10/02/18 第145回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第145回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成22年2月18日(木)10:00〜 2 場所  厚生労働省議室(9階) 3 出席者   委員   公益委員 :柴田委員、清家委員        労働者代表:小山委員、長谷川委員        使用者代表:市川委員、高橋委員、佐藤代理   事務局  森山職業安定局長、山田職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        浅野主任中央需給調整事業指導官        大塚需給調整事業課長補佐、        小野寺需給調整事業課長補佐、高西需給調整事業課長補佐、        鶴谷需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関 する法律等の一部を改正する法律案要綱について ○清家部会長 ただいまから第145回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の 鎌田委員、使用者代表の秋山委員、労働者代表の古市委員がご欠席です。なお、使用者代表の秋 山委員の代理として日本商工会議所産業政策第二部の佐藤副部長がご出席です。  本日は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等 の一部を改正する法律案要綱につきましてご審議いただきます。皆様ご承知のとおり、昨年12月 28日付で労働政策審議会より厚生労働大臣へ答申が行われたところであります。資料1の法律案 要綱につきましては、同答申に基づいた形で作成され、昨日2月17日付で厚生労働大臣から労働 政策審議会へ諮問がなされ、同日に開催された職業安定分科会におきまして当部会において検討 することとされました。本日は本法律案要綱につきましてご議論いただきたいと思います。最初 に事務局から法律案要綱について読み上げていただき、その後、議論に移りたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○大塚補佐 法律案要綱の読み上げに先立ちまして、全体の構成を簡単に述べさせていただきま す。こちらの法律案要綱は全部で第一から第五までの構成になっておりまして、第一が第1次施 行分です。15頁からの第二は登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止などが入っており まして、第2次施行分です。第三と第四は他法律の改正、第五は附則で措置すべき事項です。そ れでは、法律案要綱を読み上げさせていただきます。 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部 を改正する法律案要綱」 第一 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一 部改正  一 題名及び目的の改正  (一) 題名の改正  法律の題名を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に 改めるものとすること。  (二) 目的の改正  この法律は、職業安定法と相まって労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適 正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もって派遣労働者 の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とするものとすること。  二 一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の開始の欠格事由の追加  次に掲げる者を一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の開始の欠格事由として追 加するものとすること。  (一) 一般労働者派遣事業の許可を取り消された者又は特定労働者派遣事業の廃止を命じら れた者が法人である場合(欠格事由に該当したことによる取消し等の場合については、当該法人 が第六条第一号又は第二号に規定する者に該当することとなったことによる場合に限る。)におい て、当該取消し等の原因となった事項があった当時現に当該法人の役員(業務を執行する社員、 取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、名称を問わず、これらの者と同等以上の支配力を 有するものと認められる者を含む。(三)において同じ。)であった者で、当該取消し等の日から 五年を経過しないもの  (二) 一般労働者派遣事業の許可の取消し又は特定労働者派遣事業の廃止の命令の処分に係 る行政手続法の規定による聴聞の通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを 決定する日までの間に一般労働者派遣事業又は特定労働者派遣事業の廃止の届出をした者(当該 事業の廃止について相当の理由がある者を除く。(三)において「廃止届出者」という。)で、当 該届出の日から起算して五年を経過しないもの  (三) 廃止届出者が法人である場合において、(二)の通知の日前六十日以内に当該法人の役 員であった者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの  (四) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又 は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)  (五) 暴力団員等がその事業活動を支配する者  (六) 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのあ る者  三 一般労働者派遣事業の許可取消し及び特定労働者派遣事業の事業廃止命令に係る事由の追 加  四(三)の指示を受けたにもかかわらず、なお四(一)又は四(二)に違反したときを、一般 労働者派遣事業の許可の取消し及び特定労働者派遣事業の廃止の命令に係る事由に追加するもの とすること。  四 関係派遣先への労働者派遣の制限  (一) 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、(二)に規定する関係派遣先へ の派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。  (二) 派遣元事業主は、厚生労働省令で定める特殊の関係のある者((二)において「関係派 遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度における当 該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業に係る総労働時間を、その事 業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で 除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)が百分の八十以 下となるようにしなければならないものとすること。  (三) 厚生労働大臣は、(一)又は(二)に違反した派遣元事業主に対し、指導又は助言をし た場合において、その者がなお(一)又は(二)に違反したときは、当該者に対し、必要な措置 をとるべきことを指示することができるものとすること。  五 労働者派遣事業の業務の内容に係る情報提供義務の創設  派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、事業所ごとの派遣労働者の数、労働者 派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額(五及び十三において「労働者 派遣料金額」という。)の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を労働者派遣料 金額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓 練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせること が適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならないも のとすること。  六 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置  (一) 労働者派遣契約の当事者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者の新たな就業 機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負 担に関する措置その他の労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図る ために必要な措置に関する事項を定めなければならないものとすること。  (二) 労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に 当たっては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事 業主による派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担 その他の派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならないものとするこ と。  七 紹介予定派遣  労働者派遣契約の締結に際し、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他 の紹介予定派遣に関する事項を定めなければならないものとすること。  八 期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為  (一) 期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為の解禁  労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努 めなければならないこととする規定について、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者が当 該労働者派遣に係る派遣労働者を期間を定めないで雇用される労働者の中から特定することにつ き当該労働者派遣契約の当事者が合意したときは、これを適用しないものとすること。  (二) 特定についての差別的取扱いの禁止  労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、派遣労働者の特定について、年齢又は性別を 理由として、差別的取扱いをしてはならないものとすること。  九 有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等  派遣元事業主は、その期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期間を定めて雇 用しようとする労働者(相当期間にわたり期間を定めて雇用する派遣労働者であった者その他の 期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進することが適当である者として厚生労働省令 で定める者に限る。九において「有期雇用派遣労働者等」という。)の希望に応じ、次のいずれか の措置を講ずるように努めなければならないものとすること。  (一) 期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機 会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように 雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供すること。  (二) 当該派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合にあっては、有期雇用派遣労働 者等を紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れること。  (三) (一)及び(二)のほか、有期雇用派遣労働者等を対象とした期間を定めないで雇用 される労働者への転換のための教育訓練その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を 推進するための措置を講ずること。  十 均衡を考慮した待遇の確保  (一) 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派 遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種 の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、 能力若しくは経験等を勘案し、その賃金を決定するように配慮しなければならないものとするこ と。  (二) 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派 遣先の労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施そ の他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければ ならないものとすること。  十一 派遣労働者等の福祉の増進  九及び十のほか、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者等について、希望、能力及び経験 に応じた就業及び教育訓練の機会の確保等必要な措置を講じ、これらの者の福祉の増進を図るよ うに努めなければならないものとすること。  十二 待遇に関する事項等の説明  派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、厚生労働省令で定めると ころにより、当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者の賃金の額の見込 みその他の当該労働者の待遇に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項を説明しなければ ならないものとすること。  十三 労働者派遣料金額の明示  派遣元事業主は、次に掲げるときは、次に定める労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ により、当該労働者に係る労働者派遣料金額として厚生労働省令で定める額を明示しなければな らないものとすること。  (一) 労働者を派遣労働者として雇い入れようとするとき 当該労働者  (二) 労働者派遣をしようとするとき及び労働者派遣料金額を変更するとき 当該労働者派 遣に係る派遣労働者  十四 派遣先への通知  (一) 派遣元事業主は派遣先に、当該労働者派遣に係る派遣労働者が期間を定めないで雇用 する労働者であるか否かの別を通知しなければならないものとすること。  (二) 派遣元事業主は、(一)による通知をした後に(一)の事項に変更があったときは、遅 滞なく、その旨を当該派遣先に通知しなければならないものとすること。  十五 日雇労働者についての労働者派遣の禁止  (一) 派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は 経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者(日々又は二月以内の期間を定めて 雇用する労働者をいう。十五において同じ。)を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に 支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務以外の業務については、そ の雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならないものとすること。  (二) 厚生労働大臣は、(一)の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじ め、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。  十六 離職した労働者についての労働者派遣の禁止  (一) 派遣元事業主は、派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けたならば(二)に抵触する こととなるときは、当該労働者派遣を行ってはならないものとすること。  (二) 派遣先は、労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当 該離職の日から起算して一年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の機会の確保が特 に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める 者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならないものとすること。  十七 派遣先の協力  派遣先は、十による措置が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、そ の指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先の労 働者に関する情報であって当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように努めなけ ればならないものとすること。  十八 期間を定めないで雇用される労働者に係る派遣先の労働契約申込義務  派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間に制限のない業務について、派遣 元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合の、当該派遣労 働者に対し、労働契約の申込みをしなければならないこととする規定について、当該派遣労働者 について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けている場合は、これを適用しな いものとすること。  十九 労働契約申込みみなし制度の創設  (一) 労働契約申込みみなし  イ 労働者派遣の役務の提供を受ける者が次のいずれかに該当する行為を行った場合には、そ の時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者 に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契 約の申込みをしたものとみなすものとすること。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、 その行った行為が次のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことにつき 過失がなかったときは、この限りでないものとすること。  (イ) 第四条第三項の規定に違反して派遣労働者を同条第一項各号のいずれかに該当する業 務に従事させること  (ロ) 第二十四条の二の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること  (ハ) 第四十条の二第一項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること  (ニ) この法律又は第四節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負 その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第二十六条第一項各号に掲げる事項を定めずに労 働者派遣の役務の提供を受けること  ロ イにより労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、 当該労働契約の申込みに係るイに規定する行為が終了した日から一年を経過する日までの間は、 当該申込みを撤回することができないものとすること。  ハ イにより労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が、 当該申込みに対してロの期間内に承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかったときは、 当該申込みは、その効力を失うものとすること。  ニ イにより申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者に係る労働者派遣をす る事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から求めがあった場合においては、当該労 働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、速やかに、イにより労働契約の申込みをしたものとみ なされた時点における当該派遣労働者に係る労働条件の内容を通知しなければならないものとす ること。  (二) 労働契約申込みみなしに係る勧告等  イ 厚生労働大臣は、(一)のイにより労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の 役務の提供を受ける者又は当該労働者派遣に係る派遣労働者からの求めに応じて、当該労働者派 遣の役務の提供を受ける者の行為が、(一)のイの(イ)から(ニ)のいずれかに該当するかどう かについて必要な助言をすることができるものとすること。  ロ 厚生労働大臣は、(一)のイにより申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働 者が当該申込みを承諾した場合において、(一)のイにより当該労働契約の申込みをしたものとみ なされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が当該派遣労働者を就労させない場合には、当該労 働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、当該派遣労働者の就労に関し必要な助言、指導又は勧 告をすることができるものとすること。  ハ 厚生労働大臣は、ロにより、当該派遣労働者を就労させるべき旨の勧告をした場合におい て、その勧告を受けた(一)のイにより労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の 役務の提供を受ける者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとする こと。  二十 法違反の是正に係る勧告  派遣先に対する法に違反した場合の是正の勧告について、指導又は助言の前置を要しないもの とすること。  二十一 その他所要の規定の整備を行うものとすること。 第二 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正  一 労働者派遣事業を行ってはならない業務の追加  物の製造の業務(物の加工、組立てその他の物を製造する工程における作業として政令で定め るものに係る業務をいう。)(その常時雇用する労働者を業として行う労働者派遣により当該業務 に従事させる場合における当該業務を除く。)を労働者派遣事業を行ってはならない業務に追加す るものとすること。  二 派遣先への通知  (一) 派遣元事業主は派遣先に、当該労働者派遣に係る派遣労働者が常時雇用する労働者で あるか否かの別(当該労働者が期間を定めないで雇用する労働者である場合にあっては、その旨) を通知しなければならないものとすること。    (二) 派遣元事業主は、(一)による通知をした後に(一)の事項に変更があったときは、遅 滞なく、その旨を当該派遣先に通知しなければならないものとすること。  三 常時雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止  (一) 派遣元事業主は、その常時雇用する労働者でない者について労働者派遣を行ってはな らないものとすること。ただし、次の場合は、この限りでないものとすること。  イ 第一の十五(一)の政令で定める業務及び当該業務以外の業務であってその業務を迅速か つ的確に遂行するために専門的な知識、技術若しくは経験を必要とする業務又はその業務に従事 する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要がある と認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合  ロ 第四十条の二第一項第三号又は第四号に掲げる業務について労働者派遣をする場合  ハ 当該労働者派遣に係る派遣労働者が六十歳以上の者である場合  ニ 当該労働者派遣が紹介予定派遣に係るものである場合  (二) 厚生労働大臣は、(一)のイの政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あら かじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。  (三) 派遣先は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合において、派遣元事業主が 当該労働者派遣をしたならば(一)に抵触することとなるときは、当該労働者派遣の役務の提供 を受けてはならないものとすること。  (四) (三)に違反して労働者派遣の役務を提供を受け入れることを、第一の十九(一)の イに掲げる行為に追加するものとすること。 四 暫定措置  第二の三(一)及び(三)について、その施行の日から起算して二年を超えない範囲内におい て政令で定める日までの間、労働者派遣により常時雇用する労働者でない者を従事させても当該 労働者の雇用の安定に大きな支障が生じていなかったと認められる業務であって、当該業務に従 事する労働者の雇用の安定を図るためには労働者派遣により常時雇用する労働者でない者を従事 させることがやむを得ないと認められる業務として政令で定める業務については、常時雇用する 労働者でない者について労働者派遣をすることを認めるものとすること。  五 厚生労働大臣は、四の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労 働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。  六 その他所要の規定の整備を行うものとすること。 第三 労働者災害補償保険法の一部改正  一 派遣先の事業主等に対する報告、文書の提出又は出頭の命令  行政庁は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(二にお いて「労働者派遣法」という。)に規定する派遣先の事業主及び船員職業安定法に規定する船員派 遣(二において「船員派遣」という。)の役務の提供を受ける者に対して、労働者災害補償保険法 の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができるものとすること。  二 派遣先の事業の事業場等への立入検査  行政庁は、労働者派遣法に規定する派遣先の事業の事業場及び船員派遣の役務の提供を受ける 者の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができ るものとすること。  三 罰則その他所要の規定の整備を行うものとすること。 第四 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正  一 シルバー人材センターについて、届出により、有料の職業紹介事業を行うことができるも のとすること。  二 その他所要の規定の整備を行うものとすること。 第五 その他  一 施行期日  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行す るものとすること。ただし、第二については、公布の日から起算して三年を超えない範囲内にお いて政令で定める日から施行するものとすること。  二 政府は、この法律の施行後三年を目途として、改正法の施行の状況等を勘案しつつ検討を 加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。  三 政府は、この法律の施行により派遣就業をすることができなくなる派遣労働者その他の派 遣労働者の雇用の安定を図るとともに、事業主の労働力の確保を支援するため、公共職業安定所 又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めなければならないも のとすること。  四 経過措置等  この法律の施行に関し必要となる経過措置を定めるとともに、関係法律の規定の整備を行うも のとすること。  以上でございます。 ○清家部会長 それでは、ただいま読み上げていただいた内容につきましてご質問、ご意見等が ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。 ○小山委員 念のために事務局に確認をしたいのですが、いま説明いただいた法案要綱は、平成 20年の閣法の法案要綱を基本にして、昨年の12月28日に取りまとめました本部会の報告内容と 何ら過不足なく盛り込んでいるのではないかとは思うのですが、そういう理解で間違いないかを 確認したいと思います。 ○鈴木課長 一定の法制的な整理は行っておりますけれども、委員がおっしゃるとおり、20年法 案の要綱をベースに昨年の答申を加えまして、何も足さず何も引かず要綱に書き替えたものです。 ○長谷川委員 私のほうから質問といいますか、前回の閣法と12月28日の報告とを受けてこの 法案要綱で若干の質問がありますので、事務局からお答え願いたいと思います。  頁を追って、まず4頁の所で「平均額」というのがあるのですが、4頁の五の所の情報提供義 務の平均額ですが、前回の閣法との表現の仕方で、この平均額が、例えば前回のときは「労働者 派遣に関する料金額の平均額」という書き方をしているのですが、少しこの表現が変わっている のですが、この意味は何なのか教えていただきたい。  それと、4頁の1行目の所に、「その事業年度における当該派遣元事業主」と書いてあるのです が、その「事業年度」としたのはどういう意味なのか教えていただきたいと思います。  次に、5頁の六の「労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置」なのですが、12月の報告 書のときは「派遣元及び派遣先は労働者派遣契約の中途解除に当たって」というふうに、「中途解 除」となっていたのですが、この「解除に当たって」という表現になった意味と理由を教えてい ただきたいと思います。  次に、9頁の派遣先への通知で、「派遣元事業主は派遣先に、当該労働者派遣に係る派遣労働者 が期間を定めないで雇用する労働者であるか否かの別を通知しなければならないものとする」と いうことになっているのですが、その後、後で民事訴訟などを想定したときに、派遣元は派遣先 に通知したのですが、派遣先がそれを受理したというようなことがなくてもいいのかどうなのか。 そこはあえてそういうことを書かなかったのはどうしてなのか、聞かせていただきたいと思いま す。  それから、16頁の三の「常時雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止」の所の(一) のイですが、「第一の十五の(一)の政令で定める業務及び当該業務以外の業務であって」という 表現になっているのですが、これはいちいち全部引かなければいけないのですが、どういうこと なのかちょっと詳しく教えてください。私はこういう法律というのはいちいち全部引かなければ いけないというのは大変なので書き込んだほうがいいのではないかと思っているのですが、あえ て書かなかった理由を教えていただきたいと思います。  それから、前に戻っていただいて、10頁の十五の「日雇労働者についての労働者派遣の禁止」 の所で、(一)の3行目で、「当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認 められる業務」とあります。これは決まった話なのですが、いまごろ蒸し返して申し訳ないので すが、確認のためにお聞きします。この適正な雇用管理というのは、もともとはこの審議をして いるときは「労働者保護」となっていたのですが、それを「適正な雇用管理」というふうに表現 しているわけですが、これは労働者保護と同じ意味なのかどうなのか、ということをお聞かせ願 いたいと思います。これはすでに前回の閣法で出した話ですけれども、申し訳ございませんけど。  それから、12頁の所で「労働契約申込みみなし」のイですけれども、1行目で「労働者派遣の 役務の提供を受ける者が次のいずれかに該当する行為を行った場合には、その時点において」と 記載がありますが、その「時点」というはいつの時点を指しているのか、ご説明いただきたいと 思います。  それから、13頁の二ですが、ここも最後の所で「イにより労働契約の申込みをしたものとみな された時点における」という、この時点について教えていただきたいと思います。 ○清家部会長 それでは、事務局からお答えいただきます。 ○鈴木課長 合計8項目ご質問いただいたかと思います。まず、4頁の「平均額」の位置ですが、 労働者派遣に関する料金の額というものを後で五と十三において引く関係上、それが単独で出て くるような文章に書き替えたという法制的な理由でありまして、内容的には全く変わっていない ものです。  次に、4頁の1行目の「事業年度」を入れたことにつきましては、これは事業年度ごとに報告 するということなので、当然、「事業年度における」なのですが、そこの趣旨を明確化したという ことで、これは法制局の指摘で、意味を変えない範囲で明確化するということで入れたものです。  それから、5頁ですが、答申では「中途解除」とあったのを「解除」にしたということですが、 当然、派遣切りの問題で、これは損害賠償等を行うということでもともとの指針をつくっていて、 その指針を法律に格上げするということなのですが、「契約の解除」と言うと、当然、これは契約 期間中に行うこととなります。終わったときには不更新とかということになりますので、これは 「解除」と言えば中途で解除するという意味です。それと、解除の形態もいろいろな形がありま すので、特定してこの解除、というふうに限定しないほうが実態に合うような規定になるという 法制局のご指摘がありまして、これについては単に「解除」という形にしています。  9頁ですが、通知をしたけれども受理は、ということですが、こういう通知の規定については、 「通知する側の義務」と書くのが通常でありまして、通知が届けば、届いたときにそれを確認し て、当然、それを法律に合うような形で実施する。ですから、この場合は、無期かどうかという ことを元から先に通知するわけですが、派遣先に到達すれば、当然、その派遣先はその通知を確 認して、それが無期かどうかということを判断して、無期であれば、例えば今回の場合だと26業 務で受け入れている場合の3年を超えたときの申込み義務が生じないということになって、そこ で申込みをしなくてもいいということになるわけです。逆に、それを確認せずに、期間制限を迎 えた段階で申し込まずに、実は、無期労働者でなかったということになりましたら、それは派遣 先の過失になりますから、その時点で派遣先の違法が生じるということで、これはその派遣先の 受理みたいな規定を書かずとも、それを受け取ったにもかかわらず確認しないということになっ たら派遣元が不利益を被るので、当然それはなされるだろうということで、そこの規定は書いて いないということでご理解いただきたいと思います。  10頁ですが、「日雇労働者の適正な雇用管理」という表現です。これは、一昨年の20年法案の 要綱でもこう書かせていただいているところですが、これについては、もともと労働者の保護と いうことをどう具体化するのかということが法制局で議論になりまして、これはもともとの日雇 派遣の禁止が適正な雇用管理に欠けるという趣旨から禁止をするということであることからする と、労働者の保護ということは具体的に言えば適正な雇用管理に支障を及ぼしているということ であろうと。したがって、それは具体的に書いたほうがいいという指摘がありまして、これにつ いては労働者の保護と同じ意味で「適正な雇用管理」と表現させていただきまして、20年法案の 要綱にもそう書かせていただいているというものです。  12頁ですが、みなしの「その時点」ということですが、これは違法な派遣が行われた時点とい うことですので、例えばこれは継続的な行為であればその行為がいちばん最初に行われた時点、1 回の行為でありましたらその行為が行われた時点という形で、違法な時点という解釈をしており ます。  13頁の「みなされた時点」ですが、違法な行為が行われまして、このみなしの条文でみなしが された時点という、こういう解釈です。  次に、16頁の(一)のイの書き方が非常にわかりにくいというご指摘かと思いますが、これは 法制局で次のようなご指摘がありましてこうしたものです。指摘されましたのは、登録型の派遣 の禁止、これは常時雇用をする労働者ではないものについての派遣の禁止ですが、これについて は3年後の施行ですが、その前に6カ月後の施行で日雇派遣の禁止が規定されます。日雇派遣と いうのは登録型派遣ですので、この例外の範囲を考えるに、日雇派遣の例外が登録型派遣の例外 よりも大きくなるということはあり得ないという、こういう関係です。したがって、その包含関 係がわかるように条文に記述するのが法制的には正しいというご指摘でありまして、そこで、こ のイの所については、もともとの日雇派遣の例外については原則26業務の話ですので、まず日雇 派遣の例外としまして第一の十五の(一)の政令で定める業務を引いた上で、それを除いた中か らプラスして26業務になる、残りの26業務を足す。これで結果として、合計26業務になる。こ ういう表現が法制的に良いというご指摘を受けて、こう書いたものです。内容的にはイ全体で26 業務という意味ですので、答申からずれているものではないというものです。 ○清家部会長 では、ほかに何かご意見、ご質問はございますか。 ○市川委員 細かい技術的な確認だけなのですが、10頁の十五の(一)の3行目の所に「十五に おいて同じ」ということが書かれておりますが、これは書れている所自体が十五なのですが、た ぶん、表題に「日雇労働者」という言葉があるので、それでわざわざ書いたのかなと思うのです が、確認させてください。 ○鈴木需給調整事業課長 これは、単純に、十五以外に出てこないので十五において同じと。こ の日雇労働者という定義を引く範囲を特定しているだけの理由です。通常、「本条において同じ」 とか「本項において同じ」という表現を使うのですが、この十五というのが「項」とか「条」と いうものでないので、それで単に「十五」と書いたというだけの理由です。 ○清家部会長 ほかに何かございますか。 ○高橋委員 いくつか細かい確認をさせていただきたいと思います。まず、3頁から4頁にかけ て、グループ派遣関係のところです。3頁の四の(二)で、関係派遣先への派遣割合で、割合の 分母と分子の関係ですが、関係派遣先にかかわる、派遣就業にかかわる総労働時間が分子となる のでしょうか。百分の八十になるその割合の算定に当たって、20年法案のときでは、その分子の 部分のうち、定年退職後に派遣労働者として雇われる方の労働時間は控除して割合を算定すると いう形になっていたというふうに理解しているのですが、この書きぶりでそれを意味しているか どうかという確認が1点目です。  2点目は、5頁になりますが、「労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置」、指針の格上げ のところです。六の(一)(二)ですが、書きぶりといいますか、言葉の用法が指針とは異なった 言葉になっていますが、この内容は昨年3月に改定された指針と全く同じ内容かどうかというこ との確認と、なぜ指針から用語を変更したのか、それから、この法制化に当たって、いまある指 針をどうしていくのかということについても、もしお考えがあれば聞かせていただきたいと思い ます。  それから、11頁の十七番に「派遣先の協力」というのがあって、均衡関係で派遣先が派遣労働 者と同種の業務に従事する労働者に関する情報を提供する努力義務がありますが、この同種の業 務ということに関して、派遣労働者の方と正社員の方では、その労働者の方に対する期待や役割 が当然違うということだと思うのですが、その場合、同種の業務というのが非常に特定しにくい ということが考えられるのですが、この「同種の業務」というのは一体どういうことを意味する のかということについて教えていただければと思います。  それから、順番が逆転してしまいましたが、10頁ですが、十五番の(一)の「派遣元事業主は」 の後に書いてある1行目から2行目にかかる、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的 な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち」という表現は、20年法案の要綱にはなかった表 現で、新しく追加されていると考えられるのですが、これはどうしてこういう表現が追加されて いるのか。あと、それに関連して、日雇派遣はもともと昨年の需給部会でも26業務から約8業務 を除いてプラスアルファで必要に応じて追加をするという理解だったと思うのですが、この十五 の(一)の建て付けが、いま私が申し上げたこの挿入部分の「業務のうち」という部分が、その 業務のうちからこういうものを除いて、という形になるわけですが、この書きぶりで、果たして これでそのプラスアルファというのが認められるというか、追加され得る余地が担保されている のかどうかということを確認させていただきたいと思います。 ○清家部会長 では、事務局からお答えをお願いします。 ○鈴木課長 まず、3頁の四の(二)の分母分子における、定年退職者との関連かと思いますが、 これについては20年の要綱と同じでありまして、そのときに私がご説明したとおり、定年退職者 については4頁の2行目のいちばん下の所、「厚生労働省令で定めるところで算定した割合」に含 まれます。この算定式の中で、定年退職者は除外するということを省令で規定いたしましょうと いうことで書いておりますので、これで読めるということです。  それから、5頁目の中途解除の関係の書きぶりが指針と異なるということですが、これについ ては内容的には同じものということで理解しております。なぜこのような書きぶりになったかと 申しますと、先ほど、「解除」という部分については長谷川委員からご質問がありましたが、解除 もいろいろな種類があるということと同じように、指針では損害賠償と書いておりましたが、損 害賠償といっても、例えば合意解約のケースのときには損害賠償とはならずに、例えば違約金の 支払いとか、解除の際に合意した額の支払いとか、こういう形になりますので、「損害賠償」とだ け書いてしまうと範囲が逆に狭まってしまうということで、法制局といろいろご相談した結果、 法制的にきちんと正確に書くとしたら、もう少し広く読める形で、具体的に言えば、問題になり ましたのは休業手当の支払いなどに要する費用を元が払ったときに先もそれを負担するというこ とであるので、この費用を確保するための負担等の規定という形で書くことが法制的には正確で はないかというご指摘がありまして、内容的には同じですけれども表現ぶりを正確に改めたとい うものです。これに併せまして、実施に当たって指針のあの規定をさらに置いておくかというこ ともありますが、その辺りの整理は施行の際にもう一度ご相談させていただきたいと思っており ます。  10頁の日雇の所の「その業務を迅速かつ的確に遂行するための専門的な知識、技術又は経験を 必要とする業務」とありますが、これは、今回、登録型派遣の禁止のほうで26業務を引いてくる ということで、そことの表現ぶりを合わせる。つまり、もともとこれは建議の中で26業務の中か ら17.5を選んで書いてプラスアルファということでありまして、要はその26業務の中の、それ も特別な雇用管理ではないところの専門業務を引いてくるというのが原則だということで、この 26業務のうちの専門業務の規定を引いた上で、プラスアルファにつきましては、建議の該当箇所 を読ませていただくと、「これ以外の業務については専門性があり労働者の保護に問題がない業務 のリスト化など、適宜リストの見直しを行う」ということで、どちらにしましてもプラスアルフ ァも26業務に類する専門性ということになりますので、この表現で読めるということになり、こ の部分についてはそういった形で法制的な登録型の禁止の規定との整合性を図るために明確にす るために書いたものであって、特にその建議の内容を制約するものではないということです。で すから、これで専門性があるものはプラスアルファでしていただくことは審議会で合意をいただ ければ可能ということです。  それから、11頁の十七の「同種の業務」の関係ですが、昨年末の答申に至るまでの審議会の議 論の中で、均衡のところで、どういう対象労働者と比較するのかという議論はあまりなされませ んでしたので、最終的には審議会でもう一度ご議論いただいて考えるということになろうかと思 いますが、今現在、事務局で考えておりますのは、パート法などでもこういう例がありますので、 基本的には同じ仕事をやっている派遣先の労働者ということですが、あくまでもこれは均衡の規 定ですから、全くピッタリ同じでなくてもそれは比較をして、その違う度合によって均衡を考慮 するということになってくるわけです。ただし、あまり遠くなると、そこは、もはや均衡を考慮 する余地がないぐらい遠くなってしまうので、その近さによって程度が変わってくるということ でもあるので、どの点を見て同じと判断するか、というようなことについては、例えばもし必要 であれば審議会でご議論をいただいたうえで、指針などで規定をして、こういうところとこうい うところを見て同じと判断して比較しろと定める。こういうご議論を施行の際にやっていただく のかと考えております。 ○清家部会長 ほかに何かご質問、ご意見はございますか。 ○小山委員 15頁、16頁にかかわって、この中で「常時雇用する労働者」という言葉がいろいろ 出てくるわけですが、具体的にはここで言う常時雇用する労働者とはどういうことなのかを説明 していただきたいと思います。 ○清家部会長 では事務局からお願いいたします。 ○鈴木課長 この常時雇用というのは、現在は許可か届出かの区別で常時雇用という概念を使っ ていますが、それと同じものを前提に答申をいただいたと私どもは考えております。具体的に申 し上げると、無期雇用もしくは有期雇用の場合でも反復更新等をしまして1年を超えている、も しくは1年を超える雇用見込みがあるものということで考えております。これが現在は業務取扱 要領に規定されていますが、もう少し明確化する必要があるということでありましたら、例えば 指針等にそのまま規定しまして明示するということも施行の時期にまたお考えいただけたらと思 います。 ○清家部会長 ほかにご意見、ご質問ございますか。 ○高橋委員 14頁のいちばん最後の二十番に「法違反の是正にかかわる勧告」という所がありま す。15頁に1行書いてあって、「指導・助言の前置を要しない」と。要するに、指導・助言を経 ずに勧告を為し得るという規定ですが、これは極めて悪質な事例に限定されるというふうに解釈 していいかどうかということの確認をさせていただければと思います。  それから、その頁の製造業派遣の禁止のところがありまして、15頁の第二の一ですが、答申に おける「常用雇用を除く」というところの書きぶりが、「常時雇用する労働者を業として行う労働 者派遣により当該業務に従事させる場合における当該業務を除く」という、非常にわかりにくい のですが、読んだ感じでは、常時雇用する労働者を業として行う労働者派遣というと、特定派遣 だけに限定されているような印象を持つのですが、それは特定派遣にかかわらず、いわゆる常用 雇用を除くという答申と内容に変更がないかどうかということを確認させていただければと思い ます。  それから、これは本当の確認なのですが、18頁の第三の労災保険法の一部改正にかかわる法案 要綱の部分は、別途、労災関係の部会のほうで審議をされるのかどうか。要するに、この部会の 所掌外なのかどうかということの確認をさせていただければと思います。 ○清家部会長 では、事務局からお願いします。 ○鈴木課長 まず、指導の前置ですが、これは20年法案にあったものでありまして、そのときの ご説明で、これは悪質なものにつきまして助言・指導を待たずして勧告をするケースがある。そ れについて助言・指導の前置を外させていただきたいということを申し上げておりますので、お っしゃられたとおりの内容です。  それから、常時雇用の部分ですが、これはなぜこういう書き方をしているかというと、もとも とこの第二の一の製造業務派遣にいては禁止業務の追加という形をしております。禁止業務とい うのは、実は、事業規制で書いているので、こういう「業として行う」ということで業務という 書き方をしております。単にそれだけでありまして、この「常時雇用する労働者を業として行う」 ということについては、業として行うのは派遣法の世界では反復継続して行うという意味ですか ら、特定派遣事業に限るというわけではありませんで、一般派遣でもこれは物の製造業務の禁止 違反は生じる、もしくは、逆に言うと、例外は同じであるという認識です。  それから、労災ですが、これについてはただいま同時に労災の関係の部会を並行して行ってい ますので、そちらについてはそちらのほうから判断が出されると考えております。 ○清家部会長 ほかにご質問、ご意見ございますか。 ○佐藤代理 1点だけ確認させていただきたいのですが、19頁の第五の二番の所で、施行後三年、 改正法の状況を勘案しつつ検討、必要があると認めるときは所要の措置という趣旨の件ですが、 部会報告のいちばん最後のIIのイの所の最後の段落におきまして、「見直しの検討に当たっては当 部会において特に中小企業及び中小企業で働く労働者への影響を十分に把握し実態を踏まえた検 討を行うことができ」とあります。この点を部会報告に基づいて行われますね、ということを改 めて確認させていただければと思います。 ○鈴木課長 これは名宛人が政府でありますから、政府が検討をするということです。答申のほ うに書かれていましたのは、この部会においてどうするかということですので、この部会の検討 というのは、当然、これは部会で出された報告に拘束されるわけですから、この検討の際には中 小企業の影響を十分に把握して検討いただくということはそのまま生きております。ただ、なぜ これを条文に書かないかというと、審議会の審議の内容を法律で拘束するのは適当ではないわけ ですので、そこはあくまでも政府として検討はする。それをお願いした後、部会でどうするかは この部会の答申に従って部会でやっていただく、こういう整理です。 ○清家部会長 部会で何を検討するかについては、この間の報告書のとおり行うという理解でよ ろしいということですね。 ○鈴木課長 そのとおりです。 ○清家部会長 それでは、今日はほかにご意見がないようでしたら、本法律案要綱については次 回にもう一度ご議論いただくことになっておりますので、本日の議論はここまでといたしまして、 次回も引き続きご議論いただくということにしたいと思います。それでは、事務局から何かあり ますか。 ○大塚課長補佐 次回の日程ですが、現在、日程調整中でございますので、追って事務局よりご 連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○清家部会長 それでは、以上をもちまして第145回労働力需給制度部会を終了いたします。本 日の署名委員は、使用者代表は高橋委員にお願いいたします。労働者代表は小山委員にお願いい たします。では、委員の皆様、どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)