10/02/10 第168回中央社会保険医療協議会総会議事録 10/02/10 中央社会保険医療協議会          第168回総会議事録 (1)日時  平成22年2月10日(水) 10:00〜13:30 (2)場所  はあといん乃木坂 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻里委員 関原健夫委員        白石小百合委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員(代理 篠原)        勝村久司委員 北村光一委員 高橋健二委員(代理 清水)        伊藤文郎委員        安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員        北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員        <事務局>        外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官         渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○平成22年度診療報酬改定について  ・再診料及び外来管理加算について        ○その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  只今より、第168回中央社会保険医療協議会・総会を開催する。まず再診料及び外来管 理加算について議題としたい。本件については、これまでさまざまな意見を頂いたわけであ るが1号側と2号側の意見に隔たりが大きく、本日の総会において公益委員としての意見を 示すことが求められた。公益委員としては、前回の総会終了後に事務局と相談し、どのよう に対応することが最も各委員の納得を得られるかという視点から真摯に検討を行った。本日、 その公益委員案を説明したいと思うので事務局より資料の配布をお願いする。  (資料配布) ○遠藤会長(資料「再診料等に関する公益委員の提案」) それでは説明させていただく。1号側、2号側双方から付託を頂いた後、公益委員で議論 を行った。お手元に配布した提案内容はその議論を踏まえたものであり、基本的な考え方は 以下の通りである。  今回改定では医科において初めて入院・外来別の改定率が示された。これ自体については 一昨日の中医協でも数々の議論があったことは承知しているが、中医協としてはこの枠内で 配分する形にならざるを得ない。医科外来については0.31%、医療費ベースで約400 億円という制約の下で、一定の適正化を行いつつ、社保審の基本方針で示された「(1)重点課 題への対応」、前回改定後の宿題である「(2)外来管理加算の要件の見直し」、長年の課題であ る「(3)再診料の病診統一」という3つの課題に応えていく必要があると考える。いずれも費 用増を伴うものであり、限られた財源の中では一定の調整をせざるを得ない。公益としては これらの課題に対応するため、基本的な枠組みとして以下の通り提案する。  1.重点課題への対応  小児救急外来、在宅医療、訪問看護、新規技術の導入などの重点課題については、中医 協でも両側の合意を得て先行して議論してきた。これらを評価することについてはこれま での議論からみても合意が得られていると判断し、財源を優先的に配分することとする。    2.外来管理加算の見直し  外来管理加算の算定要件における時間の目安(いわゆる5分ルール)について廃止する ことは、中医協としての合意は得られていると考えるが、これに替わる要件としてどのよ うなものが適切かについて、種々の議論があったところである。安達委員からはいわゆる お薬外来を排除することを明示してはどうかという提案もあり、一昨日の中医協では事務 局からこれに加えて幾つかの例示も示された。これらを精査しつつ、この5分ルールが設 けられた趣旨である「懇切丁寧な説明に対する評価」をより明確化する観点から、適切な 要件を考えるよう事務局に指示した。具体的な内容は配布資料の通りである。  外来管理加算については以上の要件の見直しを行うこと、及び次期改定において再診料 との関係も含め、本加算の在り方を検討することを前提に、現行の点数(52点)は据え 置くこととする。  3.再診料の見直し  これまでの中医協の議論の中で、1号側は一物一価を主張し、2号側も71点であるこ とを条件とするが病診の統一価格を主張していることなどから、医療を受ける患者から見 た分かりやすさ、納得という観点から、同一のサービスについては同一の価格とすること が適切であるということが大きな方向として合意は得られていると考える。  既に初診料については病診が統一されていることもあり、今回改定では再診料について も病診の統一を行うこととする。具体的水準については、これまでの議論の中で、限られ た財源の中での対応を考えると現行点数の中間点、具体的には66点で統一するのが適切 ではないかという見方がある。一方で再診料は診療所にとって収入の1割を占める基本料 金的な性格を持つものであり、引上げ改定の下で現行の71点を下げることは認められな いという意見もある。その結果両側の歩み寄りが見られない。両側の主張についてはそれ ぞれ理解できるものの、先に述べた重点課題への対応、及び外来管理加算の要件見直しに 伴う費用増の予測困難性を鑑みれば、限られた財政枠の下では診療所の再診料は一定程度 下げざるを得ないと判断した。具体的な水準については財政影響を考慮しつつ、69点と する。  4.その他  明細書の発行や休日・夜間において患者の不安に応える体制を整えている診療所の取組 みについては、これまでの中医協における議論も踏まえ一定の評価を行うこととし、これ らについても具体的な点数や要件設定を行うことについて事務局に要請する。    以上が公益の案である。ご意見を受け賜りたいと思うので、1号側からお願いする。 ○白川委員 まずは非常に難しい状況の中で、裁定案をまとめていただいた公益委員の先生の皆様に御 礼を申し上げたい。個々にはいろいろと思うところはあるが、我々支払側としては基本的に 公益裁定案を受け入れたい。心配していた外来管理加算の要件の見直しや外来管理加算その ものの在り方については、提案にもあるように次期改定に向けて我々も含め是非検証してい きたいと考える。 ○遠藤会長  感謝申し上げる。続いて2号側からご意見を受け賜りたい。 ○安達委員  この問題は一般の個人診療所に最も関係の深い部分であり、その裁定をいただいたので、 2号側を代表して私より意見を申し上げる。  白川委員も言われたが、まずは公益委員の皆様のこの裁定への労に対して御礼を申し上げ る。今回の診療報酬改定については、政権交代による新政権の下での公約等から、医療崩壊 の解消に向けての第一歩となると期待していたし、政府も同様の認識であったと思う。  しかしながら、蓋をあけてみると医科点数については、入院と入院外という異例の財源枠 が財務省主導で設定された。以前も申し上げたが、これは明らかに中医協の権限の縮小であ る。その中で僅かに割り当てられた財源で外来の点数について検討が行われ、一般の個人診 療所にとっては、一般の診療にかかる技術料の大幅な引下げが行われ、かつ、政権公約通り であれば5分要件の撤廃で外来管理加算の算定回数の復元を期待したのにもかかわらず、事 実上放棄せざるを得なかった。その上でなお、再診料については引下げの方向で議論されて きた。  医療界では、本件について何ら利害関係のない病院経営者や勤務医もこぞって再診料の引 下げに反対してきた。これは、大学病院から診療所が一体となって日本の医療提供体制を構 成していると理解しているからであり、いずれの要因が衰弱しても日本の医療提供体制は破 綻し、そのことによって医療を必要とする方々に大変大きな不利益を与えてしまうというこ とを実感として認識しているからである。  今回の再診料を69点で統一するという内容は財政中立の考えであり、財源論に終始した 裁定であった。これまで行われた個人診療所の再診料の引下げや外来管理加算の算定要件の 縮減は全て今回と同様に財源論の中で行われ、個人診療所の経済的体力は既に大きく劣化し ている。今回の2点の引下げは、全ての診療所の経営体力を一層弱めることになる。これで は医療崩壊の解消に向けた第一歩と期待された今回の診療報酬改定が、単なる医療崩壊の診 療所への拡大という事態を招くのではないかということを大変危惧する。 裁定の労をとっていただいた公益委員の皆様には厚く御礼申し上げるが、先ほど述べた利 害関係の無い病院経営者や勤務医の反対の声は、その裁定の議論の中でどのように聞こえて いたのか。単なる医療者同士のかばい合いとしか理解されなかったのか。この再診料の引下 げを行うことで個人診療所の経営体力が著しく劣化し、医療崩壊が個人診療所に拡大すると いうことへの懸念や理解は無かったのか。私は大変遺憾である。 今回ほど財源が無かった前回の改定においても、一般診療所は今回ほどの扱いを受けてい ない。2転、3転する厚労省の方針の中でインフルエンザワクチン接種の対応に走り回り 日々汗をかいてきた診療所に対して、これは何という扱いなのかということを強く思う。 今回の診療報酬改定で、あまりにも大きなマイナスの影響が一般診療所だけに偏った元凶 は、結論ありきで個人診療所の収益を減らそうとする財務省と、その考え方の根幹を成して いる財政制度等審議会にある。このことを我々医療者は心に深く銘記をしなければならない と考えている。財務省にあってはこのような考えが、結局は医療崩壊を拡大させることにし かならないということに早く気付くべきである。また政府においても、今後の改定に関して 二度とこのような財務省の横暴を許すことが無いような政治運用を期待したいと思う。 以上の理由であるので、診療所を代表とする私の立場としては、この裁定を到底許容する ことは出来ない。非常に強い抗議の意志を持って退席させていただく。以上である。 (安達委員と鈴木委員退席) ○嘉山委員  今の安達委員の意見と我々は皆同じ意見である。医療者としては国民に関係するというこ とを言いたかったのだと思う。 会長にお願いである。以前もあったと思うが2号側で協議の時間をいただきたい。 ○遠藤会長 安達委員と鈴木委員がご退席されて、2号側でこれに関連して議論を行いたいということ である。このことについて認めたいと思うが、1号側宜しいか。 それでは、しばし休会とさせていただき、2号側の意見が固まった段階で事務局よりアナ ウンスしていただきたい。  (休会)   ○遠藤会長  再開する。  しばし休会としていたが、診療側から意見はあるか。   ○嘉山委員  先ず、会長に許可をいただいて協議する時間をいただいたことに感謝申し上げる。2号側 で協議した結果、コメントはない。ただ、会が成立したので粛々と進めていただければ良い。   ○遠藤会長  そもそも公益が提出した案は厳しい制約の中での案ということになるが、我々も恐らく両 側にとってそれぞれご不満があるだろうということは重々承知の上で、しかもその中でもで きるだけ不満の最小化を図れないかという視点で考えさせていただいた。ただし、休会前に 安達委員が言われたように改定率がプラスであるにも拘らず、マイナス改定の時にすら行わ なかった再診料の引下げを行うということは納得がいかないというお考えについて、私個人 としてはそのような気持ちも分からないではないが、しかし、このような制約条件の中での 苦渋の判断をさせていただいたということである。2号側の方々にも大いなるご不満がおあ りかと思うが、議事の再開に同意いただいたことに対して会長として感謝申し上げる。  引き続き議論をさせていただきたい。私どもが出させていただいた公益案についてはこの ような内容ということで宜しいか。   ○嘉山委員  コメントはないと申し上げたが、安達委員の意見が我々の総意であり、裁定を受けるか受 けないかという問題に関してコメントはしないということである。   ○遠藤会長  了解した。ただ、我々の理解としては我々の案を認める、認めないということがあること を前提に案を出させていただいたわけではなく、基本的には受け入れていただくことを前提 に出させていただいたということを申し上げさせていただく。  それでは、先程外来管理加算の短冊の一部が配布されているようであるが、今後は個別の 短冊の議論を継続したいと思うので、必要な資料を事務局から配布していただきたい。    〜資料配布のため審議中断〜    お手元に資料が配布されたと思うので事務局より説明いただく。   ○医療課長(資料に沿って説明) 資料「外来管理加算の新たな要件について」、「かかりつけ医に対する評価」、「明細書発行体制等加算の 新設」、「一般病棟入院基本料等の評価について」、「精神科急性期入院医療に係る評価(抜粋)」を説明。   ○遠藤会長  初めに外来管理加算についてご意見をいただきたい。5分要件をなくす代わりに資料にあ るような要件を設けるということである。   ○安達委員  本来は発言したくない。ここにいなかった筈である。しかしながら、2号側委員の方々か ら中医協委員としての公的な立場、公益性ということを考えて戻れと言われて不承不承戻っ てきた。発言しないつもりでいたが、この部分は診療所にとって混乱を招く部分があるので 発言させていただく。  資料「外来管理加算の新たな要件について」の3P、3で下線が引いてある部分の「また、 本人からであっても、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、 外来管理加算は算定できない。」についてだが、この曖昧な表現では困る。大半の患者さん 方は善良で、我々をよく理解して診療を受けていただいている方であるが、残念ながら現在 の社会状況の中では事を構えて何かしようという方がおられないわけではない。この書き方 では、診察室に入った場合でもこの加算の算定をするなと言われる方が必ず出てくる。我々 の診療現場は混乱するので、ここは書き換えていただきたい。「また、」の次は、「多忙等を 理由に投薬のみの要請があった場合について」を表記していただきたい。その後ろの部分は 案のままで結構である。前回からご説明しているが、簡単な確認をして投薬のみを行ったと いう趣旨を明確にしていただきたいと思う。   ○遠藤会長  現場を良くご存知の立場から、混乱の無いようにということで修正案が出された。事務局、 今の部分をもう一度読んでいただきたい。   ○医療課長  今のお話では、多忙等ということであるが、これだけでは多忙が医師の多忙であるのか患 者の多忙なのかが分かりにくいので補足させていただくと、「また、患者本人の多忙等を理 由に、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、」として宜し いか。   ○安達委員  何という言い方ですか、それは!  医療機関が多忙だからといって、今度はお薬だけにしておきなさいなどとは絶対に言わな い。前から何度も申し上げている。多忙等は医療機関を受診する方の理由であることは明確 である。そのような修文は許さない。   ○遠藤会長  わかった。多忙等を理由にという一文を入れるという安達委員からのご提案であるが、1 号側からご意見はあるか。   ○白川委員  安達委員のご意見はご尤もであるので異論はない。ただ、私どもとしては以前から申し上 げている通り、患者側がきっちりと医学的な指導を受けたという解釈を持って、納得してこ の加算を付けるということが重要だと思うので、是非、先程の医療課長通知のQ&A等で充 実するとの発言があったが、患者が納得できるような形でのQ&Aを作成いただきたい。要 望である。   ○遠藤会長  安達委員の提案については異論ないということである。その後の課長通知等々でのQ&A の内容については白川委員が言われたようなことを、できるだけ対応して欲しいとの要望が あったということである。他に、今回の算定要件の変更についてご意見がなければ、ただ今 の修文を行った形で外来管理加算の改定案を認めていただいたこととする。  続いて、かかりつけ医に対する評価についてのご意見をいただきたい。   ○嘉山委員  先程の診療所の再診料に関わってくる大事なことであるが、かかりつけ医というのは現時 点では医療界で論争のあるところであって、言葉としても成立していない。従って、かかり つけ医というのがイギリスで言うところのかかりつけ医だとゲート・コントロールになって しまい、例えば胃がんの手術が6ヶ月後になるといった問題を生んでいる部分であるので、 かかりつけ医という言葉はやめて、地域医療貢献といったような言葉にしていただかないと 非常に困る。内容はいいとは思うが、かかりつけ医の定義がはっきりしていないので地域医 療貢献に対する評価というような名目にしていただきたい。   ○遠藤会長  かかりつけ医という言葉については定義が不確かであるということで、具体的には地域医 療貢献加算といったものに変えてはどうかというご意見である。   ○勝村委員(支払側・連合、患者代表)  私個人としては嘉山委員の提案で良いと思う。また、このような評価は患者にとってもあ りがたい方向であり、価値があると思っている。そこで算定要件のところに院内掲示など、 患者側にそのような対応をしていることが伝わる工夫を要件の中に入れていただきたい。   ○遠藤会長  嘉山委員の意見に異存はないということとやっている内容について患者に分かるような 仕組みをつくってほしいというご意見である。先ず、名前について他の委員のご意見を頂戴 したいが、いかがか。   ○鈴木委員  私も先程は地域医師会の代表として退席させていただいたが、席に戻った以上議論に参加 させていただきたい。  何故今かかりつけ医と言う名前が出てきているのか、あまり理解できないが、名前を付け るのであれば嘉山委員が言われたような地域医療貢献といった名称がよろしいかと思う。   ○白川委員  嘉山委員の言われたとおり、かかりつけ医という定義が難しく、団体によっては総合医と いう言い方をしたり、色んな言い方があるとは思うが、趣旨からいうと地域医療に貢献して いる診療所ということであるので、嘉山委員のご提案の地域医療貢献加算がよろしいかと思 う。   ○関原委員  一般の患者から見ると診療所の医師は地域医療をやっている先生方であるので、その医師 の地域医療貢献に加算というのはどのような意味合いであるのかといった感じを受けるの ではないかと思う。逆にかかりつけ医という言葉は、2号側委員が言われたように論争があ るところだとは思うが、患者・市民には定着しているような気がする。診療側も支払側もこ れで良いということなので、私のほうからこれではおかしいと言うつもりはないが、気持ち としてはそのように思うと申し上げておきたい。   ○安達委員  関原委員のご意見はごもっともである。しかし、私どもがこの名称に賛成できない理由 は、この名称で一定の規定をするということに大きな政策的意図が日本の行政の考えの中に あり、それについて我々が延々と議論を行っている最中だからである。よって、この名称の 使い方については非常に神経を使わなければならないという理由があるということを理解 いただきたい。  それからもう一点、勝村委員が院内掲示という意見を発言されたが、必須条件にするこ とは賛成できない。なぜかというと、それを悪用することを考える人がいるかもしれないか らである。緊急の連絡をするという要件については、診察券に連絡先が記載されていれば済 む話である。もっと言うと、この点数は精神科では取れないのである。疾患の特質上、連絡 先を公表するということは、精神科医にとっては一睡もできないという状況を生むことにな るので、その他の診療科とは意味が違うのである。そのような点で、この点数を設定しても 精神科は算定することができず、打撃を受けることになるのである。 ○勝村委員  どのような表現が良いのか分からないので、安達委員の趣旨も踏まえた表現で、事務局 で良く検討して欲しい。 ○遠藤会長  つまり、必須要件ではなくて良いということか。分かった。それから名称についても、 かかりつけ医は問題があるということで、地域医療貢献加算に修正するということで良いか。 ありがとう。かかりつけ医については、他にあるか。 ○嘉山委員  再診料を下げたことによる一つの方策だと思うが、これによっていろいろな影響が出る。 例えば、女医さんはかなり不利になるのではないかと思う。また、大学の講師など夜に教え ている人がいる。このような優秀な人のことも考えなければならない。何かを作った時には それに対する波及的な影響があるということを考えないといけないので、検証が必要である。  また夜間と言っても、東日本は基本的に9時から5時であるが、西日本は昼休みを長め にとって夜に診察を行っているところもある。これが夜間に入ってしまうとかなり地域によ って差が出てくるので、実態に合わせた形で本当の意味での地域貢献を行っているところに 加算をするということをきめ細かく決めて欲しい。 ○遠藤会長  ありがとう。非常に重要な指摘だったと思う。  まとめると、基本的には提案の算定要件でやってみるが、検証して問題点があれば改善 してはどうかという提案であった。これを検証の項目に入れるということについては宜しい か。 ○嘉山委員  西側では昼間4〜5時間休んで、その後に医院を開くということだが、このような場合 は夜間の加算に含まれるのか。 ○医療課長  ここでの考え方は基本的には夜間を中心とした標榜時間以外に対応していただく場合に 算定するという考えである。 ○嘉山委員  標榜時間以外ということが一番受け入れやすいことであると思うので、標榜時間以外に プライオリティーを置いて夜間や休日の評価を行ってはいかがか。そうでないと、夜間を通 常の診療時間としている施設が加算を算定することになってしまう。 ○安達委員  施設基準の中に標榜時間以外にという記載があるので、これで宜しいと思う。 ○医療課長  我々が文言に込めた意味は、標榜時間はもちろんのこと標榜時間以外もということであ るので、そのような考えで良いと思う。 ○嘉山委員  優先度の問題である。会長が言ったように、患者からの問い合わせに等を加えれば、施 設基準がいきてくる。等がないと、プライオリティーが変わってしまう。 ○白川委員  嘉山委員の心配はごもっともであるが、夜間を標榜時間として診察している施設の数は さほど多くないと理解している。施設基準で標榜時間以外もと規定をすれば、99%カバー できるのではないかと考える。 ○嘉山委員  等をいれても大きく変わらないのではないかと思うが、いかがか。 ○安達委員  西側と言っても、昼を長く休んで夜に診察を行っている中抜きは近畿に限定される。近 畿6府県はこのような形態だが、更に西に行くと、東側と同様である。6時以降の時間外加 算は近畿にとってはありがたいような迷惑な話であった。我々にとって6時以降は診療時間 であって緊急性がなく常時来院されている患者さんがいる。6時以降に来院したからと言っ て加算を算定していては、患者さんに対する説明がつかないので、私は算定していない。取 りようがないのである。この辺りのことも診療報酬設定の場合は十分に考慮して設定される べきであると考える。 ○嘉山委員  安達委員の働き方は労働基準法違反も良いところだと思うが、ワークライフバランスと いう時代でどこまでも働かせるのかというのが若い人の意見だと思うので、融通が利くよう にしてもらえたら良いと考える。 ○白川委員  実態として標榜時間以外と記載してもらえれば全て入ると思うので、等の扱いについて はこだわっていない。 ○鈴木委員  嘉山委員の意見を文章にすると、「休日・夜間の患者からの問い合わせや受診等に対応可 能な」とすれば良いのではないか。 ○遠藤会長  算定要件に等を入れるという修文で良いか。 ○医療課長  最終的には課長通知になるので、今日の内容を反映させたい。 ○遠藤会長  他にあるか。 ○白川委員  単純な質問であるが、地域医療貢献加算を算定できる診療所の数は事務局として把握し ているのか。 ○遠藤会長  新しい点数になるのでもちろん正確なものはないが、概算データはあるか。 ○医療課長  今の時間外加算や夜間・早朝等加算から類推すると、再診料を算定している診療所の3 割くらいではないかと考えている。 ○遠藤会長  他にあるか。では、ただいまの修文を行うことにする。明細書発行体制等加算について 意見はあるか。 ○白川委員  現在の電子化加算の財源とほぼイコールという説明ではなかったと理解している。月1 回が原案であったものが今回は再診料ごとに算定と変わっているが、これによって原案に対 してどれくらい財源が必要なのか。 ○医療課長  現行は初診料に算定ということであったので50億円くらいであった。今回は再診料に 加算である。なお、前回説明した際には、月1回単位で加算と考えていた。再診料は月2回 くらいだとすると、1点くらいにして財源を圧縮できると思うが、それでもなお、足りない 部分があるので、財源を組み替える等してと説明したつもりでいたが伝わっていなかったよ うである。倍くらいにはなると思うので、財源を組み替えて整理をして、それでもなお1点 を限界にしないと、財政中立が難しくなる状況である。 ○遠藤会長  それでは事務局提案通りに認めるということで良いか。ありがとう。  では引き続いて入院基本料等の評価について、意見はあるか。 ○勝村委員  3ヵ月の要件には反対である。そうであるなら、猶予期間自体をなしにすべきである。1 ヵ月の猶予期間であっても、本末転倒になるのではないかと危惧をしていた。4年前に7対 1が導入され、看護というものに価値を付けていこうという趣旨で議論してきた。例外規定 が広がりすぎると有名無実になってしまわないか。猶予期間が1ヶ月であったとしてもしっ かり検証していく必要があると思っている。なし崩し的なことになってしまうのではないか。   ○遠藤会長  前回の議論では、1カ月では難しいという実態があり3カ月あれば対応可能だろうという 趣旨の意見が2号側からあった。 ○西澤委員  一つ勘違いがある。例えば10対1において、病棟の規模が50床であれば看護師の数は 25人必要である。今回はその数が少なくてもということではなく、看護師の数は病棟に同 じ人数はいる。夜勤を何人置くかはその人数の中で決めているというだけの話であり、25 人を1人欠けても認めるという話ではない。人数はいるけれども夜勤体制をどうするかとい う話である。私たちの要望は、あくまでも72時間の要件のみであり、人数はいるけれども たまたま夜勤の形態でもって72時間を守れない場合ということである。そのあたりはご理 解いただきたい。 ○遠藤会長  私の中で間違った解説をしてしまったかもしれない。失礼した。 ○勝村委員  誤解を与えたかもしれないが、4年前に決まった時の形を維持して欲しいということを申 し上げたかった。現在は勤務医の負担軽減と言っているが、当時は看護師が働き易い環境で かつ活き活きと看護師に仕事をしてもらおうということも含めて、それがひいては患者の立 場にとっても有難いという趣旨で元々作ってきたと理解している。それが一つの質と言うな らば、その質に至らない場合の例外措置としてある程度の事情がわかるまで3カ月の猶予期 間を取っていた。それでも上手くいかないことがあるので1か月という話がでてきた。この 1か月を検証しないと、本当に当初導入した時の趣旨がいい加減にならないかと危惧してい る。3カ月ではやりすぎであり、あまり例外を肯定してしまう形とならないほうがよい。 ○遠藤会長  西澤委員に確認したい。1カ月を3カ月にするという理由は、どのように考えたらよいか。 ○西澤委員  看護師にはいろいろな夜勤体制がある。例えば特定の人に夜勤が集中してしまい計算上は できなくなるとか、あるいはその時たまたま夜間に認知症の方など手のかかる患者がいて、 2人夜勤でいたけれども、どうしても夜勤しなければならないとして数日間増員しただけで 72時間の要件が取れなくなる。患者に質のよい医療を提供しようとしたのにできなくなる わけである。これを柔軟性をもっていただきたいということである。これを外すと看護師の 労働条件が悪くなるとか、例えば今まで2人夜勤であれば、月4回なのをこれで8回にさせ るとかといった誤解があるようであるが、決してそのようなことを言っているわけではない。  一つの職場に同じ人数がいる中で、どのようにしたら働きやすく、また患者にとって質の 向上となるか。この間のアンケート結果でもわかるとおり、看護師長や看護職員の責任者の 声では、柔軟性をもってやっていただいたほうが良いという声が7割以上もあった。このこ とによって質が下がるということは全くないということだけは言っておきたい。   ○遠藤会長  1カ月を3カ月に変えることについては、どういうお考えなのか。 ○西澤委員  例えば、一つは夜勤ができる人を探すのになかなか地方では夜勤できる看護師がいない。 採用条件が一つの要件である。もう一つは、病院内部でもってその時の患者の状態に応じて 夜勤者数を自由にしたいのに、それを少しするだけでこの要件が守れなくなることがあると いうのが現場の声である。 ○勝村委員  これまで3カ月の猶予期間があったけれども、これで上手くいかないからということで1 カ月が出てきたと理解している。この1カ月はあくまでも例外措置というか緊急避難的措置 だと思っている。それがいきなり3カ月なんていうのはとんでもないと思っている。質を上 げてもらうための工夫を、現状苦しい中で努力してもらうための猶予期間だと思っているが、 それでもうまくいかなかった場合に点数をぐっと下げるところを緩和しようとして、1カ月 が出てきていると思う。それが3カ月になると元々あった4年前のものが有名無実となって しまうのではないか。   ○安達委員  私は病院部門ではないので、実態について特に申し上げるつもりはない。しかしこれは京 都で勝村委員と二人でやってもいい話なのかもしれないが、看護師が活き活きと働いてもら いたいからと仰るが、この医療費の中でそこまで医療に求めておられるのか。何がやれるの か。人員が足りなかったら夜勤体制は組めない。だからやむをえずこの看護師不足の中で、 このような多少時間数を超えてもやらなければならない場合がある。にもかかわらずそれが 非常に大きな入院基本料の削減になっては、病院としては経営が成り立たず大変な影響を受 ける。そのことを担保しようというのがこの趣旨であって、その元は西澤委員がお示しにな ったアンケートの結果である。みんな活き活きと働きたい。私は過剰なことを求められてい るという気がしている。1カ月に戻すことで夜勤体制が組めないということになると、入院 患者にとってどちらがよいのか。今のご意見は本当に驚いたと申し上げておく。 ○勝村委員  あまり感情的な議論はしたくない。私はこの中医協委員になってから今の趣旨でずっと発 言しているつもりである。病院勤務医や救急部門の現場の人たち、看護師などについて一貫 して言っているつもりである。だからこそ4年前にこういうものが出てきたのであって、そ れの例外措置として新たに1カ月というのを入れようというのであり、とりあえず様子をみ る必要がある。それを3カ月にすることに関しては、今回の改定でそこまでやる必要がある のかと思う。今回私たちも安達委員と同じ気持ちで、それこそ診療所の苦渋の判断により病 院に配分している。そこまで本当に例外というものを肯定する方向でよいのか。   ○篠原委員代理  今までも昨年12/2の基本小委の中で、病院の先生方からもこの看護基準について緩和 すべきという発言があった。それに対して中島委員からは、看護師の離職などを挙げて労働 条件の確保が必要であると訴えてきた、坂本専門委員からも、看護師が疲弊している現状に ついてご意見が示されたと認識している。私どものところには看護師の疲れきった現場の声 などが届いている。西澤委員からもアンケートが示されているが、私共にはそのような声が 届いていると認識している。私たちは72時間を緩和するよりも厳しくすべきと思っている が、蒸し返す議論はしない。しかしやはり今回3カ月限度と示されたわけなので、当面は1 カ月にしてエビデンスを示していただき、今後の論議につなげるようにと強く申し上げたい。   ○安達委員  皆様方のご意見を聞いて私は本当に不思議に思っている。この72時間体制を要件緩和す るということは、これを維持できなければ入院基本料が下がるという条件を設定することで、 速やかに看護師体制を整えて72時間対応できる体制を整えなさいという看護師の労働条 件緩和に対するしばりである。今までの二人のご意見を聞いていると、72時間体制を維持 できない看護師数でもやっていけるから病院は稼ごうとする、とそのように聞こえてしまう。 実態はそうではない。そんな理由で72時間体制が維持できないわけではない。看護師数そ のものが足りない。それで病院は苦労して、その中で医師も看護師も患者に対して治療した いと思うから懸命に働いているのが実態ではないか。今のご意見はまるで72時間体制を緩 和することで、看護師の雇用数を減らして病院が楽をするように聞こえる。実態はそうでは ない。もっと今の現場を厳しく実感していただきたい。   ○鈴木委員  今の1号側の二人のご意見を伺っていると、現場のことをわかってらっしゃらない方が発 言していると感じている。特別入院基本料というのはかなり低い点数であり、それによって 経営が過酷な状況に追い込まれてしまうという非常に懲罰的な点数である。これをせめて1 カ月を3カ月に延ばしてほしいといっているのであって、そんな私どもは法外な要望をして いるわけではない。それに対して活き活きとか、何かこう非常に建前とか美辞麗句を並べた ような理由でおさえるようなことは非常に理解できない。 ○嘉山委員  基本的に日本の医療は世界一である。2番目に日本の医療費は世界21位である。さらに 医師の数は欧米が普通は3人でやっているところを2人でやっており、看護師は9分の1で 行っている。もしあなたたちの仰るとおりやっていたら、一番困るのは患者である。私は1 0年前に一番若い大学病院長になったが、あなたたちが言っていることを私もやりたい。し かし医政局が医師は余っているとずっと言い続けてきた。医師が足りないと言い始めたのは 僅か2年前からである。その現実を見てなんとか工夫してやっていかないといけない。お二 人の言っていることは、理念では正しい。けれども何とかこの中小病院のあるいは精神・結 核病棟の収入で、看護師や医師以外の人を雇って環境を守ろうとしているという意味で佐藤 課長が今回このように工夫したと思う。言っていることは正しい、しかし現場は、医師は3 分の2で看護師は9分の1で行っている。離職率でいえば、新人の看護師は9%辞めてしま う。資格職でこれだけ辞めてしまうのが現実である。このままでいってしまうと患者にしわ 寄せがいく。現場の看護師も苦しいし、我々も苦しい。71点の再診料のことがありノーコ メントといったのは現場のことを勘案したので、これを1カ月にすると質が落ちるという問 題では語れないことがあるのでご理解いただきたい。もう一度言うが、世界一の医療を保つ のに、医療費は21位、医者は3分の2、看護師は9分の1である。事務職を言えば、テキ サスの病院とは100倍違う。そういう中でやっているのでご理解いただきたい。我々は患 者を守ろうとしている。   ○西澤委員  実は今回アンケートをしてわかったことだが、72時間の規制が入ったことで夜勤ルール は厳しくなったが、医療安全にとって効果がないという答えが75%あった。私たちの主張 は、72時間要件を廃止してもらいたいというのがそもそもの要望であった。坂本専門委員 から廃止反対の声があったために今回の妥協案となった。本来であればやめてもらいたいの が本心である。私は期限を無くしてもらいたいと要望したが、白川委員を始めとしてあまり にも長いという意見があり、お任せしたところ出てきたのが、今回の1号側・2号側の妥協 案の3カ月である。私たちも決して看護師を今まで以上の勤務条件でというつもりは毛頭な い。今回のアンケートは経営者だけのものではなく、看護師長など勤務表をつけている方の アンケートである。現場の看護師がどうしたら働き易いかを常に考えながら相談しながらや っている、そういう方の現場の声と思っている。坂本専門委員は管理職にあったからよくわ かると思うが、おそらく当時は現場の看護師のことを考えて主張してきたと思う。そういう 方の声であるから、今回はこれでやらせていただきたい。その代わり検証はしっかりやると いうことでお願いしたい。   ○遠藤会長  坂本専門委員、お名前が出たので発言をお願いする。   ○坂本専門委員  絶対反対である。何故かというと、西澤委員が言ったように、管理者、勤務表をつける人 と、権限や裁量権がなく夜勤を言われる人はぜんぜん違う。私は管理者をしていたので良く 分かる。勤務表につけられれば逃げられないのである。  もう一点は、この話が出たときには、実は少し猶予期間があるということが皆さんに認識 されたと思う。例えば72時間が1割以内の変動で超えたときには、1ヶ月外れて、変更の 届出で2ヶ月外れる。もし3ヶ月になったとすれば、5ヶ月の猶予が出てくる。そうすると 5ヶ月間猶予して、72時間1回取って、また満たせないとなってくると、はっきりいえば ほとんど72時間要件は無いに等しいということになってくるわけである。また昭和40年 から看護師の夜勤については、中医協の問題ではないかもしれないが、1人が8回、9回夜 勤に抑えなければならないということを、ずっと言ってきたわけである。西澤委員は、夜勤 の負担はないというが、今回このような緩和をしていくと、実は10回以上の夜勤の数が増 えていくわけである。そうすると、今でも15回夜勤している人もいる中で、このような事 態になることは絶対に反対である。  加えて、嘉山委員が言われた、患者さんのためというのは、もう重々承知している。患者 さんのために全て、我々はここで話し合っているわけである。患者さんのことを考えずに利 益だけを考えていることはない。よって患者を守ることからも、勤務医のことを随分この場 で議論してきた。私は勤務医のことはずっと見てきているので、大変重要であり、疲弊を防 ぐために、本当にサポートしたいと思った。しかし、在院日数が半分になりその疲弊を被っ ているのはナースである。ナースもすごく被っている。よって勤務医の二の舞にならないよ うに、看護師の労働力を守らなければならない。その兆しがこの、1ヶ月、3ヶ月に出てく ると思う。この前は猶予が5ヶ月にならないように、3ヶ月で収めていただけないかという ことで1ヶ月は飲んだ。しかし、3ヶ月ということになってくると、5ヶ月間の猶予をもっ て看護師を探すことが普及していくという話に本当になるのか。 ○西澤委員  今出ているのは、点数が全く下がらないで取れるということではない。現在やりくりして も基準を満たせないときには特別入院基本料5百数十点に落ちるわけである。それがあまり にひどいので一つ段階を設けるのである。下がるのである。下がる長さをどの程度にするか ということなので、下がらないようにしろとは言っていない。勘違いである。下がるのは各 病院が困るので、できるだけ早く元の点数に戻ろうとする。その戻るまでの間に、5百数十 点ではあまりに低く経営に打撃を与え、逆に戻れなくなる。そこまでのペナルティはひどい ので、ペナルティの額をもう一つ間に置こうというだけの案である。そこは理解して議論し ていただきたい。   ○坂本専門委員  理解している。理解した上での意見である。 ○勝村委員  私がこだわりたいのは7対1の議論では、最初から72時間というのはセットであったと 記憶している。その時に看護師にとって、どのようにすれば良いのかということで議論して きたと思うので、できるだけ例外がないほうが望ましいと思う。一定は理解できるが、でき るだけ例外がないほうが良いと考える。 ○白川委員   正直、この問題については我々支払側が完全に意見が一致しているわけではない。患者さ んへのサービスと看護師の労働の問題と2つあり、気持ちは皆さん同じであると思う。確か に坂本専門委員が仰ったとおり、72時間を越える割合が1割未満の場合は、5ヶ月間の猶 予期間があって、それから低減されることになっている。逆に72時間を1割以上越えた場 合は、2ヶ月間しか余裕がないというのは、今のルールになっている。72時間を超える状 態をいつまでも放っておくことがよくないのは分かるが、基本的にそのような現実がある。 しかも2ヶ月間しか猶予期間がなく、3分の1近くに入院基本料が落ちるというのが厳しい のは確かに分かる。  問題なのは看護師を確保する、それも夜勤の出来る看護師を確保するという努力が経営側 に見えるかどうかであると思う。私の意見を算定条件の中にきっちり書き込むことで如何か。 私は1ヶ月か3ヶ月か、短いほうがよいが、現実もある程度認識しているので、会長にお任 せするするしかないと思う。   ○嘉山委員  私も白川委員の意見に賛成で、看護師の勤務環境を整えるという一文を入れないと駄目で あると思う。また実は日本に潜在看護師が50万人おり、その人たちの再教育費用が従来は 各県に目的別で入っていたが、今は一般財源として入ってしまっているので、看護師の教育 費用に使われていないという問題がある。坂本専門委員の意見に基本的には賛成であるが、 一文を入れていただきたいという意見を述べておく。 ○高橋委員  現場のことが良く分からないので、正確に理解するという趣旨で質問させていただく。西 澤委員の説明の中で人数が減るわけではないとあった。そうであれば72時間というのは、 月平均夜勤時間数が72時間以内ということなので、普通に理解すると平均で72時間。人 数が変わらないとすると72時間をキープできない原因としては、夜勤の総時間数が増えて クリアできないということになる。よって、特定の人に夜勤が偏るということになっても平 均で見ると何ら変わりがないのではないかと思う。総夜勤時間数が増加するようなケース、 夜勤体制を強化しなければならないケースというのは具体的にはどのようなものが考えら れるのか。 ○西澤委員  例えば先ほど説明した老人や認知症の患者が多く、夜の看護体制を強化しなければならな いというケースがある。3人夜勤にした途端に72時間は守れなくなる。全員の数でいえば 1.5倍になるわけである。今の例が一番分かりやすいと思う。また、何故不足しているか というと現場の声である。夜勤の看護師が夜2人では不安なので、2人よりは3人の方が良 いと言うわけである。昼間に看護師が減っても夜勤を厚くした方が私達は仕事しやすいし、 患者さんにとっても良いという声を聞いている。あくまでも経営者というより現場が、患者 さんにできるだけ良いサービスをするためにはどうすれば良いかということを考えている。 これは一つの例であり、全てのケースで3人夜勤が良いということではない。それぞれの病 院の特性があると思う。大多数が今の72時間を守っていると思うが、中には今のような例 もあるということである。 ○勝村委員  やはり限られた財源の中で、4年前に今回と同じように看護師さんにいかにモチベーショ ンを持って仕事をしてもらうのかということで議論してきたと理解をしているが、それでも 厳しいのでさらに緩和して欲しいということであると思う。それを受けて新たに1ヶ月とい う話になったと思う。それがさらに3ヶ月になってしまうことへの危惧があるので、どうし てもということなら1ヶ月という形で実施して頂きたいと思う。 ○西澤委員   整理であるが、今までは何もないときには3ヵ月後にストンと落ちるのである。7対1 であれば、約1,500点から5百数十点に落ちる。これがあまりにも急なので、落ちると きにワンステップ作り、駄目なら今の5百数十点に落ちるとすればどうかということである。 結果として、これができたので良かったとなり、72時間以内を目指さず、敢えて低い点数 でいくということは考えられない。財政的にもほとんど影響がないと思っているし、今回3 ヶ月を認めていただきたいと思っている。 ○遠藤会長   3ヶ月くらいの猶予が必要であるという理解でよいか。 ○西澤委員  逆にいうとなければよいと思っている。3ヶ月でも短いと思うが、今回は今のような意見 があるので、3ヶ月で良しとしたいということである。 ○遠藤会長   意見が出尽くしたと思う。恐らく折り合わないところがあると思う。 ○嘉山委員   一言述べたい。潜在看護師の教育を病院で行っているのと県などで行っているケースがあ る。先ほど病院の経営者に努力しなさいという議論があったので、最後に看護師の再教育に 取り組むという一文を入れれば国民、患者の立場からも納得できるのではないかと思うが如 何か。 ○坂本専門委員   潜在看護師の育成は賛成である。しかし、はっきり言うと、本当に考えていただきたいの は、要件をもし付けるのであれば、9回夜勤以上はさせるなということである。これは総数 の和で平均である。  1人の看護師が15回夜勤をして過労死として労災認定されている例もある。130万の 看護師を見ていて私が一番気になるのはそこである。よって要件をつけるということになれ ば、9回以上の夜勤をさせないというのも付けていただきたい。そうであれば、1ヶ月で賛 成する。3ヶ月の猶予期間は賛成できない。 ○遠藤会長   いろいろ意見があることはよく分かった。基本的に、短い時間で双方の合意を得ることは できないことは理解できた。論点としては3ヶ月か1ヶ月かに絞り、そこに要件をつけるべ きだということである。要件を入れて3ヶ月を認めるということは白川委員、嘉山委員は双 方、同じ意見と理解するが、そのような考え方で、公益で話をして提案させていただくとい うことで良いか。ポイントは3ヶ月を認めるための要件を入れることについてと絞らせてい ただく。 ○安達委員   正直、大変疲れたので言い忘れたが、「明細書発行体制等加算の新設」の一番下に「(3) 明細書を無料で発行していること。その旨を領収書に記載し、院内掲示を行っていること。」 とあるが、意味が分からない。 ○医療課長   恐らく明細書を領収書と同時に発行することになったのに、わざわざ領収書に記載する必 要はないという意見かと思う。 ○遠藤会長   ただいまの意見を反映させて修文するという理解でよいか。 ○医療課長   「領収証に記載し」を削除することで対応したい。 ○安達委員   なんと仰ったのか。 ○医療課長   「その旨、院内掲示を行っていること。」としてはどうかと。 ○安達委員  それで実態に合うと思う。 ○坂本専門委員  誤解されていると困るので、私は1ヶ月であればOKである。要件についてはどのような 要件かわからないので賛成できない。 ○遠藤会長  ということは、公益に依頼することが反対ということであるか。 ○坂本専門委員  しっかり意思表示をしておかなければという趣旨である。   ○藤会長  それでは暫く相談したいので休会としたい。    (休会) ○遠藤会長  公益の考え方がまとまったのでご報告する。賛成・反対それぞれのご意見は、それぞれに ごもっともであると思う。何らかの妥協案を作らなければならないということで出来得る限 りご意見の趣旨が反映できるよう努力したつもりである。まず、算定期間は3ヶ月である。 ただし、その際の要件は次の通り。「算定期間中も引き続き看護師の確保に努力し、その旨 を適宜、地方厚生局に届けること」。2つ目の要件は、「この基本料を最後に算定してから1 年以内はこの基本料を算定できないこと」。「この措置については、検証を行うこと」。  なお、看護師の再教育の話が出たが、中医協での審議というよりは、むしろより適切な場 所での審議が望ましいと思われる。中医協でこのような意見があったということを関係部局、 あるいは審議会で対応されるよう事務局から担当部局に要請してほしいということをお願 いしたい。  それから、看護師の勤務環境の改善についてのご発言もあった。我々も考えたが、今回は 算定要件とするのではなく、別途通知のような形で広く世の中に喚起を促したいと考えてい る。具体的なことを事務局より説明いただく。 ○医療課長   今、急いで確認してみたが、療養担当規則の中に従業者の確保と必要な体制の整備という 条項がある。また、通知レベルだと入院基本料の通知の中に同様の文言が含まれているとこ ろがある。文言の修正とするか、あるいは、療担規則を変えるというよりは療担規則の解説 のような形で、一般論としての勤務環境の充実といったところを解説する形かと思う。 ○遠藤会長  以上が公益として取りまとめた報告である。何か質問、意見はあるか。 ○篠原委員代理   1点だけ議事録に残していただきたいということで意見を述べたい。さきほどの坂本専門 委員と同じように1ヶ月ということにこだわりたいと思う。私は、働く仲間の代表としてこ の場での審議に参加しているということを申し述べておきたい。 ○坂本専門委員   絶対反対と言いたいが、そういうわけにもいかないので皆さんのご努力に感謝するととも に、1年間はこの基本料を算定できないという要件を加えて頂いたことはありがたいと思っ ている。   先ほどから議論されているのは平均の72時間なので、次回からは一人一人の看護師の夜 勤回数等についても議論いただきたい。よろしくお願いする。 ○遠藤会長   今後の議論の参考にさせていただく。 ○嘉山委員   私は看護師さんのことを非常に心配している。夜勤は大変だという意見が日本看護協会や 連合にもいっていると思う。そのような意見を言っている人の犠牲になっている、夜勤が嫌 だという人の分もやらざるを得ない責任感が強い人もいる。犠牲というと言葉が過ぎるかも しれないが。そのような人が全部引き受けると成り立たないので、意見を言う人だけでなく、 その辺は公平に同じ働く人として目配せをしていただかないと実態とあった職場環境の改 善にはならないと思う。 ○坂本専門委員   夜勤をしたいとか、したくないとか、夜勤が大変だという声を聞いているのではなく、疲 労度を調査している。やりたいやりたくないというそこだけを取って何かを言っていると誤 解しないでいただきたい。疲労度や夜勤をしながらミスを犯すのではないかと不安になるな ど、そのような実態調査を出している。 ○嘉山委員   私は、現場を見なさいということを言いたいのである。結果として、勤務時間が長くて疲 労度が高いということは看護師を守ろうと思って私がいつも言っていることである。現場に もっと看護師さんがいればできるので、お互いやっていこうということである。その点はわ かって言っているということをご理解いただきたい。 ○勝村委員   とにかく、嘉山委員の意見もわかったし、私は、いろいろな意見がある中で考えて発言し ているということである。4年前にこの件を議論した時も、私の印象では2号側の先生方は 反対意見が多かったと思うが、なんとかこの件を決めてきたという経緯がある。そういう経 緯の中で今の現状を理解しようと思っていたが、ここに来て急に1ヶ月が3ヶ月となって出 てきた原案の出し方に対しては疑問を感じるということだけは最後に言っておきたい。 ○遠藤会長   おそらく、賛成、反対の立場からすると、双方に大変な不満の残る公益の案だったと思う が、我々もできるだけぎりぎりのところでやらせていただいたということをご理解いただけ ればと思う。ということで、この件はこのような修正でお認め頂いたということとしたい。   続いて、「精神科急性期入院医療に係る評価」「回復期等における充実したリハビリテーシ ョンの評価」について何かあるか。特段の質問もないようなので、お認め頂いたということ にさせていただく。以上でいわゆる短冊の議論がすべて終了したということである。そうい う意味では、全体の改定の内容が点数以外は決まったということである。再診料の点数は決 まってしまったが。  次に、外来全体のフレームワークの中でどのような費用配分が行われるのかということに ついて、少し議論をさせていただきたいと思う。事務局に再提案を踏まえた財政フレームの 資料を準備してもらっている。その資料を配布した後に質問を受けたいと思う。   ○医療課長(資料 「外来に関する財源」に沿って説明)   新たに評価   約700億円 + 約300億円(再診料(病院分、外来管理加算見直し))   適正化     約400億円 + 約200億円(再診料(診療所分))   外来プラス財源 400億円 ○遠藤会長  ただいまの説明に対して何かご質問・ご意見等はあるか。 ○北村委員  1点質問がある。新たに評価する約300億円の再診料(病院分)と外来管理加算見直し を内訳として示せるか。   ○医療課長 可能である。再診料部分が約180億円で外来管理加算部分が約120億円である。 ○北村委員  そうすると外来管理加算の見直し部分が120億円程度の可能性があることを理解した。 財源の算定をする上でもう少し細やかなデータが出てくるかと思っていたが、この程度のも のであると認識した。いずれにしてもこの120億円の算定の流れというのは自分なりに理 解した。 ○遠藤会長  他に意見がなければこの件は以上とする。続いて、答申書の附帯意見について議題とした い。 ○医療課長(資料 総―2 「答申書附帯意見(案)」に沿って説明)  2月8日に一度お示ししているが、各側の意見を踏まえ下線部にあたる部分を修文してい る。薬剤と材料については別途あり方について検討する機会を設ける。概ねいただいた意見 については盛り込んだつもりである。例えば第11項の診療報酬と介護報酬の同時改定につ いてや第13項の診療報酬体系の簡素・合理化について等である。また、前回第16項目の (1)に記載していた明細書発行の実施状況の検証については別建てで第15項に一本立ち させた。 ○遠藤会長  この件について何かご質問・ご意見はあるか。 ○邉見委員  概ね同意する。特に12番の「地域特性を踏まえた診療報酬の検討」を入れ込んでいただ いたことを評価する。意見としては1番の「再診料や外来管理加算、入院基本料等の基本診 療料について」はもっと根本的な議論をしていただきたいと考える。医師の技術料や病院の 入院基本料とは何かについて今までの議論ではなく、根本的な議論をしていただきたい。  特に今回200床以上の病院というのは再診料や外来管理加算とは関係のない部分があ る。入院基本料の大幅アップを主張してきたが、実現できなかった。特に地方の中核病院に おける評価が十分でなかった気がする。また、1番に含まれていると思うが、今回「複数科 受診」という文言がどこにも書かれていない。必要な財源が大きく、今後議論する上で頭の 片隅においていただくか、可能であれば一言追加していただきたい。診療所の先生方の主張 と重複するのでこれまでの議論であまり強調しなかったが、病院の医師からは強い要望が出 ている。 ○遠藤会長  もし議論したいという熱意が強いのであるならば、答申書に入れたほうがよい。今後事務 局は改定作業に忙殺されるし、その後には人事異動等もあり、中医協の開催頻度が少なくな る中でだんだんその熱意が忘れられてしまう可能性がある。逆に開催頻度が増えるころには 根本的な議論をする十分な時間がない、という傾向がある。したがって、早い段階からそう いう議論をしたいというのであれば入れるべきと考えるが、どう思われるか。 ○邉見委員  私も過去の経験からそう思う。お手数をかけるが、ぜひ入れていただきたい。 ○遠藤会長  前回改定の際にも実は入院基本料等を根本的に考えようという機運があり、様々な議論を したが果たして根本的であったかは難しいところである。今の趣旨で表現について事務局の ほうで考えていただきたい。 ○鈴木委員  6番に「看護職員の厳しい勤務実態等・・・」と記載がある。敢えて「厳しい」という形 容詞を入れる意味があるのか。どこも厳しい状況にはかわりはないので1番の「厳しい」財 政影響、4番の「厳しい」病院勤務医の負担軽減など全部に記載していただきたいと言わざ るをえない。そこで厳しい看護職員と記載した理由は何か。    ○遠藤会長  理由を聞いているのか。    ○鈴木委員  「厳しい」と記載するならすべてに入れていただきたい。    ○遠藤会長  そこまで拘るのか。    ○鈴木委員  拘る。その通りにしていただきたい。    ○遠藤会長  ただ今の鈴木委員の発言に対して何か意見はあるか。    ○北村委員  私も鈴木委員と同じ6番で発言をしたかった。先ず、言葉について伺いたい。「検討を行 うこと」とあるがかなり強く実施に向けて作業を行うということか。    ○遠藤会長  この文章の意味として、事務局として強い意思があるのか無いのか、この辺の考えを伺 いたいとのことである。   ○医療課長  検討を行うとする強い意志である。過去2年においても検討を行うとされたことについ ては適宜、復習や提示をしながら議論を行っていただいた。改めて調査を行うかは別にし て熱心に議論をしていただくこととして記載をした。   ○北村委員  理解をした。それで少し安心をした。6番と4番を比べると、4番は病院勤務医の処遇 改善について明確に記載されているが、6番を見ると看護師については直接人に絡む問題が 病院の経営に大きく影響を与えている。つまり人に絡む問題なのであろう。この次は看護師 の様々な働き方について議論をする時期が来ているのではないかという意味で、検討を行う とはどういうことかと質問をした。   ○遠藤会長  「厳しい」と記載をした部分に下線を引いた理由は何か。    ○医療課長  委員の方の意見を反映したものである。    ○篠原委員代理  勤務時間が非常に厳しい状況であり、その実態を踏まえて敢えて「厳しい」という文言 を記載してもらった。    ○遠藤会長  話しが纏まるならすべてに「厳しい」という文言を入れていただきたい。    ○嘉山委員  「厳しい」という文言を入れるなら勤務実態を調査した上で入れるべきである。勤務医 の場合は勤務実態を調査して結果が出ているので「厳しい」という文言を入れてもいいが、 看護師の場合は3交代制で勤務しており、厳しさの度合いをこれから調査することになるの で「厳しい」という文言は外した方がいいと考える。看護師の方に文言を入れるなら4番の 勤務実態の厳しさを把握している勤務医の前にも入れるべきである。 ○遠藤会長  今のご発言の通りに対応をしたいと思うがいかがか。    ○鈴木委員  1番も「厳しい医療機関の経営の財政影響を含め・・」と記載いただきたい。    ○遠藤会長  今は勤務状況の議論をしているので勤務医と看護師とでバランスをとって対応すること としたいがいかがか。   ○勝村委員  議論の上では勤務医と看護師を同じように扱っていただきたい。    ○嘉山委員  実態については私が一番良く知っているし、厳しいことはよく分かっている。入れるなら 両方入れても構わない。    ○遠藤会長  恐らく、ここは坂本専門委員が一言いいたい気持ちであろう。    ○坂本専門委員  とにかくお願いしたいのは医師と看護師が戦うことはしたくない。医療現場で一緒に大変 な状況であるので一緒に取り組んでいきたい。「厳しい」という文言は取ってもらって構わ ない。「実態調査をした上で、勤務医の処遇改善や負担軽減にかかるあり方を含めて」と記 載していただきたい。それから、6番のところで先程会長がおっしゃった特別入院基本料に ついても検証をお願いしたい。   ○遠藤会長  これは検証項目の中に入っていない。従って検証の中に入れるという理解でいいか。   ○坂本専門委員  どこでも構わない。   ○嘉山委員  「厳しい」と入れても良いが、もし連合が「厳しい」と入れるのであれば、4.にも入 れるべきであってフェアではない。人を大事にするのであれば4.にも入れるべきではない か。   ○西澤委員  坂本専門委員に反論するわけではないが、4.については平成22年度診療報酬改定につ いてはこうなっていると、6.については「看護職員の配置や夜勤時間の要件」に絞って書 いてあるが、なぜか話が看護職員の処遇改善に見えてしまう。要件に限るのであれば、敢え て厳しいと入れる必要は全く無く、実態を調査していくことでよい。勿論、看護職員の勤務 実態は厳しいが(特別入院基本料の)要件も厳しいので、「厳しい」を入れるのであれば「厳 しい勤務実態及び要件等を十分把握した上で」と入れておけば、いろんな意見を纏めたこと になるのではないか。   ○嘉山委員  やはり夜勤を2人でやるという日本は異常な状態で、もう少し増やすべきであるが、い ないから仕方が無い。大学でも本当に大変である。実態としては厳しい訳であるからここに は「厳しい」と入れていただいた方がよい。ただ、連合が看護師だけ「厳しい」と言って我々 (医師)には「死ね」と言っているのかという感じがして、フェアに扱っていただかなけれ ばいけないし、私も労働者である。 ○遠藤会長  例えば「看護職員の厳しい勤務実態等を十分把握した上で、看護職員の配置や夜勤時間 に関する要件について、その在り方も含めて検討を行う。」という流れではどうか。元の文 章を読んでみると、配置基準と夜勤のみを調べたいと思われるので、それだけでよいのかと いうことである。これはどなたの意見であったのか。   ○坂本専門委員  これは私である。何度も話して申し訳ないが、どうして看護師の処遇改善や負担軽減を してはいけないのか。ぜひ入れていただきたい。今の文章の中で、「十分把握するために調 査をした上で、要件や処遇改善を含めて負担軽減を考えていく」ということを入れて欲しい。 ○遠藤会長  全然問題無い。誰も反対していない。今のような文章に変えるという形で見直したいと 思う。 ○鈴木委員  これから看護職員も若い方は多様な働き方を希望する方が多いと思うし、今回の診療報 酬改定の中でも医師を増やすようにということが打ち出されている。介護保険関連では介護 職員を増やそうとし、それに支援しようという取組も行われつつある。このように看護師が 足りない、足りないという中で、全体の看護師を増やそうと再就職を推進するといいながら、 養成は大学や病院がすることになる。もっと多様な資格取得の方法も検討されるべきと思う。 これだけ不景気であるから看護師の資格を活かそうという方々はいるが、そういう若い人達 の再就職を支援する方策を通して、ぜひ看護師の数を増やすことを検討していただきたい。 ○遠藤会長  残念ながらここは中医協であり、全くこれは医政局看護課が考えていることであって、 ご意見があったということは承っておきたい。   ○勝村委員  質問である。明細書の件が16(1)の記載から15に別建てで記載となることに、行 政の人達だけがわかっている違いはあるのか。全く一緒なのか。 ○医療課長  別に何も理由は無い。16はアンケートなどで確実に調査をやっていくという項目であ って、13とか14とか15に上がれば更にその他の検討も行うということで、基本的に項 目の並べ方は検討しましょうということで変わっていない。 ○遠藤会長  附帯意見というのはいろいろなことを盛り込みたいというのは当然であるが、あくまで も診療報酬と絡む話であることは基本である。そういう中での議論をお願いしたい。   ○伊藤委員  今回の診療報酬改定が医療崩壊を防ぐことに本当に大いに期待したいと思う。ただ診療 報酬だけできちんといくことではないことは、今日の議論でもあったところである。国保の 代表者であるので、少し発言したい。今回15対1の一般病棟入院基本料が引下げになる。 これは国保の病院では非常に影響があるので今後しっかり検証をしていただきたい。  また、地方自治体の長として、5に「地方公共団体」と入れていただいた事に感謝する。 地域医療を守っていくためには、どうしても医療者だけではなく自治体や地域の住民の皆様 にも御協力を得なければならないと思っている。地方公共団体として、国民の皆様に医療者 に敬意を払う事や、ご自身の身体や健康について知っていただくことなどご協力をお願いし たい。  その中で、明細書を無料発行するということになり、自分の健康に対する興味を持つ大 きなキッカケになるのではないかと考えている。今回の診療報酬改定が医療崩壊を食い止め るか、しっかりとした検証ができるようにしていきたいと思う。   ○遠藤会長  今後議論する上での重要な視点を提示していただいた。 ○渡辺委員  15の明細書について、「情報提供の在り方について」と入れていただき大変結構である と思う。  11は非常に重要なことと思うが、介護保険の制度上、制限等があるので、「切れ目なく 円滑に提供できるよう検討する」と、連携をきちんとするようにということが重要であると 思う。制限もなく如何に連携できるかという文言で、切れ目なく同時に「円滑に」提供でき るという意味合いにしていただければと思う。 ○遠藤会長  ご意見として承った。幾つか修文の要請があるので、申し訳ないが一任させてもらえれ ば反映させる形で修文させていただきたいと思う。 ○坂本専門委員  8の訪問看護は拡大していくことが喫緊の課題であると思っている。ここに「安定的な 経営」とあるが経営実態を調査していただくことと、「患者の病状に合わせた訪問に対する 評価」とあるがこれの実態調査を行って評価していただく形にしていただきたい。 ○遠藤会長  調査の内容まで具体的にここに盛り込むべきということであるか。附帯意見に挙げるべ きこととしては、基本的にはこういうテーマでやるということであって、ほぼそれに近いも のも書いてはある。どういう内容の調査をするかということはまた個別に議論してきた経緯 がある。趣旨はよく分かったし、既にそのようなデータもあるかもしれないので、ご意見は 承るが趣旨はこの中に含まれているというご理解をお願いしたい。 ○安達委員   先程の伊藤委員の発言は、非常に暖かく有難いと思う。地域医療をよく理解しているから こその発言であると思う。再診料等々についてはずっとこれまで財源論で処理されてきた。 私どもはその内容について申し上げたいことが山のようにある。この書きぶりはこれで結構 であるが、実態として徹底した審議をお願いしたい。そういうことを理解いただけたら、今 日は怒りを収めて帰ることができる。本来中医協では1号、2号の立場を超えて、日本の医 療体制がどうあるべきかについて議論をしたいと常々思っている。多忙な中で私が委員を引 き受けたのもそういった思いからである。是非この検証は今後しっかりやりたいと思う。   事務局に確認であるが、外来に関する財源「新たに評価700億円」の下から4番目に新 規技術の記載がある。新規技術を認めるたびに、予算組みするのは当然である。しかし新規 技術は入院でも外来でも使うものである。この入院と外来の財源配分の内訳、原則はどう考 えているのか。 ○医療課長   検査も新規技術も入院、外来ともにあるという前提で考えている。内訳の算定にあたって は社会医療診療行為別調査をもとに按分している。もちろん新規の技術はこれまでの技術の なかに類似のものがあれば、それを引用している。 ○安達委員   新規であるのでペーパーはない。類似のもので類推するとのことであったが、専門家への 聴取も行い正確な作業をしていただきたい。 ○遠藤会長   技術評価分科会に申請があったものは、申請者にどのくらい医療費がかかるのかというこ とについても予測させているので、それを用いた推計だと思う。関連するが、類似の既存技 術があれば新規の技術に置き換わることが有り得る。この場合、既存のものに使われていた 財源は適正化される財源に含まれているという理解である。 ○牛丸委員   答申書の附帯意見についてお願いがある。改定があるといつも期限に追いかけられた議論 になる。今回の付帯意見には今後議論すべきことがかなり盛り込まれている。改定後にはこ れをじっくり議論したい。これが中医協の役割である。改定の年でない時、早い時期からの 議論開始をお願いする。 ○遠藤会長   同感である。中医協委員全員の意見として受け取る。新しく委員になった方々は、日本の 医療そのものについて議論したいとのことである。改定項目を議論するにあたって時間的な 制約もあり、委員の発言を制限したことが度々あったことをこの場でお詫びしたい。もう少 し時間のあるときに本質論の議論をすべきであると私も考えている。この点を事務局も配慮 願いたい。 ○嘉山委員   牛丸委員、会長に同感である。私の発言が、時折診療報酬に関連しないと指摘を受けたこ とがあるが、実際は国民の医療を守るために必要な項目の検討と議論がなされて、はじめて 診療報酬が活きてくるのである。  それと今回の答申書の附帯意見には国民という言葉が出てこない。事務局にお願いしたい。 文言は会長に一任するが、「国民の医療を守るために必要な項目の検討と議論」といったよ うな大雑把ではあるが、そういった表現を入れて欲しい。地域医療支援やドラッグラグの問 題は最近一気に出てきた項目である。大雑把な表現で書かないと、広くいろいろな項目を拾 えない。  そして今後は2号側からも保険局に意見を提示していきたいと考えている。 ○遠藤会長   了解した。全体のことは社会保障審議会の議論で枠組みを決められてしまうので、中医協 の議論は細かい話に終始してしまう。しかし我々は我々で、議論をしていくことは重要であ る。   他に意見がなければ、一部修文があるので私の預かりとさせていただき答申書に附帯する こととする。それではこれまでの議論を踏まえて、事務局には厚生労働大臣への答申書案を 作成していただき、次回中医協において審議いただく。  委員の皆さんには、昨年10月終わりから毎週2回、1回あたり4、5時間あるいは6時 間あまり議論いただいた。御礼を申し上げる。それでは本日の総会はこれまでとする。事務 局から何かあるか。 ○医療課長   中医協 総−1において、本日公益に裁定いただいたことの関連で記載されていないこと がある。具体的には再診料、外来管理加算、地域医療貢献加算について修文する。次回2月 12日に提出する際にはそれらが加わったものとなる。 ○遠藤会長   それでは本日の総会は閉会とする。 【照会先】  厚生労働省保険局医療課企画法令第1係  代表 03−5253−1111(内3288)