2009/12/18 第29回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会         第29回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会 日時 平成21年12月18日(金)                      15:00〜 場所 厚生労働省6階共用第8会議室 ○長岡補佐 ただ今より第29回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いた します。本日は山勢委員より欠席のご連絡をいただいております。本委員会の委員17名中、 定足数を満たす16名の出席を賜っておりますので、ここで報告をさせていただきます。  次に資料の確認をさせていただきます。議事次第に従って確認いたしますので、よろし くお願いいたします。名簿と座席表の後ろに、資料1「『臓器の移植に関する法律の運用に 関する指針(ガイドライン)の一部改正(案)』に関する意見募集について」、横長の紙3 枚です。資料2-1「『臓器の移植に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)』新旧 対照表」、縦2枚です。資料2-2「『臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイド ライン)の一部改正(案)』新旧対照表」、3枚です。資料3「親族への優先提供と自殺の誘 発について」、紙1枚です。資料4「親族優先提供と移植希望者(レシピエント)選択基準 について」、2枚です。その後ろに別紙1から7まで付いております。順に、別紙1「肝臓 移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」、2枚。別紙2「膵臓移植希望者(レシピエン ト)選択基準(案)」、2枚。別紙3「<膵臓>臓器提供者(ドナー)の適応基準(心停止下)」、 1枚。別紙4「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」、2枚。別紙5「小腸移植 希望者(レシピエント)選択基準(案)」、2枚。別紙6「角膜移植希望者(レシピエント) 選択の標準的な基準(案)」、2枚。最後に別紙7「眼球提供者(ドナー)適応基準(案)」、 1枚です。資料5「親族優先提供に対する普及啓発について」、別紙を含めて2枚です。最 後に参考資料1「腎臓移植に係る同時移植と親族優先の関係について」と題された紙1枚 を付けております。  なお、現行の法律やガイドライン等を綴じた紙ファイルをお手元に置いていますので、 議論の際に適宜参考にしていただければと思います。なお、このファイルは今後も使用い たしますので、恐縮ですが会議終了後にお持ち帰りにならず、机の上に置いていっていた だければと思いますので、よろしくお願いいたします。途中不備等ございましたら、事務 局までお知らせください。  それでは、議事進行を永井委員長にお願いいたします。ここで報道のカメラの方は、ご 退室をお願いいたします。 ○永井委員長 それでは、早速議事に入りたいと思います。これまで親族優先提供に関わ る検討課題についてご議論いただきまして、ガイドライン改正案等について審議して参り ました。昨日、パブリックコメントが終了したということで、本日は、パブリックコメン トで寄せられた意見を事務局から報告をいただき、ガイドライン改正案につきまして、委 員会としての取りまとめの議論を行いたいことが1点です。2点目は、その後、臓器別の 作業班等の検討状況につきまして、事務局より報告をお聞きしたいと思います。  それではさっそく最初の議題です。先月の18日から実施されましたパブリックコメント に寄せられたご意見・ご提案につきまして、事務局より概要の報告をお願いいたします。 ○峯村室長 資料1に沿いまして、パブリックコメントに寄せられたご意見等の状況につ きまして報告させていただきます。臓器の移植に関する法律の運用に関する指針、いわゆ るガイドラインにおいて、平成22年1月17日の親族優先提供の規定の施行に向けて改正 する部分の原案につきまして、先月11月18日から昨日の12月17日までの30日間、パブ リックコメントという形で国民からの意見募集を実施したところです。その結果、以下に 示していますとおり、ご意見・ご提案が寄せられたところです。ご意見・ご提案は全体で 21件です。以下に寄せられている内容といたしましては、1人の方が複数の部分について、 それぞれ意見を申し述べられている部分がありますので、全体の合計数は21件とは上がっ ておりません。  まず1番目は、「親族優先提供の規定」そのものに対するご意見ということで、家族が脳 死を望んでいないのに、移植の可能性があるために脳死を受入れるなど、家族の死に対す る葛藤を生じさせる。あるいは家族の自殺や殺人を招く可能性があるということで、親族 優先提供という、この法律で設けられた規定そのものについて反対であるという意見が9 件寄せられております。  「親族の範囲」についての意見では、原案の臓器提供の範囲については1親等内が適切 であるという意見が1件ございました。また、原案の親子又は配偶者、いわゆる1親等の 内容についてもっと広げるべきであるという意見が合わせて7件寄せられているところで す。そのうち親子及び配偶者に対して兄弟姉妹を加えるべきであるという内容のご意見が 3件。兄弟姉妹の更におじ、甥、姪といった広い範囲で親族の範囲を捉えるべきであると する意見が4件です。その他の意見といたしましては、配偶者を外して兄弟姉妹を含める べきであるという意見が1件。原案では、事実婚については認めない、法律婚のみとする という取扱いにしておりましたが、事実婚についても認めるべきであるという意見が1件。 特別養子縁組による養子も含めるべきではないという意見が1件ありました。配偶者につ いて偽装婚姻等の懸念から一定の年数を経過していることを要件として設けるべきである という意見が1件寄せられております。  次の頁では、「自殺の誘発」に関する対応の意見です。パブリックコメント案に示した原 案には、自殺の誘発に関する規定は設けられてはおりませんが、審議会では議論されてい ることを踏まえまして、意見が何件か寄せられております。まず、親族に対する優先提供 が認められた場合に、その親族に対する提供をめざして自殺が行われるという懸念を払拭 できない。原則見合わせるとしたほうがよいのではないかという意見が2件寄せられてお ります。また、心臓のみにつきまして、親族優先提供自体の適用を除外すべきであると。 自殺の有無ではなく、優先提供自体から心臓については除外すべきだという意見が1件で す。  また、現場での判断といたしまして、具体的な記載は避けたほうがよい。あるいは、待 機期間が長く、待っている間に亡くなってしまう可能性が高い場合がある。例えば心臓等 の場合です。そういう場合に、自殺してでも親族に提供したい意思は認められてもよいの ではないかという肯定的な、あるいは自殺の誘発に対してガイドラインの規定をすること につきまして消極的なご意見がそれぞれ1件ずつございました。  また、一般的に自殺者からの臓器提供を禁止してないのに、親族優先を目的とした自殺 について、脳死判定・臓器摘出自体を否定するのは整合性が取れないのではないか。これ は親族優先提供のみを無効とするという取扱いでよろしいのではないかという意見だと 我々は判断しておりますが、そういう意見が1件寄せられております。  「意思表示の方法」に関する意見です。親族優先提供の意思を表示できるのは、レシピ エント登録をした親子・配偶者がいる人だけであるという規定をガイドラインに書き込む べきである。そのような意見が1件です。また、親族という記載をするのではなく、「配偶 者・子・父母・特定個人名」、そのような記載にすべきではないかという意見が1件ありま した。  次の3頁では「留意事項」に関する意見です。パブリックコメントにかけました原案に おきまして、留意事項のところに、医学的な理由によりまして、臓器移植が認められない 場合がある。そのような規定が設けられておりますが、その医学的判断という部分につい て、せめて例示を入れたほうがわかりやすいのではないかという意見が1件ありました。 また、親族優先提供の意思表示欄に、親族以外の方、例えば第三者です。そういう方を親 族優先提供の意思表示として示した場合については、このガイドラインの中に書いてある 内容としましては、優先提供の意思表示のみを無効として、第三者への臓器提供につきま しては、家族の同意に基づいて判断をするという取扱いになっているところです。その場 合につきましては、第三者への提供自体も無効とすべきではないかという意見が1件寄せ られております。  「その他運用」に関するご意見です。提供を受ける方と同意を受ける親族が重なる場合、 利益相反になる場合が考えられるので、第三者の介入が必要ではないかという意見が1件 寄せられております。また、現行ガイドライン第11の3におきまして、個人情報の保護と いうことで、ドナーとレシピエントとの間で、個人情報が行き交うことにつきまして、非 常に慎重な規定をおいておるわけです。親族優先提供におきましては適用除外となるのか。 そのような意見が1件寄せられております。パブリックコメントに寄せられた意見につき ましては、以上でございます。 ○永井委員長 ありがとうございました。ただいまのパブリックコメントに寄せられた意 見を踏まえて、省令とガイドラインの改正案を用意していただいていますので、事務局か ら説明をお願いいたします。 ○峯村室長 省令案、ガイドライン案それぞれパブリックコメントかけたところです。ガ イドラインについては21件の意見が寄せられたところですが、省令案につきましては意見 は寄せられておりません。従いまして、今日お示ししております省令案につきましては、 前回のまま原案どおりという形でお示ししているところです。脳死判定に関する記録、臓 器の摘出に関する記録におきまして、優先提供に関わる意思を書面において表示していた 場合の記録、あるいはその内容につきまして、親族関係を明らかするということの書類に つきまして、それぞれ医療機関とあっせん機関で整備をするという改正の内容です。  次に、ガイドラインの案文です。パブリックコメントを踏まえまして、変更した内容を 中心にお話をさせていただきます。赤字の部分が前回のパブリックコメント案から修正を したものです。まず、「親族の範囲」につきましては、原案どおりということで、親子及び 配偶者、前回お示ししました規定のとおりになっております。その後段の部分で括弧書き の部分につきましては、この審議会での議論、あるいは委員の意見の中でわかりにくいと いう指摘がありましたので、表現をわかりやすくさせていただきました。そもそもの原案 が「民法上の特別養子縁組以外の縁組による養子及び養父母、並びに届出をしていないが、 事実上婚姻関係と同様の事情にある者を除く」ということで、否定が2度続いて非常にわ かりにくいという指摘がありましたので、この部分につきまして表現を改めさせていただ いております。  次に、「意思表示の方法」の部分です。パブリックコメントの原案では、親族へ優先的に 提供する意思表示として取り扱うことと書いてありましたが、ここもわかりやすく「親族 全体(1に規定する範囲の配偶者、子及び父母)へ優先的に提供する意思表示として取り 扱う」と変えたところです。  「留意事項」の部分です。医学的理由等ということで様々な内容が想定される書き方に なっていましたが、医学的理由からということで、内容を変えております。また、次のと ころでは、パブリックコメントで示された意見、審議会における意見、30日の意見を踏ま えまして、ガイドライン案に自殺の誘発を防ぐための規定ということで案文を盛り込んで いるところです。「倫理的観点から、親族へ臓器を優先的に提供することを目的として自殺 を図ったことが明らかな者に対する法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は見合 わせる」という内容を設けております。また、後段のほうも、親族というところは、わか りにくいところがありましたので、文言の修正をしているところです。最後の限定提供の ところも、文言につきまして、「表示されており、その他の者に対する臓器提供を拒否する 意思が明らかである場合」と文言の修正をしているところでございます。3頁では、コー ディネーターが確認する内容の部分につきましては、「親族の有無及びレシピエント登録の 有無について把握すること」ということで、字句の修正をさせていただいています。以上 です。 ○永井委員長 ありがとうございます。ただいまお示しいただいたガイドライン案につい て、いろいろな論点があろうかと思います。各論点について順にご意見を伺い、審議して いきたいと思いますが、その前に私からの提案で、前回の委員会で継続審議となっている 「親族優先提供の意思を表示する方法」、これについてご意見を伺いたいと思います。  これは私からの個人的な提案ですが、何か公的な意思表示の証明書を使ったほうがいい のではないかと考えることができますので、この辺についてドナーカードの取扱い、ある いは意思表示の方法について、委員の皆様からご意見を伺いたいと思います。現在の案と しては、どういう位置づけになっているのでしょうか。 ○峯村室長 これまでこの審議会において議論されている状況を申し上げますと、普及啓 発の作業班がいちばん最近、直近で行われた際に議論された内容としては、親族優先提供 の意思表示について、臓器提供の意思表示の登録システム、ネットワークが稼動している システムですが、そのシステムへの登録を原則とする、という考えでどうかと。  いま現在配られているドナーカードについては、様式の変更が1月17日までに間に合い ませんので、暫定的に余白に記載することを認めてはどうかというご意見が示されたとこ ろです。  その後の意思表示の取扱いについて、ドナーカードに欄を設けるべきか、あるいは何ら かの別のカードのシステムを作るのか、そういった点について継続的に議論を重ねていく べきだという、そういうご意見を伺っていたと記憶しています。 ○永井委員長 私の懸念は、それが本当に本人であるということが確認できるか非常に懸 念されるところで、そこをもう少し明確にすること、また提供者の任意性、あるいは確実 性という意味で、公的な証書を作っていただくことが重要と思います。それを本人が保管 するか、あるいはあらかじめネットワークに届けておくとか、そういうことを1つの可能 性として考えたのですが、いかがでしょうか。 ○町野委員 ご趣旨はよく理解しますが、やはり私は、これはやるべきではないし、やる ことはできないだろうと思います。基本的にいろいろなご批判、いろいろな方のご意見で も、この親族優先提供というのは一種のパンドラの箱を開けたようなもので、いままでい わば財産分与について遺言を認めていたのを、今度は言ってみますと生命に関わる重大な 問題、これについても遺言みたいなことをやり始めたのだと、そうである以上、これを厳 しくすべきだという議論だろうと思います。  しかしこれは、まず法律との関係で言いますと、これはできないだろうと思います。形 式的に申しますと、文言では書面という格好になっていますから、書面の限定がないわけ で、あるいはドナーカードという限定があるではないかと思われているかもしれませんが、 その限定も実はないのですよね。日記がどうなるかということが残っているくらいで、ド ナーカードである必要はない。それをさらに、例えば公正証書に限るとか、あるいは何か の手続を経た書面に限るとすることは、おそらく法律違反だろうと私は思います。  そしてもう1つは、実質的にも現行法の体系の中でいちばん厳しいというか、要件が厳 しくなっているのは書面なのです。そして、どういうことでこれができているかといいま すと、この条文をご覧いただきますと、参考資料の中の新しい参考資料の所ですかね。そ れの何条かの所で、ご覧になればおわかりのとおり、本人のオプトインがあるときについ ては臓器の提供を認めますが、そのとき遺族が拒まない場合、これは書面である必要はな いわけです。つまり非常に重大なものだけを、この書面による限定ということが、しかも。 ○永井委員長 何頁でしょうか。 ○峯村室長 参考資料4の1頁です。第6条第1号の3行目の所を、いま町野先生がお話 になっています。 ○町野委員 これは改正案で書いたのですね。 ○峰村室長 はい。 ○町野委員 それで非常にわかりにくいところがあるのですが、つまり6条の改正条項の 中で、現行法の中でも6条の1項の所です。いまのオプトインのときについては書面が必 要であると。そして、それについて遺族が拒むことがないときというのは、これは遺族が 拒まないとき、または遺族がないときという、当然のことながらこちらは書面が要件とさ れていない。他方では、本人がイエスと言っているのは、オプトインがないときについて は、遺族が承諾したときに初めて提供できるわけですが、こちらのほうは重大だから書面 を要求するという格好になって、これが最大限のものです。  そして条文の中でも、親族優先提供は6条の2ですが、こちらも書面と書いてあるので すが、この基本的な考え方というのは、書面によって臓器の提供をするということは、ま ず要求しておいて、そしてその中に併せていてするという格好になっているわけですから、 これはオプトインの1つの類型なのです。このときだけ改めて、いわば別のものを持って くるというのは、体系的に見て、現行法の予定しているところではないということですし、 文言からも明らかに反するので、これを作れば私は法律違反になるのではないかと思いま す。  もう1つの問題は、より実質的な問題ですが、濫用だとか、何かの危険が生じるといい ますが、はたしてそうだろうかという話です。これは、基本的にはどの範囲の親族という ものにするかということがありますけれども、もし一部の人たちといいますか、パブリッ クコメントではそういう意見がありますけれども、兄弟だとか、あるいはさらに親族いっ ぱいにまで広げてしまえという考え方だと、たくさん提供カードが出てきたとき、あるい は一人の人間を名指ししたようなものが出てきたとき、非常に問題が生じることは火を見 るより明らかで、おそらくこのときにきちんとした公正証書を作っておけというのは、そ の遺言についての有効性が問題になるのと同じようなお考えで、これが主張されるのだろ うと思いますが、いままでの議論の推移の中で見ますと、親族の範囲というのは「親子あ るいは配偶者に限る」ということになっております。それから、さらに誰それという名指 しをするということでやるのでなくて、いまの親族の範囲一般ということでやっておりま すから、例えばAさんにあげるということが書いてあったときについても、親族一般と見 るわけですから、別のBという親族がいたときについて、これはおかしいぞというような トラブルが起こることは、まずないということです。  それから意思表示の虚偽の可能性がある、あるいは最初に意思表示したのだけれど、後 で変わっている可能性があるではないかという議論というのが、それはあるのですが、そ こらについて現場でどれだけの問題が起こるかという話です。非常に限定された範囲で、 前のあれですとレシピエントとしての登録をしていて、かつ非常に狭い範囲でやると。し かも名指しを認めないと、そういうところで、はたしてどれだけ現場が困るかということ だろうと思います。  何回も繰り返しますが、この法律自体というのは、私はやはりやるべきでなかった法律 だと、いまでも思っています。しかし法律がこのようなものである以上は、やはりその範 囲内で考えるべきであって、これを実際上、無にしてしまうということは、とうていでき る話ではないように思います。そして、それほどの必要性も私はないだろうと思います。 以上です。 ○永井委員長 ただいまの件に関して、いかがでしょうか。 ○大久保委員 質問ですが、先ほどの議論で個人名を書くことも可だということになりま したよね。そのときに、もしもだけどこの前から話があって、基本的に兄弟だとか親子な んて、全部平等に愛しているわけでもないし、兄弟が仲が良いわけでも何でもないから、 片方の名前を書いていて、これは親族全般だからといって別の者に行ったときに、これは 反対に訴訟になるということはないのですか。 ○町野委員 訴訟はいつでも起こり得ますが、私は訴訟には勝つと思います。 ○永井委員長 意思表示の方法について、ご意見を伺いたいと思います。 ○相川(直)委員 委員長がおっしゃったのは、おそらく親族にレシピエントがいて、ド ナーといいますと、一緒に生活をしていたり、非常に近い関係にあると。そのときにドナ ーとして、例えば丸を付けたとか、親族と書いた書面なりカードなりが、実際にはドナー でなくて、レシピエントが虚偽に書いてしまったという危惧がある。それを避けるために、 もう少し。 ○永井委員長 いや、レシピエントとは限らないと思います。 ○相川(直)委員 レシピエントとは限りませんね。もちろんレシピエントを含んで、ド ナー以外の人が虚偽にそこの親族提供という所を、丸を付けるなり書いてしまったことを 防ぐために、もう少ししっかりした書面による表示の方法をしたのではないかと推測して いるのですが、そういうことですよね。 ○永井委員長 はい。 ○相川(直)委員 町野先生のご意見では、そういうことはあまり問題にならないという か、一般の場合にはそういうのはなかなか、いわゆる親族でない方に提供する場合には、 もちろん問題にならないわけですが、親族の場合にはそれが生活も非常に近いですし、そ ういうことで問題になる可能性があるということかと思いますが、それをなるべく防ぐ方 法というのはないのですか。 ○町野委員 それはおそらくいまのように限定したところで、そして書面ということを要 件としていますから、書面の信憑性、あるいは偽造だとか、そういうことをチェックする 以外にはないと。それ以上に、例えばどこかに登録しろとか、そういうことをやったとき について、それを登録しますと、それしか有効ではないということになりますから、その 後で気が変わったときについては、これはどうしようもないという話ですね。むしろ、や はり問題はそちらのほうでも残るわけです。そこで固定化されてしまいますから。 ○永井委員長 それは法的なところで、もう一回取消の手続をしてもらうということ。 ○町野委員 現場でそんなことができますか。 ○永井委員長 現場というか。 ○町野委員 移植が始まったときに。 ○永井委員長 そのときにはドナーも無理なわけですから。 ○町野委員 それと、だからいまのようなことで、おそらくは意思が変わったとかそうい うことについては、これは担保し得るものではないということが1つ。そして現場におい ても、おそらくこれは対応は可能だろうと思います。例えば非常に古いそれが出てきたと き、それはコーディネーターの方たちにどうなるだろうかといま聞いても、確定的なこと はおそらく出てこないだろうと思いますが、非常に古い誰それにあげるということがあっ たときについて、これが5年か6年経って、その間に病気をしたり、いろいろなことがあ ったということになってくると、それは遺族の意思でこれを聞いたときについて、これは おそらく本人の意思だろうかということになって、おそらく現場で処理するということに なるだろうと思います。画一的に、つまり法律までも違反して、おそらく違反だろうと思 いますが、何か証書を必要とするという格好にしたとするよりは、おそらくそのほうが妥 当な結果を得られるのではないかと私は思います。 ○奥山委員 すみません。また質問です。 ○永井委員長 時間があまりないので、手短にお願いします。 ○奥山委員 では実例を挙げて、こういうときはどうかと。例えば病弱の母親がいて、子 どもがレシピエントで、父親が勝手に母親が書いた書面だと主張して、母親が脳死状態も しくは亡くなるといったときに、父親が残った家族として、母親は望んでいましたと、こ う言うわけですよね。でも、それは偽造だということはあり得るわけですよね。それを防 ぐことはできますか。 ○町野委員 現場で見破らなければいけないだろうと思いますね、それは。 ○奥山委員 見破られないですよね。 ○町野委員 はい。もしできなかったら、それはしょうがない。そういうことがあるかど うか、私はわかりませんが、それは致し方ない。他方では遺言証書だとか、そういうもの についても偽造の可能性というのは常にあるわけですよね。それを全て100パーセント、 全部チェックできるという話ではないわけです。  だからそれで、そこまでやるのかと。何回も言いますが、法律にまで違反して、そこま でやるのかと。そこまでの必要はなくて、できるのではないだろうかという話です。リス クは常にあります。 ○永井委員長 本当に法律に違反するかどうかというのは、私たちはまだよくわからない のですが、もう1つは大久保委員が前におっしゃっていた、この親族優先というのは例外 的なことである、ドナーカードに丸を付けるような話ではないということが、1つ理由と して考えられると思います。ある程度それを表示、表明する以上はきちんとした形をとる ということで、親族優先という表示をした人があまり増えないようにしたほうがよいとい うご意見があったかと思いますが、大久保委員、そこはどうですか。 ○大久保委員 先生がおっしゃるように、全部に自由に書ける欄を作らなければいけない ということは、それが法律に沿った形だというのは、私はちょっと理解ができないので、 私はだから公正証書まではいかなくても、もう少し限定して、やはりネットワークならネ ットワークに申請をして、その専用のカードを送ってもらって、それに記入して持つとか、 もう少し限定したほうが、それは誰でも申請すればできるわけです。もちろんネットで登 録もできるし、申請もできるので、普通のカード自体に対して全部書き込む欄を、ここは 優先提供の欄ですよと書く必要は、私はないのではないかと。要するに希望した人に届く という形で、それで私は十分書面という、この法律上カバーしているのではないかと私は 思っています。 ○町野委員 それは、そうではないと思います。といいますのは、そのような手続をとっ た書面でなければ有効ではないということですから、依然として限定はしているわけです。 ○永井委員長 運用上限定してはいけないのでしょうか。 ○町野委員 運用上限定しては、これは法律に違反して、運用上限定することはできない です。それは法律違反の運用ですから。だから、ここのところでいちばん最初のときに申 し上げましたとおり、親族という言葉が書いてあるのを、親子あるいは夫婦に限るという のは、これは運用でやっているわけではなくて、これが法律の趣旨だと言わなければ、こ れは法律違反なのですよね。それはいちばん最初に私が申し上げたことでして、今回の場 合は書面と書いてありますから、この書面の趣旨というのは公正証書に限ると、例えばそ う言ったら、これはおそらく法律違反だろうと思います。 ○永井委員長 偽造が起こらないようにするというのは、法律の趣旨ではないのでしょう か。 ○町野委員 法律の趣旨というのは文言に現れているのであって、それは全てについてそ うです。だからこそ書面というのを要求しているということです。 ○永井委員長 それをどう読むかは、かなり人によって違うと思いますが。 ○町野委員 はい。だから私が特異な解釈だというわけではなくて、おそらく普通の解釈 だろうと思います。人によって違うことは、それはあり得ます。 ○山本委員 私はたぶんこの中で、現場で脳死のときの意思表示カードをいちばん見てい る中の一人だろうと思います。この書面を見ると、本当に字なのか字ではないのかわから ないようなものも実はあるのです。わからないのも実際にある。だけど、それはやはり本 人が書いたのではないのか、信用するしかないねという、そこが私はいちばん大事な書面 という意味だろうと思います。だからそこの所に書いてあっても、それで私はいいのでは ないのかなと。優先順位の意思を書く所なんて、先生、あの中を見ていただいたらわかり ますが、ほんの少ししかないです。だけどそれがあるということで性善説をとるのが、私 は趣旨ではないのかなと思います。 ○永井委員長 他の方はいかがでしょうか。是非これは各委員からご意見を伺いたいと思 います。 ○小中委員 実際に承諾をいただいてきている、これまでの経験から考えているところで すが、今回の親族優先提供というのは特例だから、通常の承諾の仕方とは別と考えるもの なのでしょうか。だから先ほど委員長から出たような、あるいは他の先生がおっしゃって いるような厳格ということに繋がっていくととらえるのであれば、少し考え方を変えない といけないのではないかとは思うのですが、ただ、いままでの実際の承諾については、意 思表示カードを先ほど山本委員がおっしゃいましたように、意思表示カードに書かれた署 名を見て、家族に確認をして、それでこれは本人のものに相違ないということを我々は確 認した上で、あとはご家族に承諾をいただいているというのが実際の流れですので、それ と同じとらえ方をしていくのであれば、今回のものについても親族優先という特例の別の 形をとらなくてもいいのではないかと思っています。 ○永井委員長 それはいままでにもそういう意見、つまり親族優先は特別だという意見が 出ていたものですから、それを形にするとこういうことで、私が提案しているわけです。 ○小中委員 ということは特例という取扱いができるのではないか。 ○永井委員長 特別なことであるというご意見が、これまでのこの委員会で何度も出され たと思いますので。 ○相川(直)委員 その特例も、厳しくしなければいけない特例なのか、それとも厳しく する必要がない、むしろレベルを下げる特例なのかということで、はっきりと特例という ことを考えなければいけないと思います。 ○永井委員長 厳しくするという意味で、大久保委員はご発言されていたのではないです か。 ○相川(直)委員 その特例ですね。ですから2つの意味があると思うのですが、臓器を 提供するかしないかということのレベルの判断と、それから親族に限る、親族に優先する という判断が、レベルがどちらが上なのかという判断によって、厳しくするべきか、それ ともむしろ厳しくしないでいいかということの判断があります。  もう1つは、これは臓器を提供するときの承諾は親族・家族がするわけですが、今回の 場合には優先提供を受ける親族と、それを承諾する親族が非常に近いということも考えな ければいけない。一緒の家族であるということも考えなければいけないということで、少 しいろいろな点を考えなければいけないと思っています。 ○大島委員 町野先生は法律の専門家なのですね。しかも法律の専門家で、決して自分の 恣意的、個人的な見解ではないということをはっきりおっしゃられているのですね。とい うことを考えると、私は永井先生の提案というのは非常によくわかって、そのほうがいい のだなとちょっと思ったのですが、しかし現実問題として、この法の解釈がそういうこと が当たり前であって、法律違反だと。法律違反ということが、一体どういうことになるの か、どういうことに次に繋がってくるかは、私はよくわかりませんが、法律違反というよ うなことをこの審議会で決めてしまって、ということが心配ですか? ○永井委員長 一応、私も法律家には相談しております。 ○大島委員 そうですか。そうなると、法の解釈の問題というレベルの話であれば、どち らでもいい、どちらでも解釈ができるという話であれば、これは話がちょっと変わってく るのですが、はっきりと町野先生はあそこまで言いきられているので、そこが私はすごく 懸念だったのです。 ○町野委員 おそらくこれは法律のほうの作業部会の中で、かなり議論があったところで す。それで、この間も参考人として出られていた、おそらく本人もそれはかまわないと思 いますけれど水野先生が、非常に強硬にいまのことを主張されたのを私は覚えています。 そのときに私はいまのような議論でやったのですが、時間がかなりなかったこともあって、 水野先生とかそういうのはいつも教えを受けて、お互い議論を交換しているところですの で、もう一回また議論することはあり得るだろうと思いますが、おそらくもう少し話せば わかってくれるという具合に私は思っております。  だから法律家で、私が言っているからそのとおりだということではなくて、おそらく法 律家としてはこちらでまとまるような考えではないだろうかということです。これは、い ちばん最初に先ほど言いましたとおり、運用で何でもできるという話ではないのです。そ の法律の文言の中でしかできない話なのです。そしてこれは全部を見ると、この部分の書 面だけポコッと急に、公正証書だとかそういうものに限るという解釈は、これはあり得な いということだろうと思います。だから、もちろん意図としては、皆さん方がおっしゃら れる意味というのはよくわかります。結局これは、とにかく特例なのであって、しかも親 族関係の中にこれが持ち込まれたわけですから、水野先生だとか多くの法律家が非常に危 惧するのは、どうしてこんな乱暴なことをしたのかと、これによって大変なことが起こる のではないかと。そうだとすると、これをなるべく避けるようにしなければいけない。そ の意図は私はよくわかるし、だから何回も言うとおり、この法律を作ったことがおかしい のだと言うわけですが、とにかくパンドラの箱を開けてしまった以上は何かしなければい けない、その気持ちもわかります。しかし法律の条文はこのようになっているわけですか ら、これは国会が決めたわけですから、これをあえてしてしまうということは、私はすべ きではないと思います。だから。 ○永井委員長 すみません。時間がないので、木下委員から順番にお一人ずつご意見を伺 います。 ○木下(茂)委員 法律のことは本当にわかりません。ただ、私は最初、例えば二親等ま でと言っていましたが、それを一親等、配偶者ということが決まってきていますよね。で すから私は委員長が言われるように、何らかの形で縛りをつけて、そしてできるだけ特例 なのだということでやれるのであれば。法律のことは、私はまったくわかりませんから、 そういう極めて例外的なものであるということを事前に説明していけば、運用的にはやれ なくはないし、スタートはそれでもいいのではないかと、私自身はそう思っています。 ○木下(勝)委員 厳密にこういうことで文書まで取ってどうのこうのということに対し ては、現実的には必要ないのではないかという思いがありまして、前もちょっと触れまし たように、このように家族に対しては優先的というようなことが許されるのであるならば、 大方の人たちはどうあれ、それならば一応そこに丸を付けておこうというようなこともあ り得るような内容ではないかという意味からしますと、仮に複雑な書類をどうしてもその ために取らなくてはいけないのかというのもどうかなと、それまでして取るかということ もあるのですが、そのようなことがまた法的な問題も含めて問題だとするならば、この問 題は現実的には臓器提供しようという人の気持ちを考えれば、あまり大きな問題にはなら ないのではないかという意味で、本当にどのような形であれ、自分はこのような意思を持 っているということの記載でいいのではないかという思いがあります。  そして、それに対してそれが本当に本人のかどうかということは、これはまた別問題で ありますので、単純なほうがよりいいのではないかという思いです。 ○奥山委員 私自身は前々からお話させていただいているように、意思決定への情報がき ちんと与えられるということが、まず重要だと思っているので、本当だったらきちんとと お話をして、こういうことです、本当にあなたは優先提供をしたい意思がありますかとい う意思確認をすべきくらいなものではないかと考えていました。 ○永井委員長 公的な証書が必要ということですか。 ○奥山委員 公的な証書という言い方になるのかはわかりませんが、もう少しきちんと「あ なたの意思ですね」というのがはっきりわかるようなシステムが必要だろうと思います。 ○大島委員 法解釈の問題についてはまったくわからないということを前提にして、でき るだけきちんとわかるような手続がとれれば、それがいいなと。 ○大久保委員 先ほどからお話していますが、私自身はネットの場合は事前に全部、名前、 条件を聞いた上で、最終的にイエスをするので、もう1つのほうとして、やはりネットワ ークにそういった書類を送ってもらって、きちんとした書類をもらって、それを熟読した 上でカードを持つという、特別にカード自体を別のカードにするべきだと。一般のカード に全部書けるように、自由に書けるようにするべきではないと考えています。 ○相川(直)委員 親族優先を書面により表示しているということですが、先ほど私は特 例が臓器を提供することと、親族を優先することのどちらが強いかということを言いまし たが、そもそも臓器を提供するというときの表示の方法というのが、いまドナーカード等 で、自分が署名したもので、それは公的に登録するとか、特別なプロセスを通らないで出 来ているわけで、それを所持している者に関して臓器を提供する。私は臓器を提供すると いうところのほうが、親族を優先するというよりも強いものだと思います。  そうするとドナーカード自身が、仮に偽造があったとしても、全力を尽して偽造を見破 るべきですが、偽造もあり得る形態で行われていることを考えれば、親族優先というもの は、提供することよりは弱い意思表示だと思うので、それもドナーカードと同じような方 法で、そこを表示するということでよろしいのではないかと思います。 ○相川(厚)委員 私の意見としては、なるべく意思表示に関しては、やはり臓器移植ネ ットワークの登録、ネットでの登録を第一義とすべきであって、ただ、そうであっても全 て他のドナーカードとかそういうものを全部否定するというわけには、私もいかないと思 います。運用上ですね。実際そのことを広報しても、ドナーカードにその意思を本当に書 く方もいると思うのです。それをやはり全部無視してしまうというわけにはいかないと思 います。  ただ、一義的にはやはりそういう登録システムを使ったほうが、安全、確実、そしてコ ーディネーターの運用上、それから臓器移植の実施の運用上、非常に短時間で、しかも有 効に、確実に行えるということで、それをやはり広報すべきだと考えています。だから公 的な証明書までは、必要かどうかということに関しては、私も疑問です。 ○永井委員長 ネットで登録するときは、そのアイデンティフィケーションはどういうこ とでしょうか。電子署名のようなID。 ○大久保委員 誰でもできますけど、基本的に同意をして、条件がこういう条件ですよと いうことが一通りわかって、理解した上でしかそちらに行かない形になっています。もち ろん、ですから提供できるのは配偶者と親子関係。それから当然レシピエント等、ネット ワーク上レシピエント登録していない人については行きません。それから、医学的に必ず しも行かないこともありますよと、そういう条件を全部のんだ上で同意した人について、 初めて意思表示ができる形になっています。 ○永井委員長 入力する人が本当にドナーとなる。 ○大久保委員 それから当然、手紙が向こうに送られて、それで正式になるわけです。 ○貫井委員 いままでのご意見で、相川先生たちのご意見に賛成です。意思表示カードも 最初のときにはそういう問題があって、非常に心配して、偽造があるのではないかという 心配をしていたわけですが、実際にはなかったと思います。いままで問題が出なかった。  法律のことは私もわかりませんが、何らかの形で結局、意思表示カードに集約されてし まいましたが、現在は書面という中の1つとして、大久保委員が言われるようなシステム を使っていくということでいいのではないかと、私自身は思っています。 ○永井委員長 何らかのシステムは使う。ドナーカード+ネット登録ということですか。 ○相川(厚)委員 相川委員の意見とおっしゃいましたが、相川は2人いるのですが、ど ちらのほうでしょう。 ○貫井委員 両方とも。 ○相川(厚)委員 両方ですか。 ○貫井委員 そんなに変わっていません。 ○小中委員 現在もネットによる意思登録と、それから意思表示カードなどの書面。ネッ トによる意思登録にしましても、最終的にはそこを意思表示カードの書面というものに繋 がっていきますので、両方使いながらどちらでも表示ができるという形をとっております ので、今後もそのような形を行いながらいくのがいいのではないかと思います。  といいますのは、ご本人の意思を前にしながら、家族が総意でこの人の意思はどうだっ たのかということを、皆さんで話し合いをしながら最終的に総意として決めていかれます ので、その形で親族優先というものも大丈夫だという思いでおります。 ○佐野委員 もともと臓器移植というのは善意の医療で、誰に入れてほしいとか、そうい うのがまったくないのが原則のはずで、そもそも優先提供があるということが特例中の特 例だと思います。これを認めるということ自体が。そうは言っても、家族の気持ちがわか るにはわかるので、そうするとやはり特例のような格好にしないと、それはおかしいと思 います。  前回、私は出ていないのですが、世界中で例えば運転免許証の後ろに普通はありますが、 そういう所に臓器提供を優先的にしてほしいというようなことを書いている所が、まずゼ ロだと思います。そんなことはあり得ないはずなので、もしそこに書くとしても、やはり ちゃんとした理由と、それから医学的な根拠と、そういうのを書面で正式に提出してもら って、それでOKが出ないと、それを認めるということ自体が非常におかしいと思います。 ○永井委員長 具体的にはどういう方法があるのでしょうか。 ○佐野委員 1つは大久保先生とかその辺が言われているように、ちゃんとした書面で、 それもこのような書面を出されたら、やはりそれは担当の先生方と一緒にヒアリングを行 うべきだと思います。どうしてもそれがいいと思います。もしもそういうので、それは確 かにわかりますからということになって、初めて優先的に提供してほしいということが成 り立つような気もするのですが、それはすごく極端で厳しいかもしれませんけれど、何ら かの縛りがあったほうがいいような気がします。 ○永井委員長 本人の意思を確認できる。 ○佐野委員 ええ、そこまで厳しくなくてもいいかもしれませんが、何かあったほうがい いと。本人だけではなくて、医学的な根拠があったほうがいいと思います。 ○白倉委員 まず頻度の問題からも考えたのですが、レシピエントの子供がその親族にい て、その人の家族の中にドナーが出るという確率はどれくらいあるのかなということです。 腎臓は比較的高いかもしれませんけれど、他の臓器ではそんなチャンスはまずないと思い ます。例えば心臓などの場合ですね。ですから、そういうチャンスになったときに○があ るだけで、その人が○をつけたこと信じて提供してあげても良いのでしょうか。本当の親 子関係かどうかが疑われるような、もしかしたら脳死になるかもしれないというときに婚 姻関係を作るとか、そういう売買とかいう形のことが生じなければ、例えば本人が○を付 けていなくても、付き添っていた親父さんが○を付けたというような場合でも、頻度が低 いのですから親族を優先してあげたらという気がします。皆さんの中にも同感の方がおら れると思います。そんなのは絶対駄目だという方もあると思います。だから委員長のご質 問の、親族優先提供の意思の表記法に関しては、○を付けるか付けないか等、簡単なもの でいいのではないかと。  あとはレシピエント登録が前提になっているというのは必須だと思います。これがない と、現場はものすごく混乱すると思います。一体、誰が移植の術者なのかもわかりません し、どこの病院に連絡していいかもわからなくなりますから。これは医学的にできないと 思いますから、レシピエントが必ず登録されていて、その親族にドナーが出たときに、○ が書類上あるかどおうかで判断する方向で良いと思います。 ○永井委員長 カードでもよろしい。 ○白倉委員 カードでも何でもいいですから、あるなしで判断するということで、そんな に混乱は起きないのではないか。例えそれが偽造であっても。 ○白倉委員 偽造でもいいと思うのですよ。親族の中の偽造であればね。 ○永井委員長 それはちょっと別の話になります。町野委員は原案どおりということで。 ○町野委員 ちょっと補足させていただいてよろしいですか。非常に短くですが、私はシ ステムを作るのは結構だと思います。問題はそのシステムに乗らなければ全部無効とする ことはできないということです。  ですから何らかの書面によるという具合にガイドラインに書いて、それでやったときに ついて、それはどういう意味を持つかということです。だからそれ以外のものを、例えば ドナーカードで書いたものを、それでやったらこれが違法となって、やったほうが損害賠 償を請求されるということはあり得るわけです。だから、いまのように法律の世界ではこ うなっているので、やり方の誘導としてやるというのは、私は。その点では、おそらく大 久保委員と私はあまり違わないのではないかと思います。 ○大久保委員 だから書いたやつを全部無効だとは私も思っていない。ただ運用としてや るべきだと思っていて、だからカードも、必ずしも親族優先提供欄を設けて、必ず○×を 付けさせるということもする必要はなくて、書けるような欄が少しあるくらいで、いまよ りもう少し白の版があったらいいと申しています。  こういうことで条件ですよということを審査してやる。それ以外に、先ほど言ったよう にこれは書面なので、日記も別に構わないし、前のカードに名前が書いてあっても、これ も可とするしかないわけです。それを不可とする理由は一切ないと思っています。 ○町野委員 その限りではまったく同じでして、したがいまして、また名前ばかり挙げて 申し訳ないけど、水野委員は違うのですよね。本当にこれでなければ無効だという考え方 ですから、それとはかなり違いがあるということです。 ○松原委員 ドナーカード自体は別に違反ではないのですよね。そこに親族のところを書 くということ自体が法律違反なのですか。 ○永井委員長 それだけでよいのか、つまり、もっと公的な形で親族への優先を表示した ほうがよいのではないか、あるいはその必要はないという議論です。 ○松原委員 では、法律違反とおっしゃっているのは何なのかよくわからないのですが。 ○永井委員長 つまり、あまりにも厳しい証書を求めることが法律違反ではないかという ことを、町野委員がおっしゃっています。 ○松原委員 厳しい証書を求めることが法律違反。 ○永井委員長 それでないと駄目で、無効になります。証書がない者は無効であるという のが、法律違反ではないかということですか。 ○峰村室長 事務局から補足しますと、委員長の提案はドナーカードに書くことを認めな いという。 ○永井委員長 もう少しきちんとしたものだけを認めようというのが、私の趣旨です。 ○峰村室長 いま皆さんドナーカードを持っていらっしゃるのですが、親族優先提供につ いては、ドナーカードに書くことを認めるのはやめるべきだというのが委員長の提案です。 それについて、それはあまりにも法律違反ではないかというのが町野先生のお話でして、 そういうことです。 ○松原委員 わかりました。でも、先ほどからネットとおっしゃっていますが、できない 人はどうしましょうか。ドナーカードで大丈夫なのですか。 ○大久保委員 だから、ネットワークに申し込めば、そういったカードを説明書きを書い て、条件についても言って書類を送って、それでそれを持っていれば、それは有効である と思っています。それがさっき言ったように、いまあるカードに書かれても駄目だとは、 いまの法律上はできないと、私もそれは同じ意見です。ただ、運用自体を全部に広げてし まうのはどうかなと思っています。 ○松原委員 ネットではなくて、電話番号も書いてくださると嬉しいです。そういうこと もあれば、できない人に対して。 ○大久保委員 電話でも大丈夫です。 ○宮坂委員 考えは基本的にこの委員会の流れで、まず初めに臓器提供があって、できた ら親族にやったらいいなという流れだと思いますので、もともとの臓器提供が文書で、普 通のドナーカードでも、日記でも、何でもいいということになっているわけですから、そ の次のステップとしてはドナーカードに書いてもいいし、ネット登録してもいいというオ プションにするのが、ごく普通かなと思いました。このために、特別のシステムもこれで なければいけないというものを作る必要はないです。ただ、前々回に考えていたのは、そ うはいってもいまのドナーカードに「親族優先」という項目を付けて、ただ○を付けるの はひょっとしたらよくないのかなと思っていたのですが、どうですか。それはよくないか なという気がする反面、そういう気持だけのことで、親族だけに提供することは認められ ていないわけですから、そういうことさえ説明すれば、それでもいいのかなと思ったり。 ○永井委員長 空欄を置いて、そこに記載してもらえればよいというご意見ですか。 ○宮坂委員 空欄を置いて、自分の手で書く程度で、それから日記でもいいし何でもいい と思いました。 ○山本委員 先ほどからの同じような流れを喋りたいと思いますが、現行の運用の継続性、 その先に新しい改正があるということを考えれば、複雑なことをやるというのはとてもで きないわけですので、この中でやれること、また公的な証書を作るという複雑性の増すよ うなことはやらなくてもいいのではないかなと思っています。いままでは、そんなことを やっていないでそのまま行っていたわけですので、運用の継続性で新しい改正案も考えて いきたいと思います。 ○永井委員長 ありがとうございました。そうしますと、大体この事務局提案の線でとい う方が多いようですので、細かい運用についてはさらにご検討いただくことにして、この 原文でいきたいと思います。  次の論点は、ガイドライン案の「親族の範囲」について、事務局から補足があれば説明 してください。 ○峯村室長 親族の範囲についてご説明します。パブリックコメントをかける前の案文と しては、親子及び配偶者ということでお示しをしていますが、その過程の中でさまざまな 議論がされました。  まず、これまでの議論を振り返りますと国会での審議ということで、提案者のほうから 親子及び配偶者という範囲にするのが望ましい、という意見が示されていました。また、 審議会、法律の作業班での議論においても、立法者意思の尊重あるいは実務を考えると、 できるだけシンプルな形が望ましい。あるいはトラブルの発生が予想されることからも、 限定的に取り扱うべきだという意見が多かったと受け止めています。ただ、一方で兄弟姉 妹に優先的に提供したいという希望を持つ方もおられるという意見も、何人かの委員から 寄せられていました。その間、パブリックコメントの前提として、親子及び配偶者という 案でお示しをしたわけですが、先ほどご説明しましたとおり、パブリックコメント案の中 で「兄弟姉妹を含めるなど、範囲を広げるべき」という意見が7件。「親族を含め、特別優 先をそもそも認めるべきではない」という意見が9件ということで、かなりいろいろな意 見が出たわけです。ただ、全体的に意見としては少なかった。また、パブリックコメント をかけている間で、11月30日に議論をしたわけですが、再度委員の方からの意見では、 兄弟を対象にしたほうがよろしいのではないかという意見もありましたし、一方で親子及 び配偶者という立法者の解釈でよいのではないかという意見も示されました。  また、委員長をはじめ何人かの委員からは、当面まずは親子と配偶者から始めて、必要 があればあとから検討すればよろしいという意見も示されまして、再度11月30日の議論 で確認をしたわけですが、パブリックコメントを変更するまでの意見集約には至らなかっ たと考えています。パブリックコメントの意見の状況、これまでの委員会での議論を踏ま えまして、今回お示した案ではガイドラインについて原案どおり、親子及び配偶者という ことで親族の範囲を考え、また養子については特別養子縁組とする。婚姻関係については、 法律婚のみとするということでお示しをさせていただきました。以上です。 ○永井委員長 ありがとうございます。この問題は、第1回に一応議論は済んでいると思 いますが、町野委員、これは法律違反にはならないですか。 ○町野委員 そのとおりです。したがって、それが第1回目に私が申し上げたことです。 あの点を確認したかったのは、運用で何でもできるということではないということです。 しかし、この法律の解釈は誤りだという議論は訴訟ではあり得ます。だから先ほど申し上 げたとおり、訴訟は常にあるわけです。我々も、いつも訴えられるかもしれない。 ○宮坂委員 前回も話をしたことですが、小児医療の立場でいると、家族の最小単位に兄 弟が入らないというのは、町野委員のおっしゃった情の問題と医学的な問題と法律的な問 題の中の、いまこの社会で欠けている情の問題に非常に反すると思ったのですが、そのほ かの2つの問題を考えると、兄弟を入れるのが難しいということであれば、まずこれでス タートしてみてということでいいのかなと。こういう議論があったということは大事かな と思いました。 ○永井委員長 それは先ほどの件もそうで、こういうことをきちんと議論をしておくとい うのはこの委員会の役割だと思います。そういうご意見があったということで、まずは親 子、配偶者でスタートということで集約してよろしいでしょうか。 ○相川(厚)委員 月曜日に、関東甲信越の臓器移植ネットワークの実務委員会がありま した。そこで、9月から12月まで3カ月間の臓器提供の経緯、詳細について検討しました。 その中で2件、既に親族優先提供を希望する方が出ています。1人は息子さんに、1人は父 親にということで、これはこの法律の適用する範囲内ですが、実際それだけ一般国民は、 意識されている方も中にはいらっしゃることを一応申し上げておきます。 ○永井委員長 ありがとうございます。続きまして、優先提供に伴う自殺の誘発という点 について、ガイドラインに新たに規定が追加されています。この規定について、事務局か らご説明をお願いします。 ○峯村室長 資料3に考え方をまとめていますので、それに基づきまして説明をします。 「親族への優先提供と自殺の誘発について」という資料です。「現状及び課題」です。臓器 移植法に基づく現行の取扱いですが、特定の死因によって臓器提供を見合わせる取扱いは 行われていません。したがいまして、当然事件性のあるものについては警察の検視があり ますので、それで事件性があるものについては除外されます。その後、事件性がないとい う判断をされたものについては、特定の死因によって臓器提供を見合わせるという取扱い は現状されていません。  しかしながら、親族への優先提供の場合には、移植を希望する方、レシピエントが事前 に想定される。従前の臓器移植の現場ですと、レシピエントとドナーとの間では情報の遮 断という形で、不特定多数に対する提供という扱いになっていたわけです。その前提が大 きく変わる。したがいまして、親族に対して今回優先提供が施行された場合に、親族へ提 供をするということを想定した自殺というものが誘発される可能性がある。そのためには、 その親族への臓器提供を目的としての自殺を防止するというための対応策を考えていかな ければならない。そういう問題意識をこの委員会で議論されています。我々事務局として も、そういう問題意識を有しています。  「これまでの議論」ですが、どのような対策を講じるかという議論がこれまでされてき たかということですが、国会でのやり取りでは衆議院の審議の中で、提案者がお答えして いる内容をそこに引用しています。国会での議論は禁止という形でガイドラインに書き込 むことよりも、普及啓発というか啓蒙という形で、国民に対して理解を深めていただくこ とが防止策になるのではないか、というやり取りがされていた次第です。一方、審議会で のご議論ですが、日本循環器学会から要望書が委員長及び臓器対策室長宛に提出されてい ることを踏まえまして、さまざまな議論をここでしていただきました。いろいろな意見が あったわけですが、親族の優先提供で自殺を誘発することがあってはならない。これにつ いては禁止事項とすべきである。いわば、そういう自殺の誘発を防ぐことの実効性を担保 するために、禁止事項という手段を取るべきであるというご意見が多く寄せられたと記憶 をしています。また、臓器の作業班及びパブリックコメントでも、この審議会のほかの場 の議論ですが、同様のご意見が寄せられました。  前回11月30日に、委員長から意見集約という形で、自殺の場合における親族への優先 提供について認めるべきではないという取りまとめがありまして、事務局として国会での 答弁の方向でいくのか、あるいはより実効性のある抑止効果を持たせるということでガイ ドラインに書き込むのかを非常に議論したわけですが、私どもが今回提案させていただく 内容としては、ガイドラインにおいて以下のような括弧書きの形で規定をして、抑止効果 というアナウンス効果ということで、親族への臓器提供目的とした自殺を防止することと してはどうかということです。  内容を申し上げますと、「親族へ臓器を優先的に提供することを目的として自殺を図った ことが明らかな者に対する法に基づく脳死判定及びその者からの臓器の摘出は見合わせる こと」としていまして、ポイントは2つあります。1点目は動機。親族へ臓器を優先的に 提供することを目的として自殺を図った場合が対象になる。2点目は、親族優先提供だけ を無効にするということではなくて、臓器摘出そのものも見合わせるというのが事務局の 案文になっています。  運用に当たっての考え方を示していますが、自殺の原因、目的については、コーディネ ーターが本人意思や家族の意思を確認する。そのあっせんの手続の中で把握をすることに なるということで、かなりその手続の中でのみ把握をすることが可能であるというのが1 点です。  もう1点は、親族への優先提供を目的とした自殺が一例でも行われることがないよう、 抑止効果として該当する親族がレシピエント登録をしているか否かに関わらず、脳死判定 及び臓器提供を見合わせる。いわば、ガイドラインに書き込むということで禁止という扱 いにしますので、該当する親族がレシピエント登録をしている場合であっても、脳死判定、 臓器摘出を見合わせることになるということです。したがって、このガイドラインに書き 込むことによりまして抑止効果を期待をするわけですが、反面なかなか悩ましい話として、 実際に自殺が完遂された場合においては、その臓器について希望された親族の方に対して 行く可能性がないという扱いになっているということです。以上です。 ○永井委員長 ありがとうございます。これもいろいろご意見があろうかと思います。 ○奥山委員 親族への臓器提供を優先的に提供する目的として、自殺をした者だけを省く ことになりますと、原因を必ず特定しなければならない。しかも、もしこういうことで大 体レシピエントが親族にいたら、皆さんいろいろなことを勉強されるわけですよね。もし 私がその立場だったらば、遺書に提供目的ではないことをたくさん書いて死にます。だか ら、これで優先提供を目的としているかどうかを判断するというのはまず難しいと思うの で、自殺体からの親族優先なしのほうが有効ではないかと思います。 ○永井委員長 その場合は、第三者は可能ということですね。 ○奥山委員 第三者は可能でもいいのではないかと思っています。 ○山本委員 私はもう少し「明らかな者」というところに質問をしたいと思います。これ は事務局のほうがいいと思いますが、明らかでなかったら、これはいいのですか。「明らか でない」と「明らか」は何ですか。 ○峯村室長 これは、動機が遺書等できちんと確認ができた場合について。 ○山本委員 遺書があることが明らかということですか。 ○峯村室長 そういうことです。したがいまして、親族優先提供を目的として自殺をした ことが明らかな場合ということでない場合は認め得るということで、臓器摘出と脳死判定 を認めるということです。 ○山本委員 例えば薬物中毒で、この薬物をたくさん飲んだのが自殺目的なのか、忘れて 2回も3回も飲んでしまう人も当然いるわけで、過剰につい飲んでしまったのかというの は具体的なところでどうですか。それは自殺か、明らかではないと思いますよね。 ○峯村室長 そこは、なかなか難しいところがありますが、明らかに確認ができない場合 は、優先提供を認めるという扱いになると思います。 ○永井委員長 いかがでしょうか。自殺の原因を明らかにできるのか、あるいは書かれて 示された内容がそのまま評価できるか。 ○大久保委員 何がどういうのか、私もどういう表現がいいのかがわからないけれども、 基本的には抑止をするためのものなので、どういう文言にすればそれを企てる人がいなく なるかということだけを考えるべきで、それで提供できるか、できないかという話ではな しに、企てないようにするための抑止として、どういう文章がいちばんいいのかなと。私 はいまスパッと浮かばないですが、そういうので考えればいいのではないかなと思います。 ○山本委員 その流れでいくと、ここにこういうふうに明らかでない者はこうなるよとい う文言が出ていること自体は、誘発する危険性はありますよね。だから、その流れで進め ていくと、書かないほうがいいという形も1つの手だろうと思います。 ○大島委員 奥山先生がおっしゃったように、優先提供は、自殺は全部駄目としたほうが 抑止力が強まるということです。ほかのは全部構わないですが。 ○峯村室長 いま、2つのご質問がありました。1点目の話について申し上げますと、循環 器病学会からの趣旨を私どものほうでもいろいろ把握しているわけですが、提供目的を念 頭に置いているであろうということで、そこの部分について抑止的効果を持たせるために 禁止をするという書きぶりのほうがよろしいのではないか。また、この内容については当 然パブリックコメントでもご紹介しましたが、自殺を助長するような意図は全くないけれ ども、自殺が起きた場合については確実にレシピエントの方に行かないということになり ますので、その方が移植ができないことが生じることについて、非常に感情的に忍びない という意見もある。いろいろな意見がありまして、委員の皆様方に対して事前にヒアリン グをした際にも、かなり意見が分かれていたと私どもは認識していますが、その中である 程度目的という形ではっきりしたものについて除くという取扱いがよろしいのではないか。  根っこから切るのか、それとも優先提供だけを無効にするのかという議論はもう1つあ ります。要は優先提供だけは無効にして、第三者提供は親族が同意すればよしとするとい う考え方もあったわけです。事務局案では親族への優先提供というのは、いろいろな要素 が噛み合っているわけですが、1つは限定的な提供の要素というのも含まれているであろ う。また、親族が第三者への提供ということについて同意をされるかどうかということだ となかなか難しいところがあるのではなかろうか。また、そもそも親族優先提供を目的と した自殺の場合は、任意性というのでしょうか、意思表示そのものに揺らぎがあるのでは ないかということをいろいろ考えまして、我々の案としては優先提供のみの無効ではなく て摘出自体の無効とさせていただいています。これは、議論していただきたいと思います。  奥山先生からのお話は、いろいろなやり方があると思いますが、ドナーカードに優先提 供で親族の名前が書いてあった。要は、優先提供にさせていた場合に、そのドナーカード を持っている人が自殺した場合は、すべて弾くのは奥山先生のご意見ではないかなと。 ○永井委員長 第三者提供はよろしいということですね。 ○峯村室長 優先提供だけを無効とする。ただ、ドナーカードに意思表示がされていたも のについては、その動機は問わないということですね。そういう理解でよろしいですか。 ○奥山委員 要するに、自殺であれば動機を問わずに、親族優先は無効にすればいいので はないかというのが私の意見です。 ○峯村室長 そうしますと、私どもがいま思いましたのは、親族優先の意思表示について は、当然提供自体に結び付くのはレシピエント登録している場合に限られるわけですが、 レシピエント登録をしていなくても意思表示自体は可能ですので、レシピエント登録をし ていないけれども、親族優先提供に意思表示していた方も、すべて弾く。優先的無効とす るという理解でよろしいですか。 ○奥山委員 当然レシピエントがいなければ親族優先ができないわけですから、それは第 三者への提供はありと考えたほうがいいと。 ○町野委員 かなり、いろいろややこしい問題が出てきたようですが、2つあって、1つは 奥山委員が言われたように「明らかに」というのは簡単に言いますと要らない。要するに、 親族提供している人が自殺したときについては、そのときに登録していようが、していた としてもそれを認めないという考え方。もう1つは、親族優先の意思表示をしている人が 死んだとき、もし明らかにそれで自殺したというときについて、それでは親族への優先提 供は認めないけれども、ほかの人への提供を認めていいかという問題があって、例えばそ ういう場合はあるかどうかはわかりませんが、心臓については親族に優先提供したい。ほ かの臓器、腎臓とかについては、そういうことはないという複雑な指定をしたときに、い まのときにどうするかという問題が起こって、それで自殺をして、そのときに仮に親族に 対しては無効ですよという話にしたとき、ほかのことも一緒に、腎臓についても「これじ ゃあ、もう駄目だ」ということにしてしまうかということです。事務局案はそれは駄目だ というので、かなりその間でブロートなという考え方です。その2つの問題がありますか ら、一つひとつ、まず「明らかに」というような文言が妥当かということから議論してい ただいたほうがいいように思います。 ○永井委員長 「明らかに」ですか。ガイドライン案の案文のほうですね。そうすると、 町野委員のご提案はどういうことでしょうか。 ○町野委員 私の提案というのは、まずは奥山意見のほうから検討するというのが提案で、 私はまだその点について、どちらがいいかということについてはまだわからない。いまの 段階では、少し考えさせていただきたいと思います。 ○永井委員長 その自殺の原因によって、すなわち動機によって方針を決めるというのは、 非常に難しいように思います。例えば、「生きていくのが嫌になった」というのは臓器提供 目的なのか、そうでないのか。なかなか判断は難しいですね。 ○宮坂委員 奥山委員の意見に賛成ですが、もちろんこの条文だけで自殺を防ぐことはで きなくて、逆に書き方によっては正義の自殺みたいなことを誘発する可能性もありますよ ね。ですから、もう単純に自殺体からの親族優先はないというぐらいの簡単な表現にして おいたほうがいいかなと思います。 ○永井委員長 第三者提供は可能であるということですね。 ○宮坂委員 はい。 ○松原委員 私もそう思います。 ○町野委員 いま、第三者提供は可能かと、もう1つ別に論じたほうがいいというのは私 の議論なので、まず順番にやっていただきたいと思います。 ○永井委員長 いかがでしょうか。そうすると、ガイドラインの方針に、自殺の動機はこ の際、考慮に入れない。そこはよろしいでしょうか。その上で、自殺された方の親族優先 は認めない。ここもよろしいですね。 ○小中委員 親族優先提供を目的に自殺をするというのは、ほぼゼロに近いのではないか という認識でいます。その認識でいきますと、例えば亡くなられた方、しかも仮に自殺と いう家族にとってはとても辛い状況の中で臓器提供を考えるときに、たまたまそこに臓器 不全の移植の必要な登録の方がおられて、その方だけを除いてほかの人には提供するとい うことの説明を我々がして承諾をいただくというのは、コーディネーターとしては厳しい なという思いがします。 ○大久保委員 提供するかしないかは、ご家族のご意見ですよね。だから、その可能性を 残しておくということで全部禁止にするのではなくて、いまの奥山先生の話は、第三者に も行く可能性は残すということでしょう。 ○小中委員 といいますと、自殺者は全部提供ができないとするか、あるいは移植を希望 する登録者だけを外すかの2つの論点での話ですか。 ○大久保委員 そうです。違いますか。 ○奥山委員 親族優先をなくすということであって、その方を省くのではなくて、その方 がいちばん上だったら行ってもいいと思います。 ○峯村室長 確認ですが、第三者提供を認めないことになると、当然根っこから可能性を 消すことになりますが、奥山先生のお話の場合は、仮に優先提供が無効だということであ っても、あとは一般の臓器提供のルールに則ってやる。レシピエント登録上、そのレシピ エントの方、優先提供を目指している方が第一にいた場合については、結果的に提供され るのはやむを得ないというご理解でよろしいでしょうか。 ○永井委員長 私も、そういうふうに理解しました。 ○町野委員 私は、前のほうの議論がまだ片が付いていない理解で、先に行き始めたのは かなり問題だと思っています。最初のことですが、例えばもしこのときに、「明らかな」と いう条文を取って、「親族優先提供している者が自殺した場合については、その者から親族 への優先提供を認めない」という文言にしたときに、これで大丈夫かなとは思います。そ のために自殺したものでないということが明らかなときにも、これを認めないに全部かか るわけですよね。もちろん、どうして死んだかは誰もわからないといえばそうですが、こ の提案されたガイドラインの書き方は、自殺の場合でも本来的には提供はできますよとい う考え方に立っていて、しかしこれが明らかにこちらのときについては駄目だという書き 方です。だから、この考え方をどう認めるかどうかです。結局、自殺に対する抑止効果を 働かせるということであるならば、全部無効にしたほうが簡単な話ですよね。しかし、た だ抑止効果だけの問題だろうかということが問題なので、現場でそういうことがあったと きにどうするか。私は、現場で全然コーディネーターをやったことがないからわからない ですが、おそらく臓器提供のための自殺ではないことが明らかなときについてまで禁止す る必要はないので、これは逆転させて、つまり認めないというのではなくて、明らかに提 供目的で自殺した場合についてはと。ただし、明らかにこの目的でなかったときについて はこの限りでないという書き方にしたほうがいいのではないか。それは若干の工夫があり ますが、これをあまり長く議論すべき問題かどうかは。 ○永井委員長 現場でそれが可能でしょうか。 ○相川(直)委員 臓器提供有無にかかる自殺者を多く扱った経験のある立場を含めてお 話しますと、結論からいいますと赤で書いた案というのは、書きぶりはどのようにするか ですが、2の4の留意事項の(1)に書いてある、先ほどの説明ではまた倫理的観点からとい うのを省いて読まれていると思いますが、これを含めても考え方としては、これでよろし いのかなと。書きぶりは、いま町野先生がおっしゃったように、ポジティブに書くのかど うかも含めてです。と申しますのは、「明らかな」ということが自殺が明らかなのか、親族 へ臓器提供を優先的に提供することを目的としたことが明らかなのかという議論があるわ けですが、これは自殺もほぼ明らかだし、親族優先を目的としていることも明らかな場合 と読み取れますが、その場合には第三者へも提供するべきでないということで、この件は 書きぶりをもう少し検討する必要があるかないかはわかりませんが、いいのではないかな と思っています。  そうすると、優先的に提供することが明らかかどうかということは現場で判断できない という議論もあるわけですが、先ほど言ったように「奥さんに提供したいから、私は自殺 します」という遺書が出てきた。この遺書が虚偽に遺書を書くこともあるかもしれません が、虚偽の遺書ということ自身まで言及するとまた大変なことになりますが、そういう遺 書がはっきりあるということですと、これに該当するわけです。悩ましいところは、例え ば大変な借金を抱えていて、それも困ったし、家内にも臓器を提供したいということが、 遺書でだらだらと書いてあった場合はどうするかということはあり得ますが、現場で判断 して優先的に親族に提供することがほぼ明らかで、かつ自殺も明らかであった場合には、 第三者へも提供できないような方策のこの文章でいいのではないかなと思います。 ○宮坂委員 ひょっとしたら理解が違うかもしれませんが、この条文では第三者には禁止 はしていないと思っていたのですが。 ○相川(直)委員 それに基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は見合わせることと 書いてあれば、臓器が摘出できなければ第三者へは行かないということです。 ○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。先ほどの町野先生のご意見は、本当に現場で対 応できるかということですね。 ○貫井委員 いま話がありましたように、「ことが明らかな」というのは取ってもいいので はないかと思います。その下に「自殺の原因は、意思を確認する手続きの中で把握する」 と書いてありますが、実際に難しいこともありますし、親族への臓器を優先的に提供する ことを目的というのは、当然どこかのカードなり書面で出ているわけですから、自殺した らもう優先提供はしない。  もう1つは、そうなると今度は特定の者に書面で提供するといった場合は駄目ですよと いうのが次に出てくるので、ほかの人にもあげられない。つまり、この文章どおりでいい のではないかと思います。親子以外の人にあげるよといったとき、それ以外は嫌だよとい ったときはもともと駄目ですよね。ですから、この文章で原因を確かめるとか何とかは要 らないのではないでしょうか。 ○永井委員長 その点いかがでしょうか。 ○相川(直)委員 そうすると、自殺者からはすべて臓器提供ができないということです か。親族優先の意思表示をしている自殺者からは、一切臓器提供ができないと。 ○貫井委員 はい。 ○永井委員長 そうすると、目的としてまでも不要ということになりますか。 ○相川(直)委員 「明らかな」だけではなくて、「目的として」も全部取ってしまうわけ ですか。 ○貫井委員 親族優先を目的として、2つ条件がないと駄目なのではないですか。 ○永井委員長 そうすると、自殺の動機次第では可能であるということでしょうか。 ○貫井委員 その自殺の動機を調べるのは大変ですから。 ○永井委員長 ですから、どう書きましょうかという問題です。 ○木下(勝)委員 そもそも自殺した場合、どんな理由であれ自殺をした方からの臓器提 供は認めるということを1つ前提としたときに、もしも親族へ臓器を優先的に提供するこ との意思表示をしている人が自殺をなさった場合には、しかもそのときにレシピエントが いるとすれば、そうではなくて「自殺します」という文書を書くわけがないですから、誰 でもがそれをすぐに考えてしまう。つまり、優先的にレシピエントのいる方の自殺の意味 は、そういうことではないかとまず考えると思うだけに、レシピエントがおられる方で臓 器提供を家族、親族に優先提供をしている人の場合の自殺というのは、全面的に認めない としてしまって、それ以外の方はどのような形であれ、レシピエントがいない方であるな らば、仮にそういう意思表示をしていても、自殺をしてもいいとするとしてしまえば簡単 ではないかと思いますが、どうでしょうか。つまり、ものすごく限られた人しかこんなこ とはあり得ない話だと思うので、家族、親族の中にどなたかレシピエントがいる状況の方 で、しかも当然ご本人はドナーとして登録をして、なおかつ親族の提供を優先にする方が 自殺をした場合には、その理由は何だろうかと考えたときに、ほかの理由はあるかもしれ ないけれども、大部分のケースはそういうことを考えていらっしゃるのではないかなと思 ってしまうだけに、それが否定できるならばいいかもしれませんが、そうではない限りに おいてはそういう場合には、ここに書いてあるとおり脳死判定及びその者からの臓器の提 出は見合わせるということにしてしまうことが1つ。それ以外のレシピエントがいない方 であれば、これは関係ない話ではないかなと。つまり、それ以外を前提として自殺者であ った場合でも、臓器提供をしていいのだということであるならば、そのほうが簡単ではな いかなと思いますが、いかがでしょうか。 ○山本委員 大体煮詰まってきているようですが、私は「明らかな」というところを取ら せていただいて、資料3の括弧の中の「自殺を図った者からの親族への優先臓器摘出は見 合わせる」というのができないとか、そこは何かビシッと決めてしまったほうがいいので はないかなと思います。だから、「自殺を図った者からの親族への優先的な臓器提供はでき ない」で終わる。 ○永井委員長 目的のところはどうですか。そこは残してということですか。 ○山本委員 そこは残してもいいのではないかなという気がします。 ○相川(直)委員 確認ですが、山本委員は親族への臓器提供ができないとなると、第三 者はいいということになりますか。 ○山本委員 そこは私の趣旨からは。 ○永井委員長 それから動機が、親族への臓器提供を優先的にする意思を持った方、ある いはそれが自殺の動機である場合ということですね。そこは残しておくということですね。 ○山本委員 そうです。 ○永井委員長 非常にややこしい状況になってきましたが、いかがでしょうか。 ○相川(直)委員 原案で「明らかな」の4文字を取ることも、1つの案かな。 ○永井委員長 論点は、自殺の動機がどうなのか。それによってこの全体が影響を受ける かということと、優先提供をどうするかというところの論点と、第三者への提供をどうす るかの3つの論点があると思います。 ○相川(直)委員 「明らかな」の4文字は取っても、いまの論点は変わらないというこ とですね。 ○永井委員長 変わらないです。なくてもよいかもしれません。 ○町野委員 いまの点だけを言うと、私はそれに賛成です。おそらく運用は、かなりきち んとそれになるだろうという具合に思います。伺っていただきたいと思います。 ○小中委員 非常に複雑でわかりにくいですが、まず1つは親族へ提供するという目的が あってということですね。目的があって、なおかつその方が仮に目的を持って自殺して、 その方への親族優先提供のみを外す。 ○相川(直)委員 臓器提供を見合わせるということは、親族優先以外のほかの人にもで きないわけです。 ○小中委員 そうですよね。 ○相川(直)委員 私はそうですが、山本先生は違う考えでしたね。 ○小中委員 例えば現場で、我々ができるかできないかというのを判断するときのいまお っしゃっておられる内容というのは、親族へ優先提供したいことを目的として自殺をされ た方の提供をどうするかという中の、いま確認を取るのはすべてを見合わせるとするのか、 親族への優先だけをやめるか。 ○相川(直)委員 案は、すべてを見合わせる。 ○町野委員 私がお伺いしたかったのは、「明らかに」という文言を取ったことで、何か影 響が出るかどうかという話です。おそらく出ないのではないかなというのは、私は現場が よくわかりませんが、その点はどうでしょうか。 ○永井委員長 それから、自殺の動機が確認できるのでしょうか。あとで、いろいろ検証 されて、問題が起こらないのでしょうかというのが懸念です。 ○町野委員 その問題は、もう1つ前にあった問題で、いまのようなことでいちばん最初 に提案されたのは、おおよそ自殺した人から取ってはいけないという非常に広い文言があ って、そこは多くの人の合意は得られていないと思いますが、その中で出てきたのがいま のような「明らかに」を取るという提案だということです。 ○相川(直)委員 私は4文字と言いましたが、よく読んでみると「ことが明らかな」と いう7文字を取る。 ○山本委員 私は、明らかなところをどういうものなのかということで、事務局からは「明 らかな」というのは遺言が書いてあるというところが、1つの明らかということでありま しょうという答弁があったわけですから、その遺言がない人もたくさんいるわけで、だか らこんな明らかも何もない。自殺を図った者は、やめようよというほうがいいのではない かという意味です。 ○木下(勝)委員 この場合は、現実的にどういう場面を想定するかというと、とにかく 親族の臓器提供を優先的にしたいと思っている方の場合には、当然親族にレシピエントと しての方がいらっしゃることが前提ですよね。そういったような関係の方が自殺となった 場合は、その目的というのはわからないわけです。目的というのは、本当に親族に提供し たいと思ってやったのか、そうでないかはわからないけれども、あとでこれは親族に提供 することが目的だとわかるか、わからないかは本当に不明な段階で、どんなに理由を探し てもわからないとなるならば、そういう親族を持っている方が自殺した場合には、真っ先 に優先的に提供するのが目的ではないかとみんな当然考えるのではないかと思うだけに、 そういう方が自殺をなさった場合には、これは広く脳死判定も臓器提供もしないとしてし まうのがいいのではないかという意味です。ですから、そこに「図ったことは明らかだ」 とかということよりは、そういった状況の方が自殺したということは。 ○永井委員長 遺書に書いてあろうとなかろうと、摘出はしないほうがいい。 ○木下(勝)委員 というようなことにしてしまったらどうかなと。そうすると、それ以 外のレシピエントのいない方の場合には、全然関係ないです。いわゆる自殺は、親族への 提供ということではないわけですよね。それが目的の自殺ではないわけです。そうだとす れば、普通のどんな理由であれ、自殺なさった。 ○永井委員長 そうすると先ほど、大久保委員がご提案された、親族内にレシピエントが おられて、優先提供の意思を表明されている方が自殺をされた場合には、臓器摘出をしな いということでしょうか。 ○木下(勝)委員 そうです。そういうことではないかなと思います。本当の理由はわか らないわけですから、そういうふうにしてしまわないと理由を見付けようとしたところで、 結局はわからなくて。 ○永井委員長 目的がどうだったかということが非常に大きな分岐点になるということは、 あとで検証されたときに、現場の判断がまずかったということを批判される可能性がある のではないかということを懸念します。 ○木下(茂)委員 私も基本的には同じような意見で、レシピエントとして登録されてい るような方で親族優先を考えている人ということが明らかということで、小中委員が最初 のほうで言われましたが、そういう人のときに第三者に対して、臓器摘出の話が現実には 非常に難しい。よりトラブルになっていく可能性が感情的にもあると思いますので、明ら かにレシピエント登録されているような親族優先の場合には、そこは触らないという形で、 原文にほぼ近いものでいいのではないかなと。原文の7文字を取ることは賛成です。 ○小中委員 私が理解をきちんとしていないかもしれません。最初の「明らかな」という のを取った場合、この文章で現場はどうかというお話ですか。 ○相川(直)委員 私が聞いたのはそうです。「ことが明らかな」の7文字を取った場合で す。 ○小中委員 取った場合はどうかということですよね。委員長もおっしゃっておられまし たが、本当に親族優先目的で自殺をされたかどうかを把握することというのは、私たちに は2通りしかないかと思います。ご家族に確認することと、ご本人の意思表示の書面から 見て確認する。現実的には、この2つの中から把握するしかないかと思います。本人の意 思表示に「親族優先します」というところに、いままでのお話の中からそこに書く人はい ないよとおっしゃっていますが、まず書面を確認すること。次に、ご家族に対してお話を 伺いながら把握をするという2点しかないものですから、この「親族への優先提供を目的 に」ということをどのように私たちが現場で把握したら、委員長がおっしゃるようにあと で問題にならないかを少しディスカッションしていただければいいのではないかと思いま す。 ○佐野委員 木下委員が言われたように、親族にレシピエントがおられたら、その時点で キャンセルする。 ○小中委員 レシピエントに関することですが、把握するのは後といいますと、例えばご 家族に説明をして面談をして承諾をいただくかどうかになるわけですが、そこで初めてレ シピエントの方のお名前を伺うわけですから、承諾をする前に確認をしてくることになる のですか。レシピエントがいるか、いないか。手続的には、そういう手続しかできないか と思います。 ○相川(直)委員 レシピエントがいるか、いないかは当然基本的にはほかと一緒だから、 優先提供の意思が書かれていれば、自殺は関係なしに、どの場合でも全部確認しなければ いけないのではないですか。この場合、自殺で優先提供を認めるかどうかになるときに、 先ほどおっしゃったように動機が確実につかめるのであればもちろんそうだけれども、ほ とんどの場合は動機が。意思とか遺書があればいいですが、遺書がなければ先ほどの奥山 先生ではないけれども、本当に借金苦で自殺する人もいるだろうし、それがたまたま優先 提供になっている場合もあるだろうし、実際に何も書かない人も結構多いですから、その ときに動機だけで自殺を振り分けできるのかというのが大きいので、基本的には自殺した 人については優先提供はなしですよということをきちんと言ったほうが、抑止力にはなる のではないか。 ○永井委員長 ややこしくなるので、第三者提供はあるのか、ないのかということで。 ○相川(直)委員 第三者提供はまた別の話かと思います。これは次の議論だと思います。 だから、第三者提供も指すかどうかは、優先提供を目的だけに限るか、そうではないかと いうところと、2つの議論が違うと。 ○永井委員長 まず、自殺の動機をこの中に入れるかどうかですね。 ○町野委員 要するに、3案があるわけですよね。原案のままと、7文字を取るだけという 案、「遺族に提供することを目的として」の「として」という文言をさらに取る案とありま すが、私は真ん中で結構だろうと思います。その趣旨でお伺いして、それで問題が起こる のですか、困りますかということを聞いたのですが、何か周りから疑われるというか、提 供するつもりで自殺したことは否定はできないなといったときは、おそらくやることはし ないだろうと思います。明らかに断然無関係だと。かなり前に意思表示をしていて、あと で失恋したり事業が破産したということがあった。 ○永井委員長 世の中をはかなんでというのはどうですか。 ○町野委員 いいのではなくて、そういうときはやらないだろうというのが私の判断です。 現場のほうで、そのように判断するだろうということで、それを伺っています。 ○永井委員長 世をはかなんだ自殺は、優先提供目的かそうでないかという判断はできま すか。 ○小中委員 話を聞いた中で、世をはかなんだということだけが目的だったということが わかったらということですか。 ○永井委員長 はい。それは優先提供しないだろうということですが、そんなことは調べ られますか。 ○白倉委員 例え遺書に「世をはかなんで」と書いてあっても、気持ちのどこかにレシピ エントのことが思い浮かんでいる可能性は否定できないと思います。優先提供を希望する 人が世をはかなんで死ぬときも、うまく死んだら提供できるのだからという気持ちが動機 の中に無意識に入るのではないですか。だから、区別はできない。 ○永井委員長 できないわけですね。そうすると、優先提供すると現場で臓器摘出をする のですか、しないのですか。世をはかなんだ自殺は、臓器提供をしないということですね。 ○小中委員 今後決めていくガイドラインとして、どれがいちばんいいかということです よね。 ○永井委員長 そういうことです。この自殺の動機というところで、親族に優先提供しま すと書いていなくても、世をはかなんでということを書いた遺書が残っていた場合には、 この項目に該当するのか、しないのか。 ○貫井委員 親族に提供することが書いていなければ、一般の自殺ですよね。 ○大久保委員 書いていなかったら、途中でできないですか。優先提供しますというのは、 どこかにカードがなければ、どっちみち駄目です。 ○永井委員長 そうすると、第三者提供は可能になりますね。 ○大久保委員 そうです。 ○山本委員 先生、いまの点もこの間私が「自殺は動機や何かはなかなか難しいよ」とい う話をさせていただいたのですが、現行では自殺は事件性がなければいいのだという解釈 でした。 ○永井委員長 少し整理します。ドナーカードには「優先提供」と書いてあります。遺書 には「世をはかなんで」と書いてあるわけです。 ○奥山委員 自殺の動機を見るために、我々のほうでサイコロジカルオートプシーという のをやりますが、それはものすごく大変で時間がかかって、それでも自殺の原因というの はなかなかわからないのが現実で、それを本当に緊急に動機を図れというのは、まず無理 だと思います。 ○永井委員長 そうすると、どうしますか。抑制したほうがよい。 ○奥山委員 もう1つは、そういう方からを拒否するのをどうするかと同時に、先ほど出 ているように抑止力ということを考えれば、先ほどの第三者はあとで考えるとしても、自 殺をした方からの優先提供は少なくとも、それはなしとしたほうがいいと考えます。 ○永井委員長 同じ状況でも、随分分かれるわけです。ですから、それをこの条文にうま く書かないと、現場が困ってしまう。 ○町野委員 現場が困るかだけの問題ではなくて、いまのときに例えば自殺した人からは 優先提供は一切認めないという条文にしたとしたら、これで明らかに全然無関係と多くの 人が思うときでも、できない話です。そこまでを確保するかどうかの問題だと思います。 ○奥山委員 基本的に自殺は誘発しない。自殺はどんな自殺であっても、これによって自 殺を誘発はしない。それから、自殺をすることに対しては、いま国でも自殺者を少なくし ようとしているわけですから、あっちの自殺は良い、こっちの自殺はいけないというので はなくて、自殺はいけないとしたほうが良いと考えます。 ○町野委員 私は若干それには反対ですが、現場でこれの区別はできないと言われるなら、 そのようにすべきだ。それで先ほどお伺いしました。「明らかに」ばかりではなくて、ほか のものも取ってしまいますかと。要するに、親族優先提供している人が自殺したときは、 それで全部駄目であると。提供できない。 ○永井委員長 ただ、それもまだ条件があって、レシピエントが親族におられる場合の自 殺と、おられない場合の自殺とは意味が違うのではないかというのは、先ほどのご意見に ありましたね。 ○町野委員 その問題については、どういうことかというと、こちらのほうで優先提供の 意思表示をしている。自殺した時点で、レシピエント登録がなかった場合はどうするかと いう話です。しかし、それについてもおそらくはいまの奥山委員の抑止力を働かせるとい うことだと、おそらくそのために自殺したのではないだろうと思われるかもしれないけれ ども、もしかしたらこれで提供できるかもしれないと思った可能性もありますから、全部 駄目ということになるという話だろうと思います。つまりフラットに全部考えるというこ とでは、何かおそらく関係あるだろうと。優先提供の意思表示をしている人が自殺したと いうことは、全然無関係とは思われないという発想でやるわけですから、そうすると全部 駄目だということになるのが筋道だろうと思います。 ○永井委員長 第三者もできないと。 ○町野委員 いや、第三者の問題は別です。 ○永井委員長 また別に。 ○町野委員 私は駄目だと思いますが、第三者の問題とは別です。 ○永井委員長 いずれにしてもこの、冒頭の「親族へ臓器を優先的に提供することを目的 として」という所を削るかどうか。まず削ってから議論するかどうか。 ○長岡補佐 事務局から失礼します。先ほど来、2点論点があったと思うのです。まず、 自殺の動機についてわかるのかということで、私どもからこの枠囲みの中で、「明らかな者」 と書いたのは、やはり動機を判断する際に、現場のコーディネーターが何らかの形で判断 していただく必要があるだろうということで、「明らかな」ということを書くことによって、 先ほど説明したような遺書など明確なものが出てきて。 ○長岡補佐 そこは難しいだろうというご議論だったと思うのです。 ○永井委員長 そうですね。 ○長岡補佐 そこで、木下委員などから1点逆の発想で、では家族にレシピエントの方が いて、その方が親族優先提供を書いていて、それで自殺したということであれば、かなり の確率でそういうことが起こり得るのではないかということが判断できるのではないかと いうことです。 ○永井委員長 そういうことというのはどういうことですか。 ○長岡補佐 いわゆる親族優先提供目的の自殺が考えられるのではないかというご指摘で はないかと思います。まず、そこを確認したいということです。その場合ですと、例えば 「明らかな者」を除くという部分の運用はどうするかということで、ではレシピエントの 方が親族にいらっしゃる方が自殺した場合は、親族提供目的の可能性があるので、そうい う運用にする。コーディネーターさんがレシピエント登録を調べて、レシピエントがいる ということであれば自殺されるとひょっとすると親族優先提供目的ではなかろうかという ことが考えられるということで、親族優先提供は止めるという運用にするというのが動機 のところではあるのかなと思います。 ○永井委員長 しかしそれが現場でいろいろ判断が分かれてしまうと、ガイドラインとし ては混乱を招くのではないかと思います。もっと明確に書いたほうがいいだろうと思いま す。ですから冒頭の「目的として」までを削るか、あるいは「レシピエントがいらして優 先表示をしていた方が自殺を図った場合は」など、完全に削るか別の言葉で置き換えるか、 あるいはこのままか。 ○木下(勝)委員 私はいま説明されたとおりで、もしもレシピエントがいない方で自殺 をなさった場合には、親族へ臓器を優先提供するというような気持の意思表示をしていた としても関係ないわけです。そういう目的であるはずはないわけで、仮に自殺したという のは少なくともその目的はないわけでありますから、これは一般的な仮にそういうような 意思表示をしたところで、目的としたかどうかということは普通はあり得ない話なので、 これはもしも一般的な自殺と同じに考えて、それは臓器提供していいとなれば、それはそ ちらに回していいと。しかしもしあくまでもこの問題というのは、レシピエントがいらっ しゃるという方が自殺した場合に限っての話ではないかなと思ったわけでので、そのよう に限定したほうがわかりやすいかなと思ったのです。それ以外に何か例外的なことがあり 得るかどうかの話なのですが、という思いでした。 ○木下(茂)委員 私も同じ意見です。もしもそこのレシピエントがいるというところを 限定しないとすれば、優先提供を無差別にということはないのですが、ちょっと誤解しな がら、私は優先提供というようなことを書いていく人が、大久保委員の懸念もあったかと 思うのですが、あった場合それで自殺した人は全部はねられてしまいます。だから非常に 今度はドナー提供者数を増やそうなど、そういう根本的なところにも増えてくるような話 ではないかと思います。 ○奥山委員 この問題は要するに、次に関わるのだと思うのです。「第三者提供をあり」に するのであれば、「親族提供なし」だけで問題はないのです。レシピエント対象がいようが いまいが、親族提供なしなのですから、親族提供だけなしにして、その他はありだったら ば、それは全く問題ない。レシピエントがいるかいないかはまた関係なくなるのです。そ うではなくて、第三者提供もなしにするということになれば、レシピエントがいるかいな いかで分けたほうがいいのだろうと思います。だから第三者提供のありなしをまず先に議 論していただいて、第三者提供がなしということになった場合は、レシピエント登録があ りなしで分けるべきだと思います。 ○永井委員長 そうするとまた自殺の動機の話になってしまうので。 ○奥山委員 失礼しました、まずは動機に関しての私の意見は先ほどから変わらないので。 ○永井委員長 それはどのようにお考えですか。 ○奥山委員 動機に関しては、「親族への臓器を優先的に提供することを目的として」とい うのは外していただいて、その後は第三者提供ありなしで、後の文言がどうなるかという ことを考えたほうがいいだろうと思います。 ○大久保委員 私はこれでいいのかなと感じていたのですが、私の場合は抑止をどうする かだけなので、抑止の場合は動機自体がどこまで確定できるかと考えると、もう確定でき ないのであれば、自殺をした者については優先提供を一切認めないとすべきだと思います。 ○相川(厚)委員 私もそうですね。自殺をした者で、親族の優先提供を認めないという ことでいいと思います。しかし実際は運用上何回も言いますが、意図的に臓器提供するた めに脳死になるように自殺するということは、ほとんど不可能なことであって、何回も言 いますが、あとは腎臓移植のところだけだと思います。心停止になるように自殺すると。 これも結構難しいです。だから実際はできないのだよということを広報することがいちば ん大事であって、だからこれはそれほど文言にはあまり問題はないのではないかという気 はするのです。 ○貫井委員 自殺を図った者が、親族へ臓器を優先的に提供することは見合わせる。その 後で第三者にやるかやらないかというのは後で決める。つまり親族以外にはいやですとい う場合は、第三者にあげられませんし、駄目でも第三者にいいですよという方がいらっし ゃるかもしれない。それはそれで認めていいという2つの道に分かれるのではないかと思 います。 ○永井委員長 まずは除いたほうがいいということですか。 ○貫井委員 自殺をした人に関しては、親族への優先的臓器提供は認めないとしておいた ほうがいいのではないかと思います。 ○小中委員 家族を目の前にすると、非常に厳しいなという思いがどうしても頭の中に出 てきてしまいますから、最初にここに書かれていた「明らかな」というところをきちんと 決めていただいたら、可能なのかなと思いながらはいたのですが、非常に難しい部分とい うことを先ほどからお話を伺っていますと、致し方がないのかなという思いもしておりま すので、自殺をされた方からの親族を第一にするということをやめることは致し方がない かなという思いはします。 ○佐野委員 私も自殺を図った者が、親族への優先的な提供を認めないというのがいいと 思います。 ○永井委員長 白倉委員はいかがですか。 ○白倉委員 同じです。 ○町野委員 「提供を目的とした」という文言はやはり維持する。なぜかと言うと、先ほ ど申したとおり、レシピエントがいないといった、具体的に親族がそのときにいないとい うときについて、これは要するに関係ないとしていいのではないかという議論なのですが、 それはどういうことかというと、基本的に親族に対して臓器を提供したいということが目 的となって自殺したわけではないということです。したがって明らかにそのことを目的と して自殺したものでないときについては、これは認めないと。そのうちの1つの場合がそ うだという理解ですから、そうだとするならばやはり移植させるための目的で自殺した場 合に限るというのが、やはり基本的な考え方なのだろうと思います。そしてそのようにし ても「明らかに」というのを取れば、おそらく問題はないだろうというのが私の意見です。 ○松原委員 自殺者をなくしたいという思いがありますので、やはり自分の子どもや親に も提供するために、自殺をするということはいけないことだと思いますので、このとおり でいいと思います。 ○永井委員長 動機のところは除くということですか。このとおりでよろしいのですか。 ○松原委員 親族へ臓器を優先的に提供することを目的として、自殺を図るということは、 いけないことなので。 ○永井委員長 ただ動機の原因がわかりにくいので、「これは除いて自殺を図った者は」と したほうがいいのかどうかということなのです。文書の書き方の問題なのです。 ○松原委員 書き方の問題ですか。これでいいと思うのですが、何か問題が。 ○永井委員長 ですから「世をはかなんで」と遺書に書いてあったときに、それが親族優 先の臓器提供目的かどうかわからなくなってしまうではないかということです。 ○松原委員 しかし親族にそういう方がいらっしゃったら、やはり嘘だと思いますから、 駄目ですね。 ○永井委員長 嘘だと思うかどうかが人によって判断が違うので、ややこしいですねとい う議論だったわけです。 ○松原委員 それをどのように書くかはよくわかりませんが、いわゆる親族にそういう人 たちがいる場合、自殺を図ってその人にあげるということは駄目ということです。 ○宮坂委員 「倫理的な観点から、自殺者の親族優先提供は認めない」と簡単にしたらど うかと思います。 ○山本委員 私はこの目的はこのまま残したいと思います。「親族への臓器を優先的に提供 することを目的として、自殺を図った者からの」、この先の所ですが、もう一度ここの所は 親族への優先的な臓器摘出はできない」。そういうところで、あとの所は少し含みを残すと いうことです。 ○永井委員長 趣旨は皆さん同じだと思うのですが、それをどう書くかが問題になります ので、それは運用に関わってきます。やはりいま全体のご意見を聞くと、これはないほう が運用しやすいと私は理解したのですが、よろしいですか。その上でどうするかという、 優先提供のみ、あるいは臓器摘出をすべて見合わせるのか、臓器摘出をしても優先提供の みを見合わせるか。つまり第三者提供を行うかと。そこの議論になりますが、そういうま とめでよろしいですか。 ○山本委員 それでいいと思います。 ○峯村室長 事務局からお話させてください。いまの議論を伺った上で、文言のあり方、 定義の仕方を考えると、先ほども若干触れましたが、「明らかな」という所は削除して、「目 的」という所はやはりよりきちんと確認ができるという意味で言えば、レシピエント登録 をしている家族がいると。その場合でなおかつ「親族優先提供の意思表示をしている人が 自殺をした場合は」という書きぶりであれば、現場での確認という点では、スムーズにい くのではないかと考えております。 ○永井委員長 目的は除いてということですか。 ○峯村室長 ですから具体的に言えば、「親族へ」から「明らかな者」までを次の表現、「レ シピエント登録をしている家族がいて、かつ親族優先提供の意思表示をしている者が自殺 をした場合は」ということであれば。 ○永井委員長 それは優先提供はいけないという、できないということですが、結局は第 三者提供するかどうかにそこはかかってきて、同じ問題になるのです。何も書かないで第 三者提供も見合わせると書くか。書いておけば、あるいは第三者提供は可能とするかとい うことで、いま事務局が提案された「レシピエントあり、優先意思表示あり」というのは 理屈からは全部含まれてくるはずなのです。ですから論点を「第三者提供はどうするか」 ということでお聞きしたいと思います。時間がないので順番に木下委員から、優先提供は しません、見合わせるということだと思いますが、では第三者提供はどうなのですかと。 ○木下(茂)委員 いや、そのときにレシピエントがいるかいないかによって、優先提供 の所が変わってくるように思うのですが、そうではないでしょうか。レシピエントがいて の場合の第三者提供はないということであっても、漠然と言うか、漠然と優先提供ありと 書いている人がいたときに、その人の第三者提供を認めないとなってしまうと、非常にま ずいことになります。 ○大久保委員 事務局が言ったのは、基本的にレシピエント登録をしている人で、なおか つ優先提供の意思表示をした人については、提供を認めないのですから。 ○木下(茂)委員 そうなのですが、永井先生がおっしゃっているのは、文言としてはそ の前のほうを消してしまうということになると。 ○大久保委員 そのときにそれをいま入れるという話が出てきた。もしもそうだったら限 定されてしまって、レシピエント登録している人だけの話になってくるので、それ以外の 自殺者は一切関係なくなってしまう。 ○永井委員長 ですから自殺者の第三者提供をどうするのですかということなのです。 ○峯村室長 先ほど事務局でお話したのは結論のところまで言うと、第三者提供は認めな いという結論になっていくということでお話させていただきましたが。 ○大久保委員 先ほどの話では、いちばん最初の文言の所に「レシピエント登録をしてい る人でなおかつ優先提供を希望した人が自殺をしたときには」となるわけです。ではその ときにレシピエント登録をしていない、している人がいなかった場合は、そこからもう先 に除外をされてしまう話になってしまいます。 ○峯村室長 そこの部分の扱いの議論ということですね。 ○大久保委員 先ほど事務局が言われたことをそのまま取ると、レシピエント登録をして いる人がいなければ、もうそこで外れてしまって、第三者提供できるという文言になって しまいますよと言っているのです。 ○奥山委員 それは第三者提供できるのですが、逆にレシピエントがいた場合は第三者提 供ができないということになるわけですね。 ○木下(勝)委員 そうです、私はそういう意見です。文言をどうするか。 ○永井委員長 レシピエントがいらした場合は第三者提供できない。ですから第三者提供 でもできる場合とできない場合があって、できる場合はレシピエントがおられない場合。 できない場合はレシピエントがおられる場合。 ○町野委員 いま大久保委員が整理されたように、この文言に当たるかどうかというだけ の問題ですから、この文言の中で書き分けるという問題ではないのですよね。これはいつ 適用があるかという問題で、適用がないときについては、普通の議論ですよというだけの 話ですよね。 ○木下(勝)委員 私も同じように、もしも先ほど事務局が言ったようなことの場合には、 やはり第三者にもしないということ。なぜかと申しますと、例えばこのように書いてある にもかかわらず、実は本当の思いとしては家族に提供したいのだということで自殺してし まった場合に、でもそれはもう当然そのとおりにならないわけです。そのような場合は第 三者の人にオーケーだとすると、非常に不本意なことになるかなということになりますの で。 ○永井委員長 レシピエントが親族におられない場合は。 ○木下(勝)委員 おられない場合は関係ない話、一般の自殺になってしまいますから、 しかし、いた場合に自殺をしたとします。そうすると当然優先的には提供できないが、実 は本人の思いとしては本当は提供してもらいたいなと思いつつ、やはり自殺してしまうこ とがあるかもしれない。そういう場合に本人の意に反して第三者にあげるのだというのも、 これも変な話だと思います。こういう場合にはすべて親族であれ、第三者であれ提供しな いのだとするのがすっきりするのではないかと思います。 ○永井委員長 そうすると木下委員のご提案は先ほど削った部分に、まず優先意思表示が してあって、かつ親族にレシピエント登録者がおられる場合は摘出しないということです ね。 ○木下(勝)委員 そうです。 ○永井委員長 ですからかなり限定したところではじめは入っていく。 ○木下(勝)委員 この話はもう極めて例外中の例外のようなケースだろうと思うだけに、 数としては決して多くなるはずがないと思うだけに、そういう縛りをかけてもいいのでは ないかなと思います。 ○奥山委員 これを絶対にというように思っているわけではないのですが、例えばご家族 の方が自分の子どもには親族優先ができなかったかもしれないが、ほかの同じような病気 の方のためにと思われたとしたら、第三者提供を認めるルートは残しておいてもいいので はないかと思います。 ○大久保委員 基本的に抑止とだけ考えていますので、こういう形でレシピエントがいて、 親族提供、優先提供の意思表示をした人が自殺した場合については、臓器提供しないとし たほうが、一切の臓器提供はできないとしたほうがいいと思います。それ以外に関しても、 対象のレシピエントがいない場合は、全く問題はないと思います。 ○相川(厚)委員 私は移植医ですから、奥山委員の意見に賛成です。当然第三者の提供 は残しておくべきだと思っています。 ○貫井委員 この4-3に「特定の者に限定するときは駄目」と書いてあります。ですから そういう特定の者ではなくていいですよと、是非どなたかにあげてくださいというときは、 臓器提供を認めていいのではないかと思います。ですから奥山先生と同じ意見です。 ○小中委員 選択する家族は非常に難しいでしょうが、枠を狭めていくよりは、道は置い ておいて、こちらがそれを敢えて聞くということにはならないかとは思うのですが、狭め ていくことはやめたほうがいいと思いますので、第三者の選定の仕方は可能というのは残 しておいていいのではないかと思います。 ○永井委員長 優先提供意思表示があり、親族にレシピエントがおられる方が自殺を図っ た場合は、優先提供は見合わせると。そういう表示ですね。「脳死判定を見合わせる」と書 くか、「優先提供を見合わせる」と書くか。大体その辺りに議論が絞られてきたように思い ますが、佐野委員いかがでしょうか。 ○佐野委員 私も同じで、優先提供だけが駄目で、第三者はいいということでいいと思い ます。ただ大久保先生が言われる抑止力というのはわかるのはわかるのですが。 ○白倉委員 私も全部と言わずに、優先提供だけを禁止する、不可にするというのでいい と思います。 ○町野委員 私は前の原案だったら、これでみんな禁止でよかったと思いますが、かなり 広く、要するに自殺した人から取ってはいけないと、親族優先の場合、いけないといった ときについてはかなりほかの人にあげるのを禁止するのは難しいなという感じは持ってお りまして、だからいちばん最初の所はかなりポイントだっただろうと思います。大久保委 員が言われるのはわかりますが、もし抑止力だけでいったときに、果たして本人が先ほど の例では心臓は優先提供、しかし腎臓等についてはほかの人にどうぞといっているときも、 全部駄目として世の中が納得してくれるかなというのが1つありますが、他方では優先提 供をノーとしておいて、それではほかに回しましょうということで、今度は親族が納得し てくれるかなと思います。  そういう問題がありますので、移植医の立場からと言われるのもよくわかりますが、周 りがこのことを受け入れてくれるかという話です。問題はこの制度はいろいろまだ議論す る点はあると思いますが、結局移植医療がどうしたら定着してくれるかという話だろうと 思います。 ○相川(厚)委員 ただオプションとして家族が反対したら、もうその時点で第三者が駄 目になるわけですからどうなのでしょうか。 ○松原委員 私も奥山委員と同じ意見です。家族の方が賛成してくださればいいのではな いかというものを残しておいていただきたいと思います。 ○宮坂委員 自殺者の優先提供はないという。それで第三者は認めるということでいいと 思います。 ○山本委員 皆さんの意見と同じです。私は最初から親族への優先臓器摘出はできないと いうことだけをポイントに言っておりますので。 ○永井委員長 事務局、大体そういう取りまとめでよろしいですか。文章はご検討いただ くことにして。私はやはり目的の内容が云々である、明らかがどうかなどは、少し主観的 な判断が入るので、もう少し外形基準で条件を設定したほうが運用はしやすいのではない かということで、いまの大勢のご意見に賛成したいと思います。 ○宮坂委員 それもわかるのですが、現場では自殺かどうかもわからないというところま で話がいくので、この程度でいいかなと思いました。 ○峯村室長 いまご意見が出た中で、第三者提供を認めるという意見が多かったのではな いかと受け止めております。事務局の考え方としては、自殺自体について抑止的に止める と、またその心理的な状況を見ると、提供意思として慎重な判断が必要なのではないか。 あるいは限定提供と見るべきではないかと。そういう判断をして原案を提示させていただ いたわけです。この意見も踏まえて最終的な検討をさせていただくことにします。 ○永井委員長 そのほか省令案、ガイドライン案でご質問・ご意見があればお願いします。 ○大久保委員 私だけが言っているので、皆さんはほとんど賛同して、いままでしていた だいていないのですが、基本的に家族の名前を書いても、それは医学的にほかの人に行っ てもいいですよという話になっています。だから2人いる場合に、「花子」と書いても、「太 郎」のほうが医学的優先だったら、そちらに行きますという。 ○永井委員長 そこの議論がまだ少し残っています。 ○大久保委員 それは本人が名前を書いていれば、その名前を書いている人に行くほうが ごくごく一般社会的に言っても、普通の考え方ではないかなと思います。優先提供の作業 班自体は元々が親族だけに限って、できれば親族だけであまり誰々ということを決めない で、意思表示をできるだけしてもらいたいという方向でもともと結論を出されていたので、 その辺からすると医学的に見るのが妥当だとおっしゃるのだろうと思うのです。この前の 普及班の中での話では、やはりほとんどが自分の親、妻、子どもなどというように固定を して、その名前なりを浮かべて書くのではないか。その中で2人いるときに、どちらかを 書くというのはごく当たり前、異常なことではないというお話も出ていました。親子であ ろうと、3人の子どもがいたら、そのうち全員が同じように平等に愛しているわけでもな い、兄弟間においても当然争いは山ほどあります。おそらく弁護士、法律の方は皆さんよ く知っています。その辺も含めて。 ○永井委員長 4の留意事項の(3)の件です。状況としては例えば、家族性の病気で兄弟 が何人か例えば心臓病になっておられると。非常に重くてどの子もみんな移植が必要であ る状況です。ガイドライン案の4の留意事項の(3)です。そのときに母親が脳死状態にな って、その前に意思表示として長男にあげてくださいと書いてあるような場合です。 ○峯村室長 いまご確認されている部分は1頁の第2。 ○永井委員長 ここにも少し書いてありますね。 ○峯村室長 「また」以下の所です。 ○永井委員長 わかりました。ではこちらのほうで。留意事項にも似たようなことが書い てあるのですが、表紙の第2の「2.意思表示の方法」です。「親族に対し臓器を優先的に提 供する意思は、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思に併せて、書 面により表示することができる。また、特定の親族を指定し、当該親族に対し」という、 「指定し」という所ですね。「その場合には当該臓器を当該親族を含む親族全体へ優先的に 提供する意思表示として取り扱う」と。兄弟2人、3人が重い心臓病になっていて、みん な移植を待っているという状況で、長男にあげてくださいということを優先的に認めるか と。しかし状況によっては、実は次男のほうが医学的に急ぐという場合もあるわけです。 そのときにどちらを優先するかという判断です。難しいです。 ○相川(厚)委員 医学的な条件で、絶対駄目だという場合が当然あり得るわけで。 ○大久保委員 それは別にして、同じ条件であって、ステータスがIで、登録の日数が違 うということもあるから。医学的に駄目なら、それは当然駄目だと思います。 ○相川(厚)委員 だからそういう場合には順ではなくてご親族。 ○大久保委員 医学的に同じ場合でも、当然登録が早いほうが先ですから、その優先度の 話だけなのです。医学的に駄目な人にやってくれという話ではなくて、医学的に両方とも 受けられる話であって、ただ要するに優先順位がどちらが上で、指定した人以外に上の人 がいた場合に、そちらにいくということに対して、どう思われますかという話です。 ○相川(厚)委員 それについてはやはり医学的なものがかなり影響すると思います。 ○永井委員長 実は我々もいろいろ経験するのですが、人工心臓を植えて、後から植えた けれども、人工心臓の調子が悪くなって、状態がどんどん悪化してくるということもある のです。そうすると単に待ち時間、待機日数ではなくて、逆転する場合もある。そのとき の医学的判断というのは結構重いかなと思うのです。 ○大久保委員 ただ要するにほとんど心臓が多いかと思いますが、心臓の場合で2人が並 んでいて、両方とも少なくとも半年から1年以内には移植しなければ死んでしまうという ときに、片方が何カ月か早いか、先かというだけで判断をされてするということが、当然 なってくるわけです。医学的に全然駄目だという話は別ですが。 ○相川(厚)委員 医学的に同等な場合には、おそらくコーディネーターが家族と相談し て、もちろんその方のご希望を聞き入れることになるので、それほどリスクはないと思い ます。 ○町野委員 最初から法律の作業部会は1人しかこの中にはいませんので、だからお前が 法律家と言われるとかなり困るのですが、事務局で補足していただきたい。最初から親族 一般と限定して議論したわけではないです。やはりかなり恐れたのは、1つはいまのよう な優先の順位が、本人の恣意と言うか、意向だけで決まって構わないのか。やはり医学的 なことを考えなければいけないのかということと同時に、もしこのような者をAさんとい うように名指しで認めて、それを優先するということになると、まさにパンドラの箱を開 けたことと同じことになる。事態としては複数の人がそういうことというのはあまり考え られないのですが、もしあったときについては、例えば親子、子どもが何人かいたときに ついて、非常に深刻な問題を起こすだろうということも考慮したことは事実です。 ○大久保委員 どちらにしても深刻な問題です。 ○町野委員 ただ、そのときに医学的にもちろんありますが、親は例えば子どものうちの Aと言っていたけれども、Bのほうがやはり医学的には優先順位が高いといったときに、そ れでは親の意思に従って、Aにしてやるということなのか、そのことについての問題の起 こり方と、もう1つやはり医学的に見てBのほうが必要としている度合いが高いから、そ ちらにするとしたほうが、どちらがやはり皆さん方は受け入れてくれるかという話だろう と思います。そういうことを考えた上でそうなったということです。 ○松原委員 親族と書くだけで、誰々になどという指定はなくしたほうがいいのではない かと思います。それはあまり差別してはいけないという気持があります。 ○永井委員長 医学的な判断に任せるということですね。 ○松原委員 そうですね。だから名前を書いて指定はしないでくださいということを入れ たほうがいいのではないかと思います。差別があると思いますので。 ○大久保委員 一応この前議論をして、基本的にほとんどの人は親族と思わないで、自分 の誰々と思っているとしか頭に浮かばないから、名前を書きますよという議論をしたので す。 ○松原委員 そうなのですか。 ○大久保委員 一応それで議論はしたのです。 ○貫井委員 名前を書いてもいいが、それは親族と解釈しようと。大久保委員が言われる 「情」の部分です。これを取り上げていると大変なことになって、例えば兄弟でも入れろ よなど、結局やはり医学的判断でしましょうということにしておいたほうがいいと思うの です。確かに気に入った子にあげたい。こちらよりもこちらにやると、いろいろなことが 絡んできますので、やはり最終的には医学的な判断で優先順位を決めましょうとしておい たほうがいいと思うのです。特定の人にあげたい、それにあげるとなると、とめどなく、 では兄弟にもあげたい、従兄弟にもあげたいというのが情の部分でいくと出てくる可能性 が当然あると思うのです。 ○大久保委員 基本的に医学的にやったほうが、争いが少ないと先生がおっしゃるので、 医学的にやったほうが争いが起こると私は思っているので、そう言っただけなので、それ を広げるなどという意味ではなくて、どちらが争いが起こるかというのは、名前を指定し て、医学的にほかの人にいくほうが争いが起こるかなと私は思っただけです。 ○町野委員 争いが現実に起こるかということだけではないのです。それは結局法律家は、 遺産相続のときにどれだけの争いがあるかと。感情的なそれというのはずいぶんたくさん 見ておりますから、これが例えば腎臓などとなったとき、おそらく想像を絶するようなこ とが起こるのではないか。その点の危惧がかなり強かったということなのです。 ○大久保委員 どちらにしても起こるのは起こるのです。 ○永井委員長 いかがでしょうか。ですから1つは名前が書いてあっても、それは親族と 読み換えるということ。実際のレシピエントについては、医学的に任せるということで、 まずスタートしてみると。 ○大久保委員 周知徹底はよくする。 ○永井委員長 そのほか何かご意見はございますか。 ○佐野委員 ということは、医学的というほうが優先順位よりは優先するということです か。 ○永井委員長 そういうことですね。名前が書いてあっても、それは単に親族と書いてあ るということですね。 ○宮坂委員 それでいいのですが、先ほど委員長は例えば待機時間などとおっしゃってい ましたが、それも含めて医学的という意味ですよね。 ○永井委員長 そういうことです。 ○大久保委員 基本的にネットワークの中の順位でいちばんの人にいくということですよ ね。上位にいる人にいくということですね。 ○永井委員長 よろしいですか。そうするとまたお気づきの点がありましたら、明日まで でも結構ですがご連絡いただくこととして、もう少し検討する課題がありますので、先に 進ませていただきます。各作業班の検討状況についてのご報告をお願いします。 ○峯村室長 長時間の議論ありがとうございます。資料4、レシピエントの選択基準につ いての議論として、前回心臓と肺、それか心肺同時のレシピエント選択基準をお示しをし ましたが、資料4の2枚目のスケジュールを見ていただくと、12月11日の角膜移植の基準 等に関する作業班をもちまして、すべての臓器に関する作業班でレシピエントの選択基準 に関する議論が行われました。かなり長時間、また臓器ごとにそれぞれ精力的な議論をし て、今回肝臓と膵臓、腎臓、小腸、角膜のレシピエントの選択基準について取りまとまり ましたのでご報告します。いずれも適合条件をクリアした後に、優先順位の第1位に親族 を位置づけるということで了解をいただいています。  まず肝臓のレシピエント選択基準は、適合の基準を踏まえて、具体的選択方法のところ で、優先順位の第1位に優先すべき親族を優先するということで位置づけられています。 肝臓の場合、それから後ほど説明しますが、小腸の場合は、HLAの血液型の適合によって、 親族の場合でもその型によっては拒絶反応が起きる場合があるので、極めて限られた事例 です。その場合は移植に馴染まないということで除くとしております。また同時移植とい うことで、肝臓と腎臓、膵臓と腎臓といった移植が行われますが、いままでは同時移植の ほうが、単一の移植よりも重症度が高いということで優先順位が高かったわけですが、今 回は同時移植の場合と単独の臓器の親族の移植の場合においては、親族の移植のほうを優 先すると。つまりすべての場合において、親族への優先というものが優先するという扱い になっております。  膵臓も同様の扱いになっております。膵臓の場合は膵腎と肝腎ということで、肝臓と腎 臓、膵臓と腎臓という形での移植が行われます。それについての同時移植よりも、親族の 単独の移植のほうが優先するという規定ぶりが置かれております。  腎臓も同様で、優先すべき親族を優先するということで、親族が第1位にきております。 小腸も同様です。優先順位のところで、当該親族が優先する。ただ血液型の適合の問題に ついて、肝臓と同様に拒絶反応が起き得る場合については医学的理由から除くとしており ます。  角膜については、ネットワークではなく、各アイバンクで基準をそれぞれ作っておりま すが、標準基準ということで、レシピエント選択基準を示しております。いずれの場合で も優先すべき親族が第1位にくるということで位置づけをしております。以上です。 ○永井委員長 ただいまのご説明にご質問・ご意見いかがでしょうか。 ○相川(厚)委員 補足してよろしいでしょうか。私は作業班に入っておりましたので、 腎臓移植のところが従来はABO血液型一致ということだけで、一致する者しか亡くなった 方からの提供の選択基準がなかったのです。それを一致及び適合というように今回変えて おります。これはやはり親族に優先提供が例えば、O型の親からA型のお子さんへという 場合には、いまのこの法律では一致している者でないと駄目だということになりますので、 それもやはり考慮した上で親族優先提供がスムーズに行われるということで、文言を変え ていただいた次第です。ただ、3の具体的選択法の所に、「もちろん一致する者を適合する 者より優先する」という事項がありますので、いままでの死体腎移植に関しては、それほ ど支障がないと考えます。 ○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ご意見がなければご了承 いただいたということにさせていただきます。また問題点があれば後ほどお申し出くださ い。もう1点「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班」の検討状況をお願いします。 ○峯村室長 普及啓発に関する作業班ということで、資料5です。10月13日と12月7日 と2回開き、親族への優先提供についてどのように国民の方々に周知していくかというこ とで議論を行いました。意思表示の所は先ほど来議論されておりますので、そこは割愛し ますが、普及啓発を行う手段とスケジュールということで、後ろに別紙ということでスケ ジュール表を付けており、そちらをご覧ください。時期として今日は12月18日ですが、 施行が1月17日ということですので、1カ月を切っているわけです。ガイドラインの改正、 きちんとガイドラインの内容が固まる前、固まった後の間で改正の内容としては、固まる 前には法改正の概要の周知を基本的には行う。ガイドラインの内容がきちんと固まった場 合は、親族の範囲、優先提供の内容、意思表示の方法について周知を図っていく。その2 段階で行うと。非常に短い間でそれを進めていきたいと考えております。基本的な手段と して、臓器移植ネットワークのホームページ、あるいは厚生労働省のYou Tubeといったイ ンターネットに基づく普及啓発を行っていきたいと考えておりますが、そのほかにポスタ ーやタックシールについての啓発も行っていきたいと考えています。また一般の方々につ いてはそうですが、既に意思登録をされている方については、メールによる通知、あるい はレシピエント登録をしているご家族の方には、ご家庭用のパンフレット送付といった少 し対象に応じたきめ細かい周知を図っていきたい。さらに医療従事者については、通常の 通知に合わせ、学会への協力もお願いをして、学会の広報に周知をしていただくことを考 えております。  また具体的に内容が固まった後についても、同様に普及啓発資材を使って、啓蒙を図る わけですが、たとえば医療従事者については、コーディネーターに対して研修会、あるい はさまざまなマニュアルの配付ということもあわせて やっていきたいと考えております。 以上です。 ○永井委員長 その際、自殺防止ということを十分にご留意いただきたいと思います。 ○峯村室長 はい。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。よろしければこれで本日の議題はすべて終了しまし た。最後に事務局から連絡事項をお願いします。 ○峯村室長 それでは時間を大幅に過ぎましたが、非常に活発なご議論ありがとうござい ました。来年1月の親族の優先提供の意思表示に関するガイドラインについては、本日、 さまざまな意見をいただきましたので、それを踏まえて改正案文を作成、検討していきた いと考えております。今後、委員の皆様にはまたご相談させていただき、政務三役までの 省内としての意思決定手続を経るということになろうかと思っております。そういう意味 で審議会の議論を経たわけですが、最終的な決定まで議論が続くということをご了承いた だければと思います。次回の日程については、先生方の日程を調整の上、またご連絡いた します。本当に今日はお忙しいところありがとうございました。 ○相川(厚)委員 時間をいただいて申し訳ないのですが、臓器移植関連学会協議会があ ります。これは1団体つまり日本医師会です。それから26学会、そして6研究会、これは 日本移植学会、例えば救急医学会です。それから集中治療学会、そのような提供側と移植 側が合わせて一応このような提言という形で、今回臓器移植法に関する諸問題について提 言を2カ月間でまとめました。これは移植学会だけではなくて、そのような提供側の意見 も十分踏まえた上で出したものです。2つに分かれていますが、臓器提供施設における諸 問題と標準的な手順と、臓器移植ネットワーク、これは日本臓器移植ネットワークではな く、臓器移植のネットワークのシステムということです。それにおける諸問題と標準的な 手順ということで、2つの大項目に提言を出しております。これは是非できれば参考にし ていただき、これは現場のドクターからの提言ですので、是非それをご覧になっていただ き、議論の糧にしていただければ幸いです。よろしくお願いします。今日は委員の方にお 配りさせていただきます。 ○永井委員長 それではこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365