10/01/27 第2回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会 議事録 第2回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会  議事録 【日時】平成22年1月27日(水) 12:00〜13:00 【場所】独立行政法人医療品医療機器総合機構21−24会議室(新霞が関ビ ル14階) 【出席委員】(50音順)  飯沼委員、岩本委員、岡部委員、加藤委員、廣田委員、宮崎委員、蒲生参考 人、倉根参考人、竹本参考人、多屋参考人、永井参考人、福田参考人、横手 参考人 【行政関係出席者】 上田健康局長、福島健康局結核感染症課長、江浪健康局結核感染症課長補佐、 大坪健康局結核感染症課長補佐、梅澤健康局結核感染症課長補佐 ○梅澤課長補佐 定刻になりましたので、第2回「厚生科学審議会感染症分科 会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会」を開催させていただきます。本日 はご多用のところ、一部の委員におかれましては予防接種部会に引き続き、日 本脳炎に関する小委員会にご出席いただき誠にありがとうございます。本日は、 委員の皆様全員にご出席いただいております。今回も第1回小委員会に引き続 き、これまで予防接種に関する検討会において、日本脳炎をはじめ、予防接種 に関するさまざまな議題についてご検討いただきました委員、その他関係企業 の皆様方など7名の方々に参考人としてご参加いただいております。開会に当 たり、上田健康局長よりご挨拶申し上げます。 ○上田健康局長 先般15日に開催されました第1回のこの小委員会において、 当面課題となっておりました積極的な勧奨のあり方について、供給量及び副反 応等の状況から、定期の1期の標準接種年齢に対する勧奨接種を行うことが適 当ではないかというご意見をいただきました。  また、平成17年の接種勧奨の差し控えにより、接種機会を逃がされた方に対 する対応のあり方につきましては、前回のご議論の中で事務局に対して宿題を いただいております。具体的な対応については、ワクチン供給量に影響を受け る面が大きいため、前提条件などを整理し、本日提示させていただきますので よろしくお願い申し上げます。 ○梅澤課長補佐 以降の議事進行は加藤座長にお願いいたします。 ○加藤座長 早速本日の議事を進めさせていただきます。事務局から資料の確 認をお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、日本 脳炎に関する小委員会の委員名簿。資料1「第1回日本脳炎の予防接種に関する 小委員会における議論の概要」、資料2「日本脳炎の予防接種率等に関するデー タ」、資料3「平成17年に積極的な勧奨を差し控えたことにより接種機会を逃が した者への対応に必要となる日本脳炎ワクチン量の検討について」。参考資料1 は、男女別年齢の表です。参考資料2は、細胞培養ワクチンのメーカーの出荷 量です。参考資料3は、特定の年齢に対して積極的に勧奨を行った場合の供給 のシミュレーションの案です。参考資料4は、日本脳炎定期予防接種の関連法 規の抜粋です。青いファイルが机の上に乗せてありますが、これは第1回小委 員会での資料を用意させていただいているものです。併せてご参照いただけれ ばと思います。 ○加藤座長 本日の議題であります、日本脳炎の予防接種についての検討に入 ります。前回第1回の委員会では、課題の整理及び副反応や供給量などに関す る現状について事務局より報告がありました。本日は、接種機会を逃がしたお 子さんに対する接種機会の提供のあり方についてご検討いただきます。資料1 〜3に関して事務局からの説明を求めます。 ○大坪課長補佐 資料1〜3を続けてご説明いたします。資料1は、前回第1回 予防接種に関する小委員会においての議論の概要です。論点が3つあります。1 番目は、定期予防接種の積極的な勧奨の取扱いをどのようにするか。2番目は、 平成17年の勧奨差し控えにより接種機会を逃がした方に対しての対応をどのよ うにするか。3番目は、2次の予防接種として用いた場合の治験の集積について です。  1番目の項目として、積極的な勧奨の取扱いをどのようにするか。この中の1 つ目は副反応報告の状況、供給予定量、現状についてご報告を申し上げ、それ を踏まえて委員の先生方から積極的に勧奨する段階に至ったものと考えられる のではないかというご意見をいただきました。その際に、2次に関しての有効 性・安全性についての治験の集積の結果を受けて、2次に関しては今後検討する こととしてはどうかとなっております。定期の予防接種の勧奨を再開する対象 者については、予防接種の実施要領の中で、標準的な接種年齢として、初回接 種については3歳に達したときから4歳に達するまでの期間。追加接種に関し ては、4歳に達したときから5歳に達するまでの期間としております。患者の発 生状況をご覧いただきまして、この年齢での勧奨の再開ということでよろしい のではないかというお話をいただきました。  平成17年の勧奨差し控えにより接種機会を逃がした方に対する対応について ご議論いただいた概要です。その対象者としては、差し控えが行われた当時に、 施行令において対象の接種年齢であった方のうち、1期の初回接種3回を終了し ていない方に対して機会を提供することが必要ではないかとなっていたかと思 います。  次の論点は、不完全接種者ということで、3回のうち1回しか打たないで終わ ってしまっているお子さんや、追加接種をまだ受けていない方、不完全な方、 全く未接種の方といろいろな方が混ざっているわけですが、それらの方に対し てどのような接種機会を提供することが妥当かといったご議論をいただきまし た。3回のうち、不足している回数を少なくとも補っていく。この3回接種を基 本にすることが妥当ではないかというご意見をいただきました。  3番目として、どこから接種機会を逃がした方の、いずれの対象者からその機 会を提供していくべきかという議論に関しては、供給量の影響を受ける面が大 変大きく、これに関しては事務局のほうで案を作成し、本日ご提示させていた だくことと宿題をいただいているところです。3番目の2次に関しては、現在研 究班で治験収集中ですので、それを踏まえてまた検討いたしましょうというこ とになったかと思います。資料1は以上です。  引き続き資料2のご説明をさせていただきます。本日事務局からいろいろ案 を出させていただくわけですが、その際のデータのベースラインになります予 防接種率、各年齢ごとの予防接種率をどのように算定するかという基礎データ になります。こちらは感染症情報センターから、平成21年度の暫定値ですが、 日本脳炎の予防接種率をいただいております。いまご回答いただいている自治 体がここに記載されている各県になるわけですが、その中での数字です。赤で 示されているところは、1期の3回のうち3回未満の接種を行ったと申告されて いる方です。その隣のバーが、1期の3回を終了していると申告された方です。 黄色の方は、1期を行ったが何回したかわからないと回答した方です。その次の バーは、1期は3回未満でしたが、その後2期の追加接種を済ませている方です。 次のブルーは、1期3回プラス2期も完了されている方です。グリーンのバーは、 接種回数そのものが1期か2期かも含めて回数が不明と回答された方です。い ちばん右の接種歴不明という方は、打ったかどうかもわからないと申告された 方と伺っております。  このグラフを次の頁で数字に戻しております。この際に1期の完全接種者と いう括りに分類した方は、※1のところで示してありますように、1期の3回が 終了したとおっしゃった方と、3回未満ですが2期の追加接種を行ったと申告さ れた方です。1期の3回プラス2期を終了していると申告された方の総数として 算出しております。※2は、1期不完全接種者の定義です。3回未満と回答され た方、又は接種回数が不明である。接種はしたけれども、接種回数が不明であ ると回答した方の総数としております。※3は、接種歴なしと回答した方と、接 種したかどうかわからないと回答した方を、多少多目に算出することになるか と存じますが未接種者として分類して今回算出しております。  その下も平成21年度の感染症流行予測調査よりいただきました、日本脳炎の 中和抗体価についてお示しております。日本脳炎に関しては10倍以上の抗体保 有価があれば、それは有効であるというお話をいただいておりますので、1:10 以上の抗体保有率をこちらに年齢別に数字でお示ししております。こちらは注 書きですが、今回の調査対象11都道府県のうち、まだすべてから報告をいただ いておりません。西日本に片寄っている傾向がありますので多少高目になって いるかもしれないというコメントを多屋室長からいただいております。  次の頁は、いまの2つのデータを踏まえ、予防接種率と抗体保有率を横並び に年齢別にお示ししております。この関係を下のグラフでお示しております。 未接種者数と中和抗体の保有率がほぼ逆相関していることから、今回この予防 接種率を基に、必要接種回数とか、それに見合った供給量を算出させていただ くことといたしました。  次の頁は参考として、2008年度の流行予測調査の中に、1981年からの抗体 保有価が出ておりましたので、それを過去のものとしてご参照いただくために お付けしております。資料2のご説明は以上です。  引き続き資料3のご説明をさせていただきます。これが本日の本論になりま すけれども、接種機会を逃がした方たちへの対応に必要となる日本脳炎ワクチ ンの量について検討させていただきました。検討の前に、その前提条件となる ものがいくつかありますのでご説明させていただきます。1つ目の○は、この検 討においては極めて単純化するために、各年齢ごとの人口を110万人と設定し ております。正確には参考資料1にありますように、総務省調べの中で、平成 20年度における年齢別の人口がありますが、大体平均は112万4,800人といっ たところですが、単純化のために110万人で計算しております。  2つ目の○は、平成22年度において勧奨を再開することになりますと、まず 標準の3歳の方に個別通知が行きます。次年度は追加接種が発生いたしません ので、必要な供給量が220万本となります。これは接種率を100%と仮り置き した場合です。その次の年度からは、平成22年度に打った方で、追加接種が必 要になる方が発生いたしますので、トータルで330万本が標準的な接種のため に必要になるという計算になります。ここの注書きですが、今回のシミュレー ションに関して2期の必要量に関しては全く考慮しておりませんことにご注意 ください。  3つ目の○ですが、平成22年度の予定出荷量は510万本と企業の方から聞い ております。下にシェーマでお示ししておりますが、6月、7月、8月辺りが接 種のピークになろうかと存じますが、その接種シーズン前までにどれぐらい手 持ちで供給できるかという計算に変えますと、7月末までの供給予定量が、メー カーの方から204万本であると伺っております。本年度の在庫ですが、おそら く12月末の状況では190万本残っているということですので、平成22年度の 接種シーズン7月末までに、手持ちとして400万本が使用可能であると仮定し ております。接種シーズン以降に306万本出て、3〜7月までに出る204万本を 足して、次の7月までに510万本が手持ちであるという想定をしております。  次の頁はいまのことを踏まえて、これらの条件に基づきますと、標準的な勧 奨の対象者3歳以外の方に使用が可能なワクチンは、次年度において 400-220=180万回接種分となります。その次の年度からは510万本出てまいり ますが、追加接種のために330万本が使われてしまいますので残りは180万回 接種分となります。ここで、いま承認を申請中のもう1社に関しての供給量は 全く加味しておりません。  続いて、積極的な勧奨を差し控えたことによる接種機会を逃がした者の範囲 は先ほど申し上げましたように、当時、施行令で定められている年齢の方で、3 回接種が完了していない方全体と想定しております。さらに不足している回数 だけに接種をするという条件で計算をしております。そういたしますと下のシ ェーマでお示ししておりますように、先ほどの予防接種率から勘案すると、2009 年度の感染症流行予測調査の結果、各年齢ごとに3回接種を終わっている方、 不完全接種の方などのパーセンテージから計算いたしますと、次年度は0〜12 歳までの接種に必要と考えられる接種回数は約2,420万回接種分と推計されま す。そのうち4〜12歳までの方に対しての必要回数が1,560万回接種と推計し ております。  それをもっと細かくお示ししたのが次の頁です。これは、先ほどの各年齢ご との予防接種率を一覧にして、次年度においては3歳が標準の接種で、通知が 行く勧奨の対象となります。これ以降の4〜12歳の方が接種機会を逃がした方 と考えられますので、この方たちが各年齢ごとにこの程度のパーセントで予防 接種がまだ未完全の方がいて、その方全員に100%提供すると、各年齢ごとにこ れだけの供給量が必要であるというイメージになります。その中で、いま手持 ちの180万本をどのように使っていくかというお話になるのではないかと思い ます。  次の頁は接種計画の検討です。これらがすべて条件になるわけですが、これ を踏まえてシミュレーションを立てております。1つ目は、2期の接種の機会を どうするかということです。いま治験を収集していただいているところですが、 仮に2期が定期予防接種に使用可能となって、これまでどおり2期も使ってい きましょうということになった場合には、その分だけで110万本以上出ていき ますので、それ以外の初回接種でまだ未完全な方はどうしましょうかという議 論に、供給できるワクチンの確保は十分ではないと考えられます。  例えば、仮に2期の接種が行えない状況がしばらく継続していると仮定した 場合、2期を考えない場合ということになります。その中で2つの案があります。 特定の年齢に関して勧奨を行う場合、特定の年齢に対してではなく幅広く行う 場合、この2つの考え方に基づいてシミュレーションしております。先ほどの 予防接種率などから勘案し、5歳に対して通知を出すということになり、5歳児 でまだ接種が済んでいない方が100%接種をした場合、この5歳児は前の頁を 見ていただきますと202万本必要となっておりますので、手持ちの180万本で は既に足りないことになります。この状態が8歳まで続きます。9歳以降になる と、既に打っている方が多少いますので、9歳ですとこの運用で1年間は回るこ とになります。ただし、9歳以外の年齢の方、4〜12歳の方が接種を受けに来ら れた場合には0.7%分しか回りませんという算定になります。同様に10歳を対 象とした場合も、この運用で3年間供給量はもちますが、ほかの年齢層に対し ては4.2%。11歳を対象とした場合は4年間回りますが、ほかの年齢に対して は3.7%。12歳に対しては5年回運用可能ですが、ほかの年齢に関しては2.8% の接種率で我慢していただくことになります。  次の頁は、特定の年齢に縛ることはなく、積極的に勧奨は行わないで、幅広 く接種の機会を提供した場合の接種率を設けてみました。4〜12歳のすべての年 齢を対象とした場合には、先生方ご存じのように1期の対象者は90カ月までで すので、そこを8歳を定期の対象とする場合には政令の改正が必要になります し、9〜12歳までの2期の方も1期を可能とするためには省令の改正が必要と なります。仮に4〜12歳のすべての方に接種機会を提供した場合には1,560万 回が必要になりますので、手持ちの180万回接種分ですと12.5%となります。 仮にいま1期の4〜7歳までの方のままとして、すべてを対象とした場合には 817万回が必要になりますので、接種率は22%となります。ただいま差し控え している最中の直近の予防接種率が1期に関しては13%程度となっております。  これまで案をお示ししたわけですが、3番目にそれではどうしましょうかとい うことで、案の1つ目は、2期に使用するかどうかということの結論が出ていな いいまの現状において、2期のワクチンの使用の可否がもう少し明確になったと ころで、この対象者への提供を考えることとするという案を1つご提示してお ります。案の2つ目は、2期で使用可能になったとしても、2期よりも全く打っ ていない1期未完全の方を優先するべきであろうという考え方であったとすれ ば、その中で特定の年齢に勧奨するのか、そうではなくて幅広く接種機会を設 けたほうがいいのか、そういうことに関して本日ご議論いただければと思いま す。以上です。 ○加藤座長 いきなりたくさんの数字が出てまいりましたので、各委員は頭が 混乱していると思います。小委員会長としても頭が非常に混乱しているのです が、なんとなくわかったかなというのが皆さんの感覚であろうかとご推察いた します。まず冒頭にお聞きしておきますけれども、阪大微研の日本脳炎ワクチ ンの供給量ですが、ここに書かれている供給量というのは、これ以上はどうし てもできない量というふうに判断するということですか。もうちょっと努力す ればまだできるという、設備上の問題であるとかいろいろな問題もあろうかと 思いますけれども、その辺はいかがですか。 ○福田参考人 設備上では、この500万というのが最大ということでお考えい ただければと思います。 ○加藤座長 しばらくの間ということですか。 ○福田参考人 はい。 ○加藤座長 そういうことを頭の中に入れておいていただいて、事務局からの 数値を勘案していただきます。本日参考人としておいでになっている化血研の ほうですが、事務局の説明ではまだ認可されていないということですが、これ はこの間お聞きしたとおりですね。 ○横手参考人 はい。 ○加藤座長 これは機構で審議されている最中かもしれませんので、これは考 慮に入れない数字という前提で進めさせていただきます。資料1にありますよ うに、第2点としては、前回討論致しました供給実績出荷量や副反応の現状な どから、1期の定期予防接種については積極的な勧奨の接種を行う段階に至った のではないか。また、その年齢をこれまでどおり標準年齢とすることが妥当で あろうということはいまお話のあったとおりです。  第2に、接種機会を逃がした者に対する経過措置については、供給予定量な どから、次のシーズンに向けて具体的な検討を行うために、事務局から提示さ れるシミュレーションを基に検討を行うということ。  第3に、新しいワクチンによる2期の接種についての有効性・安全性につい ての治験を早急に集積し、その結果を踏まえて検討を行うようになったという ことです。  そこで早速ですが、資料3及び参考資料3にあるシミュレーションのところ でご意見をいただきたいと思います。その前に、8歳と12歳のところで政令改 正が必要であるという意味づけをもう一回説明してください。 ○大坪課長補佐 参考資料4に関連法規を抜粋したものをご用意しております。 この予防接種法施行令においてその対象者が定められております。1期の予防接 種及び2期の予防接種の対象の年齢がこのように決まっております。即ち、1 期の接種に関しては生後6〜90カ月、いわゆる7歳半に相当します。2次に関 しては9歳以上13歳未満の者と定められています。  実施規則についての抜粋もその下に記載しております。1期の予防接種におい ては3回接種、2期においては1回接種というふうに、接種の回数と間隔が規則 の中で定められております。 ○加藤座長 そういうことで政令を変えなければこれができかねるということ です。それを頭の中に入れて、どのように接種機会を逃がした者に対し、供給 量と比較しつつ、しかしこれを放っておくとどんどんとこの方々が溜まってい く一方ですので、できればどこかを定めながら、残るであろうと思われるワク チンを接種していきたいというのが基本的なスタンスだろうと考えます。  資料3の、いちばん最後の頁のいろいろ細々しい数が書いてある3番のとこ ろで、次年度対応(案)について、案1)と案2)があるということです。案1)は 先送りの案だろうと私は判断いたします。先送りしなくても、現在の段階であ る程度想定はできるのではなかろうかと思いました。第2期の接種が可能にな るか、なるまでこの議論は少し止めておいて、その段階でまさにこれから議論 しようとしていることをしましょうというのが案1)だろうと思います。これは 先送り案ではなかろうかと感じます。  案2)は、そうとはいえ先送りはせずに、180万本程度は余ってまいりますの で、それをどのような方々で接種対象者に接種をし、積み残し者をどのように 減らしていこうかという素案が出てきたのが案2)-1と案2)-2です。  先ほど来事務局から説明があったのはピンポイントで、例えば特定の年齢に 対して勧奨を行うということで、これは前回竹本参考人がお話になったポイン トだと思います。例えば何歳、何歳と区切って勧奨を行っていくことになると、 先ほど阪大微研から、もうこれ以上は作れないという前提がありました。ピン ポイントで何歳ということで、今度は積極的な勧奨をすることになりますと、 事務局側としては接種率は100%として想定しておりますが、これは妥当である と思います。なぜかというと、これは予防接種法ですので、すべからく対象者 は接種をする権利を持っておりますので、一応100%で計算をしていくことが、 国としては安全策であろうと思いましたから、これに対して私は賛成いたしま す。  しかし非常に厳しい状況で100%にはならず、従来の経験からすると先ほど来 出ておりますように、大体マキシマムで80〜85%程度です。もし2期を入れる としても、大体60〜65%程度ということですので、実際に接種してみればでき る可能性はなきにしもあらずです。一応国としては100%を算定しつつこの議論 を進めていきませんと、もし全員が手を挙げたときに、またワクチンの種切れ ということが生じかねないというところから、100%計算をしていると読みまし た。  したがって、案2)-1ということを行いますと、不足が生じてくることはほぼ 確定的ではなかろうかと思っております。それで2)-2の案が出てきているとい う意味で、このような案が出ていると察しますので、委員並びに参考人のご意 見を伺いたいと存じます。最初に参考人のご意見を伺います。 ○横手参考人 あくまでも計画ですけれども、供給量としては平成23年に100 万、それ以降は300万と思っております。その数字をアイディアとして視野に 入れていただいたタイムラインで、先ほどの2つの案をしていただければと思 います。メーカーとしては、患者さんの希望にできるだけ沿いたいということ ですが、ただメーカー自身が供給に対する混乱をどの程度整理したらいいかと いうのを、私どもはまだ予測しておりませんので、その辺を鑑みてご検討いた だければということです。 ○福田参考人 資料3の4頁の備考欄の試算というのは、接種シーズンとする7 月までに供給できる量を前提としたときに、残ったものが180万であるという 前提で不足するという判断をされております。例えば、通年を通せば7月以降 にさらに年度末に300万出ることを考えれば、もう少し幅広い対象にできるの ではないかということで、そこは皆さんにご議論いただきたいところです。そ れは、1頁目の資料の下の図で読めると思います。 ○永井参考人 5頁の案2)-2で行った場合に、いずれにしても行政としては予 防接種台帳から、回数に満たない方に関してはすべて積極的に勧奨していくこ とになります。例えば、医療機関側にワクチンがなかなか手に入らないとか、 国民側からすれば受けに行ったけれどもワクチンがないからできないと言われ たというような苦情といいますか、混乱がない状況下でないと案2)-2はできな いのかと思います。 ○加藤座長 案2)-2というのは2つあるのですが。 ○永井参考人 特定の年齢に勧奨を行わずに広く接種の機会を提供するという 場合です。 ○加藤座長 その中に、対象者を4〜12歳にするということ、これは政省令改 正が必要になってきますので省くと仮にいたしますと、対象者を4〜7歳にする ということに対してのご意見と伺ってよろしいですか。 ○永井参考人 そうです。末端の医療機関まで十分ワクチンが確実に供給され るという保証がないと、行政としては苦情対応に振り回されてしまうのかと思 っております。 ○多屋参考人 大変難しい議論なのですが、当初想像していたよりも、ワクチ ンの量がかなり少なく見積もられているのかと感じました。案2)-2は難しいと いうお話を永井先生から伺った後では申し上げにくいのですが、いまのワクチ ンの量、未接種者の状況を考えると、せめて対象者を4〜7歳とするような案で いけることができないかと感じました。 ○加藤座長 もう一度言ってください。 ○多屋参考人 案1)、案2)-1、案2)-2の上の部分は難しいという内容だったか と思いますので、案2)-2のいちばん下の対象者を4〜7歳とするというところが 接種者の数とかワクチンの数を考えると、現実的にできやすいのかとずっと思 っていたのですが、いまの永井先生のお話を聞いてそれが難しいとなるとちょ っと難しいのかなと。 ○竹本参考人 私は、特定の年齢に勧奨しないで、12歳以下をすべてというこ とを前回もお話いたしました。ワクチンの生産量を考えて、ワクチンが足らな いということになると、やはりパニック状態になる可能性もあります。やはり 現行の7歳半までを対象として、そのほかにできるならば特定の12歳、それか ら翌年もまた12歳というように、その最後の年齢を超えるところでワクチンが できれば、そういう形で進んでいっていただければいいと思います。いまの段 階だと、やはり同じような意見になってしまいます。 ○加藤座長 続きまして倉根参考人から検定のことになると思いますけれども、 いま化血研さんから数字が出てまいりましたが、検定が進む度合いというのは、 並行して進んでいった場合にうまくいきますか。 ○倉根参考人 もう1社が出てきた場合ということですか。 ○加藤座長 はい。現行では大丈夫だと前回おっしゃっておられました。 ○倉根参考人 現行は大丈夫です。どのぐらい増えるかにもよりますが、そこ はなんとか対応できると思います。ただ、ほかのものを少し犠牲にしてやらな いといけない部分が人数的にどうしても出てきます。ここで言うべきことでは ないのですが、さらにそれの増員があると非常にありがたいということです。 ○蒲生参考人 少し議論がずれてしまうかもしれないのですけれども、どちら にしてもある年齢を特定した場合には、180万より以下の年齢にしないと100% の供給にならないし、そうなってくると年齢はすぐに特定できてしまいます。 それが良いか悪いかは別にして、供給量に対しての必要量というところで特定 できてしまうのかと思います。  案2)-2は、必要な接種回数に対して供給量があまりにも低すぎるので、たぶ んお母様方からしてみれば、例えば10人いたら1人できるのかできないのか、 全然受けられないではないかみたいな感じになるのではないかと危惧していま す。そのときに、医療機関もたくさんのお子さんが接種に来る医療機関と、そ れほどたくさんのお子さんの来ない医療機関もあるので、あそこの病院なら大 丈夫よとか、ここにはないわよとか、いろいろな混乱が実際にお母さんたちの 間で起こるのはいいことなのかなと。私は、あまりいいことだとは思えないの で、特定年齢のほうがいいのではないかという気はしています。もう1つ地域 的なことは全然加味しなくてもよいのかということは思っています。 ○加藤座長 以上で参考人からのお話が終わりました。 ○倉根参考人 先ほどは検定の議論でしたけれども、そうでないことを考える と、現在の中和抗体の保有状況を見ると、明らかに8〜9歳はほぼマックスぐら いに一応はいっているということです。これは、1年ずれればそこはそのまま右 にずれるでしょう。そういう意味では案2)-2の4〜7歳というのは適切かと思い ます。  ただ、これを蒸し返すと面倒なことになるかと思うのですが、この中でいち ばん危険性があるのは1度も受けていない子どもたちだと思います。もちろん3 回打つというのは、それなりにいろいろ過去のスタディがあって、3回打てば長 期に続きますということはあります。現実的には3回打つということで押して いるので、ここでこの議論を蒸し返していいのかどうかわかりませんが、2回打 てばそれなりの期間は効くことになろうと思います。ただ、3回打ったほど長く は高いパーセンテージでは続きませんと。  行政的には非常に複雑になるかもしれませんが、やはり救うべくはまだ1度 も打っていない人、絶対に1度しか打っていない人、この人たちはかなりリス クが高いグループだと考えざるを得ないかと思います。2回打った人は、おそら くこの年齢ですので、まだそれほど下がってくるとは考えづらいと思うのです。 もちろん、前提として3回ということを考えているので、それをまたここで議 論をしてはなかなか面倒なことになるかもしれませんが、絶対に救うべき人を 救う。ゼロの人あるいは1回の人に焦点を当てて免疫を付けてあげることが必 要なのではないかと思います。 ○加藤座長 いまの倉根先生のご意見は、初回接種を2回行ったら追加は行わ なくてもいいという意味ですか、それとも初回を1回行えば、次年度に追加を1 回行えばいいということですか。 ○倉根参考人 いや、初回を2回やれば、ある意味では。 ○加藤座長 3歳で接種すれば、4歳で接種しなくてもいいのではないかという 意味ですか。 ○倉根参考人 はい、そういうことです。あるいは1回しかやっていない人は、 もう1回やれば2回になりますのでということです。 ○加藤座長 わかりました。多屋先生、それは調査上は大丈夫そうなのですね。 ○多屋参考人 はい。 ○加藤座長 3歳児に2回接種すれば、4歳児には接種しなくても大丈夫な可能 性はある。そうすると、事務局から出てきた案とちょっとずれてくるのだけれ ども。ただ、ここには法律がありますから、法律と言ってはいけないのでしょ うが。 ○上田健康局長 事前に……の点を議論したので事務局から説明させます。 ○大坪課長補佐 薬事承認上の話をさせていただきます。青いファイルの前回 の参考資料7の中に感染培養日本脳炎ワクチンの添付文書があります。用法・ 用量のところを見ますと、薬事承認上は、初回免疫は通常0.5ccずつを2回、1 〜4週間の間隔で皮下に接種する。ただし、3歳未満の者は同様の用法で注射す る。追加免疫は概ね1年を経過した時期という規定があります。  これを踏まえて日本脳炎の予防接種の実施規則の中にもこのままを引用して おります。ですから、回数に関しては2回でいいですとか、1回でいいですとい うことはなかなか難しいかと思いますがいかがでしょうか。 ○加藤座長 わかりました。それは参考意見として伺います。これは、前回も たしか話をしましたね。 ○大坪課長補佐 はい。 ○加藤座長 以上参考人のご意見を基にして、今度は本委員からご意見を伺い ます。 ○宮崎委員 難しいのですよね。100%で想定して、実際は現実に85%ぐらい で動いていて、本格的に勧奨を再開すると50〜60%ぐらいから始まるかもしれ ないということだと思うのです。しかし、先ほどの議論ではあまり低く国が言 うわけにもいかない中で、基本はとにかく詰めていかないといけませんから、 標準的な接種年齢でとにかく勧奨を再開する、これはわりとシンプルにいくだ ろう。  2期の接種については、いまの血清疫学を見ていると意外に抗体がもっていま す。小学生から中学生辺り。ですから、現行のワクチンは1989年に北京株にな りましたけれども、結構抗体の上がりが良くて、これはJaGar01株で測 ってあると思いますが、おそらく北京株で測ればもっと高い抗体が出てくると 思います。ですから、2期はちょっと待っていただくということ。  案2)-1か案2)-2もモディファイでいけるかということになると思うのです。 混乱が少ないのは、ある特定の年齢層でセッティングをして、市町村としては そこで勧奨していく。ただ、それからいくらか外れたところのファジーな部分 でも定期接種の年齢であれば、接種者とみなさないみたいに切らないような形 はできませんか。地域差もいろいろあって、現実的に再開したときの接種率も、 当初はかなりばらつくのではないかと思っていますので、案2)-1をベースにし て、何か運用上の工夫ができないかとは思っています。実際に現場としては、 意外に接種率が上がらないときに、なぜ案2)-2の下のほうでやらなかったのか という意見が出そうな気がして、そこが複雑な気持です。 ○加藤座長 地域の差は考慮しないようにしましょう、というのが前回の会議 の中身だったと思います。 ○宮崎委員 ここも、なかなか線引きが難しい問題です。 ○加藤座長 前回の委員会では、地域差は省いて議論しましょうということに なっていますので、それは取り除いた上で議論していただきたいと思います。 ○岩本委員 私は内科なのですが、うちの病院ではやっていないので現状がわ からなくて、委員としてあるまじき発言かもしれないのですが、1つはいかに高 率に打ちたいかという問題と、それを混乱なくやるかというところの議論では ないかと思うのです。特殊事情があると思うのは、しばらく勧奨を控えてきた ので、今回の新型インフルエンザみたいな議論を前回していたので気になるの は、どこでどういう方が受けるのかを家庭ではわからないという問題が起こら ないかという心配があります。  先ほど出ていた重複予約といった問題の混乱で、実際にワクチンがある量と、 それが市場に出て、それぞれが打てる話というのはどの要素が強くなるのか見 えない状態でやるのか。数的に国がやるのは無理だと思いますので、市町村で ある程度の希望を取るというのも変ですけれども、定点調査をやっているよう な所で、ここでやりますよみたいな、この辺で日本脳炎のワクチンを配って、 そこは予約がいくつありますかみたいな調査でもしないと、高い接種率を目指 しながらあまり無駄をしないという議論はできないのかと思います。  そういうことが全くやれないのだったら、いま宮崎先生がおっしゃったよう に、どこかで年齢を決めて、混乱のないように1年か2年はやって、なるべく 古いロットから使っていく。保存期間は2年とかなり短いですよね。滑り出し の年は、どこへ行ったら打てるのかという混乱に対し、全く行政指導できない のであれば、混乱が起こることを前提にやらざるを得ないのではないかという 気がします。あまり意見になっていませんか。 ○加藤座長 なっています。 ○廣田委員 小児科の先生に怒られるかもしれませんけれども、私は案1)に同 意いたします。 ○加藤座長 理由はどういうことですか。 ○廣田委員 これは実施上の問題で、永井先生がおっしゃった理由からです。 ○岡部委員 実際にやるときには、オペレーションのやり方の良さを優先的に するのか、あるいはそのリスクを考えながらやるのか、でるだけ余らないよう にするのか、どの辺を優先にするかによって随分違うと思うのです。やはり、 限られた量であることを始めに多くの人にきちんと説明すべきではないかと思 うのです。それでないと、新型ワクチンのときのように、たくさんあるような 幻想を抱いてみたり、余ってみたり。それから定期ではないけれどもHibワク チンのときには結局足りないままスタートしたほうがいいのか、たくさんでき るまで待ってスタートしたほうがいいのかという議論をしたと思います。これ は小児科学会のほうでもやりました。  そうすると、限られた量をやるのであれば、ハイリスクと考えられるところ を先に少しでもやっていくということで、最もリスクの高い年齢層を中心にや って、そこで供給できる量の範囲内で決めるべきではないかと思います。もち ろん実際の場面では、2人の兄弟がいて、片方は外れているけれども接種ができ ないとか、あるいは片方だけはできるのだという混乱が多分起こると思うので すけれども、あまり例外的なものを用いると非常に複雑なオペレーションにな ってきて、これが先まで行くと非常に混乱になるので、やはりシンプルな形で やっていく必要があります。ただし、そのやり方で勧奨から漏れてしまった人 が、数年後であってもそれが救済できる、つまり接種機会が確保できるという ことは当初より考慮しておくべきだと思います。 ○飯沼委員 皆さんのおっしゃられることは肯定していいのだろうと思います。 限られている中でやるのですから、まずスタートすることが大事だと思います。 12歳、要するに中学3年生を超えると予防接種がやりにくくなるという現実が あります。いちばんリスクの高いところと12歳。毎年12歳は打ち、そこでも う終わりにするというものの考え方もあるのではないかということです。 ○加藤座長 いろいろなご意見が出ましたので決め難いところですけれども、2 つの意見に集約されているかと思います。ハイリスクと思われる年齢、事務局 の案2)-2に3人が賛成しております。これは、特定の年齢に勧奨を行わず、広 く接種の機会を提供する。機会を提供するということは、岡部先生がお話にな った、いつかは接種できますという安全性のようなことをなんとなく担保する ような感覚であろうかと思います。強いて言うならば特定の年齢に積極的に勧 奨を行わずというような表現にすると、逆にちょっとややっこしいかなという 感じもいたします。そのようなご意見の方が数名おられました。  それから、ピンポイント的に年齢を決めてやっていただくほうがよろしいの ではないかというご意見もありました。  もう1つの意見は、2期接種が出てくる可能性があるので、2期接種の動向を 見つつ、案1)の先送り案という意見も出てまいりました。  なかなかまとまりがつかない状況ですけれども、議論は2期の接種はいつご ろ再開できることになるだろうか。それから2期が可能になっても、1期の不完 全者又は未接種者を優先する可能性が出てくる。そうした場合に、いまお話を したように意味合い的には年齢を勧奨する。そのときの年齢を何歳にするかと いうことでいま議論が湧いているところです。4〜7歳に対象者を置くという意 見が、このメンバーの中では過半数を占めていた感じがいたします。  そこで、第2回日本脳炎に関する小委員会の決定事項としては、来年度から 標準年齢において1期の勧奨再開を開始するということは既に決定事項です。 皆様方のご意見がなかなか集約できていないところを考えますと、2期について の検討結果とか、まずスタートしてみて夏ごろまでの接種状況、供給状況等を 踏まえ、その段階でもう一度議論をしようという考え方をしたいと思うのです がいかがでしょうか。 ○岩本委員 そういう案で賛成ですけれども、もう1点は前にも申し上げまし たが、去年の秋に学会で、いわゆるトラベラーズワクチンとしての日本脳炎と いう形で、タカヤマ先生が、日本脳炎の新地域によく旅行する人は高齢者も考 えなければいけないという話から考えますと、勧奨とは別にそれを見ながら、 まずは勧奨が止まっていたことと、勧奨を始めるのはなるべく狭いスリットで やり始めるにしても、2期の議論と、もう1個は任意で日本脳炎ワクチンを打て て、この地域では日本脳炎が全然なくなっていないのだという話を一緒にやる 必要があるかと思いました。 ○加藤座長 わかりました。非常に複雑な話を持ち込まれました。それはなぜ かというと、トラベラーズワクチンは、場合によっては予防接種法の年齢の中 に入る方々が入ってくるからです。それを除いた方々については任意でよろし いのですが、予防接種法の中に入っている方々に任意で行うわけにはまいりま せん。したがって若干複雑で、また事務方の仕事が増えた可能性があります。 いま私がご提案いたしましたように、2期についての検討結果や、夏ごろまでの 接種状況、供給状況等を踏まえ、さらに議論をしていただきます。 ○岡部委員 それも方法だと思うのですけれども、大体いつごろそういう議論 ができるかということを示しておかないと。 ○加藤座長 大体ということは、岡部先生の研究班の結果次第ということです。 私の想定いたしますところでは、2月中には岡部先生の研究報告から何らかの情 報が得られるのではなかろうかという期待をしています。 ○岡部委員 研究班として仰せつかっているので、2期の接種に関しては少なく とも年度内には報告書として出さなければいけないわけですので、その範囲で わかることは報告できます。 ○加藤座長 その研究班報告が、どれだけ評価されるかどうかということにか かってきて非常に複雑になってまいりますが、いずれにしても2期についての 討論結果等を見まして、夏ごろと申しましたのは、4月が夏かもしれないし、5 月が夏かもしれないし、6月を超えてからが夏かもしれませんが、それは事務局 がそれまでの接種経過を見つつ、例えば3歳の方に標準的年齢で接種可能にさ れるのですから、それがシーズンまでの間に何パーセントぐらいの方が果たし て接種を受けていただいたかという情報も入ってくると思われます。それらを 勘案した上で、そのころにもう一度検討を加えるという意見を申し述べたとい うことです。 ○倉根参考人 確認ですが、加藤先生がおっしゃるのは3歳、4歳で定期に打つ 人がどのぐらい打つか。もう少し言うと余りがどのぐらい出そうかということ を確認してからやろうということですか。 ○加藤座長 推測ができそうだということです。 ○宮崎委員 いくつかあるのですけれども、1つはワクチン勧奨を再開する時に、 先ほど岡部先生も言われたように、いろいろな事情で延びている人は基本的に レスキューするのであるという明確なメッセージを出すということ。接種して いない人はいつでもかかる可能性はあるけれども、患者さんの出方からいって、 緊急性は低いこともメッセージとして出す。  接種率の問題でいけば、日本脳炎ワクチンは大体5月ぐらいから勢いがつい てきます。去年は6月に新ワクチンを発売したので1カ月ずれてピークが8月、 9月になりましたが、例年は5月、6月、7月とグッと上がっていくという感じ です。その辺りで大体出方が見えてくるかなと思います。逆に言えば、地方自 治体が例えば今年度中に勧奨再開を決定し、4月から勧奨できる状況になったと きに、自治体としてはどういう動きをされますか、あるいは予算も含めてその 辺のところはどうなりますか。 ○永井参考人 まず予算の確保から必要になってきますので、場合によっては 補正予算を組まざるを得ないという状況も出てくると思います。あとは医師会 との調整、区民への広報、予診票の準備等で2カ月ぐらいはかかってしまいま す。 ○宮崎委員 2カ月ぐらいというと、5月後半ぐらいですか。 ○永井参考人 そうです、なるべく早い時期に方向性を示していただかないと、 それぞれの区市町村が準備できないと思います。 ○宮崎委員 そういう中で、自治体が考えるときに、足りないという状況があ るとなかなか考えがまとまってこないので、そういう意味ではスリットは結局 狭くせざるを得ないところはあるかもしれません。ただ、必要な子もいますの で、必要な子は定期で打てるところだけは残しておいてほしいというのが私の 意見です。スリットは狭くしてもいいけれども、スカートの裾が欲しいという ことです。 ○加藤座長 わかりました。とりあえずは3歳からスタートして、4歳の子にも 接種するということはもう決まっていることです。その対象外になった方々を どうするかということがまさに議論の的ですけれども、いまおっしゃったよう に、それだけを小委員会の結論と致しますと、それを繰り越された方々が非常 に不安を感じる可能性がありますので、何らかのメッセージを出しておく必要 がある可能性があります。接種勧奨の差し控えを取り除いたと同時に、それか ら遅れた方々に対しては、今後のどのような方針を持って先に進む予定である というぐらいの、少なくともメディア関係に、これはメディア以外にないので すけれども、各都道府県と都区市町村にそこまでは言えない可能性もあります ので、少なくともそういうスタンスは持っていないといけないという感じがい たします。事務局から提案はありますか。 ○大坪課長補佐 先ほど、岡部先生の所の治験のデータを取りまとめられるの が年度内ということで4月、5月ぐらいに報告ができるのではないかというお話 をいただきました。それはそれで可能かと思うのですが、3歳に対して勧奨再開 を始めたとしたときの接種状況とか供給量、いま宮崎先生や永井先生からいた だきましたように、自治体はいつから勧奨をするのか。通常は7月末で大体6 割が供給されているところですが、その辺のデータが出てくるのが、昨年の省 令改正のときの通知で、月極めで接種者数の報告をいただいているのですが、 それが翌月翌月でまいりますので、そこも含めての議論になりますと、夏まで ということがお約束できるかというとちょっと難しいかなと思っております。 ○加藤座長 わかりました。しばらく接種状況を見つつ、次の段階にステップ を進めようという考え方であるということですね。 ○大坪課長補佐 はい。 ○加藤座長 そういう考え方以外には、いまここでは決めかねないというふう に判断いたしますけれども、委員の方々はいかがですか、よろしいですか。そ れでは、委員の方々のご意見を踏まえ、次回の委員会では予防接種部会に報告 書を作成して提出しなければいけないことになっております。事務局は入念に 手を加えて考えていただきたいと存じます。そのようなことで、次回は報告案 という形でここに出していただきまして、それをこの委員会で承認していただ き、それを部会に出す方向で取りはからいたいと存じます。事務局から何かあ りましたらお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 次回の開催日程ですが、第4回予防接種部会が2月9日(火) に予定されております。第3回小委員会についても同日に行うこととさせてい ただきます。時間については追ってご連絡させていただきます。 ○加藤座長 以上をもちまして、第2回の日本脳炎に関する小委員会を終了さ せていただきます。どうもありがとうございました。 照会先 健康局結核感染症課予防接種係(03-5253-1111 内線:2383、2377)