09/12/17 平成21年12月17日医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験出題基準改定部会議事録 医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験出題基準改定部会議事録 1.日時及び場所   日時 平成21年12月17日(木)15:00〜    場所 三田共用会議所 講堂 2.出席委員(46名)五十音順   旭   満里子   石 田 寿 昌   市 原 和 夫   井 手 速 雄   伊 藤   喬   井 上 圭 三   上 田 志 朗   上 野 雅 晴   生 出 泉太郎   大 石 一 彦   岡   淳一郎   荻 田 喜代一   奥   直 人   奥 田 真 弘   小 澤 孝一郎   小野嵜 菊 夫   片 岡 泰 文   堅 田 利 明   金 尾 義 治   金 澤 秀 子   亀 井 美和子   児 玉   孝   鈴 木   孝   高 橋   寛   辻 本 豪 三   手 島 玲 子   寺 崎 哲 也   寺 田 勝 英   豊 岡 利 正   長 友 孝 文   永 野 康 己   中 村   洋   夏 苅 英 昭   成 松 鎭 雄   原 山   尚   平 塚   明   平 野 和 行   藤 原 英 俊   三 木 知 博   宮 田 興 子   宮 本 悦 子   宮 本 法 子   山 崎 正 利   山 田   洋   吉 川 雅 之   渡 邊 善 照   3.欠席委員(10名) 井 関   健   岩 本 喜久生   大 石 了 三   櫻 井   弘   高 野 幹 久   手 島 邦 和   那 須 正 夫   早 川 和 一   藤 田 卓 也   堀 内 龍 也       4.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長) 岸 田 修 一(大臣官房審議官)   熊 本 宣 晴(総務課長)   山 本   史(薬事企画官)   近 藤 恵美子(総務課長補佐) 他 5.備考   本部会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 ただいまから平成21年度第1回「医道審議会 薬剤師分科会 薬 剤師国家試験出題基準改定部会」を開催いたします。  本日は委員の先生方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして誠 にありがとうございます。傍聴の方におかれましては、カメラ取りは議事に入る前 までということでお願いをいたします。  本日は第1回目の部会ですので、事務局よりご出席の委員を五十音順にご紹介を させていただきます。お手元の資料1に委員の名簿をお配りしております。大勢の 委員の皆さまいらっしゃいまして、また本日の席の並びが五十音順ではありません ので、多少席が順序しますが、名簿にしたがいご紹介いたします。  国際医療福祉大学薬学部教授・薬剤部長の旭満里子委員。大阪薬科大学教授石田 寿昌委員。北海道大学薬学部教授の井関健委員は本日ご欠席です。北海道薬科大学 薬学部教授・薬学部長市原和夫委員。東邦大学薬学部教授井手速雄委員。昭和大学 薬学部教授伊藤喬委員。帝京大学薬学部長井上圭三委員。愛知学院大学薬学部教授 岩本喜久生委員はご欠席です。千葉大学大学院薬学研究院教授上田志朗委員。富山 大学薬学部教授上野雅晴委員。(有)おいで薬局生出泉太郎委員。明治薬科大学教 授大石一彦委員。九州大学薬学部教授大石了三委員はご欠席です。東京理科大学薬 学部教授岡淳一郎委員。摂南大学薬学部教授荻田喜代一委員。静岡県立大学薬学部 教授・薬学部長奥直人委員。三重大学医学部附属病院教授・薬剤部長奥田真弘委員。 広島大学薬学部教授小澤孝一郎委員。名古屋市立大学薬学部教授小野嵜菊夫委員は 遅れてお出になります。福岡大学薬学部教授片岡泰文委員。東京大学大学院薬学系 研究科教授堅田利明委員。福山大学薬学部教授金尾義治委員。慶應義塾大学薬学部 教授金澤秀子委員。昭和大学薬学部教授亀井美和子委員。社団法人日本薬剤師会会 長児玉孝委員。鈴鹿医療化学大学薬学部教授櫻井弘委員はご欠席です。日本大学薬 学部教授鈴木孝委員。広島大学大学院医歯薬総合研究科教授高野幹久委員はご欠席 です。佐野調剤薬局高橋寛委員。京都大学薬学部教授辻本豪三委員。昭和薬科大学 大学院客員教授手島邦和委員はご欠席です。国立医薬品食品衛生研究所手島玲子委 員。東北大学薬学部教授寺崎哲也委員。東邦大学薬学部教授寺田勝英委員。静岡県 立大学薬学部教授豊岡利正委員。新潟薬科大学薬学部教授長友孝文委員。永野薬局 の永野康己委員。東京理科大学薬学部教授中村洋委員。大阪大学薬学部教授那須正 夫委員はご欠席です。帝京大学薬学部教授夏苅英昭委員。岡山大学大学院医歯薬学 総合研究科教授成松鎭雄委員。金沢大学医薬保健研究域薬学系教授早川和一委員は ご欠席です。前徳島文理大学香川薬学部教授原山尚委員。東京薬科大学教授・薬学 部長平塚明委員。岐阜薬科大学教授平野和行委員。立命館大学薬学部薬学科教授藤 田卓也委員はご欠席です。新潟薬科大学薬学部教授藤原英俊委員。社団法人日本病 院薬剤師会会長堀内龍也委員はご欠席です。武庫川女子大学薬学部教授三木知博委 員。神戸薬科大学薬学部教授宮田興子委員。北陸大学薬学部教授宮本悦子委員。東 京薬科大学薬学部准教授宮本法子委員。帝京大学薬学部教授山崎正利委員。一橋大 学法学研究科教授山田洋委員。京都薬科大学教授吉川雅之委員。昭和薬科大学教授 渡邊善照委員。以上の委員です。  引続き事務局を紹介いたします。  医薬食品局長の高井です。大臣官房医薬担当審議官の岸田です。医薬食品局総務 課長の熊本です。薬事企画官の山本です。私、事務局の近藤です。どうぞよろしく お願いいたします。  それでは事務局を代表しまして高井医薬食品局長からご挨拶申し上げます。 ○医薬食品局長 医薬食品局長の高井です。この薬剤師国家試験出題基準改定部会 の開催にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。  まず委員の皆さま方におかれましてはご多用にもかかわらず、本部会の委員の就 任についてご快諾いただきまして、心よりお礼を申し上げる次第でございます。  近年医療の高度化、医療制度改革など薬剤師を取り巻く環境は大きく変化してお ります。質の高い医療を提供するためには、専門的な知識技能はもとより、医療人 としてふさわしい倫理感、教養なども含めた薬剤師の質の向上を図る必要があると 考えております。  また、平成23年度には6年制薬学教育に対応した新たな国家試験が作成される ことになります。本部会は薬剤師国家試験の出題基準の改定に関することについて ご審議をいただくものですが、出題基準は薬学教育6年制に対応した薬剤師国家試 験を作成する上で大きな役割を果すものです。委員の皆さま方におかれましては、 それぞれの専門分野における高いご見識に基づき、精力的にご審議をいただきます ようお願い申し上げます。  簡単ではございますけれども、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願い いたします。 ○総務課長補佐 続いてお手元の配付資料の確認をいたします。  議事次第、番号のついていない資料として、委員の名簿を分野別に整理した先生 方のご専門別に整理をしたもの、座席表。そのほかの資料として、「資料1〜7」。 「参考資料1〜8」、過不足などありましたら申しつけください。  議事に入ります前に薬剤師国家試験出題基準改定部会の部会長と部会長代理の 選出についてご報告いたします。医道審議会令第6条の規定に基づき、部会長は井 上佳三委員が選出されております。また部会長の指名により、奥直人委員が部会長 代理となられています。  カメラ取りはここまでとさせていただきまして、以後の議事進行は井上部会長、 よろしくお願いいたします。 ○井上部会長 ただいま事務局から紹介がありましたとおり、薬剤師国家試験基準 改定部会長にご指名いただきました井上です。  薬剤師教育が6年制になり、平成24年3月には6年制の大学を卒業した学生に 対する国家試験を行うことになります。従来より薬剤師の国家試験の出題につきま して、一定の基準を設け、それに沿って出題されてまいりましたけれども、新たに 6年制の大学を卒業した学生を対象とした国家試験を行うに当たり、その出題基準 を見直す必要があるかと思います。本日は各分野ごとに多くの先生にご出席いただ きましたけれども、本部会の議事が円滑に進むよう、委員の先生方におかれまして も、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事に入ります前に事務局から、本日の進行及び本部会についてご説明いたしま す。 ○総務課長補佐 ここで大変恐縮ではありますが、高井局長が他の公務のために退 席をさせていただきます。  本日のこの部会の進行方法それから、薬剤師国家試験出題基準改定部会について 説明いたします。  まず、本日の進行は、議事次第にしたがい、議題の1、2について1時間から1 時間半程度を目途に事務局からの説明と、委員の皆さまとの検討を実施していただ きます。そこで部会を終了し、その後引続き、現在の席の並びは各先生方のご専門 の科目領域ごとにテーブルを並べておりますので、そのご専門ごとに意見の交換を していただきたいと思います。意見交換をしていただいた内容について、次回の部 会の際にそれぞれの専門領域ごとでこのような意見があったということでご紹介 をいただきたいと思っております。  それから本出題基準改定部会の位置づけについてご説明をいたします。資料の2 と3をお手元にご用意いただければと思います。資料の2は医道審議会令という政 令です。この政令に基づいて、医道審議会というものが設置をされ、2頁に表があ りますが、それぞれ医療職種などに応じて、分科会が設けられております。下から 2番目に薬剤師分科会とありまして、薬剤師法の規定により審議会の権限に属させ られた事項を処理するというふうにされております。この分科会の中にはそれぞれ 部会を置くことになっています。薬剤師分科会が開催された際に部会を設置すると いうことが決まり、資料の3の表にありますように、薬剤師分科会の中には示して います5つの部会が設置をされているところです。  この部会は上から順に、薬剤師倫理部会というもので、薬剤師法に基づく薬剤師 の行政処分について厚生労働大臣にご意見を申し述べる部会です。  その下4つは薬剤師の国家試験に関わるそれぞれの部会です。薬剤師国家試験 K・V部会というのは薬剤師の国家試験の問題内容の妥当性を確認をしていただく もので、薬剤師の国家試験を実施したあとに開催しております。  薬剤師国家試験事後評価部会というのは、薬剤師の国家試験の評価に関すること を実施するもので、薬剤師の国家試験が終わったあとにK・V部会よりはもう少し 長期的大所的な視点から国家試験の問題などの評価をしていただきます。  薬剤師国家試験制度改善検討部会というものは、薬剤師国家試験の出題方法、内 容、形式などの制度、改善の方策についてご検討をいただく部会で、後程説明いた しますが、ここで6年制教育における薬剤師国家試験の骨格について既にご検討を いただいているところです。  薬剤師国家試験出題基準改定部会は、出題基準の改定に関することを行う部会で、 制度改善部会で定められた骨格を基にそれぞれの出題に関してその基準の改定を 行っていただくというものです。なお、申し遅れましたけれども、医道審議会の中 に薬剤師分科会が設置されたのは平成20年4月です。これは医療法、薬剤師法の 改正によりそのような設置がなされたもので、これまで薬剤師の国家試験の出題基 準は厚生労働省医薬食品局長の私的な検討会で検討をしてまいりましたが、この医 道審議会の薬剤師分科会、それからこの部会が設置されたことにより、今後はここ の審議会の中で検討していくといったような位置づけに変更されているものです。 ということで本日はその出題基準改定部会設置後の第1回の部会になります。以上 です。 ○井上部会長 説明ありがとうございます。ただいまの説明について、何かご質問、 ご意見等ありますか。もし特段になければ、議題1「薬剤師国家試験出題基準につ いて」に移ります。  まずは配付資料に基づいて、新たな薬剤師国家試験に関する検討状況、それから 本部会で検討すべき内容について事務局から説明をお願いします。 ○総務課長補佐 資料4、5、6をご用意いただければと思います。  まず資料4に基づいて、現行の薬剤師国家試験について簡単に説明いたします。 既に委員の皆さまはよくご承知のことかと思いますが、法律上の組立てなどを簡単 にご紹介します。  資料4の2頁で、薬剤師法では試験の科目、受験手続き、その他試験に関して必 要な事項は厚生労働省令で定める、というふうに定められております。これを受け て、薬剤師法施行規則では試験の科目として、これは現行ですが、基礎薬学、医療 薬学、衛生薬学、薬事関係法規及び薬事関係制度といった4科目が定められている ところです。さらに薬務局長通知により、試験の実施方法などについて定められて おります。下のほうに、試験出題形式及び解答方法は五肢択一方式を原則として、 出題形式は正しいもの問う方法を原則とすると。  4頁で、過去問の出題は20%とすること。現行の出題問題数は240問とすること。 それぞれの問題数は、基礎薬学が60問、衛生薬学が40問、薬事関係法規及び薬事 関係制度が20問、医療薬学が120問合計240問と定められています。  合格基準は、総合成績が一定水準以上であり、4つの試験科目ごとに一定水準以 上の者を合格とする、ということで、具体的には65%といった数字で運用化されて いるところです。  6頁で、薬剤師の国家試験出題基準というものが医薬食品局長を通じて定められ ております。現在の試験で用いられています出題基準は平成16年3月に通知が発 出され、17年3月に実施されている試験から適用されているものです。具体的には 8頁以降の、10頁で、出題基準についてとして、(1)出題分野、(2)出題項目という ことで、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、薬事関係法規及び薬事関係制度について それぞれ定められています。(3)として留意事項が定められています。  5頁からは出題分野ごとに大項目、中項目、小項目、小項目の内容の例示といっ たものが定められています。それから各分野ごとの出題に対しての留意事項なども 定められています。このような構成になっているものでこれが現行の薬剤師の国家 試験の全体像です。  続いて資料5ですが、6年制薬学教育に対応した薬剤師の国家試験の出題につい て検討するために、厚生労働省では平成19年から薬剤師国家試験出題制度検討会 というものを設置して検討をし、平成20年7月にこの報告がまとめられました。 この報告書2頁目からは現行の国家試験について記載してあり、5頁目以降が今後 の薬剤師国家試験のあり方について記載されています。  この中で、5頁目には薬剤師の国家試験の出題基準についてどういうふうにした らいいかということを、検討会としてのご意見をまとめられております。5頁[1]、 新たな出題基準の策定とその対象範囲ということで、出題基準は引き続き策定をす ることが適当であると。6頁で、新たに策定する出題基準は6年制教育が国民の期 待に応え得る薬剤師の輩出することを目的としてあることを踏まえ、「薬学教育モ デル・コアカリキュラム」と「実務実習モデル・コアカリキュラム」の項目を基本 とすることが適当といったことが示されております。  [2]として、出題基準の体系ですが、現行の「大項目」「中項目」「小項目」「小 項目の内容の例示」といった、その体系を維持し、モデル・コアカリキュラムの項 目について適宜入れ替えをしていくことが適当ではないかといったようなことが 示されております。  各科目としては「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病態・薬物治 療」「法規・制度・倫理」「実務」の7つとすることが適当だと示されております。 6頁の下のほうでは、この検討会を実施していく中で、「薬学教育モデル・コアカ リキュラム」「実務実習モデル・コアカリキュラム」に示されている表記を出題基 準にふさわしい表記を整えるということで、この検討会と並行して厚生労働省から 全国の薬科大学・薬学部に意見照会をしたものがあります。後程ご説明いたします が、それが参考資料の2、3、4にまとめてあるものについて6頁の下から5行目の、 今後医道審議会の下で成案化されることになるが、この医道審議会の下で成案化さ れるというのが本日開催をしております出題基準改定部会ですけれども、その際に は全国の大学に意見照会をした内容を参考とすることが適当ということが述べら れていますので、今後部会の中でもこれらを参考にしてご検討いただきたいと考え ております。  7頁は、出題基準の見直しとして、出題基準の内容についてこれまではおおむね 5年を目途に見直しを行ってきましたが、近年学術の進歩、あるいは薬剤師業務の 変化・進展といったものが非常に急速になっているということで、少なくとも4年 程度に短縮することが適当ではないかといったことが述べられています。出題基準 の見直しの際には、社会的要請や医療の実情などに照らして、必要なものは積極的 に加えていくことが適当ということが述べられています。  7頁以降については、出題分野や、9頁には出題数、11頁は実施方法、出題の形 式、12頁は合格基準、13頁は合否の水準、禁忌肢について。14頁は試験問題のプ ール制などについて、この国家試験の検討会の中でまとめられていたものです。  こういった検討を踏まえ、続いて資料6、新薬剤師国家試験についてということ で、いま説明しました資料5に基づく検討会の検討内容等も踏まえまして、いちば ん最初に医道審議会の構成を申しましたが、この医道審議会の中の国家試験制度改 善検討部会という部会と、その上の薬剤師分科会でご検討いただいて、昨日開催さ れた薬剤師分科会で成案とされたものです。内容は、まず1・として、新薬剤師国 家試験を見直すに当たり、この見直しに至る経緯です。様々な社会的な背景から薬 学教育に6年制課程が導入され、6年制課程を収めた者に国家試験の受験資格が与 えられることになり、そういった状況から薬剤師国家試験出題制度検討会といった ところで検討を行ってきたという経緯を記載しております。  さらに報告書の取りまとめを受け、その後医道審議会の薬剤師分科会と、薬剤師 国家試験制度改善検討部会で検討が行われ、6年制教育を踏まえた新薬剤師国家試 験について見直しが行われた経緯が記載されています。  2番目として、見直しに当たっての基本的な考え方の記載がされています。薬剤 師国家試験を見直すに当たり、1つ目のパラグラフとして、高い倫理観、医療人と しての教養、医療現場で通用する実践力などを確認する必要があるということが書 かれていまして、また薬剤師が、ときとして自らが有する知識等の範囲を超えるよ うな事柄に対して、6年制課程で修得した知識・技能・態度を最大限に発揮し、薬 剤師という資格者として責任のある行動をとることが求められるということが書 かれており、3つ目のパラグラフでは、薬剤師国家試験を通じて薬剤師資格を有す る者として必要とされる基本的な知識を問う。そのほかに薬学の全領域に及ぶ一般 的な理論、あるいは医療を中心とした実践の場において必要とされる知識・技能・ 態度等を確認する、そういったことが記載されています。  2頁目に、3、改善すべき事項として、改善の具体的な内容について記載してお ります。(1)の試験科目の見直しですが、現行の薬剤師国家試験については先ほど ご説明しましたとおり、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学、薬事関係法規及び薬事関 係制度という4科目にされております。しかしながら、薬剤師が実践においてどう いった資質を発揮しているのかと考えたときには、複数の知識を複合的に発揮して いるのであろうと、そのような考えから科目ごとに行う試験を見直し、医療の担い 手である薬剤師として特に必要不可欠な基準的な資質を確認する問題(必須問題) と、それから薬剤師が直面する一般的な課題を解釈、解決をするための資質を確認 するという、一般問題、こういった大きく2つの科目に分けて試験を行うというこ ととしております。具体的に一般問題についてはさらに薬学理論問題、薬学実践問 題に区分をした上で、科目を「物理・化学・生物」「衛生」「薬理」「薬剤」「病 態・薬物治療」「法規・制度・倫理」「実務」と、この7科目として行うと。必須 問題についてはこれらの7科目全部、一般問題のうち薬学理論問題については「実 務」を除く6科目。薬学実践問題については「実務」単独のものと、「実務」とそ れ以外の科目を関連させた複合問題といったことで実施をするというふうにして おります。  (2)で出題基準の見直しについて、先ほどの検討会報告書の中でもご説明いたし ましたが、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」、「実務実習モデル・コアカリ キュラム」の項目を基本とすることが適当と。体系は、現行の出題基準の体系を参 考に「大項目」「中項目」「小項目」と整理をし、さらに小項目には具体例を例示 するということです。また出題基準はこれまでの5年目途の見直しというのを少な くとも4年を目途に見直しを行うこととする、というふうにされています。  次に3頁の(3)の、試験の出題形式、解答形式の見直しとして、これまでの出題 の形式では正答肢を選択する問題を原則とするとしておりましたが、今後は正答肢 を選択する問題を基本とするとはしながらも、そのほか実践ということを念頭にお いた場合には、実践の場で取り得る解答肢の中から最も適切なものを選択する、と いったような問題の出し方や、明らかに誤りである解答肢を選ぶような解答方法。 重要性が低い解答肢を選択する問題などを出題することも必要になってくるとい うこと。ただし必須問題などの場合にあっては、一問一答形式で問うことを基本と するというふうにしております。また、出題に関する情報を小冊子や画像などと一 緒に配付をして活用するといった方法で、例えば添付文書情報等を使う形式につい ても積極的に取り入れることとする、とされております。  また、薬剤師として選択すべきではないような選択肢、いわゆる禁忌肢を含む問 題、このような問題は医師の国家試験などで導入をされているところですが、他の 国家試験の実施状況も踏まえつつ、今後の検討課題とする、というふうにしている ところです。  それから試験問題数の見直しでは、必須問題について先ほど申しましたとおり7 科目を行うとしております。「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」「実務」この4 科目についてはそれぞれ15問ずつ、合計55問。「物理・化学・生物」からら15 問、「衛生」から10問、「法規・制度・倫理」から10問ということで必須問題合 計90問としております。  一般問題は薬学理論問題について、「実務」以外で「薬理」「薬剤」「病態・薬 物治療」からはそれぞれ15問で45問。「物理・化学・生物」からは30問、「衛 生」からは20問、「法規・制度・倫理」から10問を確保ということで以上により 一般問題の薬学理論問題は105問。薬学実践問題のほうは、実践ということで、「実 務」と関連をさせた問題とするということで、まず「実務」単独の問題として20 問。「実務」とそのほかの6科目を関連させたそれぞれの複合問題として以下のと おり130問ということで、4頁に、まずは「物理・化学・生物」と「実務」を複合 させた、イメージとしては2問連問の問題、1問は物理、化学、実務と関連してい る題材に関する「物理・化学・生物」の問題。もう1問は「物理・化学・生物」と 関連している「実務」の問題ということで、それぞれ15問ずつの30問。以下「衛 生」と「実務」の複合的な問題で20問。「薬理」と「実務」の複合問題20問。「薬 剤」と「実務」の複合問題として20問。「病態・薬物治療」と「実務」の複合問 題として20問。「法規・制度・倫理」と「実務」の複合問題20問。ということで、 合計150問が薬学実践問題で出される問題。以上、合計345題の試験とする、とし ております。  ちょっと文面で書くとわかりにくい点があるのですが、いちばん最後の6頁に表 として示してあり、いちばん左側に7つの科目が記載をされております。問題区分 として必須問題と一般問題がそれぞれあるということで、必須問題は7科目につい てここに示してあるような問題で、合計90問。一般問題は理論問題と実践問題と それぞれ内訳があり、薬学理論問題として105問、薬学実践問題として150問、合 計255問、全体で345問の問題から新しい薬剤師の国家試験はなるということです。  4頁にもどり、(5)の合格基準ですが、以下のすべてを満たすことといたしまし て、[1]、全問題への配点の65%を基本、ということで問題の難易を補正をいたしま すが、基本は65%の得点を得ることができることということです。一般問題につい て、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の35%以上であること。いわゆる足切り に相当するもので、これが35%。必須問題について、全問題への配点が70%以上あ ること、それから構成する各科目の得点がそれぞれ50%以上あること。これらのす べてを満すことを合格基準としております。(6)の過去に出題された試験問題、い わゆる既出問題の取扱いです。この新しい国家試験が始まって以降、出題される問 題について一定の評価が与えられた問題を活用するということで現行制度と同程 度、現在も20%ぐらいを過去問、既出問題から出しておりますけれども、新薬剤師 国家試験においてもこの20%同程度を活用していくと。ただし新試験が始まってか らしばらくの間は既出問題が十分に蓄積をされませんので、それまでの間の活用割 合は20%には限らないということです。既出問題を活用するに当たっては、単なる 暗記による解答が行われないように設問、解答肢などの工夫をするというふうにし ております。この試験の実施時期は、6年制教育の卒業生が出る平成24年の国家試 験から適用をするということにしております。  以上、資料6の内容が、本日お集りいただいています基準改定部会とは別の全体 的な枠組みを決める部会のほうで検討をいただき、まとめていただいた新しい薬剤 師国家試験の内容で、このような全体的な国家試験の全体像の中で本日お集りいた だいております出題基準改定部会において、出題基準の具体的な内容のご検討をい ただきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。 ○井上部会長 はい、ありがとうございます。では、これまでの説明についてご質 問、あるいはご意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。今まで の先生方がご覧になっていた薬剤師国家試験出題制度検討会の報告書、これを皆さ ま方ご覧になっておられるのではないかとおもうのですが、これから本日お話いた だいた新薬剤師国家試験についてというこの医道審議会の最終案として、これが公 表されることになると思うのですが、この資料6は基本的には検討会の報告書のマ イナーなモディフィケーションはあるものの全体的にはそれをほぼ踏襲している のではないかと思います。検討会では複合問題と組合せ問題というような表現をと っておりましたけど、組合せ問題、複合問題という辺りが非常にわかりにくいとい うご指摘等もあり、これを複合問題として一本化したという辺たりも大きな変更点 であるのかもしれません。 ○奥田委員 三重大学の奥田と申します。いまの資料6の最後のところで、出題数 の割り振りの一覧表があるわけですけれども、その基になったご説明の中で特に質 問したいのは必須問題というところでそれぞれの問題数の割り振りが書いてある わけですけれども、本文のほうを見させていただきますと3頁の(4)のア)に該当 すると思うのですが、「薬理」「薬剤」「病態・薬物治療」及び「実務」から55 問、後はそれぞれ問題数が指定してあるのですが、そこの55問の部分だけは4分 野、合わせて55となっていると思うのですが、一覧表のほうではそれが具体的な 問題数として割り振られているという形になっていますけども、ここは最終的な表 が最終決定だというご理解でよろしいのでしょうか。 ○井上部会長 事務局、よろしくお願いします。 ○総務課長補佐 はい、そのような割り振りになっております。本文のところが若 干曖昧な書きぶりになっているかもしれませんが、ここの割り振りについてはこの ような割り振りで考えております。 ○井上部会長 よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。 ○原山委員 前徳島文理大学香川薬学部の原山と申します。教えていただきたいの ですが、最後の足切りに関することですけれども、最初の検討会において検討され たものよりも若干緩くなっていると結果的に解釈をしてよろしいのでしょうか。前 はもっと細かく分野ごとに、古いほうだと13頁の合否の水準で各出題区分ごとの 水準について一般問題での薬学理論問題及び薬学実践問題は、それぞれ構成する領 域ごとの得点というのは一般問題のうちでも、例えば「物理・化学・生物」で30 問、15問とすると30問のうちの35%、薬学実践問題のうちの15問のうちの35%と いうように理解していたのですが、これは必須問題、一般問題を突き合せてそれぞ れのカテゴリーの中で理解を、足切りがそうだと理解したらいいのでしょうか。少 し緩くなったという理解も可能かなと思うのですが。要するに得意なところ不得意 なところが細かく別れていくとそれぞれに取らなければいけない。でも、ちょっと 大括りになってくるとその中で決められた以上それはいいというような理解に取 れるのですけれども、その解釈って間違えているのでしょうか。 ○総務課長補佐 いまご指摘いただきました検討会の報告書の13頁ですが、ここ の書きぶりが若干どちらにも取れるような書きぶりになっていたのではないかと 思います。このときと趣旨は変わっていないつもりですが、13頁のこちらの報告 書が理論問題、例えば「物理・化学・生物」でいえば理論問題30問で50%、実践問 題15問で50%とも読めますし、また、理論問題及び実践問題を両方くっつければ 45問で、それぞれの領域ごとの得点とも読めどちらにも読める曖昧なものでした ので、そこが紛れがないように今回書き方を改めましたが、緩めたということでは なくて趣旨としてはどちらも同じことであったと考えています。 ○井上部会長 他にはいかがでしょうか。よろしいですか。次に出題基準をこれか ら検討していただくわけですけれども、それに当たっての論点を事務局で整理して いただいておりますので、これについて説明よろしくお願いいたします。 ○総務課長補佐 それではお手元の資料7に基づきまして、参考資料もそのときど きご参照いただきながら論点についてご説明したいと思います。ここに掲げました 論点は、先ほどご紹介いたしました検討会の報告書の中で指摘されていることなど を中心に事務局のほうでまとめております。  まず1点目ですけれども新たな出題範囲の策定とその対象範囲ということで、新 たに策定する出題基準は、6年制教育の導入の基礎となった「薬学教育モデル・コ アカリキュラム」と「実務実習モデル・コアカリキュラム」の項目を基本とすると いうことです。しかしながら、その中でも追加すべきものあるいは削除すべきもの につきまして、そういった項目があるかどうかといったことがまず論点の1つ目と して挙げられるかと思います。  出題基準の体系です。新たな出題基準におきましても、この2つのコアカリキュ ラムの項目について現行の出題基準の体系を参考に必要に応じて項目間の入れ替 えを適切に行ったうえで、大中小項目、小項目の例示として整理をしたいと思いま すけれども、具体的には先ほどご紹介しました7つの科目それぞれに対応してどの ような入れ替えが適切であるかどうかということです。各科目ごとの大項目、中項 目の整理につきましては、事務局のほうで別紙に掲げるような案を作成してみたと ころです。「物理・化学・生物」について、それぞれモデル・コアカリキュラムの C1〜6、それからC17についてはここの化学分野でいいのではないか、化学分野と してはどうかということで入れております。それからC7〜10、C17のうちのバイオ 医薬品関係については、ここの生物に相当するものとしてどうかということで入れ ております。それから「衛生」につきましてはC11、C12、健康、環境ということ でどうか。それから薬理につきましてはC13、薬剤につきましては次の頁もありま すけれどもC13とC16、「病態・薬物治療」につきましてはC14の(1)〜(5)、C15 の(1)〜(3)、「法規・制度・倫理」についてはC17、C18、それからヒューマニズ ム、イントロダクションなどもここに入れ込んでおります。  「実務」の部分につきましてはD1〜3ということで、それぞれモデル・コアカリ キュラムをまず大まかに科目ごとに整理したたたき台といったものを別紙のとお り準備をしましたので、検討の際のたたき台にしていただければと思います。  それから現行の出題基準におきましては出題に関する基本的な考え方、問題作成 に関する留意点といったものを記載しております。新しい出題基準についても、こ ういったものを記載することが望ましいと考えられますけれども、記載すべき内容 としてどのようなものが考えられるかといった点です。  出題基準の見直しに当たりまして、社会的要請や医療の実情などに照らして薬剤 師国家試験を通じて確認すべきもの、薬剤師業務として定着して医療の質の向上に 貢献している内容などで積極的に加えることが適当なものがあるかどうか、こうい ったことがまず大きな論点として挙げられると思います。  その他としていくつかご紹介させていただきたいと思います。まず参考資料の5、 6です。参考資料5は、先ほどご紹介した国家試験の出題基準の科目の見直しをし た際に厚生労働省が実施したパブリックコメントの概要です。このような参考資料 5の形でパブリックコメントを実施した際に、いくつか意見が寄せられたところで す。その意見の概要と対応が、意見に対する考え方が参考資料6にあります。この パブリックコメント、本年6月から7月にかけて1か月間実施し、12件の意見が寄 せられたところです。  2頁目ですけれども、真ん中の四角の部分です。「倫理」に関する問題数が極め て少ない点を解消するために、例えば必須問題における「法規・制度・倫理」の試 験科目を「法規・制度」と「倫理」に分けて、倫理の問題数を確保するなどの指針 を示してはどうかといったご意見がありました。この意見に対しまして、先ほどご 紹介しました薬剤師の国家試験の制度改善検討部会、それから薬剤師分科会でご検 討をいただきましたが、やはり科目としてはこのまま「法規・制度・倫理」としま して、今後行われる薬剤師国家試験の出題基準の検討において、これからこの部会 で行っていただきます検討の中において、この「倫理」の問題数の確保といった点 も参考にしながら、出題基準を検討していきたいとしているところです。  それから、2頁目の2つ目ですが、試験科目に薬害を加えてはどうか、といった ようなご意見が出されています。これに対しては、科目の名称としては包括的なも のということで「法規・制度・倫理」とすることが適当であると。一方、薬害に関 する事項は、モデル・コアカリキュラムにおいてもいくつかの項目の中で取り上げ られているところです。そのほか、薬剤師の国家試験で考えれば、薬理学と関連し て出題するなど、ほかの科目の内容としても出題されるということが考えられるわ けですが、現行の出題基準の中では、それほど明確にその辺りが示されているもの ではありませんので、今後行われる新しい薬剤師の国家試験の出題基準においては、 薬害に関連する事項の出題について、より明示的に示すといったことも含めて、ご 検討いただきたいと考えております。  参考資料の7と8をご覧ください。参考資料7は、厚生労働大臣の下に設置され ている「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員 会」という委員会において、本年4月に取りまとめられた第1次提言書です。この 報告書の1頁をご覧いただきたいのですが、この検討会がどういったものかという ことが、この1頁目の「はじめに」のあとの最初のパラグラフに記載されています。 この委員会は、薬害肝炎事件の発生と被害拡大の経過、それから原因などの実態に ついて多方面から検証を行って、再発防止のための医薬品行政の見直しについて提 言することを目的として設置された委員会です。すなわち、薬害肝炎事件の検証と、 それから再発防止のための医薬品のあり方の検討という2つの役割を担っていま して、薬害肝炎の全国原告団、弁護団、それから厚生労働大臣との協議などを経て 発足されたものです。  この委員会の提言書の中では、医薬品行政、薬害を二度と発生させない、薬害を 発生させないための医薬品行政のあり方についてさまざまな提言がなされている わけですが、その中で、25頁をご覧いただきたいのですが、「[3]薬害教育・医薬 品評価教育」ということで、最初の1つ目のポツにあるような提言が書かれていま す。大学の医学部・薬学部において薬害問題や医薬品評価に関して学ぶカリキュラ ムが少ないために、関係省と連携してカリキュラムを増やすなど、医療に従事する ことになる者の医薬品に対する認識を高める教育を行う必要があるということで す。こういった指摘を受けまして、私どもも、それから文部科学省さんにおいても、 各大学における薬害問題への教育の取組みなどのお願いをこれまでもしてきてい るところです。  この提言を受けて、次に参考資料8をご覧いただきたいと思います。この参考資 料8は、本年9月に開催された薬害肝炎事件の検証、再発防止のための医薬品行政 のあり方検討委員会で配付をした資料です。その配付資料というのが、この参考資 料8の中には記載されていませんが、議事次第のほうに記載されています。その委 員会の中で配付をした資料です。第一次提言に関する対応状況ということで、厚労 省の対応状況を、平成21年9月時点での現在の措置状況と今後の予定ということ でまとめたものです。  この2頁目の5の部分ですが、提言の内容というのは、先ほどご覧いただきまし た報告書25頁の内容です。これに対しまして、厚生労働省のこれまでの対応とし ましては、6者懇、いわゆる新6者懇などで関係者に理解を求めているということ があります。それから、今後の対応ということで、2つ目の丸ですが、6年制薬剤 師国家試験の検討の中で、国家試験出題基準の検討を開始することとしており、そ の中で国家試験における取扱いについても検討を行うということで、薬害教育・医 薬品評価に関しまして、この出題基準の見直しの中で検討を行っていきたい、委員 の皆さまのご意見もいただいて詰めていきたいと考えているところです。こういっ た点も論点としまして、この出題基準の改定についてご議論いただければと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○井上部会長 ありがとうございました。ただいまのお話を伺っていますと、この 部会の責任はきわめて重たいと思うわけです。いろいろなことをこれから議論して いただくポイントについてお話いただいたわけです。昨日の分科会等でも出ました が、1番のところにありますようなコアカリを基準とするということなわけです。 このコアカリをいじるということは本部会のやるべきことではないわけですが、国 家試験の出題基準という視点から考えて、このモデルコアカリキュラムの内容とい ったところで、項目で推挙すべきもの、あるいは、これは要らないのではないかと いうようなものがもしかしたらあるのではないか、というようなご発言も昨日随分 ありました。そういうことをこの部会に託されているわけですので、大変責任が重 たいと思うわけです。  本日は第1回ですので、これらの論点について、とりあえずはフリー・ディスカ ッションでしていただきたいと思います。最初に事務局から説明があったとおり、 全体的にここで議論していただいて、とりあえず部会を終了して、領域ごとに意見 交換をしていただく時間を設けていますので、領域ごとの細かな議論については、 そこで、同じ分野の専門家同士で意見交換をしていただくことも考慮していただき たいと思います。もちろん、この場でご発言していただいても結構です。特に全体 に関する事項は、できるだけこの場でご発言いただきますよう、よろしくお願いい たします。全体的なことでしたら何でも結構ですので、どうぞご発言ください。い かがでしょうか。 ○長友委員 新潟薬科大学の長友です。6年制の薬剤師国家試験の基準のモデル・ コアカリキュラムは、最終的にはこの国家試験のためのモデルカリキュラムは変更 になると捉えていいのかどうかということなのです。いちばん初めに6年制のとき に出されたモデル・コアカリキュラムがありますね。論点の1番目にありますよう に、「このモデル・コアカリキュラムの項目を基本とするが、追加すべきもの、削 除すべきものはないか」と持っていきますと、モデル・コアカリキュラムは変更に なると捉えてよろしいかどうか、ということなのです。 ○井上部会長 いえ、決してそういうことではなくて、新しい出題基準を考えるに 当たって何を原点にすべきかといったら、私どもが持っているのは、この文科省が 作ったコアカリ、あるいは薬学会の作ったモデル・コアカリキュラムしかないわけ です。ですから、これを用いてとりあえずは考えてみたというのがもとのものなの です。本部会でその中のものをいじるというのは、コアカリをいじるわけではなく て、本部会として出題基準を考える上において、適当なもの、あるいはもっと必要 なものを加えていくということは、これはコアカリをいじるわけではないとご理解 いただければと思います。 ○長友委員 わかりました。どうもありがとうございます。 ○井上部会長 ほかには、いかがでしょうか。 ○上田委員 千葉大の上田です。必須問題と一般問題をどこで分けるかというのが なかなか読み取れない。必須問題はどうしても必要で、一般問題は一般的に適当に できればいいやという、そこの境目をどのようにするかというのが、なかなか理解 できないのですが。 ○井上部会長 その問題に関しましては、まだ明確には詰まっていません。班研究 がいま動いていまして、必須問題というのはこういう問題になるのではないか、一 般問題、理論問題というのはこういう問題になるのではないだろうかということを、 いま班研究として検討中です。そういうものを、この部会、あるいは他の部会、学 会等で皆様方のご意見を聞きながら、コンセンサスを得ていくということになろう かと思います。確かに、ご指摘のように、何をもって必須というのかという辺りは、 なかなか難しいところは当然あると思います。考え方によって随分違ってくるので、 なかなか難しいことは難しいのですが、医師国家試験、歯科医師国家試験等でも必 須問題というのを取り上げていますし、そういう問題を取り上げたほうがいいので はないかというのが、いままでの委員会、検討会でのご意見だったので、そういう 形で動いているということだと思います。内容に関しましては、こういうものを必 須問題にするのだというのは、これからいろいろご議論をいただくことになるのだ と思います。 ○金尾委員 福山大学の金尾です。今回の改定に当たって私がいちばん関心を持っ ているのは、従来の出題基準のように小項目の例示は非常に簡潔明瞭であってほし いと思っているわけです。エスビオーズと言われるもの、いわゆる達成目標のよう な形で出すべきなのか、それとも、もっと簡潔明瞭に出すべきものか、この辺を是 非、ご審議可能であればご審議いただきたいと思っています。 ○井上部会長 まさに、いまご指摘のようなところが非常に重要な点だと思います。 簡潔に大きく括ったほうが実際に問題を出す側としてはずっとやりやすいとか、さ まざまなことがあるかと思いますので、その辺のところでご意見をさらにいただけ ればと思います。いかがでしょうか。 ○伊藤委員 昭和大学の伊藤です。このコアカリキュラムというのは、各分野の先 生方が必要なものを並べて作っていっていますので、実際には領域を跨った重複と いうのが非常にたくさんあるのです。そうすると、こういう形で出題基準を決める と、いろいろな違った分野でも同じ内容の問題がどこからでも作れてしまうという ことになるかと思うのですが、そういうことの整理もこの会でやる予定なのでしょ うか。 ○井上部会長 当然やらなければいけないのだと思いますが、この部会はオブリゲ ーションとしてものすごくたくさんのことがかかってくるので、どこまでできるか という問題はあるかと思います。いま伊藤先生がおっしゃった問題は確かにきわめ て重要な問題だと思いますし、実際の国家試験の出題委員がその辺のところをよく よく考えて問題のオーバーラップなどを避けていくということも1つのやり方な のだろうとは思いますが、そのオーバーラップをどう避けるかという辺りを、この 部会として、もし非常に有効な方法等がディスカッションできればよろしいかとは 思いますが。検討課題の1つとして考えさせていただければと思います。ほかには いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。急に大変重要な問題を提起させてい ただきましたので、ご発言がなかなかしにくい点もあろうかと思います。このぐら いにしまして、議題の2の「その他」について事務局から何かありますか。 ○課長補佐 議題の2の「その他」については、特に事務局からはありません。議 題の1に戻って恐縮なのですが、ちょっと付け加えたいと思います。先ほど、小項 目の例示を簡潔にすべきであるとか、領域が跨ったものの整理などについてのご意 見が出ていたかと思いますが、本日、参考資料の3、4としてお配りしているもの は、以前に各大学に厚生労働省から照会をした際に提出された意見をまとめたもの です。この中でも同様のご意見などもあるかと思いますので、このあとのご検討の 際に参考にしていただければと思います。  それから、参考資料の4の各大学の意見を整理したものをご覧いただきますと、 左側から3つ目のカラムまでは、もともとの厚生労働省が示したたたき台のもので す。それについての追加・変更意見、こういうふうに変えたほうがいいでしょう、 というような各大学から出されたご意見が書いてありまして、そのあとの右側のカ ラム、○×が書いてあるのが、こういうものを追加すべきというのが○の意見、× というのは削除すべきという意見です。  削除すべきという意見の理由が、その右側2つのカラムにまとまっています。 「CBTの確認で十分」というところに○が付いているのが、CBTの確認で十分だか ら削除という意見です。いちばん右側は、国家試験として不適切なので削除したほ うがいいという意見です。この中で、基礎を中心にCBTの確認で十分というような ご意見もあるのですが、国家試験とCBTの役割分担といいますか、CBTの役割とい うものを考えたときには、CBTの確認で十分というのは、国家試験の趣旨からいう と、この意見はそのままお受けできるものではないのではないかと考えています。 その辺りも含めて、このあとの検討ではご検討いただければと思っています。  このあとですが、議題が終了しましたら部会を終了しまして、5分ぐらい休憩を したあと、5時ごろまで各テーブルの専門領域ごとで意見交換をしていただきたい と思っています。よろしくお願いします。次回は2月から3月ごろと予定していま す。後日、日程調整を行います。事務局からは以上です。 ○井上部会長 それでは、全体的にどうしてもこれを発言しておきたいということ がありますか。よろしいでしょうか。もしなければ、以上で第1回薬剤師国家試験 出題基準改定部会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。 〈照会先〉 厚生労働省医薬食品局総務課 TEL:03−5253−1111(内線2715)