10/01/12 第2回高齢者医療制度改革会議議事録 第2回高齢者医療制度改革会議 (1)日時 平成22年1月12日(火)13:00〜15:00 (2)場所 中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階) (3)出席者 阿部委員、池上委員、岩見委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田 委員、神田委員、見坊委員、小林委員、近藤委員、齊藤委員、対馬委員、堂本委 員、樋口委員、三上委員、宮武委員、横尾委員、長妻厚生労働大臣、長浜厚生労 働副大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労働大臣政務官        <事務局>        外口保険局長、唐澤審議官、神田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、 伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、渡辺 保険局医療課保険医療企画調査室長 (4)議事内容 ○岩村座長  それでは、今日の高齢者医療改革会議を開催いたしたいと思います。  委員の皆様におかれましては、本日は、大変お忙しいところ、また、非常に寒い冷たい雨の降 る中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  定刻でございますので、ただいまから第2回「高齢者医療制度改革会議」を開催することにい たしたいと存じます。  本日は、前回に引き続きまして、第2回目の改革会議ということになります。  前回は、委員の皆様方から、今後の議論の進め方をはじめといたしまして、幅広く御意見を頂 戴いたしました。  今回は、委員の皆様方からの御要望に基づく資料も事務局の方で御用意いただいておりますし、 また、委員の皆様方からそれぞれ資料などの御提出もいただいているところでございます。今日 は、そうした資料等も含めまして、改めて新しい制度のあり方につきまして、総括的な議論とい うものを進めてまいりたいと存じます。  まず、最初に、今日は大臣にも御出席いただいておりますので、大臣の方からごあいさつをち ょうだいしたいと思います。その上で事務局の方から皆様のお手元にお配りしております資料の おおよそにつきまして、簡単に説明をしていただきたいと存じます。  それでは、大臣、よろしくお願いいたします。   ○長妻大臣  どうも皆様、今日は本当に雨の中お越しをいただきましてありがとうございます。第2回目と いうことでございまして、今も座長からお話がありましたように、皆様方から御指摘いただいた 資料なども今日は用意をさせていただいて、説明を申し上げるところでございまして、本当に忌 憚のない御意見を賜りたくよろしくお願いいたします。  本日、某新聞に何か事務局案がまとまったかのような報道がございましたけれども、そういう ことは勿論ございませんので、ここで皆様方の御意見をお伺いして、よりよい制度をつくり上げ ていくということでございます。  そして、若干報告等を申し上げますと、来週から国会が始まりますけれども、そこの冒頭に提 出予定の第二次補正予算でございますが、その中に、この現行の保険料、後期高齢者の皆様方に 対する保険料の軽減措置も来年度も継続するため、約2,900億円の国費というのも、そこに 入れさせていただいているところであります。  また、今年の4月からの新年度は保険料の改定が行われる年でございまして、後期高齢者の皆 様方の保険料の上昇が予想されます。その中で、各都道府県や広域連合の皆様方には剰余金の活 用や財政安定化基金の取り崩し等により保険料の上昇を極力抑制するということについて、引き 続き御検討方もお願いをしたいということで、我々もそのお願い、説明を続けていくということ でございます。  もう一点でございますけれども、協会けんぽでございますが、ここについての支援ということ で、今年の7月以降、国庫補助率を本則に戻すという措置も考えておりまして、16.4%とい う本来の数字に戻していこうということでございます。  そして、現行制度を廃止するまでの間、後期高齢者支援金については、この3分の1の額につ いて総報酬割を導入させていただきたいというふうに考えておりまして、健保組合等からは厳し い御意見をいただき、私もお邪魔をして御理解を求めているところでございます。この総報酬割 は、負担能力に応じた負担を実現するものであり、財政力の弱い健保組合を助けることにもなり ますし、総報酬割に生じる国庫負担はすべて協会けんぽの財政支援強化に充てるということを、 各方面に御説明をし、御理解をいただき、そして、説明、意見交換を続けてまいりたいというこ とも真摯に実行していきたいと考えております。  いろいろ、医療については問題が山積しておりますけれども、まずは本当に高齢者の皆様が、 あるべき、本当に希望を持って過ごせる医療制度というのをここで御議論いただいて、1つの形 にまとめあげる御指導を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、私の冒頭のあいさつといた します。  どうもありがとうございます。   ○岩村座長  大臣、どうもありがとうございました。それでは、カメラ撮りはここまでということにさせて いただきますので、カメラの方はすみませんが、終わりとしていただけますか。 (報道関係者退室) ○岩村座長  それでは、事務局の方から今日用意いただいている資料の大まかなことにつきまして御説明を いただきたいと思います。   ○高齢者医療課長  高齢者医療課長でございます。本日の配付資料でございますが、それぞれ資料につきましては、 各委員の先生方に、あらかじめお渡しをさせていただいておりますので、その内容についての説 明はここでは省略をさせていただきたいと思います。  大枠のみ御説明をさせていただきますと、まず、配付資料の1でございます。「各委員の主な意 見の概要」ということで、前回いただいた御意見につきまして、委員の先生方の御確認もいただ いた上で、項目別に整理をさせていただいております。  1ページ目が「1 今後の議論の進め方について」。  2ページ目が「2 後期高齢者医療制度等の問題点・利点について」。  3ページ目が「3 新たな制度のあり方について」。  4ページ目の後段の方から「4 高齢者のための医療サービスについて」。  最後は「5 現行制度における対応について」ということで整理をしたものでございます。  それから、前回様々な御指摘をいただきました。また、資料の求めも様々ございました。そこ で、資料2と資料3といたしまして、資料2の方が基本資料、資料3が参考資料ということで整 理をさせていただいたところでございます。   ○長妻大臣  まず、資料の確認を、クリップを外していただいて、資料がばらけますので、済みません、早 口で、ちょっと丁寧にお願いします。   ○高齢者医療課長  了解しました。  右上に資料2と書いております基本資料の方でございます。項目だけ御紹介させていただきま すと、1ページ目が、高齢者医療の歩みを年表形式で整理をしたものでございます。  2ページ目が、その間の審議会等におけます検討経緯を時系列で整理をしたものでございます。  3ページ目が、これまでの議論の中で、高齢者医療制度のあり方に関して、大きく4つの案が まな板の上で議論をされてきた、その状況でございます。  4ページ、5ページでありますけれども、5ページの方は前回もお出しをさせていただいた、 現行制度の問題点であります。前回の会議の中で問題点と併せて利点もあるだろうという御指摘 もございましたので、4ページ目にその整理をした資料を掲げさせていただいています。  また、6ページ、7ページは、前回の御指摘の中で、様々な利害が錯綜する問題であるだけに、 公平の観点からの議論が必要ではないかとの御指摘がありましたので、公平の観点からの新制度 の枠組みに関する論点という資料を整理させていただいております。  8ページが、そうした議論の中で、被用者保険あるいは地域保険の負担調整、様々なものがご ざいますけれども、その現状について整理をした資料でございます。 ○長妻大臣  ちょっともう一回ですが、皆さん、ちょっとごらんになっておられない方が多いので、クリッ プを外していただいて、右上に資料2とありまして「本日の議題に関する基本資料」という資料 がございますので、ここについてのページを今、説明されているんです。何度もすみません。   ○高齢者医療課長  最後に、9ページ、10ページが、その運営主体に関する論点ということでございまして、現 在の制度の運営主体は広域連合ということになったわけでありますけれども、その検討過程では、 市町村、都道府県とすることも検討されたわけであります。それぞれの場合のメリット、デメリ ットというものを整理したものが9ページ、10ページでございます。  資料3の方は、ただいまの基本資料のさらに細部のデータなどを掲げた資料でございます。説 明は省略させていただきます。  資料4でございますけれども、10人の委員の先生方から今回配付資料としていただいたもの でございます。   ○岩村座長  ちょっと、まだ、皆さん資料4を探しておられるので、お待ちいただいて、皆様、横長の資料 の右上に資料4というふうにございますので、それを、まず、お手元に取っていただいて、よろ しゅうございましょうか。   ○高齢者医療課長  委員配付資料ということで、表紙に掲げさせていただいているものでございます。   ○岩村座長  結構分厚いものでございます。それでは、吉岡課長、お願いします。   ○高齢者医療課長  1枚お開きいただきますと、10人の委員の先生方からあらかじめいただいた資料を、資料4 としてとじさせていただいております。  また、本日、追加といたしまして、別途お配りをさせていただいておりますけれども、堂本委 員から御提出をいただいております。  それから、樋口委員の方からは冊子の方の御提出をいただいているところでございます。また、 それぞれ御発言のときに御紹介いただけるものと考えております。  なお、本日の事務方の出席者でございますけれども、前回、医療サービスについての御議論が ございましたので、今回から医政局の担当課長も出席しているところでございます。  資料の大枠につきましては以上でございますので、御議論のほどよろしくお願い申し上げます。   ○岩村座長  ありがとうございました。まず、お手元に、今、紹介のありました資料が全部そろっているか どうかということですけれども、それはよろしゅうございましょうか。  それでは、これから議論に入りたいと思いますけれども、それに先立ちまして、足立政務官の 方から、一言御発言をいただけるということでございますので、よろしくお願いしたいと思いま す。   ○足立政務官  前回の会議に出席させていただきましたけれども、提供体制も含めて医療と介護、このサービ スのあり方について全体で議論する必要があるというお話がございました。私もそうあるべきで あるという発言をしたと思いますけれども、ただ、この問題は非常に大きな問題で、高齢者だけ ではないということは当然のことではありますけれども、各項目、問題点について専門的な御議 論をいただく必要があるということで、別途これも大臣就任以来、私との間でそういう会議が必 要であるという認識に立っておりまして、それは本年早いうちに立ち上げる。そして診療報酬の 骨子案というものを提示した形で、パブコメが始まりますけれども、さらにその次、医療と介護 の報酬の同時改定ということがございます。そして、それに伴う法改正も来年必要になってくる と思いますので、今年は後期高齢者を含んだ高齢者のことと、それから医療と介護の全体の見直 しというものが必要になってくると思われますので、それにつながるような意見交換の場として、 案をつくり上げていただきたいということを付言させていただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。   ○岩村座長  どうも、足立政務官ありがとうございました。  それでは、これから各委員の皆さんから御意見を頂戴してまいりたいと思います。私の方で少 し議論の筋道を整理させていただきたいと思います。  まず、最初に、今日何人かの委員の方々から資料を御提出いただいております。それで、一応 御提出いただいていて、皆様お目通しいただいているとは思いますけれども、御提出いただいた 資料のポイントにつきまして、最初に少しごく簡単に、コメントあるいは御説明をいただければ というふうに思います。  また、資料2、資料3でそれぞれ基本的な資料、この中には前回の会議で委員の方から御要望 のあったものも含まれておりますけれども、それについての御質問あるいは御意見、コメントな ども併せて頂戴できればというように思っております。  その上で、少し皆様方から全体に関する御議論の続き、前回の続きというのをいただくという 順序で進めさせていただければと思います。  まず、最初に資料4でございますが、委員の皆様方から資料をそれぞれ提出いただいておりま す。大変恐縮でございますけれども、資料に並んでいる順に、時間はそれほどございませんので、 そこに御配慮いただきながらコメントなり趣旨の御説明なりをいただければと思います。  それで、堂本委員が少し遅れて来られるということですので、堂本委員からも資料を提出いた だいておりますが、これは、堂本委員が到着されてからということにさせていただければと思い ます。  それでは、恐縮ですけれども、阿部委員からお願いできればと思います。   ○阿部委員  退職者連合の阿部でございます。資料4の2ページに簡単な文書を提出しておりますけれども、 これに沿って、ポイントを説明したいと思います。  1点目は、公的保険による国民皆保険制度を堅持する。これは政府の方針でもございますが、 これが大原則だと思います。そのために、何といいましても、地域保険として、国民健康保険を 支えている国保の充実を図る必要がある。また、国保については、都道府県規模への広域化を図 るというふうに考えております。  2点目は、負担と給付についてでありますが、保険料は応能負担を原則として、格差のない料 率を設定するということでございます。応能負担ですから、所得の多い人は多く、少ない人は少 なくということになるわけでありますけれども、それが原則ではないかと思います。  給付につきましては、まず、当然のことですが、必要な医療を保障する。そして、70歳未満 は8割給付、70歳以上は9割給付という考えであります。  なお、70歳未満、8割給付のうち、3歳未満の乳幼児については無料とする考え方でありま す。  3つ目は、事業主の負担についてでありますが、これはどのような制度になろうとも現状を下 回らないというようにすべきではないかと思っております。  また、最近多くなっております企業に勤務しながら、市町村国保に加入している被保険者につ いては、制度本来の職域保険に戻すということが必要なのではないか。そのために企業としても 御努力いただきたいし、政府としても強い指導をお願いしたいと思っております。  最後ですが、新たな制度の移行に当たりましては、都道府県規模の地域保険としての一元的運 用を展望すると書いてあります。これは新たな制度に移行するときの保険者は、ここには明確に しておりませんけれども、私の考えとしては、都道府県とする。しかし、移行時に困難だと、ま だそれだけの準備ができていないという場合は、1、2年、先に送ってもいいのではないかと思 います、その辺は少し弾力的に考えております。  その場合でも、新しい法律の附則に、2年後なら2年後には都道府県が保険者機能、保険者と なるんだということをうたってもらいたい。そのように明確にしてもらいたいと思います。  このことにつきましては、これまでもいろんな議論があったということでありますが、保険者 機能としては、やはり保険料を徴収する市町村が一番ふさわしいと思いますけれども、今日の段 階では、それは極めて困難でございますので、そのために広域化ということを言っているわけで す。  そうなると、やはり選挙で選ばれる知事が責任を持って、保険者の機能を果たすべきだという のが私の考えであります。  以上です。   ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、引き続き池上委員でございます。よろしくお願いします。   ○池上委員  その前に、私が提出をお願いした資料3について、なぜ提出を望んだか、それについて御説明 申し上げてもよろしいでしょうか。   ○岩村座長  よろしくお願いいたします。   ○池上委員  それでは、資料3の参考資料となっておりますものの78ページをごらんいただければと思い ます。  これを御提示お願いしたのは、医療費のかかり方として高齢者とそれ以外で分けますと、高齢 者は一般の国民の5倍の医療費がかかるというふうに言われておりますけれども、それは国民を 二分すれば、5倍の格差があるわけでございまして、細かく年齢階層ごとに見てみますと、65 歳あるいは75歳を境として、それ以下の階層と比べて、断絶があって増えるわけではなく、順 次増えていくことがお分かりになると存じます。つまり、年齢が高くなるに従って徐々に医療費 が増えているわけですので、このための年齢調整を適切に行うことが必要であるということ。そ のためにこの資料の提出をいただきました。  次のページは、資料の関係で、旧政管健保と市町村国保で見ましても同様に5歳階級ごとの医 療費のかかり方を見ますと、順に年齢が高くなるに従って、医療費が増える構造となっておりま す。  次に、80ページをごらんいただきますと、都道府県によって平均年齢はどのくらい格差があ るか、そしてそれが保険料にどう影響しているかを国保で見たかったんですけれども、国民健康 保険については年齢による医療費のかかり方に対する直接の国による助成は行っていませんので データはありません。それを行っているのは協会けんぽについては資料がありまして、そこで協 会けんぽについての資料を提示いただきました。  それによりますと、黄色いところが高いところ、青いところが高いところでございますけれど も、左から3つ目の欄に加入者の平均年齢ですと、秋田が37.3歳、沖縄が32.5歳、それ がそのまま年齢調整することによって保険料がどのくらい調整されるか。調整のされ方は都道府 県による所得の違いによる調整と比べて少ないですけれども、それでも調整の幅として一定の割 合を示しているわけであります。  それによって、本来、都道府県の住民が負担すべき保険料というのは、所要保険料という右か ら2つ目の欄は、これは年齢と所得の違いを調整した上で、県民にかかっている医療費を仮にそ のまま負担したとしたら、これだけの保険料となるということを示しております。それが激変緩 和措置によって大幅に縮小されておりますが、もし、都道府県ごとに、年齢と所得を調整した場 合には、医療費のかかり方としてこれだけ違いがあるということを示したものでございます。  続いて81ページ、国民健康保険については、やはり医療費のかかり方については調整してい ますけれども、年齢については調整していませんで、このように加入者の平均年齢で言えば、富 山県の54歳から沖縄の41歳まで、75歳を除いた場合の違いがありまして、その保険料の違 いというのが、調定額というのが右端に示してございます。  続きまして、82ページをごらんになっていただければ、これによって、後期高齢者はどうな っているかというと、後期高齢者の場合は、所得については調整しておりますので、都道府県の 県民所得による所得格差について国は交付総額を調整することによって、その所得を調整して、 ついでながら、後期高齢者についてはどの都道府県もほぼ平均年齢は同じでございますので、年 齢による調整は後期高齢者については必要がないのが現状であります。  一応、国民の二分する方法ではなく年齢階層による調整をする必要があるということを強調し たいために御提示させていただいた資料でございまして、事務局に作成していただいた資料でご ざいます。 簡単に私の資料4、すみませんが、元の資料に戻っていただいて、委員配付資料の方の下の方の 12ページにある、これは埼玉県で国保の統合ということを考えた際に、どういうことに留意す るべきなのかということを行った勉強会を基に書いた資料でございますが、県内の国保を統合し ようとしますと、県内の市町村によって所得のとらえ方が違う。つまり、何を経費として控除を 認めるか、認めないかというのは市町村によって違う。そのうえ、所得を基にした保険料の算定 方式は、応能負担という所得割、応益負担という世帯に加入している人数割あるいは資産によっ ても変わってくる。埼玉県一つとってもそれぞれの市町村によって保険料の計算の仕方が違って きますので、なかなかこれは統合するということは難しいわけでございます。  ただ、統合に向けての動きが1つ出てきておりますのは、再保険制度が導入されまして、これ はまだ事務局に資料提出を、今後いただけるということでしたけれども、再保険制度と言って3 0万円以上かかった医療費について全額県内の再保険で対応するという制度が始まったものです から、医療費の8割は高額な医療費によって占められておりますから、再保険制度が拡大、整備 されることによって、次第に保険料も平準化されてくると思います。その平準化がどのくらい平 準化されたかということについては、今後資料の御提出をお願いしている次第でございます。  時間を取って申し訳ありません。以上でございます。   ○岩村座長  ありがとうございました。ちなみに、今、池上委員の方からお触れになりました再保険に関し ては、今日の資料の3の参考資料の44ページ、45ページがその概要ということだと思います。 より細かい資料をというのが今のお話でしょうか。   ○池上委員  いえ、これは概要であって、制度導入前によって、保険料の格差がこれだけあったと、それが この制度を導入してどの程度保険料の格差が縮小したかを、いくつかの県の実例をみたかったわ けです。もちろん市町村によって国保の保険料の算定の根拠となる所得のとらえ方や保険料算定 が違いますので、直接は比較できないんですけれども、ざっくり保険料の県内格差がどのくらい 縮まったかということを都道府県ごとに見ていくことによって、国保統合の一つの道筋が出てく るのではないかと思った次第でございます。   ○岩村座長  ありがとうございます。事務局の方で、それは次回に御用意できますか。そういう資料がそも そも作れるかどうかなんですが。   ○国民健康保険課長  お手元に資料はございませんけれども、可能な範囲で努力してみたいと思います。1つだけ、 これは茨城県でございますけれども、保険財政共同安定化事業がなかった場合、被保険者1人当 たりの保険料は最高と最低で4.1万円の格差があったところ、それが共同事業のおかげで3. 8万円に縮小しているということだけが、我々が今、計算できているところでございます。   ○岩村座長  では、できるだけ可能な限り資料を集めて、提供していただければと思います。  それでは、引き続きまして、岡崎委員、よろしくお願いします。   ○岡崎委員  全国市長会の高知市長でございます。  私の方から資料が2種類出ておりまして、1つは昨年の11月の全国市長会の理事会で決定さ れました決議でございますが、ポイントは17ページの1の(1)〜(3)まであるんですが、 (2)と(3)につきましては、平成22年度のいわゆる国保に伴います財政安定化の予算要望 でございまして、これは措置をいただいておりますので、また、国会がございますが、(2)(3) は今回の予算編成の中で措置をいただいておりますので、解決が付くだろうと思っております。  問題は(1)でございまして、やはり我々は今、市町村の国保を担っておりますが、市町村の 数は今、全国で約1,800市町村ございます。一方、現行の後期高齢者医療制度は、47都道 府県が、保険者でございますので、47保険者を約1,800にばらすということは、非常にシ ステムを含めて無駄がございます。やはりこれを例えば国保の方で合体して受けるということに なりますと、国保の一元化、最終的には国への一元化ということを全国市長会からもずっと要望 しておりますが、その手前の段階として、やはり各市町村の国保を都道府県に一本化するという ことが先決であるという決議をしているところでございます。  もう一つの資料につきましては、19ページでございますが、これは非常に重要な資料になり ますので、出口がどういう形になろうとも3年という期限を切られておりますので、19ページ のいわゆる現行の後期高齢者医療制度、平成17年以降の分でございますが、それが下段でござ います。現行制度は法律が18年の6月に成立しておりますが、その制度設計の政省令の改正に 非常に手間取っておりまして、政省令が決まらないということはシステムの詳細が決まらないと いうことで、システム開発も非常にずれ込みました。  本来であれば20年の4月に制度施行でございますので、ここまでに政省令があらかじめ改正 され、システムも当然、この手前までに開発されまして、少なくとも3か月ぐらいはテストの期 間が必要でございました。3か月ぐらい手前にテストの期間があったんですが、結果的に制度が 始まった後にシステムのテストが入ってきたということで、非常にシステム的にも不安定なまま で始まったという経過がございます。  今回も上段が、今回のスケジュールでございますが、平成25年の春から制度施行ということ になっておりますので、出口の保険を担う部分がどうなろうとも、制度の作り込みと、特に政令、 省令の作り込みを早目にやっていただかないと、現場ではシステム対応ができないということに なりますので、前回の反省点を踏まえて、そうならないようにということで、スケジュール比較 をお願いしているところでございます。  それから、やはり出口ベースで言いますと、我々全国市長会としましては、都道府県へ国保を 一本化した上で、保険者が、都道府県が担うべきだという考え方を一貫してとっておりまして、 現行の後期高齢者医療制度のときにも保険者は都道府県で担うべきだということで、ずっと主張 しておりましたが、最後に国保に対しまして新たに県の方が医療費の負担、いわゆる7%分が財 源として入るということで、最後市町村の広域連合ということで決着をしたわけでございます。  ただ、市町村の広域連合で今担っておりますが、大体市町村から職員が派遣されている期間と いうのは2年くらいではないかと思います。全国的にもほぼ2年、長いところで3年。というこ とは1年ごとに広域連合の職員が半分入れ替わっているということになります。これではスキル を非常に積み上げにくい状況でございますので、我々はそのスキルをしっかり積み上げるという ことも将来必要だと考えておりますので、やはり保険者は都道府県が担うべきであるということ で、全国市長会としてはそういう考え方で、これからもまた意見を申し上げさせていただきたい と思います。それを申し上げておきたいと思います。  スケジュールにつきましては、是非、厚生労働省の作業の中でもきちんと施行に間に合うよう にということをお願いしておきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。   ○岩村座長  ありがとうございます。システムの関係というのはどの制度を変えるときでも非常に重要な問 題でございますので、大変貴重な情報をいただきました。ありがとうございます。  それでは、小島委員、お願いいたします。   ○小島委員  私も参考資料に意見書を提出させていただいております。委員配付資料の20ページからにな ります。3点ほど申し上げたいと思います。20ページにあります後期高齢者医療制度の問題点 については、前回も話をしました。基本的には年齢で区別するという問題と制度の持続性からい って問題がある。そういう観点で抜本的な見直しが必要だということです。  具体的に連合としてはどう考えているかというのが21ページの、連合の考える「退職者健康 保険制度」ということであります。  基本的に、医療保険の制度としては、加入者の所得あるいは就労形態といった同一性を基本に すべきだということです。そういう意味では、地域保険であります国民健康保険と職域の健康保 険、被用者健康保険と大きく言えば二本立ての制度を引き続き維持すべきだと考えております。  では、現役の被用者健保から企業を退職したサラリーマン、OBの皆さん、退職者の問題をど う扱うかということであります。これにつきましては引き続き退職した後も被用者グループにと どまって被用者全体で支えるという考え方が基本です。これは従来の議論経過でいうと「突き抜 け型」と言われる考え方であります。連合は、これは退職者健康保険制度と仮称でありますが、 そういう呼び名を使っておりますけれども、そういう制度にすべきだということであります。  概要は下の21ページの図1にあります。   ○岩村座長  恐縮ですが、資料が2ページほどずれていますので、今の御指摘の図は23ページの下の段と いうことになります。   ○小島委員  失礼しました。23ページの下の図であります。ここにありますように、右側の方が被用者グ ループの健康保険、左側が地域保険であります。国民健康保険という大きな2つのグループとい うことで、右側の被用者グループにつきましては、現役のときには、健保組合、共済組合、協会 けんぽの被用者保険に加入して退職した後は、退職者健康保険に加入するという形で、引き続き 被用者グループ全体で支える、そういう制度として考えるべきだということです。  退職者の保険料負担については、事業主負担がありませんので、そこは現役の被用者健保から 事業主相当負担分を支援するという形で支える。そして、現役から退職後も生涯被用者グループ で支えることによって健康づくり、予防対策、そういうものを一貫して行うという考え方が妥当 ではないかと考えております。  それと、国保との負担の不公平感、これをどう是正するかということについては、公費負担の 度合によって、負担の不公平を是正する、そういうことで考えるべきです。基本的には、70歳 以上からの公費を5割に拡充していくということ。この70歳をさらにもう少し引き下げるとい うことも検討していいんではないかと考えております。  なお、市町村国保については、現在1,800弱ぐらいありますが、この市町村国保では財政 が極めて厳しいということですので、これは、都道府県単位くらいに広域化するということで財 政基盤の安定化させる。そこに中心的に公費を投入するということも検討すべきではないかと考 えています。  その内容については、24ページに制度設計の仕組みが記載されております。そこは省略しま して、次の25ページの3.に「突き抜け方式」の退職者健康保険制度を設立した場合の課題と して、国民健康保険への財政的影響について記載しています。  現在、退職された多くのOBの皆さんは、厚生年金あるいは共済年金等の年金受給者というこ とで、それなりに国民健康保険の中では保険料を負担していただいている。それは、国民健康保 険にとっては財政的にプラスでありますけれども、その人たちが国保から抜けてしまうというこ とになりますと、国保財政への影響が出てきます。そこについては、先ほど言いました市町村国 保を都道府県単位くらいに広域化し、高齢者に対する重点的な公費負担で対応するということが 必要ではないかと考えております。  もう一つ、被用者保険の課題としては、雇用労働者の健康保険への適用拡大、これも併せて行 うべきだと考えております。現在、市町村国保の4分の1程度は雇用労働者が加入している。あ るいは半分以上が無職という加入世帯になっております。無職の世帯のうち10%ぐらいは60 歳未満です。いわば失業者というような人たちもいますが、こういう人たちは、本来は被用者健 保でカバーすべきだと思います。国保に加入している雇用労働者あるいは失業者等についても、 基本的には被用者健保でカバーをしてくるということが必要だと考えております。  最後にもう一つ、連合が考えております、退職者健康保険制度、「突き抜け方式」では保険者と してだれが運営していくか、加入者の管理、保険料徴収をどう考えるかということにつきまして は、次の27ページになります。現在、協会けんぽが保険料設定あるいは保健指導などについて は、都道府県単位の運営を中心にしていくということでありますので、退職者健康保険制度の運 営を協会けんぽの都道府県支部に委託をする。地域に居住している退職者、OBの皆さんの加入 者管理等は、協会けんぽ、都道府県の支部に委託をするという形で運営するということであれば、 保険者機能としての運営が可能ではないか、そこに現役の被用者健保の代表と、加入者の代表で 運営の責任を負う、そういう協議の場をつくることを検討すべきと考えております。   ○岩村座長  どうもありがとうございました。  それでは、見坊委員、よろしくお願いいたします。   ○見坊委員  ただいまの資料の28ページ、29ページからでございます。  私ども高齢者は、どうしても戦後の昭和20年、そのころからの経緯というものを思い返しな がら、いろいろ新しい事態に即した考え方というものを教えていただいておるわけでございます。  我が国の高齢化社会対策の取組は、高齢者1人に対して年少者が7人以上おりました終戦直後 から始まっております。当時の老年人口は370万人でありました。そのころから今日まで60 年、生命、健康の保持、医療保険の普及、これを最も重要な課題として高齢化社会対策の取組が 行われてきております。その基本的な理念とか、対策、制度、これは時間と手間をかけながら構 築され、今日に至っておるわけです。  制度は、公と民間の協力で成果を挙げることができることは言うまでもありません。国際関係 の動向にいたしましても、国内の現在の基本法にいたしましても、私どもが国民運動として取り 組んできた成果であると自負しております。その経緯を大切にし、確認しながら、方向性を維持 していきたい、こういうふうに考えているわけであります。提出いたしました資料の説明は細か に申し上げるまでもありません。  ただ、大きく3点ほど書きました。前提として、国際関係の高齢者のための国連原則でありま す。5原則18項目からなっております。その後、国際高齢者年の取組がありました。国内法と しては、高齢社会対策基本法、これは1995年にできております。この中に医療の問題、考え 方が入っているわけであります。  私たちは、単に高齢者の医療制度とか、高齢者の健康保持とか、そういうところだけを問題に しているわけではありません。むしろ、次の世代の方々の制度をよりよいものにしたいという思 いをもって、場合によっては自分たちも少し負担をためらわないで行う、そのくらいの考え方で やっております。  高齢者の資質と尊厳が守れるような、そういう制度でありたい。特に、低所得者、障害者、そ うした方々に温かみのある制度にしていただきたい。  それから、制度は国民だれもがわかりやすく、公平なものでなくてはならない。医療サービス は、一人ひとりの状態において提供されるべきものであります。年齢によって輪切りにしたり、 高齢者だからといって、あるいは優遇するというようなことは現在では通らないわけであります。  公平というものにつきましては、今までの論議は、すべて財政的な角度あるいは負担の額、保 険料や窓口負担、そうしたことに重点が置かれて議論されてきたように思いますが、果たしてそ れでよいのか。私はその前に医療の提供が公平に行われているか、そういう観点で論じる必要が あると思います。年齢によって医療費が多くかかる、そういう状況になるのは当然のことだと思 っておりますが、そのために、医療が抑制されたり、医療費の適正化と称して制限されるという ようなことがあってはならないことです。  そして、高齢者が理解して選択できる制度にしてもらいたい。高齢者が理解して、選択できる ということは、若い人たちにも分かる、理解できる制度ということを言っております。医療保険 制度は非常に複雑で、それぞれの利害関係の調整に手数をかけている。それが繰り返されて、今 日ではつじつまが合わないような状況ができていると見ております。もっと簡潔なわかりやすい 制度につくり直す必要がある。国民全体が、場合によっては基本的な部分は共通の制度をつくる。 その上にそれぞれの上積みができるような制度ができないものであろうか。5年や10年ででき るとは思っておりませんが、戦後の60年間の歩みを考えますと、これから先、今の若い人たち が高齢期になる、その時代に向けて時間をかけながら進めていただきたい。  そういうことで、説明を終わらせていただきますが、事務当局にお願いしたいと思っておりま すのは、介護保険や老人福祉を所管する老健局、あるいは障害者とか低所得者対策を所管する社 会援護局、そうした関係部局との連携を密にしていただきたい。基本、共通の認識と方向性を誤 られないようにお願いしたいと思っております。  なお、1つ副大臣、政務官もおられますのでお願いしたいのですが、高齢社会対策の基本法、 これに伴って対策の大綱がつくられておるわけでありますが、最近この大綱が書き直されていな いように思います。新しい時代になって、政権も交代した。この段階で1つ大綱の再検討をお願 いしたいと思っております。  以上でございます。 ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、時間が大分かかっておりますので、大変申し訳ないので すが、手短にということでよろしくお願いしたいと思います。  小林委員、どうぞ。   ○小林委員  協会けんぽの小林でございます。私どもの意見は、35ページから37ページにまとめてあり ます。これは前回の意見をまとめさせていただいたわけでありますが、費用負担について、それ から運営主体について若干敷衍したいと思います。  協会けんぽの保険料率のうち約4割は高齢者医療制度への拠出に充てられておりまして、今後 もこの割合は上昇していくことが見込まれており、現役の方の保険料負担という点では非常に重 くなっております。  現役世代の賃金に対する負担も、おのずと限界があると思いますので、現役世代の理解と納得 が得られる仕組みにするという上でも、社会全体で支え合う観点から公費の役割の拡大を検討し ていくことが避けて通れないと思っております。  それから、運営主体についてですが、協会けんぽは一昨年の10月に設立されまして、まだ1 年余りということでありますから、十分評価できる段階にはないと思いますが、昨年の9月に都 道府県単位、従来ですと全国一律だった保険料率について、都道府県単位の保険料率を導入した ということ。それから、都道府県の支部ごとに労使の代表と有識者からなる評議会を設置してお りまして、保険料率の設定に際しましては、給付と負担の両面にわたり幅広い議論が行われまし た。また、支部ごとに、ジェネリック医薬品の使用促進策だとか、あるいは医療費分析など、医 療費の適正化に向けた取組も行われてまいりました。  こうしたことは、地域の実情を踏まえた保険運営という点ではよかったのではないかと考えて おります。また、このように各地域の実情を踏まえた保険運営ができること、医療提供の体制は 都道府県単位で整備されているということもありますし、医療サービスについても一定程度市町 村単位を超えた広域で行われている実態があると思っております。  したがいまして、新しい高齢者医療については、現在も県単位の広域連合が保険者となってお りますが、この点、引き続き保険運営を都道府県単位とすることを基本として考えていくことが 重要ではないかと思っております。  以上です。   ○岩村座長  ありがとうございました。大変手短に要点を述べていただきまして、御協力ありがとうござい ます。  それでは、近藤委員、お願いいたします。   ○近藤委員  私が配付をお願いした資料は、38ページから60ページまで、21ページもありますので、 このうちの前3分の1を中心に簡単に御説明させていただきます。  私が言いたいのは、40ページの上にありますような保険財政の話、先立つものはお金ですの で、とても大事だということは分かるのですが、集めたお金でどういう医療内容を届けるかとい うこと、さらに増える高齢者に提供する医療の中身として大事なのかということ、その骨子の部 分を、今度の新制度に是非入れるべきだというのが私の意見です。  先ほど、足立政務官のお話で、この会議とは別に、若い人たちも含めた医療、介護の検討の場 を設けられるそうですので、各論部分はそちらに委ねるとします。しかし、ここは高齢者医療制 度改革会議ですので、高齢者に関わりの深い医療について、このようなことに対して手立てを取 るのだ、こういう改革を目指すのだということは是非うたうべきだと考えます。  42ページに行きますけれども、高齢者が増えるのに伴いまして、今後予想される変化は財政 面での制約だけではありません。そこで必要とされます医療ニーズ、介護ニーズも大幅な変化が 予想されます。それは今までの継続、延長線上で解決できるような問題とは思えません。10年 後どのような医療提供システム、中身をつくるのかということを構想して、そこから逆算して計 画を練るようなことをやらないと追いつかないものだと考えます。  43ページに行きますが、1つ参考になる取組がイギリスにあると思っております。イギリス が日本よりも約10年前に、今の日本と同じような「医療崩壊」と言われるような状況を経験し て、そこから立ち直るときに、10か年戦略を立てて中間評価等も織り交ぜながら取り組んでき た実績があります。それをナショナル・サービス・フレームワーク、NSFと呼んで、国民的な 論議を経て、各疾患領域別につくっておりまして、そのうちの1つに高齢者医療版というのもあ ります。そのようなものを参考に、言わば日本版NSFというようなものを構想すべきではない かと考えます。  44ページでそういうものをやるとすれば、このようなことが大事ではないかということを、 いくつかメモしました。要するに10年後の目標を設定して、それを実現するための手立てを考 えてモニタリングしていくというような考え方がとても大事だと思います。  45ページですけれども、具体的にどのようなことが今後さらに進む高齢化で大事になるのか、 中身の面で予想される変化なのか、どういう手当が必要なのかということをそこに挙げておきま した。  中身につきましても[1]の介護予防から[6]の緩和ケアまで、いろんな領域がありますし、こうい うことを支えようと思いますと、どういう人材を育てるのかということ、あるいはモニタリング をどう行うのかということ、いろんなことを総合的に設計しておかないと、これは実現しないだ ろうと考えます。各論については別の会議でやるにしても、この会議で検討する新制度にもこの ような柱となる考え方については是非盛り込んでいただきたいというのが私の意見です。   ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、続きまして、齊藤委員、よろしくお願いいたしま す。   ○齊藤委員  経団連の方から御提案させていただいているのは61ページでございます。その中でいろいろ 書いておりますけれども、今日は4番の医療保険制度というのを中心に意見を述べさせていただ きたいと思います。資料は後ほど目を通していただきたいと思います。  まず、我々といたしましては、少子高齢化が急速に進む中、高齢者医療制度の持続可能性や安 定性の確保を目指すということで、我が国の将来の人口構成を踏まえますと、従来の世代間での 扶助を基調とした制度というのは限界があると考えておりまして、これを前提に以下6点申し上 げたいと思います。  まず、第1点は、後期高齢者医療制度が創設されまして、財政・運営責任の主体や負担ルール を明確にした、この辺は、旧老人保健制度の問題点を解消したということでは評価できますので、 この点については新制度におきましても取り入れるべきだと考えております。  第2といたしましては、年齢で区分する問題を解消するということであれば、生活スタイルが 大きく変化いたします公的年金の受給者を被保険者としていくような体系というのはいかがかと いうふうに考えます。  第3番目は、これは小林委員もおっしゃいましたけれども、現在の後期高齢者医療広域連合を ベースに、その運営というものを行うことが望ましいと思われます。  第4点でございますけれども、保険給付財源につきましては、これはいわゆる現役世代の保険 料に依存するということには限界がありますので、高齢化の進展を踏まえつつ、高齢者医療制度 への公費投入割合を高めるということは不可欠だと考えております。そのためにも税制改革の議 論がセットで行われるべきではないかと考えます。  第5番目に、国民皆保険を守る観点からは、是非、自助、自立ということで、見坊委員からも おっしゃいましたけれども、高齢者にもその負担能力に応じた適切な負担というものを求めてい くべきではないかと考えております。  第6番目は、制度の公平性といった点についてですが、何をもって公平というかというのは多 様な考え方があろうかと思いますけれども、被用者保険の医療費適正化に向けた取組をきちんと 評価していただくという、いわゆる保険者機能につきましても、やはり公平性の観点から重要で あると考えており、努力した分をよそに持っていかれるという制度間の財政調整については断固 反対したいと考えております。  以上でございます。   ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、続きまして、対馬委員、お願いいたします。   ○対馬委員  健保連の対馬ですけれども、資料としましては66ページをお願いいたしたいと思います。前 段のところは、時間の関係もありますので割愛させていただきまして、具体的な制度設計に若干 踏み込みたいと思います。66ページのちょうど真ん中辺りに、(1)基本設計とありますけれど も、65歳以上の高齢者を対象とする前期、後期の区別のない1つの制度とすべきだと、高齢者 の生活実態、年金制度、介護保険制度との整合性等から合理性があって、国民の理解も得やすい のではないかと思います。  ただ、年齢でもって区分はしないということを、その要因を重視するのであれば、そこから3、 4行ぐらい下にありますけれども、65歳以上でも勤めている方、これは厳格に区分するのでは なくて、若年者の被用者保険に継続加入ということも検討の余地があるのではないかと思います。  それから、(2)費用負担[1]公費ですけれども、一番下のところですけれども、介護保険、それ から年金、これは5割負担でございますので、その整合を考えますと、高齢者医療制度について も、5割が1つのめどではないかと思います。  それから、[2]保険料のところです。下から2行目のところです。これにつきましては、高齢者 と若年者のまさに人数比で分けざるを得ないのかなと、こういうふうに思います。そして、国保 と被用者保険、ここも所得の把握等も違いますので、ここも人数比でいって、それから被用者保 険の保険料、ここは基本的には負担能力に見合った形にしてはどうか。  ただ、ここが重要なんですけれども、5、6行目辺りにありますけれども、あくまで65歳以 上の高齢者の給付費に対する5割のめどの公費投入が前提でございます。  先ほど長妻大臣の方からごあいさつもございましたけれども、私どもの方が協会けんぽに対す る国庫負担の一部肩代わりという、これは基本的に政府の責任、国の責任で行うべきだろうと思 いますので、私どもとしては納得しかねるということでございます。  それから、真ん中より少し上、(3)の保険者でございます。保険者については都道府県単位と いうことはよくわかりますけれども、ここは行政から独立した方がよろしいんではないかと、自 主自立ということからもそうですし、また、保険者機能も発揮できるということもあるのではな いかと思います。  (4)、その他のところですけれども、やはりここに書いていますように、保険者機能が発揮で きるかどうかというのは極めて重要だと思います。  今日の資料では、特に公平の観点から様々な切り口ないしは資料が出されておりますけれども、 やはり保険者機能が発揮できるかどうかというところは非常に重要だろうと思います。  また、下から7、8行目くらいでしょうか、被用者保険と国保の一元的運用ということですけ れども、これは極めて問題があるだろうと思います。中身は割愛しますけれども、の一番上の所 得の把握一つとっても随分違うのではないかと思います。  68ページ目、II当面の対応でございます。私どもの財政は戦後最悪、過去最悪でございます。 これはやはり高齢者に対する拠出金的なものが非常に大きいということであります。上から9行 目ぐらいにありますけれども、協会けんぽは約4割と言われましたけれども、私どもは45.2% になっております。50%を超える組合も3分の1ほどあるという状況で、なかなか若人なり、 事業主なりの納得感は得られにくいといった状況であります。  したがいまして次の(2)で書いていますけれども、前期に対しましても公費の投入、さらに 大変厳しい健保組合には応分の国庫補助を是非お願いしたいと思います。  最後になりますけれども、IIIの社会保障のための安定財源の確保、これは必要不可欠でありま すので、できるだけ早期の議論をお願いしたいと思います。  以上です。   ○岩村座長  ありがとうございました。そうしますと、今日はまだ堂本委員がおみえになっていないんです が、資料を提出いただいている方としては、樋口委員と宮武委員ということでございますので、 最初に樋口委員、お願いいたします。   ○樋口委員  私は資料というほどのものはなくて、「後期高齢者医療制度の7つの大罪」と題して、この制度 ができたころ、そして、前政権の検討委員会ができましたころ、こういうふうに問題点を整理い たしまして、講演会やシンポジウムで話していただければ、レジュメでございます。  私のこのような意見は感情的な反発にすぎないといって、かなり批判されましたけれども、や はり国民を感情的にさせるような政策というものは、やはり問題があったのではないだろうかと 思っております。  ここに書きましたものの中で、説明責任不履行の罪、当事者不在の罪、名称の罪という3つぐ らいは、このように、今、改革会議が公開の場で開かれましたこと、そしてできるだけ事務手続、 事務局案も含めまして、こうした公開の場で透明性を持って論議される、しかも今回におきまし ては、75歳以上の当事者も数名加えていただいたということをもって一つの解決策が出てきた と思っております。  4番目の線引きの罪、これをやめるということが大前提でありまして、新しいあり方をつくる ということですから、これもよろしいと思います。  勤労意欲削減の罪というのは、今、皆様がおっしゃいましたように、75歳以上でも被用者保 険に入っている人たちの問題でございますから、これもまた解決すると思います。  天引きの罪、こちらの方も、これはかなり前に解決されたことと思います。運営責任不明確の 罪というのは、広域連合のことでございまして、これは結論がどうなるか私はわかりませんけれ ども、都道府県という一つの行政上の仕組みがあって、かつ市町村のような小さい単位では財政 的にも無理ということを思いますと、今回の御列席の知事さんや首長さんは、あるいは御反対か もしれませんけれども、我々素人の考えから言いますと、やはり都道府県がお引き受けいただく のが一番いいのではないかと思っております。  7つと思っていたらまだまだ足りなくて10ございます。1つは、主治医制度、これは先ほど 日福大の先生がおっしゃいましたけれども、今回の問題点は制度の問題と、医療サービスをどう 提供するかというもう一つの問題があって、どのような医療サービス提供が望ましいかというこ とをやはりきちんと論じていただきたい。これは私たちが今、歴史上始まって以来直面している、 やがて高齢者が3割から4割になろう、75歳以上も既に1割を超えてやがて2割になっていく、 こういう社会の医療サービスがどうあったらいいかというのは、本当に我が国だけでもない、世 界初体験のことでございまして、私はこれから人生百年を生きる若い人たちの未来のためにもよ い制度を今つくるべきではないだろうかと思っております。  後期高齢者医療制度をつくるときには、主治医制度すなわちかかりつけ医をつくって、そこを ワンクッションとして、次の段階に行くときには必ず主治医を通すというようなことを想定して いらっしゃったように伺っております。  今すでに鎌田先生の地域とか、それが十分機能しているところがあるんですけれども、それを 全国にいきなり援用するとしたら、主治医のあり方、GPを一体どう育てるか、今の制度の中で お考えになっていた何か月かの研修でもってかかりつけ医とするというようなあり方ではとても カバーできないもので、怖くてとても私は身を委ねることはできません。  前にもお話ししましたけれども、私、本日、生きてこんなことをしゃべっておりますのは、去 年の連休で大動脈流破裂のおそれという大手術を受けまして、そこで緊急手術を受けて生き延び たからでございます。  今の東京の小規模のかかりつけ医は、そこへ行ったら先生はいらっしゃいますけれども、血液 検査の設備もございません。そこで少し様子を見ましょうと言って帰されて、翌日では、血液検 査のできる少し大きい病院へ紹介しましょうかと、その結果が出るのに、1日か2日待たされて、 それからまた先に、大病院でCTか何を撮っていたら、私は大抵その間に死んでしまって、今、 ここにはいられないと思います。多額な手術費を使って、私は申し訳ないし、しかも、高齢者に 対する高額医療費保障制度、涙の出るような恩恵に浴して、私たちは立派な医療保険の国にいる んだということも実感いたしております。  しかし、同時に後期高齢者医療制度がその理念のごとく、今すぐ実施されたら、このようにし て先端医療の恩恵を受けることもなく死んでいく高齢者もたくさんいるんだろうと思って、これ はかなり恐ろしいことだと思っております。  しかし、もし、国民の合意が75歳以上になったら、天寿と思って、500万も600万もか かるような手術は遠慮すべきだ、そこら辺で引き取ってもいいんではないかというのが国民の合 意ならば、私も引き下がるよう仕方がないでしょう。  そういうことも含めて後期高齢者と言われる人に対して、医療サービスの提供がどうあったら いいかということは、是非かかりつけ医の問題も含めて御検討いただきたいと思います。  終末期医療制度でもそうでございまして、私は終末期に関する高額なお金のかけ方とか、延命 治療にはもともと原則として反対でございまして、むしろ、後期高齢者医療制度の中で、あんな 下手な出し方をされたので、国民の終末期に対する、ほぼ合意ができかけていたものを後戻りさ せたのが、私は今回の罪だったんではないかと思います。  この問題は、がん末期の方も含めまして、高齢者ばかりではございませんけれども、今、よう やく鎮静化して、ここにもう一度感情的にならずに論議に戻れるようになりましたから、終末期 の医療については、よく御検討いただきたいと思っております。  また、75歳以上の後期高齢者医療制度の中に、前期高齢者、65歳から74歳の重度障害者 が含まれていたということが今もって理解できないことでございます。あるシンポジウムに出ま したときに、重度1級、全盲の方でございました。編み物の名手でありまして、立派に生計を立 てて税金を払っている方が、何で障がいがあるからといって、その年齢でないのに、後期高齢者 の中に入れられるんでしょうかと疑問を呈していた言葉が忘れられません。  もう一つの資料は、TKC、「医療経営情報」という雑誌の中で、対談しております。後期高齢 者医療に必要なことといったらリハビリに関してもう少し書いていただきたかったなと思ってお ります。後期高齢者医療制度を作るときの骨子という、あれはなかなかよくできた文章なんです けれども、人を感情的にさせる十分な力がありました。でも、よくできている点もございますの で、高齢者に必要なリハビリというものをもっと書き込んでいただきたかった。介護部会はまた 別になさるということですけれども、家族や地域の変化というものに対して、私は介護保険の方 たちよりも医療系の方々の方が、日本の家族や地域が激変しているということについての御認識 が多少薄いんではないかと、思っております。例えば手術するといっても、今、肉親のサインが ないと、なかなかできません。これから、そういう人のいない高齢者が膨大に増えていくとき、 そういう成年後見的なことも含めて医療がどうあったらいいかということも是非御検討いただけ ればと思っております。  長くなりました。ありがとうございました。   ○岩村座長  いろいろ貴重な御指摘をありがとうございました。宮武委員にお願いしようと思ったんですが、 途中で退席されなければいけない方がいらっしゃるということですので、先にそちらに御発言を お願いして、それから宮武委員にということで、申し訳ございませんが、御了承いただければと 思います。  神田知事が途中で退席ということでございますので、よろしくお願いいたします。   ○神田委員  御配慮ありがとうございます。知事会の立場で、私の方から御意見を申し上げたいと思います が、前回の第1回の改革会議が終わった後、私ども全国知事会では後期高齢者医療制度改革プロ ジェクトチーム、このPT会議の第1回を開催いたしました。これから順次開催をし、この問題 について知事会としても正面から取り組んでいく考えでございます。  そこで、今日はその場で出た意見、それから私自身の意見も含めて、若干申し上げたいと思い ます。  今日、各委員さんから出たお話の中で、やはり制度設計、10年、20年、30年先を見据え て、議論する必要があるということでございます。これは当然です。後期高齢者医療制度、わず か1年で廃止の方向を出すなんていうのは恥ずかしいことだと思います。  そこで、中長期的な観点でこの問題を考える上で、これは事務当局の方にお願いでございます けれども、データやら資料を改めてお願いしたいと思います。それは、この議論を行うに当たっ てどうしても必要不可欠なものとして、今後、急増が見込まれる高齢者の医療費の推移、それか ら高齢者医療、市町村国保、健康保険などの保険区分ごとの医療費や公費負担、保険料、支援金 などの財政調整、それぞれ将来推計を是非とも示していただきたい。こうした将来推計を考えて みることがなくて、これからの制度設計をどういうふうに議論するんだろうと思います。  それから、加えて、恐らくこれから議論が進んでいく方向としては、従来のパターンでは、リ スク構造調整方式、あるいは突き抜け方式といった案が議論の俎上に上がってくるわけでござい ます。こうした方式について、これも必要であればこちらから項目をお示しいたしますので、し っかりとした将来推計を最新のデータの下に、わかりやすくおまとめいただき、お示しいただき たいと思います。  つまり、結局のところ、そうした将来の推計やら、見通しを踏まえませんと、どちらが責任を 持つんだろうかというようなフレームづくりだけの議論に集中してしまいます。是非ともこれは お願いを申し上げます。  それを前提にして、まず、第1点目に申し上げたいのは、これは実は前回も少し申し上げたこ とでございますけれども、現在、厚労省から示されております、この会議のスケジュールであり ますけれども、今年の夏までに中間的なとりまとめをするということについて、大変懸念を持っ ております。これは、先ほど申し上げた知事会のプロジェクトの多くのメンバーも全く同意見で あります。  先ほど、市長会の立場で岡崎委員さんから資料のペーパーのお示しがありました。これは、現 在の後期高齢者医療制度が導入される政省令の整備やらあるいはシステム開発について有益な指 摘をされたわけであります。確かに実施される前の年の秋に来るはずのシステムがなかなか来な くて、年明けまで来なかったというのは、我々も現場でどうなっているんだろうという気がいた しましたので、この指摘はとても重要でありますけれども、このスケジュール表を見ると、実は 中間とりまとめやら法案提出までが、これだけしかないということが、また、極めてはっきりし てまいりました。  今回、私は、今度制度設計に失敗したら、本当に日本の皆保険制度というのはどうなるんだろ うと。それから去年のあの大騒ぎをながめております中で、今度の制度に間違いやら、あるいは そごやら、あるいは国民感情と乖離した問題があるとすれば、これはとんでもない政権の大きな 失敗になっていくものと思います。しかも、医療保険制度全般に関わる問題でありますので、果 たしてこういう会議があと何回できるのかというレベルです。もっと十分に時間をかけてしっか りと議論することが必要だろうと考えているところでございます。  先ほど申し上げた将来推計も踏まえて、これからどのような方向で議論していくのか、本当に 真剣な取組が必要だろうと思っております。  それから、いろいろこれまでの議論の中で、どういうふうな見直しを行うにしても、現在の市 町村国保、ここが重要な役割を果たすことは間違いないと思います。それだけに先ほど来、その 一元化だとか広域化という議論も出ているんだと思います。  この国保が、これからどうあるべきなのかということを議論する上で、当然のことながら、現 在の国保の状況を御理解いただく必要があるんだろうと思います。その適任は勿論、直接携わっ ておられる市長会であろうかと思いますけれども、私どもも県の立場でかなり密接に関わってお りますので、若干申し上げたいと思いますが、市町村国保の現状でありますけれども、御承知の とおり、なかなか十分に賄いきれずに一般会計からの繰入れをかなりの財源を使って行っており ます。公表されました平成19年度のデータで見ますと、いわゆる法定繰入れ、それから法定外 で、市町村が任意で繰り入れておられるもの、合計して1兆1,700億円を超えます。法定外 でも3,800億円であります。合計して、先ほど申し上げたように、1兆1,700億円。仮 に都道府県単位に広域化しても、その問題は全く変わりません。これは市町村国保にある構造的 な問題であります。  先ほどの繰入れ状況は、それぞれ市町村によって違いますし、都道府県によって違います。繰 入れ後でも実は都道府県レベルでは、700億円を超える赤字が残るところもございます。もし、 こうしたフレームをそのままにして、その広域化ということになりますと、巨大な赤字団体を生 み出すことになります。これはそら恐ろしいことにもなります。  私は、こういった都道府県単位の広域化ということに否定するものではございませんし、大変 重要な指摘だろうと思っておりますけれども、基本的に今の国保の構造は低所得者が多い、無職 者が多い、高齢者が多いということで、なかなか保険料の収入は困難という本来的な性格がござ いますし、運営上の構造的な問題がございますので、加えて地域差がすこぶる大きい、あるいは そうした背景になる要因がこれもばらばらです。  したがって、そんなことを考えると、これから国が十分に下支えをするという覚悟はありませ んと、これはとても受け皿になるべき国保ではない、そのように思っているわけであります。  なお、たしか前回、これは横尾委員さんでしたか、京都府の研究会の報告のことを、今日は資 料に出ております。京都もいろんな研究を続けられておりますし、知事会のPTのメンバーでも あります。ただ、京都府の検討は、よく読んでいただければ分かるんですが、あくまでも国庫負 担割合の引き上げなど、国の責任をきちんと果たす、安定的な財源を確保するということが前提 になっての議論であります。その点も十分御理解いただきたいと思います。  私ども県の役割、県の責任、県の守備範囲、こういうものを勿論十分認識してこれからPTで 議論するつもりでありますけれども、今、申し上げた根本的な枠組みをどうするのか、あるいは 制度設計をどうするのかというのを、先ほどのような、これから2か月、3か月、4か月、本当 にそら恐ろしくなるようなスケジュールの中で、どんな議論ができるんだろうかということをと ても心配しているわけであります。  したがって、たしか前回でしたか、小委員会的なものを考えたらどうかという、どなたか委員 さんからの話もありました。当然そういうこともどんどん導入する必要がありましょうし、さら に言えば、あまり後ろを、政治的に結論の時期を切ってしまうのではなくて、やはり必要な議論 はじっくり、前回私はどんどんアンケートもとってくださいと、それから、広域連合なんていう のはたかだか全国に47しかありませんので、1件ずつ回ったところでしれたものです。そうい うようなことも積極的にやっていただきたいということを申し上げたわけですけれども、どうか あまり現在のスケジュールをコンクリートして、それに拘束されて、拙速な議論にならないこと を切にお願いしたいと思います。  いろいろ申し上げましたけれども、我々も知事会としてこれから真剣な議論をしていくことを 改めて表明して、これは私からのお願いやら意見とさせていただきます。ありがとうございまし た。   ○岩村座長  神田委員、どうもいろいろな御指摘をありがとうございました。  そうしましたら、宮武委員、それから堂本委員が到着されましたので、今日御提出いただいて いる資料について、それぞれ簡単に御説明あるいはコメントをいただいているところでございま すので、お願いをしたいと思います。  まず、宮武委員からお願いします。  あと、まだ今日御発言いただいていない方もいらっしゃいますので、その発言の時間も確保し たいと思いますので、その点に御配慮いただきながらということでお願いしたいと思います。   ○宮武委員  資料は75ページから4枚ほど拙文のコラムを載せておりますけれども、あまり時間がござい ませんので、かいつまんで申し上げます。  1つは、新しい制度の枠組みについては、長妻大臣の方から6つの原則が出たわけで、その原 則に則って議論をしていくことになるわけでありますが、この枠組みは何を目的にしてあるのか というと、基本的には高齢者にふさわしい医療というのは何かというためにつくるということで ございますので、そういう意味では、近藤委員や樋口委員がおっしゃったことと同様に、高齢者 にふさわしい医療とは何かということについて詳細な議論は診療報酬も含めた形でやらなければ いけませんので、ここではとても難しいけれども、少なくとも基本的な方針、基本的な考え方に ついては、ここで打ち出すべきではないかと思っております。  2点目でありますけれども、今、神田委員がおっしゃったように、国民健康保険の位置づけと いうのは大変重要でありながら、実はほとんど理解をされていないというのが現状ではないかと 思います。私は今日提出した中の80ページのところでございますが、ポンチ絵にしております けれども、市町村の国民健康保険を概念として示しますと、80ページのような図になるのでは ないかと思います。  市町村国保は、国民皆保険を守るために大地上に広がっている基盤でして、被用者の保険制度 は、この大地の上に立っているビル群のような存在です。お勤めになった方は、そのビルの中に 入って、そして定年退職なり、中途退職なり、あるいは不幸にしてリストラに遭うと、地面であ る居住地の国民健康保険に受け止めてもらえることで、皆保険体制が成り立っている。  ただ、市町村の国民健康保険、もともと零細な事業所の従業員、派遣労働者に代用される非正 規労働者、そういう方が多いわけでありますので、収入は低く、医療費は高い、しかもこれから 高齢化が進展するに伴って、この被用者のビル群の方からどんどん定年退職者が入ってくるとい うことです。高齢化が進んで医療費がかかる。ここを何とかして再建しないことには皆保険体制 そのものがもたない、私なんかが言うのは、釈迦に説法ですが、お許しください。  今回の高齢者医療制度というのは、75歳以上の方たちを分けて、市町村国保をある意味では 強化されようとされたのですが、その反面で、同じ地域に75歳以上の方の地域保険と75歳未 満の地域保険とが並存するという非常に不自然な形に陥ったわけです。しかも、1,800も市 町村がある中で、75歳未満対象になっても市町村の国民健康保険は、これから持続可能かとい うと、とてももたない国保が続出するのではないかと思われます。  そこで、それをドッキングするということで皆さんほとんどの方が都道府県単位の国保に切り 替えていけとおっしゃっているわけで、その合意が成り立っていくのであれば、次回以降でもう 少し詳細な県単位の国保というのを、県が直接運営すべきなのか、それとも県内の全市町村参加 の広域連合でやるべきなのか、そこのところをもう一度詰めるための詳細な資料を提出していた だきたいと思っております。  これに関連して申し上げますと、連合だけが突き抜け型ということを言っておられるわけで、 それは1つの考え方だと私は思うのですが、そうすると、逆に言うと、お勤め人でありながら、 勤め人扱いされていない零細な事業所の従業員や非正規労働者というのは、おいてきぼりにして いいのかなと、思うわけです、次回、小島さんと議論をしたいと思っておりますが、1つだけお 聞きしたいのは、では、突き抜け型に切り換えた場合、過去にお勤め人であった方たち、OB、 OG、これはそのまま「残念でした」と、そのまま市町村国保に残りなさいとおっしゃるのか、 それとも過去の職歴に合わせて、新しくできる突き抜け型の方に呼び戻されるんでしょうか。そ れだけはちょっと教えてください。呼び戻すということになると、職歴を全部探していかなけれ ばいけなくて、国保版の記録問題になるんではないかと私は思うくらいで、大変な作業ではない かと思っております。  3点目でございますけれども、いずれにしても医療費というのは、保険料と公費と支援金ある いは拠出金で構成されるわけであります。それのシミュレーションがないとここで議論が進まな いと思います。シミュレーションは様々ありますけれども、一番代表的に言えば65歳から74 歳までの方の払っている保険料というのは、おおむね医療費、その年齢層でお使いになる医療費 の2割でありますので、保険料を2割としたときに、公費の投入はゼロであれば、支援金はどれ くらい必要なのか。3割に公費を投入したら、5割に投入したらという形で大まかに分けた上で、 支援金がどれくらい必要なのかという資料を次回以降お出し願えないか。  その際に、支援金の出し方も人数割でやると、どういうメリット、デメリットがあり、報酬割 にすると、どう評価が分かれるのか。そこも含めた形の資料が事務局からお出しいただけると大 変ありがたいと思っております。  以上であります。   ○岩村座長  ありがとうございました。今、宮武委員から小島委員への御質問がありましたが、ちょっと時 間の制約もありますので、それは次回、白熱した議論をやっていただくということにさせていた だければと思います。  それでは、最後、堂本委員、お願いいたします。   ○堂本委員  ありがとうございます。今までに大変に技術的なお話がたくさんありました。資料を拝見して もそれぞれ積極的な御意見がたくさん出ているわけなんですけれども、私はあえて資料を出させ ていただいたのは、この前公平の観点から議論をしていただきたいということをお願いしたから です。  そして、実際に公平の観点から新制度の枠組みに関する論点という資料をつくっていただきま して、このことについて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。  ただ、ここに示された資料をさらにもう一歩進めて議論する必要があるんではないかというこ とです。今までの医療制度改革では、その都度、利害関係が対立して、その調整が行われてきま した。  今回も同じプロセスを繰り返すべきではありません。高齢者がこれだけ増えるということは世 界的にもないわけですし、こうした高齢化に対してどのような医療体制を構築できるかが、私た ちの新しい挑戦でもあり、同時に実験をしているような段階かと思います。そのときに財政的な 調整が優先され、高齢者の負担はどうするのか、保険での負担、さらに税金をどれだけ投入する のかといった技術的な議論に終始すると、そこにまた次なる不公平が生まれてくる可能性があり ます。今回は、誰もが納得できるような議論でスタートをするんだということを是非とも訴えた くて、資料をお出ししました。  どうしても一つ気になったことは、今も皆保険が壊れてしまうんではないかという話がござい ましたけれども、やはり国民皆保険制度を構築してきたということは、それぞれが連帯していく ということが基本であって、例えば、若い人と高齢者との間の世代間の不公平ということが言わ れていますが、若い人も必ず高齢化するわけです。ですから、今、高齢者が5倍ということが書 かれているわけですけれども、高齢者が多額の医療費を必要とすることは当たり前のことでござ います。ですから、やはりそういったところで考えると、若い人がどれだけ負担をしていくのか ということ、そのことを高齢者と比較して、現段階で対立させるのはおかしいのではないかと思 います。  やはり、今、若い人もいずれは高齢化するし、実際に75歳以上の後期高齢者は、かつて多額 の保険を納めてきたという点を考えると、やはりそういった世代を超えた国民の連帯が不可欠だ ということをもう一回考えるべきです。  今までの歴史的な経緯を踏まえ大変複雑な制度を前提にして考えると、なかなか出口が見えて きません。私も知事をやっていましたが、都道府県と市町村との関係もあります。白紙の段階か ら、真の公平な制度について考えるべきです。  そこで資料に書いたように、公費、税金とそれから高齢者自身、そして現代世代や高齢者それ ぞれが払う保険料、保険者間の財政調整についての議論の中でどういったような公平な制度を構 築できるかということです。私の資料の3ページ目に書かせていただいたように、公平を具体的 にどう考えますかということで、3点提案させていただきたいと思います。  まず、先ほども述べたように、「頭を真っ白」にして「白紙」からの議論が必要だということで す。誤解を恐れずに申し上げますと、「真実」と「正義」からはずれた制度は長続きしません。そ の制度の中に、本質的な不公平や不満感を内在してしまうからです。  次に、一人の人の国民の生涯を見据えた負担を考えるということが大事なのではないかという ことです。繰り返しになりますが、今は若い人でも将来は必ず高齢者になります。またある時点 で高齢者の方も、若い世代にはその当時の高齢者のための負担をしてきたと言えます。この構図 は将来にわたって、それぞれの世代が平等に受け継いでいくのです。一時点だけを捉えた「世代 間の負担の公平」という議論は無意味であり、「世代間の負担の公平」という議論は存在しません。 平均的な国民一人ひとりが、一生涯を通じて、いつ、誰のために、いくら医療費を負担するべき なのか、若い時に誰のためにいくら払うのか、その受益はいつ受けるのかを考えると、このこと は自明の理だと思われます。  最後、3点目は、高齢者の医療費を誰が負担するべきなのかを議論する際の最大の論点である 保険料・保険者間の公平の検討にあたっては、その高齢者がそれまでの人生において、どのグル ープに属していたのかを可能な限り正確に反映できる制度にするべきではないですか、というこ とです。人が生活し活動する場面においては、それが地域社会であれ、企業社会であれ、その人 がその社会にいることにより、その社会は必ず利益をあげているはずです。そうであれば、その 人が高齢になってからの医療費も、その社会が受けた利益に応じて支払うことが公平なのではな いでしょうか。この点について、形式的・機械的な計算式で財源調整をするのではなく、報償責 任の原理に基づく代位責任が担保される計算式こそが議論されるべきと考えます。  第1回の会議においては、一例として、医療保険制度の加入歴に応じて按分して給付される方 法を申し上げました。被保険者一人ひとりの過去の保険制度への加入歴を正確に反映させること は困難だと思われますが、この基本的な考え方を踏まえ、財政調整する場合に、どういうデータ と計算式を用いれば最も近似の結果となるかを考えることは可能です。  アメリカのように社会保険のカードがあれば、一番それが早いのでしょうが、それは日本の場 合は、背番号制ということから大きな問題になるので難しいとしても、一人ひとり個別の制度で ある年金と保険の場合は本質的に違うと思うんです。治療が必要となった場合どこまでも医療サ ービスを、今まで受けられる皆保険の制度は日本の長所です。その制度のもとに、全体として医 療費がどれだけかかるのか、グロスとしてどう考えていくのかというところを、まずは出して、 次に財源調整をしていくべきだと考えます。  最初に政治家の方に是非お願いしたいと申し上げたことは、その場合に必ずしも医療制度だけ の中の問題で解決しない場合も起こってきます。その中で介護保険の問題あるいは福祉の方の問 題など、もっと医療費を軽減できるような関連領域もたくさんあるはずです。  社会保障制度全般にわたって後期高齢者の問題を考えていく必要があるのではないでしょうか。 政治家として大なたを振るっていただきたい。  最後にもう一度申し上げますと、あくまでも公平ということの視点で議論をしていくんだとい うことが、国民にはっきり分かるようなプロセスを私たちが踏んでいくことが大事だろうと思い ます。  ありがとうございました。   ○岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、残された時間があまりありませんけれども、もし お許しいただければ、若干時間を延長させていただいて、今日は総括的な議論でございますし、 これが最後で次回以降各論的な議論に入るということもありますので、まだ、御発言いただいて いない方を特に中心に、もし御発言があればお願いしたいと思います。  それでは、横尾委員、どうぞ。   ○横尾委員  ありがとうございます。前回資料を請求したものが出されているものもありますので、少し触 れたいと思います。  まず、最初は厚労省への激励でございます。資料1にありますように、現行制度対応について は、担保が必要だという言葉で申し上げたように、予算措置や法改正を急いでいただかないと、 全国の広域連合は2月、3月で新しい保険料を決めなければなりませんので、今のところの方針 ではそのとおりいくと信頼をしているわけでございますから、是非18日に開会する国会の中に おいての予算の確保、そして法令等の整備、是非急いでいただきたいし、また、都道府県にも、 神田知事さんが先ほど、お立ちになりましたけれども、同様のことを是非お願いしたいと思いま す。これは激励であります。  資料の件ですけれども、経過等について資料を出してくださいと申し上げましたのは、いただ いた資料の3を見るとおおよそ詳しいことが出ております。改めて私も見てみましたし、詳細に ついては、厚労省のホームページから当時の議事録も拝見させていただきました。  例えば24ページ辺りには、医療構造改革に関する試案が提示されておりまして、平成17年 10月19日、この辺りから本格的な最終の詰めに入っております。しかしスタートはやはり、 平成8年、9年からの議論、そして平成12年の参議院の委員会における附帯決議など踏まえて の対応がずっと続いております。17年には、実はもう「天引き」という言葉が入っております し、続く17年10月30日の社保審の医療保険部会の意見書では、「年金から徴収する」という 言葉も入っていますので、そういった中で、また新しい高齢者医療制度としては、どうあるべき なのかというのが出ているわけですが、私自身もちょっとわからなかったのは平成17年11月 30日、そのあと12月1日と、1日で政府与党医療改革協議会の案がまとまっているのです。 ここで一気にまとまっています。それまではどちらかというと、運営主体としては都道府県でい くのか、新たな広域連合みたいなものをつくるのか、市町村でいくべきなのか、その他でいくの かという、やや併記的な論調になっていますが、一気にここでまとめがされていますので、何ら かの政治的な経緯があったのかなと推測をしています。  いずれにしろ、こうやってスタートしたというのが1つ分かるところですが、先ほど来、議論 に出ているように、私も市長の1人ですので、市長会を通じて当時いろんな勉強もさせていただ きました。知事会、つまり都道府県においては、やはり財政的に負担が大きくなりそうな国保に 絡む、あるいは医療保険に絡む財政的なものを引き受けるのは、なかなか難しい面があった、そ のことが、全国知事会全員の合意には至らなかったという経緯も聞いておりますので、そういっ た困難さもあることを見据えながら、今後は保険財政のことも含めた議論を、こういった委員会 でもするべきだろうと改めて認識しました。  2つ目は、お願いした資料は「京都府の新しい試み」のことでございました。これも同じ資料 の75ページ辺りに記述がございますけれども、「市町村国保を都道府県単位で一元化をして、都 道府県がもっと積極的にこれに関わって運用すべきだ」と下の方に囲みで書いてあります。京都 府では75ページにあります山田知事を筆頭に、いろんな詳細調査をされながら新しい医療の確 保、そして医療保険制度のあり方ということを試みをされております。  また、次の76ページでは、今後、保険者としてどうあるべきなのかということについては、 3つ、4つの試案を書かれておりますが、恐らく今後詰めていかれると思いますから、こういっ たところも是非我々も参考にする価値もあるのではないかというふうに感じたところであります。 これらがいただいた資料に関することです。  それで、今日、事前にいただいた資料で言いますと、「本日の議題に関する基本資料」のことで 少し意見を述べさせていただきたいと思っております。  1つ目は、5ページですけれども、後期高齢者医療制度の問題点ということでございます。こ れまでの暫定的な対応についてメモ書きで書いてありますが、できればこの途中で、政令的な対 応で改善、減額あるいは軽減化等がなされております。たとえば、21年1月などございますの で、そういったことを書いていただいた方が今後のためにもいいのかなと思いました。  また、細かいところですけれども、下の高額療養費のところでは、「自己限度額」となっている ので正確には「自己負担限度額」だと思いますから、是非そのようにしていただいた方がより認 識が深まるかなと思います。  次に7ページですが、事務的に質問をしたのですが、あえてもう一度今後の議論で聞きたいの ですけれども、3の高齢者間の負担の公平性のことですけれども、「市町村国保及び後期高齢者医 療制度の被保険者は事業主がないことなどから、保険料に差が出ている」という記述がございま して、確かに事業主負担という名目はないのですが、公的に言いますと、国庫負担等があります ので、必ずしもそうではない部分もありますから、この辺の整理が必要なのではないか、あるい は、もしこのまま記述するとしたら、厚労省としての何らかの意味合いをお持ちだったら、それ も今後の議論の中で出していただくとありがたいと思います。  もう一つ大きな意見は、9ページ、10ページの運営主体に関するところでございます。1つ 目は広域連合のメリットとして安定化ということを書いていただいておりますが、実は安定化に ついては、確かにみんなが努力してやっているわけですけれども、財政的に見ますと、財源がす べて市町村から改めて出していただくため、それぞれの議会の議決、予算議決をしなければなら ないというところが必ずつきまとっておりますので、これは一概に安定化と言い切るのはなかな か無理があるのではないかと感じるところでございます。  2点目には、先ほど岡崎委員さんもおっしゃったように、「精通した市町村の職員を確保できる」 という論調の記述なのですけれども、2年、3年の異動ローテーションもございますし、仮に派 遣できる職員がいても必ずしも保険ばかりをやり精通した者とは限らない面もございますので、 これはかなり無理のある表現ではないのかなと感じられます。実態に即していかないと、必ずし も運営が順調に行かないのではないかということが感じられたところであります。  10ページ、今度は都道府県のところで、デメリットとして「事務処理に関するノウハウの蓄 積がない」という記述になってはいるのですけれども、これまでも県におかれましては様々な行 政の項目あるいは課題等につきまして、施策の推進も含めて、市町村に対しまして、国と連携を しながら指導・監督をきちんとなさってきておられますので、都道府県の場合は確かに直接では ないかもしれませんが、そういった指導・監督ができる経験もお持ちのわけです。ということは、 その前提として制度を熟知されているというわけでありますので、この辺については、必ずしも 全部は当たらないのではないだろうかという気がしました。  また、下の方で、窓口業務は市町村が行うことを前提として処理となっているのですが、例え ての項目で言いますと、例えば県民税等の場合は、徴収事務を市町村に事務委託をして行ってい る例もございますので、すべて市町村というわけではなくて、より大所高所から、先ほど何人か の委員さんからも出ておりますように、広域化、一元化の一つのメニューとして都道府県、そし てその中での事務のあり方という検討もきちんとすべきではないかと改めて感じたところでござ います。  また、全般に感じることで思いましたのは、先ほど池上委員から資料で御提示がありましたよ うに、後期高齢者の前の前期高齢者を含めて65歳以上、75歳以上といいますと、確かに急激 に医療費の増大が現れておりますので、この辺をどうするかということを踏まえてやる、そろば ん勘定の「勘定」の議論と、もう一つは「年齢で区別をしてしまうとよくない」という心理的な 「感情」の理論と両方ありますので、是非、これらを踏まえて我々も今後詰めた議論をして、財 政がきちんと回るということをどのようにしていくかということを是非考えていかなければいけ ないと、改めて感じているところでございます。  以上です。   ○岩村座長  大変ポイントを突いて、要領よくお話いただきましてありがとうございました。  それでは、山本委員、どうぞ。   ○山本委員  前回欠席したものですから、前回のことはわかりませんが、医療の制度そのものを考えていく 場合は、医療費が、どれくらいになるのかということがわからないと、制度をつくることは不可 能ではないでしょうか。制度のあり方だけ議論しても、医療そのものは全く無関係になってしま います。保険では、上げるなとか下げるなとか言っても、医療がわからないのにそういう議論は できないと思います。本当に本格的改正をやるとするならば、その辺の資料をもう少しいただい たほうがいいのではないかと思いますので、お話ししておきたいと思います。何かをつくろうと しても、一番大事なものが抜けていたら、本当の制度をつくることは難しいのではないでしょう か。御理解をいただければと思います。  その次ですが、私ども町村では、国保というものは非常に大事な保険になっています。ですか ら、簡単に上げたり、下げたり、廃止したり、こっちにしたりするということではなくて、もっ と考ええて、保険というのは一本化すべきだと思います。県単位なら県単位で一本にするか、で きれば国単位でやってもらうのが一番いいのですが、なかなか難しいでしょうから、その一つの 過程として県単位で、保険の一本化をしていけば、先程言った医療と保険というのが同じように 見えるようになるのです。保険の一本化を行うように進めていくということを、議論のテーマに していただくと助かると思います。  そうしますと、先程もお話があったように、県でやれと、国でやれと、どちらも意見が出てい ますが、国でやるとならば、何も議論する必要はありません。国が法律をつくってやればそれで 済むでしょう。そうはいかないものですから、せめて県単位でやることが望ましいというのは、 皆さん同じ意見だと私は思います。  その辺りを考えた上で議論ができるような資料を提供していただきたい。個別に、あれがいい、 これがいいと、随分専門的な意見を出されています。もうこれで意見は終わったような気が私は します。しかし、さっき申し上げた医療の部分が全然ありませんから、空念仏みたいになってし まうということなんです。その辺りを運営の方法として考えていただければいいと思います。今 日はそれだけ申し上げておきますので、頭の中に入れておいてください。簡単に言うと、医療費 がわからないで何で保険料が分かるかということです。お願いしておきます。   ○岩村座長  ありがとうございました。三上委員。   ○三上委員  今日は、いろいろな委員からの資料を出していただきまして参考にさせていただきました。そ れぞれの保険者の立場での御意見というのがあったと思いますけれども、私は、堂本委員が最後 に言われた意見に全面的に賛同いたします。やはり、保険者間の利害対立のような形の議論が進 んでいくということについては、やはり非常に危惧をいたしますし、保険者の数がいろいろあり、 先ほどは突き抜け型の主張や、財政調整について反対など様々な意見がございましたけれども、 やはり優良な被保険者をたくさん抱えられているグループと、そうではない低所得で有病率の高 い被保険者を抱えている保険者間では、やはり事情がかなり異なってきますし、意見も相当異な ってくるのだと思います。  どういうグループがいいのかということなんですけれども、この資料2の中には、広域連合で ありますとか、市町村でありますとか、都道府県でありますとかという例示が書いてあるんです が、国保の方あるいは今の山本町長の意見がございましたけれども、国一本でやる場合にはどう なるのか、メリット、デメリットというのは、どうなるのかということも次の資料では示してい ただいて、難しいということはよくわかりますけれども、どの程度難しいのかということについ てもお示しいただきたいと思います。  基本的に、公費を増やしていただきたいということがすべての保険者の共通した理念であり、 そうでなければ財政調整をしても、やはりそれぞれ不満が残るんではないかということで公費を どの程度増やせば、すべての保険者が納得できる制度ができるのかということについても次回に 御意見をいただきたいと思います。  もう一つは、やはり今までの話で利害対立をしているというのは、私は社会連帯をするという 理念が、やはりまだまだ欠けているんではないかという気がしましたので、是非その辺も配慮し ていただきたいと思います。 ○岩村座長  ありがとうございました。そうしますと、こちらサイドが岩見委員と鎌田委員だと思います。 恐縮ですけれども、あいうえお順で、まず、岩見委員からお願いします。 ○岩見委員  今日は、団体の責任者の方の何人かから話を伺ったんですが、やはり団体でありますから、内 容が非常に要求型ですね。要求がおかしいと言っているわけではないんですが、ただ、要求をた くさん並べているだけでは、なかなか新しい制度設計は難しいんではないかと、そういう感想を まず持ちました。  これから議論していく上で、勿論制度が第一なんでありますけれども、制度だけではなくて、 制度のソフト、今日、近藤さんが給付される医療の中身のことをおっしゃって、これは非常に大 事だと思うんですが、樋口さんも高額医療の問題を少しお触れになりましたが、つまり、どうい う制度を提供するかということと、提供を受ける高齢者のあり方というのも一つ柱として考える べきではないか。うまく言えないんですけれども、たしか小泉さんが総理のときに一回国会で、 今の高齢者は医者にかかり過ぎだということを言われたことがあります。私も同じような感想を 持っているわけで、医者にかかって、勿論いいわけでありますけれども、医者に過剰にかかるこ とが、制度を難しくしている面があるんではないか。  つまり、医療を受ける高齢者側の節度、節度という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、 そういう問題も同時に議論して新しい制度をつくっていかないと、制度はなかなか機能しにくく なるような、そういう不安感を覚えるものですから、ちょっと申し上げました。   ○岩村座長  ありがとうございました。それでは、鎌田委員、どうぞ。   ○鎌田委員  国一本でという意見もあるようですけれども、国一本は賛成できません。例えば、資料3の3 9ページを見ると、保険者によって、当然保険料が違っています。これは当然医療費とパラレル の関係があります。長野県はずっと医療費が安いということを言われ続けています。安いことに は幾つかの理由が当然あるわけで、やはり努力しているからです。医療費を上げすぎない努力が 見えるシステムがいい。都道府県別のような形がいい。市町村別でも構わないけれども、市町村 別では危険が多過ぎるとすれば、都道府県別、県別くらいの形で保険者になるというのが一番い いんではないか。その辺の資料を、国一本にするのか、市町村にするのか、県ぐらいの単位で国 保の保険者をつくっていくのかというのが、次の会議のときに資料を出していただけるとありが たいと思います。  前回、私が質問をして出していただいた資料、資料3の最後のところがそうなんですけれども、 88ページを見ると、日本の医療費はOECDの中で、21番目ということで大変低い。ある程 度どこかまで上げるという目標をつくらないといけない。10年かけてでも少しずつある程度上 げつつ、それ以上に上がらないシステムというのを保険制度の中で考えていかざるを得ない。  今回、後期高齢者医療制度の中で取り組まれた、やめるわけですけれども、医療制度の中で実 施したかかりつけ医制度とか、終末期相談支援料などは、そういうものに対してどういう役割を してきたのかということと、制度を少し変えれば、例えば終末期相談支援料なんかは、90ペー ジを見ますと、多くの国民は84.7%は、好意的に考えているわけです。ですからあれは制度 設計がいよいよ死ぬ間際の2週間ぐらい前になって、人工呼吸器を付けますかとか、点滴はやり ませんかとか聞くこと自体が非常にナンセンスの設定になっていて、あれをかかりつけ医が決ま って2、3年、仲良くなっていく、信頼関係ができていく中で、これは要らないなと、そんなこ とは無理してほしくないなということを書きとめて、それが高齢者の終末期支援料みたいなもの になっていくんだとすれば、むしろそういうことを望んでいる国民にとっては歓迎するんではな いか。OECDの平均とかまで医療費を上げつつ、その後は、天井知らずに上げないシステムと いうのを、この次の保険制度を改定する上では、考えていく必要があるんではないかと思ってお ります。   ○岩村座長  大変医学的な観点からの貴重の御指摘をいただきまして大変ありがとうございました。  座長の不手際で予定していた時間をオーバーしてしまいまして、申し訳ございません。議事の 予定としては、今日で全体の総括的な議論というのは、冒頭申し上げましたように、これで終わ りたいと考えておりまして、次回からは数回に分けて、新しい制度のあり方について項目別で議 論させていただきたいと考えております。  私自身の、この2回の議論を伺った上での感想というか、少しだけ申し上げておきますと、ま ず、委員の皆様全員がやはり国民皆保険というのは維持しなければいけないというところでは、 ここは基本的に意見が一致しているんだろうと思っています。  ただ、具体的に後期高齢者の制度をどういうふうに今後つくっていくかということについては、 1つは、保険者というのをどう設定するのか、それは都道府県単位でいくのか、あるいは突き抜 け方式と呼ばれるような形にするのということで議論が分かれておりますけれども、伺っている 限りでは、かなりの方が都道府県単位、それを都道府県そのものにするのか、広域連合にするの かというようのことはあるにしても、都道府県単位ということでお考えになっている方が多いの かなというように印象を持ちました。  もう一つの論点としては、やはり制度の財政というのをどういうふうに調達するのか、維持す るのかということで、これについてもいろいろな御意見が、やはりどうしてもあって、各保険者 間でどういう形で財政調整をしていくのかということをめぐっては、それぞれいろいろなお考え があったように思います。  その中で、1つ恐らく共通しているのは、やはり公費をどういう形で投入するかという点につ いては、皆さんの御関心はほぼ一致していたというように思います。  ただ、公費の問題というのは、これもまた非常に難しくて、そもそも何のために公費を投入す るのかという、特に高齢者に関して考えたときに、なぜ公費を投入するのかというそもそも論が ありましょうし、さらに言えば、結局のところ公費を投入するといっても、別にこれは抽象的な お金をつくり出して投入するわけではなくて、だれかから集めたお金を投入するという点では、 保険料とそれほど変わりはないわけでございまして、一体だれから集めたお金を、どこへどう投 入するのかということを、どうしても考えなければいけない。その問題というのは、今後議論す る必要がひょっとするとあるかなという気がいたします。  もう一つ制度の枠組みとの関係で言うと、年齢で切らないということは最初の出発点として設 定されてはいるんですけれども、議論の中では、例えば公的年金の受給開始年齢というのは、1 つの節目として考えてもいいのではないか。介護保険等のセットということでも考えられるので はないかという御指摘もあったように思います。  あと、保険料というのも、もう一ついくつかの方から御発言があり、これも社会保険の保険料 とどういうふうに考えるのか。特に高齢者のところについて保険料というものを考えるときにど ういう思想で考えるのか、応能なのか応益なのか、その問題というのは考えざるを得ないだろう と思っております。  最後、何人かの方から御意見がありましたように、制度設計をしていく上で、実際に、この制 度が提供する医療なり診療なりの内容として何を盛り込むのかということが、やはり皆様の御関 心の中にあるというように思います。ただ、これは先ほど足立政務官からもありましたように、 より大きな場で議論しましょうということではございますけれども、先ほど何人かの方からもあ りましたように、例えば管理料の問題、あるいは終末期医療の相談料の問題といったような、そ ういう少し根本的なところについてはある程度この会議でも議論できるかもしれないという気は していますが、さらに踏み込んでということになると、座長としてそこの点は考えさせていただ きたいと思います。  もう一つ、この会議そのものでどこまで踏み込めるかということはありますけれども、どうし ても密接的に関連するのは、国民健康保険の制度をどういう方向に持っていくいくのかというこ とであろうと思いますし、そのことを念頭におきながら、この会議でも議論していかなければい けないだろうと思います。  恐らくあるべき制度というのは、描けることは描けるんだと思いますけれども、それを短期の 間に実現するのか、それとももう少し長い目で考えた上でどういう方向に、あるべき方向に持っ ていくのかというところの、言わば議論の仕分けというところも必要かという気もいたしますの で、その点も、皆様と今後議論させていただければと思います。  今日は、時間が大分過ぎてしまいましたけれども、これで終了させていただきたいと思います。  次回以降、先ほど申し上げましたように、項目別の議論ということになります。具体的に次回 以降でどの項目を議論するかということについては、また、大臣をはじめ、事務局などとも相談 させていただいて、あらかじめ皆様方に、その点はお伝えして、資料の要求なり、資料の提出な りということを御検討いただければというように思います。  次回の日程でございますけれども、2月9日の午後5時20分から午後7時20分までの2時 間を予定しております。詳細につきましては、改めて事務局の方から後日御連絡を差し上げるこ とにいたします。  それでは、本日は、御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございました。 照会先 保険局高齢者医療課 企画法令係     (代)03−5253−1111(内線)3199