09/12/25 第43回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第43回 労働政策審議会 障害者雇用分科会議事録 1.日時    平成21年12月25日(金)12:30〜14:00 2.場所   経済産業省別館 1111会議室(11階) 3.出席者  ○ 委員 (公益代表) 今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員   (労働者代表) 石上委員、野村委員、花井委員、矢鳴委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、高橋(弘)委員   (障害者代表) 川崎委員、鈴木委員、副島委員、松井委員  ○ 事務局  熊谷高齢・障害者雇用対策部長、吉永企画課長、奈尾障害者雇用対策課長、渡辺障 害者雇用対策課調査官、佐藤障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、松崎障害者雇 用対策課長補佐    4.議題 (1)労働・雇用分野における障害者権利条約への対応に関して検討すべき具体的論点 (「過度の負担」)について (2)障がい者制度改革推進本部の設置について (3)その他 5.資料  1 労働・雇用分野における障害者権利条約への対応について(「過度の負担」に ついて 中間整理の抜粋) 2−1 海外における合理的配慮に係る「過度の負担」の例 2−2 過度の負担に係る米国の事例 3−1 障がい者制度改革推進本部の設置について(閣議決定) 3−2 障害者制度改革の推進体制 3−3 障がい者制度改革推進会議の開催について 6. 議事録経過  ○今野会長  それでは、時間ですので、第43回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いた します。本日は佐藤委員、松矢委員、高橋睦子委員が御欠席です。それでは、議事に 入らせていただきます。お手元の議事次第に従って進めたいと思います。議題1は 「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応に関して検討すべき具体的論点」 で、今日は「過度の負担」について議論したいと思います。事務局から資料の説明を お願いします。  ○障害者雇用対策課長  まず本日の議題の1つ目でございますが、「過度の負担」についての御議論でござ います。資料につきましては、資料1と資料2−1、2−2でございます。  資料1でございますが、中間整理の抜粋、過度の負担の関係部分でございます。 「第3 職場における合理的配慮」といたしまして、「2 過度の負担」がございま す。  1つ目の○でございますが、過度の負担の基準としては、企業規模、業種、従業員 数、環境の特性、地域の文化・慣習等を参考にして判断すべきではないか、との意見 があった。  また、長期療養者に対する解雇に関する裁判例でも事業規模を考慮しており、過度 の負担の判断に当たっても、事業規模はある程度考慮せざるを得ないのではないかと の意見があった。  さらに、過度の負担の基準として、現行の障害者雇用納付金制度の特別費用の額を 参考とする(合理的配慮を行うための費用が特別費用の額と比べてどの程度かを斟酌 する)ことも考えられるのではないか、との意見があった。  2つ目でございますが、どのような場合に「過度の負担」に当たるのか、具体的な 指針を定めるべきとの意見があった。  公的助成との関係でございますが、○といたしまして、現行の納付金制度に基づく 助成金は、合理的配慮として行うこととなるものが対象となっており、適宜この助成 措置を見直すことにより、合理的配慮を実効あるものにしていくことができるとの意 見があった。  また、フランスのように、納付金制度に基づく助成金を活用して企業による合理的 配慮に必要な経費をカバーするには、現行の納付金制度や法定雇用率(1.8%)では 足りないのではないかとの意見があった。  また関連いたしますが、次の○といたしまして、雇用率制度の対象でない事業主も 含めて全事業主を対象とする場合、合理的配慮に対する財政支援をどのような形で行 うかが問題になるとの意見があった。  最後でございますが、現行の雇用関係の助成金や支援には期限があるが、合理的配 慮の前提となる仕組みとして期限のない制度を確立すべきではないか、との意見もあ った。  以上が中間整理の抜粋でございます。  次に、資料2−1「海外における合理的配慮に係る『過度の負担』の例」でござい ます。過度の負担について、何か手がかりになるかと思いまして、主要国における過 度な負担の例を抜粋したものでございます。  「1 アメリカ」でございます。合理的配慮に係る過度の負担については、以下の 要素に照らし、著しい困難または支出を必要とする行為とされている、ADAの抜粋 でございます。ADAの抜粋でございますが、そこに(i)〜(iv)まで出てござい まして、「(i)配慮の性質及びコスト」、「(ii)施設の総財源、施設で雇用され ている被用者の数、経費及び財源への影響または施設の運営に与える影響」、 「(iii)事業体の総財源、被用者数から見た事業体の事業規模、施設の数・種類・ 立地」、「(iv)労働力の構成・構造・機能を含む事業体の事業の性質・事業、事業 体における当該施設の地理的孤立性・管理・財政上の関係」ということでございます。  例えば大きな事業所の一部である場合には、(ii)の施設の総財源等におきまして、 全体で判断をするということのようでございます。  「2 イギリス」でございます。イギリスにおきましては、障害者差別禁止法(D DA)におきまして、合理的調整に係る合理性の判断要素が以下のとおりされている ということで、(a)〜(f)まで等とされております。「(a)不利益を防ぐ程度」、  「(b)実施可能性」、「(c)使用者に与える財政その他のコスト及び使用者の 活動を阻害する程度」、「(d)財政及びその他の資源の程度」、「(e)財政その 他の援助の利用可能性」、「(f)企業活動の性質及び企業規模」でございます。  「3 ドイツ」でございます。ドイツは社会法典第9編に規定がございます。○と いたしまして、合理的配慮に係る重度障害者の請求の履行が雇用主にとって過大であ り、または極端な出費を強いることになる等の限りにおいて、当該請求権はないとさ れているということでございます。  2ページの「4 フランス」でございます。使用者が負担する費用の全部または一部 を補填する様々の助成が考慮された上で、なお適切な措置に係る費用が企業の負担能 力を超えている場合にのみ、過度の負担が生じているものとされているということで ございます。  英、米、独、仏の4か国でございますが、いずれの国においても数値的な負担の基 準はないようでございます。  資料2−2「過度な負担に係る米国の事例」でございます。これは第41回のこちら の分科会におきます資料から、過度な負担についてのものを抜粋したものでございま す。要点だけ申し上げます。                                      (1)でございますが、合理的配慮として始業時間の柔軟化を求めた場合、この場合に 使用者はそれが通常ルールに反するということを主張するだけでは足りず、具体的な 職務内容等に照らして、柔軟化した場合に著しい困難や支出が必要となるかどうかを 証明する責任を負うというものでございます。  (2)はパイロットの事案でございます。1年間有給病気休暇をとって、5ヶ月の無給 休暇を認めた、さらに復帰時期が不確定な追加の休暇を求めることは、合理的な配慮 とは言えないという例でございます。  (3)でございます。被告会社において、通常パートタイム労働を認めていない場合は、 無期限的にパートタイム労働を障害をもつ従業員に求めることが合理的配慮に当たる とは言えない。これは過度な負担を証明するまでもなく、使用者側勝訴となる。この 会社においては、すべてのパートのポジションを廃止していたといった要素もあった ようでございます。  (4)でございます。テレワークを障害をもつ従業員に認めることは過度な負担になる かどうかについての事案でございます。これは従業員の仕事の性質によって決まると いうことでございます。この従業員の仕事は放射線科の読影医が口述した所見や診断 を入力していくといった仕事であったものでございますが、その仕事によって過度な 負担かどうかを決めるといった事例でございます。  (5)でございます。他の候補者が極めて高度の適格性を持つ場合には、最低限の適格 性を有する障害者を再配置することは過度の負担になり得る。これは重い障害を持っ て、重い薬品を持ち運ぶという仕事でございましたが、薬品を持ち運べなくなったと。 そういった場合に別の事務職ポストに応募した場合に、ほかに適格性の高い労働者が いた場合はどうなるかといった事案でございます。  最後に(6)でございます。先任権に反する場合は、たいていの場合は過度の負担とな り得るということで、これは貨物の運搬人が背中に障害を負われて、より負担の軽い 別の部署の配置を求めた場合に、先任権に基づく他の労働者が申し込みをしていたと いった事案でございます。  そういったことで過度の負担に当たるかどうかでございますが、抜粋した例として は(1)〜(6)のようなもので、比較的個別的に判断をされているような要素があり得ると 思われます。  以上でございます。  ○今野会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問をお 願いいたします。  ○石上委員  過度の負担の関係ですけれども、資料1にもあるとおり、過度の負担の基準という のは、企業規模等を含めて個別に判断されるものだろうと考えておりますが、過度の 負担かどうかということについては、使用者側がまず説明責任を負うべきではないか と考えております。  ○今野会長  ありがとうございました。ほかに御意見はございませんか。大島委員、どうぞ。  ○大島委員  今の意見ですけれども、過度の負担についてですが、これまでも申し上げてきたと おり、やはり現場の混乱を避けるためにも、過度の負担に該当するのはどのような場 合かということをわかりやすく示していただきたいと思います。  企業規模ということで申し上げますと、企業経営者としての意見を申し上げたいと 思いますが、資料1の一番上の○では、長期療養者に対する解雇に関する裁判例でも 事業規模を考慮しており、過度の負担の判断に当たっても事業規模はある程度考慮せ ざるを得ないのではないかという意見があったとあります。  また、資料2−1の海外事例でも、欧米でも企業規模や財政、負担能力が判断の要 素に含まれていると書いてございます。これまで議論してきたとおり、合理的配慮の 内容は個別の労働者の障害や職場の状況によって多様で、個別性が強いものと理解を しております。個別性は配慮を提供する企業側にも当てはまります。提供されるべき 配慮の内容は障害者の障害の種類や程度と職場や企業の状況、それぞれを検討して判 断されるべきであると思います。  また、合理的配慮の提供のためには、企業側には金銭的・事務的な負担が起こり得 ると思います。大企業と中小企業でその負担能力が異なってくるのは当然であります が、その時々の状況とか財務内容によっても負担能力が変化する可能性もあります。 例えば現在のような不況のときには、それまで積極的に取り組んできた合理的配慮の 提供が非常に重荷になるケースが考えられます。このような点を踏まえて、過度の負 担の判断材料には企業規模、財務状況を始め、その時々が置かれている企業の個別の 経営環境全般が考慮されるべきであるというふうに思います。よろしくお願いします。  ○今野会長   ほかにいかがでしょうか。どうぞ。  ○野村委員  私の方からも過度の負担について御意見を申し上げたいと思います。さまざまに中 間整理の中にも、具体的に取り組んでいく上で過度の負担に関する懸念の声が記載さ れておりますけれども、我々はこの権利条約の批准そのものが目的ではなく、それを 踏まえた具体的な行動に結び付かないと意味がないと感じておりますので、今まで議 論をいただきました合理的配慮措置の規定そのもののまさに実効性を確保するべきと 考えます。  そのためには雇用者の調整金のあり方ですとか、各種助成金の拡充も検討する必要 があるのではないか。つまり障害者雇用納付金制度を職場、あるいは企業の実態を踏 まえて見直すことも必要ではないかと考えております。是非御検討をいただきたいと 思っております。以上です。  ○今野会長  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。  ○大島委員  先ほどの続きですけれども、公的助成金との関係について、一番下の○のところに 「期限のない制度を確立すべきではないか」と書いてあります。やはり期限がある制 度が多いので、支給期限を限定しない助成制度など、障害者雇用に取組む企業に対す るサポートをより一層充実させていただきたいと思います。  ○今野会長  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。  ○川崎委員  障害者の立場でなんですけれども、やはり過度の負担は、恐らく企業側がそれを過 度の負担とするということだと思うんですが、その場合に障害者がその企業にとって 過度な負担になるというような、ただ企業側からそれは過度な負担になるから切られ るということではなくて、何か少し話し合いの場といいますか、企業側と障害者側と 第三者が入って、そこで納得のいくような形にできないかなと思うのが私ども障害者、 特に精神の立場です。  精神の場合には、過度な負担はどういうことかといいますと、私は前から申し上げ ていますように人的支援でして、そういう相談者を各企業に置くということがもしも できなければ、外部の現在あるところの支援センター的なところで、そういう企業と 障害者を調停するというのはおかしいんですけれども、何となく納得ができるような 機関があったらいいかなと思っているところです。以上です。  ○今野会長  どうぞ。  ○鈴木委員  私はこの合理的配慮という部分では、大きく分けると2つになるのかなと思ってい ます。それは対象者、障害のある人がまず就職をしようとして、その企業を選ぶとか、 採用しようという場合の企業側の配慮というのがあるのかなと。あと既に働いていた 労働者が中途で障害を負った場合、その人の雇用を継続するためにどういうふうにし ていくか。それは障害の程度とか種別は別としても、大きく分けて2つあるのかなと 思うんです。  そうすると、最初のこれから新しく障害のある人たちを雇おうという場合は、うち はこういうふうな配慮はとりあえずできるよということを提示して募集をかけていく 方法があるかなと思います。それは障害のある人を排除するという意味合いではなく て、うちの企業はここまでが目一杯なんだということを企業側もある意味提示する必 要があるかなと思うところです。  2つ目の既に働いていた人が障害になってしまった場合、その人の雇用を継続する ためには、ハード面、ソフト面、いろいろな手を講じなければいけないと思うんです けれども、それをしていくために企業側としてもいろいろな努力をしていく。でも、 うちの経済規模とか仕事の内容とか、その場合はここまでしかできないんだけれども というときに、初めて公の第三者なり何なりが入るということ。  それから、雇用納付金だけではなくて、先ほどどなたかがおっしゃっていましたが、 その方の雇用を継続するために必要な部分の企業で出せない部分を公のところの何ら かの助成で整備をしていくということは必要かと。そういう制度も作っていかないと、 企業側にばかり企業の規模だとか従業員数だとか経済的な状況だけを考慮するのでは なくて、公の部分でどうやっててこ入れしていくかということも今後重要なところか と思っています。  いろいろな制度を活用して雇用を継続していくと思うんですけれども、例えば職場 介助者などの制度はある程度年数が切ってあったりするんですが、私の立場から言わ せていただくと、視覚障害のある人は10年間経ったら視力が戻るわけではないので、 同じ状況なのにその制度が切られてしまうということも、その後企業に関わる配慮の 負担が過度になっていくような気がするので、ある程度の打ち切りという期間を切っ てではなくて、継続的な支援も必要なのではないかと思うところです。以上です。  ○今野会長  どうぞ。  ○新澤委員  今の鈴木委員のお話の中で私の疑問点は、最初の障害者を雇う云々という場合は、 これは自分のところの企業でちょっと不具合ならば雇わなければいいわけだから、問 題はやはり雇ってからの合理的配慮。それと今おっしゃったように途中から障害者に なった場合の合理的配慮の問題だと思います。総じて、私は基本的にこの中間整理の 意見は、大変ありがたいと思うんです。  今、川崎委員からお話のあった第三者の調停みたいな形をとるという場合、この時 は新たに結論が出たら、我々使用者としては、これは受け入れられないという場面が 出てくると思うんです。ですから、その話は我々からいうとどうなのかなと。この中 間整理の意見を基本的に行っていただければ、我々使用者側としては大変ありがたい と思います。やはり無理なことを言われても困ってしまうので、その辺をひとつ意見 としてお話ししておきます。  ○今野会長  ほかにいかかでしょうか。どうぞ。  ○岩村委員  事務局の方にお尋ねなんですが、現在、雇用率制度の下で納付金と助成金の制度と いうのがありますけれども、現行の納付金と助成金の制度を支えている論理が合理的 配慮で過度の負担が問題となるときに公的助成を行うという、そういった仕組みを導 入するときの支えとなる論理にそのまま使えるのか。それとも使えないのであって、 もう少し別の考え方とか説明を取り入れなくてはいけない、あるいはひねり出さなけ ればいけないということなのか。そこをお尋ねしたいので、もしわかる範囲で結構で すが、御説明をいただければと思います。  ○障害者雇用対策課長  まず今の納付金、助成金の論理でございますが、そもそも納付金制度全体の論理と して、障害者の方の社会参加を進めるために全事業主等でそれを連帯責任としてみま しょうという論理でございます。  雇用の数が多いところと少ないところでおのずから負担は違うだろうということで、 まず1つは経済的負担の調整ということです。障害者雇用が比較的進んでいないとこ ろから多く原資をいただいて、負担の調整をする。障害者雇用が進んでいるところに は、それを奨励し還元するための調整金、報奨金といったものを支給するのが1つで ございます。これは経済的調整なので、例えば納付金という側から言うと、一種のマ イナスの受益者負担金といった色彩がございます。これが納付金制度の今の趣旨でご ざいます。  もう一つといたしまして、全体の雇用の底上げをする。単に経済的負担の調整をし て、雇用が進んでいないところから進んでいるところに原資を移動させるだけでは、 全体の雇用者数のレベルアップにつながらないというのがございまして、そこで今の 納付金制度の中で全事業者連帯として助成金の原資をいただいて、全体の障害者雇用 の底上げを図る。こういったことで、今の納付金制度は2つの趣旨があろうかと思い ます。  仮に合理的配慮の提供について、仮に法律上義務とした場合でございますけれども、 一般的に考えますと、義務化したものについて助成をするというのは少し違和感があ ろうかと思っています。ただ、そうは言っても全事業主の連帯として、障害者の方の 雇用を進めるということで助成金を支給するという考えかと思いますので、今の論理 のままでいけるか、別の考え方が必要かということで、にわかに材料がなくて非常に 恐縮でございますが、今の納付金制度の趣旨としては、そういうものであろうと御説 明させていただきます。  ○岩村委員  ありがとうございました。もう一点ですが、これはコメントです。資料1の一番下 のところで助成金や支援の期限ということで、期限のない制度を確立すべきではない かということですが、これは結局、助成の支援や性質によるので、例えば障害者の方 を最初に雇用し始めるときに支援が必要だということで、その初期的な費用のところ を最初は見てあげましょうというような場合であれば、これは期限付きでもいいのか なと。  先ほど鈴木委員がおっしゃったような、そうではないような場合ですが、それも制 度設計として考えたときは、最初から期限なしというのは難しいところがあって、期 限を設けた上で適宜必要性について審査をするというような形にしておくのが、ある 意味ではこれは強制徴収したお金を使うというところがありますので、お金の使い方 の適正性の確保という観点からすると、期限を設けつつ、ある一定のタイミングでも って適宜必要性を審査した上で継続するかどうかを判断するという方が適切な仕組み になるのかなと。最初から期限なしというのは問題が生じるのかなという気がいたし ます。これはコメントです。  ○今野会長  ほかにございますでしょうか。副島委員、どうぞ。  ○副島委員  前回の合理的配慮のところもなかなか難しかったし、今回の過度の負担も大変難し いことだと思います。要は合理的配慮とか過度の負担については、最終的には障害の ある人が合理的配慮をすることによって、もっと力が出せて、仕事に対応できるとい うところに結び付くことが大事だと思うし、企業にとっても障害のある人が有益な存 在に位置付くということですね。そういうところへ結び付くことが大前提だと思うん です。そのためには過度の負担がどういう場合に過度の負担になるかというのは、す ごく難しいことがあると思うんです。  特に労働者側で考えたものと、使用者側で考えたものとの考え方の違いがそこにぶ つかっていって、これが問題化されると思うんです。そういうときに過度の負担とい う労働者側についてはそれを応援する救済機関というものもそこには必要ではないか と思うし、相談ができる機関ですね。また、この問題が起こったときに紛争というと ころへつなげていく前に上程する。相談の上、何とか解決するという方向が必要だと 思うから、そこには先ほど川崎委員が言われた調停する機関ですか。それがどういう メンバーが入ったら、調停する機関として一番有効なのかということは、また議論を しなければいけないと思うのですが、そういうところが必要だと思うんだけれども、 要は過度の負担は一体どんなものが考えられるのか。  そこには1つのガイドライン的なもの、指針的なものがないと判断ができないので はないかと思います。そういう面ではガイドラインは、例えば指針的なものは過度の 負担だけではなくて、合理的な配慮がそこに入りますね。そういうものとかみ合わせ ながら、問題が起こったときには解決していくという方法をとらないと、過度の負担 といっても我々は具体的に現場で味わったことの中には、よく配置転換が本人にとっ ては負担になるのか、合理的配慮かというところがよく見えないんです。  例えば私どもは知的な障害です。知的の障害の方々が年数を加えることによって、 いろいろな仕事に行かせてもらいたいんだけれども、ところが能力的なところに限界 があったりして、配置転換をすることによって就労の継続へつなげていくことは合理 的配慮かもしれない。今度はたくさんの仕事をしていかなければいけない状況に追い やられたときには、その本人がつぶれてしまいますから、それを周りの人が分担して、 とってもらわなければいけないときも出てくるわけです。そういう場合には、逆に回 りに迷惑をかけるわけですから、これは周りの方々に過度的な負担をかけているので はないかと。1つの事例であっても合理的配慮とみる場合と、過度の負担だとみる場 合があると思います。  だから、いかにその指針的な事例的なものが示されないと、そこのところを判断す るのはなかなか難しいのではないかと思います。そういうことを思いながら、どうす ればいいということが出なくて申し訳ないですけれども、私の意見です。  ○今野会長  どうぞ。  ○新澤委員   合理的配慮で過度の負担の期限の問題ですけれども、地方などですと送迎の問題が あるんです。これは地方の中小企業ではお一人の場合でも実際に送り迎えをやってい ます。  これは極端な話です、今まで近かったけれども、都合があって家を引っ越したなど という場合、片道8キロとか、そういう送迎が負担になる場合も出ますね。こういう ことはある程度、期限なしにしてもらわないと困るという類似したこがあるだろうと 思うんです。  ですから、ケース・バイ・ケースでいろいろあるので、基本的にはこの意見は大分 いろいろと加味されているのではないかと思うんですけれども、よろしくどうぞ。  ○今野会長  ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、どうぞ。  ○鈴木委員  先ほどのところで、私は雇用率との関係をお話ししていなかったんですけれども、 雇用率制度における雇用納付金とか調整金とかあるわけですが、この雇用率と合理的 配慮はイコールにならないような気がしています。雇用率を追求していくと、私のよ うな全盲の人はなかなか採用されていなくて、仕事に余り影響のない1〜2級の人が 採用されるという話もあるわけです。  でも、本来いろいろな障害のある人が働くということを考えたときに、障害の程度 とかいったことによって、設備の設置など、いわゆる企業側に求められるものは多く なっていくと思うんです。そのときに企業の経済状況とか人数ということだけでなく て、やはり頑張ろうとしている企業には公から何らかの支援をしていく必要があるの ではないかと強く思うところです。  そうしないと雇用率だけ上げるためにそんな感じで、ここから先は余り具体的に言 えないというところはあるんですけれども、その辺のところで率とは別に切り離して、 1人の障害のある人を雇うというところで、どういうふうにしていったらいいかとい うところからスタートすると、どういう支援が必要になるかということを考えてもら って、そこでいろいろな事例の中でこういうことができるのではないかということを 出してもらうといいかと思います。  ○今野会長  ほかにいかがですか。どうぞ。  ○菊池委員  事務局の方にお伺いしたいんですけれども、今までもたくさんの障害のある方が雇 用されていて、その歴史があるわけですが、企業の方にとって既に今までの中で過度 の負担と感じていたこととか、それに対してどう対処したかとか、その辺のデータと いいますか、実績というか、そういうのがもしあれば、それをもう一度整理する中で ガイドライン的なものができてくるのかなと思うんですけれども、その辺はいかがで しょうか。  ○障害者雇用対策課長  むしろ私どもが収集しておった例というのは、こうすればうまく障害者雇用が進む といった例を中心に収集しておりまして、こういう合理的配慮をしている例はいろい ろと御紹介できるかと思います。  ただ、過度の負担があるので、結果としてそこまでできなかったという例となりま すと、そこは手元にはなくて非常に恐縮でございますが、結果して過度な負担に当た らなくて、合理的負担が提供できるという例が中心になるかと思っております。そこ はまさに11月の御議論の際に高齢・障害者雇用支援機構の方で発表している優秀例と いったものを御紹介いたしましたが、そのような例として、取りまとめができるかと 思います。  ○今野会長  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。  ○高橋(弘)委員  先ほど来、御意見が出ておりますけれども、合理的な配慮と全く同じように、過度 な負担かどうかは極めて、各企業、各事業所の個別の事象というものが十分勘案され て然るべきではないかと思っております。今そういう議論は全くございませんが、例 えば合理的な基準を設定して、いくら以上だったらどうだとか、そういうことには多 分なじまないものであるということは改めて申し上げたいと思っております。  その上で、やはり企業が過度な負担かどうかということを判断する際に、例示的に 要素を掲げて、この審議会としても社会的に発信していくということは考えられるの ではないかと思っております。  その際に資料1で示されております中間整理の要素としては、残念ながら甚だ不十 分と言わざるを得ないのではないかと思っておりまして、しばらく前の会合で私は御 指摘申し上げましたが、企業規模と従業員数はほぼ同義のものでございます。また、 私が御質問させていただきましたが、環境の特性あるいは地域の文化・慣習は何です かと御質問をしましたところ、委員からの意見があったというだけですという紹介で、 十分詰まったものとは言えないわけであります。これだけでは非常に不十分でありま して、もっと詰めていかなければならないのではないかと思っております。  その上で先ほど来、企業規模というようなことも出ておりますが、さはさりながら、 例えば具体的な企業名を挙げるのは誠に失礼なんですけれども、例えば今OBの企業 年金をめぐって非常に大変な状況に追い込まれている会社もすごく大規模な企業規模 をお持ちの会社でありますが、まさに経営の危機の存亡に立たされているような会社 とそうでない会社があるわけでありますので、単純に企業規模が大きいからどうなん だとか、そういうこともなかなか言いがたい。  ただし、それが1つの要素になり得るということ自体を否定しているわけではあり ませんけれども、企業規模が大きいから直ちにどうなんだという議論も多分ならない のでありましょうということだと思います。  そういう意味では、中間整理にはあまりそうした趣旨のことはございませんけれど も、やはり財務状況とか経営状況といったようなものは重要な要素の1つになり得る のではないかという気がいたしております。  また、中間整理では業種ということが書かれております。これをどういうふうに読 むか、どう理解するのかなと思いましたけれども、例えば業種ということであれば、 今の雇用率制度の下で除外率ということが、いずれ撤廃される方向かもしれませんが、 厳然としてあるわけでございまして、除外率の大小をもって考えていくのか、いかな いのか。そういう疑問をもしかしたらあるのかなという気がいたします。  やはり何よりもその企業としましては、受ける先の職場の実態というものを十分勘 案していく。これも重要な要素になり得るのではないかと思っておりますし、なかな か表現は難しいんですけれども、代替手段の可能性といいましょうか。そういったよ うなことも十分な考慮要素にはなっていくのかなという気がいたします。  その上で先ほど来、ガイドラインをという御意見がありました。基本的なガイドラ インを策定して、広く周知していくことの必要性は私も認識をいたしております。さ はさりながら、余りにも個別的な要素が強いために、このガイドラインをぎちぎちに 運用していくということもまた好ましくなかろうかと。これはあくまでも参考情報と して提供をしていくというような方向性が望ましいのではないかと思います。以上で ございます。  ○今野会長  どうぞ。  ○花井委員  権利条約の中で障害を持つ労働者が合理的配慮を求めたときに、それを拒否するこ とは差別に当たるということが書かれています。それからすると、合理的配慮をどう 規定するかは非常に重要だと思います。  前回、前々回から合理的配慮について議論をしたときに、障害者の種別、程度によ って個別性があるので、一律に決めることができないので、合理的配慮の具体的内容 についてはガイドラインをつくった方がいいというのが大方の意見だったかと思いま す。それからすると、過度の負担というのもそのガイドラインに沿う形で非常に個別 性があるのではないかと思います。  企業の財務状況とか規模とか、当然そこは勘案されるべきですが、あまりにもそこ を強調し過ぎると過度の負担の範囲がどんどん小さくなっていくのではないかという 恐れも一方にあって、そこはこれからの議論だと思うんですが、あくまでも障害者が 働き続けられるためにどうするかということがあって、そのために公的な助成とか様 々なことを考えても、なおかつこの企業には無理なんだといったときに、初めて過度 の負担が出てくるのではないかと思います。  そういう意味で、先ほど石上委員が言いました事業主に説明責任があるというのは、 いろいろな努力をしたけれども、これ以上できないという、そのときの説明責任があ るのではないかと思います。  ですから、合理的配慮の具体的内容をガイドラインで定めていくときに、同時に過 度の負担は何なのかというが出てくるかと思いますので、あまり最初から企業規模、 財政状況を強調すると議論が進まないのかなと思います。  ○今野会長   いろいろ御意見がありましたけれども、非常に個別性が強いということを重視しな ければいけないということでは合意をしていて、したがって過度の負担を判断すると きに、何らかの視点あるいは要素はある程度考えておかなければいけないということ も一致をしていると思います。もしそれをガイドラインと言うんだったら、さらにそ れを対応する事例か何かがくっついていれば、それでガイドラインができ上がる。こ の辺は大分合意ができています。  そうすると今度は具体的にどう書き込んでいくかということですが、その時に私が 今、議論を聞いていて思ったのは、過度の負担の「負担」は何だろうかということで す。お金ですか。お金だけで強調すると支払い能力との関係ですね。あるいは何でし ょうか。ほかになければお金ですね。その負担をよく考えてみたら何だろうかという ことを少し。そこら辺が合意できれば、過度の負担を考えるときの視点は出てくるの かなと思ったものですから。  鈴木委員、どうぞ。  ○鈴木委員  そこの部分をお話ししようと思っていたのですが、私は会社に勤めていたときにパ ソコンのスクリーンリーダーでしゃべってもらって仕事をしていたわけですけれども、 どうしても会社内のイントラというんでしょうか。年休を取ろうと思っても、そこの ところが音声化をされていないんです。会社全体としてのシステムが音声化に乗らな いもので、その場合は隣の席の人に、いわゆる年休を入れてちょうだいとか、そうい うのを頼むわけです。  そうすると、ある意味スクリーンリーダーを入れてもらうのは会社としてやっても らいたい。でも、イントラを全部システムを変えるなどというのはとんでもない話で、 そこの部分だけは職場の人に協力を求めましょうかという、そこら辺が合理的配慮に なるのかなという気がします。次のシステムの更新のときに、そういったところもな るべく読めるように配慮して組み直してくださいねということをしていくことが重要 なのかなと思っています。  先ほど会長が、お金だけですかねと言いましたが、半分以上はお金だと理解をして います。ただ、それだけではなくて、そういう職場内でのいろいろなサポートも含め て、負担と言うような気がいたします。以上です。  ○今野会長   どうぞ。  ○岩村委員  今のお金の問題かということですけれども、今日の資料2−2で過度の負担に関す るアメリカの事例が出ています。お金に関わるものもありますが、必ずしも当然にお 金に関わるというわけでもないということが、幾つか事例を見てもわかるように思い ます。  例えば(1)は、始業時間の柔軟化ということによって、「障害者の具体的な職務内容 等に照らし、著しい困難または支出」となっているので、仕事の中身によっては障害 者の人がほかの人とは違う始業時間に出てくるということによって、作業自体がうま く回らないというようなことも過度の負担としてとらえて、それもある意味ではお金 の問題なのかもしれませんが、そういうふうにとらえている。  それから、例えば(5)もそうですね。「他の候補者が極めて高度の適格性を持つ場合、 障害者を再配置するというのは過度の負担になりうる」、(6)の先任権はアメリカ独特 の仕組みですけれども、採用の早い順にいろいろな場合の権利を付与するというもの ですが、それをいじるというのは多くの場合は過度の負担となるというような形です。 これは当然にはお金とは関係してこないことも入ってきますので、やはり事の性質に よるのだろうと思います。  ○今野会長  多分ガイドラインを作るときに、それを整理しなければいけないかなと。今の最後 の例の先任権の場合は、要するにアメリカが先任権という社会のルールを変えること 自体が負担だと言っているわけでしょう。そうするといろいろなタイプがあり得るか なということですね。  全体的には個別性が強くて、ガイドラインを作って対応して、ガイドラインは視点 を整理して、それに対応した事例を豊かにつくっていくということで大体合意はされ ているかと思います。  ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この第1番目の議 題はこれで終わりたいと思います。  続きまして、議題の2番目「障がい者制度改革推進本部の設置について」。事務局 から説明をお願いします。  ○障害者雇用対策課長   それでは、資料3−1以降でございます。「障がい者制度改革推進本部の設置につ いて」。障がい者制度改革推進本部や障がい者制度改革推進会議等の設置について御 説明したいと思っております。  資料3−1でございます。平成21年12月8日付閣議決定で、障がい者制度改革推進 本部が設置されております。本部設置の趣旨でございますが、資料3−1の1番でご ざいまして、権利条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係 る制度の集中的な改革をする、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、内 閣府にこの本部を置くというものでございます。本部の構成員は2番目でございます が、総理大臣が本部長、すべての閣僚が本部員でございます。  この本部の設置でございますが、3番におきまして、当面5年間を障害者の制度に 係る改革の集中期間と位置付け、改革の推進に関する総合調整、改革推進の基本的な 方針の案の作成及び推進並びに法令等における「障害」の表記の在り方、例えばこの 本部につきましては「障がい者制度改革推進本部」と平仮名でございますが、この「 障害」の表記についての検討を行うということでございます。  本部員は4番でございますけれども、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事す る者及び学識経験者等の参集を求めることができる。庶務は内閣府で処理するという ことでございます。  最後でございますが7番で、平成12年12月26日付の閣議決定で設置されました旧本 部を廃止し、これまでの決定事項は本部に引き継がれるというものでございます。  この12月8日に閣議決定されました本部は、第1回本部は12月15日に開催されてお ります。  次に、資料3−2でございます。「障害者制度改革の推進体制」全体でございます。 今、申し上げました推進本部がすべての閣僚で構成されておりまして、資料3−2の 右上でございますが、本部で行うこと等が2つ目の●で書かれております。当面5年 間を集中期間と位置付けまして、改革推進の総合調整、基本的な方針の案の作成・推 進、「障害」の表記の在り方についての検討等を行うというものでございます。  この本部はすべての閣僚が構成員ですので、この下に障がい者制度改革推進会議と いうものを設けるわけでございます。こちらのメンバーとしては、障害者、障害者の 福祉に関する事業に従事する者、学識経験者等として、こちらで障害者に係る制度の 改革を始め、障害者施策の推進に関する事項について意見を出すというものでござい ます。  この推進会議の下で、より機動的に検討するために部会が施策分野別に置かれる、 必要に応じ部会を開催するという枠組みでございます。  一番下の囲みでございますが「新たな推進体制の下での検討事項の例」が書かれて ございます。そこに5つほどポツがございます。  最初に「障害者権利条約の実施状況の監視等を行う機関(モニタリング機関)」、 これは条約に規定してございますので、この検討をする。「障害を理由とする差別等 の禁止に係る制度」、3つ目として「教育」、4つ目として「雇用」がございます。 最後に「障害福祉サービス」、これは自立支援等の絡みがあるかと思いますが、こう いったことが例示されてございます。  こちらの検討体制でございますが、当面半年程度かけまして、来年夏ごろまでに改 革推進の基本的な方向について検討するということのようでございます。  最後に資料3−3でございます。12月15日付け、先ほどの障がい者制度改革推進本 部長決定で、今申し上げました推進会議の開催について決まっているところでござい ます。  1番でございますが、施策の推進に関する事項について意見を求めるため、この推 進会議を開催する。2番で、構成員は障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する 者及び学識経験者のうちから、別に指名するというものでございまして、これは内閣 府の方で現在人選を検討して、年内にも決定したいと。年明けの会議開催を目指して、 今、作業をしていると聞いております。最後に6番でございますが、会議の庶務は内 閣府政策統括官(共生社会政策担当)において処理するということでございます。今 週の月曜日、21日でございますが、この推進会議の事務局機能を担う担当室長が置か れているようでございます。担当室長としては弁護士であります、東俊裕弁護士が任 命されたと聞いております。  以上でございます。  ○今野会長  それでは、御質問、御意見をお願いします。どうぞ。  ○花井委員  この推進体制について幾つか質問をしたいと思います。1つが、推進本部ができた ということは一歩前進かとは思うのですが、この中に部会というのがあります。資料 3−2ですが「新たな推進体制の下での検討事項の例」で幾つか挙げられておりまし て、この中に「雇用」があります。その上の黒い枠組みの中ですが、部会があって施 策分野別となっているんですが、「雇用」という部会が新たに設けられることになる のかどうかなのかというのが1つです。  5年間の集中期間となっておりますが、権利条約を締結するための準備もここでや るのかというのが2つ目です。  最後は意見ですが、雇用・労働分野における差別禁止の在り方については、障害者 雇用分科会や研究会も設置して、さらに今年の10月からずっと検討してきているわけ ですが、当然雇用の分野における課題につきましては、研究会や分科会のとりまとめ が優先されるべきではないかと思いますが、その辺りの関係は今後どのようになって いくのかをお聞かせいただければと思います。  ○障害者雇用対策課長  順番にお答え申し上げます。まず部会でございますが、施策分野別で置かれるとい うことでございます。これは推進会議の下で各分野別の課題を精力的に検討していく ために、必要に応じて置かれるという説明が内閣府の方からあったようでございます。 この検討事項の例を見ますと、いくつかの柱の中で「雇用」が入っておりますので、 部会はどういう分野について置くかということを私どもは聞いていないわけでござい ますが、可能性としては雇用について置かれる可能性はあり得ると思っております。  2つ目といたしまして、この推進体制の下、資料3−2の一番下でございますが、 例えばモニタリング機関の設置でありますとか、障害を理由とする差別等の禁止に係 る制度といったものは障害者権利条約に関連する、あるいは仮に全体の分野横断別に 法律に規定するとなると、障害者基本法に関連するものなのかなと思われます。  そういたしますと、条約の締結に関係する準備もやるかということになりますと、 例えばモニタリング機関で、差別等の禁止に係る制度の関連につきましては、こちら の検討が障害者基本法の改正をにらんでされるのかなと推測されるわけでございます。  その上で、最後の御質問の関係でございますが、私どものこちらの分科会の関係で ございます。こちらにつきましては、各省、障害者雇用に限らず審議会が置かれてい るわけでございますが、内閣府の方としては当面併存状態になるという説明をしてい るようでございます。各省の課題を検討するのに各省で審議会、分科会を設けまして、 有識者、当事者を参集して検討されるということで、それぞれの会議がそれぞれ動い ていく、ただ、内閣府の方の現在の考え方といたしましては、最終的には各省とのす り合わせが必要となってくるので、最終調整をしていく必要があるかなと考えてられ ているようでございますが、具体的な調整方法であるとか決定方法については今後検 討されると聞いてございます。  この推進会議あるいは部会等でございますが、現在のところ法律で根拠があるもの   ではないわけでございまして、それに対しまして、労働政策審議会あるいは障害者雇 用分科会におきましては、労働政策審議会は例えば厚生労働省設置法の方でしっかり と位置付けられているわけでございまして、分科会で行うべき検討事項についても労 働政策審議会令といった形で、政令でがっちりとフレームが決まっているわけでござ います。そういったことも踏まえながら、どういう検討がされるのかを注視していく 必要があるかと思っております。  ○今野会長  よろしいですか。よくわからないということですね。他にどうぞ。  ○岩村委員  ここで言っても詮無きことなのかもしれませんが、1つだけ労働政策審議会の委員 として、やや懸念を持っているのは、この資料3−2にある推進体制の先ほど花井委 員がおっしゃった中に「雇用」が入っているということで、やはり雇用に関する問題 は障害者施策との関係で言うと、障害者の方と同時に労使が入った場で議論をしない と地に足の付いた議論はできないという気がします。そういう意味で今回の推進会議 の体制については、私自身はやや懸念を持っているということだけは述べておきたい と思います。  部会がどういうふうに構成されるのかよくわかりませんけれども、何となくこれを ぱっと見た感じでは、権利条約の中の章に対するものを並べているのではないかとい う気がしました。ですので、そういう観点からすると雇用のところについては少し憂 慮をされるところがあるなという意味ではこちらはこちらとして粛々と、やはり労使 が入って、障害者の方ときちんと議論をして、地に足の付いた足組みをつくるという ことを考えるのが我々の役目かなという気がいたします。これは単なる意見でござい ます。  ○今野会長  どうぞ。  ○花井委員  改めて私も岩村先生と同じ考えなので、是非雇用の問題については、この分科会で の議論が優先されるべきというか、こちらが尊重されるべきだという意見を改めて申 し述べておきたいと思います。  ○今野会長   他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、2番目の議題も終わりました。少し御相談をしたいことがあるんですが、 1つ目は議題の第1番目の具体的な論点については今回で一応すべて議論したという ことです。したがいまして、これまでの議論を一通り整理して、それで次に行こうか と思いますので、一度整理してみるということについて御承認いただけるでしょうか。 (異議なし)  それが1つ。それを踏まえて今後議論していくわけですが、その時に今出ました障 がい者制度改革推進本部の動きもありますので、この本部での障害者基本法の改正に 関わる議論の状況を見ながら、こちらもどういう議論をしていくかということも考え ながら、今後進めていきたいと思っております。そういう進め方でよろしいでしょう か。 (異議なし)  ○今野会長  ありがとうございます。今2点ほどお願いをいたして、御承認いただきましたので、 今後そういう方向で進めていきたいと思います。  それでは、その他は何かありますか。どうぞ。  ○花井委員  今、先生がおっしゃったのはそのとおりで結構ですが、整理するに当たって質問し ていなかった点があったものですから、事務局の方にお伺いしたいんですが、今議論 している法律の名称と目的をどんなふうに考えられているのか。今の範囲で教えてい だたければと思います。  ○障害者雇用対策課長  法律の名称、目的でございますが、名称はその法律の趣旨を簡潔に表明するという ことでございまして、これはどういう差別禁止なり合理的配慮の提供、紛争解決手段 をどう仕組むかによって当然変わってくるわけでございますけれども、現在の障害者 の雇用促進等に関する法律でございますが、究極目的としては障害者の職業の安定を 図るという目的がありまして、合理的配慮の提供等につきましても究極目的は職業安 定ということで包含できるのかなと考えますと、目的の規定は技術的にどう変えるか はまた別に置いておきまして、少なくとも法律の名称には直接響かないような気もい たします。  この辺はこれから精査が必要でございますが、例えば最近の労働関係の立法例で差 別禁止という条文を入れ込んだ場合でも名称は変えていない例もあるようでございま すので、そういったものも参考にしながら検討していきたいと思っております。  ○今野会長  よろしいですか。どうぞ。  ○矢鳴委員  どこで御意見を申し上げようかと思ってたのですけれども、実効性の担保のところ で、差別禁止と合理的配慮はいろいろな御議論があったのですが、この研究会の中間 整理の中でも枠組みの全体像の一番最初にあります労働・雇用分野において、1つは 障害を理由とする差別の禁止、2つ目は職場における合理的配慮の提供について実効 性を担保するための仕組みを含めて、国内法制において位置付けることが必要である という意見が大勢であったということがありますので、是非この実効性を担保するた めにも十分に御勘案いただきたいと思います。以上です。  ○今野会長  他に御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、これで本日の分 科会を終了したいと思います。次回の分科会について、事務局から説明をお願いでき ますか。  ○障害者雇用対策課長  次回の分科会の具体的な日時等につきましては、事務局から追って御連絡させてい ただきたいと思います。  ○今野会長  それでは、最後に議事録の署名についてです。労働者代表委員は石上委員、使用者 代表委員は飯ヶ谷委員、障害者代表委員は鈴木委員にそれぞれお願いをしたいと思い ます。よろしくお願いします。それでは、終わります。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 TEL 03(5253)1111 (内線5783) FAX 03(3502)5394