10/02/05 第4回「健やか親子21」の評価等に関する検討会議事録 第4回「健やか親子21」の評価等に関する検討会 議事録 日時:2010年2月5日(金) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省 共用第7会議室 出席者:   山縣座長代理、井上委員、今村委員、衞藤委員、岡本委員、奥山委員   桑原委員、斎藤委員、迫委員、高山委員、田中委員、三上委員   森田委員、山極委員、渡辺委員  厚生労働省   田河総務課長、宮嵜母子保健課長、杉上虐待防止対策室長   朝川少子化対策室長、今村課長補佐、森岡課長補佐   馬場指導課医療確保対策専門官、後藤生活習慣病対策室長補佐 次第:  1. 開会  2. 議題    (1) 「健やか親子21」第2回中間評価とりまとめについて    (2) その他  3. 閉会 配布資料:  資料1 「健やか親子21」第2回中間評価とりまとめについて  資料2 「健やか親子21」第2回中間評価 資料集  参考資料 子ども・子育てビジョン 議事: ○事務局  皆さま、おはようございます。定刻となりましたので、ただ今から、第4回「健やか親子21」 の評価等に関する検討会を開催いたします。本日は、ご多忙の中、ご出席をいただきまして誠に ありがとうございます。委員のご出席の状況ですが、事前に柳澤座長と齋藤委員から欠席の、ま た岡本委員から遅れるとのご連絡をいただいています。また、桑原委員も若干遅れているようで ございます。事務局の方の関係ですが、国会等の用務の関係で出入があってばたばたするかもし れませんが、ご了承いただければと思います。  この検討会の議事の進行は座長にお願いすると開催要綱に書いてありますが、本日は柳澤座長 が体調を崩されてご欠席ですので、開催要綱に基づきまして座長と事務局でご相談させていただ いた結果、山縣委員に座長代理として本日の検討会の議事進行をお願いしたいと考えていますの で、よろしくお願いいたします。  それでは、山縣委員、よろしくお願いいたします。 ○山縣座長代理  おはようございます。今、ご案内がありましたように柳澤座長が今日は急遽ご欠席ということ で、僭越ではありますが、ご指名でありますので私が座長を務めさせていただきます。  今日で第4回目ですが、年度内に取りまとめるということで、今回ともう1回で終わりになる と思いますので、本日も活発なご議論をお願いしたいと思います。議事に入ります前に、事務局 から資料の確認をしていただきたいと思います。お願いします。 ○事務局  資料の確認をお願いいたします。皆さま方にお配りしている資料ですが、議事次第、座席表、 開催要綱がございます。次に、資料1「『健やか親子21』第2回中間評価とりまとめについて」、 資料2「『健やか親子21』第2回中間評価資料集」がございます。また、参考資料として「子ども・ 子育てビジョン」をお配りしています。また、委員のみでございますが、第3回検討会の議事録 を配布しております。以上、資料に不足のある方は事務局までお知らせください。 ○山縣座長代理  では、これから本日の検討になるわけですが、議題にありますように第2回中間評価のとりま とめということで、今までの検討会の議論を踏まえまして、事務局からとりまとめ案を提出して いただきましたので、今日はそれについてのご意見を伺うということになります。その資料とな りますのが、お手元の資料1です。ボリュームがありますので、少しずつ区切りながら事務局に 説明をしていただきたいと思います。資料1の1ページ目を見ていただくと目次があるのですが、 このIIとIIIの中間評価関係のことを前半にご審議いただき、その後のIV「今後の取組について」 を後半の約1時間でご議論いただく予定にしていますので、ご協力をお願いいたします。  では、目次とI「はじめに」について、説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料1に基づきまして目次とI「はじめに」について事務局よりご説明いたします。 資料1を1枚めくっていただきますと、「目次」を記載しております。大きく分けて四つの内容が ございまして、「はじめに」ということで最初に「健やか親子21」の策定や経緯について記載し ています。次にIIとして「第2回中間評価の方法について」ということで、指標の評価方法です とか、新たな指標と新たな目標値の設定について記載しております。IIIとして「第2回中間評価 の結果について」ということで、指標の評価ですとか各指標の分析について記載しております。 それから、IV「今後の取組について」ということで、指標等の見直しですとか今後5年間の重点 取組について等の内容を記載しております。  それでは、内容に移ります。I「はじめに」から説明させていただきます。1として「健やか 親子21」の策定について述べております。「健やか親子21」は21世紀の母子保健の取組の方向 性と指標や目標を示したものであり、2001年からの10年計画で、その達成に取り組む国民運動 計画であるとされています。「健やか親子21」の推進の基本理念として、ヘルスプロモーション を掲げ、それまでの母子保健事業の評価にQOL向上等の視点を取り入れております。「健やか親 子21」の課題達成に向けて、国民が主体となった取組を最優先し、国や地方自治体は地域におい て国民がそれぞれの課題を地域や個々人の課題として取り組めるよう支援することとされていま す。策定時に2005年(平成17年)にはそれまでの実施状況等を評価して必要な見直しを行うこと とされておりました。  2「健やか親子21の経過」にまいります。平成17年の中間評価以降について記載しております。 2005年2月に「健やか親子21」推進検討会が設置されて2006年3月に「健やか親子21」の中 間評価報告書が取りまとめられています。「健やか親子21」の中間評価報告書の内容については、 その下に記載しております。2ページ目にまいります。この推進検討会の下に設置された「食を 通じた妊産婦の健康支援方策検討会」において、妊産婦の適切な食生活等について検討を行いま して、2006年2月に妊産婦のための食生活指針が取りまとめられています。また、マタニティマ ークのデザインを募集して、2006年3月に発表されています。2009年3月には、新たに追加し た指標の再評価について検討を行うため、「健やか親子21」の評価等に関する検討会、当検討会 ですけれども、それを開催することとしております。第1回の検討会におきましては、「健やか親 子21」の計画期間についての検討を行い、次世代育成支援対策推進法に基づく都道府県行動計画 および市町村行動計画は母子保健分野の課題を含めて計画が策定される等「健やか親子21」との 関連が深いということで、両者を一体的に推進することが目標の達成に効果的であるということ でございまして、「健やか親子21」の計画期間を2014年まで延長して、行動計画と計画期間を合 わせることとされています。また、平成21年度内にこの検討会におきまして、今後5年間の取組 のあり方について報告書を取りまとめることとしています。  3「最近の少子化対策・健康増進対策の動向」にまいります。2005年以降の動きについて、簡 単に書いております。最初の丸につきましては、主な少子化対策の動向を記載しております。特 に2010年1月には、子ども・子育て応援プランの後の計画になります「子ども・子育てビジョン」 が策定されています。次の丸にまいりまして、主な健康増進対策の動向ということで、以下のも のを記載しています。以上でございます。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。I「はじめに」とその前の目次に関しまして、ご意見はございますか。  では、次の中間評価のところに時間が掛かると思いますので、途中で何かありましたらご意見 を伺うこととしまして、次のII「第2回中間評価の方法について」の説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料の5ページ目から説明いたします。II「第2回中間評価の方法について」の1 「指標の評価方法について」でございます。四つの主要課題の下に設定された67指標(72項目) について、第1回中間評価時の数値および策定時の現状値と比較するために、この下に記載して いるような手順で分析・評価を行っております。どのような手順かと申しますと[1]からになりま すが、直近値を第1回中間評価時の数値と比較して、「良くなっている」をA、「悪くなっている または変わらない」をB、「評価が困難」をC、調査がまだ実施されていないものはDに分類して います。次に、直近値を策定時の現状値と比較して、「良くなっている」を1、「悪くなっている または変わらない」を2、第1回中間評価時に新たに定めた指標等については3と分類しており ます。また、各指標については「結果」、「分析」、「評価」について記載しておりまして、「調査・ 分析上の課題」、「目標達成のための課題」を明確にしています。先ほど説明いたしましたA、B、 C、1、2、3に分かれているものというのは、資料2の参考資料1に記載しております。また、各 指標について、それぞれの目標達成のための課題等を明確にしておりますが、その結果について は資料2の参考資料に記載しております。  次の6ページにまいります。2「新たな指標と新たな目標値の設定について」の考え方を記載し ております。母子保健分野の新たな課題に対応する指標の設定について検討を行いまして、追加 することが適当であるとした指標については、2014年までの目標値を設定することとしています。 計画期間が2014年まで延長されたため、2010年までの目標値を踏まえまして、2014年までの目 標値について一部新たに設定することにしております。具体的には「増加傾向」、「減少傾向」等 としていた目標値を、可能な限り2014年まで達成すべき数値として設定しております。これらの 設定した結果については、IIIの方に記載しておりますので、後ほど説明いたします。これまでに 設定された2010年までの目標の評価については、第2回の中間評価、今回の評価とほぼ同時期で あることから、第2回中間評価の評価をもって代えることとしております。  3「『健やか親子21』関係者の取組について」でございます。取組の分析・評価については、健 やか親子21推進協議会に参加している85団体、都道府県、政令市・特別区、市町村を対象にア ンケート調査を実施して、分析・評価をすることにしています。また、協議会に参加している幾 つかの団体に関しましては、インタビュー調査を実施しています。この結果についてもIIIの方で 説明いたします。以上でございます。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。中間評価の方法でございますが、これも前回までに報告していただい ておりますが、よろしいですか。  では、具体的な中間評価の結果について、分けてお願いいたします。 ○事務局  それでは、7ページのIII「第2回中間評価の結果について」の1「指標の評価」についてご説明 いたします。67指標(72項目)のうち、直近値が得られた64の指標(69項目)について、先に述べ ました作業方法で分類を行ったところ、課題ごとの達成状況は表1のとおりでございました。第1 回中間評価時の数値と今回の調査の結果を比較して、良くなっている項目は70.8%(51項目)、悪 くなっている項目は19.4%(14項目)でございました。保健水準の指標、住民自らの行動の指標、 行政・関係団体等の取組の指標ごとの第1回中間評価時の数値と比較しての達成状況につきまし ては、8ページの図1のような結果になっております。第2回中間評価におきましては、住民自 らの行動の指標と保健水準の指標がさらに改善していることが判明しています。  それでは、8ページの2「各指標の分析」について説明いたします。これは67指標についての、 それぞれの評価についての説明でございます。1)の課題1「思春期の保健対策の強化と健康教育の 推進」についてです。(1)「子どもの自殺について」です。十代の自殺率は、10〜14歳までの自 殺率はほぼ横ばいということですが、15〜19歳までの自殺率は上昇を続けています。特に女子の 自殺率の上昇が、男子や他の年代と比べて大きくなっています。スクールカウンセラーを配置し ている中学校の割合や思春期外来の数などは策定時の現状値から着実に増加しておりますが、子 どもの心の相談医の数は横ばいで推移しています。必要に応じまして、資料2の6ページをご覧 いただければと思います。自殺の原因については正確な統計があるわけではありませんが、平成 20年中における自殺の概要資料、警察庁が発表している資料においては、19歳以下の原因・動機 としてはうつ病やうつ病以外の精神疾患等の健康問題が最も多くなっておりまして、次に学校問 題が多くなっています。子どもの自殺を防ぐためには、引き続き要因分析や相談体制・支援体制 の整備等を推進していく必要があり、思春期のうつ病等の精神疾患の早期発見や専門的に対応で きる人材の確保、学校における心の健康づくり等が求められるとしております。  9ページ目の(2)「人工妊娠中絶及び性感染症について」です。十代の人工妊娠中絶実施率と十 代の性感染症罹患率については減少傾向になっています。この理由としては、性教育における教 授法や教材開発が進み、着実に効果が上がっていると推測されます。ただ、感染症については、 定点報告の結果であることから、十代の性感染症の実情を必ずしも反映しきれていないのではな いかという指摘がございます。学校保健委員会を開催している学校の割合につきましても着実に 増加しておりまして、今後も引き続き取り組んでいく必要があるとしています。思春期保健対策 に取り組んでいる地方公共団体の割合は、ほぼ横ばいということで、特に市町村レベルでの取組 が低調となっている可能性があります。今後は、避妊法や性感染症に関する正しい知識の普及、 保健、医療、教育との連携等により、これらの取組を引き続き推進していくことが求められると しています。  同じページの(3)「十代の喫煙及び飲酒について」を説明いたします。十代の喫煙率、十代の飲 酒率は策定時の現状値から着実に減少しています。十代の喫煙率が減少した背景には、たばこ事 業法改正によるたばこ広告規制の強化や業界の自主的な取組である成人識別機能付自動販売機の 導入があると考えられます。目標は「なくす」ということでありますが、その達成のためにはた ばこ税のあり方の検討ですとか、高等教育機関の敷地内の完全禁煙等に取り組むことが求められ るとしています。十代の飲酒率が減少した背景には、販売時の年齢確認の徹底や酒類自動販売機 の適正な管理の徹底等の取組が考えられます。目標の達成のために学校における飲酒防止教育の 推進や組織の取組体制の確立とともに、保健所および精神保健福祉センターにおける未成年者の 飲酒に関する相談サービスの充実が求められるとしています。また、未成年と成年が混在する大 学等高等教育機関における飲酒の取扱いについても厳密に対処していく必要があるとしています。  同じく10ページの2)の課題2「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」に 移ります。資料2の13ページの下にある部分でございます。(1)「妊娠・出産に関する安全性に ついて」です。妊産婦死亡率は減少を続けています。妊娠11週以下での妊娠の届出率や母性健康 管理指導事項連絡カードを知っている妊婦の割合、助産師数等は増加し続けています。正常分娩 緊急事対応のためのガイドライン作成については既に目標を達成していました。産婦人科医の数 は策定時から減少していたのですが、平成20年の報告では平成18年に比べて増加を認めていま した。産婦人科医指数の増加傾向との判断は今後の推移次第であり、助産師数は増加しているけ れども関係学会・団体等が考えている必要な助産師数は満たしていない。11ページに移りまして、 短期間に不足を解消するだけの医師・助産師の増加は見込めないので、国民が安心して妊娠・出 産に臨める医療環境の実現に向けて、引き続き産科医療を担う人材確保の取組を推進していく必 要があると考えられます。  11ページの(2)「妊娠・出産に関する快適さについて」を説明します。妊娠・出産について満足 している者の割合は増加しているけれども、第1回中間評価時から今回の直近値までの増加幅は 小さくなっていました。特に「出産体験を助産師等と振り返ること」や「産後1か月の助産師や 保健師からの指導・ケアがあること」という項目で満足が得られていないという結果になってい ました。助産師・保健師による産後のきめ細やかなかかわりは、産後うつや虐待予防につながる とともに、育児への前向きな気持ちを高め、継続的な支援のスタートになるとの指摘があり、重 要であるとしています。  同じページの(3)「不妊治療への支援について」です。不妊専門相談センターの整備や不妊治療 を受ける際にカウンセリングを受ける割合は増加を続けております。不妊専門相談センターにつ いては、既に全都道府県に整備されておりまして、目標を達成しておりました。不妊治療を受け る患者がカウンセリングを受けられる割合というのは、目標が100%ということもありまして、 目標を達成するためには不妊治療の経済的負担の軽減を図る特定不妊治療費助成事業の実施医療 機関の指定要件に、例えば不妊カウンセラー等の配置を加えることを検討することが必要である としています。  12ページの3の課題3「小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備について」を説 明いたします。資料2の21ページに当たる部分です。(1)の「小児保健医療水準について」を説 明させていただきます。周産期死亡率・新生児死亡率・乳児死亡率・幼児死亡率は直近値まで減 少を続けています。小児救急医療体制に関する指標についても増加していました。予防接種に関 する指標ですが、6か月までにBCG接種を終了している者の割合、1歳6か月までに三種混合・ 麻しんの予防接種を終了している者の割合についても増加しています。かかりつけの小児科医を 持つ親の割合や、小児救急医療機関を知っている親の割合は、逆に減少傾向ということでした。 幼児の死亡率は減少を続けていますが、国際比較ではOECD加盟国のうち17位であり、今後取 組を強化していく必要があるとしています。かかりつけの小児科医を持つ親の割合は減少してい ますが、その理由として、小児科医を受診する必要があるような疾患に子どもが罹患したことが ないことが考えられるということで、個別健康診査や予防接種の機会を通じて、かかりつけの小 児科医を持つことが望まれるとしています。また、休日・夜間の小児救急医療機関を知っている 親の割合も減少していますが、小児救急電話相談事業(#8000)や、インターネットで医療機関を 探索してすぐに受診することができる等の事情も入っているということが考えられるので、今後 はこのような事情を加味して指標を評価していく必要があるとしています。予防接種に関しまし ては、予防接種の指標は向上していますが、特に接種率を高めるために予防接種に関する普及啓 発や予防接種を受けやすくする実施方法の工夫等を行うことが求められるとしています。ただ、 予防接種に関する調査結果は、前回のものは乳幼児健診時の保護者からの聞き取りに基づくもの で、思い違い等の不正確な回答が含まれている可能性があるので、厚生労働省からも同様の統計 報告が出ていることがわかりましたので、今後はこのデータを基に評価を行っていくことが望ま しいとしています。  13ページの(2)「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」です。SIDSの死亡率については着実に 減少し続けています。SIDSの発生率を高める三つのリスク要因がありますが、それに関する指標 についても直近値まで減少し続けているという状況でした。SIDSの死亡率の減少の理由の一つに、 対策強化月間を定めてのリスク要因に関する普及啓発の活動があると考えられ、この取組を継続 していくことが必要であるとしています。育児期間中の父親の喫煙率も減少傾向にあるけれども、 依然として高いということで、これを防ぐ取組が求められるとしています。  同じページの(3)「子どもの事故について」を説明します。不慮の事故死亡率や事故防止対策を 実施している家庭の割合等は改善傾向となっています。この背景には第1回中間評価の重点取組 として設定されていました小児の事故防止をはじめとする安全な子育て環境の確保の取組が寄与 している可能性があるとしています。また、事故防止対策を実施している市町村の割合は、第1 回中間評価時までは増加していましたが、直近値にかけては減少しているということで、市町村 の健診時における事故防止の取組が停滞している可能性があると考えられます。子どもの事故の 死亡率は依然として1歳以上ですが、死亡原因の第1位ということですので、引き続き子どもの 安心・安全な地域づくりに向けた環境整備が必要であるとしています。  14ページの(4)「病児支援について」ということで、主に慢性疾患児についての療育環境の向上 についての指標です。院内学級・遊戯室を持つ小児病棟の割合や慢性疾患児等の在宅医療の支援 体制が整備されている市町村の割合はほぼ横ばいということで、慢性疾患児を支える環境は必ず しも改善していないと推測されました。慢性疾患児の支援については、医療福祉施設サービスと 在宅医療の充実を図ることにより、個々の児が適切な選択を行うことができるような環境を整備 することが望ましいとしています。  同じページの(5)「低出生体重児について」の指標です。全出生児中の低出生体重児の割合は増 加を続けていまして、そのリスクファクターとなり得る妊娠中の喫煙率や育児期間中の両親の自 宅での喫煙率は逆に減少していました。低出生体重児増加の要因としては、早産や妊娠前の母親 の「やせ」や喫煙等の因子が報告されていますので、これらの因子の軽減に向けて取り組む必要 があるとしています。  4)の課題4「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」について、説明させていただ きます。資料2の34ページからになります。15ページの(1)「子どもの虐待について」です。児 童相談所での相談対応件数は増加している。虐待による死亡数については、ほぼ横ばいで推移し ている状況です。児童相談所での相談対応件数については、児童虐待防止法の改正により定義が 拡大されたことや、虐待に対する認識が進んでいる結果でもありますが、虐待そのものが増加し ている可能性もあるとしています。平成21年4月には児童福祉法を改正して、関係機関からなる 「子どもを守る地域ネットワーク」の設置を進めて、相談支援体制の充実が図られています。ま た、乳児家庭全戸訪問事業等も、児童福祉法上に位置付けて推進しているところです。  同じページの(2)「育児及び乳幼児健診について」を説明します。子育てに自信が持てない母親 の割合や育児に参加する父親の割合、子どもと一緒に遊ぶ父親の割合等については改善を示して いました。ゆったりとした気分で子どもと過ごせる時間がある母親の割合や、育児について相談 相手のいる母親の割合は、健診時のデータですが悪化していました。育児支援に重点をおいた健 診を行っている自治体の割合は改善しております。また、健診未受診児等生後4か月までに全乳 児の状況把握に取り組んでいる市町村の割合は改善していました。  16ページにまいりまして、例えば「育児について相談相手のいる母親の割合」を改善するため に、母親がどのような事項について、どのような方法による相談を求めているのか等、きめ細か く実情を把握するための調査・研究を実施して、その結果を踏まえて解決策を検討することが求 められるとしています。  同じページの(3)「子どもの心の診療医について」です。先にも説明しましたが、親子の心の問 題に対応できる技術を持った小児科医の数は、わずかな増加にとどまっています。子どもの心の 専門的な診療ができる医師がいる児童相談所の割合は、非常勤医師がいる児童相談所も含めると 直近値では増加しています。このような親子の心の問題に対応する技術を持った小児科医を増や すためには、教室形式の研修会に加えて、子どもの心の診療について指導できる医師のもとで研 修ができる体制を確保する必要があるとしています。  同じページの(4)「食育について」を説明します。平成17年7月に食育基本法が施行されたこ とを踏まえて、第1回中間評価時に食育に関する指標が新たに設定されています。食育の取組を 推進している地方公共団体の割合は増加しています。食育の推進は第1回中間評価後の重点取組 であったことも踏まえて、妊産婦のための食生活指針等を作成して普及啓発を進めています。食 育については思春期保健対策や母子の健康確保、子育て支援の観点から重要であると考えられま すので、今後も引き続き取り組んでいくことが求められるとしています。  17ページの(5)「母乳育児について」です。出産後1か月時の母乳育児の割合はほぼ横ばいとな っていますが、自治体によってばらつきが見られ、差が生じているのではないかという指摘がな されています。母乳育児については、母子の愛着形成等精神面にも良い影響を及ぼすといわれて いることを再認識して、関係者が連携して支援が継続して行われるような取組の推進が望まれる としています。  長くなりましたが、以上です。 ○山縣座長代理  どうもありがとうございます。基本的にそれぞれ四つの課題について指標の評価を今ご説明い ただきましたが、まず課題1からいきましょうか。その前に、指標の評価全体のところで何かあ りますでしょうか。7ページ、8ページの最初のところです。全体として保健水準や住民自らの行 動指標は前回に比べて良くなったということですが、行政関係団体の取組や前回と比べると、前 回も既に達成されているものは、新たに達成した中に入れていないためにこういう形の数値にな っているという理解でしたか。そういうことでよかったのですね。行政関係団体等の取組の指標 項目について、前回よりも少し直近値として達成した状況が悪くなっている。 ○事務局  達成されたものも。 ○事務局  入っています。 ○高山委員  1-4の思春期保健対策に取り組んでいる地方公共団体の割合は、都道府県が100%で推移してい るということですが、自分で反省して振り返ってみると、内容がどうなのかなと非常に思います ので、手放しに評価できない。もう少し質の面も見ていく必要があるのではないかと思います。 ○山縣座長代理  中身のことですね。ありがとうございます。では各指標の分析のところに入らせていただいて、 まずは課題1、8ページ、9ページ、10ページの前半までですが、ここでご意見はありますでしょ うか。  衞藤委員、お願いします。 ○衞藤委員  10ページの上から4行目。小さなことですが、学校における禁煙防止教育の推進。これは「禁 煙」の「禁」ではなくて、「喫煙」だと思います。禁煙を防止するのではなくて、喫煙を防止する。 ○山縣座長代理  失礼いたしました。他には、いかがでしょうか。少し字は小さいのですが、資料2の実際の評 価のところで、中のことでも結構です。課題1に関しまして、特に関係の委員の皆さま方から、 解釈が違うなどということがあれば。  では、ここもまた後ほど全体を通してありましたら。次に課題2の「妊娠・出産に関する安全 性と快適さの確保と不妊への支援」のところで10ページ、11ページですが、ご意見・ご質問は ありますでしょうか。お願いします。 ○森田委員  森田でございます。今の説明の11ページの(2)「妊娠・出産に関する快適さについて」という ところで、「産後1か月の助産師や保健師からの指導・ケアがあること」が、満足度が低いという 今回の結果でしたが、これは現場で母子保健を進めている私どもとしても、本当に深刻に受け止 めなければいけないと思っています。この点についてざっくりですが、二つ課題があるのかなと 感じましたので、お話しさせていただきます。  私ども横須賀では、「こんにちは赤ちゃん事業」の訪問は実際には9割を超える実施ですが、そ の中で1か月以内、いわゆる28日以内の新生児に対して訪問ができている率が約半分です。残り の半分の多くは実家等で静養していらっしゃる市外静養の方が横須賀の場合は多くなっています。 実際に市外静養をされた方が、1か月以内の訪問をしていただいているかどうかというと、これ は自治体によって取組の違いがありまして、その多くは母親からお申出があれば市外でも行って いただけるというのが現状だと思います。私どもは横須賀から他の市へ行った場合は、母親にお 知らせする場合もありますが、本当は仕組みとして自治体が自治体に連絡をして速やかに訪問に 行っていただけるような形が必要ではないかということを現場で話し合っているところです。  もう1点についてですが、こんにちは赤ちゃん訪問にしても新生児訪問にしても、出生連絡表 という保健所なりセンターに送っていただくものがあるのですが、それが届いてから、こんにち は赤ちゃん訪問ということをしている自治体もまだ多くあるのです。そうすると、母親や父親が 生まれましたという連絡をしてくださる家庭はよいのですが、そういう届けをされないところは、 こんにちは赤ちゃん訪問から取りこぼれてしまうことがあるのです。中には、生まれてからでは なくて妊娠からということで、母子手帳交付時の面接や妊娠連絡表を活用して、それは妊娠した 人全数に提出されるわけですから、「生まれましたか」という形で全数を把握するということを取 り組んでいる自治体もあるのです。そこは全国的にいろいろな市町村の形があると思いますが、 この産後1か月以内に支援をしていくことを重点として取り組んでいく必要があるのではないか と肝に銘じていたところです。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。森田委員からそれぞれの市町村の事情があって、要するに里帰り出産 の問題と、もう一つはどの時点で地域の新生児を把握するのか。どこからこんにちは赤ちゃんの 事業がスタートできるのかといったところに違いがあるということですが、私も山梨県で調べる と、第1子の場合に地域の人の20%が他所での里帰り出産で、逆に地域の中で他からの里帰り出 産が20%。結局、そこで把握できるのは6割くらいで、全部行っても6割ぐらいの感じだなとい うことがあって、今のはまさにそういうことだと思います。  衞藤委員、お願いします。 ○衞藤委員  先ほど学校における喫煙防止教育のことを発言しましたが、それに関連して10代の喫煙率を下 げる場合に、未成年者喫煙禁止法というのがありますが、実際に喫煙しニコチンの依存状態にな った子どもをどのように離脱させるかということを合法的にといいますか、適切に援助すること が大切です。そういった体制が非常に不十分です。すでに静岡県のこども病院や、国立成育医療 センター等で「卒煙外来」という形でのニコチン依存状態の子どもを医療の管理下において適切 に離脱させる。そういう禁煙支援環境の構築をそこにもう一つ付記されるべきだと思います。そ うしないと、いくら叱っても、ニコチン依存状態になると子どもはどのようにやめればよいのか ということがわからず、また吸ってしまうことになりますので、その点を付記した方が良いと思 います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。喫煙対策のところでのそういうご意見です。他には、いかがでしょう か。高山委員、お願いします。 ○高山委員  医師の確保の部分ですが、前回も少しご指摘したのですが、11ページの一番上の丸です。「引 き続き産科医療を担う人材確保の取組を推進していく必要がある」ということで、特に医師確保 と地域偏在の是正という形で触れられています。こちらは資料でいくと18ページの上の四角の目 標達成のための課題でも触れているのですが、同じ産科施設でも、周産期の緊急医療体制のよう な困難な現場での不足、確保が非常に危機的状況にある。危機感をもう少し表現してほしいと思 って前に申し上げ、今回資料集にある「施設間偏在」というのは、そういうことを想定した言葉 なのでしょうか。 ○山縣座長代理  資料集ですと。 ○高山委員  18ページの上の三つ目の四角の「目標達成のための課題」という細かい字の言葉の中で、「地域 偏在・施設間偏在・産婦人科医の高齢化など本指標に表れない重要な課題が存在する」と。要は 趣旨は周産期医療等の困難な施設での確保の問題の危機感を表現してほしいということです。 ○山縣座長代理  ここのところは、私どもの研究班の担当で書いていて、まさにそういうことを含めて、地域の こと、あとは施設間というのは大きな病院にはいるけれども、産科の小さいところではなかなか 人が集まりにくいということの表現だと思います。この辺りの、実際の中間評価の11ページの一 番上の丸のところは、少し文言について検討しますか。 ○事務局  検討したいと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。他には、いかがでしょうか。 ○田中委員  先ほどの11ページの1か月健診の満足度というところで、産後1か月の助産師や保健師らの指 導・ケアがあることということですが、実際の褥婦は子どもに対しての満足度を見ているのか、 自分に対しての満足度を見ているのか。これは両方でしょうか。恐らく初めての人であれば母親 になったわけですから、子どもに対していろいろやってくれている。自分がどうしたらよいかわ からない。その辺を、本人が思っていること以上のことを何かしてあげれば満足すると思います。 ですから、最低限何を思っているか。例えば助産師や自分も産科医でそんなことを恥ずかしくて 言えないのですが、何を希望しているのでしょうか。恐らく希望していること以上のことを一言 でもやってあげれば満足すると思います。現実には、褥婦は何を子どもに対して希望しているの でしょうか。いかがでしょうか。 ○山縣座長代理  森田委員、もし何かありましたら。 ○森田委員  別のアンケートですが、「どの時期に一番不安になりますか」と聞いたことがあるのですが、そ れについては「1か月以内」というお答えが多かったのです。内容について私も今回の評価につ いてはもう少し具体的にどの辺のご指摘なのかがわかればと思ったのですが、現場でやっていく 中で感じているのは、まず母乳育児についての不安が大きいということが1点です。もう一つは、 上の子どもへの対応にとても困っているということが1点。それから3点目として沐浴。お風呂 に入れられないという悩みが最近増えてきています。昔は赤ちゃんが生まれると、産湯を使わせ てきれいにして母親に渡してあげるというのが主流だったのですが、今は保温や保湿の面で、胎 脂が付いた状態で母親に戻ってきて、退院の近くになって沐浴を練習するということで、入院中 に沐浴の練習が4回くらいできていたのが、1回くらいで退院する産婦が増えてきているという ことで、触るのが怖いというご相談が増えてきてると聞いています。取組として1回の訪問だけ では足りないので、複数回訪問している自治体もあれば、回数券のようなものをお配りして、母 乳無料相談券やお風呂の相談券という形で、それを助産師会等に委託して、産後の丁寧なケアが できるように努力をしている自治体もあると伺っています。 ○田中委員  ありがとうございます。ある程度のそういう1か月までに何をやっておけばよいかということ がわかれば、これは入院中、場所によっては生まれた次の日に退院ということもありますが、通 常は多分4日か5日は院内や施設内にいると思いますので、その間にこれとこれとこれは教えて おくというか、こういうことを気をつけてくださいということをトレーニングさせて退院させる。 そうなると、次は恐らく3週間後くらいです。生まれてから1か月で来院する。そのときにそれ をチェックする。その間に指導に行ける状況であれば家庭を訪問する。それが1か月健診で十分 できていれば、「よくできていますね。これでよいのではないですか」となれば、言葉の言い方一 つですが、恐らく満足するのではないか。とやれば、実は自分も担当のところの部署ですが、こ の指標は具体的な項目を挙げて入院中に教えるということをやればよいかと思いました。ありが とうございました。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。恐らく田中委員が言われたように、では具体的に何をすればよいのか ということは、それぞれのところの取組だろうと思いますが、今のことにつきましては、資料2 の各指標の評価の中の14ページに当たります。2-2「妊娠・出産について満足している者の割合」 というところで、その結果、その下の分析のところに少し細かい字でたくさん書いてあるのです が、この中に第2回の中間評価で満足しているという点でいうと、例えば希望する場所で出産予 約ができたりしたということが今回は挙がってきている。一方で、ここにあるように満足できて いない項目としては、「出産体験を助産師と振り返ること」ができていなかったり、「産後1か月 の助産師・保健師からの指導・ケア」といったようなことが挙がっていて、そこのところをどう 考えるか。ここでも評価でありますように、第1回にはこういった選択肢がなかったので比較は できないのだけれども、こういったところをカバーして、さらには先ほど森田委員も言われまし たが、「こんにちは赤ちゃん事業」で、その後のフォローをつなげていくような情報の共有が逆に 必要になってくるかもしれない。それは病院と地域との連携が、こういうところで具体的に必要 なのではないかという気がします。 ○山縣座長代理  桑原委員、お願いします ○桑原委員  今の森田委員や田中委員のお話に全く同感ですが、小児科の開業医として考えますと、1か月 健診は、小児科医がやるのか、産婦人科医がやるのか。あるいは保健師がやるのか、どうなので しょうか。誰が担当するべきなのでしょうか。 ○山縣座長代理  これについて、委員からご意見は。田中委員、お願いします。 ○田中委員  私は一概に限定できないと思います。例えば大学で、自分のところであれば、当然褥婦は1か 月健診に来たときに、産婦人科ですから自分たちが診ます。子どもは私どもの場合は新生児科が ありますから、新生児はその時点で診る。以前、私はへき地の伊豆大島に行っていましたが、そ こで診ろと言われると他に医者がいなければ、自分が診るしかない。ですから、状況によって変 わるのではないかと。一概に、子どもは産婦人科が診てはいけないとは、言い切れないと思いま す。 ○桑原委員  この質問をしましたのは、受診券が大体どの行政にも1か月健診に1枚あるのです。小児科医 に来たときにはそれがなくなっているのです。小児科医自身は生まれたときから診てあげたい、 それがかかりつけ小児科医だと思っているわけですけれども、もう、1か月は診てしまって、次 の健診の受診券が1〜2枚しかないので、なかなか健診のチャンスがつくれないのです。そのよう な悩みがあります。 ○山縣座長代理  この辺りで、地域でこういう工夫があるというのをご存じの方がいれば。衞藤委員、お願いし ます。 ○衞藤委員  年間400例ぐらい分娩のある施設で、産婦人科の開業医に時々頼まれて、小児科医が何人かグ ループになって、交代で1か月健診を担当しています。そこでは助産師と連携して、母親の支援 をする機能も随分担っているように思っていて、非常にうまくいっていますので、人的な環境や 産科と小児科の連携がうまくいっているかどうかなど、そういういろいろな条件があるかと思い ますけれども、そういう形で実際に行われているところも幾つかあるということがあります。い つも思いますのは、制度的な支援が何もないというところが、もう少し何とかならないだろうか と思っています。 ○山縣座長代理  他に、この点はいかがでしょうか。田中委員。 ○田中委員  ちょうど課題2ですから、少し発言させていただきます。特に今、助産師や保健師の産後のい ろいろな家庭訪問のケア、この辺は本当に支援をどんどんしていただければ、恐らく課題4にあ る虐待の早期発見というのも、私はそちらの横のつながりも非常に良いのではないかという気が します。今回はたまたま児童相談所だけではなくて、警察庁も「丸秘の匿名電話をすれば、場合 によって10万円ぐらいあげます」ということも始めたようですので、課題4にもつながっていく のではないかと思い、ぜひその辺の支援をお願いしたいところです。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。今もありましたように、他の課題とのかかわりがありますので、課題2 はこの辺りのところで。  課題3の「小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備」のところで、ご意見・ご質 問を。衞藤委員、お願いします。 ○衞藤委員  12ページの三つ目の丸の「かかりつけの小児科医を持つ親の割合」に関しまして、2行目から 3行目にかけて、「それまでに小児科医を受診する必要があるような疾患に子どもが罹患したこと がない」と書いてあるのですけれども、これは何かそれを裏付ける根拠があるのでしょうか。私 は、本当なのかという疑問を持ちますので。 ○山縣座長代理  事務局。 ○事務局  事務局としましては、資料2の26ページに各指標の分析が記載されていますが、そこを参考に 記載しています。 ○山縣座長代理  ここは、私どもが担っています研究班のそれぞれの担当で出しているわけですが、この辺につ いては今のことを特化して検討していませんので、この辺に関してもし具体的な資料がありまし たら、記載できるようにしたいと思います。  今村委員、お願いします。 ○今村委員  少し教えていただきたいのですけれども、周産期死亡率、新生児死亡率というのは世界のトッ プ水準であると。これに対して、幼児は2005年でも、なおかつOECDの中で17位ということで す。この幼児死亡率が非常に悪い状況にとどまっている原因は何なのでしょうか。死因について はいろいろと1からずっと書いていますけれども、それぞれに対する対応が、まだ他の先進諸国 に比べて劣っているという考え方でよろしいでしょうか。 ○山縣座長代理  事務局。 ○事務局  事務局からお答えします。この原因については、厚生労働科学研究で研究が進められています ので、まだ研究の途中ですけれども、指摘されていることが幾つかあります。乳児期からの疾病 のキャリーオーバーや交通事故によるもの。それ以外にも、原因がよくわからないのですけれど も、肺炎による死亡が多いと指摘されています。いずれにしても、死亡原因については、厚生労 働科学研究の研究班で研究を進めていくことにしています。 ○今村委員  新生児期からのキャリーオーバーというのは、1歳までに他の国では亡くなっていたものが、 日本では生かされ続けているという感じなのですか。 ○事務局  今村委員のご指摘のように、乳児期の医療が発達したことによる疾病のキャリーオーバーと考 えています。 ○今村委員  それでは、いずれ1〜2歳になったら、今の世界的な医学水準をもってしても助けられない疾患 によるということですね。 ○事務局  疾患の内容まで詳しく把握していませんけれども、いずれにしても今村委員のご指摘のような ことだと思います。 ○山縣座長代理  今の要因ではあるのですが、実際にはその悪い中でも大分改善はしてきているので、恐らく今 の要因がもう少しわかれば、さらなる改善が望めるということであると思います。  他には、いかがでしょうか。渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  今のところは、ご説明を伺っていて少しわかってきたのですが、0歳児の場合は外に出ること は少ないので、1歳になって動き始めて外に出るようになると、日本の今の環境でいうと他の国 よりも事故に遭いやすかったりなどということは、当然あるのだろうなと思いお話も伺っていま した。ここはぜひ厚生労働科学研究でやっていらっしゃるところはしっかりと踏まえて、要因を 明確にしていただいた上で対策を考えていただかないと。私が少し危惧しているのは、あまりに も子どもの安全ばかりが全面に出ていくと、逆に親もそうですし周りの保育士や幼稚園の先生も 含めて、子どもの行動をとにかく抑制するという働きが出てくることです。これは既に子育て支 援の現場などに行くと、安全にということによって、逆に自発性がどんどん伸びていく時期に、 子どもが自由に遊べない。子どもがぶつかってけんかでもしそうにすると、保育士や親が見てい ればすぐに止めてしまう。これは、最近「先回り育児」とよく言われるのですが、そういう育児 が実は子どもにとって良くないというのは、報告がたくさん出てきていることで、子どもが群れ て自由に遊べるような時期に、それができなくなってきているので、安全にといいますか、つま り子どもの命を守ることは大事ですが、一方で子どもの命を育むという意味でいうと、このバラ ンスをきちんと取っていかないと、安全ばかりを強化するとかえって子どもにとって非常に不自 由な幼児期を過ごさないといけないことが起こってくるということが、一つ危惧されると思いま す。  二つ目は、私自身今の医療の発展ということでいうと、(5)の「低出生体重児」のことについて です。ここの部分は、確かに医療が進歩することによって、未熟児や早産での出産後の存命率と いいますか、生存していく率が高くなったということは非常に良いことですが、その一方で私の かかわっている障害者福祉の分野でいうと、確実に障害児の重度化が進んでいくという、ある意 味での矛盾が起こってしまっているわけです。私は最近どちらかというと、小児科の医師からシ ンポジウムなどに呼ばれて、つまり何かといいますと、小児科の医師やICUなどで一生懸命頑張 っていらっしゃる方が、何とか命をつなぎ止めることができるようになったのに、その後地域に 帰ったら受け皿がないのではないかというところで、福祉は一体どうなっているのだと言われた りするのです。かなり重度の障害を抱えて地域で生活するとなると、ここは当然医療的ケアと保 健のケアも必要で、その子どもたちがなるべく地域の中で、そして親たちが過重に負担を抱えな いで地域で生活していくためには、当然ここについても母子保健と福祉の連携、学校が始まれば そこに当然教育が入って、地域の連携がなければ、単に命を助けていくだけではない、その後の ことも実は母子保健には絡んでくるということも、お考えいただけたらと思っています。  病児支援についてはここで申し上げることではないかもしれませんが、これも医療が進歩する ことによって、例えば小児がんの患者の子どもたちでも、昔なら短命だった子どもたちが随分断 続的に入退院を繰り返すということができるようになってきたのですけれども、病弱養護学校の 先生について訪問などで回っていくと、とにかくここに書いてあるような院内学級などがある病 院がはるかに少なくて、やはり教育保障という問題が非常に大きな課題としてのしかかってくる。 それは子どもにとってもそうですが、実は親たちにとっても教育が途切れていくということは非 常大きな不安になりますので、その点はぜひ国としてしっかりと医療機関に対する公的な補助の ことも考えていかないと、頑張ってくださいというだけでは、なかなか進んでいかないのではな いかと思っています。  先ほど言おうとしてどうしようかと止まってしまい、戻ってしまって申し訳ないのですが、課 題1で一つだけ私が気になっているのは、子どもの自殺の問題です。ここで年齢が高いところで 少し悪化している、それから女性が多いというのは、これは実は今、教育や心理学の分野でよく 調査されて、子どもの自己肯定感とも密接にかかわっていると思っています。2003年にユニセフ が世界中のOECD加盟国に調査したときに見えてきたことは何かというと、日本の子どもたちは 極端に孤立感を高く持っていて、そして自己肯定感が低いということが明らかに出てきて、それ が2007年に報告されてから、日本青少年研究所や東京都などのいろいろな所がたくさん今、調査 を繰り返しているのですが、どの調査を見てもとにかく日本の子どもの自己肯定感は極端に低い ことがわかってきていて、それも男性よりも女性の方が自己肯定感が低くて、しかも年齢が高く なればなるほど、自己肯定感が低くなっていくという傾向が出ていて、ここは自殺で見えてきて いることと全く同じ傾向なのです。つまり女性の方が多く、年齢が高いところで悪化してくる。 そういう意味でいうと、実は自己肯定感を高めていく取組をしていかないと、子どもの自殺はな かなか防いでいけなくて、それを私は今、調査をやっているところですが、私どもの大学でも調 査を始めてきているところですけれども、ちょうど19歳ぐらいの学生たちの自己肯定感を測って いって、そこでその要因に何があるのかということをずっと調査していき見えてくるものがいろ いろあるのですけれど、一つは親でもなくて家族でもなくてそして小学校などや学校の先生でも ない、それ以外の地域の人たちと、どれだけ幼いときからかかわってきた経験をたくさん持って いるかということと自己肯定感は関連性があることが今、見えてきていて、そう考えていくと、 子どもたちが幼いときからいろいろな人たちと当たり前にかかわりを持っていく中で、社会の中 で受け止められていく経験などをきちんと持っていくことが自己肯定感につながっていくのでは ないか。社会に対する不信感が自己肯定感の裏返しにあるのではないかということも見えてくる わけで、その部分ではぜひ母子保健の分野でも、ここでは「学校における心の健康づくり」とあ りますが、学校だけではなくてそれ以外の人たちがかかわりを持って子どもを育むような地域の つながりをつくっていくことが大事だと思っています。学校でも放課後子どもプランやそれから 今、奥山委員が言われましたけれども、地域子育て支援などという取組が少し始まっていますが、 母子保健もそういうところと連携をしっかり取って、子どもを社会全体で育んでいけるような体 制をつくっていただきたいと思います。以上です。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。この後に議論する支援、今後の取組の方向性のところにもかかってく ると思いますので、あと数分ぐらいでここの課題3、4について皆さまのご意見を伺って、今後の 取組についてさらに議論を深めるための時間を少し取っておきたいと思いますので、3と4でど うぞお願いします。  先に、迫委員お願いします。 ○迫委員  日本栄養士会の迫でございます。14ページの低出生体重児の問題のところで、一つお話しさせ ていただきたいと思います。要因の中に、妊娠前の母親の「やせ」の問題や低栄養の問題が取り 上げられていまして、ここの部分が妊娠中ではなく、その前の段階つまり思春期の段階から関連 してくることではないかと思います。先ほど、お話がありました自己肯定感との関連もあるかと 思いますが、思春期の部分にも、不健康な「やせ」という問題は中学・高校で今回非常に増えて いて20%ぐらいになっていることが出ていますので、それを1項目挙げておいていただくことが、 今後の思春期における健康対策を強化していくためには、この指標の分析のところに挙げておく ことが必要ではないかと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。今のご指摘は、例えば一つは14ページの低出生体重児の増加のところ にある母親の「やせ」を、思春期のところからの問題であるという文言を入れる。それから、思 春期の保健対策のところでも「やせ」の問題について言及しておいてほしいということでよかっ たですか。 ○迫委員  そうです。中学・高校での不健康な「やせ」の増加というのは触れておくべきかと思います。 ○山縣座長代理  実際にここの中の指標でもそう出ていますので。  高山委員。 ○高山委員  同じく、低出生体重児の問題ですけれども、原因の中にある不妊治療の普及、その実施方法の 変遷で、多胎妊娠の割合がどんどん増えているというご指摘があります。この部分は門外漢でよ く中身がわからないのですけれども、2-11の「不妊治療の技術に関するガイドラインは適正につ くられている」と書いてあるのですけれども、不妊治療は自由診療の中で割と費用負担の軽減な どでアクセスがどんどん良くなっていまして、自由診療で適正な形で行われていないような事例 もあるとも聞くものですから、その辺はガイドラインではどのような評価になっていて、その精 度管理といいますか、規制はどのようにかかるのかを教えてほしいのですが。 ○山縣座長代理  その辺りのところは、いかがですか。事務局から、何かありますか。 ○事務局  不妊治療のガイドラインについては、平成15年の厚生労働科学研究費でガイドラインが作成さ れたということで、また代理懐胎を含む妊娠・出産についての法規制についても、今後の立法で の措置が検討されているというところです。現在の法規制の下では、これ以上踏み込んだガイド ラインを作成するのは難しいのではないかと考えています。このような状況を踏まえ達成として 整理しています。多胎については、日本産科婦人科学会で、体外受精胚の移植数について具体的 な制限がなされています。原則として1個とされていますので、事務局としてはこれ以上指標を つくってということは考えていません。 ○山縣座長代理  よろしいですか。衞藤委員、お願いします。 ○衞藤委員  何回もすみません。課題3の子どもの事故に関することで、14ページの一つ目の丸ですが、子 どもの事故による死亡率を下げるには、事故そのものの発生を少なくすることに加えて、事故に 遭った場合の重症度を下げるという方略があるわけです。例えば、チャイルドシートやシートベ ルトそれから自転車のヘルメットなどは、そういう類のもので、これはエビデンスに基づいた成 果があるということで採用されているわけですけれど、その観点の記述が少し乏しい。「製品の安 全性等」という書き方だけになっていますので、例えばチャイルドシートの普及率は今50%を切 っているわけですから、既にそういったものがあって、もう少しそれを普及させると。普及させ るといっても、ただ付けなさいというだけではなく、どのように付けるのか、産科でお産したと きの退院するときに、既にチャイルドシートを付けて退院してほしいのですけれども、そういう 指導体制ができているかとか、専門家がいるかというようないろいろな課題があるのですけれど も、そういうことをより一層充実していく方向が大事なので、ここの部分ではそういう重症度を 下げるという観点の記述を加えていただきたいと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。 ○奥山委員  課題4ですけれども、1とも関連があると思いますが、先ほど1歳までの地域と母子保健との 関係での指摘があったと思いますが、こんにちは赤ちゃん訪問も、これもまだ1回のみという形 ですので、その後のフォローがとても大事だということが、先ほども横須賀市の事例でも出てい たと思います。母親たちは子どもを産み育てるということが初めてのケースの場合、今の母親た ちは半数以上が小さい子どもの世話をしたり、おむつを換えたりという経験なしに母親になって いるというデータが、神奈川県横浜市でも出ているのですけれども、そういう現象の中で指導的 なことを1か月以内にいろいろと言われても、実感が伴わないというのが現状だと思います。ア ドバイスや指導よりは、むしろヘルパー的な形で、家の身の回りのことや子どもの世話をしてく れる人が今は求められているのではないかと感じています。そういう意味で、母子保健と地域の 子育て支援についてはもう少し綿密にといいますか、きめ細やかに見ていくことが必要だと思い ますし、目標値を定めるのも、もう少し今の親たちの現状に合わせた目標値を定めていくことが 大事ではないかと思います。  それから、15ページの下の相談相手がいない母親が増えているというところは、まさに地域子 育て支援で大事にしていきたい視点ですけれども、16ページに、親子の心の問題に対応できる小 児科医を増やすとあります。これも本当に大事なことだと思いますが、一方で子どもを産み育て ていくことは生活していくことでもありますから、先輩の母親やピアで同じ立場の者同士がかか わり合うというような環境も必要だと思いますので、併せて相談相手という意味での母親の健康 をどう促進していくかというところを盛り込んでいただければと思いました。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。他に。山極委員。 ○山極委員   山極でございます。最初に支援策の一つの事例をご紹介させていただきます。企業は今、 男性の育児参加にかなり力を入れまして、その一つとしてSNSというのをご存じでしょうか。 ソーシャル・ネットワーキング・サービスというITツールです。SNSには子育てしている父 親も母親も、育てあげた先輩も、親となる予備群も相当数が参加していて、お昼休みの時間を使 ったりして育児の楽しみや負担などについて意見を書き込んだり、質問をしたりしています。す ると、その質問に対する回答や励ましなどを書き送るなど皆で共有化し助け合っています。子育 ての仲間の意識はとても強く、それが組織を活性化するなどの事例です。もう1つの事例は、イ ンターネットを通じて、育児休業者が必要な育児支援や職場復帰に向けたプログラムです。育児 をしながら、会社や育児休業中の仲間とつながって、悩みがあれば投稿し、それを受けて仲間や 上司が答えるというツイッターのようなシステムになっています。  現在350社に利用されるほど、ニーズが高く、いろいろな人を巻き込んで、助け合っていま す。  そこで質問でございますが、15ページの下の5〜7行目にかけまして、「相談相手のいる母親 の割合」や「ゆったりとした気分で子どもを育てる時間がある母親の割合」。次の16ページの2 行目3行目も含めてそうですが、すべて母親が対象になっております。この間の調査では、父親 も仕事と育児の両方を大事にしたい人が7割超いるにもかかわらず、この項目の中には一切その 父親のことがないのです。社会全体で男性の育児参画を応援しようというときに、ここにそれが ないので大変不安です。いつも母親が仕事も育児も介護もそれから夫の世話までということでは なくて、男性も女性も共に仕事の責任を果たして、子育てをしていくことを取り組む必要がある のではないかと思います。以上です。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。三上委員、お願いします ○三上委員  15ページの「子どもの虐待の予防」ですけれども、私は滋賀県ですが滋賀県の0歳児の家庭で の保育が全国平均からいえば多いのです。その分、虐待を受けている子どもたちの率が全国平均 よりも高いという状況が出てきているのですけれども、家庭で保育している子どもたちに、どの ように私たち保育士がかかわれるかということです。前回も言いましたように、4か月の子ども たちの全戸訪問が始まりました。私は滋賀県大津市ですが、大津市は民生委員と保育士が一緒に なって各家を訪問させていただくのです。私はそれが当然のことだと思っていました。始まった 後にあちらこちらでその話をすると、保育士が全然絡んでいないのです。民生委員だけが回って いるのです。保育士は、不安にさせた母親たち、それから初めて訪問する家庭の母親たちを安心 させるだけの力を持っている。そういう専門職だと思っていますので、ぜひこれは皆に広めてい ただきたいということで、この場で発言させていただきました。それから、大津市は健診が大変 きめ細やかですので、そこで虐待が発見できるということで、良いことは全国的に広めてほしい。 それから、地域によっては生まれたらすぐマイ保育園というのが行政で決められたり、それから 一時預かりの利用券が何回か発行されたりということで、私たちも園の子どもたちではなく、社 会に向けての保護者の支援ということも、私たちがする大きな仕事になっていますので、ぜひ保 育士の力も社会の資源として役立てていただきたいと思っています。ありがとうございました。 ○杉山虐待防止対策室長  虐待防止対策室長でございます。先ほどから、「こんにちは赤ちゃん事業」などのいろいろなご 意見をいただきましたので、若干コメントしたいと思います。この事業は平成19年度から予算事 業として実施しています。また、児童福祉法の改正ということで、平成21年4月から法定化事業 となっています。これはあくまでも市町村で実施しているかどうかということですけれども、直 近の実施率で84%という状況になっています。それから、先ほど市町村間里帰りの話が出ました。 実は、カバー率はまだ把握できていないのが正直なところです。また、法制化に併せてガイドラ インということで、実施のことについてガイドラインを作成して実施しています。これはまだ事 業が始まったばかりで、当面は最低限実施していただきたい事項ということで「当面のガイドラ イン」という位置付けをしています。その中では、市町村間の連携というのは、正直言ってはっ きりと書いていないというご意見を賜りましたので、カバー率の把握等も踏まえて、その辺も検 討していきたいと考えています。  それから、その中で「こんにちは赤ちゃん事業」ですけれども、なかなか看護師系の方々だけ では実施できないので、保育士等も含めて幅広い人材を活用してすることになっております。と いうのがご報告です。  それから、奥山委員より、その後のフォローが大事だというご意見をいただきましたが、まっ たくそのとおりでありまして、児童福祉法の中でも「こんにちは赤ちゃん事業」を実施して、支 援が必要な家庭を見つければ、実は書き方としては「養育支援訪問事業等の必要な支援につなげ る」という部分について義務付けております。養育支援訪問事業につきましては、まさしくご家 庭に行って家事の援助や助言ということをやっております。また、そこまで至らなくても、地域 の子育ての情報等を「こんにちは赤ちゃん事業」の中でご家庭に広めるということもやっており ます。まだ実施されたばかりでありまして、効果的に実施されているかどうかは別としまして、 そういう状況にあるということで、少し余計なことですけれども、ご報告でございます。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。 ○杉山虐待防止対策室長  もう一点だけ。15ページの三つ目の丸の下から2行目に誤りがあります。「推進している」で 切れていますけれども、「推進しているが、虐待に関する指標は改善されておらず」となります。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。 ○杉山虐待防止対策室長  指標も改善したいと頑張っているのですけれど、なかなか改善されていないということです。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。井上委員、何かありますか。 ○井上委員  16ページの食育のところですけれど、実際に先ほど出てきた思春期の自尊感情が非常に低い部 分と肥満は深く関連していると思います。そして、その肥満防止や思春期の極端な「やせ」の防 止ということを考えますと、やはり食育との関連は非常に大事だと思います。実は歯科の方でも 歯科保健と食育の関連のところで、食内容だけではなく「食べ方」を通じて肥満防止を図ろうと いう取組もしておりますので、食育と「やせ・肥満の防止」というところを、もう少し詰めてい ただけるとよろしいかと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。時間の関係で、先に進めさせていただきます。  残りの「評価」のところと、そして先ほどお話ししました「取組」についても、後でまた皆さ まにご意見を伺いたいと思います。  では事務局から、続けて説明をお願いできますでしょうか。 ○事務局  17ページからの「取組状況の評価」につきまして、ご説明します。推進協議会に参加している 85団体にアンケート調査を行って、74.1%から回答を得ております。その結果としては、「健や か親子21」の関連の事業を盛り込んだ団体は8割を越えていたけれども、アウトカム指標やアウ トプット指標の目標値を設定した団体は3割を下回っておりました。また、ホームページ等の活 用や他機関との団体との連携は低調ということになっていました。  19ページの「事業実績について」ですけれども、リーフレット・パンフレット類の配布や委員 会・協議会などを持っている団体数は増加しているけれども、それ以外については第1回中間評 価値と比べて減少という結果になっていました。  インタビュー調査の結果については、6団体に実施しております。主なものは以下に記載して おります。  20ページにまいりまして、地方公共団体対象のアンケートですけれども、「健やか親子21」の 計画単独または他の計画の一部として中間評価を実施した自治体や、住民や関係者と「健やか親 子21」の推進状況について協議を行っている自治体については、都道府県や政令市・特別区で7 割を超えていましたが、市町村では5割程度にとどまっておりました。  それから21ページの「国の取組状況について」は、資料2の参考資料4に記載しております。 以上でございます。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。ここで、どうしてもというものがございましたら、どうぞ。  では、引き続き22ページからの「今後の取組について」、簡単にご説明いただいて、皆さまの ご意見を伺いたいと思います。では、お願いいたします。 ○事務局  22ページの1の「指標等の見直しについて」ご説明します。1)の「新たな指標等について」で あります。朝食の欠食ですけれども、1回の食事の摂取量が多くなって、過食につながる可能性 があることが指摘されております。また、「健康日本21」においても、欠食の始まりが中高生の ころからというものが多く見られておりまして、同計画においても、目標値をなくすとしている ところであります。子どもの朝食の欠食に対応するということは重要ですので、第1課題の「保 健水準の指標」に「子どもの朝食の欠食率」を加えさせていただきたいと考えております。「健康 日本21」における目標値を踏まえますと、子どもの朝食の欠食率の目標値はなくすのが妥当では ないかと考えております。  次に、マタニティマークですけれども、平成18年3月にデザインを発表して、推進に努めてい るところであります。一層の推進を図るために、課題2に「マタニティマークを利用して効果を 感じた母親の割合」を加えたいと思います。この指標は、単に認知度だけではなくて、支援を必 要とする妊産婦に対する周囲の配慮も含まれているということで、目標値は50%が妥当ではない かと考えております。  次に「虫歯」ですけれども、現在は第3課題の「虫歯のない3歳児の割合」ということで、保 健水準の指標に入っておりますが、ネグレクト等の虐待を早期に発見するために重要な指標とな り得るということで、第4課題の方にも記載させていただきたいと考えております。  それ以外に、2-7と2-11のガイドライン作成に関する指標については、達成しておりますので 参考の指標に整理して、最終の評価で評価したいと考えております。  それ以外に、指標をもう少し明確にしてはどうかということで、「慢性疾患児の在宅支援体制が 整備されている市町村の割合」については、看護サービスを提供する訪問看護ステーションや患 児を一時的に預かるショートステイを整備している政令市特別区及び市町村の割合」と指標を明 確化させていただきたいと考えております。  2)は「今後充実すべき具体的な取組方策の例について」ということで、新たな指標とするまで には至らなかったけれども、取組として考えられる事項の例に加えることが妥当ではないかと考 える事項を下線で示しております。具体的には、25ページの課題2に関して、国民(住民)の推進 主体ですけれども、「妊娠の早期届け出、妊婦健診の受診等による安全な出産のための努力」を加 えています。それから、国の推進主体として「大学病院等における院内助産施設整備の促進」を 加えております。それから、26ページにまいりまして専門団体の取組として「母乳育児推進のた めの体制の確立」を加えております。27ページの課題3で地方公共団体の取組として「病児・病 後児保育事業の推進」、国の取組として「子どもの心の診療医」の確保・養成に向けた取組の推進 を加えております。次のページにまいりまして、課題4に関してでありますが、地方公共団体の 取組として、妊娠届出・母子健康手帳交付の機会を通じて育児支援情報を提供すると記載してお ります。次のページですけれども、専門団体の取組として「虐待相談対応の充実」を掲げており ます。本日いただいた意見を含めて、またここに整理させていただきたいと考えております。  それから、29ページの下に、3)「目標値の再設定について」ということで、増加傾向・減少傾 向とされているものについて、可能な限り、2014年までの目標値を事務局の方で再設計の案を作 成させていただきましたので、説明させていただきます。30ページの1-2「十代の人工妊娠中絶 実施率」については、1995年以降は上昇しておりますが、その前の10年間の平均水準で、2014 年まで6.5が妥当ではないかと考えました。「朝食を欠食する子どもの割合」は、先ほど説明しま したように、新たに指標に加えるとともに「なくす」と記載しております。それから、2-9の「不 妊専門相談センターの整備」ですけれども、全都道府県が既に達成しておりまして、指定都市、 中核市を加えたいと思っております。これは子ども・子育てビジョンの方でも同様の目標が掲げ られております。それから、2-12ですけれども、母乳育児の割合については60%としております。 2-13は「マタニティマークを利用して効果を感じた母親の割合」ということで、新しい指標であ りまして、先ほどご説明したように50%が妥当ではないかと考えております。3-16の予防接種に 関する指標でありますが、既に95%を超えているということで、95%以上を維持するということ で掲げております。また、「事故防止対策を実施している市町村の割合」ですけれども、市町村単 位で統計をとっているものは、当然市町村で上位と下位があるのですけれども、以前増加傾向と なっていたものについては、数値の上位から4分の1の市町村の値、減少傾向になっていたもの については、数値の下位から4分の1の市町村で示している値について記載しております。そう いうものを含めて3-19や子育てに関する指標であります32ページからの4-3から4-11までにつ いては、そのような考え方で、このような数値を設定させていただいております。主なものは、 以上であります。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。新たに加える指標、それから取組の具体的な点につきましては、これ までにも委員の皆さまにご意見をいただいております。これでは不十分な点もあるかと思います ので、再検討となるかと思います。  それから目標値に関しましては、なるべく数値を入れようということで、今回はかなり思い切 って数字を入れたので、次の評価のときには結構厳しいかなという点もありますが、基本的な考 え方としては全体の4分位の一番上位の点を数値として置いたということでございます。何か、 ご意見がございますでしょうか。  数値の点については、また次回までにご意見をいただくといたしまして、今日は残りの「今後5 年の重点取組」それから「今後の推進方策」の辺りを最後に皆さま方のご意見を伺いたいと思い ますので、この2と3の両方を説明していただいて、二つについてご意見を伺いたいと思います。  事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、32ページからの2「今後5年間の重点取組について」説明させていただきます。2014 年まで、以下の項目について重点的に取組んでいく必要があると考えております。33ページの1) ですけれども、思春期の自殺防止を含む子どもの心の問題への取組の強化が必要であると考えら れます。特に、先ほど結果をご報告しましたが、自殺が増えているということで、精神疾患の早 期発見・早期治療や学校問題を解決するための学校における児童の相談体制の強化が必要である としております。また、子どもの心の問題に対応できる医師についても十分に確保されていない と考えられることから、このような機関の整備が必要であるとしております。  2)「産婦人科医師、助産師、新生児科医師等の産科医療・周産期医療を担う人材の確保」を掲 げております。医師については、先ほどご説明したとおり、産婦人科医師については増加に転じ ている、新生児科医師については増加していないという状況でありまして、医師の養成には長い 時間を要することから、まずは少ない人材でも円滑に産科・周産期医療が運営されるよう、妊婦 が健康に妊娠・出産を迎えられるように支援していく必要がある。具体的には、早産の防止や妊 婦の適切な栄養摂取と体重増加、早期の妊娠届出等を推進していく必要があるとしております。 また、助産師の数ですけれども、関係学会や団体等が考えている必要な助産師数からはかけ離れ た状況にあり、助産師の養成の推進が求められているしております。  3)「全出生数に占める低出生体重児の割合の低下に向けた取組の強化」ということで、近年、 増加傾向にあるということで、取組の必要性について記載しております。低出生体重児の増加の 要因としては、このような因子が報告されているということで、これらの改善に向けて重点的に 取り組んでいく必要があるだろうということで記載させていただいております。  次に、34ページの4)は「子どもの虐待の防止対策の更なる強化」であります。うつ状態や母子 健康手帳未交付、妊婦健診未受診等の子どもの虐待のハイリスク要因を持つ妊娠期・周産期の母 親を早期に発見して、子どもの虐待を予防するということが必要であるとしております。また、 特に子どもの虐待による死亡というのは0歳児に多いということで、子どもの虐待による死亡数 を減少させるために、妊娠以前から出産後育児期に至るまでの連続した支援が必要であるとして おります。  次に、3の「今後の推進方策について」ということで、計画期間の終了までに、特に配慮する 事項について記載しております。1)ですけれども、まず「それぞれが積極的に参画する意識」が 重要であるということで、それぞれの立場から寄与することが不可欠であるということを再認識 して、母子保健の改善のために、自らできることを行動に移すということを書いております。  2)は「相互の連携強化」ということで、第1回の中間評価において、連携についての四つの視 点が示されておりますけれども、地域によっては連携が進んできているという報告がなされてい ます。母子保健の更なる向上のために、関係者がそれぞれの役割を再認識して、相互の連携が不 可欠であるとしております。  35ページの3)「行政の取組の方向性」ですけれども、地方公共団体の取組状況の調査結果によ ると、市町村の「健やか親子21」に関連する母子保健活動が、相対的に低調であることが示唆さ れております。したがって、市町村の母子保健事業の実態やデータを集約して評価をして、市町 村自らが具体的な改善策を実行していくような仕組みを検討することが必要ではないかというこ とを記載しております。  4)「協議会の取組の方向性」ですけれども、協議会については成果を上げているけれども、協 議会の設立から長い年月が経過しておりまして、活動が停滞してきている可能性もあるというこ とで、各課題ごとに、今後5年間の重点取組を定めてはどうかということが記載されております。 また、「健やか親子21」に積極的に取り組んだ団体に対して褒賞制度を創設してはどうかという ことで記載しております。36ページにはシンボルマークの使用の際の要件がありますけれども、 そこについても緩和してはどうかということを記載しております。  最後に、5)の「母子保健情報の収集と利活用」でございます。第1回の中間評価時に母子保健 情報の収集と利活用に特に配慮することが重要としておりますが、現在まで仕組みの構築には至 っていないということで、具体的な策として「親と子の健康度調査」を定期的に実施することや 日常の母子保健活動で得られた情報を全国規模の統計として集約して、都道府県等へ還元する方 法について、今後検討していくことが必要であるとしております。この情報と、それぞれ既に収 集している情報を合わせて地域比較分析や経年比較分析を行って、地域の母子保健に関する課題 の問題や課題の評価、対処方針についての根拠となるような基盤となる仕組みの構築が求められ るとしております。以上であります。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。32ページからの「今後5年間の重点取組」そしてその「推進方策」に ついて、ご説明いただきましたが、これについてご意見・ご質問をお願いいたします。  では今村委員から、お願いします。 ○今村委員  33ページの2)の二つ目の丸です。助産師の養成推進、それから助産師の確保のために潜在助産 師の発掘、他科に勤務する助産師を産科に、それから施設による助産師の偏在の解消と、非常に 大事な視点ですけれども、どのような仕組みを考えておられるのか。少し教えていただきたい。 ○山縣座長代理  もし事務局からありましたら、お願いします。 ○事務局  ここについては、医政局の方が実際に担当しておりまして、平成21年3月に周産期と救急の医 療の連携を進める検討会があり、そちらで報告書が取りまとめられていて、その記述については 引用したものでございます。具体的には、医政局の事業になっておりますので、詳しいところま では把握していないのですけれども、特に医政局の方で助産師養成促進や活用推進のための補助 制度のことを考えております。 ○今村委員  大事な視点ですけれども、なかなか実効が上がっていないのではないかということですので、 机上の空論にならないようなやり方を、ぜひ考えていただきたいと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。では桑原委員、お願いいたします。 ○桑原委員  33ページの1)の2番目の丸ですけれども、子どもの心の相談ということになりますと、この解 決には、ご存じのように初期対応と二次対応があります。初期対応につきましては、私ども日本 小児科医会がやっております「子どもの心相談員認定」は1,150まで来たのですが、5年先には 1,500まで伸ばそうと努力しております。「かかりつけ小児科医」と先ほど出てまいりましたが、 この「かかりつけ小児科医」を国民から見た目は、病気のときは小児科の先生に診せる。でも、 自分の子どもが元気だと思っているときは小児科の先生のところへは行かない。近所のおばあさ んや施設の保育士さんに指摘されるまでほっておくというところがございます。そこで、この二 次対応の専門医も児童精神科医も非常に少ないのですけれども、初期対応をする人材が非常に不 足しているわけです。ここのところを何とか拡大していかなければいけないのですが、それが何 とかこの5年の間にできないかと思っております。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。山極委員、お願いします。 ○山極委員  今村委員の件にも関しまして、日本看護協会の調査では、助産師や看護師が退職する理由の第 1が「仕事と育児の両立ができない」です。次には「夜勤がある」「長時間労働」というようなこ とですから、まずは、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組みを行わないと、どんなにい い人材を採用できたとしても、結局また辞めてしまうとことになると思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。他には、いかがでしょうか。  では岡本委員、お願いいたします。 ○岡本委員  先ほど今村委員から、ここに書いてある特に助産師の確保対策に関して、なかなか具体的には 難しいのではないかということで、国の方も潜在助産師掘起こしのための補助金は付けてくださ っているのですが、各県に降りてしまっており、結構3か月という研修期間の中で再教育すると いうことで、実際にはなかなか来られる人が少ないということが起こっております。以前の日本 看護協会や日本助産師会などの団体に任せてくださっていたときには、もう少し短期間の研修等 をやっていたので、もう少し出席率が良いということがありました。  それから、日本助産師会でも本当に足りないのでどう確保するかということを検討しています。 一から助産師教育機関をつくるといっても限度がありますので、いま一つは保助看法が変わって、 教育体制の見直しが今行われておりますけれども、大学で選択課程でやっているようなところを 少し文部科学省にもバックアップしていただきながら、専攻科に切り換えていただくことによっ て、少なくとも今、実際に大学で育っている数の2倍ぐらいの助産師が育って、しかも質も落と さないという形になりますので、厚生労働省だけではなくて、いろいろな他の省庁とも協議し、 共通施策になればありがたいと思っています。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。他に、ご意見はいかがでしょうか。 ○迫委員  少し前に戻らせていただく形になるのですが、「今後の取組について」という指標等の見直しの ところ、それから「充実するべき具体的な取組方策の例」があって、「今後の重点取組について」 というように連続して見ていくものかと思っております。そういう中で、指標等の見直しの中で は、新たに朝食の欠食率の問題が入ってきたということ。この辺につきましては、特に「食育を 推進していく」という項目が重要になってくるのではないかと思っております。そういう関係で 考えさせていただきますと、1点は、先ほど申し上げました思春期の対策の具体的な取組のとこ ろに、やはり「思春期やせ対策」という言葉を何か入れた方が良いのではないかと思われること。 特に学校での取組が重要で、頭出ししておく必要があるのではないか。  それから2点目でございますけれども、28ページの課題4のところに「国民」に対して「子ど もの生活習慣改善のための努力」という項目が出ているのですが、これは当然、親に対する教育 や支援が必要であるということにつながると思います。それに対しての具体的なそれぞれの取組 の記載がほとんどない状況の中で、これが進んでいるということでございますので、「地域の中」 や「保育所における」食育の取組の推進というようなものを1項目入れていただくことができな いだろうかということ。  それから、「専門団体」のところでは、関係専門団体同士の連携というところで、私ども日本栄 養士会と日本歯科医師会とで、現在食育の推進についての連携の取組も始めておりますので、ぜ ひ「専門職能団体の連携」というところを、一つの食育に関して加えいただけないだろうかと思 っております。  最後に、23ページに一言付け加えていただきたい部分がございまして、「地方公共団体」の「学 校保健推進体制の充実」の中に、「学校栄養職員」という言葉が入っていますが、この前に「栄養 教諭」という制度が今できておりますので、これを一つ追加していただければと思います。以上 でございます。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。では渡辺委員、お願いいたします。 ○渡辺委員  先ほど申し上げた子どもの自殺の防止については、意見的なことは先ほど申し上げたので、こ れは割愛して、1点だけ。4)の「子どもの虐待防止対策」のところの記述ですが、「うつ」や「望 まない妊娠」などと、どちらかというと心理的な要因が書かれているのですが、最近の福祉分野 のいろいろな調査では、昔からそうですけれど、児童相談所に引っ掛かってくるようなケースは、 その背景にはかなり経済的な問題を抱えているケースが非常に多いわけで、そういった精神的な 要因だけではなくて、特に今は「子どもの貧困率」なども発表されましたけれども、経済格差広 がってきた中で、やはりそのように経済的な問題を抱えている家庭というものも、この「虐待の ハイリスク」という表現が正しいのかどうかはわかりませんが、ここの中にしっかり含めていっ て、そこについてきちんと意識して支援者はかかわっていくようにした方が良いのではないかと 思っています。  そういうところとも関連していくと、先ほど奥山委員のご意見もあったところですが、この4) の母子保健、乳児家庭全戸訪問事業、養育家庭支援訪問事業などのアウトリーチは大事ですが、 アウトリーチからその後に地域の子育て支援サービスにきちんとつないでいくような次のつなが りをきちんとこの中に入れておかないと、アウトリーチばかり強化するけれども、その場での支 援ではなく必要に応じてその人たちが日常的に立ち寄ったり通ってこられる場所や、あるいは新 しく少子化対策にも打ち付けられている一時保育とは違う一時預かりなど、いろいろと多様なサ ービスが増えてきていますので、そちらにつなぐ働きもきちんとこの中に入れておいた方がよい かと思います。以上です。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。井上委員、お願いします。 ○井上委員  ネグレクトに関連したむし歯のことを課題4に入れていただいて幸いです。具体的な数値は次 回でよろしいと思いますが、実際に医療水準の向上のときにはむし歯のない子どもを増やすこと で良かったのですけれども、ネグレクトの件をもし指標として取り上げるとすると、今度はむし 歯のない子どもということよりは、重症なむし歯、多数歯むし歯を有する子どもの割合を減らす というか、なくす方向で数値を設定した方がよろしいかと思いますのでその点をご検討いただけ ればと思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。もう時間がありませんが、一つ、二つ。先に田中委員からお願いいた します。 ○田中委員  一つだけ。これはこの会でやることではないと思いますが、国に対しての要望です。今、渡辺 委員が虐待のことで経済的なことがかなりあるのではないかと言われました。まさに私もそう思 います。ですから、例えば妊娠や出産に関しては、恐らくお金があれば病院や診療所や助産院に 一度でもかかると思います。恐らくないから行かれないということがバックにあるかと思います。 そうであれば、前の大臣がおっしゃったように妊娠・分娩に関してのお金は全部心配するなと。 国が全部出してあげるというぐらいの国の予定でお願いしたいと思います。これに関しては今村 委員がかなり今やっていますので、そのうちに表に出てくるかもしれませんが、ぜひ要望として お願いします。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。では、山極委員。 ○山極委員  母親の「やせ」ということに関してですけれども、いろいろな対策を取っていくことは大事で すが、現在の美的価値観「特に若い女性を中心に、やせていることが美しい」が問題だと考えて います。洋服も細い人が対象ですし、細くて若い女性の中には、もっと痩せたいとダイエットを している人もいます。このような、誤った価値観を変える必要があると思います。 ○山縣座長代理  ありがとうございます。他には、よろしいでしょうか。ちょうど時間ですので、これに関しま しては次回に継続しての議論です。最終案を出すまでに恐らく委員の皆さま方のご意見を聞いて 修正ということになると思います。  では、今後の予定等につきまして事務局からお願いいたします。 ○事務局  本日は大変熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。また、特に山縣座長代理 には進行していただきまして、どうもありがとうございました。  次回の予定ですが、本日のご意見等も踏まえまして最終的に報告書案という形でご検討いただ ければと思っております。日時につきましては、3月17日水曜日の午前10時からということで 予定させていただいております。場所につきましては追ってご連絡させていただければと考えて おります。  この後の段取りですが、3月1日に健やか親子21推進協議会という85団体の関連団体の協議 会の総会などもありますので、そこでもいろいろとご意見をいただければと考えております。ま た、本日は大変幅広くご意見をいただきましたが、関係省庁あるいは関係部局といろいろと調整 させていただいて、省内の話ですけれども当然政務三役ともいろいろと協議させていただいて、3 月17日に案をご議論いただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日は 時間も窮屈で、委員方もご発言が難しかったところについては、個別に事務局にご連絡いただけ ればと思っておりますので、併せてよろしくお願い申し上げます。以上です。 ○山縣座長代理  どうもありがとうございました。不慣れな座長で時間もぎりぎりで委員の皆さま方のご意見を 十分にお伺いすることができなかったかもしれませんが、今、宮嵜母子保健課長からお話があっ たように、今後は個別にもご意見を聞きながら、全体のまとめを3月17日にということですので、 よろしくお願いしたいと思います。  それでは、これで検討会を閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省 雇用均等・児童家庭局  母子保健課 山口 内線 7940