10/01/22 第162回中央社会保険医療協議会総会議事録 10/1/22 中央社会保険医療協議会(公聴会)          第162回総会議事録 (1)日時  平成22年1月22日(金) 13:00〜15:00 (2)場所  全国都市会館 (3)出席者 遠藤久夫会長 小林麻里委員 関原健夫委員 白石小百合委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員         北村光一委員 伊藤文郎委員        安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員        北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員        <事務局>        外口保険局長 佐藤医療課長 迫井医療課企画官 磯部薬剤管理官        上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○平成22年度診療報酬改定に係る検討状況について(説明)        ○意見発表者による意見発表 (5)議事内容 ○事務局(佐藤医療課長)  お待たせをいたしました。ただいまより中央社会保険医療協議会総会公聴会を始めさせ ていただきます。  それでは、遠藤会長、よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ただいまより、第162回中央社会保険医療協議会総会公聴会を開始いたします。  開会にあたりまして、委員を代表いたしまして、会長である私のほうより一言御挨拶を 申し上げます。  本日は御参加いただきましてありがとうございます。当協議会は、社会保険医療協議会 法に基づき、診療報酬、薬価など、公的な医療保険から医療機関等に支払われます公定価 格を決定する権限を有する厚生労働大臣の諮問機関として設置されておりまして、診療報 酬等に関する事項について、厚生労働大臣の諮問に応じまして審議・答申することを役割 としております。  本日は、これを踏まえまして、去る1月15日に大臣より諮問された、平成22年度診 療報酬改定案の策定に関する審議にあたりまして、私ども委員が国民の皆様の声を聞く機 会といたしまして、公聴会を開催することにいたしました。後ほど意見発表をお願いして おります方々からの御意見をいただく場を用意しております。どうぞその時には忌憚のな い御意見をいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  それでは、当協議会の委員の御紹介をさせていただきます。お手元の資料に委員名簿が ございますが、当協議会は、1、医療保険の保険者、被保険者、事業主等を代表とする委 員、いわゆる支払側委員7名、2、医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員、いわゆる診 療側委員7名、3、公益を代表する委員6名の計20名により構成されており、必要に応 じて10名以内の専門委員を置くことができるとされております。  本日出席の委員は、皆様方から向かって右側が支払側委員、左側が診療側委員であり、 本日は高橋委員が御欠席です。そして、皆様方から向かって私の左側に座っております3 名が公益委員であります。本日は牛丸委員、森田委員が御欠席です。また、私の奥にいら っしゃいますのが、総会に所属していただいております専門委員でありまして、本日は藤 原専門委員が御欠席です。どうぞよろしくお願いいたします。  なお、厚生労働省からは保険局長が同席しております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、事務局から平成22年度診療報酬改定に関 するこれまでの経緯の説明、及び本日の資料についての説明をしていただきます。それを 受けまして、支払側委員、診療側委員よりそれぞれ診療報酬改定に関する御意見をいただ きます。  その後に、事前に意見発表をお願いしております9名の方々からの御意見をお聞きした いと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、平成22年度診療報酬改定に関するこれまでの経緯について、及び平成22 年度診療報酬改定に係る検討状況について、事務局より説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。それでは、私のほうから資料の説明をさせていただきます。時 間も限られておりますので、手短にやらせていただきます。  まず、通し番号で1ページ目から25ページ目までが平成22年度の診療報酬改定に係 る検討状況ということで、先ほどから何度かお話が出ましたが、改定に向けてこういう方 向と内容とで検討していただいているという概要をお示ししたものでございまして、去る 1月15日に公表いたしました。その公表の結果とあわせて今パブリックコメントを募集 中、今日までということになっております。また、その一環として今日こういう形で地方 公聴会を開催しているということになります。  通し番号でいうと26ページからは参考資料になります。先ほども申し上げましたが、 骨子を公表いたしました同じ1月15日、長妻厚生労働大臣の名前で、今お話がありまし た遠藤会長あて、平成22年度の診療報酬改定について意見を伺いますということで、諮 問書が出ております。26ページをごらんいただきますと、法律の関係条文がずらずらと 並んでおりますが、最後の5行をごらんください。「なお、答申にあたっては」というこ とでございまして、別紙1、2、3に基づき行っていただくよう求めますとなっておりま す。  その別紙1、2、3に相当するものが27ページ、28でページ、これが別紙1でござ います。別紙2が基本方針で、これが続きまして、そして、35ページから、「平成22 年度診療報酬改定について」という厚生労働省の公表資料という形で続いております。  簡単に別紙の性格づけだけお伝えしておきますと、諮問書で引用されている参考とすべ き資料になるわけですけれども、27ページの資料は、去る12月末に来年度の予算編成 ということで政府の原案ができるわけですけれども、その時にあわせて診療報酬の改定率 が決定されました。ごらんいただきますように、また、新聞、マスコミ等でお聞き及びと 思いますけれども、全体の改定率は0.19%ということになっております。改定率自体 は、本体と言われるところですが、1.55%、それから、医科、歯科、調剤とあるわけ ですが、その内訳はごらんのとおりとなっております。また、薬価改定等の改定率は−1. 36%ということで、その内訳を薬価と材料ごとにお示ししておす  今般のポイントは、まず1つは、改定率が提示される際に、医科の中の入院と外来の改 定率が別々に内訳という形で示されたということです。医科は、医療費全体に占める割合 として1.74%の増ということで提示があったわけですけれども、そのうち入院につい ては3.03%、外来が0.31%ということですから、こういう形で示されたというの が一つのポイントです。  また、28ページにつきましては、この改定率が決定される際に、予算大臣折衝資料と いうことで、厚生労働大臣、財務大臣等の関係大臣による、言ってみれば合意に相当する 資料になるわけですけれども、この中で改定率を示すのみならず、いわゆる附帯意見のよ うなものがついております。関係するところだけ申しますと、28ページの2の(1)の 直前のところでございますけれども、配分の見直しや、後発品の使用促進を図るとか、 (1)のところですけれども、急性期入院医療におおむね4,000億円程度を配分する。 あるいは、再診療・診療科間の配分の見直しを含めて、従来以上に大幅な配分の見直しを 行う。救急産科、小児科、外科の充実を図る。こういうことが書かれております。  それから、別紙2は、先ほども申しましたように、29ページから34ページまででご ざいますが、中医協で改定を議論する上での基本的なものの考え方、どういう部分にどう いうふうに配分していくのかということになりますが、その基となる考え方は、29ペー ジに書きましたように、12月8日、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会との連名 という形で方針が示されております。今日は時間が限られておりますので、ポイントしか 申しませんけれども、基本認識とか重点課題、あるいは、改定にあたってはどういう視点 が重要なのかということが、29ページから31ページの上段までに書かれております。  そこから本文に相当するところが始まりまして、重点的な課題として何があるかという ことで、31ページから32ページの頭にかけまして、救急、産科、小児科、外科、それ から、病院勤務医の負担軽減というものが掲げられております。また、それ以外にも4つ の視点が重要ということで、充実が求められる領域、患者から見て分かりやすく納得でき、 安心・安全で生活の質にも配慮した医療、それから、医療と介護の機能分化や連携、それ から、効率化の余地があると思われる領域の適正化、そして、最後の項目になりますが、 後期高齢者医療の診療報酬について、こういう構造で書かれております。今後の診療報酬 改定にあたっても、この骨格に沿って御議論いただくということになっているわけです。  別紙の3は、同じく厚生労働省内で議論された内容として、12月9日に公表されたも のです。詳しく説明いたしませんが、○が6つ並んでいるうちの上から5つ目、下から2 つ目のところが一つのポイントになっておりまして、これまで説明をしてきました内容と ほぼ同じでございますけれども、急性期を中心とする入院医療の充実、例えば手術などの 医療技術の適正評価、こういったことが書かれております。  36ページからは、12月22日に、先ほど御紹介がありましたが、皆様方から向かっ て右手になりますけれども、支払側、我々は「1号側」とも呼んでおりますが、1号側、 支払側と呼ばれる皆さん方が遠藤会長に対して、今般の診療報酬改定にあたってはこうい う姿勢で、こういう方向で議論したいということを意見として取りまとめになったもので ございまして、これが40ページまで続いております。  一方、41ページからは、先ほどの紹介に沿いまして、皆様方から向かって左側の診療 側委員と呼ばれる方々が、同様に同じ日に基本的な考え方や具体的な検討事項をお示しに なっております。  また、46ページからは歯科、49ページからは調剤という部分についても言及があり ます。また、50ページでは、その調剤の項目の中で病院・診療所における薬剤師の業務 ということが書かれております。  今日準備しました資料は以上でございます。 ○遠藤会長  それでは、皆様方からの御意見を伺う前に、中医協委員による意見の交換を少しやらせ ていただきたいと思います。  ただいま説明がありましたように、支払側及び診療側から意見書が出ておりますので、 それぞれのお考えがあるということなので、22年度診療報酬改定に関して、支払側、診 療側がどのようなお考えで臨むかということの御意見をお聞きしたいと思います。時間の 都合上、それぞれ代表してお一人の方から、時間的には5分程度でお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。  それでは、支払側委員のほうからお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  白川委員が代表されるということでよろしゅうございますか。 ○白川委員  はい。 ○遠藤会長  では、白川委員、よろしくお願いいたします。 ○白川委員  健康保険組合連合会の白川と申します。私のほうから支払側の意見のポイントにつきま して紹介をさせていただきます。お手元の資料の36ページに、先ほど御紹介のありまし たとおり、私どもの意見書がついております。この中のポイントだけ紹介するという形に させていただきます。  まず、我々支払側の基本的な考え方でございますが、現下の厳しい社会経済情勢や国民 生活の状況を踏まえて、必要度の高い医療に対しては大胆かつ重点的な評価を行う一方、 限られた財源を効率的かつ効果的に配分するよう見直しをしていくことが不可欠だと考え ております。例えば、喫緊の課題であります産科、小児科、救急医療等の急性期を中心と した医療に財源を重点的に配分するとともに、勤務医、看護師等の負担軽減に確実につな がる評価を行う必要があると考えております。  また、限られた財源の配分にあたりましては、病院・診療所の経営状況を踏まえ、急性 期等の病院に重点を置いた再配分を行うほか、病院・診療所間の格差是正や、診療科のバ ランスを考慮した評価の見直しをすべきと意見書で主張してございます。先ほど医療課長 から紹介のありました、診療報酬の改定率が示された際の政府の方針とも私どもの意見は 合致しているというふうに考えております。  具体的な項目について、4つだけ紹介をさせていただきます。  1点目は、再診料と外来管理加算に関する件であります。現在、病院と診療所の間で点 数の格差がある再診料については、同一サービスは同一の報酬との観点から統一を図るべ きと考えております。また、限られた財源の中では大幅な配分の見直しを行うことが必要 であるという観点から、診療所を引き下げ、病院を引き上げる形で統一を図るべきという 意見であります。  また、外来管理加算につきましては、前回の改定で導入されました5分要件を廃止する ことは致し方ないと考えておりますが、患者の視点に立てば、懇切丁寧な診察、説明等を 担保していただくことは不可欠であり、5分要件の代替措置となり得る要件を設定すべき と主張しております。また、外来管理加算自体の内容があいまいで、患者にとっては非常 に分かりにくい加算項目であることから、その在り方については、廃止も含め必要な見直 しを行っていくべきという意見でございます。  2点目は、入院医療についてでございます。入院については、医療機関の機能に応じて 加算等でめりはりをつけた評価をするとともに、急性期医療の充実強化を図る方向での評 価を検討すべきと考えます。また、慢性期の入院医療は、医療経済実態調査結果等を踏ま え、療養病棟入院基本料の必要な見直しを行うとともに、医療サービスの質の向上に向け た評価や、評価指標の更なる充実を図るべきと考えます。  3点目は、後発医薬品の使用促進に関する件であります。医療の効率化を図る観点から、 政府目標は24年度までに後発医薬品の比率を数量ベースで30%としておりますが、現 在20%という現状をみますと、より一層の取組が必要というふうに考えます。政府は患 者や医療関係者等を含めた国民全体に対して、後発医薬品に関する国の方針や考え方、安 全性等の情報について、分かりやすく繰り返し情報提供し、理解を求めていくことが必要 だと考えております。  4点目でございますが、明細書の発行についてであります。私ども支払側委員は以前か ら主張しておりますが、医療に対する理解、関心を深め、患者、国民が医療に積極的に参 加できるよう、原則、全患者への明細書の無料交付を義務付けるべきであるという意見で ございます。  以上、説明しました4点以外にも、在宅医療の充実や地域における医療連携体制の強化、 リハビリテーションの充実等についても意見書で考え方を示しております。今日は時間の 関係で割愛させていただきますが、支払側としては、今後も中医協委員として患者、国民 が安心・納得できる医療の確保に向け努力していく所存でございます。  どうも御静聴ありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  引き続きまして、診療側委員から御意見を伺いたいと思います。どなたがお話されます でしょうか。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  日本病院団体協議会・公私病院連盟の邉見でございます。座って話をさせていただきま す。私は、出身は病院の医師ではございますが、医療提供側を代表いたしまして、一言お 話させていただきます。我々診療側は、病院医師、診療所医師、歯科医師、薬剤師、そし て、今回からは大学病院の医師も加わりました。そのすべての立場を踏まえまして申し上 げたいと思います。  資料の42ページに基本方針の9つが載っておりますので、それを見ていただければと 思います。時間がありませんので、基本のことだけ申し上げさせていただきたいと思いま す。当中央社会保険協議会は医療行為の公定価格を決める会議です。今のところ2年に1 回、改定を行うことになっており、向こう2年間この値段で医療を行うということで、大 変重要な役割を持っており、各地で起きています医療崩壊をくい止めるか、ますますひど くなるかに多大な影響を与えます。我々医療提供側としましては、「コンクリートから人 へ」という新政権の下で、医療・福祉・介護と教育・保育は我が国の最も大切な二大基幹 産業ととらえております。すなわち、よい医療・介護で健康な心身、また、頭脳を培い、 そこへよい教育を行って科学技術立国を図る。また、関連の産業である製薬・医薬機器を はじめとする裾野の広い分野での雇用をも図るということを訴えてまいりました。  医療でチーム医療が重要視されておりますのと同じように、医療システムでは、地域で の連携が大切です。診療所、病院、急性期病院、慢性期病院、歯科診療所、薬局、これら 全部で1ユニットです。森が荒廃すると川も海もだめになります。私のまちでは1患者2 主治医制をとり、診療所は病院の外来部門と常々述べています。いわば地域のセーフティ ネットを形成し、どこがほころびても良質で高い水準、かつ、全国均一の医療が提供でき なくなります。それを前提にした上でお話をさせていただいているわけです。  今回、全体改定率が+0.19%と約10年ぶりにプラスとなりました。新政権の中核 を担う民主党のマニフェストの中で、医療費は地域の中心的病院、中核的病院には10% 近く上げ、全体としては最低3%上げるというマニフェストでしたが、これは今回かなり 後退しています。しかし、医療再生に向けての小さな一歩ではあるが、大きな一歩ではな いかと考えております。診療報酬の本体部分が+1.55%、医科が+1.74%、歯科 +2.09%、調剤が+0.52%です。今回は極めて異例ですが、入院が+3.03%、 外来が+0.31%と、その枠が定められています。その配分をこれから一つひとつこの 会議で決めていくわけです。さらに、今回もまた前回に引き続き病院勤務医の負担軽減が 最重要項目に上げられ、特に産科、小児科、救急、外科への手厚い配分を求めることでは 全委員が一致しております。  また、少ない財源では基本的解決の難しい地方の中小病院や大学病院での医療の評価に ついても、建設的な議論を続けてまいりました。世界の衆目が高い評価で一致する日本の 医療水準をこれ以上低下させないように、私たちが検討しておりますところの平成22年 度診療報酬改定に係る検討状況について、現時点の骨子につきまして、歯科医療、保険薬 局等を含めまして、ぜひとも皆様方国民各位から率直な御意見をいただき、今後の会議に 役立てていきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま支払側、診療側からの御意見を聞いたわけでありますけれども、これからは、 本日の開催趣旨でございます参加者の皆様からの御意見を伺ってまいりたいと思います。 意見発表者につきましては、今回の公聴会の傍聴申込にあわせまして、一般の方から意見 発表者を募集いたしました。その結果、約70名の方からの希望が寄せられました。その 中から意見の内容及び発言者のバランス等を考慮しまして、私ども公益委員のほうで選ば せていただいた9名の方に意見発表をお願いしております。  意見発表の仕方でございますけれども、まずは5名の方に順番に御発言いただいたとこ ろで、中医協の各委員からの御質問等を頂戴いたしまして、その後また4名の方から御発 言をいただいて、それに対する御質問等を行うという段取りでやっていきたいと思います ので、よろしくお願いいたします。  なお、時間の関係上、大変恐縮でございますが、意見発表につきましては、お一人につ き5分程度でお願いできればと思います。  これよりまず5名の方より順番に御発言をいただきますが、御発言にあたりましては、 初めに差し支えない範囲でお住まい、お名前と御職業をおっしゃっていただいた後に、御 意見を頂戴できればと思います。お住まいは市町村までで結構でございます。職業は、そ れぞれのお立場、例えば医療関係者であるとか、患者であるといったような形でも結構で ございます。  それでは、早速始めたいと思います。最初の方、よろしくお願いいたします。 ○常盤氏  福島県医師会理事の常盤でございます。浜通りのいわき市で泌尿器科の病院を運営して おります。本日は重点事項として2点ほどございますので、よろしくお願い申し上げます。  平成22年4月の診療報酬改定は、医科本体で+1.74%、入院が+3.03%、外 来が+0.31%の改定と聞いております。民主党の公約は、総医療費対GDP比をOE CD加盟国平均まで引き上げることでありました。疲弊する医療現場は、医療費増加を掲 げた新政権に大きな期待を寄せました。しかしながら、今回の改定は小幅でありまして、 医療現場を失望させております。  さて、医療は切れ目のない提供が必要でございまして、病院だけでなく診療所の経営と も関係しておりまして、共に建て直さなければ地域医療の再生はありません。中医協の平 成22年度診療報酬改定に係る検討状況についての現時点の骨子は限られた改定財源を有 効に活用することは評価しますが、地位医療を担う医療機関に将来の希望を与えるような 改定にしていただきたく、若い勤務医が開業して地域医療に従事することをためらうよう な内容であってはならないということでございます。この点を特に強調して中医協の皆様 方には審議をお願いいたしたいと思います。  今回の骨子で特に申し上げたいのは再診料についてでございます。骨子に「病院と診療 所の再診料を統一する方向で、その具体的な内容を検討する」とありますが、その考え方 には賛成でございます。しかし、具体的内容としての検討では、診療所の再診料を下げて 統一することには反対であります。診療所の再診料710円には医師の技術料のほか、看 護職員、コメディカルの人件費、退職引当金、減価償却費、水道光熱費、事務経費等々の 運用費用等を含めて点数表化してきた経緯がございます。技術料の評価も含めてわずか7 10円でありまして、評価が低すぎます。だれが見ても再診料の引き下げは医療経営基盤 に大きなダメージを与え、診療所の経営が脅かされ、地域医療の確保が難しく、地域医療 の崩壊につながるおそれがあります。  また、急性期医療の後方支援を担っております診療所、特に在宅医療を担っている有床 診療所におきましては、入院医療の赤字分を外来診療でカバーしている現状も見られます。 地域における急性期医療の後方支援が適切に対応できず、更なる有床診療所の減少に拍車 をかけることにもなりかねません。したがいまして、診療所の再診料を下げて病院と同点 数に統一することには反対であります。再診料の統一につきましては、病院及び診療所の 再診料を引き上げながら、病院の再診料と診療所の再診料を統一すべきであります。なお、 財源的に無理があるのであれば、今回一気に統一するのではなく、数次の診療報酬改定に よりまして、段階的に病院の再診料を引き上げて統一すべきであると考えております。  次に、外来管理加算についてでございますが、外来管理加算の5分要件は医療現場の実 態にそぐわないので、骨子の時間の目安を廃止するということは賛成であります。外来管 理加算の時間要件は、患者さんの診察の満足度とは関係しておりません。5分要件の導入 により患者さんの待ち時間が長くなったり、時間の計測が医師の診療上の妨げになったり しております。今回の改定では5分要件を廃止し、その上で次回改定に向けて、外来管理 加算は内科系の無形の技術に対する診療項目であり、創設の経緯を踏まえて、時間をかけ て外来管理加算の在り方について議論すべきであります。また、外来管理加算の診療項目 そのものを廃止することには絶対に反対であります。  以上、御高配のほどよろしくお願い申し上げます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  引き続きまして、2番目の方、お願いできましょうか。 ○遠藤氏  私は福島県会津若松市で歯科医院を開業しております遠藤と申します。地元で歯科医院 を開設している歯科医師として、日ごろ感じている点を幾つか意見として述べさせていた だきたいと思います。また、それをこの改定の中で反映していただければありがたいと思 っております。  高齢化とともに国民の求めるものも多様化しております。医療においても、従来の救急 医療を主体とした急性期医療のみならず、それとともに生活を支える医療が重要視されて いると思っております。生涯にわたって自分の歯でおいしく食べるということは人生の大 きな楽しみであり、国民の健康とQOLの確保に欠かせないものと思っております。この 健康とQOLを支える歯科医療の役割は今後ますます重要になってくるものと思っており ます。そうした中で、地域において日々診療にあたっておりますと、さまざまな患者さん が来院されます。病状もそれぞれに異なりますけれども、職業、生活環境、価値観、倫理 観、また、求めるものの優先順位等、さまざまな訴えがございます。QOLが求められる 生活を支える歯科医療においては、こうした患者さんの訴えにこたえた治療をすることが 重要だと思っております。  また、在宅診療にもあたっておりますが、一たん寝たきりになられますと、口の中の状 態は急速に悪化してしまいます。これは全身状態にも影響を与えるものと考えております。 ただ、歯科の治療というのは、基本的に外科治療でございます。そうしますと、患者さん の枕元でこういった治療をすることは大変な困難が伴います。我々はさまざまな工夫を重 ねながら実施しているわけでございますが、これらのことを評価していただくということ ともに、患者さんにとってよりよい治療環境を整える、そういった制度ですね。例えば、 入院によって治療するのか、搬送するのか、また、現在は医療保険と介護保険が縦割り状 態で、なかなか乗入れは難しいんですけれども、介護施設等の利用とか、そういったこと を制度の中に取り入れていただきたいというふうな要望を持っております。  こうした中で、安全で安心できる歯科医療が安定的に提供されるとともに、その時代時 代に即した新しい技術が導入されなければなりません。このためには私ども歯科医療に携 わる者の自助努力は当然必要なわけでありますが、それとともに医院の経営安定というこ とが欠かせません。しかしながら、残念なことに長年にわたる政府の医療費抑制策により、 歯科医療費の総額は10年以上にもわたって横ばい状態であり、一医療機関当たりの歯科 医療費は大幅に減少しております。一部の報道等では「ワーキングプア」というような言 葉すら使われております。その実態は、経営の現状維持すら困難であり、新しい技術の研 鑽や診療設備の更新が困難となっております。適切な歯科医療を提供するため、経営を維 持する基盤である基本診療料であります初診料、再診料の大幅な引き上げを強く要望いた します。  また、余りにも評価の低い多くの歯科の技術に対する技術料の実態にあわせた見直しを お願いしたいと思います。先に述べましたように、来院されるさまざまな患者さんを治療 するにあたっては、患者さんとお話し合いをしながら、医学的根拠の下に患者さんの訴え を重要視し、治療方針を決めてまいりますが、実際には治療が進むに従って患者さんの意 向も変化してまいります。そういったことはしばしばございます。現在の保険診療上の治 療のルールにおいては、臨機応変な対応がなかなか困難となっております。患者さんの主 訴を重要視した治療ができるように、これらのルールも改善していただければと思ってお ります。  また、これは指導管理の在り方についても同様で、患者さんの実態にあったルールにし ていただきたいと考えております。私たち歯科医療界は、国民の皆様とともに80歳まで 20本以上の歯を残すという「8020社会」というものを目指しております。自分の歯 を残してお口の機能を回復し、維持し、また、そのための技術を評価していただき、定期 的な指導管理が円滑に運用できるシステム、また、在宅や施設における療養・介護を受け ていらっしゃる方々のための歯科医療の充実が必要であります。生涯を通じて患者さんと 共に歩むことのできる、そういった支障のない制度していただきたいというふうに考えて おります。  また、歯科においては新しい技術の導入に際してなかなか技術的評価が得られず、十分 に普及するような適切な評価をぜひお願いしたいと思っております。確かに医療において は、確かに医療においてはボランティア精神というのは大事であり、我々も十分理解はし ておりますが、余りにも採算性を無視されれば、いずれは破綻してしまうものというふう に考えております。  最後に、社会保障制度は国の文化であり、国民皆保険制度というのは国民の宝だという ふうに思っております。将来に向かって維持できるよう、我々がその保険の制度の中で、 日々の臨床において患者の皆様に必要な歯科医療を、患者さん一人ひとりの実態にあわせ て幅広い解釈の下、十分に提供できるよう、改定にあたっては以上の点を御配慮いただい て、進めていただければありがたいというふうに思っております。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、3番目の方、お願いいたします。 ○佐藤氏  私は宮城県の石巻市の市立病院に薬剤師として勤務しております佐藤と申します。よろ しくお願いいたします。本院は病床数206床で、開院当時から入院患者さん中心の薬剤 管理指導業務を通した医療サービスを提供しております。  平成22年度の診療報酬改定では、病院の勤務医負担軽減におけるチーム医療の評価、 後発品の使用促進に対する評価、がん医療の推進、感染症対策の推進、医療安全対策の推 進、質が高く効率的な急性期の入院医療の推進として、薬剤師の配置に着目した評価の導 入の検討などについて、改定の骨子を盛り込んでただきましたことは感謝申し上げます。 しかしながら、中医協においてDPC病院での病棟薬剤師の配置については今回の改定で 実施しないとされてしまったことは極めて残念に思っております。  薬剤師は医療チームの一員として、医師、看護師などとともに患者情報を共有した安全 な薬物療法の実現に取り組んでいます。最近では医師から医薬品や薬物療法に対する相談 など病棟での業務が多様化しており、今後、薬剤師が安全な薬物療法の実現を果たすため、 その役割と責任もますます大きくなっていくものと考えております。医師や看護師とは違 う視点で患者さんの安全面、特に薬の副作用を中心に、薬剤師が病棟にいて常に患者さん をフォローアップしていくことが大切と考え、取り組んでいます。  私たちは患者さんに近い場所で安全な薬物療法の実施のためにもっと貢献したいのです が、薬剤師の人数が少ないので、どうしても薬局内で行う仕事との兼務が避けられない状 況にあります。こうした状況をどうやって改善していくのかを考えた時には、薬剤管理指 導料のように行為に対する評価では十分でなく、薬剤師を病棟に配置していることを評価 することが適切だと考えております。薬剤師が病棟でより適切で安全な薬物療法を提供す るために、平成24年度の診療報酬改定において、薬剤師を病棟に配置することに対する 評価を実現していただきますよう、強く要望したいと思っております。  次に、補足的になりますが、現在、中医協で議論されているがん医療の推進については、 キャンサーボードの一員として薬剤師を加えていただきますように、お願いしたいと思っ ております。  次に、後発医薬品の使用状況については、政府目標として数量シェアで30%以上と掲 げられており、これまでに処方せん様式の変更をはじめあらゆる促進策の取組が行われて きました。後発医薬品の普及につきましては、薬局薬剤師だけではなく、病院薬剤師も積 極的にこれに取り組まなければならず、次回改定で後発品の採用品目数の割合に応じた評 価が導入されることは歓迎すべきと考えております。その一方で、医療提供側や患者さん 側にとって全く不安がないわけではなく、急速には進まないというのも事実だと思います。 患者さんの不安を取り除くということについては、現場として努力していくことは当然で すが、国民が安心して使用することができるように、政府広報などによる国民への周知も 必要だと思っております。  また、地域の薬局の方々からは、調剤報酬について後発品の数量シェアに応じた段階的 な評価に見直すことで、漢方薬のように先発、後発という分類ができない医薬品を多く取 り扱う薬局の場合には、薬剤師の努力だけでは解決できず、その対応を心配する声も聞か れます。さらに、後発医薬品の使用が進むことに伴う備蓄、医薬品目の増加と相まって、 薬局の経営コストへの影響を心配する声が多く聞かれています。こうした声を踏まえて、 ぜひ薬局の経営を大きく圧迫しないよう、ベストコストの適切な評価をお願いしたいと思 います。  これで意見を終わらせていただきます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、4番目の方、お願いいたします。 ○大友氏  福島県会津若松市にあります財団法人温知会会津中央病院の訪問看護ステーションから まいりました大友と申します。このたびは、訪問看護師の立場として、あとは、看護師の 代表といたしまして、日ごろからとても制度に矛盾を感じていることが多々ございますの で、その中で4つほど意見を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  皆さん、訪問看護というと何をやっているんだろうということで、分からない方が多い のかなと思います。その中で、訪問看護、療養費というものがありまして、医療保険と介 護保険の二本立てで訪問看護というのは提供されております。今回は医療保険のほうです ので、訪問看護基本療養費というものが算定されることになっています。この制度に矛盾 を感じているところがございますので、述べさせていただきたいと思います。  訪問看護というのは、がんの末期の方と厚生労働大臣が定める疾病だけが回数制限がな いんですけれども、そのほかの疾病の方に関しては回数制限が設けられております。それ は週3回しか、訪問看護に行ってはいけませんよではないんですが、それ以上行っても診 療報酬をいただけないというような報酬設定になっております。例えば、私のステーショ ンにおきましては、強皮症という難病の方がいらっしゃるんですけれども、この方は点滴 をしなければ生命が維持できないというような状況です。しかし、この強皮症という病気 は厚生労働大臣が定める疾病ではないために、週3回までしか診療報酬をいただけないと いうことになります。ですので、週4回目からは訪問看護ステーションは無報酬で、結局 ボランティアで訪問させていただいているというような状況になっております。  必要なケアを行っているにもかかわらず、ただということになっております。なぜこの ような制度になってしまったのかというところを、私は逆に根拠を説明していただきたい と思っております。現場の立場からいたしますと、この根拠が納得いかなければ、ぜひ改 定をしていただいて、週4回目以降もきちんとケアを提供しているのですから、報酬をい ただきたいと思っております。訪問看護師は日々本当に忙しく動いております。DPCは 7:1の関係で医療ニーズの高い方もかなり多く在宅のほうに来ておりますので、そうい ったところも汲んでいただければと思っております。  2つ目ですが、ターミナルケア療養費というものがございます。こちらは在宅での看取 りを推進するものなんですけれども、この算定要件もとても矛盾しているものでして、死 亡日当日を含む死亡前14日以内に2回の訪問をしなさいというような制度になっており ます。その方が例えば1日でも2日でも意識のあるうちに御自宅に戻りたいとか、1日で もいいから自宅でみたいという御家族の希望をかなえるには、この14日という根拠がど こにあるんでしょうか。14日以内に2日という根拠を、この制度を決めた方に私はぜひ 説明いただきたいところであります。入院していて、今じゃないと帰れない、今じゃない と御自宅のほうに戻れないという方がたくさんいらっしゃいます。御自宅に帰りまして、 訪問看護のほうで在宅の先生方と連携をとりながらその方を看取ります。しかし、このタ ーミナルケア療養費、訪問看護ステーションとしてはいただくことができません。ですの で、基本料金や、あとはオプションの設定をするしかないという、本当に矛盾を感じる制 度でございますので、こちらのほうもきちんとした説明がいただけないのであれば、報酬 の改定をしていただきたいと思っております。  3つ目は、医療機関と訪問看護ステーションが特別な関係にあるというような制度があ りますが、この特別な関係というのは、医療機関と訪問看護ステーションの開設者が同じ であるということになっております。例えば、私どもが勤めております会津中央病院を受 診されている患者さんが受診した日、その当日に訪問看護を提供した場合は、訪問看護は ボランティアになります。私はこれもとてもおかしいと思うんですけれども、診察と看護 というのは内容が違います。かなり違ったことを提供しています。  先ほどの強皮症能力患者さんに対しても、例えば今日は受診する日だから点滴を抜いて いきたいという御希望がございました。ですので、朝早く訪問看護師が訪問いたしまして、 その方の中心静脈の点滴を抜きます。その方は何もぶら下げることなく軽い身支度で受診 に行かれる。そこで先生の診察を受けて戻ってきます。「戻ってきたから、看護師さん、 点滴をもう1回やってくれないか」ということで、もう一度刺しに行きますが、それはボ ランティアになってしまうんです。そういったことを皆さんはどのようにお考えになるの かというところで。現在、業務にあたっている私たちはそういったところにとても矛盾を 感じております。ですので、こういった特別な関係にあるというところを設けた理由をお 聞かせ願いたいと思っておりますが、こういったことが私たちが納得できないことであれ ば、やはり改定を求めていきたいと思っております。  最後に、看護師としての要望になります。私も子どもを持つ立場でありますので、看護 師の労働環境ということになります。子どもが小さいころは、日勤をやって、また深夜帯、 出かけるというようなことが多々ありましたけれども、子どもを犠牲にする、家庭を犠牲 にする、自分の健康も害していきます。24時間寝ないで育児と看護に随分働きました。 夜中になりますと、頭がぼおっとしてきます。かなり体が疲れているんですね。看護師は 子どもも産み育てたい、少子化に歯止めもかけなくてはいけないですし、そういった中で 労働環境の充実とか、労働環境を整えていただきたいということ。こういったことは、も ちろん利用者さん、患者さんの健康を守るとか事故を防ぐといったことにもつながります ので、看護師の労働環境の整備に関しても御意見を申し上げたいと思います。  以上になります。ありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、最後になりますが、5番目の方、よろしくお願いいたします。 ○吉田氏  福島県須賀川市にあります公立岩瀬病院院長の吉田と申します。本日はこの公聴会で発 言する機会をいただきまして、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。私は全 国自治体病院協議会の福島県支部長を拝命しておりますので、支部長として、及び公立岩 瀬病院長としての意見を述べさせていただきます。  さて、私どもの公立岩瀬病院は福島県のほぼ中央にありまして、30万都市郡山市に隣 接する人口約8万人の須賀川市に開設されております。今年で創立138年を迎える日本 最古の病院の一つであります。創立当時は医学校を併設しておりまして、第1回卒業生に は初代の愛知県病院長、東京市長、台湾総督府の民生局長官などを歴任した後藤新平など をはじめ数多くの優秀な医学者を輩出するとともに、県内医学界の先導的役割を担いなが ら、地域医療の拠点施設として、周辺地域住民の安心・安全の確保と、健康増進に多大な る貢献と実績を上げるなど、長い歴史と伝統を継承しながら今日に至っております。現在、 全国自治体病院の多くが国の社会保障政策の経費縮減の中で、診療報酬の単価の引き下げ や、医師不足の影響などによりまして、経営的に極めて厳しい状況にあるなど、自治体病 院を取り巻く環境はますます深刻さを増しており、地域医療崩壊が現実のものとなってき ております。  本院も、最近数年間に常勤医師が26名から20名に減少したことで、非常に厳しい医 療、病院運営にあるという現状を踏まえまして、さらに国の強力な指導の下、平成20年 度に策定した改革プランに基づきまして、現在、経営形態の変更をはじめさまざまな改革 ・改善策に取り組んでいますが、一病院での取組には限界があることも事実であります。 本院が倒れれば郡山の医療も次の地域の医療も崩壊していく、まさにドミノ倒し的に崩壊 していくことが危惧されております。これ以上の地域医療崩壊を防ぐには、第一線の医療 を支える開業医も含めた病院運営が安定的に継続可能であることが絶対的な条件です。こ のような観点から次の8項目について意見を申し上げます。  病院としてすぐに実施してほしいことは一般病棟入院基本料の見直しです。今の診療報 酬ではさまざまな加算を設けて、いかにも病院運営を支援しているように見せかけており ますけれども、このやり方では中小規模の病院は救済されません。入院基本料の大幅なア ップがぜひとも必要です。具体的には、例えば、現在、入院基本料は看護師の配置数によ って点数配分されておりますけれども、診療機能による評価並びにコストを適切に反映し た点数評価の実施をすぐにお願いしたいと思っています。  次に、医師事務作業補助体制加算の見直しです。勤務医師の負担軽減のために導入され たと理解しておりますけれども、人件費も勘案した加算でなければ使いにくく、また、専 従でなければならないなど制約が多すぎるので、この条件を緩和してほしいと思っており ます。  次に、複数科受診の算定条件の見直しについてです。現在、病院では複数科を受診した 患者さんに受診した科目の数全部は算定できません。この複数科受診の時の初診料、再診 料はそれぞれに受診した科目数で評価されるべきだと思っております。そのようにしてい ただきたいと思います。  次に、現在、外来診療料70点の中には、その点数以上の検査項目が包括されておりま す。70点以上の項目が包括項目に入っていることが納得できません。これを改正してい ただきたい。現在、勤務医師数の確保が非常に困難になっているために、各病院が救急医 療を行っていくためには、外来患者さんの受診の数を抑えなければ勤務医の負担が過重に なってしまいます。ちなみに、須賀川市では、行政、医師会、病院が協力して、平日の夜 間急病診療所を開設しました。また、病院としては時間外受診の患者さんに加算を負担し ていただくことなど、病院が病院の機能を最大限発揮できるように努力をしていますが、 目標達成にはまだまだ道が遠いと思っております。そこで、軽症患者さんが診療所をより 利用していただきやすいようにしてもらいたいと思っております。むしろ再診料を病院の ほうが高い設定にすることで、患者さんに診療所を選択するインセンティブを与えるとい うふうにしてはいかがでしょうか。  次に、医療崩壊が叫ばれる中で、これまで産科、小児科、救急医療が注目されてまいり ましたけれども、現在は一般外科が減少して、外科は崩壊の危険水域に既に達しておりま す。手術手技料の大幅アップと診療材料は別算定にするなどの対応が早急に望まれると思 っております。  次に、我々は地域完結型の医療を目指しておりますけれども、そのためには一病院のチ ーム医療にとどまらず、地域連携も含めたチーム医療の評価が不可欠であります。チーム 医療の評価をさらに高めていただきたいと思います。  最後に、特に公的医療機関は政策医療を担うなど特殊性を帯びています。現在進行の新 型インフルエンザワクチンの接種につきましても、国のワクチンの供給計画の遅れ、供給 の不手際などもありまして、病院も地域の開業医もお互いに大きな不満を持ってしまいま した。今回のような国全体で取り組むべき問題の場合には、それにかかわるすべての医療 側に対しまして、適時適切な評価が必要であると思っております。中医協のリーダーシッ プに期待したいと思っております。  以上につきまして、日々医療に従事する現場の声としまして特段の御配慮を賜りますよ う、よろしくお願いいたします。  以上で私の意見発表を終わります。今日はありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま5人の方からの意見の表明があったわけでありますけれども、ただいまの御意 見に対しまして、中医協の委員の方々からの御質問等をお受けしたいと思います。  なお、本日の公聴会は御意見をお聞きすることを趣旨としております。いただいた御意 見につきましては、後日取りまとめまして、それを基に今後中医協でも御議論していただ くこととなっております。そういうことでございますので、委員の皆様方には大変恐縮で はありますけれども、本日はいただいた御意見に対する確認及び質問のみにしていただい て、意見に対する委員の方々からの意見表明であるとか賛意あるいは反対論、こういった ことにつきましては御遠慮いただきますようにお願いしたいと思います。  それでは、ただいまの5名の方の御意見に対しまして、御質問等ありましたらば、どう ぞ御自由に結構でございます。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  皆さん非常に立派な現場の状況を反映された御意見をお聞かせいただきまして、ありが とうございました。  訪問看護の大友さんにちょっとお聞きしたいんですが、私も隣の県の茨城の北部で民間 の中小病院の経営者をしておりますが、訪問看護ステーションもあるんですけれども、地 理的に非常に不便なところでやっておりますので、今のお話は非常に身にしみる気がいた しました。私どものところもそうなんですけれども、訪問看護というのはこれから非常に 重要だと思うんですけれども、訪問看護を希望する看護師さんがなかなか出てこないんで すね。さっき言われたようなことは在宅を推進していく上で必要だと思うんですけれども、 訪問看護を普及・発展させていくためにはどういう点を改善していったらいいのか。現場 からの御意見としてお聞かせいただければと思います。 ○遠藤会長  それでは、御質問ですので、よろしくお願いいたします。 ○大友氏  ありがとうございます。現場といたしましては、やはり看護師確保がすごく難しくなっ ております。なぜ看護師の確保ができないかと言いますと、勤務体制が緊急で、いつもケ ータイに縛られているとか、そういう拘束感であったりとか、あとは小規模のステーショ ンは必ず赤字になります。なかなか黒字転換ができないというところ、そのあたりで個人 で経営できるはずのステーションでありながら、小さなステーションの経営が成り立って いかないというのは、報酬が伴っていないというところも関係しているのかと思います。  あとは、質的なところも要因としてあります。1人で訪問して、1人できちんと観察し、 判断するというところになかなか自信が持てないという看護師もまだまだいますので、そ ういった者の教育体制等も今後は整備が必要なのかなというふうには感じておりますけれ ども、やはり報酬が見合っていかないというところで、やりがいを感じられないとか。そ こを管理している管理者は今すぐにでもやめたいと言っているぐらい、疲れ果てていると いうような現状が最近は多々見られておりますので、そういったところを改善していくべ きなのではないかというふうに考えております。 ○鈴木委員  ありがとうございました。 ○遠藤会長  どうもありがとうございました。  ほかに御質問ございませんでしょうか。  それでは、安達委員、どうぞ。 ○安達委員  最初に御意見を述べられました、個人診療所の先生だと思うんですが、この中医協の中 では個人診療所純粋にというのは私しかいないので、その点で中医協の議論に資するため に先生にも御意見をお伺いしたいと思います。  今お触れになった外来管理加算については、何もしていないのに分かりにくいという御 指摘がずっとつきまとってきています。それについては、先生御自身はどういう位置付け でどういうふうに理解をしておられますか。御意見をいただければと思います。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。 ○常盤氏  先ほども申し上げましたけれども、再診料が710点でございます、非常に低額でござ います。それに対する、こういう言い方をしては何でございますが、多少の補助かという ふうな理解もございます。ただ、外来管理加算、何もしないということは絶対ありません で、何らかの形では説明なり指導なり、昔「指導」という言葉を使いましたけれども、そ ういうことをやっているところでございます。 ○安達委員  ありがとうございます。 ○遠藤会長  よろしいですか。  それでは、渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  ただいま5名の方から御意見ありがとうございました。地域医療にそれぞれの立場で献 身的に努力されて、貢献されているという姿勢に敬意を表したいと思います。  2番目にされた歯科の先生の主張の中に、基本診療料の評価についてのお話がありまし た。それはそれとおきまして、非常に難しい状況だという訴えがありました2点について、 さらに確認と申しますか、御説明願いたいんですか、1つは、患者さんのさまざまな訴え、 あるいは、その状況も変化していく中で、それにきちっと対応したいんだけれども、保険 診療所のルールの中で難しいところがあると。そういう点で、どういう点がそうなのかと いうことをお伺いできればと思います。  それから、もう一点は、在宅での歯科の診療というのは、患者さんの体の問題、あるい は、場所の問題、またまたそれを支援するというか支えるスタッフの問題とか、いろいろ 難しい状況であるわけですけれども、在宅の訪問診療にインセンティブを与えていく方法 としてどういうことが考えられるのか、先生の御意見がもしございましたら、お伺いでき ればと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。 ○遠藤氏  まず第1点目の問題なんですけれども、要は、口の中でも、1つの疾患で来られる方も いますし、幾つかの疾患、虫歯と歯周病とか、欠損と歯周病とか、いろいろあるわけです けれども、それぞれ疾患ごとに医学的にはいろんな標準的な治療または手順というのがご ざいます。疾患単独で見た場合でも、それはあくまで標準的な治療であって、必ずしもす べてがそこにあてはまるわけでもないし、特に歯科のように生活を支援するような医療に おきましては、患者さんの考え方がさまざまでございます。そうすると、患者さんの要望 に、要は患者さんがよりいい生活をしていくことを支えるわけですから、その要望に沿っ たときに手順が異なったりとか、選択肢がふえたりということがございます。  しかも、2つ3つの疾患が重なった場合にはどの順序でやるんだと。確かに大学で教育 的にまた医学的には手順というのはある程度そろっております。でも、それを実際の臨床 の場で、患者さん一人ひとりの実情にあわせてやった時にはかなり違うことも生じます。 では、違った場合に結果が悪いかと言いますと、今、平均年齢80歳を超している中で何 十年もおつき合いしていく中では、患者さんとの信頼関係の中で長い管理、また、指導等 を一緒につき合いながらやっていった場合には、患者さんの意思を生かした診療のほうが、 最終的にはその患者さんの人生にとってはプラスではないかなと感じております。  ですから、そういういった意味で、さまざまなものを保険のルールに入れてしまいます と、標準的な手順として示される、指針として示される場合はいいんですけれども、それ が保険の算定ルールに入ってしまいますと、そこから外れられないということがございま す。そうすると、現場で患者さんとのやりとりがやりにくくなったり、患者さんをルール にあわせてしまうということか生じますので、患者さんの立場で診療をやるにあたっては ある程度の幅広い解釈ができるほうが望ましいのではないかなと考えております。  あと、在宅につきましては、一つは、確かに困難な治療であります、外科処置ですので、 本来、出血を伴うようなものを枕元でやるのかという御意見もございます。でも、それを やっていかなければ患者さんの状態が悪化するわけですので、やっていくに際しての評価 というものがもう少しあってもいいのかなと。  もう一つは、先ほど述べましたように、ルールが縦割りになっておりまして、例えば、 介護と合同でやるというようなことになると、介護からも医療からもできないというよう な形がけっこうございます。そういったことではなく、患者さんにとってよりいい状態で やりたいと我々は思っていますので、そういうことがもっとできるようになればいいと。  それともう一つ、本来やってほしいと思っている患者さんの情報がなかなか歯科に伝わ らない。連携の問題で、医科の連携の中では歯科が少し外れているのかなというふうに感 じておりますので、連携がうまくとれれば、もうちょっと患者さんの要望に沿って、我々 も出ていく気は十分ありますので、やっていけるのではないかなというふうに感じており ます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  渡辺委員、よろしいですか。 ○渡辺委員  はい、けっこうです。 ○遠藤会長  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今日は5人の方々に非常に現場に立脚した御意見をいただきました。ありがとうござい ます。  最後の公立岩瀬病院長先生にお伺いしたいんですけれども、外科医がどんどん減ってい くということで、我々も外科の外保連というところからヒアリングを受けたりします。財 源は少ないんですが、手術料を上げていこうという方向、あるいは、物と技術は次回の改 定でちゃんと調査して、今、手術手技料のほとんどを食ってしまうような高い診療材料が 包括されておりますので、それを外出しにしようとかいうことをやっておりますが、外科 医がどんどん減っていくのを防ぐためには、産婦人科と同じように分娩料を本人に渡すと か、ドクターフィーの問題とか、そういうふうなことも討論しておりますが、先生の御意 見、もしすぐ答えられるようでしたら。外科医の減少に対する対策みたいなものがござい ますでしょうか。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。 ○吉田氏  岩瀬病院の吉田です。はっきり言うとありません。我々のところも今4名、外科医がい るんですが、今度4月の人事異動でもしかしたら1人減るのではないかということになっ ておりまして、それは大学のほうの都合というとあれですが、今、我々のところにいらっ しゃる先生がスキルアップするために大学に戻らざるを得ないという状況が起きそうであ ります。  そこで、ドクターフィーを上げることも一つの方法かもしれませんが、今はそういうこ とではなくて、医者は時間がほしいんですね。時間をつくるために数がふえなければいけ ない。数をふやすためには、我々がいろいろお願いにいっているところには、そこにも人 がいないので、残念だけれども、もう少し人がふえるまで待ってねという話になってしま うのが落ちでありますので、なかなか難しいところだと思います。私たちとしては、医師 の勤務環境をできるだけ整えることによって、我々の病院にくれば少しいいことがあると 思っていただけることによって、ドクターの招聘をしたいと考えております。いい方法は 思いついていません。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ほかによろしいでしょうか。白川委員、どうぞ。 ○白川委員  5人の御意見、大変ありがとうございました。  最後に御意見を頂戴した病院の院長先生にお伺いしたいんですが、御発言の中で、地域 連携というのが非常に重要で、病院内のチームだけではなくて、地域をまたがったチーム ということが非常に重要なんだという御発言があったかと思います。何年か前から地域連 携、あるいは、病診連携とか病病連携ということを中医協としても意識して評価をしてき たんですけれども、私どもは保険者なものですから、実態がよく分かっておりません。例 えば先生の地域で今まで中医協としていろんな評価をしてきたことが、現実面うまく動き 始めているのかどうか、その辺の実感をお聞かせいただきたいのと、もしも問題があり、 進んでいないとすればどういうところに問題があるのかというのをぜひとも御意見頂戴し たいと思います。よろしくお願いします。 ○遠藤会長  それでは、よろしくお願いいたします。 ○吉田氏  岩瀬病院の吉田です。例を上げるとすれば開放型病床の利用のことが上げられるのかな と思います。我々も病床5床を用意しておりまして使っておりますけれども、共同診療す るという場面は実際には非常に少ないと思います。紹介してくださる開業医の先生方も非 常に忙しい、我々も夜も寝ないぐらい忙しいということで、結果的に一緒に診療するとい うことは現実にはなかなか難しいという状況なのだと思います。ですから、その辺の仕組 みとかをもう少し何かの方法で緩和することによって、共同診療の書類、あるいは、審査 する方法が少し変わっていくと、もしかしたら何か道があるのかないう気もしております。 どういうふうにしたら一番いいのかというのはよく分かりませんけれども、開業医の先生 方は、病院も忙しいんですけれども、非常に忙しい、いろいろな仕事をしていらっしゃる のでというのが現実なんだと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  まだ御質問あるかもしれませんけれども……。 ○嘉山委員  ちょっとよろしいですか。 ○遠藤会長  では、手短にお願いします。 ○嘉山委員  一つずつ全部やります。  どうもありがとうございます。現場からで、中医協の委員が気がつかないところも多々 教えていただけたので、非常に貴重な御意見だったと思います。  まず、再診料の統一の問題で、中医協で今困っていることは、お薬外来というのがある らしいんですが、私は大学人なのでお薬外来というのは全く経験がないんですけれども、 お薬外来をなくす方法を先生方で何かお考えであれば、診療所、病院側から御意見をいた だきたいと思います。  あと、歯科の場合、私も初診料と再診料は非常に安いと思っています。僕が歯医者さん に行った時もこんな安いお金でいいのかと思うぐらいに安いのですが、今の御意見では、 患者さんのディマンドにあわせた診療報酬にしてほしいということをおっしゃいました。 ディマンドの具体的な内容を教えていただきたいと思います。  あと、薬剤に関しては、病棟配置のことで今回見送りになって、私も残念だと思ってい るんですが、今、大学では病棟での抗がん剤の配合やNSTのことをやっておりますが、 そのほかに病棟に配置してやるような業務内容がありましたら、それを教えていただきた いと思います。  それから、訪問看護についてです。訪問看護でいろんな問題があることは私も存じ上げ ているんですが、小さな訪問看護ステーションが多い、これをなぜ統一できないのか。要 するに、さっき子育ての問題もありましたけれども、訪問看護ステーションの看護師さん の数が多ければ多いほどいろんな都合がつくわけで、見ているとすごく少人数の訪問看護 が多いんですね。それを統合できないのかどうか。  それから、最後の自治体病院に関しては、私も自治体病院の評価委員をやっているんで すけれども、なぜ自治体病院があんなに赤字になるのか、赤字体質の一番の元凶は何なの かということを教えていただきたいと思います。 ○遠藤会長  難しい質問も含まれておりますけれども、4つの質問が出たと思いますので、お答えで きる範囲で結構ですので、質問の順番でお願いできますでしょうか。 ○遠藤氏  歯科の問題を出されたので、そちらのほうをお答えしたいと思います。歯科についての ディマンドということでございます。ここで申し上げたいのは、特に患者さんにとって、 我々が見ればいろんな疾患があるというふうに見た時に、患者さんが来られたときに主訴 が当然あるわけです。その患者さんの価値観によっては、例えばとりあえず入れ歯を入れ てくれという患者さんもいらっしゃいますし、口の中全体を見てほしいという患者さんも いらっしゃいます。具体的に言えば、来週結婚式だから何とかしてくれと。実際そういう 患者さんだって相当いらっしゃいます。  そうした中で、どういう順番を治療をしていくのか。ある意味で、主訴が終わってしま うと来なくなる患者さんもいらっしゃいますし、そこだけやってくれという患者さんもい らっしゃいます。そういった中で、その患者さんにとって今何をやらなければいけないの かということをやりながら、当然、我々は歯科医療としての専門家ですから、医学的な見 地からどういう治療をやった方がいいということがあるわけで、それらをうまく組み合わ せながらやっていく時に、指針のような形で出たものは当然参考にして治療方針を立てる んですけれども、それを算定ルールにしてしまいますと、動きがとれなくなってしまうと いうことがけっこうございます。そういった意味で、患者さんが今何を考えている、何を 求めているのかというところから始めたいというのが意見でございます。 ○遠藤会長  引き続きお願いいたします。 ○佐藤氏  薬剤師におけるチーム医療について答えさせていただきます。先ほど先生のほうから抗 がん剤治療、もう一つはNSTということでしたが、そのほかに、基本的なものとしては 褥瘡対策におけるチーム医療、もう一つは緩和医療に対する薬剤師のかかわるチーム医療、 あるいは、ICT、大きく言えばこの5つぐらいが、病院薬剤師が今一生懸命取り組んで いるチーム医療の一つでございます。 ○遠藤会長  はい。ありがとうございます。  それでは、引き続いてお願いいたします。 ○大友氏  訪問看護ステーションが統合できないのかということで、なるべく大規模なステーショ ンにしたらどうかということですけれども、設置主体が異なってしまいますと、統合して いくのはなかなか難しいというところもございます。私どものステーションは関連法人の ステーションを統合しまして、かなり大規模なステーションにはいたしました。ですが、 ほかのところは−どうしても小さな診療所ですと、配置する看護師の人数は2.5人とい う指定をとるためのぎりぎりの範囲でやっていらっしゃるところが多いのかというところ がございますので、横の連携ということで、1人の患者さんに2つのステーションが一緒 に入っていきましょうというような制度はございますが、こちらのほうも算定する内容に 制約がございまして、いろんな算定ができないというような現状がございますので、その あたりも今後改定をお願いしたいと思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  では、続いてどうぞ。 ○吉田氏  岩瀬病院の吉田です。公的医療機関の赤字の元凶ということなんですけれども、端的に 言えば、財務を見てもらえば分かるように人件費率が高いということです。人件費率が高 いのをなぜ解消できないのか、これは法律の壁だと私は思っております。公務員というこ とになってしまいますと、我々は供与をいじれませんので、もしそこが問題なのであれば、 それは法律を改正するということで改正していく以外方法はないのではないかなと私は思 っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  嘉山委員、よろしいでしょうか。 ○嘉山委員  はい、結構です。 ○遠藤会長  5人の皆様、どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして、4名の方から御発言を伺いたいと思います。  それでは、1番目の方からよろしくお願いいたします。 ○カワイ氏  私は、千葉県の開業医の団体であります千葉県保険協会という団体の職員でございます カワイと申します。本日は千葉県千葉市からこちらのほうに来させていただきました。こ のたびはこのような意見発表の機会を与えていただきましてありがとうございます。本日 は、会員の先生はこちらのほうには来られませんので、会員の開業医の声をお伝えできる ように意見を述べさせていただきたいと思います。  今回の意見発表の募集があった時、私は次のような意見を提出させていただきました。 最初の意見発表をしていただきました先生と重複するんですが、私は再診料の病院・診療 所間の格差統一について、診療所を引き下げての統一に反対します。再診料には、医師の 基本的な診療行為と医療提供に必要な看護師、事務員等のスタッフの人件費、カルテ、基 本的な診察用具、光熱費、施設の整備費等の人的・物的コストが含まれており、再診料が 医療サービスの礎であることは言うまでもありません。再診料の引き下げは、この礎を崩 壊させることは明らかです。たび重なる報酬引き下げで、サービス提供体制を崩壊させた 介護保険の悲劇を繰り返さないためにも、診療所の再診料引き下げはすべきではありませ ん。  以上のような意見を提出させていただきました。私が提出させていただきました意見の 中で、「礎」という言葉を使わせていただきました。これは、漢字で書きますと、基礎の 「礎」になりますけれども、この礎という言葉には建物の柱を乗せる土台となる石という 意味と、物事の基礎となる大事なものという意味がございます。地域医療の礎が診療所で あるならば、その診療所を支える礎は再診料であるということは明白なことでございます。 再診料の引き下げはこの礎の一部を取り除くことにほかなりません。既にある建物の土台 を少しでも取り除きましたら、その建物はすぐ不安定になるように、再診料の引き下げは 診療所経営の土台を揺るがし、その動揺は地域医療全体に波及することは想像にかたくな いと思います。  医療は病院だけが担っているわけではございません。初期治療はもちろん、健診、予防 接種、最近では新型インフルエンザの対応など、地域医療を担う診療所の存在があって成 り立っているのではないでしょうか。この診療所が成り立たず、病院に患者が集中する事 態になれば勤務医の負担がさらに増大します。診療所の再診料を引き下げて病院に配分し たら、勤務医がさらに疲弊してしまうという本末転倒の事態を望まれていらっしゃるので しょうか。介護保険はたび重なる報酬切り下げでサービス提供体制が崩壊いたしまして、 介護崩壊とも言われておりましたが、その建て直しのために昨年の介護報酬改定でわずか に報酬がアップいたしました。しかし、それが状況の改善につながっていないのが現状で ございます。一度サービス提供体制が崩壊すると建て直しが困難であるという介護保険の 実例をみながら、さらに医療でも同様のことを繰り返すのは絶対に避けるべきだと変えま す。  以上の点から、診療所の再診料引き下げに反対いたします。  もう一点、意見発表募集では触れませんでしたが、病院の改定案について意見を申し上 げさせていただきたいと思います。病院についての評価については、今回の改定骨子案は、 2008年改定に定められた施設基準に対応できた救急などの医療機関はさらに評価され たと思います。しかし、前回改定で対応できなかった多くの中小病院は今回も評価は特に されておりません。さらには、地域医療で急性期病院と慢性期病院の安全弁としての役割 を果たしている、15:1入院基本料病院についても引き下げが示唆されており、90日 超えの後期高齢者特定入院基本料を一般患者にも拡大する方針が打ちだされております。 これらの方針が実行されれば、地域医療を支える中小病院に大きな影響を与えることは明 らかです。ぎりぎりのところで踏ん張っている中小病院にさらに追い打ちをかける改定を 実施しないよう切にお願いする次第でございます。  最後になりますが、この中医協公聴会につきましても、一言、意見を申し上げたいと思 います。実は、私、この公聴会に過去2回、今回と、3回参加させていただいております。 毎回さまざまな意見が出ておりまして、先生方にも聞いていただいているんですが、医療 現場からの声が改定に反映されているかどうかというのは少し疑問なところもございます。 この公聴会で意見を聞いたという事実だけではなくて、ぜひこちらで出された声につきま しても、委員の先生方に真摯に御検討いただければと、僣越ながら意見を述べさせていた だきます。  本日は御静聴ありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  もちろん、ここで御意見を承ったことは、パブリックコメントも今、別途募集しており ますので、それらも含めまして、今後の中医協の議論の中で検討する大きな材料になると いうふうに我々は扱っておりますので、その点についてはそのように御理解いただきたい と思います。  それでは、続きまして、次の方、お願いいたします。 ○石井氏  私は福島県福島市にあります東邦銀行健康保険組合の石井でございます。意見発表の機 会を与えていただきましたことに御礼を申し上げたいと思います。平成22年度の診療報 酬改定について、保険者である健康保険組合の立場から意見を述べさせていただきます。  現下の厳しい経済情勢の中で、健保組合は医療保険制度の安定的な運営に向け日々努力 しておりますが、保険料収入の減少や、高齢者医療制度に対する支援金、納付金の過重な 負担等により、健保組合全体では平成20年度決算で3,060億円の経常赤字となり、 21年度予算でも当初6,100億円超と見込まれておりました経常赤字が、更なる保険 料収入の減少で七千数百億円にまで拡大するなど、2年連続の巨額な赤字を計上し、危機 的な財政状況に直面しております。  当福島県の健康保険組合も全国と同様の厳しい財政状況でございまして、20年度決算 でございますが、8組合で3億5,700万円の経常赤字でございます。21年度の予算 は、当初6億9,600万円の経常赤字の見込みでございますが、この状況下でさらに拡 大すると予想される状況でございます。社会経済情勢とか国民生活の状況、保険者財政等 を踏まえれば、診療報酬の引き上げを行う環境にはないわけですが、平成22年度の診療 報酬改定におきまして、昨年末に改定率が決定されております。  今後、具体的な点数設定等の議論が進められることと思いますが、その際にはめりはり をつける形で必要度の高い医療に対しては、大胆かつ重点的な評価を行う一方、限られた 財源を効率的かつ効果的に配分し、国民、患者に納得・理解が得られるような改正となる ようにお願いいたします。これまでの検討状況につきましては、現時点の骨子をみますと、 喫緊の課題であります病院勤務医の負担軽減や、産科、小児科、救急医療等の急性期を中 心とした医療について、さまざまな対応を講じること。また、医療の機能分化や連携の観 点から在宅医療の充実や、地域における医療連携体制の強化を図っていく措置を講じるこ とは大変評価でき、期待しているところでございます。  また、個別の項目について、骨子の中で3点について私どもの立場から意見を申し上げ たいと思います。  まず1点目は再診料でございますが、同一サービスは同一の報酬にすべきであることや、 病院と診療所の格差を是正する観点から、統一する方向で検討することとしておりますが、 その際には配分を大きく見直し、診療所の点数を引き下げ、病院の点数を引き上げる形で 統一を図るべきであると私どもは考えております。  2点目は、医療の効率化の余地がある領域については適正化すべきという観点から、後 発薬品の使用促進については、更なる促進を図るためにさまざまな取組を実施することは 評価できますが、その効果や使用状況等については検証し、実効性のある見直しをお願い したいと思っております。  3点目は、診療報酬改定にあたりましては、国民、患者にとって分かりやすいものとす る観点から、診療報酬体系の簡素化、合理化を図っていく方向で取り組むべきであります。 また、患者が医療に対する理解、関心を深めるためにも、明細書の無料交付を義務付ける ようにぜひ要望いたします。  このほか、保険者の立場から申し上げますと、医療の透明化や審査の充実、支払の効率 化を図る観点から、レセプト様式の見直しや、当初の方針から後退してしまいましたレセ プトの電子化など、医療保険実務のIT化を推進すべきと考えております。  以上でございます。よろしく御検討くださいますようお願いいたします。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  では、続きまして、よろしくお願いいたします。 ○ニヘイ氏  連合福島の執行委員をしておりますニヘイと申します。福島県福島市の福島中央市民医 療生活協同組合で保健予防の仕事に従事しています。職場の労働組合の執行委員長も担っ ております。今日は、国民の安心の基礎である医療の方針を審議する重要な会議を福島で 開いていただき、このような発言の機会をいただきましたことに、関係者の皆さんに感謝 いたします。本日は、連合福島を代表して、患者の立場、被保険者の立場、そして、医療 スタッフの立場から意見を言わせていただきます。  まず、地域における医療供給体制の維持と確保についてであります。医療は私たちが安 心して暮らすため欠かすことのできない条件です。安心の医療が提供されない地域で暮ら すことはできません。しかし、その基盤が揺らいでいます。全国的に医療機関、診療科、 医師、看護師等の偏在が進む中、福島県内でも地域によっては診療かがなくなってしまっ たという地域も出ています。南会津の地域では医療過疎が極めて深刻な事態となっていま す。南会津地方では産科がなく出産ができません。会津若松まで1時間以上時間をかけて 通院をし、出産をしているのが現状です。また、出産が近くなると、冬期には道路事情な どを考慮し早めに入院するという事情も聞いています。また、南会津は高齢者の人口が多 く、移動の困難なお年寄りがたくさんいらっしゃいます。  こうした地域は、医療供給体制が不十分で、医療へのアクセスが困難となっているのが 実情です。基幹病院と地域の医療の連携、あるいは、訪問看護への評価をしていただきた いと思います。また、県内どの地域に住んでいても、救急医療が受けられる体制を整備す るため、救急体制に貢献する医療機関や、夜間・休日診療を行う医療機関に対する評価も 行っていただきたいと思います。また、福島県は全国的に見れば比較的出生率が高い県で すが、子どもを産み育てたいと願う市民、勤労者が安心して出産・育児することができる よう、新生児を含む周産期医療、小児医療への重点評価もお願いしたいと思います。  次に、医療機関における明細書の発行についてです。患者の立場からすれば、自分の受 けた医療の内容と医療費の内訳を知ることは当然の権利です。医療費の一部を窓口で負担 する際に、何にどれだけのお金がかかっているのかということを明細書の形で交付するこ とにより、医療機関と患者の間の信頼関係は格段に高まると思います。ですから、医療の 内容がレセプト並みに分かる明細書の発行について、本人が不要としない限り、すべての 医療機関において無償で発行することを義務化していただきたいと思います。  もちろん医療機関の中にはすぐに体制がとれないというところもあると思います。明細 書無償発行の義務化を方針として掲げて、既に体制のある医療機関から段階的に実施され ています。次期報酬改定の2年後には完全実施がされるようなスケジュールを決めるべき と考えます。なお、体制整備のために電子請求の評価による報酬上の電子化の加算や、財 政上の支援措置などをあわせて行うことが必要と考えます。  最後に、医師、看護師の負担軽減について述べます。勤務医、看護師の過重労働は深刻 です。看護師を例にとりますが、月8回から9回の夜間シフトは過酷です。妊娠、出産、 子育てとの両立は困難ですし、多くの看護師が健康不安を訴えています。現場は常に人材 不足の状態にあります。医療の現場が疲弊して、患者への丁寧な対応ができなくなったり、 医療ミスが発生することは、患者、医療関係者双方にとって不幸なことです。医師や看護 師が魅力ある仕事として若い人々の目に映らなければ、さらに人材不足に陥ることも懸念 されます。医師、看護師の安定的確保と処遇を改善するために、可能な限りの環境整備を お願いします。子どもを育てる、あるいは、体力に限界がある、そうした状況の中で職場 で労働組合に従事していて相談がきます。そういう意味で職場からの改善が目に見えるな 環境整備をお願いしたいと思います。  また、中医協では入院基本料に関する月平均夜勤時間の72時間要件の緩和が議論され ましたが、安心の医療のためにはむしろ64時間以内に引き上げ、夜勤も月8回以内で済 むよう改善することが重要なポイントだと思います。そのためにも、重要なことは人材を どういうふうにつくり、確保するのかということです。医療スタッフの社会的な増員をど う図っていくのか、このことも大変重要になっていると思います。現在の72時間要件を 一時的にも緩めるような方向は、人材確保、安心の医療に逆行することになると思います。  以上、意見を表明させていただきました。ありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、最後の方、よろしくお願いいたします。 ○岡部氏  郡山市の岡部と申します。人工透析を受けている患者でございます。今年で28年目に なります。本日も、これから帰って夜間透析を受ける予定となっておりますが、私のよう なぼんがな者に大変貴重な時間を賜りまして、厚く御礼申し上げます。透析医療について お話しようかと思いましたが、報告書を読むと皆さん御承知のようですので、今般は福島 県の地域医療の問題について話をさせていただきたいと思います。  福島県では地域医療の崩壊が危惧されております。これを患者自身が痛感しているとい う現実が非常に大変な問題だと思います。先進国である日本において、大変古い議論かと は思いますが、マズロー理論のいうところの生理的欲求や安全の欲求、それさえ得られて いない医療の状況は異常でしると言わざるを得ないと思います。そういう観点から本日2 点提案、要望させていただきたいと思います。  その1ですが、福島県では、医療施設が存在するにもかかわらず、医師やスタッフの撤 退から大切な診療科が閉鎖される事態が、特に公的医療機関に続発しているという現実は、 いつでもどこでも安心できる医療を提供すべき公的医療機関の社会的責務を果たしている とは到底言いがたいと思います。しかし、同時に現体制の下ではその高邁な理想の実現も 困難であろうという現実も理解しているつもりです。長期スパン的な解決手段として、ま ず地域医療を保証するという哲学、考え方、そして、それを実現するべき制度をもう一度 再構築して、それを診療報酬体系の中でしっかり担保していただく必要があると考えます。  確かに社会保障費は国家財政の中では大きな部分を占めてきておりますし、非常に注目 されております。しかし、急速に高齢化した日本において、このような財政体系になるこ とは自明でありましたし、それを削減あるいは圧縮することは、人間の基本的尊厳をも瓦 解させる危機を露呈するのではないだろうかという危機感を感じます。そういう危機感の 中で、地方、都市部と格差はありますが、双方からの医療相互支援システムを構築し、こ れだけ交通網が発達しておりますので、かなり広範な支援システムが組めるはずでござい ます。そういう中で、地域に住む者、地方に住む者にとっても、安心して生活できる医療 体制の構築をしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  2点目ですが、在宅医療の推進という基本方針がございます。具体的に療養病床の削減 とか、そういうところも出てきておりますので、在宅医療の推進というのはこれからの日 本の医療を補完すべき姿であろうというふうに思料されます。しかし、在宅医療の推進の ためには、その前提として在宅にある患者が安心して在宅し、そして、医療を受けること のできる体制、ハード面、ソフト面両方あわせて整備して、その後に在宅医療に移行すべ きというふうに患者としては希望します。  特に我々1日おきに通院しなければならない透析患者などは、通院の問題は医療そのも のと同じように重要な問題となっております。この通院支援制度を医療として位置付ける か、福祉として位置付けるかというのは、私どものような素人が判断すべきところではあ りませんが、在宅医療の推進の基盤としての通院手段の確保、いわゆる在宅の安心感とい う概念を医療の中で考えていただきたいというふうに思います。  ここで一つの例として、通院の問題を提起しましたが、今後、医療という範疇には医療 行為そのものと、いわゆる採択の在り方、通院行為、そして、自宅での介護体制など、こ れらを体系的に整備してはじめて人間の人格をきちんと守った幸せを語ることのできる医 療、そういうものを理想としてこれからの医療体制を整備していく必要があるのではない かというふうに御提案させていただきたいと思います。この辺の要素も御賢察の上よろし くお願いしたいと思います。  御静聴ありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの4名の御意見に対しまして、委員の皆様から御質問等ございます でしょうか。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  最初の方の御意見をお伺いしたいと思います。診療所の再診料の引き下げに反対だとい う御意見でございました。中医協におけるこの議論は、今回の改定で極めて異例なことに、 医科の改定額をおよそ入院と入院外で10:1の比率にするという、具体的な数値が枠組 みとして決められた中でやらなければならないということの影響を現実に強く受けること になります。お伺いしたいのは、新政権の下で医科の診療報酬を決めただけではなくて、 その配分の在り方について、入院と入院外の枠を定めたという、このやり方そのものに対 するお考え、もう一つは、その定められた枠について、入院と入院外が10:1、つまり 入院外は400億円の中でやるということになりますが、その定められた数値そのものに ついての御意見、この2つをお伺いできればと思います。 ○遠藤会長  それでは、よろしくお願いいたします。 ○カワイ氏  恐らく今回改定で初めて入院と入院外という枠組み、今まではトータルで見ていらっし ゃったかと思いますけれども、今回は恐らく政治的なところで枠組みが合意されたかと御 けれども、ここから先は私の個人的意見なんですけれども、現場の声が政治的な決着でと こまで反映されていたのか。あの大臣合意では配分の見直しということが明記されており ましたけれども、そもそも400億円という数字の根拠はどこにあったのか、そこの点か ら疑問を個人的には感じております。  今回10:1、入院が4,000億円、外来400億円という形で決定されたかと思う んですけれども、この在り方については、前回の改定で診療所から病院に配分するという ことで、相当規模の金額が持って行かれましたけれども、調査によると800億円という 数字も出てきているかと思います。ただ、その数字であれば、400億円というのは前回 改定で診療所から病院に持ってきた金額にはほど遠いのではないかと私は考えております し、今までの経緯からしてその金額というのは不十分であると言わざるを得ませんし、最 初から政治的な合意でそういった枠組みで決めるということも、個人的にはどうかなとい うふうには考えております。 ○安達委員  ありがとうございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ほかにどてたかいらっしゃいますか。それでは、鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  岡部さんにお伺いしたいんですが、在宅を推進していく上で在宅で安心をというのは当 然だと思うんですけれども、安心という意味が、私どももよく患者さんや御家族にお話す ると、病院や施設のように24時間いつでも来てくれるとか、そういうことを言われると 実際難しい場合も多いんですが、どの程度どういう安心が保たれれば在宅が進むと思って おられるのかということ。  それから、さっき御発言の中で都市と地方の相互支援システムをというお話があったと 思うんですが、具体的にはどういう支援システムが実現すれば在宅での安心が確保される というふうにお考えなのかをもう少し詳しくお聞かせ願えますでしょうか。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。 ○岡部氏  在宅の安心感というところですが、退院した患者につきまして、病院に通って治療を受 けるというのは、玄関を出て病院に行って治療を受けて薬をもらって家の玄関に入るまで が一つの医療というふうに素人はとらえているわけで、その中で通院というのが大きな問 題で、まず通院という手段の確保ですね。これが非常に重要だと思います。あと、在宅で すから、今、自立支援法と介護保険がありまして、自宅と、あと訪問介護と訪問看護です とか、さまざまな制度がありますが、地方にいくとそういうステーションもないようなと ころもたくさんございますので、それが行き届いていかないというのが現実にございます。 そういうところが一番厳しいところだろうと、そういう患者は結局は社会的入院に頼らざ るを得ないというような状況が生まれているという現実があろうかと思います。  あともう一点ですが、地方と都市の相互関係ですけれども、今の病院のスタッフ体系を 見ていますと、地域一括というか、福島県なら福島県の中での医療人の交流とか、そうい うものが中心に行われておりますが、これだけ交通網が発達しているわけですから、首都 圏からの医師の派遣、あるいは、通勤も十分可能になっておりますし、そのローテーショ ンができる範囲が非常に広範になってきているのではないかと思いますので、その辺を広 くとっていただければ、地域のスタッフの解消にもなろうかというふうに私は考えます。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  鈴木委員、よろしいですか。  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  連合福島の方にお聞きしますが、明細書の無料発行でございますが、現在、保険者に請 求すると発行していただけることになっておりますが、それではだめなのかということを お聞きしたいと思います。  同じ質問をその次に健保組合の方にお聞きしたいと思いますが、現在、そのシステムは ありますが、今までどの程度の請求があったかということと、最初の質問と2つお聞きし たいと思います。  以上です。 ○遠藤会長  それでは、質問の順番でお答えいただければと思います。 ○石井氏  本人からの断りがなければ、基本的に発行していくということでぜひよろしくお願いし たいと思います。そのように考えております。 ○ニヘイ氏  私どもも、被保険者の医療に関する自覚という部分もありますので、本人の申し出がな くても発行できるような体制で、本人の意識も改革していくと。それから、被保険者の意 識が高まれば保険者としてもその分が負担の軽減につながるような医療行為に結びつくと いうふうに考えております。  以上です。 ○遠藤会長  西澤委員、よろしいですか。  それでは、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  いろんな現場の声、先ほどの医療者の声とまた違った声が出てきたので、非常に勉強に なりました。  ちょっと確認をさせていただきたいんですが、保険協会の方のおっしゃったことはもっ ともで、ガス抜きをやめてちゃんと反映させなさいということは、我々も今後のディスカ ッションの中に取り入れていきたいと思うんですが。  健保組合の方にお聞きしたいんですけれども、今、組合自体も日本の国民の医療を守っ ていらっしゃることは事実で、本当に敬意を申し上げます。ただ、中医協で話し合うため にはある限界があって、限界があるというのは財源が限られているわけですね。そういう 中で、国民を守る医療のレベルを下げるな、あるいは、上げろということをおっしゃって いながら財源がないので、どういうふうなことをしたらいいのかなというのを、私はちょ っと思いつかないので、それを教えていただきたいということが1つ。  あと、連合の方にお聞きしたいんですけれども、先ほどガス抜きではなくてというよう なことがありましたが、実際に看護師さんの64時間あるいは72時間ということをやっ た場合に、一方では産科医療が崩壊しているということをおっしゃったんですけれども、 崩壊しているというのと、看護師さんの64時間あるいは72時間というのをやった場合 には、これは完全に矛盾しちゃうんですよね。どちらがプライオリティーが高いとお考え なのか、それを教えていただければ、我々中医協の中で反映できるので。現場の看護師さ んは実際はどう思っていらっしゃるのか。現場です。  それから、最後の人工透析の方にちょっと確認をしたいんですが、在宅医療、通院、こ の医療の中でどういうところに診療報酬をつけたらうまくいくのかということを具体的に 教えていただけたらと……。 ○遠藤会長  それでは、よろしくお願いいたします。 ○石井氏  私ども健康保険組合の立場から申し上げますと、財政的に一番苦しい部分は拠出金、納 付金の部分でございまして、健保組合によっては保険料収入の50%を超えてきているよ うなところもございます。現に福島県は28健保組合ありましたけれども、現在8健保ま で減少してきています。これは財政的にもたなくなってきて、支える側が支えきれなくな ってきて、従来の政管健保、現在の協会けんぽに移行せざるを得なくなっている状況が一 つです。  それではどうするのかということなんですが、納付金についてもそうなんですが、国の 補助というか、公的な補助で支えざるを得ないのではないかというふうに実感いたします。 具体的にどうかという部分があるんですが、一つは消費税ということが考えられると思い ます。今年度の医療費も三、四パーセントふえているんですね、この経済環境下で。予算 でも多めに見ているんですが、それでも予算をオーバーしてしまうような状況にあります。  さらに、医療の高度化もありますし、高齢化も進んでいますので、今、来年度の予算を 組んでいるところなんですが、さらにまた納付金がふえそうな状況でありまして、今まで のやり方だけでは支えきれない。国の負担なり国民全体での負担という部分、そういう税 の在り方も含めて仕組みを考え直さないと、我々現場で支えるのは財政的に大変厳しくな ってきている。実際に支えられずに解散していくところが多いというのが現状でございま す。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  では、引き続き2番目の質問、お願いいたします。 ○ニヘイ氏  看護師等の労働条件の関係ですが、現場から上がってくる声というのは、やめていく看 護師たちの話を聞いていて思うのは、一つは子育ての関係、もう一つは体力の関係、こう いうところで大きく私たちはぶつかっています。働く環境整備をどういうふうにしたらと いう意味では看護師の数、総体が全く足りないというのを実感するところです。そういう 意味では、公的資金の導入なども含めて看護師の養成も含めた医療ソースを今後どういう ふうにふやしていっていただけるのかと、こんなところも含めた課題に今直面しているの ではないかというふうに思っています。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  嘉山委員、よろしいでしょうか。何かございますか。 ○嘉山委員  具体的に今、現場というか、この中医協で近々の問題として72時間あるいは六十何時 間ということをおっしゃったんですけれども、それをやってしまうと、産科医療が崩壊す るとか、そういう医療の崩壊のほうがありますよね。それと矛盾するので、どちらが現場 としてはプライオリティーが高いとお考えかということを確認してみたかったんです。そ うじゃないと中医協に反映できないので。職場の環境は当然やらなければいけないことで、 私の大学は24時間の保育所をつくっていますから、それはやっているんですけれども… …。 ○遠藤会長  では、よろしく。 ○ニヘイ氏  矛盾するということ自体も理解します。労働環境を守るといったときに時間の関係を短 くできれば本当にいいわけですけれども、現状の中でぶつかっているのは、例えば7:1 看護基準が入ってきての医療現場での課題というところでは、より看護師を厚く配置した 医療機関が7:1、10:1、15:1とか、13:1ありますけれども、診療報酬が収 入として入ってくるということで、看護師を確保できたところがいい条件にもなりますし、 収入も入ってくると。それの相反するものとして、看護師が確保できないところが今は大 変厳しくなってきているということもあると思います。そんな中で、現場からすると、医 療スタッフをどういうふうに供給していただくのかということでしかお答えできないんで すが。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  嘉山委員、また中医協で議論を進めていきたいと思いますので。  1号側からは特に御質問ございますか。よろしゅうございますか。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  これからまた透析に行かれるという方に、申しわけないんですけれども、地域の医療機 関から診療科がなくなると。特に公立病院がどんどんそういうふうになっているというこ とで、私も公立病院に関係する者として少し御意見をいただきたいんですが。この委員会 でも、地域特性と言いまして、地方の病院から看護師さんが足らなかったり、あるいは、 お医者さんが足らなくても、少し診療報酬が下がるのを防ごうと、少しだけ緩和すると。 上げようというのではないんです。下げるのを少し抑えようということを検討したんです が、なかなかみんなの理解というか、一致しなくて、今後検討していこうということにな っているんです。そうすると、田舎の病院がドクターやナース、医師、看護師が減ってい って、だんだんなくなるというのを防ぐのに、どのような診療報酬体系をしたらいいかな というのを、最近どこへ行っても聞くことにしているんですが、何か御意見いただけない でしょうか。 ○遠藤会長  では、よろしくお願いします。 ○岡部氏  地域特性ですが、まず私個人的に考えますに、公的病院の大きな役割として、先端技術 の開発というのと、僻地医療の充実という大きな社会的使命を担っているというふうに考 えております。その中で、福島県等におきましては、民間医療機関が手を出せない僻地医 療を担うのは公的医療機関であろうと、我々患者としては期待しているところでございま すし、県行政等におきまして、そういう医療機関について赤字が出たので廃止する、撤退 する、そういうふうな原因で病院が撤退されるということは、公的病院の社会的責務を放 棄しているのではないかというふうに思います。  診療報酬をどうつけるかということにつきましては、私、専門ではないので分かりませ んが、既得といっては語弊がありますが、大切な医療を担っている公的病院を採算性の問 題だけで切り離すようなことはやめていただきたいというふうに思います。そこを担保す るのが公的病院たるゆえんだというふうに考えておりますが、そこのところをよろしくお 願いしたいと思います。  診療報酬とちょっとかけ離れた話で申しわけございません。 ○邉見委員  どうもありがとうございました。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ほかにはよろしゅうございますか。  当初は皆様方のお話を私が少しまとめようかと思っておりましたけれども、予定の時間 をオーバーしておりますので、むしろそれは省かせていただきまして、お聞きになったと おりということにさせていただきまして、皆様方との質疑に時間を多めに割かせていただ いたということがあります。  4名の方、本当にありがとうございました。  ただいま合計9名の方から現場の意見を中心に御意見を伺ったわけでありますけれども、 いかがでしょう、各委員の方、質問というよりも、ただいまこのような意見を承ったとい うことに対しまして御感想等もしあれば、1号側、2号側、お1人ぐらい御意見をいただ いてもよいかと思いますけれども、何かございますか。  特段よろしゅうございますか。  では、白川委員、一言……。 ○白川委員  感想というのは非常におこがましいんですけれども、本当に御多忙のところ私ども委員 に貴重な御意見を賜ったことを、支払側委員を代表して厚く御礼を申し上げます。また、 今後ともいろいろな御意見があるかと思いますので、ぜひともお寄せいただくようにお願 いいたします。本日はどうもありがとうございました。 ○遠藤会長  それでは、2号側、どなたか。邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今日は寒いところたくさんお集まりいただきまして、貴重な御意見をいただきまして、 ありがとうございました。私も田舎の中小病院の関係者でございます。霞が関の視点だけ では日本の医療はだめだろうと常々思っております。ここはまだ県庁所在地ではあります が、ここよりもっと田舎、そういうところにもたくさんの日本人、国民が住んでいるわけ ですから、その人たちの意見ができるだけ我々の委員会に反映されるように、今後またこ のような機会をどんどんつくっていただけるように、また国民が共同というか参加すると、 国民の皆さんにも納得の医療、あるいは、ある程度の覚悟をもって医療に参加していただ きたいと私どもは思っております。よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  本日は本当にお忙しい中、貴重な御意見を承ることができまして、会長といたしまして も、一言お礼を申し上げさせていただきたいと思います。  ただいまいただいた御意見を含めまして、今後、短い時間ではあるのですけれども、中 医協の中で議論を進めていきたいと思っておりますので、よろしく御注視のほどお願いし たいと思います。  それでは、以上をもちまして、中央社会保険医療協議会総会公聴会を閉会させていただ きます。本日はお忙しい中御参加いただきまして、ありがとうございました。  なお、平成22年度診療報酬改定につきましては、現在、パブリックコメントを募集し ております。ただ、残念なことに本日が募集の期限ということになっておりますので、も し傍聴された方で御意見等がある方はぜひこのパブリックコメントのほうへ御意見をお寄 せいただければと思います。  事務局にお尋ねしますけれども、このパブリックコメントというのは厚労省のあれから いくんでしたっけ。ちょっと説明してください。 ○事務局(佐藤医療課長)  今お話がありましたように、診療報酬に関するパブリックコメント、厚生労働省のホー ムページの中にございますので、応募をしていただければと思います。 ○遠藤会長  ひとつよろしくお願いします。今日までということでありますので、よろしくお願いい たします。  どうもありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ。 【照会先】  厚生労働省保険局医療課企画法令第1係  代表 03−5253−1111(内3288)