09/12/18 第140回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第140回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成21年12月18日(金)11:00〜 2 場所  厚生労働省共用第8会議室(6階) 3 出席者   委員   公益委員 :鎌田委員、柴田委員、清家委員        労働者代表:小山委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:秋山委員、市川委員、高橋委員   事務局  森山職業安定局長、山田職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        鈴木派遣・請負労働企画官、浅野主任中央需給調整事業指導官、        大塚需給調整事業課長補佐、小園需給調整事業課長補佐、        小野寺需給調整事業課長補佐、高西需給調整事業課長補佐、        鶴谷需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)今後の労働者派遣制度の在り方について        ○清家部会長 それでは、ただいまから第140回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、 欠席の委員はおられません。全員ご出席です。どうもありがとうございます。  本日は、「今後の労働者派遣制度の在り方について」をご審議いただきます。前回の部会の最後 に、政府として次期通常国会での改正法案の提出を目指しており、それに間に合わせるためには 年内に部会としての取りまとめを行う必要があるため、今回より取りまとめに向けた議論をお願 いしたい旨申し上げ、ご了解をいただいたところです。  他方で、前回までの議論におきましては、特に登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁 止、違法派遣への対処、いわゆるみなし雇用など、多くの点について労使の意見が一致をみてい ない状況にあります。そこで、このままでは部会としての意見を取りまとめることが困難である と考え、公益委員の間で相談をし、部会報告に向けた議論のたたき台として「公益委員案骨子」 を作成しましたので、これに基づいてご議論をいただきたいと思っております。事務局から、「公 益委員案骨子」の読み上げをお願いします。 ○大塚補佐 部会報告に向けての公益案骨子。I.法案を提出するにあたっての当部会としての考 え方。派遣労働者をめぐる雇用環境等の変化を踏まえた厚生労働大臣からの諮問を受け、当部会 においては政府として諮問内容が緊急課題であり、次期通常国会に労働者派遣法改正法案を提出 することが必要であるという事情も踏まえつつ、限られた時間の中で計○会にわたり精力的な審 議を行ってきた。  その結果、当部会としては、昨年11月に第170回臨時国会に提出した法案(以下、「20年法案」 という)の内容に、下記の各事項に示した内容を追加・変更した内容の法案とすることが適当で あると考える。  1、登録型派遣の原則禁止。(1)常用雇用以外の労働者派遣を禁止する。(2)禁止の例外として以 下のものを設定する。(1)専門26業務、(2)産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替用員派 遣、(3)高齢者派遣、(4)紹介予定派遣。  2、製造業務派遣の原則禁止。(1)製造業務への労働者派遣を禁止する。(2)禁止の例外として、 以下のものを設定する。○常用雇用の労働者派遣。  3、日雇派遣の原則禁止。(1)日々又は2か月以内の期間を定めて雇用する労働者について、労 働者派遣を行ってはならないこととする。(2)20年法案のとおり禁止の例外を設ける。(3)雇用期 間のみなし規定(2か月+1日)は設けない。  4、均衡待遇。派遣元は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮す るものとする旨の規定を設ける。  5、マージン率の情報公開。20年法案にあるマージン等の情報公開に加え、派遣元は派遣労働 者の雇入れ、派遣開始及び派遣料金改定の際に、派遣労働者に対して1人当たりの派遣料金の額 を明示しなければならないこととする。  6、違法派遣の場合における直接雇用の促進。(1)以下の違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働 者に対して労働契約を申し込んだものとみなすための規定を設ける。(1)禁止業務への派遣受入れ、 (2)無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ、(3)期間制限を超えての派遣受入れ、(4)いわゆる偽装 請負の場合、(5)常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れ。(2)(1)みなされた労働 契約の申込みを派遣労働者が受諾にしたにもかかわらず、当該派遣労働者を就労させない派遣先 に対する行政の勧告制度を設ける。  7、法律の名称目的の変更。法律の名称及び目的において「派遣労働者の保護」を明記する。  8、施行期日。施行期日については、公布の日から6か月以内の政令で定める日とする。ただし、 1・2については公布の日から3年以内の政令で定める日とする。  II.その他の検討項目について。上記Iに掲げた事項以外については、今回の法案では措置せず、 引き続き検討することが適当である。  また、上記Iについても、改正法案の施行後一定期間経過後に施行の状況を見ながら検討を行 い、必要に応じて見直しを行うこととすべきである。  読み上げは以上です。なお、本日は公益委員案骨子のほかに12月11日付で公表した労働者派 遣事業の平成20年度事業報告の集計結果、及び各団体等から寄せられた要請書を机上配付してお りますので、ご覧いただければと思います。以上です。 ○清家部会長 ありがとうございました。それでは、この「公益委員案骨子」について、私から も少し補足をさせていただきます。  労働者派遣制度は、労働力の需給調整を図るための制度として、我が国の労働市場において一 定の役割を果たしているという基本的な認識は変わらないわけですが、その時々の派遣労働者を めぐる雇用環境の変化に応じて制度の見直しを行うことは必要であると考えております。  そこで、昨今の労働者派遣制度をめぐる現状を見ていきますと、昨年来我が国の雇用情勢が急 速に悪化し、いわゆる派遣切りが多く発生し、その中で登録型派遣については、派遣元における 雇用が不安定であり問題であるという指摘がありました。また、特に製造業務派遣については、 製造業が我が国の基幹産業であり、技能を継承していくためにも労働者が安定的に雇用されるこ とが重要であると考えられるところ、昨年来のいわゆる派遣切りの場面においては、派遣労働者 の雇用の安定が図られず、製造業の技能の継承の観点からも問題であるとの指摘があったところ です。  こうした指摘も踏まえますと、前回の部会で市川委員から派遣の禁止を行わないで対応すべき ではないかというご意見をいただきましたが、公益委員としましては、一定の派遣の禁止を行う 改正もやむを得ないのではないかという結論に達しました。  まず、主要な項目としては、登録型派遣を原則として禁止し、26業務など一定の例外を設ける こととしてはどうかということです。さらに、製造業務派遣についてもこれを原則として禁止と しておりますが、これはそもそもの背景に昨年秋以降のいわゆる派遣切り問題があり、その際に 派遣元の雇用が不安定であったと考えられますので、雇用が比較的安定している常用雇用型の派 遣を例外として認めることが適当と考えます。  違法派遣への対処については、昨年の議論においても、派遣先において直接雇用を促進するこ とについては労使合意をされたところですが、その方法として派遣労働者が裁判等で争うことを 考慮に入れ、派遣先からの労働契約の申込みがあったものとみなすという方法が、派遣労働者の 意思が反映され、かつ労働契約の重複も防ぐという点において最も優れているものと考えました。  施行時期については、公布後6か月以内としましたが、登録型派遣、製造業務派遣については、 派遣労働者の雇用に与える影響を考慮し、公布後3年以内としました。なお、この施行時期につ いては、前回の部会で改正の内容によっては段階的な施行についてもあり得るのではないかとの ご意見もありましたので、一定の暫定措置を設けて、段階的に施行することについても本日ご議 論いただければと考えております。ここに掲げた項目以外につきましては、その実現についてな お検討すべき問題があると考えますので、限られた時間の中で今回措置するのではなく、引き続 き当部会でご議論いただくことが適当と考えております。  私からの補足は以上です。いま事務局から読み上げていただいた「公益委員案骨子」について ご質問、ご意見があれば、どなたからでもご自由にお願いします。 ○秋山委員 私もこの部会に参加して、いろいろ議論をさせていただきました。この部会を通じ て、労使双方が歩み寄って1つの案をまとめていきたいと考えております。しかし、今回公益委 員の方々から出された骨子を拝見しますと、登録・製造業務派遣の原則禁止というのは、企業経 営にとって大変厳しいものだと受け止めております。特に中小企業にとっては、これからの雇用 の喪失や不調、倒産といった危険を孕んでおりますので、この点については大変強く危惧してお ります。大企業だけが残ればいいなどとはお考えではないと思いますが、大企業とてそれこそ何 十何百の中小企業の協力なくしては1つのものだってできないわけですから、いま言ったような 中小企業の特殊な技能や小回りの利くこと、コストも安いことなど、日本の製造業務においてそ ういう中小企業も混じえた中での製造業だと思いますので、是非中小企業に対しての配慮をもう 少ししていただきたいと考えております。 ○市川委員 多少長くなるかもしれませんが、7点ほど指摘をさせていただきます。できるだけ 簡潔にしたいと思います。  第1点ですが、製造業務派遣原則禁止の例外というのは、これまで専門職と考えておられたよ うですが、本日の公益委員案においては専門職ではなくて、常用雇用の労働者派遣を例外とする という形に変わっております。この点については、私どもは大変評価をしております。というの は、6月1日現在の前回配付されたいろいろな形の派遣労働者の人数の表では、当初の案ですと 製造業務56万人に加え、登録型の製造以外の24万人を加えて80万人が、一部例外はあるにして も原則禁止の対象になっていたわけですが、今回の案ですと常用雇用のところは例外とすること になりますので、自由化業務、製造以外の登録型の24万人プラス登録型の製造業務の20万人プ ラスということで、44万人が対象になる。80万人が対象から44万人が対象になったということ で、例外の範囲が広がっているという意味において、大変評価したいと思います。  2点目です。しかしながら、その44万人は一体どうなるのでしょうか、ということはしっかり 考えていかなければならない。この点においては、44万人について究極の派遣切り法案と前に申 し上げましたが、その性格は一切変わっていないと断じざるを得ないと思っております。前に声 なき声ということで、派遣労働者も是非派遣という働き方が良いのだと、正社員になるより派遣 のほうが良いのだという方々も、アンケートの中で45%おられると。その声なき声が、だんだん とメディアにも取り上げられるようになってきたということを、是非紹介したいと思います。12 月11日の朝日新聞のオピニオン欄、11月28日の読売新聞の夕刊に、そうしたかつて派遣を経験 した方々、あるいは派遣労働者の組合の方々のご意見が掲載されております。そういう声なき声 が、だんだんとメディアの場にも登場してきている。私どもは、そうした声を踏まえなければ、 こうした派遣法の改正は決してやってはいけないのだということを肝に命じなければならないと 思います。  正規社員になりたいのだと、それは是非チャレンジをしていただきたいと、私も何度も申し上 げてきております。しかし、就職氷河期のいまの時期に果たしてそれが可能でしょうか。また、 中小企業、昨日もある中小零細企業で派遣を使っている所を訪問しましたが、派遣労働者から見 ても、明日つぶれるかもしれない、そういう中小企業の正社員にはなりたくないというのが本音 だということです。そういう中小企業の実態も、是非踏まえていただきたい。中小企業が正社員 として派遣の方々をお雇いするということは、特にいまの時期は全然期待できません。請負はど うかというと、中小企業の場合は人手が非常に小さい範囲でやっておりますので、請負にするだ けの切り分けをするような業務はありませんので、請負もできません。短期の職業紹介はどうか というと、面接とか給料支払いとか保険手続とか、総務部がないわけですから、面接すると言っ ても社長がやるしかないのです。社長が1人10分で10人やったら100分です。それだけの時間、 社長の時間が取られるというのが中小企業の実態です。  常用雇用の製造派遣は例外として認めるということですが、派遣会社としては、おそらく安定 的に派遣できる労働者に絞り込むということが考えられますので、結果的に派遣労働者の人数が 減ることは否定できないと思います。そうするとどういうことになるかというと、中小零細企業 に派遣労働者が回ってくる機会が減ることが考えられます。まず大企業に派遣をしましょうと、 中小零細は人数がないので打ち止めにしますということが考えられるわけです。私は、今回の法 案は中小企業のいじめ法案だと前にも申し上げましたが、これは劇薬であって、派遣労働者本人、 中小零細企業に副作用が強いという性格は変わっておりません。誤爆なのです。罪もない民間人 が誤爆によって死傷するのと同じようなことが、中小企業、零細企業、派遣労働者本人に起こっ てくるという性格は変わっていないと言わざるを得ないと思っております。  さらに言えば、大臣諮問ですが、これは昨年末のいわゆる派遣切り・派遣村といった社会的課 題が端緒となっております。派遣切りによって、果たして製造業以外の一般事務、サービス業の 派遣労働者の方々が被害を受けたのでしょうか。大臣の諮問を見る限り、この端緒となった派遣 切り・派遣村の被害のない登録型派遣を原則禁止とすることは、むしろ諮問の範囲を逸脱してい るのではないかと考えます。  3点目です。そもそも登録型派遣の原則禁止、この44万人の部分を原則禁止とすれば、かつ製 造派遣の原則禁止ということは言わなくても済むはずなのです。つまり、前は逆L字型の所が原 則禁止の範囲だったわけです。ところが、今回は常用雇用であればそれは例外とするわけですか ら、逆L字型ではなくて、1本ストンと、この部分だけなのです。ですから、あえて製造派遣の 原則禁止ということを法制上言う必要は全くなくなってくるのです。もちろん、政治的にこれは 製造派遣を原則禁止したのだとおっしゃるのは大いに結構です。しかし、逆L字型が1本の所だ けになったわけですから、あえて製造派遣の原則禁止ということを法制上言う必要は全くない。  なおかつ、製造派遣の原則禁止については、以前にも指摘をしましたが、製造一般という形で 禁止をするのがILO181号条約と抵触する可能性が大きいのではないかということもあります。 ILO条約を批准した日本国政府として、それと抵触する可能性のある法律を成立させて良いもの かどうかという議論です。  4点目ですが、施行期日は3年以内ということです。3年以内に果たして景気が上向くという確 信がおありなのでしょうか。私は、今回の世界同時不況の余波が3年以内に収まって、景気が良 くなる保証はどこにもないと思っております。タイミングは非常に重要だと、いまの時期にやる のですかということは、先般の10月の職業安定分科会の折にも公益委員の方からご指摘がありま した。こうした円高、デフレスパイラル、あるいは二番底の底が抜けるかもしれない時期に、あ えて3年以内に登録型派遣の原則禁止をいまの時点で決める必要があるのでしょうか。そこはよ くお考えにならなければならないと思っております。私は、3年以内に施行する形ではなくて、 むしろ登録型派遣の原則禁止は公益委員案の2頁の「II.その他の検討項目」に入れるのがいちば ん適切ではないかと思っております。  そういうことにすると、例外がどうかという議論をする必要はないのですが、時間も迫ってい るということで、例外の扱いについても指摘をしたいと思います。登録型のところで、高齢者派 遣は例外であるということです。これは、高齢者の職業の促進の意味で非常に重要な意味を持っ ているかと思います。しかし、それに加えて私が前から申し上げているような主婦、学生といっ た方々で、子育てあるいは介護、家事、学業があるためにフルタイムでは働きたくない、むしろ そういったことをやりながら、短時間でいいから派遣で働くほうが私には合っているのだという 方々も大勢おられます。そういう方々を救うために、私はこの例外項目の1つに「ワーク・ライ フ・バランス例外条項」を設けることを提案したいと思います。ワーク・ライフ・バランスにつ いては、全国民が一丸となって進めなければいけないと、連合でもおっしゃっていると聞いてお ります。ワーク・ライフ・バランスを進めるために派遣を活用されている方が多いのです。そう いう方々を救うために、「ワーク・ライフ・バランス例外条項」を是非設けるべきであると考えま す。  その例外項目は、今回の公益委員案においては、登録型については(2)の(1)〜(4)ですが、製造型 については一切これを入れておりません。私はここが全く理解できません。前回の論点において は、同じような項目を例外としてはどうかということが製造派遣のところにも書いておりました。 それが今回全く落ちているのはどういう理由によるものなのか、私には全く理解できません。高 齢者派遣について言えば、大企業を退職された高齢者の方が派遣として中小企業の技術指導にあ たることも、現実に事例があります。これはまさに先ほど清家部会長もおっしゃった製造業の技 能継承に、むしろ製造派遣での高齢者派遣が有効に役に立っているわけで、そういうことをなぜ 禁止されるのか。あるいは紹介予定派遣ですが、正社員に雇用するための手段として紹介予定派 遣があるわけで、そういった手段を製造業についてはなぜ認めていただけないのか、そこは全く 理解ができないわけです。  (2)の産前産後の休業についても、製造業についてだって正社員が、これもまさにワーク・ライ フ・バランスです。産前産後の休業をするための代替要員として、派遣労働者を活用させていた だくと。こういう派遣の方々がいないと、おちおち正社員の方々も休業できないわけです。した がって、正社員の方々の子育て、介護といったワーク・ライフ・バランスを、むしろ破壊するこ とになっているのではないのでしょうか。その点をよくお考えいただきたいと思います。  5点目です。日雇派遣の原則禁止を議論したときに、私どもが懸念していた引越しやイベント といった業界は短期の職業紹介、アルバイトでできるのではないかという議論がありました。し かし、この日雇派遣の原則禁止は、通常国会が解散したため廃案になって、いまだ実行されてお りません。したがって、短期の職業紹介事業が本当にワークするのか、そこはいま全く不明の状 況です。まず、この日雇派遣の原則禁止をして、先ほどの表で言うと2.9万人の方々がスムーズ に短期の職業紹介に移行できるかどうかを検証してください。その上で、さらに登録型派遣の原 則禁止が相当程度の人数が職業紹介に移行できることを、自信を持って言えるところまできちん と検証していただきたいと思います。  高速道路の無料化についても、全国一律にやるのはやめたわけです。一部区間において、社会 的実験をまずやりましょうと。そうでないと、混乱が起きる可能性があると。本件も全くそうだ と思うのです。日雇派遣でまず社会的実験をし、それから登録型派遣の原則禁止に踏み切ると。 これが行政として正当なやり方ではないかと思います。政治家の方々はわかりません。行政はそ ういうところもきちんと緻密にやるべきであると思っております。  6点目です。先般私がお示しした「製造業派遣適正化パッケージ」が、残念ながら何ら反映さ れていないことについては、大変遺憾に思っております。そのパッケージでお示しした2〜4、つ まり中途解除をするようなケースについてのルールの明確化、悪質な違反者の派遣受入禁止、講 習の国家試験化、あるいは義務化といったことは、是非今回の改正法案の中に条文として盛り込 んでいただきたい。前回特にご議論がなかったということは、私は労側、公益の先生方も特にご 異論はないのかなと考えておりますので、是非その内容を改正法案の中に取り込んでいただきた いと思います。残余の5〜8の景気対策等々については、是非部会報告の前文に趣旨を書き入れて いただきたいと思うわけです。  それに加えて、私が常々申し上げている派遣労働者の多様化した働き方、中小企業、なかんず く中小零細企業への影響を配慮しなければいけない。国際的な相場をよく考えてやらなければい けない。こうした3つの論点についても、是非前文でその趣旨を書き込んでいただきたいと思い ます。  7点目です。私は、現政権の中小企業対策が非常に成っていないと、怒りを感じております。 ものづくりの補助金も平成22年度の計上見送り、中小企業の法人税の18%から11%への引下げ も、民主党のマニフェストにちゃんと載っている、一丁目一番地だとおっしゃっていたものが、 財源がないためにやめますと。こういう現政権の中小企業対策は非常に成っていないと、怒りを 感じておりまして、これ以上本件によって中小企業をいじめることはしないでいただきたいと思 います。終わります。 ○清家部会長 ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。 ○鈴木課長 若干事実関係について補足的に、いまのご発言に関してご説明します。  まず、いま市川委員のご発言の中で、大臣の諮問に反するのではないかということがありまし たが、私どもの厚生労働省の代表ですので、補足的に申し上げます。確かに、大臣の諮問では登 録型派遣についてご議論いただきたいという内容ですが、この趣旨は第1回目の部会のときにご 説明したとおり、三党合意、三党案、マニフェスト等にありますように、基本的に登録型派遣に ついては雇用が不安定で問題があるので、原則禁止にしたらどうかということを前提に諮問文に 書き込まれておりますので、登録型派遣を原則禁止することにすると、諮問の範囲を超えるので はないかということには当たらないと考えております。  また、ご発言の中で法制的な部分、もしくは今回の公益案のご議論の中で公益委員の皆様方か ら賜った意見を、何点か補足します。登録型派遣の禁止を書けば、製造業務派遣の禁止を書かな くていいのではないかというご発言がありましたが、この2つの内容は意味が違っておりまして、 製造業務派遣の禁止は基本的には禁止業務を追加するという趣旨です。禁止業務というのは、派 遣法の中ではその業務に対して派遣すること自体がいけないと、業務の性質からしておかしいと いう趣旨で、登録型派遣は業務ではなく、そういった業務自体は派遣してもいいけれど、雇用の 安定を踏まえて、派遣元では常時雇用で安定されるべきという趣旨です。したがって、形式的に 範囲が重なったとしても、この2つは法制的な意味合いが違っています。  それが端的に表れるのが、もう1点ご意見のあった例外の範囲です。基本的に、禁止業務にな りますと、これは派遣自体をしてはいけないことになりますので、例外は付けないというのが通 常です。したがって、いま現在禁止業務であるような建設や港湾については、例外なく禁止とい うことになっており、高齢派遣などについても、1999年改正以前の問題ですが、従来はできない ことになっておりました。今回、製造業務派遣でなぜ例外の2〜4が書いていないかというと、例 えば産前産後・高齢・紹介予定、それぞれ雇用の安定に関して特に問題がないということで、登 録型派遣の例外となり得るわけですが、製造業務派遣は業務自体が禁止ですから、雇用の安定の みならず、技能の継承や労災の増加といった趣旨から業務自体が禁止されているので、いかに雇 用が安定していても例外としては認めがたいというのが通常の禁止業務の考え方ですので、公益 案ではそれを反映してここを書いていないということです。  3年で景気が回復するかということで、3年の施行期間のお話がありました。公益委員に3年と いうご議論をいただいたときに、何でこれが3年かということですが、景気が回復するだろうか ら3年という趣旨ではありません。今回の派遣の禁止について最も考えるべきは労働者の雇用の 安定です。そうなると、いま派遣をされている方がこの登録型や製造業務派遣の禁止によって、 実際いま派遣されている派遣先の職場を追われるようなことがあってはならないという趣旨で3 年となっております。なぜ3年かというと、これは26業務以外の話ですから、最大派遣可能期間 は3年です。したがって、公布の日に派遣をされた方についても、3年の猶予期間があれば登録 型製造業務派遣の禁止が施行されたとしても、それの影響で派遣先の職場を失うことはないとい う趣旨で3年を設けております。そこはそういう趣旨であることをご理解いただいて、ご議論い ただけたらと思います。 ○市川委員 いまの2点目ですが、業務の性質として製造業一般が駄目だというお考えであると したら、私はそれに反対をしているのです。製造業一般ということで港湾業務とかそういったも のと同じように扱うことは、私は反対です。もし、どうしてもそれが必要だということであれば、 製造業ということではなく、もっと詳細に分析をして、ここの部分についてはどうしても事故が 多いのでとか、製造業一般というやり方はILO条約上どうなのでしょうか。私は賛成できません。  3年については、むしろ景気ということをよく考えないと駄目ですよと申し上げているのです。 景気の動向を踏まえて、原則禁止という副作用の強い法案は考えなければいけませんと申し上げ ているのです。 ○清家部会長 ほかにご意見はございますか。 ○高橋委員 今回公益の先生方にご努力をいただいて、公益委員案骨子をお示しいただいたこと について、これまで労使で全く意見が平行線であった中で、さぞかしこの骨子を取りまとめられ るにあたってご苦労されたのではないかと思っております。それに対しては敬意を評させていた だきたいと、また感謝申し上げたいと思います。しかし、冒頭に部会長からもありましたように、 労働力の需給調整機能としての労働者派遣制度の有用性自体をお認めいただきつつ、その時々の 状況によって制度の見直しをしていくという考え方には、私も全く同感ですが、そういう観点か らしますと、制度の見直しの際に禁止だという建付けが基本に入ることには違和感を感じざるを 得ず、制度の見直しをしていく、制度に不備があればそれを直していくという観点で、禁止とい うことにはならないのではないかと申し上げざるを得ません。それが全体的な感想です。  順次各項目について申し上げます。まず登録型ですが、労働力の短期的一時的な需給調整機能 としての派遣制度の機能を考えますと、基本的には登録型派遣が基本であろうと考えますので、 これを原則禁止というのは無理があるのではないかという気がしております。また、いろいろご 議論がありましたが、この間いわゆる派遣切りと言われているものは製造業を中心に起きている ということ自体は、事実として、ファクトとしてそうですが、他方でそれ以外の部分については、 特段の問題が新たに生じたということはないのではないかと思っております。一貫して登録型派 遣に対するニーズは根強いものもあります。また企業のニーズも強いことを考えますと、先ほど 部会長から暫定的な措置を踏まえて段階的な施行というお話もありましたが、その辺りについて はもう1段、施行3年ということに捉われず、時期も含めてご検討をいただければと思っており ます。  製造業派遣に行く前に、もし仮に原則的に登録型を禁止していく場合に、かねて長谷川委員か らもご指摘があったところですが、結局基本的にはみんな常用型になっていくとするならば、特 定労働者派遣事業は届出制なのです。この問題をどう考えていくのか、併せて考えていく必要が あるのかどうかについても、是非議論が必要なのではないかと思います。  製造業派遣についてはすでに市川委員からご指摘がありましたので、重複の部分は繰返しにな りますので、時間短縮のために些少します。重複する部分としては、先ほど来議論になっている 登録型には例外として産前産後から紹介予定まで3つの予素がありますが、製造業についてはそ れがないということです。それに対しては、鈴木課長から禁止業務については原則的に例外を付 けないのだというご説明もありましたが、ご承知のとおり禁止業務とされている医療では、紹介 予定派遣が認められているのではないかと思っております。いずれにしても、紹介予定派遣は常 用化促進の観点からそうした道を残していくと、派遣から直用という流れを維持することは、労 働側委員の基本的な見解にも一致していくのではないかと思います。  日雇派遣についてですが、3の(2)の「20年法案のとおり禁止の例外を設ける」という規定に関 して確認的に申し上げます。厚生労働省からお出しいただいている資料で、第136回の資料で参 考資料が配られていたかと思います。No.2の参考資料の20頁を見ますと、「20年法案のとおり禁 止の例外を設ける」というのはまさにこの20頁の所だと思います。禁止の例外として、26業務 から特別な雇用管理に関わる業務と日雇派遣の労働者がほとんど存在しない業務は除くと。それ に対して、26業務からそれらを引いたあとに、プラスアルファがありまして、例外については実 態を踏まえ必要に応じてリストに追加していくというのが、20年法案の建付けであったわけです。 ここで公益委員の先生が、3の(2)の「20年法案のとおり禁止の例外を設ける」というのはこれと 同等の扱いだという理解で私は読みましたので、それは確認的に申し上げておきたいと思います。  均衡待遇ですが、この規定ぶりは現在の労働契約法の規定に沿った書きぶりで、これについて すでに契約法並びだということは理解しますが、すでに労働者契約法は派遣労働者も含めて全労 働者に対してかかっていくものであって、これを今回派遣法にも規定していくことにどのような 法的な効果があるのかについては確認をさせていただければと思います。  マージン率の情報公開ですが、「マージン等の情報公開に加え」のあとで、雇入れのときにも「1 人当たりの派遣料金の額を明示しなければならないものとする」と書いてあるのです。常用型で あれば必ずしも雇入れのときに派遣契約になるとは限りませんので、これはどういう意味なのか なというのがわかりかねました。1人当たりの派遣料金の額の明示に関しては、営業上の機密保 持との関係ではどのように考えられるのかというところがよくわかりませんので、もしお示しい ただければと思います。いずれにしても、派遣料金はご承知のようにいろいろ経緯があって決定 するものですので、もちろん派遣元として説明していくことは重要なのですが、単純に金額だけ を明示していくことになると、無用な混乱を生じてしまうのではないかと懸念しております。  これだけしゃべっていながらまた長くなってしまうのですが、みなし規定についても少し長く お話をせざるを得ません。これに関しては、改めて公益委員の先生でも結構ですし、事務局でも 結構ですが、三菱樹脂事件の最高裁判決以来定着してきた採用の自由の原則が侵害されているの ではないかと理解するのですが、どうしてそれが認められるのかがどうしても私には理解ができ ません。また、先ほども言いましたが、労働契約法3条にも労働契約の合意原則が謳われている わけで、これについても反するのではないかと思っております。これらの重要な原則が侵害され ていいのかどうかについて、是非ご説明を賜りたいというお願いです。  ですから、私どもは基本的に反対です。ただ、もし仮にこれをやるとした場合、違法に対する 予見可能性を確保していく視点は必ず必要だと思っております。こうした違法派遣を、三党案で は「情を知って」と書いてありました。故意で重過失といった限定をかけていくことが非常に重 要だと思っておりますし、例えば期間制限を超えての受入れといった場合、受入先としては専門 26業務だと思って受け入れていたと。ところが、労働者の方との見解の相違があって、付随的業 務がたくさんあって、10%ルールを超えて労働局の指導が入って、結局26業務ではなかったとい うことも見られます。あとから26業務ではなかったから、期間制限を超えてしまったから違法派 遣なのだということになってしまうと、受入先の企業としても大変難しい問題を抱えてしまいま す。  また、4のいわゆる偽装請負といったものは極めて曖昧で、条文上にもはっきりと明記されて いないものです。企業としては、別に指揮命令の意図があって発言したものではないものが指揮 命令を受けたのだという形で解釈されて、無用な混乱を招くことを是非避けていく必要があるの ではないかと思っておりますので、そのあたりの条文上の手配に加えて、行政としても見解の統 一性を担保するためのQ&Aの作成等、環境整備が不可欠ではないかと思います。とにかく雇用の 要件は黒か白しかないと、グレーゾーンがありますと大変な問題を生じてしまうと思います。  本来労働者のための措置だとおっしゃっているようですが、裁判ということで、今回の1つの キーワードのようですが、企業にとっても労働者にとっても労働紛争、裁判は非常に長期化しま して、ご本人だけでなく、ご家族や企業の関係者も含めて大変な労力がかかります。そういうこ とをすることが、別にその道を閉じろと言うわけではないのですが、直ちに裁判という形の建付 けよりは、故意の重過失であるという限定が必要だと思いますが、派遣元にも責任があると。こ ういう形の派遣就労を認めている責任があるとするならば、違法派遣を直ちに是正しますと。そ のときに、直ちに派先に雇用契約を申し込んだこととみなす旨の規定よりも、むしろ派元に直ち に派先を見つけることを義務づけることによって、派遣労働者の就労は継続され得ると思います し、いろいろなやり方があるのではないかと思っております。  施行時期についていろいろなご議論がありましたが、仮にこういう形でまとまっていったとし ても、経済情勢や雇用情勢はかなり不透明な部分がありますので、もう決めたからと言ってガチ ガチにいくのではなく、弾力的に見直しをしていく必要があるのではないかと思います。長くな りましたが、私からは以上です。 ○清家部会長 ありがとうございました。まず、事務局からお答えをお願いします。 ○鈴木課長 ご意見はいろいろありましたが、その中でご質問が何点かあったかと思いますので、 その点について事実関係をご回答します。  まず、医療業で紹介型派遣が例外として認められているのではないかということですが、医療 というのは禁止の趣旨が特殊で、あれはもともとチーム医療というものがあります。これはどう いうことかというと、例えば病院ごとに薬など非常に紛らわしい名前が多いと。そうすると、病 院ごとに略称を使ってやっていることが多いと。そのときに、全然その文化に馴染んでいない方 が外から入ってきてパッとやるときに、薬を間違えると、ちょっと間違えたことが人命に関わる ということで、チームとして医療をするに適切な人かどうか、これはこれまでの病院の経歴や、 出身大学などでいろいろな用語が違っている可能性がありますので、そういうことをチェックし ないと医療は非常に困難です。そういうことで事前面接をして、どういう人が来るかどうかをチ ェックしないと医療は難しいということで、事前面接が基本的にできない派遣はそこのチェック ができないので、医療では禁止というのが禁止の趣旨です。  そこでなぜ紹介予定派遣が例外になっているかというと、紹介予定派遣は事前面接の例外にな っていて、事前面接ができるからここで人をセレクトできるので、紹介予定派遣は例外というこ とで通常の禁止業務と建付けが違っているので、今回製造業務派遣の業務に例外として事例があ るからといって、応用するのは難しいのかなと考えております。  日雇派遣の例外の部分ですが、これは公益委員の皆さんでお話いただいたときには、基本的に は昨年と同じ考えです。ですから、昨年の建議の中で具体的に例外を書いていますが、それと同 じ考えとご理解いただけたらと思います。  均衡待遇については労働契約法にあるが、重ねて書く効果は、ということです。基本的に契約 法で均衡の原則は書いてありますから、派遣に限らずパートとか非正規も含めて均衡を図らなけ ればならないわけですが、ここで書きますと、派遣法ではどことどこをどう均衡させるのかと。 また、派遣法の場合は派元指針とか派先指針とかいろいろ指針がありますので、均衡で条文を書 いたとしても、その指針の中で具体的なこういうものがこうだということも含めていろいろ書き 込んでいくと思います。したがって、一般原則としてある均衡について、具体的に何をどのよう に均衡させるのかをより具体化していって、それが派遣労働者の待遇の改善につながっていくと いう考え方だと思っております。条文自体どう書くかも含めて、それについては今後部会でご議 論いただくことになるのかと考えております。  マージンについて、雇入れのとき、例えば常用であれば派遣料金は決まっていないではないか ということですが、これについては法律の建付けを公益委員案骨子のような感じにした場合に、 具体的にどういう料金を明示するのかは省令で記載することになろうかと思います。ですから、 どういうケースにどういうことをやらなければいけないのかは、その省令の段階でもう1度ご議 論いただくかと思いますが、採用の段階で当然これは派遣料金が決まっていなければ明示するも のがないわけですから、明示の義務は生じないと考えるのが通常かと思っております。  1人当たりの料金ですが、営業の秘密の関係とか金額だけでは混乱を生じるということですが、 前者についてはここで書いているのはその労働者が派遣されている当該料金ですので、それを 個々の労働者に開示するものです。したがって、ほかの人の料金がいくらということをその人に 教えるわけではありませんから、そこでの秘密はさほど問題にならないのではないかと。金額だ けだと混乱するというのは確かにそのとおりですので、それと併せて混乱しないように派遣元事 業主が、マージンはこういう構成になっていて、福利厚生費がいくらで、教育訓練費がいくら、 社会保険がいくら、したがって、これは不当ではないのだということを併せてお示しするのは派 遣元の自由ですから、そういったことも含めて混乱のないように対応するよう、もし必要であれ ば指針等に明記して重視することもあり得るのかなと考えております。  みなしと採用の自由の関係ですが、この辺りは公益からも補足をいただけたらと思います。こ れについては、あくまでも今回は違法派遣、このあと申し上げますが、三党案でもあるように派 遣先も違法だと知りつつやっているという派遣先が有責のケースですので、こういうケースにつ いてはペナルティとしてこの採用を強制することも法制的には禁止されていないか、あくまでも 民事一般のときと異なって違法状態にあるケースに限られるということで、そこはクリアできる のではないかと考えております。  その関連で、「情を知って」と3党案にもあるではないかということですが、確かにこれは3党 案にもありますし、昨年来の直接雇用の議論においては派遣先が派遣法違反の成立に荷担してい るとわかってやっているということで、そういった所にはペナルティとして雇用させてもいいの ではないかというご議論があります。これについては、例えば派遣先が違反であることを知りな がらやっているような形の条文に最終的にはなっていくのかなと考えております。  26業務や偽装請負については、条文上明確でないと予見困難であるということですが、現行法 についてはさらにQ&Aなどを出す、もしくは指針などで明示するということで、違反かどうかを 明確にしていかなければいけないと思っております。偽装請負というのは現在でも違反条文があ りませんので、基本的には派遣法26条の派遣契約を結ばずに派遣している場合が偽装請負となり ますが、これについては、偽装請負とは派遣法の義務を免れる目的で、派遣契約を結ばずに労働 者派遣を行うというケースではないかと思っておりますので、例えばみなしの条文の中でそうい ったことを明示して、さらにQ&Aなどでどういうケースが該当するかも解釈等を示すことによっ て明示していく必要はあるのではないかと思っております。質問に対する回答は以上です。 ○鎌田委員 みなしについてだけ少し補足します。私がお答えすることは、採用の自由を侵害す るのではないか、また合意原則をどう考えるのかといった反対の論拠を出されていますので、こ れについて少し補足をしたいと思います。ご紹介いただいたように、三菱樹脂事件の最高裁判決 は公序に反しない範囲で採用の自由を認めるということですので、いわゆる違法派遣の場合まで 採用の自由を確保しなければいけないということではなかろうと思いますので、この点は最高裁 判決に必ずしも抵触するわけではないと考えております。  合意原則については、一般に契約については合意原則ですが、一定の法政策的な目的のために 契約を強制するような場合は、法令上もありますし、例えば医者などは目の前に病気の人がいれ ば、それを拒否することは制約されていることからわかるように、合意原則の一定の法政策の中 で合意によらない法律関係の形成が認められていると思います。  問題は、そのような法政策的な視点がこの場合何かというと、違法派遣の場合は、単純に言う と違法派遣が出ることによって派遣労働者の雇用の安定が損なわれる可能性があるわけです。つ まり、派遣先にしろ派遣元にしろ、違法派遣が行われたからやめましょうという話が筋なわけで す。それはいいのですが、そうすると現に働いている派遣労働者の雇用を損なう結果になるわけ です。これは労働者供給事業の場合も同じなのですが、そうした場合に本来保護されるべき立法 の下で違法によって制裁すべきものが、保護されるものがリスクを負う、保護されるものの利益 を損なう形でこの問題を処理することはすべきではないと思います。こうした観点から、いまの ような一定のみなしを含めた制度が合意原則と抵触するわけではないので、その例外として認め られるのではないかと考えております。 ○清家部会長 その他ご意見があればお願いいたします。 ○秋山委員 女性の労働者に焦点を当てて、少し意見を述べさせていただきたいと思います。1 の登録型派遣が原則禁止となった場合、現在、女性の派遣労働者の総数は119万人で、このうち 約39.5%の47万人が一般事務に従事しておりますが、フルタイムの勤務にされると、その人た ちの雇用の確保ができません。女性の場合は家庭や育児、介護という状況がありますから、短期 的に働きたいという要求は強いものがあります。女性の労働力を活用するという意味からも、専 門の26業務だけではなく、範囲をもう少し広げて考えたほうがいいのではないかと思います。  2番目の製造業務への派遣ですが、例えば製造業で働いている女性が出産したり、育児に関わ ったりするとき、休業期間中の代替要員ということを考えると、いまの会社の状況ではそれがで きない、休めない、出産ができないなどといったことも生まれるのではないかと思われます。休 業など取得しやすい環境が法整備されるためにも、やはり、そのようなところは考えていただき たいと思います。 ○小山委員 公益委員案骨子について、しっかりとした取りまとめをしていただいたことに敬意 を表します。ただ、これによってすべての課題が解決するわけではなく、まださまざまな課題が 残っているだろうと思っております。特に、先ほど使用者側の皆さんからいろいろとご意見があ りましたが、そもそも派遣労働というのはどうなのかが基本的な問題であり、それについてはず っと議論してきたわけです。派遣先の指揮命令する人が、雇用責任を負わなくて済むということ に、派遣労働の本質的な問題点があることは当初から申し上げてきました。去年から起こったこ とが問題なのではなくて、さまざまな派遣労働者のアンケート等を聞くと、雇用の不安定さに対 する不安などは今までも多く語られてきているわけでして、物の製造業務以外は全然問題がなか ったみたいなことでは全くないわけで、そのことはしっかりご理解いただきたいと思います。  物の製造業務については、ついこの間まで禁止されていたわけで、まだ4、5年の話です。職場 においてそれ以前はどのようなやり方で働き手を確保していたのでしょうか。会社が倒産すると か、もうやっていかれなくなるなどというのは極端過ぎるのではないかと思います。また、中小 企業は苦しい、苦しいと言われますが、私どもの労働組合は中小企業の職場の組合員が多く組織 しております。中小だから苦しいので助けてくれということではなく、どこに問題があるのかを 明らかにしていかなければいけないわけです。ここで議論する課題ではないですが、不公正な取 引があって、親企業や取引先から不当な値引きが求められたり、現実的にこんな単価ではとても やれないと押し付けられてという中で厳しさというものがあるわけです。  そうだとすると、そちらのほうを直さなければいけないわけで、働いている人にしわ寄せをし て、中小企業の厳しさから逃れようというのは大きな間違いです。中小は大変だ、大変だではな く、そのような中でしっかりとした中小企業の技術や開発力などさまざまな力をどう伸ばしてい くか。人に援助を求めるのではなく、自らはどうしていくのかということは、私どもの労働組合 でも労使で考えていこうではないかと、そのように前向きに考えなければいけないことだと思う のです。中小企業は何でも例外にすべきだとか言われますが、実は中小企業は日本の多数派なわ けでして、そこを例外にするというのは、それは例外ではない。多数が例外で大企業のほうが少 数というのが現実ですから、そのようなことを言うことは今後の世の中のためにも、あるいは中 小企業のためにもよくないと思います。仮に、取引の問題等で必要ならば、使用者代表の市川委 員の所と我々も共同して闘いますので、是非そのような発想を持っていただきたいと思います。 ○長谷川委員 今般、部会報告の公益委員案骨子が出されて、労使にかなり意見の隔たりがある 中、この間の公益委員の努力に敬意を表したいと思います。冒頭申し上げておきたいのは、10月 7日付の大臣からの諮問文には「製造業務への派遣や登録派遣の今後のあり方、違法派遣の場合 の派遣先との雇用契約の成立促進等、派遣労働者の雇用の安定、その他福祉の増進のために追加 検討すべき事項についても検討を行い、改めて法律案を提出する必要が生じている」となってお り、いま議論していることは諮問されたことに対して十分に答えているのではないかと思います。 派遣労働者の状況についてこの間議論してきたわけですが、この審議会には今後の労働者派遣制 度のあり方の論点が出されております。ただ、論点で出されたことと今回の公益委員案には公益 委員から出されなかった項目も若干あるので、その辺について少し述べてみたいと思います。  まず、登録型派遣について、常用雇用以外の労働者派遣を禁止するということはそのとおりだ と思っております。なぜかと言いますと、派遣労働者の問題は去年の12月の派遣村のことだけを 言っているわけではなく、以前から前回からずっと議論をしてきたからです。前回はあのような まとめだったのですが、登録型派遣の問題は引き続き検討していきましょうということで当時か ら言われていたことです。経済状況が非常に悪化してきたときにさまざまな問題が出てきたわけ ですが、やはり、登録型派遣の問題は何かということについて労使が率直に向き合うことが必要 ではないかと思います。そのような意味では、今回のこの公益委員案の骨子は支持できると思っ ております。  製造業務への派遣ですが、やはり製造業務は少しおかしかったです。昨年12月からではなく、 10月ぐらいから、もっと言えばその前の春ぐらいから始まっていたのですが、製造業で働いてい る派遣労働者がどんどん派遣切りされていったのです。製造業は非常に大変で、これは特徴的な ことでした。これについてどうするか、今回諮問されたことですが、やはり私は製造業務への労 働者派遣を禁止すべきだと思っております。禁止したら大変だという使用者側の意見もあります が、例外的に常用雇用の労働者派遣がいいのではないかと思っております。  それから日雇いの派遣があって、いわゆる専ら派遣やグループ派遣についてはこれまでどおり と受け止めていいのかどうか。均衡待遇については、均衡一般論については労働契約法で書いて あって、あれは一般論です。パートの均衡待遇というのは、誰と均衡を図るかということで個別 法に書いてありますが、先ほど鈴木課長が言われたように、どのような均衡を考慮するのかと。 ここで書いてあるのは「派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の均衡を考慮するも の」ということで、誰との考慮なのかということは派遣法の中に必要ではないかと思います。  情報公開のところで言うと、マージンの情報公開だけは出てきたのですが、情報公開の中身は たくさんあるわけです。例えば情報公開義務の事項では派遣の件数とか、期間別の内訳、健康保 険、労災保険の保険料などたくさんあったわけですが、今回そのようなのは公益委員のところに は盛り込まれていなかったですし、私どもが最も関心がある派遣先の労働組合に対する通知義務 というのも盛り込まれていなかったのです。いろいろな判断があったのだと思いますが、このよ うなことが盛り込まれていなかったということを指摘しておきたいと思います。  次に、派遣先責任の強化について、当初は11点ぐらいについて派遣先責任の強化ということが あったわけです。今回、1から11まであった項目の中で、派遣先責任の強化については1つも触 れられておりません。これはどのような判断だったのか、その理由をお聞きしたいというのが1 つと、私は現時点でもう少し派遣先責任の強化をしてもいいのではないかと思っております。例 えば、不利益取扱いの問題はきちんとやらなければいけないから少し時間がかかるし、未払い賃 金に関する連帯責任も、派遣先がどのように連帯責任を負うのかということについては少し検討 が必要だと思いますが、例えば、派遣労働者に対する安全衛生教育、定期健康診断の代行、労災 保険の保険給付の請求に係る便宜供与などといった辺りはもう少しあってもよかったのではない かと思います。この辺りの判断についてお聞かせいただければと思います。  次に、最も関心の高い団体交渉の応諾です。最近、労働委員会に派遣労働者の問題が結構持ち 込まれていますが、それは派遣労働者と派遣先の団体交渉応諾の話なのです。いまのところは朝 日放送事件の判例を使って、一部分だけということになっているわけですが、派遣契約と労働者 の労働条件というのは非常に関わるので、本当はこれなども今回検討してほしかったのですが、 ここについても漏れていることを指摘しておきたいと思います。  みなし規定については、本日このような形で出されて、なるほどと。私どもが当初考えていた ものと若干違いますが、これで検討してみることが必要だと思っております。できれば、みなし 規定の内容についての議論がもう少しできればいいと。派遣先に対して何らかのペナルティをか けるとすれば、罰金をボンと課けるか、みなしを入れるかのどちらかを選択せざるを得ないわけ で、私はみなし規定がいいのではないかと思っております。今回の場合、違法な派遣として(1)か ら(5)まで出されていますが、派遣先はわかることであって全くわからないということではないの で、これはいいのではないかと思っております。  先ほど高橋委員が言われた労働契約の合意の話ですが、労働契約は一般の契約と違うというの はどこでも言われることです。この契約の合意を無効とするというときは、普通ならば契約を解 消すればいいのですが、労働契約の特徴というのは、契約を解消したときに労働者が雇用を失う ことにあると言われているわけです。そのときには必ず労働者の保護をしなければならない、労 働者の保護を政策的に誘導しなければいけないということは、どこでも言われております。厚生 労働省の審議会だけではなくて、他の審議会でもそのようなことは言われているわけです。契約 の合意原則の問題とか契約の自由などということはあるのですが、ここはやはり労働者の契約が 無効になった場合に、労働者の雇用の保護をどうするかということを考えなければいけないし、 そこが必要ではないかと思います。これは雇用契約の特徴だと私はいつも受け止めております。  法律の名称などといったことに触れられていることについて、大変感謝しているということを 言っておきたいと思います。労働者代表の立場から言うと、施行期日については政令で定められ ている公布から6カ月以内で全部統一してほしいと思います。ただ、公益の先生方が判断された ように、これの影響力が非常に大きいから、先ほど鈴木課長からも説明があったように、3年以 内の政令でという考え方もあり得ると思っております。その他の検討項目についてですが、先ほ ど私が指摘した派遣先の問題などといったことは、引き続き検討するということで受け止めれば いいと思っているのですが、派遣は一気に全部改正できないわけで、限られた時間の中では優先 順位を決めて改正していき、残された課題については引き続き検討することが必要ではないかと 思います。労働側としては今日出された公益委員案を真摯に受け止めて、もっと具体的な内容を 議論していきたいと思います。使用者委員の方々も言いたいことはたくさんあると思うのですが、 限られた時間の中でもう少し具体的な検討に入っていただければと思っております。 ○清家部会長 事務局から何かあればお願いいたします。 ○鈴木課長 長谷川委員のご発言の中での質問事項、特に、なぜ派遣先責任の強化が今回は入っ ていなかったかという点について、公益での議論の内容をご紹介いたします。最後に長谷川委員 が言われたように、これをやるべきではないというのではなく、今回は時間が足りないので継続 審議ということを提案しているということです。その理由ですが、大きく3点あります。  1つは、派遣先の責任の強化ということ自体が派遣法全体の考え方、つまり派遣とは何かとい う考え方に影響するということです。どのようなことかと言いますと、派遣はもともと労働者供 給から始まっておりますが、例えば共同雇用や二重雇用というのは、まさに労働者供給ですが、 そこから派遣元で雇用し、派遣先で指揮命令する形態については、派遣元での雇用の責任が明確 になるので近代的な雇用の形として認めていいのではないか、これは昭和60年に制定された派遣 法の趣旨です。派遣先の責任を強化して、逆に派遣元の責任を若干緩めるということになると、 この原則自体がいいのか悪いのか。いま禁止されている労働者供給には近付くが、それはいいの かという根本的なところを、まず議論しなければいけないのではないかと、それについては時間 が足りないというのが1点目です。  2点目として、先ほど健康診断や安全衛生教育ということがありましたが、まさにそのとおり でして、これは派遣法のみならず、安全衛生法や均等法、労働組合法など他法の特例を構成する ものですから、派遣法のみの整合性だけではなく、他法の中の整合性といったものも踏まえて検 討しなければならないという問題があるということです。  3点目は、このようなものを議論するときには、通常どのような問題があるか。その問題を解 決するために、現行法では対処できないのか、対処できない場合はどのようにするのがいいかと いったステップを踏んで議論すると思いますが、これについて今回はまさに時間がなく、十分な 議論ができないと。以上の3点から、これについては継続審議という結論が出されたと伺ってお ります。この関連からいろいろな情報公開の関係でも、派遣先の責任の強化と派遣先への通知事 項、派遣先の組合への通知事項というのはリンクしていると考えておりますので、ここは合わせ て議論するのが適切だということです。もう1点、専らグループはこれまでどおりかとのお尋ね については、書いてありませんが、平成20年度法案のとおりに出すべきという内容です。 ○清家部会長 それでは市川委員、お願いいたします。 ○市川委員 長谷川委員からも派遣先の責任の強化という話がありましたが、まさにそのために 前回お示ししましたパッケージ案の中に、派遣先の責任者講習を法律上義務化するべきではない かと申し上げたところです。派遣法については指針等や業務取扱要領を含め、ルールが決められ ておりますが、その運用の問題だと思うのです。派遣先あるいは派遣元もそうですが、運用のル ールをきちっと守っていないというところに大きな問題があるのではないか。そのようなことか ら言うと、責任者講習をきちっと義務化することによって、そうした課題は相当程度解決の方向 に向かっていくのではないかと思っております。  秋から派遣切りがあったとのご指摘もありましたが、私が申し上げているのは一部の大企業の 非常にドライな取扱いが社会的な課題になっているのではないでしょうかということで、中小企 業はそんなことはないです、特に零細企業の場合は派遣労働者も家族と全く一緒ということでや っております。小山委員から中小企業も同じだという発言がありましたが、今日ようやく分かり ました。小山委員がおっしゃる中小企業とは組合のある中小企業のことで、私は組合もないよう な脆弱な、貧弱な、従業員わずか10数人といったものづくりをしている零細企業のことを申し上 げているのです。ですから、話が全然食い違っているのです。ものではない、派遣労働者を雇用 し、家族同様に扱っているのに、一律に原則禁止とすることによって影響を受けるということを 私どもは配慮しなければいけないのではないかということを申し上げているわけです。  派遣がなくても昔はきちんとやっていたではないかと言われましたが、これは前回私が指摘し たことでもあり、いまは在庫を持たない、いわゆるlean productionがどんどん進んでいるので す。在庫がないということは、すなわち注文が瞬時にくる、1カ月もないようなときにようやく 増減がわかるという状況になってきており、経済構造あるいはサプライチェーンの運用の仕方、 社会の運用の仕方が変わってきているので、そういったことをよく考えないといけないのです。 前回申し上げましたが、ある社長さんに言わせると、うちはその日暮らしだと、その日暮らしの ときに派遣が果たす役割は非常に大きいものがあるのだから、そのようなところが禁止されると 大きな迷惑を被る、こういうことです。 ○清家部会長 その他何かあればお願いいたします。 ○高橋委員 重要な確認を忘れておりました。みなし規定のところですが、公益委員のペーパー の「労働契約を申し込んだ者とみなす旨」の労働契約の内容とは、一体どのような内容を申し込 んだとみなすのかという点と、いつの時点で申込みがなされたとみなすのかという点について確 認させていただければと思います。 ○鈴木課長 補足的にご説明いたします。まず、どのような内容かと言いますと、基本的に前提 としているのは派遣元と締結しているものと同内容の労働契約が申し込まれたと。申込み時期は 違法が行われた時点で申し込まれたという流れです。 ○高橋委員 先ほど答弁いただきましたが、そうすると契約が申し込まれた時点とは、事情を知 って違法とあらかじめ知って行うということになるのか、その当初からということになるのです か。 ○鈴木課長 事情を知って違法にやっている場合は、派遣は継続的ですか ら、それのいちばん初めの違反がなされた時点に申し込まれたという内容になろうかと思います。 ○長谷川委員 みなし規定について、今回はみなし規定と行政勧告が2つ並んでいるのですが、 このみなし規定は民事効を付けると解釈してよろしいですね。また行政勧告ですが、例えば行政 勧告が前置となるとか、そのようなことはないですね。 ○鈴木課長 前置ではありません。 ○長谷川委員 ないですね。次回、できればみなしのことを少し議論してほしいのですが、いま 高橋委員も言われたように、どの時点でみなしが始まるのか、それに対して労働者が応諾する、 そこで契約が成立する、その期間はずっとでいいかどうか、労働者の承諾の期間はどのぐらい必 要なのか、ずっとでいいのかなどについて、今日は時間がないので次回で結構ですから少しお聞 かせください。 ○清家部会長 いま答えられる範囲でお願いいたします。 ○鈴木課長 基本的には違法の時点で契約が申し込まれたとみなしまして、労働者がその契約を 受諾した時点で契約成立です。これは民事の特例になりますので関係の所と相談しているのです が、申し込まれたとみなされたもの、普通撤回と言うと、申込み可能であるがすぐ撤回されては 困るだろうということと、10年前の違反でずっと申込みがみなされていて、10年後にポンと受諾 して契約が成立するというのもおかしいだろうということで、例えば1年という期間を区切って、 1年以内は申込みのみなされた申込みは撤回できない、かつ1年過ぎればみなしの効果はなくな るといった規定は必要と思っております。それについては今回全体のたたき台を答申いただいた 上で、要綱の諮問の辺りで具体的な制度をどうするかということをお諮りすることになると思い ます。 ○長谷川委員 派遣労働者が派遣先から申し込まれて応諾し、今度は労働者が派遣先との派遣契 約を終了したあとも、直接雇用が成立すると考えていいのですか。 ○鈴木課長 はい。これは3党案の欠点ということで議論した際に、3党案では、契約が切れて いる場合は契約は移転しないので基本的には働かないと、この申込みみなしは基本的には違法が 起きた時点で派遣契約が申し込まれたとみなして、受諾した時点で、例えば元の契約が6カ月と か1年の有期であったら、受諾した時点から6カ月なり1年の契約が成立するということです。 その時点で元との契約が切れていようがいまいが、そこは影響しないというものです。 ○清家部会長 大変申し訳ありませんが、時間がだいぶ経っておりますので、できれば本日の議 論はここまでとさせていただきたいと思います。もし、この際どうしてもということがあればお 願いいたします。 ○高橋委員 次回ご答弁いただければ結構ですが、先ほどの説明はみなしに関して、違法派遣に 対処しようとしたら労働契約を切ってしまう、そうすると労働者の保護に欠けてしまうからみな しなのだということだと理解しました。そうだとすると、先ほどの繰り返しになりますが、派遣 先には罰金を課ける、派遣元には新たな派遣先を義務づけるといった対応もあると思うのです。 そのような対応は駄目で、これでなくてはならないということの理由を是非次回ご紹介いただけ ればと思います。 ○秋山委員 例えば派遣元に寮などの住宅があった場合、そのような内容も付加されるわけです か。つまり、派遣先もそのような住宅を提供しなければいけないという内容になるわけですか。 ○清家部会長 福利厚生ということですか。 ○秋山委員 そうです。 ○鈴木課長 詳しくは次回にと思いますが、基本的には派遣先と派遣元との間で全部同じ契約が 成立して、そういった不能の契約とか派遣先の就業規則等と矛盾するような場合については、そ の後契約の変更なり、就業規則法制で変更していくという作業が必要と思います。もし必要とい うことになれば、変更のルールなどについては指針等で作ることも1つ考え得ると思います。 ○清家部会長 最後に高橋委員から提起された部分も含めて、次回に引き続き議論したいと思い ます。本日の議論を伺っておりましても、特に登録型派遣、あるいは製造業派遣の原則禁止、そ れから今のみなし雇用の点については、使用者側からは賛成できないというご意見があるように お聞きしました。一方で、私としましてはできれば年内に、この三者構成の審議会で合意を得て 意見を提出したいと思っております。つきましては、本日お出しいただいた議論も踏まえて、い ま提出した公益委員案骨子を基に部会報告(案)の形に書き改め、次回の部会に提出していただ き、それに基づいてさらに労使のご意見をお聞きしたいと思いますが、そのような取扱いでよろ しいですか。                   (了承) ○清家部会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。事務局から何 かあればお願いいたします。 ○大塚課長補佐 次回の部会は12月22日(火)、午前8時より9階省議室において開催いたしま す。早朝より恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 ○清家部会長 以上で「第140回労働力需給制度部会」を終了いたします。なお、本日の署名委 員は使用者代表は市川委員、労働者代表は長谷川委員にお願いいたします。委員の皆様、どうも ありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)