10/02/15 第10回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会議事録               厚生科学審議会疾病対策部会                第10回 難病対策委員会           日時:平成22年2月15日(月)13:00〜15:00           場所:全国社会福祉協議会 灘尾ホール ○中田課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「厚生科学審議会疾 病対策部会第10回難病対策委員会」を開会いたします。  委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。  委員会開催に際しまして、中尾大臣官房審議官よりごあいさつ申し上げます。 ○中尾大臣官房審議会 厚生労働省の審議会の中尾でございます。本日は、健康局長が 国会の関係で多忙なため、私の方からかわりましてごあいさつを申し上げます。  まず皆様、本日はお忙しいところ、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会にお 集まりいただきましてありがとうございます。  難病対策につきましては、国の取組みが本格化して以来、30年以上が経過いたしまし た。この間、調査研究の推進や医療費助成等の取組みにより、治療法の開発などでさま ざまな進展がございましたが、現在の難病対策につきましてはさまざまな課題が生じて おります。  まず、難病の研究事業につきましては、22年度の政府予算案におきまして、対前年度 同額の100億円を計上したところでございます。しかしながら、難病は5,000から7,000 もあると言われておりまして、いまだ研究が行われていない疾患につきましては、どの ように研究を実施していくかということなどが大きな課題となっております。  また、医療費助成である特定疾患治療研究事業につきましては、昨年度新たに11疾患 を追加いたしまして、対象疾患を拡大したわけでございますけれども、要望が数多くな されている一方で、本事業に係る経費につきまして、都道府県が本来負担すべき割合を 超えて負担するという状況が続いておりまして、安定的な財源の確保が課題となってお ります。  このほかにも、福祉サービスのあり方、就労支援など、さまざまな課題が存在してお り、難病対策のあり方について見直しの必要が生じております。  このような状況を踏まえまして、本委員会におきましては、今後の難病対策のあり方 について議論を行っていただきたいと考えておりますので、皆様方の忌憚のない御意見 をいただきたく、お願い申し上げます。  本委員会における今後の議論が実りあるものとなりますよう、御協力を賜ればと思っ ております。よろしくお願いいたします。 ○中田課長補佐 中尾大臣官房審議官につきましては、公務のため途中退席させていた だく予定となります。なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思いますの で、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、今回新しく委員となられた方が4名おりますので、御紹介させていただきます。  独立行政法人国立病院機構南九州病院長福永秀敏委員でございます。 ○福永委員 福永です。よろしくお願いいたします。 ○中田課長補佐 続きまして、あせび会監事本間俊典委員でございます。 ○本間委員 ただいま到着しました。遅くなって失礼しました。あせび会監事の本間と 申します。よろしくお願いいたします。 ○中田課長補佐 本日欠席でございますが、青森県健康福祉部長一瀬篤委員、千葉大学 教授広井良典委員に御参画いただいております。  続きまして、事務局の交代がありましたので御紹介いたします。  疾病対策課長難波吉雄でございます。 ○難波疾病対策課長 どうぞよろしくお願いいたします。 ○中田課長補佐 本日の委員の出欠状況でございますが、広井委員、小幡委員、水田委 員、一瀬委員、山本委員から欠席の御連絡をいただいております。また、南委員より、 途中退席の御連絡をいただいております。  それでは、以降の議事進行につきまして、金澤委員長にお願いします。 ○金澤委員長 皆さんお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にどうもありがとうご ざいました。  それでは、資料の確認からいきましょう。簡潔にお願いいたします。 ○中田課長補佐 資料1「平成22年度難病対策関係予算案の概要」、資料2「平成22年 度難治性疾患克服研究事業について」、資料3「第9回難病対策委員会での議論の概要」、 資料4、こちらは福永委員より御提出いただきました「ALSなどの神経難病とともに 〜医療現場からのメッセージ〜」、続きまして、参考資料1「平成21年度難治性疾患克 服研究事業採択課題一覧」、参考資料2「平成22年度厚生労働科学研究費補助金公募要 綱」、参考資料3「第9回難病対策委員会議事録」、参考資料4「第9回難病対策委員会 資料1」。こちらは、伊藤建雄委員より前回御提出いただきました「新たな難病対策・特 定疾患対策を提案する」でございます。資料の欠落等ございましたら、事務局までお申 し付けください。 ○金澤委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○金澤委員長 それでは、議題1に入りたいと思います。平成22年度の難病対策の予算 についてであります。御説明を事務局からお願いいたします。 ○中田課長補佐 お手元の資料1をごらんください。平成22年度難病対策関係予算案の 概要でございます。  1番目、難治性疾患克服研究事業でございますが、こちらにつきましては、前年度の 予算を 括弧書きでございますが、100億円の研究予算であったところが、来年度も100億円の 予算を予定してございます。研究事業につきましては、次の資料2でまた詳細に御説明 申し上げたいと思いますが、患者の療養生活の質の向上を図るための研究を引き続き進 めてまいりたいと思っております。  2つ目、特定疾患治療研究事業でございます。こちらは前年度232億円の予算でござ いましたが、次年度、275億円の事業予算を予定しております。この事業予算の増につ きましては、今年度補正予算で特定疾患が追加された分、また来年度、患者数の自然増 加分を含めまして275億円を計上させていただいております。  3点目でございますが、難病相談・支援センターにつきましても、次年度以降、引き 続き実施してまいりたいと思います。予算につきましては、人件費単価の見直しにより 若干の減となっておりますが、前年度と同じように事業を実施していくことを考えてい るところでございます。  4点目につきましては、重症難病患者入院施設確保事業でございます。こちらは、前 年度1億1,600万円の予算でございましたが、次年度、1億7,900万円の予算を計上して いるところでございます。こちらにつきましては、新たに在宅療養中の重症難病患者の レスパイト入院のための病床を確保するための事業を行うことにより、難病医療体制の 整備を図ることを加えているところでございます。  5点目でございますが、難病患者等居宅生活支援事業につきましても、次年度も、引 き続き実施してまいりたいと思っております。  2ページ目をごらんください。  先ほどの4点目の重症難病患者入院施設確保事業につきまして、詳細にまとめたもの でございます。  事業の概要につきましては、これまで実施している事業でございますので、詳細な説 明は省かせていただきたいと思いますが、難治性疾患克服研究事業(臨床調査研究分野) の疾患患者を対象といたしまして、それぞれの事業を実施しておるところでございます。  今回、最後のエでございますが、在宅療養中の重症難病患者であって、介護者の事情 により在宅で介護等を受けることが困難になった場合に、一時的に入院することが可能 な病床を各都道府県の拠点病院等に確保するという新たな事業を設けまして、来年度か ら実施してまいりたいと思っております。簡単でございますが、説明は以上でございま す。 ○金澤委員長 ありがとうございました。これは、対策についての予算の説明でありま した。何か御質問ございますか。どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員 今年も研究費が伸びた、さまざまな努力をしていただいたことに本当に感 謝したいと思います。  ただ、どういうことなのか、もうちょっと詳しくお伺いしたかったのは、いろいろな 説明の中で、難病相談・支援センターの重要性について触れておられまして、これが患 者の支援にとって非常に大事だとおっしゃっていると思いますが、その予算が減少して いる。これは、主に人件費の削減。そもそも人件費といっても、相談・支援センターの 方々は非常に安い、本当にわずかなお金で動いているわけです。これは自治体の対策の 反映かと思うのですが、ここのところで何か今後工夫される余地というか、方向が何か あれば教えていただきたいと思います。 ○金澤委員長 事務局、どうぞ。 ○藤村課長補佐 伊藤委員の御質問についてお答えいたします。  難病相談・支援センター事業が若干予算が減っておりますが、今、説明があったよう に人件費の見直し、一律に人件費の単価を下げたということで全体的に下がったという ことで、事業自身を縮小するということは考えていないということで、事業は引き続き 継続と考えております。  また、今、伊藤委員からお話のあったような新たな展開につきましても、皆さん方の 意見を参考にして、今後考えていきたいと思っております。以上でございます。 ○金澤委員長 単価が下がるのですか。 ○藤村課長補佐 ええ。例えば公務員の給与が21年度、下がっておりますので、それに 直接連動はいたしませんが、単価が目減りするということが統一的に行われるものです から、そうすると、どうしてもそこの単価を使っている場合は。 ○金澤委員長 しつこいようですが、この事業以外のものでもそうなのですか。 ○藤村課長補佐 そうでございます。 ○金澤委員長 厚労省関係は。 ○藤村課長補佐 はい。 ○金澤委員長 文科省もそうですか。 ○藤村課長補佐 文科省はちょっとわかりませんが、多分そうだと思います。一律的に、 例えば単価を1万円だったら9,900円にする。 ○金澤委員長 もともと非常に低いと思っていたのですけれども、それでも全体が強制 的にそうなっているのですか。 ○藤村課長補佐 統一的な指示でございまして、やむを得ないかと思っております。 ○金澤委員長 あなたを責めてもしようがない。そうですか。  ほかに御質問ございませんか。あるいは、それでは御意見を。これはこれでよろしい でしょうか。 ○本間委員 よろしゅうございますか。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○本間委員 復生あせび会の本間でございます。去年まで会長の佐藤エミ子が参加して おったのですが、事務局も忙しくなったので、かわりに出てほしいということで、今年 から出席させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。  それで、難病対策予算のことで1点お伺いしたいのですが、去年、ここの難治性疾患 克服事業、4倍に増えたということで私ども非常に色めき立ったのですけれども、この 1年間でこの結果はどうなったのか、そのレビューというのは、いつ、どういう形でや るのでしょうか、事務局に伺いたいのですが。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○中田課長補佐 特に、平成21年度に100億円に増額されまして、新たな取組みとして 研究奨励分野の中でこれまで研究の対象になってこなかった疾患についても研究を実施 しております。この研究の成果につきましては、1年目の成果を研究評価委員会を開催 いたしまして、研究成果を評価させていただきまして、2年目、3年目以降の継続につ いてしっかりと検討していきたいと考えております。 ○金澤委員長 よろしいでしょうか。対策等について、とりあえずこのぐらいにいたし まして、続きまして、第2議題でありますが、平成22年度の難病研究の方の予算につき まして事務局から。 ○中田課長補佐 お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。平成22年度難治性 疾患克服研究事業についてでございます。  まず1番目、研究方針についてでございます。  平成22年度における当研究事業の予算につきましては、前年度と同額100億円を予定 しているところであり、引き続き、難治性疾患克服研究事業の推進を図っていきたいと 考えております。特に、研究奨励分野につきましては、平成21年度より実施しておりま した研究課題については、1年間の研究成果の評価を踏まえ、次年度の採択を判断する と考えております。これは、先ほど本間委員から御質問がございましたが、21年度に実 施した研究成果につきましては、しっかりと研究評価を踏まえて、今後対応していくこ ととさせていただいております。  また、22年度に新たに公募のあった研究課題につきましては、研究計画の評価を踏ま えまして採択を判断していきたいと考えており、適切な研究評価のもと、当分野の拡大 を図ることとしたいと考えております。  また、2番目の指定研究についてでございます。  こちらは、厚生労働科学研究費のあり方といたしまして、政策が多くの国民の理解と 納得を得られるように、企画立案の裏付けとなるような研究を推進することが必要とな っておりまして、研究の成果を政策立案に的確に生かす仕組みと体制を確立するため、 平成22年度より難治性疾患克服研究事業の中で以下の課題を指定研究として実施して いきたいと考えております。  まず1つ目でございますが、プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研 究でございます。  こちらにつきましては、厚生科学審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等 委員会がございますが、この委員会と連携いたしまして、変異型クロイツフェルト・ヤ コブ病を含むすべてのプリオン病患者の発生動向を常時把握することによりまして、我 が国の健康危機管理体制の確保のための研究を実施したいと考えております。こちらの 研究につきましては、これまで当研究を行っていただいておりました東京医科歯科大学 の水澤先生のプリオン研究班から引き継いで実施していただきたいと考えております。  (2)今後の難病対策のあり方に関する研究でございます。  こちらにつきましては、当難病対策委員会と連携いたしまして、今後の難病施策のあ り方の検討に資するために、主に以下の課題について研究を実施していくと考えており ます。  まず、アでございますが、難病対策委員会での検討を踏まえまして、難病施策の課題 等につきまして調査し、今後の難病のあり方の検討に資するための調査研究を行う予定 でございます。こちらにつきましては、この場で今後の難病対策について御議論いただ いておりますが、その議論に資するための調査研究といったものが必要になってくると 思いますので、そういった事項につきまして研究を行っていくということでございます。  イでございますが、難病研究の発展を目指しまして、例えば臨床研究の支援や研究の 評価体制のあり方など、難病研究を推進していくための基盤整備に関する研究を進めて まいりたいと思っています。  また、ウでございますが、災害時などにおける難病に関する健康危機管理体制の研究 というものを実施していきたいと思っております。これらの研究につきましては、国の 研究機関でございます国立保健医療科学院で行っていただきたいと考えておるところで ございます。  2ページ目でございます。難病の研究事業の概要でございます。  こちらは、御説明が重複してしまうことになりますので、簡単に御説明申し上げます。  研究奨励分野につきましては、平成21年度から研究を実施しておりまして、平成21 年度、177疾患を対象としているところでございます。この177の具体的疾患名は、4 ページ目、5ページ目の資料をごらんいただければと思います。  また、これまで臨床調査研究分野ということで130疾患を対象に研究を進めてまいり ましたが、こちらにつきましても次年度以降、引き続き研究を実施していきたいと思い ます。こちらの具体的な疾患については、3ページ目に参考として資料を添付させてい ただいております。  また、臨床調査研究分野の中から、今年度、11疾患追加されまして、合わせて56疾 患につきましては特定疾患治療研究事業といたしまして、引き続き事業を実施してまい りたいと思っております。  難病研究事業につきましては、平成22年度もこのような体制で進めていきたいと思っ ておりまして、参考資料1にございますとおり、平成21年度の採択課題一覧、また参考 資料2には、22年度の公募要綱も参考資料として付けさせていただいておりますので、 あわせてごらんだければと思っております。22年度の研究方針といたしましては、以上 のとおりでございます。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。以上のような御報告に関して、御質問 からいきましょう。どうぞ。 ○伊藤委員 新しい事業を大変歓迎しておりますが、ちょっと教えていただきたいので すが、指定研究の中で特に私ども、関心を持っておりますのは(2)の今後の難病対策 のあり方に関する研究ですが、これはどんなスピードといいますか、日程で、具体的に はどういうところまでお考えなのか、わかれば教えていただきたいと思います。 ○中田課長補佐 こちらの研究につきましては、皆様の御了解をいただきましたら、平 成22年度から速やかに実施したいと思っています。具体的な研究内容でございますが、 前回の難病対策委員会でも御議論がありましたとおり、難病対策の新たな検討に際して 実態がどうなのか。また、それぞれの患者さんがどのようなことでお困りなのか。難病 対策委員会で宿題事項がまとめられるかと思いますので、そういったものを速やかに22 年度よりデータをまとめまして、またその結果をこういった場にお返しして議論の参考 にしていただきたいと思っております。 ○伊藤委員 めどはどのぐらい。単年度でやられるのですか。 ○中田課長補佐 指定研究につきましては、年度という区切りを今、特段設けておりま せんので、必要であれば継続して研究していくという方針になろうかと思います。 ○伊藤委員 ありがとうございました。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。どうぞ、葛原委員。 ○葛原委員 今年からの指定研究で、1番の方ですが、プリオン病のサーベイラインス です。従来、水澤班の遅発ウイルス感染症の中にプリオン病の全国サーベイランス委員 会というものがあったと思いますが、それとこれとの関係は、どこがどういうぐあいに 変わったのか詳しく教えていただけますか。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○中田課長補佐 サーベイランス委員会で行っている研究が、こちらに引き継がれると いう意味でございます。したがいまして、今後、サーベイランス委員会をこの指定研究 として実施するのであれば、これまで水澤班で実施している研究班から、その事業をこ ちらに移行させるイメージでございます。 ○金澤委員長 よろしいですか。従来の遅発性ウイルス云々といったものの中で扱って いたプリオン病以外のものはどうなのですか。 ○中田課長補佐 水澤班で行っていますプリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する 調査研究の行政目的で行っているサーベイランス委員会の部分のみ、指定研究に移行す る。それ以外の病態解明や治療法開発は引き続き行っていただきます。 ○葛原委員 ということは、山田先生がやっていたグループが、新しく指定研究という 別口の分かれた組織になると理解すればよろしいわけですか。 ○中田課長補佐 そのとおりでございます。 ○金澤委員長 わかりました。ほかに。どうぞ本間委員。 ○本間委員 事務局に伺いますが、先ほどの私がした質問と関連するのですが、去年、 難治性疾患に指定された177疾患、病名一覧がずらりと並んでいるのですが、それぞれ の研究に対して、どれに幾ら使ったという具体的な使途は個別に情報開示されるものな のですか。 ○中田課長補佐 説明が不足しておりまして、大変恐縮でございます。参考資料1をご らんいただきたいと思います。こちらは、21年度の採択課題一覧でございます。  7ページ目に、今年度の各研究者、研究テーマ、予算額の一覧を参考に添付させてい ただいておるところでございます。 ○本間委員 それで、昨年度、指定した対象疾患の具体的な研究の人件費に幾ら使った とか、こういう機材を購入したという具体的な使途までは、後でサーベイできるのです か。 ○中田課長補佐 厚生労働科学研究費の一般的な取り扱いになりますが、年度を終了い たしましたら事業実績報告書という形で厚生労働省に報告いただくことになっておりま すので、我々、担当事務官としては、どういった使途で使用したのかということを把握 させていただいているところでございます。  また、個別の研究事業の会計に関する照会につきましては、現在特に検討していない ところでございます。 ○本間委員 そうしますと、年度を越えてから評価することになりますと、来年度この 研究を続けるか続けないかという判断は、どういうふうにして判断するわけですか。 ○中田課長補佐 22年度、継続するかどうかにつきましては、まさに研究の内容で評価 したいと考えております。したがいまして、具体的には3月上旬でございますけれども、 研究評価委員会を開催いたしまして、1年間、どういう実績があったのかというものを 外部の専門家の方に御評価いただきまして、22年度の継続について判断していきたいと 考えております。 ○本間委員 最後にもう一点いいですか。 ○金澤委員長 はい。 ○本間委員 その外部の評価の中には、私ども患者会というのは入るのでしょうか、入 らないのでしょうか。患者会のメンバーが入るのか入らないのか、それを伺いたい。 ○中田課長補佐 評価は外部の専門家にお願いしておりますので、患者会の方は入って いない状況でございます。 ○本間委員 では、今後とも入れる予定はないですね。 ○中田課長補佐 今のところ検討しておりません。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。それでは、御意見をどうぞ。御質問でなくて御意 見で結構です。この件はよろしいでしょうか。何かほかに御質問ございますか。 ○本間委員 いいですか。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○本間委員 しつこいようで申しわけないです。先ほどと関連するのですが、去年100 億円予算が増えたということで、新たに研究対象が増えたのですけれども、去年のこれ を見ると、私、何年かやっていまして難病の病名については結構詳しい方なのですけれ ども、ほとんどわからない病気の名前が半分近くあります。これを一々要望を取り入れ る形で、公募しているのですけれども、全部個別に採用していったら、研究者の数だけ、 あるいは難病の数だけ膨らんでいくことにならないですか。その懸念について、どう考 えますか。 ○中田課長補佐 こちらの個別疾患の概念でございますが、まさに本間委員から御指摘 のあったとおり、こういった分類でいいのかどうかも含めて、評価委員会の方で御検討 いただく予定でございますので、それを踏まえまして各研究者に今後どのような研究を 行っていくのかということで返していきたいと思っております。 ○金澤委員長 本間さん、何か名案があったら教えてください。 ○本間委員 いえ。そうしますと、これを今後、例えば整理統合することもあり得るわ けですね。 ○中田課長補佐 そこは、評価委員会の専門的な立場からの御意見でそういったものが あれば、我々として各研究者に意見としてお返ししていきたいと思っています。まさに、 これは研究事業としてやっておりますので、研究がどううまく進んでいくのかという観 点が非常に重要なのではないかと思っております。 ○本間委員 最後に一言いいですか。 ○金澤委員長 はい。 ○本間委員 それで先ほど伺ったのですが、その場合、外部の専門家は私ども患者会は 入らないというお話なのですけれども、患者数、それから何を求めているか、どんな研 究結果を欲しがっているのか、その辺をきちんとサーベイするために是非患者会を入れ ていただきたいと希望しておきます。以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。どうぞ。 ○葛原委員 今の本間委員の御質問に関係して申し上げます。私はこの評価委員の1人 なのですけれども、難病に指定されているとか、何とか疾患に指定されているというと、 割合、日が当たりやすいし、研究費も来やすいのです。しかし、非常に患者さんの数が 少なくて、研究者の数も少なくて、今まで日が当たっていなかった本当に困っている人 たちがおります。  ですから、今度100億円付いたということで、今まで日陰に置かれていた病気と研究 者に日が当たったというぐあいに考えることができると私は思っております。逆にそう いうところまで日が当たってきたという点では評価しており、この中で本当に大事なも のを拾い上げるとか、治療とか診断につなげられるものを拾い上げていくというのは非 常に大事な事業だと思います。 ○本間委員 勿論、それを前提で今、お聞きしたのです。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。ほかにいかがですか。よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○金澤委員長 それでは、次に参りたいと思います。第3議案、今後の難病対策につい てということで、事務局から御説明いただいてから、また議論いたします。どうぞ。 ○中田課長補佐 お手元の資料3をごらんいただきたいと思います。こちらは、第9回 難病対策委員会での議論の概要をまとめさせていただいたものでございます。前回、皆 様方からさまざまな御意見をいただきました。今回は、その議論を再確認していただく ために、各委員の御意見をまとめたものでございます。こちらにつきましては、資料3、 前回の議事録、資料4は前回御発表いただきました伊藤委員からの資料も参考資料とし て添付しておりますので、あわせて御確認いただければと思います。  まず、事務局より、前回の内容につきまして御紹介させていただきたいと思います。  冒頭、伊藤委員より、「新たな難病対策・特定疾患対策を提案する」、こちらの資料に 基づきまして、以下の御発言がございました。  難病の問題は、医学・医療の問題だけではなく、社会生活や福祉に関わる問題である。  医学・医療の発展により、診断や治療は大幅な進歩を遂げたと患者としても実感して いる。  医療費負担については、健康保険制度の見直しにより、患者の負担が大きく増加して きている。現在の高額療養費制度では、1〜2か月の短期間であれば払える金額かもし れないが、難病だけではなく、長期慢性疾患の患者にとって、一生治療費を必要とする 限り払い続けていくことは困難ではないか。  日本の疾病構造が慢性疾患を中心になってきている時代に、現在の高額療養費の額が、 本当に妥当性のあるものなのか考え直す時期に来ているのではないか。  生涯の治療を必要とする病気になった場合にも、安心して治療を継続することができ るよう、患者たちが負担可能な自己負担額とすべきではないか。  現在の難病対策については、希少疾患が5,000から7,000あると言われている中で、研 究対象や医療費助成の対象を年々一つずつ増やすことで難病問題は解決するのか。  小児慢性特定疾患治療研究事業については、20歳になった途端に当事業の対象外とな る。このようないわゆるキャリーオーバーの問題についてどのように考えていくのか。  多くの患者・家族の要望として、まずは、病気の原因究明と治療法の早期開発であり、 その次に医療費問題の解決、地域の専門医不足の解決、身体障害者と同じ福祉・社会的 な支援を希望している。  どういった病気にどのような要望があるのか、難病対策の中で生活実態調査のような ものもあわせて行ってはどうか。  今後の難病対策のあり方として、難病対策は難治性疾患克服研究事業に特化して、す べての難病を対象に研究を進めることとしてはどうか。大事なことは、研究の対象疾患 を増やすこと、予算を集中して、一日も早い原因究明と治療法の確立を目指すこととし てはどうか。  医療費の問題については、医療保険制度の見直しの中で対応すべきではないか。生涯、 医療を必要とする長期慢性疾患の患者を対象として、高額療養費の限度額を大幅に引き 下げることも必要ではないか。  生活や福祉の面に対する課題を整理するため、難病対策基本法というものが必要では ないか。  これまでのように個別の疾患を「難病」とするような定義ではなく、疾患によって区 別されない、新たな「難病」の定義について検討してはどうか。  今後は、患者団体を充実していくための支援が必要ではないかでございます。  また、山本委員から、医療の提供側から現状を見ると、病院経営が厳しい中で、難病 を担当とする医師も疲弊している。医師が増えているという状況にもなく、病院の収益 が低い免疫内科やリウマチ科等が減っていると認識している。  難病の患者さんが本来受けるべき治療薬が、残念ながら、我が国では世界の後進国に なっている。  葛原委員より、難病かどうかに関わらず、医療費の自己負担の問題については、医療 制度の中で検討すべきではないか。  その際には、医療を受ける側にも医療資源の使い方をもう一度考えなければならない 面があるのではないか。  木村委員より、これからの難病対策・難病研究のあり方について、もう少し検討する ことが必要ではないか。  限られた疾患だけに医療費助成を行い、臨床調査個人票のデータを収集していくとい うことは、そろそろ考え方を変える必要があるのではないか。  特に、難病を診ることのできる医師が少ないことは切実に感じている。今ある医療資 源や専門医を有機的に活用していくことが大切である。難病を診る機会を増やしていく ための方法や、患者さんからの医療に関する要望に対してどのようにこたえていくべき か、社会システムの研究を進めて、今ある医療資源を最大限に活用することが重要では ないか。  水田委員より、子どもの胆道閉鎖症については、18歳以降は医療費助成の対象から外 れしまい、医療費を負担するにしても就職ができない状況である。  これまでの難病対策によって、難病がどのように変わってきたのかを示しながら議論 した方がよいのではないか。  小池委員より、増額された難病の研究費が効果的に使われるような仕組みを考えては どうか。  医療費の自己負担の問題は、難病の問題だけを取り上げるのではなく、我が国全体の 医療保障をどういう形で設計するのかという視点で検討すべきではないか。  内田委員より、難病という、医療費もかかり、生涯を通じて医療を受けなければなら ない方々には非常に厳しいものが強いられている。この問題の解決には、何が必要なの かということをしっかりとみんなで議論することが大切ではないか。  佐藤委員より、難病の方々の医療や介護、暮らしをどう支えていくのか、系統的な施 策が必要ではないか。  これからの難病対策については、他の慢性疾患も含め、社会福祉の中でどのように位 置付けていくのか、再考の時ではないか。  これまでの医療制度改革の中で、難病患者の方々にどのような影響が及んだのか。デ ータを基に、今後の日本の社会保障と医療はどうあるべきかを考えるステップにすべき ではないか。  社会保障の議論をする際には、負担と給付の程度を列記して議論すべきではないか。  本田委員より、在宅療養を支援する立場から見ると、訪問看護ステーションの整備が 十分ではなく、スタッフも非常に少ない。  原因究明のほかに、施設から住宅という受け皿の仕組みをつくっていくための研究予 算も必要ではないか。  益子委員から、保健所の立場からは、将来のある子どもたちの認定審査について、こ んなにも厳しくしなければいけないのかと思う。  南委員より、難病対策として克服されたもの、また課題として残っているものを整理 する必要があるのではないか。  難病の研究費が増額されたのは、治療法が確立されていない難しい病気をどうにかし ようということではないかと思われる。その趣旨をきちんと汲んだ難病対策を行う必要 があるのではないかということでございます。  また、本日欠席されておりますが、一瀬委員より、地方自治体における難病対策に関 する課題を現在とりまとめているところであり、次回の委員会で御報告したい旨がござ いますので、御紹介させていただきます。以上でございます。 ○金澤委員長 ありがとうございました。本来であれば、資料3に追加という形で御意 見をフリーディスカッションでいただきたいと思いますが、その前に資料4に基づきま して福永委員から御説明をお願いしたいと思います。どうぞ。 ○福永委員 このような機会をいただきましてありがとうございます。スライドがあり ませんので、この資料の中で説明させていただきます。 ○金澤委員長 10分ぐらいで。 ○福永委員 わかりました。  表紙は薩摩富士ですけれども、私はちょうどこの近くで生まれましたので、最近、懐 かしくなってこれをスライドで使っています。  次、お願いします。  自己紹介方々、説明させていただきます。私自身は、昭和47年、難病対策要綱が策定 された年にたまたま医師になって、40年近く神経難病中心にやってきております。  1984年からALSの在宅医療、人工呼吸管理をするようになって、条件が整えば在宅 ケアこそが非常に満足できる医療だと当時思いました。  私はずっと筋ジス病棟を見てきたのですけれども、後でちょっと説明しますけれども、 たまたま小池先生がお隣におられますけれども、障害も個性であるという側面、そして 終末期医療、それから死と向き合う教育の重要性を強く感じました。  それから、システム構築と人材の育成が両輪として機能することが大事だと感じてい ます。  難病の患者さん1人にとって、一つの物語があるし、その援助をしていくのが私たち の仕事ではないかと思っております。  次、お願いいたします。  システムという点においては、私がやってきたのは難病の地域ケアシステムというこ とで、例えば看護師等によるALS患者の在宅支援に関する分科会、これは例のヘルパ ーによる吸引です。これを、ちょうど金澤先生が神経学会の理事長のときに応援しても らったことを覚えています。  あと、筋ジスのケアシステム。  それから、医療安全ということで、ケアマネジャーの業務指針とか研修プログラム作 成の部会長などをさせていただいています。  次、お願いいたします。  これは、20数年になりますけれども、1984年4月に最初に在宅で人工呼吸器を使った 例です。この患者さんの場合には、御家族4人で2年間にわたって、そのころはまだ呼 吸器はありませんでしたので、24時間、いわゆる用手人工呼吸をやっていた。保健所長 さんからどうにかならないかということで始めたのが、私がこういう世界に入るきっか けになった患者さんです。  次、お願いします。  私自身は、この写真が在宅のよさというか、左側で胸を押しているのが当時小学5年 生のお子さんでしたけれども、患者さんの胸押しをしながら、働いているお母さんに対 していろいろと指導している。今もお母さんが時々遊びに来てくださるのですけれども、 大変だったけれども、今考えると、このときが一番充実していたと話されています。当 時、介護保険もない時代でしたけれども、全く家族介護だけでやっていた時代です。  次、お願いします。  これは、ALSの診断後の一般的経過です。この中にいろいろな物語というか、いろ いろな問題が含まれるのですけれども、ざっくばらんに考えるとこういうことになりま す。診断自体は、ALSの場合は特殊な例以外はさほど難しくありません。それから、 告知の問題。その後、入院にするか、あるいは在宅で診るか。患者さんは、筋力低下や 球麻痺病状と言われる嚥下・呼吸・構音障害が生じます。  この時点で呼吸障害が非常に進行したときに、以前は呼吸器をつける、つけないが非 常に大きな問題でしたけれども、最近では環境が整って、患者さんが希望すれば呼吸器 がつけられる状況になりつつあります。昔はここで終わっていたのですけれども、最近 生じてきた新たな問題として、ずっと呼吸器をつけた患者さんが、意思疎通が全くかな わない状況で中止するかどうかという、俗に言う尊厳死の問題が非常に大きな問題とし てクローズアップされてきています。  次、お願いします。  私自身は、在宅を始めて、在宅医療というものは非常にいろいろな問題点が生じます。 そのときに問題を解決するために、例えば食事の問題が出たときに「食事のしおり」、あ るいは呼吸器の問題が出たときに「闘病のしおり」、あるいは福祉制度の「生活ガイドQ &A」をつくりながら考えてきました。  次、お願いいたします。  これは、当院の在宅医療の歴史、ある面では日本の在宅医療の歴史です。先ほど申し ましたように、昭和58年に在宅人工呼吸管理を始めています。平成3年に南九州医療福 祉研究会をつくりまして、このころから、私は以前、国立療養所でしたけれども、ここ でも在宅医療を推進しないといけないということで、病院として始めたのが平成5〜6 年ごろからです。  それから、難病医療ネットワークの先駆けとして、平成8年に鹿児島県ALS医療福 祉ネットワークを発足させています。  次、お願いします。  当院の在宅ケアとしては、実際に在宅ケアをしないと問題点はわからないということ で、在宅ケアで実務、教育研修、研究というのを3つのテーマとして挙げました。特に この教育研修については、ヘルパー研修というものを重点的にやりました。平成7年か ら平成20年まで病院として取組んだのですけれども、1級、2級合わせて3,511人のヘ ルパーを養成しています。  それから、難病患者等ヘルパー養成研修として2,027人のヘルパーを養成しています。 結局、医療と言っても、在宅でやってくれる主体は介護職というか、ヘルパーさんです ので、ヘルパーさんの質を高めないことにはどうにもならないということで、こういう ことをやっています。  次、お願いします。  これは、先ほど申しましたヘルパーさんの介護職というか、非医療職の吸引について の問題点が生じまして、私も委員としてできるだけそれを推進する形で、いろいろな条 件が整った中でヘルパーさんによる吸引が可能になったのですけれども、現実はなかな か進んでいないのが実態です。いろいろな問題がありますけれども、実際には医療的な、 例えば吸引とか栄養の問題を含めて、ある程度介護職に対して教育研修を行うことによ って在宅でやっていかなければ、医療だけではできない時代になっていると考えていま す。  次、お願いします。  次は、鹿児島県のALS特定疾患受給者数です。これも大体全国的な傾向の鹿児島県 版だと思いますけれども、右肩上がりに上がってきています。最近少し減ってきている のは、これは何を意味しているかわかりませんけれども、人口10万人当り5〜6人かと 思います。  次、お願いします。  次が、人工呼吸器の使用状況と主な療養場所をまとめてあります。人工呼吸器をつけ ている人は、鹿児島県はほかの都道府県に比べて多い方ではないかと思いますけれども、 127名のALS患者のうち、気管切開まで含めると約6割の人が人工呼吸器を使用する 状況です。それから、在宅の患者さんが約5割。  そういう面では、はっきりした調査はないのですけれども、ALSの患者さんで人工 呼吸器を使用している人が、全国的には以前は2割3割と言われていましたけれども、 最近はもっと増えているのではないかと思います。鹿児島県では、ほぼ5割から6割の 人が人工呼吸器を使用しています。  次、お願いします。  長期療養の形態として、例えば入院の場合と一般病棟で見る場合と、最近、旧筋ジス 病棟ですけれども、療養介護病棟でALSの患者さんを診るようになってきています。 ただ、ここで問題になるのは、一般病棟でやったときには、いわゆる重症・難病、特定 疾患ということで自己負担がゼロなのですけれども、療養介護病棟に行くと、食費とか 生活支援ということで約4万円かかります。これも所得によりますけれども、約4万円 の差が生じます。そういうことで、この不公平感もどうにかしなければならない問題の 一つではないかと思っています。  次、お願いします。  これは、当院の最近の神経内科病棟の現状です。一般病棟でALSの患者さんを診て います。常時10名から15名がALS患者なのですけれども、そのうちに約半分が意思 疎通のかなわない、いわゆるトータリー・ロックドイン・ステートの患者さんです。そ の中には呼吸器をつけている人が大半なのですけれども、胃ろうとか、重度の医療的処 置の必要な患者さんが多くなってきています。  次、お願いします。  これをまとめると、1つは告知の問題。いろいろな研究活動をして、かなりスムーズ な形で告知ができるようになってきていますけれども、それでもいろいろな問題が生じ ています。  それから、在宅での人工呼吸器の問題、あるいは先ほど申しました離脱の問題。  それから、これは語弊があるかもしれませんけれども、円滑な長期ケアができる条件 として、実際のところ、患者さんにもよることもあります。  それから、主介護者の健康を含めてのサポート体制。  それから、先ほども説明がありましたけれども、協力病院、拠点病院間のネットワー クが問題です。最近、特に協力病院においてはDPCが入ってきて、ALSの患者さん はなかなか診れなくなってきている実情もあります。  それから、緊急時の問題。  それから、先ほどのレスパイトの入院の問題。これは、非常にありがたい制度になっ たと思っています。  それから、地域医療連携室が機能するようになって、地域との連携が非常にしやすく なってきています。  それから、患者会との連携、ピアサポートも非常にスムーズにできつつあります。  ALSというのは、御存じのように運動機能が極限まで退化しますけれども、精神機 能は非常に活発な人が多いです。だから、人の心を打つ患者さんも多いかと思います。  次、お願いします。  レスパイト入院に関しては、従来は冠婚葬祭とか一時的な入院を目的としていた、俗 に言う介護者の休養でしたけれども、最近ではもっと広い意味というか、入院すること によって病院とのいろいろなコミュニケーションもとれますし、あるいは日ごろの不安 とか悩みを病院間あるいは患者同士で共有する機会にもなっています。だから、今回、 予算化されて受け皿が位置付けられたというのは大きな進歩だと思っています。  次、お願いします。  先ほど申しましたように、地域医療連携室が非常に機能するようになりまして、退院 調整とかを非常にうまくやってくれつつあります。当院の場合も提示しましたけれども、 キャパシティーは限られていて、特に呼吸器をつけるようになると、患者さんがALS で亡くなることはほとんどなくなってきています。そうなってくると、なかなかキャパ シティーがなくなって、新たに発生した患者さんが入院できない状況になっています。 そういう意味で、この地域医療連携室がうまく機能することによって、地域での在宅、 あるいは地域の医療福祉機関との連携、あるいはレスパイト入院を絡ませながらやって いかなければ、パンク寸前の状況になりつつあるというのも一つの実態です。  次がアメリカの事情で、これは去年、コロンビア大学の三本先生が発表されたものを ちょっとまとめさせていただきました。  介護問題に関しては、アメリカも似ていると思いましたのは、87%が夫婦の配偶者で やっています。  それから、これはどうとっていいのかわかりませんけれども、患者さんの3分の1が 家族や介護者に愛情を示さないというか、患者さんの気持ちがわからないということだ と思います。これは、日本でも同じような実情もあります。  それから、これが非常に大きな違いですけれども、呼吸器の装着者は3%。ただ、最 近ではNIPPVというか、気管切開しないでできる鼻マスク型の人工呼吸器が発達し てきましたので、この比率は私は増えているのではないかと思います。  アメリカの場合は、最期は自宅が53%、病院が19%、7%がホスピスになっているよ うです。  私自身が考えたALSなどの神経難病の今後の課題として、当然のことですけれども、 患者さんは大変な中でも幸せ感というものはあります。だから、よりQOLの高い生活 を実現するためにはどうすればいいかということは大きな問題です。  それから、レスパイト入院、クリティカルパスなどを有効活用しながら、できるだけ 患者さん間の不公平感をなくす形での病棟への入院ということもできる時代になってほ しいと思います。  それから、介護力の問題。吸引とか栄養交換などの医療処置を研修などの教育を経て 順次介護職などにも拡大する必要があると思います。  それから、これが非常に大きな問題として私はとらえているのですけれども、鹿児島 県みたいに非常に財政の悪い県では、サービスが非常に悪い。難病相談支援センターと か介護支援専門員が位置付けられているのですけれども、できていません。だから、市 町村格差をなくす意味でも、やはり先ほど伊藤先生の提案にもありましたけれども、難 病対策基本法とか、そういう検討が必要ではないかと思います。  それから、病院間のネットワーク。  それから、事前指示書とか尊厳死問題の議論は避けて通れないと思います。  それから、国立病院機構だけでも、約2,000台を超える人工呼吸器が常時作動してい ます。この安全の問題は、現場では非常に大きな問題で、常に緊張状態にあります。い かんともしがたい部分もありますけれども、現場で働く看護師を含めて、職場の人にと ってはこの安全の問題は非常に難しい問題になりつつあります。  それから、これも前のときに議論されていましたけれども、非常に意欲のある、いわ ゆる難病を専門とする医師が非常に減ってきています。特に神経内科では、昔ほどAL Sを含めた神経難病を魅力のある職場として考えて、ここに来る若い医師が激減してい ます。これも今後非常に大きな問題になるのではないかと思います。  ナラティブというか、私自身も患者さんとのいろいろなことで医療をやってきました。  最後のページは、お隣の小池先生に初めてお会いするのですけれども、小池先生が平 成7年に障害者白書の中で障害は個性であるということを出しています。非常に賛否両 論があったと聞きますけれども、私自身は自分の顔を出すのは非常に恥ずかしい限りな のですけれども、実はうちの筋ジスの患者さんがかいてくれた、私の還暦のときの顔写 真の鉛筆画です。これは彼だからかけるのです。これは筋ジスといってもSPMAです。 非常に微細に手が震えます。だから、この手の震えがあるからこそ、髪のちょろちょろ したものまでかけるのだよと、半分本当、半分うそで言っているのですけれども、そう いうことを含めて、患者さんの障害をそれぞれの個性と前向きにとらえる必要も、私は あるのではないかと考えています。かといって、障害があるからいろいろな手当とか、 その費用がどうこうという問題を言うわけでは勿論ありません。  そういうことで、かいつまんで話させていただきました。どうもありがとうございま した。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。大変豊富な内容を簡潔にお話いただき ました。何か御質問ございますか。  済みません、17ページの三本さんの最後の5)、これは何ですか。ちょっと説明して ください。 ○福永委員 三本先生の資料によると、患者さん全体のうちの66%は、痛みでずっと苦 しんだと。これはおかしいのです。89%は非常に安寧な状態にあった。これがどういう ことかよくわかりません。37%は酸素吸入を必要とした。それから、90%は遺言を書い ていた。97%の遺言がそのまま守られたというアメリカのアンケート結果なのかもしれ ませんけれども、そういうことを発表されたのを、そのまま丸写しです。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。なかなか重い問題を提示されておりま す。これに限らず、難病全体に関して、皆様方から先ほどの資料3でしたか、前回の委 員会での御意見もまとめていただきました。そして、福永先生からも御意見をちょうだ いしました。何か御意見をいただいていない方はどうですか。本間さん、どうですか、 初めておいでいただいたので、御意見をちょうだいできるなら今。 ○本間委員 このALSに関して。 ○金澤委員長 別に全体に関してで結構です。 ○本間委員 今、福永先生のものを非常に興味深く拝見しました。実は、私どもも新宿 区にある戸山サンライズというところで医療相談会をやるのですが、いつも偶然、冬場 の相談会でALSの患者さんの医療相談会と一緒になるのです。ALSさんは物すごく 数が多い。大講堂を借り切って、私どもはその隣で20〜30人で小さい会議をやるのです。 ですから、隣で見えるのです。それを見ていると、御本人もそうですが、御家族、介助 の方々、物すごく大変ですね。  それと、ここで先生がおっしゃったように、寝たきりで運ばれてくるのですが、表現 能力とか皆さんすぐれた方が多くて、そういった方が出てくるのかなという気もしてい ますが、そういう意味では、医療の方々、介助の方々が、私どもの方に比べると整って いるという、ちょっとひがみっぽい印象を持った記憶がございます。つまらない話で失 礼しました。 ○金澤委員長 また、後でどうぞ御意見を。伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤委員 ちょっとお伺いしたかったのですけれども、5ページ、研究班の中でいつ も話題になっていますが、人工呼吸器を使ってからのことで2点お伺いしたいと思いま す。  1つは、人工呼吸器有の中にバイパックとか、どちらにこれは入るのかということと。  それから、継続中止というのが、いわゆるTLSでの段階なのか、セデーションのこ とを意味しているのか。皆さんすごく悩んでおられると思いますけれども、この継続中 止というのはどういう位置付けで、この表に書かれたのでしょうか。 ○金澤委員長 継続、またはでしょう。 ○福永委員 またはです。オアです。 ○金澤委員長 書き方が余りよくない。ほかにどうですか。 ○福永委員 バイパップに関しては、全体としてはバイパップで始めて、結果的にはそ のままで終わる場合もありますし、あるいは気管切開して人工呼吸器をつける場合もあ ります。 ○金澤委員長 どうぞ、小池委員。 ○小池委員 医療福祉の分野で、最初は医師と看護師の関係で、医師の指示よりも看護 師に自立性を与えるような医療行為はもっと認めていいのではないかという議論がずっ と続いていたのですけれども、その後、介護保険ができてから介護職と看護職の間で、 どこまでヘルパーとか、そういう人たちに医療的行為をさせていいのかという議論があ って、何年か前に厚生労働省の方から、難易度の低い医療的行為、つめ切りとか体温を はかるということも厳密には医療的行為になるそうですが、そういうものはヘルパーで もできるという線引きの通知が出ました。  今日、来られていないですけれども、千葉大の広井先生は「ケア学」という本の中で、 もっとお互いの専門職に足場をきちっと置いた上で、ほかのところに越境していってい いのではないか。というのは、本当に人の確保が難しくて、看護師ならできるけれども、 ヘルパーならできないというのを余り決めつけると、夜間にとても看護師さんが来てく れない。ヘルパーの人は来てくれても、たんの吸引はできないということがある。  この辺はなかなか難しいのですけれども、それぞれの専門職の職能団体ができると、 職能団体の地位向上ということもあるのですけれども、ともすれば縦割りというか、縄 張り的な発想で、ここはあなたたちはやってはいかぬということになるので、これから いろいろなところで人材が足らない。医師についても、先ほどから話が出ていますよう に、数を増やしても、診療科の偏在とか地域の偏在があって、医師がいないところでは もっと看護師にいろいろなことを認めていくということをしないと、我が国の医療ニー ズにちゃんと現実にこたえていけないという問題があるので、その辺をもっと緩やかに していく必要があるのではないかということを感じています。  もう一点は医療費の問題で、どうしても今、医療保険の大変な状態、特に高齢者医療 をどうするか。毎年、高齢者が増えていくということもあって、どんどん医療費が膨ら んでいく中で、医療保険制度の改革が何度も行われていく。そういう中で、難病の患者 さんの自己負担をどう見るかというときに、財源がなくてという問題がずっと続いてき ているわけです。今、後期高齢者医療の問題もまた見直しという形で、医療費をだれが、 どういう形で負担するのかということをきちっとしないと、いつもそういう中で、額か らいくと難病の医療費は、全体の、特に高齢者医療と比較すると微々たるものだと思い ます。だけれども、患者さんとか、その家族にとっては大変な問題で、これを医療保険 制度の中で翻弄されるような形ではない方法はどうしたらいいのかということもなかな かなか難しい関係ですがきちっと検討する必要があります。  そういう意味で、今回100億円増えたのですけれども、この100億円は前の舛添大臣 がかなり熱い思いを持って、通常の予算のルールでは考えられないような大幅な増額を 果たされたわけで、それは今回、継続ということになっているわけですけれども、民主 党はこういう難病対策について、厚生労働省で長妻大臣を含め、どういうスタンスなの かということをちょっとお伺いしたいのですけれども、以上です。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。御質問を含めてございましたので、最 後のところは是非答えてください。どうぞ。 ○中田課長補佐 今の民主党の考え方でございますけれども、今回、民主党のお出しに なられたマニフェストやインデックスの中には、今後の難病のあり方についてしっかり と議論していくという大前提の記載がございます。これは、まさにこの難病対策委員会 といったものをしっかりと定期的に開催して、今後の新たな難病のあり方をしっかり議 論していかなければいけないというものでございます。  また、医療費の負担の問題につきましても、マニフェスト、インデックスにございま して、長期の慢性疾患の患者さんに対して、高額の医療費についてどのように考えてい くのか。高額療養費の見直しにあわせて、その点についても記載がございます。  私どもといたしましても、こういった委員会の場で御意見をいただきながら、また政 務三役の御指示を仰ぎながら、今後の難病対策を進めていきたいと考えております。 ○金澤委員長 今のことに関連して、ちょっと質問があるのです。もしデータがあった ら教えてほしいのですが、ヘルパーさんが気管の吸引をやってもいいのではないかとい うのを神経学会の方から申し入れをしたのが数年前だったと思います。ある一定の訓練 を受けて、危険のないようにしてくださればよろしいのではないかという意見を出した のですが、それ以後、何かまずい事が起こったことがありますか。多分ないのではない かと理解しているのですけれども。どうぞ。 ○大竹課長補佐 たしか数年前、そういった御意見をいただきまして、明確な調査はま だ私、把握しているわけではないのですが、問題になったということはなかった。 ○金澤委員長 わかりました。それをきっかけに可能にしていただいたのです。それで、 実はナースの方から大分おしかりをちょうだいしたのですけれども、それは先ほど小池 先生がおっしゃったように、いろいろこれから改善していかなければならない問題があ るけれども、ナースの人はナースなりに、またいろいろ悩んでいるところがあるのです けれども、それはそれとして。マイナスのことが何か起こってしまったら困るなと思っ ていたのですが、多分ないだろうと踏んでいた。そういえば、そういうデータを見たこ とがなかったので、伺っただけです。  ほかに御意見。どうぞ、内田委員。 ○内田委員 今いろいろ問題点が指摘されているので、ちょっとコメントさせていただ きたいのですが、1つは、こういう難病患者の医療費の財源について、医療全般につい てですけれども、今の日本の医療政策の中では、これは避けて通れない話であると思い ます。前回のときに私、同じ話をさせていただきましたけれども、医療費というのは、 保険と税と患者負担で賄われているわけです。これ以上の患者負担増はまず無理だろう となると、税か保険で賄うとなりますが、どちらの財源も枯渇してきている状況にある という中で、現状は日本の医療というのは非常に低負担で高リターンの状況にある。社 会保障全般に対する国民負担は非常に低い水準にありながら、国民の健康という点では 世界最高水準にあるという認識は、恐らく皆さん共通しているのではないかと思います。 そこで、今後の財源につきましては、これは政治で検討する課題だと思いますが、少な くともこのまま低負担でハイリターンという状況はあり得ないだろうという認識でおり ます。  それから、ちょっと細かい話になりますが、今、業務拡大ということで、ヘルパーと か看護師という話がございましたが、この点につきまして私が一番考えますのは、患者 さんや家族が納得し、満足するかということが一番大きな課題だと思っていますので、 ナースプラクティショナーの導入などで、医師不足から短絡的にナースプラクティショ ナーを認め、増員する、養成するという話につながってきやすいのですが、そこのとこ ろで考えるべきは、患者さんが本当に納得し、満足するのかというところでの検討が必 要であるし、今の法律の問題、責任の問題がありますので、そういう点で本当に受け皿 となり得るのかどうかは、厚労省の方でも検討班が設けられていると聞いております。 その辺での検討が非常に必要と思っています。  今日、在宅医療についておまとめいただいて、在宅医療には物すごくいろいろな課題 があると思っています。一番大きな課題は、何といっても基盤整備が全く遅れていると いうことではないかと思います。端的な話、現在、110万人弱の方が1年間にお亡くな りになるのが、20年後、私、団塊の世代なのですが、80をちょっと超えるぐらいになる と160万人から170万人亡くなる。でも、病床を増やす、ベッド数を増やすというのは、 医療費政策上はあり得ないという政策が恐らく今後も継続されていくと思いますので、 そうすると、増える、お亡くなりになる方をどこで面倒見るかというと、これは在宅で しかあり得ない。そこに対してのマンパワーも圧倒的に不足しているし、そういう環境 整備という点でも非常に遅れているという認識でいます。  在宅の患者さんは、一人一人、確かに多様ですし、またさまざまなケアあるいは医療 も必要になってくるというところで、多職種の連携、連担ということが非常に重要です が、いろいろな職種についても、例えば訪問看護ステーションなど、このところずっと 減り続けています。これは病院の方が看護師不足で非常に高い報酬を付けるようになっ て、ステーションの方から引き揚げるような状況もありますし、また訪問看護ステーシ ョン自体の報酬も非常に安く据え置かれているということもありますので、本当をいえ ば、チーム医療の中でも核になる訪問看護師さんの存在というものは、地域で非常に希 薄になってきているという状況もあります。  何やかや、非常に問題が大きいという問題点の指摘だけに終わりますが、一応そうい うことです。 ○金澤委員長 ありがとうございます。ほかに御意見。とうぞ。 ○本田委員 在宅の看護の方ですので、ここで2点ほど、先ほどの吸引とか医療処置の こともありまして、そこのところで実際ヘルパーさんがやっていて問題がないのかとい うところと、看護の立場で在宅での医療処置、ALSの患者さんの呼吸管理においては、 聞き取り調査等もやっておりますけれども、実際のところ問題が起きる前にある程度対 応しているというのが実情であって、そこにどういう関わりが入るかというと、看護や 主治医というところできちんと管理されている仕組みができている中では、問題が起こ らないというのが現状と受けとめられると思います。  ですから、ヘルパーさんに教育をするところがある程度できていればいいだけではな くて、実際にそれを行っていく中で、どこが、どういう形でサポートしていくのかとい う、先ほど内田先生もおっしゃっていましたけれども、在宅での基盤の整備を、法とか 診療報酬、介護報酬でかためていただくと、いろいろな人が関わっていく中で在宅でや っていくところが十分機能していくのではないかと考えることができると思います。  それと、NP、ナースプラクティショナーの育成に関しましても、看護の方でいろい ろな分野で裁量権の拡大ということで調査・研究しているところがございます。実際に できるのだけれども、その辺りのきちんとした資格がないものもありますし、それをや れるだけの人をつくっていく教育の整備がどれだけなされているのかということと、一 番問題になってくるのは、社会的な受けとめ、認識というところがあると思います。幾 ら看護師が自分たちが今やっているからということを言っていても、それはきちんと認 められているものではありませんので、そこのところでどれだけできるかを、法制度に のっとって、こういうシステムの中でできるということをきちんと、いろいろな医療だ けではなくて、福祉の立場の人たちの中で位置付けをつくっていくということが必要に なってくるかと思います。  特に難病に関しましては、命に直結するところがありますので、難病看護学会でも専 門職の育成をということを考えております。そこのところで一番問題になってくるのは、 どの辺りまでが許されるのかという合意形成を周りの人たちと、早いうちにやっておか ないといけないというところがあります。そういう辺りでは、少しずつ動いているとは 思うのですけれども、それを後押しする仕組みのところをきちんと調査なりをやってい っていただけるといいと思います。  研究事業の方に関しては、疾患ごと、原因究明というところが一番重要になってくる と思うのですけれども、研究で原因がわかって治療法ができても、恩恵が受けられない ような人たち、特に在宅で療養している人たちは、医療の中にいるのではなくて、生活 の中で難病と一緒に暮らしている状況ですので、その人たちに対する何らかの研究の成 果が反映できるような仕組みづくりの研究というところも、少し考えていただけるとい いと考えています。以上です。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員 余り発言し過ぎるのも何かと思っているのですが、今、幾つかのことで諸 先生方の御意見、ごもっともと思いながら、どうしても患者の立場では言っておかなけ ればならないことが幾つかあるような気がいたします。  1つは、先生方がおっしゃるように、在宅と言われていながら、実際は少子・高齢化 であり、かつ高齢者単独世帯などが多くなっていく中で、在宅での受け皿というものが 果たして可能なのか。この場合、在宅というものは家族介護ということを意味するのか、 もっと地域で支えるということを意味するのかという問題がいろいろあるかと思います が、そのギャップも考えなければならない。  しかし、一方で、今、人工呼吸器をつけているような方々については待ったなしとい う現状があるわけです。さまざまな法整備や、いろいろなものができれば、それはいい わけですけれども、今そこにある危機というものをどうとらえ、どう支えていくかとい うことも、これはある意味では資格とか制度とか法整備みたいなものを乗り越えた、も っと人道的な見地からの取組みというものをするべきではないか。小池先生がおっしゃ っているように、積極的にそうするべきではないかという気がいたします。支えている 家族も限界に来ている中で、いろいろ研究もしなければならないし、整備もしなければ ならないのだけれども、それを待てない人たちに対してどう責任をとっていくのか、ど ういうぐあいに援助の手を差し伸べるかということも非常に大事かと思います。  患者あるいは家族というのは、何の資格があるわけでもないし、医学的な技術・技量 を持っているわけでもありませんけれども、やむを得ず、いや応なしにその場に立ち向 かわなければならないというときに、それをどう支えるかということが大事かと思いま す。  ヘルパーのことでも、言うまいかどうかと思っていたのですが、実は私などが住んで いる北の地ですけれども、従来はヘルパーさんが休憩をとったりする中で吸引の手伝い などをしていたのですけれども、していいよということになってから、むしろ逆にヘル パーの所属している組織が、何かあったら困る。責任をとるのは我々だからということ で、むしろヘルパーさんがそれまでやっていた吸引のお手伝いをしないことになってし まった。してはいけないことになってしまったという事例が幾つか寄せられていまして、 地域の中で保健所の方々とそれをどうするかということを話し合いをしているところで す。  地域になると訪問看護というのも非常に少ないわけです。そういう中で、訪問看護を 前提としたり、資格を前提としたりということを中心に議論されてしまうと、それは全 くその方々の実情には合わないわけですから、そこのところを超える議論を、この難病 対策委員会でもしていただいて、そういう条件整備ができるまでの間だけでも、こうい うことをやったらいかがか。先ほど金澤先生がおっしゃったように、神経学会でもそう いう提案をしておられることですし、そういう意味で、法整備の前にやれることがあれ ば取組むということを私どもはお願いしたいと思います。  それから、低負担、ハイリターンの問題で、これもなかなか難しい問題だと思います けれども、日本の国民総生産における社会保障費の割合はどうかというと、これは必ず しも高くないと思います。そういう意味で、保険制度の枠組みということになりますと、 医療費等の自己負担や税の負担、個人負担などのさまざまなバランスの問題が出てくる でしょうけれども、社会保障全体を組み替えていく、あるいはそこにもっと抜本的なメ スを入れていくということで、それはどこかでクリアーしなければならない問題なので はないだろうかということで、患者団体としては、そういうところまで切り込んで、皆 さんの御理解をいただけるようなことを提案してまいりたいと思っておりますが、何せ 専門家のいる組織ではございませんので、細かいことについては申し上げられませんけ れども、是非そういう方面での議論をこの委員会でも展開していただければありがたい と思います。以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。福永先生。 ○福永委員 今、伊藤委員が言われたことに対することですけれども、ヘルパーさんが 吸引しても加算というのは全くなくて、いわゆるボランティアなのです。だから、安全 とか、もし事故が起こったらどうするかということを言われて、心あるヘルパーさんも なかなか吸引をしたがらなくなっているのは、鹿児島も北海道と同じです。だから、私 は教育研修を今たくさんやられていますので、やった人がそれだけのメリットが受けら れるような、例えば介護加算とかヘルパー吸引加算というものがあれば、少しずつでも 進むのではないかと思います。  私も6回、委員会に出席していたのですけれども、安全の問題とかいろいろ言われま したけれども、今後、ALSに限らず、在宅が主流になる中では、介護職はかなりの部 分、私も大学でずっとやっていましたけれども、在宅は医療も看護も介護もはっきり決 められないことが多いのです。グレーゾーンが多いのです。そういう意味では、もっと その辺を基盤整備というか、きちっとした形で、法律はなじまないのかもしれませんけ れども、そういうことをしないとなかなか在宅で見られない時代が来るのではないかと 思っています。 ○伊藤委員 ITの世界でもクラウドと言っているぐらいですから、この分野でもクラ ウドの部分があっていいのではないか。すぱっと法律で決めたからとか、そういうこと ではない部分がないと、この社会はなかなかうまく回転していかないような気もいたし ますので、ちょっと補足しておきます。 ○金澤委員長 内田委員。 ○内田委員 今の問題は、法整備ということで制度を変えるということになると、責任 がどこに行くのかというのが必ずくっついてくる話ですので、法整備をしてヘルパーさ んがたんを吸引して、これまで事故はほとんどないという御報告でも、もしつついて出 血させて窒息を起こしたときに責任を問われることになる、あるいはその法を改正した ところまで責任がさかのぼって問われることになると、やはり引いてしまうと思います。  私の現場で、脳卒中の後で頻回にたんを吸引しなければいけない患者さんがいて、ヘ ルパーさんが泊まり込みでいたのですが、そこの家庭では奥様が納得した上で、ヘルパ ーさんが何をやってトラブルを起こしても一切責任は問わないという暗黙の契約みたい なものがあって、実際にはヘルパーさんがほとんど吸引していたという現状があるわけ で、そういう対応でいく方が現実的な対応になるのではないかと思います。現場での対 応ということ。 ○金澤委員長 おっしゃるとおりですね。どうぞ。 ○葛原委員 ヘルパーさんの問題というのは、結局幾つか問題があると思いますが、認 められているのは、まだALSの患者さんだけですよね。実際にうまくいっているとこ ろの話を聞いても、今、内田先生がおっしゃった脳卒中の後とか、いろいろな病気のと きに、なぜ自分たちのところはできないのかという質問を受けることがあります。  それから、まだこういうことがヘルパーさんに許される前からですが、吸引に限らな いのですが、家族は大目に見ているのに、何でほかの人ではだめなのか。厚労省の意見 も聞いてみたのですが、家族の人が吸引したって、別に問題にならないですね。なぜか というと、これは恐らく文句が来ないというのが前提にあると思います。  ですから、私は今、内田委員がおっしゃったことは非常に大事なことで、病院で死ん だらすぐ訴訟になるような国では、ヘルパーさんが吸引をするという文化が根付かない だろうという気がしております。慢性期の医療と生活では、生きている最低限の処置が 日常的に要求されることと、急性期の医療とは違うわけです。そういう問題をどういう ぐあいに、だれが解決していくかが問題です。法整備をしてだれかに責任があると決め れば、ますますみんな引くだけだと思います。そこら辺の医療とか生き方とか死に方に 対する国民の文化的な考えを変えないと、幾ら法整備をしても、責任をはっきりすれば するほどみんな引いていくだけで、そのうち家族もしないことになりかねない気もしま す。法整備とか金だけかければ済むという問題ではないと思います。  それから、今日の日経新聞には、ちょうど今、問題になっている看護師の診療をどこ までという、ナースプラクティショナーの問題が出ていました。何でもかんでも医者を 呼べとか看護師を呼べという国は日本だけで、アメリカを見てもヨーロッパを見ても、 それからオーストラリアのようないわゆる医療先進国を見れば、大体は看護師とか保健 師とかリハビリのような関係の方が現場でそういう現実の医療をやっている。だから、 あれほど過疎の国であっても医療問題は起こっていないということですので、こういう 日常的に何年もかかるような、医療と介護と生活の境目のようなことをどう支えていっ て、だれが責任をとっていくかということに関しては、本当の医療問題とはまた別の観 点で考えないと、幾ら医者を増やしても、幾ら看護師を増やしても、幾らヘルパーさん を増やしても、決して前向きな方には進まないのではないかと、私はそういうぐあいに 思っております。以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。どうぞ。 ○本間委員 今の葛原先生に、私も基本的にはそう思います。ただ、先ほどから難治性 疾患の数を申し上げているのですが、なぜしつこく申し上げるかというと、疾患が指定 されますと、それから漏れる人がまた出てくるのです。先ほど指定されただけでも、光 が当たっただけでもすばらしいことなのだ、それは全くそう思うのですが、それに指定 されない人が、私の病気は一体何でしょうかということで、うちの会に聞いてくる例が 結構あります。結局、それに指定されないと医療費控除がなかなか受けにくいとか。  それから、一番問題になっているのは、これは伊藤先生、よく御存じだと思いますが、 難病の歴史が古くなっておりまして、当時子どもだった難病患者が今は立派な大人、老 人になりかけています。そうしますと、自分の子どもへの遺伝の問題、それから親の介 護の問題とか、先ほどから議論になっています生活の問題がかかってきています。そう いう意味では、指定されないと病院にも行けない、すぐ追い出される。それから、うち にいると疲れてしまうと。  そうしますと、私どもあせび会でも何人か、御殿場にそういう施設会をつくっている のでございますが、病院と在宅の中間施設、昔の療養病床が減っているのですが、それ を大きく増やして中間的な施設というものをもう少し充実させてもらえないかと思いま す。確かに数が増えればいいというものではないかもしれませんけれども、私どもが抱 える患者というのは数もない。田舎にいる人はヘルパーさんも来てくれない。開業医が 減って、近所には歯医者さんしかいないとか、車に乗って2時間かけて都心の病院に行 ったりするわけです。車のある人はいいですけれども、80〜90のおばあちゃんはなかな か行けないという状況が現実にありまして、電話で私どもへの問い合わせが結構来てい るわけです。そういった意味では、療養病床を地方を中心に何とか増やしていただけな いかということと。  もう一点は、先ほど内田先生がおっしゃったように、責任問題になるかもしれません けれども、地方の開業医の方々の連携によって、せめてその地方に住んでいる難病の方々 が、その地方の病院に照会、問い合わせ等をしたときにわかるような、相談、診療も含 みますけれども、そういった緩い連携みたいな、一部の地域でやっているようですけれ ども、チーム医療をもう少し充実させていただけないか、この2点をお聞きしたいと思 います。以上です。 ○金澤委員長 ありがとうございました。ほかにどうですか。 ○伊藤委員 ほかのことでも。 ○金澤委員長 勿論、ほかのことでも結構です。 ○伊藤委員 それでは、これは先ほどから議論になっているような生命に直結する問題 ではないのですけれども、患者さんからよく寄せられている問題がありますので、これ も今後討議をお願いしたいと思います。  実は、前回にも先生方から出たと思いますが、特定疾患の継続申請調査票の問題です。 書く先生も大変負担がかかっている。今まで改正されて、継続申請と新規申請とが分か れたにしても非常に大変で、患者の側にとっても毎年申請に行くのも非常に大変です。 私のところにも、申請のたびに保健所から10種類ぐらいの書類が送られてきます。見る だけでも大変です。そういう意味では、患者さんの負担を減らす上でも、行政の負担を 減らす上でも、先生の負担を減らす上でも、こういうあり方、仕組みも少し検討されて はいかがか。  ただ、前に1回だけ、3年ぐらい申請時期があいた時期があったのですけれども、こ れはこれでまた問題がありまして、3年もあいていると特定疾患の申請をするのを忘れ てしまうのです。いつが申請時期だったかという問題もありますので、何かそういう仕 組みの検討が今後必要というのがありました。  それから、地域の中で今、起きているのは、大学病院で診断、病名を申請して、地域 でふだん医療を受けていますと、地域の先生は継続申請のときの診断書は、それは大学 病院へ行って書いてもらいなさい。自分のところでは書けませんと言われて、どうして も遠いところまで行かなければいけないという問題が出てきたりしております。特に慢 性化してきますと、大体同じことを書くわけです。そういう意味で、この問題も何かも っと有効なシステムで、かつ研究にも役立つシステムが開発できないかということも、 今後御検討いただきたいと思いますので、発言しておきます。 ○金澤委員長 ありがとうございました。今の点はかなり具体的なので、もし何か答え てくれれば。 ○中田課長補佐 ただいまの臨床調査個人票の件につきましては、例えば難病対策の議 論の中で、どういったところに御負担があるのか、また今後、臨床調査個人票を研究目 的に使っていくためにどういうふうにやっていったらいいのか、そういうことをきちん と検証しながらやるべきであれば、例えば指定研究の中でそういったことをしっかりと 論点を詰めて、またここで御提示させていただく方法もあるのではないかと思います。  また、追加でよろしいでしょうか。 ○金澤委員長 どうぞ。 ○中田課長補佐 先ほど小池委員の方から御質問いただきました現政権の難病対策の考 え方を先ほど申し上げたのですけれども、しっかりとお話しておいた方がよろしいかと 思いますので、ここで改めて御報告させていただきます。  難治性疾患対策につきましては、難病患者・家族の切実な声が施策に反映されるよう、 難病対策委員会の定期開催等といった環境整備を着実に進めます。  新規指定や対象年齢拡大を望むさまざまな疾患の患者が必要な医療が受けられるよう、 現行の難病対策及び希少疾病の新薬開発や保険適用の仕組みを抜本的に改革し、難病に 関する調査研究及び医療費の自己負担の軽減を柱とする新たな法制度を整備します。  高額療養費制度に関し、白血病等、長期継続治療を要する患者の自己負担軽減を含め、 検討を進めます。  また、福祉施策につきましては、発達障害、高次脳機能障害、難病、内部障害なども 対象として制度の谷間をなくすこと。障害福祉サービスの利用者負担を応能負担とする こと。サービス支給決定制度の見直しなどを行い、障害者自立支援法にかわる障がい者 総合福祉法(仮称)を制定しますというものでございます。以上でございます。 ○金澤委員長 それはどこにありますか。 ○中田課長補佐 これは政策インデックスに詳細な記載がございます。 ○金澤委員長 今の表現は、政策インデックスそのものですか。そうでしたか。わかり ました。ほかにどうですか。  先ほどの大学病院で診断、地域で申請という話は、これは確かに患者さんから伺った 覚えがありますけれども、これについてはどうですか。 ○福永委員 実際書く方になると、例えば誕生日ごととかにしてもらえばありがたいの ですけれども、ある期間にたくさん来るものですから、実際書く方、医師としては大変 です。  それから、いわゆる開業医の先生方とか、余りなじみのない人は、うちみたいな病院 とか大学病院に持っていけと言われることも多々あるのではないかと思います。  それから、調査票が研究に利用されているかどうか、私は非常に疑問に思うのですけ れども、毎年ほとんど同じフォームで変わらないのに丸写しするのが実際は多いのです。 だから、もう少しどうにかできないか。簡略化できたり、あるいは書きやすくできない かと、いつも書きながら現場としては思っています。 ○金澤委員長 どのぐらいの間隔でやったらいいかというのは、当然病気によって違う はずなのだけれども、一律に1年でしたか。そういうところに問題がないわけではない し、いろいろ検討する必要がありますね。これは、ちょっとテーマですな。どうぞ。 ○葛原委員 変えようと思えば、これはすぐ変えられることで、今は7月から8月のお 盆前に集中します。あれは9月に切りかえになっているので、多いときには毎日10人ぐ らいの人が持ってきて、とてもさばき切れない。今の運転免許証と同じように、誕生日 ごとぐらいに、1年間に分散するだけでも私は随分改善するだろうと思います。これは、 役所が多分9月がいいのだと思いますが、現実的にはそれはもうちょっと1年間にまば らに分布するような、これはその気になればすぐできることではないかと思うので、そ れが1つ。  もう一つ、大学病院云々に関しての意見です。多発性硬化症のような免疫性の病気は 診断も大事ですし、ステロイドの量とか治療法も症状により変える必要があります。神 経難病の患者さんでもパーキンソン病では、年に2〜3回来ていただいて、あとは近所 のお医者さんに、薬とかはお願いしています。患者さんにとっても年に1回ぐらいはち ゃんと専門の人にチェックしてもらうべきで、1回決めてもらったら、あとは楽にしよ うという考えはやめた方がいいのではないかと思います。難病研究費は、便利な、より お金がもらえる制度ではなくて、これは難病対策のための研究の資料を整備するために 研究費を使うということが根本にあるわけですから、そこの精神は是非忘れずにやって いただきたいということです。  それから、今、福永先生がおっしゃいましたけれども、私も含めてですが、申請が受 理しやすいように、症状はどちらかというと重い方をとって書くようなこともあるわけ ですが、本当のデータをとるために、だれが評価しても同じ基準でできることをしっか り書くということと、プラスαのことに関しては多少軽重を付けて、本当に研究の資料 になるような診断書にしていくという2つの努力が必要ではないかと思います。以上で す。 ○金澤委員長 ありがとうございました。大変重要な御提起をいただきました。益子委 員、どうですか。 ○益子委員 期間に関しては、私も先生方と同じで、役所も一時期に集中すると混乱し ますので、申請に当たっては誕生日ごととか、そういう方がいいと思います。 ○金澤委員長 そのほかの点でも何か御意見ございませんか。 ○益子委員 前回も申し上げましたけれども、慢性小児特定疾患の件ですけれども、審 査が非常に厳しゅうございまして、かなり病状が悪くならないと認められないというの はいかがなものなのかと考えております。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。キャリーオーバーの問題点は、どういうふうに今 の段階では考えられているのでしょうか。小児の範囲を年齢的に超えてしまって、大人 の時期に入ったけれども、病気は当然なくなっているわけではない。形の上では切らざ るを得ないという状況が今でも続いているのですか。 ○大竹課長補佐 今でもそのようになっております。事業の切り分けの問題がございま して、従来からの問題点はそういうことです。 ○金澤委員長 いろいろ問題点が多いですね。ほかにどうですか。どうぞ。 ○葛原委員 今のキャリーオーバーのように、我々から見れば人も生きていて、病気も 続いているので、そこを中心に考えればいいと思います。難病で切り分けたり、児童福 祉法、精神保健福祉法、老健法のような法律で切り分けるからちょっと変なことになる わけです。そういう点でいえば、法律ではなくて人と病気を中心にした形の難病対策と か法律にしていただけると、一番それが人に優しい医療になるのではないかと思います。 これは厚生労働省でできるかどうか知りませんけれども、私たちから見れば非常におか しいなという気がします。要するに、法律が違うからだめだという結論になってしまっ て、人間も病気もずっと続いているのではないかと言いたいことがよくあるのです。 ○金澤委員長 これは確かに彼らだけではできないことなので、そのように受け取った ということで、どこか別のところで議論しなければいけないなと思います。ほかにどう ですか。どうぞ、伊藤委員。 ○伊藤委員 今のお話なのですけれども、この難病対策委員会で今後そういうことも含 めていろいろ議論するにしても、疾病対策課と難病対策の範囲内だけでやっていくと、 どうしても小児慢性特定疾患とか長期慢性疾患の部分とのすり合わせもうまくいきませ んし、それから今、新しい障害者福祉施策をつくろうとして内閣府を中心に動いておら れますけれども、その障害者の問題でもみんな切り分けて議論しなければならないです ね。  難病の問題も、難病のことを議論している、この場以外のところでも難病のことが言 われているわけです。そういう形で果たして効率的に議論が進められるのかということ がありますので、先生、何かうまいぐあいに、ほかの部分と一緒に議論していくという ことも何か御提言していただけないでしょうか。 ○金澤委員長 いろいろ御意見を伺いながらずっと考えていたのですけれども、ほかの ところで何か言うべきかなと思う一方で、この委員会でむしろきちっとそこのところを 議論したときに、あなた方の方として、それはほかの部署といろいろすり合わせをする 上で、大事な提案だ、あるいは意見だったと受け取っていただいて、むしろそれを有効 に利用していただけるのだったら、ぜひそれを取り入れていただきたいと思います。審 議官もいらっしゃるようですけれども、課が違うと、担当が変わってしまうと非常に難 しいということになると、それはほかで言わなければいけないことになるのですが、そ うではなくて、議論の中でそういうものが出てきているということが、大事なこととし て受け取っていただけるならば、是非それは利用していただきたい。どうぞ、課長。 ○難波疾病対策課長 まさにそのとおりのことであると思います。患者さんの立場、個 人からすると、すべての生活面のワンストップサービスというものが望ましいですし、 難病という制度のつながりから見ると、それが首尾一貫していることの整合性が求めら れることもあると思います。  私どもは、この場で議論いただいたことは、ポイント、ポイントがありますので、そ ういったことは政務三役に御報告して御相談申し上げますので、そういった観点でも御 議論いただければと思います。 ○金澤委員長 大変力強いお言葉ととらえます。  ついでながら、実は今、総合科学技術会議の中でアクションプランといいまして、今 までは各省から、翌々年の概算要求のためですが、案を出していただくわけです。それ に対して、S、A、B、Cを付けろということになっているわけですが、それでは余り にも無責任ではないかということになって、むしろアクションプランと称して大筋のと ころを総合科学技術会議から各省に出して、各省といろいろ相談しながら、各省のいい 案をつくっていただいて提起していただくというふうにしてはどうだという方向になっ てきています。これは新聞にも出ていたかもしれませんが、そういう方向になることが 決まりました。  そこで、アクションプランの中でグリーンイノベーションとライフイノベーション、 幾つかつながるのですが、その2つのイノベーション。そのライフイノベーションの中 にどういう重点項目を立てるかということになって、今、議論している最中です。そう いう中に、高齢者、障害者、子どもという3つの、ある意味では弱者、不利になってい る人、そういう方々にどういうまなざしを向けるべきなのかということを議論している ところなので、そういう中でも今のようなことを言うべきかなと思ってみたりしていた のです。そういうことも意見としては出しますが、そちらからも是非出してほしいと思 います。よろしく。ほかに何か。どうぞ。 ○本間委員 先ほどから、ちょっとくどいかもしれないのですが、難治性疾患の指定は どういう基準で、例えば昨年度の場合、選んだのですか。公募して、それである程度評 価をして指定を決めたということなのでしょうか。実質的には、申請が出てきた時点で 全部認めてしまったのでしょうか。それはわかりますか。 ○中田課長補佐 昨年度の研究奨励分野の採択の考え方でございますが、21年度の研究 予算のプラスに伴いまして、新しい分野として研究症例分野ができました。この研究症 例分野の考え方といたしましては、これまでのように指定された難病以外の多くの疾患 について研究を行っていただこうという考え方のもとで評価いただいております。した がいまして、1年目の採択につきましては、評価委員会の方で研究計画を評価いただい て、これは1年目に十分実行できるものについて採択しております。また、2年目、3 年目以降の継続について、1年目の成果を見て判断しようとしておりますので、特段疾 患を限定したりとか、こういった疾患に限って採択したというものではなく、純粋に科 学研究としての研究計画に基づいて採択されたと御理解いただければと思います。 ○金澤委員長 ありがとうございました。どうぞ。 ○本間委員 そうしますと、去年4倍に予算が増えて対象疾患も大幅に増えた。今後、 また仕分けにあって、またもとに戻った、4分の1に減らされた場合は、対象疾患も減 ることになるのですか。 ○中田課長補佐 私どもの考え方といたしましては、研究奨励分野につきましては、こ れまでの難病指定という130の疾患の位置付けとは全く異なっておりまして、これまで 研究が行われていない疾患について幅広く研究を行おうと考えております。したがいま して、可能性としては、3年計画が終わった後に、また他の疾患に関する課題が研究さ れたり、また続くものもあり、研究内容次第で、継続されるかどうか検討されると認識 しております。 ○金澤委員長 ほかにいかがですか。大体御意見をいただいたでしょうか。  それでは、本日、たくさんの貴重な御意見をちょうだいいたしましたので、これを事 務局で整理してもらいまして、課題別に今後の難病対策のあり方ということでまとめて いただきたいと思います。これからも継続的にこういう形で議論を続けさせていただき たいと思います。  次回以降の予定について、事務局から。 ○中田課長補佐 もう一点、伊藤委員の方からこちらの資料が追加で配られております ので、御紹介いただければ。 ○伊藤委員 今日、急遽配らせていただきましたけれども、これは2008年度、スウェー デンからの提案で取組まれていることですが、レアディージーズデイという行事が2月 28日に行われます。私ども患者会も十分存じ上げていなかったので、今、NPO法人の 方を中心にやっております。これを私どもはレアディージーズということだけではなく て、世界希少・難治性疾患の日という形に位置付けて、患者会も、行政も、さまざまな 研究者の方々も一緒になって取組んでいく、全国各地でいろいろな行事が催されること になれば、難病問題を社会的にアピールする上でも非常に有効な手段になるのではない かと考えております。  今日、このことを提唱された方がこちらに見えていますけれども、また来年5月には、 世界の大会を日本で開こうという話もあるようですので、今後、皆様方にも関心を持っ ていただき、あるいは私どもからお願いすることがあるかと思いますので、よろしくお 願いしたいと思います。 ○金澤委員長 どうもありがとうございました。では、今後の予定を。 ○中田課長補佐 本日、委員の皆様方からさまざまな御意見をいただきましたので、今 後、課題の整理を行っていきたいと考えております。  また、今後も難病対策委員会につきましては定期的に開催していきたいと思っており ます。次回の具体的な日程につきましては、改めて事務局より日程調整のお願いをさせ ていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。 ○金澤委員長 ありがとうございました。何か最後に全体を通じて御意見ございますか。 どうぞ、伊藤さん。 ○伊藤委員 大変恐縮です。2か月に一遍とか、なるべく早くに日程を決めていただけ ないでしょうか。できれば数回先まであらかじめ決まっていると大変助かるのですが。 難しいでしょうけれども、よろしくお願いします。 ○中田課長補佐 鋭意努力します。 ○金澤委員長 難しいかもしれませんが、とにかく頑張ってくれるそうですので、期待 しましょう。どうもありがとうございました。ほかにございませんか。 (「はい」と声あり) ○金澤委員長 それでは、今日はここまでにいたしましょう。  どうも皆さん、御協力ありがとうございました。 以上                        ○照会先                                 厚生労働省健康局疾病対策課                            tel 03−5253−1111                           (内線 2355・2356)                         fax 03−3593−6223