10/01/15 第4回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録 第4回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録                 日時:平成22年1月15日(金)12:30〜14:34           場所:ホテルルポール麹町2階 ロイヤルクリスタル 議事次第 (1)平成21年10月以降の要介護認定の状況について (2)その他 議事内容 ○宇都宮老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、「第4回要介護認定の見直しに係る検 証・検討会」を開催させていただきます。  本日の委員の御出席状況でございますが、筒井委員から御欠席の御連絡をいただいております。 なお、山井政務官につきましては、現在のところ公務の都合により、会議の途中より出席される 予定でございます。  それでは、田中座長、進行をよろしくお願いいたします。 ○田中(滋)座長 皆様、お忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。  早速ですが、議題に入る前に、まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○宇都宮老人保健課長 では、資料を確認させていただきます。  まず、議事次第、続きまして、配布資料一覧、そして座席表がございます。  その次から資料1として、名簿。  資料2として、開催要綱。  資料3として、要介護認定の状況についての概要。  資料4ですが、再申請勧奨の状況。  資料5、認定質問窓口に寄せられた問い合わせ等について。  資料6ですが、研修実施状況調査について。  資料7、A3の大きいものですけれども、グラフがございます。  資料8、集計結果についての概要。  資料9、特記事項等の周知について。  続きまして、参考資料1として、池田委員の提出資料。  参考資料2として、樋口委員の提出資料。  参考資料3として、結城委員の提出資料。  参考資料4として、要介護認定に係る集計結果について。  参考資料5として、事務連絡がございます。  参考資料6として、研修実施状況調査です。  それから、本日、当日机上配布資料としまして2つございます。  1つ目は、再申請者の二次判定結果の要介護度区分の比較ということで、これは資料8の補足 資料でございます。後ほど御説明申し上げます。  それから、結城委員の追加の提出資料がございます。  資料につきましては以上でございますが、不足、落丁等ございましたら、事務局までお申し付 けいただければと思います。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○田中(滋)座長 では、早速ですが、本日の議題(1)平成21年10月以降の要介護認定の状 況についてに入らせていただきます。  前回お集まりいただいたのは7月でした。その7月の検討会では、それまでの検討をまとめて、 厚労省に対してペーパーをお渡ししました。そこには、認定調査員テキストを修正すべきである という点と、修正後の要介護認定の状況について、この検証・検討会に報告するよう求めました。 御記憶なさっていらっしゃるとおりです。  本日はそれに基づき、事務局が昨年10月のテキスト修正以降の要介護認定の状況をまとめたの で、御報告いただきます。それを基に、委員の皆様で議論してまいりたいと存じます。  それから、先ほど課長からの案内にありましたように、池田委員、樋口委員、結城委員から参 考資料が提出されていますが、各委員におかれましては、議論の中でほかの委員と同様、手を挙 げた段階でお話ください。プレゼンテーションの時間は特に設けませんが、それで御対応くださ い。  事務局から、資料3から9について説明をお願いします。 ○宇都宮老人保健課長 まず資料3でございますが、これが全体についてのまとめとなってござ いますので、資料3を傍らに置いてごらんいただきながら、それ以外の資料を同時に見ていただ ければと思います。  まず資料3の1番目でございますが、要介護認定方法の見直しに伴う再申請等の勧奨の状況に ついてということで、詳細については資料4の方に記載されてございます。  こちらにございますように、今年度の4月から9月に新規に申請した者について、まず非該当 と判定された者、2万6,860人いらっしゃいますが、そのうち市町村等が個別に再申請の勧奨を行 った者の割合は63.9%、1万7,156人。そのほか、ホームページあるいは広報紙等で一般に広く周 知を行った者を含めると83.6%という状況でございました。各都道府県の状況は、資料4の1ペ ージの下の方にございます。  続きまして、資料4の2ページ目でございますが、要支援1から要介護5と判定されて、本人 の認識よりも軽度あるいは重度に認定された者のうち、市町村等が個別に区分変更申請の勧奨を 行った者の割合は75.7%。それから、ホームページや広報紙等で一般に広く周知を行った者を含 めると88.5%ということでございまして、各都道府県の状況は下の方にございます。こちらにつ いては、客体の数が大分少ないので、前のページとはちょっと違った状況になってございます。  続きまして、資料5の説明でございます。  こちらは、認定質問窓口に寄せられた問い合わせ等についてでございますが、一般の方からの 問い合わせではなくて、これは市町村等からいただいた問い合わせの状況でございます。  資料5の1ページ目の下の方に棒グラフがございます。これをごらんいただきますとおわかり になりますように、まず4月の変更後の問い合わせの状況が黄色い棒でございまして、10月の変 更後の状況が青い棒で示されてございます。これをごらんいただきますと、10月の変更の直後は 問い合わせの数も多かったのですが、4月に比べまして、その後急速に問い合わせの件数も減少 している。これは、以前に比べて周知などもかなり行った影響ではないかと見てございます。  それから、真ん中に書いてございますが、自治体数として147か所、570件。このうち、特記事 項の適切な記載がポイントとなる質問が282件、約半数の49.5%を占めている状況であったとい うことでございます。  資料5の2ページ目に、こういうものについての質問の例がございます。質問例(1)として、洗 身について、洗身行為自体は介助が行われていないが、洗身時の転倒防止のため見守っている場 合、見守り目的が調査項目の定義に記載される行為の見守りでない場合でも、見守りを選択して よいかという質問に対して、回答、特記事項に実際に行われている介護の手間について記載する という例がございます。  続きまして、資料6についての説明でございます。これは、研修実施状況の調査についてでご ざいます。  資料6、1ページ目ですが、1,411市町村、78.4%の回答率でございます。  2ページをお開きいただきたいと思います。  こちらに3つグラフがございます。一番上が自治体職員である認定調査員への配布状況。2つ 目が、委託調査員である認定調査員への配布状況。3つ目が、介護認定審査会委員への配布状況 ということでございまして、12月調査の数字を見ますと、上の自治体職員である認定調査員、下 の介護認定審査会委員への配布状況については、ほぼ100%近くの市町村において、およそ全員に 配布したという答えになってございます。  真ん中の委託調査員である認定調査員については、およそ全員というのは81.5%で、若干低い ところではございますが、それ以外も全員ではないが半数以上に配布したというのが5.9%となっ てございまして、結構広く、少なくとも6月に比べてはかなりよく配布している状況ではないか ということがわかると思います。  続きまして、3ページでございます。  認定調査員への研修における説明状況でございますが、2番目の項目の、頻回な状況に基づい て選択を行い、具体的に特記事項に記載することの説明。あるいは3番目の、不適切な介助の場 合、理由を特記事項に記載し、適切な介助を選択することの説明、これらについては、8割ぐら い、特に重点的に説明したとお答えになっております。  それに対しまして、一番下の、調査項目にない介護の手間等を関連する調査項目の特記事項に 記載することの説明については57.2%と、若干低い状況にあることがおわかりになると思います。  続きまして、4ページでございます。  介護認定審査会委員への研修における説明状況でございますが、真ん中にございます、二次判 定における介護の手間にかかる審査判定の方法についての説明は、72.8%において特に重点的に 説明したとなってございますが、上の認定調査員テキストの改訂版の修正内容についての説明は、 57.2%と若干低い状況にあるということがおわかりになると思います。以上が研修の状況でござ います。  続きまして、資料7、バラツキについての調査でございます。  これは、当初、この認定の基準を見直すときに、その目標の一つとしまして、自治体間に存在 しているバラツキをなるべく小さくするという目標がございましたが、それがどのようになった かというものを調べたデータでございます。  資料7の右上の四角で囲ったところに白丸が4つございます。その上から3番目をまずごらん いただきたいと思いますが、平成20年10・11月と平成21年10・11月のバラツキを比較して、74 項目のうち、統計学的有意にバラツキが小さくなったのは33項目。下のグラフ、74項目ございま すが、その中で小さくなったものが33項目。それから、有意にバラツキが大きくなったのは2項 目。有意水準は0.05で見てございますが、そのような状況にございます。  そして、その下、今度は平成21年4・5月と21年10・11月のバラツキを比較して、74項目の うち、統計学的有意にバラツキが小さくなったのは9項目。すみません、ここは数字が間違いで ございまして、先ほど気付きまして、申しわけございません、訂正をお願いします。この「9項 目」は「12項目」の誤りでございます。有意にバラツキが大きくなったのは、2項目ということ でございまして、いずれにしてもバラツキが非常に小さくなったという傾向が見てとれるという ことで、当初の目的をほぼ達成しているのではないかということでございます。  続きまして、資料8でございます。資料3でごらんいただきますと、2ページ目になります。 資料3の2ページ目と資料8を同時にごらんいただければと思います。  要介護認定に係る集計について、12月4日までに報告のあった申請者、約17万1,000件のデー タを用いて集計を行ったということでございます。  資料8の4ページ目をごらんいただきたいと思います。  一次判定結果の要介護度区分の比較でございますが、下から2番目の平成21年4・5月判定が 昨年4月の変更後の状況でございます。一番下が21年10・11月判定で、これが先ごろ、10月の 再変更の後の状況でございますが、ごらんいただきますとわかりますように、非該当が7.3%から 4.0%、それから要支援1が18.3から16.8%と、いずれも大幅に減少しております。  上の3つが、それまでの過去3年のデータでございますが、それと比較いたしますと、まず非 該当は過去3年は3.3から3.4%であったものが4.0%になった。それから、要支援については、 16.4から17.0%であったものが16.8%になったということで、これはほぼ過去3年と同じような 状況になったのではないかということがおわかりになると思います。  続きまして、5ページ目でございます。  5ページ目は、二次判定結果の比較でございますが、同様に21年4・5月判定をごらんいただ きますと、非該当が2.3%、要支援1が17.7%ということでございましたが、これが10・11月に ついては非該当1.1%、要支援1が16.1%と、数値としてはかなり下がっているのですが、その前 の過去3年と比べますと、非該当が0.8から0.9%であったものが1.1%になった。要支援1につい ては、14.5から15.0%であったものが16.1%になったということで、特に要支援1については、 以前よりまだ若干多いという状況であるということでございます。  ここで、資料8の16ページの方に飛んで、ごらんください。  16ページに赤い点線がございます。赤い点線の上側のグラフは、今、御説明したグラフと同じ ものでございますが、その下の方に研修状況によるデータ、割合を示してございます。赤線のす ぐ下のところ、認定調査員研修に8割以上参加かつ主なポイント、これは※印1でございますが、 認定調査員研修における5つのポイントすべて。これは、先ほどの研修の調査のところでお示し した5つのポイントでございますけれども、これを特に重点的に説明した場合は、ほぼそのすぐ 上と同じような状況にございます。  その次が、審査会委員研修に8割以上参加かつ主なポイント、※印2番、これは審査会委員研 修における3つのポイントすべて、これも先ほどの研修のところで御説明した3つのポイントで ございますが、これを特に重点的に説明した場合、要支援1が若干下がる傾向にございます。  一番下が、認定調査員研修及び審査会委員研修にいずれも8割以上参加で、かつ両研修で主な ポイントを特に重点的に説明した場合につきましては、非該当、要支援1ともに、その前過去3 年の水準に近い状況ではないかということがわかります。  こういったことから、研修をしっかりやることによって、以前のような状況になるということ があるとわかると思います。  続きまして、この資料の11ページをごらんいただきたいと思います。  平成21年4月から9月に申請して、非該当とされた者で、その後、10月以降に再申請を行った 者の、前回の二次判定結果と今回の二次判定結果の比較ということでございますが、グラフの上 の方が、この4月から9月に申請して非該当と判定された方。その方が再申請を行った結果、ま た非該当となった方は7.4%で、何らかの要介護度が判定された方は92.6%ということでございま す。  ただ、これは基準の変更の影響も勿論ございますが、時間がたってございますので、高齢者の 場合、実際に非該当であった方が本当に介護が必要な状態になったということも十分考えられま して、その辺について比較するデータを、本日、机上配布資料として追加したわけでございます。  本日の机上配布資料、一枚紙をごらんいただきたいと思います。  ここに、平成18年、19年、20年の再申請者、この再申請者というのは、当然その前の回には 非該当とされた者でございます。その方が再申請した結果、引き続き非該当となった方は、大体 11%、12%弱という状況でございまして、やはり90%近くは何らかの要介護度が判定されておる ということでございます。これと比較しますと、今回の11ページのデータが必ずしも基準の変更 のみではないということがよくおわかりになるのではないかと思います。  続きまして、資料8の14ページでございます。  21年4月から9月に申請した方で、その後、10月以降に、今度は区分変更の申請を行った方の 判定結果です。前回の判定結果と比べて、前回より重度に判定された割合が80.2%ということで、 8割ぐらいになってございます。これにつきましても、先ほどの非該当の場合と同様に、やはり 実際の身体的な変化の状況もあるのではないかと思われます。資料8につきましては、以上でご ざいます。  次に、資料9の1ページ目をごらんください。  資料9については、先ほど研修などに関して特記事項のお話をさせていただきましたが、実際 にどういう場合に特記事項がちゃんと記載されていない、そして考慮されないかという例を挙げ たものでございます。  まず1ページ目を御説明いたしますと、上の白丸にございますように、軽度者に対する認定調 査員による選択肢の選択においては、実際の介護の手間がある場合でも、その頻度が少ない場合 が多く、選択の基準に従うと、「介助されていない」、「ない」または「できる」を選択するこ とになるが、その場合でも、特記事項に、実際に行われている介護の手間に関する情報を記載す ることとなっている。  しかし、現状では、一次判定に反映されないような介護の手間が、実際には一定量生じている にもかかわらず、特記事項にそういった情報が記載されていないために、介護認定審査会におけ る二次判定で考慮できなくなっている場合が多いということでございまして、そのすぐ下に排尿 の例として示してございます。  この場合については、排尿の介助はなくて、週3回程度の失禁があって、その失禁の掃除を家 族が行わなければならない。これを実際、選択の基準と照らし合わせてみますと、頻度が週3回 程度と非常に少ないために、選択肢としては「介助されていない」を選択することになってしま う。ここで特記事項として、週に3回程度の失禁の掃除は家族が行っているという手間を記入い ただければいいのですが、ここの部分が記入されていない場合が多いために、二次判定のところ でこの手間を考慮できないことが生じているということでございます。  そこで、改めて周知する留意点として、認定調査員は、特に軽度者への認定調査に当たっては、 「介助されていない」や「ない」等の選択肢を選択する場合でも、実際に手間が発生する場合に は、特記事項に介護の手間と頻度を記載するということで、特記事項の例として、自分でトイレ に行って排泄しており、通常は介助は行われていないが、週に3回ほどの頻度で、トイレに間に 合わず失禁し、廊下が濡れており、廊下の掃除は家族が行っている。以上の状況ではあるものの、 より頻回な状況に基づき、「介助されていない」を選択する。このように書いていただくとよい のではないかということでございます。  こういう例が、その次の2ページ以降にも書いてございます。  ということで、資料3の2ページ目の一番下にまとめ的にちょっと書いてございますが、特記 事項に係る留意点の周知について、集計された結果等を踏まえ、今後は、より適切な要介護認定 の実施のため、各都道府県や市町村等に対し、より充実した研修の実施を依頼するとともに、認 定調査及び介護認定審査会における特記事項に係る規定及びその活用等について、これまで以上 に留意いただくよう、改めて周知を行ってはどうか。これがまとめでございます。資料について の御説明は、以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。では、以上の御説明に対して、質問、それから御 意見をお願いいたします。どなたでも結構ですので、どうぞ。結城委員。 ○結城委員 資料の御説明、ありがとうございました。  今の説明で参考資料4を一緒に見ていただきたいのですが、課長の方からデータの御説明をい ただいたのですが、私の認識といたしましては、21年4月と5月と、21年10月と11月が参考資 料4にずっと細かく載っていますけれども、軽度化は是正されたという認識は私も非常に共有で きました。しかし、これが20年10月・11月に比べると、例えば資料8の4ページで、先ほど御 説明あったように、非該当とか要介護5、それから資料8の5ページは、二次判定ですが要支援 1のところです。  もう一つ、8ページは、私が前回の検討会で資料をお願いして、データの解釈について少し意 見が違ったかもしれませんが、11.9、18.8、16.1と、20年10月・11月と21年10月・11月を比べ ると、若干、数値が戻っていないのではないかと認識するのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○田中(滋)座長 天本さん。 ○天本老人保健課長補佐 課長補佐の天本と申します。  今、先生から御指摘いただいた資料ですけれども、先ほど課長が御説明申したように、一次判 定については、各分布については、昨年と比べてもおおむね同等の分布だろう。ただし、御指摘 のとおり、非該当の割合については、一次判定で3.3%から4.0%と、0.7%増加している。これを どうとらえるかということはあると思いますが、そういう事実があるということ。  あと、二次判定でございますけれども、全体的な分布はおおむね同等とはいえ、先ほどこれも 御説明申し上げましたけれども、資料3にありますとおり、要支援1については、過去3年に比 べて割合が若干大きくなったというところでございます。  それと、今、付け加えて結城委員から御指摘いただいた部分ですけれども、8ページの二次判 定について、更新申請者は当然、前回の要介護度があるわけでございまして、その方が前回の要 介護度に比べてどうなのかということですけれども、データとしては、実際、経過措置適用前の 4月・5月判定のものよりは、軽度に判定されたという割合が18.8%から16.1%と減少。そして、 重度に変更された、重度に判定された方が18.8%から21.7%と増加したということでございます が、先生御指摘のとおり、昨年に比べて軽度に判定された割合は若干増えているのは事実だと思 います。  ただ、こちらについては、先ほどの全体の分布が要支援1が増えていることからしても、違う 角度から見ているのではないかということ。あとは、二次判定ですから、審査会の最終的な判定 の結果でございますので、先ほどございましたとおり、研修をやっているところと十分やってい ないところとあわせた結果でございますので、これについては研修の状況について層別分析をし ておりませんけれども、そういった分析をすれば、先ほど課長より御説明申し上げた結果のとお り、ある程度研修をやっているところ、やっていないところの色分けがされると思っております。 以上でございます。 ○結城委員 ありがとうございました。ということは、20年10月・11月に戻ればいいのかとい う議論はもしかしたらあるかもしれません。そこまで踏み込む気はありませんが、データ的に見 ると、私個人的な意見としては、できるだけ20年10月・11月に近づいた方がいいと思いますが、 若干戻り切っていないのかな。私も43項目の改良に関して提案いたしまして、私も戻り切ってい ないのかなと反省してますが、現実的にはそういう解釈でよろしいのではないかと思います。以 上でございます。 ○田中(滋)座長 池田委員。 ○池田委員 貴重な時間なのですけれども、若干、私の資料の説明と意見を申し上げたいと思い ます。  参考資料1ということで配られております。右下に番号が振ってございます。  まず、1番目の資料ですけれども、これは一昨年4月から、公表されている直近の平成21年8 月までの認定率の推移を見たものでございます。  平成21年4月から認定システムの改定に疑義が出されて、経過措置というものがとられたわけ ですが、その結果どうなったのか。見ていただくとわかりますように、要支援2が減少して、要 介護1が増えております。更に、要介護3が減って、要介護4と5が増えています。簡単に言う と、経過措置によって、それぞれの要介護度がいわゆる「蹴り上げ」が行われているということ です。利用する人から見れば、利用の幅が広がるわけですから、結構なことかもしれませんけれ ども、公正な認定業務という観点から見て、私は疑問が残ると思います。  資料2は、今度は介護保険施行時からの認定率の推移というものを見ております。  比較しやすいように、軽度、中度、重度と3つにまとめております。まず軽度を見ていただき ますと、認定者の伸びが目立っております。施行5年から6年でほぼ倍増していますが、これは 介護保険が定着して利用が広がったことを意味しているわけであって、別に要支援や要介護1レ ベルの人が増えたわけではありません。  これに対して、中度と重度は微増からほぼ横ばいという形をとっております。若干増加してい るのは、高齢人口に占める後期高齢者の割合が増えているために認定者も増加するということで、 いわば自然増だということです。  ところが、平成18年から19年にかけて非常に奇妙な現象が起きております。軽度が減少して、 その分だけ中度が増加しているのです。この原因は何でしょう。平成18年4月に要介護度の再編 成が行われました。要介護1レベルの人について、要支援1、2の割り振りなどの見直しが行わ れたわけです。このグラフではわかりませんけれども、確かに要介護1は減少して、要支援レベ ルは増えている。ところが、要介護2と3も増えております。つまり、軽度と中度は振り替えに なっているということです。要介護1と2レベルの人たちの要介護度が押し上げられている。  これも奇妙な現象なのです。なぜならば、要介護1以下については、いわば要介護度の再編成 が行われたわけでありますから、影響が出るのは当たり前。しかも、要介護1は下がる方向にあ ったわけです。だから、要介護2以上が増える要因など何もないはずなのです。これは何故でし ょうか。  この2つのグラフから考えられることは、恣意的な認定が行われているという疑問が強く感じ られるということです。公正な認定業務が担保されているのか。そこを検討しなければ本質的な 論議にはならないのではないかということです。例えば、今回も前回と比べて認定の割合がこう なったという議論がありますけれども、グラフ2からいえば、一体どこと比較するのですか。つ まり、かなり恣意的に行われた結果、認定の度合いが蹴り上げられたところと比較するというの は、はっきり言って正当ではありません。公正ではない。そこの論議がされていないということ です。  更に、3を見ていただきたいと思います。  これは、厚労省が毎年公表しております介護給付費実態調査年報の中の、1年間継続して介護 サービスを受けた人の要介護度の変化を見たものです。平成20年4月から21年3月まで1年間、 引き続きサービスを利用した人は、軽度にあっては2割強が悪化していますが、重度でも1割前 後の人が改善されている。  これはこれで興味深いデータなのですが、それはさておき、次の資料4を見ていただきたいと 思います。  これは、要介護度が悪化した人の割合の推移を見たものです。まず、平成15年4月から平成16 年3月までで、要介護1から3の悪化率が急に上昇していることがおわかりになると思います。 実は、これは平成15年4月から新しい認定システムに変わりまして、認知症の度合いを認定に反 映させたためです。つまり、認知症自立度III以上の方たちの要介護度が引き上げられたというこ とで、別にこれは怪しむべき変化ではありません。そこから悪化度は下がっていきます。利用者 の状態が改善の方向に向かっているということですから、これは喜ばしいことであって、サービ ス事業者の努力のたまものとしても評価したい変化です。  ところが、平成17年から18年にかけて、これが逆転します。つまり、すべての要介護度にお いて悪化率が急上昇しているのです。平成17年度中に、高齢者の要介護度が進むような何かが起 きたのでしょうか。少なくとも私は何も思い付きません。  しかし、1つだけ考えられることがあります。それは介護報酬の改定です。介護報酬が引き下 げられた。つまり、介護報酬による事業者の収入は減少しました。勿論、ホテルコストなど、自 己負担に振り替えられた部分が大きいわけですから、介護報酬減額分がすべて収入の減少になっ たわけではありません。しかし、介護報酬の引き下げを取り戻すための最も手っ取り早い方法は 何でしょうか。利用者の要介護度を上げることです。介護報酬は、基本的に要介護度が上がるほ ど報酬も上がるからです。これも、公正な認定業務が担保されているかという観点から、精査す べきことではないでしょうか。このことを私はやるべきだったと思います。  次に、サービスの利用はどうなっているのだろうかということで、資料5でございます。  前回の会議で、サービスを利用したいから認定を申請するのだという御意見がありましたが、 そうではないのです。例えば要支援1の認定者のうち、40%はサービスを利用しておりません。 要支援1から要介護1までの軽度全体を見ても、全体で3割程度がサービスを利用しておりませ ん。  なぜ利用していないのか。その理由を見たものが、次の資料6です。  これは、国民生活基礎調査によるデータでありますけれども、見ていただくとわかりますよう に、軽度にあっては、本人が何とかやっていける、家族で何とかやっていけるが主な理由です。 重度にあっては、不詳・その他が7割を超えておりますが、これは国民生活基礎調査の設計が悪 いのです。実際は、病院に入院しているのです。だから、介護保険が使えないというのがほとん どです。  私は、幾つかの自治体の協力を得て、重度の未利用者の調査をしていただいたことがあるので すが、どこでも同じです。入院か、もしくは死亡しているにもかかわらず、第1号被保険者から 削除されていないケースです。つまり、重度の場合は、医療か介護は別にして、ほぼサービス利 用はきちんとなされております。  資料7は、47都道府県別に見た認定率のグラフでございます。  地域差が極めて大きいことがおわかりになると思います。  更に、資料8は、年齢階層別に見た認定率のグラフです。  加齢とともに要介護のリスクが高まっていく。特に、後期高齢者は前期高齢者の6倍以上の認 定率になります。  資料9は、そういった年齢による要介護者の発現率の違いを勘案して、高齢人口を5歳刻みで 分析いたしまして、全国平均を100とした指数に置きかえて比較してみたものでございます。  縦軸は、要介護3から5、つまり重度の認定率を年齢補正したものです。上に行けば行くほど 指数が小さくなりますので、重度認定者数の少ない地域、つまり元気老人地域です。佐賀県、香 川県、宮崎県の順番で元気です。逆に、下に行けば行くほど指数は大きくなりますから、重度認 定者が多い。つまり、表現がちょっと問題ですけれども、寝たきり高齢者地域です。  重度にあっては、「隠れ寝たきり」がいないわけではありませんけれども、ほぼ認定を受けて いると推定できますので、これで地域の高齢者元気度が測定できます。勿論、市町村ごとにもで きますし、我々はすべての市町村について元気度の地図もつくっております。極めて地域差が大 きい。35ポイントも開きがあります。  横軸は、要支援1から要介護2まで、軽度認定者の利用率です。同様に年齢補正をしておりま す。認定率ではなくて利用率だというのは、軽度の場合、認定を受けていない人が相当います。 だから、軽度の発現率と読むわけにはいかない。サービスの利用意向と読んでいいと思います。 右に行けば行くほど利用率が高い。つまり、軽度の人が積極的にサービスを利用している地域で、 大阪府がトップ、逆に山梨県が最も利用意向が低いということになります。これは、地域格差が 更に大きい。66ポイントも開いております。  次に、資料10を見ていただきます。  在宅サービスを利用している人は、どんなサービスを利用しているのか。全体で見ますと、半 分の利用者は1種類のサービスしか利用しておりません。その中身については、これはある自治 体のデータしかございませんけれども、訪問介護、通所介護、それからなぜか居宅療養管理がベ スト3で、これに福祉用具が続きます。軽度はそれでもいいかもしれませんけれども、要介護3 から5の重度にあっても、55%が2種類以下のサービス利用です。  重度であれば、訪問介護と福祉用具利用は当たり前でしょう。家族にとって短期入所は必須で しょう。訪問看護が必要なケースも多いし、通所系サービスだって使いたいというのは当たり前 です。つまり、2種類以下におさまるはずがない。にもかかわらず、このデータはそうなってい ないことを示しています。これで重度の在宅生活を支えられるはずがない。だから、施設志向、 しかも4人部屋でもいいから建てろという、高齢者の尊厳を無視したような論議がまかり通って いる。そこに原因があります。  資料11は、前回、厚労省から出していただいた資料を私が加工したものでございます。  未利用者と区分支給限度額を追加してあります。前回も申し上げましたが、要介護度に対応し たサービス提供が行われていないことが明白です。特に要介護3から5のケアプランは、全く標 準化されておりません。再度申し上げます。こんなサービスで在宅生活を支えられるのでしょう か。  しかし、努力している自治体も事業者も存在するのです。資料12を見ていただきます。これは、 ある自治体とある事業者のデータです。  いずれもケアマネジャー教育、在宅生活を支える適切なサービス提供に努力して、私が信頼し ている自治体であり、私が信頼している事業者です。特に、要介護3から5でまとまりを見せ始 めていることがおわかりいただけます。こういう努力を私はもっと評価すべきではないかと思い ます。  資料13は、介護保険最大の課題である認知症です。  このグラフは、要介護度と認知症自立度のマトリックスでございます。私は、この会議で認知 症の課題が強調されてきたことを高く評価しております。しかし、介護保険における認知症ケア 開発の努力は不十分ですし、極めて遅れております。そのルサンチマンをこの会議でぶつけるこ とは、私は十分に理解できます。しかし、論議に的外れな部分があったことは否めません。それ は、要支援や非該当の問題を、あたかも認知症切り捨てとまで言わんばかりの論議があったこと です。そこに問題があるわけではありません。要介護3から5の重度にこそ問題がある。  改めて資料13のグラフを見てください。  要支援1と2は、半数以上正常、つまり認知症自立度で言えば自立です。残りもほとんどが認 知症自立度Iですから、基本的に認知症ケアの課題はありません。要介護1と2にあっても、認 知症自立度II以下ですから、これはケアというよりも、家族・社会の適切な対応があれば、在宅 生活を続けることはさほど困難なことではありません。しかし、要介護3以上になりますと、グ ラフの赤系の部分でございますが、手のかかる認知症自立度III以上が増加しています。  つまり、認知症ケアを本気になって考えるならば、ここに焦点を当てて、その解決を考えなけ ればならないということであります。その論議が余りにも私は欠けていたのではないかという危 惧を持っております。  資料14から16までは、参考までに介護保障制度の国際比較を付けておきました。  14で見られるように、介護に社会的費用を最も注ぎ込んでいるのは北欧でございますが、これ に次いで大きいのは日本です。しかも、2025年には、ほぼ北欧に匹敵にする財源を注ぎ込むこと になります。  15は、在宅サービスの支給限度額の比較ですが、日本はドイツ、フランス、韓国の2倍から3 倍の給付を保障している。更に、要支援、要介護1という軽度に給付している唯一の国でありま す。  16は、施設給付の比較でございます。ほかの国は、基本的に施設における介護費用の一部を補 助するという部分給付が多いのですが、日本は完全給付であります。  簡単にいえば、日本の介護保険は極めてぜいたくにつくられております。しかし、残念ながら サービスの内容は貧しい。それが日本の介護保険の特徴だと、私は思っております。  最後に、簡単に私の意見をまとめました。17ページです。  1つは、認定業務が正確、公正に行われなければならないこと。これは、皆さんから御異論は ないと思います。  2つ目は、認知症、中重度認定者への適切なサービス、つまり地域包括ケアということになる と思いますが、その構築を急がなければならないということであります。  そして最後に、これはだれも言わないし、言えば嫌われるに決まっていることです。しかし、 もうそろそろ検討しなければならないこと。それは、要支援は保険給付になじむのかということ です。要支援レベルの高齢者は、高齢人口の8%以上は存在しております。実際の認定率は4% 強です。しかも認定されている人の半分近くは、サービスを利用しておりません。要支援レベル で見れば、3分の2以上の人たちはサービスを必要としていないということです。  勿論、自立であっても、生活援助サービスが必要な方たちもおります。しかし、その場合、自 立は使えません。なぜならば、介護保険の保険事故に該当しないからです。要支援、特定高齢者、 自立だが、生活介入が必要な高齢者については、基本的に社会福祉で対応するのが本来の姿であ ります。介護保険の適用にはなじまない。勿論、そのために高齢者福祉予算を自治体に保障する ことが条件になりますけれども、介護保険を御都合主義的に利用するというのは、もうそろそろ 考え直した方がいいのではないでしょうか。つまり、この認定検証・検討委員会で軽度の問題が このような形で議論されたことについては、私は非常に疑問を持っております。時間をとって大 変申しわけございません。以上です。 ○田中(滋)座長 データに基づく御意見、ありがとうございました。高橋委員、お願いします。 ○高橋委員 池田さんの議論もあるのですが、先ほどの結城委員の御発言に私は疑問を呈したい と思います。  要するに、全体の大きな御意見の流れの中で、重度化しなければ文句を言うという構造があり ます。問題は2つありまして、物差しの問題と対象の問題があります。それから、先ほど池田委 員の指摘では、それを測定する仕掛けの問題があるのです。その3つの要因をきちんと識別しな がら議論して、それで少なくともここの多くの御議論の中では、物差しに対する不満としてあら われているのですが、実はそれを運用する仕組みに問題がある。  それから、対象の特性でいえば、これは大変大事な発言を池田先生からしていただきましたが、 比較的・安定的に評価できる介護の必要度の要因と、そうでない要因は、軽度者と重度者ではど うも要因の構造が違うらしい。これが都道府県格差の非常に重要な原因で、そこをどうしたらい いのかという議論をきちんと真面目にやらなければいけない。要するに20年に戻るのが目標だと いうことについては、要するに御都合主義的な考え方でして、我々は物差しの測定と物差しの運 用システム、対象の変化。  対象の変化も、加齢に伴って、多くの場合、重度化するはずだという信仰を持っております。 ところが、最近、ある研究を仄聞したところ、実は軽度化か進んでいるのです。これは、先ほど 池田さんがちょっとおっしゃったように、要するにサービス事業者の努力によって、明らかに軽 度化できるようなタイプの対象像の変化というものが一方であります。他方、勿論重度化が進行 するという、重度化要因と軽度化要因というのは、実は我々は対象は変わらないという議論を前 提にして、物差しの適否を見ているのですが、私は最近、現場の実践を拝見していると、これは 重度・中度ではなくて介護の必要度の物差しですから、介護の必要度という視点からいえば、明 らかに施設やサービス現場で改善している例が相当あって、その要因はどうもIADL的なとこ ろに対するアプローチをきちんとやると改善できるらしいということは、これはかなり統計的に 確実なデータだということを私も説明を受けております。  そういうことを含めて、可変的な要因を、重度化志向のためにウオンツ、要求を受け入れるた めの尺度にすべきだという議論をしてしまいますと、私も大変嫌がられる表現をあえて申し上げ ます。財政規律という議論がありますが、制度規律ということなしには公正な制度運用はありま せん。要するに、受給者の論理は、確かに重度化、サービス利用を拡大するという論理ですが、 実は9割は我々が負担しているわけです。要するに当事者も含めて。負担の側、それを運用する 市町村、これは税金も保険料も社会的に支えられているわけです。となれば、おのずから公正さ と規律ということをきちんと考えない限り、私はこの制度は崩壊するだろうと思っています。  そういう意味で、そこについてのきちんとした議論、要するに公正さということをもう少しき ちんとお考えいただきたい。勿論、要介護認定の適切さはずっと技術的に追求すべきで、これは 先ほどの統計的な検定もないデータでございますので、本当に差があるのかないのかは実はわか らない。相当母数が大きいので差があると推定はできますが、ほとんどわからないデータでござ います。  それから、可変要因が重なるとかも含めた、これはきちんとテクニカルな検証のデザインをや っていただきたい。その上で、それを評価どうするかという平場に出すというプロセスを今後き ちんとやっていただきたいと思っております。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。高見委員、お願いします。 ○高見委員 認知症の人と家族の会の高見でございます。  どうも学者先生の話は、今回の検証・検討会で本来しなければならない話からずれているよう な気がします。この検証・検討会が開かれたのは、そもそも4月に今までやっていた要介護認定 の方法を突然一方的に変更されたところから起こっているわけです。その変更内容が、家族の会 も指摘しましたように、非常識であったり、軽度化志向的であったり、認知症の無理解であった りしましたけれども、要するに寝たきりの人を自立という評価をするような仕方が最初出てきた し、買い物にしても、私たちの生活実感からいえば、必要なものを必要なときに必要な量だけ買 ってくるのを買い物と言うのに、何を買ってきても買い物、買ってきさえすればよい。盗んでこ なければ買い物はできるという調査基準に変更されたから、私たちはそれに意見を言い、多くの 現場の皆さん方も怒ったわけです。  ですから、要介護認定のそもそもについては、去年3月時点までであっても、一次判定のソフ トの問題とか認定の方法とか、ずっと問題はあったわけです。その上に立って、4月の変更がど うであったかということを議論するのが、この検証・検討会なのです。そういう意味で言ったら、 学者先生はどうやら私が発言したことを暗に御批判されていたように感じましたけれども、私た ちは重くなれとか、軽くなったら損だとか、20年3月に戻せとか、そんなことは一遍も言ったこ とはありません。  ああいう4月段階の認定方法をしていたら、一般の家族・利用者から見て、介護保険そのもの が信用されなくなる。どうして時間にかかわらず、量にかかわらず、一遍に1週間分飲んでも薬 を服用できることにするのですか。そこが今回の一番問題だったわけでして、介護保険全体の認 定とか利用状況がどうであったという話ではないわけです。そういう意味で、この4月に変更さ れて、10月から見直しがされて、去年4月以降の認定と10月以降の認定がどうであったかという 検証が大事なわけですね。  そこのところを余り触れずに、池田委員は要するに何をおっしゃったのかわかりませんけれど も、ピンポイント的に資料を細かく見て、全体を見ていない。例えば日本の介護保険はぜいたく だ。括弧付きですけれども、括弧にどんな意味があるのかわかりませんが、要するに日本の介護 保険はぜいたくだと言われますと、私たち家族・利用者が介護保険を改善してくださいと言うこ とは、もっとぜいたくではないかとなりかねない。  ですから、そういう意味では、介護保険の認定のあり方あるいは介護保険の仕組みそのものは、 私たちも大いに議論したいと思っていますが、この場は何を議論する場かということのポイント を絞ってお話しするべきだと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。介護保険全体のあり方については、確かにこの委 員会の責にならないと存じますが、ほかにいかがでしょうか。樋口委員、お願いいたします。 ○樋口委員 資料をお出しになった方が資料のための御発言をなさったようですので、私、参考 資料2というのを出させていただいておりますので、若干それに沿いながらお話ししたいと思い ます。  今、ちょっと激論になりつつありますけれども、基本的に例えば池田委員が御発表になったこ と、私は内容的にはかなり賛成です。このことは、介護保険全体を論議する上で、しっかりと踏 まえられなければならないことだと共感することが多々ございます。ただし、今回のこの検証・ 検討会は誠にアドホックなことでございまして、高見委員言われますように、昨年4月の要介護 認定の改定が、これは私、はっきり言います。やむを得ない理由ではあったとは言いながら、一 般の利用者、特に認知症の方とか、ここ1〜2年の政策の中で、私は国民を感情的にさせた、よ ろしくなかった政策が2つあると思っております。1つは、後期高齢者医療制度です。もう一つ が、それに比べればぐっと小さいことですけれども、要介護認定の今回の昨年からの改定でござ います。  これは、特に認知症の方などを中心に、認知症でなくても、私どもから見ましても、今、高見 委員が言われたようなことの基準というのは、かなりはっきり言ってめちゃくちゃな改定だった。 これはあえて申し上げます。その背景については、また大変同情的に思います。これは、担当に 当たられた方は大変苦肉の策の御提案でございまして、何よりもここ数年間続いた社会保障に対 する削減の政策の中の、一つのあらわれとして出たと思いますから、こういうものが出てきたこ とについては、私はそれなりの理解を持っていて、大変御苦労さまでございましたねというのが 個人的感想でございます。  しかし、社会保障の潮目がだんだんと前政権の中でも変わってきたということもありまして、 私たちは介護保険を国民全体でようやくつくり上げた、ぜいたくかどうかはちょっと異論がある ところでございますけれども、国民の社会的資源として持続発展させていきたい。それにしても、 この要介護認定にはおかしなところがあり過ぎる。ですから、大変アドホックな委員会として、 この委員会が設けられて、そこの一体どこをどう変えればよいか。私は、もとに戻せばいいなん て、全然思ってもいませんけれども、出てきたことが余りにもおかしかったから、あえて言えば、 そこを訂正していくと、結果としてはもとに戻ったということで、この会としては、それで意義 を十分に終えるのではなかろうかと思っております。座長の御意見も後に伺えることと思ってお ります。  もとに戻せばいいなんて、私も全く思っておりませんということでございますので、ここから 先は、私どもの会で、介護保険10年のエビデンスを経て、そして今、私たちが新しい社会保障制 度の中で介護保険をどう位置付けるかということを、私ども高齢社会をよくする女性の会も提言 したいと思います。高見代表とともに共同代表しております介護保険1,000万人の輪を、今いろい ろと準備を進めているところでございますし、たくさんの民間の団体から要望書が出るような、 そして、そのことに関して、今の政権は大丈夫だと思いますけれども、聞き上手に多様な民間・ 利用者の声を聞いて政策を立てるような動きにしていただきたいと、つくづく願っております。  ということで、私どももその一つの団体として、これからも提言活動を続けてまいりたいと思 いまして、昨年、幾つかの問題に絞りました、当会における47都道府県全員からくまなく回答の ある、介護保険に関する世論調査をいたしました。といいましても、これは数を求め、数を分析 する調査ではございません。47都道府県の中に生きる、私どもの会員の中で、特に介護保険を利 用あるいは利用家族、それからあらゆる職種の専門家、あらゆる職種の民生委員、介護保険相談 員などもみんな含めまして、あらゆる立場の介護保険に関わる地域の重要な活動家にねらい撃ち して配りまして、そこにございますような350名ほどからの答えを得たわけでございます。  年代は、60代をピークに、職種は本当に多岐にわたっておりました。ただし、数を求めて分析 する調査ではございませんので、これは私どもの会のアジェンダづくり、つまり介護保険に関す る問題点をあらゆる立場の人から出してもらって、これから我々の中で、またきちんと論点整理 をして、これから議論を重ねるつもりでございますので、ここにいらっしゃる先生方にも、いろ いろまた御教示いただく機会もあるかもしれませんので、よろしくお願い申し上げます。  たくさんの項目を聞きましたけれども、今日はまさに要介護認定に限定された会でございます ので、要介護認定に関するものだけを集めて、A4、4枚紙にまとめた資料でございます。一々 御説明申し上げている時間はないと思いますので、もうこれでやめさせていただきますけれども、 例えば2枚目の問が要介護認定についての設問でございまして、これは今、つくづく見て、必ず しも適切なワーディングの説明ではなかったと思いまして、ちょっと質問の仕方が難しかったも のですから、ここよりはむしろ、後で何でもいいから思っていることを書いてくれというところ に、実は要介護認定が大変多かったということです。  前にも申し上げたように、数を競う、数によって分析する調査ではございません。問題点整理 です。要介護認定は必要でないという意見を、むしろ誘導するような設問をしておりますけれど も、出てきた答えは、要介護認定は必要という方が圧倒的に多うございました。当たり前といえ ば当たり前でございます。というのは、国民は地方分権ということには十分な認識を持ち、地域 主義ということは納得というか、主張しつつ、かつ介護保険が国の制度であり、そして公平かつ 公正であってほしい。それについては、国の基準が欲しいということは、かなり多くの人が望ん でいるのだということがよくわかりました。  しかし、不要とは言わないが、問題ありの人もございましたし、むしろ要介護認定はやめてし まって、担当者会議、特に実態をよくわかっているケアマネジャーなどを中心にやってもいいの ではないかということも、それぞれ説得力ある理由を付けながら、ほとんど現場の専門家の意見 でございますから、私どもとしては会員は非常にレベルが高いねという感想を持ったほどに、い ろいろ答えがございましたので、これからの介護保険論議の御参考に供していただければ、とて もありがたいと思っております。  私個人は、要介護認定は公正のためにあった方がいいでしょう、あるべきでしょうと思う1人 ではございますけれども、生身の人間の時々刻々変化するあり方が今のあり方でいいだろうかど うだろうか。私は、6か月間の要支援1を受けまして、勿論軽いですから利用したいサービスは 1つしかございませんでしたから、リハビリ用のデイサービス1種目しか利用しておりません。 6か月後に再申請いたしましたところ、こうやって会議に出たり、講演に行ったりしたことがば れたらしくて、非該当、却下されまして、そのことに私はまた何の不満もございません。6か月 使わせていただいたことを心から感謝し、また私個人にとってもよい経験をさせていただいたし、 介護保険全体に対しても、私自身の意識というか、意見がバージョンアップしたと、心から感謝 いたしております。  にもかかわらず、私はやはり要介護度で規定されることに、6か月ごとで、生身の人間、要介 護度に合わせて生きているのではない。また、ここで一つの世論ができそうですけれども、人は 軽度化することを喜ばない。重度化してより多くのサービスを求める。利用者というのは、その ように、あえて言います。不逞のやからだと言わんばかりの御発言もあったやに私は受け取って おりますが、そんなことは絶対ありません。個人をもって全部を憶測するなと言われるかもしれ ませんけれども、6か月も一つの貴重な体験になるかな、申しわけないと思いながら受けており ましたし、私の周辺に今、要支援だったのが要介護1に重度化されて、おかげでリハビリ型のサ ービスが使えなくなってしまって憤慨している人がおります。これは、重度化、軽度化で使える サービスが違うということ。  私は、あえてもう少し大きなことを言わせていただくと、要支援1、2をつかさどる地域包括 支援センター、そこでケアマネジャーを分けてしまうあり方は、悪政策であったのではないかと 思っております。これは地域包括センターの未来に期待したりすることとは、全く関係ございま せん。ということなどなど含めまして、未来の問題、そして軽度化することを怒り、重度化する ことを求めているのが利用者だなどとレッテルは貼らないでいただきたい。私は、自立いたしま して心からありがたいと思い、介護保険に心から感謝いたしております。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。どうしても放っておくと介護保険制度全体論にな りがちで、そうすると3〜4時間かかりそうですので、できるだけこの会の趣旨に戻すようにと の趣旨をありがとうございます。結城委員。 ○結城委員 私が資料を少し提出していますので、意見を述べさせていただきたいと思います。 参考資料3と、今日、机上配布させていただいた自治体データでございます。  先ほど高橋先生から貴重な御意見をいただき、ありがたいと思います。私も参考に、これから 勉強させていただきたいと思いますが、ところで、私は、短期間でしたが、この間に審査会委員 を対象に調査しました。私の資料の2ページ目は、その趣旨でございます。  3ページ目を開いていただくと、本調査は、確かに母数が少なくて御批判を受けるかもしれま せんが、短期間だったのでこのようになりました。基本的には、3ページ目の調査結果ですけれ ども、今、データが出ていますので、ここは詳しいことは触れません。  しかし、2番目の当面の対応についてというところで、審査会委員の約300人の方に聞きまし たら、細かい問題は多々ある。しかし、認定というのは今後どうなるかわかりませんが、たいて い3年おきに見直されている。既に1年間経過してしまいましたので、3年おきの慣例でいけば あと2年です。確かに、抜本的なコンピュータ改良から、再度、判断基準から見直すという意見 もございましたが、今、いろいろ問題があっても、とりあえず事務的なQ&Aなどで対応しなが らこのまま業務を進めていくといった意見が約6割程度という結果でございました。  3番目は、非該当の方はもう結果が出ているので、私は触れません。あくまでもこの調査は印 象ですので、その辺が私の限界と力不足でございます。  5ページ目を見ていただいて、考察とまとめをちょっと書いたのですが、ここで申し上げるの は、今日、データ等の結果が出て、今後どうすればいいかという視点です。この検討会は、恐ら く短期的な問題というか、4月以降の問題にどう対処していくかという目的で、緊急に開かれた ものなので、ある程度の到達点というか、暫定的な対応を示す必要があると思います。  机上配付させていただいたのは、短い間で、年明けに私が自治体にヒアリングして、8自治体 から一次判定のみのデータをいただいたものです。5番目の自治体はすごく小さい自治体なので、 統計的に対象者が少ないですが、あとの自治体は一定の人数となっています。今回の国からのデ ータは全体の総合結果ですが、自治体ごとに見ると、千差万別だと予想されます。私は、08年数 値に戻るべきだという解釈をしていますが、結果的にそうなっている自治体もあります。  1,300以上の保険者がありますから、千差万別になっているのは仕方ないと思います。しかし、 とりあえず自治体の人たちは、もうこれ以上判断基準を変えたり、コンピュータを変えたり、ま してや経過措置は講じるべきではないと考えているようです。今後は、一次判定の調査員や二次 判定の審査員への研修などを丹念に行い、何とか2年間は現行で対応していただくほうがいいと 思います。そして、2年後の2012年の抜本改正の議論と併せて、どう要介護認定システムを再構 築していくかを、別の公の場で、本格的に議論をした方がいいのではないかと私は思い、それが 現場の声のようです。  ですから、先ほどの池田先生や高橋先生の御意見も、私は非常に賛同するところもあるし、意 見が違うところもございますが、恐らく池田先生と高橋先生の考え方というか議論の手法は、私 と一緒だと思っておりますから、この場でいろいろまとめた議論を、次に活かしていただきたい と思います。今、山井政務官がいらっしゃいませんが、ぜひ、今後、要介護認定システムをどう すべきなのか、そして、制度改正といった介護保険をどう見直すかという議論を真剣に行ってほ しいです。その際に、この1年間の議論を活用していただきたいものです。  要するに何とか2年間、現行のまま、しのいでいただきたいと思います。実際、今日のデータ を見て、この結果では、もしかしたら不満だと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、さまざ まな現場の混乱を考えると、私はとりあえずはこのままで、現場の人たちにご努力をいただき、 何とか対応していただくべきと思います。  つまり、こういう表現がいいかどうかわかりませんが、セカンドベスト的な判断というか、完 璧に解決できないということです。今後、繰り返しますが、厚労省もQ&Aとかで努力していた だき、現場の声を聞きながら対処していただいて、とりあえずはこの見直し検討会を終了すると いうことを、私は御提案をさせていただきます。以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。4月の混乱に対して、10月以降の仕組みで一応は 行く。それとは別に、皆さん共通で言っておられましたが、この委員会で出た議論を用いて、こ の委員会以降の制度見直しに関しては、いろいろなことを是非参考にしてほしい。どうぞ、高見 委員。 ○高見委員 すみません、少し大きな話になっていますので、本来のこの検証・検討会の議事に 戻したいと偉そうに言っていますけれども、今日は議長ではありませんが。資料についての質問 をしたいと思っていたのですが、少しほかの話になりましたので、そちらを先に話しました。  資料4は、再申請の勧奨で、去年の4月から9月までに新規に申請した人については、経過措 置が適用されずに、4月に変わった調査方法のままでされた。私はあのときに、その4月から9 月までの新規の方は、そういう意味では不利ではなかったかと言ったら、それについても御批判 の意見がありました。あのとき、当時の鈴木課長は、そういう方については、10月以降に改めて 再申請していただくように呼びかけますとおっしゃいまして、その後、大臣も、そのとおり、非 該当になった方は再度申請してくださいと呼びかけをされて、私はあれは厚生労働省の大変誠実 な態度であったと思って、実は京都から拍手を送っていたのです。そういうことで、市町村の方 も再申請しなさいということを取組んでいただいた、それがこの資料4なのです。  これを見まして1つ思いますのは、個別に再申請の勧奨を行ったのは、一人一人の人数ですか らわかりますけれども、ホームページや広報紙で行ったものを含めると83.6%というのは、これ はホームページや広報紙でそのことを周知した市町村に住んでいる該当者が、全員がホームペー ジか広報紙を見たという仮定ですね。そういうことですね。 ○宇都宮老人保健課長 そのとおりでございます。 ○高見委員 はい。厳密に言ったら、個人に直接勧奨したのは確実な数字ですけれども、あとの 83.6というのはいわゆる推計的な数字という意味でいいのですね。 ○宇都宮老人保健課長 そうでございます。 ○高見委員 わかりました。  それから、1つ不思議なのは、個別に再申請の勧奨を行った者の割合がありますね。それで、 非該当であった人に勧奨を行った都道府県、つまり資料4の1ページと2ページは、低かったり 高かったりしたと思った人に、もう一遍申請しなさいと呼びかけた数字ですね。これを見てみま すと、非該当になった人に呼びかけた市町村が、必ずしも再申請を呼びかけた比率は高いという ことはないですね。極端なのは、例えば個別に呼びかけた島根県辺りは9.2%にしか非該当の人に は呼びかけていないけれども、再申請を100%の人に呼びかけているわけです。  この一つ一つを比べてみたのですけれども、1ページでは平均より上の方にいるのに、2ペー ジでは平均より下。これを数えてみますと、1ページの平均以上の中で、どちらも平均以上呼び かけているのは9府県でした。それ以外は、一方では呼びかけているけれども、一方は少ない。 こういう事例が結構見受けられるのですけれども、この辺は市町村の意識として、非該当の人が 大事だから一生懸命呼びかけようとか、再申請する人が大事だから一生懸命呼びかけようとか、 市町村の中でこういう意識の違いがあったのでしょうかという疑問が1つ。  もう一つは、そんな形で非該当の方に呼びかけていただいて、90数%の方が非該当から何らか の要介護になったというデータを出していただいて、その後で、本日の追加資料の中で、しかし、 それは今回に限ったことではない。いつだってそうなのだという資料が出されましたけれども、 これは私は本当にそうかと思います。確かに4月に申請した人は10月ですから6か月たっていま すけれども、9月末に申請した人は1か月もたっていないわけです。そうすると、さっきおっし ゃったように、今までだって同じような再申請をした人は要介護度が付くのですという話が、今 回本当にそのまま適用するのだろうか。やはりこの4月から9月までの、特に新規の人に対する 調査方法の問題があったのではないかと、私は深く推察するのですが、出していただいたデータ ではそうではない、いつもどおりだということなのですが、ここが少し解せないのですけれども、 どうなのでしょう。 ○田中(滋)座長 課長、お願いします。 ○宇都宮老人保健課長 まず最初の御質問でございますが、資料4の件でございます。  我々も市町村について、それほど深く、個別に調べたわけではないのですけれども、幾つか市 町村に状況を聞いてみたものがございます。そうしましたところ、高見委員おっしゃるように、 市町村によって考え方の違いがかなりあるのではないかと思います。例えばある市町村は、再申 請のような新規申請の場合は、担当のケアマネが決まっていないので、市町村からやるしかない のだ。だけれども、区分変更の場合には、ケアマネから基本的に働きかけているだろうからとい うお考えのところもございます。  あるいは、新規の再申請について、一番最初の申請時の結果に不満があるときには、再申請可 能だとあらかじめ説明しているから、それでいいのだと思っていたみたいなところもございます。 ですから、自治体によってその辺の考え方はばらばらです。  もう一つは、地域包括支援センターなどに委託している場合には、そこから働きかけていると いう場合には、市町村から直接の働きかけではないので、ここでは回答しなかったというものも ございます。そういうさまざまな要因があると思われます。  2点目のお話については、これは我々の得られたデータとしては、こういうものしかないので、 これ以上掘り下げた分析まではできないので、時間による体の状況の変化があらわれているので はないかという解釈しか、今のところ我々としてはできません。もし、ほかの解釈があれば、そ れは委員の先生方からまた教えていただければと思います。 ○田中(滋)座長 では、木村委員、どうぞ。 ○木村委員 今日説明していただいた資料の中で、資料6の2ページ、先ほど説明ありましたテ キストの配布状況でございますが、自治体職員と認定審査会委員への配布状況はほぼ100%。委託 調査員である認定調査員への配布状況が、まだ81.5%ぐらいである。私どもの協会の会員、介護 支援専門員は、この委託調査員のところに当たると思います。ですから、前の非該当の数字と要 支援1の数字に戻ればいいという話ではなくて、精度を上げていくために、ここのところをもう 一回市町村の方々に、テキストの配布もそうですし、研修の内容のこともお願いしてもらいたい ということです。  逆に、研修の内容で、今日説明があったところで、その次のページの特記事項の重視される方 式とか、介護の手間・時間に関連する、先ほど説明があったところ等々が理解されていないこと があると思いますので、そのことも文章で出してもしようがないと思うので、たしか動画等をつ くった経緯があったと思うので、そういうものをもう一回つくってやるべきと思います。  やはり自治体を何件か回ってみると、この要介護認定の研修会の講師をやる側の負担がすごく 大きいというのも聞くのです。つまり、どこからどう変わって、何をどう説明したらいいかとい うことが、東京で聞いて、県に帰って、市でとなるとだんだんずれていくということがあると思 いますので、そういうことを挙げてもらいたいと思います。  なお、私ども、7月の検討会で最後に提言して、5つあったのですけれども、1つは、全国統 一の研修を動画等を活用してということで、そこの内容が今日、まだ報告がないので、あの後、 どういう研修をやったのかということを報告していただいて、それを聞いて、また更に今、言っ たような問題になっている内容を、テキストではなくて、動画等の研修ツールをつくって、前に 進めて精度を上げていってもらいたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○田中(滋)座長 研修の変化について、もしペーパーをお持ちでしたらお願いします。 ○天本老人保健課長補佐 私の方から説明申し上げます。  本日お付けさせていただいている参考資料6が、先ほど説明させていただいた資料6の詳細な 結果となっております。それで、この資料の6ページから7ページにかけてが、認定調査員に対 しての研修の状況をまとめたものでございます。おのおの自治体でどのぐらい研修をしたのか。 市町村が独自でされた場合とか、あと都道府県がまとめてやっている場合もありますので、そう いう場合にどれぐらいやられているのかということをまとめさせていただいております。  あわせて、今、木村委員から御指摘いただきました、DVD等を当時つくらせていただいたの ですけれども、そのときの活用状況などもあわせて集計させていただいています。6ページの下 の部分から7ページの上にかけて、私ども、DVDを2回つくらせていただいたのですけれども、 その活用状況について書かせていただいております。残念なことに、特に対応していないと回答 いただいている自治体も4割から5割近くございますので、今後、更に御活用をお願いしたいと 思っております。  あわせて、7月の検討会で提言申し上げた全国のブロック会議でございますけれども、厚労省 の職員がおのおののブロックで研修させていただきました。東京は2回やりましたので、合計8 回のブロック会議で審査会の委員の先生方、そして調査員の方々に御参加いただきまして、合計 1万人強の方々に実際に御参加いただいたところでございます。以上、御報告でございます。 ○高見委員 もう一つ質問いいですか。何遍もすみません。 ○田中(滋)座長 どうぞお願いします。 ○高見委員 もう一つ質問です。  資料9の関係ですけれども、今回の調査方法の変更で一番大きく変わったのは、研修のポイン トにもされていますけれども、日常の様子を大切にしなさいとか、適切な介護がされていないと きは、適切な介護を選びなさい。これは昔の言葉で言ったら、調査員が能力勘案して適当な必要 な介護状況を見るというのが変わったわけです。ですから、そういう意味では、暮らしている人 の生活全体を見るという調査方法から、つまり症状だけを見なさい、こういうふうにいわば生活 の観点が抜けたわけです。ですから、症状だけを見ますから、生活とは一致しない部分がありま すから、特記事項が大切になってきたわけですね。  そういう意味で言ったら、私たちの会員にも何名も審査会の委員をしているのがいますけれど も、それらに聞きますと、今回のこともあるのですけれども、特記事項の書き方が非常に大事で、 審査員をしていると、特記事項であるとかないとか書いてあっても、ここで事例を挙げていただ いているように、なくても介護の手間はかかっているということがあるわけですから、そういう ことをしっかり特記事項に書いてもらわないといけない。  もう一つは、今回は直接関係ないですが、お医者さんです。お医者さんの意見書が審査員をや っている人から本当に評判が悪い。読めない字というのは論外ですけれども、チェックはしてあ るけれども、中身が書いていないとか、自立度IIとは書いてあるのに何も中身が書いていないと か。医者の意見書にも出ていますが、それは置いておきまして、特記事項が非常に大事なのです。 特に今回は、さっき言いましたような状況から、調査の基準だけでは答えが出ない場合が多いで すから、ここで特記事項の留意点1、2、3、4まで書いていただいていますが、これは今日出 されている資料9の中身が、そのまま都道府県、市町村に通知が行くという意味なのかどうか、 あるいはこれ以上にもう少し事例が増やされるのか。あるいは、これをもしこのまま通知するに しましても、どうしても現場に行きますと、役所から来た通知の文言をそのまま守ろうとする人 たちもいますので、もしこれで行くなら、これはあくまで考え方といいますか、特記事項の書き 方の例ですから、ほかの症状、ほかの項目の場合も、こういう考え方を応用して特記事項をしっ かり書きなさいよという通知にしていただきたいという質問と意見ですけれども、以上です。 ○田中(滋)座長 事務局、お願いします。 ○宇都宮老人保健課長 本日示させていただいた例ですけれども、御存じのように、今日の資料 はホームページの方でも公表されますので、こういうものを市町村の方々にも御活用いただきた いということでございます。  また、委員御指摘のように、この個別の事例のみということではなくて、当然これはこういう 考え方で臨むのですよ、これを応用していただきたい、そういう趣旨でございますので、それを 自治体の方にも御理解いただけるように働きかけたいと思います。通知等については、またこち らの方でほかの案件も含めて検討させていただきたいと思います。 ○田中(滋)座長 本間委員、お願いします。 ○本間委員 ちょうど今、高見委員が御指摘になったところと少しかぶるかもしれませんが、資 料へのコメントと、今日の資料の説明をいただいた点に関しての感想です。全体的な結果は、予 想したよりもすごくきれいに出ているのではないかと思いました。ですから、これは今日、御報 告いただいた資料は、この委員会のミッションをまさにクリアーしているのではないかと思いま す。  それから、資料へのコメントですが、資料9で、例えば4ページの感情不安定の例とあります が、非常に細かいところで申しわけないのですが、対象者の状況、緑で塗ってある部分です。 「死にたいわ」と毎日言うが、感情不安定とまでは言えない。ただ、家族がなだめるぐらいの必 要性はあるわけですから、多分これは感情不安定としてもいいわけです。まず、そういうところ の解釈をもう少し詰めておいていただいた方が、多分これは自治体に発出されるだろうと思いま すので、ホームページですか、少し混乱が減るかと思います。  それから、認定調査票の特記事項で、家族が毎日なだめている。なだめているのも、それが手 間になっているのかということも例を加えていただけると、介護の手間を考慮するためにはそう いう記述があった方がいいと思います。  それから、5ページの左側にブルーの矢印が付いている枠がある部分です。4−3感情不安定 の例、これは先ほど指摘したところと一緒ですね。本人をなだめている、だから介護の手間がど うなのだということがあった方がいいということになります。  それから、その2つ下で、4−15話がまとまらない。例えば家族は心配で、外出等を控えてい る。1人にならないように見守っている。これはそういう事実があるということだけで、これだ け読むと大して介護の手間になっていないのかなとも思います。しかし、ほとんど外に出掛ける こともできないという表現にすると、認定審査会での印象は大分変わってくるだろうと思います。 ですから、これももう少し介護の手間というのも加えていただいた方が、よりわかりやすくなる のではないかと思いました。以上です。 ○田中(滋)座長 この先の自治体に対する通知についてのテクニカルな、専門家からの御指摘 をいただきました。ありがとうございます。どうぞ。 ○田中(聡)委員 先ほどから研修の話がいろいろ出ていましたけれども、私も実際に審査員を やっておりますので、研修は参加させていただきました。しっかり理解できるほど時間的な余裕 があったとは、ちょっと言いにくいかもしれないのですけれども、実際に参加させていただいて みたところ、自治体の研修を受けるよりも実際に受けた方がとてもわかりやすかったです。これ は調査員の方には全員に見る機会を持ってほしいと思ったので、残念ながら神戸市だけでしたけ れども、働きかけて地域包括の方に全部配ってもらったのです。  そうしたら、調査員の方からは、とてもわかりやすくて、選択がすごくしやすくなったという 声が挙がっていましたので、直接仕組みをつくっておられる方から話を聞くというのは、これだ け違うのだなということを感じましたので、伝達研修は先ほどからも出ていましたけれども、教 える側もとても負担になることでもありますし、限界もあると思いますので、是非今後もこうい う機会というか、動画を配信していただいたり配っていただいたりとか、直接研修を受ける機会 を積極的に持っていただいたらいいのかなと思います。  あと、全体的なことになるのですけれども、10月からなので、まだ何回かということなのです が、実際に審査会に参加してみて、以前に比べると、実際に審査をするケースに関して非該当は 少なくなっているかなという感じを受けていましたし、所属している合議体に限りなので、もの すごい小さな話なのですけれども、一次判定どおりの二次判定結果が割と増えているのではない かと感じています。  神戸市の担当者の方とか調査員とか審査会の委員の方の御意見を情報収集してみたのですけれ ども、出てくる御意見はたくさんあります。組み合わせの問題で軽度に出てくるということもあ りますし、判断基準で、これは実際行われていることではなくて、能力勘案した方がいいのでは ないかとか。あと、行政の方は事務作業がすごく大変だという意見も挙がっていましたし、その 辺は何回も言いますけれども、こんなことを言ったらいけないかもしれませんけれども、制度改 正のときはいつもぎりぎりで、いつもちゃんと理解できない状況で手探りでやっていかないとい けない現状が現場ではあるのです。ですので、しっかり時間的な余裕を持っていただいて、きち んと説明を。  利用者に説明するのは、私たち事業者になると思うので、私たちがきちんと理解できないと利 用者には説明をきちんとできないと思いますので、その辺りをしっかり踏まえていただいて考え ていただけたらいいのではないかと思いますし、審査会とか調査員は人の集団ですから、差が出 るのは当たり前ですので、一次判定のソフトでできるだけその方の正しい状況が反映されるよう なソフトをつくっていただけるように、次の見直しになるのでしょうか、細かいところのチェッ クといいますか、より精度の高いものになるようにしていただけたらと思います。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。本間委員。 ○本間委員 今の田中委員の御意見にちょっと関連しますが確かに要介護認定の一次判定の結果 の精度を上げるということがたびたび出てきてきます。何をもって適切な、いわゆる適正な一次 判定なのかという基準がまず問題になるわけです。ただ、それに関しては、恐らくどういう専門 家の間でもゴールドスタンダードというのは多分ないだろうと思います。そのことが1点。  もう一つは、特に認知症を考えた場合に、認知症の介護の手間というのは非常に個別性が高い と思います。ですから、一次判定結果によって、認知症も含めた人の判定結果の精度を上げる、 あるいはいわゆる適切な結果を得るというのは極めて厳しいと思いますし。  それよりは、特記事項をきちんと記載してもらう。それから、その後は認定審査会、私自身も まだ毎月参加していますが、認定審査会委員の資質やスキルをさらに上げる必要があります。勿 論、調査員もそうですが、そういうことにエネルギーを割いた方がより有益な結果が多分得られ るのではないかと思います。 ○田中(聡)委員 いいですか。 ○田中(滋)座長 どうぞ。 ○田中(聡)委員 すみません、本間委員のおっしゃるとおりだと思います。ただ私が言いたか ったのは、100%を望んでいるわけではなく、状態像というのはできるだけ一次判定で形として出 てきて、人の目でないとわからないところはありますので、そこは審査員が頑張らないといけな いところと認識しております。  ちょっと細かいことになるので省こうかと思ったのですけれども、今回、神戸市の方にお話を 伺っているときに、5群の社会生活への適応という部分です。私たちも審査会に参加していて、 そこにチェックが付いていても非該当になっているケースが複数あって、ずっと読み込んでいく と、勿論審査会に掛けて支援になったり介護になったりするのですけれども、そこで買い物とか 調理というのは前も議論が出ていましたけれども、実際の状況ということで、御主人が今までや ったことがなくて、奥さんがされていても全介助という選択の仕方に今もなっていると思います。  そこが全介助になっていても非該当が出ていて、認知症の方はそういうところから症状が出始 めることが多くて、私たちも実際、地域の方を見ていると、本当に困っている人が見逃される可 能性があるのではないかというのがとても危惧されました。そこが言いたかったので、そういう ふうにお話しをさせていただきました。申しわけありません。 ○田中(滋)座長 そろそろまとめなくてはいけません。では、高橋委員。 ○高橋委員 先ほどの本間委員の御発言も含めて、全体としてこの検討委員会のミッションと、 これからのプロポーザルの議論は多分整理していただかなければいけないと思います。  是非お願いしたいのは、要介護認定という一つのシステムのメンテナンスの話と、物差しのつ くり変えの話と、それから厚生労働省として技術的助言としてやるべき話と、それからこれは市 町村の事務ですから、市町村の事務としてきちんとやっていただく話と、その辺のことをきちん と整理していただいて、そうなると逆に3年に1回のスパンがどうなのかとか、むしろ6年に1 回、あるいは5年かどうかわかりませんが、そうして、後はメンテナンスをきちんとやるとか、 厚労省としての技術的助言の仕組みのあり方と、それからそれを受けとめるべき市町村の保険者 としての役割と、そして、そこに更にさまざまな専門職なり、勿論市民がそこに入るということ を少しきちんと整理していただいて、これからこうしますという整理をどこかでしていただく。 これは、ここでやるかどうかは別として。  そうしないと、はげたかどうかという議論に収れんした話がどんどん大きくなっていく。あれ は、私ははっきり言えば、日本語感覚がなさ過ぎたという技術的問題なのです。それと、全体と してのさまざまなあり方の問題にいろいろな齟齬が起こってきましたので、課題をうまく分割し て、これからのあり方を積極的な形につなげるような整理をしていただきたいと思っています。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。石田委員。 ○石田委員 今日は黙って聞いていようかと思っていたのですけれども、自治体への注文や要望 が非常に多いということから、これは期待と受けとめて4点ほど発言したいと思います。  この要介護認定を含めて、介護保険制度自体の信頼性の確保・維持が今回の認定の見直しの中 で一時的に揺らいだという認識をしました。こういうことについて、制度自体の信頼性というも のは、これは是非、国の責任において維持・確保していただきたい、これが1点であります。  2点目は、介護保険制度は国民にとって非常に有用な制度であるわけでありまして、国民に対 して明解で、また利用に当たっては簡便性が求められるという観点を追求していただくことが必 要だろうと思います。  3点目、確かに制度の重要性から見て精緻さを求めるということは、よくわかることでありま すけれども、保険者、市町村現場での実務的な運用の容易さを是非考慮していただきたい。これ は、市民の介護を預かる市町村、またこれから非常に多く要介護者に対する手当てというものを やっていかなければならない立場の市町村にあって、実務が回る設計は非常に重要だろうと思い ますので、この点については指摘しておきたいと思います。  最後、4点目ですけれども、幾つか皆さん御発言がありましたけれども、これは、ある意味で は地方分権の範囲であるということと、社会保障制度とのバランスについてどう考えるかという 議論があるのだろうと思います。この介護保険の要介護認定については、費用負担は市町村の負 担であります。国なり、皆さんが認定に対して保険者に厳格な運用なり方法を求め、また国の方 でもそういう規律を指示しているということでありますけれども、費用負担は市町村民税で行っ ていて、稲城市の場合、1人認定するのに市民の税金を1万円以上かけている。これは、稲城市、 小さな市町村にとっては非常に負担であります。こういう要介護認定の精緻さ、または費用の負 担を求め続けながら、また水準も高めるという要望にこたえ続けるというのは、一般の市町村に とっては負担であり、また今後も求め続けることについては無理もあるのかなと思わざるを得ま せん。  こうした社会保障に係る地方分権の立場としての自治体の費用負担も含めたあり方については、 この検討会ではないにしても、別途改めて何らかの議論をしていただいた方がよろしいのではな いかという感想を持ちました。以上であります。 ○田中(滋)座長 三上委員。 ○三上委員 非常にわかりやすい資料を出していただいた事務局に、今日は感謝いたします。  最初に、先ほど高見委員が言われたように、主治医意見書の記載が非常にまずいということに つきましては、医療提供者として反省いたしますが、医師会としましても、主治医研修会等でそ ういうことについての啓発活動を行っているのですけれども、不十分であるということであれば、 今日の資料9に調査員の特記事項の留意点がありましたけれども、主治医意見書版のようなもの を作成できるように、事務局とも相談しながら、どういう形になるかわかりませんが、つくって いきたいと思っております。  全体の印象としましては、ほぼ懐疑は解消されたのではないかという印象を受けますけれども、 先ほどからの議論でモラルハザードの問題等があって、反論、議論があるわけですけれども、要 介護認定というのはそれぞれの高齢者の状態に合わせて、必要な介護サービスを、ケアマネジメ ントという形でケアプランを立てて、その中に含まれるサービスの単価を積み上げたものが、一 定範囲にあるものを一つの分類にしているという考え方だろうと思います。  したがって、必要な介護サービスを受けるためには、要介護認定を受けて、そして介護報酬が 決まって、利用限度額が決まる、この3要素があって初めて受けられるということですが、今回、 非常に現場が混乱したのは、介護報酬改定のときに同時に認定見直しをやったということです。 すなわち2つの要素を同時に動かしたために混乱を生じたと思います。報酬改定というのは、ほ かの要素が一定である条件で、その報酬改定をどうするかということを見ることなので、2つを 同時にやるということは非常に問題があるのではないかということを感じました。それも事務局 にさんざん申し上げたのですけれども、どうしても同時だということが、結果として混乱したの ではないかと思います。  私は、要介護認定の見直しについては、限度額を決めるということであり、直接ケアプランと かケアサービス、すなわち現物支給に直結するものではないので、基本的にはこれも同時に見直 せば大きな問題は生じないと思います。以前の認定はバラツキが大きいけれども、それなりにや っていたのに不満がなかった。しかし、見直したことによって混乱することで不満が出たのだと いうことで、今回、よくなったかもしれないけれども当面の間はじっくり検討するということで、 見直しを2〜3年ごとと先ほどおっしゃっていましたけれども、当分の間しなくていいのではな いかと思います。  また、認定につきましては、公開の場というか、オープンな形で別の形でじっくり検討される 方がいいと考えます。特に認知症の問題については、要介護認定の方法についての技術的な問題 もまだまだ不十分だと思いますし、相当時間をかけないと難しいのではないかと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。では、あとお二人。 ○野中委員 前回終了時に、私は同居家族に対する介護サービスについて検討してほしいと要望 しました。年末に厚労省からその介護サービスに対しての見解の文書が出ました。私はよかった と思いました。先ほどから議論になっている介護の手間というものに対する認識が、すべての市 町村を非難するわけではありませんが、介護の手間をもう少し真摯に受けとめて要介護認定を行 っていくことが私は大事と思います。そこは医師も含めて多職種が介護の手間に対してもっと目 を向けることから始まると思いますので、今回の介護の手間に対する見解は非常によかったと思 います。  池田先生と高橋先生の考え方は、これは当然、今後2年間の中で十分考えていくことだと思い ます。大事なことは、介護を通じて、住み慣れた地域で生活できることを現場で考えていける様 に指導をしていただきたいと思います。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。最後に対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員 先生方、皆さんおっしゃられたので、私も余り申し上げることはないのですけれど も、今回の資料を見ていますと、全体的にまだ多少もとに戻っていない。もとに戻るのがいいか どうかというのは、勿論議論はあるのですけれども、戻っていないところがあるようです。しか し、研修をきちんとやっていくと次第に是正されていく数字もありますから、研修なりバラツキ をなくしていくというのが非常に重要だろう。例えば医療保険でも、国保連合会、支払い基金、 地域間格差の是正ということで相当努力もしていますので、そういう努力は今後とも必要だろう というのが1点です。  もう一点は、今回、介護の認定という側面から見ているのですけれども、特に池田委員の資料 は、私などは非常に示唆されるといいますか、参考になるところが随分多かったと思いますし、 今回の議論を是非何らかの形でまとめていただいて、今後いろいろな形で、例えば医療と介護を あわせた形での検討会をつくり上げるという話もあるようですから、そういうところに生かして いただければと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。一わたり伺いました。最後にいただいたように、 この委員会で出た、本委員会のミッションを超える部分の発言についても後日生かしていただく として、この委員会に与えられた、本間委員の言い方をするとミッションですね。ミッションに ついては、大体のところ意見が一致したように感じます。  昨年4月に起きた混乱に対して、この検討会ができて、いろいろな議論を経て、10月からのテ キスト改訂がなされました。それが普及するにつれ、一応の終息が図られたと思います。勿論、 100%完全な制度にはなり得ませんけれども、基本的な終息は図られたと思います。前回7月のと きと同様に事務局に指示しまして、本件検証・検討委員会のまとめ(案)を事前に幾つかやりと りをしてつくってみましたので、事務局から各委員に配ってください。  では、読み上げをお願いします。 ○宇都宮老人保健課長 それでは、読ませていただきます。 平成21年10月からの要介護認定方法の見直しに係る検証について(案) 平成22年1月15日 要介護認定の見直しに係る検証・検討会 (1)平成21年7月28日に開催された、第3回の要介護認定の見直しに係る検証・検討会では、 昨年4月の要介護認定方法の見直しにより、非該当者及び軽度者の割合が増加したこと等を踏 まえ認定調査員テキストを修正し、修正の考え方や内容を自治体等に十分に周知すべきとした。   また、厚生労働省に対し、見直し後の要介護認定の実施状況について、本検証・検討会に報 告するよう求めた。 (2)本検証・検討会の指摘を受けて、厚生労働省において、認定調査員テキストが修正され、 市町村への情報提供や調査員等に対する研修が行われた上で、昨年10月より市町村等において 新たな方法による要介護認定が開始された。今回、その実施状況について、厚生労働省から報 告があった。 (3)まず、昨年4月から9月までに新規に要介護認定申請を行い、非該当者となった方等に対 し、市町村から再申請等を勧奨した結果、より適切な要介護認定となった。   4月からの見直しで影響があった方に対し、厚生労働省、自治体等の適切な連携により、迅 速な対応が図られ、要介護認定の現場が概ね安定したことについては、一定の評価ができる。 (4)次に、要介護認定のバラツキについては、全体的に相当程度小さくなっていることから、 平成21年4月以降の見直しによって、要介護認定のバラツキを抑えるという制度改正の目的は 一定程度達成できたと考えられる。 (5)ただし、要介護度別の分布については、昨年4月からの見直しと比べると非該当者及び軽 度者の割合は大幅に減少し、概ね同等の分布となったものの、過去3年と比べて一部の軽度者 の割合が若干大きくなっていることも事実である。 (6)本検証・検討会としては、これらの結果や、特記事項の活用が不十分であると思われる状 況などを踏まえ、厚生労働省に対し、今後、各自治体等においてより充実した研修が実施され るよう対応を徹底するとともに、認定調査及び介護認定審査会における特記事項の活用につい て改めて周知することを求めたい。 (7)以上により、平成21年4月に行われた要介護認定の見直しに伴う混乱については、ほぼ終 息し、本検証・検討会の目的は概ね達成できたものと判断し、本検証・検討会は、今回で終了 することとする。 (8)なお、今後の要介護認定のあり方等については、介護保険制度全般の見直しに向けた議論 の方向性を待って、議論を進めていくことが適当である。  以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。(8)で今後の方向をまとめていただきました。 今日、御発言いただいた内容も、大体これに沿ったものが多かったと感じますが、この案につい て、何か御質問、更に追加ございますでしょうか。よろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○田中(滋)座長 では、本検証・検討会としては、この案をもってまとめとさせていただき、 本検証・検討会はこれにて終了とさせていただきます。皆様、これまでの熱心な御議論、ありが とうございました。感謝申し上げます。  何か、これとは別に追加発言ございますか。どうぞ。 ○高見委員 すみません、家族の会の高見ですが、今のまとめ、家族の会としても誠に賛同して、 今回の点は終結していただいたらいいと思います。  それで関連して、8番で今後のことについて検証会で申しておられますので、これは検証会の 話ではなくて、家族の会の話なのですが、今日を期して、特に宇都宮課長さんに家族の会で申し 入れをしたいと思って、実は文書を用意してきております。簡単なものですので、わざわざ皆さ んにはお配りしませんが、2点についてお願いしたいと思っています。  平素は、認知症関係の施策の実施について格段の御尽力いただき、厚くお礼申し上げます。  来るべき介護保険法の改正及び現行制度の改善については、下記の点を実行していただくよう に申し入れますので、よろしくお願いいたします。 記 1.法の改正、制度の改善に当たっては、要介護認定制度の廃止の検討などを含む抜本的な検討 を行うこと。 2.上記の検討を行う審議会等の開催に当たっては、当家族の会など当事者の代表を委員等とし て加え、利用者、家族の声が反映されるようにすること。 という2つのお願いをこの際申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上で す。ありがとうございました。 ○田中(滋)座長 どうぞ。 ○三上委員 案はこれで十分なのですけれども、前回、認定見直しについて、どこで検討するの か。突然出た経緯があり、介護給付費分科会ができないという話もあったわけですけれども、こ の検証・検討会の最後の案の中に、見直しに関してはきちんとした公開の場で検討するというこ とを書き添えていただくとありがたいと思います。 ○田中(滋)座長 8のところに、今後の要介護検討の見直しに当たっては公開の場でと追加す る。 ○三上委員 公の場で。 ○田中(滋)座長 きちんとした検討会をつくれという案がある。事務局は、それを受けられま すか。 ○宇都宮老人保健課長 そうしますと、例えば8の一番下の行で、見直しに向けた議論の方向性 を待って、公開の場で議論を進めていくことが適当であるということでよろしゅうございましょ うか。 ○三上委員 そうしていただいて。ありがとうございます。 ○宇都宮老人保健課長 では、そのように修正させていただきます。 ○田中(滋)座長 隠れてしろという意見の人はいないと思いますので、問題ないと思います。 書き加えさせるようにいたします。それぞれの委員からの貴重な、今後使えるすばらしい資料を いただいて、ありがとうございました。  最後に、厚労省を代表して局長から一言お願いいたします。 ○宮島老健局長 本日は、ありがとうございました。厚労省に対しては、今後、各自治体でより 充実した研修、それから認定調査、介護認定審査会における特記事項の活用の新たな周知という 宿題をいただきましたので、ここは私どももしっかりやっていきたいと思います。  昨年の4月以来、混乱したということですので、私どももこれを二度と繰り返さないというこ とで、今後、見直しの際には、利用者、市町村、それぞれの立場の方と十分事前に協議をかけ、 それから検証、周知を行った上で実施したいと思います。  また、最後に、高見委員からどきっとするような申し入れが課長の方にあって、また今後の要 介護認定のあり方についても公開の場でということで御議論いただきました。今日の議論の中で も、要介護認定のあり方そのものに対する御意見をいろいろいただいたわけですので、私ども、 要介護認定の制度自体は介護保険の一つの扇のかなめのような役割を果たす制度だと思っており ます。それだけにいろいろまた議論もあるかなと受けとめております。いろいろな皆様の御意見 もお聞きしながら進めたいと思っております。本日は、どうもありがとうございました。 ○田中(滋)座長 以上をもって本会を終了いたします。どうもありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課          連絡先:03-5253-1111            担当者:課長補佐  天本(内線3943) 介護認定係 青木、迫田(内線3944)