09/12/18 第157回中央社会保険医療協議会総会議事録          第157回総会議事録 (1)日時  平成22年12月18日(水) 9:00〜9:15 (2)場所  はあといん乃木坂 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻里委員 関原健夫委員        白石小百合委員 森田 朗委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員        北村光一委員 高橋健二委員 伊藤文郎委員        安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員        北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員 <参考人> 松本純夫保険医療材料専門組織委員長        <事務局>        外口保険局長 神田総務課長 佐藤医療課長 迫井医療課企画官         渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○医療機器の保険適用について        ○先進医療について        ○その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  それでは、ただいまより第157回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。  まず委員の出欠状況でございますけれども、本日は藤原専門委員が御欠席です。また、 森田委員は遅れて出席される旨の連絡を受けております。なお、審議官は公務のため欠席 される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に移らせていただきます。まず、「医療機器の保険適用について」を議 題といたします。  まず、C1(新機能)について、保険医療材料専門組織の松本委員長より御説明をお願 いいたします。  よろしくお願いいたします。 ○松本専門委員長  それでは、説明させていただきます。今回の医療機器の保険適用はC1が3つです。そ れでは、中医協総−1−1の資料をごらんください。  販売名、ハイドロコイル エンボリック システムです。本品は、脳動脈瘤、脳動静脈 瘤、脳血管奇形内への血流の遮断を目的に使用するコイルです。脳動脈瘤に対するコイル 塞栓術は外科的手術と並んで安定した治療法ですが、長期的に一部の症例で再発すること が問題になっておりました。この原因としては、特に体積の多い瘤において、コイル容器 の圧縮により血流が瘤へ流れ込むということで、瘤の中でコイルが十分に拡張していない という問題が起こっております。本品はこのような欠点を補うことを目的として開発され たものです。  製品概要をごらんください。本品は、コイル本体の外層に親水性のハイドロジェルをコ ーティングしており、血中の水分を吸収して、設定された外径まで約20分ほどで膨潤し ます。膨潤後は生体内で分解しない安定したポリマーとして物理的充填効果を維持するも のです。  本品の類似機能区分は、コイルの離脱方式が同じである水圧式デタッチャブル型を採用 いたしました。従来のコイルより高い充填率が望めることが評価され、有用性加算5%、 区分C1と決定いたしました。  価格は14万1,000円です。外国では販売されておりませんので、価格調整はござ いません。 ○遠藤会長  引き続きお願いいたします。 ○松本専門委員長  続きまして、2つ目の資料をごらんください。C1申請のブレンド−Eについて説明い たします。  製品概要にありますように、本品は、人工膝関節置換術を行う際に用いる脛骨コンポー ネント・ポリエチレンプレート、インサート、及び膝蓋骨コンポーネント、パテラです。 人工関節は変形性関節症や関節リウマチに対する治療として広く用いられていますが、耐 用年数があり、再置換を要することが問題でした。最も頻度の高い再置換の理由は、人工 関節と骨の間の弛みである。この弛みの主な原因は超高分子ポリエチレンの磨耗粉である と言われております。  本品は、原材料である超高分子量ポリエチレンにビタミンEの一種を添加することによ り、抗酸化性及び耐磨耗性が向上し、長期間の使用等が期待できるようになった製品です。 磨耗が少なくなることで人工関節の弛みや破損を遅らせ、再置換術のリスクを既存の材料 より減らせることが期待されたため、区分C1と決定いたしました。  本品の類似機能区分は、人工膝関節用材料の膝蓋骨置換用材料及びインサートがそれぞ れの製品に対して対応いたします。対応につきましては、価格及び決定区分欄をごらんく ださい。それぞれの区分について改良加算10%を評価し、価格は膝蓋骨置換用材料のI が5万6,200円、IIが5万5,900円、インサートは8万4,300円となってお ります。  本品も外国では販売されていないため、価格調整はございません。  3つ目を説明させていただきます。C1申請のX3寛骨臼ライナーです。こちらも製品 概要をごらんください。  本品は人工股関節置換術に用いるライナーです。先ほどのブレンド−Eに同じく、人工 関節における磨耗粉の問題を解決する目的で、原材料の超高分子量ポリエチレンの加工方 法を工夫し、強度と酸化耐性を兼備させた製品です。この強度と酸化耐性により、超高分 子量ポリエチレンライナーの厚みを薄くすることが可能となりました。その結果、径の大 きい骨頭を用いることができるため、大きな可動域と脱臼リスクの低減が見込まれていま す。  本品も、再置換術のリスクを既存の材料より減らせることが期待されたため、区分C1 と決定いたしました。  本品の類似機能区分は、人工股関節用材料のライナーであり、先ほどのブレンド−Eと 同様に、改良加算10%と評価しました。価格は7万7,500円であり、外国価格との 比は0.59倍となっております。  以上の3つでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま御説明ありました3件でございますけれども、御質問、御意見ございますでし ょうか。  特に御質問等ないようであれば、本件につきましては、中医協として承認するというこ とにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、説明のあった3件につきましては、中医協として承認いたしたいと思います。  松本委員長におかれましては、長時間どうもありがとうございました。  次に、区分のA2(特定包括)及びB(個別評価)について、事務局から資料が提出さ れておりますので、説明をお願いしたいと思います。  よろしくお願いします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  お手元資料、横表、総―1−2をごらんいただきながらお聞きいただきたいと思います。 通常どおりの御報告でございます。  まず1ページ目、以下の新たな保険適用、いわゆる区分A2と言われております特定包 括対象のものでございますが、区分につきましては、合計で19でございます。  おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、新たな保険適用区分、これは俗 に区分Bと呼ばれております個別の評価に該当いたします区分でございますが、全部で2 0区分でございます。  それから、その下のページの3ページ目でございますが、歯科の新たな保険適用区分B に該当するものでございますが、全部で12区分でございます。  具体的内容は見ていただければのとおりでございますので、詳細は省略させていただき ます。  事務局からは以上でございます。 ○遠藤会長  特に何か説明を追加するような案件はございませんか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  特にございません。 ○遠藤会長  以上の内容でありますけれども、ルールどおりの適用ということでありますけれども、 御意見、御質問ございますでしょうか。  特に御質問がないようであれば、本件につきましての議論はこのしたりにしたいと思い ますけれども、よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、「先進医療専門家会議の検討結果について」を議題といた します。  事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  それでは、お手元の資料の総−2をごらんいただきたいと思います。  まず、1ページ目、横表でございます。今回御報告をいたします技術は3点でございま す。順次、簡単に御説明させていただきます。  おめくりいただきまして、まず1点目の技術、「別紙1」というところ、2ページでご ざいます。1つ目の技術は胸腔鏡下動脈管開存症手術でございます。適応症等、それから、 内容のところに記載がございます。ごくごく簡単にですが、動脈管というものが大動脈と 肺動脈の間を連絡している云々かんぬんとございます。これは早期に治療を要する疾患で ございますが、従来ですと、薬物の治療を経過いたしまして、開胸手術等を行ってきてい るものでございます。この技術は胸腔鏡下で非常に侵襲の低い形で実施できるという技術 でございます。  適応のところに概略書いてございますが、全身麻酔下で胸腔鏡の手術器具を操作して実 施するというものでございます。  隣のページ、3ページ目に先進技術としての適格性を評価してございます。これを見て いただければ分かりますが、基本的にほぼ問題はなく、「適」という判断になってござい ます。  おめくりいただきまして、4ページが、当該技術を実施するにあたっての医療機関の要 件でございます。これも一般的な心臓血管外科に係る実施責任医師の要件並びに医療機関 の要件が記載されておりまして、こういった形で実施することが適当であるという整理に なってございます。  これが1つ目の技術、胸腔鏡下動脈管開存症手術でございます。  続けて、2点目の技術でございますが、「別紙2」、5ページになります。2つ目の技 術は腹腔鏡下スリーブ状胃切除術でございます。適応症は高度の肥満症ということでござ います。  内容のところに簡単に記載がございます。高度の肥満症の患者さんにつきましては、内 科的な治療は無効ということで、外科的手術が一般的になされておりますけれども、この 腹腔鏡下での手術は侵襲が少なく、合併症が回避できると。海外では良好な成績が報告さ れているということでございます。  概要のところに書いてございますとおり、その名のとおりで、腹腔鏡下に基づく手術操 作を行うというものでございます。  おめくりいただきまして、6ページに先進技術としての適格性の評価、それから、7ペ ージに当該技術の医療機関の概要が整理されております。6ページの内容につきましては、 基本的には大きな問題はないんですが、中ほどの「倫理的問題等がある」というところに チェックがついております。  この内容、具体的には総評のところに書いてございますが、技術そのものの問題という よりは、コメントのところの3行目からですが、この手術を実施いたしますと、その患者 さんが将来胃がんになられた場合には、通常、胃がんでございますと、手術の選択肢の幅 が、例えば胃を全部とってしまうのか、胃を一部分切除してしまうのか、幾つかオプショ ンが本来であればあるはずなんですが、この手術を実施してしまった後に胃がんが発生し た場合には、胃を全部とってしまうしかないと。そうなりますと、そういった手術の後の QOLにつきましては、大きな違いがございますので、あらかじめそういったリスクと言 いますか、将来的な課題があることを十分に承知をしていただいた上で受けていただくこ とが必要だと。そういう意味で倫理的な問題等があるという指摘でございます。  7ページの施設に係る、あるいは、実施責任医師に係る要件につきましては、これはほ ぼ一般的な消化器外科に係る技術、あるいは、医療機関の要件という内容になってござい ます。  おめくりいただきまして、3点目の技術、「別紙3」、8ページ、9ページでございま す。3点目の技術は、膀胱尿管逆流症及び巨大尿管症に係る……、失礼いたしました、適 応症が今お話をしました逆流症及び巨大尿管症に係る技術といたしましては、腹腔鏡下膀 胱内手術でございます。  内容のところに記載がございます。今御説明しましたような逆流症あるいは巨大尿管症 につきましては、反復性の尿路感染あるいは腎機能障害が発生するということがございま すので、外科的手術が適用になることがございますが、この技術をやれば低侵襲で膀胱尿 管逆流手術を行うことができるというものでございます。  概要のところに書いてございますことも、先ほどの2つの技術とほぼ似たような形にな っているんですが、腹腔鏡下で当該手術を実施するということでございます。効果につき ましても、低侵襲であるということが基本的な内容になっております。  9ページ、10ページに、同様に技術の評価、それから、技術及び施設の要件をまとめ てございます。9ページの内容につきましては、見ていただければ、ごらんのとおり基本 的に大きな問題はなく、総合判定は「適」と。最後のページの10ページは施設の要件で ございますけれども、これもおおむね泌尿器科の外科手術に要する実施責任医師の要件あ るいは医療機関の要件というふうに整理がなされております。  甚だ簡単ではございますが、事務局から以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいま報告がありました3件の技術でありますが、これについて何か御質問、御意見 ございますでしょうか。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  基本的なことで、科学的評価結果についてではないんですが、私も8年前に脳の内視鏡 の先進医療を申し込んで、その時の算定の仕方がよく分からなかったものですから。例え ば190番の腹腔鏡下エンドスコーピックのスリーブ状胃切除ですが、値段がここに書い てありますけれども、これはどういうふうな算定基準でやったのか。ちょっと評価とは離 れるんですが、基本的なところで教えていただけないでしょうか。 ○遠藤会長  新しい委員の方々もいらっしゃいますので、どういうふうな算定の方法を考えてやって いるのか御説明をお願いします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  まず、総−2の横表の見方でございますが、「適応症等」の横に「先進医療費用(自己 負担分)」と書いてございます。その横に「保険外併用療養費」と書いてございます。保 険との併用になる技術でございますので、これは当たり前のことを御説明しているだけで かもしれませんが、まず根っことなります保険の適用に関して標準的な、患者さんによっ て当然さまざま違いますので、これが一律にということでは決してございませんけれども、 おおむね一般的なケースの場合にはこういった保険外療養費というふうに整理されており ます。要は、保険が適用される部分がここですよという整理です。そういう意味では例示 というふうに理解をしていただければと思っております。  その隣の保険との併用ということで、実質的に一番御関心が高くなる患者さん、あるい は、御家族、自己負担をされる金額、これも一般的な場合にということで、当然、上下前 後はいたしますけれども、費用を記載してございます。ですから、例えば190番、今御 指摘のものですと、保険に係る給付に相当する部分が61万7,000円でございまして、 患者さん御自身に負担いただくのが28万7,000円でございます。  保険の算定部分につきましては、繰り返しになりますが、もちろんさまざまなケースが ございますので、一概に一律にこの金額ということではございませんが、一般的にはこう いった保険の内容になりますよと。同様に、自己負担部分につきましても、症例によって 大きく変わりうる可能性はあるんですが、一般的なケースで提出していただきまして、か つ、さまざまな患者さんが来られる可能性がありますけれども、公平・公正になるような 整理でございますとか、資料の提出等をお願いした形で、ここに記載させていただいてい るものでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  現場の声として、例えば180と189を比べると、いろんな算定の仕方があるとおっ しゃったんですけれども、患者さんへの負担の比率が違うんですよ。我々としてはなるべ く先進医療を患者さんのためにやりたいと思っていても、患者さんの負担が大きいと気の 毒だなというか、申しわけないなという気持がすごくしているんですよね。ですから、例 えば189と190を比べると、保険外併用療養費が、要するに保険給付分が倍違うんで すけれども、個人負担は4倍違うんですよね。これはどういうふうな差で出てきているの かということをもう一度教えていただきたい。私はなるべく患者さんに負担をさせないで、 患者さんの負担を軽減して先進医療を進めたいというふうに考えているんですが、そこを どういうふうに計算しているのかちょっと教えていただきたいと思います。 ○遠藤会長  当初の嘉山委員の御質問もそこにポイントがあったと思いますが、要するに、これは申 請医療機関が典型例という形で自主申請してきた金額をベースにしているようなのですが、 本当のところと言いますか、具体的にそれはノーチェックにしているのか、事務局として はどういう判断をしているのか、その辺も含めてお聞きしたいということでありますので、 この算定根拠をお願いいたします。  事務局、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  まず、例えばということで190番の技術について御説明をいたしますと、先進医療に かかる費用、幾つか資料提出を求めまして、チェックをいたしております。例えばこの技 術ですと、患者さん1人当たりということですが、さまざまな項目があり得ますが、一番 分かりやすいのは、医療機器、器材を使用いたしますので、そこにかかる費用。それから、 これに要する人件費、保険適用との整理への問題はございますが、当該技術にかかる人件 費部分が幾らなのか。それから、医療機器と医療材料がございますので、材料は特に当該 患者さんだけに使うもの、あるいは、医薬品、そういった費用、それ以外にも技術によっ ては追加的な費用がかかる場合がございます。  繰り返しになりますが、医療機器の使用料、それから、人件費、医療材料、医薬品等の 費用、それ以外の費用、まずはその4項目について詳細な資料の提出を求めまして、具体 的にはどんなものを使うのか、どんな機器を使うのか、それに要する費用についてどうや って計算をしているのか、基本的にはすべてチェックをさせていただいて、適正な内容に なるようにということで査定をいたしております。  それから、ほかの技術との見合いで大きく割合が違うという御指摘でございますが、今 の御説明で分かっていただけるかというのはあるんですが、技術によりまして使う材料、 機器が違ってまいりますので、結果といたしまして負担割合と言いますか、自己負担分と 保険給付分の比率につきましては、技術によって大きく違うということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  これは、※の1番で「届出医療機関が記載した額」と書いてあるので、例えば190番 だと、太っているのをやせるということが目的ですから、患者さんなりの希望が大きいだ ろうということで、医療側は28万を患者さんに払ってもらうと。ところが、193番は 病気ですよ。太っていることが病気だという人もいるんですけれども、太っているのとは ちょっと違う、本当の病気ですよね。これに関して、自己負担が32万で保険給付が17 万と。ここは幾ら届出医療機関が言ってきたとしてもちょっと違うのではないかという感 じがして、その辺の厚生省の考えは。  要するに、ある大学というかある病院がこういうふうなことをやりたいと言ってきて、 自己負担はこうですよ、保険給付はこうですよといったら、そのまま飲んでいるんですか。 チェックしているというのはどういうふうなチェックの仕方をしているんですか。例えば 190番はよく分かるんですよ。いっぱい食べちゃって太った人がちょっとやせたいなと 思っている手術だから、自己負担分は高くてもいいかなというふうな考えだと思うんです、 基本的に。だけど193番は完全に普通の病気ですよね。それを自己負担分のほうが多い というのはどういうことなんだろうなと思うわけです。 ○遠藤会長  これは、事務局から後でお答えいただきますけれども、私の理解では、要するに保険外 併用療養費のほうですから、先進医療とは違う部分ですね。それの平均的な保険診療のと ころを計算するとこのぐらいになるということで、これは裁量の余地があまりないという ところであって、新しい技術のところについて幾らにするかということが重要で、その部 分にどのぐらいコストがかかったかという申請が出てくるもので、一応チェックはする。 これは基本的に保険外の話になる。  そこでここに書かれた先進医療の自己負担分の金額を必ずしもとらなければいけないと いうものでもないわけですか、基本的に自由価格と考えてよろしいのでしょうか。私が途 中で介入しましたので、嘉山委員のお話に直接お答えいただきたいと思います。  事務局、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  まず、会長が御説明になった部分は、基本的にそのように理解をしておりますが、大前 提といたしまして、先進医療専門家会議におきまして提出された資料をチェック、もちろ ん事前に書面は事務局もチェックをいたしますが、基本的には専門家に確認をしていただ いて、御議論もいただいてということでございます。その時に、先ほど申し上げましたよ うに、項目ごとの具体的にこういうという内容は技術ごとに違いますけれども、チェック をしていただいております。  それから、負担の金額は、説明の重複になってしまうかもしれませんが、あくまで標準 的にこういった金額になりますということで、当然、個々の患者さんとケースによって違 いますので、その患者さんと医療機関との契約と言いますか、そういった内容で了解をい ただいた場合に実施をされるということでございます。  それからもう一つ、これもくどいようですが、前提となりますのは、この枠組みに入っ ているのは、現時点では保険の適用がないけれども、保険の併用をして、保険外の部分に ついて自己負担をしていただくというシステムでございますので、御指摘のとおり、基本 的にはさまざまな疾病が、例えば適応症は本来保険でカバーされているけれども、当該技 術について言えば、今、保険適用になっていないというものがこの枠組みに乗ってくると いう前提でございます。  事務局からは以上でございます。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  では、2つだけ。最後に、時間も限られていますので、メッセージをしたいんですが。 1号側というか、保険を払う側ですね、白川委員たちにちょっとお聞きしたいんですけれ ども、こういうのは患者負担がかなりあるんですよ、新しい医療の。例えば、白川委員も ご存じのように、今、白血病は半分ぐらいは治るんですよ。これは免疫学の発展で、我々 が日々勉強して研究している成果だと思います。そういうことがこういうので地道に行わ れているんですね。その時に自己負担があると、我々としては患者さんに言いにくいとい うか、やりにくいんですね。ですから、1号側もこういうことに関して御協力を願えない かなというのが第1点。  それから、多分これはほとんど大学から出てきているので、人件費がすごい安く計算さ れているんですよ。将来的にこのまま、例えば虎の門でこれをやったら完全に赤字になっ てしまうので、シコウする病院が制限されるのではないか、今までのやり方ですと。人件 費はそういう計算ですよね。うちでも、大学の教官は安いですから、時給に直して何時間 何分、それを全部計算して厚生省に出しましたけれども、普及させるのであれば、その辺 も勘案していただけたらなと。  その2つのメッセージです。つまり、1つは、支払い側としては、自己負担を何とかし てあげて、患者さんの個人的な負担を軽減してあげられるような方法論がないものでしょ うか。いつも……。 ○遠藤会長  保険収載前の技術ですが、一応保険外併用療養費という形で、混合診療の例外として保 険診療部分の併用を認めてそれでも少しは患者負担を減らそうという形にはなっているわ けですけれども、さらに自己負担分についても、保険者として何らかの補助なり何なりの 考え方はないのかと、こういうことだと思いますけれども。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  非常に難しい問題を突然ぶつけられてちょっと回答に困っておりますけれども、患者の 側に立てばなるべく保険適用を迅速にやっていただくというのがまず基本だというふうに は思っております。ただ、薬価維持特例の件でも未承認薬等の開発を促進するような動き に賛成させていただきましたけれども、それがまず第一義だろうというふうに思っており ます。  ただ、混合診療の話とも多少絡むので、ここではなかなかコメントしづらいのですけれ ども、自己負担が大きくなった分につきましては、保険者がそれを高額医療の再保険制度 で救ってはおりますけれども、それは保険者によって差もございまして、全く救われない ということではございません。  それから、一時期にかなり高額な負担になるということで、貸付金と言いますか、そう いう制度をつくったりして補助するような仕組みはやっておりますけれども、混合診療の 件はここでのコメントは差し控えたいと思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  事務局にも質問があったわけですね。 ○嘉山委員  要するに人件費の問題なんですけれども、大体こういうことは大学がやっているので、 大学の人件費というのはほとんどただみたいなもので計算されているんですよね。そうす ると普及しないのではないかという気がするんですね、この値段ですと。 ○遠藤会長  事務局、何かコメントございますか。 ○事務局(迫井医療課企画官)  これはあくまで医療機関の申請に基づく内容でございまして、その申請の人件費をどの ように取り扱われるのかというのは、もちろん適正であっていただく必要がございまして。 そういう目で私どもとしては査定をさせていただくしかございませんので、それ以上の対 応につきましては難しいと言いますか、現状ではこれにかかる人件費を御申請いただいた ものを適正かどうかをチェックするということにしかならないのかなと考えております。 ○嘉山委員  ですから、これは今後の問題なんですけれども、いい医療が患者さんにいくためには、 支払い側の先生方も何とか、別の方法でも構いませんので、救っていただければ、患者さ んの負担がなくて、患者さんにいい医療を施せるようになりますので、今後お考え願いた い。  あと、事務局に関しては、ただ出てきた数字をとおっしゃるけれども、私は出して突っ 返されて本当に苦労したんですね。人件費のことも勘案して普及するような方向性でもっ ていかないから、日本の医療はいろんなところで萎縮してきているので、その辺も何か妙 案を考えていただければと思います。例えばこれが虎の門だったらどうだろうとか、病院 によって人件費は違いますから。大体一番安い病院が基準になっていますから、その辺の ことを勘案していただきたいと思います。 ○遠藤会長  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  2つ目の高度肥満症適応症なんですけれども、この治療をすると、その後の胃がんの治 療の際に選択の幅が狭まるということで、最初にやる前に説明の文書をきちんとつくると いうことで、しかも、それも倫理委員会を通してやるというふうに配慮していただいてい るわけなんですけれども、同じ総評のコメントの最初のところに「保険収載に関して、A としたものの、将来については安全性評価がどうなるかで決めるべきである」と書かれて あって、これは、上のほうの技術的成熟度というところがほかのものに比べてCというこ とで、そのあたりのことを指しているのかなと思うんですが、先進医療として認められて、 将来的に保険適用になればいいなと思って始める限り、安全性に問題があったのでやめま したということにならないほうがいいと思いますと、最初の2行の部分も、倫理委員会の 中で最初にやる前に一定の議論をしてもらうという含みを持ったような表現にしたほうが いいのではないかと思うんです。そういう含みになっているということであればそれでい いんですけれども、そのあたりの確認なんですけれども。 ○遠藤会長  事務局、何かコメントございますか。よろしくお願いします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  勝村委員の御指摘の中で、後段の将来の発がんリスク云々は御理解いただけているとい たしまして、上の2行にかかる安全性の評価は、そもそもこの枠組みに入ってくる技術に 成熟度と言いますか、評価の度合いがかなり幅があるのも実態でございますから、この技 術については保険適用するかしないか、将来的に評価をする時に安全性をというふうに明 記をしているということでございます。  その際に、今回のこの個別技術について、そもそも手術を実施する際に、当然、医師あ るいは施設が必要な説明をして了解を得ると。その内容の中に、これは当たり前の話かも しれませんが、この手術の安全性なり、逆に言いますとリスクなりも、適切に御説明をさ れるということが、私どもの理解では前提だと思いますので、事この技術に関して倫理委 員会云々かんぬんという記載は少しなじまないのかなというふうに考えております。そも そも実施をしていただく時にそういったことは当然のこととして説明いただくものという ふうに理解をいたしております。 ○遠藤会長  勝村委員、どうぞ ○勝村委員  今の表現だとそういうことなんだろうなと僕も理解をしたんですけれども、一方で、こ の総評の表現を受けて、7ページの倫理委員会による審査体制のところに、審査開催の条 件として書かれているわけなので。そうすると、総評のところでも、もちろん安全性に関 してはおっしゃるとおりで、次に保険適用する際にということなんでしょうけれども、成 熟度が必要な中で、当該病院でそれをどう担保していくのかというようなことも倫理委員 会の中で、最初にやる前に一度倫理委員会を開くと書かれているんですから、将来の胃が んの話だけではなくて、安全性の問題もそこで話をするというふうになっていたほうが表 現としてきれいなのではないかという趣旨なんですが。 ○遠藤会長  わかりました。要するに、将来胃がんが発生した場合の問題はともかくとして、倫理委 員会の議論する対象がそういうことだけではなくて、そもそもが高度な技術を要するとい うことがあるので、これは先進医療ですから、ほかの病院でも条件を満たせばやろうと思 えばできるわけですが、その時にうちの病院でやっていいかどうかというようなことも、 倫理委員会等々でちゃんとチェックすることを喚起したらいいのではないかと、こういう お申し出でということでしょうか。というような御意見だと判断します。  では、邉見委員、今と関連するのであれば。 ○邉見委員  関連です。 ○遠藤会長  では、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  190番の今の胃がんのところなんですけれども、これ、全部、胃全摘する必要はない です。まずEMR/ESDというのがありますので、胃がんの中で進行がんを発症した場 合とするか。そうしないと、全部、胃全摘することになっておかしいことになりますので。 早期胃がんは対象ではないですから、これは文章的に完全に過ちだと思います。 ○遠藤会長  わかりました。  嘉山委員、関連でお願いいたします。 ○嘉山委員  関連というか、勝村委員の……。 ○遠藤会長  勝村委員の……。 ○嘉山委員  ちょっと事務局に確認なんですけれども、先進医療をやるときにはその病院での許可で すよね。全部やっていいというものではないですよね。ですから、勝村委員の質問で、ほ かの病院でやるときには保険適用外のものは、その病院で独自に出さなければいけないん です。それはそうですよ。ですから、先生が心配されるような安全性というのは、その病 院での倫理委員会を通してやりますから、全然心配要りません。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今の点は大事な点ですので、明確に御説明させていただきますと、まずこの技術を実施 されたいという場合には、今回お認めいただきますと、要件を満たせば届出でできますと いう話が一つあります。  もう一つ、嘉山委員が重要な点を御指摘いただいておりますが、その際に、当然のこと ですが、届出をされて実施される施設については個々に倫理委員会を開いてやっていただ くと、こういうことでございます。 ○遠藤会長  先進医療は高度先進より少し条件緩和をしまして、行いたい病院は届出制にしたわけで すけれども、それでも新しい病院でやる場合には倫理委員会は必ず立ち上げて、その中で 本院でやっていいかどうかということを検討するのは当然であるということですね。です から、勝村委員がおっしゃるようなことは取り立てて言わなくても前提になっていると、 こういうことだということですが、勝村委員、よろしいですか。 ○勝村委員  はい。その上で、あえて今回は倫理委員会で説明書をつくれと。しかも、それもちゃん とやれということが具体的に書かれているから、それだったら、同じ総評の中に安全性の ことが書かれているから、そっちのほうは細かな指示になっていないということなので、 表現的にそこだけで終わってしまいかねないようなことにならないように、文章の表現と してはそっちのほうがよいのではないかという趣旨なんですが。 ○遠藤会長  了解いたします。ただ、ただいま事務局と嘉山委員の御説明で、勝村委員の御趣旨は実 際の制度の中でちゃんと対応できているというふうに理解できるのかなと思います。取り 立ててそこについて中医協としてコメントをすることは必要ないかと思いますが、問題は 邉見委員のほうでありまして。邉見委員からの御提案ですけれども、ここは事務局、どう ぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  技術的に正確な記載でないという御指摘だろうと思います。私の御説明が少し断定的す ぎたのかもしれません。早期あるいは非常に初期のがん病変につきましては、内視鏡的な あるいはもう少し低侵襲の手術適用は当然ございますので、すべて画一的に胃の全摘にな るという説明ではございません。その点につきましては改めさせていただきたいと思いま す。 ○遠藤会長  手続的に申し上げますと、中医協としては先進医療にするかどうかということの決定権 はないわけでありますけれども、この内容についてコメントはできるわけですが、ただい まの邉見委員のおっしゃったようなことがコメントという中に入るのかどうかということ で、その辺は私もよく分からないので、事務局、お願いします。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  文章の修文でいいのではないかと思います。私がこれを一番簡単に直すとすれば、「胃 がんを発症し、それがEMR/ESD等の低侵襲手術では無理な場合」とか、そういうふ うなことを少し入れれば、そのままでいいのではないかと思う。 ○遠藤会長  そのような文言修正をするということはどういう扱いになるのか、ちょっと私も判断が できないので、事務局、お願いします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  今回御報告させていただくこの技術を医療機関で今後事務手続をとる際に、今のような 修正でございますすれば、技術的な修正と言いましょうか、より明確化するという趣旨で ございますから、事務的な対応でさせていただくことで可能だと思いますので、少し検討 させていただきたいと思っております。 ○遠藤会長  それでは、事務局で修正可能ということでありますので、少し検討させていただくとい うことで引き取らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 ○邉見委員  はい、結構です。 ○遠藤会長  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  ちょっと確認させていただきたいんですが、先ほど議論がありました189、190、 193、自己負担分と保険給付分という区分けがされておりますが、これら3つに関して はこの手術を入れた時の自己負担分と保険ということなのか。実は、記憶が定かではない ですが、以前、私も質問しまして、このようなものというよりも、ある疾病で治療してい て、ある部分だけ新しい技術というか、手術か何かをやりたいと、そこへ入ってきた。  その時の保険給付分に関しては、その手術だけではなくて全体のが出ていたんですが、 分からないと。ここの保険給付分に何百万と出ていたので、これを入れたことによって何 百万もなるのかといったら、この何百万はそれだけではなくて全部が入っているんだと。 今回入れたものだけが分けられないかというと、それはできないと、そういうお話だった んです。今回のは手術だけなのか。この間お聞きしたように、一部だけではなくて全体の 中へ入ってきた場合には、こういうふうにきれいに分けられないのかどうか、その辺を教 えてください。 ○遠藤会長  この保険外併用療養費の保険診療の範囲をどこまで細かく分類した計算なのかという御 質問だと思います。分けられない場合もあるし、分けられる場合もあるので、今回はどう なんだと、こういうことだと思いますので、事務局、お願いします。 ○事務局(迫井医療課企画官)  御指摘のとおり、技術あるいは対象の疾患によって、そのあたりの金額的な部分は大き く変わると思いますけれども、今回の3技術、結論的には典型的な1症例に係る全体の費 用について、保険部分と自己負担部分というふうに御理解いただければと思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  牛丸委員、よろしいですか。 ○牛丸委員  今回のはそうですけれども、やっぱり分けられないものもあるわけですね。その時には 何百万とかいう形で出てくると。それはどうしても分けられないわけですね。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  そのとおりでございます。と言いますのは、対象となる疾患あるいは技術が前提といた します病状がかなり重篤であったり、あるいは、合併症が前提となったようなケースは、 当然の話といたしまして、保険診療に係る部分の費用がまずは大きくなるということと、 整理をする時にどこまでが当該症例、典型的な部分かというのは最終的に分けられない場 合には、一定の事務的な整理に基づきますので、そういった部分で分けられないケースが あるというふうに御理解いただければと思っております。 ○牛丸委員  前の時にも無理だということでして、御報告いただく時に口頭でというお願いをしまし た。今後も、これは分けられないとか分けられるとか、ここに出ている数字がどっちなの かというのが分からないものですから、その都度、口頭で結構ですけれども、お教えくだ さい。 ○遠藤会長  可能な範囲でお願いいたしたいと思います。  ほかにございますか。勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  きちんと調べてはつげんするわけではないのが、先ほど言った「将来的には安全性評価 がどうなるかで収載するかどうか決めるべきである」みたいなコメントというのは過去に もよくあるというか、割とこういう表現は使われてきたんでしたっけ。それとも、非常に 珍しい表現なのでしょうか。これがどれほどの意味を持つ文章なのかを簡単に教えていた だければありがたいんですけど。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(迫井医療課企画官)  結論的には、ここにきっちり明記をするかどうかという問題はあるんですが、特に外科 侵襲、手術に伴うものはこういったことは当然前提として評価をしていくということでご ざいます。ですから、この技術に関して特に安全性に懸念があるとかいうことでは決して なくて、先進医療に手術を中心とする外科的な技術を導入する、あるいは、検討する場合 には、必ずこういった記載なり、あるいは、観点を入れているということでございます。 ○勝村委員  こういうふうに書かれてわけですね。 ○遠藤会長  よろしいですか。  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、この3件につきましては、先ほど整理番号190番につきましては、一部文 言修正をする可能性があるということでありますけれども、基本的には保険給付との併用 を認めるということで、中医協としまして特段の意見はないということでよろしゅうござ いますか。  ありがとうございます。  それでは、その他とありますけれども、これは特にございませんね。  それでは、本日の中医協総会はこれにて終了いたしたいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  12月22日、火曜日を予定しております。詳細決定次第また連絡させていただきます。 ○遠藤会長  火曜日ということになります。祝日が水曜日ということなので、火曜日になります。  それでは、本日の総会はこれにて閉会したいと思います。どうもありがとうございまし た。  引き続いて基本小委があるんですが、15分から始めるということにいたしましょうか。 10分ほど休憩をさせていただいて、15分から開始するということにしたいと思います。 【照会先】  厚生労働省保険局医療課企画法令第1係  代表 03−5253−1111(内3288)