10/02/09 第3回高齢者医療制度改革会議議事録 第3回高齢者医療制度改革会議 (1)日 時 平成22年2月9日(火)17:20〜19:20 (2)場 所 中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階) (3)出席者 阿部委員、池上委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田委員、神田        委員、見坊委員、小林委員、近藤委員、齊藤委員代理(久保田日本経済団体連合        会専務理事)、対馬委員、堂本委員、樋口委員、三上委員、宮武委員、横尾委員、        長浜厚生労働副大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労働大臣政務官        <事務局>        外口保険局長、唐澤審議官、神田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、 伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、渡辺 保険局医療課保険医療企画調査室長、野村医政局総務課医療制度調査官 (4)議事内容 ○岩村座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回高齢者医療制度改革会議を 開催いたします。  委員の皆様には、本日は御多忙の中お集まりいただき、誠にありがとうございます。  今日の委員の出席状況でございますけれども、岩見委員、山本委員が御欠席ということでござ います。また、齋藤委員の代理で久保田専務理事が御出席になっておられます。よろしくお願い いたします。  なお、長妻大臣でございますが、現在、国会審議が延びておりまして、更にその後、閣議も予 定されているということでございます。そのため本日は御欠席という御連絡を頂戴しているとこ ろでございます。他方で、長浜副大臣及び足立政務官に本会議に御出席をいただいております。  今日は先ほど申し上げましたように、第3回目の改革会議ということになります。第1回、そ して、第2回におきましては、委員の皆様から今後の議論の進め方であるとか、新しい制度の在 り方などにつきまして、幅広く御意見をさまざまな角度からいただいたところでございます。今 回からは、新しい制度の在り方につきまして項目別に御議論をいただきたい、そのように考えて おります。  当面のスケジュールでございますけれども、お配りしている資料2でございますが、1枚おめ くりいただきまして表紙の裏に「高齢者医療制度改革会議の当面のスケジュール」というものを つけさせていただいております。そこにありますように、第3回である今回につきましては制度 の基本的な枠組み、それから、運営主体の在り方ということについて御議論をいただき、次回の 第4回につきましては費用負担の在り方について、第5回につきましては保険料、給付、医療サ ービスなどの在り方についてという順序で、各論の御議論を進めていただくことを考えておりま す。  更に、今日のスケジュールでは記載しておりませんけれども、その後も引き続きまして毎月1 回開催することとしております。具体的な第6回以降の議題などにつきましては、今後の議論の 状況を見ながら考えていきたいと思っております。  それから、前回の会議で委員の皆様から御依頼がありました資料につきましては、今回も含め まして今後は、各項目別の議論を行う会議のときに事務局から資料を作成し、提出させていただ くことにしたいと存じますので、御了解をいただきたいと思います。  それでは、まず初めに、長浜副大臣からごあいさつを頂戴いたしまして、その上で事務局から お配りしている資料の大枠について簡単に御説明をいただこうと思います。それでは、長浜副大 臣、どうぞよろしくお願いいたします。 ○長浜副大臣 本日は御多忙のところお集まりをいただきまして、どうもありがとうございまし た。今、岩村先生からのお話にもありましたとおり、国会開会中ということで長妻大臣は今ちょ うど進行しておりますが、この会議は欠席させていただくということでございます。  テレビ中継されました予算委員会の中においても、総理が代表質問において後期高齢者医療制 度の問題につきましては、1期4年間の中で現行制度を廃止して新たな制度に移行するというこ と、そのために、この高齢者医療制度改革会議で今年の夏には骨格を中期的に明らかにしたいと いうことも述べられたところでございます。  また、当面の課題でありました来年度の保険料の改定については、約14%の増加が見込まれて おりましたけれども、現時点では3%前後に抑えることができる見通しということでございます。 御尽力をいただいた都道府県及び広域連合の皆様には、本当に心から感謝と御礼を申し上げたい 次第でございます。  福岡の後期高齢者医療制度をめぐりまして、当会議の委員でもある山本町村会会長が逮捕され るというようなことになってしまいました。このような事件になったことは誠に遺憾であり、捜 査の状況を踏まえ、広域連合の運営等に関し何らかの対応が必要であれば適切に対処してまいり たいということを政務三役でも確認しているところでございます。  なお、山本会長には、後期高齢者医療制度をめぐっての不正の疑いがある以上、今後本会議の 委員からは外れていただくということで御了解をいただければと思っております。なお、全国町 村会には他の委員の推薦を依頼しているところでございます。  本日は今、第3回目の会議となるということが座長からも紹介されました。これまでは新たな 制度の在り方等について総括的に広く御意見をいただいたわけでありますが、今後は各論の議論 をさせていただくということでございまして、長妻大臣からも議論に当たって必要な資料につき ましては、いつでも先生方の御要望があれば事務局で集めさせていただくということを申し上げ ておるところでございますので、今後とも引き続き積極的な御議論をよろしくお願い申し上げま す。  どうもありがとうございました。 ○岩村座長 副大臣、どうもありがとうございました。  カメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。  それでは今日、事務局で御用意いただいている資料について御説明をいただきたいと思います。 吉岡課長、よろしくお願いいたします。 ○高齢者医療課長 資料につきましては、あらかじめ委員の先生方にはお渡しいたしております ので、内容についての御説明は省略させていただきます。傍聴の方もいらっしゃいますので、資 料の構成だけ御説明させていただきたいと思います。  お手元左側の資料、クリップを外していただきますと、座席表の次に右上に「資料1」とつい ている「各委員の主な意見の概要」がございます。第1回、第2回の会議における各先生方の御 意見を項目ごとに整理したものでございます。これが8ページまでございます。  続きまして、資料2の「本日の議題に関する基本資料」というものでございます。1ページを お開きいただきますと、まず先ほど座長から御説明のありました当面のスケジュールでございま す。  2〜3ページでございますが、かねてからの高齢者医療をめぐる議論におきましては、資料の 4ページにあります4つの案が議論されてきたわけでございますが、これまでこの会議でいただ いてきた各委員の御意見の中で、具体的な御意見をいただいた4人の委員の先生方の御意見を2 ページ、3ページに、そのメリットと論点を整理させていただいているものでございます。  1が、全年齢でリスク構造調整を行った上で、都道府県単位で一元化するという池上委員の案。 2が、一定年齢以上の別建て保険方式を基本とする対馬委員(健保連)の案。3が、突き抜け方 式とする小島委員(連合)の案。4が、高齢者医療と市町村国保の一体的運営を図るという宮武 委員の案でございます。  5〜7ページでございますが、ただいまの4人の委員の先生方以外からも新たな制度について、 さまざまな御意見をいただいておりますので、13人の委員の方々の御意見と論点を文章で整理さ せていただいております。  8ページは、現行制度の問題点と利点について整理したものですが、これまでの会議での御意 見を踏まえ、一番上にありますように、現行制度の問題点を改めるとともに、利点は残す方向で 新たな制度を検討する必要があるのではないかという考え方を付記させていただいております。  それから、9〜10ページでございます。前回、宮武委員、山本委員、三上委員、鎌田委員から お求めのあった資料でございます。これまでの会議において多くの委員より、高齢者の加入する 医療保険の運営主体は都道府県単位とすべきであるとの意見がありましたが、具体的にどのよう な運営主体とすることが適切かということで、都道府県、広域連合、市町村、国といった主体ご とにそのメリット、デメリットを整理させていただいております。  11ページにつきましては、高齢者医療と市町村国保の一体的な運営を図っていくことについて の主な論点を整理させていただいております。  以上が、基本資料でございます。  もう一つ資料3といたしまして参考資料でございますが、現行制度の施行状況を整理したもの をお配りさせていただいております。  それから、お手元右側でございます。各委員の先生方から提出いただいたものでございます。 一番上にありますのが、近藤委員から『「健康格差社会」を生き抜く』という著書の御提供がご ざいました。  それから、三上委員から日本医師会の提案についてのリーフレットの御提供がございました。  次に、資料でございますが、齋藤委員の久保田代理から日本経団連の考え方のポイントを示し た1枚紙が提供されております。  最後に、横尾委員から全国後期高齢者医療広域連合協議会としての意見の御提出をいただいて おります。  資料については以上でございます。どうぞ御議論のほど、よろしくお願いいたします。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。  そこで、今日の運営主体、制度の枠組みついての議論の進め方でございますけれども、各委員 のこれまでの御意見につきまして、先ほど事務局から紹介がありましたように、今日の資料2の 2〜3ページに4つの案という形で整理させていただき、また、5〜7ページに13人の委員の方 々の御意見を表の形で整理してございます。限られた時間の中でなるべく効率的に議論を進めて まいりたいと考えますので、まず最初に、資料2の中で示されている御自分以外の委員の御意見 に対して、御質問やあるいは御意見などを頂戴したいと考えます。その後で、いただいた御質問 や御意見についての御回答をそれぞれの委員からいただくという形で進めてまいりたいと思いま す。  そして今日、皆様方のお手元右手にあります各委員から御提出いただいた資料につきましては、 質問や御意見に対して御回答いただくときに併せて必要があればお触れいただくという形にして いただければと思います。  それでは最初に、御自分以外の委員の御意見に対する御質問あるいはコメント・御意見といっ たものから伺ってまいりたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたし ます。 ○堂本委員 前にも意見を言っているつもりですが、それをまとめていただいていないです。 ○岩村座長 堂本委員の意見ですか。 ○堂本委員 相当明確に意見を申し上げているはずですが、抽象的なことを言っているから落と されてしまっているのか、それか意図的なのでしょうか。 ○岩村座長 意図的ということは全くございませんで、堂本委員の場合恐らくは、本日の議題に 関する御意見ということで……。 ○堂本委員 公平な制度の議論から入っていただきたいということで相当明解に申し上げている つもりで、理念的ばかりとは言えないと思います。 ○岩村座長 ですから、理念というよりは今日は先ほど申し上げたように、具体的な運営主体で あるとか制度の大きな枠組み、それは結局、運営主体の問題だと思いますが、それについて御議 論させていただきたいということで整理させていただいて、それとの関係で具体的に御意見を提 示されているものをここで整理させていただいたという趣旨だと思います。 ○堂本委員 事務局に説明をしてほしいと思いますが。 ○高齢者医療課長 まず、資料1としてお配りしているものが、これまで各委員の先生方からい ただいた意見を項目ごとに、基本的には網羅的に整理させていただいておりますので、この中に 堂本委員の御意見もしっかりと書かせていただいております。 ○堂本委員 必ずしもしっかりではないと思いますけれどもね。 ○高齢者医療課長 また、確認も各回ごとにさせていただいているところでございます。  資料2の整理につきましては、ただいま座長から申されましたように、新たな制度についての 具体的な御提案に限って取り扱わせていただいておりまして、また、あらかじめ確認もさせてい ただいたつもりでございますけれども、改めてこちらの方に堂本先生の御意見も入れるべきとい う御指摘でございましたら、次回の資料の際に御相談の上、工夫させていただきたいと思います。 ○岩村座長 堂本委員、申し訳ありませんが、そのようなことで御了解いただければと思います。 ○堂本委員 なかなか納得いきません。それは、また後で。 ○岩村座長 それでは、横尾委員、どうぞ。 ○横尾委員 最初に発言を求めたのは、先ほど副大臣が触れられた福岡県のことがありますので、 一言申し上げた方がいいかなと思います。  福岡の例は極めて特異な例だと私自身認識しておりますので、ほかの都道府県で同じように広 域連合が立ち上がって各市町村の代表者、また、首長の皆さんが御尽力をいただきながらされて おりますが、ほかのところではないと思っておりますし、それぞれ努力をしていることを御認識 いただいて、よりよい制度のためにこの委員会の皆さんの御尽力をお願いしたいと心から思って おります。  それを踏まえながら2点あります。1つは、今、座長からも御指摘のあった点で、いただいた 資料に関する質問ということでございます。私の認識では、4人の委員の方々のイメージ図も描 いていただいているのですけれども、それぞれ出身母体であります団体でもかなり議論されて提 案されていることも入っていると承っておりますが、もし、そのときの案から更に直近の状況を 踏まえて改善案・改革案、新しいものがあれば是非、御披瀝をいただければと思っております。  関連して、宮武委員さんの4つ目のイメージ図でございますけれども、非常にシンプルでわか りやすくなるというイメージもあるのですが、国民皆保険制度ということからすると一つの在り 方かと思いますが、前出の1、2、3にありますような被用者保険の方々のお立場等もあります ので、その辺をどのようにとらえていらっしゃるかをお伺いできればと思っています。  3つ目でございますが、お手元に主体に関する意見ということでメモをつけさせていただいて おりますものを、若干解説します。9月と11月に長妻大臣あてに提出させていただいた全国後期 高齢者医療広域連合協議会としての要望事項案でございます。いろいろなことを書いております けれどもポイントとしましては、1つは1ページにありますように、是非、国並びに都道府県の 立場を明確にし、その主体的な役割を果たすような制度にしていただくことが大切ではないかと いう認識に皆立っております。特に、それぞれの都道府県の事情もございますけれども、括弧の 中にありますように3つの点を是非勘案いただくこと。そして、後段にありますように、今後の 取りまとめに関しましてはヒアリング等もしていただく予定だと思いますが、是非、関係者の意 見も厚労省として聞いていただいて、十分な検証をして、この間、岡崎委員、神田委員からも御 指摘がありましたけれども、十分な検証と準備をしないと、バタバタとスタートして、仮に主体 を決めてもなかなか苦労が多くなってしまうということも懸念されますので、この辺は十分な配 慮と対応をお願いしたいと感じているところです。  以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、先にお手が挙がった樋口委員からどうぞ。 ○樋口委員 私は大変小さな質問でございまして、池上委員に教えていただきたいと思います。 一番上の「○」でございますが、医療保険全体で各保険者の被保険者の性・年齢構成云々とござ いますけれども、リスク構造調整を行う上で年齢構造というのはとてもよくわかるんですが、こ の際、生命保険ではあるまいし、性というのは必要なのだろうかどうなのだろうか。必要だとす ればどういうことなのか、ちょっと教えていただきいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございます。  それでは、対馬委員どうぞ。 ○対馬委員 私も池上委員に伺いたいんですけれども、こういった調整をしていきますと、これ は段階的ということにはなっていますが、最終的にはすべてガラガラポンということになります から、保険者の自主性とか保険者機能の発揮といったことができなくなるのではないかと。独立 性といったことも含めて、その辺りどうお考えになるのかというのが1点です。  それから、小島委員にもちょっと伺いたいんですけれども、突き抜け方式はよく承ってはいる んですが、昨今の状況からしますと、就業構造の変化とか雇用環境の変化等々、また、高齢化が 一層進展してきたという中で、突き抜けというのは本当に現実性があるのだろうかどうだろうか と、この2点をお伺いしたいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございます。  岡崎委員どうぞ。 ○岡崎委員 市長会の岡崎でございます。私も2点ほど、意見を含め発言をお許しいただきたい と思います。  この会での多くの御意見の中で何点か出てくるんですが、わかりやすいのは資料2の9ページ の中で、市町村国保を都道府県に一本化しなければ運営ができないという意見が出ております。 我々は今、広域連合を扱っておりますが、広域連合は市町村から出向の職員で運営しております ので、大体2年もしくは3年単位で入れ替わるというのが多うございます。市町村の方も市町村 合併で職員数が相当減っておりますので、大体2年で入れ替わってきますので、スキルの積み上 げというのは非常に難しいと感じております。  私たちは、都道府県がこの新しい保険の保険者を担うべきだと考えているんですが、よく話に 出てくるのはデメリットの1つ目の「○」でございまして、「都道府県には直接医療保険の事務 を実施してきた実績がない」ということですが、各都道府県には国保指導課がございます。各都 道府県は各市町村の国保の監査・指導に入っておりますので、その意味で国保の中身というのは 都道府県でも、かなりわかっておりますので、表現上の問題はありますが、実績がないというこ とではないと考えます。実績は十分あると考えておりますので、これは意見として申し上げてお きます。  もう一点、先ほども小島さんのいわゆる突き抜け方式の議論が出ておりましたが、3ページの 3でございます。全国市長会で国保を扱っておりますので、国保の保険者の立場から発言させて いただきます。この区分でいきますと、いわゆる点線から上の部分は年金で考えますと、国保に 残るのは恐らく国民年金をもらっている方が中心で残ってまいります。そうしますと、国民年金 の受給額というのはお一人当たり大体6万円、多い方でも7万円ぐらいしかもらっておりません ので、この区分を導入されますと、右側の被用者保険の方々は当然サラリーマンも多うございま すし、特に赤丸は厚生年金グループが入りますので、厚生年金をもらっている方は大体15〜18万 円ぐらいもらっていると思いますので、この突き抜けた上の部分で所得格差が非常に多くなりま す。逆に言うと国保はもたないということが明白でございますので、それをどういうふうに考え るか。意見と併せて国保の立場から申し上げたいと思います。 ○岩村座長 それでは、小林委員どうぞ。 ○小林委員 まず、1番目の池上委員の案についてですが、これは樋口先生のおっしゃるとおり 性というのは要らないと思いますが、都道府県単位で年齢・所得調整を行うということで加入者 間の負担の公平性を追求するという点では理解できるものだと思います。一方で懸念される点が 幾つかございます。例えば、1つに国庫補助の役割がどうなるかという点です。財政力の格差是 正のために国庫補助の役割というのは縮小する可能性があると思いますが、国庫の投入について は国民皆保険を守るためには引き続き必要という観点での検討は伴うべきではないかと思います。  次に、地域単位で事業主がまとめられるという点については、事業主が健康保険の担い手であ るといった位置付けが薄まって、職場が連帯の基盤であるとともに、事業主が費用を負担してい るということへの納得性が得られるかどうか。被用者保険制度が成り立たなくなるのではないか という懸念があります。あるいはもう一つ、都道府県単位で市町村国保と協会けんぽ、これは被 用者保険ですが、これを統合するということが出ておりますが、この点は公平な所得捕捉の環境 が整備されることが前提であると思います。このような点は慎重に検討していく必要があるので はないかと思っております。  それから、3つ目の小島委員の突き抜け方式についてですが、協会けんぽが業務委託を受ける 案が出されておりますので、若干コメントいたします。新たな高齢者医療制度の運営主体におい ても保険料収納という点が運営上最も重要になってくると思っております。この点、退職者健康 保険制度の加入者と想定されております退職された厚生年金の受給者数は、平成20年3月末現在 で約1,100万人だと思いますが、このような規模の個人を事業所という基盤もない中で把握して いくのは、協会けんぽには地域保険の事務処理に関する体制やノウハウの蓄積等が全くないため、 事実上困難だというのが率直な感想です。  以上です。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、小島委員どうぞ。反論ではなく、ほかの委員への質問ということでお願いいたしま す。 ○小島委員 池上委員のリスク構造調整の考え方ですけれども、これは一つの考え方だと思いま すが、その際、いわば高齢者あるいは退職者はどこに加入するのかということ。今の制度で言う と、退職すると基本的には国保に移ることになるのかというのが1つです。  もう一つは、国保が高齢者を抱えて一体的に運営するといった場合に、高齢者の保険料の拠出 の仕方と現役の保険料の拠出の仕方は同じに考えるのか、現在の国保の保険料の算定と同じよう に高齢者も戻すのかということが質問です。  もう一つ、宮武委員の都道府県単位に広域化して、そこで高齢者も一体的に運営するという考 え方ですが、このときに高齢者というのを何歳以上とするのかということです。現在の後期高齢 者の75歳あるいは前期65歳以上ということなのか。何で年齢の質問をしているかというと、これ も先ほどの池上委員に対する質問と同じなんですけれども、高齢者と言われる人たちの保険料の 拠出の仕方と現役の国保の加入者の保険料は同じなのか。現在は国保の保険料の算定は基本的に は世帯単位です。現在の後期高齢者は個人単位ということになっておりますので、そこはどう整 理するのかということです。介護保険と同じように考えれば、高齢者が第1号被保険者、現役を 第2号被保険者という形で保険料の拠出、算定の仕方は違うという考え方があると思いますけれ ども、そこはどう考えるかということです。 ○小島委員 池上委員のリスク構造調整の考え方ですけれども、これは一つの考え方だと思いま すが、その際、いわば高齢者あるいは退職者はどこに加入するのかということ。今の制度で言う と、退職すると基本的には国保に移ることになるのかというのが1つです。  もう一つは、国保が高齢者を抱えて一体的に運営するといった場合に、高齢者の保険料の拠出 の仕方と現役の保険料の拠出の仕方は同じに考えるのか、現在の国保の保険料の算定と同じよう に高齢者も戻すのかということが質問です。  もう一つ、宮武委員の都道府県単位に広域化して、そこで高齢者も一体的に運営するという考 え方ですが、このときに高齢者というのを何歳以上とするのかということです。現在の後期高齢 者の75歳あるいは前期65歳以上ということなのか。何で年齢の質問をしているかというと、これ も先ほどの池上委員に対する質問と同じなんですけれども、高齢者と言われる人たちの保険料の 拠出の仕方と現役の国保の加入者の保険料は同じなのか。現在は国保の保険料の算定は基本的に は世帯単位です。現在の後期高齢者は個人単位ということになっておりますので、そこはどう整 理するのかということです。介護保険と同じように考えれば、高齢者が第1号被保険者、現役を 第2号被保険者という形で保険料の拠出、算定の仕方は違うという考え方があると思いますけれ ども、そこはどう考えるかということです。 ○岩村座長 そのほかの方はいかがですか。  それでは堂本委員どうぞ。 ○堂本委員 質問ですけれども、都道府県単位で一元化するというところで、なおかつ1のとこ ろには広域連合で運営となっていますから、これは都道府県単位の広域連合での運営主体という ことですか。 ○岩村座長 池上委員への御質問ですね。運営主体というのを広域連合と考えられるのかどうか ということでよろしいですか。では、後ほどまとめてお答えください。  それでは、三上委員どうぞ。 ○三上委員 第1回のこの会のときに、6つの検討に当たっての基本的な考え方というのがござ いました。この中で年齢による区分を解消するんだということを前提に検討しようじゃないかと いうことになったんですが、対馬委員のいわゆる独立型、以前は日本医師会も独立型を主張して おりましたけれども、この独立型も検討の一つとして考えていいのかどうかということが1つ。  それから、3番の小島委員の意見ですが、突き抜け型につきましては被用者グループ内での助 け合いとすることで、若年被用者の納得が得られやすいというメリットが書いてありますけれど も、これは社会連帯という考え方からすると、厚生年金と被用者保険の加入者で助け合うことだ けで社会保障・社会連帯と言えるのか、どういう形で国保の方をやっていくのかという基本的な 考え方をお伺いしたいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、久保田委員どうぞ。 ○久保田委員(齋藤委員代理) 経団連の久保田でございます。  年齢による区分をどう考えるかという今の御質問にも関連するんですけれども、私どもも今日、 資料を提出しておりますが、基本的には対馬委員の提案に近いと言えます。ただ、私どもの方は、 結果的には65歳以上ということになっていくのだと思いますけれども、制度横断的に対応すると いう観点から、公的年金の受給者を被保険者とする体系に組み替える形を提案しております。そ の際、高齢者であっても就業を継続される方については、現役世代の保険に残ることも検討して はどうかと考えております。 ○岩村座長 ほかに他の委員の方への御質問あるいは御意見はございますか。  それでは、近藤委員どうぞ。 ○近藤委員 これは事務局に対する質問ということになると思いますが、資料2の8ページの右 の後期高齢者医療制度の利点の中で、高齢者と若い人の負担割合の明確化というものがあります。 この高齢者(1割)とする根拠として、どういう論議があったのかということをお尋ねしたいと 思います。  あともう一つ、この数字は固定なのか、今後必要に応じて見直すことが簡単にできるものなの でしょうか。制度改正はとてもコストがかかるということは今回間近で見て非常に感じました。 15年、25年のスパンで見ると、人口割合でいうと高齢者の割合がかなり増えてくる、高齢者医療 を使う方の比率が増えてくるということが予見できます。その場合1割と固定すると、長い目で 見ると若い人たちの負担が増えてしまうのではないかと危惧します。この1割の算定根拠、あと、 これは固定なのか簡単に変えられるのか、あと、15年、25年というスパンで見て、果たして1割 という数字は妥当なのかを教えていただきたいと思います。 ○岩村座長 ただいまのは多分、議論の前提になる現行制度の理解のことだと思いますので、事 務局の方でまず、近藤委員の御質問についてお答えいただけますでしょうか。 ○高齢者医療課長 現行の後期高齢者医療制度は公費(5割)、若人(4割)、高齢者(1割) という負担でございます。この高齢者(1割)という考え方につきましては、かつての老人保健 制度の時代におきましても、その実績を見ますと、おおむね1割が保険料の御負担であったとい うことで、この制度はそうした形になっているわけです。ただ、現在は制度施行後のさまざまな 軽減措置をやっておりますので、実質的には今7%ぐらいの御負担になっているという状況でご ざいます。  また、これから高齢化が進み、高齢者の方々は人口が増えていき、若人の方は人口が減ってい くということですので、一人当たりの負担で見ますと、そもそも高齢者の方は軽くなって、若人 の方は一人当たりの負担が重くなるという状況がありますので、これは現行制度の仕組み上、高 齢者負担率という仕組みを設けまして、一人当たりの負担が余り増え過ぎないように、減り過ぎ ないようにということでの調整をするという仕組みがございます。  いずれにしましても、こうした保険料の在り方、それは軽減措置の在り方も含めまして、また 保険料の在り方の議論を行う際に十分、御議論いただければと思っております。 ○岩村座長 近藤委員、よろしゅうございますか。  ほかに、大体ひと当たりの議論が出ればと思いますが、それでは、横尾委員お願いします。 ○横尾委員 資料の8〜10ページと関連することで、ちょっと文言として出ていませんので意見 を申し上げたいと思います。メリット、デメリットのところで運営主体を仮に都道府県とした場 合のメリットのところで余り詳しく書いていらっしゃらないので述べたいのですが、都道府県を 主体としますと、都道府県民を対象として現在も実施されています健康増進事業等があると思い ます。これは実は、人間個々人の人生を考えても、誰も好んで病気にはなりたくないわけで、是 非健康でいたいと。そういった意味でも健康増進は非常に重要なのですが、そのことを含む医療 費の適正化ですとか、医療サービスの提供の政策等を都道府県は保健所等も関連しながら推進し ていただいていますので、これらの政策と極めて有機的な連携を図ることがおそらく可能になる と思われます。こういったことは今現在、我々が運営しています広域連合では、なかなか十分に は連携が図りがたい面がありますので、是非、都道府県のメリットとしても御認識いただければ と感じているところです。  また、若干書いてありますけれども、併せて広域連合自体は議会で運営して予算を決定して動 きますが、その議会の運営や準備、また委員会もありますし、そういったことについても実は事 務負担等も内部的には結構それぞれ発生しておりますので、そういったロスの部分等も勘案する ことが必要かなと感じているところです。 ○岩村座長 ありがとうございました。  堂本委員どうぞ。 ○堂本委員 本当は神田知事さんに答えていただきたいところなんですが、お手をお挙げになら ないので私からちょっと。当事者というよりは知事の経験から。別に反論するわけではないんで すけれども、横尾委員のおっしゃっていることは確かに県がやっています。しかし、具体的な供 給のサービスについては、どこにどういう高齢者の方がいらして、どういうサービスを求めてい るかという実態は、やはり基礎自治体である市町村の方が把握できます。ですから、確かに都道 府県が主体となると、医療適正化のこういった医療サービス提供等の政策と有機的な連携を図る ことができるというメリットはありますが、このメリットで都道府県が主体になるべきだという のは、私としてはちょっと違うんじゃないかと考えています。これは神田知事に是非フォローし ていただきたいけれども、都道府県の側から言いますと、実際には市町村がサービスを提供する わけで、都道府県にとってはこれは大きなデメリットになる。したがって、市町村が運営主体に なることのほうががメリットになるんだということを強調しなければいけない。これは私もこの 間まで全国知事会で、ちょうど神田知事さんが座っていらっしゃるところに座って、そういうこ とを主張し続けてきたものですから、出しゃばってしまってごめんなさい。ちょっとおっしゃっ ていただいた方がいいんじゃないかと思います。 ○岩村座長 では、堂本委員の御指名でございますので、神田委員お願いいたします。 ○神田委員 各委員さんの御提案に対する質問ということが中心で展開されていたと思いました ので、あえて発言をいたしませんでしたが、せっかくの機会ですので少し、今、堂本委員が触れ られたことも含めてお話ししたいと思います。  たまたまいろいろなパターンでメリット、デメリットということでまとめてございます。今日 いただいた資料もまとめてあるんですが、まず、メリット、デメリットなんですが、極めて形式 的といいますか、定型的なものが多くて、例えば今、広域連合で実際に運用されておりますけれ ども、これもメリット、デメリットというのは、ここの表示で本当にこの指摘でいいのかどうか ということは、私どもはとても疑問に思っております。と申しますのは、例えば、これからどの ような制度設計にするのかという場合に、デメリットは致命的なものなのか、改善の余地がある ものなのか、あるいは重大なデメリットなのか、この辺が極めて形式的なんですね。したがって、 私どもはメリット、デメリットはもう少し現場に即した精緻な判断が必要だろうと。私が第1回 のときに、たかだか47の広域連合しかないわけですので、実地でいろいろ調査していただきたい と言ったのは、背景にはそういうことがございました。  それから、今、堂本委員にいろいろお触れいただいたことですが、現場で、基礎的自治体であ る一番住民に近いところというのは、さまざまな情報やら直接ニーズを体感できる重要な役割を 果たしていただいております。したがって、特に福祉の分野などは市町村が重要な役割を担って いただいておりまして、それを都道府県というのは広域的な立場で束ねたり、あるいは御協力を 申し上げたり、サポートしたり、時には御一緒して事業を前へ進めたりということをやっており ます。  たまたま今、御指摘いただいたことの関連からいけば、例えば、今、健康相談だとか保健指導 だとか、あるいは健康診査など大変重要な役割を果たしているわけでございますけれども、こう したものは医療保険とも密接に関係するわけですが、今、市町村においては保健センターなどの 整備が進んで、こういうところで中心になされておりますので、私はやはり市町村の役割という ものはとても大きいものがあると思っております。むしろ、我々都道府県の役割は一体、何だろ うと考えたときに、そうした市町村の役割をきちんとフォローして、サポートして、あるいは御 一緒していろいろな応援をしていくということだろうと思っております。  なお、せっかく発言の機会を与えられましたので、議事進行についても一言だけ申し上げたい んですが、これも前回申し上げました、医療費のあるいは保険給付費の推計などは是非とも資料 として出してほしいと。それは第4回目の個別テーマになっているので、そのときに出していた だけるということでございます。けれども、よく考えてみると、今日の議論になっております枠 組みあるいは運営主体をどうするかというのも、本当にこれからの医療費あるいは給付費の推移 を頭から除いて議論して本当にいいんだろうかと。例えば5年後、10年後、20年後どうなってい くのだろうかということをしっかりとらまえて議論していかないと、とても心配になってまいり ます。したがって、今日のテーマも次回の負担の議論も、本来は一体のものだろうと考えており ます。  今日は残念ながら厚労省から資料が出ませんでしたので、やむなくこちらで大変ラフな推計で すけれども、やってみました。平成21年度の予算ベースの数字を基礎にして、かねて厚労省の方 はたしか平成17〜18年ごろだったと思いますが、お示しになった将来の伸び率、これは年率で 3.3%ですが、こうしたものを使って簡易な推計をやってみました。これで見ると、保険給付費 全体では5年後に約20%弱、10年後には約40%弱の増加が想定されております。加えて、今回の 議論の対象になっております後期高齢者医療とそれに国保を合わせた給付費は、医療給付費全体 の約3分の2を占めておりまして、この2つの給付費は5年後の平成26年には現在の約20兆円か ら3〜4兆円の増になることが、ラフな計算の中で出てまいりました。これによると、保険料の 増のほかに国・地方公共団体の負担は2兆円の増、他の保険者からの支援金は1兆円の増になり ます。更に、10年後の平成31年度には現在の20兆円程度から7〜8兆円の増になってまいりまし て、国・地方自治体の負担は4兆円の増、保険者からの支援金は2.5兆円の増という、とんでもな い大きな増加が見込まれております。  そういうことをきちんと頭に置いて議論をする、その上で枠組みを考えるということをしてい きませんと大変なことになるなというのが正直なところでございます。したがって、次回には出 していただけるということでございますので、次回我々もそれをしっかり分析して、負担の問題、 それから、フィードバックした枠組みやら運営主体の問題についても改めて申し上げなければな らないと思っております。  それから、これも重要な論点で避けて通れないことですけれども、今回の枠組みをどうするの か、制度設計をどうするのかということで、第1回目のときも第2回目のときも幾人かの委員さ んがおっしゃいましたが、もともと老健があって、さまざまな問題があって新しい制度にしよう と。新しい制度にしたことによって改善されたいい面もたくさんあった。しかし、また別の問題 が出てきたので、新たな制度設計をしようということですので、やはりよくなったことはしっか り踏まえた上で、今度の制度設計にも生かしていかなければいけないと思います。  そのよくなったことは幾つかあるんでしょうけれども、私は現役世代と高齢者との負担の明確 化というのは、よくなった点の重要なポイントだと思います。それから、保険者間もあいまいも ことしておりましたのが明確になった。この明確になったということを今度どう生かしていくの か、これは重要なポイントです。したがって、リスク調整型であれ、あるいは突き抜け型であれ、 そのほかのパターンであれ、こうした明確化をどうするのか。実はこのことは独立にしないとい うことと極めて微妙な関係になってまいります。今回、後期高齢者医療制度は独立にするという ことでその明確化を図りましたけれども、それをやめてしまうということになると明確化が大分 後退します。では、代わりにどういう方策をするのか。いつぞやどこかの新聞に抜き打ち的に出 ておった案もありますけれども、ああいうことを厚労省がお考えなのかどうなのか、極めて気に かかるところです。  それから、国であっても地方自治体であっても公費負担を増やしていかないと、もう何ともな らない事態になってくると私は思います。この公費負担をどうするのかということは、国民皆保 険をどう維持していくかということとの裏表の問題で、本当にこれは政府がどこまで覚悟がある のかということだろうと思います。恒久的な財源がどうしても必要になる話ですので、消費税の 問題等も絡んでくるでありましょう。この実施を当面先送りされましたので、極めて今回の議論 は窮屈な感じもいたしております。  堂本委員から振っていただきましたので余分なことまで申し上げましたが、いずれにしても今 回の議論は、財源問題あるいは負担問題と全く切り離すことは大変危険な問題であるということ を指摘しておきたいと思います。 ○岩村座長 神田委員、貴重な御指摘をどうもありがとうございました。ただ、議論の整理とし て、全部を一緒くたにやりますとなかなか整理がつかないものですから、今回は運営主体と。次 回にまた以降ということで、最後にまた全体を取りまとめて総括していくという形での議論の進 め方ということで御理解いただければと思います。  大体議論が一巡したかという気がいたしますが、私から1点だけ堂本委員に御質問がございま して、公平性という観点から見たときに、何か運営主体の在り方ということについて堂本委員の お考えがあれば、この際お伺いしておきたいと思います。 ○堂本委員 神田知事さんが今おっしゃってしまったんですが、私は最初から何度も座長も運営 の仕方でお願いしたいんですが、各論に入る前に制度論を、せっかく民主党が大きな変革を遂げ られたわけだから、その中で皆保険をどうやっていこうかということをきちんと示していただく ことがとても大事。そのことは、究極的なことをズバリ言わせていただけば、今、神田知事が言 われたように、一体、財源がどうなのかというのがわからない中で枠組みを決めるということは、 役所の方は皆さん十分わかっていらっしゃると思いますけれども、それが市町村であれ、都道府 県であれ、行政の場に携わった人間であれば、どれだけ財源の問題がすべてを縛ってきているか ということを経験から理解しているはずです。ですから、やはりこれだけ医療費が増え続けてい る、そして、それを誰がどのように負担するかという視点を念頭に置くことが最も大事であると。  私が最初に申し上げた公平性ということは、いろいろな団体から、それは10年前の老健のとき もそうだったし、常に同じような議論がこの間ずっと日本国では繰り返されてきましたけれども、 どこが出すか出さないかという議論をやっていたのでは、いつまで経っても本当の意味での突き 抜けた制度論にならないのではないか。だから、この際せっかく政権交代という大きな変革の時 期を迎えたのですから、大胆に変えられるところはお変えいただいて、国民が公平だと感じられ るような制度にすべきではないかということを頭で申し上げたんです。  したがいまして、公費、つまり税金が、保険料と保険者の財源調整における負担の不公平感を なくす緩衝材になっていくのだろうと思っています。したがって、負担すべき額を負担できる額 に調整して、誰もが平等に負担しているんだ、と実感できるような公費の入れ方をしていくべき です。  私もさっきから何人かの委員さんがおっしゃっていたように、年齢による輪切りは反対ですと 申し上げました。しかし、本当にそれでいいのか。後期高齢者医療制度は、どこにどれだけ経費 がかかるかということを相当明確にした。そのことをあえて今日の枠組みと考えるということで、 一生懸命いろいろ議論してから来たんですけれども、その中で枠組みを外してしまって、それで 池上委員に御質問申し上げたんですが、完全に75歳以上の後期高齢者が国保の中に入ってしまう 方式は、どこでどのように費用負担がかかっているのかということが不明確になってしまうので はないかと思います。  年齢による区分をやめて、なおかつ公平にするというときに、やはり制度として非常にあいま いになってしまう可能性があります。私が公平の論点からということは、そういった財源論をき ちんと踏まえた上での制度設計が大事だと。そのことに対して政府がどのような決意をお持ちに なっているかということを踏まえて、私たちは先に行くことが大事だという観点で申し上げたい と思います。  ありがとうございました。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。  それでは、大体議論が一巡したと思いますので、また必要があれば時間の許すところでお戻り いただきたいと思います。それぞれ今日の資料にあります各委員、特に2ページからあります4 つの案に対して、それぞれ御質問などが出ておりますので、それにお答えいただくというのも何 となく議会の答弁のようであれですけれども、お答えいただくと同時に、追加の御説明あるいは コメントをいただければと思います。順番としては、今日の資料で並んでいる順序で、これは特 に意図があってこうしたわけではないので、アットランダムにこうなっているだけですが、その 順序でお願いしたいと思います。  そうしますと、まず最初に池上委員からになります。よろしくお願いします。 ○池上委員 それでは、記録している範囲で順にお答えさせていただきます。  まず、樋口委員から性について考慮する必要はないのではないかという御指摘がございました けれども、年齢階級によっては一人当たりの医療費に男女差がある階層もございますので、でき ることなら性を入れた方がよろしいと考えた次第です。  次に、対馬委員から保険者機能はどうなるかということに対する御質問がありましたけれども、 保険者機能を発揮するためには、医療機関単位で加入者がどのような医療を受けているかという データを集約する必要があります。ところが、全国単位の保険者であると加入者が受診する医療 機関は全国に散らばっておりますので、各医療機関ごとのデータを集約することは難しい。した がって、都道府県単位の保険者の方が保険者機能を発揮しやすいと考えております。同様に、ヘ ルスの活動についても地域性が高いわけですので、この面においての保険者機能を発揮する上で も、都道府県単位の方が適切と考えた次第でございます。  3番目に、たしか小林委員だったかと存じますが、まず、国の補助と拠出金等の財政調整の組 み合わせをどう考えるかということでございますが、これは費用負担の問題でございまして、次 回のこの委員会で検討することになっておりますので、あえてここでは申し上げません。具体的 にどうすればいいかということは十分に話し合って、または御指摘のように慎重に対応する必要 があると思います。ただ、私が案で強調いたしましたことは、段階的に進めないと混乱が生じま すので、いきなり制度改革をするのではなく、私が提示しましたのは4段階で都道府県に集約す る案で、各段階ごとに実績を見て軌道修正するなり、よりベターなものに変えるということを想 定しております。このタイムスパンとして5年なのか10年なのかは進捗状況、また、国民の反応 を見ながら考え直す必要があるかと存じます。ただ、段階を踏む上で例えば、組合、健保と共済 組合との統合を考えておりますのは、一応所得の捕捉が同じ基盤に立っておりますので、そうい うところからなら統合も考えやすいのではないかという点でございます。  次に、小島委員から退職者はどこに加入するかということでございますが、これは段階的に新 しい構想に移るわけですので、退職者は現段階では国保ないし75歳以上であれば後期高齢者の広 域連合であって、これは平成25年まで存続しますので、そこに加入する。平成25年時点で高齢者 制度が衣替えしたときにはどうなっているかと。それは、運営主体がどこになるかということに 関係しますが、受け皿ということでございますので、今の広域連合が受け皿となるのか、あるい は国保が都道府県単位で統合したものがなるのか、あるいは協会けんぽの支部が母体となるのか、 これはM&Aでございますので、どちらが存続して、どちらが統合されるかというのは、これか らの議論を踏まえて決めるべきことですので、それは今後の議論に残したいと思います。私がこ こで提示したのは、このように段階的に移るということを申し上げた次第でございます。  最後に、堂本委員から公平性の問題と、私の案ではあいまいであるという御意見をいただきま したけれども、私は年齢による区分、つまり日本人を高齢者とそれ以外に二分する制度の在り方 というのは、この会議の出発点として問題であるという認識で始まったと理解しています。その 上でどのように対応すればいいかといいますと、ここに私が御提案申し上げたように、年齢とい うのは5歳階級ごとの一人当たりの医療費の差を調整する。それから、所得構成の差を調整する。 この差を調整することによって、加入者による医療費のかかり方の違いを調整すれば、おのずと 都道府県単位に統合する基盤が形成されるであろうと。その基盤が形成されるまでには幾つかの 段階があるということで、この案を御提示申し上げた次第です。  これで御質問いただいた内容にお答えできたかどうかわかりませんが、もし、不足している点、 わかりにくかった点がございましたら御指摘いただければ幸いでございます。 ○岩村座長 ありがとうございました。  多分1点、保険料の拠出の仕方はどうなるんでしょうかという御質問があったのではないかと いう気がいたします。高齢者の保険料の拠出の仕方と現役、例えば、被用者の保険料拠出の仕方 はどうなるのでしょうかという御質問もあったように思いますが。 ○池上委員 後期高齢者医療制度が平成25年まで存続する間は今のとおりですし、そのころ国保 の方が都道府県単位で統合すれば、後期高齢者制度に準じた扱いになるのか、それは今後の課題 として検討するわけでございまして、私は統合へのロードマップを御提示したまででございます。 その具体的なディテールとしてどのような形で所得を捕捉する方法の1つは、やはり社会保障番 号など所得補足をしっかりしませんと、どうしても不公平感が残ると思います。そこで、所得補 足あるいは社会保障番号を抜きに公平性の議論はできないと考えております。 ○岩村座長 ありがとうございました。  今の御説明でまた更に御疑問がわいたという方も、もしかするといらっしゃるかもしれません が、とりあえず先に進めさせていただきたいと思います。その上でまた戻っていただけたらと思 います。  では、対馬委員お願いいたします。 ○対馬委員 三上委員だったと思いますけれども、年齢で切るのはどうなんだと。それに対して この案というのは合っているのだろうかということですけれども、私どもの当初の案は2ページ 目の下の方の左側に「○」が4つ書いてありますが、○の一番上と2番目と一番下、この3つだ ったんですね。やはり6原則といいますか、6元一次方程式を解くためには「○」の1つ目、2つ 目、4つ目だけではなくて、やはり3つ目、現役のところを伸ばしていくということで65歳だけ で切るわけではないと。しかし、高齢者を対象に医療制度をつくっていくんだという6元一次方 程式に対する解答としたつもりなんですね。ですから、私どもとしましては、当初の6原則には 沿っている中身だと思っています。 ○岩村座長 ありがとうございました。対馬委員に対する御質問は、たしか私の記憶でもその1点 だったかと思います。  あと比較的御質問がいろいろあったのは小島委員ですね。お願いします。 ○小島委員 4名の委員の皆さんから御質問をいただきました。ありがとうございます。前回も 宮武委員からも2つほど御質問がありましたので、それも含めて答えたいと思います。  まず、対馬委員から御質問をいただきました。3ページの私の考え方の論点の中にも指摘してお ります、雇用の流動化が進んでいるという中で、その被用者グループだけというのはどうなのかと いう指摘です。ここは私どもは従来から基本的に雇用労働者については被用者保険に加入すること を目指すべきだろうと思っております。雇用労働者については被用者健保に原則加入することを目 指すということと併せて、「突き抜け型」にするということです。そこで、加入要件としては、と りあえず被用者健保の加入期間25年、これはちょっと長いと私も思っております。現在の退職者医 療制度の加入要件は20年ないし40歳以上であれば10年ということですので、そのぐらいまでは弾力 的に考える必要があると思っております。そういうことで対応できるのではないかと考えておりま す。  それと、高齢者がこれから増大していくということで、いわば「突き抜け型」にした場合に被用 者グループは本当にもつのかどうかという御質問ではないかと思います。確かに、高齢化が進んで いけば、どういう制度であれ高齢者が増えてき、その費用はかさむ。これを国民全体でどう負担す るかということです。その際には、保険料あるいは公費、そして、一部自己負担といういわば3つ しかありませんので、その負担の割合をどうするか。これは制度をどう考えるかということによっ て考えるということなので、「突き抜け型」だから高齢者の医療費負担に耐えられないということ ではなくて、その際に公費をどれだけ投入できるか、何歳から入れるかということにもかかわって くるのではないかと思っております。連合はとりあえず70歳以上の高齢者については費用の半分は 公費投入と考えております。ここはもう少し下げるということで、対馬委員が指摘している65歳ま で下げるということも一つの選択肢であると思います。公費をどれだけ入れるかという問題だと思 いますので、そういう中で対応すべきではないかと思っております。  それから、岡崎委員から指摘されました点は、これも論点のところに出ております。確かに、厚 生年金、被用者年金グループが国保から外れると国保財政は厳しくなるということです。これも同 じように、現在の制度を前提にすれば確かにそうですけれども、このときに高齢者に対する公費の 負担割合をもう少し増やしていく。75歳ではなくて70歳あるいは65歳というところまで引き下げて、 公費5割を投入するということであれば、市町村国保の負担が今以上に増えることの解消にはなる のではないか。ここも負担をどう考えるかという、保険料・公費の割合をどう考えるかということ にかかわってくるのだろうと思っております。  それから、小林委員から指摘されました点です。確かに、現在の協会けんぽでは退職者の住所把 握は難しいということですので、ここは切り替え時のときと、今後新しく退職される方の扱いも考 えなければいけないと思います。もし、切り替え時に連合が言うような25年ないし20年の被用者健 保に加入歴がある人について、退職者健康保険制度に入るとなると、確かに住所録はありませんの で、そこは日本年金機構から住所録データを出してもらうという形で考える必要があるのではない か。連合は、被用者の退職者については、基本的に保険料は年金天引きを考えておりますので、そ ういう意味では年金機構との連携が必要です。あるいは新しく退職された人については、退職時に 本人から住所録の届け出を協会けんぽに出してもらうという方法もあるかと思います。ここは切り 替え時に過去の人も一緒に新しい制度に入れるか、スタート時、切り替え時以降に新しく退職にな った人から入れていくかということにもかかわることになります。これは、これからの選択ではな いかと思っております。この点は前回、宮武委員が指摘されたことでもあります。そこは2つの考 え方があるので、現実的な話で言えば、切り替え時から新しく退職された方から「突き抜け型」の 加入者になっていくということではないかと思っています。その方が、協会けんぽにとっても事務 負担が増えないと思いますので、その点はこれから詰めなければいけないと思っております。  最後に、三上委員から指摘されました高齢者の医療負担を社会全体、国民全体で支えるという社 会連帯から考えた場合に、被用者グループだけでは少し問題ではないかという指摘がありました。 この問題は、保険料による負担、支援だけで社会連帯を考えるのかどうかということでもあります。 さらに、公費を通じた社会連帯という考え方もあると思います。現在のように後期あるいは前期に 対する支援金あるいは拠出金という保険料による直接支援という形での社会連帯の方法もあります。 一方、公費を通じた社会連帯もありますので、ここも費用負担の在り方にかかわってくるので、必 ずしも「突き抜け型」だから国保の高齢者に対して全く支援をしないということではないと思って おります。公費を通じてとなれば最終的には公費の財源という問題になります。また、拠出金ある いは財政調整ということも選択肢としてはあるかなと思います。そこは具体的にどういう将来推計 をするかということにかかわってくるかと思います。 ○岩村座長 ありがとうございました。  では、樋口委員どうぞ。 ○樋口委員 追加質問です。突き抜け方式というのは、労働組合初めこの問題について伝統的な御 意見であり、今もなお力のある御意見だと承っておりますけれども、樋口がすぐ性別だのジェンダ ーだのと言い出すとおしかりを受けそうですが、このメンバーの中では女は2人しかいなくて、ち ょっと少な過ぎると思っていますので、言わせてください。  突き抜け方式というのは一つの在り方として意味があると思うんですが、対象者は被保険者期間 が通算して一定期間25年を超える退職者となりますと、これはもう男女の比率がものすごい格差で すよ。これからは変わってくると思いますけれども。現状では女性で25年勤めていわゆる定年退職 できる人は、労働組合は百も御存じだと思いますが、男を10とすると女は1か2いるでしょうか。 男女比率から言いまして物すごい男性保健組合になってしまいますけれども、よろしいのでしょう か。そうした組合に属する男性及びその被扶養者だけが比較的公費など財源の豊かな健康保健組合 にいるということは、私はそれこそ公平の原則から言いますと、かなり男女格差につながると申し 上げたい。これからは職場で女性の登用が大分進んでおりますし、妊娠・出産で辞めない人も増え ておりますから。ただ、現時点では何か悪いけれども、過去の負の遺産というか男一色の健康保険 組合になりそうだという危惧を申し上げておきたいと思います。 ○岩村座長 小島委員、とりあえずお答えいただいて。 ○小島委員 確かに、そういう指摘はあるかと思います。これも連合の考え方を取りまとめたのが 十数年前ですので、そのときには今のように非正規労働者の比率が雇用労働者の3分の1というよ うな状況ではありませんでした。そういう意味では現在の状況に合わせて加入期間をもっと短縮す るということ、冒頭言いましたように、正規労働者以外の非正規労働者についても、基本的には被 用者健保の加入者にするということを前提にすることが必要だと思っております。 ○岩村座長 そういうことで、最初に横尾委員がおっしゃった最近の状況を踏まえた最新の考え方 はどうかということなのかと思います。横尾委員どうぞ。 ○横尾委員 まさにそうなのです。今、十数年前とおっしゃって、私も驚いているのですけれども、 十数年に経って政権に近くなっておられますから、連合のメンバーだけではなくて広く国民を、僻 地も過疎地も離島も含めてお救いいただくような制度にすべきだと思うのです。それと、今、樋口 委員もおっしゃったように、特に最近、若年労働の問題が課題になっていますけれども、フルタイ ムではなくてパートタイムだったりします。そうすると、この25年には該当しなくなる。そういっ た意味では救えなくなるということもあります。片や連合としてはパートタイムの組織化も図って おられると思いますので、是非、新進気鋭の案を期待したいと思っています。 ○岩村座長 それでは、宮武委員お願いいたします。 ○宮武委員 3ページの一番最後の4というところでございます。大変簡単な図ですが、余り細か く書くと突っ込まれて答えられないから、なまくら四つみたいな図になっていまして済みません。 でも、基本的に私が最も危惧しているのは、10年、20年先を考えると、今の市町村の国保は持続可 能かどうかということをまず考えた上で、全体状況を考えて制度設計していかなければいけないの だと思います。  国立社会保障・人口問題研究所が市町村別の将来推計人口を出しております。現時点から言うと、 25年後の時点でどういう事態が起こるかというと、人口1万人未満の自治体が全国で626になりまし て、大体全体の35%を占めるようになります。とりわけ5,000人未満の自治体が極めて多くなってま いります。国民健康保険は地域によって加入率が違いますけれども、地方では大体その地域の住民 の4割ぐらいが国保に入っているわけです。そうすると、5,000人未満の自治体になってくると国保 はその4割の2,000人程度の加入者しかいない。まさにリスク分散ができないという市町村国保が全 国各地に続出するわけです。なおかつ、高齢化率が40%以上の自治体が25年後には753自治体出てく ると見込まれています。おおむね総数の42%です。2人に1人が65歳に以上になると限界集落と呼 ばれていますけれども、高齢化率が50%以上の限界集落ではなくて、自治体ごと限界に達する限界 自治体が132か所も出てくるんですね。それでは自治体としても市町村国保としても持続出来るわけ がないというのが、私の意見の大前提です。それを見据えた上で今の市町村国保ではもたないと、 再編成するしかないのではないかというのが私の基本的な考えです。  ドイツの疾病金庫、日本で言う健康保険組合に当たるところは、最盛期で約1,200あったのが今は 202まで集約されております。デンマークは人口が580万人程度の小振りな国でございますけれども、 2万人以上でないと自治体として認めないというルールをつくって、1,300もあった市町村が98まで 集約され、なおかつ公費医療でございますが、全国を5つの広域圏域に分けて、その5つの広域圏域が すべて医療については運営するという形で、保険者あるいは運営責任者を集約しています。  その上で、ここに描いてある図は、長妻大臣が6つの原則をお出しになったわけで、その中で年齢 によって区別をしないと言明された。私も従来からそうあるべきと言ってまいりました。そうすると、 今の後期高齢者医療制度の75歳以上の方はどこに移るかというと、市町村の国民健康保険に戻るしか ない。そこしか行き場がないんです。ただし、戻ってもらうだけでよいのかというと、市町村国保の 持続可能性はとてもじゃないけれども見込めない。となれば、ここはやはり集約化して都道府県単位 で都道府県が直接運営なさるか、あるいは県単位で全市町村参加の広域連合で運営するか、それしか 手がないのではないかと思うんです。広域連合化をするか、あるいは県直営でするかということにな ると、今の75歳以上の方たちはそっくりそのまま今の仕組みを入れてやるという手もありますし、あ るいは小島さんが御指摘されたように、75歳以上で別建ての財政調整をするのか、それとも皆さんの 御意見が65歳で区切るべきだとしたなら、65歳以上を別建てにして財政調整をする。おっしゃるとお り、同じ保険者の中で介護保険と同じように1号と2号の被保険者が出てくるという形の図が考えら れると思うんです。  横尾市長が私に御質問なさったように、被用者保険の方は納得するのかということですけれども、 この図はぴったり65とか75で点線を引いて区切っておりますが、では、被用者保険で65になっても75 以上になっても働いておられる方がおいでになれば、その方は今の制度にそのまま加入してもらうの かどうか、その点はむしろ、この場で議論したらどうかと思います。御本人だけを被用者保険に残し て被扶養者は国保に移すのか、それも含めてパターンとしては3つぐらいありますよね。完全に年齢 で財政調整の区分をすると、また年齢で輪切りにするのか、という批判が出てくる。では、御本人は 今の制度、被用者保険に残ってもいいのか、被扶養者は市町村国保が引き受けるのか、あるいは現役 であれば両方とも被用者保険に残ってもいいのか、それをやったときにどんなメリットとデメリット があるのか、むしろ次回以降でも事務局にパターン別にメリットとデメリットを出していただけない かなと実は思っております。そこはずるいので書いていないんですが、済みません。本当に漠たる形 ですけれども、そんな形で考えております。 ○岩村座長 ありがとうございました。  これで大体今日、御質問が寄せられた方々に対するお答えはいただいたと思います。既に樋口委員 から小島委員にという形で追加の御質問もあったところですが、今コメントなどをいただいたところ で、更に追加の御意見あるいは御質問などがありましたら、お願いしたいと思います。  阿部委員どうぞ。 ○阿部委員 質問のやりとりを伺っていましたが、私の意見を申し上げます。まずただ今、宮武先生 からお話があったように、後期高齢者は国保に戻すこと。これが大原則だと思います。そして、年齢 で区分するということはしないこと。それが仮に65歳であろうと、70歳であろうと、75歳ならなおさ らのことですね。これはもう後期高齢者医療制度ではっきりしたことです。65歳だからいいとは私は 思わない。65歳以上で独立させるということが問題なんです。それには賛成できません。  ただ、 宮武先生がおっしゃったように、財政調整を一体何歳からにするかと。公費と支援金です ね。これは65歳以上なのか、70歳以上なのかという議論があってもいいと思いますが、私は65歳以上 の方がいいのかなと。ただ、あとは財源の問題ということになってきます。その辺はお互いに議論を し、あるいは資料を出してもらいながら判断をしていけばいいのではないかと思います。  それから、実施主体、運営主体、保険者といろいろな言葉があるんですが、私としては前回も保険 者は都道府県ということを申し上げています。市町村は10年後、20年後を見るとやっていけないとい うことはお互い共通していると思うんですね。そうであるとすれば、都道府県単位に広域化するしか ない。そのときに保険者は今の広域連合なのか、都道府県なのかという選択になるのだろうと思うん です。私はやはり広域連合という新たな組織、これはお金もかかることですから、都道府県が責任を 持って保険者になると。今お話がありましたように、都道府県は医療制度のことについて全然関係の ない仕事をやっているわけではないわけですから。確かに経験がない、実績がないという問題がある と思うんですけれども、これから4年近く新しい制度に移行するまでの時間があるわけですから、そ の間に市町村との人事交流ということも考えていいわけですよね。  今、市町村と県との人事交流がやられていますね。そういうことを利用・活用して、市町村から県 に来て、あるいは県の職員が市町村へ行って経験をすると。その人が帰ってきてまた仕事をやる。そ れでも不十分なら当分の間、市町村から都道府県に出向してもらってもいいわけでしょう。今、広域 連合に出向しているわけですから、それを県の方に移行したって何ら差し支えはないわけです。今、 市町村と国の人事交流さえやられているんですよ。私の昔の所属は林野庁ですけれども、林野庁は市 町村と人事交流をやっています。市町村の職員が林野庁に来る、林野庁の職員が市町村へ行く、そう いう経験をしながら勉強する。市町村のこともわかりながら林野行政をやるということをやっている わけですから、そういう人事交流を考えれば、実績がないという問題については解決できるのではな いかと思います。  以上です。 ○岩村座長 では、池上委員どうぞ。 ○池上委員 私は、年齢による区分というのは単に加入する保険の問題だけではなく、財政調整ない し税の投入を考える対象として、高齢者に限るということが問題であると考えています。といいます のは、それをしますと、高齢者は負担の対象であるという目で見られることにつながりますので、あ る年齢をたとえ60歳、65歳、70歳、75歳、何歳であっても、その年齢を境に国民を二分するというこ とには変わらないと思います。したがって、財政調整において高齢者だけを対象とするというのは間 違っていると思います。  例えば、ある保険者があって加入者の平均年齢が35歳、別の保険者が55歳だとしますと、保険料が 所得に占める割合としては大分違うわけですね。それは公平と考えられるでしょうか。同じくある保 険加入者の平均所得水準が250万円と500万円であったとしますと、保険料率は同じく2倍違うわけで す。これは公平な制度ではないと私は考えています。したがって、確かに国民を二分した場合には高 齢者は医療費がかかるし、所得水準も低いわけですけれども、高齢者ということだけに焦点を絞った 財政調整というのは、結局は国民を二分することに変わりがないというのが私の考えです。そういう 観点から私は全年齢と所得をリスク構造調整するということを提唱した次第です。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、見坊委員どうぞ。 ○見坊委員 率直に言いまして、実務に重点を置いた議論となっていますので、我々利用者サイドに は理解しがたいものがあります。いろいろ勉強する意味でお伺いしているわけですが、ただ、この会 議には6ポイントの基本的な考え方が示されており、その考え方に沿って議論すべきものだろうと思 っています。  いろいろと今、難しい議論がありましたが、制度の仕組みとか枠組みとか内容が、そもそも利用者 にとって非常にわかりにくいものになっています。社会保障制度は世論調査の結果を見ましても、最 も重要な研究課題として国民が解決を望んでおり、持続可能で安定したものにしてもらいたいと言っ ております。この社会保障制度は国民全体が負担することによって維持されているものですが、話を 伺っていると若い世代と高齢者といった対立軸で論じられているような気がします。そして、そのこ とのメリットやデメリットまで整理されていますが、これは利用者にとってみるとちょっと話が違う のではないかと思います。  基本的な枠組みの意見として4つの案が出ていますが、その中でまず、一定年齢以上の別建て方式 は基本的なポイントから外れているのではないだろうかと思います。年齢区分をやめるということが 大前提になっていますし、高齢者全体もそれを望んでいる。理屈はわからないけれども、何かおかし いと。そういう点で民主党のマニフェストに賛意を表しているということがありますので、この案に は質問も意見も言いようのないところです。  それから、突き抜け方式ですが、これも御苦心の案だと思いますが、私ども戦後何十年と働いてき たわけですけれども、最近はいろいろ雇用の状況あるいは就労の形態といった点が大きく変わってい ます。これから先10年後、20年後には更に変わっていくだろうと思います。先ほど樋口委員が女性の 問題をおっしゃっていましたが、私も全く同感です。何か大きく抜けているものがあるような気がし ますし、また、企業の倒産、統合、リストラ、それによって今の若い人たちは職場が変わる、1つの 職場にとどまるということが期待できなくなっているという状況ではないかと思います。私自身も政 府管掌健康保険、国民健康保険、それから、大企業の健康保険組合、更に協会けんぽと4つの保険を 渡り歩いてまいりました。それぞれの制度においてはメリットもあり、デメリットもあると思ってい ますが、職業がどんどん変わる時代になっていくということを考えますと、一定の職場を中心に考え る案というものには疑問があります。  いずれにいたしましても、縦割りの制度、年齢による横割りの制度、こうしたものによって制度が 複雑になった。副大臣からお話がありました不祥事の問題、これはこうしたわかりにくい複雑な制度 の中で一体何があったのか、最も信頼している市町村と都道府県の間で何が行われていたのか、どう いうルールでこの制度が運営されていたのか、被保険者である我々には想像もつかないところです。 医療保険制度はもっとオープンで簡潔なわかりやすいものにする。そうした一つのビジョンを持って 論ずるのでなければ、第1段階の経過的な案としてはわかりますが、その先10年後、20年後はすぐに やってまいります。そのときにこの制度はどういうことになるのか、そのことを考えながら議論して なくはならないのではないかと思います。  樋口委員からまとまった意見が出されておりますが、理想的なビジョンというものを念頭に描きな がら、制度の長期的・抜本的な改革論議をするという方向でお願いしたい。今日までの議論の内容は、 私が高齢者の会議で解説しようと思っても、非常に複雑で困難だと感じております。そしてまた、高 齢者が納得できないだろうなと思っております。  以上、意見として申し上げておきます。 ○岩村座長 ありがとうございました。  対馬委員どうぞ。 ○対馬委員 どうもありがとうございます。先ほど来、地域保険論がありまして、段階的に統合して 最終的には地域保険にという話もあるんですけれども、やはり地域保険だけで本当にいいのかと。例 えば、池上委員からは医療機関ごとに集約した受診データをベースに保険者機能を発揮すると言われ ていましたけれども、やはりそれだけではいけないのではないかと思うんです。例えばどういったこ とかといいますと、健保組合は昭和53年に医療費通知というものをやったんですね。それからずっと やってきて、今やっと明細書の無料発行の義務化が地域で議論されていますけれども、そういうもの は地域保険から本当に上がってくるのでしょうかというのがありますよね。  それから、ジェネリックの使用促進というのもあるんですけれども、例えば、ある健保組合はジェ ネリックを使えばこれだけ安くなるという通知を出しまして、その結果、大体5割ぐらいがジェネリ ックに切り替えていただいたんですね。そうしますと、この健保の場合ですと15.3%、これは金額ベ ースなんですが、日本全体では6%ぐらいしかないんですね。それがジェネリックは15.3%まで切り 替わるといったことは、やはり被用者保険が、事業主、被用者、労働組合をバックにしているからこ そ一生懸命やって戦陣を切っていくということですから、やはり地域保険論だけではいけないのでは ないかと私どもは強く思う次第です。 ○岩村座長 それでは、今日まだ御発言になっていない鎌田委員どうぞ。 ○鎌田委員 今の地域保険が的確な保険者になれないのではないかというのは、例えば、長野県は老 人医療費が日本一安いとよく言われます。それから、茅野市は長野県の中でも5年連続して老人医療 費も一般国保の医療費も安い状態が続いています。それは地域保険の保険者がそれなりの健康づくり をしていることによって起きていることですから、企業側もそういう努力はしているけれども、地域 保険だからやれないということはまずないのではないかと思っています。  今日の本来のどういう保険者が適格かという意味では、介護保険みたいなものはできるだけ小さな もので済むので、市町村でやっていくことはできる。でも、医療がこれだけ高度化していったときに は、小さな医療とその間に今度は専門的な医療と二次救急と三次救急と分けていく、あるいはがんの 拠点病院も二次医療圏に1つ拠点病院ができているけれども、県ではがんセンターができつつあると ころが多くなっているということを考えれば、国民の安心を保っていくためにも県単位で一つの努力 をしていく。勿論、県単位でそれぞれの県で競争が行われて医療費が安くなって、天井知らずに上が っていくことを防ぐことができるのではないか。そういう意味では、医療に関しては県単位ぐらいの もので保険者になっていくことによって、それぞれの県が競争しながら住民の安心と医療費の高騰を 防いでいくことができるのではないかと思います。  問題は、県に任せたときに収納率を上げられるかどうか。市町村の方が収納率はきめ細かくできる。 だから、県に収納ということに関しては市町村が協力をするというシステムをつくることと、多分ど の知事さんもこれを背負うことはとても危険だと思っておられるだろうと思うので、これをやるため には国がそれなりに県がやりやすいように公的な支援をしていくということがきちんとやられること によって、広域で今後ずっとやれるかというと、広域ではやはり全体を見て医療費を下げようとする 努力や何かは、県がやるのとは責任感が随分違うんじゃないかという気がするんですね。ですから、 今後、保険者をどうしていくかというときには、県を軸にして考えるのが一番いいのではないか。  1番と4番のどちらかだと思うんですけれども、何となくあやふやで、みんなが初めにスタートす るのは4で、いずれ一元化ということを読んで持っていくぐらいで、そして、幾つかの問題点が当然 4の中にあるから、それを詰めていくというのが、自分としては一番いいのではないかと思っており ます。 ○岩村座長 では、岡崎委員どうぞ。 ○岡崎委員 市町村と都道府県の役割分担の話が出ましたので、少し原則論的なことだけ申し上げて おきたいと思いますが、私たち市長会は保険者は都道府県になるべきだと考えます。というのは、先 ほどからるる出ておりますように、人口の話もございます。高知県内は34市町村ありますが、一番小 さい村は人口600人です。人口600人で保険が成り立つわけがないので、やはり保険が成り立つ方向で 整理をしていくというのが大原則だと思っております。  私たちは保険者は都道府県になるべきだと考えておりますが、保険料の徴収は県庁の皆様方が県内 津々浦々徴収には行けませんので、保険料の徴収は市町村がやらなければいけないと思っています。 それから、意外と県庁というのは一般の市民・県民からしますと、敷居が高いところで入りにくいと ころなんです。いろいろな相談ごととか業務の窓口は市町村が担わなければ多分、現実的に回らない ので、そこはきちんと分けて保険者は都道府県が担って、安定的な財政も含めた形で制度設計して、 保険者として制度が崩れないようにという意味で申し上げているところでございますので、市町村は 市町村での役割をきっちり担っていくという思いですので、そこはきちんと区別していただきたいと いうことです。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、レディーファーストで堂本委員どうぞ。 ○堂本委員 今の市長会の御意見を伺って、ほっといたしました。というのは、これは市町村か都道 府県ではないと私は思っているんです。先ほど見坊委員がおっしゃったことは私も大賛成で、議論の ための議論というか、制度をつくる側の都合でやってはまずいのではないか。今回はあくまでも利用 者の立場でやるべきだろうと思うんです。公平というのはそういう意味で言っているんですが、その ことから運営主体を考えますと、都道府県か市町村かという分け方、あるいは広域連合かという分け 方ではなくて、例えば、財政規模の大きさから言えば都道府県の方が大きい、しかし、どんなサービ スでも今はどんどん基礎自治体に移行しています。ですから、徴収と実際のサービスは市町村でやる べきだろうと私は思うんです。ですから、そこのやり方は、県が保険者になるということではなくて、 県が担うべき役割はあるけれども、利用者にとって一番使いやすいシステムとしてどこが運営主体に なるのかという視点で議論をしていただけたらと思います。  以上です。ありがとうございました。 ○岩村座長 貴重な御指摘ありがとうございました。  それでは、お待たせいたしました小島委員どうぞ。 ○小島委員 私も今、堂本委員が指摘されたように、制度論から議論されていますが、そこに入って いる被保険者、加入者の意識というか立場を大事にすべきだと思います。「突き抜け型」にこだわる というのは、医療保険、現物サービスを支える保険運営主体として、そこに加入している被保険者自 身が制度を支えているという意識がどれだけあるかということが最終的に重要だと思っているからで す。自分たちが入っている制度を自分たちで支えているという意識をどれだけ持てるか、それが最終 的な大きなポイントだと思います。そういう意味では、保険方式をとる以上は、そういう意識を持つ にはお互い顔が見えるぐらい規模は小さい方がよい。しかし財政はそれではもたないので一定の規模 が必要だと思います。被用者グループは職場が一緒であり、あるいは同じ賃金労働者ということで、 そこでの共同意識は持ちやすいというメリットはなくすべきではないと思っています。  もう一つは、「突き抜け型」から外れた高齢者の皆さんはどうするかというと、そこは国保で抱え ざるを得ない、私の図もそうなっております。そのため、国保を都道府県単位に広域化する必要があ る。では、そのときに保険者をどうするかということですが、高齢者も抱えた都道府県単位の保険者 という形で考える。その際に、広域連合がいいか、県がいいかということですが、ここは全市町村が 加入する広域連合と都道府県による共同の広域連合という位置付けも考えたらどうかと思います。今、 広域連合は全市町村が加入している広域連合で県は入っていない。たしか、国保新聞に出ていたんで すけれども、岐阜県の「市町村国保の広域化研究会」では県と全市町村が加入した広域連合を保険者 とすべきだという考えが出されています。そういう形態も検討すべきではないかと思います。 ○岩村座長 横尾委員どうぞ。 ○横尾委員 広域連合が出たからではないのですけれども、神田委員さんと、できたら堂本委員さん にコメントを御指導いただくとありがたいのですが。やはり懸念の一つとしては財政の問題があると 思います。過去の知事会で、都道府県でどうでしょうかという議論が後期高齢者スタート前にあった ときも、やはりそういった面ですべての知事さんの御了解がなかなか得られなかった部分があると思 うのです。しかし、仮に新政権になり、そして、仮に今後の議論で財政的に国としてもかなり支援し ますといった中ならお引き受けできるのかどうか。併せて、今、堂本委員もおっしゃったように、市 町村もしっかり住民の目の前におりますので、全部引き上げて何もしないというわけではありません。 日々、健康のことですとか医療のことは気にしておりますし、仕事もしているわけですから、是非、 堂本委員も岡崎委員もおっしゃったように、良い協力・連携体制をとりながら実務はやる、財政では 国がしっかりサポートする、そして、より効率的なマネジメントを一緒につくっていくという形だと、 知事会も御了解が得やすいのではないかと感じるのですが、いかがでございますか。OBとして、現 役として。代表という意味ではございませんので、個人的感想で結構なのですが。 ○岩村座長 多分、機関を代表してということだと発言されにくいかと思いますので、神田委員の個 人的見解でも結構でございます。 ○神田委員 まさに今、その点について知事会PTでいろいろ議論をしております。私は前回も今回 もくどいほど申し上げているんですが、医療費、給付費は天井知らずですね。今、市町村の国保に法 定外の繰り出しを本当に苦労してやっておられる。例えば、アメリカのオバマ大統領の医療保険改革 などを見ていましても、今アメリカのGDPの医療費がおよそ18%ぐらいですかね。これが20年後、 30年後には、それこそGDPの3分の1になるというようなことが言われております。公的保険制度 を見ましても、あそこも高齢者と低所得者の保険制度がありますが、これも今はGDPの6%ぐらい いっているんですが、これも天井知らずだと。高齢化が進んだり、医療の空洞化が進めば避けられな い問題です。アメリカの場合は4,600万人ぐらい無保険者がいますので、皆保険ということで今大改革 をやろうとしていますけれども、なかなか政治的には難しい。  私どもも、市町村と県が対立し合う問題ではないと思っています。国民皆保険を国としてどうこれ から安定的に持続可能な制度に仕上げていくかという、本当に10年、20年、30年先の議論で制度設計 していかなければならないと思うんです。したがって、国の手当がこれから強化されるなら県が引き 受けるかという議論以前に、本当にどういう財政の仕組みでやっていくかのというメッセージを積極 的に国からいただくことで、どの保険者も安心すると思うんですね、これを守っていくと。残念なが ら、そのメッセージがなくて制度設計の各論ばかりいくということにものすごく危機感を持っていま す。したがって、次回いよいよ負担をどうするかという議論になるとすれば明確な今後の推計、どん どん高齢化が進みますので、我々PTにおいてもそういうものが出てきたら、かなり突っ込んだ議論 が知事会の中でもできるのではないかと思っております。  これはあくまでも私個人の感想めいたことでありますけれども、市町村と都道府県はもともと対立 する関係ではなくて、地域の県民の健康あるいは疾病をどうしていくかということですので、協力し 合う関係ですね。ですから、そういう姿勢で議論していきたいと思います。 ○岩村座長 ありがとうございました。  それでは、手短に堂本委員にお願いして、その後に近藤委員ということでお願いいたします。 ○堂本委員 最初に長浜副大臣がおっしゃいましたように、後期高齢者の14%を3%に抑えることが できた。だけれども、実質的にはやはり14%なんだろうと思います。そういうふうに考えますと、や はり財政の問題、公費をどれだけ投入できるのか、するのかということが問題になってくると思うの で、今の横尾委員の知事会が受けるかどうかということについては、私は当事者として来ているので 77歳として申し上げたいんですが、あくまでも利用者の側としては、やはりどれだけ公平な負担がで きるかということで、あとはどこが保険者になるのかということではないと思うんです。ですので、 そこはやはり何度も申し上げますけれども、財政的な裏付けは国の方できちんと現政権にやっていた だきたいというお願いでございます。  以上です。 ○近藤委員 今日、資料として先月出したばかりの本を配らせていただきました。今の論議の中で堂本 委員が言われた公平の視点について、保険料の負担等の視点で論じられることが多いんですが、健康 状態の公平という面も保険者が責任を負うべき公平の視点としてとても大事ではないかと思います。 データも見ていただきながら手短に補足説明させていただきたいと思います。  23ページをお開きいただきたいんですが、そこに追跡調査の結果があります。1万人を追跡したデー タをそこに載せさせていただきました。所得水準が高い方の死亡率を1としますと、最も所得水準の 低い100万円未満の高齢者では死亡率が2倍だというのが日本の社会の現実です。この現実も踏まえ て、今日は制度設計の論議ですけれども、実際に国民の健康保障、基本的人権ですので、それをどの ように担保するのかということを是非、御論議いただきたいなと思います。  そういう意味では、これはコンセンサスになっていると思うんですが、リスク調整だとか財政調整 を強化すること、お金持ちが集まっていて、病気が少ないところの保険財政がよくなるのは当然のこ とであります。そこにより多く御負担いただくというのは、その程度をどうするかという論議はある かと思いますが、今よりは強める方向で考えるべきではないかというのが1点です。  もう一点が、主体者の役割をどこが担うべきかということについてですけれども、保険者機能の強 化というと、いかに効率化するか、医療費をどう適正化するかという面ばかりが強調されるんですが、 被保険者の健康水準を守るということも大事な保険者機能だと思います。そういう意味では、都道府県 が医療費適正化計画あるいは実施の主体者になっております。都道府県単位の広域連合にするか、ダイ レクトに都道府県が担うかは当事者のいろいろな御意見を踏まえてだと思うんですけれども、やはり都 道府県レベルで医療費の使い方だけではなくて、被保険者の健康状態をしっかりモニタリングすべきだ と思います。健康格差をモニタリングすることをWHOも勧告しておりますので、是非、都道府県レベ ルで論議を進めていただきたいなと思います。 ○岩村座長 ありがとうございました。  では、三上委員どうぞ。 ○三上委員 財源の問題がかなり出ておりますので、私も今日出させていただきました日本医師会の 「高齢者のための医療制度の提案」というものを見ていただきたいんですが、これは独立型を想定して 2008年に出させていただいたので適当でない部分がございますが、理念は変わっておりません。5ペー ジに、日本医師会が提案する高齢者のための基本的スキームというものがありますが、ここでは基本的 には高齢者が所得格差の不安なく過ごせるように国が保障の理念でやるんだということで、75歳以上を 手厚く支えるということと、公費を9割入れて高齢者の医療を支えていくんだという理念。運営主体は 都道府県ということを言っておりますが、基本的には高齢者は高齢になればパラダイスというか、安心 できるという社会、国家をつくっていくのがいいんじゃないかという提案でございます。  ただ、公費の9割をどうして捻出するかということについては、いろいろな御意見があろうかと思い ますけれども、11ページから財源の確保に対しての提案も、保険料上限の見直し、先ほど近藤委員が言 われたように、高額所得者がたくさん負担するのがいいのではないかということで上限を上げていくと いうこと、あるいは13ページにありますように、被用者保険の中でも保険料率に差があるということで、 これを一本化して高い料率の方に合わせていけばどうかと。ここで何兆円か出るのではないかという提 案がさまざまございますので、参考にしていただければと思います。  以上です。 ○岩村座長 どうもありがとうございました。  まだいろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、ほぼ定刻になりましたので、今日の議論はこの くらいにさせていただこうと思います。  今日、運営主体ということで議論を皆様にしていただきまして、今日の議論である程度わかったこと は、いろいろ複雑だということはあるとは存じますけれども、運営主体ということで考えたときに幾つ かのレベルの議論がある、あるいは幾つか見方からの議論というのがあるんだということかと思います。 保険の財政ということから見たときには、どこにするかという問題はありますけれども、やはり都道府 県単位というような大きな単位にしないとやっていけないのではないでしょうかという御指摘があった と思います。そういう意味で、運営主体というのを保険の財政という観点から見ていったときにどうか という議論が1つあったと。  もう一つは、被保険者あるいは住民の方々の診療あるいは健康確保という観点から見たときの運営主 体あるいは運営体制の問題ということであって、それは基礎自治体である市町村のきめ細かいサービス、 それから、受給の把握等が要るのではないかということと、他方では都道府県レベルでの広域的な観点 からの調整なり、健康増進といったようなことも考える必要があるのではないかという見方の問題。  もう一つは、被保険者の人たちが直接窓口としてどこに行きますかという話、あるいは保険料を誰に 納めるんですかというレベルの話だったように思います。それは、被保険者の方々からすると、例えば、 いろいろな申請事務であるとか、保険料、保険証をもらうのにどこに行くかといった意味での非常に日 常的な関係で、一体どこがそういう役割を担ったらいいのか。あるいは保険料徴収という点からすると、 自分が直接保険料を払うのはどこなのか。あるいは保険料の収納あるいは効率的な徴収といった観点か ら見たときに、一体どこがそれを担うのかというような見方での問題というような、少なくとも3つ。 そのほか、例えば、突き抜け方式にした場合の問題であるとか、それから、年齢構造調整方式にしてい ったときに、先に進んだときにどういう問題があるかとか、その他いろいろ運用上の問題も含めてあろ うかと思います。  いずれにしろ最後に、市町村あるいは県の方々が皆さんおっしゃっていただいたように、県と市町村 というのが対立関係ではなくて、協調的な関係の中でどのようにして、よりよい高齢者のための医療の 制度・体制をつくって運営していくかということが1つのポイントとして指摘されていたのかなと思い ます。  私の方で今日伺っていて感じたことは、以上のようなことでございます。  今日は予定の時間もまいりましたので、ここまでとさせていただきたいと思います。次回の日程を一 応御確認いただければと思いますが、3月8日の午後5時20分から午後7時20分まで、時間帯は今日と 同じでございますが、そのように開催することを予定しております。詳細につきましては、事務局から 改めて御連絡をいたします。先ほど副大臣からもお話がありましたように、次回以降に議論する問題に ついて資料の要求等ございましたら、早めに事務局にお願いしたいと思います。  今日は御多忙の中、お集まりをいただきまして本当にありがとうございました。これで終了させてい ただきます。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199