09/12/25 平成21年12月25日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成21年12月25日(金) 10:00〜12:00  【場所】 中央合同庁舎5号館6階 共用第8会議室  【出席委員】(五十音順)     井手委員、井部委員、河村委員、鎌田委員、北田委員、佐藤委員、     西川委員、堀江委員、山川委員、山崎委員、山添委員、若林委員  【事務局】俵木基準審査課長、工藤補佐、磯崎補佐、後藤専門官 ○磯崎補佐 おはようございます。若干定刻からは早いですが、委員の先生方がおそろ いになられましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を開催させ ていただきます。  本日は年末の御多忙のところ、御参集いただき誠にありがとうございます。どうぞよ ろしくお願いいたします。  本日は、山内委員、由田委員より欠席との御連絡を事前に受けております。  現在、添加物部会の委員14名中12名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、 本日の部会は成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○若林部会長 わかりました。皆さんおはようございます。  それでは、配付資料の確認からいきましょうか。  事務局、お願いいたします。 ○磯崎補佐 本日、先生のお手元にお配りさせていただきました資料は、議事次第、委 員名簿、資料一覧、座席表、そのほかに本日の議題の資料といたしまして、3点ござい ます。  まず1点目が資料番号1−1から始まるものでございますが、2−エチル−5−メチ ルピラジンの新規指定の可否に係る諮問書と部会報告書案、そして食品安全委員会の評 価書をまとめたものでございます。  次に資料番号2−1から始まるものでございますが、こちらはイソペンチルアミンの 新規指定の可否に係る諮問書、部会報告書案、そして食品安全委員会の評価書をまとめ たものでございます。  次が資料番号3−1から始まるものでございますが、こちらはケイ酸マグネシウムの 新規指定の可否に関する諮問書、部会報告書案、そして食品安全委員会の評価書案をま とめたものでございます。  最後に報告資料といたしまして、食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価 の結果についてでございます。本日、お手元にお配りしております資料は以上でござい ます。もし不足等ございましたら、申し出ください。  皆様おそろいでしょうか。よろしければ審議に入らせていただきたいと思います。 ○若林部会長 資料は大丈夫でしょうか。過不足なさそうですね。  それでは、最初に2−エチル−5−メチルピラジンの新規指定の可否についての審議 を行いたいと思います。  事務局より資料についての説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明いたします。2−エチル−5−メチルピラジンは、平 成14年7月に食品衛生分科会で了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米 で汎用されている添加物の1つとして挙げられている品目でございます。  本品目については、食品安全委員会へ平成21年3月12日に食品健康影響評価の依頼を 行いました。食品安全委員会では、平成21年6月29日、9月28日に添加物専門調査会で 審議が行われ、その審議を踏まえた評価書が平成21年10月8日にとりまとめられたとこ ろでございます。  それでは、資料1−1をごらんください。こちらに沿って御説明申し上げます。  3ページ目、資料1−2、部会報告書(案)をごらんください。  品目名は2−エチル−5−メチルピラジン、構造式、分子式、分子量はこちらにお示 ししたとおりでございます。用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、本品目は緑茶等の食品中に存在するほ か、豚肉等の加熱調理などにより生成する成分でございます。欧米ではさまざまな加工 食品において香りを再現、風味の向上等の目的で添加されております。  食品安全委員会における評価結果は、平成21年10月8日付けで通知されておりまして、 2−エチル−5−メチルピラジンは、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念 がないと考えられると評価されております。  それでは、4ページをごらんください。摂取量の推計でございますが、食品安全委員 会の評価結果をこちらに抜粋しております。  欧米の推定摂取量から、我が国の本物質の推定摂取量はおよそ0.8〜4.7μgの範囲にな ると推定されております。また、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取 量は、意図的に添加された本物質の約800倍であるとの報告がございます。  新規指定につきましては、まず使用基準案といたしまして、香料として使用される場 合に限定して食品健康影響評価が行われたことから、使用基準は着香の目的以外に使用 してはならないとすることが適当であると考えております。  成分規格につきましては、5ページ、別紙1のとおり設定することが適当であると考 えております。  成分規格案の主なポイントを7ページの成分規格等の設定根拠に沿って御説明申し上 げます。本成分規格案の設定に当たっては、JECFA規格を踏まえ設定しております。 含量につきましては、JECFA規格と同水準の規格値としますが、小数点下一桁まで を有効数字とし95.0%以上といたしました。  確認試験につきましては、JECFA同様、赤外吸収スペクトル測定法を採用してお ります。なお、JECFA規格では、2−エチル−5−メチルピラジンと2−エチル− 6−メチルピラジンがございますが、両者の参照スペクトルが全く同一のものとなって おりました。  日本で改めて測定した結果を踏まえますと、JECFA規格における2−エチル−5 −メチルピラジンの参照スペクトルとして、誤って2−エチル−6−メチルピラジンの 参照スペクトルが収載されているであろうということがわかりました。なお、日本での 参照スペクトルは、日本で改めて測定し直したものを掲載したいと考えております。  純度試験につきましては、屈折率と比重を設定しておりますが、こちらは分析結果を 踏まえまして、JECFAの規格値をそのまま採用することとしております。  定量法につきましては、こちらもJECFAと同様にGC法を採用することといたし ました。なお、使用するカラムが無極性カラムの場合、異性体である2−エチル−6− メチルピラジンとの分離が困難なため、本品目の規格では極性カラムを用いることとし ました。  8ページをごらんください。JECFA規格では設定されておりますが、本規格では 採用しなかった項目として、溶解性と沸点がございます。溶解性につきましては、本規 格案では、IRによる確認試験や屈折率・比重などを規定しており、溶解性について規 定する必要性は低いため、採用しないこととしました。  沸点につきましては、一般的に香料化合物の品質管理はGC法により実施されるため、 沸点は必ずしも香料化合物の品質管理項目として重要ではないと考えられることから、 本成分規格案では採用しないこととしました。  本品目に関する説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。2−エチル−5−メチルピラジンの説 明をしていただきましたけれども、食品添加物の用途は香料、食品安全委員会における 評議結果、あとは摂取量の推計、意図的に添加された本物質の約800倍そもそも食品中 には存在するものであるということです。  あとは7ページのところに確認試験、純度試験、定量法等説明をいただきましたけれ ども、問題になるのは確認試験のところです。JECFAの方は2−エチル−5−メチ ルピラジンと2−エチル−6−メチルピラジンの混合物をどうも6−メチルピラジンと 称しているというようなところでありまして、5−メチル体と6−メチルピラジンの混 合物のものであり、赤外吸収スペクトルが違うということです。ここのところをもう少 し詳しく説明をしていただくことは可能ですか。 ○佐藤委員 最終的には御説明いただいたとおりですが、2−エチル−5−メチルピラ ジンにつきましては、試料として提供された試薬の2−エチル−5−メチルピラジンの IRスペクトルを測定しましたところ、JECFAの2−エチル−5−メチルピラジン と同様であり、次の年に2−エチル−6−メチルピラジンを分析して、やはりJECF Aと同じで、結局2−エチル−6−メチル体と5−メチル体区別が付かないものと思っ ていたんです。ところが、2−エチル−5−メチルピラジンの試験成績書に、2−エチ ル−5(6)−メチルピラジンと書いてあり、混合物ということがわかりました。  その後、毒性試験用に用意されたものと同じ香料メーカーの2−エチル−5−メチル ピラジンを入手していただきまして、IRをとってみましたところ、形が全然違うとい うことがわかりました。  2−エチル−5−メチルピラジンにつきましては、純度97.8%の5−メチル体のIR を参照スペクトルとして収載すれば問題ないと考えております。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。6ページに5−メチル体のIRが載っ ていますけれども、これは6−メチル体であり、スペクトルは変わってくるわけですね。 ○佐藤委員 かなり違います。 ○若林部会長 そうしますと、この件についてはJECFAの方に明らかにおかしいで すよということを連絡することになるんですか。その辺はどうなんですか。 ○磯崎補佐 前回の部会でも同じような話があったかと思いますが、それと同様にこち らについてもJECFAに情報提供するような形で進めたいと思っております。 ○若林部会長 是非よろしくお願いします。  もう一つ、定量法の方で、やはり6−メチル体と5−メチル体は、いわゆる極性カラ ムを使わないと分離が困難なんですけれども、JECFAの方は極性カラムを使ってい ないで定量しているということになるんですか。 ○佐藤委員 JECFAの方は、不純物と分離する条件で分析することというような割 とあいまいな表現で適正に分析してくださいとしか記載がないので、特に試験法として は問題ないかなと思います。 ○若林部会長 この点について、IR、GC、何か御質問、コメント等ありましたらお 願いします。  山添先生、どうぞ。 ○山添委員 直接この規格に関わらないんですが、逆に言いますと、食品安全委員会で はこれが純粋のものとしてのデータとして評価をして安全性を確認してきたんです。実 は私も委員なんですけれども、向こうではそのことを実は知りませんでしたので、食品 安全委員会の着香目的において安全であるというときに、両方のミクスチャーとして暴 露していますので問題はないとは思うんですけれども、一応報告をしておいていただけ ればと思います。というのは、向こうは純品として評価をしてきたという経緯がありま す。 ○若林部会長 どうぞ。 ○磯崎補佐 2−エチル−5−メチルピラジンに関しては、成分規格で含量95.0%以上 とされていますのでほぼ純品と考えていただいて問題ないかと思います。もう一つの2 −エチル−6−メチルピラジンは、6体ではない5体がかなり入った量で混合物になり ます。食品安全委員会で評価していただいた動物実験のデータは2−エチル−5−メチ ルピラジンについてのものであり、参考のデータとして混合体である2−エチル−6− メチルピラジンで実施した動物試験のデータを併せて提出していたところでございます。 ○山添委員 一応そうであれば結構だと思います。大したことはないんですけれども、 私は定量法のところで極性カラム、無極性カラムといったのは一般にみんな使うと思う んですけれども、これはこういう規格のときに使っていいんですか。例えば固定相とか という言い方にはしないんですか。  カラムというのはチューブのこと、基本的にはそうですね。実際には皮膜でコーティ ングしているんだと思うんですけれども、その辺の表現はこのときは一般には使います が、分析のときの表現としてはOKなのかどうかということをお伺いしたい。 ○若林部会長 ガスクロマトグラフィーの表現の仕方ですね。何かコメント、御意見は ございますか。  堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 一般的に無極性カラム、極性カラムというのは使っていると思います。た だ、固定相という表現にした方がもしかしたらより好ましいのかもしれません。 ○磯崎補佐 では、表現ぶりにつきましては、佐藤先生と相談させていただいて、適切 に修正をさせていただきたいと思います。 ○若林部会長 是非よろしくお願いします。そのほか、この2−エチル−5−メチルピ ラジンの件に関しまして、御意見ございますか。よろしいですか。  どうぞ。 ○西川委員 食品安全委員会の評価書で、通しの19ページに反復投与毒性試験の概要が 書いてあります。このNOAELを求めた試験として、最初にWistarラットを使った試 験がありますが、これに何を投与したかはっきり書かれていません。2−エチル−5− メチルピラジンで問題ないんでしょうか。  もう一つついでに、2つ目の試験で、「なお参考までに」とあるんですが、こちらは 混合物を強制投与したと書いてあります。質問は、なぜこれを「参考までに」とただし 書きを付けたのかを確認していただきたいと思います。 ○若林部会長 確かに20ページのところに物質名が明記されていないというところもあ ります。何ページですか。 ○西川委員 19ページです。 ○若林部会長 雄で0と17mg/kg体重/日というようなところは、化合物を明記すべきで あるというところでしょうか。19ページです。 ○磯崎補佐 まず1つ目の物質が特定されていない試験に関しては、参照4ということ で、23ページに引用元の記載がございまして、こちらで2−エチル−5−メチルピラジ ンの90日間反復投与毒性試験とされておりますので、使用した検体自体は恐らく間違 いなく2−エチル−5−メチルピラジンかと思います。 ○西川委員 それで恐らく間違いないと思うんですけれども、この試験そのものが参照 の4番目の1969年の未公表の試験でして、確認までは難しいと思うんですが少し気にな りました。 ○河村委員 西川先生の御意見に関連しますが、化合物の純度が非常に問題になります ので、2−エチル−5−メチルピラジンの純度がどれぐらいかということかもしわかっ ているならば、ここで書いておいた方がいいのではないかと思います。 ○若林部会長 これは参照4の未公表、ニューヨークの1969年のものですか。90日の feeding studyの話ですね。  どうぞ。 ○山添委員 私もこれは大分時間が経っているので記憶はないんですけれども、この上 の実験については一応2−エチル−5−メチルピラジンとして投与がされた実験の結果 であったと思っています。  なお参考までにとしたのは、一部にミクスチャーの形で出ていて、しかも6のアイソ マーの方が多いということでこれを参考にしています。というのは、両方とも一方が未 発表で、しかも古い文献であるということで確認のためにこういう実験をしている。た だし、両方暴露したとしても、その問題はなかったということで、たとえ純品でなくて も両方が暴露された条件下でどちらでも問題はないので、安全性に関する懸念は考えな くていいのではないかという結論の持っていき方だったと思います。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。西川先生、御理解いただけましたか。 ○西川委員 結構です。 ○若林部会長 そのほかに何か御意見はございますか。よろしいですか。  それでは、一通り御審議をいただいたようですので、2−エチル−5−メチルピラジ ンの新規指定については、可ということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、この部会の報告書をとりまとめ、分科会へ報告するという手 続をとりたいと思います。  それでは、今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほか、パブリ ック・コメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと考えております。 ○若林部会長 それでは、よろしくお願いいたします。  議題2の方に移ります。イソペンチルアミンの新規指定の可否についての審議を行い たいと思います。  事務局より資料についての説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明いたします。こちらも先ほどの品目と同様、平成14年 7月に食品衛生分科会で了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用 されている添加物の1つとして挙げられている品目でございます。  本品目につきましては、食品安全委員会へ平成21年8月12日に食品健康影響評価の依 頼を行いました。食品安全委員会では、平成21年9月7日に添加物専門調査会で審議が 行われ、その審議を踏まえた評価書が平成21年11月12日にとりまとめられました。  それでは、資料2−1から始まる資料に基づいて御説明させていただきます。3ペー ジをごらんください。  品目名はイソペンチルアミン、構造式、分子式、分子量はこちらにお示ししていると おりでございます。  用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況につきましては、イソペンチルアミンは、トリュフ等の 食品中に存在する成分であり、欧米ではさまざまな加工食品において香りの再現、風味 の向上等の目的で添加されております。  食品安全委員会における評価結果でございますが、平成21年11月12日付けで通知され ておりまして、イソペンチルアミンは、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸 念が考えられると評価されております。  それでは、4ページをごらんください。摂取量の推計でございますが、食品安全委員 会の評価結果によりますと、欧米の推定摂取量から我が国の本物質の推定摂取量は、お よそ0.1〜28.3μgの範囲になると推定されております。また、食品中にもともと存在す る成分としての本物質の摂取量は、意図的に添加された本物質の約3,800倍であるとの 報告がございます。  新規指定につきましては、まず使用基準案といたしまして、香料として使用される場 合に限定して食品健康影響評価が行われたことから、使用基準は着香の目的以外に使用 してはならないとすることが適当と考えております。  成分規格案につきましては、5ページ、別紙1のとおり設定することが適当と考えて おります。  成分規格案の主なポイントを資料の7ページの設定根拠に沿って御説明申し上げます。  含量につきましては、JECFA規格と同水準の規格値といたしますが小数点下一桁 までを有効数字として98.0%以上といたしました。  確認試験につきましては、JECFA規格ではNMRを採用しておりますが、香料業 界や香料を実際に利用する食品メーカーにおいてNMR装置は必ずしも広く普及しては いない状況でございますので、我が国ではこれまでに指定された香料と同様に、IRを 確認試験法として採用することとしました。  純度試験につきましては、屈折率と比重を設定しております。屈折率につきましては、 JECFA規格をそのまま採用しております。比重につきましては、日本で市販品5社 18製品について分析を行った結果、そしてそれら市販品各社の設定規格値を踏まえます と、JECFA規格では測定温度25℃としての規格値となっておりますが、こちらは20 ℃で測定した場合の規格値の可能性が高いと考えられるということがわかりました。  そこで我が国では、実際に測定した結果を踏まえまして、20℃の測定温度で規格値を 設定することといたしました。  なお、このJECFA規格に誤りがあるのであろうという点に関しましては、既に IOFIに修正要望のためのデータを提出しておりまして、今後JECFAで審議され るものと思われます。  定量法につきましては、JECFAと同じくGC法を採用することといたしました。  なお、カラムにつきましては、極性カラムではテーリングが著しいため、無極性カラ ムを使用することといたしました。  こちらの記載ぶりにつきましては先ほどの品目で御指摘いただいた点を踏まえて、修 正したいと思います。  JECFAで設定されているが本規格では採用しなかった項目は、溶解性、沸点の2 項目でございます。溶解性につきましては、本規格案ではIRによる確認試験、屈折率 ・比重などを規定しており、溶解性の必要性は低いため、採用しないことといたしまし た。  沸点につきましては、香料化合物は、その品質管理はGC法により実施されるため、 沸点は必ずしも香料化合物の品質規格管理項目としては重要ではないと考えられること から、採用しないことといたしました。  本品目に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。香料への用途が使用目的でありますイ ソペンチルアミンの添加物の指定に関するものでありますけれども、食品安全委員会の 方に関しては特に問題はないというようなこと、あと摂取量に関してはもともと入って いるものの3,800倍ぐらいに相当するだろうというような話であります。  イソペンチルアミンの規格の設定根拠に少し問題が出てきたということであります。 まず確認試験に関しましては、JECFAの方ではNMRを使っておりますけれども、 規格案の方では実際に実務上よく使用されているIRを採用するということであります。  純度試験の比重のところでありますけれども、JECFAの測定温度の25℃は誤りで 20℃の可能性があるということで、これに関しては既に連絡済であるということと、こ ちらの方では20℃ということで規格案をまとめたいということです。  定量法に関しては、GC法を用いてやる。更に無極性カラムを使用した方がより明確 に定量ができるということでありますけれども、先ほど御議論ありましたように、この 無極性カラムの記述方法については後日また事務局の方でよく検討をするというような 話であります。  純度試験の比重の件については、佐藤先生の方から何か追加説明はございますでしょ うか。よろしいですか。 ○佐藤委員 比重に関しましては、25℃での実測値がJECFAの規格に合わないとい うことで、20℃でやった場合にはちょうど数値は範囲に入るということがわかったとこ ろです。  JECFAでは香料以外の食品添加物の比重は20℃で測定することになっており、香 料と添加物で設定温度が違うということになっています。ちなみに、日本では一般的に 比重は20℃ではかるということになっています。  JECFAでは、香料に関しましては25℃で測定する場合は、設定温度を規格の各条 には書かないということで、何も温度設定の記載がない場合は25℃で測定したというこ とになっているんですが、いろいろな転記のミスとかといったことで20℃の可能性も絶 対ないということはないのではないかということが考えられます。  海外では25℃で測定するというのが一般的なので、今後JECFAの方で規格値を変 えられるのか、記載を20℃にされるのかはわからないということで、今後のことは不明 ですけれども、日本では先ほど申しましたように20℃が一般的なものですから、とりあ えず20℃の規格値として採用しております。  なお、1か所訂正ですが、5ページの成分規格で比重のところの「d20=」は、日本 の公定書ですと一般的に20℃が通常なのでこれは記載しないことになっているので、削 除していただきたいと思います。済みません。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。5ページのところの「d20」を削除。  何かこの件に関して御意見がございましたら、お願いいたします。質問、コメント、 よろしくお願いします。特に大丈夫でしょうか。  北田先生、どうぞ。 ○北田委員 もう既に審議の終わった先ほどの2−エチル−5−メチルピラジンの比重 が25℃で、今回のイソペンチルアミンが20℃。その辺は統一しなくても大丈夫ですか。 20℃で一般的に統一されているということであれば、先ほどの2−エチル−5−メチル ピラジンの比重は25℃でいいのでしょうか。 ○若林部会長 どうぞ。 ○佐藤委員 日本で最初に規格をつくったものについては一般的に20なのですが、国際 汎用の香料につきましては、海外で25℃設定になっているものを20℃にしますと、規格 値が変わってしまいますので、国際汎用で25℃の温度設定になっているものについては そのまま25℃を採用しております。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。そのほかに何か御意見はございますか。  どうぞ。 ○西川委員 4ページに推定摂取量についての記載があり、これは先ほどの香料にも同 じことが言えると思うんですが、「指定以後の追跡調査による確認が必要である」と書 いてあります。これはどのくらいをめどに確認作業が進められることになるんでしょう か。 ○若林部会長 4ページ。 ○磯崎補佐 摂取量の調査に関しましては、厚生労働科学研究で佐藤先生の研究班で実 施しておられる調査がございます。一般的な添加物と併せて香料などについても実態の 調査が行われておりますので、その中で見ていくということになろうかと思います。  具体的にこの品目が指定されてからいつの段階でその調査結果が出るかというという ことに関しては今お答えすることは難しいですが、厚労科研で進めていただいている調 査の中で今後結果が出てくることになるかと思います。 ○若林部会長 佐藤先生、どうぞ。 ○佐藤委員 香料につきましては、生産量を調べていただいて、そこからの摂取量を何 回か出しております。また、国際汎用の香料が幾つか新たに指定されておりますので、 時期を見て摂取量調査とかやりたいと思います。 ○西川委員 わかりました。推定摂取量を求める方法として、JECFAなどでは新し いSPET法を併用して数値を出しているようですけれども、その辺も検討される予定があ るのでしょうか。 ○佐藤委員 現在のところ考えていませんが、今後検討したいと思います。 ○若林部会長 そのほかにイソペンチルアミンに関して御意見ございますでしょうか。 よろしいでしょうか。それでは、御審議をいただいたと考えますので、イソペンチルア ミンの新規指定については可ということでよろしいでしょうか。特に異論はなさそうで すね。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、部会報告書をとりまとめ、分科会へ報告する手続をとりたい と思います。よろしいですか。  今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いできますか。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほか、パブリ ック・コメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したいと思っております。 ○若林部会長 それでは、よろしくお願いいたします。  3番目の議題です。ケイ酸マグネシウムの新規指定の可否についての審議を行いたい と思います。事務局より資料について説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明いたします。ケイ酸マグネシウムは平成14年7月に食 品衛生分科会で了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されてい る添加物の1つとして挙げられている品目でございます。  本品目については、食品安全委員会へ平成17年8月15日に食品健康影響評価の依頼を 行いました。食品安全委員会では、平成19年2月28日、3月23日、4月17日、並びに平 成21年9月18日、11月17日に添加物専門調査会で審議が行われ、その審議を踏まえた評 価書の案が平成21年11月26日に公表されたところでございます。  それでは、資料に沿って御説明いたします。資料3−1の3ページ目をごらんくださ い。品目名はケイ酸マグネシウム。構造式、分子式、分子量については、ケイ酸マグネ シウムは酸化マグネシウムと二酸化ケイ素、水が多様な割合で結合した組成の物質の総 称であり、本品目に関しては酸化マグネシウムと二酸化ケイ素のモル比が約2対5の合 成化合物になります。  用途といたしましては、固結防止剤、ろ過助剤、製造用剤としての用途がございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、ケイ酸マグネシウムは粉末状食品の固 結防止剤、ろ過助剤などとして広く欧米諸国などにおいて使用されている添加物でござ います。  米国では、卓上塩に上限2%までの使用が認められております。欧州連合では、許容 一日摂取量を特定しないと評価しており、食塩及び代替塩に10g/kg以下などといった使 用基準のもとで使用が認められております。  JECFAでは、過去数回にわたって評価が行われており、最終的にはケイ酸マグネ シウムについては成分規格から三ケイ酸マグネシウムを除いた上でADIを特定しない と評価しております。  それでは、4ページ目、食品添加物としての有効性をごらんください。ケイ酸マグネ シウムは固結防止剤、製造用剤として賦形剤や分散剤などとして各国において食品、フ ードサプリメント、チーズなどの広範な食品への使用が認められております。  また、油脂のろ過助剤として有効であり、使用済の揚げ油に添加してろ過処理を行っ たところ、遊離脂肪酸の減少、色調やにおいの改善等が認められたとの報告もございま す。こちらをまとめたのが4ページの表になります。  食品安全委員会における評価結果が5ページでございますが、評価結果案が平成21年 11月26日付けで公表されておりまして、イヌを用いた28日間反復投与毒性試験の無毒性 量を300mg/kg体重/日を根拠として、試験期間が短いことから安全係数1,000で除した 0.3mg/kg体重/日を一日摂取許容量(ADI)と評価しております。  なお、ここで添加物ケイ酸マグネシウムに特化してADIを設定することは栄養学的 に必要なマグネシウムの摂取のほか、ケイ酸化合物またはマグネシウム塩としてのその 他の添加物の摂取を制限することを意図するものではないとの記載がございます。  そのほか5ページ下になりますが、栄養強化の目的でマグネシウム塩類を摂取した場 合には、乳幼児、小児がマグネシウムを過剰に摂取することがないよう注意喚起の表示 を行う等適切な措置が講じられるべきであるということとされております。  6ページと7ページは評価結果の全文を引用したものでございます。  8ページをごらんください。摂取量の推計でございますが、食品安全委員会の評価結 果によりますと、米国、欧州における推定摂取量を基に我が国の本品目の推定摂取量は およそ0.01〜0.1mg/kg体重/日の範囲になると考えられるとされております。  本品目の新規指定についてでございますが、まず使用基準につきましては、ケイ酸マ グネシウムはCODEX基準、こちらは日本の使用基準と似たようなものですが、そち らの基準では食塩を始めとする幅広い食品に必要量での使用が認められております。 EUでは食塩や乾燥粉末食品などに10g/kgの範囲内で、調味料等に30g/kgの範囲内で、 また錠剤型食品やソーセージなどに必要量での使用が認められております。米国では、 食塩に2%の範囲内での使用が認められております。また、そのほか各国では油脂のろ 過助剤としても広く使用されております。  そこでまずJECFA、EU、米国の三者に共通して使用が認められている食塩につ いて、EUと米国での最大使用濃度を基に食塩由来の一日推定摂取量の推計を行いまし た。そちらが8ページの下に表になります。こちらにありますように、国民平均、小児 のいずれにおいてもADI比が100%を上回る結果となりました。  以上の推計を踏まえますと、食塩のみならず他の食品にEUなどと同じレベルで使用 基準を設定した場合に、一日推定摂取量がADIを大きく上回ることとなり、ただ一方 で基準値を引き下げて設定した場合には、固結防止剤としての機能を発揮することが実 際には困難になると考えられます。  そこで我が国では、油脂のろ過助剤のみに使用を認めることとし、使用基準案は、ケ イ酸マグネシウムは油脂のろ過助剤以外の用途に使用してはならない。また、使用した ケイ酸マグネシウムは、最終食品の完成前にこれを除去しなければならないと設定した いと考えております。  成分規格は、11〜13ページにございます。概要につきまして、15ページの設定の根拠 に沿って御説明申し上げます。本規格案の設定に当たっては、JECFA規格、米国規 格でありますFCC規格、EU規格をベースに検討しておりますが、そのほかに、第15 改正の日本薬局方、米国の薬局方、昨年4月に類似の物質としてケイ酸カルシウムを指 定しておりますので、こちらの規格も踏まえ検討を行いました。  まず、定義につきましては、JECFA、FCC、EU規格での規定内容を踏まえま して、本規格案では本品は酸化マグネシウムと二酸化ケイ素のモル比が約2対5の合成 化合物であると規定しました。  含量につきましては、JECFA、EU、FCCの規格と同水準の規格値としました が、小数点下一桁までを有効数字として、酸化マグネシウムを15.0%以上、二酸化ケイ 素を67.0%以上としました。純度試験の(1)液性につきましては、JECFA規格に 合わせてpH7.0〜11.0としました。  16ページをごらんください。(2)水可溶物と(3)遊離アルカリにつきましては、 国際整合を考慮して、水可溶物3%以下、遊離アルカリ、水酸化ナトリウムとして1% 以下と規格値を設定しました。  なお、試験法につきましてはJECFA規格とFCC規格で試料溶液の採取量などが 一部異なっておりました。そこで、これらを参考にしつつ、日本薬局方や米国薬局方の 試験法も参考に、操作のしやすさという点なども考慮して試験法を設定しました。  フッ化物につきましては、JECFA、米国、EUの規格を踏まえ、本規格案では10 μg/g以下と設定しました。  なお、試験方法につきましては、JECFA法そのままでは回収率が低かったため、 回収率の向上のために操作法に幾つか改良を行った上で設定をしております。  鉛につきましても、JECFA、FCC、EUと同水準の規格値としておりますが、 小数点下一桁までを有効数字として5.0μg/g以下と設定しております。なお、試験法に ついては、昨年4月に指定されたケイ酸カルシウムの鉛試験法を準用する形といたしま した。  ヒ素につきましては、JECFA、FCC規格では設定されておりませんが、EU規 格では設定されており、そちらと同水準の規格値を設定することとしましたが、小数点 下一桁までを有効数字として4.0μg/g以下と設定しました。  乾燥減量、強熱減量につきましては、規格値、試験法ともJECFA法を採用してお ります。  18ページをごらんください。定量法に関しましては、JECFA規格の試験法に若干 の改良を加えて設定しております。この試験法では、フッ化水素酸を使っており、これ を使わない方法として、日本工業規格のICP発光分光法についても検討を行っていた だきましたところ、良好な結果が得られました。しかしながら、国際整合の観点から日 本ではJECFAの規格の試験法を採用することとしました。  JECFA規格、FCC規格等に設定され、本規格では採用されなかった項目といた しましては、溶解性と水銀の限度値がございます。溶解性については設定する必要性が 低いということと、水銀につきましては、EUの規格には設定されておりますが、JE CFA規格、FCC規格では設定されてないため、そちらにならい日本では規定しなか ったところでございます。  本品目に関する説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。このケイ酸マグネシウムに関しまして は、EUですとか米国では許容量等については特定しないと評価されているということ です。我が国におきましていろいろ審査したところ、尿細管への毒性が認められるとい うところが大きな違いであります。そのような観点から、ケイ酸マグネシウムの使用を 油脂のろ過助剤のみに使用を認めるということにしてはどうかということであります。  あとの成分規格に関しては、19ページにまとめてありますけれども、そのような規格 にしたいというようなことであります。  この点についていろいろな御意見があろうかと思いますので、是非コメントをお願い いたします。委員の先生方からありますでしょうか。  ケイ酸マグネシウムについての毒性に関しては、欧米等では尿細管の毒性等について は報告はないんですか。それともあった上でこのような判断をしているんですか。その 点については何か。 ○磯崎補佐 今回のケイ酸マグネシウムそのものでの試験は他にございませんが、三ケ イ酸マグネシウムで同じくイヌで実験したものと、モルモットで実験したものがあり、 そちらで同じような所見が出ていたかと思います。食品安全委員会から、追加でイヌで の28日間反復投与毒性試験を実施するようにと依頼がございましたので、今回日本で実 施したところでございますが、そこでも同様の所見が見られたことから、そちらの試験 を根拠として0.3のADIが決められたようです。 ○若林部会長 欧米ではそういうようなデータが出ているにもかかわらず余り規制の方 は厳しくないということが理解できないところでありますが、委員からの意見はありま すか。または、もし食品安全委員会に御出席の先生がいましたらその辺のところが議論 されたと思いますので、何か御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。 ○山添委員 カルシウム、ナトリウムについては、腎への蓄積性がほとんどないという ことで、ではどうして違うのか、ケイ酸そのものについては体内への移行が最も高いと いうことで、これまでの体内移行、腎臓にたまるというのは体内に一旦吸収されたこと になりますので、その点について議論がありました。  吸収については、モノマーのオルトケイ酸になると吸収率が上がるということは、イ オンに乖離していれば、乖離型でずっと存在する限り吸収率は少ないと考えられるわけ です。したがって、モノマーで酸の形になるものが多い場合には問題になる。ちょうど このマグネシウムの問題については、ナトリウムやカルシウムよりも中性側に寄ってい るということで、いわゆる酸の形に少し近いということもあって、これについて安全性 は確保できないということで実験を再度お願いしたという経緯があります。  その結果、やってみるとやはり出てきたということは、かなりの量のものが胃を通過 する際にマグネシウムが外れてオルトの酸でモノマーになって吸収されていくんだと、 それは量が多い場合での話ですけれども、そういうことがあるということでこういう現 象が出てきたのだろうという結論になったということです。  ですから、従来はイオンの形になっていればオルト型にならない、モノマーにならな いと欧州の方では多分判断していたのではないかと考えますけれども、実際にはモノマ ーの酸のものはたまるということがいろんな実験の結果で論理的にはつながるというこ とで、しかも実験をした場合に出てしまったということで今回こういう結論になったと いうことです。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○佐藤委員 3ページの一番下の行に、JECFAでは問題になった三ケイ酸マグネシ ウムを除いた上でADIを特定しないという結論になって、やはり三ケイ酸マグネシウ ムについて意識はされているのかなと思います。ただ、ケイ酸マグネシウムと三ケイ酸 マグネシウムと比較したことがないので、成分規格で三ケイ酸マグネシウムとケイ酸マ グネシウムがどれだけはっきり分けられるのかわかりません。 ○若林部会長 ありがとうございます。勿論、こういうデータが我が国で出ていて、こ ういうような規格にするということについてはまたJECFAの方には連絡をするとい うことでありますね。  そのほかに何かございますか。海外製品はケイ酸マグネシウムが使われているわけで すね。それを今度は輸入する場合には規制をしなければいけないということになるわけ ですか。 ○磯崎補佐 現在、日本ではケイ酸マグネシウムの使用は認められておりませんので、 今も日本には入ってこられない状況になっております。今回の使用基準案に基づきます と、今後指定されても固結防止剤等として使用された食品は引き続き入ってこられない という状態が継続することになります。 ○若林部会長 それ以外について、何か委員から御意見はございますか。  どうぞ。 ○北田委員 18ページの定量法のところなんですけれども、ICP発光分光法が簡便で 良好な結果が得られるというのであれば、将来的なことではなしに本規格案で併記する ということは無理なのでしょうか。 ○佐藤委員 公定書の方では、試験法の併記というのは原則これまでも行っておりませ んで、1つの試験法しか示さないといいますのは、もし2つの試験法で結果が違った場 合、どちらが正しいのかというところが問題になりますので、原則1つの試験法しか採 用できません。  また、国際整合の方でフッ化水素酸というものを使っておりますが、ICP発光分光 法というのは装置が必要なので、その方法を取り入れたときにどれだけのところで試験 可能かというところがまだ未知数の部分もありまして、まずはICP発光分光法という のをもう少し精査しまして、ICPでもいろいろなところが分析できる状況であれば将 来的には入れたいと考えておりますが、ただ、海外でもこういったケイ酸マグネシウム のメーカーがICPを使えないとなるといろいろ問題が出てくるのかなということもあ りまして、今回はJECFA法を採用しております。 ○若林部会長 よろしいですか。  山添先生、どうぞ。 ○山添委員 規格のところなんですが、これはある意味では混合物で規格をしているわ けです。そうすると、つくり方によってある程度の振れ幅があって、そのために15ペー ジの定義という項目の一番下のところに、これらを参考に本規格案では本品は酸化マグ ネシウムと二酸化ケイ素のモル比が約2対5の合成化合物であるとしたという記載にな っています。  このものが特定されれば1つはいいんですが、特定するためには例えば定義の1行目 のところにケイ酸マグネシウムはケイ酸ナトリウムと可溶性マグネシウム塩の沈殿反応 によってできる合成化合物と続けなくていいのかどうか。そこのところは、上があれば この方法によってつくられるものは多分一定の消失をして析出して出てくるもので一定 になるんですけれども、これを逆にマグネシウムと二酸化ケイ素を混ぜてつくってしま うと違うものになってしまうわけです。2対5に正確には比率からいうと合わなくなっ てしまうわけです。そういうので最初のことを付け加えた方がいいのではないかという 気もするんですが、その辺はいかがなんでしょうか。 ○若林部会長 どうぞ。 ○山崎委員 これは事務局に伺いたいんですが、今回のケイ酸マグネシウムの中に、三 ケイ酸マグネシウムは明確に含まないという方針でいくのか、含んでも構わないとする のかによっては、山添先生のおっしゃるように定義をもう少し厳密にしないと三ケイ酸 マグネシウムを排除できるかできないかという問題が出るのではないかと思うんです。 ○磯崎補佐 JECFAの評価では三ケイ酸マグネシウムを除いた形でADIが設定さ れております。また、EUではケイ酸マグネシウムと三ケイ酸マグネシウムの両方使用 が認められておりますが、それぞれ成分規格が分けられております。これらの点を踏ま えますと、両物質は分けて考える必要があり、日本では三ケイ酸マグネシウムを除く形 で考えるのが適当ではないかと思います。 ○若林部会長 山崎委員、よろしいでしょうか。 ○山崎委員 はい。 ○若林部会長 佐藤委員から追加でコメントはありますか。山添委員からの質問に対し てよろしいですか。  河村先生、どうぞ。 ○河村委員 ちゃんと計算をしてこなかったので間違っているかもしれませんが、多分 含量規格の酸化マグネシウムが15%以上、二酸化ケイ素が67.0%以上である程度、三ケ イ酸マグネシウムが除かれているのかなという気がします。  ただ、山添先生がおっしゃったように、沈殿反応でつくったということはほかの海外 の規格では定義として書かれていますので、これはやはり重要なのではないかと思いま す。日本では余り製法などを書かないことが多いのでしょう この含量規格の%の設定 がよくわからないのですが、かなり幅があるので、三ケイ酸マグネシウムが入り込む余 地もあるだろうと思われますので、その分を定義の中できちんと書いてある方がいいの ではないかと私も思います。 ○若林部会長 事務局、今の件に関しては大丈夫ですか。 ○磯崎補佐 具体的な記載方法については事務局で検討した上で、先生方にその修正内 容を御確認いただくということでお願いしたいと思います。 ○若林部会長 山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員 河村委員が言われたことと関連するんですが、結局三ケイ酸マグネシウム がどれくらい混在してもこの規格を満たすのかというのが今の定義の文章では明確でな いので、そういう意味で、事務局が三ケイ酸マグネシウムは含みませんという判断でい くのであれば、不純物で入るものはやむを得ないんですが、意図的に混入させるとか意 図的に混ざった製品は流通しないような定義にしておく必要があると思います。 ○若林部会長 よろしいですか。そのほかに何かございますか。  堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 規格の件なんですけれども、ヒ素については。 ○若林部会長 何ページになりますか。 ○堀江委員 19ページに、ヒ素につきましてはJECFAとFCCがない。ただ、EU にあるということで、日本も設定しております。それに対して水銀に関しては、先ほど 御説明がありましたように、今回はEUに設定されているけれども、日本では設定しな かったということなんですが、ろ過助剤ですとろ液の中にいろいろなものが入ってくる 可能性があるということで、この辺の水銀とヒ素に対する対応の仕方の違いというのは どう考えたらこのような対応の仕方になるのかということです。 ○磯崎補佐 ヒ素に関しましては、これまで日本で成分規格を定めている添加物にはお おむねヒ素の項目を含んでいるということもございまして、今回ヒ素の項目を入れるこ とにいたしました。 ○若林部会長 よろしいですか。  河村委員、どうぞ。 ○河村委員 ヒ素規格については、もともとJECFAもFCCも入れてありました。 一時期JECFAの方では、FCCもそうだったんですけれども、ヒ素試験法が非常に 煩雑である、有害物質を使うということからヒ素試験を外すという流れがありまして、 JECFAの方ではこういう合成物に関してのヒ素をかなり外したということで今規格 が設定されていません。  ただ、それは途中までいったところで特に天然系のものについても外すという動きが あったのを、ヒ素の安全性評価が終わるまではそれを止めるということで今一旦止まっ ておりますので、JECFAはまだヒ素の規格を全部外してはいません。  日本は従来からの食品添加物の規制の流れ、そもそも添加物規格を非常に厳しく定め ることになったのはヒ素による事件が発端ですから、そういう面で日本の添加物規格で はすべてにヒ素の規格が設定されているのだと私は考えています。  水銀についてですが、これはJECFAでは設定していません。JECFAは基本的 には鉛は必ず設定するけれども、それ以外の金属についてはその必要性があるときには 設定をすることになっています。JECFAの方では水銀を設定しなければいけない根拠と いうのが特に見出せなかったということだと思います。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。そのほかに何か御意見はございますか。  どうぞ。 ○佐藤委員 前に戻ってしまうんですが、先ほどEUのマグネシウムシリケートとマグ ネシウムトリシーケートの規格があるということなんですが、両方見比べてみるとオー バーラップする部分があるのではないかと個人的には思っています。 ○若林部会長 そのほかにございますか。  山川委員、どうぞ。 ○山川委員 今の19ページの鉛は1けた、5.0μg/gとは、些細なことですがなぜμg/g なんですか。mg/kgではなくてこういう基準だったんですか。 ○佐藤委員 公定書はすべてμg/gです。 ○山川委員 わかりました。済みません。 ○若林部会長 よろしいですか。  西川先生、どうぞ。 ○西川委員 7ページの一番下の段落で、「小児においてマグネシウムに対する感受性 が高いこと、乳幼児〜幼児において食事由来の摂取量が推奨量を上回る可能性が示唆さ れている」というデータが存在するのでしょうか。  これを基に乳幼児、小児に対する注意喚起を行うということなんですけれども、十分 読み込めていない可能性もありますので、教えていただければと思います。 ○若林部会長 7ページのパラグラフの一番下のところです。ADIが書いてある。こ れは参考資料が付いていないから、どこからレファレンスを引いているかわからないで すね。 ○西川委員 これは食品安全委員会のところですね。 ○磯崎補佐 食品安全委員会で過去に水酸化マグネシウムなどの評価が行われており、 マグネシウム関係のものに関しては通常このような注意書きが入っていたように記憶し ております。この記述の根拠というか基となるものがあるかと思いますので、今手元に はございませんが、確認のうえ先生に御連絡させていただくようにしたいと思います。  あと、健康増進法の関係でマグネシウムを強化した栄養機能食品に関しては、乳幼児 ・小児は摂取を避けるようにとの注意表示を記載しなければいけないということになっ ておりますので、現在ほかのマグネシウム化合物についても強化剤として栄養機能食品 に添加したものに関してはそのような注意喚起の表示がなされているところでございま す。 ○若林部会長 山添委員、どうぞ。 ○山添委員 直接これに関わるかどうかわからないんですけれども、今日の紙の46ペー ジの(3)その他のマグネシウム塩の続きのところで、47ページの第2段落の下半分のとこ ろに、生後3週の女児と6週の男児の問題でそういうことの報告があるということが1 つの理由になる。これだけだったかどうかは記憶にありませんが、1つがここにありま す。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。47ページのところにありますね。参照が18と51に なりますので、そこのところを見ていただければもっと詳しいデータが出ているという ことでございます。  そのほかに何かございますか。  堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 4ページのタイトルで、脂肪酸含有量ではなくて、より正確には遊離脂肪 酸ですので、遊離脂肪酸と書いた方が好ましいと思うんです。 ○若林部会長 4ページのどこですか。 ○堀江委員 4ページの中ほどの表2のタイトルで、遊離脂肪酸を見ておりますので、 遊離脂肪酸。 ○若林部会長 そうですね。よろしいでしょうか。表2のところです。脂肪酸含量では なくて遊離脂肪酸含量にした方がよいのではないかという堀江委員からの指摘でありま す。  そのほかに何かございますか。大体御意見は出たかと思うんですけれども、私の方か ら9ページのところに結論として油脂のろ過助剤のみに使用を認めるとして、次のとお り使用基準を定めることが適当であるということになっていますけれども、使用したケ イ酸マグネシウムは最終食品の完成前にこれを除去しなければいけないということであ ります。ここのところに関してはほとんど問題なく完成前に除去されるということです か。 ○磯崎補佐 最終的にはフィルターでろ過するということになろうかと思いますが、個 別事業者による測定結果になりますが、一応フィルターでろ過するという方法でケイ酸 マグネシウムが残らないというような分析結果も一度見たことはございますので、その 点は恐らく問題ないのではないかと思います。 ○若林部会長 わかりました。よろしいでしょうか。それでは、御意見が大体出ている かと思いますけれども、何点か御指摘いただいた点がありますが、それにつきましては 事務局の方で再度整理をしていただければと思います。その上でこのケイ酸マグネシウ ムの新規指定については可ということで問題ないでしょうか。委員の先生方に再度御確 認をしたいんですけれども、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、事務局の方で再度整理をした上でこの新規指定については可 ということにいたします。  今後のスケジュールについて、事務局から説明をいただけますか。 ○磯崎補佐 それでは、先ほど御指摘のございました成分規格の定義の部分につきまし ては、事務局で再度案を作成いたしまして、先生方に御確認いただいた上で御了解をい ただければ、その規格案で設定したいと思います。  その後に、食品衛生分科会での審議のほか、パブリック・コメント、WTO通報等の 所定の事務手続を開始したいと思っております。 ○若林部会長 それでは、よろしくお願いいたします。大体本日はこの3つが議題であ りましたけれども、その他の審議事項について、事務局から何かございますか。 ○磯崎補佐 その他の審議事項はございません。 ○若林部会長 よろしいでしょうか。  それでは、次は報告資料の方に移りたいと思います。食品安全委員会への意見聴取及 び食品健康影響評価結果についての資料がありますが、この点について何か事務局から 説明すべきことはございますでしょうか。 ○磯崎補佐 前回は9月3日に当部会が開催されておりますので、それ以降に進展があ った項目のみ簡単に御報告させていただきます。  まず、3ページ目の中ほどにケイ酸マグネシウムがございますが、こちらは本日御審 議いただきましたので、備考に本日の部会を記載しております。  次に4ページでございますが、中ほど下に2−ペンタノールという品目がございます が、こちらは平成21年9月30日にパブコメを開始しております。  同じくその下3つ目のプロピオンアルデヒド、その1つ下の6−メチルキノリンにつ きましても、同じ日程でパブコメの開始をしております。その1つ下の2−エチル−5 −メチルピラジンは本日御審議いただいた品目でございます。その更に1つ下の5、6、 7、8−テトラヒドロキノキサリンについては、本年12月1日にパブコメを開始してお ります。  5ページでございますが、3−メチル−2−ブタノールにつきましても、12月1日か らパブコメの手続を開始しております。その1つ下の亜塩素酸ナトリウムの使用基準の 改正の件についてでございますが、こちらは9月30日にパブコメの手続を開始しており ます。イソペンチルアミンは本日御審議いただいた品目でございます。最後3品目、ブ チルアミン、フェネチルアミン、トリメチルアミンにつきましては、それぞれ9月、11 月、12月に食品安全委員会の方に評価依頼を行っておりますので、こちらもまた評価結 果が出てまいりましたら当部会での御審議をお願いしたいと思っております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。ただいまの報告事項に関しまして、何 か御意見はございますでしょうか。コメント、質問等ございますでしょうか。よろしい ですか。ないようです。  部会委員の皆様から、そのほかに何か御発言はございませんでしょうか。よろしいで しょうか。ないようでしたらば、次回の予定について事務局から御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 次回の日程につきましては、現在、日程調整を進めさせていただいており ますので、日時、場所、議題等が決まりましたらあらためて御連絡させていただきます ので、よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 日程調整の方、よろしくお願いします。  これで本日の議題はすべて終わりだと思いますけれども、よろしいでしょうか。あり がとうございました。  それでは、本日の添加物部会は以上にて終了いたします。  どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課      (03−5253−1111 内線2453)