10/02/26 平成22年2月26日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年2月26日(金) 16:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、  内 海 英 雄、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、     清 水 秀 行、 手 島 玲 子、 成 冨 博 章、 野 田 光 彦、  林   邦 彦、  檜 山 行 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、  村 田 美 穂、  山 本 一 彦 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(5名)    大 石 了 三、  千 葉   勉、○永 井 良 三、 西 澤   理、 本 橋 伸 高 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    成 田 昌 稔(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催さ せていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。現 在のところ、当部会委員数19名のうち、13名の委員に御出席いただいておりますので、 定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、成冨先生については遅れて来ら れるようです。大石先生、千葉先生、永井先生、西澤先生、本橋先生は御欠席という御連 絡をいただいております。それでは松井先生、以後の進行をお願いいたします。 ○松井部会長 早速、本日の審議に入ります。まず事務局から、配付資料の確認と審議事 項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告ください。 ○事務局 まず、資料の確認をいたします。席上には議事次第、座席表、当部会委員の名 簿を配付しております。議事次第に記載している資料No.1〜17までは、あらかじめお送 りしております。このほかに資料No.18「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、 資料No.19「専門委員リスト」、資料No.20「競合品目・競合企業リスト」を配付しておりま す。また、当日配付資料としては「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」 に関する資料をお配りしております。これについては、本日の最後に御説明いたします。  続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストです。資料No.20を御覧く ださい。各品目の競合品目選定理由については、次のとおりです。  1ページは本日の審議議題1、リリカカプセル25mgです。本剤は帯状疱疹後神経痛の 効能・効果を予定とした医薬品で、本剤と同様の効能を有する承認されている医薬品とし ては、こちらに記載のあるノイロトロピン錠がありますので、こちら1剤を競合品目とし て選定しております。  2ページを御覧ください。審議議題2はモイスティア点眼液です。本剤はドライアイを 効能・効果とする医薬品で、本剤と類似の効能・効果を取得している医薬品は、ヒアルロ ン酸ナトリウム点眼液です。これらの中で先発品として最も売上高の高いヒアレイン点眼 液については、申請者の製品であるため除いて、それ以外の売上げ上位3品目を競合品目 として選定したとのことです。  3ページが審議議題3、フェントステープです。本剤はオピオイド系鎮痛薬フェンタニ ルクエン酸塩の経皮吸収型製剤です。本剤の効能・効果、薬理作用等から見た競合品目の 候補としては、フェンタニル、オキシコドン、モルヒネ等のオピオイド含有製剤が考えら れます。以上のうち、売上高3品目であるデュロテップMTパッチ、オキシコンチン錠、 塩酸モルヒネ注を競合品目として挙げました。  4ページを御覧ください。審議議題4はコソプト配合です。本剤は有効成分としてドル ゾラミド塩酸塩及びチモロールマレイン酸塩を含有する配合点眼液です。その効能・効果 は、他の緑内障治療薬で十分な効果が得られない緑内障及び高眼圧症患者で、本剤の配合 剤という特徴が臨床的位置付け等を勘案し、競合品目のうち1番と2番、ザラカム配合点 眼液及びデュオトラバ配合点眼液を選定し、さらにこれ以外に配合液がないことから、緑 内障及び高眼圧症治療薬の上位2品目である、レスキュラ点眼液を選定いたしました。  5ページを御覧ください。審議議題5はネシーナです。本剤はジペプチジルペプチター ゼ−4阻害薬で、本剤と同様の作用機序を有する医薬品として既に承認されているジャヌ ビア/グラクティブ錠及びエクア錠、さらに開発中であるとされているB11356を競合品目 として挙げております。  6ページが審議議題6、メタクト配合錠です。本品目はピオグリタゾン塩酸塩とメトホ ルミン塩酸塩の配合剤です。そのうちピオグリタゾン塩酸塩は、国内で唯一承認されてい るチアゾリジン系薬剤であり、申請企業の製品であるため競合企業からは外しておりま す。もう一方の薬剤であるビグアナイド系薬剤であるメトホルミン塩酸塩及びブホルミン 塩酸塩とし、国内市場占有率を考慮して、こちらの3品目を挙げたとのことです。  7ページを御覧ください。審議議題7はネスプです。本剤の効能・効果は腎性貧血です。 本剤の効能・効果、薬理作用から見た競合品目の候補としては、エリスロポエチン製剤あ るいはエリスロポエチン受容体作動薬を挙げております。この申請企業の製品を除いた3 品目が該当するとのことです。  8ページを御覧ください。審議議題8はユニシア配合錠です。本剤はアンジオテンシン II受容体拮抗薬とカルシウム拮抗薬の配合剤です。本剤と同様のARBとカルシウム拮抗 薬の組合せであるエックスフォージ及びレザルタス、さらに現在申請中であるテルミサル タン/アムロジピンベシル酸塩の配合剤の3品目を競合品目としたとのことです。  9ページを御覧ください。審議議題9はソリリスです。本剤は発作性夜間ヘモグロビン 尿症を効能・効果とする医薬品ですが、当該の効能・効果を有する治療薬は国内に存在し ないことから、競合品目はありません。  最後の10ページを御覧ください。審議議題10はエビリファイです。本剤は統合失調症 を効能・効果とする非定型抗精神病薬で、今回、小児の統合失調症患者を対象とする治験 を行います。しかし、統合失調症の小児を支えている医薬品がないことから、本品目と同 様に統合失調症を効能・効果とする非定型抗精神病薬を候補とし、上位3品目を競合品目 として挙げたということです。以上です。 ○松井部会長 今の事務局からの御説明に関して、特段の御意見はありませんか。よろし いでしょうか。  それでは今の審議事項に関する競合品目・競合企業のリストについては、委員の皆様の 御了解を得たものといたします。委員からの申出状況について、御報告を願います。 ○事務局 申出状況は次のとおりです。議題1「リリカ」については退室委員はいらっし ゃいません。議決には参加しない委員は山本委員です。議題2「モイスティア」について は退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は山本委員です。議題3「フ ェントステープ」については退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は 野田委員、山本委員です。議題4「コソプト」については退室委員はいらっしゃいません。 議決には参加しない委員は古川委員、山本委員です。議題5「ネシーナ」については退室 委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は加藤委員、野田委員、林委員、古 川委員、山本委員です。議題6「メタクト」については退室委員はいらっしゃいません。 議決には参加しない委員は野田委員、山本委員です。議題7「ネスプ」については退室委 員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は野田委員、林委員、山本委員です。 議題8「ユニシア」については退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員 は加藤委員、野田委員、林委員、山本委員です。議題9「ソリリス」については退室委員、 議決には参加しない委員ともにいらっしゃいません。議題10「エビリファイの再審査期 間の延長」については、退室委員はいらっしゃいません。議決には参加しない委員は内海 委員、成冨委員、山本委員です。 ○松井部会長 今日は退室委員はいらっしゃらないということですね。本日は、審議事項 が10議題、報告事項が7議題ということで多数にのぼっておりますので、よろしくお願 いいたします。早速、議題1「リリカカプセル25mg等の製造販売承認の可否等について」、 医薬品機構から概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料No.1、医薬品リリカカプセル25mg、同カプセル75mg、同カプセル 150mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるプレガバリンは、γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、海 外では1996年2月から臨床試験が開始され、2004年7月に欧州で帯状疱疹後神経痛を含 む末梢性神経障害性疼痛及びてんかんの部分発作の併用療法に対する効能・効果で初めて 承認されて以来、2009年11月現在、105の国と地域において承認されております。本邦 においては、19□年□月から臨床試験が開始され、今般、帯状疱疹後神経痛に対する有効 性及び安全性が示されたことから、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦では、 帯状疱疹後神経痛の効能・効果を有する薬剤として、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮 膚抽出液含有製剤、販売名でいうとノイロトロピン錠が承認されております。  本申請の専門委員として、資料No.19に記載されている10名の委員を指名しました。  審査内容については、臨床成績を中心に説明させていただきます。  まず、有効性についてです。審査報告書66ページの表を御覧ください。本申請は、ブ リッジングコンセプトに基づき開発が行われております。海外で実施された第III相試験を ブリッジング対象として国内で第III相試験が実施されました。主要評価項目である最終評 価時の疼痛スコアは、国内外の臨床試験とも、本剤300及び600mg群でプラセボ群に対す る優越性が示されております。また、審査報告書67ページの上の図を御覧ください。国 内及び海外臨床試験における最終評価時の疼痛スコアのベースラインからの変化量は、国 内臨床試験で300mg群よりも600mg群で変化量が小さいものの、プラセボ群及び150mg群 に対する相対的な関係は逆転していないことから、視覚的な用量反応関係に大きな差異は ないと考えており、海外臨床試験成績を外挿することは可能と判断いたしました。  次に安全性についてです。審査報告書73ページの上の表を御覧ください。本剤投与に より、中枢系有害事象として浮動性めまい及び傾眠の発現率が用量増加に伴って上昇して いますが、多くは投与初期に認められ、投与中に消失しております。なお、浮動性めまい と事故による外傷について因果関係は明確にはなっていないものの、高齢者では事故によ る外傷が多く認められていることから、添付文書の「重要な基本的注意」の項で注意喚起 することとしております。また、審査報告書76ページの図を御覧ください。本剤の投与 により、体重増加が認められていることから、本剤投与中は定期的な体重計測を実施し、 肥満の徴候が現れた場合には、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うよう「重要な基 本的注意」の項で注意喚起しております。なお、これらの事象の発現状況については、製 造販売後調査において、引き続き検討する予定としております。  1.8の添付文書(案)の「用法・用量に関連する使用上の注意」の項(2)を御覧ください。 本剤は、ほとんど代謝されず、大部分が腎臓を介して尿中に排泄されるため、腎機能低下 患者では、本剤投与後の血漿中濃度が大きく変動することが明らかとなっており、クレア チニンクリアランス値に応じた用量調節を実施するよう注意喚起しております。なお製造 販売後調査において、腎機能障害患者における有効性及び安全性について検討するよう指 示しているところです。  以上の審査を踏まえ、本剤の帯状疱疹後神経痛に対する効能・効果を承認して差し支え ないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申 請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤ともに毒薬及び劇薬 のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判 断しております。薬事分科会は報告を予定しております。  なお、事前に檜山委員より、臨床試験では□□□□□□□□法で製造された原薬が使用 されているが、原薬の製造方法としては使用実績のない□□法が申請されていることにつ いての質問がありました。  この点について機構は、両製造法により製造された原薬について不純物プロファイル、 ロット分析及び安定性試験成績等を確認した結果、品質に大きな差異はないと考えており ます。また、申請当初は両製造方法が申請されておりましたが、現在では原薬の製造のほ とんどが□□法で製造されているということ、□□法で製造された原薬のみで安定供給が 可能と考えられたことから、最終的な原薬の製造方法として現在、□□法のみが申請され ております。なお、□□法については20□年から実際に製造されており、□□法で製造 された原薬を用いた製剤に関しては、20□年□月以降出荷されております。現在、年間約 □万人が使用していると推定されています。以上です。よろしく御審議のほど、お願いい たします。 ○松井部会長 それでは委員の先生方から御質疑をいただきたいと思うのですが、その前 に檜山委員、製造過程における□□法について、今の御説明でよろしいでしょうか。 ○檜山委員 私が懸念したことはお答えいただきましたので、ありがとうございました。 ○松井部会長 分かりました。その点についてはほかの委員の先生方もよろしいでしょう か。ほかに御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○清水委員 今の説明の中で、重篤なものは少ないのですが、副作用として浮動性めまい と傾眠の頻度が高く、添文の中に重要な基本事項の記載がしてあるという説明がありまし た。これは2.の(1)の記載を意味しているのですか。 ○機構 はい、そのとおりです。 ○清水委員 この記載は非常によく使われている表現です。特段そういう傾向のあるもの でなくても、「眠気・めまいが現れることがあるので、自動車の運転等、危険な機械の操 作に従事させないよう注意すること」というのは、よく使われる文章だと思うのです。こ れをかなり高い頻度で発生するということの注意事項とするのであれば、記載の内容を少 し工夫する必要があるのではないかと感じます。そこのところはいかがでしょうか。 ○松井部会長 添付文書の記載の仕方ということですが、いかがですか。御答弁いただけ ますか。 ○機構 浮動性めまい及び傾眠等に関して、発現の状況の確認をしました。その結果、事 象としてはほとんど軽度から中等度であり投与初期に認められていることから、臨床上、 これが服用上の大きな問題になるというところまではいかないと考え、通常の注意喚起と ともに、高齢者で転倒等が起こることがありますので、その部分を追記させていただいて おります。 ○清水委員 もう一点です。米国において、この薬剤は規制薬物に該当するという取扱い になっているようです。そこについて書かれた審査報告書79ページで、漫然とした投与 は避けるべきである旨の議論がされているようですが、その辺の内容も添付文書への記載 が必要ではないかと感じるのです。そこのところはいかがでしょうか。 ○松井部会長 79ページのどこですか。 ○清水委員 5)の「依存性について」で、米国で規制を受けていることが書かれていま す。 ○松井部会長 4行目ですね。 ○清水委員 その最後の段落の「機構は」のさらに2行目、「漫然とした投与は避けるべ きであり、定期的に有効性及び安全性を観察し、本剤の投与継続の必要性を検討する必要 がある」という所について、添付文書にも記載すべきではないかということです。 ○松井部会長 依存性に関する添付文書への記載という御指摘ですが、いかがですか。 ○機構 依存性に関しては本剤も、臨床試験の中で見ているのですが、臨床的に問題とな る依存に関しては、多分ないだろうということが確認されております。確かに添付文書の 記載振りに関しては、先生の御意見を踏まえてもう少し検討させていただきたいと考えて おります。 ○松井部会長 先ほどの御指摘についても、一応検討してみてください。 ○機構 了解いたしました。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○村田委員 用量についてお尋ねします。日本では150mgは有意差が付かなくて、300mg と600mgが付いていて、海外では150mgも付いています。80ページの(2)の「最高用量 について」の上の行には、「150mg/dayの扱いも含めた用法・用量の最終的な記載方法に ついては、専門協議での検討も踏まえて判断することとしたい」となっていますが、結局 どうなったのでしょうか。私たち医師の感覚だと、もし少量で効くのならば、それでもい いのではないかと考えてしまうのです。例えばアリセプトという薬があります。3mgが 最初に使う量で、5mgが本来必要な量です。そうなっておりますと、3mgが適切な患者 さんでも3mgを使っていますと、毎月毎月保険の症状詳記を書かなければならないので す。現実的すぎて申し訳ありませんが、そういうことがあるのではっきりさせていただき たいのです。どうなっているのでしょうか。 ○機構 先生の御指摘の点に関しては、審査報告書の84ページ、専門協議を踏まえた審 査報告の2の方で書かせていただいております。本剤150mgの有効性については、国内で は認められなかった及び海外では認められたということで、実際の有効性がきちんと示さ れるかどうかに関しては不安定です。ですから本剤の150mgに関しては、有効性が示され ていないのではないかということで、通常の維持用量として規定することは、なかなか厳 しいところがあるだろうということです。また、安全性上も特に大きな臨床上の問題がな いと考えておりますので、推奨の維持用量としては300mgと考えております。 ○村田委員 つまり、150mgでは保険で切られるということですか。それは結構重要な問 題です。 ○機構 保険上の扱いについて、我々がここで明確にお答えすることは難しいのですけれ ども、我々の理解としては、150mgで止めるというよりは、まずはきちんと300mgまで上 げていただくのが有効性を示す患者、リスクベネフィットの観点からは適切ではないかと 思います。その後、実際には最大600mgまでの範囲の中で、適宜増減するということです。 その中で150mgという選択を使うかどうかは、医師の判断になってくるかと思います。で すから初期の用量として150mgで止めるという選択は、我々の今のデータの観点からは適 切ではないと判断しております。ですから、まずは300mgまできちんと上げることが必要 だという認識です。それを150mgで止めたときに、保険で切られるかどうかという判断は、 多分ここではお答えできないかと思います。 ○村田委員 150mgから300mgに増やして、300mgでも150mgと同じだったのであれば、 私たちの感覚では150mgに戻すのです。確かに機構の方のおっしゃるとおり、機構の方が 決めることではないかもしれませんが、それはどこで決めるのですか。 ○機構 確認ですが、我々の今の添付文書の書き振りからいくと、取りあえずは300mgま で上げていただきたいのです。その後は年齢や症状により適宜増減して、最高用量が600mg と書いてあります。ですから我々の想定としては、まずは300mgまで上げていただいて、 先生の御指摘のような、150mgでもよかったのではないか、あるいは認容性の観点から 150mgに下げるというチョイスについては、我々としてはあり得るという解釈をしていま す。ただ、最初に150mgで止めていただくというのは、適切ではないという判断です。 ○村田委員 分かりました。効けば600mg以下だったら、幾つでもいいということですね。 ○松井部会長 漸減していくということは、私どももよくやることではないでしょうか。 ○村田委員 アリセプトの例があって、とても大変な思いをしているもので、伺いました。 ○松井部会長 そうですか。ほかにはいかがですか。 ○成冨委員 先生がおっしゃるように、少ない量で止めるというのは、臨床医にとっては 非常に大切なことです。例えば老人であったり、腎機能が悪かったりという場合、いきな り300mgというのは怖いので、少なめに使うことはよくあることです。しかし、それを認 めないというのはおかしいのではないでしょうか。 ○機構 認めないというか、まずは150mgと300mgの安全性を比べたときに、300mgに上 げたからといって、特に何か大きな変化があるわけではないというのが、我々に示されて いる結果です。有効性の観点からいくと、150mgでは有効性が示されていないという話で すので、最初に目指すべき用量として、150mgなのか300mgなのかと聞かれると、300mg を目指して治療をするということです。我々が通常の推奨用量として添付文書に記載すべ き用量としては300mgという話です。実際、医療現場で150mgで止められるかどうかとい う判断については、やはり保険上の扱いになるかもしれませんが、我々が通常の現場で推 奨すべき、添付文書に書くべき用量としては、まずは300mgまで上げるということです。 その後150mgから600mgの範囲で使うというのが、今回のデータを見る限り、一番推奨す べき用法・用量ではないかと考えております。 ○松井部会長 よろしいでしょうか。保険上の扱いについては、ここでは話せないと思う のです。 ○成冨委員 そうですね。300mgより少ない用量ではまずいというわけではないのですね。 ○機構 まずいというか、今の日本人のデータからいくと、150mgではプラセボに勝てて いないデータだということです。150mgで有効かどうかについては、我々の観点からする と、そこは明確になっていないという整理ですので、150mgというものを明確に維持用量 として、もしかしたら無効かもしれない用量で、それを推奨用量の中に含めるのは適切で はないと判断したということです。 ○松井部会長 今あるエビデンスから、このように推奨していると私は解釈します。 ○審査管理課長 先生方の御意見については、これから承認されますと保険の方に回りま すので、こういう御意見があったということは伝えさせていただきたいと思います。 ○松井部会長 村田先生、成冨先生、よろしいでしょうか。 ○村田委員 はい。 ○成冨委員 はい。 ○松井部会長 ほかございますか。特にございませんか。それでは議決に入ります。山本 委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきま す。本議題について、承認を可としてよろしいですか。  ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告 とさせていただきます。  次は議題2「モイスティア点眼液3%の製造販売承認の可否等について」です。医薬品 機構から御説明ください。 ○機構 議題2、資料No.2、モイスティア点眼液3%の製造販売承認の可否等について、 機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるジクアホソルナトリウムは、粘膜組織に発現するプリン受容体の 一つであるP2Y2受容体に対して、アゴニスト作用を有するジヌクレオチド誘導体であ り、米国インスパイア社によりその薬理作用が見出された化合物です。本薬は、結膜のP 2Y2受容体へ作用することにより水分及びムチン分泌を促進することから、ドライアイ に対する新規の作用機序を有する点眼剤として開発が行われたものです。  海外では、現時点において、本剤が承認又は開発されている国はありませんが、米国イ ンスパイア社において開発された本剤とは別製剤の本薬点眼液が、米国において、2009 年11月現在承認審査中です。  なお、本剤の販売名は「モイスティア点眼液3%」として申請されましたが、「ジクア ス点眼液3%」に変更されることとなっております。  本申請の専門委員としては、資料No.19に記載されている9名の委員を指名いたしまし た。  主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書24ページの下から 3行目の4)第III相試験の項を御覧ください。ドライアイ患者287例を対象に、本剤又は 0.1%ヒアルロン酸点眼液を1日6回、4週間点眼した際の有効性及び安全性を検討する 無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。その結果、25ページの表4 に示しておりますように、有効性主要評価項目とされた角膜上皮障害の指標であるフルオ レセイン染色スコアのベースライン値からの平均変化量は、本剤群では-2.12、ヒアルロ ン酸群(表中ではHAと略)では-2.08であり、本剤群のヒアルロン酸群に対する非劣性が 検証されております。また、表5には、二つ目の主要評価項目とされた角膜及び結膜上皮 のムチン被覆障害の指標であるローズベンガル染色スコアのベースライン値からの平均 変化量を示しております。本剤群では-3.06、ヒアルロン酸群では-2.38であり、当該指 標については本剤群の優越性が示されております。これらの成績より、機構はドライアイ に対する本剤の有効性は示されたものと判断しております。  次に、30ページの(2)、安全性についての項を御覧ください。臨床試験においては、 問題となる全身性の有害事象は認められておりません。比較的発現率の高かった眼局所の 有害事象は、上から7行目以降に記載しておりますように、眼刺激7.3%、眼脂6.6%、 結膜充血7.3%であり、そのほとんどが軽度で回復性が認められていることから、現時点 では、本剤の安全性に大きな問題はないものと機構は考えております。ただし、臨床試験 では組み入れの少なかった重症例なども含め、使用実態下での安全性を製造販売後調査に おいてさらに検討する必要があると考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は8年、原体及び製 剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれに も該当しないと判断しております。  薬事分科会では審議を予定しております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。 ○松井部会長 名称が「モイスティア」ではなく、「ジクアス」に変わったようです。委 員の先生方から御質疑をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○清水委員 名称の変更は、私はとても大事な問題だと思うので、できれば書かれたもの で配付をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○機構 申し訳ありません。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員 コメントですが、30ページの「ほかの点眼薬との併用時の安全性」につい てです。β受容体との親和性を認めず、チモロールがP2Y2受容体に親和性を示すとの 報告も存在しないというのが、相互作用がないのではないかということの根拠として挙げ られています。例えば、P2Y2受容体は細胞内のプロテインカイネースCを活性化して、 ほかのイオンチャンネル、あるいはほかの受容体をリン酸化して、非常に大きな修飾をか けるという報告が幾つか出ております。また受容体に結合しなくても、例えばβ受容体は Gsの系を活性化しますので、細胞内のメッセンジャーに影響を及ぼす薬物というのは、 細胞の中で相互作用をする可能性があると思います。したがって受容体の結合特性だけで は結論は出せないのではないかということをコメントしたいと思います。 ○松井部会長 今の点についていかがでしょうか。要するに細胞内の時点についての記載 を求めるという意味ですか。そういうわけではないのですか。 ○加藤委員 実際に具体的なデータが全然ないので、今後、販売後調査をすることとなっ ているこのことについては問題ないと思います。ただ、今後はこういう作用機序、特に細 胞内メッセンジャー系に影響を及ぼす作用機序の薬物に関しては、そういう点も申請者に 言っていく必要があるのではないか、ということをコメントしたいと思います。 ○松井部会長 コメントということですね。 ○機構 コメントありがとうございます。申請者にはその旨伝えて、製造販売後調査の中 で、安全性に関してそのような観点からも調査をするように伝えたいと思います。 ○松井部会長 ほかにございますか。それでは議決に入ります。山本委員におかれまして は、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。委員の先生方、 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可とさせていただきます。なお、本剤は先ほどもあ りましたように、新有効成分であり、かつ既存の類薬がありませんので、薬事分科会に上 程し、審議することにいたします。  それでは議題3「フェントステープ1mg等の製造販売承認の可否等について」、医薬 品機構から御説明をお願いします。 ○機構 それでは議題3、資料No.3、医薬品フェントステープ1mg、同テープ2mg、同テ ープ4mg、同テープ6mg及び同テープ8mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医 療機器総合機構より御説明いたします。  本剤は選択的オピオイドμ受容体作動性の強オピオイド鎮痛剤であるフェンタニルク エン酸塩を有効成分として含有するマトリックス型の経皮吸収型製剤です。本邦におい て、フェンタニルクエン酸塩を有効成分とする製剤は1971年5月に注射剤が承認され、 またフェンタニルを有効成分として含有するリザーバー型及びマトリックス型の経皮吸 収型製剤がそれぞれ2001年10月及び2008年3月に承認されております。既承認のフェ ンタニル貼付剤は、3日ごとに張り替えて使用しますが、本剤は1日ごとに張り替えて使 用する製剤であり、他のオピオイド鎮痛剤から切り替える際の初回貼付用量として、既承 認のフェンタニル貼付剤ではモルヒネ経口剤:フェンタニル貼付剤=150:1の換算比を用 いて設定されていますが、本剤ではモルヒネ経口剤:本剤=100:1の換算比を用いて設定さ れております。  本申請の専門委員としては、資料No.19に記載されている6名の委員を指名いたしまし た。  審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず本剤の薬物動 態の特徴について、審査報告書の22ページ下の図を御覧ください。この図は同程度の鎮 痛効果が期待できる本剤2mgと、既承認のリザーバー型フェンタニル貼付剤2.5mgをい ずれも3日間貼付し続けたときの血中未変化体濃度の推移を比較しております。貼付開始 後24時間後までの血中濃度はリザーバー型フェンタニル貼付剤と比較して本剤が低く、 またリザーバー型フェンタニル貼付剤では貼付開始後24時間までに最高濃度に達しま す。本剤に関しては審査報告書の20ページの図を御覧ください。こちらにお示ししたと おり、本剤を1日ごとに反復貼付したときの血中濃度は24時間以降も徐々に増加し、定 常状態に達するまでの時間については、審査報告書の23ページの真ん中の図を御覧くだ さい。定常状態に到達するまでには72時間以上を要する薬物製剤です。  本剤の有効性については審査報告書の35ページの上の表を御覧ください。一番左側の 全体での結果の上から5段落目、最終評価時のVAS値変化量を御覧ください。モルヒネ 製剤又はオキシコドン経口剤により疼痛がコントロールされている日本人癌性疼痛患者 を対象に実施された国内第III相試験において、本剤1mg又は2mgへ切り替えたときの主 要評価項目である7回目剥離時又は中止時の本剤貼付開始前からのVAS値の変化量は、 0.6±16.1mmであり、一つ前の34ページの下に文章で記載しているVAS値変化量の95 %信頼区間は-3.4〜4.6と、信頼区間の上限及び下限の絶対値は、あらかじめ設定された 同等性の基準である15mm以下の範囲内でした。また、フェンタニル貼付剤からの切替え に対して、審査報告書の31ページの下の表を御覧ください。フェンタニル貼付剤が投与 されている日本人癌性疼痛患者を対象に実施された第II相試験において、9回目剥離時又 は中止時のVAS値変化量は、-0.7±15mmであり、その表の上に文章で記載していると おり、主要評価項目である有効率は全体で83.9%であることが確認されております。  本剤の安全性については、審査報告書48ページの上の表を御覧ください。本剤の開発 に際しては、オピオイド鎮痛剤からの切替え患者以外に、オピオイド鎮痛剤非使用患者を 対象とした臨床試験が実施されております。左側の前治療オピオイド鎮痛剤からの切替え 患者では、傾眠、便秘、悪心、嘔吐等のオピオイドに特徴的な有害事象は認められており ますが、既承認のフェンタニル貼付剤と異なる傾向は認められておらず、換算比をモルヒ ネ経口剤:本剤=100:1とした場合であっても、現時点で本剤の安全性が臨床的に大きな問 題となる可能性は低いと判断しております。  一方、オピオイド鎮痛剤の使用経験のない患者においては、前治療オピオイド鎮痛剤か らの切替え患者と比較して有害事象発現率が高値を示しております。こちらの表で御覧い ただけますように、重度の呼吸抑制も認められていること、また薬物動態学的な観点から も、本剤は用量調節に適した製剤とは言い難いことを踏まえ、本剤は既承認のフェンタニ ル貼付剤と同様に、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用することが適切であると判 断しました。  本剤による呼吸抑制については、審査報告書の50ページの上の表を御覧ください。左 から2番目の列に記載しているとおり、呼吸抑制を発現した8例中6例が、オピオイド鎮 痛剤非使用患者であり、表の上段に記載した前治療オピオイド鎮痛剤からの切替え患者の 2例は、こちらの試験では4日目までがプロトコール上増量できず、4日目以降に増量が 可能というプロトコールになっておりますが、4日目以降に連日の増量が行われ、連日増 量後に呼吸抑制が発現していることから、本剤の薬物動態学的特徴も踏まえ、本剤は1日 ごとに張り替える製剤ではあるものの、48時間以上は同一用量を貼付し、連日増量を行 なわないよう注意喚起をすることが適切であると判断しました。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、製剤は劇薬に該当し、生 物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会で は報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。 ○清水委員 まず一つは、添付文書の記載のことです。説明の最後でも注意事項としてあ がっていた、2日間Doseを変えないということについて、添付文書(案)の2ページの 左側の真ん中辺の2)の「増量」に、「本剤初回貼付後及び増量後」ということで書かれ ています。初回貼付後の注意については、添付文書の1ページの右側の一番下の2.の「初 回貼付時」に、2日間は増量しない旨を書いた方が分かりやすいのではないかと思います ので、御検討をお願いします。 ○機構 御指摘ありがとうございます。対応させていただきたいと思います。 ○清水委員 さらにもう一点気になることがあります。これは臨床上、非常に使い勝手の よい製剤というように評価されるのかとも思うのですが、現行の3日間製剤の用量調節の ために使われることがあると、例えば貼ってあって2日目に量を増やしたいというとき に、1日製剤を貼るような使い方をされてしまうと、非常に混乱を起こすことがあるので はないかというのが危惧されるのです。その辺についても開発メーカーさんに十分な注意 を促していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。基本的に3日の製剤も1日ごとの製剤も、どちら も最初にその製剤に切り替えた後は、各薬剤での安定した疼痛コントロール、及び安全性 の両方が確認されるまで、それ相応の時間がかかると考えております。先生が御指摘のと おり、通常とは違う使い方をされる可能性も危惧はされます。特にこの薬剤については既 存の3日製剤と、先ほど説明いたしましたようにモルヒネに対する換算比や用法が異な り、表示されている含量も3日製剤はフェンタニルのフリー体で、本剤はクエン酸フェン タニルとしての表示量になっておりますので、医療現場にはそういった違いに関する情報 提供を徹底するように指導しております。その中で、ご指摘の点についてもそれぞれの薬 剤での安定した有効性・安全性を確認してもらえるような形で使っていただけるように、 情報提供をする旨を指導していきたいと思います。 ○松井部会長 おっしゃるとおり思わぬ使い方をされた場合に、特に呼吸抑制は問題にな り得るところですね。ほかに御質疑はありませんか。よろしいでしょうか。それでは議決 に入ります。野田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議 決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  異議のないものと認めます。承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。  次は議題4「コソプト配合点眼液の製造販売承認の可否等について」、医薬品機構から 御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは資料No.4、医薬品コソプト配合点眼液の製造販売承認の可否等につい て、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤は炭酸脱水酵素阻害剤であるドルゾラミド塩酸塩(以下、ドルゾラミド)及び非選択 的βアドレナリン受容体遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(以下、チモロール)を有効 成分とし、それぞれドルゾラミドとして1%、チモロールとして0.5%を含有する配合点 眼剤です。本邦において、ドルゾラミドは、緑内障及び高眼圧症で他の緑内障治療薬で効 果不十分な場合の併用療法を効能・効果として1999年3月に、チモロールは緑内障及び 高眼圧症を効能・効果として1981年6月に承認されております。本剤と同一濃度の配合 点眼液は海外において承認されておりませんが、海外における各単剤と同一濃度であるド ルゾラミド2%/チモロール0.5%配合剤が、2009年11月現在、米国、EU等89か国に おいて、β遮断点眼剤の単剤療法で効果不十分な開放隅角緑内障及び高眼圧症を適応症と して承認されております。  本申請の専門委員としては、資料No.19に記載されている5名の委員を指名いたしまし た。  審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書14ペ ージの表を御覧ください。原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした国内第III相 試験において、主要評価項目である治療期8週後の朝の点眼2時間後のベースラインから の眼圧変化量は、下から2番目の行にお示ししたとおり、本剤群で-2.50mmHg、チモロー ル群で-1.82mmHg、ドルゾラミドとチモロールの併用療法群で-2.78mmHgであり、本剤群 との最小二乗平均値の差は、チモロール群との比較において95%信頼区間の上限値が0 を下回り、かつ併用療法群との比較において95%信頼区間の上限値があらかじめ設定さ れた非劣性限界値である1.2mmHgを下回ったことから、本剤のチモロール単剤に対する優 越性及びドルゾラミドとチモロールの併用療法との非劣性が検証されております。  本剤の安全性について、審査報告書18ページの表を御覧ください。国内外の臨床試験 における本剤、海外市販製剤であるドルゾラミド2%/チモロール0.5%配合剤、チモロ ール単剤、ドルゾラミド単剤及びそれらを併用したときの有害事象を比較した表を提示し ております。本剤群では滴下部位刺激感及び頭痛が多く認められましたが、いずれも軽度 であり、併用療法を上回るリスクは認められないと判断しております。なお、本剤の有効 成分であるドルゾラミド及びチモロールは、いずれも全身への移行率が高いため、添付文 書において、全身投与時と同様の副作用が現れるおそれがある旨を注意喚起しておりま す。そのリスクは各単剤を上回るものではないと考えておりますが、審査報告書24ペー ジの表にお示ししたとおり、近年、海外においてドルゾラミド2%製剤及びドルゾラミド 2%とチモロール0.5%配合剤によるスティーブンス・ジョンソン症候群又は中毒性表皮 壊死症が報告されており、ドルゾラミド単剤の添付文書改訂に併せて本剤でもこれらを 「重大な副作用」の項に記載し、注意喚起する予定です。なお、皮膚障害を含む全身性の 有害事象、眼刺激感等については、製造販売後調査において引き続き検討する予定です。  本剤の配合意義については、本剤の有効成分であるドルゾラミドは併用療法でのみ使用 可能であること、点眼剤の併用療法では、点眼間隔を5分間以上あける必要があることを 踏まえると、本剤は患者の利便性に明らかに資するものと考えております。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、製剤は毒薬及び劇薬のい ずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しておりま す。なお、薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお 願いいたします。 ○松井部会長 ただ今の件について、委員の方から御質疑をお願いします。いかがでしょ うか。 ○清水委員 適応のことですが、この審査報告書を読ませていただいて、私は米国やEU での適応、β遮断薬点眼液の単独療法で効果不十分な緑内障あるいは高眼圧を適応症とす ることが、より適切ではないかと読みました。あえて他の緑内障治療薬というのは。広く 解釈すると、プロスタグランジン製剤からの切替えでもいいという意味になりますよね。 そこのところはほとんど議論されていないように思うのです。そこの決め方、どうしてこ のような適応症が適切と判断したのかというところを、もう少し説明をお願いします。 ○機構 まず、御指摘の海外での効能・効果については、先般、御審議いただいた2つの プロスタグランジン製剤とβ遮断薬との配合点眼液でも、同様の記載になっておりますの で、これは薬剤そのものの性質というよりは、配合剤の位置付けを海外において明確にし た効能・効果の記載振りと解釈しております。本剤については御説明申し上げましたよう に、有効成分のひとつであるドルゾラミド単剤の適応が他の緑内障治療薬で効果不十分な 場合の併用療法となっておりますので、第2選択薬の配合剤であることを明記する必要が あると考え、現在の添付文書に記載されている効能・効果が適切と判断しております。  一方で、例えばプロスタグランジン製剤からの切替えを認めるかどうかという点につい ては、審査報告書の15ページに記載しております。御指摘のとおり、余り詳細な記載で はないかもしれませんが、我々が審査の中で論点にしたのは、国内の臨床試験ではβ遮断 薬からの切替えでの有効性を見ているので、例えばプロスタグランジン製剤からの切替え を認めるかどうかという点については、専門協議でも議論をさせていただきました。まず 現状の国内での緑内障治療の併用等の実態を御覧いただきたいと思います。  審査報告書15ページに記載しておりますように、2剤の併用をしているケースでは、 先般、御審議いただいたようなβ遮断薬とプロスタグランジン製剤の第1選択薬同士の組 合せが、非常に多くなっています。一方、CAIというのは炭酸脱水酵素阻害剤になりま すが、炭酸脱水酵素阻害剤とβ遮断薬との組合わせに関しては2.6%、2%前後というよ うに、緑内障薬物治療全体の中では割合が非常に少なく、むしろ3剤併用療法のような、 作用機序の違うものを三つ組み合わせて使用される場合が5%〜10%前後ということで、 どちらかというと3剤併用での位置付けが大きいと考えられます。例えばプロスタグラン ジン製剤に上乗せされる可能性もあるため、そういう選択肢も残すべきであろうと判断し ました。  それから、既存のβ遮断薬とプロスタグランジン製剤についても、必ず配合成分2剤か らの切替えでなければ駄目ということではなく、視野障害の認められる眼圧の高い患者さ んでは初期から併用での治療がなされているという実態もありますので、添付文書上では 余り限定せずに、治療方針の考え方として、「緑内障治療ガイドライン」に準じて、単剤 治療を優先するということを注意喚起し、配合剤の位置付けを明確にすることが重要と考 えました。ですから、本剤でも今までの配合剤の記載に可能な限り倣った形で、かつ配合 成分の一部は第2選択薬であるということをメッセージとして、添付文書に記載すること が適切という判断をさせていただきました。 ○松井部会長 かなり検討はしているようです。 ○清水委員 情報提供をきちんとしていただくように、御指導いただければと思います。 ○松井部会長 ほかにありますか。 ○山本委員 量の問題です。海外では2%で承認されていて、なおかつ単剤だと日本でも 1日3回の量なのに、合剤にすると1%で2回となっています。これで十分なのですか。 ○機構 各単剤の承認の濃度が、海外では単剤も2%で、配合剤も2%です。本邦では単 剤は0.5%と1%で、そのうちの1%が配合剤とされています。御指摘のとおり、投与回 数は3回から2回に減っていますが、2回点眼でも日中の平均眼圧はコントロールが得ら れておりますので、その点の有効性については確認できているものと考えております。 ○山本委員 日中だけのデータですね。ですから1日を通じてではないというのが、少し 不安なのです。その辺の確認だけをしておいていただきたいと思います。 ○機構 審査報告書の17ページにありますように、眼圧の日内変動を踏まえた有効性に ついて、議論をさせていただいております。本剤に関しては1日に2回点眼しております ので、2回の点眼のうち、朝の点眼の2時間後とトラフ値に当たる点眼直前を見ておりま す。いずれの測定時点でも眼圧下降作用はチモロール単剤に比べて上回る結果です。また、 厳密な統計学的な手法は当てはめられませんが、両測定時点で併用療法に対してもほぼ同 等と判断できる結果だということが示されておりますので、本剤の日内変動を踏まえた有 効性についても、特に問題はないと判断しました。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。それでは議決に入ります。古川委員と山本委員 におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。異議なしと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたし ます。  次は議題5「ネシーナ錠6.25mg等の製造販売承認の可否について」、医薬品機構から 概要を説明してください。 ○機構 それでは議題5、資料No.5、医薬品ネシーナ錠6.25mg他の製造販売承認の可否 等について、機構より御説明申し上げます。  本剤は、アログリプチン安息香酸塩を有効成分とする経口の糖尿病治療薬であり、食事 摂取により消化管から血中に分泌されるGLP-1の不活化酵素であるDPP-4を阻害すること により、GLP-1の血中濃度を維持し、血糖降下作用を示すとされています。  2009年12月現在、本剤は海外で承認されておらず、米国では審査中です。同じ作用機 序を有する薬剤として、国内ではシタグリプチンリン酸塩水和物及びビルダグリプチンが 承認されております。  本品目の専門協議では、資料19に示す先生方を専門委員として指名いたしました。  以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきま す。  本申請は、単独療法とα-グルコシダーゼ阻害剤(以下、α-GI)との併用療法の申請で あり、単独療法ではブリッジングによる開発が行われました。  単独療法の有効性については、国内第II相用量設定試験がブリッジング試験として実施 され、審査報告書の46ページ表9に示しましたように、主要評価項目とされた投与後12 週目のHbA1C変化量において本剤の用量反応関係が認められ、また、表10に示しましたよ うに、プラセボ群との間に有意差が認められました。国内外の用量反応関係を比較したと ころ、70ページ図7に示しましたように、用量反応関係の類似性が明確に示されたとは 言い難いものの、本剤の作用機序が酵素阻害(DPP-4阻害)であることや、本剤12.5mg以 上の用量におけるHbA1C変化量が国内外で同様に一定程度となっていることを踏まえ、本 剤を日本人に使用する上で有効性に大きな問題が生じる可能性は低いと考え、プラセボに 対する優越性が検証された海外第III相試験の成績を日本人の単独療法における検証試験 の成績として外挿することは可能と判断しました。α-GIとの併用療法の有効性につい ては、国内第II/III相試験が実施され、59ページ表19に示しましたように、α-GI単独 群との間に有意差が認められました。52週間投与時の効果の持続については、単独療法 に関しては50ページの図1、2、α-GIとの併用療法に関しては61ページの図3と62 ページの図4のとおり、それぞれ確認されております。  安全性については、80〜88ページに示しましたように、低血糖症、腫瘍発生との関連 性、心血管系リスク、膵炎等について評価し、許容可能と判断しました。  製造販売後調査については、93、94ページに示しましたように、観察期間36か月、調 査症例数3,000例の長期使用に関する特定使用成績調査が実施される予定です。当該調査 においては、高齢者、腎機能障害患者、肝機能障害患者における安全性も検討される予定 です。なお、心血管系リスクについては、当該製造販売後調査において検討することに加 え、85ページに示しましたように、海外で実施中の心血管安全性アウトカム試験である EXAMINE試験に製造販売後臨床試験として日本人患者□□例が参加する予定です。なお、 当該試験成績が得られ次第、当該成績を速やかに提出するとともに、適切に医療現場に情 報提供することを申請者に指示しております。  以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して 差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしまし た。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断し ております。原体及び製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、また、生物由来製品及び 特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いい たします。 ○野田委員 69ページに、HbA1CのJDS値とNGSP値の換算等について載っています が、基本的にこの表中のHbA1Cの値はJDS値という理解でよろしいのでしょうか。日本 の値ですね。  日本糖尿病学会のデータに直されたものが、この表に載っているという理解でよろしい でしょうか。 ○機構 海外はNGSP値で、国内はJDS値で、その類似性を評価するときには、換算 した形で評価して類似性を確認しております。変化量で見ますので。 ○野田委員 これはその当時の換算式ということで、今はこれとは違ってきていると思う のですが、その当時のものという理解でよろしいですね。 ○松井部会長 その当時というのは、どれぐらい前なのでしょうか。 ○野田委員 0.07〜0.29は大きな相違ではないと書いてあるのですが、今は0.4%違うと いうことになっていまして、少しこの値と隔たりがあると思ったので質問しました。 ○松井部会長 それは、私もよく分からないのですが、変化率ということであれば相殺さ れるものなのでしょうか。 ○野田委員 変化量であれば大きな差ではないかもしれないですけれど、変化率でみる場 合は少し差があるかもしれません。 ○松井部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○機構 今確認しておりますが、基本的に今の科学水準でどうなのかという観点でやり取 りしたつもりですので、当然申請者の説明としては、現在HbA1Cの標準化は世界的に進ん でいると。糖尿病学会でもそういう検討をする委員会があったと思いますが、そういった 形で説明してきておりまして、そこで換算式を、換算式自体は今分かっている換算関係か ら申請者が式を求めたという形になっていますので、いろいろな報告から換算した形にな っているかと思います。 ○野田委員 2番目ですが、膵炎・腫瘍については許容可能と考えられたということです が、もう少し具体的に説明していただけますか。 ○機構 膵炎につきましては、急性膵炎は国内臨床試験で1例見られておりますが、その 方は基本的に治験薬との因果関係は否定されており、アルコールの摂取量が増えたことが 原因であったと、治験担当医師の判断がされております。  海外では、臨床試験の中で10例出ていますが、発現率のパーセントと糖尿病患者で一 般的に知られている膵炎の発現率を考えると、本剤で増加しているわけではないと。です から、現時点で明確に関連しているという状況ではないのですが、我々としても最近GLP-1 アナログとかDPP-4阻害剤で膵炎が非常に注目されておりますので、そこは臨床試験の範 囲で明確に関連付けられなかったとしても、今後注目すべき事象の一つであろうというこ とで、今回議論の中で取り上げた次第です。製造販売後にも、膵炎関しては情報収集すべ きと考えております。 ○松井部会長 腫瘍についてはいかがですか。 ○機構 腫瘍についても考察させましたが、今のところ一定の傾向は見られていないと。 例えば、用量が増えると腫瘍の発現率や特定の腫瘍の発現が増えるといった傾向はありま せんが、御指摘のようにこの薬剤自体腫瘍に対してどうなのか、あるいは免疫系に対して 影響があるのかないのかといったところは注目されているところですので、海外でもまだ 販売されてそれほど日にちが長くないので、日本においてもそこは注意して情報収集して いくべきだと。それはこの薬に限らず、類薬を含めて国内外で見ていく必要があるだろう と考えております。 ○野田委員 ありがとうございました。最後に添付文書についてですが、「効能・効果」 に、2型糖尿病で下記いずれかの治療で十分な効果が得られない場合、すなわち食事・運 動療法、食事・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害薬を使用とあります。一方、次 のページの相互作用・併用注意のところを読みますと、糖尿病用薬と併用した際には低血 糖症状を発現するおそれがあるので、慎重に投与することということですので、この場合 は慎重に投与することが可能という理解でよろしいのですか。 ○機構 この点については、類薬もそうなのですが、相互作用の項に、必ずしも効能とし て認められているものだけの話ではなくて、併用された場合の注意として、この領域では このような書き方になっているので、御指摘のような点は今後検討していかなければいけ ないかと思っております。この場でどうすべきというのは明言はできませんが。 ○野田委員 実際には、こちらはSU薬との併用が既にシタグリプチンが昨年市販され、 認められているわけですが、SU薬との併用での低血糖が、認められている用法ではあり ますが、かなり出ているのです。本薬は同じクラスの薬剤で、このような形で使われてし まうことがかなりあるのではないかと思うので、少し低血糖への注意喚起が必要かという 気がしたのです。 ○機構 御懸念の点については、十分申請者を指導していきたいと思います。どうもあり がとうございます。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。御質疑はございませんか。  それでは、決議に入ってよろしいでしょうか。これに関しては、加藤委員、野田委員、 林委員、古川委員、山本委員は利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮い ただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告 いたします。  次は、議題6「メタクト配合錠LD他の製造販売承認の可否等について」、医薬品機構 から説明をお願いします。 ○機構 それでは、議題6、資料No.6、医薬品メタクト配合錠LD他の製造販売承認の可 否等について、機構より御説明申し上げます。  本剤は、チアゾリジン系薬剤であるピオグリタゾン塩酸塩とビグアナイド系薬剤である メトホルミン塩酸塩を配合し、両薬剤の併用による治療が適切と判断される2型糖尿病を 効能・効果とした配合剤です。両薬剤の作用機序が異なることから、併用することにより インスリン抵抗性を多面的に改善し、良好な血糖コントロールが得られることが期待でき るとされており、両薬剤を組み合わせる配合剤は、世界42か国で既に承認されています。 なお、申請者が国内で製造販売しているピオグリタゾン塩酸塩製剤であるアクトス錠につ いては、ビグアナイド系薬剤との併用療法が既に承認されています。  本品目の専門協議では、資料No.19に示す先生方を専門委員として指名させていただい ております。  以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきま す。  本申請においては、配合剤の開発のために実施されたピオグリタゾン塩酸塩で血糖コン トロール不十分な2型糖尿病患者を対象にメトホルミン塩酸塩を上乗せする第III相試験 の成績に加え、アクトス錠におけるビグアナイド系薬剤との併用療法の効能追加の承認申 請の際に評価済みの試験である、メトホルミン塩酸塩で治療中の2型糖尿病患者を対象に ピオグリタゾン塩酸塩を上乗せする第III相試験成績が再度提出されました。  有効性については、本申請では、メトホルミン塩酸塩として用法・用量が「1日量500mg より開始し、1日2〜3回に分割経口投与」から「500mgを1日1回投与」に変更される ことになりますが、審査報告書の11ページ表1に示しましたように、メトホルミン塩酸 塩500mgを1日1回投与した群の250mgを1日2回投与した群に対する非劣性が検証され ています。また、12ページ表3に示しましたように、アクトス錠における併用療法申請 時に評価済みの臨床試験において、併用群のメトホルミン単独群に対する優越性が検証さ れています。  安全性については、22〜25ページに示しましたように、メトホルミン塩酸塩の用法変 更により安全性への大きな影響は認められていないことを含めて、本剤の安全性は忍容可 能と判断しています。  なお、配合意義の科学的合理性については、15ページに示しましたように、各単剤の 併用と配合剤の生物学的同等性が示されていること、併用時の有効性は二つの第III相試験 成績等により示されており、安全性は忍容可能と考えることから示されていると考えま す。患者の利便性については、15〜17ページに示しましたように、ピオグリタゾンを1 日15mg又は1日30mgとメトホルミン塩酸塩を1日500mgを併用することが適当と判断さ れる患者においては、本剤に切り替えることにより、服薬回数及び服薬錠数が減少するこ とで服薬遵守率が向上し、良好な血糖コントロールが得られることが期待できると考えま す。  製造販売後調査については、25〜26ページに示しましたように、観察期間を12か月、 調査予定症例数を1,000例とした長期使用に関する特定使用成績調査を実施し、低血糖、 乳酸アシドーシス、消化器症状、心不全、浮腫等について情報収集される予定です。  以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として本剤を承認して差 し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしまし た。  本剤は新医療用配合剤ですが、配合成分の既承認の用量範囲を超えるものではなく、再 審査期間は4年が適当であると判断しております。なお、製剤は劇薬に該当し、また、生 物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○松井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質疑をお願しま す。 ○佐藤委員 ただ今の説明の中で、13ページの表4で、有害事象のことをお伺いしたい のですが、発現頻度が3%以上あった有害事象が、特にここで気になるのは鼻咽頭炎が約 3分の1ぐらいの症例で、3%以上のこれが飛び抜けて高くなっております。先ほどの 22ページでは、安全性は全体的にあると言われておりましたが、鼻咽頭炎について突出 しているのは何か理由があるのでしょうか。 ○機構 鼻咽頭炎ですが、表4で示しておりますように、有害事象ということであがって きておりまして、表5に示しておりますが、特段副作用としてあげられてくるものではあ りませんので、特段の問題はないと判断しております。 ○松井部会長 副作用ということではないということですね。ほかにいかがですか。 ○野田委員 添付文書の3ページのその他の副作用のところで、ピオグリタゾンの右下に 骨折頻度不明と記載されていますが、文献的には閉経後の女性での骨折がいろいろ論じら れていると考えています。今回配合剤になるわけですが、その際の製造販売後調査での、 先ほどの項目は低血糖、乳酸アシドーシス等ですが、例数の問題はあるかもしれないけれ ど、骨折についても可能であれば調査していただけるといいのではないかと思っていま す。 ○機構 その点は申請者に検討させたいとは思います。製造販売後調査になると使用実態 下の調査ということになりますが、例えば骨密度を測るとか、そういったことは保険上難 しいのかと。骨粗鬆症という疾患名がつかないと難しいような気がします。そういう御意 見があったことを申請者に伝えさせていただきますが、申請者に調査させますとは、現在 明確にお答えはできません。それは保険上の絡みがありますので。 ○松井部会長 微妙なニュアンスがありますが、ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 一点は、この審査報告書に限らないのですが、配合剤の審査報告書を見てい るときに「単剤」という言葉の使い方が、単剤の意味が配合剤に対しての単剤という意味 と、薬物治療としての一薬剤での治療という意味の単剤、要するに多剤併用に対する単剤 とが複数の意味で使われている、別々の意味なのだけれど、それを「単剤」と表記してい る所が出てくるように思います。そこはきちんと分かるようにお書きになる方がよろしい のではないかというのが一点です。  教えていただきたいところとしては、LDの製剤の方に薬剤に割線が入っているのです が、この割線は必要がないと思うのです。あるいは、あると具合が悪いと思うのですが、 そこはいかがでしょうかというのが一点です。  二つ目は、市販後の試験でadherenceの調査をすると、服薬遵守の変化を情報収集する ということが挙げてあるのです。是非それはお願いしたいと思いますが、実際にadherence のデータを定量的に取るのは大変なことかと思うのです。そこは何か検討なさっているこ とがあるのかどうか、その二点御意見をお願いします。 ○松井部会長 すみません、何ページでしょうか。 ○清水委員 32ページの(6)の製造販売後調査の中で、中ほどより下にポツが三つあり ますが、三つ目のポツです。「本剤に切り替えたことによる服薬遵守状況の変化について 情報収集する必要がある」ということで、このことは是非お願いしたいことではあるので すが、服薬遵守の状況、どのぐらいきちんと飲めたかを定量的に把握するのはなかなか大 変なことかと思うので、何か検討していることがあればということで質問しました。 ○松井部会長 いかがでしょうか。 ○機構 まず割線についてですが、実際にお手元にある錠剤を御覧いただくと、割れるよ うな状況にはなっていないものかと思っております。実際にこれを割って使うことは、こ ちらでも想定しておりません。 ○清水委員 識別のためということですか。 ○機構 単に飾りと考えております。 ○清水委員 では、付けない方がよろしいのではないかと思います。 ○松井部会長 その点は申し伝えてください。 ○機構 はい。割って使わないように医療現場に周知するよう、申請者に指導したいと思 います。  製造販売後調査の件ですが、特定使用成績調査の添付資料1-11-1の次のページですが、 ここの6-3-1に「本配合剤の服薬遵守状況、食事療法・運動療法の遵守状況」ということ で記載があります。こちらに配合剤の服薬遵守状況の評価基準ということで1〜4とあり まして、それにのっとって調査を実施することとされております。 ○松井部会長 よろしいでしょうか。 ○清水委員 はい。ありがとうございました。 ○松井部会長 御質問はそれだけですね。「単剤」という言葉の使い方は御意見ですね。 ○清水委員 はい。 ○松井部会長 ほかにございますか。それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。これ に関しましては、野田委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、 議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について承認を可としてよろしい ですか。  御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。  次は議題7「ネスプ注射液10μg/1mLプラシリンジ、他の製造販売承認の可否等につ いて」、医薬品機構から御説明をお願いします。 ○機構 それでは、議題7、資料No.7、医薬品ネスプ注射液10μg/1mLプラシリンジ、 他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。  腎性貧血は慢性腎臓病の合併症の一つであり、腎障害によるエリスロポエチンの産生能 低下を主因とし、貧血の原因が腎障害以外に考えられない場合に診断されます。  本薬の有効成分であるダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)は、ヒトエリスロポエチ ン誘導体であり、既承認の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤であるエポエチンアル ファのアミノ酸配列の一部を改変することにより、エポエチンアルファに比べて約3倍の 血中濃度半減期を有し、従来のエポエチン製剤より少ない投与頻度で貧血の治療が可能と なることを期待して開発されました。国内においては、既に2007年4月に、静脈内投与 製剤として、透析施行中の腎性貧血に対するエポエチンアルファ及びベータからの切替え の承認を取得しております。  今般、皮下又は静脈内投与による保存期慢性腎不全患者及び腹膜透析患者における腎性 貧血に対する効能・効果の追加、並びに、透析施行中の腎性貧血に対する静脈内投与によ る初期投与の用法・用量の追加を目的として申請されております。  海外において、本薬は2001年5月にオーストラリアにおいて承認を取得した後、2009 年10月現在、米国をはじめとする世界54か国において「透析患者及び保存期慢性腎臓病 患者の腎性貧血」に対して承認されております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料No.19に示す専門委員が指名されております。  以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。  国内で実施された10試験の成績が主な臨床試験成績として、提出されております。  有効性に関してですが、報告書33ページの図4を御覧ください。保存期慢性腎不全患 者を対象に実施された国内SCA11試験において、主要評価項目である「評価期間にお ける平均Hb濃度」について、本薬群及びエポエチンアルファ群の平均値の差は0.09g/dL であり、両群の同等性が検証されたことから、本薬の保存期慢性腎不全患者に対する2週 〜4週に1回の皮下投与において、エポエチンアルファの1週〜2週に1回投与と同等の 貧血改善、維持効果を示すことが確認されました。  また、報告書21ページ、表10を御覧ください。試験の詳細については省略しますが、 表10に示す、保存期慢性腎不全患者、腹膜透析患者及び血液透析患者を対象とした各臨 床試験成績も踏まえ、腎性貧血における貧血改善効果、維持効果は示されていると判断い たしました。  安全性に関してですが、報告書34ページの表38を御覧ください。保存期慢性腎不全患 者を対象に実施された国内SCA11試験における有害事象の発現状況について、エポエ チンα群と比較して、本薬群で特段問題となるものはないと考えました。  また、報告書48ページの9行目を御覧ください。その他、透析施行中の腎性貧血を適 応とした前回の申請時に提出された臨床試験も含めて検討しましたところ、血液透析患者 では、保存期慢性腎不全患者及び腹膜透析患者と比較して、血栓・塞栓・閉塞関係の有害 事象の発現率がやや高い傾向が認められたため、特に血液透析患者に対しては、血栓・塞 栓・閉塞関係の有害事象の発現に注意しながら投与することが必要であると考えました。  以上、機構での審査の結果、本薬の腎性貧血に対する有効性は認められ、安全性は許容 可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議され ることが適当と判断いたしました。  なお、本薬は、新投与経路医薬品・新効能医薬品・剤型追加に関わる医薬品であり、新 投与経路である皮下投与に係る効能・効果、用法・用量についての再審査期間は6年、静 脈内投与に係る効能・効果、用法・用量についての再審査期間は「ネスプ静注用10μgシ リンジ」等の残余期間とすることが適当であると判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議どうぞよろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。 ○清水委員 製品の包装について確認をしたいと思います。30μg製剤が、1シリンジ単 位と10シリンジ単位での包装の発売と。添付文書(案)の27ページの右下に載っておりま すが、30μg製剤だけ1シリンジと10シリンジの2規格発売されていることの理由と、 欧米では4本シリンジの包装で発売されているという情報が添付されているのですが、4 本シリンジでの販売は難しいのかどうかというところをよろしくお願いします。 ○機構 60μgシリンジ以上の剤型については、主に皮下投与が中心になっているという ことで、1シリンジ単位の販売になっています。それ以下の製剤に関しては、主に透析病 院等で使われることが予測されるので、こういった包装単位になっているのではないかと 思います。 ○清水委員 それでいて、30μgだけが1シリンジと10シリンジとの2規格発売されて いることには、何か理由があるのですか。 ○機構 30μgシリンジに関しても、皮下投与の初期投与量が30μgになっていますので、 普通の、透析病院ではなく腎臓病院等でも使えるような形で、1シリンジ単位の包装が使 われているのだと推測いたします。  もう一つの質問については、申し訳ありませんが、もう一度お願いします。 ○清水委員 欧米では4本で1箱の包装で発売されているようですが、今はできるだけ少 ない包装で買える方が現場は助かるので、無理なのか確認です。 ○機構 その点については状況は把握しておりませんが、基本的に医療現場の要望に応じ て、こういった包装についても対応いただけるよう、申請者には今回いただいたコメント について伝えようと思います。 ○清水委員 よろしくお願いします。 ○松井部会長 ほかにはいかがですか。御質問、御質疑はございませんか。  それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。これにつきましては、野田委員、林委員、 山本委員は、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただきたいと思 います。本議題について、承認可としてよろしいでしょうか。  ありがとうございます。御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告い たします。  次は議題8「ユニシア配合錠LD等の製造販売承認の可否等について」、医薬品機構か らお願いします。 ○機構 議題8、資料No.8、医薬品ユニシア配合錠LD、同配合錠HDにつきまして、医 薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤は、既承認のアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるカンデサルタンシレキセチル とカルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする降圧薬同士の配合 剤です。今般、武田薬品工業より国内臨床試験成績等を基に、カンデサルタンとアムロジ ピンの用量がそれぞれ8mgと2.5mg、8mgと5mgの2製剤の医薬品製造販売承認申請が なされました。なお、カンデサルタンとアムロジピンの配合剤は海外では開発されており ません。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料No.19に記載されている委員が指名 されております。  本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について説明させていただきます。  審査報告書19ページ表1を御覧ください。主要な臨床試験として、日本人本態性高血 圧症患者を対象に、表にあります各用量を各単剤の単独又は併用により12週間1日1回 経口投与する要因試験が実施されました。有効性の主要評価項目であるトラフ時坐位拡張 期血圧のベースライン値からの変化量は、表中ではC.C.と記載しておりますカンデサル タン8mgと、同じくAMLと記載しておりますアムロジピン5mgの併用は、同用量の各 単剤よりも有意に大きい降圧効果を示しました。なお、表の下から2番目のカラムにあり ますが、もう一方の申請用量であるカンデサルタン8mgとアムロジピン2.5mgの組合せ に関しては、アムロジピン2.5mgの降圧効果の直接比較はなされていませんが、得られて いる情報に限りがあるものの、カンデサルタン8mgとアムロジピン2.5mg併用群の降圧 効果がカンデサルタン8mg単剤を上回ることが期待できる結果が得られております。  続きまして、審査報告書21ページを御覧ください。日本人の本態性高血圧症患者で未 治療の患者、並びにカンデサルタン又はアムロジピン単独治療で効果不十分な患者を対象 に、カンデサルタンとアムロジピンを併用投与し、降圧効果が不十分な場合には、原則と していずれか一つの有効成分を1用量ずつ増量していく長期投与試験が実施されました。 図1は、52週間投与したときの最終投与量別のトラフ時坐位拡張期血圧の観察期終了時 からの変化量推移を示したものです。いずれの用量においても、持続した降圧効果が認め られました。  次に安全性についてですが、審査報告書20ページ表2を御覧ください。要因試験で見 られた主な有害事象を示しておりますが、併用群で特に発現率が高くなる有害事象は認め られず、また、各単剤で懸念される副作用が配合剤として服用することで増悪する傾向も 認められませんでした。また、審査報告書22ページ表3を御覧ください。長期併用投与 試験においても、長期投与により特に発現率が高くなる有害事象は認められず、新たに特 異的な有害事象も認められませんでした。以上より、現時点では、血圧低下に関連した有 害事象やその他の各単剤において懸念される有害事象、並びに腎機能障害患者、肝機能障 害患者、高齢者に対する本剤投与時の注意喚起については、各単剤の添付文書と同様とす ることに差し支えなく、本剤は添付文書に記載されている注意等に従い、選択された患者 に対して適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な懸念は 認められないと判断いたしました。  審査報告書30ページ17行目以降を御覧ください。カンデサルタンとアムロジピンを配 合する意義についてですが、両剤の併用により、カンデサルタン及びアムロジピン各単剤 より高い降圧効果が期待できること、安全性について大きな懸念を示すデータはないこと から、両剤を同時投与することに科学的合理性が認められ、国内外の高血圧治療ガイドラ インで推奨されているアンジオテンシンII受容体拮抗薬とカルシウム拮抗薬の併用療法 の選択肢を、カンデサルタンとアムロジピンの配合剤という形で提供することには意義が あると判断いたしました。  同じく審査報告書30ページ23行目以降を御覧ください。本剤の臨床的位置付けについ てですが、本剤は、各単剤の既承認用法・用量の範囲内の組合せで提供される薬剤であり、 両単剤の併用治療からの切替えや各単剤からの切替えが主な使用法であると考えます。ま た、今回配合剤の適正使用の観点から、本剤を第一選択薬としないという申請者の主張に 関して、高血圧治療ガイドラインにおいて、「II度以上(160/100mmHg以上)の高血圧の場 合は、通常用量の単剤もしくは少量の2剤併用から開始してよい」との提言がなされてい るものの、さらなる用量調節が必要となる可能性が高い初期投与の段階で、併用ではなく 配合剤を使用することによって得られるメリットが特に高いとは考え難く、さらに、各有 効成分の各用量を含有する製剤は既に市場に上市されていることから、配合剤を第一選択 薬として使用しないということが実質的に患者に不利益をもたらすことはないものと判 断し、申請者の主張は適切であると考えております。以上を踏まえ、審査報告書31ペー ジ13行目以降、中段になりますが、「用法・用量」並びに「用法・用量に関連する使用 上の注意」の記載が適切であると判断しております。  続きまして、製造販売後調査について、審査報告書32ページ4行目以降を御覧くださ い。使用実態下における長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的に、高血圧 症患者3,000例を対象とした特定使用成績調査を実施し、臨床試験において投与経験が限 られていた、75歳以上の高齢者、腎機能障害、肝機能障害患者等における安全性等につ いての情報収集を行う予定です。  以上の検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結果に達し、医薬品第一部 会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断してお ります。再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では 報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。い かがでしょうか。特に問題はないのでしょうか。御意見が一つも出ないのですが、議決に 入ってよろしいでしょうか。  それでは、議決に入りますが、加藤委員、野田委員、林委員、山本委員におかれまして は、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。  本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御 意議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。  次は議題9「ソリリス点滴静注300mgの製造販売承認の可否等について」、機構から御 説明をお願いいたします。 ○機構 それでは、議題9、資料No.9-1及び9-2、医薬品ソリリス点滴静注300mgの製造 販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。  発作性夜間ヘモグロビン尿症(以下、PNHと略す)は、後天的な遺伝子疾患であり、終 末補体制御因子CD59の欠損により、赤血球表面で細胞融解を引き起こす補体複合体の C5b-9が蓄積し、血管内溶血が誘発されます。血管内溶血によりヘモグロビン尿を呈し、 貧血状態から疲労等が認められ、また、溶血により過剰に遊離したHbが血小板の活性化 等を引き起こし、血栓症を誘発すると考えられています。さらに、遊離Hbが腎臓に蓄積 し、腎障害が認められることもあります。  PNHに対する現在の治療法は、貧血等に対する症状の緩和を目的とした対症療法のみ であり、血管内溶血を効果的に抑制する薬剤は存在していません。  本薬の有効成分であるエクリズマブ(遺伝子組換え)は、ヒト補体であるC5に対し高い 親和性を示すヒト化モノクローナル抗体であり、C5の作用を阻害することで、補体複合 体C5b-9による血管内溶血を抑制することが期待され、本薬が開発されました。  本邦におけるPNH推計患者数は、1998年の調査結果において約430人とされており ます。また、本薬は、2008年12月22日付けで希少疾病用医薬品に指定されております。  海外において、本薬は、2007年3月に米国において承認された後、2009年10月現在、 米国と欧州等世界33か国において、PNHを適応として承認されております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料No.19に示しますような専門委員が指名されて おります。  以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。  主な臨床試験成績としては、海外で実施されたTRIUMPH試験、SHEPHERD試験、並びに 日本人を対象としたC07-001試験の成績が提出されております。有効性に関してですが、 報告書の44ページの2行目又は37ページの10行目を御覧ください。主要な臨床試験で ある海外TRIUMPH試験は、プラセボ対照二重盲検比較試験として実施されております。主 要評価項目である「投与期間中のHb値が各患者の輸血設定値を上回り、かつ輸血を受け なかった場合」と定義される「Hbの安定化」の達成率及び「濃厚赤血球輸血単位数」の いずれにおいても、プラセボ群に比べ有意な差が認められたことから、本薬の溶血抑制作 用は示されたと判断いたしました。  また、安全性に関してですが、報告書37ページの表15を御覧ください。海外TRIUMPH 試験において、プラセボ群と比較して本薬群で頭痛の発現率が高く、頭痛に対する注意が 必要であると考えますが、その他の事象については軽度のものが多く、特に問題ないと考 えました。その他の臨床試験においても、臨床上特段注意すべき有害事象は認められてお らず、次に説明します髄膜炎菌感染症以外については、現時点で特段問題とすべき点はな いと判断しました。  髄膜炎菌感染症については、本薬の作用機序から本薬投与により発症リスクの上昇が懸 念されており、注意が必要であると考えました。以下に、髄膜炎菌感染症に対する対策に ついて説明いたします。  報告書の56ページから、髄膜炎菌に関して記載をしております。本薬はC5の作用を 阻害するため、髄膜炎菌感染症に対する防御系の抑制が懸念されており、開発の途中から 髄膜炎菌ワクチンを接種した上で臨床試験が実施されています。また、本薬の既承認国で は、髄膜炎菌感染症に対する注意喚起並びに早期発見・早期治療の体制構築とともに、本 薬投与前の髄膜炎菌ワクチンの接種が必須とされております。  報告書78ページを御覧ください。髄膜炎菌感染に対する対応を記載しております。髄 膜炎菌感染症は重篤化する例も認められる感染症であることから、本邦においても十分な 対応が必要と考えております。しかし、髄膜炎菌感染に対する予防の手段の一つとして期 待される髄膜炎菌ワクチンについて、本邦では髄膜炎菌が比較的まれな感染症であること もあり、現在までに承認されたワクチンは存在しておりません。機構は、専門協議の結果 も踏まえて、申請者に対し髄膜炎菌感染症に対する十分な対応を求めました。その結果、 申請者より、本薬の投与を希望する患者全例を登録し、本薬のリスクとベネフィットにつ いて十分な情報提供が行われたことを確認すること、また、本薬による治療は血液内科が 中心となりますが、感染症に対する治療体制が整った施設と連携する等、髄膜炎菌感染症 の早期発見、早期治療のための対策を構築するとの回答が得られました。それに加えて、 髄膜炎菌感染症の予防対策として、髄膜炎菌ワクチン製造企業と協力して、速やかに本邦 でPNHに対する髄膜炎菌ワクチンの治験を開始し、希望する患者は治験への組入れを行 うこと、二つ目としては、治験には参加しないが、髄膜炎菌ワクチンの投与を希望する患 者に対しては、日本渡航医学会の協力を仰ぎ、海外渡航者ワクチンの接種施設等を紹介す る等の体制を構築する、との回答が得られました。  以上から、本薬については、髄膜炎菌感染症に対する製造販売後の安全対策を講じる必 要があり、適切な安全管理体制の下で使用することで、認められたベネフィットを踏まえ た本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。  以上、機構での審査の結果、本薬の発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する有効性が示さ れ、必要な安全管理対策をとることで安全性は許容可能と考えられることから、全症例を 対象とした製造販売後調査を実施すること、また、適正使用のための措置を講ずることに 関する承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議さ れることが適当と判断いたしました。  なお、本薬は、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、また希 少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当である と判断しております。薬事分科会では、審議を予定しております。御審議どうぞよろしく お願いいたします。 ○松井部会長 ありがとうございます。この発作性夜間ヘモグロビン尿症は御存じの方も いらっしゃると思いますが、報告書の5ページの下から7行目にありますように、1998 年の調査で、430人の患者が報告されているまれな疾患です。御質疑をお願いいたします。 いかがでしょうか。 ○山本委員 確かに大変な病気なので、なるべく早く承認していただいた方がよいと思う のですが、髄膜炎菌だけを強調されていましたが、それ以外の細菌感染、特に莢膜を有す る細菌に対しては、非常に問題になることがあるので、この文書にも書かれていますが、 それ以外の肺炎球菌や器具などに対しても、注意を喚起しないといけないと思います。そ の辺も含めた上で、是非検討をお願いします。 ○機構 ありがとうございます。インフルエンザ菌や肺炎球菌等、莢膜形成細菌に関して の注意喚起についても、添付文書上でさせていただいております。また、そちらの感染症 に対する情報も、投与する前には資材等を含めて十分提供していただくように指導等をい たしております。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 添付文書(案)の記載で二点御意見を聞かせていただきたいのですが、髄膜炎 の感染症リスクに関して患者さんに説明をして、理解をしてもらうことがとても大事だと 思うのですが、そのためには初期症状、初期兆候の記載がとても大事かと思うのです。「警 告」の欄に「初期兆候」という文言は出てきているのですが、そこには具体的事例の説明 はなく、2ページの「重大な副作用」のところで髄膜炎感染症の初期兆候、発熱、頭痛等 々書かれているのですが、できれば頭に持ってきた方が御理解いただきやすいと感じまし た。これについて御意見をいただきたいのが一点です。  二点目は、この薬剤の調製の仕方、使い方のところなのですが、これも用語なのですが、 「希釈液」という言葉と「希釈した液」というものがあると思うのですが、「希釈液」と 言われたら、どちらだと思いますか。 ○松井部会長 希釈に用いる液という意味ですか。 ○清水委員 意味があるかと思うので、そこのところも文言はきちんと書かれた方が誤解 がなくてよいと思います。希釈をして使うことが必要だということも分かるように御記載 いただければと思いますので、そこのところの御意見をお願いいたします。 ○機構 まず髄膜炎菌感染症の初期症状についてですが、先生の御指摘も踏まえまして、 「警告」の欄にも記載をさせるように検討したいと思います。  また、「希釈液」、「希釈した液」の文言については整理をさせまして、誤解のないよ うな文言に変更させたいと思いますので、その点について申請者に指導をしたいと思いま す。御指摘ありがとうございました。 ○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。議決に入ってよろしいですか。この議題は全員 が議決に参加することができます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょ うか。  御異議がないようですので、承認を可とさせていただきます。本剤は新有効成分であり、 また既存の薬剤がありませんので、薬事分科会に上呈し、審議とさせていただきます。  それでは議題10「エビリファイ錠3mg等の再審査期間の延長の可否について」、事務 局からお願いいたします。 ○事務局 審議事項議題10について御説明申し上げます。資料10を御覧ください。まず、 再審査期間の延長に係る制度について御説明いたします。お手元の資料10の1枚目に諮 問書が付いているかと思いますが、薬事法第14条の4第2項の規定に「厚生労働大臣は 新医薬品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認めるときには、薬事・食品衛生 審議会の意見を聞いて、調査期間をその製造販売承認があった日から10年を超えない範 囲内において延長することができる」という規定がございます。この薬事法の規定を受け まして、平成12年に「医薬品の市販後調査の基準に関する省令の一部を改正する省令の 施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直しについて」という通知を出しておりま す。その通知の中では「小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合にあっては、 再審査期間を10年を超えない範囲で一定期間延長する」という趣旨のことが書いてあり ます。今回の再審査期間の延長の可否につきましては、その通知を受けたものであるとい うことです。  次ページで、品目の概要に沿って簡単に説明いたします。本剤の申請者は大塚製薬株式 会社です。対象となる品目は「エビリファイ錠3mg 他」です。有効成分名はアリピプラ ゾール、効能・効果は統合失調症です。現在の用法・用量は、通常、成人にはアリピプラ ゾールとして、1日6〜12mgを開始用量、1日6〜24mgを維持用量とし、1回又は2回 に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は30mgを超え ないことという書き方になっております。また、本剤の承認日につきましては、平成18 年1月23日、再審査期間は8年になっております。  本剤について、例数設定根拠というページを御覧ください。その次のところでスケジュ ールが書いてあります。本剤について、小児の用法・用量を設定するための治験の実施に 関しまして、スケジュールが設定されておりますが、20□年から治験を実施します。ただ、 小児の統合失調症患者は非常に少ないということもありまして、20□年までの試験が必要 であるということですので、本剤についての小児の用法・用量の設定及び小児集団におけ る有効性や安全性を把握する治験の実施に関しましては、所要期間等を勘案しまして、再 審査期間を当初より2年間延長することが適当ではないかと考えております。そのことに ついて今般諮問させていただくものですので、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。よろしいでしょうか。よろ しければ議決に入りたいと思います。内海委員、成冨委員、山本委員には議決の参加を御 遠慮いただきたいと思います。本剤につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしい でしょうか。  ありがとうございます。御異議がないようですので、再審査期間の延長を可とし、薬事 分科会に報告いたします。小児の治験はこういうことが頻繁に起こりますので、どうか御 理解をいただきたいと思います。少し余計なことを申しました。次は、報告事項をお願い いたします。 ○機構 それでは報告事項の議題1〜3までまとめて御説明いたします。議題1「医薬品 ドルミカム注射液10mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。資料No.11です。 本剤は、2mL中にミダゾラム10.0mgを含有する注射剤であり、今般、アステラス製薬株 式会社から、「麻酔前投薬」、「全身麻酔の導入及び維持」及び「集中治療における人工 呼吸中の鎮静」に対する小児用量を追加するため、「適応外使用に係る医療用医薬品の取 扱いについて」(平成11年2月1日付け厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全 局審査管理課長通知)に基づいて、効能・効果等の製造販売承認事項一部変更承認申請が なされたものです。このうち「全身麻酔の導入及び維持」に対する小児用量の追加に関し ては、海外において承認されていないこと等を踏まえ、申請者は本申請から取り下げるこ ととしております。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、「麻酔前投薬」及び「集中治療における 人工呼吸中の鎮静」に対する小児用量の追加に関して、医学薬学上公知であると判断し、 本剤の小児用量を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして、報告議題の2「医薬品プロテカジン錠5及び同錠10の製造販売承認事項 一部変更承認について」報告いたします。  本剤は、ラフチジンを有効成分とする、H2受容体拮抗剤であり、現在、「胃潰瘍」等 の効能・効果で承認されております。  今般、大鵬薬品工業株式会社より、逆流性食道炎の効能を追加する新効能医薬品として の製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いた しました。  続きまして、議題3「医薬品フェリセルツ散20%の製造販売承認事項一部変更承認に ついて」です。資料No.13です。本薬剤は一包3g中クエン酸鉄アンモニウム600mgを含有 する散剤であります。今般、大塚製薬株式会社より、腹部磁気共鳴コンピュータ断層撮影 における胆道膵管撮影時の消化管陰性造影の効能・効果及び当該効能に係る用法・用量を 追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。  医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしまし た。議題1〜3については以上です。 ○松井部会長 ありがとうございました。御質疑、御意見はございますか。引き続きお願 いいたします。 ○事務局 議題4「ジスチグミン臭化物(経口剤)の安全対策のための製造販売承認事項一 部変更承認について」御説明させていただきます。  資料No.14を御覧ください。まず、製品の概要についてですが、ジスチグミン臭化物(経 口剤)につきましては、重症筋無力症、手術後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱によ る排尿困難に対し、1日5〜20mgを1〜4回分割経口投与する用法・用量で承認されて おります。ジスチグミン臭化物につきましては、コリンエステラーゼ阻害作用を有するこ とから、急性中毒症状として徐脈、腹痛などから呼吸困難、意識障害に至るコリン作動性 クリーゼが発現することが知られており、添付文書において、使用開始時の1日用量を5 mgとする点などについて、注意喚起を行ってきたところです。  しかしながら、これまでの注意喚起にかかわらず、排尿困難に対し投与された患者にお いて、コリン作動性クリーゼが引き続き報告されており、今年度については1月5日まで の集計ですが、44例の発生が認められており、うち4例が死亡しております。これまで も医療機関へ適正使用に関する周知等を行ってまいりましたが、依然としてコリン作動性 クリーゼの報告が続き、死亡例も報告されたことから、今般、製造販売業者である鳥居薬 品株式会社より、用法・用量を変更する旨の申出がなされ、審査管理課及び安全対策課よ り、安全対策を迅速に実施する必要から、医療現場への注意喚起をさらに徹底するよう求 めるとともに、他の2社も含め、速やかに承認事項一部変更承認申請を行うよう、連絡を 行いました。  用法・用量の考え方についてですが、排尿困難への投与において、コリン作動性クリー ゼの推定発現率は、発現時の用量が1日5mgに比べ10mg以上で高く、また1日10mg以 上の投与で死亡症例も発現していること。一方、重症筋無力症については、推定服用患者 数が少ないものの、コリン作動性クリーゼの発現は限られており、死亡例も報告されてい ないことなどを勘案し、手術後及び神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難につ きましては、1日用量を5mgに変更することとし、重症筋無力症については、用法・用 量の変更は行わないことを考えております。  なお、今回の一部変更承認に際して、製造販売業者から医療機関へ十分に情報提供を行 うとともに、引き続きコリン作動性クリーゼの発現に注目していくこととしております。 以上です。 ○松井部会長 ありがとうございます。これは重要な問題だと思うのですが、御質疑をお 願いいたします。 ○清水委員 今、説明の中でも出てきたお話ではありますが、やはり適正に使用してもら うための情報提供というのは、開発メーカー、販売メーカーの責務で、情報を届けるだけ ではなく、きちんと内容を理解していただく。この薬剤については薬事法上、毒薬の扱い になっていること等を含め、十分な御理解をいただけるための情報提供に注力していただ くよう、御指導よろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。そのように指導してまいりたいと思います。 ○松井部会長 ほかにはございますか。今、御発言があったこと等の延長線上ですが、企 業だけに任せないで、厚生労働省としても注意を喚起するということは十分に用意されて いると理解してよろしいですか。 ○事務局 私どもからも情報提供をしてまいりたいと思います。 ○松井部会長 お願いいたします。ほかにはございませんか。それでは次に移りたいと思 います。 ○機構 議題5「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて御報告いたします。資 料は15-1〜15-6で、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書になります。  資料15-1は、一般的名称は「イミグルセラーゼ(遺伝子組換え)」、販売名は「セレザ イム注200U」のもの、資料15-2は、一般的名称は「トラセミド」、販売名は「ルプラ ック錠4mg 他」のもの、資料15-3は、一般的名称は「インドメタシンナトリウム」、販 売名は「インダシン静注用1mg」のもの、資料15-4は、一般的名称は「ドネペジル塩酸 塩」で、販売名は「アリセプト錠3mg 他」のもの、資料15-5は、一般的名称は「カルベ ジロール」、販売名は「アーチスト錠1.25mg 他」のもの、資料15-6は、一般的名称は 「塩酸ファスジル水和物」、販売名は「エリル点滴静注液30mg」のものになります。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の 承認事項について、変更の必要がない「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。 ○松井部会長 ありがとうございました。御質問はありませんか。それでは、議題6につ いてお願いします。 ○事務局 議題6「希少疾病用医薬品の指定の解除について」御報告いたします。資料 16を御覧ください。酢酸アネコルタブにつきましては、平成18年6月に、中心窩下脈絡 膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品とし て指定され、日本アルコン株式会社により、研究開発が進められてまいりました。  しかし、国内第II相試験の結果によりまして、有意な用量反応関係が見られなかったこ と、また、本剤の対象疾患に対しまして、平成20年にマクジェン、平成21年にルセンテ ィスという医薬品が承認されておりまして、これら2剤が本剤に比べて同等かそれ以上の 視力維持効果が期待できること、また、治験を実施した医療機関、医師、患者等から、開 発の希望がないことなどを理由に、今般、希少疾病用医薬品研究開発中止届が提出され、 これを受け、希少疾病用医薬品の指定を解除するものです。以上です。 ○松井部会長 ありがとうございました。御質問ございませんか。それでは続けてお願い します。 ○事務局 資料No.17、議題7「優先審査指定品目の審査結果について」、御報告いたしま す。優先審査の取扱いにつきまして、資料2ページに概要をお示ししております。この制 度は薬事法第14条第7項に基づき、希少疾病用医薬品や、その他医療上に必要性が高い と認められた品目につきまして、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当 たっては、参考にお示ししている適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して 判断されております。  資料の1ページにお戻りください。今回、承認申請とともに、優先審査の指定申請が出 され、指定しないこととした品目は、ヒュミラ皮下注40mg、シリンジ0.8mL、成分名アダ リムマブ(遺伝子組換え)です。本剤について、中等症、又は重症の活動期クローン病(既 存治療で効果不十分な場合に限る)の効能・効果に係る承認申請がなされたものです。本 剤の適応疾病については、再発、再燃を繰り返す難治性の炎症性腸疾患であり、治療抵抗 性を示し、手術が必要となる症例も少なくないと考えられ、重篤な疾病であるというもの に該当すると考えられております。  本剤につきましては、国内外の複数の臨床試験が実施され、中等症又は重症の活動期ク ローン病患者の対する有効性は示されていると考えられております。また、海外臨床試験 において、既存の中等症又は重症クローン病の治療薬であるインフリキシマブ遺伝子組換 えの効果消失又は認容性のない患者に対しても、一定の効果が示されたと考えられており ます。しかしながら、本剤の効能・効果にある既存治療には、インフリキシマブは含まれ ておらず、適応疾病対象には、広い範囲の患者さんが含まれていることから、これらの対 象全体におきまして、本剤がインフリキシマブより優れた有効性又は安全性を持つことは 示されていないということから、既存の治療法と比較した医療上の有用性は認められない と考えました。  以上より、本剤の適応疾病は重篤であるものの、本剤は既存の治療法と比較して、優れ た有用性は認められないことから、本剤については優先審査品目に指定しないことといた しました。この品目につきましては、通常の審査を経た後、改めてこの部会で御審議いた だくこととなると思います。その際にはよろしくお願いいたします。以上です。 ○松井部会長 よろしいでしょうか。急がなくてよいという判断だということです。以上 が報告事項ですが、特に御質問ありませんでしょうか。御確認いただいたということにし てよろしいでしょうか。  議題は以上ですが、ほかに事務局から何か御報告はありますか。 ○審査管理課長 最後ですが、当日配付資料ということで、「医療上の必要性の高い未承 認薬・適応外薬検討会議」について簡単に御報告させていただきます。  未承認薬・適応外薬の検討会を始めたということです。未承認薬につきましては、もと もと未承認薬等の問題の会議、小児用法の検討会議ということで、検討を進めさせていた だいておりましたが、その二つの検討会議を合わせまして、適応外薬も含めまして、新た に未承認薬・適応外薬検討会議を設けさせていただいております。これにつきましては、 目的にありますように、欧米では使用されているが、国内では使用されていない医薬品の 適応につきまして、開発に資するようなサポートをしていこうというものです。 2ページは構成員のメンバーです。  具体的には、3ページですが、未承認薬・適応外薬に係る開発の要望につきまして、昨 年の6月から8月にかけまして伺っております。左側の下の方にありますが、学会、患者 団体からの要望につきましては、374件の要望があります。未承認薬が89件、適応外薬 が285件です。真ん中にありますが、公募する要望の条件につきましては、未承認薬につ きましては、欧米4か国のいずれかで承認されていること、適応外薬につきましては、い ずれかの国で承認されていること、あるいは公的医療保険制度で適応されていることを条 件としております。374件につきましては、これらの要件を満たすかどうかを含めまして、 これから検討会議で御検討いただいて、医療上の必要性の高いものについては、順次開発 について製薬企業の方に要請していきたいと思っております。  4ページです。検討会議における検討の進め方ですが、2月8日に第1回の検討会議を 始めさせていただいております。先ほどの374件につきまして、ワーキンググループの中 で、具体的には医療上の必要性について検討をしていただきまして、3月以降、検討会の 中で、順次医療上の必要性について御確認いただいた上で、各企業に開発の要請をしてい きたいと思っております。かつ企業の方では、開発の要請を受けまして、それについてど のような方法でやっていくか見解をいただきまして、公知申請、該当性、追加試験の調整 につきましても、また検討会で評価をいただきまして、公知申請であれば要請から6か月 以内、公知申請でなければ、治験が必要ということになるわけですが、要請から12か月 以内に追加試験を着手していただくということで考えております。  5ページ以降ですが、医療保険の方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算というもの が新たに22年度、23年度の施行ということで設けられていまして、これに関しては、今 回の適応外薬・未承認薬の開発の促進のための条件ということもありまして、未承認薬等 の開発が促進されるのではないかと期待しています。適応外薬につきましては、公知申請、 治験が終わりますと、どのぐらいの数か分かりませんが、かなりの数の申請が上がってま いりますので、改めてこの部会で御検討いただくということになりますので、よろしくお 願いいたします。 ○松井部会長 何か御質問、御意見ございますか。ほかには何かございますか。 ○機構 1月の部会におきまして、当日配付いたしましたロゼレム錠の専門員リストに委 員の記載漏れがありました。既に委員の先生方には修正版をお送りしておりますが、専門 員数は10名と訂正いたします。申し訳ございませんでした。 ○事務局 もう一点ございます。次回の部会ですが、既に御案内のように、4月23日(金) 午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○松井部会長 ありがとうございます。今日は20分超過いたしましたが、お疲れ様でし た。これにて終了いたします。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線 2746)