10/02/12 第44回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録 第44回労働政策審議会職業能力開発分科会                      日時 平成22年2月12日(金)                         10:00〜                      場所 金融庁12階共用特別第二会議室 ○今野分科会長 時間ですので始めたいと思います。第43回労働政策審議会職業能力開 発分科会を開催いたします。本日は、井上委員、瀧澤委員、中村委員、山野委員、浦元 委員がご欠席です。次に、委員の交代がありますのでご紹介いたします。お手元の資料 の後ろに参考資料1というのがあります。そこをご覧になりながら聞いていただきたい と思います。花井委員に代わりまして、同じく日本労働組合総連合会の新谷委員が新た にご就任されました。 ○今野分科会長 時間になりましたので、第44回労働政策審議会職業能力開発分科会を 開催いたします。本日は浅井委員、三村委員、水町委員、井上委員、大野委員、浦元委 員がご欠席でございます。  それでは、議題に入りたいと思います。本日は、「国が行う職業訓練の今後の在り方 について」です。最初に事務局から説明をいただき、それ以降議論をしたいと思います 。よろしくお願いします。 ○井上総務課長 お手元の資料、議事次第をご覧ください。配付資料といたしまして、 資料1から資料3についてご説明させていただきたいと思います。なお、参考資料1「職 業訓練の現状について」は、昨年の12月25日の会にお出しさせていただいた資料を参考 のため配付させていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。  資料1は「雇用・能力開発機構が行う職業訓練の内容、施設等について」です。さらに 1枚おめくりいただきますと、「独立行政法人雇用・能力開発機構の概要」です。まず、 沿革・組織のところですが、この雇用・能力開発機構につきましては、平成16年に特殊 法人から独立行政法人に形態を変更しています。役員8名、職員3,689名によりまして、 組織は本部と、このあとご説明いたしますが、職業能力開発施設等73所を運営していま す。  事業概要です。業務は大きく3つの柱からなっており、1つは離職者・在職者・学卒者 に対する公共職業訓練の実施などを内容とする能力開発に関する業務です。2つ目は、中 小企業の雇用創出のための助成金の支給、雇用管理に関する相談等を行う雇用開発に関 する業務です。3つ目が、勤労者の財産形成促進に関する業務です。その他として、暫定 的な業務で、雇用促進住宅の譲渡又は廃止等の業務を行っています。  2頁です。我が国の職業訓練を支えるインフラとしての雇用・能力開発機構の役割につ いてということで、雇用・能力開発機構の全体像を示したものです。雇用・能力開発機 構と書かれている枠の中ですが、離職者訓練、在職者訓練を行うポリテクセンター、高 校卒業者などを対象として学卒訓練を行うポリテクカレッジ、これらが職業訓練を実際 に行う施設です。そして、訓練生を教える職業訓練の指導員の養成などを行っている、 職業能力開発総合大学校です。ここでは大きく3つのことを行っています。1つは、4年間 の課程で、指導員を養成します。2つ目は、指導員について、技能、訓練技法などのブラ ッシュアップのための再訓練を行う。3つ目は、訓練技法、カリキュラムの開発、またそ れらをPDCAサイクルの活用などにより、見直していくということを行っています。これ が雇用・能力開発機構の全体像です。  左の矢印の先が都道府県になっていますが、都道府県との関係で申しますと、雇用・ 能力開発機構は、指導員の養成・供給、あるいは再訓練などを行っています。右の矢印 は、民間教育訓練機関との関係です。1つ目のポツでは、民間で実施可能な職種について は、公共職業訓練の一部を委託して実施していただく委託訓練です。下のポツですが、 緊急人材育成支援事業で、基金に基づいて雇用保険を受給できない方を対象に訓練を実 施しています。  以下、いまの表の中にお示しした、各施設についてご説明します。3頁のポリテクセン ターをご覧ください。1の設置目的、3の訓練内容に書いてありますように、ポリテクセ ンターでは、離職者訓練と在職者訓練を行っております。4の訓練規模ですが、平成20年 度の実績として、離職者訓練が10万2,000人、施設内訓練が27,000人、委託訓練が7万5, 000人ということです。在職者訓練については、4万4,000人ということです。5の離職者 訓練の就職率は、施設内が78.5%、委託が69.5%です。6の主な訓練科目です。これは、 ポリテクセンターで主に行われている訓練科目ということで、ものづくり系を中心とし た機械科、電気工事科、溶接科ということです。いちばん右のところでは、これらの科 目の訓練を受講した場合に、どういった技能が習得できるのか、訓練を受講したあとに どのような仕上がり像になってくるのか、ということを整理しています。  続きまして、ポリテクカレッジについてご説明します。5頁から6頁にかけてです。1 の設置目的、3の訓練内容にありますように、高校卒業者等を対象として、ものづくり 分野において、中核的な人材を育成するということで、学卒訓練を行っています。施設 数といたしましては、能力開発大学校が10校、付属短大が12校あります。3にあります ように、訓練期間は、能力開発大学校が4年、短大が2年ということです。4の訓練規模 ですが、平成20年度は7,300名、5の就職率は96.8%ということです。6の主な訓練科目 については、6頁をご覧ください。生産技術科、制御技術科、電子情報技術科というこ とで、これらについても、訓練受講により習得できる技能、あるいは仕上がり像を右の 欄にまとめています。  7頁から13頁にかけて、職業能力開発総合大学校についてです。1の設置目的、3の訓 練内容に書いてありますが、職業訓練指導員の養成訓練と再訓練を行っておりまして、 こうした訓練を行う我が国において唯一の施設です。4の訓練規模にありますように、 4年課程の養成訓練が925名、再訓練は20年度の数字ですが、1,618名の方を対象に行っ ています。5は指導員の養成訓練の就職率ですが、98.9%、うち指導員への就職が39.1 %です。6の学科ですが、機械、電気、電子情報、建築などの4つに分れて養成訓練を 行っています。  8頁です。これ以下の指導員養成訓練についてですが、下の枠の3つにまとめています 。これが職業訓練指導員に求められる能力の付与を目的として訓練を行っています。1 つは、ものづくり関係ということで、指導員が実際に技能を教えるわけですので、技能 を習得することが必要。2つ目が訓練指導関係ということで、訓練技法などについて学 ぶということです。3つ目は、キャリア・コンサルティング技法、あるいはPDCAサイク ルなど、訓練コースの設定技法などについて学ぶということです。  9頁です。総合大学校の指導員の養成訓練の訓練内容として、国立工科系大学と比較 して図示をさせていただいています。まず、総合大の特長としまして、教える人材を育 成するということから、能力開発専門科目が独自の科目としてあります。この内容とし て、左の特長のところに書かせていただいていますが、訓練技法、あるいはキャリア・ コンサルティングなどの内容を含んでいます。専門実技ですが、総合大におきましては 、自ら技能を習得するとともに、訓練生に教えることが必要になりますので、機械操作 など、実習を重視した専門実技を行っています。  これに対しまして、国立工科系大学におきましては、実験、シミュレーションなどを 通じて、理論の検証を多く行っています。また、専門学科につきましては、総合大では 4年間の養成活動を終えたあと、複数の指導員免許を取得して訓練分野を教えることが 可能になるように、幅広い専門科目の設定をしています。10頁で専門学科、11頁で専門 実技を比較しています。例として、北見工業大学の機械工学科を入れさせていただいて いますが、それぞれ下のほうに赤、青の部分が共通する科目、白いところが独自性の科 目ということです。  12頁です。これは総合大学校の4年の課程を経て、何が習得できるかということで、 左のほうから機械製図手書き、組立仕上げ、あるいはNC旋盤、フライス盤といったこと から、選択科目によるものもありますが、機械システムを専攻した場合には、これらの 分野の技能の習得が可能となるシステムとなっています。  13頁です。これは総合大学校が行っている、指導員の再訓練の内容です。先ほど申し 上げましたように、年間で1,618名を対象に、指導員の総数の約3分の1に相当する数の 訓練を行っています。この再訓練の内容として、3つに区分しています。1つは最先端の 技能の習得などによりまして、カリキュラムの開発・充実に向けてスキルアップするた めの再訓練です。2つ目はキャリア・コンサルティング技法を習得するなど、就職支援 の技法の充実に向けたレベルアップのための再訓練です。3つ目が訓練科の統廃合に伴 い、新たな職種に指導員自身転換する必要がある場合の再訓練です。資料1につきまし ては以上です。  次に資料2「雇用・能力開発機構の廃止等について」をご覧ください。1頁です。雇用 ・能力開発機構の廃止について、平成20年12月24日の閣議決定です。平成19年に「独立 行政法人整理合理化計画」が閣議決定されたところですが、雇用・能力開発機構につい ては、「法人自体の存廃について1年を目途に検討を行う」と、されたところです。そ れを受けて、1年間検討されたあとの閣議決定が20年12月の閣議決定です。  内容としまして、Iの「全般的事項」の[1]から[4]に抜本的な改革の内容が書かれてい ます。[1]国の責任において職業訓練を行う組織としていくこと。[2]訓練のユーザーであ る労使の参画とコントロールが可能な仕組みとしていくこと。[3]資産の効率的活用の徹 底。[4]地域の声、ニーズを反映できる協議会などの仕組みを設けていくということです 。その際の観点として、[5]にありますように、職業能力開発業務とそれ以外の業務を切 り離すこと。[6]としまして、可能なものはできるだけ地方や民間にゆだねていく、とい う観点が示されております。  2頁のIIの「法人の廃止」です。先ほどのIで示された方針に沿いまして、独立行政 法人雇用・能力開発機構については、組織として廃止する。その上で、職業能力開発業 務は高齢・障害者雇用支援機構に移管する。その他の業務は、勤労者退職金共済機構等 に移管するというものです。  IIIは「業務・組織の見直し」ということで、さらに具体的にどうしていくかというこ とが書かれています。(1)職業能力総合大学校。指導員養成の在り方やコストパフォー マンスを見直していくこと。(2)のポリテクセンター、(3)のポリテクカレッジ、都道府 県への移管について、その受入条件を整備していくこと。(4)ですが、民間等への委託 訓練の拡大を図ると書かれています。  3頁です。その他の主な業務としまして、事業主への相談・援助業務等は労働局と一 体的に処理する。財形業務は、勤労者退職共済機構へ移管する。雇用促進住宅は、関連 するところに移管する。3の私のしごと館業務です。遅くとも平成22年8月までに廃止す るとされたところですが、昨年11月に厚生労働省の方針として示した中で、本年3月に 廃止することを予定しています。  IVの「実施時期」ですが、以上の改革に必要となる法制上の措置については、平成22 年度末を目途に講ずるものとするとされています。これを受けまして、今通常国会に法 案の提出をさせていただければと考えています。なお、法改正を待つまでもなく実施可 能な事項については、速やかに着手することとされておりまして、これを踏まえ、民間 教育訓練機関への委託につきましては、委託元を雇用・能力開発機構から、都道府県へ 移管、シフトを進めているところです。  5頁をご覧ください。昨年11月、いわゆる事業仕分けに際しまして、厚生労働省とし て、雇用・能力開発機構の効率化、スリム化の指針を示したものです。3がその内容で すが、平成23年度の予算については約半減、人員については約2割減。組織については 、必要最小限のものに限定し、それ以外は、廃止または地方に移管するということです 。4について、次の5原則を徹底させて、改革を行うということで、天下りの排除、ある いは外部委託は一般競争入札とすることなどが示されています。  6頁は、11月に示しました改革方針を図にしたものです。いちばん上に、予算、人員の 推移を書いています。そのあと、職業能力開発総合大学校、ポリテクカレッジ、ポリテ クセンターの職業訓練施設について、どのような形に変わっていくかということを示し ています。 その下の薄い黄色で書かれている施設、業務については、移管、あるいは廃止を進めて いくということです。地域職業訓練センターやコンピュータカレッジについては、都道 府県への移管を進めているということです。私のしごと館は今年3月に廃止する予定で す。国際能力開発支援センターも本年度中に廃止する予定です。アビリティガーデンは 既に廃止しています。  8頁です。これは事業仕分けにおいて示された評価ということで、とりまとめコメン トをご覧ください。この中では雇用・能力開発機構につきまして、業務のスリム化など 、業務の見直しをさらに進めることが求められています。また、職業能力開発総合大学 校の見直しの検討が求められています。  9頁です。この事業仕分けを受けまして、厚生労働省として取り組んでいく内容につ いて示したものです。3の[1]ですが、民間機関への委託訓練をさらに都道府県に移管を 進めていくというものです。[2]は、ポリテクセンターの都道府県移管について、さら に努力をしていくということです。[3]は、職業能力開発総合大学校について、就職率 の改善にさらに努めていく、あるいはイや[4]のところですが、総合大学校の敷地の一 部売却、さらには資産の徹底的な見直しを行っていくというものです。  10頁から12頁までが、昨年の12月に独立行政法人の抜本的な見直しについてという ことで、閣議決定されたものです。1の基本的姿勢の中で、(2)にありますように、厳 格な見直しを行っていく。2の見直しの視点にありますが、(1)事務事業の抜本的な見 直し、(2)見直し結果を踏まえ、独法の廃止や民営化なども視野に入れて検討していく 。(3)として、組織体制及び運営の効率化の検証をしていくということが記されていま す。資料2については以上です。  続きまして資料3についてご説明します。「国が行う職業訓練と雇用・能力開発機構 の今後のあり方について(論点ペーパー)」と題したものです。これは、本日ご議論 いただくためのたたき台として用意させていただいたものです。Iで、今回、雇用・ 能力開発機構のあり方を見直す背景について整理をしております。厳しい雇用失業情 勢の中で、離職者訓練を行っていく必要性や、今後新たな成長ぶりについて人材育成 を図っていく必要性、あるいはものづくり産業においても、中核的な人材の育成確保 などの課題があるということを述べています。  一方で、雇用・能力開発機構につきましては、これまで職業訓練をはじめとした多 岐にわたる業務を行う中で、私のしごと館のあり方などについて問題を指摘されてき たという状況があります。こうした状況に対応するため、先ほどご説明いたしました、 平成20年12月の閣議決定を踏まえて、国の責任において、職業訓練が実施される組織 体制を整備していく必要があるというものです。  IIが今後のあり方です。1が国が行う職業訓練の位置づけについて、(1)は国が行う 職業訓練の役割、離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練に則して書いています。(2)は 、国と都道府県の役割ということで、これまで国と都道府県の間で行っている役割分 担を書いています。(3)が国と民間教育訓練機関の役割ということで、これまでの国と 民間教育訓練機関との役割分担について書いています。(4)は、今後、雇用創出が見込 まれる新規成長分野について、国がその基盤を整備し、民間教育訓練機関でそのため の訓練が実施されるようにしていくことが必要ではないかと書いています。  2が国が行う職業訓練の内容及び施設のあり方についてです。(1)が職業訓練の内容 です。ものづくり訓練や新規成長分野の訓練との国の関わりを書いています。(2)がそ れぞれの施設についてのあり方で、[1]のポリテクセンターについては、離職者訓練や 在職者訓練をセーフティネットとして進めていくことが必要ではないかといった趣旨 の内容です。[2]のポリテクカレッジにつきましては、ものづくり企業に必要な中核人 材を養成していくことが必要ではないかという趣旨で書いています。[3]の職業能力開 発総合大学校ですが、公共職業能力開発施設等において質の高い職業訓練を実施する 観点から、それに必要な人材を育成する観点から、必要な見直しをしていくべきでは ないかという趣旨です。  3は、国が行う職業訓練を担う法人のあり方ということで、雇用・能力開発機構が 廃止となった後の訓練を担う法人のあり方です。(1)は、職業訓練業務への特化とい うことで、職業訓練業務に特化して行っていくことにより、より効率的な訓練の実施 体制を確立していくことが必要である。(2)は、先ほど申し上げました、労使の代表者 に運営に参画していただくということです。(3)は、地域における協議会の設置という ことで、地域の産業における人材ニーズなどに対応した職業訓練の実施を行っていけ る仕組みが必要ではないかということです。  4頁です。1つにはその前に入れさせていただきました、労使の参画によるガバナン スの強化ということです。さらに、保有資産の効率的活用の観点などからする、効率 的な組織運営が必要となるのではないかという趣旨です。資料の説明は以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは、いま事務局から説明していた だいた内容について、ゆっくり議論してみたいと思います。どなたでも結構ですので どうぞ。いかがでしょうか。 ○上原委員 人を育てるということですから。いままでの日本はどちらかというと、 高校、大学で教育をして、企業に入って、企業が社会人教育というのをやってきたと 思うのです。しかし、昨今の環境からすると企業も余裕がなくなってきていて、デー タにも出ているように、最初にそういう教育系統というか、それが削減される傾向が ある。大手でもそうだろうと思うのですが、中小においてはなおさらそういう余裕が ないというバックグラウンドがあると思うのです。そういう中で、いままで雇用・能 力開発機構が果たしてきた役割は、大変大きいと認識しているのですね。  一方で、いろいろ批判された「私のしごと館」ではないけれども、ああいうものが あって、今般、廃止に向けて規模を縮小して対応していくということですが、在職者 訓練とか求職者に対する訓練という機能は、特に今の失業率の環境からすると一層大 事だというのがまず第1だと思います。そういう人づくり、特に、ものづくり系、日 本は特にそういう部分が大きいわけですが、今後も国としてそういう仕組みをしっか り維持して、内容を充実させていくことが非常に重要だと思うわけです。したがって 、産業構造も変わってくるでしょうし、成長分野にシフトするということが書いてあ りますが、一層そういうニーズをつかまえて、産業構造のシフトに対した教育訓練の メニューを充実させていくことが非常に重要だと思います。  先般の事業仕分けの中で、予算なり人員なりが、半減とか2割とかいうことで削減さ れることになるわけですが、人を教育していく本体が、効率だけで見直されることが 果たして正しいのかどうか、ちょっと疑問に思う部分があります。特に、それに関わ る人たちのモチベーション、拡大するより縮んでいくほうが一般論としてどうしても モチベーションが下がるので、そういう部分の担保をどうしていくかということが非 常に重要だと感じているところです。  これは質問です。ここに書いてあるように、地方にできることは地方にということ で、移管していく流れのようですが、現実に、いま説明があったポリテクカレッジと かポリテクセンターは、規模も大きく、数も多いわけですね。現状、都道府県なり自 治体なりで、それを受け入れたいというのは、数字としてどのくらい見えているのか というのが1つ。それから、論点の中にあったように、新規の成長分野に向けて、国と してその基盤を整備していくということですが、具体的にどんなことを考えておられ るのか。もう1つは、現実にそういうものを仮に民間で受け入れていく場合、民間の 教育機関等で受け入れられるものが、現状でどの程度整備されているのか。その辺、 わかる範囲で結構なのですが、教えていただければ幸いだと思います。以上です。 ○今野分科会長 ありがとうございました。いま2点ご質問がありました。いかがで すか。 ○杉浦審議官 私のほうからわかっている限りでご説明します。  まず、ポリテクセンターの地方への移管の関係ですが、昨年の4月から5月ぐらいに かけて、47都道府県に対して、ポリテクセンターの移管についてヒアリングをいたし ました。まだこちらで、お金の問題や人の問題などを含めて、具体的な条件をどうす るかということを検討している段階で、具体的な条件を示しているという段階ではな いので、あくまでも希望的な話ですが、ポリテクセンターを受け入れる希望があると いう県が14県でした。約3分の1が受け入れる希望がある。受け入れる希望がないとい うのも14、15県だったと思います。まだ未定というのも同じぐらいで、受け入れる、 受け入れない、未定というのがちょうど3分の1ずつぐらいの割合だったということで す。  受け入れると希望を持っているいう県に、具体的にどういった条件ならば、という こともお聞きしました。そのときに言っておられたのは、土地建物についても無償で 譲渡していただきたい、運営費についても、全額補助なり交付していただきたいとい うのがほとんどでした。我々は、その辺も踏まえて、閣議決定にあるような、受け入 れやすい条件ということが書いてありますので、そこはどこまでできるか。一方で、 雇用保険の事業主負担だという財源の問題がありますので、それをそのまま、全額補 助ないし無償でということができるかどうかも含めて検討していかなければいけない ということで、いま、関係省庁等も含めて、具体的にどういった条件ならばというこ とを検討している段階です。  それから、新規成長分野等、その新しい分野についての訓練ですが、これはもとも と、施設内で行っている訓練につきましては、民間でできるものは民間でということ で、特にホワイトカラー系のものとか、そんなに設備等を要さないものは、できるだ け民間の委託訓練のほうに回して、ものづくりを中心とした設備、施設を要するもの を中心にやってきております。わが国全体の職業訓練として見た場合に、例えば、農 林業とか環境とか、あるいは介護とか医療といった新しい分野に雇用吸収力がある、 あるいは成長能力、余力があるといったような所にも、そういった人を動かしていく べきではないかという議論が、特に新政権になってから強くなってきておりますので 、そういったことでも対応できるように考えていかなければいけないと思っておりま す。  具体的には、施設の中で直接訓練をやるということ、例えば、農業に関する訓練を すぐ施設内でやるというのはなかなか難しいことですので、そこについては民間のい ろいろな訓練機関とか、あるいはそういった業界の事業主団体の方を活用させていた だいて、そういった所での訓練を新たに設定してもらうように努力しているところで す。若干ずつですが、農業とか水産業といったところでも訓練コースが出てきたとい う話もあります。また、介護とか医療事務といった関係では、かなりの数で訓練枠も 拡大していきたいと思っております。  それから、これは直接公共職業訓練ではないのですが、例の基金による訓練につき ましても、介護分野や医療分野といったところについては、いままでも訓練コースを かなり開拓してきておりますので、そういった所はまだまだほかにもあろうかと思い ます。特にそれだけではないと思いますが、その産業動向をよく見つめながら、新し い訓練コースの開拓に努めていきたいと思っております。 ○今野分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。 ○新谷委員 国が行うべき職業訓練のあり方というのは、離職者に対する訓練を行っ て、労働市場に戻してやるという機能もありますが、新規成長分野において、雇用の 創出が見込まれる分野に対する職業訓練をどう施していくかというのは、重要な視点 だと思っております。そうしたときに、新政権は、農林とか環境とか医療や介護とい う分野を掲げております。その環境という分野では、例えば、白熱電球を蛍光灯型に 、蛍光灯型タイプはLEDに変えていくというようなことも、実際にいま起こりつつある わけです。しかし、私がお聞きしたいのは、新成長分野に対する人材の育成にあたっ て、例えば経済産業省との連携をどう取るかとか、あるいは厚生労働省も、行政とし てどの分野に対して人材育成をどうしていくのかということを、どういう場で検討し て、どういう体制でそれを構築していくのかという、いわゆる組織的な取組み方につ いて、もう少しお聞かせいただけないかなと思っています。 ○杉浦審議官 確かにおっしゃることは大変重要で、私どもも自分の所だけでそうい うことを把握するというのはなかなか難しいわけです。政権交代後もいろいろ言われ ている中で、成長戦略、あるいは雇用対策がまだまだ不十分ではないかというご指摘 もあり、昨年の秋から暮れぐらいにかけて、緊急雇用対策とか成長対策というのを政 府としてまとめたりしている中で、そういった新成長分野に対する雇用も含めた取組 みということを縷々書いております。そういったものを我々行政分野としては、職業 訓練の中でもやっていくということを考えているところです。また、政府としては、 6月に向けて成長戦略をまとめていくというような動きもあるようでして、その中の、 そういった分野における人材育成ということについても、我々もできる限りの役目を 果たしていかなければならないなと思っております。  それから、中小企業というか経済産業省との連携の話ですが、これは、随時情報交 換や勉強会をやっております。具体的な話としましては、昨年の夏に、例の基金訓練 を作ったときに、中央で訓練協議会というのをやりました。あのときも、労使の方々 をはじめ、関係省庁の方々にもお集まりいただいて、それぞれの分野でこれからどの くらいの雇用や訓練の需要が見込まれるかという情報をいただきました。我々として はそういった情報をもとに、出先機関に含めて、これから考え得る分野の新しい業界 における職業訓練の可能性について、力を入れて取り組むようにという指示もしてい るところです。政府全体、あるいは厚生労働省の中でも、特に、いま雇用政策研究会 などをやっております職業安定局で、そういった雇用の動向というのをよく見極めな がら、その中で新しい雇用、あるいは職業訓練の可能性がある分野というのを探って 、訓練に結びつけていきたいと思っているところです。 ○大久保委員 職業訓練の担い手となるプレイヤーは、この新規の成長分野を視点に とらえると、多様な担い手が生まれてこないと、実際には実現できないだろうと思い ます。  特に、いまの民主党でも新しい公共ということが言われているように、職業訓練の プレイヤーも国の機関だけでなく、NPOが担い手になる可能性も出てくるだろうと思う わけです。NPOが訓練の担い手になるにしても、どこのNPOもそんなに長く訓練の技術 を蓄積してきているわけではなくて、たまたまある特定の分野について非常に技術や 知識を持っているというだけでしょうから、雇用・能力開発機構が蓄積してきた職業 訓練に関係するカリキュラム開発のノウハウとか、指導の技術とか、そういったとこ ろはNPOにも分け与え、多くのプレイヤーを育てていくことにも、随分生かせるところ があるのではないかと思うのです。そのあたりの視点を持ったほうがいいのではない かというのが1点です。  もう1点は、この論点整理の中の、3頁にある総合大学校は何のための施設かという ところです。私は一貫してここがずっと引っかかり続けています。今日、お配りいた だいた資料1の9頁にも整理して書かれているわけですが、大変長い授業時間を取って 人材育成をやっているわけですね。もともとの総合大学校設立の趣旨からすれば、こ こに書いてあるとおり、職業能力開発施設における指導員の養成ということですが、 この考え方は維持するのかどうか。維持することがいいのかどうか。つまり、現在多 くの人たちが公共の職業能力開発施設の指導員になるだけではなくて、そのほかの民 間も含めた場での指導員として育っていって、その役割を果たしているわけです。し かも、その人たちに対する継続的な再訓練なども全体としては担っているというとき に、総合大の役割は、建て前と言ったら変ですが、要するに、公共職業訓練機関の指 導員養成だけなのかというところは、ずっと疑問に思っているところで、これはこの ままいくのでしょうか、というのが2つ目の質問です。 ○杉浦審議官 1点目は、施設内訓練、あるいは公共施設だけではなくて、NPO等に対 するその訓練の技法等の普及という話ですが、おっしゃるとおりで、民間、あるいは これからそういった社会的事業者というか、NPOも含めた所で、いろいろな形で訓練を やっていただくというのは大変大事だろうと思っております。雇用・能力開発機構に おける指導技法とか、職業能力開発に関する指針を、これまでもかなり多くの職務に ついて分析をしたり、そういったものを作り出したりしていました。一般的にも公開 はしているのですが、PRが足りない部分もあって、まだそんなに知られてはいないの ですが、そういったようなものをできるだけ活用して、民間、NPO等に対していろい ろな普及を図っていきたいと思っております。おっしゃるとおり、国や民間企業だけ ではなくて、新たな事業形態でいろいろやられている所も多数もあると我々も承知し ておりますので、国をあげてそういった所での訓練のやり方というのを、是非力を入 れて普及していきたいと考えております。  総合大における指導員の役割の問題ですが、ご案内のとおり、この総合大の本来の 趣旨は、公共職業訓練、あるいは認定の職業訓練施設において訓練を教える指導員を 養成するということが、法律上定められている機関です。ただ、そうは言っても、昨 年など指摘がありましたように、就職状況を見ますと、現在は4割近くまで戻ってき ておりますが、一時は2割を切るようなところまでいって、あとは民間の企業に就職 という状況もありました。それをどう見るかということで、昨年もいろいろ議論があ ったところです。  先ほどの説明の中にもありましたが、昨年の閣議決定の段階では、公共訓練だけで はなくて、民間、特に中小企業におけるものづくりのセンター・オブ・エクセレンス となるべく、というようなことで、民間にもそういった指導員を養成していくという ところに、ある程度力を入れていくべきではないかというニュアンスで決定されてお ります。  私どもも、特に民間の企業に就職して、その中で指導的立場に立つ人というのも、 一定の役割としては当然あるのではないかとは思っております。そこのバランスをど う見るか、これは一方で行革の観点もあり、そういった産業政策、人材育成との関係 もあって議論のあるところですので、これから皆さん方のご意見もいろいろお聞きし たいとは思っているのです。  一方で、先ほどの説明にもありましたように、事業仕分けで、総合大学校は廃止を 含めて検討しろというようなことも言われている中で、この指導員をどういう形で養 成していくのかということは、我々の中でもまだ検討しているところで、はっきりし た方向性、その具体的なところはまだ出ているわけではありません。ただ、こういっ た公共訓練の全国ネットの施設、あるいは組織体制を維持していく以上、公共訓練に おける指導員は養成していかなければいけないというコアの部分は一方にあるわけで 、それ以外にというか、それとあわせてそういった民間企業、あるいはそのほかの分 野において、訓練の指導的立場に立つような人をどこまで育成していくことができる のか。あるいは、それを法的にどのように位置づけていくことができるのかというこ とは、私どももいま検討しているところですし、また、皆様方からもいろいろご意見 をいただけるとありがたいと思っております。 ○今野分科会長 いま、大久保さんが話された前半の件ですが、公共以外のいろいろ な組織が訓練をする、そこにノウハウなんかをトランスファーしていくというときに、 実際上は、たぶん人の育成ですよね。その新しい訓練機関の訓練をする人を育成して、 それを通してそのノウハウとかそういうのをトランスファーしていくわけですよね。 それが1つ。もう1つは、大久保さんが言われた後半の問題は、もしかしたら同じこと を言っている可能性がある。そのときに訓練する機関が、たまたま民間企業が訓練を する、社員を訓練するというケースもある。ですから、大久保さんは2つ言われたけれ ど、実質同じようなことを言っている。  それを踏まえると、職業訓練の訓練指導員のオールジャパンの施設にしたらどうで すかという問題提起かなと思う。訓練機関の中に、1つ公共があるけれど、そのほか NPOがあったり、民間企業があったり、そういうオールジャパンの職業訓練の指導員と いうか、あるいは訓練を教える人たち。例えば、普通の仕事をやっていて、プラスア ルファ訓練を教えるということでもいいと思います。そういうオールジャパンの訓練 指導員を養成するような機関というのは、公共できちんとやっていくというときに、 この大学校というのはどういうポジショニングになるのでしょうかと、たぶんそうい う問題意識だと思うのですが。 ○大久保委員 そうです。 ○今野分科会長 そうすると法律との関係がいろいろ出てきそうです。私が勝手に解 説をしましたが、どうぞほかに。 ○新谷委員 今日いただいた資料に、詳細なカリキュラムの国立工科大学との比較が 出ているのですが、総合大学校の目的が指導員に対する訓練ということから言えば、 この国立の工科系の大学との比較というのが、どういう意味を持っているのかが資料 からはよくわからない。本来、その目的とするところに対して、どういう成果を上げ てきたのかというところがもう少しわかる資料があれば、今後の論議の参考になるか と思うのです。今日の1枚物の資料では、定員が120人で、養成訓練が925人、再訓練 1,618人とは出ている、その就職率も指導員が39%とは出ているのですが、もう少し 詳細な、この目的に照らした成果、過去にどういう成果を上げてきたのか、というと ころがわかる資料を付けていただければありがたいなというのが1点です。  それとあわせて、今日いくつか示していただいた資料の中で、能開機構の廃止に関 する資料2というのがありました。これについては、無駄なと言ってはあれですが、 不要なものについては廃止をする、あるいは地方に移管できるものは移管するという 流れは、そういう流れかなと思います。その一方で、この閣議決定が平成20年12月24 日。今後の論点にも出ていますが、求職者支援制度をこれから立ち上げるということ が、その後の変化として起こってきているわけです。求職者支援制度を立ち上げると いうことになると、これはユニバーサルサービスではないですが、地方を切り捨てる ということはいけませんから、当然、全国に訓練の有り様について検証ができる機関 が必要になると思っているわけです。平成20年の閣議決定のときと今日では、そうい った前提条件がちょっと変わってきているという面があると思いますので、全国のネ ットワークとしてのその訓練の実施主体なり、その検証の主体をどう残していくかと いうところの視点を、後の検討の中には盛り込んでいく必要があるのかと思っており ます。  それと関連して、今日いただいている資料2の6頁、総合大学校、ポリテクセンター 、ポリテクカレッジという所は、都道府県に受入れできる所は受入れをするというこ とで濃い黄色になっているのですが、薄い黄色の最初に書いてある地域職業訓練セン ター83カ所とコンピュータカレッジについては、受入れできる都道府県があれば受入 れができるということで、それがない場合はこれは廃止になると聞いております。こ の受入れができる都道府県は、今日の財政状況の中でかなり限られてくるのではない かと思っています。特に地方において、コンピュータカレッジなどが設置されている 青森県とか岩手県といった財政規模の地方自治体ではこれはもう受入れ困難というこ とも仄聞しておりまして、そうなるとこれは廃止になるということです。  いま地域格差、経済格差ということがいろいろ言われているわけですが、これは、 訓練においても地域格差を発生させないのかなという懸念もあります。そういった視 点で、地方が受入れをしやすいような仕組みを改めて考えていただいたほうがよろし いのではないか。これまでどおりのサービスの水準というのを前提に、どういう形で あれば地方でこういうものが残せるのかというところを、あわせてお考えいただけれ ばと思っております。以上です。 ○今野分科会長 最初の目的に対応した成果はどうなっているかというお話は、総合 大学校のことですか、それとも全体ですか。 ○杉浦審議官 1点目のどういう成果を総合大で上げてきたのかという資料につきま しては、もう一度整理して次回に提出、説明をさせていただきたいと思います。  2点目の求職者支援制度との関係は、おっしゃるとおりでございまして、一昨年の 閣議決定の段階には、そういったことは入っておりませんでした。そこで、まだ求職 者支援制度にはなっていないのですが、前回説明をしました、いわゆる補正に伴う基 金訓練を昨年の夏からやっているところでして、そこの基金訓練の実施の中で、実際 に訓練をやっていただく、例えば専門学校ですとか、教育訓練の企業といった所にお 願いをして、そういう訓練を開拓するという業務。それから、実際のカリキュラムを 策定をするに当たって、いろいろ就職に結びつくようなカリキュラムを作っていただ くということも、この基金を設置しました中央職業能力開発協会から、現在は雇用・ 能力開発機構に委託をして、その訓練開拓指導業務をやってもらっているところでご ざいます。  この基金事業が平成22年度いっぱいでということになっていますので、23年度から は恒久化した求職者支援制度ということに法律を手当てして移行していこうと思って います。その中で、いま申し上げました訓練の開拓、あるいは指導業務といったよう なことは、雇用・能力開発機構が、現在も全国の出先を中心に訓練機関に出向いて行 ってお願いをするといった業務を具体的にやっております。そういったノウハウを活 かしながら、求職者支援制度を組み立てる中で、一定の役割りを果たしてもらいたい といまのところ考えております。これは法律ですので、来年また法律を作る中で、具 体的にそこの役割りというか、位置づけを整備をしていきたいと思っています。雇用 ・能力開発機構の廃止問題とはちょっと次元が違う話ですが、雇用・能力開発機構に そういった一定の業務を分担をさせてやってもらいたいというのが、いまのところ私 どもが考えているものでございます。ですから、そこは確かにこれまでのやっている 公共職業訓練と相まって、こういった第2のセーフティネットにおける職業訓練の分 野におきましても、これまでのそういった能力訓練のノウハウ、あるいはそのネット ワークを活かしながら、業務をやっていってもらいたいというのが、いまのところの 考えでございます。  3つ目の地域職業訓練センター、それからコンピュータカレッジの問題ですが、これ までというか、一昨年の閣議決定を受けて、全体の業務を整理する中で、この地域訓 練センターとかコンピュータカレッジをどうするかということも、もちろん課題では あったわけです。その中では、一定の基準を作りまして、例えば入校率ですとか、授 業の実施以上やっている所については、引続きやっていこうということも案としては 考えています。その旨を各都道府県にも連絡をしていたところですが、昨年の事業仕 分けに際しまして、能開機構が持っているいろいろな資産を整理をするという観点の 中で、この地域職業訓練センターとコンピューターカレッジについても、この機構の 廃止にあわせて全て廃止、または地方に移管するという方針で臨むということにした ところです。  ですから、いまお話のありましたようなことで、地方が受け入れられやすいような 条件というか、そういったものを当然考えつつ、受け入れていただける所については 、受け入れていただく。これは土地がほとんどというか全部かな、都道府県、自治体 の持物でございまして、建物だけを雇用・能力開発機構が建てて、それを箱貸しみた いな形で運営をしているのがほとんどでございます。  コンピュータカレッジにつきましては、その中で使っていますコンピューターとか ソフトについても、業者からリースをして整えているのですが、そのリース代も雇用 ・能力開発機構から手当をしているということになっています。地方に譲渡した場合 に、その建物の価格がもし有償であったら、どういうふうな価格が設定できるのか。 それからリースのコンピューターについてどういうふうなことができるのかというこ とが、当然問題になってくるわけです。  私どもとしても、できるだけその地方で活用していただいている部分については、 そういった受け入れやすいことを考えていかなければならないと思っているのですが 、またこれが一方で、先ほどの話と同じような話になってきますが、雇用保険の事業 主負担の財源で建てられているというものですので、安易な譲渡売却をするというこ とになりますと、また以前と同じような問題も生じかねないという兼ね合いがござい ます。具体的に条件を詰めながら、その辺をどうしていくかを都道府県のほうとお話 をさせていただきたいと思っているところでございます。 ○今野分科会長 いま新谷さんの質問の中で、もう1つ。2番目の質問で、求職者支援 制度みたいなものは全国でやっていったときに、全国ネットは実質機構がやっていく ようなことになると思うのですが、それを検証する必要があって、そのための組織は どうなっているのかなという質問があったのですが、それについてはどうですか。 ○杉浦審議官 これは、その閣議決定の中にも書いておりますが、外部の人を入れた 委員会を新しい法人の中に作るということになっています。今度、できれば廃止をす る法律の中で、新しい機構組織の中に、そういった外部的な委員会的なものを作って 、そこで実績、あるいは運営の方針も含めてチェックしていただこうということを考 えているところでございます。 ○今野分科会長 新谷さん、よろしいですか。 ○高倉委員 もう春闘の時期に入っていますので、中小企業の経営者の方といろいろ 話す機会も結構あるのですが、今いろいろ出ているように、何でもかんでも国でやる 必要はないわけですから、民間企業を含めて一体的にやっていけばいいと思うのです 。中小企業の方も雇用を図りたいのですよ、増やしたいのですよ。だけどなかなかそ ういう状況ではないというときに、この全体のスキームの中で、特に中小企業ですが 、中小企業の事業主にいろいろな支援ができるかということも、1つの目玉になると 思うのです。今回の全体のスキームのあれだと、事業主への助成等の業務については 、労働局に移管というふうになっているのですが、そこは全体的に教育とか訓練のス キームの中でも、やはりこれは一体的にいろいろ考えていかなければいけないと思う のですね。ただ、移管したとき、その辺の連携が今後どういうふうに取れていくのか 、ということをお伺いしたいのです。 ○杉浦審議官 その辺も大変重要な問題だと思っていまして、確かに、いまキャリア 形成助成金などは、民間でやっていただきます職業訓練とかなり密接に関連をしてお りますので、実際訓練をするに当たっての相談と合わせて、こういった助成金が使え ますということで、支給の手続きを含め、相談をやっているところでございます。そ の辺がハローワーク、あるいは労働局に持っていったときに、連携が希薄になっては 絶対いけないというふうに思っているところです。  これも来年度に向けての話ですが、その組織内でのより有効な連携ないし、連絡体 制をどうするかということは、十分考えていきたいと思っています。特に訓練もそう ですが、ハローワークで受講を斡旋なり推薦した人を機構、それから機構から委託先 に訓練を回すという一連の動きをやっていますが、その中で連絡がうまくいっていな いのではないかというご指摘もたまにいただいたりします。特に、そういった助成金 についても中小企業の事業主さんがご相談に来られて、実際に訓練をやる中で、そう いう助成金の活用とかいったものをうまく組み合わせてやっていけるということは、 大変重要なことだと思っています。そこは、よくこれから連絡体制も含めて、手抜か りのないような形で進めていきたいと思っています。 ○今野分科会長 要するにこれからという話ですね。あといかがですか。 ○高橋委員 資料の2で少しお話をして、資料2以外もメンションしますが、資料2の6 頁のところです。この前の会合でも私は申し上げたのですが、この(仮称)という名 称ですね。これは高齢・障害者雇用支援機構という現存の組織のうち、障害者の障害 と者の間に・求職を入れた組織名なのですね。仮称であることは承知していますが、 やはり最初に説明がございましたとおり、在職者訓練とか指導員の育成、再訓練とい った職業能力開発をまさに担っている雇用・能力開発機構が承継される組織名として、 果たして・求職でいいのかという問題は、私としては非常に意識としては強くて、本 当にこういう名称でいいのかどうか。これは再検討すべきではないかというふうに思 っているのが1点目です。  2点目は、その資料の下の2つに新体制があるのですが、予算を半減、常勤職員の非 常勤化とか、2番目、職員23%削減とかいって、しかもこの前も言いましたが、7頁の 「理念」ですね。新体制の理念の[4]で、移管の際に改めて採用試験を行って、職員が 不足する場合は公募なのだというようなことになりますと、現在お働きになっていら っしゃる職員の方の雇用不安というものを、いたずらに惹起するようなことも懸念さ れますので、やはり働くモチベーションを高めていただきながら、新組織でまたご活 躍をいただくことが大変重要ではないかと思っています。私としては、こういう形で やるのがどうなのかなという問題意識がすごく強くあります。  更にその「理念」の[2]のところに、「外部委託は全て一般競争入札(最低価格落札 方式)とし」と、これが非常に問題ではないかと思っています。これが安かろう悪か ろうでも、安ければ入札されてしまいます。透明性を確保したいということであるな らば、企画競争入札でも透明性は十分確保できる構想もあるのではないかと思ってい ます。やはり新体制への移行に当たっても、理念をガチガチに運用することが本当に いいのかどうか。もう一度検討をし直す必要があるのではないかと思います。資料2 の関係は以上です。  冒頭のほうから、総合大についてのご議論がいろいろありましたが、危惧されるこ とは、いまの話にも関連するのですが、指導員の養成機能を低下させてはならじ、と いうことです。仕分けの議論でも、総合大の機能を縮小すべきというような意見が出 ていることも承知はしていますが、だからといって養成機能、これまで培ってきた機 能自身を、いかに高めるかということが重要であって、決して低下しないように心が ける必要があるのではないかということです。  その観点で、指導員の質をいかに高めていくのかということも、非常に重要になっ てくると思います。先ほどの資料の1でもあったのですが、再訓練について、毎年3分 の1が再訓練をしていますというご説明があったと思います。それは私が理解すると ころでは、3年に1回しか再訓練しないのですね、ということにもなるのではないかと 思っていまして、果たしてその程度の頻度でよろしいのかというようなこともあると 思います。また、その再訓練の実態といいましょうか、それも1,600人のうち半数近 い800人ぐらいは、カリキュラム等についての何か訓練という形で、指導員自体の技 能の向上に資するような再訓練といった形で、どの程度行われているのか。次回以降 で結構ですので、実態を明らかにした資料をお出ししていただければと思っています 。  最後に、ポリテクセンター、ポリテクカレッジに関しまして、受入れ条件が整う場 合ということの、その受入れ条件について、土地も建物も運営費も100%全てという ようなことでありますと、では、何のために移管するのですか、ということになりか ねないと思います。その条件を厚生労働省と都道府県だけで話し合ってよろしいのか 。財源自体は事業主が100%負担をしていますので、その条件やあり方についても、 当分科会等でもしっかりと議論をしていく必要があるのではないかと思います。以上 でございます。 ○今野分科会長 それではお願いします。 ○杉浦審議官 まず名称でございますが、この間も高橋委員からお話を聞いておりま すので、更に法案を具体的に詰める段階において、よく検討をしていきたいと思って おります。  それから非常勤化とかについても、そこは人員削減を取り組んでいかなければいけ ないという中で、正規職員を解雇することを、そう簡単にするべきでもないというも のは、当然私どもも考えております。その雇用問題を重視する上で、どういった形で の人員削減の取組みができるかという中で、できるだけ常勤職員で非常勤化できる部 分について、やっていけるのかを考えております。ですから、少なくともいま作って いる計画の中では、直接整理、あるいは解雇というような話が出ない形で、極力、最 大限定員を減らす努力をしてきている数字であるということを、ご理解いただきたい と思います。  一般競争入札の導入ですが、確かに委員のおっしゃることはよく理解はできるので すが、これは雇用・能力開発機構に限った話ではございませんで、おしなべて全ての 独立行政法人、あるいは公益法人等に関しまして、政府全体の方針として基本的にも 一般競争入札を原則とするというような方向にいま動いてきております。確かにそう いうことによる弊害と申しますか、不都合な部分というのは出てくることも承知はし ておりますが、やはりその透明性を高めるという観点からは、企画競争入札だけでは 不十分だという意見もございますので、そこは一定の割切りと申しますか、こういっ た形でやる方向で進めていきたいということが、いまの段階の考えでございます。  総合大の指導員の養成機能の低下はすべきではないというのは、まさにおっしゃる とおりでございます。ですから、その養成のやり方をこのままでいいかという議論は 当然ございます。出来上がりの指導員がいままでよりも能力が低いということになっ ては、これは何のための改革かということになってまいりますので、そこのところは 、より高める方向で、逆にその指導力なり実践能力を高めるようにするにはどうした らいいかということも合わせて考えながら、見直しを考えていきたいというふうに思 います。  再訓練の実態について、確かに3分の1程度の人数をいまやっているわけです。これ につきましては、まだ具体的な形にはなっていませんが、見直しの中で更にもっとそ の再訓練の割合は高めていきたいと思っておりますので、その辺も含めてまた次回以 降、資料等でご説明をさせていただきたいと思います。   ポリテクセンター、カレッジの受入れ条件についても、先ほどの繰り返しになり ますが、やはり財源問題を抜きにして考えていくことはできないと思います。また関 係者の皆様方とよくお話合いをさせていただきながら、どういった形が適切なのかを 出していきたいと思っています。以上でございます。  ○黒澤委員 2点ほどあるのですが、資料3の今後のあり方について(論点ペーパー) の中で、まず、民間との役割分担ということについて。民間教育訓練機関で実施可能 なものは優先的にという、実施可能ということが、ここでのクライテリアになってい ます。この点については私が何回も申し上げているので、しつこくて恐縮です。何で 民間がいいのかということを考えた場合、民間のほうが効率的に事業を行う環境があ る。それは何かというと、競争というものがあるからですよね。そのニーズに合った 訓練を提供するインセンティブがそれによって生ずるということなのですが、ただ、 現実的にこれまでなされてきた民間への委託のあり方というものが、そういった競争 の環境というものを十分に提供している形での民間委託になっているかというと、も ちろんいろいろな工夫はされてきておりますが、なかなか難しいところがあるのでは ないか。そういう意味においては、実施可能なところは民間という役割分担の考え方 というよりも、役割分担の考え方を考えるに当たって、委託の方法というものをいろ いろ工夫することが、条件としてあるのではないかと思います。  その1つの関連で言えば、就職率を見ましても、もちろん訓練内容が違うということ はありますし、民間委託をした場合、訓練期間が民間のほうが短いですよね。しかし ながら、就職率は委託したほうが非常に低くなっている。例えば同じ介護をとってみ ても、民間と国、あるいは地方自治体が直接提供する公共訓練とでは、就職率は後者 のほうが高いわけです。そこにはやはり、職業紹介とのリンクの部分がすごくある。 だから、民間へ委託することが悪いと言っているわけでは全然ないのですが、その委 託のあり方の中で、例えばそういった職業紹介の部分のサポートをどのように担保す べきなのかということも、考えていくことを条件とした上で、民間との役割分担を考 えていかなくてはいけないのではないかというのが1点です。  2点目が、3番の国が行う職業訓練を担う法人のあり方についてなのですが、これは 素晴らしいと思います。(2)と(3)で、既に書かれていることなのかもしれません が、私は、特にこれに付け加えて、より包括的な国が行う職業訓練を担う法人のあり 方というものを位置づけてよいのかなと思います。その包括的というのが何かという と、(2)と(3)にちょこちょこと書いてあるのですが、例えば、訓練ニーズを、全 国的レベルと地域的なレベルの双方でそれぞれに把握する。それを把握をした上で、 この法人にとって非常に重要なのが、その得られた情報を基に実際の訓練コースに落 とすまでの開発。それから、それをコーディネートして普及させていくことです。普 及にはまず指導員研修、それから新卒の研修でもいいですし、再訓練ということで普 及させていくということが重要なのではないか。もう1つの非常に重要なポイントが、 そこでほかの機関を参画させるということです。ここでは地域の労使ですとか、行政 というのが書いてありますが、それに加えて、先ほど大久保委員からもお話がありま したが、訓練機関、つまり訓練の提供プレイヤーも含めた形での、そういったコーデ ィネートなり、開発というものを実施することが非常に重要だと思います。  何でこれを全国的にやらなければいけないのかということですが、もちろん地方自 治体の訓練校でも、こういったニーズの発掘とかカリキュラム開発はなされていると 思います。もちろん地域別に特性もあるとは思いますが、人材開発のニーズというの は、かなり地域ごとに共通している部分もあるわけです。そういった情報を全国的に 普及させるということは、この国の法人としての役割りとして非常に重要ですし、そ の辺りのコーディネート的な役割りというものも、もう少し強調してよいのではない かなと思います。以上です。 ○杉浦審議官 1点目の委託訓練の問題ですが、確かにおっしゃるとおり、現状とし て施設内訓練に比べて10ポイントぐらい就職率が低いというのは、大体ずっと推移を してきているところです。もともと法律上はできることになっていましたが、委託訓 練というやり方が、これだけ数を増やしてきているのもここ数年で、実際それまであ まりノウハウがない中で、どういった人たちにやっていただければ効果的にできるの かというようなことを模索しながらやってきています。その中で、1つはインセンティ ブ方式というので、就職率の実績に応じた形で、またお金を払う率を変えるというよ うなやり方もしてきております。  確かにそうは言っても、おっしゃったように訓練期間が短いようなこともあって、 就職のための指導が施設内訓練に比べれば、手薄になりかねないということはあると 思います。しかし、先ほど少し申しましたが、カリキュラムの設定の中で、ちゃんと 最後のほうないし、途中の段階で就職に向けてのガイダンスなり、ハローワークへの 誘導なりをするようにということを組み込むように指導をしています。  これは今後の課題にもなるのかもしれませんが、訓練が終了してから、本人がもち ろん就職のための努力をしますが、ハローワークによりダイレクトにつないでもらっ て、そこで求職活動がしやすいようにすることも、もっともっとやらなければいけな いとは思っています。これまで以上に、ハローワークとの連携、それから訓練内容に おけます再就職指導の部分というのは、心して取り組んでいく必要があろうかと思っ ています。  2点目の訓練ニーズの把握の問題です。いま、おっしゃっていただいたような趣旨 を踏まえて、そこに書いてあるつもりでございます。これも去年のあり方検討会、そ れから政府で作っていました有識者検討会の中での、国と県との役割分担等におきま す訓練ニーズの把握をどういうふうにしたらいいか、それを基に実際の訓練に落とし 込んで、その成果をどういうふうに次の訓練に回していくかという議論がありました 中で、こういうスタイルをより強く取るべきではないかということでございます。そ のコーディネイト業務、ここには明示的には書いていませんが、そういったことも能 力開発機構の出先の中で、あるいは本部の持っていますノウハウを全国的に使って、 その地域、地域での県ないし民間団体とのお話合いに活用させていただくということ をより強めていきたいと思っております。 ○今野分科会長 いまの点と関係して、いままでも議論が出ていた点なのですが、こ うやって委託を増やしていくと、要するに国はプロデューサーになるということです よね。先ほどはコーディネーターという言葉を使っていましたが、プロデューサーと してとか、あるいはコーディネイターとしての能力養成はしているのでしょうね、と いうのが1つです。いままでは自分で計画して、自分で実施していればよかったもの を、いろいろな所に頼んでやるわけですから、そうするとプロデューサーとしてしっ かりしなければいけませんよね。それが1つ。 もう1つは、先ほど黒澤さんから「訓練ニーズ」とかいう話がありましたが、それ以外 もプロデューサーとしてしっかりやるには、インテリジェンス能力をちゃんと持って いないと。ですから、日本全体がどうなっているのか。ニーズもそうですし、訓練の 実施状況もそうですし、評価もそうですが、そういう意味では、インテリジェンス能 力をちゃんと持っていないといけない。そこの強化はちゃんとやるのでしょうね、と いうことが問題になる。いままでは自分で実施していればいいという感じだったので、 そういう必要はあまりなかったと思いますが。その意味では、例えば全国ベースで訓 練ニーズはどうなっているのか、どのような新産業が出てきて、そこで訓練ニーズが どうなっているかなんて、ちゃんと把握なんかしていないし、そういう意味でのイン テリジェンス能力は、片方で強化しないとバランスが悪くなるというような趣旨だろ うと、勝手に解釈しているのです。そのように思います。ほかにいかがでしょうか。 ○大久保委員 今のお話とも若干関連するのですが、全体にずいぶん予算、職員が削 減されているわけです。1つは、先ほど来から話に出ています求職者支援制度が立ち上 がるわけです。そして、いま雇用情勢が大変悪い状況であるように、当然、景気の山 谷によって、職業訓練ニーズが非常に大きくなるときがあるわけですね。職業訓練ニ ーズがこのように沸騰している状況に、あるいは求職者支援制度が立ち上がった状況 に対応した訓練のオペレーション能力がなければいけないのだろうというふうに思う わけです。  ここに書いてあるお話は、組織論、役割論のお話なので、全体としてそのような必 要な機能がちゃんと担保されるのかというところが、不安です。全体の人数を縮小す る中で、どうやってこの沸騰している職業訓練ニーズに対応するのでしょうか。角度 の違うところから、もう1回この全体像の議論がどこかにないと、単純に行革と事業仕 分けで決まったから、こういう話でいきますよねと言っても、それ以上、何と言って いいか分からないというところがあって、そこはどこかで議論をちゃんとされるのか なということをお聞きしておきたいのです。 ○杉浦審議官 大変重要な問題でございまして、先ほど少し申しましたように、求職 者支援制度を23年度に立ち上げるという前提で、いま基金訓練を能開機構で一定の役 割りを果たして回してもらっているわけです。いまのところですが、お陰様で、年末 あるいは今年度末に向けての訓練定員なり、実施目標を作っていますが、それはほぼ 達成するような数字では動いてきております。ただ現実に、これから来年度、再来年 度に本格的な求職者支援制度になったときに、更にもっと日本全体で求めるだけの職 業訓練コースが手当てできて、実際にそういった求職者の方がそこで訓練ができるよ うな体制に持っていけるかどうかということについては、こういった実績も踏まえな がら、より詳細に詰めていかなければならないと思っております。  おっしゃるように、いまの雇用・能力開発機構の実施体制の中で、それが十分にや っていけるのかということですが、いま具体的にやっておりますのは、委託訓練で民 間の訓練団体なり訓練機関に、その訓練をお願いしているようなところを中心に、こ の基金訓練のコースも設定していただいている部分が、かなり大きなウエイトを占め ています。更に、先ほど申しましたような、いままでになかったような新しい産業な り分野の訓練も開拓していただかなければいけないということで、いままで付合いの なかったような所に飛び込んで行って、そういったお話もしながら訓練を作っていか なければいけないという努力もしなければいけないわけです。一定のそういったノウ ハウは持っているものの、更に量的な拡大を十分しなければいけない。ただ作ればい いというものではなくて、先ほど言ったように、就職に結びつくような中身を作って いかなければいけないということで、これから私どもも課題は多いと思っております。  一方で、定員が削減をするといった中で、大丈夫かという話もあるのですが、そこ は先ほど今野先生が話をされましたように、実際の指導員という資格を持っている人 が、その施設の中で決められたことをやっているだけではなくて、例えば、キャリア ・コンサルティングですとか、あるいは業界の動向把握とかということも、もっと積 極的にやっていかなければいけないだろうなというのは、我々も思っています。です から、そこの能力開発機構の運営体制、指導体制の中で、より人を効果的に使うため にはどうしたらいいか。どういった能力を身に付けさせなければいけないか。それが 先ほどいろいろご意見のありました再訓練のやり方なり、中身ということに結びつい てくるのだろうと思っておりますけれども、それをこの法律の施行までには、しっか り考えて取り組んでいきたいと思っているところです。  正直言って、では、本当に大丈夫かということを、まだ資料でお示しできる段階で はないのですが、そこはいまの基金訓練の取組状況を踏まえて、それから実際に求職 者支援制度という形になれば、この能力開発協会に期限を置くというやり方ではなく なるわけです。国というより労働局なりハローワークのほうで、その訓練との結びつ きということも、より強くなるだろうと思っておりますので、そこは国の体制と合わ せて、どういった形で、まず求職者の動向把握から訓練に結びつけて、それからまた 更に就職にフィードバックさせていくかという流れも含めて、よく考えていかなけれ ばいけないと思っているところです。また、それについては追ってご説明をさせてい ただきたいと思っております。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○山野委員 私、前回休んでおりまして、今回初めていろいろお話を伺いました。本 当に率直な印象なのですが、いま高橋さんがおっしゃいましたが、私もこの雇用能力 開発というシステムが仮称とはいえ、何で高齢者と障害者の中に入っていくのかなと いうのが、最初に非常に違和感をもちました。その辺のところは、名前をきちんとさ れるときに、能力開発というものが前面に出てくるようなイメージになるようにして いただければありがたいかなというふうには思っております。  それから今日の皆さんのお話ですと、やはり能力開発というのは全国同一のレベル でされたほうがいいというお話がほとんどで、私もやはり同じレベルで勉強をするチ ャンスが皆さんにあったほうがいいとは思うのです。しかし近年、国の財政状態です とか、政府が変わったという諸々のいまのあれを見ておりますと、このままでは駄目 なのではないかなというふうに思います。何か変えていかなければいけない。  それで、どちらにしましても、資料2の6頁にあります「移管」になっていますポリ テクセンターについては、地方の都道府県に任せてしまっても、それはそれで、その 地方の特色が出ていいのではないかなというふうに思います。その地方によって主た る産業はそれぞれ違うわけですから、例えば、東京では大田区のようなきちんとした ものづくりがあったり、地方では農業が主たる産業であったりするわけです。福井県 ですと、本当に工芸品がものづくりの主たる産業であったりするわけで、残していか なければならないものでもあるわけですから、それはその地方、地方で違うというふ うに私は思います。それは地方が受け入れやすいような条件を付けていただいて、移 管されても不便はないかなというふうには感じました。今日はそういうところでござ います。 ○杉浦審議官 名称の問題につきましては、先ほどの高橋委員と同様でございますの で、またよく検討をさせていただきたいと思います。ポリテクセンターの移管の問題 ですが、これまでも国と都道府県の役割分担、資料の論点ペーパーにも書いてありま すが、厳密ではありませんが、一定の役割分担の中で、国と都道府県がそれぞれ職業 訓練をやっているということは事実です。ただ一方で、やはり広い意味での雇用対策 の中で、職業訓練をどういうふうに位置づけていくかというのは、国の行うべき責任 として重要なウエイトを占めているだろうと思っております。  例えばの話ですが、大部分、あるいはほとんどの部分を都道府県にやっていただく といったような場合に、一定のレベルでの職業訓練が全国的に担保されるのかどうか ということは、考えていかなければならないとは思います。昨今のような非常に離職 者がたくさん出てきている中で、国としてそういった人たちの職業訓練を全体として やっていくということの責任を、放棄とは言いませんが、ほとんどの部分を都道府県 に任せてしまっている。実態としても、都道府県、現在でも大きい県と中小の県とで は訓練校の数ですとか、やっている指導員の数とか、訓練生の数にしてもそうですが 、かなりの格差がございます。それから、全体としても、県で行っている職業訓練に ついては縮小傾向にあるわけです。  例えば、ポリテクセンターをある県にお任せして、都道府県の訓練施設と一体的に というか、融合してやった場合に、国が求める離職者対策とそこが機動的にうまく動 いてくれればいいのですが、県の財政とか、あるいは県がどういったところに行政分 野を重点的に考えるかということによって、全部都道府県にお任せした場合に、それ が機動的にうまくいくかどうかという問題もあるのではないかと思っております。  確かに、地域に密着した形での産業動向を踏まえた訓練は大事でございますが、更 により高度なものを求めるとか、あるいはもう少し広域的な観点から産業動向をつか まえて、基盤となるべき人材を育てるということになりますと、県単位でできない部 分というのもあるのではないかと思っております。またその辺は、いろいろご意見を いただきたいと思っております。 ○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。 ○瀧澤委員 資料1の7頁、また総合大学校に戻りますが、目的、性格、それから成果 は別といたしまして、言いたいことは、入口がよく分からないということです。どう いう人材、素材を4年かけて育成して、期待するところの成果を期待するのか、これが よく分からないわけですね。次回はこの募集条件というか、応募要綱というか、そう いうものを出していただいて、考えさせてもらいたいと思います。私の印象ですが、 大学を卒業してこの種の勉強を4年間やって、本当に離職者を教育ができるのかとい うのが私の印象です。 ○今野分科会長 それでは次回のときに資料か何かを用意してもらうということで、 新谷さんどうぞ。 ○新谷委員 過去、国と地方の関係の労働行政の分野において、私の認識が間違って いるかもしれませんが、安定行政とか監督行政、これはまだ国に残っていますが、労 使関係に関する労使行政というのが、たぶん地方にかなり移管をされた経過があると 思うのです。その中で、いま何が起こったかというと、かなり地方に労使行政が移さ れた結果、財政基盤の強い東京都とか大阪府といった所は、そこそこ労政行政は残っ ているのですけれども、財政基盤の弱い所は、いまかなり厳しい状況になっていまし て、集団的労使関係ももちろんそうですが、もっと身近な労働者教育のところが、か なり手薄になっているという先例もございます。  地方に移せるものは移したほうがいいというのはそのとおりなのですが、県による 財政構造の違いというのもかなりありますので、それも含めていま審議官からご答弁 をいただきましたが、東京から見る目線ではなくて、やはり地方からも見る目線でこ の問題というのは捉えていただきたいと、まず申し上げておきたいと思います。  今度の能開機構の新しい法人への移行に関して、先ほど使用者側委員の高橋委員か らも指摘をいただいたところですが、まず雇用の問題について、労働側としても雇用 の維持というのは当然のこととして、これは前提としてお考えをいただきたいと思い ます。行革の結果、現場で揉みくちゃにされている方々という印象がございまして、 これまでやってこられた自分たちのノウハウであるとか、職業人としての尊厳をきち んと守っていただく形で、この対処をお願いしたいと思っています。  もう1つ、今度の新しい法人の中には、労使での運営を行う、参画をするということ が資料3の3頁に書かれています。これは、この新しい法人のガバナンスを強化すると いう意味でも、非常に意味があることだと思います。また、民間の知恵を公益法人に 移していくという面でも、意味があるのではないかと思っております。もちろん職業 訓練ということで言えば、労使がそのニーズを共有するユーザーでもありますので、 ユーザーの声を汲み上げるという面でも意味のあることだと思っております。  そうした上で、先ほどの答弁の中に出ておりました中央訓練協議会であるとか、地 域においては地域訓練協議会というのがたしか設置をされていると思うのですが、こ の新しい職業訓練を担う法人と、先ほどの既存の訓練協議会、これも労使が入ってい ると思うのですが、この役割分担はどういうふうに分けて運営をしていくのかという ところを、お聞かせいただきたいと思います。 ○杉浦審議官 労使行政の中での財政問題とか、ご意見をいただきましたが、能開行 政でもやはり同じような観点でよく見なければいけないというのは、先ほど申したと おりです。  それから、雇用・能力開発機構の問題ですが、確かにそこは私どもも十分配慮しな ければいけない問題でございまして、先ほど少し申し上げましたように、いまのとこ ろ考えています定員の削減の取組みの計画におきましても、定年退職ですとか、相談 員等の非常勤化等によりまして、現在の職員そのものを解雇等によって削減するとい うような取組みはしない方向で計画が立っております。もちろん、そこは最大限私ど もも配慮しながらやっていかなければいけないというふうに思っています。職員のモ チベーションの問題その他、当然ありますので、十分そこは閣議決定の中でも、こう いった独法の整理等に伴いましても、雇用は十分配慮することということが入ってい ますので、そこは我々もよく含んで進めていきたいと思っております。  中央、地方の訓練協議会ですが、現在設置されています訓練協議会というのは、専 ら例の基金訓練の普及に伴いまして設置をしているものです。またこの新法人が出来 た暁には、能力開発全体として、中央レベル、地方レベルで、それぞれの関係者団体 のご意見を聞きながら進めていきたいと思っています。そこはおそらく再編する形に なるだろうと思いますので、そこはまた整理をしてご説明させていただきたいと思い ます。 ○上原委員 こちらが言う話ではないのかもしれませんが、特に求職者ということに なると、やはり非正規労働者というのですか、そこの部分の固まりの声というのです かね。そこ、先ほどNPOのところでありましたが、どう吸収していくのかというのが、 この先のガバナンスの問題との関連もあるのですが、1つポイントなのかなというよ うな気がします。  もう1つ、2009年は働いている人が人口の6割以下ということなのですが、外国人の 活用という視点がやはりあると思うのですね。高齢者、女性、ロボット、外国人、働 いていない若者の5つぐらいの固りだろうと思うのですが、その中で外国人に対して どうしていくのかというのが1つ、将来的には何かポイントのような気がするのです。  特に介護などが典型ですが、インドネシアから来ても言葉の壁があったりしてなか なか。日本人は若手はあまりいかないのですが、海外からはEPAでやろうとしても、 言葉の壁とか、習慣の壁とかで、なかなか競争が厳しくて定着しないというようなこ とがある。現実に我々のような企業でも、例えば為替の問題もあるので、市場がアジ アが中心ですから、向うから研修生を受け入れて教育をして戻すなんていうことをや るわけですが、言語の翻訳の問題で人を雇わなければならないとか、文化が違うので 、そういうのも教えなければならないとか、日本側が理解していないとか、そのよう なこともあるのです。外国人の固まりに対する日本での公共的職業訓練のあり方とい うのですかね、そういうものが将来的な部分としては、キーになるような気がするの かなというふうに思います。  それから成長戦略で言われている介護だとか観光だとか、農水業だとか、医療だと かいうのは、必ずしも日本の力をポンと当てていくようなイメージになかなかつなが らないような気がするのです。足下だけで言うとですね。実はこの間もある金型屋さ んに相談されて、業績はいいし後継者もいるのですが、自分が亡くなったあとの日本 はどうなんですかねと言うから、そんなもの大変難しい課題で分からないわけですが 、一般論で言うとなかなか展望が難しいわけですよ。人口も減るし、需給ギャップが 35兆とか40兆とか言われていて、かつ、いままで支えていた輸出産業が為替が89円に なってしまうと、もう間違いなくつくりの拠点、ものづくりで言うと海外にシフトす るということにならざるを得ないわけです。少し足下だけ見ていても、職業訓練とい うか能力開発の中の未来を切り開く力みたいのを入れてほしいぐらいな感じなのです。  そういうことで考えたときに、冒頭で成長戦略、経産省とかそういう部分との連携 が出ていましたが、まさしく雇用のためには、先般も言ったのですが、総合的な日本 の産業の位置づけというものをしっかりしておかないと、短期的にはサイクルの中で いいわけですが、少し長期で見た場合、ケインズではないけれども、孫たちの時代の 可能性がどうなのかといったときに、相当不安を持たざるを得ないというのが正直な ところなのです。だからここだけの課題ではないわけですが、日本の将来をもう少し 明るく展望できるような、これが能力開発なのかどうだか分かりませんが、そういう 切口を出していただかないと、日本の個別の中小企業の人たちは、経営者は特に悩ん でいるというのを、実感としてお伝えしたいのです。   ○今野分科会長 ありがとうございました。まだご意見はあると思いますが、そろそ ろ時間になってまいりましたので、今日いただいた議論なども踏まえて、もう一度議 論する機会がございますので、そこで改めて議論をしていただければと思います。  実は今日もう1つお願いしたいことがあります。今月の4日の職業安定分科会雇用保 険部会において、求職者支援制度上の訓練の量や種類などの論点について、この分科 会において議論を進めてもらいたいという旨の依頼がありました。この点については 事務局から説明をしていただきたいと思います。お願いします。 ○井上総務課長 いま座長からお話をいただきましたように、2月4日の職業安定分科 会、雇用保険部会におきまして、求職者支援制度における職業訓練のあり方の部分に ついて、能力開発分科会において検討をしていただきたい旨のとりまとめがされたと いうことで聞いております。  参考資料の2ですが、これが2月4日の雇用保険部会に事務局から提出をさせていただ きました資料です。「求職者支援制度の創設にかかる論点(素案)」ということでし て、その中のIで、給付の位置づけをどう考えるか、あるいはIIで訓練のあり方につ いてどう考えるか、あるいはIIIで給付の内容についてどう考えていくかといった論点 をお示ししまして、雇用保険分科会で議論が行われたということでございます。その 結果、訓練の部分については、能開分科会でご検討をお願いしたいということでござ います。  今後の進め方といたしまして、本日もご議論をいただいております雇用・能力開発 機構のあり方に関する議論を先行してやっていただいたと。これがとりまとめられた 後に、雇用保険部会における求職者支援制度についての検討状況も踏まえながら、求 職者支援制度における職業訓練の議論をお願いしたいと考えております。具体的なそ の時期といたしましては、3月以降ということになってこようかと考えています。以 上でございます。 ○今野分科会長 ありがとうございます。そのような段取りで進めたいと思いますが 、よろしいでしょうか。それでは今日は終わりにしたいと思います。事務局にはいく つか宿題も出ていますので、次回によろしくお願いします。その中で、最後、上原さ んからお話があった外国人の研修、教育などをどうするのだというようなご質問があ りましたので、そういうのも含めて宿題として残しておきますので、次回、資料等を 用意していただければと思います。今日はこれで終了いたします。次回以降の日程に ついて事務局からお願いします。 ○井上総務課長 次回以降の日程についてご説明申し上げます。次回、第45回を2月 17日(水)の18時から20時までということで、場所を厚生労働省の省議室でお願いし たいと考えております。その次の回、第46回を3月1日(月)17時から19時までという 時間帯でお願いをしたいと考えております。この第46回については、現時点では場所 はまだ未定ですので、また改めてご連絡をさせていただきたいと思っております。以 上でございます。  ○今野分科会長 ありがとうございました。それでは最後に議事録の署名ですが、本 日の署名は労働側委員は新谷委員に、使用者側委員は上原委員にお願いをいたします 。それでは今日は終わります。ありがとうございました。   【照会先】職業能力開発局総務課総括係(5738)