10/03/08 第4回高齢者医療制度改革会議議事録 第4回高齢者医療制度改革会議 (1)日 時 平成22年3月8日(月)17:23〜19:25 (2)場 所 中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階) (3)出席者 阿部委員、池上委員、岩見委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、        鎌田委員、神田委員代理(西川福井県知事)、見坊委員、小林委員、        近藤委員、齊藤委員代理、対馬委員、堂本委員、樋口委員、三上委員、        宮武委員、横尾委員        長妻構成労働大臣、長浜厚生労働副大臣、足立厚生労働大臣政務官、        山井厚生労働大臣政務官        <事務局>        外口保険局長、唐澤審議官、神田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、 伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、        佐藤保険局医療課長、渡辺保険局医療課保険医療企画調査室長、野村医政局        総務課医療制度調査官 (4)議事内容 ○岩村座長   委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただきましてありがとうございます。定刻でござ いますので、ただいまから「第4回高齢者医療制度改革会議」を開催いたします。本日の委員の出席状 況でございますが、神田委員の代理で福井県の西川知事に御出席をいただいております。どうぞよろし くお願いをいたします。あと、まだ到着されてない委員がいらっしゃいますけれども、間もなくおいで になると思います。  また、長妻大臣はただいま予算委員会中でありますので、少し遅れて見えられるということでござい ます。  本日は、第4回目の改革会議ということでございまして、前回、御案内しましたスケジュールに従っ て、3回にわけて項目別に御議論をいただくということになっております。前回は制度の基本的枠組み と運営主体のあり方ということにつきまして御議論を頂戴したところでございます。今回のこの改革会 議では「費用負担のあり方」につきまして御議論をいただくということにしております。  まず初めに、事務局からお配りしている資料の構成につきまして簡単に御説明をいただきたいと思い ます。恐れ入りますが、カメラ撮りはここまでということでお願いしたいと思います。 (カメラ退出) ○吉岡課長  お手元にお配りしてある資料でございます。あらかじめ委員の先生方にはお渡しをさせていただいて おりますので、資料の内容についての説明は省略させていただきまして、傍聴の方もいらっしゃいます ので、資料の構成についてだけ御紹介をさせていただきます。  クリップを外していただきますと、座席図の次の資料でございます。右上に資料1とついている「各 委員の主な意見の概要」の資料がまず最初でございます。これまでの各委員の先生方の御意見を項目別 に整理をしているものです。  それから、次の束が資料2ということで、「本日の議題に関する基本資料」というものでございます。 お開きをいただきますと、まず「『費用負担のあり方』に関する論点と各委員の主な御意見」という資 料でございます。そこの一番上のところに書いてありますように、新たな制度がどのような制度になる としても、高齢者の医療費は、公費・高齢者の保険料・若人の保険料・患者負担の組み合わせで支える ことになるということで、これら4点の事項につきまして、それぞれ右側に「これまでの委員の主な御 意見」、それを踏まえた上で、左側に「主な論点」ということで整理をさせていただいているものでご ざいます。それが、この資料の4ページまで、この論点の資料ということでございます。  それから、5〜7ページが、前回、宮武委員から御依頼のあった資料でございます。まず、このうち 5ページが「現行制度の財源構成」ということで、資料の上半分が65歳〜74歳までの給付費の財源構成、 その下が75歳以上の給付費の財源構成ということでございます。  その上で、次の6ページが、65歳以上は全員市町村国保に加入した場合の高齢者の医療給付費の財源 構成がどのようになるのかということについて3つの前提を置いた試算。6ページについては、(1)にあ るように、「75歳以上」に5割の公費。そして7ページは、「65歳以上」に5割の公費という違いを置 いての財源構成がどのようになるのかということを示したものでございます。  それから、8ページにつきましては、患者負担割合を変更した場合の影響額を整理をしたものです。 9〜13ページにつきましては、既にこれまでの会議で御提出をさせていただいた資料を、関係する資料 ということで、あわせて本日も添付をさせていただいているものでございます。それが12ページまでで ございます。13ページでございます。「被用者保険の被保険者本人及び被扶養者の取扱いについて」と いうことで、65歳以上の高齢者の医療制度と国保の一体的運用を図る場合におきまして、65歳以上の被 用者保険の被保険者及び被扶養者について、〈A案〉は全員が国保に入られるケース、〈B案〉は全員 が被用者保険に入られるケース、〈C案〉は被保険者本人は被用者保険、被扶養者の方は国保というこ とで、論理的に3つの案に分かれるわけでございますので、それぞれの案についてのメリット、課題を 整理しております。  それから、14ページ、15ページは、ただいま申し上げました被保険者の本人、被扶養者の取扱いに関 しまして、それぞれの案をとった場合にどのような保険者間の移動になるのかということを示したマト リックスでございます。  以上が本日の基本資料でございます。  それから、その次の束が、右上に資料3とついております参考資料でございます。ただいまの基本資 料に関係する資料をそれぞれ添付をさせていただいております。この中で、20ページと21ページでござ いますが、前回、本日御欠席の神田委員から御依頼がございました医療費の将来見通しの資料でござい ます。新制度の基本的な内容が明らかになれば、その時点で改めてまた試算をお示しをしたいと思って おりますが、本日は18年の制度改正時の試算ということでお配りをさせていただいているものでござい ます。  私どもの方から提出させていただいている資料は以上でございますが、あと、近藤委員から御提出の 資料をお配りをさせていただいています。また、樋口委員から「1人の生涯から見た社会保障の給付と 負担の姿」という資料をいただいておりますので、お配りをさせていただいております。資料は以上で ございます。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、今日の議論の進行についてでございます。先ほども申し上げましたけれども、今日は「費 用負担のあり方」ということで御議論いただくところでありますので、前回、既に御議論を頂戴した制 度の基本的枠組みも踏まえて、また、さらに議論を進めていただきたいと考えております。  具体的には、先ほど吉岡課長から説明がありました資料2、1ページをおめくりいただいて、一番最 初の1ページ目の冒頭の箇所にありますように、論点としては、大きく公費と高齢者の保険料、若い人 たちの保険料、そして患者負担、そういうものが高齢者の医療費の財源ということであるので、それが 主たる論点になるだろう。そして資料2は、それらの項目に従って論点を記載していると、そういう形 になっております。ですので、こうした論点に沿って御議論をいただければと考えております。  それから、前回の会議での御議論というものに基づきまして、現役で働いている高齢者とその被扶養 者の扱いにつきましても、先ほど吉岡課長から紹介がありましたように、資料をお配りしているところ でございます。そしてこれもまた、新たな制度の骨格にかかわる重要な問題でございますので、今日あ わせて御意見を頂戴できればと考えております。  そこで、各委員より御発言を頂戴したいと思いますけれども、先ほど御紹介ありましたように、近藤 委員と樋口委員から資料を配っていただいておりますので、最初に簡単に、今日お配りいただいた資料 の御説明をお二人から頂戴したいと思います。まず近藤委員、お願いをいたします。 ○近藤委員  それでは、3枚綴じの資料が最後についているかと思います。私は今日の財源の論議の中で、自己負 担、患者さんの窓口負担についてデータをお示しして意見を述べたいと思います。  一般に財源は公費から保険料、自己負担、この3つで構成されると言われております。この間の医療 制度改革では、むだな受診を減らす、効率化を図るためということで、高齢者、低所得者に配慮はされ ていましたが、自己負担がだんだん引き上げられてきました。むだを排するというんですけれども、実 際には必要な医療も抑えられているのではないかということが一方で言われておりまして、OECD等 は不要な医療費だけを抑えることは困難であるということをレポートに明記をしております。日本の実 態はどうかというデータがなかなかとれないのですが、苦労して私どもがとりましたので、そのデータ を御紹介したいと思います。  私が言いたいことは、1ページの上の四角で囲ってあるところがそのポイントになります。まず1番 目は、2006年度にやった調査、発表したのが2008年ですが、2006年当時の自己負担割合でも高齢者層に 受診抑制が起きていたという事実です。1ページの下のグラフを見ていただくとわかるように、低所得 の方ほど受診を我慢しているといった実態があります。この調査の対象者とか細々としたことは後ろに 資料がついておりますので、ご覧いただきたいと思います。  2番目ですが、日本の現状では、これは前回も御紹介しましたが、高齢者で死亡率で見たり、要介護 認定で見たりすると、2ページ目の下になりますけれども、低所得の方と高所得の方を比べると、低所 得の方で2倍から3倍、死亡率が高いという現実があります。その理由の1つとして、この受診の抑制 が影響していると考えるのが自然ではないかと考えます。  先ほど説明を忘れた、2ページの上のグラフですが、どういう理由で受診を控えたのか、治療を控え たのですかと聞いてみました。いくつか理由を挙げて選んでもらったのですが、赤い色で示したように、 費用負担が大変なので、それを理由に控えたという方がこの所得階層別に見ますと、最も違いが目立っ ておりまして、窓口負担が大きいことを理由に受診を控えていらっしゃる方が、少なからずいらっしゃ る。これが現実ですので、それを踏まえた制度設計が必要だと思います。  3番目ですが、これがすべての高齢者層に見られるかといいますと、年齢層によって程度が違います。 3ページの上になりますが、内閣府の政策統括官室というところで政策の評価をやっておりまして、年 齢階層別に受診行動を分析したレポートがあります。見ていただきますと、左のグラフにありますよう に、赤い線が受診してもおかしくない、医療ニーズを持っていると推定される数字でして、それに比べ ますと、実際の通院頻度を見ると、それよりも低い、言うなら我慢しているという方たちが、60歳〜69 歳の左のグラフでははっきりと見てとれる。しかし70歳以上になると、これがほとんど差がなくなる。 70歳以上では自己負担割合が1割に抑えられていて、60〜69歳では一部免除されている方がいますが、 自己負担割合が高いことによってこのような差が開いていると考えるのが自然ではないかと思います。  このことに、昨日資料まとめていて気づいたものですから、こういう年齢別に分けて分析しましたら、 私どものもデータでも、69歳未満の方たちで低所得者層の方で治療を控えた方の割合が多い。ただし70 歳以上でも、それよりは程度が小さくはなっていましたが、やはり受診抑制は低所得者の方で多いとい う傾向が見られました。 (長妻厚生労働大臣・山井厚生労働大臣政務官入室)  3ページの下は、この間、自己負担が上がるにつれて、患者さんも大変ですけれども、病院の側も治 療費を払わない方が増えていて大変だという資料です。これを結局公費で、自治体の税金から投入した りして、公立病院を支えているということを考えると、結局公費の節約になってないという現実もあり ます。自己負担を引き上げるというのではなく、今よりもむしろ下げる方向で考えるべきではないかと いうのが私の意見です。  もう一つ、第2回目のときに、私は、強調したつもりなのですが、このような制度設計するときに、 意図しなかった副作用というのが常にあり得ます。制度設計変更の影響をモニタリングするような仕組 みも、ぜひ今度の制度には織り込んでいただきたいと思います。その結果を見ながら、予期せぬ弊害が 出た早い段階で、それを軌道修正できるような、モニタリングの仕組みもぜひビルトインしていただき たいというのが私の意見です。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、引き続いて樋口委員、お願いいたします。 ○樋口委員  ありがとうございます。これは私が提出というより、もともと政府所管の資料でございますけれど、 平成20年に社会保障国民会議というのが行われまして、そのときは前政権ですが、例えば連合の高木さ んも入っていらっしゃいましたし、私なども加えていただきまして、かなり中立的にこの社会保障が論 議された会議ではなかったかと思っております。  この資料は、実は私が会議で事務局にお願いして事務局につくっていただきました資料でございます。 今日は給付、負担の問題ということですので、ぜひ今回の高齢者医療制度を語るに当たりまして、世代 間の不公平とか若年世代と高齢者との対立の構図にしないでいただきたい。対立の構図にした方がおも しろいものですから、よくその構図で語られるのですけれど、年寄りが得か、若い者が得か損かという、 そういう論議は絶対してはならないと思いまして、公平ということを考えるときの1つの資料ではない かと思って、皆さまにご覧いただきたいと思い、提出していただきました。子どもがいる人もいない人 も本人はすべて生まれたら義務教育を受けます。多くが高校以上の教育を受けてみんな何らかの働きを し、幸いに長寿社会というのは生まれた人のほとんどが長生きをし、年を取って医療介護を受ける可能 性が高いわけでございます。  ですから負担の公平と言うときに、世代間の利害を公平を旨として考えることはもちろん必要だと思 いますけれど、極論をいえば、私は戦争中に生まれて死んでしまったら、それまででございますし、世 代間の正確な公平というのは、時代の流れが原因でございますからほとんど不可能ではないか。それよ りも、人一生の生涯から見た社会保障の給付と負担のあり方として考えますと、大体20歳ぐらいまで多 くの教育などの給付を受け、そして長い長い労働の間、社会の給付を支えていく。終わりの三分の一ぐ らいから、人はだれでも年を取りみんなかなり公平にこのような給付を受けていく。ですから年寄りと 若者の構図ではなくてお若い方々も自分の人生90年、100年を通してこの一生の自分のための貯蓄を している。だれもがまた生涯を通してこのような給付と負担のあり方が続くような社会を形成していた だきたいし、政府にはそのようにぜひとも頑張っていただきたいということで、給付と負担のあり方を 一人の生涯全体から見て考えるということが大切ではないかと思って、あえて提示させていただきまし た。ありがとうございました。 ○岩村座長  どうも御説明ありがとうございました。  それでは、この後は、各委員からの御発言を頂戴したいと思います。 ○横尾委員  座長。 ○岩村座長  はい。まず最初に、申し訳ありませんが、横尾委員から一言、お願いします。 ○横尾委員  済みません。実は首都圏の方はあまり大きな記事になっていなくて、見ていらっしゃらないかもしれ ませんが、昨日の地方紙の朝刊ではこういう大きい見出しで、「65歳以上は国保加入・廃止後の高齢者 医療新制度案」とありました。それから、あとは財源のこととかいろんなことが書いてありますが、あ たかも厚労省案が煮詰まったかのような報道が、実はなされております。  このことについて、もし厚労省の方で何かありましたら、言っていただいた方が、実は全国の広域連 合や関係自治体はこのことでかなり、今朝もばたばたしておりますので、コメントをいただければあり がたいと思います。  どんな記事だったかは、皆さんにもコピーを持ってきておりますので、お渡しをしたいと思います。 ○岩村座長  それでは、事務局の方でお願いします。 (新聞記事コピー配付) ○吉岡課長  御指摘の記事は共同通信の配信のものでありますので、関東では東京新聞にしか載っておりませんけ れども、各地方では地方紙の一面トップで載っているところが多いとお伺いをしております。内容的に は本日の資料の中にあります宮武委員御依頼の財政試算をもとに、これに若干のコメントをつけた形で、 それが厚生労働省案であるかのような報道になっているというものでございます。  したがいまして、当然ながら、まだ私どもとして、素案のようなものを固めたということはございま せんし、まさしくこの改革会議で引き続き御議論いただきたいと考えているところでございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、お待たせしました、池上委員。 ○池上委員  お時間とって恐縮です。今日配っていただいた資料2の「本日の議題に関する基本資料」で、私の 〈池上案の論点〉として掲示されていることについて補足させていただければと思います。  その前に、まず「全年齢リスク構造調整」というのはどういう意味かということを少しかみ砕いて申 し上げた方がよろしいかと思いますので、御説明いたしますと、めくっていただいた1ページ目の 「1.公費のあり方」、「主な論点」、〈池上案の論点〉として「所得等に着目した全年齢リスク構造 調整とした場合」と書いてあるところでございます。よろしいでしょうか。  そこに「全年齢リスク構造調整」という耳なれないことばが出ておりますので、この「リスク構造調 整」とは何かということを一度確認させていただきたいと思います。というのは、本日の議論にそのま ま直結するからでございます。「リスク構造調整」とは、保険に加入している年齢、性、所得を全部調 整した上での保険料という意味でありまして、逆にいえば、どの保険に入っていても、同じ所得なら同 じだけの保険料を納めるということでございます。これを都道府県単位にすれば、その都道府県に住ん でいる者は、所得が2百万円あれば2百万円に対する保険料がある。これが5百万円だったら5百万円 に対する保険料がある。  それが75歳以上であろうと未満であろうと、それとは関係なく所得によって調整するということで、 リスク調整ということは必ずしも適切ではなく、年齢による病気になるリスクを調整するだけではなく、 所得による調整をも行うわけであります。そうなりますと、加入者において相対的に所得が高く、若い 人が多く加入している保険は拠出することになるし、逆に比較的年齢が高く、所得が低い保険者は交付 を受けることになるわけです。  その場合に、調整だけに任せた場合には公費の投入割合は減ります。ですから、税の負担が減るとい う表現になるのですけど、それは完全に調整を行った場合であって、それはなかなか被用者保険として は認めがたい。というのは、税の投入を減らすほど構造調整すれば、現在所得が高く、若い人が比較的 多い保険者は大幅な拠出増になるからです。  それを補足させていただければと思いました。  それから、次のページにあります「2.若人の保険料について」というところで、〈池上案論点〉と して書いてございます。この箇所についても、私の案の申し上げていることは、段階的に完全なリスク 構造調整に向かうわけですが、その途中の段階がある。途中で足踏みせざるを得ないことがある。それ は何かというと、国保の中で、自営業者等に対する所得捕捉が実現しないと調整もできないので、その ためには社会保障・税に関わる番号制度の導入が必要です。したがって、現時点で調整するとしたら、 年齢、性別の違いのみによる調整となります。「当面は」という表現は、これから10年もこのままであ るというように誤解を招く表現だと思いましたので、私からそれを補足させていただきました。  それから、1つずつ取り上げて恐縮でございますけど、「3.高齢者の保険料について」の「主な論 点」の3ページの中ほどに〈池上案・小島案(連合)の論点〉として「高齢者と若人の負担割合が不明 確になることについて、どのように考えるか」という箇所でございます。これはそもそもこの会議の目 的は、高齢者とそれ以外に国民を二分する制度をやめようということが出発点となっておりますので、 二分をやめた後で計算をした結果、高齢者の負担は何割になるということがわかります。最初から高齢 者の負担割合は1割とするというような形での規定の仕方をしない。明確にするというのは、今の後期 高齢者医療制度のとおり、国民を75歳以上と未満に分けているからこそ、このように明確になるわけで す。これに対して、年齢とは関係なく、同じ所得で、同じ都道府県に居住していれば、支払う保険料は 同じになれば、あえて高齢者と若人の負担割合を固定的に規定する必要もなくなります。  ですから私の論点というのは、私の真意が伝わってないと考えましたので補足させていただきました。 どうもありがとうございました。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、先ほど阿部委員がお手を挙げておられましたので、どうぞお願いいたします。 ○阿部委員  今日の議題に従って一通り申し上げたいと思います。最初に費用負担のあり方の前提として3点ほど 申し上げますが、その1つは、救急医療、周産期や小児科医療などをはじめとする医療崩壊を防ぐため に医療費の総額を拡大して、診療報酬をさらに引き上げる必要があるのではないかということです。  2つ目は、職域保険と地域保険、健保・共済と国保ということですけれども、先行き統合するという ことについては否定しないけれども、当分は分立をするという考え方であります。特に事業主負担を含 めまして、財源調達力の高い職域保険については、これは当面維持していくべきだと考えておりますし、 さらに保険料については国際水準を念頭に一定の引き上げを図るべきではないかと考えます。3つには 国保におきましても、保険料の上限を職域保険と均衡するように引き上げるべきだと考えます。   2点目として、税金・公費につきましては、低所得者の保険料の減免、患者一部負担の軽減、高齢者 医療費勘定、国保の制度維持に集中して投入すべきだと考えます。  大きい3点目として、保険制度を年齢で区分しないということは当然でありますけれども、75歳以上 を含めまして、全年齢で本人、世帯主、被扶養者がそれぞれの属性に従って国保か職域保険に加入をす る。つまり本人が職域保険であれば、その被扶養者について も職域保険に戻るという考え方でありま す。  その上で、65歳以上の医療費について、高齢者医療費勘定を設けまして、現在の65歳以上〜74歳を対 象とする前期高齢者医療制度の財政調整を75歳以上まで拡大をするという考え方であります。  なお、高齢者医療費勘定への公費の投入については、65歳以上にしますと、財源が過大になります。 したがって、現状では75歳以上の医療費の5割を投入するというふうにしたらよいのではないかと思い ます。  最後に、先ほどもご発言のありました患者負担についてでありますが、65歳以上の患者負担について は、これは保険の助け合いという原則に基づきまして、所得にかかわらず1割とすべきではないか。大 変お金のかかることでありますけれども、65歳以上は1割負担と考えております。したがって、第2回 目の改革会議で、70歳以上9割給付ということを私申し上げましたけれども、これは65歳以上9割給付 ということに修正をさせていただきたいと思います。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。きれいに整理して御意見いただきましてありがとうございます。  それでは、先ほどお手が挙がったのは、私の方から見ていまして、対馬委員だったと思いますので、 まず対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員  どうもありがとうございます。私の方も、項目別に3点ほどお話しをさせていただきたいと思います。  1つは公費のあり方であります。冒頭、試算についてのお話がございまして、宮武委員の要請に基づ いた試算だと、こういうことでしたけれども、特に公費の投入については、前の議論でも大方の方が公 費投入の増大が必要であろうと、こういう話があったと思うんですね。公費の投入で、7ページをご覧 になっていただくと大変ありがたいのですが。 ○岩村座長  資料2の7。 ○対馬委員  資料2の7ページですね。色つきの資料であります。これは〈前提〉(1)に書いていますけれども、65 歳以上の高齢者に5割の公費を投入したということですから、おおむね各保険者からしますと、公費は 投入して少しは助かるという試算になるはずなのですが、下から4行目ぐらいでしょうか、〈現行制度 からの財政影響〉ということで、私ども健保組合は7千億円減るということで、これは大変ありがたいの ですが、公費をせっかく1.2兆円投入して、市町村国保は5千億円負担増と、こういったことではなかな か納得は得られないのだろうというふうに思っています。恐らくこれは今の市町村国保が同じ資料の5 ページ目右上のところに、保険料(前期高齢者)がおおむね市町村国保に属する人が多いですから、そ こに入ってくると。それがすべて抜けていって新しい高齢者医療制度のところに投入されていくから、 保険料がその分減るということが一番大きな影響だろうと思うんですけれども、こういった試算で、私 が一番恐れますのは、公費をせっかく投入しても、ある意味、厳しい市町村国保が全然メリットがない と言われるのでは、これは何のためにとこうなりますので、こういった試算だけではなくて、例えば65 歳以上の現役のサラリーマンと扶養家族については、我々被用者保険が引き取る、そういった試算。そ れから、今の後期高齢者医療制度、75歳以上のところを65歳まで下げたらどうか、こういった試算。そ ういったことをやって、公費を投入すると、それなりのありがたい、助かると、こういった試算をぜひ お願いしたいと思います。それが1点目。  2点目は、若人の保険料であります。若人の保険料につきましては、先ほどもお話が出ましたけれど も、国保と被用者保険の関係でいいますと、所得捕捉の問題、社会保障番号等の問題がありますけれど も、なかなかこれまでの議論を見ても10年、15年かかっていますから、そうそう簡単ではなかろうと。 そうしますと加入者の頭数でしかないのだろうと、こういうふうに思います。一たん、加入者の頭数で 分けて、それで被用者保険をどうするかということになりますけれども、今回の予算編成の過程では、 後期分(後期高齢者支援金分)の全部ではないんですけれども、総報酬割という提案がなされて、私ど もとしては同意できないということを申し上げたのですけれども、今回、総報酬割の議論、当然これは していくべきだろうと思います。  ただ、総報酬割を議論するためには4つほど、ごく簡単に申し上げますけど、ぜひチェックといいま すか、検討課題にしていただきたいと思います。  1つは、そういった予算編成とか、公費を節減すると、そういうことではなくて制度論としての公平 性、納得感、整合性、経緯、こういったまさに制度論をやっていただきたい。  2つ目ですけれども、制度論をやっていく場合に、本当に報酬割がいいのかどうかという議論もぜひ やっていただきたい。これは例えばどういったことを言っているかといいますと、介護保険、これはま さに頭数でやっているんです、65歳以上、報酬制はとってない、そういったところの関係はどうなのだ ろうか。そういったこともありますので、よく議論していただきたい。  それから、医療費の適正化、従来でいいますと、医療費の適正化に対して一定のインセンティブがあ った。  それが本当になくてもいいのだろうかという問題があるだろうと思います。それから、総報酬割をや る場合には、従来以上に報酬の把握をきちんとやっていくということが必要だろうと思います。年金の ように保険料と給付がある程度連動していてさえ、先般来のような問題があるという中で、医療保険の 場合には報酬が下がっても給付は関係ない。むしろ報酬が下がれば給付は少なくて済む、こういった場 合もあるわけですから、報酬についてはよくチェックをする必要があるだろう。厳格な仕組みをする必 要があるだろうとこういうことであります。  最後に高齢者の保険料でございます。私、今回この資料を見て感心したといいますか、これは3ペー ジ目ですけれども、確かにこれまでの委員の主な御意見で、見坊委員、堂本委員、樋口委員、こういっ た発言をされているのですけれども、高齢者を安くしてくれといったようなことは一切言ってないんで すね。これは全世代で支え合っていくということを言っていただけるので本当にありがたいと思います。 ただ、そうは言ってもすべてがらがらぽんというわけになかなか難しいので、透明的な制度、そして若 人と高齢者の負担がきちんと見えるような仕組み、これがやはり必要だろうと思います。  そういった意味では、後期高齢者の仕組み、5:4:1、公費5、若人の支援が4、高齢者の保険料負 担が1と、そういった仕組みでいくのはもちろん配分は変えてもいいのかもしれませんけれども、そう いった形でいくのか、それとも高齢者と若人の人数比で分けて、そしておのおのの負担は基本的には一 緒だというのがいいのか、そのあたりの議論をきちんとしていくべきだろうと、こういうふうに思いま す。  以上のとおりです。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、岡崎委員がお手を挙げておられて、宮武委員がお手を挙げておられましたので、その順番 でお願いしたいと思います。それでは、岡崎委員、お願いいたします。 ○岡崎委員  それでは、国保の立場から、今、国保の問題点も対馬委員さんからも御指摘いただきましたので、こ の資料におけます国保の問題点を少し御指摘をしたいと思います。同じく、今の資料2の6ページと7 ページのところで問題点を少し御指摘申し上げますが、1つ、65歳以上の被保険者の方々について、国 保は当然有力な受け皿になるということは間違いがないところでございます。  まず国保の財政自体につきましては非常に脆弱でございまして、全国の市町村の国保のうち約7割が 単年度赤字を出しておりまして、一般会計からの法定外の繰り入れが全体トータルで約3千8百億円ぐら い、市町村が一般会計から負担をしておりますので、それだけ非常に厳しい状況に置かれているという ことを、御指摘を申し上げておきたいと思います。そういう中でも国保は有力な受け皿になるというこ とはまず間違いないと思いますので、いかに国保の財政を安定させながら、新しいこの保険を合体をし ていくかというところを探っていかなければならないと思っております。  例えば6ページの資料でも、先ほど御紹介もいただきましたが、6ページの資料は、現行の公費の5 兆5千億をそのまま膨らまさずに入れるという試算でございますので、この場合でございますと、市町 村国保は8千億負担増となりまして、公費が減るということがございますので、この点はバランスを欠 いているということになろうかと思います。  それと次のページ、7ページの部分をもう少し掘り下げて分析をしなければならないのですが、これ は公費を8兆円まで膨らませていくということであり、そのときに市町村国保がさらにプラス5千億、 それから、右側の公費の部分がまた問題なのですが、この部分の公費1.2兆円の増には、負担割合が決 まっておりまして、国が4、県が1、市町村が1。ということは、国が2で地方が1という2:1の割 合になっておりまして、4:1:1、国が4で、県が1、市町村が1という割合で1兆2千億を負担する という区分になっております。  この試算額、1兆2千億円の内訳をお聞きしますと、国がプラス5千億、県がプラス3千億、市町村 がプラス4千億という負担になると聞いております。ということは、市町村国保は5千億プラスした上 に別途に公費負担でさらに市町村分としてプラス4千億を負担をしなければならないということで非常 にバランスが悪いというところが問題でございます。それぞれバランスよく対応していただかないと有 力な国保の財政がもたないということは、すべてが崩れてしまうということになりますので、そこをバ ランスよく、今の国保の財政基盤をしっかりと確立させていただく方向で整理をしていただきたいとい うことでございます。  それから、この資料は、例えば75歳以上の場合と、65歳以上の場合ということで、2種類しかつくら れておりませんが、仮に例えば70歳でラインを引いた場合にどういったことが想定されるのかというこ とも1つの見方ではないかと思いますので、70歳で引いた場合にはどうなるかということを、もしでき れば、また後日、資料でもいただきましたらと思うところでございます。  以上でございます。 ○岩村座長  ありがとうございます。今、70歳以上のところでというお話ありましたけれども、データ的にできる んですか。事務局の方でお願いします。 ○村山課長  一定程度の前提を置く必要があると思いますが、努力してみたいと思います。 ○岩村座長  ではよろしくお願いをいたします。  それでは、宮武委員、お願いをいたします。今日大分資料の中で引用されていらっしゃる。 ○宮武委員  何か面映いい思いです。私だけではなくて、ほかの方さまざまな試算を求められておりましたので、 私だけの要請ではないと思います。  75歳以上という年齢だけで区切って、いわば別宅に追いやってしまったというのが今の高齢者医療制 度の最大の欠点であるわけですので、同じ家に住んでもらおうということになると、国民健康保険の方 に皆さん年齢に関係なく引退した方はお入りになって、1同じ家の中で暮らしてもらおうという考え方 です。ただし、主に引退世代の65歳以上の方と主に現役の65歳未満の方は、それぞれ家計の状態はおの ずから違ってくるわけで、どうしても65歳以上の引退世代に対してはそれなりに手当てをしなければ家 計が維持できない。いわは現役の65歳未満は1階に住んでもらい、65歳以上の方は2階にお住みいただ いて、同じ家なんだけれども、要するに別会計で家計をやりくりしていくという方法はないかというこ とです。そうすれば、年齢だけで区切るという弊害は取り除けるのではないかと思ったわけであります。  それで、本日配付の資料で見ますと、資料2の6ページ、「65歳以上は全員市町村国保に加入し」と ありますが、私は全員が都道府県単位の国保に加入した場合とお願いしました。まあ、試算結果は同じ ですが、私は都道府県単位の国保という、なるべく大きな所帯をつくってリスク分散可能にした方がい い、と申し上げてきました。75歳以上の方の医療給付費には全体の5割の公費を投入する。高齢者の保 険料の総額は、今と変わらないようにしておく。そして65歳未満に課せられる仕送りについては、全体 の額そのものを市町村国保と被用者保険の間では加入者数に応じて按分するしか今のところ手がない、 そのうえで被用者保険の側は総報酬で按分をして負担をしていただく。  こうすると何が変わったかというと、この図で見ますと、高齢者の保険料が2.8兆円で、約17%、正 確にいうと16.5%ぐらいなのですが、要するに65歳以上の払う保険料を65歳以上が使う医療費にその まま充てると、全体に充てるよりも、いわば母数が小さくなるので保険料の占める割合が極めて高くな って、財源構成が変わってくるということがこの図でわかります。その効果があるので、公費の追加投 入をしなくても、協会けんぽ、健保組合、共済ともあまり大幅な負担増にはならない。もちろんご不満 あると思います。ただし、国保の側は大量に65歳以上の方が抜けていきますので、サイズが小さくなっ て公費補助も大幅に減ってしまうという結果になっています。そういう意味では、国保は被害を集中的 に受けるわけでありますけれども、この先充てという65歳以上の保険料を65歳の医療費にそのまま直接 向けることによって起きた効果で、公費がほぼ同じ金額で浮いてくる、これを使って国保の負担増の手 当に回すということになれば、それほどひどい負担増にはならないというふうに、私はこの試算を読み ました。それを皆さんがどう評価なされるかということだと思います。 ただし、健保連や協会けんぽ の方は、小幅といいながらも負担が増えるわけでありますので、これについても、もちろんどういう手 当をするか議論をしていかなければいけないと思います。  次の7ページの65歳以上の方について、同じ条件で公費を5割の補助をつけた場合にはどうなるかと いうと、公費は8兆円に膨らみます、そして65歳以上の方たちの保険料はそのまま65歳以上が使う医療 費に充当するので、ここは変わらない。変わってくるのは、当然ながら現役の仕送りをする負担分が変 わってくるわけで、ここはさすがに5割もの公費を投入するわけでありますので、協会けんぽも健保組 合も共済もみんな負担が減って、だれも反対はされない。ただし、市町村国保は相変わらず5千億円も の負担増になり、公費の投入も1.2兆円ですので、そういう意味では大体消費税率1%分ぐらいの公費の 追加投入を考えなければこの案は実現をしないことになる、と思います。そういう意味では、鳩山政権 が消費税上げてでも医療費の増に対応するのだという決意を示せるならば、それは公費5割投入案を採 用できるわけですけれども、なかなか難しい問題でありますので、、実現可能性があるのかどうかとい うことが心配になります。  そうすると、先ほどの75歳以上に5割の公費を投入し、前期の65歳〜74歳のところは保険料の先充方 式による財源の変化という効果でしのぐ、ただし、これから急速な少子高齢化が進行していく中で、公 費を段階的に投入していって、被用者保険を中心にした保険料の負担を抑え込んでいくという方式をつ け加えなければ恐らく被用者保険側は納得されないだろうと思います。  もう一つは、これは中間案もあるわけで、公費を3割投入したらどうなるのかということです。3割 という意味は、65歳〜74歳の前期のところに3割を投入することによってどんな変化があるのか、そう いう考え方もあるかと思います。  そんなふうに読み取っております。以上であります。 ○岩村座長  ありがとうございました。  先ほどお手が挙がっていたのは、それでは、池上委員はさっきご発言いただいたので、それでは後と いうことで、済みません、お名前、お願いいたします。 ○西川委員(神田委員代理)  今日、神田愛知県知事、県議会の本会議でございますので、私、知事会の同じ高齢者医療のプロジェ クトチームのメンバーでありますので、かわりに発言をということで参りましたので、主に神田知事の お考えを申し上げたいと思います。特に前回、神田知事から資料の御提供を御要請していただいており ますので、それについて考え方といいましょうか、感想などを述べさせていただいた上で、私の意見も 多少入れまして申し上げたいと思います。  まず、参考資料の20ページ以降に、神田委員からの資料要請のお返事をいただいているわけでありま すが。 ○岩村座長  済みません、資料3の20ページでございます。 ○西川委員(神田委員代理)  資料3の参考資料の20ページであります。高齢者をどの保険者が担うか、また、保険制度の枠組みが どうあるべきかといったことを具体的に検討するために知事会としても議論をしているわけであります が、今、さまざま御議論願ったことは、現在でのいろんな負担での出入りもありましょうし、将来どう なるかという、もちろん金額が大きくなるわけでありますので、その2つがあるわけであります。将来 推計を御要請したわけですが、20ページ、21ページにお願いした資料として、18年度制度改正時の試算 資料が提出されております。  全体として、いただいた資料は、お願いした資料の一部的であると同時に、申し訳ないですが、断片 的でわかりにくいという印象でありまして、いくつか感想を申し上げます。  1つは、参考資料20ページの「国民医療費、医療給付費、後期高齢者医療費将来見通し」の下段の4 段の囲みに、現時点で見通せない理由がいろいろ書いてあるわけですが、これからは制度設計の基本的 な内容を検討するためにこそデータが必要でございますので、なかなか難しいのだと思いますが、議論 の進捗に応じて必要なデータが示されるようにお願いしたいというのが1点であります。  2点目は次のページでありますが、後期高齢者医療費の財政見通しの点であります。これも18年度当 時の試算でありますが、後期高齢者の医療費は、27年度には16兆強、20年度に比べますと、5兆円強の 増加、これを補うための27年度の公費は、7兆500億円、4段目の1兆4,100億合わせますと、8兆46百 億円余となり、これは20年度よりも2兆5千億円の増加であります。他の保険者からの支援金は5兆円 強でありますので、1兆48百億円の増加であります。後期高齢者医療費分のみで公費と各保険者の支援 金がともに1.4倍増加ということでありますので、かなり厳しい状況になることが示されております。  3点目は、その下段の「医療保険制度における所要保険料及び公費負担の将来見通し」でありますが、 まず1つには、この部分につきましても、上段の後期高齢者医療制度のような内訳がわかるものがお示 し願うと全体の映像がわかってくるだろうというのであります。この表は、後期高齢者医療制度を除く 保険制度の見通しでございますが、合計数値が書いてございませんが、計算をしますと、27年度には16 兆92百億円でありまして、20年度に比べますと、2兆89百億円増加します。公費負担の合計額は同様で 計算しますと、27年度は20年度よりも3兆17百億円の増でありまして、これがさらに増えていくことを 考えますと、保険制度そのものに深刻な事態が生ずるだろうということが考えられます。  したがって、こうした状況をみますと、医療保険制度全体の見通しをもって、将来的な恒久的な財源 の確保がいかに重要であり、大きなかぎになるのだろうということを再認識すべきであろうということ であります。国民の皆さんに対しましても、こうした状況をきちんとお示ししお伝えをしなければなら ないと考えるわけでありまして、将来を見据えた制度設計といいましょうか、制度見直しは十分時間を かけて行うべきものであると、このような考えであります。  それから、費用負担の問題であります。新しい高齢者医療の費用負担に当たりましては、次の基本的 な2点、負担の公平性の確保、また、若者と高齢者の費用負担の明確化が図られることであります。特 にこの点について、公費のあり方でありますが、参考資料20ページに示されておりますように、医療費 は18年度対比で1.3倍、37年度には1.7倍ということでありまして、この医療費の伸びに伴い、保険料負 担や被用者保険からの支援の増加が必要でありまして、それにも限界があることから公費負担の拡充が 必要であると考えます。その際、医療費の増加に合わせまして公費負担、国費を減らしていく仕組みが 必要であると考えられます。そして、国民皆保険制度を有する見地から、第1次的には公費負担につい て国が財政面できちんと責任を負っていただかなければならないと思います。国の方で、十分な下支え をする覚悟のもとに安定的な財源の確保のための、消費税とかいろんな議論があると思いますが、税制 の見直しの議論も必要かと、このように考えるわけでありまして、そういう見通しのないままにある制 度をつくって、これでいいのだということでは到底この制度の設計はできないのではないか、こんなふ うに思うところでございます。  2つ目は、若い人たちの保険料というテーマでありますが、後期高齢者医療制度の廃止に伴い、多く の高齢者は市町村国保に加入をすることになると思われるのでありますが、加入した場合に、今ほどお 話もございましたが、増加する医療費に市町村国保だけでは対応ができず、国民皆保険の基盤となって おります市町村国保に対しましては、被用者保険からの財政調整による支援が不可欠かと思います。被 用者保険は国保に比べますと、一般に若人が多く所得水準も高く一人当たりの医療費も安い。また、被 保険者の職員に対する負担割合も低いということで見られますので、相対的には恵まれた保険運営環境 にあると考えられます。財政調整においては、公平性の観点から、現在行われている加入者数に応じて 負担するだけではなく、所得も考慮した負担に見合った財政調整を行った上で、若者と高齢者の負担の 明確化といいましょうか、そういう議論がなされるべきかと考えるわけであります。  それから、3点目でありますが、高齢者の方も所得に応じた適切な負担が必要であります。先ほどの 参考資料の21ページに示されているように、27年度には20年に比べますと1.4倍ということであります。 この医療費の増加に伴い、後期高齢者の保険料負担は1.7倍ということでありますから、今後増える医療 費を賄うためには高齢者の保険料負担にも限界があり、このことから公費負担の増加が必要かと考える わけであります。なお、保険料の設定については、保険者機能が働くよう、保険料の負担が医療費の受 診の実態に合わせて連動するような仕組みを検討する必要があると考えます。  4点目は、患者負担のあり方であります。患者負担については、世代間の連帯を考えますと、負担の 公平性の観点から3割が限度ではなかろうかと思うものであります。現行制度では高齢者の患者負担は 原則として、65〜74歳が2割、75歳以上は原則1割となっておりますけれども、果たしてどの程度の患 者負担が世代間の公平の観点から適当であるかという議論がぜひ必要かと、このように思っておりまし て、以上の点を神田知事から意見としていただいているところであります。  なお、医療、国保保険料等のいろんな制度につきましては、長い歴史があるわけでありますけれども、 つまり受益と負担の問題、それから、さまざまな保険者が混合していること、そして若者と高齢者の問 題、医療と保険の関係の解決など非常に複雑でありまして、長年の課題でありますので、一刀両断にい ろいろな制度を見直して解決ができるものでは到底ないと考えますので、1つひとつどこが問題かとい うことをきめ細やかにチェックしながら、必要なところに公費を投入し、また保険者間の負担の相互の 助け合いといいましょうか、こういうものをしていくという、そういうアプローチをとって、この問題 を解決するのが望ましいのではないか、このように思いますので、よろしくお願いいたします。  ちょっと長くなりましたが、以上であります。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、先ほどお手が挙がっていた池上委員、お願いします。お待たせしました。 ○池上委員  たびたび恐縮でございます。実は宮武委員の御発言について確認とコメントをさせていただきたかった ので手を挙げた次第でございます。  私は御提言された同じ国保の2階に65歳以上、1階に65歳未満という図式は大きな課題として、今の国 保は市町村単位であります。75歳以上は都道府県単位です。国保を都道府県単位に集約・再編するのには 非常に時間がかかりますので、こうした1階は市町村、2階は都道府県というものの構造は少なくともこ の5年以内の実現は非常に難しいと考えます。  2番目の問題は、年齢による公費負担の割合に議論が終始しておりますけれども、これはあくまでも高 齢者に着目した議論であって、高齢者に着目するべきでないということが出発点でありますので、私はま ずは、先ほど申しましたリスク構造調整を行って、同じ都道府県に住んでいるなら、同じ所得なら同じ保 険料を払うということを前提とした場合に、このようなリスク構造調整をした場合にそれぞれの保険者が どれだけ拠出して、どれだけ逆に受け取るかという現在の保険料構成の中でどうなるかということを試算 していただければと思います。その試算していただいた上で、激変緩和措置としてどこまで税による投入 を行うことによって被用者保険が一挙に過大な負担にならないような対応を考えるべきであって、まずは リスク構造調整の影響を試算する。試算は可能であることは実は協会けんぽが都道府県ごとの構造調整後 の保険料を設定しているわけですので、同様なことが全体の保険者についても言えるのではないか。  以上がこのコメントでございますけど、さらに以下は提言でございますけど、私は国保が受け皿とする ことは非現実的でタイムスケジュール的に難しいので、大胆な案として、協会けんぽと後期高齢者医療制 度と統合するというのも1案ではないか。といいますのは、協会けんぽは、確かに全国組織でありますけ ど、都道府県の支部ごとにリスク構造調整の保険料が徴収していますので、この仕組みはでき上がってい ます。したがって、それは1つの考え方として提言申し上げます。  最後に恐縮でございますけど、再び「本日の議題に関する基本資料」の最後から1枚前の13ページに、 「被用者保険の被保険者本人及び被扶養者の取扱いについて」というところで、A案のメリットとしてこ こにいきなり被用者保険及び被扶養者→国保と。もし一挙にここに国保に行った場合には、課題としてい ろいろ挙げられていますけど、これはリスク構造調整後にどうなるかという観点が抜けていまして、リス ク構造調整をしないでいきなり国保に行った場合にはこういう問題点があるかと存じます。リスク構造調 整を行えば、当然制度間の負担と給付のあり方も当然改められるので、これは格別課題にはならないと存 じます。  以上でございます。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、同じ方があまりというのもありますので、齊藤委員のお手が挙がっていますので、その後、 小島委員、宮武委員、横尾委員が途中で退席なので、小島委員の後、横尾委員で宮武委員と、そういう順 番でお願いしたいと思います。それでは齊藤委員。 ○齊藤委員  それでは簡潔に、まず公費のあり方について述べたいと思います。どれだけの負担をして、どれだけの 給付を受けるかという点については、現役世代が今後急激に減少することを考えれば、将来にわたって持 続可能で安心な高齢者医療制度を構築するために公費投入の拡大が不可欠であると考えております。今後 高齢化への進展に伴いまして、公費投入の割合も徐々に高めていくということが必要であろうと考えてい ます。高齢者医療制度の安定的な運営には、現役世代の保険運営の安定が不可欠でございますので、公費 投入拡大の方向性を明確に示していただくことが必要ではないか、と考えております。  次に若人、高齢者の負担のあり方でございますが、今の公費のあり方と全く同じことになって繰り返し になりますけれども、経済を活性化すれば保険料の収入も拡大してまいります。よい循環を生むためには 現役世代のやる気と活力が不可欠でございます。高齢者医療制度への拠出負担が現役世代にとって過度に 重いものとなって、その活力をそぐといった事態は避けねばならない、こういうふうに考えております。 高齢者医療制度は、担い手となっております現役世代の医療保険あって成り立つものでありますので、若 人の医療保険が倒れてしまわないかどうかということにつきましても、将来にわたって、特に団塊の世代 が後期高齢者となります2025年のあたりまでをしっかり見据えて持続可能性があるどうかの検証を今後や っていく必要があると、このように考えております。  以上でございます。   ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、小島委員、お願いいたします。 ○小島委員  今日、配られております資料2の1ページ目のところです。「公費のあり方」は、私はこれまでも70歳 以上の高齢者のところについて、公費を5割投入したらどうかという発言をしております。ここについて は、先ほど宮武委員の資料請求の中で75歳以上5割、あるいは65歳以上5割の場合はどうなるかという試 算が出てきておりますので、今後70歳以上の場合はどうなるかといったようなところで試算も出していた だければと思っております。  その下に、私がこれまで主張しております突き抜け方式型にすると、被用者グループにも同じく、国保 と同じように、70歳以上同じ率で公費が入ることについて問題ではないかという指摘をされています現在 の後期高齢者医療制度は独立ということなので、これはサラリーマンOBであろうが、それ以外であろう が、同じく5割の公費が入っているということです。これが別の制度になると、そこはどう考えるか、こ れはそういう論点として出されていますけれども、そこは同じ70歳以上ということで公費を入れるという ことで考えるべきではないかと思っております。  それと、次の2ページの「若人の保険料について」であります。ここは私の案の論点としましては、サ ラリーマンOBについて、サラリーマン現役・若人が支えるということだけでいいのかという指摘であり ます。そうするとここは現行でも高齢者医療に対する支援金の考え方をどうするか、あるいは先ほどから も池上委員が出されておるように、国保を含めた財政調整、いわばリスク構造調整という考え方、いわば 国保全体の制度に対する被用者グループからの支援ということについてどう考えるかということともこれ はかかわることだろうと思います。一応高齢者のところについて、被用者グループからも支援をしている という1つの大きな要因、理由としては、サラリーマンOBが多いということです。国保に移っている、 あるいは独立になっておりますけれども、その大半はサラリーマンOBだということでありますので、そ ういう意味で、高齢者に対して現在も支援金を出しているという1つの理由になっているということだと 思います。これを突き抜け型にすると、現役のサラリーマンはサラリーマンOBだけを支援するというこ とになりますので、ここは全体的にはここも含めて財政の少し状況を見て、国保財政がどうなるかという ことも含めて最終的には検討する課題ではないかと思っております。全く国保は知らないということでは 済まされないということ、そこは我々も十分理解しているつもりであります。  それと「高齢者の保険料」、これは3ページのところ、〈池上案・小島案(連合)の論点〉については、 先ほど池上委員から、まさに年齢で区切らないのだということで考えるということなので、そこはどうい う制度になったかによって高齢者の保険料負担がどうなるかということが結果的に出てくるということで あります。突き抜け型の方で、連合が考えている退職者健康保険制度については、高齢者の保険料の半分 は現役サラリーマンが支援をするという考え方に立っておりますので、そこは被用者グループ内でははっ きりはするということではないかと思っております。  それともう一つ、13ページの「被用者保険の被保険者本人及び被扶養者の取扱いについて」ですが、こ こは基本的には、私としてはB案で考えるべきではないかと思っております。私どもが考えている突き抜 け型で、これもぜひいくつかの前提を置いて試算をしていただくというふうに思っております。なお、先 ほども池上委員が指摘されましたように、本当に後期高齢者医療制度を廃止したその時点でどういう姿が 可能か、そこが一番ポイントなのだろうと思っております。いくら理想の姿をしていても、廃止をしたと きにすぐにその姿に持っていけるかどうかということがあります。突き抜け型といっても、今、後期高齢 者医療制度に入っているサラリーマンOBをすべてスタート時にもう一度サラリーマングループに戻すか どうかということは現実的に考える必要があります。これは前回も議論したところでありますが、スター ト時については、これから新しく退職者要件を満たすという人からだんだん被用者グループの方で増やし ていくということを考えるということになった場合に、既に現在後期高齢者医療制度に入っているサラリ ーマンOBの皆さんの受け皿がどこになるか宮武案でいくのか、先ほど池上委員が指摘された案でいくの か、そこが一番これから議論しなければならない課題だと思います。ちょっと長くなりました。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは横尾委員、お願いをいたします。 ○横尾委員  ありがとうございます。いくつか述べさせていただきます。1つ目は、イメージとして感じるのですけ れども、実は先ほど提示しました報道が昨日の朝刊に各紙、地方ではバーンと一面トップに出ているわけ でございます。読んだ方とか、知り合いの方から御意見等も来たので改めて感じたのですが、読んでよく わからないというのが一番多いのです。見出しは大きいけど、よくわからない。それはまだ確定してない からではあります。  そのことを踏まえながら感じるのですけれども、やはり、「ゴールはどんなビジョンになるか」という ことをまとめていくのがとても大切だと思います。そういった意味では、樋口委員かどなたかもおっしゃ ったと思いますが、そのときのゴールのプリンシプル、何を大切にしてどうするか、例えば先ほど池上委 員がおっしゃいましたように、「同じ所得であって、同じ都道府県にいるなら、同じ負担で、同じ給付を 受けられるようにしようではないか」というふうな、シンプルなものにしていけば、65歳以上の高齢者の 方にとっても非常にわかりやすい。そして、「じゃあ、あとどうするか」ということになると思いますの で、そういったものをきちんと打ち立てる必要があるなと改めて感じております。しかし、いきなりそこ には行けないという現実がありますので、今日の資料で言いますと、6ページ、7ページとかを例にとり ますと、「いきなり7にしたいけど、6ぐらいから行くしかないのかな」とか、あるいは同じ7ページで も、各保険組合等の負担のマイナスもあればプラスもある。この辺、下手をすると負担の投げかけ合いに なってしまっては、生産的な議論ができませんので、ぜひそういった現実的対応ということを2点目にや っていく。そういう意味ではいきなりゴールではなくて、ゴールを示しつつも、1段目、2段目というロ ケットのように、つないでいくようなことも出していかなければいけないのかなと感じております。  また、さらに今回、国保のことが出ておりまして、市町村国保プラス、要するに負担が増という試算に なっているのですけれども、これは恐らく、現状からのコーホート方式か何かわかりませんが、予測だと 思いますけれども、そういった中で、ここの部分の、当初にいただいた「基本的な考え方6点」の中の4 点目にあります、「市町村国保などの負担増に十分配慮する」という観点から見れば、何か工夫をしない といけない。前回の議論でありました、運営主体としての都道府県がまともに考えてくださる状況が仮に 整っても、「いや、そんなに大きい負担ではなかなか難しい」ということにまた立ち戻っていきますので、 ここら辺を、公費負担ということになるのですが、そうなるとやはり、ほかの委員もおっしゃいましたが、 所得捕捉を徹底することや、何よりも消費税を議論していくことを、新政権としてはなかなか微妙な立場 だということは理解しておりますけれども、いよいよこういった状況になりますと、議論していただかな いと前へ進まないのかなという思いを強くいたしております。  そういった意味で、「先はこうなりますよ」というプリンシプルやビジョンを示し、当面は「1段目、 2段目でこう変わりますよ」と。そして負担はこうだということをぜひわかりやすく出せるようなものに していただきたい。願わくば、池上委員もおっしゃったように、「都道府県内で、同じ所得なら、同じ負 担」で集約をしていく。そのときに暫時、「こうやって5年か、10年でできますよ」といった形でまとめ ていくのが一番、高齢者の方々にとってもわかりやすい、国民の皆さんにとっても理解し、納得し、やっ ていけるのではないかと思います。  地方財政に詳しい神野直彦先生とこの間、話す機会がありましたが、山井政務官も大変お詳しいと思い ますけれども、北欧の、例えばスウェーデンなどでは、具体的に、「こうこうこういう福祉や医療のため に皆さん負担をお願いします」と言うと、大方の方は理解をして負担をされると。ところがわけのわから ないような補助金を出すためにくれと言っても、それはだめだというふうなことですね。ぜひそういった ものを培っていければなと思っています。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、宮武委員の後、堂本委員がお手を挙げていらっしゃって、それから三上委員がお手を挙げて いらしているので、その順番でお願いをしたいと思います。では宮武委員。 ○宮武委員  池上先生の方からの御質問も兼ねた御意見だと思ったので発言したいと思います。今の市町村の国民健 康保険を都道府県単位に変えることは非常に難しいという御指摘ですが、まさにそのとおりで難しいです よね。難しいけど、これをやらなければ市町村国保は持続できないだろうという危機感を持つので、申し 上げているわけです。高齢者の医療制度の課題はそのまま高齢者の大半が加入している市町村国保の課題 に直結しているわけです。その国保をリスク分散が可能な形に集約をしていくことが私は時代の要請だろ うと思っています。  過去の一連の医療制度改革、また鳩山内閣の医療政策を見ても、医療の方は県単位に、そして介護の方 はもっと身近な市町村単位という流れですよね。制度面でいっても、医療はほぼ県内で自給自足している、 介護の方は一番身近な市町村で提供していく。だから制度面でもサービス面でも医療は県単位、介護は市 町村単位だと私は思っております。もちろん私みたいな素人が都道府県単位にしろというのは僭越でしょ う。その都道府県単位も県内全部の市町村が参加する広域連合か、あるいは県直営か、そこはまだ議論も しなければいけないところですが、一気に実現はできないのであれば、例えば市町村の国民健康保険にま ず75歳以上の方を受け入れて、2階建ての財政調整というか、家計を別にしてやりくりして、そこでとど まらずに一定の時期を置いて県単位に向けて移行していくという、横尾委員がおっしゃったような段階的 な方法もあると思います。また、意欲的な都道府県が先行して県単位の形の衣替えを認めればいいわけで、 鳩山政権の地域主権というのはまさにそういう考え方であって、地域・地方が判断して自分のやりやすい 方式をとるなら、それは認めていけばいいのではないかと思うんですね。県単位の集約については、まず 75歳以上の方の高齢者医療制度をとにかく実現したわけですね。現在の県単位で全市町村傘下の広域連合 でやった実績とそのノウハウもあるのではないでしょうか。  同時に、今まで知事会が強硬に県単位加には反対されていましたけれども、高知県、京都府、埼玉県、 岐阜県、奈良県で、県単位で広域化をする、あるいは県直営の構想というのも出しておられます。市長会 も町村会も県単位でやるべきだということを明確に打ち出しておられるわけですから、私は、外堀はかな り埋まったのではないかと思っています。  それから、もう一つ、リスク構造調整については、理論的には私もその方が正しいと思います。14〜15 年前に新しい高齢者医療制度の論議が始まった時、実は私もリスク構造調整派だったんです。しかし、リ スク構造調整の方が県単位化よりもっと難しい。厳格にやっているのはドイツですけれども、ドイツの場 合は、要するに国民皆保険でないわけですから、自営業の方が入りたくなければ入らなくて済むわけです よね。だから所得に関係なく、おまえは一定程度の保険料を払えと言って、自営業の方が嫌だったらその 方は入らないという形で割り切っていますね。日本の場合、国民皆保険ですから、自営業の方もすべて取 り込んで地域保険を形成していかなければいけない。そうすると、所得把握の問題がありますし、もう一 つは保険料賦課が全く方式が違うわけですから、これをいかに統一していくのか、むしろ池上委員がその 難しさを重々御承知でしょう。だから当分は年齢と性によるリスク調整でいくと。将来的には所得の調整 を入れると。まさに、それほどに難しいということだろうと考えております。  以上です。 ○堂本委員  当事者とそれから地方の視点から申し上げたいと思うのですけれども、今日この4つの1、2、3、4 を並列的に議論させていただいているのですけれども、最初から公平ということを申し上げておりまして、 それは保険料の公平ということであろうと思います。ですので、高齢者は年金の額が決まっているので、 おのずとその負担の額も決まってくる。それから、最後の患者の負担のあり方というのも決まってくるか と思います。ところで、私は「若人世代」というのをやめて、次からは「現役世代」としてくださいと、 この前お願いしたのですが、まだ若人世代になっているので、これはぜひ「現役世代」としてください。 何か私たちをすごい老人扱いされているような気になりますのでよろしくお願いいたします。  問題は、現役世代の保険料、それから保険者間の財政調整、これが難しい。先ほど市町村の岡崎委員か らも、西川知事さんからも、地方の負担、つまり国保の負担が大きいと困るというお話が出ました。そし て、逆に私のお隣にお座りの健保連さんからは、健保連にむしろ有利であって、国保のほうに不利になっ てしまうのではないかという御発言もありました。ここが一番問題です。そのためにはきちんと健保連や 国保などの保険料がどうなるのか、ABCD各案の試算をする必要があります。  今回、どなたの御要望だったか、A・B・C・Dという案の、一番最後のページ、14と15に推計が出て いますが、これを保険料で出していただきたい。そうするとどこにどのような形で公費を入れるべきなの か、いつの時期にどのような方法で投入すべきなのかということが明確になってきて、そして保険料の不 公平感が失われるのではないかと思います。  したがって、最初から公費5割と決めてしまうのではなく、どこに、いつの時期に、どのような形で公 費を入れていく必要があるのかということをきっちりと明確にするべき。私は保険料を試算した資料が出 れば、それが明らかになると思うので、提案と資料要求をさせていただきます。その上で、それが消費税 になるのか、何になるのかは別として、そうすれば大変むだが省けるし公平感が担保できると思っており ます。  ありがとうございました。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  ちょっとお待ちいただいて、今、堂本委員から資料のシミュレーションできないかということだったの ですが、可能かどうかなんですが、お願いします。 ○吉岡課長  先ほど来、委員の先生方から御指摘いただいている点といたしまして、1つには、今回のこの6ページ、 7ページの試算は、その後の資料の13ページのA案に基づく試算になっているということでありますので、 同じようにB案、C案という形にすれば、どういう形の財政構造になるのかというものをお出しをさせて いただきたいと思います。それが今の堂本委員の趣旨にも沿っているものかと思います。  それと別途、70歳以上で公費を5割入れたらどうかという御指摘もございましたので、あわせてその件 への対応も考えさせていただきたいと思っております。  なお、言葉遣いの点で、「現役世代」なのか「若人」なのかという点でございますけれども、65歳以上 でも働いていらっしゃる方をどう呼んだらいいのかという問題がございます。したがって、A案なのか、 B案なのか、C案なのか、結論いただければ、それに沿って言葉の整理もしたいと思っております。 ○岩村座長  検討の方、よろしくお願いいたします。  そうしますと、三上委員、それから小林委員ということでお願いします。 ○三上委員  「現役世代」と言う方が確かにいいと思いますので、それで考えていただきたいと思います。医療費が これから増えていく中で、この資料の5ージ、6ページ、7ページにありますのは、現在の状況の中での 試算ということなんですけれども、これから現役世代が非常に少なくなってきて保険料収入が減る中で、 こういう試算ができるのかということはまた別の問題であって、基本的に2025年はどうなるのだろうとい うことも視野に入れた試算表というのを一度出していただきたいと思います。  それから、公費が当然増えていくことが必要なんですけれども、その中で、将来保険料の上限がどこま で負担できるのかということも一定の目安を決めた中でシミュレーションしていただくことも大事ではな いかと思います。日本は国民皆保険制度ということで非常に恵まれていると言われていますが、憲法25条 で認められているように生存権があって、国民すべてが同じ医療を平等に受けることができているわけで すけれども、その中で負担の公平性というのはまだまだ担保されていないのではないか。国保と被用者保 険、あるいは被用者保険の中でも共済と大企業、あるいはそれ以外の中小企業の中でも保険料負担の負担 感はかなり違うことなんですけれども、国保と被用者保険については賦課方式が違いますし、先ほどから 出ていますように、所得捕捉がなかなかできないということで、これは所得捕捉の仕方をこれから検討し、 何年かかるかわかりませんけれども、確実にできるようになった段階で、公平な保険料が設定できるので はないかと思いますが、まずは被用者保険の中で公平な負担を実現していただきたい。かなり幅があると 思います。  先ほどからいろいろ話出ていますが、保険者の方々がそれぞれの立場で話をされているのですけれども、 医療保険というのは社会連帯ということで国民全体で支えるということですから、保険者がそれぞれ集め た保険料は、それぞれの保険者のものではなくて、国民全体のものであるという考えのもとにやらなけれ ばすぐ支援金だというふうに、自分のものを出しているといった感覚になるとどうしても自分たちの有利 性を保ちたいという形になって議論が膠着すると思いますので、その辺、一応考えていただきたいと思い ます。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、小林委員、お願いいたします。 ○小林委員  公費のあり方についてですが、高齢化の進展に伴い、高齢者の医療費が全体として増えていくことはや むを得ないことであり、避けられないことだと思います。増え続ける医療費の負担については、今、三上 委員がおっしゃったように、これは社会全体で支えていかなければいけないことですが、その中での費用 負担のあり方については、特定の世代に偏らないバランスのとれたものとすることが大変重要ではないか と考えております。 (足立政務官入室)  今の費用負担の方法がどうかというと、現役世代の保険料は過重なものとなっていると考えざるを得ま せん。今後の新しい制度の財源負担を考える場合には、公費を増やしていくという方向がないと現役世代 の負担がますます過重になっていくと考えております。この点は制度を議論する大前提として強調してお きたいと考えております。  それから、現役世代の負担が過重なものとならないようにするという観点からすると、後期高齢者医療 制度の財源のうち、保険料部分については高齢化の進展に応じて公費を増やすような調整の仕組みが入っ ておりますが、一方で社会全体で支える公費の割合と現役世代を中心とする保険料部分の負担割合につい ても、固定せずに高齢化の進展に応じて公費を増やすような調整の仕組みが導入できないか、検討してい く必要があると思います。  また、公費の具体的な中身についてどう考えるかについては、この場で議論することではないのかもし れませんが、これからの社会保障制度を支える財源のあり方については、公費においてもできるだけ特定 の世代に偏らない負担ということが重要であり、社会保険料と同様の現役世代の賃金に着目した税と各世 代において幅広く負担する税をあわせて考えていくことが今後の社会保障の安定的な運営にとって大事で はないかと考えております。 (横尾委員退室)  それから、現役世代の保険料について、これもいくつか御意見ありましたが、現役世代の保険料からの 支援金のあり方については、高齢者医療制度を社会全体で支えるという観点から、各制度間でより公平な 負担のあり方が重要であるという意見を申し上げてまいりました。現役世代が高齢世代を支援する際には、 支え手である現役世代内でも支え合うという考え方が求められると思いますので、各制度間の負担能力を 反映して所得に応じた負担、少なくとも被用者保険内では総報酬按分とすることが必要ではないかと考え ております。  それから、基本資料の先ほどのA案・B案・C案ですか、これについて、A案については試算が出てお りますが、B・C案についても試算を出していただくということであり、今後の議論のためにはそれぞれ の案の財政影響を見ることが必要だと考えます。特にB案については、資料の課題のところの3つ目の 「○」で「被用者保険者(特に協会けんぽ)の負担増が生じる」という記述があるわけでありまして、ぜ ひB案・C案についても試算していただきたいと思っております。協会けんぽの財政状況を考えますと、 B案については、公費による十分な手当がなければ制度改正による負担増を受け入れることは極めて難し いと考えておりますので、念のため申し添えておきたいと思います。それから、また、だれがどこの保険 に加入するかという検討に当たっては、高齢世代の医療費をだれが負担するかという点と、どの保険者に 加入した方が効率的な保険運営がなされるのかという点に分けて議論していく必要があるのではないかと 考えています。  もう一点、先ほど池上委員から、これは統合は相当先の段階とお考えだと思いますが、国保と協会けん ぽの統合という話がございました。これにつきましては、所得捕捉のあり方もさることながら、協会けん ぽは被用者保険であり、事業所を通じて保険料を納付していただいているという意味で、個人を事業所と のつながりのない中で把握していくということは、現時点においては地域保険の事務処理に関する体制や ノウハウ、こういったものの蓄積は協会けんぽには全くないことから、事実上困難、極めてハードルが高 いと考えております。  以上です。 ○岩村座長  ありがとうございました。 それでは、お待たせしました、池上委員。 ○池上委員  いくつか私の言葉足らずで誤解があった点を申し上げますと、まず第1点は、国保の県単位の統合化、 私は大いに賛成であります。しかし、それには時間がかかるので、後期高齢者制度のそのまま受け皿にな り得ないということを申し上げた次第です。それに対して、私は、先ほど小林委員もちょっと誤解されて いまして、私が申し上げたのは、国保と協会けんぽの統合ではなく、後期高齢者医療制度と協会けんぽの 統合であるわけです。それは保険料徴収の仕組みなどはおっしゃるように全く別ですから、その別の方式 をそのまま踏襲した上で、なぜ協会けんぽに着目したかと申しますと、実はリスク構造調整を日本で実施 している唯一の保険者が協会けんぽであるわけです。つまり都道府県ごとに所得と年齢構成、これは協会 けんぽの被保険者及び扶養家族に限っているわけですけど、それに基づいたリスク構造調整を都道府県単 位で行っている唯一の保険者であるからこそ、そのノウハウを生かした上で、保険料徴収などの点につい ては、現行方式を継続した上で行うことを想定したわけでございます。これは少し突飛な話と思われるか もしれませんけど、先ほどデータの提出をお願いしたのは、リスク構造調整を完全に実施した上でのそれ ぞれの拠出部分、受取り部分というものを保険の国保、被用者保険においてどうなるか。そして、その激 変を緩和するためにはどれだけ公費を投入すれば、リスク構造調整を完全に実施後にはどのくらい緩和で きるかという観点からの議論をした方が、何歳以上に対し、70歳以上、75歳以上、65歳以上というものに 対して、どれだけ公費を投入するかという議論よりも生産的であると私は考えました。 ○岩村座長   それでは、樋口委員、お願いをいたします。 ○樋口委員  全然別なことでよろしゅうございますか。 ○岩村座長  結構でございます。 ○樋口委員  学者の先生方の理論闘争は誠にきちんと構成されていて、どっちも本当だと思ってゆらゆら揺れ動いて おります。この問題は、私どもは、75歳以上の高齢者がどのような医療的立場に置かれたら一番幸福感を 持って安定感を持って生涯を終わることができるのだろうかという視点から、今日考えてきたいと思って おります。 ところで、保険料の給付とか負担の問題を話す機会が今後あるのか、ないのかと思っておりますけれど、 今日が最後だとしたら、例えば三上委員が先ほど言われた負担を一体どこまでを上限とするのかとか、私 は今までにも述べておりますように、それが公平・公正なものと納得ができるものならば、一定の所得の ある高齢者が、負担するのは当然と思っています。あるいは仮に所得が低くても、いつか岩見委員が、高 齢者は払わなくてもと親切におっしゃってくださいましたけれど、私は低額でも年金を国の制度の中で受 けている以上、100円でも負担するのが高齢者の心意気ではなかろうかと思っております。私自身急激に はね上がった保険料を「現役」並みの所得があるのだから仕方がないと思って納めています。 ただ、不安がございます。この後期高齢者医療制度のいいところは、若い世代と高齢者との負担の比率 を定めたことだとはおっしゃいますけれど、すでに今、ここにもたくさん試算が示されたように、高齢化 の進展、75歳以上の増加によって、医療費の増大というのは目に見えているわけですね。そのときに今の 5:4:1が果たして守られるのか。いや、ことし既に実態的には破綻して後期高齢者医療費の保険料は実 はかなり増大しているはずなのに、そこは公費の投入などで抑えてくださっているのだぐらいのことはみ んなよくわかっていると思います。公費の投入、私はこれしかないとは思っておりますけれど、近々私の 属する団体やNPOの方でも、厚生労働大臣に要望書を介護保険の方で提出する予定でございます。そこ でも、ぜひとも「公費の増大を」と言うよりほかはございませんし、それから、私は「子育て応援団」の 共同団長というのもやっておりまして、保育に関してもぜひとも公費の増大をと、3通要望書を書くので すけれど、3通とも全部「公費の増大を」ということを訴えていて、政府の身になってもこれは気の毒だ わいと、一体どこでだれが負担するのかということをもう一度、根底に立って考え直していかなければな らないと思います。  それから後期高齢者医療制度での保険料は所得6百万円以上、上限50万円です。他の保険との整合性 はどうなのか。6百万円所得の人も50万円、2千万円所得の人も50万円というのは少し一律であり過 ぎるのではないか。この辺も見直していただきたいと存じます。  後期高齢者医療制度は金持ち優遇だと言われる批判が1つございます。それは国民健康保険におきまし ては、たしか上限が59万円なんですね。後期高齢者にも金持ちはいるはずなのに50万円になった。これは 金持ち優遇ではないか。この批判もごもっともでございます。この制度の保険料は低所得層の負担につい て大きく議論が交わされました。しかし実際に多くの負担を支払う中・高所得層の保険料について、ほと んど議論がなかったように思います。この点もよろしくお願いしたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。  それでは、西川委員、手短に、時間が迫ってまいりますので、お願いをいたします。 ○西川委員(神田委員代理)  代理で申し上げて申し訳ないです。さっきいろんな経営主体の話がありましたけれども、これはだれが 責任主体かということと、責任主体が安心して役割を果たせるかどうかの仕組みをつくるかどうかという のは全然別なことだと考えるべきだと思います。それから、これから医療費がどんどん伸びていくという お話申し上げましたけれども、健全な方法で医療費が抑制されるというのは極めて重要でありますから、 健康づくりなどのことを考えますと、市町村で具体的にやっている受益と負担の連動をしっかり持ってお かないと医療費は増えていきますし、全然医療費が合理的にみんなで考えていこうというインセンティブ は働かないと思いますから、そういう仕組みはこの制度の中で求める必要がぜひあると思いますから、こ の点はよく御議論願いたいのと、もう一つは、今、あまり表に出ておりませんが、企業の負担というのが どうなっているのか、国際比較ですね。これは法人税もありましょうし、企業の社会保険料負担というの も国際化の動きが、このバランスが何ゆえに日本の社会保険料負担が諸外国に比べてあまり高くないのか という意味をぜひ究明して、国民的な合意を得て、この問題に取り組むのが重要かなと、こんなふうに思 います。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。  まだ今日御発言なりたい方もいらっしゃるかと思いますけれども、そろそろ時間が迫っておりますので、 今日の議論はこのくらいにさせていただきたいと思います。先ほど樋口委員が保険料の話ということをお っしゃいましたけれども、一応スケジュールでは次回、「保険料、給付、医療サービス等のあり方」とい うことで議論をすることになっておりますので、その点も含めてまた御発言等をいただければというよう に思います。  それで、大臣が来ていらっしゃいますので、一言、お願いをしたいと思います。  それではカメラが入るのですか、お願いいたします。 (カメラ撮り) ○長妻厚生労働大臣  どうも皆様、連日活発な御議論をいただきまして、また、夜遅くまで御議論をいただきましてありがと うございます。  いろいろな案をいただいたわけですけれども、原点はこの後期高齢者医療制度でいろいろな御批判をい ただいたという反省に立った上で今回新しい制度ということであります。脳髄の盲点という言葉がありま すけれども、前回の後期高齢者医療制度の経緯を聞きますと、あのとき、かなり時間をかけて議論したと きに、まずはあのネーミングについてどなたも違和感があるというお話はなかったということで、そのま まそれがスタートと同時に出た。あるいは75歳以上の方を区分して1つの保険にしてしまうということ自 体についての大きな問題の指摘もなかったということであります。費用負担の話はかなり出たということ を聞きましたけれども、ある意味では国民の皆さんの意識、利用者の立場をあまり考えず、利害調整の視 点が非常に強かったというようなこともあろうかと考えておりまして、もちろんだれがいくらお金を出す のかというのは最も重要なことでありまして、それぞれのお立場の組織にとっては、これは死活問題にも つながるということもありましょう。  そういう議論の中で、ぜひ今日も、特に樋口先生の方から、一生の自分のための貯蓄だということと、 世代間対立というのはよく考えると、いずれはみんなお年を召すわけでありますので、そういう議論も非 常に参考になるわけであります。いずれにしましても、この議論を重ねて一定の結論を出す必要があるわ けでありまして、これは言わずもがなの話でありますが、利用者の立場、国民の皆さん、生活をしている 方の立場に立つ制度をつくっていくことが何よりも重要であると思います。  あと、西川知事の方からもお話がございましたけれども、公平性や平等性というのももちろん重要であ りますけれども、給付と負担が連動するというようなお話もありまして、一番平等なのは、これは頭の体 操で言いますと、日本国民を全部1つの制度で日本国が1本の制度と、これは全部保険料の上昇も同じと いうことになりましょうけれども、その中で保険者機能ということで、長年ある程度様子がわかっている、 あるいは地域や職域というところで一定の人数の規模で、そこで手厚く予防も含めたお世話をしていくと いうことで、全体の医療というのも抑制を適正にしていくというような機能も忘れてはならないわけであ ります。いろいろな連立方程式があろうかと思いますけれども、いずれにしましても、いずれ将来的には、 当然選挙を経ての後でありますけれども、消費税の議論や負担の議論というのが出てくるときに、負担と 給付が1対1で対応して、途中でむだとか、不透明な形はないと。自分たちが払ったお金が間違いなく医 療や社会保障のサービスに結びついているのだというようなことの実感と、あるいはもう一つは、いい商 品、いいサービスにはやはり対価を払ってもいいというようなことを思っていただけるような、今以上に いい品質の高いサービスを提供できるにはどうしたらいいかというようなことも、これは議論のポイント だというふうに思います。  その中で、私どもは国の公費を扱う立場でありますので、保険者の皆様方とも十分議論をしながら、負 担をどこで、だれが、いつするのかというようなことも、今、鳩山政権の中で議論を進めるということで、 菅大臣中心に議論をして、そして番号制や年金の抜本改革も含め議論が始まっておりますので、ぜひ皆様 方の英知を結集した制度の御提案というのも、今後とも御指導を賜りたいというふうに考えておりますの で、よろしくお願いします。  本当に今日は大変長時間にわたり、また夜分遅く御議論をいただきましてありがとうございます。先の 後期高齢者医療制度のある意味では轍を踏まないということで、皆様方の御指導を今後ともいただきます よう、よろしくお願いをいたします。  どうもありがとうございました。 ○岩村座長 大臣、どうもありがとうございました。大臣の方に、今日の議論を大体まとめていただいたというよう な気もいたしますので、ちょっとだけ、私なりの感想を述べさせていただきますと、今日議論聞いていて、 私の印象としては、1つは、高齢者の医療制度というのは国民全体で支え合っていかなければいけないと。 それは保険料という形であれ、公費という形であれ、支え合っていかなければいけないという点では大体 皆様方、意見が一致しているのではないかというように思ってお聞きしておりました。 あともう一つ、今、大臣のお話にもありましたように、ここでの場の議論の外にある実は変数がいろい ろあって、そういう点で、逆に言うと、こちら側の議論も実は制約されざるを得ないというところがやは りあると。これはとりわけ税の問題であるとか、そういったことは私どもで議論するわけにはいかないし、 決めるわけにもいかないということでありますので、ある程度、今の姿を前提としながら、そこでの議論 ということをやらざるを得ないかというのが1点あったかと思います。  それから、大体皆様方、この後の高齢化ということを考えたときには、公費の投入ということについて 考えていかなければいけない。ただ、ちょっと議論が多分まだ分かれているかというのは、どういう形で どういうふうに公費を投入するのか。そのやり方、割り当て方をどうするのかということについて、それ ぞれのお立場でそれぞれのお考えがあって、そこはこれからまた議論を深めていくということになるのか と思います。  いずれにしても、今日いくつかの制度案について、こういう形で少しシミュレーションをしてもらって と、そういう御要望も出て、先ほど事務局の方からもできる限りの努力をしますということでございまし たので、そういったシミュレーションを出していただいて、それをベースにして議論をすることによって より今日議論いただいたこの費用の負担の問題の論点はクリアになっていくかと思いますので、事務局に おかれましては、難しい作業も入っているようには思いますけれども、できる限り、御努力をいただきた いと思いますし、また、それに基づいて委員の皆様方も次回に向けて、次回というか、この後の議論に向 けて御検討いただければというように思います。  そこで次回でございますけれども、4月は第5回ということになって、先ほど樋口委員の御質問なりに お答えするような形でお話しましたが、保険料と給付、医療サービスなどのあり方ということについて御 議論をいただきたいと考えております。これは先ほど大臣も触れられました、どういうサービスを提供す るのかという問題ともかかわることでありますので、ぜひ活発な御議論をいただきたいと思います。  それから、5月が第6回ということになりますが、第6回につきましては、これまでの議論におきまし て、論点が明確になってきました課題について、より深めた議論を行うことができるようにしたいと思っ ておりまして、そこで高齢者医療に見識のある有識者の方からヒアリングを行いたいと今のところ考えて おります。そこで恐縮ですけれども、各委員におかれましては、もしこのヒアリングということでお招き したい候補者の方がいらっしゃるということであれば、事務局の方まで御連絡を頂戴したいと思います。 ただ、日程調整の問題がございますので、先方様の御都合がございますものですから、もし候補者がいら っしゃる場合はできるだけ早く事務局の方に御連絡を頂戴したいと思います。その上で、どの方からヒア リングをするかということにつきましては、大変恐縮ですけれども、私に御一任いただければ存じますの で、その点、御了承をいただきたいと思います。  次回でございますけれども、次回は4月14日の午後5時20分から7時20分までということで予定をして ございます。細かいことにつきましては、事務局より改めて御連絡を差し上げますので、よろしくお願い いたします。  それでは、今日はお忙しいところ、夜遅くまで大変ありがとうございました。これで終了させていただ きます。 ○長妻厚生労働大臣  どうもありがとうございました。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199