員会では、麻しん対策のガイドラインに基づきまして、各学校における予防接種 状況調査を実施しております。各市町村別の接種率とは別に、各学校において自校の生徒の 接種状況を把握することが重要だと考えております。 (PP) これは第4期の調査票でして、この数値はある高校のデータを1校分載せております。ガイ ドラインに示されておりますのは接種率だけなのですが、秋田県の場合、対象者と接種者の 内訳を、ちょっと細かくなりますが、このように人数を学校で把握してもらっています。こ の調査は、前述しました平成19年度に大館市で流行があったそのときから実施しているも のです。 (PP)  第3期に比べまして接種率が低い第4期ですが、高校での取り組み内容を調査いたしまし た。その結果、どこの学校でも同じように行なわれていましたが、ポスターの掲示、チラシ の配布、保護者向けの通知、更に未接種者への個別に働きかけというような取り組みがあり ました。養護教諭の先生を中心に、幾つもの方法で啓発の取り組みが行なわれております。 (PP)  今年度10月には担当者会議が開かれました。会議では、市町村、それから保健所の担当 者、学校関係者は養護教諭の先生が参加されまして、それぞれの立場でどのような取り組み をすることが効果的なのかというようなところを情報交換、意見交換がされました。 ○滝本参考人 発表を変わります。 (PP)  10月のシンポジウムで、今年度の7月に、秋田県内の高校3年生を対象に啓発的な意識 調査を実施したという結果を報告しています。これは約600人の生徒の95%を超える回収 率を得ているものです。 (PP)  その結果ですが、高校生の中で自分が公費負担で接種を受ける対象であるということを知 らなかったという生徒が多くおりました。また、麻しんの恐さとワクチンの接種の重要さを 知ったので予防接種を受けようというような自由記載の回答もありました。 (PP)  7月に、50%の高校3年生が、自分が定期接種対象であることを知らないことを受けて、 秋田県では4月をはしか排除推進月間と定めました。この月間に県内の全部の高校3年生に この調査と同様の調査をする予定でおります。そして、関係者が一斉にPRをするというこ とにしております。 (PP)  最後に、中学校での取り組みを紹介します。秋田県の25市町村中の5市町村、2割の市 町村における約1割の中学校において、中学校で学校での接種を実施しました。その結果は、 12月時点で平均99%という接種率です。今後も、教育委員会と感染症担当部局が子どもの 健康を守るという共通認識の下に、麻しん排除に向けて努力していきたいと考えております。  以上で発表を終わります。 ○加藤座長 ありがとうございました。  続きまして、茨城県長谷川様より御報告をお願いいたします。 ○長谷川参考人 茨城県立波崎高等学校で養護教諭をさせていただいております長谷川で す。 (PP)  本校は茨城県の最東南端に位置しております神栖市というところにあります。すぐ隣は千 葉県銚子市があり、生徒の2割以上が銚子市から本校に通学してきております。  本校は1学年6クラス、普通科が3、工業科が3クラスで編成されておりまして、すぐ近 くには鹿島臨海工業地帯がありますので、そちらの企業の方に就職する生徒がほとんどです。 (PP)  今年度、神栖市の保健センター、茨城県の保健予防課、保健体育課の御理解、御協力があ りまして、学校でのMR混合予防接種第4期の集団接種を実施することができました。皆さ んの協力があってこその成果だと思っております。  本日は、神栖市の高校は3校あるんですけれども、代表させていただきまして本校、波崎 高等学校での2年間の取り組みについて発表させていただきます。 (PP)  平成20年度の取り組みです。国が昨年、平成20年度から中1と高3に相当する年齢の生 徒に、5年間をかけてワクチン接種を位置づけてくださいました。そこで、養護教諭として も、1人でも多くの生徒に接種してもらいたいと思っていたところです。  私は3年前まで神栖市内の小学校に勤務しており、予防接種の接種率は毎回90%以上で した。高校生なのでそこまでは期待しておりませんでしたが、今回無料ということなので、 ほとんどの生徒が実施してくれるだろうと考えておりました。  昨年、平成20年度は個別接種でしたので、市からのはがきを持参し、最寄りの病院、ま たはかかりつけの病院で接種するよう生徒へ保健だより等で伝えました。保健室に来室して くる生徒へ接種したかどうかを確認すると、何のことやらわからなかったり、市から届いた はがきを捨ててしまったり、また、面倒なので行きたくないといった様子が見受けられまし たので、私の方で各クラスに出向き、ホームルームの時間をいただいて、保健指導を実施し ました。  保健指導の内容は、まず麻しん・風しんの症状についてです。特に女子は妊娠時期に風し んにかかるとお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすということや、予防接種の金額について、個 人接種で受けると1万円ぐらいかかってしまうということ、また、今後就職や進学の際はこ の予防接種をしたかどうかの証明が必要であるということを伝え、自分たちの一生にかかわ ってくるとても大切な予防接種なので、必ず受けるよう指導しました。  また、文部科学省、厚生労働省から出された「高校3年生の皆さん、はしか・風しんの予 防接種を受けましょう」というリーフレットを3年生の生徒全員と教職員にも配付させてい ただきました。 (PP)  その結果、平成20年度の個別接種率は75.8%でした。高校生の個別接種というのはこの ぐらいの接種率なのだろうかと思っていましたが、せっかく無料で実施できるのに何て残念 だろうと思っておりました。  そのころ、ちょうど神栖市内の中学校で働いている養護教諭の仲間と話す機会がありまし た。中学校1年生の第3期の接種状況を聞いてみると、第3期は集団接種で、接種率は90% 以上だったそうです。中高生は部活も勉強も忙しく、日ごろ健康診断から医療機関へ行くよ うに勧めても、なかなか行ってくれません。 (PP)  中学生と同じ条件で高校生もせめて接種会場を学校に設けていただければ、高校生の接種 率も中学生のように上がるのではないかと考えました。そうしたところ、ちょうど神栖市保 健センターの方と予防接種について話す機会がありましたので、こちらの意思を伝えてみた ところ、保健センターの方もすぐ応じてくれまして、市から県へとスムーズに平成21年度 の集団接種が決定しました。今年度、21年度は茨城県在住の生徒だけの接種でした。 (PP)  平成21年度集団接種の取り組みです。 (PP)  平成21年4月20日月曜日、内科検診と同時進行で予防接種を実施しました。内科検診と 同時進行でしたので、千葉県の生徒は内科検診後、教室に戻るよう指示し、接種間違いのな いように慎重に行いました。  接種前日までの準備は、接種人数の把握と人数報告です。千葉県の生徒と茨城県の生徒の 人数をチェックし、神栖市在住の生徒へ通知を出していただくため、名簿を作成し、保健セ ンターへ送りました。  また、予診票を担任に回収してもらい、各クラスでホームルームの時間に、麻しん教育啓 発用のDVD、国立感染症研究所感染症情報センターから出されたDVDを生徒に見せても らうように担任に依頼しました。  当日は、接種前の体温測定がありますので、前日にクラスごとに体温計を配付し、すぐ体 温測定ができるように準備しておきました。  また、市の保健センターの方が学校医の先生へ時間や接種方法の連絡もしてくれましたが、 学校からも念のため学校医の先生へ依頼の電話を入れました。 (PP)  保健センターから事前に、学校での集団接種の流れと役割分担ということで、事前にこの ような連絡がありましたので、流れなどもわかりやすく、実施しやすかったです。 (PP)  4月20日接種当日の準備は、1.接種人数の再確認です。担任の先生に人数報告用紙を配 付し、朝9時までにその用紙を保健室へ各クラスの保健委員の生徒に届けてもらうようにし ました。2.10時までに当日の接種予定人数を保健センターへファックスし、報告しました。 3.体温測定です。2校時終了後、教科担任に依頼し、協力してもらい、体温測定をしました。 4.予診票の回収とチェックです。各クラスで検温し、予診票の右上に診察前の体温を記入す るところがありますので、その確認と質問事項などに記入漏れ等がないかをチェックしまし た。 (PP)  前日にこのような人数報告用紙を作成し、担任へ配付しておきました。 (PP)  その結果、本校の今年度の集団接種率は94%で、昨年よりもかなり接種率が上がりまし た。残りの6%の生徒は、体調不良で学校を欠席したり、幼児期から予防接種をすると体調 が悪くなってしまう生徒、はしかにかかったことがあるのでやらない、本来ならば抗体検査 を受けてほしかったのですが、そういう理由で実施してもらえませんでした。 (PP)  事後の対応としましては、1.接種人数の把握、接種済み証を配付しました。2.未接種生徒 への個人接種の勧奨、3.市外(千葉県銚子市)の生徒への個別接種勧奨をしました。 (PP)  本校集団接種の効果として、昨年と比較し接種率が75.8%から94%とかなりアップしま した。この94%という値は、8月に調査したときの値です。その後、卒業前までに接種継 続指導をさせていただきまして、もう卒業をしてしまったんですけれども、卒業式前日の調 査では96.5%まで接種率は上がり、95%達成というところになりました。 (PP)  集団接種をして改善された点、よかったことは、接種率が上がったということと、学校で 実施することにより、教職員、生徒、保護者の意識も高まりました。 (PP)  反対に苦労した点は、保健センターから生徒の自宅へ郵送された予診票を担任に回収して もらうのが大変でした。捨ててしまったり、なくしてしまったりする生徒もいました。また、 内科検診と同時進行でとても慌ただしかったです。できれば、今年度は別に実施したいと思 います。それと、市外(銚子市)在住生徒への対応についてです。  改善点としまして、市と検討して、通知の時期については事前に学校へ連絡し、担任から 予診票を捨てないように指導していきたいと思います。また、DVDを4月当初、または2 年生の終わり、今月3月ごろまでに見せて指導しておいた方がよかったと思いました。それ と、市外(銚子市)在住生徒への対応を、行政間の対応を市に検討していただきたいと思っ ております。 (PP)  今回、市や県の協力がなかったら、集団接種という形での接種は無理だったと思います。 私たち養護教諭にとって学校での集団接種は負担も多いのですが、生徒のためには接種率も 上がり、また麻しん発生予防にもつながったので、このような形で実施できたことは本当に よかったと思っております。  3年生はもう卒業してしまいましたが、卒業前にまだ実施していない生徒には、引き続き 接種勧奨を行いました。茨城県の方からも、卒業前に接種勧奨の資料の方も届きましたので、 それを配付し、特に千葉県在住の生徒にはこの春休み中に必ず接種するように指導しました。 何名か接種してくれているようですが、まだ未接種の生徒もおります。  現在、神栖市は次年度もまた集団接種で実施する方向で日程調整などをしてくださってお ります。市や学校、県と連携して、今後も学校での集団接種を進めていけたらと思っており ます。  御静聴ありがとうございました。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。教育関係部局と健康福祉部局とが連携を取り 合いまして対策をとられた秋田県の事例、また、集団接種を効率的に進められた茨城県の事 例を御紹介させていただいたところでございます。  これらの御報告に関します御質問、御討議は、後ほど各名簿順に各委員におかれましては 私から指名いたしますので、おのおのの立場から御意見を簡略にいただきます。そして、討 論といたします。  その前に、4番目の議事でございます、麻しんに関する検査診断体制の推進に向けた取り 組みに進めます。まず、地方自治体における麻しんの検査体制等に関する調査結果に関しま して、事務局より御説明願います。 ○梅澤課長補佐 資料は7になってございます。資料7をごらんください。併せて、スライ ドも御用意させていただいておりますので、ごらんいただきたいと思います。 (PP)  地方自治体における麻しんの検査診断体制に関する調査を3月8日の時点で、全国47の 都道府県及び地方衛生研究所を持たれている23の市に対して調査をさせていただきました。 (PP)  まず、地方衛生研究所における検査体制でございます。所管している区域内の自治体、主 に保健所でございますが、保健所からの依頼に基づきます行政検査で、ウイルス分離の同定 に関する検査でございますが、この検査に当たりまして検査依頼元の費用徴収の状況でござ います。  すべて有料としているところが川崎市、仙台市の2つの市でございます。また、一部有料 としているところが、東京都のほか6つの都県でございました。また、39の道府県、また は16の市におきまして、すべて無料というふうにしているような実態でございます。また、 宮城県、長崎県、札幌市、函館市、2県5市町村において検査未実施というような回答をい ただいております。 (PP)  次は、先ほどと同様に、保健所からの依頼に基づく地方衛生研究所の検査の費用徴収でご ざいますが、これはPCRの解析によるものでございます。やはり同様に、仙台市、川崎市 におきまして有料としているような実態がございます。また、これも同様でございますが、 東京ほか6つの都県におきまして一部有料としている。また、40の道府県と18の市におい てすべて無料にしているというような実態がございます。また、長崎県ほか、札幌、函館、 四日市市におきましては、検査未実施という回答をいただいております。 (PP)  地方衛生研究所における検査体制といたしまして、所管している区域外の保健所、または 医療機関からの依頼に基づきます検査を受け入れることが可能か否かというような調査を しております。可能と回答していただきましたのは、北海道ほか15の道府県、それと大阪 市、堺市ほか4つの市でございます。また、不可能という御回答をしていただいたところが、 東京ほか31の都府県と16の市町村から回答をいただいております。また、検査未実施と回 答をいただいているところが、長崎市ほか3つの市において御回答をいただいているという ような状況でございます。 (PP)  資料の3ページでございますが、今度は保健所における検査体制といたしまして、保健所 からの検査診断の依頼先はどこですかというような御質問でございます。地方衛生研究所と 御回答いただきましたのが、45都道府県と18の市でございます。これは、申し訳ございま せん、兵庫県が民間の検査機関ということで茶色に塗られていると思いますが、昨日兵庫県 から訂正の御連絡がございまして、実は兵庫県も地方衛生研究所において検査を依頼してい るということでございます。大変申し訳ございません。兵庫県のところは緑色でございます。 したがいまして、46の都道府県と18の市が地方衛生研究所に検査を依頼しているというこ とになります。 (PP)  医療機関から保健所に対して麻しんの届出があったときに、保健所は医療機関に対して地 方衛生研究所への臨床検体の提出を依頼しているかどうかという質問でございます。これに 対しまして、依頼していると回答したのが25府県と10の市町村でございます。また、「い いえ、していません」と御回答いただいたのが19の都道県と8つの市でございます。これ も訂正をお願いしたいと思います。先ほどと同様に、兵庫県からの訂正がございまして、兵 庫県は白塗りになってございますが、これは実は地方衛生研究所に依頼しているという状況 がございますが、臨床検体の提出は医療機関に対してお願いをしていないということで紫色 になります。したがいまして、兵庫県を含めまして、検体提出を依頼していないというとこ ろが20の都道県と8つの市になります。また、検査未実施ということで御回答いただいて いるのが長崎県、札幌市のほか4つの市でございます。また、依頼先が地方衛生研究所以外 というところで1県1市と記載させていただいておりますが、この1県が先ほどの兵庫県で ございますので、実際にはこの1市というのは姫路市でございますが、姫路市が地方衛生研 究所以外に依頼をしているということでございます。また、依頼先について未回答というと ころが福島県でございますが、1県いただいております。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。引き続きまして、保健所での体制につきまして、沖 縄県の糸数先生より御説明をお願いいたします。 ○糸数参考人 沖縄県の糸数と申します。沖縄県における診断から検査の流れについて、ス ライドで御紹介させていただきます。 (PP)  沖縄県では、はしか“0”プロジェクト委員会というものが平成13年から活動をしてお ります。きっかけになったのは、平成11年から13年の流行のときに定点医療機関だけで 2,000人を超すような大流行がありました。その期間9名の乳幼児が亡くなりまして、その うちの約半数が予防接種をまだ受けられない乳児、1歳未満だったということで、流行が広 がると、そのような一番弱いというか、乳児に被害が出るというふうな共通の認識の下に関 係者で構成されております。はしか“0”キャンペーンという週間も5月に毎年開催をして、 主に予防接種の勧奨ということで行っているところです。  それから、麻しん全数把握実施事業というのを、平成15年1月から沖縄県独自のシステ ムということで行っております。医師からの届出、それからウイルス診断の流れということ であります。これは後ほどまた説明させていただきます。  同時に、麻しん対応ガイドラインということで、県内の麻しんの流行状況によって、レベ ル0、それから1、2、3というふうに、0というのは平時になりますけれども、それぞれ 基準を設けて、各機関が行なうべき事項についてガイドラインを定めて、それを各機関で徹 底してもらっているということになります。特に流行時、レベル3では、市町村の方が生後 6から12か月未満児への公費接種を検討する、市町村に働きかけるというのがそのガイド ラインにも設けられていますのは、先ほど申しました、過去の経験を繰り返さないというこ とからきております。 (PP)  沖縄県麻しん発生全数把握実施要領というのがあるんですけれども、医療機関の方は、疑 い例を含めて診断した医師は直ちにファックスにて保健所に連絡をするというのを平成15 年から行なっております。検体採取マニュアルというものもつくっていますので、そこで衛 生研究所に出す検体の採取、PCR検体を採取するということも医療機関の方に求めており ます。  保健所は、連絡がありましたら検体を医療機関から受け取りまして、衛研の方に輸送しま す。同時に、家族、それから患者から情報収集をして、追跡調査の準備を行って、その結果 を待つということになります。  沖縄県衛生環境研究所は、そのPCR検査を実施いたします。  本庁の方では、情報を取りまとめて、関係機関へ還元して、アラート、情報を流すという ことになります。 (PP)  次のスライドが図示というか、今お話しさせていただいたところを出しています。まず、 最初に患者さんが医療機関を受診するところから始まります。  医療機関では検体を確保いたしまして、そのことにつきまして保健所に連絡、こういうふ うな疑い例が出ましたというのをファックスで送ります。保健所は検体の輸送、接触者の調 査、それから県への報告ということで、県は直ちに関係機関、はしか“0”プロジェクト委 員会、それから県の医師会とか教育庁等、関係機関に情報を還元いたします。  保健所は検体を病院まで取りにいって、衛研の方に搬送いたします。衛生環境研究所、P CRの検査は6時間から8時間で判明するというふうに書いていますが、多少ずれはありま すけれども、そのようにやって陰性か陽性かというのがわかります。陽性でありましたら、 医療機関、家族に連絡をする、あるいは関係機関にもう一度情報を還元するというふうにな っています。  検査診断が確定しましたら、病院の方から改めてというか法律に基づく届出を保健所の方 にしてもらうというふうなことを今県の方で行っております。  それから、マスコミの方に患者発生について情報提供して、麻しんが流行する可能性につ いて情報提供いたします。その後、保健所は接触者に関する情報収集しますので、約2週間 の健康観察、追跡調査を行って、毎日電話をかけたり、海外の報告を受けたりするというふ うな追跡モードに入ります。  そこで、また中の方から患者さんが発生した場合には、同じようにまた1番に戻って、受 診して、検体を取って、保健所に運ぶというふうなことを繰り返す。最後の患者が発生して、 4週間以内に新しい患者が出なければ、このクラスターは終息しましたねというふうな判断 をすることにしております。 (PP)  先ほどのような作業を粛々と繰り返していくんですけれども、これはちょうど2年前の3 月9日に沖縄県内で行われたライブコンサートの中で、1番の方が発症して、主に楽屋での 感染ですけれども、このように16名の方に感染させた。(15)の方は接触をしてから21日目に 発症したということで、少しレアなケースではあるんですけれども、そこからまた兄弟、高 校生に移っていったということがあります。  これをやっている間にも、同じ時期に4例の移入麻しんというか、県外から観光で来たり、 修学旅行で来たりした方の麻しんが報告されましたので、このクラスターとまた同時にそれ ぞれ追跡をしていくというふうなことを行いました。 (PP)  沖縄県の麻しん排除関連指標ということで、検査診断について今こちらの方で紹介をさせ ていただきますけれども、WPROの方で出している指標をここに書いていますが、確定の 麻しん症例数は22例、41例、5例というふうに推移をしていますけれども、先ほどのクラ スターにあったように、ほとんどが県外から持ち込まれたものをきっかけとして広がってい くというふうな形が今続いております。昨年は5例でした。  集団免疫は、予防接種率はここに書いていますように、まだ95%には達していないとい うことで、これは沖縄県にとって非常に大きな課題になっています。特に今年はインターハ イの開催を7月に控えていまして、できればホスト県としてはすべての高校生が接種を済ま せた上で開催したいんですけれども、定期接種以外の前倒し接種というのが少し壁になって いまして、今市町村に協力をお願いしているところです。  それから、サーベイランスについては、上の方が確定症例ですけれども、それの約4倍か ら5倍ぐらいの疑い症例が報告されているというふうな状況に今なっております。 (PP)  これは、最後のスライドですけれども、2008年の1年間の発生動向のIASRのレポー トになります。赤いのが確定症例、検査診断症例で、緑のものは疑い症例、疑い例として上 がって検査をして否定されたものです。したがって、これはすべてのPCRの検査が行なわ れています。  流行が始まりますと、先生方の意識も高まってというか、疑い例もどんどん報告されてき ます。その3月、4月の流行のときには、基本的に緊急で検査をしているんですけれども、 疑い例は絞り込みをして受診検査は平日にやろうというふうな操作が必要になったことも ありました。35週ぐらいに1回山がありますけれども、これも県外からの1例をきっかけ として、ビーチパーティーという沖縄独特の外での集まりで感染が広がったということにな っています。ですから、保健所、衛生研究所は、この数の分だけ検体を取って検査をすると いう作業をずっとやっていますので、当然予算的な裏付けについてはいろいろな調整が必要 になってきたり、そういうふうな課題は今もあるということです。  以上が沖縄県の状況です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。  引き続きまして、地方衛生研究所での検査体制につきまして、堺市の田中先生より御説明 をお願いいたします。 ○田中参考人 堺市衛生研究所の田中と申します。よろしくお願いします。今日は、地方衛 生研究所の立場からということですが、堺市の衛生研究所を中心にして、そしてまた実験室 内診断を主に心がけております全国の地方衛生研究所の立場について御説明申し上げます。 (PP)  このスライドは、昨年10月に日本公衆衛生学会が奈良で開催されまして、多屋先生とと もに地衛研フォーラムを担当させて戴きました。そのときの最初の文でありますけれども、 カナダでの修学旅行生が長期出国を延期されたという事件を踏まえたこのカナダのCBC ニュースを例にとりまして、やはり外国では日本をまだ麻しん輸出国という目で見ていると いうことをまず再認識していただいて、麻しんの廃絶に向けた取り組みをしましょうという、 フォーラムのスタートをこの言葉から開始いたしました。 (PP)  堺市の歴史は平成11年に始まります。平成11年に、この上段に書いてありますように、 堺市で麻しんが発生いたしまして、あっと言う間に大阪府に拡大いたしました。その後全国 的に広がっていったわけでありますけれども、そのときにいろいろなうわさが出ました。堺 市は157に懲りず麻しんも堺市から始まるのかというようなことも言われました。そのとき の経験を踏まえまして、やはりこれは堺市としては何とか対策をしなければいけないという ことで、麻しんのワクチンの接種もさることながら、麻しん全数把握体制をとりました。後 15年、16年と年々減少してきましたけれども、19年には日本の大流行に伴って203例とい う大きな流行を見ましたが、その後はずっと減少傾向をとっているわけであります。 (PP)  その平成19年事例の中の1例であります。何をここで申し上げたいかというと、院内感 染事例がありました。この院内感染の中で3つの点があるわけですけれども、1つは麻しん の感染力が非常に強いこと。臨床の先生がいろいろと後でレトロスペクティブに観察してい ただいたところ、二十数分で4人の患者に感染しているということでした。もう1点は、30 歳の発端者がやはりワクチンを打っていなかったということです。そして3点目は待合室で 4名の感染がありましたけれども、その4名とも子どもであって、しかもワクチン歴がなか ったことでした。この大きな3つのポイントが、この19年の事例の事実からわかってきた わけであります。 (PP)  そこで、我々は全数把握を2003年に立ち上げました。当初は衛生研究所情報センターと、 堺市の医師会、小児科医会、内科医会とともに当所が確定診断をするという構築を立ててお りました。 (PP)  やはり麻しんの全数把握制度の先達は沖縄県でありますので、沖縄県のこういう制度をよ く勉強させていただきました。ここで引き立っておりますのは、先ほどの御説明にもありま したけれども、沖縄県は保健所が中心となって動いているということ、そして検体の搬入も 保健所が全部行っているということでした。我々も沖縄県にならって保健所で検体搬入をし、 衛生研究所がこれを検査をしなければいけないというこの事実に目覚めました。また1枚戻 ってください。 (PP)  ここで、情報センターと医師会、それから堺市保健所がスクラムを組みまして、検体搬入 ということを始めていきました。 (PP)  折しも、厚生労働科研班、「ウイルス感染症の効果的制御のための病原体サーベイランス システムの検討」の中に、駒瀬先生を分担研究者とする麻しん対策班が立ち上がり研究協力 者として参画させて戴きました。  そのときの麻しん対策班の大きな目的は何かというと、やはり実験室内診断を整備しよう ということでありました。そのためには地方衛生研究所が中心となり、かつ麻しんレファレ ンスセンターを設置して、そこが中心になって動かなければならないのではないかという意 見統一が得られました。地方衛生研究所の検査方法の統一化のためには、今申し上げました レファレンスセンターの役割として、検査技術の研修、IgM抗体の測定でした。 (PP)  このレファレンスセンターはどういう観点で決定されたかと言いますと、一番下段にあり ます沖縄県のように麻しん対策活動が積極的に行われていること、そして全国で北海道、山 形、千葉、石川、大阪、岡山、福岡のセンターを立ち上げたわけであります。  北海道は、先ほどから政令指定都市札幌市のことが出ておりますけれども、広域に至り北 海道衛生研究所が一生懸命やってきてくれておりますので、入っていただきました。 (PP)  そして、検査検体の統一でありますけれども、鼻・咽頭ぬぐい液、全血、尿の3点セット を検査検体として検査をするということ。それから、全血は勿論ウイルス分離もしますし、 PCRもやりますが、残った血漿でIgM測定ができるということであります。  もう一つは、遺伝子検査、この多くは衛生研究所でなければできませんので、これも積極 的にやるという方法で進めていく、そして、IgM抗体測定の判定は非常に困難であります ので、我々としまして、本邦ではRT−PCRによる遺伝子診断に主眼を置いて進めていく ことになりました。しかも、遺伝子診断ですと、比較的長い時期にわたって尿中の麻しんウ イルス遺伝子検査が可能である利点があります。あとはウイルス分離も積極的に行うという 検査診断の統一を図りました。 (PP)  このようなネットワークをつくり、レファレンスセンターと感染研と地方衛生研究所で強 いスクラムができたわけであります。しかし一番問題になってくるのは検体の搬入でありま す。私たちは、あるいは沖縄県も保健所が中心になっておりますが、ほかの地衛研でも保健 所さんが衛生研究所に検体を運んでいるところがございますけれども、3点セットの検体搬 入は保健所が動いてくれない地衛研もあり、ここが改善すべき大きな点ではないかと考えて います。 (PP)  たまたま19年の我々の麻しんの診断結果の分類を見ていきますと、下段に書いています ように、臨床診断のみで麻しんと報告しているという例が4分の1近くありました。つまり、 臨床側から検体が提出されていないという事実がわかったわけです。そういう目で平成20 年、21年を見ていきますと、平成20年では41例全数報告がありましたが、検体届出があ ったのは17検体、21年度は8例ありましたけれども、検体届出はゼロという事実でした。 このことは麻しんの確定診断をする上においては大きな課題であるということが浮き彫り になってきました。 (PP)  以上、一地方衛生研究所の経験と、それから駒瀬先生を中心とする麻しんレファレンスセ ンターの機能を考えますと、地方衛生研究所には麻しん排除に向けての麻しん実験室内診断 体制は構築されております。先ほどの報告にもありましたように、多くの地方衛生研究所で は整備されています。もう一つは、レファレンスセンターを中心に技術研修、あるいは情報 交換も多くのセンターで行なっております。  ですから、麻しん確定診断に必要な臨床検体の採取・搬入がすべての患者に遂行されてい るわけではないということを考えますと、スライドの4番目、5番目にありますように、単 なる全数報告としての届出ではなくて、確定検査のための臨床検体の提出を届出基準の中に 義務づけてほしい、或は併記してほしいと考えております。それと共に、保健所と地方衛生 研究所はこれからも密な連携をとりながら検体搬入、検査の協力を図らなければならないと 考えております。それが最も重要であると思っております。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。前回第4回の会議の際に、国立感染研ウイル ス三部の駒瀬室長より、ただいまお話になりました検査診断体制についての御紹介をいただ いたところでございますけれども、今回は、今お話がありましたとおり、厚生科学研究費補 助金事業として取り組んでおられます検査診断の推進につきまして、駒瀬先生より御説明を いただきます。 ○駒瀬参考人 国立感染症研究所のウイルス三部の駒瀬と申します。  今、田中先生から御紹介がありましたように、感染研、地衛研では麻しんの検査診断のネ ットワークをつくり、検査体制を整えつつあります。 (PP)  それで、ちょっと御紹介させていただきたいのは、これはWHOがしている麻しんの排除 の定義ですが、適切なサーベイランスの下で常在性のウイルスによる麻しん症例が12か月 以上ないということを挙げております。つまり、適切なサーベイランスがない場合は、たと え麻しん排除がされても、されたことにはならないということです。 (PP)  これがWHOが提唱するサーベイランス体制を示したものです。1つは全数報告制です。 これに関しては2008年の1月から導入されております。もう一つは、WHOに認定された 組織による実験室診断、これは全数報告にプラスこれをしてくれということです。  これは今田中先生がおっしゃられたように、地衛研・感染研による検査診断ネットワーク を構築しつつあります。  次のWHOの示すインディケーターを目標としたサービスベランス精度、これは今後も積 み重ねていかなければいけないことなので、ちょっと省きますが、麻しんIgM抗体測定に よる診断ということに関して、今これは田中先生にも御紹介いただきましたけれども、より 感度のいいPCRをやろうということで進めております。WHOの方でも、日本の先進性と いうか、認めていただいて、最近はIgMを是非やれとは少しずつ言わなくなってきてはお ります。  最後に、麻しんウイルスの遺伝子を同定し、流行しているウイルス型を把握、その結果を 適切にWHOに報告するというんですが、そのバックグラウンドも地衛研にやっていただく RT−PCR、並びに塩基配列の決定ということで対応できると考えております。 (PP)  そういうことでありまして、これは先ほど島田先生に御報告にもありましたが、2009年 における検査診断例、修飾麻しんと検査診断を合わせた数ですが、約60%となりまして、 一昨年の2008年の40%から20%プラスされております。 (PP)  これは病原体微生物検出情報による麻しん報告数ですが、これは直接地衛研から上がって くる検査数を表しております。  実は、去年1年間に地衛研からPCRで行なわれたといって診断された例が8例しか届い ておりません。先ほど、300例ぐらい検査されているんですが、地衛研を通じてきたのは8 例とされています。しかも、その大半が非常に進んでいる沖縄から来ているということと、 あとは青い棒がジェノタイプAですが、これはワクチン由来の株なんですね。つまり、お医 者さんが非常に興味を持った例、ワクチンを打ったのに変だなというので地衛研に依頼した というようなケースだと思われますので、必ずしもせっかく地衛研とともにそろえつつある 体制が利用されていないことがわかると思います。 (PP)  これが今世の中で普通に使われている検査診断が行なわれるスキームですが、大部分は左 側の民間検査センターに行っています。というのは、民間検査センターでやられるのは健康 保険の適用もありますし、それから検査センターの方で検体輸送をしっかりやってくれると いうことがあります。それで、多分80%以上がこちらの方に来てしまうという現状がある と思います。 (PP)  そこで、ちょうど今田中先生がおっしゃられたんですけれども、この保健所のラインを強 化して、こちらにどんどん来てほしいと考えております。 (PP)  それで、これは医療機関にお願いしているサンプルで、医療機関には血液、尿、咽頭拭い 液を48時間以内に地衛研に届けていただくようなシステムが完備すれば非常にいいと考え ているんですが、この3つのセットのうち、血液はどの医療機関でも採取管はあるだろう、 尿もあるであろうと。  ただ、3番目、この咽頭拭い液に関する容器、何に入れたらいいのというのがしばしば私 たちも質問を受けることなので、ここら辺を少し強化すれば、地衛研に運ばれるというとこ ろがひとつ推進されるのではないかと考えました。 (PP)  そこで、今年度の事業費でこの保健所の動きを動かすということで、次のようなことをや っていこうと考えております。  まずは、保健所さんに咽頭拭い液採集・輸送用の培地を配布する。もう一つは、保健所に 冷蔵環境で検体を輸送できる容器を配布する。これは、バイオセーフティを対応したものを 送って、宅配業者等を利用した検体搬送を可能にするということを考えております。更に、 これは研究費でやりますので、検体数が昨年と比べてどう向上したかということで、この試 行の検証を行なっていきたいと考えております。 (PP)  これが、保健所は全国650か所ほどあるんですが、送ろうとしている3点セットです。輸 送ケースは4度の発泡スチロールに入ったものですし、バイオパウチというのはバイオセー フティに対応できます。ユニバーサルバイラルトランスポートは、4度が好ましいんですが、 室温でもしばらくはもつという、なかなかいいものです。これを保健所に送らせていただい て、推進していこうと考えております。 (PP)  最後に課題ですが、保健所さん、地衛研さんからの私たちへのリクエストとしては、やは り事業費として何とか根拠をつけてほしいというのが必ず来ます。あとは、医療機関の先生 方ですが、これはやはり麻しん検査を必ずしなければいけない、臨床検査だけでは済まさな いんだという認識を持っていただきたいということと、もう一つは、検査センターではなく て、地衛研による麻しん検査診断をするということを認識していただいて、そちらの方に送 ることを心がけていただきたいと思っております。  あと、技術的な課題ですが、保健所に輸送用培地を置いておいても、医療機関に適時なと きにないというのは困るということだと思うんですが、これはそれぞれの県の環境でいろい ろあると思いますので、今後検討していきたいと思っております。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。資料11に関しましては、時間が押しており ますので、後ほど各委員、参考人については、資料11、その他の参考資料については御参 照ください。御報告いただきました先生方におかれましては、大変ありがとう存じました。  ただいま麻しんの発生状況、接種率の状況、自治体における麻しん対策の取り組み等、様々 な御報告をいただきました。座長といたしましては、まず、1つは学校停止によってうまく いったという1件、それから集団接種を行なうことによってうまくいったという1件、それ から最終的には少数例になってまいりました場合には全数把握をいたさないといけません というところから、地衛研を用いたPCRでの確定診断というようなことが問題になるかと 思います。  各委員は、各立場におきまして、ただいま参考人からお話がありましたことを中心といた しまして御意見を伺います。名簿の順番から参ります。竹田国立感染症研究所ウイルス第三 部長。時間がございませんので端的に。 ○竹田委員 本日は皆さん、ありがとうございます。はしかという言葉の与えるイメージが、 昔は非常に恐い病気という認識があったと思うんですが、患者数の減少に伴って、はしかと いうものの与えるイメージが恐くないような病気のイメージがまだまだあるような気がし ます。伝染力という意味ではインフルエンザの4倍から8倍ありますし、また、致死率とい う意味ではインフルエンザの100倍、1000倍という致死率があります。その辺の教育を学 校を通じてやっていただきたいと思いますし、それを文科省、厚生省の方でバックアップし ていっていただきたいと思います。  うちの部では風しんの方も担当しておりますけれども、風しんの抗体力価が二十歳前後の 人で昔よりも下がってきております。そういう意味で、非常に心配しておりますので、MR の教育をしっかりやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○加藤座長 ありがとうございました。財団法人阪大微研、福田委員。 ○福田委員 茨城県の公立高校の方で集団接種を行なった結果、高い接種率が達成できたと いう報告を受けておりますが、都内でも私立高校の中で集団接種を行なうと100%近い接種 率が達成できるというふうな報告を受けております。やはり限られた時間の中で高い接種率 を達成するためには、もう少し集団接種というものを推奨していく必要があるのではないか と考えております。  また、ワクチンを供給する計画ですけれども、1期から4期まですべての年齢において 95%以上が達成できるだけの量を確保できる計画を持っておりますので、どうぞよろしくお 願いいたします。 ○加藤座長 ただいま福田委員より集団接種が有効であったという御意見が出されました が、各委員の中でこの件に関しまして御議論はございますか。日本医師会はいかがでしょう か。飯沼委員。 ○飯沼委員 集団接種をしなければ、多分接種率は上がらないんだろうと思います。いろい ろな工夫が皆さんでされていると思いますが、集団接種がどうしてなくなったかということ を逆に一回考え直して、それをクリアできれば、もう思い切って集団でやればいいので、昔 どうしてだめになったかという点が今改善されているかどうか、それが最大の問題ではない でしょうか。  それから、18歳という年齢、それも一部の都道府県では打っていない人はみんないいと いうような話もありますが、それから日本医師会では3月の第1週目に予防接種週間という のを厚生労働省や小児科医会と一緒にやっておりますが、そこにもたくさんおいでになりま す。だから、余り年齢を区切ってしまうというのは問題があるのではないかと私は個人的に 思いますが、修学旅行があるんだったら17歳のときにやってしまった方がいいかもしれな いし、そこら辺のところも集団接種と一緒にお考え願えると一番いいと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。事務局に伺いますが、今、飯沼委員から、このMR ワクチンは13歳、18歳におきまして集団接種が平成6年以降できないことになっていると いうことでございましたが、このMRワクチンの13歳、18歳におきまして集団接種が可能 であるようになっているのか、いないのかということを御答弁願います。 ○福島結核感染症課長 予防接種につきましては、定期の予防接種について実施要領で定め ておりますが、集団的接種について特に禁止をしているわけではございません。集団的接種 を行なう場合にはどういう留意をしなければいけないかということについて、その留意点を 満たしていただければ、それも差し支えないと。ただ、原則としては個別接種を原則として いるということではありますけれども、集団的接種について、それをだめと言っているわけ ではないというのが私どもの立場であります。 ○加藤座長 ありがとうございました。ということで、必ずしも集団接種は不可能ではない ということを御理解いただきたいということでございます。  17歳の修学旅行の件が出ましたが、この17歳という年齢は不確かな年齢でありまして、 第2期接種の機会を失っている者と、第3期、第4期の接種の機会を失っている者の年齢の 谷間に入っている年齢でございます。したがいまして、今、飯沼委員からあえて17歳とい う言葉が出てまいったところでございますが、これは時間がありましたら、後ほどディスカ ッションさせていただきます。  続きまして、武田薬品工業、佐藤委員。 ○佐藤委員 私どもといたしましても、製造・販売を担う一社として、1期から4期までの 安定供給の確保という部分で最大限の努力に努めているところでありますけれども、残念な がら、3期、4期については期待しているだけの接種率がまだ改善傾向が見られないという ことになっておりますので、啓発活動なり、指導、先ほど茨城県の事例でも積極的な指導と いう部分があったかと思いますが、そういった部分での資材、指導用のパンフレット等につ いても、販社の部分での最大限の努力ということで、新しい3期と4期向けの資材を専門の 先生方の御協力も得て、今監修の下に作成をしているところです。でき上がりましたら、是 非御活用いただければと願っております。 ○加藤座長 まだ啓発用のパンフレットはできていないのですか。 ○佐藤委員 今月中に。 ○加藤座長 これができ上がってからもう2年たっているわけですが、まだですか。これを やらないので啓発できていないのではないですか。 ○佐藤委員 1期から4期のまとめたものは従来からもう作成してあったのですが、新たに また別途、追加で3期、4期独立したものを新規で作成をしているというところであります。 ○加藤座長 それは製薬会社としてやることではなくて、全体としてやるべきことであると 座長は考えますが、どのように考えますか。 ○佐藤委員 勿論、全体でやっていただければ一番望ましいところですけれども、私どもが できるところから少しずつ協力できるところはしていきたいということで。 ○加藤座長 その言うところの全体というのは何ですか。 ○佐藤委員 全体というのは、国等、当局というふうに考えております。 ○加藤座長 国等の等は何ですか。 ○佐藤委員 当局です。ですから、厚生労働省、関係各省庁ということになっております。 ○加藤座長 関係各省庁とはどういうところですか。 ○佐藤委員 御協力いただける、今回の活動については、特に衛生各部署、及び教育。 ○加藤座長 各部署とは具体的には何ですか。はっきり言ってください。 ○佐藤委員 文科省に。 ○加藤座長 そのようにきちんと答えていただかないと、答弁になりません。この件に関し まして御質問はございませんか。  続きまして、畑委員。 ○畑委員 冒頭、加藤先生の方から息子の件について紹介いただきまして、ありがとうござ いました。本年度、私の息子を含めてトータルで4名ほど会の会員が死亡しております。ま だまだSSPEというのが恐ろしい実態を継続していることをお伝えしておきたいと思い ます。  こういう子どもたちが生きて死んでいったことの意味というのを考えているのですけれ ども、若くしてSSPEになって、非常に多くの人の介護の手を煩わせて、すごいエネルギ ーを使って何とか生き続けてきてくれたわけですけれども、結局何もできなかったわけです。 しかし彼らが存在した意味として一つ言えるのは、日本から麻しんがなくなるということに 貢献したこと。彼らが生きて、そういう啓蒙の一端になったということができれば、彼らは 生きた意味があると思うんですね。それで、今後、我々会としても啓蒙の方に注力して活動 していきたいと思っています。  今日の議論を聞かせていただいて非常に気になったのは、地域的なばらつきと、もう一つ 時間的ばらつきというのが気になりました。非常によくやっていただいているところの紹介 をいただいて感激したんですけれども、それは全国的規模になっていないということで、先 ほど飯沼先生の方からありましたような集団接種の全国的な展開とか、そういうことで全国 的な広がりというのを今後期待していきたいと思っています。  もう一つ、時間的なばらつきというのを感じたのは、今年の動きは、インフルエンザの影 響もあったと思うんですけれども、いろいろな施策は3月とか、1月とか、今年になってか ら動き始めているといいますか、もっと中間でちゃんとレビューして、いろいろな指針等を 出していただけていれば、もう少し接種率なんかは上がったのではないかと思われます。そ の辺のところを、年間を通してノーマラライズしていろいろな活動をしていただくというこ とをお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。私も畑委員に同感でございまして、地域的ばらつき、 特に厚労省がこういう会をつくりますと、大成功したところだけを招いているので、極めて 鮮やかに聞こえますが、まさしく畑委員がおっしゃったとおり、地域的なものだけでござい ます。大都会、特に東京、神奈川県はごらんになったとおり、そして横浜市、大阪、そして 福岡等につきましては極めて接種率が低い。次回からは、それらの畑委員の言うところの不 適切と思われるような地域と相対比しつつ討論いたしませんと、2回続けて成功した例だけ が出てきていると私も感じております。  したがいまして、これは先ほど畑委員がおっしゃったとおり、年度末に駆け足、前回のと きもインフルエンザの騒動の真っ最中、今日も局長がおられない、前回もおられない、前回 はインフルエンザ、今回は国会でございます。したがって、前回たしか畑委員が、インフル エンザも大切だが、はしかも大切であるということを国全体で考えていただきたいというこ とを発言されたと思いますが、この会は形式的な会ではなく、もっと頻繁に行うように私は 事務局に要望いたします。  畑委員の御意見に対しまして何か御意見がございましたら、参考人の方でも御意見があり ましたら伺います。よろしゅうございますか。  それでは、続きまして蒲生委員、お願いいたします。 ○蒲生委員 私の立場としては、今までゼロ歳、1歳、2歳、3歳の御両親を対象とした雑 誌をつくっておりまして、その中で1歳のMR接種ということを特集では何度も取り上げて きたんですけれども、先ほどの御報告の中で、30歳の感染者から移っていったのは結局乳 幼児だったというお話がありまして、自分のお子さんだけではなくて、御自身のMR接種と いうことも、お母様、お父様に関してもやはりマスコミとしては強く特集を組んでいかなけ ればいけないかなということを思いました。  それと、全体の御報告の中では、私が一番疑問だったのは、なぜこんなに県によって差が あるのか、そして2008年度と2009年度を比べた表が幾つかありましたけれども、低いとこ ろは低いまま、高いところは高いままという傾向があるように感じました。低い中で頑張っ て接種率を上げた県も幾つもありまして、その中から今日も御報告いただいているんですけ れども、2年続けて低いままというところを厚生労働省としては是非強く指導していただけ ないものかと思います。  あと2年しかないので、本当にやらなければいけないんだ、95%まで上げなければいけな いんだということを、言っているつもりでは普通の人には伝わりませんので、言っても、言 っても、言っても、書いても、書いても、書いてもなかなか伝わらないので、そこは本当に 腰を据えてやっていただかないと、やったつもりで2012年が来るのではないかなと危惧し ました。 ○加藤座長 ありがとうございました。ジャーナリストといたしまして、乳幼児だけの病気 ではなくて、乳幼児から感染するより年齢の高い者に対しても啓発活動をしていただくとい うことで、ありがたいお言葉であると存じます。  並びに、08年、09年を比較いたしましたときに、低いところは低いまま、高いところは 高いままということに対して、厚生労働省は低いままの接種率に対してどのような対応をし ているかという御質問でございますので、事務局からお答え願います。 ○福島結核感染症課長 私どもとしては、先ほど通知をお示しいたしましたけれども、各自 治体の都道府県における接種率の状況を精査するということによって、それぞれの自治体で の取り組みを促していきたいということを今しているところでございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。次回の結果が、どのように反映されるかということ を期待いたしたいと存じます。  続きまして、森谷委員、お願いいたします。 ○森谷委員 東京の第4期の接種率は大変低いわけですけれども、前回9月9日の会議の後、 東京都教育委員会の健康推進課の方に連絡しまして、全都のPTAの会長が集まる会合で麻 しんの話をしてくださいということでお願いしましたところ、10月22日の会合に来ていた だきまして、現状について、対策について説明していただきました。それで、教育委員会の 方の要望としまして、インフルエンザの方と一緒にやってほしいということがありましたの で、同時に説明していただくということになりました。  それで、その会合のときに、全都のPTAの会長さんの方にアンケートをとったんですけ れども、2例ほど紹介させていただきます。1つ出ました質問としまして、麻しんの予防接 種を2歳ごろMMRの接種を行っていますけれども、そのころの免疫はもうないのでしょう かというのが1件出ました。もう1件としまして高3の男子で、3歳時に麻しんにかかり、 風しんにはかかっていません、それでも混合ワクチンを接種した方がいいのでしょうか、免 疫を過剰に体内に取り込むということにならないでしょうか、アトピーを持っているので心 配ですと。こういうような潜在的な心配といいますか、いろいろなものもあると思いますの で、先ほど先生の方で言われました集団接種にする場合のハードルというのはいろいろある と思いますので、その辺の検証をしていかなければいけないというふうに考えます。 ○加藤座長 ありがとうございました。2回接種した後免疫はどうであるか、また麻しん風 しんに関してどうであるかということについて、突然で恐縮ですが、岡部先生。 ○岡部委員 免疫の持続のようなものは、ほとんどの方は持っていると思うんですけれども、 確かに高校3年生ぐらい、あるいは小学校の5、6年生ぐらいになると低下をしてくるとい う可能性があるので、それを含めて2回目の接種をやっておいた方がいいだろうというのが 2回接種の根拠になります。ですから、多くの方は大丈夫なはずなんですけれども、やはり その中で一部下がってくる人たちが、本人がかかってもいけないし、感染源になってもいけ ないということになると思います。  それから、免疫を持っている方が仮にもう1回免疫を受ける、ワクチンを受けてしまう、 あるいは病気になった人がワクチンを受けてしまうということに関しては、わざわざやる必 要はないんですけれども、今MRワクチンというのが中心になっているので、その方が免疫 を持っている方に更に免疫を重ねるということに関するデメリットはないと思います。つま り、一方のワクチンをきちんと受けていただくということに関して、メリットが高いという ことになると思います。害はありません。 ○加藤座長 よろしゅうございますか。この件につきまして、御質問、御意見はございます か。ないようでございます。  続きまして、荊尾委員、お願いいたします。 ○荊尾委員 私は学校保健の立場からのお話になると思いますが、子どもたちの健やかな成 長ということを考えたときに、現在は学校だけでは到底それが到達できなくて、様々な関係 機関の方との連携というのが大きな課題になっていると思います。その中で、この予防接種 に関しても、連携を図りながら、地域の市町村と手を取り合って対応していかなければいけ ないと考えていますけれども、先ほどから意見がありますように、集団接種をする場合には、 目的が同じでもそれぞれの立場の役割というのを整理をして、そして確認をして、学校でで きることを精一杯やるべきではないかと思っていますので、そこらあたり、実施主体と会場 を提供する学校との連携ということをきちんと整理していくということが必要かと考えて おります。  私が住んでいる奥出雲町というところでも、まずはがきで御案内をして、今は個別接種で すけれども、接種していない保護者の方には一人一人電話をかけて勧奨していますけれども、 それでも接種をしていない。ただ、少しずつ接種率は上がっていますけれども、なかなかそ こに到達していない。ただ、3月になって高校生が大学に進学する、就職するといって、目 の前に接種をしているかどうかということの結果が必要になったときに、駆け込みで接種を してくるというような状況があるということで、もう少し積極的に保健指導ということをや っていかなければいけないなということを役場の保健師さんとお話をしておりました。  以上です。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいまの委員からの御意見に、委員、参考 人ともに何か御意見はございますか。目的は同じでも役割は異なるというところがキーワー ドでございます。よろしいでしょうか。  それでは、前田委員、お願いいたします。 ○前田委員 最初に参加したときは地方衛生研究所所属だったのですが、現在は、先ほど座 長の言われた不適切な自治体の所属の人間になってしまいまして、大変心苦しく思っていま す。  まず、1点は接種率についてですが、4期を見ると、徐々に大都市部に接種率の低いとこ ろが集中してきているということで、恐らく1つには大都市部のいろいろな課題がそこに反 映しているんだろうなと思っています。非常に技術的な問題としては、市町村と高校との連 携というのが非常に弱い。というのは、その市町村に住んでいる方でその高校に通学されて いる方というのは数割というような状況の中で、予防接種はいまだに市町村事業である、ま だまだ相互乗り入れ等の問題があるということで、なかなか行政的に進みにくいというとこ ろがあると思っています。  もう1点としては、先ほど座長からのお話で、集団接種が中止になったときの経緯がどう なっているかというお話ですけれども、私も当時担当しておりましたけれども、予防接種が 強制されるということについて、保護者の方からいろいろ問題提起がされたということがご ざいましたので、今回も、昨年たしか福井県のハシモト先生が「恥ずかしながら集団接種で す」というふうな御議論をされたと思うんですけれども、やはり生徒なり、保護者の方に接 種の意義をちゃんと理解していただくということが一方にあって、これをやっていくという ようなスタンスをしっかりしないと、また逆に反発を食ってしまうのではないかということ で、その辺を丁寧にやるという方向で集団接種についても検討してもらいたいと考えており ます。  それから、もう1点、検査の点ですけれども、こちらにつきましては東京都でも昨年全数 になったことによって、むしろ病原体定点からの検体数というのが減ってしまったというこ とがございまして、その辺の病原体をいかに確保するかということについての位置づけが必 要ではないかと思っております。特に、全国の自治体でということになりますと、やはり地 方衛生研究所の予算の問題等が問題になってきますので、ある程度財政上の担保があるよう な何らかの事業、単に内部の運用で検査を行なう、保健所と地方衛生研究所の運用というこ とではなくて、例えば沖縄県のような事業がある程度モデル事業、あるいは特対事業という 形で位置づけられるということがあって、各自治体は少しやろうかなという気になるのでは ないか。特に、検査を行なう場合の試薬料等の問題でありますとか、あるいは非常に問題に なるのは、田中先生もおっしゃいましたように、検体の搬送の問題はやはり非常に大きな問 題ですので、こうしたものについて県が事業としてやっていくんだという気になるような何 らかの仕掛けが要るのではないかと考えています。 ○加藤座長 どうもありがとうございました。ただいま、前田委員が集団接種に関しまして 強制に対する処置と申し上げられましたが、ただそれだけではございませんで、本来は安全 に予防接種を行なうための施策として、できるべきところから個別接種を行うということが 正しい表現であろうかと思います。  それから、いつも出てまいりますが、東京都にせよ大都市、市区町村地区におきましては、 人口の移動が大変激しいところ、それから高校、中学におきましては相互乗り入れの関係が あるということがいつも出てまいりますが、その辺のところを何とか学校として検討してい ただきませんと、これは市区町村の問題ではないのではなかろうかと私は考えます。  また、検査におきましては、検査を必須といたしますことによりまして、逆に臨床診断を 下された医師の方々が面倒なために報告を怠る可能性がなきにしもあらずということで、逆 に全数把握に検査を用いることによって報告例が減ってくる可能性があるのではないかな というような気も私はいたしておりますが、その辺を含めまして、ただいまの前田委員の御 意見に対しまして、各委員及び参考人からの御意見をいただきます。  無回答、無問題、問題なし。よろしいですか。どうぞ。 ○畑委員 今、加藤先生の方から集団接種の強制の問題、安全策というお話があったのです が、是非集団接種を進めていただきたいというのが私の思いですけれども、非常に気になる のが、抵抗的な立場になっている理由というのが、一つはリスクへの対応策というのがちゃ んとできていないからではないかなと。アメリカなんかだと、不過失賠償責任制度というん ですか、そういった制度がちゃんとあって、たとえ副反応なんかが起きたとしてもちゃんと 賠償できるような仕組みがつくってある。そうすると、やる方も割と安心して進めることが できると思いますね。そういうリスクに対するしっかりした制度、そういったものを今後検 討していかないと、ちょっと大きな話になりますけれども、やはり何か起きたときが恐いと いうことで皆さんが躊躇しながら勧奨とか、個別接種ということに走っているということだ と思います。そっちの方の動きを、もう一つ集団接種が積極的にできる環境をつくるという ことをお願いしたいと思います。  以上です。 ○加藤座長 ありがとうございました。接種に対するリスクに関する法体制の問題は大きな 問題でございます。これは審議会におきましてただいま予防接種部会が立ち上がっておりま して、まさにこの点が論点の中心のうちの一つになろうかと私は考えておりますが、福島課 長、どうぞ。 ○福島結核感染症課長 事務局から申し上げますと、今の予防接種法自体が救済制度が無過 失補償というものになっているという点については確認をさせていただきたいと思います。  あと、勿論全体としての制度をどうするかということについては、予防接種部会で今議論 をいただいているところでございますので、まず全体としての体系の見直し等も含めて、そ こで改めて議論をさせていただきたいと存じます。 ○加藤座長 明解な御回答で、どうもありがとうございました。ほかに何か。どうぞ、駒瀬 委員。蒲生委員、ちょっとお待ちください。 ○駒瀬参考人 先ほど加藤先生の方からおっしゃられた、現実に医療関係者の負担が大きく なって返ってこないというのは、定点のときよりもかえって悪くなったというのは、これは 地方衛生研究所の先生からよく伺う話です。なので、私の中にお医者様の方で送らなければ いけないんだという認識、送ることが大事だという認識を持ってほしい、周知をしてほしい ということを、一たんそういったことを乗り越えてやっていただくということが入ります。 ○加藤座長 その件に関しまして、私が日ごろから疑問に思っていることを駒瀬委員に参考 人にお答えいただきたいのですが、臨床家がこれを診断いたしましたときに、まず保健所に 連絡する。そして、県衛研にもこれを連絡するということが、これは医師会の飯沼先生に答 えていただきますが、果たして全国の医師たちははしかと臨床診断したときにこれを県衛研 に送るというノウハウを御承知でしょうか。そして、保健所にも通達して、その保健所から 県衛研に行くことがあるということを御承知でしょうか。または、一般の医療従事者がはし かを診断したときに、民間の検査センターに検体を出すことが多いと思いますが、民間の検 査センターと県衛研との関係というのは一体どうなっているかということをきちっと解決 しておきませんと、この問題は解決いたさないと座長は考えますので、駒瀬委員の次に飯沼 委員にお答えいただきます。岡部先生には最後にまとめていただきます。たくさんしゃべり たいのはよくわかります。 ○駒瀬参考人 まず、今加藤先生がおっしゃられた中で、1つは、ちょっと間違っているか もしれないと思ったのは、保健所に連絡すれば、保健所はサンプルを取りにいき、地衛研に 持っていく、地衛研には連絡する必要はないというシステムです。ただ、そこの動きが非常 に悪いということと、あとはやはりお医者様が多忙な中でタイムリーに保健所に連絡できる か、保健所に対してサンプルがとれるかということは、私がさっきの報告の中で技術的な問 題と言った点ですけれども、あるとまだ認識しております。 ○飯沼委員 日本医師会からは各先生方に直接ないしは間接、間接というのは都道府県医師 会を通して御通知申し上げておりますので、なるべくやっていただいてはいると思いますが、 忙しくなってくれば、当然外されてしまう仕事というのはあるんですよね。患者さんが多く てどうしようもなくなってしまうと。そういうときには、かえって検体が行かないような、 欲しいときに行かないような逆の面があるのではないかと思いますが、これ以上に開業医の 先生方に、頭を幾ら下げても構いませんが、お願いできる限界にほぼ達しているのではない かと思いますので、お願いはしますけれども、強制はできないというのが現状です。 ○加藤座長 日本医師会を代表いたしました意見としては非常に重い御意見であると感じ ますが、今日は実は保健所からの御意見をお聞きしたかったのですが、佐藤委員がお休みで すので、これ以上のことは聞けません。どうぞ。 ○前田委員 一応自治体の立場ということで。今のお話の中で1つ抜けているのは、医療機 関から検体の送付のお申し出があったら、これを検査するかどうかというのは、保健所がこ れを感染症法に基づく5類定点で、5類の全数ですので、積極的疫学調査だと位置づけるか 否かというところは判断があって、その判断がなければ検体を確保していただいても検査が できないということになりますので、なぜこの検査を積極的疫学調査をしなければならない かという、その辺の位置づけがないと、幾ら医療機関の方に頑張っていただいても検査が進 まない、そこのところの仕組みをお願いしたいと。 ○加藤座長 前田委員の御意見は非常に重みがありまして、これは5類疾病であるにもかか わらず、麻しんについては縛りをかけるのはいかがかという御意見ですね。これは事務局の 方で、また今後の宿題にさせていただきたいと存じます。  ほかに御意見はございますか。蒲生先生。 ○蒲生委員 ちょっと話が戻ってしまうかもしれませんが、加藤先生が全数報告に検体をつ けたときに、全数報告が減るのではないかという懸念をおっしゃっていましたけれども、私 は乳幼児に関してはそれを危惧しております。排泄の自立ができていないお子さん、要する におむつがとれていないお子さんの尿を採取するというのは、お子さんにとってもつらいこ とですし、先生にとっても時間がかかることになりますので、必ず検体をということになる と、その対象のお子さんたちの報告数が減ってしまうかもしれないという気持ちがしました。 ○加藤座長 鋭い切り口ですが、たびたびで恐縮ですが、日本医師会の飯沼委員、いかがで しょうか。 ○飯沼委員 サンプリングの難しさというのも、現場が忙しくなるほど大変になるので、そ れはお母様方がしっかり協力してくれればということになろうと思います。それ以上は申し 上げられない。 ○加藤座長 あともう一つ、飯沼委員は、多忙になるとドクターにそれを強く勧めにくい、 要するにメリット、デメリットの話でしょうか。それから、前田委員がおっしゃっているこ とは、第5類であるために、なぜそれだけを積極的にやるのか。積極的にやるかどうかとい うことはこの2点ですね。この2つをクリアしませんと、どうも全数把握を検体検査で行な うという方向にもっていくのはなかなか難しいのかなというのが今日現時点の話ですので、 これは事務局にとっては今後の宿題にさせていただきたいと要望いたします。  岡部先生、大分お待たせしました。どうぞ。 ○岡部委員 検査だけのお話に絞りますけれども、実際には保健所等がやはりまだ十分にイ ンフォメーションを行っていないのと、前田先生がおっしゃったような、そこを積極的疫学 調査と考えるかどうかというところで、やらないという返事をするところがまだあるという ことですから、今までおかげさまで、例えば法律の改正や何かで全数報告になって、大分現 状がわかってきたと思うんですね。ただ、現状がわかってきた中でも、全数の中で本当に全 部そうなのか、あるいはアンダーレポートがあるかというところになってきますし、どうし ても検査をやらなくてはいけないし、これはまた国際的な命題でもあるわけで、そうなって くると、これも前田先生の話に輪をかけるようですけれども、何らかの根拠を与えていかな いと、今までの自主的にお願いというところから脱していかないと、もう一歩いかないので はないかと思います。  座長の方から今後の要望ということで言っていただいたんですけれども、これについては 次回、あるいはその次ということかもしれませんが、これは真剣に取り組んでいかないと、 確実に判断ができないだろうと思います。 ○加藤座長 ありがとうございました。文部科学省にお伺いいたしますが、学校保健安全法 第19条につきまして簡略に御説明ください。 ○高山専門官 学校保健安全法第19条につきましては、出席停止の規定となっております。 これは学校の校長先生は、感染症にかかっている児童・生徒、もしくはかかっている疑いが ある、またはかかるおそれのある児童・生徒などがあるときには出席を停止させることがで きると定めているところです。 ○加藤座長 ということで、荊尾先生、今、文科省から安全法19条について御説明があり ましたが、この件は御理解できておりますか。 ○荊尾委員 承知しております。例えて言いますと、今回私の学校では流行性耳下腺炎が大 変流行しまして、学校の半分くらいが一度にかかったんですけれども、そのときもやはり出 席停止の範囲をかかっている者、かかっている疑いのある者、かかっているおそれがある者 ととらえまして出席停止をしております。 ○加藤座長 それでは、文科省にお尋ねしますが、これは流行ではなく、例えばある学校で 一例、二例程度麻しんが出てまいりまして、それを放置することによって流行が始まると思 いますが、一例、二例出てきたときにこの第19条というのは有効ですか。 ○高山専門官 はい。例えば同じクラス内で1例出た場合、しかもその患者さんのお子さん の近くにいるなど、麻しんの場合には感染率が高いのでクラス全体がその可能性があるとい うふうに見られる場合もありますけれども、そのように、まだ免疫がないお子さん、そして 同じクラス内にいたお子さんでかかる可能性があるというふうに考えられる場合には対象 になると思われます。 ○加藤座長 本日、参考人から御報告がございました通学停止という極めて厳しい措置が、 これは学校の保健安全法の第19条の下に置かれたということでございますので、再認識を していただきたいと存じます。  座長が不慣れではないのですが、議論が活発でございましたので、時間が延長いたしまし たことをお許しいただきます。感染研でございますので、多分場所は確保していると考えま したので、ただ御意見を伺うだけでは会議とは相なりませんので、皆様から御意見を伺った ところでございます。  端的に本日のまとめをさせていただきます。短期的な視点といたしまして、平成21年は 4月に発生いたしました新型インフルエンザへの対応が強い中で、12月までの接種率は昨 年と比較いたしましてほぼ同等の推移、数字を維持していると存じます。しかし、2期 67.3%、3期65.8%、4期56.6%と、あと数週間残す現時点におきまして精力的な勧奨が 今後は必要であると存じます。  2番目に、接種率を上げるための自治体における取り組みに関しましては、「都道府県に おける麻しん対策会議のガイドライン」に基づき、麻しん対策会議等を十分活用した関係機 関との連携の強化、市区町村や学校等、関係機関への積極的な支援など、接種が向上される ように、繰り返し顔の見える形で働きかけることも有効であろうかと考えます。  3番目に、学校や教育委員会等におかれましては、「学校における麻しん対策ガイドライ ン」に基づいた麻しん対策を一層深めていただきまして、定期接種対象者における未接種者 や接種済み者も把握、未接種者への繰り返しの勧奨と接種の確認、自治体の取り組みと連携 や、都道府県における麻しん対策会議への報告等を積極的に行なうことが重要と考えます。  長期的な視点でありますが、「麻しんに関する特定感染症予防指針」の中で、麻しんの届 出基準に関しましては、「麻しん患者の発生数が一定数以下になった場合には、類似の疾病 から麻しんを正確に見分けるために、原則として検査室での診断で麻しんと診断した症例の みの報告を求めるものとする」とされておりますところから、検査診断を推進するために、 既に設置されております体制を活用する方策につきまして、今後、先ほども申し上げました とおり、十分な検討を進めていただく必要があろうかと存じます。  以上が本日の座長の取りまとめでございます。最後に、事務局からよろしくお願いいたし ます。 ○麻しん対策室支援チーム 事務局ではないんですけれども、麻しん対策技術支援チームか ら、このパンフレットがお手元にあるかと思います。これは来週、全国の保健所にその管内 の医療機関の先生方にお配りしていただきたいということでつくりましたリーフレットで、 先ほどから議論にありました検体の採取が難しいのではないかという点につきましても、例 えばはしかであれば、熱が続いているので白血球数やCRPを測定することが多いので、そ の残りでもいいですよとか、あとは、こういった流れで御相談いただければいいですよとい うような、医療機関の先生方と保健所の先生方に説明をさせていただくために使っていただ くリーフレットをつくりましたので、是非御活用していただきまして、検査診断体制の構築 と、今準備万端整えて待ってくださっている駒瀬先生、田中先生を初めとしたネットワーク の先生方に臨床検体、全国の地方衛生研究所に届くようにということでつくりましたもので、 御活用いただければと存じます。ありがとうございます。 ○加藤座長 ありがとうございました。十分御活用いただきたいと存じます。  では、梅澤補佐。 ○梅澤課長補佐 次回の会議でございます。今年度末までの接種率についての調査をまた行 なわせていただきまして、今後の取り組みと合わせて御報告をさせていただきたいと考えて おります。  次回の会議につきましては、平成22年の9月ぐらいに開催させていただくということを 予定させていただいております。詳細につきましては、後日追って御連絡をさせていただき ます。 ○加藤座長 本日は、本当に長時間にわたりまして白熱した議論をいただきまして、誠にあ りがとうございました。これにて会議は終了でございます。ありがとうございます。  照会先             健康局結核感染症課予防接種係  (2383 2377)