10/03/03 第46回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録 第46回労働政策審議会職業能力開発分科会          日時 平成22年3月3日(水)          17:00〜          場所 職業安定局第1会議室 ○今野分科会長 時間ですので始めます。第46回労働政策審議会職業能力開発分科会 を開催します。本日は、黒澤委員、三村委員、水町委員、井上委員、中村委員、大野 委員、荒委員がご欠席です。浅井委員は遅れていらっしゃいます。  議題に入ります。本日は、2つありまして、第1番目は、前回に引き続きまして「国 が行う職業訓練の今後の在り方について」です。事務局から資料を説明していただい て議論をしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。 ○井上総務課長 お手元の資料1は、第45回職業能力開発分科会における議論の整理 (案)です。前回、先月の17日の分科会で行われました議論、意見について整理をさ せていただいたものです。大きく4つに分けていまして、1つは1にありますように「 職業能力開発総合大学校について」です。2つ目は、2の「新法人のガバナンスについ て」です。これは、新法人におきまして労使の代表者の方の参画等といった関係です。 3つ目は、3の「職員の雇用について」です。4つ目は、4の「国が行う職業能力開発に ついて」です。ここでは、昨年7月から緊急人材支援事業が始まっている最近の情況等 について触れられています。  続きまして、資料2をご説明させていただきます。前回のご議論の中でご指摘、宿題 をいただいたものにつきまして、事務局として整理したものです。1枚目です。「新法 人における職業能力開発業務の運営に関する意思決定について(案)」です。前回の 分科会におきまして、ご紹介をさせていただきました中小企業退職金共済法におきま して、勤労者退職金共済機構における運営委員会を例にしながら整理をしました。大 きく新法人の中央と地方に分かれてまいります。それぞれ大きな枠で括っているとこ ろです。  中央におきましては、意思決定機関として運営委員会を置くということです。運営 委員会の構成につきましては、右のほうをご覧いただきますと、労使の代表、学識経 験者です。運営委員会の機能ですが、左のほうをご覧いただきますと、1のところに(1) 〜(3)まで業務方法書の変更、中期計画、年度計画といった重要事項については、運営 委員会の議を経なければならないと。これら重要事項については、運営委員会が意思 決定機関となるという趣旨のものです。  2ですが、1の(1)〜(3)以外の重要事項についても理事長の諮問に応じて意見をいただ く。あるいは、運営委員会として必要と認める事項について理事長に建議をいただく ということです。運営委員会と理事長の関係ですが、運営委員会が重要事項について 意思決定機関、理事長以下が執行機関になるという整理です。  地方につきましては、地方運営協議会という枠で整理しています。構成としては、 右のほうをご覧いただきますと労使の代表、あるいは自治体、都道府県労働局、学識 経験者の方々をメンバーとするということです。協議会の機能として、(1)〜(3)です。 1つ目は、地域の訓練ニーズ、人材ニーズを把握する。2つ目は、訓練実施の年度計画 を策定する。3つ目には、訓練の実施状況の評価、検証を行うというものです。  中央の部分と地方の部分との関係について、それぞれ下向きと上向きの矢印で整理 しています。下向きの矢印におきましては、各年度、都道府県ごとの訓練規模、分野 等に応じて、新法人の本部から予算を配賦するという関係です。その上で、その年度 その地域において実際に訓練を実施し、これを協議会において実施状況の評価、検証 をしていただいたうえで右の上向きの矢印ですけれども、地域の訓練ニーズを踏まえ た形で訓練規模、分野等に係る報告・要望を本部に出していただく。そうした報告・ 要望を踏まえまして、次年度の予算、事業計画等を作成しまして理事長が運営委員会 にお諮りするという仕組みです。  続きまして、資料2の4頁は、前回、もう1点いただきました宿題に対して整理をさせ ていただいたものです。「雇用・能力開発機構廃止後の新たな法人における職業訓練 の新たな展開」ということです。いただきました宿題につきましては、雇用・能力開 発機構が新法人に移行するにあたり、予算・人員を大幅に削減する、その一方で、能 力開発に対するニーズ、需要が高まっている、これについて、どういうふうに対応し ていくのかということであったかと思います。そうした予算・人員が削減される中で 能力開発業務のレベルを維持向上させていくための仕組みとして大きく2つ考えていま す。  1つは、先ほどの新法人の意思決定のところでご説明させていただきました中央、あ るいは地域における運営についての協議機関の設置ということです。この図の中で申 しますと、上の2つの枠、「職業能力開発業務の運営への労使の参画により」云々とい う部分と「都道府県別の協議会の設置による」という部分です。協議会を通じまして 、労使、地域の訓練ニーズを的確に把握し、訓練の内容に活かし、訓練の実施状況を 評価、検証することによって能力開発業務の効果的、効率的な運営を図ってまいりま す。  2つ目の仕組みです。図の中で、下のほうになりますけれども、新法人のポリテクカ レッジ、総合大という括りの部分です。ポリテクセンターは、離職者訓練、あるいは 在職者訓練、ポリテクカレッジはものづくり関係の訓練、総合大は指導員の訓練のほ か、訓練カリキュラムの開発を行っているところです。ポリテクセンター、ポリテク カレッジ、総合大がそれぞれ自ら訓練を実施することのみならず、左のほうに民間教 育訓練機関、NPO等、都道府県、右のほうにものづくり企業がございますが、多用な能 力開発の主体に対しまして、新法人としてカリキュラム等のノウハウを提供、あるい は人材の育成による人材の供給といった支援を行うことにより、全体として能力開発 業務のレベルを維持、向上させていこうという考え方です。  これにつきましては、下のほうの※、青い字で整理をさせていただいています。新 法人においては、ものづくり訓練の実施のほか、新規成長分野等に係る訓練について 、民間教育訓練機関や都道府県に対し、訓練カリキュラムの開発・提供等の支援を強 化し、国(新法人)、都道府県、民間教育訓練機関、NPO等による国全体としての訓練 規模やレベルを確保するという考え方です。  これらの大きく2つの仕組みを通じまして、新法人として発揮すべき3つの機能とい うものを整理しています。図の中で申しますと真ん中より少し右の上のところですけ れども、新法人の3つの機能というところです。1つには、ものづくり訓練による雇用 のセーフティネット、技能者・中核人材の養成の役割を果していく。2つ目は、新規成 長分野等のカリキュラム開発・提供等によりまして、民間教育訓練機関等に対する支 援を行っていく。3つ目は、国、都道府県、民間教育訓練機関、NPO等による国全体と しての訓練規模やレベルを確保するためのトータル・コーディネート、支援を行って いくという3つの機能に整理しているところです。資料2についての説明は以上です。  続きまして、資料3についてご説明させていただきます。「国が行う職業訓練と雇 用・能力開発機構の今後のあり方について」ということで、前回、前々回とご議論い ただきました内容をもとにいたしまして、職業能力開発分科会の報告(案)として作 成をさせていただいたものです。内容につきましては、このあと全文を読み上げさせ ていただきます。 ○事務局 読み上げさせていただきます。  国が行う職業訓練と雇用・能力開発機構の今後のあり方について(職業能力分科会 報告(案))。I.見直しの背景。厳しい雇用失業情勢が続く中、離職者訓練の対象や 受講者数が拡大する等、離職者訓練に対するニーズが高まっており、その的確な実施 が緊要な課題となっている。また、今後新たに成長が期待され、雇用の創出が見込ま れる産業において、その担い手となる人材の育成が求められている。特に、昨年夏か ら、第2のセーフティネットの一環として、雇用保険を受給できない求職者を対象に、 職業訓練とその期間中の生活支援を行う緊急人材育成支援事業が開始されるなど、新 たな取組も講じられており、また、平成23年度に求職者支援制度を創設すべく、本審 議会の雇用保険部会での検討が開始されたところである。  また、我が国の基幹産業であるものづくり産業においても、国際競争力の強化や技 能継承等の観点から、企業における中核的な人材の育成・確保が課題となるなど、職 業訓練の重要性はますます高まっている。  他方、これまで国が行うべき職業訓練の実施を担ってきた雇用・能力開発機構につ いては、職業訓練をはじめ多岐にわたる業務を行う中で、スパウザ小田原や私のしご と館の設置・運営のあり方等について問題を指摘されてきたところである。こうした 状況に対応し、「雇用・能力開発機構の廃止について」(平成20年12月24日閣議決定 。以下「平成20年閣議決定」)を踏まえ、雇用・能力開発機構を廃止する等の抜本的 見直しを行うとともに、雇用のセーフティネット、ものづくりに必要となる人材の育 成等の観点から、国の責任において実施されるべき職業訓練を担う全国ネットワーク の組織体制を整備し、職業訓練の機能を強化する必要がある。  II.今後のあり方。1.国が行う職業訓練の位置づけについて。(1)国が行う職業訓練 の役割。国は、(1)雇用のセーフティネットとして機動的かつ全国的に行う離職者訓練 、(2)中小企業の労働者等に高度な技能を習得させるための在職者訓練、(3)企業内で生 産部門のリーダーとなる中核的な人材を育成するための学卒者訓練について、高度な 訓練設備等を要し、スケールメリットを活かすことで初めて実施可能となるものづく り訓練等を中心に行ってきたところであるが、今後とも、国は国以外の主体では的確 かつ確実な実施が困難な分野の訓練の実施を担うことが適当である。  (2)国と都道府県の役割。平成20年閣議決定に「可能なものはできるだけ地方や民 間にゆだねていくとの視点に立って、適切な役割分担を図る」とあるように、これま で、国は、(1)のとおり、雇用のセーフティネットとしての離職者訓練や、在職者や 学卒者を対象とした高度なものづくり訓練等を行い、都道府県は、地域の産業にお ける人材ニーズに応じた職業訓練を行ってきたところであり、今後とも、こうした 役割分担が適当である。  (3)国と民間教育訓練機関の役割。平成20年閣議決定に「可能なものはできるだけ 地方や民間にゆだねていくとの視点に立って、適切な役割分担を図る」とあるように 、これまで、介護分野や情報通信分野など、民間教育訓練機関で実施可能な訓練分野 については、民間教育訓練機関への委託により実施し、国は民間教育訓練機関では実 施できず、かつ、我が国経済社会にとって必要なものづくり分野の訓練の実施を中心 に担ってきたところであり、今後とも、こうした役割分担が適当である。また、国は 、民間教育訓練機関における職業訓練の質の維持・向上を図るため、国が開発し保有 している訓練カリキュラムや指導技法等のノウハウの提供等を通じ、民間教育訓練機 関を支援・指導していくことが適当である。  (4)新規成長分野等における職業訓練。従来のものづくり訓練のみならず、今後、 雇用の創出が見込まれる新規成長分野を担う人材の育成が課題となる中、新たな成長 産業に必要とされる人材を育成するための訓練ニーズに対応した職業訓練について、 国がその基盤を整備し、民間教育訓練機関等でそうした訓練が実施されるようにして いくことが適当である。  2.国が行う職業訓練の内容及び施設のあり方について。(1)職業訓練の内容。国は、 ものづくり訓練について産業構造等が変化する中で、PDCAサイクルにより訓練内容を 不断に見直し、産業分野ごとの訓練ニーズや技術確信に対応可能な職業訓練を的確に 実施していくべきである。また、国は、新規成長分野等の新たな職業訓練の基盤を整 備するため、民間に先導した訓練カリキュラムの開発、訓練を実施する民間教育訓練 機関の開拓等を行うべきである。 (2)職業訓練施設。(1)ポリテクセンター。職業能力 開発促進センター(ポリテクセンター)については、雇用のセーフティネットや中小 企業における優秀な技能労働者の供給、確保等の観点から、引き続き、ものづくり分 野を中心に、離職者訓練や在職者訓練を的確に実施していくべきである。ポリテクセ ンターの施設内では対応できない訓練や、雇用情勢の悪化に対応して機動的に行う離 職者訓練については、これまで以上に、民間教育訓練機関を積極的に活用して実施し ていくべきである。内容の定型化した訓練については、都道府県から民間教育訓練機 関への委託とする規模を拡大する方向とする一方、新規成長分野等の新たな訓練分野 については、ポリテクセンターが積極的に民間教育訓練機関を開拓して実施していく べきである。  平成20年閣議決定においては、ポリテクセンターの移管について、「財源及び人員 を含め、各都道府県の受け入れやすい条件を整備する」等とされており、その譲渡額 及び譲渡後の運営費については、都道府県が受け入れやすい条件を整備することを基 本としつつ、雇用保険二事業を財源として運営されていることや、引き続き雇用のセ ーフティネットとしての機能が確保されるようにすること、訓練を担う人材の確保が 適切になされるようにすること等の観点から対応することが適当である。  (2)ポリテクカレッジ。職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)については、我が 国の中小企業における技能継承や国際競争力の維持・向上等の観点から、引き続き、 ものづくり企業に必要な中核人材を養成し、供給するための学卒者訓練を的確に実施 していくべきである。平成20年閣議決定においては、ポリテクカレッジの移管につい て、「財源及び人員を含め、各都道府県の受け入れやすい条件を整備する」「都道府 県への移管に当たっては、ブロックごとに水準を維持して運営・実施できることを前 提とする」等とされており、その譲渡額及び譲渡後の運営費については、上記のポリ テクセンターの考え方に加え、ブロックごとに職業訓練の水準が維持されるようにす る観点から対応することが適当である。  (3)職業能力開発総合大学校(総合大)。職業能力開発総合大学校における指導員の 養成及び再訓練については、公共職業能力開発施設等における職業訓練の質を維持・ 向上させる観点から、企業・公共職業能力開発施設における実習、キャリア・コンサ ルティング等の就職支援の強化等の措置を講ずるとともに、コストパフォーマンスの 面も含め、そのあり方について、引き続き検討することが適当である。新規成長分野 等のカリキュラム開発等については、公共職業能力開発施設のみならず、民間におけ る職業訓練の実施を支援する観点から、引き続き積極的に行い、その成果を広く民間 教育訓練機関等に対して提供していくことが適当である。  (4)地域職業訓練センター等。地域職業訓練センター及びコンピュータカレッジにつ いては、地域における職業訓練の実施に果たしている役割を踏まえ、希望する地方自 治体への円滑な移管を図るための措置を講ずることが適当である。  3.国が行う職業訓練を担う法人のあり方。(1)職業能力開発業務への特化。雇用・ 能力開発機構に係るこれまでの問題の指摘等を踏まえ、新たな組織体制においては、 雇用・能力開発機構が行ってきた業務のうち、職業能力開発業務に特化し、これま で以上に労使や地域のニーズを反映した職業訓練を実施するとともに、より効率的で 効果的な職業訓練やその実施体制を確立するべきである。  (2)新たな組織が果たすべき機能・役割。新たな組織においては、従来からのもの づくり訓練について、PDCAサイクルによる訓練内容の不断の見直し等を通じ、雇用の セーフティネットや、ものづくり企業の技能者及び中核的人材の育成といった、雇用 ・能力開発機構が担ってきた基本的機能を維持・強化すべきである。また、新規成長 分野等の訓練についても、国が策定する成長戦略を踏まえながら、それを担う民間教 育訓練機関等を開拓するとともに、当該機関に対し、訓練カリキュラムや指導技法等 のノウハウを提供するなど、支援を強化すべきである。こうした取組を通じ、新たな 組織においては、国、都道府県、民間教育訓練機関、NPO等による国全体としての訓 練規模やレベルが確保されるよう、トータル・コーディネート機能を果たすべきであ る。  (3)労使の代表者の運営への参画。職業訓練に係る労使のニーズや新規成長産業や ものづくり産業における訓練ニーズ等を的確に踏まえ、効果的な職業訓練が実施でき るよう、新たな組織体制においては、職業訓練のユーザーである中小企業等の使用者 や労働者の代表が法人の訓練分野における運営に参画し、その意見が職業能力開発業 務の運営に的確に反映される仕組みを設けるべきである。  (4)地域における協議会の設置。地域の産業における人材ニーズに応じた職業訓練 分野の設定や、地域の労使団体、関係行政機関等のネットワークを構築することに より、職業訓練受講者に対する求職支援等が的確に行えるよう、ポリテクセンター を中心として、これらの機関が連携・協議できる場を設けるべきである。  (5)労使の参画によるガバナンスの強化及び効率的な組織運営。雇用・能力開発機 構を廃止した後の新たな組織における職業能力開発業務については、上記(2)の労使 の代表者による運営への参画を通じてガバナンスの強化を図るとともに、保有資産の 効率的活用の観点から、資産の必要性等を不断に精査し、スリム化を図るなど、効率 的な組織運営を徹底的すべきである。  (6)新たな組織における職員の採用等。「独立行政法人の抜本的な見直しについて 」(平成21年12月25日閣議決定)においても、「独立行政法人の雇用問題に配慮する 」こととされており、新たな組織への移行に際しては、雇用問題を生ずることなく円 滑な移行ができるよう、また、職業能力開発業務に携わってきた意欲と能力のある職 員が高いモチベーションを保って当該業務を担うことができるよう配慮すべきである 。ご説明は以上です。 ○今野分科会長 それでは、いま説明を受けましたので、前回と同様に議論をしてい ただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○新谷委員 資料2について、何点か質問をさせていただきたいと思います。資料自体 は非常にわかりやすくなっていて、新しい法人でのガバナンス、労使が入った委員会 の位置づけもよくわかるようになりました。現在も運営委員会がありますが、今回実 際に法律に書かれるということで、運営委員会の議を経なければできない事項と建議 することができる項目がありますが、現在の仕組との具体的な運営の違い、例えば個 別の問題が起こったときに、この運営委員会が、(1)〜(3)まで業務方法書の変更、中期 計画、年度計画については議を経るとなっているのですが、個別の課題に対してこの 運営委員会はどのような役割を担っていくのかというところがあれば、教えていただ きたいのが1つです。  もう1つは、独法の場合は理事長にすべての権限が集中していて、この絵でも薄く 「理事」と書かれてあって、執行機関としての機関が正式な機関ではなくて、理事長 1人にすべての権限が集中していると聞いています。ただし、現実の運用に当たっては 、下におられる理事の方々のご意見を聞きながら理事会的な運用をされていると思う のですが、将来の意思決定の問題としてこの理事長と理事との関係を今後どのように されていくのか、あるいは理事会というものが構成されるのかどうかも含めて、理事 長への権限集中の問題と理事との役割分担との問題で、何かお考えがあればお聞かせ をいただきたいと思います。  3点目は、地方の運営協議会ですが、これも前回の資料よりも行うことが明確にな っていて、(1)〜(3)のことを指すというのはよくわかりました。ただこれは、都道府県 にポリテクセンターが残るというモデルでの例示だと思います。これは閣議決定でも ありましたように、移管できる所は地方に移管することになっていますので、そのと きの地方の運営協議会の運営をどのようにされるのか。ポリテクセンターが都道府県 の所属になったときに、全国を有機的一体とした職業訓練を地方との関係でどのよう に協議を進めていくのかというものがあれば、教えていただきたいと思います。以上 3点です。 ○今野分科会長 1点目の質問なのですが、個別の課題について運営委員会はどう対 応するかですが、例えば個別の課題というのはどのようなことを考えていらっしゃい ますか。そうでないと、ちょっと答えにくいかなと思います。細かいことではないで すよね。 ○新谷委員 そうですね。一応(1)〜(3)以外の所で運営委員会はどのような関わりを持 てるのかお聞きしたいです。 ○今野分科会長 では、お願いします。 ○井上総務課長 まず1点目ですが、資料の左側に1と2に分けて書かせていただいて います。独立行政法人の業務運営にとっていちばん根幹となるのは、(1)〜(3)に並べて いる業務方法書、5年単位の中期計画、それから年度計画ですので、基本となる部分 は必ず運営委員会で議決いただくと。それに従って、執行機関が執行するということ です。個別の課題については、2の所ですが、執行機関である理事長がその都度運営 委員会に諮問し、ご意見を伺う、あるいは個別の課題について運営委員会の側で気づ いた点があれば、運営委員会から理事長に対して建議という言葉で書いておりますが 、意見をおっしゃっていただくというような整理になろうかと思っています。  2点目ですが、独立行政法人としての執行機関としての権限が理事長に集中している 点についてです。これは、法制度上はそのような仕組みになっています。ただ、実際 の運用は、現在の独立行政法人の運用においても理事長の下でそれぞれの理事が、例 えば総務担当や職業訓練担当と、いわば法人の事務を分掌していますので、実際の運 用としては理事長が単独ですべてを決めるのではなく、理事会といったような形でほ かの理事にも図りながら、業務を執行しています。新法人においても、同じような運 用を考えているところです。  3点目は、ポリテクセンターが都道府県に移管された場合の運営協議会のあり方で す。ポリテクセンターが、従前、離職者訓練、ものづくり分野を中心として、離職者 訓練、在職者訓練を行ってきたところです。ポリテクセンターが都道府県に移管され た後においても、運営主体が都道府県となりましても、ポリテクセンターとして設置 、運営する場合には、引続きここにありますような地方運営協議会そのものではない かもしれませんが、右のような方々をメンバーとした運営協議会を設けて運営をして いただくように、私どもとして都道府県にも、そして関係者の方にもお願いをしてい きたいと考えています。  と申しますのは、ポリテクセンターが担っている機能は先ほど申し上げたとおりで す。これを維持していく場合には、訓練ニーズの把握あるいは訓練の実施状況の評価 、検証を、いま多角的な視点で、不断に検証しながら行っていく必要があります。そ うした形で、ポリテクセンターが移管された場合にも、中央運営協議会と同様の仕組 を設けていただくことにより、適切な運営を図っていきたいと考えています。以上で す。 ○新谷委員 2点目の理事長の権限の所なのですが、現実の運営が分掌されて理事の方 との分担でされていると思います。それは事実行為であって、運用については法律的 な裏付けがあるものではないと思います。お聞きしますと、独法ではどこも理事会な ど置いていないということなのですが、新法人の執行機関として、やはりずっと法的 には理事長集中体制でやっていくのか、あるいは何らかのときに理事会というものを この執行体制の中へ組み込む法改正を行うのかはわかりませんが、将来に渡る見通し についてどのようにお考えになっているのかをお聞かせいただけますか。 ○杉浦審議官 閣議決定では、あくまでも高齢・障害者機構に業務を移管することに なりますので、あくまでも独立行政法人である高齢・障害者機構の一部に業務がいく わけですね。そうすると、もちろんこのガバナンスの中で、こういった運営委員会の ようなものは作りますが、理事長や理事の果たすべき役割は、独法の通則法の中で全 独法に共通のやり方になっています。例えば、ほかの一般の公益法人のように理事会 を議決機関にするといったような形は、おそらくなかなか難しいのではないかと思っ ています。  それは、事実上、いまでも能開機構は理事会を置いて運用はしていますが、そこは 実際の運用の中でどういった議論をして、あくまでも理事長が最終的に決める形にな ろうかと思います。そういった制度の中の枠は、なかなかここだけ特別なやり方は難 しいのではないかと思っています。  それから、いろいろ独法のあり方についても、新しい政権の中でこれから議論が出 てくるかもしれませんが、またその中でどうなっていくかはわかりません。いまのと ころは、そのような考えです。 ○今野分科会長 ほかによろしいですか。 ○大久保委員 資料3の4頁で2、3お聞きします。1つ目は、(3)の総合大についてですが 、総合大の1つ目に書いてある内容を何度か読み直してみたのですが、実は何度読んで も、これだけは何が書いてあるのかよくわからないのです。前回の議論の整理の中で も、大学校についてはいろいろな議論がありまして、委員からもいろいろな意見が出 ていたかと思います。ここは、だらだらと1つの文章で何が書いてあるのかわからない のですが、何が言いたいのかということを確認したいというのが1点目です。何も言っ ていないような感じもするのですが、ここについての意図をもう1回改めて確認したい と思います。  2つ目は、今回は的はずれかもしれませんが、この一連のすべての文章案にはジョブ ・カードの話が1回も出てこないのですが、ジョブ・カードというのは新しい法人の職 業能力開発業務への特化というときには、含まれるのか含まれないのか。新法人は、 それをやるべきなのか、それともやるべきではないのか、何か考えがあるのであれば お聞きしたいと思います。  3点目は、4頁のいちばん下に「トータル・コーディネート機能を果たすべきである」 と書いてあるのですが、トータル・コーディネート機能とは何を言っているのかを教 えていただきたいと思います。以上です。 ○井上総務課長 まずは1点目です。報告案の4頁の総合大の1つ目の○の所の文章の意 味ですが、総合大については、基本的には2行目に書いておりますように「公共職業能 力開発施設等における職業訓練の質を維持・向上させる」と。教える指導員の養成、 再訓練のレベルを高めることによって、能開施設における訓練の質を維持・向上させ るという観点が、基本的にあります。  その一方で、例えば昨年11月の行政刷新会議における事業仕分けにおいて、総合大 についてコストパフォーマンスも含めて見直しを行うことが必要であるという評価結 果が出されているところです。そうしたことを踏まえて、当面の措置として指導員の レベルを高めるために、企業・公共職業能力開発施設における実習、あるいはキャリ ア・コンサルティング等の就職支援といった養成訓練、再訓練におけるカリキュラム の部分を強化する措置を講じると。当面の対応として、そのようなことを行っていき ます。それと同時に、コストパフォーマンスなどについては、引き続き不断にあり方 を検討していくことが、ここに書かせていただいた意味です。  2点目は、ジョブ・カードの観点が含まれていないということですが、ジョブ・カー ド制度に基づく訓練については、雇用型訓練、委託型訓練があります。現在、雇用・ 能力開発機構も、委託型訓練において、その実施のかなりの部分を担っているところ です。それについては、引続きそのような役割を果たしていくことを考えています。  3点目は、4頁目のいちばん最後の所だと思いますが、トータル・コーディネート機 能の部分です。これについては、先ほど説明させていただいた資料2の2つ目の図とも 関連してくるわけですが、新法人が新法人として、自ら訓練を実施したりすることの みならず、民間教育訓練機関、NPOあるいは都道府県など、各種の能力開発の主体に 対して、訓練カリキュラムのノウハウの提供などの支援を新法人が行うことによって 、新法人だけで能力開発業務を行っていくのではなく、そうした国、都道府県、民間 教育訓練機関、NPO等を含めた国全体としてのレベルで、訓練規模やレベルを維持、 確保していくと。そのようなことを行っていくことを、トータル・コーディネート機 能という言葉で書かせていただいています。 ○大久保委員 1点目の総合大についてですが、そうすると現在の総合大が持ってい る役割機能を基本的に変更せずに、効率化を図る話だと理解してよろしいのでしょう か。  それからジョブ・カードについては、新法人に行ってもらう可能性は多々あるもの の、事業そのものがまだ恒常的な事業というわけではないので、ここには書いていな いという理解でよろしいでしょうか。  3点目のトータル・コーディネート機能というのは、現在の雇用・能力開発機構も果 たしているという理解をされているということなのでしょうか。それとも、トータル ・コーディネート機能を新法人で新たに果たすことを目指して、機能を作っていくと いうことをおっしゃっているのでしょうか。もう1回、その3点を確認させてください。 ○杉浦審議官 総合大については、先ほど資料2の図の所で出てきましたが、もちろん いまのままということではなくて、養成のあり方、再訓練のあり方、それから訓練カ リキュラム等の提供・開発のあり方については、一方でさらに効率化を検討する中で 、より効果的な事業展開を図っていくということです。基本路線はそんなには大きく 変わらないのですが、その部分での努力をしていくことですが、そのあり方を具体的 にどうするかは、ここでは引続き検討という形になっています。そこを、効果的、効 率的に図っていくという趣旨でご理解いただければと思います。  それから、ジョブ・カードについてはおっしゃるとおりで、確かにそこはそれなり の役割は担っています。もちろんジョブ・カード制度は、これからも引き続き行って いくつもりではいるのですが、雇用型訓練では民間の企業にお願いをして訓練をして もらって、それをそのカードで評価してもらうというようなやり方については、能開 機構が行うというよりも、むしろ民間主体型で行っていただくような話ですので、あ えてここにそこまで触れていないのですが、どこかに触れたほうがいいというのであ れば、また考えます。  それから、このトータル・コーディネートという話は、もちろんいまでも行ってい ないわけではないのですが、そこはよりこのような観点で、民間あるいはNPO等にお ける訓練の状況も把握しながら、全体を見て地域レベル、国レベルも含めて、よりそ この意味合いを強めていきたいという趣旨で書いてあるわけで、これから行いますと いうことではありません。 ○大久保委員 最初の2つは分かったような分からないようなところなのです。トータ ル・コーディネート機能の所は、新法人が単にその先へ再委託をするときは素通しを するわけではなくて、どこにどれだけノウハウを集積して役割を果たすのかというこ との、1つの考え方の概念の肝になるところなので、もう少し説明をされて、さらに そのトータル・コーディネート機能を強化していくと、きちんとお書きになったほう がいいかなと思います。 ○今野分科会長 私も1点目について文章を読んでみたのですが、やはりわかりにくい ですよね。たぶん構造は、いま大久保さんが言われたことを言い直しますと、総合大 学校が行う事業分野は変わるのか、変わらないのかということがあります。先ほどの 話でしたら、事業分野は変わらないということですよね。そうすると、変わらないと きに事業分野のサービスのクオリティを上げるかどうかの問題と、コストパフォーマ ンスを上げる問題と、3つあるのですね。それが、何かゴチャゴチャと入っているので 、わかりにくいのかなと思います。  ただ事業分野については、全く同じとここに書くか、例えば公共職業能力開発施設 等に入っていますが、それ以外の民間の訓練もすごく強化をするのだということです と、事業分野を少し変えることになりますよね。もしそれを変えるのであれは、きち んとそこは書いたほうがいいと思います。事業分野、サービスのクオリティ、それか らコストパフォーマンスがゴチャゴチャと書いてあるのでわかりにくいのかなと思い ます。 ○杉浦審議官 実は総合大学校というのは、法律上で申しますと、能開法に位置づけ られているものなのですね。機能としては、指導員を養成する、その他の調査、研究 等を行うことが、法律上の組織の機能なのです。  我々としては、別に、指導員を養成する、あるいは指導員の現職の再訓練を行う、 それから調査、研究も含めて民間や公共職業訓練施設に新たな訓練カリキュラムを開 発して、それを提供していく機能自体をどこか止めてしまうとか、全く新しい機能を 付け加えるところまでは考えていません。ですから、能力開発促進法自体を変えて、 総合大の何かを行おうというところまでは、今回は考えていないのです。  ただ、そこで指導員の養成のあり方を具体的にどのようにするか。例えば中身をも っと効果的なものを行っていくべきではないか、あるいはもっと時代に合わせた再訓 練を強化していくべきではないかといったことは、これからも取り組んでいきたいと 思っています。そこは、法律レベルの話でもないところもありますので、ここに改め て具体的な、抜本的なところまでは含めない方向で、いまこのような書き方になって いるのです。  それから、コストパフォーマンスなどについては、閣議決定や昨年の事業仕分けで も相当言われているものですから、それについては資産管理や定員などの体制も含め て、より効率、効果的に行っていくという方向は取り組んでいきたいということで、 このような書き方をさせていただきました。ちょっと文章がゴチャゴチャしてわかり にくいのかもしれませんが、趣旨としてはそのような感じです。 ○高倉委員 新規成長分野のことはたくさん出てきて、非常に新たな取組として重要 だと思っているのです。この定義というのは国がいま行っている新規成長戦略の中で 定義されるものがベースになるのであろうと思っています。もしそうだとすると、地 方においてはその地方の特性に応じた成長産業が違ってくるわけですね。  そうすると、地方にスポットを当てたときに国に縛られてしまうのか、それとも独 自に地方は地方でそういった概念で行っていいのか。それと、新規成長戦略という言 葉なので、新規でなければいけないのか、成長する産業の後押しをする必要もあると 思うのですよ。ですから、それはどういう理解をすればいいのでしょうか。 ○瀧澤委員 私も同じ意見で、IIの(4)ですが、本当にこれができたら望ましいので すよ。新規成長分野等における職業訓練という、まさに時代を先取りするようなもの ができたら、すばらしいです。本当にできるのか、新規という言葉の意味合いからす るとそうではなくて、いまもあったように、まさに成長分野ということでいいのでは ないかという思いを持つのですね。新規の分野で、それをサポートするような、し かも公的な支援でというスピードを持ち得ますか、という疑問があります。 ○杉浦審議官 言葉として「新規」と入れるかどうかはご意見をいただきたいと思う のですが、昨年来いろいろな成長戦略を政府としても作ってきています。また今度の 6月に向けて、成長戦略を作るという政府全体の動きがあるものですから、国として どのようなところに重点をおいて戦略のメニューを作っていく中で、もちろん国レベ ルとしては考えていく話だろうと思います。  これまで政府の中でも、例えば介護の分野などといろいろ言われていますし、経産 省の関係などでも8大分野、10大分野と言われているものですが、別に具体的に我々 はそこだけというつもりもないのですが、そういったところについてという意味等 も含めて、ちょっとごまかしてあるかもしれませんが書いてあるつもりです。国と して、そういった分野をこれからいままでやっていないような所について、新しく そのような訓練を行うニーズがある所について、重点を置いてやっていこうという 趣旨です。  それから、もちろん地域においても特性があるのは当然ですので、そこは先ほど も話題に出てきたような地域レベルでの協議会のようなものもよく活用して、地域 の特性に合った業種なり職種の訓練をそこで展開していただくことは大いに結構な 話だと思います。別にそれを、計画経済のように国で行ったものだけしかやっては いけないつもりは、全くありません。  新規と書くのが相応しいかどうかはあるのですが、そこはこれからまた新しい分 野が出てくるかもしれませんし、それからニーズが増えてくるようなものについて 訓練対象となれば、そこについてのこういったカリキュラム開発等の必要性が出て くるのではないかという趣旨で書いてあるものですから、そこをどこまで厳密に書 いたほうがいいかというところで、ご意見があればちょうだいしたいと思います。 ○高倉委員 そうすると資料3の4頁の下から7行目の「また」のパラグラフですが、 「国が策定する成長戦略を踏まえながら」とあります。そうすると、国の策定する ものに縛られてしまうことにならないかと。 ○杉浦審議官 そこを縛るつもりはないので、「踏まえながら」という言い方につ いては、我々はそこまできつく縛ろうとは思っていないので、もっと緩やかな表現 がいいということでしたら、それでもいいのですが、まさに地域の独自性を否定し ようという意図は全くないので、そこは緩やかな表現でよければ、そこは構いませ ん。 ○今野分科会長 いまおっしゃられた新規ですが、普通に「新規」というと全く新 しいものという感じですよね。しかし、先ほど言われた介護などは、全く新しくな いですね。この「新規」というのは、その程度の意味なのですね。新たに需要が多 く発生する分野のことも「新規」と言っていて、それと全く新しい分野を含めてい る。だから、もしかしたら「新規」という言葉が誤解を招くかもしれないのですが 、ほかの国のいろいろな文書は、みんな「新規」になっているのですよね。どう見 ても介護は新規ではないですよ。そこが引っ掛かっているのですが、どうしますか 。私はこの新規は、その程度の新規かなと思っていたのですが。 ○瀧澤委員 我々の立場では、まさにトップランナー的な領域なのです。こだわら なければいいのですが。 ○大久保委員 いまのお話は、新規ということが何を意味するかということ以上に 、地域ごとに成長分野が異なるでしょうし、その実態を踏まえることが大事だとい うこともあるでしょう。「それぞれの地域の実情を踏まえて」というようなニュア ンスを入れれば、バランスがよくなるのかもしれません。 ○今野分科会長 そのほうがいいですかね。「新規」という言葉はその程度だから いいのではないですか。いま大久保さんが言われたような配慮のほうが重要かもし れません。そこは文章を考えてください。 ○杉浦審議官 はい。そこはいま大久保委員が言われたようなところを入れて。 ○新谷委員 いまの新規成長分野における職業訓練の部分ですが、国としての成長 戦略を主に所管する官庁と思われる経済産業省との連携を十分に取っていただきた いと思っています。介護は厚生労働省でやれるでしょうけれども、新しい成長分野 です。それは瀧澤さんがおっしゃっているように、産業界から見て、ここが新規に 成長していって雇用の吸収力も高くなるようなところというのは、例えば環境にお ける事業などだと思いますので、経済産業省との連携を十分に取って検討いただけ ればと思っています。要望です。 ○杉浦審議官 国家戦略担当大臣も決められておりますので、政府としての取りま とめはそちらになるのではないかと思いますが、経産省との関係においては、私も 含めて、これまでも事務的に頻繁に話合いをしておりますので、これからまた6月 に向けて、そのような戦略をまとめていく中においても、十分に話合いはしていく つもりです。 ○今野分科会長 ほかにいかがですか。 ○高橋委員 質問です。労使の代表者の運営への参画のところで、資料2で先ほど の新谷委員のご質問に関連して、運営委員会の1番と2番をご説明いただきましたが 、その2番の部分です。「理事長の諮問に応じて」とありますが、その意味は、理 事長が諮問しなければ、この委員会は理事長に対して建議等ができないのかを確認 したいのです。諮問がなくても委員が適当だと判断して、理事長に建議することが できたほうが、今回の改正の趣旨とも合うのかなと思ったものですので、質問させ ていただきます。 ○井上総務課長 運営委員会側でお気づきになられた点については、理事長からの 諮問がなくても、ここで「建議」と書いていますように、意見をおっしゃっており ますように、意見をおっしゃっていただくことができる仕組みで考えています。「 理事長の諮問に応じて」というのが、建議のところまで掛かって見えるということ であれば、修正いたします。 ○今野分科会長 「応じて」までを取ってしまえばいいのですかね。そうすればす っきりしますか。 ○瀧澤委員 必要と認める事項というのは抵抗がありますよね、誰が認めるのか。 ○今野分科会長 これは誰が必要と認めるのですか。運営委員会ですか。 ○瀧澤委員 明確に書かなければ、理事長が認めるというような流れですよ。 ○井上総務課長 資料2の2頁をご覧ください。ここで今回参考にしている中小企業 退職金共済法の関係条文を書いていますが、その第六十七条第3項をご覧ください。 そこの2行目で、「理事長の諮問に応じて重要事項について意見を述べ」とあります 。これは「諮問に応じて」のあと区切ることなく、一連で書いています。そのあと に、「又は」で「必要と認める事項について理事長に建議することができる」とい うことですので、運営委員会の側でお気づきになった点は、そのまま意見をおっし ゃっていただけるということです。 ○今野分科会長 この資料が省略しすぎたということですね。 ○上原委員 関連で教えていただきたいのですが、高障機構に能開機構が入ってくる わけですよね。そうすると、入ったときの理事長と言っているのは、1人になるわけ ですよね。そうすると、何という名前になるのか新しい組織が入っていったときに、 理事が減るのでしょうけれども、何人かいらっしゃると思うのですが、その中で前の 能開機構の理事長のような人が副理事長みたいな形になるのですか。 ○杉浦審議官 いや、まだそこまでは決まっていません。 ○上原委員 いずれにしても理事さんも人数が減るわけですよね。そうすると、いま の能開機構は3,500で2割ぐらい減るということですから、2,700〜2,800ぐらいにはな るのかな。そちらの既存の高・障機構というのは何人いるのか知りませんが、いる人 数によると思うのですが、相当大きな組織だと思うのです。その人数はどの程度なの かということと、いまの高・障機構も同じような運営委員会を持っているわけですか。 ○井上総務課長 まず、高・障機構については、職員数は約700名です。現在、高・障 機構は、高齢者の関係業務、定年延長、再雇用の関係、障害者の関係業務、障害者雇 用率制度、納付金制度等々の業務を行っておりますが、これら高齢者の関係業務、障 害者の関係業務については、運営委員会のような仕組みはありません  今回このような形で、雇用・能力開発機構から移管となる業務について、運営委員 会という形でご提案させていただいていますのは、特に職業訓練の関係は、労使が訓 練のユーザーであると。そのまま関係者であり、ユーザーであるということから、特に こういった仕組みが必要ではないかということで、提案させていただいています。 ○上原委員 もう1つ関連で、労使の代表でガバナンスするということなのですが、イ メージはどのようなものでしょうか。例えば人数的な規模で言うと、5人ずつとかです か。 ○井上総務課長 あまり多くても、少なくても、この運営委員会の特徴が発揮できない かとも思われますので、トータルで10名を超える程度かと考えております。 ○上原委員 それは同じように、労使と公と。 ○井上総務課長 審議会のように、公労使、政労使、三者構成という明確な考え方を 取るわけではありませんが、労使については同数で、学識経験者の方については、大 体労使の数と同数程度ということで考えています。 ○上原委員 労使が半々で意見がまとまらないと困りますものね、諮問しようにもね。 ○今野分科会長 ここは諮問ではなくて意思決定機関です。 ○上原委員 意思決定機関なら、決まらなければしようがないですよね。 ○今野分科会長 そうすると公益が入って、どちらかにいきますから。 ○上原委員 先ほどの新規成長分野との関連で、新規成長分野だから職業訓練も然る ことながら、民間としても難しくて仕事そのものがよくわからない、そういうイメー ジがあるのです。先ほどのことを聞いていると、いままでやったものも新規に入ると いうことですから、そのときに先ほど問題になっていた4頁の下から2つ目のパラグラ フのところで、「民間教育訓練機関等を開拓する」と書いてあるのですが、全くの新 規という部分では、民間もまだ教育機関がないのではないかと思うのです。  だから、教えるほうのノウハウも提供すると言っているのだけれども、全く新規の 分野ということでいうと、教えるほうもまだよくわかっていないと思うのです。例え ば太陽電池がどうしたとか、そのような部分については、引っくり返して言うと、新 規の中身を経産省などが言っている、成長エンジンとして将来引っ張るであろう新規 のものと、既存のものにプラスアルファするものは峻別しておかないと、民間機関を 開拓すると言っても、民間にもない可能性が高いのではないかというイメージです。 国語的な問題です。 ○杉浦審議官 確かに民間企業の方から見れば、新規というのはまさに新しい、最新 技術を開発するというイメージだと思うのですが、そこまでいってしまうと、確かに そういう人を訓練するというレベルにはおそらくいっていないわけであって、技術開 発でそういった製品をつくって、それを売り出すために、それが軌道に乗ってくれば 、それを担う人たちをこれからどうやって育成するかという話になってくると思うの で、あまり先端部分まで、国が直ちにそこに入っていってやるというところは、正直 言ってなかなか難しいのではないかと思うのです。  我々としては国家的あるいは相対的に、分野あるいは業種として、これから成長し 、なおかつ雇用吸収力が相当出てくるというところについて、それなりの訓練をして 、人を供給するという必要性が出てきたところに、そういった分野にいままで定型的 なというか、既存の訓練体系が整っていないということであるのなら、そういったカ リキュラムを開発して。あるいはそういったところの訓練をやってもらう人たちを開 拓して、そこへ持っていこうという趣旨で考えておりますので、そこは上原委員が言 っておられるような、新規の技術開発に基づく人材の供給というところまではいかな いと思うので、そこは先ほどの「新規」という言葉のニュアンスにもなってくるかも しれませんが。 ○今野分科会長 文章が、「それを担う民間教育訓練機関等の開発」とすぐにいって しまうから、違和感があるのです。何か新しい分野が出てきたら、それに対して訓練 カリキュラムや指導技法の開発をしますよね。どこがするかというときに、もしかし たら公共がするかもしれないし、民間がするかもしれない。民間がするのだったら、 それに対して支援はしましょうということになる。もう少し素直に、並列的に書いて おけばいいのではないかと思うのです。突然民間がポッと出てくると、民間しかやら ないようで。言われている意味はそういう意味だと思いますので、これも国語の問題 ですかね。 ○杉浦審議官 はい。 ○上原委員 もう1つ4頁の上に、能開大でコストパフォーマンスが出てきますが、事 業仕分けをニュースなどで見ていると、すでに統合するのだというような先行報道が あります。そうすると、最初に100億ありきみたいなイメージがするのです。特にこ れは教育だから、コストパフォーマンスも非常に難しいと思うのです。アウトプット として、いままで説明していた中では卒業生の就職率が出ていましたが、このコスト パフォーマンスと言っている中身が何なのかをしっかりと押さえておく必要がありま す。オリンピックのメダルでも言われていて、掛けたお金に比例するみたいなことが ある部分なので、公的職業訓練の重要さというものの認識というのは、非常に難しい ところなのです。教育ですから。そこを強く言っておかないと、すぐに無駄だからや めろという話で、そうでなくてもそのような流れが強いので、しっかりと重要性をア ピールできる体制にしておいていただければいいのではないかと思います。 ○杉浦審議官 そういう意味で、我々の意図としては、コストパフォーマンスの面も 含めというのを最後のほうに書いたつもりではいるのですが、もちろんやるべきこと はしっかりと、本来の役割を踏まえて、養成やいろいろな開発をやる上で、コストパ フォーマンスの面も含めてという形にしていますので、いまおっしゃったように、最 初からコストパフォーマンスありきというわけではないわけであります。また、新聞 の報道もかなりいきすぎている面もあって、まだそこは我々も何であのようなことを 決め付けてやっているのかなというところも、正直言ってあるものですから、正確で はないのですが、その辺は十分に踏まえて対応したいと思います。 ○上原委員 かつて読んだ記事で、アメリカ半導体の問題が課題に上がって、半導体 の工場なり技術者を呼んで、よく聞こうという話をしたら、閣僚が答えていわく、生 産拠点はアメリカにはないと。どこにあるのだといったら、みんなアジアへ行ってし まいましたと。何もしないでいると10年、20年するとそうなってしまうのです。日本 もそのような瀬戸際に立っているような気がするのです。それを国としてよしとする なら、それはそれでいいわけですが、その辺をしっかりと押さえておかないと、何で もかんでも経費削減路線でやられてしまうと、気がついたら何もなくなってしまう。 人づくりとか、箱というのが、訓練で教える人も然ることながら、ここで言っている 学校みたいなものはすぐにできないですよ。そこが非常に重要なので、その重要さを いかに分からせるかというのは大変な仕事だと思うのですが、よろしくお願いしたい と思います。 ○今野分科会長 いま気が付いたのですが、この文書で「ポリテクセンター」とか 「ポリテクカレッジ」の場合は、最初の○に、それぞれの果たすべき役割が、こうい う事業はすべきで、やるときちんと書いてあるのです。そのあとに、例えばクオリテ ィを上げましょうとか、効率性を上げましょうという話になるのですが、考えてみた ら総合大学校だけないのです。だから少しおかしいのです。コストパフォーマンスだ とか、クオリティを上げる実習、キャリア・コンサルティングのようなものが先に出 てしまっているので、よけいに印象が薄いのです。  ですから、ポリテクセンター、ポリテクカレッジみたいな書き方をすれば、上原さ んの言われたような心配も、少しは薄れるのではないかと思うのです。最初に、何を すべきということを入れて、それを前提に。そうすればいいかなと思うのです。全部 は解消しませんが、それだと、あるべきことを最初に言いますから。 ○杉浦審議官 ちょっと工夫してみます。 ○今野分科会長 同じにすればいいのですよ。 ○杉浦審議官 ここに指導員の養成とか書いてあるのですが、書き方を。 ○今野分科会長 ほかにございますか。 ○新谷委員 4頁の中段の(4)の「地域職業訓練センター等」というのを、前回申し上 げて入れてもらったのですが、読んでいきますと、「地域における職業訓練の実施に 果たしている役割を踏まえ」とあって、円滑な移管という結論になっているのですが 、結論ありきというか、この役割を果たしたものが、なぜこのような形で移管をして いくのかということについてもう少し分析なり、記述をしておいたほうがいいのでは ないかなと感じます。  もう1点は、同じところで、「円滑な移管を図るための措置を講ずる」と書かれて いるのですが、これは関係する省庁との関係もあるのかもしれませんが、具体的には どのようなことをお考えになっているのか。前回申し上げたときに、青森や岩手のよ うな、雇用情勢が非常に厳しいところは、この施設が果たしている役割には期待の大 きなところがありまして、これがなくなってしまう、あるいは県に移管されるという ことに対しては、地元から非常に強い懸念も出ていますし、それは地域雇用戦略会議 の中でも、たいぶ論議をされているようでありまして、文言の問題ももちろんありま すが、行政としてここの対応について、早急に明確な対応を講じていただければと思 っています。以上です。 ○今野分科会長 後ろ側のご意見は要望ということで、前者のほうは。 ○杉浦審議官 経緯と申しますと、そこは前回か前々回もご説明しましたとおり、全 体のコストなり費用をよりカットしていくという観点、資産管理の面も含めて、全体 の資産をどうするかという観点の結果、なってきたということもありますので、そこ を正面から書きづらいところもあるのですが、ここに書いてあり、いまご意見にもあ りましたように、職業訓練に地元でしっかりと使っていただいているところもありま すので、そこを含めて、「果たしている役割を踏まえ」という書き方をしたのですが 、そこは正直言って、かなり実際の活用の度合いも違う面もありまして、本当に使っ ているところもあれば、必ずしもそうではないところもあります。そこは現実によく 使っていただいているところについては、できるだけその機能は維持できるような方 向で、譲渡の際にもご相談しながらやっていきたいということで、このような表現を させていただいているところです。  価格設定というのも、本来ならば、いま独法の機構の財産ですから、それを正当な 価格で譲渡するというのが、いちばんの原則になるわけです。そうしますと、時価で 譲渡することにならざるを得ないのですが、そうなってくると、確かにいま地方に対 して、そのような財政負担を強いるのかという議論も出てきますので、そこは価格設 定の面も含めて、関係省庁等と相談しながら、できるだけ受け入れていただきやすい ようなやり方を検討しているところでございまして、できるだけ早くという趣旨はご もっともでございますので、そこは早急に検討して決めていきたいと思っています。 ○今野分科会長 いま前者の件については、「役割を踏まえ」という表現はそういう ことだという説明はあったのですが、それ以上のアイディアはなさそうなので、こう いう表現だったらいいというのがあったら言っておいてもらえればと思います。 ○新谷委員 3頁のポリテクセンターとポリテクカレッジについては、閣議決定の文 書を引用して、「都道府県が受け入れやすい条件を整備する」と書いてあるのです。 ここの地域職業訓練センターとか、コンピュータカレッジについての過去の論議がど うであって、それを踏まえていまこうなっているという経過がわかるように書いてい ただければいいと思います。 ○今野分科会長 ということは、ほかのところは閣議決定を引用しているのですから 、量としてはその程度の説明でいいと。上手にできますか。 ○杉浦審議官 ちょっと考えてみます。確かにポリテクセンターやポリテクカレッジ は、それについて具体的に閣議決定にそのような記述があるのですが、地域職業訓練 センターについては、ご承知のように、そこは取り立ててないものですから、強いて 言えば全体の資産管理をしっかりとやれという観点だということになってしまうので 、そこは正面からうまく書けるかどうかということになるのですが、工夫して考えて みます。 ○今野分科会長 わかりました。ほかにございますか。 ○大久保委員 確認ですが、訓練の中で学卒未就業者訓練については、この中でいく と求職者支援制度の中に含まれていると考えるのか、それとも離職者訓練の中に含ま れて、ポリテクセンターの仕事だということなのか、どの辺に位置づけられているの か。書けという話ではないのですが、どこにそれが含まれているのでしょうか。 ○杉浦審議官 実はこれからやろうとしている新しい学卒者、未就職者に対する訓練 は、いまの基金訓練の1メニューとして、この春から実施しようと思っているのです。 ですから、いままでやっていた公共職業訓練とは別の、基金訓練の一種としてやろう と思っておりますので、このままそれを再来年度も引き継いでいこうということにな れば、求職者支援制度の中の一方策ということになるのかなという気はするのですが 、まだそこまでは具体的には決まっておりません。  離職者ではないので、雇用保険の対象者にそのまま入れるというのは、法制度上難 しいところがあるので、そこをどのように位置づけるのかというのがあるのですが、 いまはそのような喫近の課題がありますので、基金訓練の中で4月から実施しようと考 えておりますので、そこをこれから維持するのかをさらに検討していきたいと思って います。 ○今野分科会長 理屈としては、ポリテクセンター、カレッジ、総合大で、機能で切 っているから、その機能が発生したら、そこでやってもらうのではないですか。ただ 、あと総合調整というか、委託もあるので、そこのマネージメントはどうするかとい う話があります。 ○杉浦審議官 いまでも、例えば県立の訓練校で学卒者訓練というものをやっていて、 中卒者、高卒者に対して、1年ないし2年の訓練をやっているのです。ですから、そう いったところに入っていただくというのも、不幸にして就職先が見つからなかったか らということで入っていただくことは、もちろんできるのですが、一方でこれまでの 枠もありますので、そこを一気に増やせるかというと、難しい部分もありますので、 今回は基金訓練のメニューとして一定の形をつくろうということで、いまやろうと思 っているのです。ですから、公共訓練として位置づけるならば、学卒者訓練としてや る手はないことはないです。 ○大久保委員 その場合、学卒の訓練はこの図にあるように、ハローワークが窓口と なって求職の申込みはされるということになりますか。 ○杉浦審議官 はい。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○高倉委員 資料3のIIの「今後のあり方」の1つ目の「国の位置づけ」なのですが、 閣議決定では、地方や民間にできるものはどんどんそちらにやりなさいと。そして、 適切な役割分担を図るということです。それなのに、(1)(2)(3)の結論は、今後とも こうした役割分担が適当であるということなのです。だから、これも国語の問題なの かもしれませんが、そうすると、役割分担はいままでどおりでいいのだと。そうする と、今後のあり方で閣議決定であったように、適切な役割分担を図るという観点から いくと、いままではこうだったけれども、このようにしますというものがないと、そ の整合性が取れないのではないかと思うのです。 ○杉浦審議官 2つの観点があるかと思います。1つは理念的なというか、国が行うべ き職業訓練の内容とかレベルを、国と都道府県でどのように概念整理するかという問 題と、分量的なものをどのように配分していくのかという問題とがあろうかと思うの です。  ここで書いてあるのは、いままでの考えに沿った形で、国と県との職業訓練の考え 方については、基本的にはいままでどおりでいいだろうというのが、ここに書いてあ る内容なものですから、ただそこは一方で、ポリテクセンターなどは、都道府県にで きるだけ移管しろという閣議決定がありますので、そこで閣議決定に沿った形で地方 に移管すれば、地方としてやる部分について分量ないし中身の配分をどうするかとい う問題は出てくると思うのです。そこは先ほども申し上げた地域の協議会とか、地域 レベルでの話合いの中で、いままで県訓校でやっていた部分をどうするか、移管した ポリテクセンターの中でやっていた訓練をどうするかということを、話合いをしなが ら決めていっていただくということを我々としては考えています。そこが「適切な」 という意味で捉えようかなと思っていることなのです。 ○高倉委員 全部読むとそういうことも理解できるのですが、最初のここだけを読ん でいると、何が変わるのと。今後のあり方のいちばん最初に出てくるパラグラフです から。そうすると、すべていままでやってきたとおりにやりますよというだけでは、 何を変えようとしているのかよくわからない。 ○杉浦審議官 こうした役割分担が適当であると言い切ってしまうと、そのような疑 念が生じるということですかね。 ○井上総務課長 例えば適当であるという部分ですが、こうした役割分担を徹底する とか。 ○高倉委員 言われたとおりに、このような役割分担でやってきたのだけれども、い ままでは役割分担に沿ってできていなかったと。だから、そこをその役割分担に忠実 にやっていくというなら、それはそれでいいのです。 ○今野分科会長 役割分担という言葉自身が、役割分担の現状のことを言っているの か、役割分担を考える考え方のことを言っているのか、両方入ってしまっているので す。いま高倉さんがおっしゃったのは、現状のほうに引っ張られてしまうと。最後に 井上さんがおっしゃられたのは、考え方に沿って、さらに進めるぞと言ったわけだか ら、そっちの方向にするのだったらいいだろうという話ですね。言葉を少し修正すれ ばいいと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○上原委員 いまの資料3の3ページのポリテクセンターとポリテクカレッジです。こ れは基本的にイメージとして、この間聞いたら、やりたいというのと、条件によると いうのと、未回答みたいな感じが各3分の1ずつでしたが、中期的には、全部地方に 持ってもらおうという考え方なのでしょうね。 ○杉浦審議官 いや、そこは必ずしもそうではないです。いまの段階でも、県として 受けるつもりはないという回答もございまして、それは国が責任を持ってやるべきだ ということで、先ほど言った3分の1は基本的にはそうです。そういったところについ てまで、押し付けてまでやってもらうというつもりはないので、全部県にということ は考えてはいないです。受け入れやすいような条件を整備することは、課題として与 えられていますが、嫌だというところにまでやってもらおうとまでは考えていません。 ○上原委員 ここだけを読んでいると、受け入れやすいようにいろいろ考えるという ことは、意思としては、是非受け入れてほしいということだと思うのです。だから、 嫌なものはもちろん駄目でしょうけれども、流れとしてはそのような感じがするので す。 ○今野分科会長 3頁目の上から4つ目の○ですよね。 ○上原委員 はい。 ○今野分科会長 後半に、雇用保険二事業だということもありますが、セーフティネ ットの機能があるとか、訓練を担う人材の確保という観点も、きちんと考えなければ いけないと言っているので、地方がほしいと言ったら全部上げるのかといったら、そ うはならないのです。ですから、いつもこことの兼ね合いで考えるということなので す。 ○上原委員 そうすると、地方で持ったところと、引き続き国が管理するところとあ るわけで、先ほどのトータルコーディネートの話になるのでしょうけれども、バラつ きというか、バランスが崩れませんかね。  現実的には、ここはまだ国がやっているのだという県と、これはすでに県に移管し た施設と二形態になる。短期的には混乱というか、移行期のようなものがあるのだろ うと思うのですが、ずっとそうなのかというと、一般論でいうと変な気がするのです。 ○杉浦審議官 あくまでも建て前としては、ポリテクセンターといういま果たしてい る機能を維持しつつ、運営を都道府県に移管するということですから、完全に都道府 県の持っている県立の訓練校にしてしまって、県のやりたい分野の訓練だけをやると いうことではないのです。そこはいまでも、県の訓練校に対する補助を一部やってい ますが、そこは国がやるべき訓練を県でもやってくださいということになれば、それ なりの財政的な支援もしていく必要があるのではないかと思っています。ただ、その 割合をどうするかというのは、内部で検討はしています。  それと、最初に移管するに当たっての価格をどうするかという問題と、運営に当た っての支援をどうするかということについて、条件設定を内部で検討しているところ で、それによっても県の態度も左右されるのではないかという気はしています。 ○今野分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。今日はたくさん意見をいた だきまして、表現の問題などいろいろあるので、それを踏まえて事務局と私で、修正 案を作らせていただいて、スケジュールからすると私に一任と言いたいのですが、そ れには変更点が多すぎたので、一応一任させていただいて、メールでもう一度見てい ただいて、あまりにも注文が多かったら次回で、そこそこだったら、意見をいただい たもので私に一任していただいて、最終案とさせていただくという段取りで進めさせ ていただけますか。 (異議なし) ○今野分科会長 そのような形にしていただいて、皆さんに今日はたくさん意見を言 っていただいたので、苦労して変更しますので、ちゃんと読んでいただいて、皆さん の意見が反映されているかをチェックしていただきます。そういう形で一任させてい ただきます。  次に2番目の議題として、「『若者自立塾事業』事業仕分けを踏まえた合宿型若者 自立プログラムの展開の方針に」ついてです。まず説明からお願いします。 ○伊藤キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長です。議題2について、お手元 の資料4に基づいてご報告します。本件も含めて、当局の事業仕分けの対象となった 各事業の仕分けの結果、大枠の対応方針については、去る12月25日の分科会においても、ご く簡単にご報告申し上げたところですが、その後の検討を踏まえて、本日、本件につ いて改めて見直しの考え方、具体的な取扱いについてご報告するものです。  まず現行の自立塾事業の概要です。対象はニート、無業の若者です。その中でも、 特に基本的な生活習慣が未確立であったり、あるいは人との関係での自信を喪失して いるといった、基本的な課題を抱える若者が主です。こういった若者を対象に、合宿 集団生活という特徴のある形態、環境の下で、生活の場を活用した訓練、労働体験な どを通じて、自立に必要な基本的な能力習得を目指すプログラムです。  平成17年度から実施してきまして、若者の自立支援に関して経験を有する民間団体 が実施主体で、それを国として支援をするというスキームです。現状では28の団体が 、この自立塾事業を運営していて、これまで4年強の事業実施期間の中での入塾者は 2,800名で、1年に均すと600名程度です。終了時6カ月時点での就労は61%といった実 績です。  去る11月の事業仕分けにおいて、本事業が対象となったところです。そもそもの着 眼点としては、ニート全体で60万を超えているわけですが、その全体の規模に対して 、いまほど申し上げたような600人という規模があまりにも小さすぎるのではないか という観点、自立就職を目指すという観点での成果とコストのかかわり、運営団体に 対する支援のあり方、ハローワークのかかわり等々、さまざまな議論がありまして、 私どもとしては、ニート自立支援対策は本事業だけではなく、ハローワーク、サポー トステーション等とのかかわりで、一体として対応しているということで、ほかの訓 練事業とのかかわりでも、決してコストパフォーマンスが悪いものとは認識していな いといった点についても、仕分けの場でも説明をしたところです。  最終的にその場の評価としては、左下にありますように、いま申し上げた「就職実 績を目指す事業として」という注釈を付けたほうがいいかと思うのですが、「効果の 検証、実績がきっちりと把握できていない、あるいは不十分である。したがって、や り方を含めて一旦廃止し、徹底的に見直すべき。ニート対策の重要性は十分に共感で きるが、やり方を変えたほうがいい」というのが、この仕分けにおける総括的な評価 でした。  これを踏まえての見直しの基本的な考え方です。資料右側の2つ目の○ですが、ニー トの自立支援対策の中で、先ほど申し上げたような基本的な課題を抱える若者を対象 に、合宿型あるいは24時間型の生活指導、あるいは体験重視の自立支援プログラムと いうものは、私どもは今後とも労働政策のメニューとして必要と考えていますし、仕 分けの議論においても、その点が否定されたとは認識をしていないところです。  他方、今回の仕分けの中で指摘をされた、事業のやり方、手法、あるいは成果の検 証の仕方といった点について、仕分けでご指摘を受けた点、また私どもの普段の業務 運営の中で把握をしているいくつかの課題が存在することも事実でして、そういった ものを受け止めた上で、現行の自立塾事業については、今般の仕分けの評価を踏まえ 、今年度(平成21年度)をもって廃止することとなりました。  問題は今後の対応ですが、現実に非常に切実な課題を抱えたニートが相当数存在す る中で、これらの若者に切れ目のない支援が必要です。その場合に、その活用し得る スキームとして、先ほども少し話題に出ていました緊急人材育成支援事業、基金訓練 があります。この中のメニューの1つとして、当初からニートを含めた就職困難層を 対象とした、基礎能力の向上を目的とした1つのメニューとして、社会的事業者等訓 練コースというものが位置づけられています。  こういった、これまでの自立塾とも親和性あるいは目的等の共通性を持つ基金訓練 の「社会的事業者等訓練コース」を活用し、合宿型による自立プログラムを展開可能 なスキームの整備をすることが適当ではないかといった判断の下で、先ほど申し上げ ましたような仕分けにおける指摘等を踏まえ、就職を目指すプログラムという位置づ けを改めて明確化をし、必要な見直し拡充を図った上で、新たな「合宿型若者自立支 援プログラム」を展開し、労働施策という観点での成果向上を目指し、またその検証 をしていきたいと考えております。  その具体的な見直し拡充のポイントは次の対比表です。時間の制約がありますので 、ポイントを3点に絞ってご説明します。1点目は、入塾者あるいは受講者の選定で、 ハローワークのかかわりです。右側が現行の若者自立塾です。現在はそれぞれの運営 団体が、ニート等の若者について、このプログラムの適格性を判断した上で、入塾者 、受講者を決定していたところです。ただ、そこでの問題点としては、1つは各団体は 自立支援プログラムについては専門機関ですが、就職支援の観点では、専門性、実力 にバラつきがあることは認めざるを得ないことが挙げられます。  もう1点としては、それぞれ自立支援団体として、できるだけ幅広い層を自らの手 で支援をするという思いがあるあまりに、職業的自立支援施策として、直ちに対象に なりにくい層まで自立塾において支援を行い、結果としてはそのあとで医療機関につ ながざるを得なかったという事例もあります。これはなかなか定量的には把握の難し い部分があるわけですが、定性的には把握をしているところです。  そういった点を踏まえて、今後もこういった合宿型プログラムに適するかどうかと いうことは、各実施機関の判断はもちろん必要なわけですが、受講者の選定に当たり 、必ずハローワークが関与する仕組みをつくろうと。すなわち各実施機関で一定の見 立て、キャリア・コンサルティングなどを行った上で、ハローワークに求職登録をし てもらい就職支援機関、専門機関の立場での就職可能性をしっかりと判断した上で、 適格な方について受講勧奨を行うとともに、その後も就職支援に一貫して関与するこ とにより、就職パフォーマンスを上げていきたいというのが1点目です。  2点目は次のプログラムの部分です。先ほど申し上げましたように、これまでは生 活訓練、労働体験などが主のプログラムでした。そのことが基礎的な意識の改革、能 力習得に成果を上げたと関係者から評価を受けていると認識していますが、先ほど就 職率61%ということを申し上げましたが、近年の雇用情勢の悪化に伴って、残念なが らこのパフォーマンスが少し下がっていて、直近でいうと50%台半ばという実績です 。あるいは就労の形態を見ても、正社員という形態で就労が実現している方は、残念 ながら少数に留まっています。  そういう観点から、より就職に結び付きやすい実践的なプログラムに強化していく 必要があるということで、この基金訓練の社会的事業等訓練コースの1つの特徴であ るわけですが、こういった社会的事業分野を中心とした企業実習、OJTにかなり力を 入れたプログラムの拡充を図っていきたいということです。  具体的な基準としては、訓練時間の4分の1以上という考え方ですが、そういったプ ログラムの拡充を図った上で、就職パフォーマンスの向上を目指していこうというの が2点目です。  3点目は受講者の自己負担の問題です。現行の自立塾の訓練経費そのものは無料で すが、合宿型ということで、必然的にホテルコストを要します。これは自己負担の仕 組みになります。今度の基金訓練を活用したプログラムでも、同様の考え方ですが、 ニート問題と低所得世帯問題というのは、実態としてかなり重なり合いのあるところ で、いまの自立塾でも世帯収入400万円未満といった低所得世帯は3割ほどいるわけで すが、聴取りをする中では、経済的な負担能力がないということで、こういった支援 プログラムを希望しながら、あるいは必要と思われるのにそこに結び付いていない人 が相当数いると認識しているところです。  基金訓練については、ご案内のように、一定の要件を満たす受講者については、訓 練・生活支援給付金を支給するスキームもあるわけで、この合宿型についても、基金 訓練の共通ルールに従い、もちろん一定の要件を満たした者についてということです が、訓練・生活支援給付金を活用することによりまして、低所得世帯の若者を含めた 、より幅広いニート等の若者に、こういった自立支援プログラムをつなげていくとい うことです。以上申し上げました、大きくは3点ほどの強化を図っていきたいというこ とです。  事業規模に関しては、基金全体の中で、あらかじめ社会的事業者等訓練コースにつ いて、予算上の計画数を定立しているわけではありませんが、仕分けの中でも、600 人ではまだまだ足りないのではないかという指摘があったことも踏まえ、もちろん今 後、現行自立塾運営団体をはじめとして、こういった事業にかかわる専門性を持った 機関が、自発的に認定申請、準備を行いということで、現時点で具体的な事業規模が 想定されるわけではありませんが、全国30カ所程度で、直近の実績である年間600人 以上の受講規模を目指し、また就労に関しては実績累計は61%ですが、6カ月時点で 70%といった目標を立て、その達成に向けてそれぞれの合宿型プログラム実施機関に おいても尽力をしてもらうとともに、私どもとしても必要なサポートを行っていきた いと思います。  現在、現行の自立塾運営団体をはじめ、このプログラムにかかわる専門性を有する と考えられる機関について、いま申し上げたような考え方、ルールの下で、認定申請 及び実行に向けた準備が進められているところです。今回の見直し、拡充の趣旨を踏 まえ、また先ほど申し上げたような目標の達成が図られるように、厚生労働省の立場 でもしっかりとサポート、指導などを行いながら、この合宿型プログラムの趣旨が活 かされるような対応を今後とも進めていきたいと考えています。 ○今野分科会長 何かご質問はありますか。 ○大久保委員 今回の変更で、入塾、受講の手続きにハローワークが関与する、ハロ ーワークに求職登録をした上で入塾するという話でした。このもともとの趣旨は、基 本的な生活習慣、働く自信等、自立に向け困難な課題を抱えている人たちなので、自 ら自立的にハローワークへ行って、求職活動をするような人でない人たちの手前を支 援するという話だったのですが、ルールを変えたことによって、かえって一般的な若 年失業者対策と変わらなくなっているのではないかと懸念をしたのですが、それにつ いてはいかがですか。 ○伊藤キャリア形成支援室長 このプログラムの対象者として念頭に置いている若者 というのは、先ほど申し上げましたように、基本的な課題を抱えた無業者です。した がいまして、一般的に、1人でハローワークに求職登録をして、具体的な就職に向け た相談が効果的にできることは、私どもも考えておりません。  より具体的な運用として、どのようなことを考えているかですが、先ほども申し上 げましたように、合宿型という、かなり特異性を持った事業形態ですので、そういっ た合宿型にフィットするかどうかということでの、合宿型プログラムの実施機関によ る一定の見立てが必要だと考えています。  したがいまして、一般的には、まず合宿型の実施機関において相談を行うというこ とが、一連の流れの中では、この場合は最初にきます。若者自立塾現行運営団体にお いては、サポートステーションなどと同様に、キャリア・コンサルティングの専門家 などを配置しまして、ニート等の若者に対する意識喚起に向けた基本的な相談を行っ た上で、具体的な合宿型プログラムに移行しているわけですが、先ほども申し上げま したように、受講対象者の適格性を確保する観点から、ハローワークでの求職登録相 談、その際に私どもが考えているのは、自立塾のスタッフ、場合によっては地域のサ ポートステーションもそこにかかわっていく必要があるかと思っていますが、三者面 談的な形で、ハローワークにおいて求職登録を行い、職業相談を行っていく。実施機 関にあっては、その合宿型プログラム、訓練の専門機関という立場、あるいはニート 等の困難な課題を抱えた若者に対する相談の専門家という立場でかかわり、ハローワ ークはハローワークで地域の労働事情について知悉をし、また、その若者の就職可能 性について客観的な判断をし得る立場、あるいは将来的に就職支援を行う立場から三 者面談的な場にかかわる。そういった場を通じてご本人、場合によっては保護者も入 るわけですが、ハローワークの職業紹介の専門職、そしてこの合宿型の実施機関の専 門スタッフによる相談を通じて、この合宿型プログラムの受講に向けた課題の整理、 本人の意思確認を行うという実務的な流れを想定しております。 ○大久保委員 大体わかったのですが、ハローワークが関与することとか、あるい は就労6カ月時点の目標を70%に上げることとか、本来支援しなければいけない人た ちではない人たちが対象になってしまうという力学が働かないように、是非とも配 慮していただきたいと思います。 ○新谷委員 こういうニートの対策というのは非常に重要な対策だと思っているの ですが、その論議の進め方で1点苦言を呈したいと思っております。この資料をよく 見ると、12月25日の能開分科会で示されているのですが、そのとき詳細な説明がな かったものですから改めて申し上げたい。事業仕分けで切られた事業が、違う予算 で、同じような仕組みでまた復活してくるということに対して、この分科会での説 明はなかったと思うのです。少なくとも私の記憶の中に残っていないものですから 、たぶん分科会の委員の皆さんもそうだと思うのです。本来であれば、こういう重 要な政策変更については、この分科会で審議をきちんとするということが非常に重 要だと思っています。  特にこの基金訓練は、ご承知のとおり当初7,000億円の基金を積んで、半分返した とは言いながらまだ3,500億円執行する事業ですね。それがどうも、あの基金を造成 した中央職業能力協会の運営協議会(注:緊急人材育成・就職支援基金事業運営委 員会のこと)で決めていけばいいのだというような認識も、事務方の人と話をして いると言葉の端々に出てくるのですが、3,500億円という巨額な国費を使う事業です から、それはやはり本省のこの分科会の中で、訓練のあり方をどうするかというこ とを真剣に論議をして進めていくべきではないかということを、まず冒頭に苦言と して呈しておきたいと思います。その上でいくつか教えていただきたい点がありま す。  事業仕分けでいくつか指摘をされている点があります。それは先ほど大久保委員 が言われたこととも関係するのですが、その効果の検証とか、実績が把握できてい ないとか、やり方を含めて徹底的に見直しをするべきであるとか、やり方を変えた ほうがいいという仕分けでの指摘に対して、今回この基金訓練の中に組み込んだと きに、どのような答えを準備しているのかということを具体的に、教えていただき たい。  それと、今回のこの事業を基金訓練の中に組み込んだということから、基金訓練 としての通則と言いますか、基金訓練の仕組みの中に組み込まれてきますので、特 に、ここにはさらっとしか触れていないのですが、2頁目の「実施機関に対する支援 」という所に、新規の訓練設定の奨励金というのがあります。こういうNPOのような 社会的事業者に対する奨励金は2種類あって、第1種だと、新たな訓練を設定する際 には最高で300万円支給されます。第2種は最高で800万円ということで最高で1,100 万円支給されます。新規の訓練設定に対してそういう奨励金が支給されるという仕 組みになっていたと思うのです。その運営について、従来からやっている28所の皆 さんがエントリーして受託をされていると思うのですが、その新規の奨励金の運用 についてどのようにお考えになっているのかをお聞かせいただきたい。以上です。 ○伊藤キャリア形成支援室長 まず1点目。仕分けにおける指摘事項に対して、具 体的にどのように応えているのか、あるいは応えようとしているのかという点につ いて私のほうからご説明したいと思います。このたび事業仕分けにおいて指摘を受けた点は、 大きくは事業のやり方そのものにかかわる指摘と、その成果の検証の仕組みに分け られると私どもは思っております。事業のやり方については大筋、先ほどご説明し たような方向でいま考えているわけですが、検証ということも仕分けの場面で多々 議論がありました。  もう少し補足をしますと、例えば私どものこの自立塾でのスキーム、通常の公共 訓練のように3カ月といったショートタイムではなかなか実績が上がりにくいとい うことで、6カ月時点というとらえ方をしたわけですが、もう少し時系列できめ細 かく、6カ月時点だけではなくて、例えば直後3カ月、その後と、そういった一連の フォローアップが必要ではないかという趣旨。また、就労が実現したか否かという ことだけではなくて、その就労の形態、先ほども触れましたように現状でも一定の 把握はしているわけですが、よりきめ細かい就労の形態、分野。また、就労が実現 しなかった方について、なぜ、どういう理由で実現しなかったのか、あるいはどう いう状態にとどまっているのか。こういった点についてこれまでの自立スキームの 中で、全く把握をしていなかったわけではありませんが、仕分けの中で私どものほ うから報告したことが、十分ではないという評価を受けたというように私どもは受 け止めております。  そういった中でこの基金訓練スキームにおける合宿型プログラムの実施に当たっ ては、いま申し上げました数点に関しても、先ほどは6カ月ということで概括的なご 説明をしましたが、そこに至る直後とか、例えば3カ月といった時点での、いわば その中間的な状況の把握も行っていきたいと考えております。就労が実現した方に ついての就労の形態、正規・非正規、あるいは自営、家業の手伝いなど、いろいろ な形態があり得るわけで、そういった内訳、さらには就業分野についても把握をす る。決まらなかった方については統計的な把握は困難な部分もあるわけですが、実 施機関数は限られていますので、聞き取りといった形で、就労の実現に至らなかっ た方の状況、理由といったことについても把握をする。  いま申し上げましたいくつかの観点から、これまでの自立塾事業における検証よ りもより細かい検証を行った上で、先ほども触れましたように、労働政策、就職を 目指すプログラムとしてのその経過、成果検証をより多面的に行った上で、基金事 業そのものは来年度いっぱいというスキームですが、その後の事業展開のあり方に ついても、冒頭に厳しいご指摘もいただきましたが、この能力開発分科会の場も含 めまして、私どもは主要な場でそういった成果、評価をご報告しながら、今後のあ り方についてご議論もいただき、検討していきたいと考えております。 ○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 2点目について能力開発課のほうからご説明申 し上げます。先ほど新谷委員からお話がありました奨励金というのは、第1種の奨 励金と第2種の奨励金というのがあります。第1種の奨励金というのは、民間機関で はじめて基金訓練のコースを立ち上げようとするときに奨励金を出すというもので 、これも新谷委員からお話がありましたように、最大で300万円、1人当たり大体5 万円程度を念頭に置いた設定になっておりますが、これは教育訓練施設あるいは学 校も含めてすべての事業者に支払われます。  ただ、今般、いわゆる自立塾から基金訓練のほうにオンされてきた部分について は、すでにその自立塾の時代に同様の奨励金を受けていたような訓練コース、具体 的には、自立塾時代と同じ訓練カリキュラムを、基金訓練と看板を変えただけの場 合には対象にはしません。当然、自立塾と基金訓練というのは性格が異なるもので すから、先ほど大久保委員からもご指摘がありましたように、最終的に就職、就職 までは若干遠い方を対象にしているかどうかは別にしても、最終的には就職という ところにいずれつなげていくという趣旨ですので、具体的にはそのカリキュラムに 、20%以上は職場見学とか職場体験とか、就職支援のためのプログラムを入れてい ただくようにしてあります。かつ、それらのプログラムが全カリキュラムの4分の1 以上含まれている必要があるという新たな要件設定をして、そこをクリアした場合 には第1種の奨励金の支給対象としています。  第2種の奨励金というのは、その施設の整備に対して奨励金を出すという形にな っておりまして、例えばその教室を借り上げましたとか、建物をつくってそこに教 室をつくりました、あるいはその合宿所をつくりましたといった施設整備をした場 合にその80%、上限800万円で補助するという形になっています。これはある意味 実費弁償的な性格というか、このものに対して支給するということがある程度特 定できますので、これも、自立塾時代にも同様の制度がありまして、自立塾時代 にその助成対象になったものについては、第2種の奨励金の対象にしないというこ とにしております。  ただ同じ団体が、今度基金訓練になったので定員を2倍にしてやっていこうかと いうことになって、完全に教室を増設するという場合であればそれは対象になりま す。かつ、その28団体、どのくらいの団体が増えるかということもありますが、そ の施設に対する補助というか、奨励金であるという性格でもあり、いろいろ批判を 招くおそれがあるということでもありますので、その運用にあたっては厳しく精査 して、必要があれば本省と協会で協議をしながら支給決定にも一定程度関与してい きたいと考えております。以上です。 ○今野分科会長 よろしいですか。 ○新谷委員 はい。 ○今野分科会長 ほかに。 ○上原委員 仕分けでたぶん、事業そのものが丸投げで、あまり汗を流していな いというような指摘が1つあると思うのですね。それで、さっき大久保さんが言わ れたみたいに、ハローワークに来ないではないかと。もう2年ぐらい前ですか、 NHKでやっていた例ですと、イギリスのリバプールなんかで、うろうろしている者 をつかまえる人を雇って、そのつかまえた人を無理やり職業訓練施設に連れて行 って、そこで電気製品を分解させたり、組み立てさせたりなどで訓練するという のをやっていました。そういう汗を流すようなアプローチというのも1つ、今後の ことですが、やっていかないと、事業仕分けで叩かれるのではないかなという、 そんな気がします。 ○伊藤キャリア形成支援室長 いま上原委員からこの若者自立支援、非常に根元 的な点についてご指摘いただきました。英国のコネクションズ的な、アウトリー チ支援にかかわるご指摘、その必要性のお話をいただいたわけですが、これまで の自立塾の中でも出張相談、アウトリーチ的な対応を全く行っていなかったわけ ではありません。今後この新スキームにおきましては、それぞれの実施機関が自 らそのプログラムの創意を凝らし、それにふさわしい方に能動的にアプローチを するということが大変重要ということで、それぞれの実施機関自ら、アウトリー チ的な対応を行うということも、当然私ども期待されるものと思っております。  この合宿型と並んで非常に重要な通所型のニート支援事業スキームである「地 域若者サポートステーション事業」においては、来年度、サポートステーション は100カ所の設置を予定しておりますが、その半分の50カ所でアウトリーチ事業 を展開していく。保護者あるいは福祉事務所、学校等からの要請に応じて、サポ ート機関のほうから出向いて行く。そういう姿勢をこの合宿型プログラムに関し ても、サポートステーション事業を含めてのニート支援全体のあり方としても、 そういう考え方をより明確化、強化をした上で、このスキームが必要な方に行き 届くようにという努力をさらにしていきたいと考えているところでございます。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○高橋委員 この目標の設定のあり方がちょっと、私としては少し違和感がある かなあという感じがします。自立困難な方々を6カ月で、必ず70%就労だという のはかなり厳しいような気もしておりまして、目標の設定のあり方は見直す必要 があるのではないかという気もします。6カ月受講したあとに、ポリテクセンタ ーとかポリテクカレッジに誘導して、さらに本格的に訓練をしていただいて、も っと安定的な就労に結びつけていくとか、いろいろなことがあって然るべきで、 6カ月時点でどうだというだけのシングル目標というのはどうなのかなという感 じはします。また、就労に至らなかった方について、いかにフォローアップして いくのかということも非常に重要だと思いますから。もちろん目標は1つのほう がわかりやすいですし、数字でこれだ、何パーセントだと。それは考え方として は理解はするのですが、もう少しこういう方々に対するプログラムの目標として のあり方というのは、検討していただいてもよろしいのではないかという気がし ました。 ○伊藤キャリア形成支援室長 ただいまの高橋委員のご指摘、先ほどの大久保委 員のご指摘とも相通ずるものと受け止めております。この70%という、その主た る目標の定率の考え方は、率直に申し上げまして、自立塾事業の中でも、卒塾6 カ月時点、就労70%というのは、当時、省内の中でも、それは非常に難しいので はないかという議論もあったやに承知はしているのですが、これにかかわる新た な財政措置をする局面で、やはり、能力開発局の就職を目指す事業としては、そ ういう野心的な目標を立てるということが各方面からも期待をされていたもので す。  今回の仕分けの中で、現行の自立塾事業の成果なりやり方に、不十分な面があ るという指摘を受けた以上は、いまご指摘いただいたような側面があるというこ と、我々も十分認識はしているのですが、まずはやはり自立塾で定立をして、結 果として未達であった目標について、その達成を目指していくということは、1 つの要素としては重要なのであろうと思っております。  ただ、その運用にあたっては、機械的な運用になってはいけないということは 、先ほどの大久保委員のご指摘に対してお答えしたことと同様です。さらに申し 上げますと、現行の自立塾でも、例えば自立塾での支援を通じて、製造系の就職 希望が明確化されたといった方については、自立塾での支援を踏まえて、例えば ポリテクセンターにつないで非常に高い就職率の成果を上げているといった実例 もあります。  したがって、いまフォローアップといったお話もありましたが、この合宿型ス キームだけですべて勝負ということではなくて、基金事業のルールとしても、こ の社会的事業者等訓練コースと他の公共訓練を組み合わせるといったことも、制 度としてもともとビルトインされているところですので、その属性、状況に応じ た対応、弾力的な支援、それぞれの課題に応じた支援という考え方を私ども肝に 銘じた上で、いまご指摘があったような選択肢も含めて、きめ細かい運用を図っ ていきたいと思っております。 ○今野分科会長 ほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。最後に私か ら。時間をオーバーしているのですが、我慢していたものですから1つ。1つは検 証の件ですが、検証のコストパフォーマンスは考えていますか。つまり、検証し ろと言ったら、お金がかかるわけですよね。だから、極端なことを言うと、6カ 月時点で調べれば、もうそれで十分で、ほかにはやらなくていいということもあ り得るのですよね、コストパフォーマンスを考えると。  もう1点は、いまご質問があったことと一緒なのですが、例えば就職率でいく と、就職状況が悪い地域は当然悪いわけですね。ということはもしかしたら、就 職可能能力さえ形成できれば、目的は達成しているかもしれない。そこから先は もう環境との関係で決まる。一種の、プロセスを測れる指標があるといいですね 。だから訓練修了後の就職状況の検証を1ヵ月後、2カ月後、3カ月後なんてあま り多くしないで、そのお金と労力があるのだったら、ここに入った若者が、訓練 可能能力にどの程度までいったのかということで、測るというほうがいいかなと 思いましたので最後にちょっと意見を言わせていただきました。  時間をオーバーして大変申し訳ありませんでした。最後に今後の日程について 事務局からお願いします。 ○井上総務課長 次回、第47回は3月23日(火)の18時〜20時、場所は経済産業 省別館8階827号会議室を予定しております。よろしくお願いいたします。 ○今野分科会長 その間に私が先ほどお約束をした作業を行いますので、それに 関連してご協力をお願いしたいと思います。本日の署名は労働側委員は高倉委員 に、使用者側委員は浦元委員にお願いします。それでは終了いたします。ありが とうございました。 【照会先】職業能力開発局総務課総括係(5738)