10/01/07 第3回化学物質のリスク評価に係る企画検討会議事録    化学物質のリスク評価に係る企画検討会(第3回)       日時 平成22年1月7日(木)       14:00〜       場所 経済産業省別館10階共用1038会議室 (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部             化学物質対策課化学物質評価室 井上 〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2             TEL 03-5253-1111(内線5518)             FAX 03-3502-1598 ○長山化学物質評価室長補佐 それでは、ちょっと定刻より早いですが、皆さんお集まりい ただきましたので始めたいと思います。本日は、大変お忙しい中、ご参集いただきまして誠 にありがとうございます。  ただいまより、「第3回リスク評価企画検討会」を開催いたします。本日、委員の皆様全 員出席ということとなっております。それでは、進行のほうは座長にお願いいたします。 ○櫻井座長 それでは、早速議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたしま す。今日は「リスク評価に係る企画検討会」の第3回ということになります。今日の議題は 「がん原性試験対象物質の選定の考え方(案)について」など、3つの議題を予定しており ます。  では、最初に事務局から、今日の議事予定と資料の確認をお願いいたします。 ○長山化学物質評価室長補佐 本日の議事予定ですが、お手元のほうに「企画検討会(第3 回)」1枚もので議事次第が付いています。2番目の「議事」の中で、本日は3点、1番目と しては「がん原性試験対象物質の選定の考え方(案)について」。2番目には「酢酸イソプ ロピルのがん原性試験の評価結果について(有害性評価小検討会からの意見)」です。3番目 に「リスクコミュニケーションの結果等について」を予定しております。  資料の確認をいたします。裏の面に「配付資料の一覧」が出ております。資料1-1「国が 実施するがん原性試験について」、資料1-2「がん原性試験対象物質の選定の考え方(案)」 がございます。  資料1-3「がん原性試験対象物質の選定の流れ」という横1枚の図が付いております。  資料2「酢酸イソプロピルのがん原性試験の評価結果について」が1枚ございます。  資料3-1「化学物質による労働者の健康障害防止に関する意見交換会」は昨年12月11日 に開催されましたリスクコミュニケーションの概要ということで、資料をホチキス止めした ものです。机上に配付させていただいておりますが、12月11日に行われた際の資料が付い ております。  資料3-2「今後のリスクコミュニケーションの進め方について(案)」を付けさせていた だいております。  最後に資料4として、「化学物質のリスク評価に係る企画検討会の今後の検討予定」を1 枚付けさせていただいております。  参考資料として、2つ用意させていただいております。参考1「酢酸イソプロピルの吸入 ばく露によるがん原性試験結果」は、有害性評価小検討会にお出しした資料と同じものを付 けさせていただいております。また、参考2として、同じくリスクコミュニケーションで、 昨年の7月に行われた「リスクコミュニケーションの概要」について、以前、第2回の本検 討会にも出しましたが、そこの抜粋のものを付けさせていただいております。資料としては 以上となっております。 ○櫻井座長 資料はお手元に揃っているでしょうか。問題ないようですので、今日の議事に 入ります。最初の議事は、「がん原性試験対象物質の選定の考え方(案)について」の検討 です。国でがん原性試験を実施しているわけですが、その対象物質の選定の考え方(案)に ついて、事務局から説明をお願いいたします。 ○長山化学物質評価室長補佐 それでは議事1について、資料1-1から資料1-3までになり ます。まず、資料1-1をご覧ください。労働安全衛生法では、既存の化学物質について、国 自らが有害性の調査を実施することとしておりまして、がん原性試験を実施しており、その 結果を踏まえ、いろいろと必要な対応を行っております。  従来は、委託事業の中で、がん原性試験の対象物質を選定してきたところですが、本年度 からは、この対象物質について、本企画検討会において選定の検討を求めることとしており ます。本日は、いまのがん原性試験についての流れと、その選定の考え方(案)について説 明したいと思います。 ○平川査察官 それでは資料1-1に基づきまして、説明をさせていただきます。国が実施す るがん原性試験は、労働安全衛生法第57条の5の規定に基づきまして、化学物質による労 働者の健康障害防止のための国の援助等ということで、日本バイオアッセイ研究センターに おいて実施しているものです。当該試験の結果、対象化学物質が「がんを労働者に生ずるお それがあるもの」と判断される場合には、厚生労働大臣が、当該化学物質を製造し又は取扱 う事業者に対し、当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表すると いうことになっております。  このがん原性試験の実施にかかる具体的なスキームは、別紙1に沿って基本的なベースで 申し上げますと、フィージビリティテストを行った上で、がん原性試験、2週間試験、13 週間試験、104週間のがん原性試験というような流れで行っております。これを平成22年 度のフィージビリティテストを開始するということに当てはめますと、このようなスケジュ ールになるというものです。そういった形で、最終的には概ね約5年ほど要して試験が終了 するというものです。  このように行ったがん原性試験の評価を、先般の有害性評価小検討会におきまして、酢酸 イソプロピルについて行ったという状況です。評価のフロー図を1頁の(参考)のところに 付けております。がん原性試験の実施を約5年ほどかけて行いまして、その評価を有害性評 価小検討会で行います。その中で、法第28条第3項第2号の要否の判断を行いまして、お それがある場合は指針を作成する。または、リスク評価の対象物質とすることの「企画検討 会」への提案の検討を御願いすることとなります。おそれがなければ、指針も作成しないと いうことになります。「指針作成」とは、労働者の健康障害を防止するための指針案の作成 を行うということです。  これまで行っている試験につきましては、その次の3頁に、「がん原性試験の実績等」に ありますとおり、昭和62年報告分から試験の結果が出てきているという状況です。 ○長山化学物質評価室長補佐 続きまして、このがん原性試験対象物質の選定の考え方とい うのを、ご議論いただきたいと思っております。  先ほど2枚目の別紙1の中で、がん原性試験について、タイムスケジュールが示されてお ります。今回決めるものとしては、その平成21年度に書いてありますが、これが物質選定、 現在の状況になりますが、来年度にそのがん原性試験を行うに当たって、まずフィージビリ ティテストを、事前に2物質選んで行っていくということになります。その2物質について、 どういう形で絞り込んで決めていくかという決め方について、本日、ご議論いただければと 思っております。  こちらの表なのですが、今回決めますと、平成22年度フィージビリティテスト物質とし て2物質決めたもので翌年やって、その中で、フィージビリティテストが終わった物の中か ら、試験対象物質選定ということで、長期試験のほうに1物質持っていくものを定めていく という流れになっております。これが年度で言うと、毎年同じようなスケジュールで、次の 年には、また同じように2物質フィージビリティテストの候補を出して、その中から1つの 長期に移行する物質を決めていくという形です。これが1年段違い平行棒みたいにずれてい った形で、定常的にいくと、毎年2物質をまず第1段階の選抜として、このがん原性試験の ほうに乗せるかどうかの2物質を、まず本企画検討会のほうで決めていただいて、その中か ら流れていくという形です。それが定常的になりますと、今後はその大体5年ぐらい経った あとに、1物質ずつ試験が終了していくという形になるものと考えております。  あと、こちらの企画検討会におきましては、まず、がん原性試験の対象として多くある化 学物質の中から、この2物質をどう選ぶかということを、この検討会の中で議論していただ いて、あと、フィージビリティテスト2物質行ったあと、また、平成21年度以前にも、フ ィージビリティテストを行って、まだ長期試験のほうに移行していない候補の物質もござい ますので、そういったフィージビリティテストが終了したいくつかの複数の物質の中から、 こちらの1物質を選んで、長期試験のほうに移行する2段階目の選抜ですが、そちらの2 段階目の選抜については、有害性評価の小検討会のほうで順位付けを行って、1物質に絞っ ていこうという形で考えております。こちらの本検討会では、まず1段階目の選抜のスクリ ーニング、フィージビリティテストの2物質を決める。ここを決めていきたいと考えており ます。  それでは、資料1-2をご覧になっていただきたいと思います。こちらのほう、「がん原性 試験対象物質の選定の考え方(案)」ということで、この2物質フィージビリティテスト、 この土俵に乗せる2物質をどう選んでいくかということで、その考え方の全体像を作ってお ります。資料1-3が、この流れを図示したものですので、これを両方見比べながら、読んで いただきたいと思っております。  まず1番目として、候補物質の選定という作業になります。こちらについてこの検討にお ける母集団的なものというか、どういったところから選んでいくか、そういったものを示し ております。今後の候補としては、発がん性を有するおそれがある物質を選定するため、次 の(1)か(2)のいずれかに該当するものを、試験候補物質として選定するものとするというこ とで、(1)につきましては、新規化学物質として届出される際に、微生物を用いる変異原性 試験を行いまして、結果が提出されますが、その中で、強度の変異原性が認められた物質に ついて、この候補物質の中にまず入れたらどうかということで、出させていただいておりま す。こちらにつきましては、大体数として600以上あるところです。  ただし、なお書きのとおり、その中で、混合物等で実施される場合につきましては、物質 を特定できないということから、直ちに候補物質とはせずに、そういったものが特定された 場合において候補物質とするという形で、そこは除いていきたいと考えております。  次の「また」以降ですが、変異原性を有するとされた物質が重合物または、共重合物そう いったものについては、ただちに共重合物等を試験候補物質とはせずに、そういった情報の 有害性に関する情報の中から、構成モノマーといったものが、特定される場合に候補にして いくという形で、その中でも反応生成物、混合物、共重合物は特定された場合、対象という ことで、少しその中から絞り込みたいと思っております。  次に(2)ですが、既存化学物質のうち、GHSにおいていろいろ分類されておりますが、そ の中で、発がん性の分類が「区分外」となっている物質のうち、国際機関等で発がん性のラ ンク付けにおいて、以下のように分類されている物質ということで、[1]から[3]の物質をあげ させていただいております。1番目としては、IARCで発がん性ランク「3」、2番目EPAで 発がん性ランク「C」及び「D」、3番目はACGIHで発がん性ランク「A4」ということで付 けております。  2枚目のほうで、参考として、「国際機関等における発がん性ランク」というものがござ いまして、それぞれデータベース名とその発がん性ランクというものがございます。例えば IARCで言うと、1から4までなっておりまして、上の1のほうは、発がん性が「あり」と されているもの。4については、たぶん「なし」と思われるものという形で、例えば、これ で言うと、IARC3でまだクラス分けされていないような物質。こういったものについて、 それぞれのランクの中で、「区分外」となっている。そういった物質について対象にして、 まずは母集団の中に入れたらどうかということで考えております。  考え方の裏の2番目に移ります。1で試験候補物質として選定された物質について、以下 の点を考慮して優先試験物質リストを作成するということです。この1番だけで言うと、数 百、千に近い数になりますので、その中からリストを作成していくと考えております。  その作成の仕方ですが、(1)は、その候補物質について、以下のいずれかに該当する物質 を優先的に試験する物質とする。ただし、既に法令により適切なばく露防止対策が講じられ ている物質については、そういったものから除くものとする。[1]としては、製造・輸入量か らみて、産業的利用がなされている物質、又は、近い将来見込まれるような物質。[2]として は、製造し又は、取扱う事業所が多い物質[3]としては、国内における製造又は取扱いにおい て、ばく露し易いと考えられる物質ということで、常態での使い方として、塊でばく露のお それがあまり考えにくいものは、外していくというような形で、リストを作ったらどうかと いうことで、挙げさせていただいております。  (2)として、国によるリスク評価又は、リスク評価対象物質を選定する段階において、リ スク評価関係検討会からこの物質については、がん原性試験の実施が必要とされた物質につ いては、優先的に試験をする物質として、このリストに加えたらどうかということで考えて おります。いまのところ、特に候補はないですが、こういったルートを作ってはどうかと考 えております。  次に3番目になりますが、この2番目の優先試験物質リスト、こちらもある程度の数にな ると思いますので、次の絞りとして、2で作成した優先試験物質リストの中から、より優先 度の高いものを、次年度のそのフィージビリティテスト2物質に選んでいくという形にした いと考えておりますので、その選定の方法について書いております。なお、発がん性のおそ れのある物質を選定する観点から、構造活性相関の解析、物質の構造式とか入れますと、解 析ソフト、DerekやMulticaseとかいろいろありますが、一般的に使われる解析ソフトの中 に構造式を入れていって、発がん性が高いとされる物質、可能性があるとされるような物質 を選定し、これを優先的に試験する物質としてはどうかということで考えており、構造活性 相関による発がん性の解析を推進するものとする形で、書かせていただいております。  一方、以下のような物質については、その物質の性状、特性から良効な試験の実施が困難 な場合が想定されることから、そういったものは除外するということで、可燃性、発火性と か水との反応性が高いもの。また、そういった試験の実施の濃度において急性毒性とか、強 い刺激性があって、実験が安定的にできないようなものは、外してよいのではないかと考え ております。  流れとしては、母集団の中で、数百以上ある中からリストを作成して、ある程度取扱いが 見込まれるものとかばく露しやすいもの、そういったものを、構造活性相関などの解析ソフ トによって、さらに絞り込みを行っていって、特にその中で、1番バッター、2番バッター と思われる優先度の高いものについて、毎年2物質ずつ選んでいくというような形で、今後 進めていきたいと考えております。  本日、この選定の考え方の部分について、ご議論いただいて固めていきたいと思っており ます。来年度平成22年度のフィージビリティテストに着手する2物質ですが、これをどう するか、どの物質にするかという選定につきましては、次回検討会の1月21日を予定して おります。そこにおいて、実際の物質名について決定していく予定としております。今後は こういう流れで行っていきたいと思いますが、1月21日にお出しするものにつきましては、 今回は構造活性相関の解析というのは、日程的にも間に合わないということもありますので、 候補物質を選んでリストを作成し、ある程度いろいろな条件で絞っていくという、この考え 方に準じて、こういった候補の中から2物質を選びたいということで、次回、選定していき たいと考えております。資料1-1から資料1-3の説明は以上です。 ○櫻井座長 それでは、ただいまの説明の内容についてご質問も多々あろうかと思います。 まず、ご質問をどうぞ。 ○吉田委員 構造活性相関ということでお話がありましたけれども、私は構造活性相関も大 事ですけれども、毒性の専門家の先生方もたくさんおられますので、エキスパートジャッジ メントが非常に重要かと思います。10人なら10人の先生でジャッジしていただければ、あ る程度統計的にまとまったものが出てくるかと思います。ここでいう構造活性相関というも のは、先ほど構造式からというようなことをおっしゃいましたけれども、エキスパートジャ ッジメントを含むようなものなのでしょうか。それとも、ただ何かの値を計算して、例えば 分配係数を計算して具体的に発がん性の判定のようなものが出てくるものなのかどうか。も し、そうであるとすれば、エキスパートジャッジメントを組み込んでいただくようなことを 考えていただけないかと思いました。質問ではないのですけれども。 ○島田化学物質評価室長 いまの点につきましては、ここで書かせていただいたのは、先ほ ど説明をさせていただきましたように、一般的な解析ソフトである国際的に使われている DerekとかMulticaseとか富士通さんがお作りになっているAdamworksといったもので、 化審法でも解析は進んでいるというふうなことをお聞きしていましたので、そういったもの を活用することについての提案です。エキスパートジャッジメントについては含まれていま せんので、ただいまのご意見を踏まえて、検討させていただくようにしたいと思います。 ○吉田委員 技術的には、現在でもエキスパートジャッジメントのほうがいいのではないか という感じがしています。 ○島田化学物質評価室長 ありがとうございます。 ○櫻井座長 そうしますと、2頁の3のところの書き振りについて吉田先生は、例えば発が ん性のおそれのある物質を選定する観点から構造活性相関の解析の結果、発がん性が高いと される物質においては、これを優先的に試験する物質とするという書き方はちょっと強過ぎ るというお考えでしょうか。 ○吉田委員 エキスパートジャッジメント及び構造活性相関の解析の結果という形のよう な書き方にしていただいたらいいかと思いますが。 ○櫻井座長 ほかにいかがでしょうか。 ○山口委員 全体の流れの確認なのですが、この変異原性試験というのは、あくまでもおそ れのある物質ということで、この選定の基準からいくと発がん性の低い判断、IARCにして もEUにしてもEPAにしても、されたもののうちから選んでさらにフィージビリティテス トを行って、優先順位をつけて、それでもがんのおそれのあるものを順次やっていくという ようなフローと考えていいわけですよね。要するに、ある程度がんのあるものに関しては、 もうがん原性があるということで、すでに措置されているということで、あくまでもおそれ のあるものについて少しでもおそれの高いものを順番に提出しましょうという流れですよ ね。そういう理解でよろしいわけですよね。 ○島田化学物質評価室長 そのとおりでして、先ほど例に取っていただきましたIARCのほ うは、上の、例えば1と2A、2Bはかなりの確度で、がんがすでに試験データ等からあると いうふうな判断がされていること。一方、4のようなものについては試験をした結果、がん が否定されているというようなものですので、その間にあるわからない物質については、や はり国際貢献の観点からも、我が国として対応していくべきではないかということです。 ○山口委員 そういうことでよろしいわけですね。もう1つ疑問です。フィージビリティー テストを2物質行って、それに関して1物質だけ試験に着手するという意味合いは、費用的 に2物質できないからという意味ですか。 ○島田化学物質評価室長 そうです。毎年やれるものが、いままでのものは先ほど見ていた だきました物質が書いてありますように、吸入と経口をそれぞれ1物質ずつやらせていただ いていますので、そういう意味でフィージビリティテストをやったもののうちの、毎年2 物質ですので、そのうち1物質ができるというような形になっています。 ○山口委員 そうしますと、がん原性のテストにしては、吸入試験と経口投与試験のところ が引っかかっているのですが、それぞれに対して1物質という意味なのでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 これまで、予算的な対応に関係がありますが、幸いなことにこれ までは、毎年2物質ずつ予算確保されているということです。 ○山口委員 ということは、2物質選んで、具体的なテストは2物質吸入試験と経口投与試 験が行われているわけですよね。そうすると、ここの書き方は誤解をちょっと招くのではな いのですか。 ○島田化学物質評価室長 実は、多少予算的な配慮がありまして、フィージビリティは毎年 やられているものですから、フィージビリティテストがやられていて、まだがん原性試験に 移っていない物質が5、6物質残っています。来年、実は予算の関係でフィージビリティテ ストの実施のための予算が、実は削られてしまいまして、その関係で2物質ではなく1物質 になっております。吸入と経口は本来であれば2物質ずつやるはずなのですけれども、今回 の場合には、吸入の部分の2物質のみをフィージビリティ対応というふうな形で選んでいた だくことになるわけです。 ○山口委員 そうするとこれまでは、ちょっと意味がよくわからなかったのですが、物質と しては2つ選ぶわけですよね。その物質を吸入試験と経口投与試験のそれぞれやって、その 結果がんの試験にいくものは1物質ということなのですか。フィージビリティテストとして は4つ行っていると。 ○島田化学物質評価室長 すみません。実態上の説明があるものですから、もう1度説明し 直しますと、通常のフィージビリティテストは経口と吸入それぞれについて、2物質ずつフ ィージビリティテストをやるという仕組みになっています。 ○山口委員 そうすると4物質やっているということですね。 ○島田化学物質評価室長 はい、いままではそうです。そのフィージビリティテストを踏ま えて、がん原性試験に移れるのが毎年1物質、1物質という形になります。吸入と経口、そ れぞれ1物質なのですが、たまたま次年度におけるフィージビリティテストの部分について は、経口のものにつきましては、そのための予算が確保できなかったものですから、過去に 選ばれている実施されたフィージビリティテストを踏まえて、1物質について吸入によるが ん原性試験をさせていただくということですので、たまたま今年のものについては、吸入の ためのフィージビリティテスト2物質だけ選んでいただきたいというのが事務局のお願い です。 ○山口委員 ということで、これまでと今回は違うということで。 ○島田化学物質評価室長 はい、今年については状況です。 ○櫻井座長 もう1つ、私の理解ですと吸入なら吸入について毎年2物質フィージビリティ テストをやってきたということは、そのテストの結果、1つはフィージブルではないと判断 されると1物質だけのフィージビリティテストでは足りなくなってしまうから、前の2物質 ずつ調べてきたということですね。5、6まだ残っているというのは、そういう意味で理解 できる。 ○島田化学物質評価室長 フィージビリティテストの目的は、例えば吸入であればあるチャ ンバーの中で20ppmの環境を作ってほしいという場合に、20ppmの環境が作れるかどうか を確かめるのがフィージビリティテストです。一応、念のため毎年2物質ずつやっています けれども、ほとんどの場合においては、研究センターのほうでそれがクリアできるというこ とですので、片方が必ずしも落ちるということではなくて、それもできるという状況になる のですが、たまたま余裕を見て2物質ずつ選んでいただいているということです。 ○山口委員 そうすると、やはり表現が違ってくるのではないでしょうか。前年度2物質と 書いていますよね。今年度2化学物質対象に2物質の発がん性試験の実施の可能性をテスト 実施するわけですよね。これまでと違うわけですよ。別紙の資料1-1に「がん原性試験の実 施にかかるスキームは別紙1のようにする」と書いてあって、「毎年度、2化学物質を対象 にがん原性試験の実施の可能性を判断するもの」とありますよね。これまでは、物質として は、4化学物質やってきたという説明ですよね。毎年度ではなくて、本年度は、2化学物質 という形ですよね。 ○島田化学物質評価室長 2化学物質という資料のほうがおかしいと思いますので、いま、 私が申し上げたのが現状ですので、それに照らして修正させていただくようにします。おっ しゃるとおり4物質やっています。 ○櫻井座長 残念ながら今年、半分になっている。 ○島田化学物質評価室長 そういうことです。 ○櫻井座長 今回、平成22年度は。 ○島田化学物質評価室長 フィージビリティが4物質が2物質になります。過去のストック がありますので、がん原性試験自体は予定通りやらせていただけるということです。 ○櫻井座長 吸入と経口と両方できる。 ○島田化学物質評価室長 はい、できるということです。 ○櫻井座長 それならわかりやすい。 ○島田化学物質評価室長 次回、改めて整合性を取らせていただきます。 ○山口委員 もう1つ、この吸入試験と経口投与試験の2つがありますが、これに対して選 定というのは何か条件があって、性状の面で吸入試験に回るのと経口試験に回るのとがある ということの理解なのですか。 ○島田化学物質評価室長 これは。 ○山口委員 これ、どちらがどちらへ。この振り分けというのですか。 ○島田化学物質評価室長 基本的には、吸入試験を主体としてやりたいのはやまやまなので すが、多少試験施設等の問題もありまして、一系統のところは吸入ができるような試験設備 がそろっていますが、もう1つは、その施設がまだ整備されていないものですから、経口と いうふうな形でやらさせていただいているということです。 ○山口委員 そうすると、これは物質的な性状の意味合ではなくて。 ○島田化学物質評価室長 あくまで施設の制約です。 ○山口委員 設備的な面で本来は、吸入試験をしたいのですけれども、少し精度は落ちるか もしれないけれども、経口投与試験と2つになっているということですね。 ○島田化学物質評価室長 現状はそういう状況です。 ○櫻井座長 追加しますと先ほどもああしたように、段階状に重なってきますから常時3 物質ぐらい吸入ばく露試験をやっている。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。通常は、104週間という2年間の試験をやっていま すけれども、その前に2週間と13週間というものがありますので、重なっているのが4物 質程度あると思います。 ○櫻井座長 それだけで4物質ぐらい重なっているということで、世界でもこれだけ吸入試 験をやっているところがないのではないですか。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。そういう認識をしています。 ○櫻井座長 やむをえず、もう1つは経口になって、経口も同時にやっていると。 ○山口委員 その辺の意味合いが、わかりやすいようにしたほうがよろしいかと思うのです が。 ○島田化学物質評価室長 申し訳ございません。その辺は明確にします。 ○清水委員 それに関連して、資料1-1の3頁の下のほうの表は、すでに発がん性試験が決 まっている物質ですか。 ○島田化学物質評価室長 これは、試験自体が合計で、先ほどご説明させていただきました ように、5年程度かかるものですから、いわゆるすだれ状にいくつかの物質の試験を並行し て実施させていただいているものでして、ここに書いてある表頭には報告年度と書いてあり ますので、実施している物質とご理解いただければと思います。ですので、この後続の物質 を選んでいただいた場合、最短で、平成27年に報告できることとなります。 ○清水委員 そういう意味でフィージビリティをこれからする話ですね。 ○島田化学物質評価室長 はい、おっしゃるとおりです。 ○清水委員 わかりました。もう1つは、先ほどの構造活性相関なのですが、これは変異原 性試験の構造活性相関を見て、非常に強いものというふうに。 ○島田化学物質評価室長 いま、そこはつめさせていただいているのですが、物質のレファ レンスとしていちばん多いのは、変異原性だということでして、変異原性との構造活性相関 がいまいちばん進んでいる分野だと聞いています。ただ、我々が技術的に伺っている範囲だ と、がん原性についても構造活性相関による解析が可能ということですから、その両方から 可能性を追求していまして、現在その辺りをつめさせていただいています。 ○清水委員 化審法のほうで私も見ているのですが、構造活性相関を見ていても必ずしも一 致していないものがあるのですが、届けを出された100kg以上の変異原性試験の中には、 10の6乗とか7乗とかものすごい強いものが出てきますよね。ですから、構造活性相関だ けで見ないで、先ほど吉田委員がおっしゃったようなエキスパートジャッジメントの中で、 構造活性相関も1つの判断の材料として使うというような形にしたほうがいいのではない かと思います。 ○島田化学物質評価室長 承知しました。次回、ご議論いただくときにはその辺りのすべて のデータを見ていただきつつ、ご相談をさせていただきたいと思います。 ○清水委員 もし、できれば染色体試験のほうのデータもあればですね。 ○島田化学物質評価室長 はい、承知しました。 ○漆原委員 いまの関連ですけれども、フィージビリティテストが終わったものの中から2 つを選ぶというお話がありましたが、ウエイティングリストが終わって、実際の試験に移っ ていない物質はどのくらいの数があるのでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 現在5物質あるようです。実は、フィージビリティテストは過去 ずっとやってきたというよりは最近数年間の間にフィージビリティテストを入れたほうが 効率的にやれるだろうという仕組みになっていますので、必ずしもたくさんあるわけではな いのですが、現在5物質残っています。 ○小泉委員 その待機の物質の中の優先度というのはどうなのですか。 ○島田化学物質評価室長 やはりフィージビリティテストを踏まえて判断していただくと いうことですので、こちらでご議論をいただくような変異原性の強さ、周辺の文献情報等か ら判断をいただくという形になろうかと思います。フィージビリティテスト、試験結果を踏 まえた判断というようなことになりますので、有害性評価小検討会に、その任務をお渡しし たほうがよろしいのではないかというのが現状です。 ○櫻井座長 ほかに何かございますか。  私の疑問は、2頁の3のところの「除外して差し支えないこととする」という中で4つ書 いてあるわけですが、[1]と[2]は理解できるし、また物質性から判断できるわけですけれども、 [3]と[4]につきましては意味がちょっとはっきりしないと思うのですね。試験を実施する濃度 でというところです。そもそも強い急性毒性があるようなものの慢性毒性試験、あるいは発 がん性試験は、それよりもはるかに低い濃度でやるだけの話で、そのときには急性毒性はな いわけですから、また刺激性もまったく同様で、これはちょっと意味が違うのではないかと、 表現がちょっとどうなのだろう。 ○島田化学物質評価室長 どうなのでしょうか。急性毒性が非常に強いもので、本来、がん 原性のような、ネズミであれば2年間ぐらいやるような用量でやった場合にでも、ネズミが 例えば死んでしまうような場合には、長期の毒性が測れないのではないかというような趣旨 で書いたつもりですけれども。懸念がないのであれば。 ○櫻井座長 例えば数か月で死ぬのだったら急性毒性が強いと思います。慢性毒性を調べる のだったらそれよりももっと低い濃度で、2年間生きているような濃度で調べるということ ですから、その濃度が発見できないということはあり得ないと思います。ですから、フィー ジビリティの問題で、その濃度が非常に低いから実験できないというのなら話は別なのです。 だけど、こういうものは例えば刺激性の強いようなものは、やはり発がん性がどちらかとい うと心配なのです。あるいは、急性毒性が非常に強いものも、やはりそれだからOKという わけにはむしろいかないと思うのです。ですから、この[3]と[4]は疑問だと思います。 ○島田化学物質評価室長 いまのおっしゃる意味であれば3番目は、本来急性毒性が出るレ ベルより低い濃度でやられるということが前提だというのであれば、この[3]は不必要かと思 いますので、修正させていただきます。[4]については、非常に経口で見られるケースだと聞 いていますけれども、いわゆる臭気が強かったり、アミン系の物質においてえさを食べなく なってしまうことがあると、正確なドーズレスポンスの試験ができなくなってしまうという ことで書かせていただいたのですが、その必要がなければこれも。 ○櫻井座長 フィージビリティテストで調べられることではないでしょうか。例えば、経口 の場合のフィージビリティテストの内容はどういうものですかと聞いてみようと思ったの ですけれども、どういうことでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 一応、私どもが伺っている範囲、あとで専門家が来ておられます ので、補足があればお願いしたいと思いますが、このフィージビリティテストはあくまでも メカニカルな部分だというふうに聞いていまして、いわゆる箱の中の環境において、例えば 数ppmという指定されたドーズが、あるいは濃度がきちんと出せるかどうかというふうな ものを前提とした試験だと聞いていまして、この部分まで見ていただけるかどうか疑問だっ たものですから書かせていただきました。 ○棗田委員(中災防) 櫻井先生がおっしゃるとおり、やはり急性毒性、あるいは刺激性残 存、これはかなり発がん性が高いものでして、その割合も懸念されます。ただしフィージビ リティテストのとき特に経口試験の場合が問題でありまして、そのときに先ほど言いました 臭い、あるいは食べると口の中が痛いということになって食べられないという状態の物質の うまく試験ができないということで、経口試験の場合には落とさざるを得ないということで。 ○山口委員 表現ですけれども、以下のような物質、これは想定されるほうからとなってい ますが、以下のような物質で物質の性状の特性から、良好な試験の実施が困難な場合にすれ ばいいのではないでしょうか。困難な場合は削除してもいいと。 ○島田化学物質評価室長 わかりました。 ○山口委員 すでにこういう表現だと、この条件だけで落ちてしまう可能性があるので、こ の条件のもとに困難な場合は削除してもいいと。 ○島田化学物質評価室長 承知しました。我々も先生方のご指摘の通りの趣旨で書かせてい ただいているものですので、表現を直させていただくようにいたします。 ○山口委員 参考のところの、資料1-2の(1)で「以下のいずれかに該当する物質を優先的 に」とありまして、下のところに[1]、[2]、[3]という番号がついていますが、これの[1]、[2]、 [3]自体は意味がないと考えてよろしいのですよね。 ○島田化学物質評価室長 優先順序ということではなくて、それぞれに該当するかどうかと いうことですので、特にその意味はありません。 ○櫻井座長 しかもこれを重ねた場合に優先度が上がるという感じですよね。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。 ○櫻井座長 一応、又はと書いてありますけれども、同時に重なる。 ○島田化学物質評価室長 それぞれのもので特にやはり重要だと思われる場合には、この場 で先生方のご判断を優先させていただきたいと思いますので、概ねこれをやるときに、こう いう形で選んだということを外の方にもおわかりいただけるように、こういう形の書きもの にしたということです。 ○櫻井座長 そうすると、[1]、[2]、[3]よりも並列で無印のほうがよろしいかと思うのですが、 番号を入れないほうが。 ○島田化学物質評価室長 番号を入れないほうがいいと。なるほど。 ○堀口委員 例えで例と書くか。1番に該当しているからですよね。2番に該当しているか らですよねという問い合わせをさけるためには例だと思います。例示だと、物質名の例示で はないけれどもというそのことです。 ○島田化学物質評価室長 承知しました。 ○山口委員 そうすると、1番目のところの以下のいずれかに該当するという文章から全部 書き直ししないとだめですね。おかしくなってくると思うので、何か表現を変えて、例とし て例えば[1]、[2]、[3]に関係するものについては優先的にやるというような表現にするか。 ○櫻井座長 優先させるリスクの大きさに基づいて考慮することとし、例としては以下のよ うなものが考えられる。いま、言ったのは1つの例ですけれども。 ○島田化学物質評価室長 それでは、その表現は事務局のほうで作らせていただいたうえで、 またご相談をさせていただきたいと思います。 ○櫻井座長 もう1つは、先ほどから気になりますのは、1頁のいちばん下のIARCとEPA とACGIHのランクですが、3頁の表にもありますように分類できないという分類に入るわ けですよね。その中に、それでもちょっと発がんの懸念がかなり残るものと、あまりないも のと全部がここに入るわけです。もともと、トータルは例えばIARCがどういう物質を評価 するものとして選ぶかというときには、エキスパートジャッジメントです。発がんの懸念の ある人をリストアップをしているわけです。ACGIHもそうだと思いますけれども、「A4」 に挙げている物質は100物質を超えるのですよ。それは、なぜそこへ挙げているかという 根拠は、ドキュメンテーションに明記していないと思うのですが、結局エキスパートジャッ ジメントなのです。ですからそういう意味で懸念があるからそこへ挙がってきている。だけ れども、根拠がないので、ほかに分類ができないから「3」に分類しているということだと 思いますので、たぶん、このリストは数100出てくると思いますけれども、その中で、た だし情報とかエキスパートジャッジメントは全部同等ではないだろうと思います。 ○島田化学物質評価室長 いまの先生のご意見、先ほど吉田先生からお話をいただいたよう にエキスパートジャッジメントというのは、重要だというようなことですので、あくまでも いちばんは候補物質というふうなことで、こういうものがありますよという例示です。2番 目に優先的にやるべき物質ということで、リストを作る形にしています。その中に、例えば 発がん性の懸念が高いということをエキスパートジャッジメントを含めてしていただくよ うな項目を1つ設けさせていただくことでよろしいでしょうか。 ○櫻井座長 それでよろしいでしょうか。ほかに何かありますか。 ○島田化学物質評価室長 すみません。1点だけ、3番のところに私どもが筆をすべらせて しまいまして、「なお」というところに「構造活性相関の解析の結果」というふうなことで 「発がん性が高いとされる物質」と私どもは書いてしまいましたが、構造活性相関の強度ま では把握できないということですので、発がん性があると考えられる物質とかそういう表現 に直させていただきたいと思います。 ○櫻井座長 よろしいですか。そのように直してください。  この最初の議題については、大体これで意見が出尽くしてしまったようですので、今日出 たいろいろなご意見を踏まえて、事務局のほうで修正した資料を次回出していただいて、承 認の方向にもっていきたいと思います。基本的には今日の流れでよろしいですか。どうもあ りがとうございました。そのようにさせていただきます。  2番目の議題ですが、「酢酸イソプロピルのがん原性試験の評価結果について」の検討に 入りたいと思います。これは、有害性小検討会で、酢酸イソプロピルのがん原性試験の評価 を行って、今般、その結果を踏まえてこの企画検討会あてに意見が提出されたものです。今 日は、この意見を踏まえて、酢酸イソプロピルについてリスク評価対象物質とすることにつ いてご検討いただきたいと思います。事務局からその間の説明をお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 それでは、説明します。資料2に有害性評価小検討会からの 意見をつけさせていただいています。お手元の参考資料1ですが、昨年12月15日に有害 性評価小検討会を行い、そのときに使いましたがん原性試験の結果、この中の資料のエッセ ンスとなる部分について、参考資料1としてつけさせていただいていますので、これらをご 覧になっていただきたいと思います。  資料2を説明します。有害性評価小検討会の中で検討した結果、「1 評価結果」という ことで小検討会におきまして、日本バイオアッセイ研究センターが実施した試験報告書につ いて評価を実施して、その結果、酢酸イソプロピルを2年間雄のラットに吸入ばく露させた がん原性試験において、高濃度ばく露群、4000ppmになりますけれども、こちらにおいて 実施施設の背景データを超える腹膜中皮腫が発生して、傾向性検定で有意であることから、 がん原性は否定できないと判断されるという意見になっています。一方、雌のラット、雌雄 のマウスにおける同様の試験においては腫瘍の発生増加は確認されなかったということ。  また、腹膜中皮腫のほか、非腫瘍性病変として、雌雄のラット、マウスにおいて鼻腔の呼 吸上皮等に変化が見られたと。それをエンドポイントとして、最小毒性量(LOAEL)につい ては1000ppmと推定されたということ。  がん原性試験に先立って実施された、細菌を用いた変異原性試験の結果についてはいずれ も陰性であり、当該発がん性は遺伝毒性に基づくものではないと考えられたということで、 評価結果としてはこれらを踏まえ、当検討会は当該試験の評価結果として、酢酸イソプロピ ルは、雄ラットに対し閾値のあるがん原性を有すると判断したという形でいただいています。  下のほうの「2 評価結果を踏まえた意見」ということで、当該物質については、吸入ば く露により動物種・性に特異性の高い中皮腫の増加が認められたものの、当該ばく露濃度は、 現行の特別則(「有機溶剤中毒予防規則」)になりますけれども、こちらにおいて設定された 管理濃度は100ppmになっており、これに比べて40倍の高濃度であった。  また、当該中皮腫及び刺激症状に随伴した鼻腔病変以外に毒性所見はみられず、寿命短縮 も認められなかった。一方、がん原性試験に先立って実施された変異原性試験の結果からは、 遺伝毒性に基づく発がんではないと考えられた。  これらを総合して、当該物質が現行規制の下で適切に製造され又は取り扱われる場合にお けるリスクは低いと考えられ、当該試験結果をもって、直ちに、健康障害を防止するための 指針を発出するなど、新たな対応を採る必要性は低いと考えられる。しかしながら、当該が ん原性試験の評価のみをもって、リスク管理を不要と判断することは早計であり、当該物質 については、すみやかにリスク評価対象物質とし、発がん性等の有害性に関する情報を収集 し、これらをもとに有害性評価を慎重に進める必要があるということで、昨年12月に行わ れた結果を踏まえて、小検討会からご意見が挙がったところです。  この報告を踏まえまして事務局として、今後の進め方としてはこちらに書いてありますと おり、リスク評価の酢酸イソプロピルについては、リスク評価の対象物質ということにして、 まずは、有害性評価を実施することとしてはどうかということを考えています。ただし、リ スク評価の対象物質としてやっていく中で、有害性ばく露作業報告の告示として報告いただ くというスキームもありますけれども、このスキームにおいて実施するとなると、物の選定 もさらにまた来年度となり、報告の対象期間をおいて、実際に挙がってくるのはかなり先と いう形にどうしてもなってしまうので、有害性評価の着手までにどうしても時間がかかって しまうことから、この有害物ばく露作業報告のスキームではなく、平成22年度(次年度) において有害性評価を先行して実施することにより、早急にリスク評価に着手することが適 当ではないかと、事務局では考えているところです。 ○櫻井座長 それでは今の説明を踏まえ、この「酢酸イソプロピルのがん原性試験の評価結 果について」という議題について、ご質問、ご意見等がありましたらいただきたいと思いま す。確認したいのですが、管理濃度が決まっているということは、有機溶剤中毒予防規則で 管理されているわけですね。 ○長山化学物質評価室長補佐 第2種の有機溶剤として。 ○櫻井座長 そうですね。ですから、既にリスク管理は行われているわけですね。4000ppm という非常に高い濃度で、ラットの雄だけですけれども、発がん性が認められたということ ですから、一応、慎重を期して有害性評価を実施するという方向でどうかという小検討会か らのご意見です。ただし、現実にそのようにした場合、まずやるべきことは文献調査という 気がしますけれども、いまの段階で、現時点までの文献調査が十分行われている状況ではな いようですから、それをやるということかなと解釈していますが、いかがでしょうか。 ○名古屋委員 この管理濃度は100ppmで、前回のときには改定の項目に入っていなかっ た。もし改定の中に入っていれば、文献調査はしっかりしているからオーケーだけれども、 入っていないと2006年度のときには過去の文献ですから検査していない。もし入っている のだったら、2006年までのいちばん新しい文献で決めているから、いま先生が言われたこ とはすぐ解決するかなと思います。 ○島田化学物質評価室長 実は有害性小検討会の大前座長と相談させていただき、大前座長 のほうで有害性の情報を収集していただいたところ、そういう情報はないということを聞い ています。ここでご決定をいただいて有害性の文献調査を始めるにしても、かなり限定的な 情報にしかならざるを得ないだろうという見通しはあります。 ○名古屋委員 情報を先にするよりは実態調査をしていって、現場がどうなのかなと見たほ うが。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。そういうことにもなる。 ○名古屋委員 なるかもしれないね。 ○島田化学物質評価室長 ただ、前回決めていただいた有害物ばく露作業報告の対象からタ イミング的にずれていますので、1年遅れになってしまうとは思います。 ○櫻井座長 ほかに、何かご意見はございますか。 ○棗田(中災防) いまので既に管理濃度があるというとことは、作業環境測定をやってい るデータがあるのではないかと思いますが、そのデータを例えば日測協を通じて収集するな りして、実際にどれぐらいのばく露を受けているのか推定できるのではないかと思うので、 まずそういったことに着手されたほうがよろしいのではないかと思います。 ○櫻井座長 いいご意見をいただいたと思いますが、その辺、検討課題として取り組んでい ただきたい。 ○島田化学物質評価室長 併せて、もし可能であれば、業界のほうからもご協力いただいて、 任意に測らせていただく可能性もまだあると思います。 ○櫻井座長 なお、発がんとは直接関係ないかもしれませんが、1000ppmでもなお鼻腔へ の影響はあるということで、しばしば起こる現象で、1000ppmぐらいでは多くの有機溶剤 は同じようなことになるのだろうと思います。そういう鼻腔への影響の(LOAEL)がどのあ たりにあるのか。それはまた刺激を前提とする発がんを考えるひとつの情報にもなり得ると いう気はします。 ○島田化学物質評価室長 それでは、そういうご意見も踏まえて次年度、有害性の評価を先 行させつつ、併せて、ばく露情報も取れる範囲で取らせていただく形で対応を進めさせてい ただきたいと思います。 ○櫻井座長 そのようなことで、よろしいですか。では、そうさせていただきます。ありが とうございました。続いて3番目の議題「リスクコミュニケーションの結果等について」の 検討に入りたいと思います。事務局から説明をお願いします。 ○井上労働衛生専門官 資料3-1、資料3-2、参考2の3つの資料についてご説明させてい ただきます。資料3-1ですが、12月11日に開催した「化学物質による労働者の健康障害防 止に関する意見交換会(リスクコミュニケーション)の概要」です。これについては3の議 事次第にありますが、化学物質のリスク評価に関する情報提供として、[1]〜[4]に掲げる4 名の専門家から情報提供いただいたところです。[1]は本日の座長である櫻井先生から「リス ク評価対象物質・案件の選定の考え方」、[2]は名古屋先生から「今後のばく露評価の進め方」、 また規制措置の対象になっているホルムアルデヒドとニッケル化合物について、それぞれ関 係する病院、企業の先生方からご講演をいただいたところです。その後、情報提供を踏まえ、 参加者との意見交換を行ったところです。本日、ご出席いただいている堀口先生にコーディ ネーターを務めていただいています。参加人数は140人程度でした。  2頁で意見交換の内容です。先にお断りさせていただきますが、2頁以降の5の意見交換 の内容については、いまの時点で事務局で作成し、まだ各先生方のご了解をとっていない状 況ですから、この場において、または追って意見等のご指摘をいただければ、それを反映さ せた上で公表という扱いにさせていただきたいと思います。  いくつか意見交換の内容についてご紹介します。参加者からの質問を基に、コーディネー ターの堀口先生の進行により意見交換を実施しました。全体的な話として、化学物質のリス ク評価に時間をかけていることが、適当かどうかの意見があったところです。また日本独自 で取り組んでいるということ。また妥当なリスク評価の流れではないかといった話でした。  Q2ですが、既に法規制を受けている物質を改めて評価することもあり得ると資料にある けれども、どのようなケースを想定しているのかという話で、鉛を含む塗料の取扱いとか、 サンドブラストの指摘がありました。そういった指摘は諸外国では使用そのものが禁止され ているけれども、日本では規制外で遅れていると見られるといった指摘があった場合には、 少し焦点を絞ってリスク評価をしてもいいのではないか。または既に規制したものについて 必要がなくなっていると考えられるものについては、いったん規制したものを外していくこ とがあってもいいのではないか、というお話がありました。  次にばく露評価の関係ですが、ガイドラインの公表時期について意見があったところです。 3頁のQ3、Q4は番号が誤植でずれていますが、追って修正させていただきたいと思います。 現地調査において(ばく露データの)ばらつきの大きい場合は、個別に評価していますとい う意見とか、またQ3でばく露評価において、男女比の考慮がされているのかというご意見 があり、これについては今後の有害物質ばく露作業報告の対象物に対するリスク評価の中で は、生殖毒性のある物質を評価対象として選定していくことにしていますので、そうした中 で配慮させていただくという回答をしています。  4頁で、規制措置対象の物質の1つであるホルムアルデヒドについては、病院の先生から プレゼンをいただいたところですが、管理濃度を達成することが大変厳しいという意見につ いて、病院関係者の先生である清水先生から、病理学会として今、アンケート調査を行って 詳細な分析を行っているという話や、プッシュプル型換気装置等を使ってくださいというお 話、また適正な管理ができていない場合には、その原因がどこにあるのか分析能力を磨いて ほしいという話があったところです。  5頁で、もう一つの規制措置対象物質であるニッケル化合物の関係でご意見がありました。 Q5にありますが、粒子の大きさ、形状と測定の平準化が重要になってくるというご意見に 対し、6頁にかけて書いていますように、今後は物質の粒径を意識して、サンプルの選定や 測定方法を選択する時代に入ってきたというお話、また粒径を考慮していきましょうという 話等があったところです。Q6は住友金属鉱山の金井先生から、粉状品と塊状品との明確な 区別、化合物ごとの規制に係る提言をいただいたところですが、金属類の粒径については今 後、検討していかなければならないという話があったところです。簡単ですが、意見交換の 内容については以上です。  次に別添です。リスクコミュニケーションの場において参加者からいただいたアンケート を回収した結果ですが、この中身については資料3-2でも一部を紹介しますけれども、例え ば項目1の「意見交換会全体のテーマについて」は、とても興味深い内容でしたというお話 に加え、一方ではナノ粒子・粉体、もっと具体的に掘り下げたテーマ、他の規制、他の事例 をもっと聞きたいという要望もあったところです。  2頁で項目2の「情報提供について」、説明時間や説明内容、資料はいかがでしたかとい う項目ですが、分かりやすいというご意見をいただいている一方で、専門分野の内容に関し ては物足りなさを感じたという話、また具体的なQ&Aの事例集などがあったら良いという 指摘もあったところです。  3頁で項目3の「意見交換について」、時間や内容はいかがでしたかという項目を用意し ていますが、より詳しい説明があった方が良かったという意見、時間が短いように感じたと いう意見、質問の幅が広すぎるように思うといった意見と、参考になるという意見と同じく 幾つかいただいたところです。  4頁で項目4の「その他」ですが、ホルムアルデヒドの関係で、もっと多くの分野の意見 を聞いてみたいとか、繰り返しになりますけれども、専門家向けを含めて、どういったレベ ルの方をターゲットにしているかを明確にしてほしいとか、開催場所については東京以外で も開催してほしいとの要望があったところです。  次は机上配布のみとさせていただいていますが、12月11日に開催したリスクコミュニケ ーションの資料を添付しています。これについては既に厚生労働省ホームページで公表して いるところですので、傍聴にお出でいただいた方々については大変恐縮ですが、追って厚生 労働省ホームページをご覧いただければと思います。  参考2として用意したのが、7月29日に開催した第1回目のリスクコミュニケーション の概要です。これについては9月15日の「第2回の企画検討会」で紹介した資料ですので、 中身について細かい説明は割愛させていただきます。この資料3-1と参考2のそれぞれのリ スクコミュニケーションの概要を踏まえ、資料3-2を説明したいと思います。  資料3-2は「今後のリスクコミュニケーションの進め方について(案)」の1枚紙です。1 の開催状況ですが、(1)として、厚生労働省では、本年度から「化学物質による労働者の健 康障害防止に関する意見交換会(リスクコミュニケーション)」を開始したところです。そ の開催テーマですが、当省における化学物質による労働者の健康障害にかかるリスク評価に 関する情報提供を行う観点から、[1]リスク評価対象物質・案件の選定の考え方、[2]ばく露評 価の進め方、[3]リスク評価結果を受けて規制の対象とした物質に関する関係業界の対応状況 等を採用したところです。  (2)の開催状況は、先ほど申し上げたとおり7月と12月にそれぞれ開催していて、100人 強の参加をいただいたところです。(3)ですが、2回の意見交換会において、参加者から提 出された要望等を、先ほどアンケート結果で12月開催分についてご紹介しました。それを もう少し絞った形でここに整理しました。  [1]のテーマについては、中小事業場を含む各社の取り組み事例の紹介、発がん性、遺伝毒 性、生殖毒性等有害性情報の紹介、一定程度の専門知識を有する方を対象にするものと、一 般向けとの区分、2頁でホルムアルデヒド等を取り扱う医療分野における労働安全衛生法令 の規制の紹介、医療分野以外におけるホルムアルデヒド等を製造・取扱い事例の紹介、ナノ マテリアルの規制等の紹介、フィジカルリスク評価に関するテーマといったテーマを提言い ただいています。また中にはテーマが広すぎてポイントが絞れない面があるといった指摘も あったところです。  [2]の意見交換会の持ち方については、東京近郊以外の大規模地方都市における開催、一般 向けと専門家向けの意見交換会を分けてほしい。また意見交換会ではどうしても時間の制約 があり、明確な回答が得られなかった点は、議事録等の公開時に追加情報を掲載して欲しい という意見がありました。  この開催状況を踏まえ、2の今後の進め方が今日、ご議論いただきたい検討事項です。1 を踏まえ、今後の意見交換会が効果的かつ効率的なリスクコミュニケーションとなるよう、 以下の点等について検討を要する。なお、検討結果については、次年度の「労働者の健康障 害防止にかかる化学物質のリスク評価方針」に盛り込むとともに、必要に応じ、リスクコミ ュニケーションの方針等としてとりまとめることとする、と整理しています。  (1)はどのようなタイミングで意見交換会を開催していくべきかで、(参考)としてリスク 評価にかかる手順としては、・で示した5つの手順があり、リスク対象物質・案件の選定、 初期リスク評価、詳細リスク評価、健康障害防止措置の検討、規制措置の導入(法令による 規制の公布、施行)です。(2)はどのようなテーマを取り上げるべきか。(3)は効果的かつ効 率的な意見交換会とする上で、どのような持ち方が適当か。(4)その他等について検討いた だきたいと思います。 ○櫻井座長 説明ありがとうございました。いかがでしょうか。実施されたリスクコミュニ ケーションについての説明と今後の進め方がありますが、どの部分でも結構です。ご質問、 ご意見をお出しいただければと思います。 ○堀口委員 コーディネートさせていただきました。ありがとうございました。皆さん、お 疲れさまでした。質問を集めたときに幅広く参加者のアンケートにも出てきていますが、あ まりご存じでなくて勉強しに来ている方から、勉強を積み重ねてきて自分の疑問点を解決す るために来ている方まで、対象が初めてであったので広かったのが現状だと思います。それ を専門家向け、一般向けという言葉でいいのかわからないのですが、厚生労働省のほうから、 知ってくださいという情報提供をメインとしたものと、勉強してきた方に対して、要するに 疑問の解決の場になるものと、少し分けてやったほうがいいのかなということを感じました。  それを、例えば時間の配分として長すぎたという人がいなかったので、たぶん時間として はこれぐらいがベストだと思いますし、この時間帯の中に両者を組み込むことは非常に難し いと思いますから、そこはどうプランニングしていくかだと思います。こういう人たちを対 象に開きますよというターゲッティングがわかるように、集めるときにインフォメーション することが大事だと思います。  第1回目は、企業がリスク評価をどうするかというリスク評価の雑駁なお話で、後半はニ ッケルとホルムアルデヒドという特定された物質だったと思いますが、そうなると例えばホ ルムアルデヒドとニッケルに関係している人しか、たぶんその場に来ていないので、個別の ものについては、これからリスク評価の対象物質もいろいろあるので、1個1個やっていく のがいいのかどうかは、ひとつあると思います。厚生労働省としてリスクコミュニケーショ ンをどうしていくかと、業界団体と関係者が主催するリスクコミュニケーションと、どう連 携していくか、厚生労働省の考え方として、方針が書ければいいのかなと個人的には思いま した。 ○櫻井座長 適切なご意見、ありがとうございます。 ○島田化学物質評価室長 当日、パネラーとしては山口さんにもご参加いただき、その部分 をご紹介していなくて申し訳ありませんでした。 ○堀口委員 できればパネラーとして回答された先生方からも、ご意見を聞きたいところで す。 ○島田化学物質評価室長 今日は4名の方々に参加いただいていますので、櫻井先生、名古 屋先生、山口先生も含め、何かご指摘を賜ればありがたいと思います。 ○山口委員 リスクコミュニケーションという名前ですと、ステークホルダーとしていろい ろな関係者が集まって来ることになります。その場合にはどうしても知識の幅も広がります し、専門家にとっては不足な部分が出てきてしまうので、ある程度の階層分けをしてやった ほうが、効率的な運営ができるようには思います。逆に言うといろいろな人が集まるせいで、 必ずしもすべての人がすべてのことを知っているわけではない。知識のレベルがいろいろだ ということで、逆にいろいろな意味で理解が深まる点はあるのですが、すべての人が専門家 だと思って、大企業と同じように中小もやっていると思ったら大間違いですから、そこら辺 では意味があるのですが、この制度を普及するという意味から言うと、ある程度分けたほう が効率的に運営できると、私も堀口先生と同じような感じはしました。ただ、必ずしもいろ いろな人が集まることをなくしていいかなと、ちょっと気になるところがあるのです。 ○名古屋委員 私は最初出たときは、たぶん国はこれからこういう方法で、こういう物質の 管理をすることの一般的な宣伝かと思っていました。そういう意味では、ある程度の役割は 果たしたかなと思います。ただ、個別の問題で難しいのは、自分のところで解決を持ってい ることと、改善対策のことだと思います。例えばニッケルにしても、本来、粉状ニッケルを 扱っているところよりは個別に業界で、たぶん溶接のところで島田室長さんがやったように、 溶接の中では逆に大きな問題になっているわけです。ニッケルそのものの本体よりは、溶接 を取り扱っているところで特化則に規制がかかるのか。そうするとかかるのだ、でもヒュー ムのときはかからない。個別の大きな問題を持っている。それを議論したときにどうなのか となってくると、個別にやってあげたほうが親切ではあるけれども、たぶん小さくなってく る。その個別の問題を持ってくるとどうなのかということがあって、なかなか難しい問題か もしれないので何とも歯痒いところではあるし、まだまだ解決しなければいけない研究テー マもある。それに対してすぐ答えられない部分があるので、これからなのかなと思います。  でも行政としたら、これから国はこういう方法でやるということを示す。ひとつほしかっ たのは、前回やったのかもしれませんが、私たちがリスクコミュニケーションをやる中で、 書いてもらう人たちを集めて、この書き方で情報を集めるときに、これでいいのかなという ことがある。我々は委員会では決めているけれど、書いている人の意見を聞いたことがない ので、そこもコミュニケーションしたいと思います。それを集めて我々はルールに則って化 学物質の選び方を決めたのですが、現場の人たちがそれを見たときに、本当にそれができて いるのかどうかは、逆に我々の立場から聞きたいと思います。そのコミュニケーションして みたいなというのはあります。それと集まってきたものをどうするかは、また別の問題なの かなと思います。行政としては、国の指針と、集まって来る今まで決められたものは、ちゃ んと運用できるかどうかが先かなと思います。その後に波及してくる効果は個別に扱ってみ たほうがいいと思いました。 ○櫻井座長 私も回答者でしたが、質問の幅がかなり広くて、リスク管理の基本的な概念を 履き違えている方が、何回も時間をとって質問して困ったりもしました。自分でエキスパー トだと思っていても、意外に基本的なことを知らなかったり、ああいう場で普段なら恥しく て聞けないようなことも、質疑応答があると非常に納得がいくことも多々あるので、ある程 度の幅があることはむしろいいと思っています。ただ、リスクコミュニケーションを組織し て実施する側としては、その次にどういうテーマで、どういう聴衆を意識してやるかは、そ れなりに計画を立てて実施していきながら、その成果を見て修正してやっていくのがいいと 思っています。  例えば年間4回ぐらいやるのか、あるいは地方の何カ所かでやるのか。東京でなく地方で やるときはやや幅広くみたいなことになるでしょうし、東京ですとやや専門的な領域で、何 回か同じ方がいらっしゃることを想定する必要もあるかもしれない。そういう意味で、計画 の立て方の段階で知恵を絞るのが望ましいと思っています。ほかに何かございますか。いか がでしょうか。 ○棗田(中災防) 2回参加していて、フロアーからの意見とか、あと個別に聞かれたこと 等から思ったのが、今回のこのリスク評価は個人ばく露でやっていますけれども、実際の規 制がかかると作業環境測定でやる形で、今まで作業環境測定で評価してきています。そうす ると、どうも作業環境測定と個人ばく露の評価の違いとか、何が違うのかというのが誤解が だいぶあるような感じがします。先生方とフロアで話が噛み合わないところが、だいぶ見受 けられたような感じがしましたので、その辺のところは厚生労働省が詳しく説明するのか。 それともこういった会のときにやるのかわかりませんが、その辺のところの違いは明確に説 明していって、なぜ作業環境測定で管理していくのかはきちんと解説してあげないと、個人 ばく露でいいのではないかという風潮が出てきます。それはそれでリスクはいいのかもしれ ませんが、大きな誤解があるし両方とも長所と短所がありますので、そういったところを含 めてうまく説明してあげて、どちらを選んでもいいというところを含め、解説が必要なので はないかと率直に感想として思いました。 ○櫻井座長 ありがとうございました。テーマとしてそれは考えるということですね。 ○山口委員 いまの話で思ったのですが、来ている方は実際に法律があって、その規制に基 づいて設備に対応するお金が要るし、また作業環境でいろいろ要るということ。法律を守る という観点からだけ見て、本来の目的は労働者の健康を守るということで、法であろうがな かろうが、自分が危ないということに対しては対応しなければいけない。要するにリスクで 物事をちゃんと考えないといけないところを無視して、何か法律がこうだから、こうなんだ というようなところに行きすぎるような感じの部分もあったのです。目的は何なのかという ことをきちっとして、そのやり方がリスクベースで、たまたま法規制が今だと協会とかセン ターを介してとか、いろいろなことになっていますが、ある程度そこの根本のところで理解 してもらわないと、法律だけ守っていればいいというのは違いますよということ。いちばん の法の精神は労働者の健康障害を防止することですので、そこをまずきちっと理解してもら って、この仕組みを理解してもらうことが大事だと思います。 ○櫻井座長 それは総論的に最も重要テーマとして、常に入れておく必要があるというご意 見だと思いますが、私も同感です。 ○堀口委員 言い続けないとたぶん忘れるので、ずっと言い続けなければいけないというこ とですね。 ○島田化学物質評価室長 事務局があまり誘導するといけないと思ったのですが、ひとつ、 今回の2回の参加者は、企業側のマネジメントをされている方がほとんどで、そういう意味 では労働者の健康に関して労使双方が揃い、関係者間の利害に関するリスクコミュニケーシ ョンをするという当初の趣旨からすると、ちょっと違っていて、どうも企業のマネジメント をされている方が情報を知りたいということで、事務局なり先生方にご質問されるというの が今の現状です。いま、山口先生がおっしゃったように、健康をどうするかということを率 直に利害関係者が討議をする場というところには、まだいっていないようです。 ○漆原委員 いま労働者がという話が出ました。1回目は日程上の都合があり、こちらもい ろいろ対応できなかったのですが、2回目のところは連合傘下の組合にも声をかけたところ、 ホルムアルデヒドとニッケルですから、うちは関係ないという所がほとんどで、反応が極端 に少なかったというのが実際のところです。声はかけてはいるのですが、このためにこれだ けの時間は割きたくないという声が、いちばん多かったという状況です。 ○櫻井座長 意図的にそういう参加を得られるようなことも考えたいですね。 ○島田化学物質評価室長 工夫していく必要があるかと思います。またそこをご相談させて いただきたいと思います。 ○堀口委員 パネリストの一人を労働者のほうで、あと、各側の直接記録を書かなければい けない人なりがいてくださると、質問の回答のときに両者からの話が出るかと思います。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおりだと思います。私どもも1回目は労働者の代表 をということで募ったのですが、労働者の代表の方ということと、化学物質なりリスク評価 に関する知見を有している方がちょっと違うようです。そういう意味で産業医のような方が いちばん適当ではないかということで、エクソンモービル社のそういう部署におられる橋本 さんに入っていただいたということです。人選に関して堀口先生なり漆原先生にお話を伺っ て、また検討していきたいと思います。 ○名古屋委員 測定はいま求められていますが、本来的にここに持って来るためには、どう いう測定をして持って来るかということの話で、それと作業環境をどう管理するかという話 はリンクしていないから、例えば質問書に「どういう測定をしましたか」とあっても、それ は要するに情報を集めるためにこういう情報を集めて、ばく露濃度を測定してやりましたと いう感じです。そこのところの評価方法が決められているからやっているだけの話であり、 そこのところと作業環境をどうするかという話は、このテーマの中に何も入っていないとこ ろもあるし、また聞く人も別段、それを聞いたからどうするということでもない。自分の所 で例えば法体系でばく露濃度を測りなさいというと、ものすごく真剣に聞く話ですが、いま のところ「そういうふうにして決められているのか。その時にどういうふうにばく露濃度を 測りますか」という議論だけなので、測定に関してあまり関心はないのではないか。  そういう意味では、ただ単にそれを測っているのではなく、測定士が測定差を求めたとき にばく露のものと、作業環境の管理という形にターゲットを絞っていき、本来的にその人た ちが事業主さんに、作業者の健康のために1つだけでなく、2つ測らなければいけないとい うところは、また絞った考え方でやらないと、あのパネルの中で測定や分析の話をされても、 たぶん進んではいかないのではないかという気がしました。 ○櫻井座長 あと先ほど堀口委員から、国が行うリスクコミュニケーションと、業界等が独 自にイニシアティブをとって行うリスクコミュニケーションと、両方あるだろうというお話 がありました。それはどんなふうに考えたらいいのでしょうか。 ○堀口委員 リスクコミュニケーションは必ずしも国だけがやるものではないので。 ○櫻井座長 当然、そうだと思います。 ○堀口委員 あと業界の方々は、例えば地域住民まで巻き込んだりとなってくると思うので、 この検討会ではそういったものとどう連携していくのかを1文でも書ければ、例えば業界は 業界でやらなければいけないのだというところも、考えてもらえるのかなと思います。 ○櫻井座長 連携を考慮すれば、1文入れておいたほうがいいと。 ○堀口委員 はい、いいのではないかと。 ○櫻井座長 山口委員、いかがですか。 ○山口委員 難しいところなのですが、あくまでも労働者の健康障害となると事業所内部の 話になるので、地域住民の方と話をしても直接はわかりにくいですね。PRTR的な話になれ ば、まだ地域への影響ということで説明しやすいのですが、化学物質に限らず機械等のリス クアセスメントもそうですけれども、事業所単位の問題で、事業主と労働者が一緒になって、 どうやってリスクを少しでも減らして健康障害を防止するか。あるいは怪我等をなくすかと いう問題になりますから、どうしても内輪的な話になりがちです。ただ、自分たちが事業場 として取り組むためには、いろいろな事例を学ぶ必要がありますし、国の法律のことも知ら ないといけない。幅広い目で見ていかないと金の制限もあって、限られた中でいかに効率的 にやるかということもありますから、そういう意味では非常に情報としては重要です。逆に 狭い世界の話なので、いろいろな情報をもらわないと、どうしていいかわからない反面もあ りますから、こういったことに関してのいろいろな情報をいかにみんなで共有していくかが 大事です。自分たちの対策がこうであればいいというだけではなく、それを世の中に少しで も発信して共有化することが必要だという気がします。 ○櫻井座長 ただ、いま伺っていてそうだなと思う部分と、もうひとつは、業界の中で関連 する会社の労働衛生担当者を集めて、それと情報を十分持っておられる中央の方との間でリ スクコミュニケーションをする。あるいは相互のリスクコミュニケーションがあってもいい かなという気がします。 ○山口委員 全体を見て言うところと、地域で実際の事業所単位でやっている方というのは、 取り組む内容も違いますし知識も違うので、確かにそこの中でのコミュニケーションをよく しないと、どうしても狭くなりがちになるのです。 ○櫻井座長 昔、いろいろ問題が多発していたときには、各業界の中で労働衛生研究会ある いはそれに類するものが結構活発に動いていて、そこで年中、リスクコミュニケーションあ るいは研究までやっていた時代があったのが、今はそういう面が薄らいでいますね。 ○山口委員 そうですね。 ○櫻井座長 それはちょっと残念だなという気がします。 ○名古屋委員 気になっているのですが、ここのところの話は、あくまでも国がこれからど ういう物質を管理物質として出していくか、そのための手法でしかなくて、それが一般的な ところの手法として使っていいのかどうかの行政的な手段は何もない。あくまでもこれは今 まで選ばれた物質に対して、これから国はそれを基準物質あるいは管理濃度として管理して いくために、その手法の1つとして出しているだけの話であって、それを使って現場でリス ク評価をするかどうかの話はどこにもない。そうすると聞く人は、国がやるための測定なの か、方法なのかということであって、要するに身近なものとして受け取れないのではないか という気がするのです。その辺のところのコミュニケーションが要るのではないか。あくま でもリスク評価するときに、自分の所で扱っている物質について、こういう手法で管理すれ ば、ある程度リスク評価できるというところが何もなくて、たぶん聞いていると、国はこれ からこんな物質に対して、こういうふうにやって、管理濃度物質あるいは基準物質を決めて いくのですねという流れでしか見ていないから、身近なものとして受け取れません。やって いる所も中災防しかやりませんという話になって、その辺のところを、これからどう持って いくのかも要ると思います。  もうひとつ思うのは、たぶんこの後に出てくるのだと思いますが、リスク評価したときに いまの法体系が二重規制になっている。ここはどうにもならないですね。 ○島田化学物質評価室長 二重規制。 ○名古屋委員 要するに、例えばホルムアルデヒドをやり、リスク評価をしてリスクはない としているけれども、現行法ではリスクがないから何もしなくていいわけではない。作業主 任者の資格を取らなければいけないとか、ニッケルの扱いについても掃除する人たちは作業 主任者の資格を取らなければいけない。リスクがないとして全部なくなるわけではなく、少 しは付いてくるけれども、いまの法体系の中で少し外してもいいものがあっていいはずなの に、現体系を守らなければいけないとしてリスク評価を邪魔するものがあることが、たぶん 出てくるのではないか。その辺のところはこれから検討していく要因になってくると思いま す。 ○櫻井座長 その部分は今までも質問がありましたね。 ○島田化学物質評価室長 そうですね。 ○山口委員 いまのお話ですが、第1回のときは企業からの取組みの説明がありましたね。 あのときには「手法をいろいろ見て参考になりました」という意見があったと思いましたの で、ああいう具体的に化学物質のリスクアセスメントで、こんな対策をやりましたという事 例の紹介は、事業者の担当者の人に参考になったのかなと思います。 ○櫻井座長 結局、国が行うリスクアセスメント事業に関するリスクコミュニケーションと、 プラス、もっと一般的な自立的なリスク管理も同じぐらいの比重で入れるという方向ですね。 たぶん皆さんがおっしゃっていることは、そういうことだと思います。 ○島田化学物質評価室長 いまの仕組みの中で、リスク評価を先行して進めていただき、今 後、健康障害防止措置に関する検討会で本来、検討がされていくべきものと思いますので、 そういった中でどういう方針で措置を決めていくのか議論されたら、またそこをご紹介して いくやり方はできると思いますので、来年のリスコミにはそういうものも反映させていきた いと思っています。  名古屋先生のお話で、私どもは確かにそういう視点が抜けていて、今回の場合には物質選 定の段階で企業の方に、どういう理屈でこの物質が選ばれたかに関しては、少なくとも説明 しなければいけないのではないか。国が規制をかけ始めたので規制がかかりましたと受け止 められるよりは、先ほど山口さんが言われたように、自分たちの健康を守るために、この物 質は必然的にリスク評価の対象になりました、それを踏まえて国としてこういう評価をしま したと。その内情をわかっていただくための説明となってしまいましたので、それを企業に どう反映させていくかに関しては、またご意見をいただきましたので、検討させていただき たいと思います。 ○山口委員 私がいつも感じるのは、機械のリスクアセスメントをやって対策を打つと、確 かにリスクが減ったなと何となくわかるのですが、化学物質というのは身近にすぐに健康障 害を感じるものではないので、やって何か対策を打ってもあまり実感がないのです。だけど 本当は非常に大事だというところを、常に感じてもらうようにしていかないといけない。た だし、そんなに恐ろしいものでは一切ないので、必要以上に心配する必要はないのですが、 やるべきことはきちんとやって、それは目には見えないけれど効果はあることを理解しても らっていかないといけない。機械に比べると非常に実感しにくいというか。 ○櫻井座長 そうですね。あと要望事項の中でフィジカルリスク評価に関するテーマと書い てありますが、これは危険性のことですね。火災、爆発ですね。 ○島田化学物質評価室長 はい。我々が思っているのはまさにそのとおりで、漏洩や火災に 関する部分について、これはあくまで健康障害防止に関するものということで位置づけられ ていますから、その部分が聞きたいという方がいらっしゃったのだと思います。 ○櫻井座長 いらっしゃるのですね。でも当面、それはテーマとしては別ですね。どうしま すか。それまで入れると全くね、どうでしょうね。 ○吉田委員 漏洩をして、急性のばく露を受けての化学物質の影響というものも考えられま す。 ○櫻井座長 もちろん重要だと思います。 ○吉田委員 ここの化学物質の中に、それが全部読み取れるかどうかはまた別ですけれど、 いますぐでなくても少しそういうところも今後入れていただければと思います。 ○櫻井座長 少しずつ、ちょっと前提を外さないで、スコープの中に入れておくのもいいか なと。 ○吉田委員 はい。 ○山口委員 それはある意味、MSDSの中に緊急時の対応等は書かれていますので、その MSDSの活用を、リスクアセスメントの具体的な作業に当てはめるだけではなくて、そう いった部分を緊急時の対応のマニュアルに生かすとか、そういったところにどうやって広げ ていくかということだと思います。 ○櫻井座長 そうですね。GHS分類等を利用して、どのように爆発、火災の防止対策でリ スクアセスメントをやって、マネジメントをやるかは大事な課題で進行中ですよね。 ○島田化学物質評価室長 この場では、リスク評価自体は慢性毒性のものになっていますの で、常にそういうものに対してどうするかというのは、先生方にご検討いただいているもの ではないのですが、現実として爆発災害、漏洩は起こっていますし、そのために人命が失わ れていることもありますので、やらなければならないテーマではあると思います。ただ、ス トックテーキングが果たしてできているかというと、先生方のご議論の中に入っていないも のになりますので、今後どうしていったらいいかというのは、検討課題になってしまうので はないかと思います。 ○櫻井座長 そういう危険の防止は、化学物質対策課のテーマの1つでもあります。でもこ の検討会等で当面の課題として挙げられていない状況ではあります。 ○島田化学物質評価室長 ただ、1点、櫻井先生などには昨年度、初期リスク評価に関わっ ていただきましたが、物質の中では単回投与で発がんが出るものもありますので、そういっ たものはフィジカルリスクと密接に関わってくると思いますから、そういうものをどう扱う かは当然あると思います。 ○櫻井座長 発がん物質は、全部そう言えばそうなのです。大量ばく露だと、ばく露量に応 じて何らかの遺伝情報の変化が起こるとしたら、閾値がないと考えているものについては、 同じようなことは常に成り立つとは思うのです。 ○島田化学物質評価室長 事務局から1点、2の(2)のどのようなテーマを取り上げるべき かということで、先生方からご意見はいただいたのですが、併せて事務局のほうは、こうい うリスコミの席上でどういうテーマを取り上げるべきかということで、参加者への問いかけ はしているのですが、こういった形でテーマを設定していくことでよろしければ、引き続き 来年もさせていただきますし、そうではなく、もっとそういう仕組みを作って、テーマを吸 い上げることを考えたほうがいいということであれば、またそれは検討課題になりますが、 いかがでしょうか。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。仕組みを作るということの意味はどういうことですか。 ○島田化学物質評価室長 例えば別途、関係の業界あるいはパブリックコメントみたいなこ とでテーマを募集することは、場合によってはあるかもしれません。 ○櫻井座長 どうでしょうか。 ○堀口委員 パブリックコメントよりは、それこそいちばん最初の議題ではないですが、有 識者の方20〜30人に、どういったテーマを取り上げるのがいいかといった自由回答形式の 調査法で上位に挙がったものをやっていくのが、いちばんいいかなと思います。もし仕組み でいくのであれば。 ○島田化学物質評価室長 有識者の範囲というのは、どういう。 ○堀口委員 私だったらたぶん、各検討会のメンバーの先生方、ほぼ全員ですけれども。テ ーマは違うのですが、食の仕事をさせていただいているときに、食の安全と言っても専門家 がステークホルダーでなくて、例えば食品安全委員会の委員の先生と食品衛生監視員、栄養 士、家庭科の先生など、いわゆる専門家の中でも言っていることが違うということに気づい て、それぞれを対象にどういうことを一般消費者が知るべきか調査をしたときに、かなり違 いがあったのです。ですから有識者を限定するのも少し危ないのかなと、この問題に関して も思っているので、むしろ厚生労働省が主催するリスクコミュニケーションなのだから、検 討会のメンバーの方に、どういうものでやっていったらいいかを聞いていくのが、いちばん 無難かなとは思います。 ○櫻井座長 検討会のメンバーに聞くということは、限定しているということではない。 ○堀口委員 と思います。それぞれバックボーンがいろいろで、私と名古屋先生とも違いま すし、山口さんともバックボーンが違うので。 ○櫻井座長 なるほど。それぞれの方のアンテナの領域というのは広いし。 ○堀口委員 ただ、目的はみんな一致している。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。いろいろ意見をいただきました。 ○山口委員 テーマを決めるときに、その狙いがどういうことかをわかりやすく、長くなく ていいですから、例えばいまの法律の制度について知ってもらうためとか、化学物質の有害 性について知ってもらうとか、リスクの考え方を知ってもらうとか、簡単に何を狙いとして、 このリスクコミュニケーションを今回やるのかというところは、ある程度わかったほうが意 識がはっきりしていいと思います。 ○堀口委員 そうだと思います。 ○櫻井座長 そのほか何かございますか。ありがとうございました。非常に有益なご意見を たくさんいただきました。今日議論いただいた内容については事務局でこれから努力して、 次年度のリスク評価方針の中に、リスクコミュニケーションのことも書き込むということで すね。 ○島田化学物質評価室長 第1回目の検討会のときに、今年、21年度のリスク評価の方針 をこの場で議論して定めていただき、ほかの委員会に対してそれを申し送った状況ですので、 来年も今年のレビューをしていただいて、21年度の評価がうまく進んでいるかどうかを踏 まえて、次の年の方針を決めていただきますけれども、その中にリスクコミュニケーション の項目もありましたので、そこに入れさせていただく形にしたいと思います。 ○櫻井座長 わかりました。それを取りまとめていただくことにしたいと思います。また場 合によってはリスクコミュニケーションの進め方を、別に起草して決めることもあり得ると いうことですか。 ○長山化学物質評価室長補佐 そうですね。かなり意見をいただきましたので、何らかの形 でまとめさせていただき、またお諮りをさせていただこうと思います。 ○櫻井座長 ではそのあたり、事務局のほうでご検討をお願いしたいと思います。今日はそ ういった議論を交すことが目的でしたので、これで目的を達したと思います。そろそろ時間 になりましたが、今後の予定について事務局から説明をお願いします。 ○長山化学物質評価室長補佐 資料4で企画検討会の今後の検討予定を付けています。次回 第4回は今月、1月21日(木)です。議事としては、がん原性試験対象物質の選定につい てということで予定しています。先ほどあったとおり、選定の考え方についていろいろご意 見をいただきましたので、それを踏まえて事務局で修正したものをお出ししたいと考えてい ます。それとともに来年度のフィージビリティテスト2物質についても選定していただく形 で考えています。第5回は、21年度のリスク評価の実績及び次年度リスク評価の方針につ いてということで予定しています。 ○櫻井座長 それでは、これらの予定日にご出席のほどよろしくお願いします。今日は閉会 とさせていただきます。ありがとうございました。