09/12/10 第44回先進医療専門家会議議事録 第44回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成21年12月10日(木) (2)場所  厚生労働省 共用第7会議室(5階) (3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、飯島構成員、岩砂構成員、北村構成員、        笹子構成員、竹中構成員、田中(憲)構成員、田中(良)構成員、        辻構成員、永井構成員、福井構成員、渡邊構成員        事務局:医療課企画官、佐藤課長補佐、他 (4)議題  ○第2項先進医療に係る新規技術の科学的評価等について        (1)10月受付分の届出状況        (2)10月受付分の科学的評価        (3)11月受付分の届出状況        ○先進医療専門家会議における評価用紙の見直しについて (5)議事内容 午後 1時03分 開会 ○猿田座長  それでは、時間が過ぎましたので、これから第44回の先進医療専門家会議を始めさせ ていただきます。委員の先生方におかれましては、年末が近づいて大変お忙しいところ、 また寒い中を御出席いただきまして、ありがとうございました。  本日の構成員の出欠状況ですけれども、赤川構成員、新井構成員、加藤構成員、谷川原 構成員、坪田構成員、戸山構成員、樋口構成委員が御欠席との連絡をいただいております。 あと数名の方はこれからおいでになると思いますけれども、人数は足りておりますので、 会議を進めさせていただきたいと思います。  それでは、資料を事務局のほうから御説明をお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。資料の確認をさせていただきます。  まず、お手元の資料をごらんくださいませ。座席表がございまして、議事次第、それか ら構成員の先生方の名簿がございます。それから今回の会議資料になりますが、横向きの 先−1という1枚紙がございます。その後、別紙1、別紙2、別紙3という形で、左上ホ チキスどめの資料が3つついてございます。続きまして、先−2という、これも横向きの 表が1枚ついてございます。最後に、先−3という左上ホチキスどめの3枚つづりの資料 がついてございます。  今回お配りしている資料は以上です。特に不足ございませんでしょうか。  また、今回検討対象となる技術等に関しまして、特別に関与するような事例はございま せんでしょうか。  回答なしということでよろしいでしょうか。  では、座長、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  それでは、議事に従いまして、まず最初に第2項先進医療に係る新規技術の科学的評価 等につきまして、これも最初に事務局のほうから説明いただけますでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。  お手元には先−1の資料を置いていただきたいと思います。  第2項先進医療の新規届出技術について(10月受付分)でございます。  整理番号189番、技術名、動脈管開存症に対する胸腔鏡手術。動脈管開存症に対する 技術でございます。先進医療費用、保険外併用療養費についてはごらんのとおりとなって おります。これは事前評価を北村惣一郎先生にお願いいたしまして、総評は適といただい ております。詳細につきましては別紙1をごらんください。  続きまして、190番、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術。これは高度肥満症に対する技術 でございます。先進医療費用、保険外併用療養費についてはごらんのとおりです。事前評 価は笹子三津留先生にお願いしておりまして、総評は適といただいております。詳細につ きましては別紙2をごらんください。  続きまして、191番、第V因子欠乏症の遺伝子診断です。適応症は第V因子欠損症。 先進医療費用、保険外併用療養費についてはごらんのとおりです。これは書類不備という ことで返戻となってございます。  続きまして、192番、大腿骨頭壊死症に対する自家骨髄単核球移植治療。大腿骨頭壊 死症に対する治療です。先進医療費用、保険外併用療養費についてはごらんのとおりです。 これにつきましては、薬事法上の適応外使用の医療機器が含まれるということで返戻とな ってございます。  整理番号193番です。膀胱尿管逆流症及び巨大尿管症に対する腹腔鏡下膀胱内手術で ございます。これは両側または高度膀胱尿管逆流症及び巨大尿管症に対する技術です。先 進医療費用、保険外併用療養費につきましてはごらんのとおりです。この技術につきまし ては吉田英機先生に事前評価をお願いしまして、総評は適といただいております。技術の 詳細につきましては別紙3をごらんください。  事務局からは以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ただいま御説明がありましたように、189、190、それから193という、この3 つが本日御議論いただくものでございますけれども、いずれも適ということになっており ますけれども、それでは早速でございますけれども、189の事例に関しまして、北村先 生からよろしくお願いいたします。 ○北村構成員  それでは、別紙1に沿って簡単に御説明させていただきますが、従来、心臓外科の領域 におきましては、消化器外科領域とは随分違いまして、内視鏡の手術が非常に少ない、ほ とんど行われていない状況でございました。しかしながら、欧米におきましては、ロボッ トの技術の進歩とともに、それが心臓外科の領域に入ってきているんですが、それの一歩 手前の内視鏡を、胸腔鏡を使っての1つの心臓手術という形で出てきた課題であります。  ここに書いてありますように、動脈管開存症というのは、先天性の心臓の、閉鎖すべき ものが開存したために起こってくる病気でありまして、生後におきましてはこれを閉鎖す る必要があります。まれながら、プロスタグランジンのインヒビターのインドメタシン等 を薬物に投与して閉鎖する場合もあります。新生児の、特に未熟児におきましては頻度が 高くなりまして、そういう薬物の治療をして、どうしても閉塞していかないものについて は外科的療法がとられています。  従来は左の開胸をいたしまして、比較的小さい開胸でよろしいんですが、開胸しまして、 動脈管を切り離すと、切離するという方法がスタンダードです。というのは、糸で縛った ような場合には、まれながら再開通が起こってきます。したがいまして、切離を外科手術 においては基本としてきたわけですけれども、この方法では、内視鏡下に金属の血管クリ ップというものでキュッとかむという形をとって行います。糸による結紮ではなくて、ク リップによる閉鎖を試みる方法であります。  したがいまして、いろんなレベルの動脈管の大きさとか太さとか病変の違いがあります ので、大変たくさんやられている外国の報告等も入れまして、少し適応条件等のものを書 き加えていただいております。動脈管の最大径が10ミリ以下であって、それから動脈管 の石灰化とか、感染とか、あるいは瘤化のない症例に限る。これらは血管壁がもろくなっ ておりますので、外からのクリップだけでは閉鎖が困難ですし、無理に行いますと出血の 危険性があるからであります。こういう場合は通常のスタンダードの手術を行ってくださ いと。それ以外のものであれば内視鏡で行うことの可能な最も容易な手術の1つであろう かと思います。  したがいまして、現在のところ、今申しましたように、我が国では心臓自体の内視鏡手 術がほとんど行われていないために、今からの普及性は十分にあると思いますが、現況で は数少ないものですが、将来は一般的な病院と申しますか、小児病院という比較的小さな 病院の心臓血管外科でも行えるように、適格性あるいは機関の要件という項目をセッティ ングしています。  適格性については、申しましたように、次のページに書いてあるとおりで、安全性もこ のような適応を守っていただく限りにおいては、非常に柔軟性のある血管ですので、クリ ップをかむことによって断裂をさせて大出血をするというような可能性は非常に少ないし、 同じことは手術の場合でも起こることがあり得るわけで、内視鏡に変えることによって、 その危険度がずっと上がるということはありません。  それから、現時点での普及性は今申しました我が国の状況もありまして、余り普及して おりませんが、とにかく子供の胸を切らなくて内視鏡を通すだけでできますので、回復度 も違いがありますし、やや効率的であろうと思います。将来的にはこの内視鏡手術は心臓 外科の領域でもどんどん伸びていくと思います。そういった意味も兼ねて、将来的には保 険収載になるような手術の1つであろうと思います。  次のページの診療科は心臓血管外科にやらせるべきだと思いますし、10年以上の経験 を持った専門医が、こういった内視鏡の扱い方が一番重要ですので、そういった技術の研 修を2年ぐらいやってきて、少なくとも5例、助手としての経験も合わせて10例以上は 経験してほしいなと。こういった場合は国内留学あるいは国外短期留学というような形で 技術を習得しているのが通常であります。  それから、当然、麻酔とか、子供の病気ですので、小児科の先生方が必要だろうと。  それから、特に医師数は何人常勤が必要かというような定員は、1名おればできる範囲 の手術ではないかと思いますが、内視鏡のセッティングその他において臨床工学技士が必 要だと思います。  病床数は、こども病院で行われることもありますので、こども病院というのは小さな病 院も結構ありますが、病床数は100、200というレベルで良い、100床以上という 形にしております。  緊急体制は必要です。それから、院内に24時間で対応できるような体制は当然、子供 の手術の後の体制は必要です。  それから、他の医療機関との連携は特に必要はないと思います。  それから、内視鏡という意味での医療機器の保守管理体制。  それから、倫理委員会というのは、これは外科医の適応判断に院内の話し合いは要りま すけれども、特に倫理性について外部の委員を含めての評価をしていただくという必要は ないと思います。  それから、実施症例数は上と合わせまして5例という形にしておりますし、最初の12 カ月ぐらいは、新しい施設で始まった場合には報告書はやっぱりいただくべきであろうか と思っています。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ただいま御説明いただきましたけれども、かなり負担が少ない手術であるということと、 それから動脈管の最大径の状況を考えてやれば、症例を選んでやれば問題ないだろうとい うことで、あとすべての状況においても認めていいのではないかというのが北村先生の御 意見でございます。  それでは、どなたか委員の先生方から御意見をいただけませんでしょうか。  これ、内視鏡的には割と点数というか、お金は出すとするんですね。負担が…… ○北村構成員  これは、これ専用の内視鏡というのは別に要りませんので、いわゆる胸腔鏡を用いてや るということで、通常、位置の異常がなければ、左側から肺を虚脱させて行っていく。外 部から到達できる血管ですので。 ○猿田座長  ですから、今までのよりは大分費用的には安くできることになるんですかね。 ○北村構成員  そうでしょうね。 ○猿田座長  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  ほかに合併症を持っているケースがあるかと思いますが、そのような場合はいかがされ るんでしょうか。 ○北村構成員  合併症を持っている場合は、例えば心室中隔欠損症と合併しているのがしばしばありま す。そのときは心臓の手術と一緒に処理します。2回に分けるようなことは普通いたしま せんし、適応外です。単純に動脈管開存症のみの患者です。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。  もしございませんようでしたら、これはお認めいただくということでよろしいでしょう か。  ありがとうございました。  北村先生、どうもありがとうございました。  では、認めさせていただきます。  それでは、続きまして、今度は整理番号の190でございます。これは腹腔鏡下のスリ ーブ状胃切除術でございます。  笹子先生、よろしくお願いいたします。 ○笹子構成員  では、別紙2に沿って御説明いたします。  BMI、ボディ・マス・インデックスが35を上回る高度肥満者でのさまざまな保存的 療法が無効の場合、あるいは合併症が出てきたりということで、外科治療の対象となるこ とは認められているわけです。肥満者が多い関係で欧米では若干、適応の基準がBMIの 数値では少し上へずれていると思うんですけれども、日本ではこういうことになっていま す。  それで、今回提出された治療法というのは、腹腔鏡を使ってスリーブ状胃切除術という、 これはなかなか普通の人は分かりにくいかもしれませんので、ちょっと簡単に絵でお示し します(絵が見えるかどうか分かりませんけれども)。この絵の胃袋の線を引いた部分よ り右側半分を取ってしまう手術です。それで、ここの胃袋が細長い管になるという手術で す。それで食べられる量が減ることで効果があるという治療です。これはもう非常に有効 であろうなということの想像は容易にできるわけです。  治療内容は、現在、腹腔鏡を使った胃がんの手術とかがやられているわけですが、それ と比べると肥満患者であるという点以外は、難度はむしろ低いと考えられます。肥満の患 者というのはお腹の中の脂肪量も非常に多いので、同じ治療をするのであれば難しいんで すけれども、やる治療自体は、今お示ししたこのライン上に連続して自動吻合を用いて切 離をしていくわけで、器械によって簡単にやれてしまいますので、この手術そのものの難 易度はそう高くはないと思いますが、肥満者を扱うということになれているかどうかとい う点だけは、注意が必要です。  それで、次のページを見ていただいて順次説明します。適応は妥当です。  それから、有効性という意味では、太っている人を開腹でやるというのは非常に非効率 的というか、やりにくいわけで、腹壁が厚いということもあるし、多くの肥満者は腹壁と 腹腔内の両方の脂肪が多いので、そういう意味では穴をあけてやるという手技は非常に有 効だろうと思います。欧米でもほとんど腹腔鏡でやられています。  安全性に関しては、余り問題ないだろうとは思われますが、実際のところ、ホチキスの ようなものでずっと閉じていく手術ですので、それが胃壁の厚さとうまくマッチしない例 とかが絶対ないかというと、そうでもないかもしれないし、合併症が起こる可能性という のは、消化管の手術ですので、あり得ると思います。ただ、そんなに高い頻度ではないだ ろうと想定できると思います。  それから、術者の要件は、腹腔鏡の分野に関してはかなり修練を積んだ人であって、現 在保険で通っているような手技で修練していることと、腹腔鏡手術である程度の肥満の患 者さんの消化管手術を経験しているようなレベルの人が望ましいということになります。  倫理的問題があるとしましたのは、日本は欧米と違いまして、胃がんの患者さんが多い 国です。この治療を受けた患者さんが胃がんになりますと、どこのがんになっても、必然 的に全員、胃全摘を受けなければいけなくなるという大きなデメリットがあります。とい うのは、先ほどの図の左端に近い出口に近いところのがんですと、通常は下側3分の2を 切る手術で、上3分の1が残せる手術で十分できるんですけれども、そのためには、この スリーブ胃切除をやってしまうと切れてしまう血管が全部残っていないと具合が悪いんで す。  したがって、それが1つ大きな、胃がんの多い我が国で、欧米でやられているからとい って、これをそのまま持ってきていいかどうかという点だけは若干、倫理的な議論の余地 があるとすればあると思います。  ただ、非常に切迫した命にかかわるような肥満状態の方、だからBMIは外国だと45 とか50とかがあるんですけれども、そういうふうな人であると、長年先の胃がんとか関 係ありませんから議論になりませんが、適応が日本でBMI35とかいうような話になっ てきますと、こういうことを十分に説明した上でやっていただく必要というのはあるだろ うというふうに思われます。  あとは、これ以外の治療で、我が国同様胃がんの多い韓国なんかでは、胃がんの患者さ んに適応となる手術、つまり胃を3分の2取ってしまう手術が提唱されはじめています。 そうすると、胃の入り口側というのはがんの発生頻度がかなり低いので、残す部分のがん の発生頻度が今回出ている術式よりも全体として低くなるから、そっちを選ぶというよう な発想です。これもまだ研究段階ですけれども、そういうような話もありますので、だか ら今回提出された術式がすっきりと、これが一番いい今現時点での考えかどうかという意 味で若干問題があるので、そこを一応問題としました。  それから、この治療自体がそれほどは普及していないと思われます。現在、腹腔鏡でや られているのは、バンドを巻きつけるような、バンディングというのが割と簡単ですので、 やられていると思います。欧米では、この切り方と少し違う切り方なんですけれども、胃 を横に、上から5分の1ぐらいのところで横に離断をしてしまって、上の5分の1のてっ ぺんのところと腸をつないでバイパスをするという手術がされていますけれども、それは かなりのリスクがあって、下手するとやっぱり死亡するようなことがあるみたいですけれ ども、それよりはかなり安全です。  それから、効率性という意味では、確かに胃を小さく確実にできますから、大幅に効率 的で、開腹手術であると、肥満者であればかなり大きく切らないといけないということを 考えると、それも効率的と思われます。  安全性が確認されて、実際のがんの問題等、いろいろクリアされていけば、保険という のも将来的にはあり得るというふうに思います。ただ、適応をどうするかで保険は慎重に 議論をしたほうがいいとは思います。  それで、その次のページですけれども、実施責任者は、これをやっているのは消化器外 科医でありまして、消化器外科の専門医、これは少なくとも8年から10年たっていない となれませんので、必然的に8年ぐらいの経験は必要で、腹腔鏡での胃のさまざまな手術 に2年以上、肥満の手術に2年以上ですね。ただ、そうたくさん適応患者が、本人が希望 して来る適応患者はそうはいないと思うので、なかなか経験をできる数というのは多くな いです。それから、胃がん等でやる経験を十分に転用できるということがありますので、 この手術そのものとしては2例やればいいんじゃないかなというふうにしました。  それから、助手としてというのも両方足して5例と。これぐらいしか、なかなかやって いるところも少ないですし、経験をできないというふうに判断しました。それぐらいの経 験でも、ほかの腹腔鏡での消化器手術をたくさんやっていれば補えるだろうというふうに 考えています。  ただ、この消化器外科の専門医というのは、必ずしも腹腔鏡ができるということは条件 にしていませんので、本来的には、これは公示することができない資格ではあるんですけ れども、内視鏡外科学会が技術認定をしている技術認定医というのがあります。これは申 請されてきた方はそれを書いていらっしゃったんですけれども、そこの部分が、厚労省か ら出す要件の中には書き入れられないことになっていますが、そういうニュアンスはちょ っとお酌みいただきたいというところがございます。  それから、医療機関の要件としましては、消化器外科と麻酔科と内科を入れました。肥 満の患者さんの治療というのは、サイコロジカルなものと、それからメタボリックないろ んな疾患の、総合的な疾患があって外科へ回ってくるというようなことを考えますと、こ の3科は最低必要だろうと。  それから、診療科は1人ではできませんので、消化器外科が2名、麻酔科1名、内科1 名と、最低ということで書いています。  それから、その他の科に関しては、必須のものはない。  あとは内視鏡治療の一般的なものとは思いますが、臨床工学技士と、それから肥満です ので、管理栄養士と。これは、この手術をしますと、それなりの食事指導というのもやは り必要だと思われます。  次に病床数は、その3つの科が備わっていれば、20以上でいいのではないかとしまし た看護配置は10対1以上。肥満患者自体の手術そのものがそれなりのリスクがあります ので、手術後の患者管理というのがそれなりにできないと、深部静脈血栓症とか、肺塞栓 とか、そういったもののハイリスクですので、ここは10対1でやったほうが無難であろ うというふうに考えました。  それから、術後のことを考えますと、出血というのは機械で離断する手術には必ず伴い ますので、当直体制は必ず必要です。場合によっては止血のための手術も、再度、腹腔鏡 でやるか、口から入れる内視鏡でとめられる場合もあると思うんですけれども、そういっ た体制の必要性はあると思います。  院内検査が要で、そこまでそろっていれば、他の医療機関との連携は不要。  それから、医療機器の保守管理は当然必要になります。  倫理委員会を要としたのは、がん発生時に困らないように、病院が本手術の術後をフォ ローできる体制をちゃんと持っていていただきたいということと、そのフォローアップが きちんとできないと、後で非常に大きな問題を生じることがありますので、その施設、施 設でここは変わってきますので、施設の倫理委員会で必ず議論をしていただきたいと。  それから、医療安全管理委員会は要。  それから、実施症例数は、先ほども言いましたが、5例あればいいかなというふうにし ています。  報告は年に1回ということです。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明いただきましたけれども、BMIが35を超えた高度肥満に対する腹腔鏡下 スリーブ状胃切除術ということで、先生の御意見では、離断そのほかに対する注意は必要 であるけれども、お認めしていいのではないかという御意見でございますが、どなたか御 意見いただけますでしょうか。  どうぞ、岩砂先生。 ○岩砂構成員  聞き漏らしたかもしれませんけれども、国内では肥満のために胃切除するということは 年間何件ぐらいあるんでしょうか。アメリカではよく聞きますよね。 ○笹子構成員  正確な数字は僕も存じておりませんが、それほどやっている施設がないので、そんなに 数はないと思います。100例とか、そんなぐらいだと思います。 ○猿田座長  今まで慶應病院でも二、三例でございます。  それからもう一つ、単純な場合にはやっぱりアメリカでも内視鏡的にやっているんです か。 ○笹子構成員  アメリカでやる手術はもうちょっと複雑な手術ですが、内視鏡でやっています。 ○猿田座長  ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。  これから多分ふえてくるかもしれないということですかね、日本でも。BMIが35を 超えると結構な肥満ですからね。 ○笹子構成員  だから、適応を保険にする場合はもう一度議論し直したほうがいいとは思います。 ○猿田座長  あとやっぱり、どうしても減食療養で再発する症例に対して手術が効果的ですね。 ○笹子構成員  胃を小さくしてしまう手術が一番再発しないわけです。最も初歩的な治療は胃の中に風 船を入れるというやつですけれども、これは風船が破れてしまったり、余り効果がない、 持続性がない。それから、その次に簡単なのが、これも腹腔鏡でやられるんですけれども、 胃の周りにテープのようなものを巻いて、バンディングで胃をひょうたんのような形にし て、下へ落ちていかないようにする治療です。その治療は、簡単な手術なんですけれども、 ただ合併症が長期的に見ると非常に多いようです。長期的に見たときに、縛り込んでいる ところに胃潰瘍ができて穴があいたりとか、いろんな合併症が起こるということです。  欧米の高度肥満の人は、さっきも言いましたように、5分の1の上の胃と5分の4を分 離して、上のほうと腸をバイパスするという手術です。あるいはこのスリーブという今回 出ている手術と、その両方だと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。  どなたか御意見ございませんでしょうか。もしよろしければ、この技術もお認めしてよ ろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、この形で認めさせていただくということで、笹子先生、どうもありがとうご ざいました。  それから、続きまして、今度は193でございます。これは泌尿器科の領域ですけれど も、膀胱尿管逆流症及び巨大尿管症に対するやはり腹腔鏡下の膀胱内手術ということでご ざいます。  これは吉田先生、よろしくお願いいたします。 ○吉田座長代理  この逆流は、小児、それから女性に多いんです。といいますのは、膀胱炎を起こして逆 流しますので、腎盂腎炎を何回も繰り返すんです。それで発見される症例で、それほど少 なくはございません。従来は、下腹部をぐっと開いて、膀胱を開いて、それで尿管の再移 植を行うんです。といいますのは、逆流していますと、括約筋が全部緩んでいますので、 ほかの場所へ持ってきて植えるわけです。それは小児ではなかなかでかい手術になっちゃ うので、傷も大きいんです。  そこで、この手術では、腹腔鏡を使って膀胱の上のほうからトロッカーを3本入れて、 それで腹腔鏡の手技を使って尿管の再移植を行いたいという手術です。このほうが、オー プンでやりますと大体、膀胱内留置が1週間から10日はしないと尿漏れが起きるんです。 これをやりますと、大体二、三日でもってバルーン留置ができますので、非常に簡単です し、侵襲も少ないということです。巨大尿管について、それほど症例はありませんけれど も、外科のヒルシュスプルングに伴ってやりますので、たまに出てくる症例です。  2枚目へいきまして、適応症なんですが、実は今、オープンの手術がK809−2にあ るんです。もう1個、K823−2、これは逆流に対するコラーゲン注入なんです。とこ ろが、コラーゲンがアメリカでつくられていまして、2年前にもう製造中止と。要するに お金が見合わないので、もうつくらないというので、なくなってしまったんです。ですか ら、このK823−2という、膀胱鏡を使って下からコラーゲンを入れて逆流現象を抑え る手術はもうできないんです。高度じゃなければ腎盂腎炎は起こさないと思うんですけれ ども、軽いものでも結構あるんです。後で議論いただきたいと思います。適応症について は後でまた御議論いただきます。  それから、有効性については、有効です。従来ということは、コラーゲン注入に比べて 有効ということですね。安全性は問題ないと思います。  それから、技術度も当該技術、といいますのは、泌尿器科は例の前立腺の医療事故があ ってから、独自に泌尿器科内視鏡専門医というのをつくっているんです。それを取らない と内視鏡手術ができないんです。ですから、こういう専門医、オープンじゃないので書け ないですけれども、一応、泌尿器科独自の専門医をつくっていますので、それを取ってい ないとできないと。  倫理的には問題はございません。罹患率からして、ある程度普及はしております。効率 も有効。  将来的には保険が、オープンしかないので、いずれ保険収載してあげないと、コラーゲ ン手術ができませんので、だからやっぱり保険適用は早めにしてあげないと、今大体2, 000例ぐらいあるんだそうです。それが一斉にコラーゲンがなくなってしまってできな いということで、ある程度早めに導入してあげないと、患者さんが困るわけです。  それから、次の要件です。診療科は泌尿器科に来ますので、泌尿器科でいいですね。  それから、資格も泌尿器科専門医、これプラス、腹腔鏡専門医というやつがあるんです けれども、それはあくまで学会内のことですから、書けません。ですので一応、泌尿器科 専門医と。これは5年以上たちますと専門医ですので。それから、この経験1年というの も、腹腔鏡は資格を取らないとできませんから、資格を取っていれば、1年もやればいい だろうと。  それから、経験症例も、技術として資格がありますので、この膀胱に対する手術は3例 やっていれば、もう十分、簡単ですので、できます。  それから、助手の経験症例数は要らないでしょうと。それから、診療科は泌尿器科。実 施科は常勤医師が2名いればできます。他科の場合には、麻酔が必要ですので、麻酔科標 榜医が1名以上。これは内視鏡を使いますので、臨床工学技士が1名と。  それから、病床は、病院でなければやっぱり危険ですので、20床以上の病院でやると。 ですので、看護配置は不要にしました。  それから、当直体制は当然、手術ですので、要です。それから、緊急手術、これはやっ ぱり出血があったり、腹腔内に尿が漏れたりしますので、要にしています。24時間検査 も必要です。  他との関係は要りません、不要です。機器の保守は当然必要です。  倫理委員会も問題ないので要りません。ただ、医療安全管理委員会は必要です。  この当該技術も、とにかく腹腔鏡の資格を持っていますので、3例やればいいだろうと。  その他、頻回の実績報告は不要と。  戻りますけれども、適応症ですけれども、確かにこれは、両側は当然必要ですよね。た だ、高度なものに限ると言っちゃうと、軽度なものでもあるんですね。頻繁に腎盂腎炎を 起こす人がいますので、この辺をちょっとお考えいただいて、例えば「膀胱尿管逆流症及 び巨大尿管症」にしていただければ皆さん助かるのかなと思うんですけれども、いかがで しょうか。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明いただきましたとおりで、適応症のところは両側性または高度なものに限る というところがちょっと問題だと、軽症の場合もあり得るということで、これを「膀胱尿 管逆流症及び巨大尿管症」という形にして、あとのところは今お話しいただいたような形 で、かなり負担が少ない手術であるということで、感染そのほかの危険性はありますけれ ども、そういったことを注意すれば、技術としては認めてよろしいのではないかというこ とです。  それから、泌尿器科学会では、内視鏡的手術を学会内として推奨しており、泌尿器科の 専門医ということでよろしいのではないかという御意見でございますが、どなたか御意見 いただけますでしょうか。これも許可することによってかなり患者さんの負担は少なくな るから、どんな点でもよろしいですが。  笹子先生、どうぞ。 ○笹子構成員  先ほどのスリーブ胃切除のときも、どういうふうにしたらいいか僕自身も困ったんです けれども、内視鏡外科学会の技術認定医というのがありまして、実際はその人でないとだ めだと思います。ここに消化器外科専門医と、仕方がないからかわりに書いていますけれ ども、実際はその技術認定医でないと困る。今の泌尿器科の話もそうなんですけれどもね。  もしこれが要件としては満たしている施設で、内視鏡技術認定医がいませんというふう になっていても、これはできちゃうわけですよね。それで何か起こったときには非常にぐ あいが悪い。  だから、ちょっとこの先進的医療技術を評価するところの場では、何かアスタリスクを つけてどこか見えにくいところに書くとか、何かそういう方法をちょっとお考えいただか ないと、事故が起こったときの責任という問題があると思います。 ○猿田座長  実は今お話がありました慈恵の場合の前立腺の事故のときは、出月先生が委員に入って おられまして、出月先生はあのときは内視鏡学会の理事長をやっていらっしゃったんです。 非常に大切な技術だし、あの当時は比較的新しい状況でしたが内視鏡学会としても、症例 数をきっちり見て、しっかりした先生がいるところでやるならいいだろうという形で、割 と安易に通してしまったんですね。その後出月先生もかなり反省されておりました。  そういうことで、安易にやられるとまた何か起こる可能性がある。そのときにだれが責 任をとるかということがありますので、そのあたりのところはもう一回よく検討させてい ただいて、実施していくことか思います。 ○事務局  大変重要な御指摘ありがとうございます。  先進医療には内視鏡を用いる技術が確かに多うございますので、今回御指摘いただきま したので、ちょっと座長とも御相談させていただいて、今後何らかの形で対応できないか どうか検討させていただきます。よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  ともかく、安全性が非常に重要でございますから、その点しっかりやる施設でやってい ただきたい。安易にやられては困るということですね。ですから、内視鏡専門の資格を持 っている方にやってもらうということがまずは大切ではないですか。  どうぞ。 ○吉田座長代理  一応、泌尿器科学会独自につくっていますので、これ、変えちゃまずいんでしょう。泌 尿器科専門医と書いて、括弧して、腹腔鏡資格者とか書いちゃまずいんでしょう。書けれ ば一番いいんですよね。 ○事務局  先進医療技術の施設基準としてお認めいただきますと、どうしても大臣告示という形に なります。広告可能な専門医資格というものに、今御指摘のありました内視鏡外科の技術 認定医でしょうか、そちらは広告可能な専門医としてまだ認められておりませんので、告 示の中に書き込むことはかなり実際には難しいかと思いますが、ほかの形で何らか、実施 する医療機関に対して示せるようなやり方を考えたいと思いますので、また御相談させて いただきます。 ○猿田座長  結局、一番の問題は、事故が起こらないようによろしくお願いしたいと思います。そう いうことでよろしいですか。 ○吉田座長代理  はい。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんか。  どうぞ、福井先生。 ○福井構成員  先ほどの、両側または高度なものに限るという文章ですけれども、尿路感染症を合併し ないほど軽度なものもあり得るとしたら、そういうものまで適応にすることはあり得ない んでしょうか。 ○吉田座長代理  実際、臨床的には必ず腎盂腎炎を繰り返しますので、だから、ただ画像診断であるかと いうことは、ほとんど診断つかないです。必ず腎盂腎炎を起こすのでおかしいというので 調べるんですね。 ○猿田座長  ほかに御意見ございますでしょうか。  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  これとは少し議題と離れるかもしれませんが、保険収載のときには、技術認定はやはり 公示された資格じゃないとだめなんでしょうか。 ○審議官  診療報酬も大臣告示ですけれども、先生方御承知のように、告示だけ見ても分かりませ んので、要件が。その他の要件については通知なりほかの文書の形でこれを示しておりま すので、今御指摘のありましたようなものも附属の文書として、通知という形かどうかは 分かりませんけれども、要件を一定の、今お話しのようなものを事実上かけて、それで安 全性を担保するということを検討させていただきたいと思います。  いずれにしても、告示に書けないから安全性を犠牲にしていいなんていうことはあり得 ませんので、それはそういう方向で対処させていただきます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。 ○北村構成員  今のこの件以外でもよろしいですか。 ○猿田座長  はい、結構です。 ○北村構成員  先ほどの動脈管開存症の手術の別紙1にちょっと誤りがあるので。別紙1の1ページの 概要というところに、「全身麻酔下に、右側胸部の3カ所」と書いてありますけれども、 これは右を下にした側臥位で、切開を入れるのは通常は左です。心臓が逆向きになってい る人は別ですけれども。左ですね、これ、間違っていますのと、それから、そのときいた だいた田中先生からの御質問で、合併症がありましても、未熟児のようなときには、先に 動脈管をとにかく押さえようというステージ手術をする場合には、合併症のある場合もあ り得るかと思いますので、合併症のある例は除くんだという、通常は一緒にやりますけれ ども、除くんだという先ほど私の言った言葉は語弊があるかもしれませんので、修正させ ていただきたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかに。  どうぞ、事務局。 ○事務局  すみません、今の御指摘をちょっと確認させていただきたいんですけれども、まず概要 のところの「右側胸部」というところが「左側胸部」の誤植であるということで、まずこ れは訂正させていただきます。御指摘ありがとうございます。  2点目の合併症のところにつきましては、合併症のあるものは、この適応症として認め ないという…… ○北村構成員  いや、そうしてはいけないだろうと。やはり順番に、2つほかの病気がありましても、 まずステージ手術と分けまして、こちらのほうは非常に簡単にできるから、まずこちらを 押さえて、それから例えば心室中隔欠損は3カ月後にしようとか、通常は一緒にやること が多いですけれども、未熟児のような場合はこういうステージ手術も十分考えられますの で、その場合は適応があると思います。ですから、それはもう医師たちの判断に任せたら よいと思うので、合併症のあるものは省くとは書いていただかないようにお願いしたいと 思います。 ○猿田座長  どうぞ。 ○事務局  では、今のご意見を確認させていただきますと、先ほどの別紙1の技術につきましては、 適応症は現在の書き方のとおりでよろしいということで。 ○北村構成員  そうです。 ○事務局  はい。確認させていただきました。ありがとうございます。 ○猿田座長  ほかにございますでしょうか。  もしよろしければ、この技術に関しましてもお認めいただいたということでよろしいで しょうか。  ありがとうございました。  それでは、今日の3つの技術に関してはお認めいただいたということにさせていただい て、事務局のほうから11月の受付分のほうの報告をまずお願いします。 ○事務局  事務局でございます。  お手元に先−2の資料を御用意ください。  第2項先進医療の新規届出技術について(届出状況/11月受付分)でございます。技 術名のみ読み上げさせていただきます。  整理番号194番、インドシアニングリーンを用いた赤外線蛍光脈管撮影法。  195番、骨軟部肉腫に対するFDG−PET検査。  196番、整形外科領域感染症におけるリアルタイムPCR法を用いた迅速起炎菌同定。  197番、腹腔鏡下根治的膀胱全摘除術。  198番、副腎性高血圧に対するACTH負荷両側副腎静脈血同時採取法。  199番、非小細胞肺がんに対するγδT細胞治療。  以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  今、194から199まで、一応、11月の受付ということで6件来ておりますけれど も、これからもう少し細かいところまで検討してから、先生方にお願いすることになると 思いますけれども、どなたかこの6つに関しまして御意見ございますでしょうか。  もしよろしければ、こういう形で、11月の受け付けがなされているということです。  それでは、続きまして、先生方にいろんな案件の評価を書いていただくときに、少し用 紙の問題もあるということで、次は評価の用紙の見直しにつきまして、事務局のほうから お願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。  お手元に先−3の資料を御用意ください。  先進医療専門家会議における評価用紙の見直しについてでございます。  まず、現況といたしましては、現在、この先進医療専門家会議で御審議いただく前に、 先進医療としての適否について、あらかじめ構成員のお一方に事前評価をお願いしてござ います。その際、評価用紙の様式を用いております。それを次のページ、2ページ目、3 ページ目に掲載してございますけれども、この様式の中に、将来の保険収載の必要性とい う項目があるのですけれども、この項目につきまして、複数の先生方のほうから、先進医 療を開始する時点で明確に判断することが困難な場合があるという御指摘をいただいてお ります。  さらに、先進医療として開始された後、その実績報告を踏まえて保険導入等の御議論を いただくわけですが、その際にも、先進医療として開始する際にどういう課題があったの かということを明示されていれば、再評価をする際により効率的に実施できるのではない かという御指摘もいただいております。  そこで、事務局といたしましては、様式をこのように変えてはどうかということを御提 案させていただきたいと思います。  2の対応案の(1)ですけれども、評価用紙の様式における「将来の保険収載の必要 性」の項目の記載を見直しまして、保険導入等の評価に際して検討すべき事項を明記して いただけるような評価様式に変更してはどうかと考えてございます。  それに基づきまして、保険導入を検討していただく際にも、そこで審議いただいたとき に明記していただいた課題に対してどれだけ対応できているかと、そういったことを評価 の尺度としていただくということができるのではないかというふうに考えてございます。  具体的にこのような形で見直してはどうかという案をお示ししておりますのが、2枚め くっていただきまして、改正案としておつけしているものです。  様式第1号に当たりますものが、いわゆる第2項先進医療の評価用紙でございまして、 右側が第3項先進医療、高度医療のときに用いている評価用紙でございます。下から2つ 目の枠になりますが、将来の保険収載の必要性というところで、「A.将来的に保険収載 を行うことが妥当」と。その後ですけれども、「なお、保険導入等の評価に際しては、以 下の事項について検討する必要がある」というように文言を加えさせていただきまして、 さらにその下に記載欄として括弧を設けたということでございます。  今後このような形で、第2項、第3項、いずれにしましても事前評価をいただいて、そ れに基づいて先進医療専門家会議で御議論いただくと、そのような形にしてはどうかと考 えております。  事務局からは以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  どうしても保険のところの判断がなかなか難しいというのが先生方の御意見でございま すので、事務局としてはこういった形に、「将来的に保険収載を行うことが妥当。なお、 保険導入等の評価に際しては、以下の事項について検討する必要がある。」という形でこ こへコメントを書いたということで、さっき笹子先生も言われましたけれども、どうです か、こういう形で。御意見ございませんか。 ○笹子構成員  大まかに言えばこういうスタイルでいいと思うんですけれども、あとは例えば今月の審 査に出てきている浸潤性膀胱がんなんていうのは、臨床試験できちっと既存技術との非劣 性が証明されたら保険導入するとか、そういうようなことが必要なものもあると思うんで すよね。だから、そういうところへ書けば可能かと思いますが、ただ、先進医療に出てく る前にそういうのがないと、ぐあいが悪いのかもしれないですよね。  ただ、少なくとも保険に関しては、胃がんとか大腸がんはもう保険になっちゃってから 臨床試験をやっていて、ちょっと順番があべこべなんです。その辺はもう少し整理してい かないと、医療技術の組み立て方というか、導入の仕方というのはやっぱり、みんなの頭 がちゃんといい方向にそろってこないというふうに思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。  ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。  今までの用紙ではここのところが一番問題だということでございましたので。こういう 形でやってみて、また問題があれば当然、一番やりやすい形へ直していくということであ るかもしれませんけれども、どうぞ、飯島先生。 ○飯島構成員  改正案の第3項のところを見ますと、第3項ということは要するに薬事承認がなくてと いうことなので、その点については、もうこれは事務局のところで当然整理されていると、 これは当然、保険導入に関して検討すべき課題になると思うんですが、これは事務局のと ころで整理してくださるんですか。それとも我々のほうでこれは、こういう技術のここの ところの薬事承認をとらなければいけないというようなことを書けばいいわけでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。  第3項先進医療につきましては、飯島先生おっしゃったとおりで、まず薬事法の承認が 得られることが大前提でございます。それはもう、大前提という形でここには書いてござ いませんけれども、決して薬事承認が得られていないまま保険の御議論をいただくことは ございませんので、そこは事務局のほうで整理してまいりたいと思います。 ○猿田座長  高度医療のほうへ回って議論して、それからこっちへ出てくるということになるかと思 います。  どうぞ、竹中先生。 ○竹中構成員  (2)の将来の保険収載の必要性のAとBなんですが、このAとBに記入したことは、 総評できちんとあらわしなさいということなんでしょうか。というのは、Aの場合はまだ 分かるんですが、Bの場合は、克服すべき課題とかというものを我々委員側に求められる のではないかと思うんですが、それは先進医療の総合判定の適否とは違う課題になる可能 性があると思うんですけれども、そこはどうなんでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。  今の御指摘でございますけれども、将来の保険収載の必要性のところで、「B.将来的 に保険収載を行うべきではない」というふうに判断されたものは、基本的には総合判定と しても否というふうになるものと考えてございます。  ここで申し上げている「将来的に保険収載を行うべきではない」というふうに言ってい る趣旨といたしましては、そもそも保険診療にそぐわないといいますか、例えばアメニテ ィ部分であるとか、そういったところを指してございますので、基本的には課題を克服し た上で保険導入への議論をしていく、再評価をしていくという趣旨の制度であると考えて おりますので。 ○竹中構成員  したがって、課題として書くんですか、書かないんですか。適否で否と書けばそれでい いのか、課題をすべて羅列したほうがいいのか。 ○事務局  個々の技術の御評価をしていただく際には、その都度御相談をさせていただきたいと思 いますので、それでよろしくお願いしたいと思います。 ○医療課企画官  御趣旨は恐らく、事務局的には補佐が申し上げましたとおり、Bと丸をしていただけれ ば、我々の作業はそれで進むんですが、申請者に対して何らかフィードバックは要らない のかと、恐らくそういう御趣旨で聞かれたものと思いますので、それはその技術に応じて なんだろうと思いますから、適宜コメント欄に書いていただければ、今の時点で我々とし てはよろしいんじゃないかなと、そういうふうに考えております。 ○猿田座長  ほかに御意見ございますか。  北村先生、どうぞ。 ○北村構成員  国民皆保険というか医療皆保険を目指していると言いながら、将来的に収載すべきでな いということを現時点で書いてしまう、Bの場合ですね、それはどういうことを意味して いるんですか。つまり、この医療は人の役に立たないということを意味していのか。いわ ゆるエビデンスレベルの非常に低い、害になり得るという、2B以下だね、3とかね、そ ういうことを意味しているのか、なおかつ先進医療として認めようとしながら、将来的に 保険収載を行うべきでないとこの時点で断定するのは、どういう場合を想定されておられ るのか。 ○事務局  事務局でございます。  今の点ですけれども、こちらで先ほどちょっと申し上げたように、Bの将来的に保険収 載を行うべきではないというふうに、ここに該当する場合というのは、アメニティ的なも のであるとか、例えば美容整形的なものであるとか、そういったものは最終的に保険診療 になっていくものではないというのが現在の保険診療の考え方ですので、そういったもの がここに該当すると考えております。 ○北村構成員  そういう意味か。例えば美容外科とか、そういった領域のものをおっしゃっているのか な。 ○審議官  ただ、北村先生お話しのように、じゃ、ここに丸をつけたものが本当に今まであるのか と言われると、あるの。ないんじゃないの。 ○医療課企画官  実は前回のときの御議論にも一部ございましたし、今、実際に案件としてあるものにも かかわるんですが、アメニティ的なものはもちろん論外といたしまして、医療技術の中に、 まだ評価に十分なエビデンスがないというようなものから、あるいは明らかにこれは臨床 上有用性がほとんどないだろうというようなものとか、さまざまなバリエーションがあっ て、審査をどういうふうにしていくのかという課題があります。今の時点で、ですから、 Bはアメニティだけということではなくて、確かに医療としてはあり得るんだけれども、 保険に本当にこれを入れていいのかというようなはざまの部分が全くないとまでは、ちょ っと私どもでは申し上げられない状況がございます。  問題はそこを、グレーゾーンのようなところをどうやって判断していくのかということ がございまして、それを有識者の先生方に御相談をしているのがこの会議なんですが、ク リアカットに何か文章でぴしっと線が引けるものでないことだけは間違いないということ だと思いますので、なるべくその辺の技術を個別に見ていただいて、御判断をいただくと いうことなのかなと理解をしております。 ○猿田座長  今先生方に、今までの先進医療のたくさんの案件を保険にするか、もうこれでやめちゃ うか、あるいはもう少しこのまま先進医療で行くかということの調査をさせていただいて おりますね。あそこでもう一回先生方で議論して、もし余り役立たないものは先進医療か ら外そうという項目がありましたね。この次の委員会ではそういうところが非常に大切で、 今まで何となく入ってしまって先進医療でやられているのがありますから、そういったと ころもあわせて議論しなければいけないんじゃないかと思います。根本的にそのあたりを しっかり議論する必要があると思っているんですが。  どうぞ、永井先生。 ○永井構成員  それと関連して、評価医療という趣旨で先進医療に入っているが、まだ今の時点では有 効性が判断できないという欄があってもよいのではないかと思います。今までの議論です と、私は先進医療制度というのは、保険前導入医療と思っていました。少なくとも有効な ものが認可され、また保険に導入されていく段階の医療と思っていましたが、もっと評価 医療という側面を強調するのであれば、これはA、B、Cだけではなくて、Dに現時点で は不明というのが必要です。先進医療として認めるが、ただし条件はこうだという、そう いうケースが出てくると思います。 ○猿田座長  今先生がおっしゃった、そういうケースがかなりあるんですよね。それをですからどう いう形でいくかです。  どうぞ。 ○医療課企画官  今の御指摘も含めまして、構成員のほうから前回、前々回とご指摘がございまして、実 際この枠組みについては少し、もう一工夫できるんじゃないか、あるいはすべきではない かというふうに我々は受けとめております。ですから、これは保険のどちらかといいます と出口に近いほうの枠組みなんですが、その技術のシーズから入り口にかかる部分につい ては、どちらかといいますと、保険の前のさまざまな研究のスキームとも絡みますので、 医政の研究開発振興課を中心に、いろんな枠組みを含めまして、私どものほうと連携をさ せていただきながら、少し整理をさせていただければなというふうに考えております。  でも、そうはいっても、毎月の案件がございますので、まずこれをちょっと着手させて いただいて、様式を変えさせていただきながら、今の御指摘のことも含めて検討させてい ただけないかなという、そういう思いで今回出させていただいております。根本的な問題 をこの様式修正ですべて直せるとは思っておりませんので、もしよろしければ、もう一度 事務局のほうで引き取らせていただいて、所管課とも相談しながら、こんな形で少し工夫 をさせていただけないかという御提案を改めてさせていただくということでいかがでしょ うか。 ○猿田座長  できるだけそれも早く検討していただくことで、どんどん事例が挙がってきてしまって いますから。それから、ちょうどいいチャンスは、今皆様方に保険にどうしようかとかや っているところに、古い、いわゆる前の高度先進医療のほうから入ったような先進医療が 来ていますね。そういったこともちょうど整理するいい機会なんですね。ですから、その あたりで、この次は多分1月だと思いますけれども、そのときまでにこういった点もしっ かりさせて、やっぱり制度上しっかりしておかないといけないと思います。ほかにござい ますか。 ○永井構成員  そこが一番のポイントです。 ○猿田座長  ほかにございませんでしょうか。  どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  さっきの保険収載を行うべきはないということの項目として、美容とかというのも分か るんですけれども、僕正確に知らないですけれども、腹腔鏡を使った虫垂切除というのは 保険通っていないのでしょうか。というのは、メリットとデメリットのバランスが悪過ぎ ます。費用は確実に、ドクターが2人いるし、今までだったら全身麻酔が必要なくて、腰 椎麻酔でドクターが1人でやれて、傷の大きさの比較をしても、2センチ対4センチみた いな世界で、やろうと思えば腹腔鏡でやることはもちろんできるけれども、それだけのお 金をかける、医療費全体が高くなりますから、それに見合う患者さんへのメリットが余り にも小さい。そのようなものというのは、僕はもうバツとつけたほうがいいと思うんです よね。  それが、例えばロボットを使う手術がこれからいろいろ出てくる可能性があるんですけ れども、ロボットを病院で1台買うと、いろんなものに使ってくれないとペイしないから という論理で何でも出てきます。ところが、普通の腹腔鏡で十分できるものまでロボット、 ロボットというと、医療保険財政は大変なことになるんですね。だからこれは、そういう ものはバツと言わないといけないというふうに僕は思っています。でないと膨大な医療費 になっていきますよ。 ○医療課企画官  まず、事実関係として、腹腔鏡下の虫垂切除は保険適用に今なっています。  それと、これ結局、恐らくこの議論の本質は、費用対効果をどういうふうに考えるのか というのが保険導入においては避けられない議論だということなんだろうと思います。そ れを考える際に実は、保険導入費用対効果というのは技術によって変化をしますし、それ からもう一方で、要するに分母と分子がございますので、費用の部分の技術革新と、それ から財政の部分の、正直申し上げまして、やっぱり医療の費用のどれぐらいその給付がで きるのかという部分とのバランスになるということになりますので、両方の変化を実際問 題、保険の制度は追いかけていかざるを得ないというのが事実でございます。  それをややこしくしているのが将来的にという文言で、どの程度の将来なのか、どの程 度の時間なのかということもあいまいだと思われます。今我々のほうで考えております課 題といいますのは、単に一言ですべてを評価しようとするのではなくて、入り口の時点で どれぐらい吟味ができているのか、あるいは比較的もう出口に近い技術なのか、その辺は 全く仕分けができないままこの枠組みに入っていることがさまざまな、先生方の議論の中 でなかなかかみ合わないと言われている部分の一つだと思いますので、そこをぜひすべて 解決できるとは思えないんですが、なるべく工夫ができるように整理をしていきたいと思 っております。 ○猿田座長  どうぞ、渡邊先生。 ○渡邊構成員  実際、具体的にAとBと分けるとき、ある事項についての評価がないと、妥当かどうか 分からないというものがあると思います。ここのところを検討しないと保険収載が妥当か 否かが分からないという技術もあるのではないかと思います。  私がいつも思うのは、AとBしかなく、真ん中がないものですから、ここのAのように、 保険収載するときだけ妥当な事項を挙げて、しないときはないというのも難しい場合があ ります。  例えば、将来、保険収載するのかどうかよく分からない、不明であるけれども、その妥 当性を決めるにはこのような評価が現時点では必要であるというような項目があると良い と思います。 ○猿田座長  今の面も大切ですが、それも含めて、しっかり先生方が迷わないようにやっていただけ ればということかと思います。  ほかに御意見ございますか。  そういう形で、もちろんこれもまた出していただいて、やりながら直していくというこ とになるかと思いますけれども、皆様方が同じように理解できることが大切でございます ので。  先ほど笹子先生がおっしゃった内視鏡の保険は、逆にもうどんどん内視鏡が進み過ぎて、 かなりのところがその手術をするようになり慌てて保険適用に持っていったといういきさ つがありますから、御了承ください。  もしよろしければ、そういう形で少し事務局のほうで今の用紙は検討させていただくと いうことで、よろしいですね。  どうぞ。 ○審議官  猿田先生に整理していただいたとおりでございます。  保険導入について非常に本質的な御議論をいただいて、ありがとうございました。本当 に御指摘のような問題を入れて、実はここにある項目自体が倫理性とか、普及性とか、効 率性が保険導入の重要な指標なんですけれども、これだけでは判断できないことが確かに ございますので、よく議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  それでは、一応今のをまとめの言葉とさせていただきまして、それではその他のところ で、実は前のこの会議で、非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法、これは保留 の形にさせていただいて、いろいろ事務局とも検討させていただいて、今やっております。 対応でございますけれども、事務局のほうから御説明をお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。  今、猿田座長のほうから御紹介いただきました非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞 投与療法につきましては、前回、審議保留という形になっております。その後、先生方に 少し、特に前回の会議で御欠席だった先生方のほうからも少し御意見を伺いまして、その 結果、医療機関のほうに追加資料の提出を求めるということにさせていただきました。追 加資料が提出され次第、速やかにまた先進医療専門家会議で御議論いただく所存でござい ますので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上、事務局から報告でございます。 ○猿田座長  できるだけ評価できるような形で資料を全部出していただきたいということが一番大切 かと思います。それで皆様方が後で評価すると。よろしいですね、そういう形で。  ほかに御意見ございませんでしょうか。  もしなければ、また今日もいろいろ宿題事項をいただきましたけれども、その宿題をち ゃんとこの次までに整理するということで、それでは、これで44回の先進医療専門家会 議を終わらせていただきます。  どうも御協力ありがとうございました。 午後 2時14分 閉会 【照会先】 厚生労働省保険局医療課医療係 代表 03−5253−1111(内線3276)