09/12/09 第156回中央社会保険医療協議会総会議事録 09/12/09 中央社会保険医療協議会          第156回総会議事録 (1)日時  平成21年12月9日(水)9:00〜11:33 (2)場所  全国都市会館 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 関原健夫委員        白石小百合委員        小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員          伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員       <事務局>       外口保険局長 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 平成22年度診療報酬改定について       ○ その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第156回中央社会保険医療協議会 総会を開催いたします。  まず、委員の選任について御報告いたします。  庄司洋子さんが退任されまして、新たに12月4日付で、関原健夫委員が発令されてお ります。  なお、事務局より、今回発令されました関原委員から、「自らが公務員であり、高い倫 理を保って行動する旨の宣誓をいただいている」旨の報告を受けております。  それでは、関原委員、一言ごあいさつを伺えますか。 ○関原委員  ただいま、御紹介いただきました関原でございます。ひとつ、よろしくお願いいたしま す。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。  次に関原委員に御所属いただく小委員会・部会でございますけれども、前任の庄司委員 が所属しておられました、基本問題小委、薬価部会、材料部会、検証部会に所属していた だきたいと思います。  この、小委員会・部会に属すべき委員につきましては、社会保健医療協議会施行令等の 規定によりまして、中医協の承認を経て、会長が指名をするということになっております ので、ただいま御説明をしたとおり指名するということでよろしゅうございますでしょう か。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、関原委員、よろしくお願いします。  次に、委員の出欠状況でございますけれども、本日は森田委員、高橋委員、藤原専門委 員が御欠席です。  また、勝村委員が遅れる旨の連絡を受けております。  また、審議官は公務のため欠席するとの連絡を受けております。  それでは、議事に移ります。  まず、「平成22年度診療報酬改定」についてを議題といたしますが、本件につきまし ては、前回の総会に公益委員案を提示しまして、議論をいただいたところですけれども、 2号側委員から修正の申出がありましたため、改めてここで議論するということになった わけであります。  2号側より修正意見が提出されておりますので、2号側から説明をお願いしたいと思い ます。よろしくお願いします。  安達委員どうぞ。 ○安達委員  公益の皆様方に、我々の意見交換を基にして、こういう文案をつくっていただきながら、 我々としては、同意することができずに余分な時間をとることになったということで、大 変申しわけなく思っておりますけれども、そのことを踏まえて、今日、我々の修正案を御 提示をいたします。その理由を非常に簡略に申し上げます。  日本の医療費が世界の先進国の中でも、低位、最低に属するような値であるということ は、よく知られている事実でございます。そういうことが続いてきた結果として、日本の 医療提供体制の破綻の危機が目の前に来たということが、前回改定で初めてその認識とし て表面に出て、一定の本体プラス改定が行われた。しかし、総体としてはやはりマイナス 改定になったということで、この対応では不十分であったのであろうということは、現状 を見れば明らかなんだろうと、私どもは思っております。  英国の例えばNHSが、かつて日本よりも低位の医療費によって運営された結果として、 手術の待ち時間が非常に延長するなど、医療の提供体制に問題が生じ、ひいては医療を受 ける方々にとっても、大変大きな不利益を生むような形になったという事実があって、そ れに対してブレア政権の手腕において、財政投入が行われ、日本よりも上位の医療費を計 上するようになっておりますけれども、依然としてそのNHSの医療提供体制の危機とい うものは、去っておりません。  このことが意味しているものは何かということは、いったん提供体制をいろんな形でこ ういうふうにして壊してしまうと、ヒューマンリソースが戻らない。その結果として、単 純に予算計上しても戻らない状況が生まれてしまったのが、この現状だろうというふうに 私どもは認識をしております。  そういう観点から申しますと、日本の医師は、この低医療費の中で総体として言えば、 手前みそで恐縮ですけれども、非常に献身的に高い義務感と倫理観を持って、患者さん方 の治療に当たってまいりました。けれども、今それが破綻しようとしている。そこで、こ れを改善しなければ、我々の年代の時代を担う若い医師たちの心が折れてしまうというこ とを、我々は大変危惧しておりますし、さらに言えば、これから職業選択をする次の世代 の方々にとって、医師という職業にくる方たちのヒューマンリソースとしての数、あるい は倫理観や義務感という意味での質ということが、本当に保障できるシステムにならない のではないかということを大変危惧をしている。  いったん壊してしまうと、戻るのには大変時間がかかるという意味で言えば、ここでこ ういうことを決めた我々が恐らくこの世を去った後になって、そういう不都合が明らかに なってくるだろうということを危惧しておりまして、後世代に対して我々は責任を持たな ければならないだろうという意識がございます。そういう意識があって、この改定の意見 書の案に対して我々の改定案をお示しするわけでございます。  この別紙に記載のとおりでございまして、要は4.の3つ目の丸を、こう変えるべきで はないでしょうかというのが、私どもの御提案であります。「以下の点を踏まえて改定率 の決定をお願いしたい」というここまでの文章は同じでございまして、その踏まえること についての4つを列記させていただいております。  最初の1つは、もう既に今申し上げました、前回改定は社会保障費のマイナス2,20 0億円削減という基本政策のある中で、苦慮して行われたもので、これは十分ではなかっ たというふうに私どもは理解をいたしておりますし、現状の統計データもそうではないか と思います。  したがって、2番目として診療報酬総体を引き上げるということを求める意見を我々全 体として、日本国の医療体制の健全な維持のために求めたいと、そういう意見にしたいと いう提案でございます。  3番目、この文章の後ろのほうの政策的財政支援という言い方が、今、ほかのところで も議論されている微妙な話があるので、1号の皆さんにとっては、我々の意図として誤解 をしていただくことは避けたいと思いますので、端的に言えばこの、両論併記になってい る、1号の皆様がおっしゃる保険料の引き上げにつながるようなことは、やる状況にない とおっしゃっておられることについて、端的にここを言葉で言えば、その保険料の引き上 げにつながらないような政府政策を求めるという意見であるということでございます。  今回の政権交代に関して、与党民主党がお出しになった政権公約の中に、診療報酬のO ECD先進国平均に引き上げるという公約がある、こういう公約をお書きになるというこ とは、単純に医療機関に対する支援をきっちりやるということばかりではなくて、診療報 酬を上げれば、当然その負担をされる健康保険組合、各保険者にとっても負担がふえるわ けでございますので、そのことの手当もちゃんとするということが考慮されていなければ、 そのような政権公約はもともと出てこないはずだろうと思う。公約をお出しになったから には、そこのお考えもあったはずだと思うということが、私どもの原点でございます。  最後の4番目、これはこの間、嘉山委員がお時間をちょうだいして、大学病院の現状等 々をプレゼンテーションさせていただきました、こういう特定機能病院や、自治体病院等 の、少なくとも医療にかかわる部分の費用については、現在、医療費以外の公費投入が行 われて、賄われているという状況がありますけれども、そこのところを国民の皆さんにも 見える形で明確にして、全体として医療費の中で賄うという体制が正しいのではないかと いうことでございます。  御質問があれば、またお答えいたしますが、私どもはこの変更案をお出しすることの趣 旨は、簡略に言えば今申し述べたとおりでございます。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  2号側からの修正案というのが出たわけでありますけれども、1号側の御意見を承りた いと思います。  白川委員どうぞ。 ○白川委員  中身の前に、前回も申し上げたのですけれども、11月25日付で診療側の意見書を公 式な形で受け取り、それについて議論をさせていただいたと認識をしております。  したがいまして、修文が必要であれば、その意見書内で修文をしていただくというのが 本来の在り方ではないかなというふうに考えております。本日新たな意見書が出てくると いうような形になったのは、まことに遺憾でございますので、そのことをまず冒頭申し上 げたいと思います。 ○遠藤会長  北村委員どうぞ。 ○北村(光)委員  私もその件について一言。  私も長い間交渉ということをやってまいりましたけれども、交渉あるいは話し合いとい うのは、当初に当事者同士が自分たちの立場と意見をお互いに出し合って、それについて 論議をし合う、そして今この問題は、今日明日には、もし中医協としての案を出さなけれ ばいけないのであればまとめないといけない時期、最終局面です。そこで、最初の案より も厳しいものを出してくださるということは、この話し合いそのものをおまとめになる気 はないというふうに、通常の交渉では考えます。  いかがでしょうか。 ○遠藤会長  安達委員どうぞ。 ○安達委員  見解の相違と言ってしまえば、一言で済んでしまうんですけれど、私どもは意見を申し 述べました。その中身は、既にごらんいただいたとおりでございます。1号からも御意見 をちょうだいしました、意見交換をさせていただいたわけでございます。  そのことについて、追加の意見を申し述べたというつもりは、私は毛頭ございません。 2号側の意見を取りまとめるに当たって、そういう追加の意見を言いたいという意見もご ざいましたけれども、まとめ役として私の立場で、それはすべて割愛させていただきまし た。ですから、1.2.それから3.があって、4.の丸の1、2があると、ここまでは、 すべて公益が公益の立場でまとめていただいたもので、この状況はすべて容認というか、 これまでの状況の評価でございますから、当然そのままでその理解に基づいて、ですが、 この結論に至りませんかという、我々の御提案であるということでありまして。決して我 々の意見を追加したいというつもりはございませんので、例えばこの内容を従来の丸の3 つ目はそのままに置いておいて、例えば丸の1、2、3のところに少し埋め込みましょう かと、そういうことを求めているわけではございませんということを申し上げたいと思い ます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  北村委員どうぞ。 ○北村(光)委員  でも、何となくそういうふうに感じるのも無理からぬところでございますよね。 ○遠藤会長  西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  これは新たな意見というのをどこを指しているかよく分からないんですが、私たちの追 加していただいた丸の中の最初の(1)については、同じようなことが書いてございます し、(2)も書いてございます。(3)と(4)につきましては、1号側から今のやはり、 保険料引き上げに直結するような引き上げを行う環境にないということで、ではそこら辺 に配慮するにはどうしたらいいかということで、書いたということですので、私たちは新 たな前の要望書に書いていないことを言ったというふうには思っていませんので、もし前 と違う要望書を出したと言われるのなら、どこの箇所はそうなのかということをお示しい ただければと思います。 ○遠藤会長  白川委員どうぞ。 ○白川委員  11月25日付の診療側の意見書を手元で見ておりますけれども、少なくとも(3)と (4)については、全く記述がないというふうに思いますが。 ○遠藤会長  西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  ですから、(3)と(4)は1号側の出した意見に対して、なかなか引き上げられない ということに対して、私たちはこうすればどうかという提案でございますので、それを受 けてということで、私たちの事情で言っているんじゃないと思っています。1号側に対し てこうしたらいかがですかというふうな提案だと思っております。 ○白川委員  すみません、(4)もですか。 ○西澤委員  (4)もそうです。 ○白川委員  (4)も私どもの意見に基づいて書かれたということですか。 ○遠藤会長  西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  そういうことでございます。要するに財源論になってしまっていると、そうしたときに は今、保険料引き上げと言いましたけれども、要するに保険財源だけでは駄目なんだろう ということを今私たちは理解させていただきました。そういうことでは今ですね……(ノ イズ)……今まで例えば交付金だとか、補助金だとか、場合によっては公立病院に置きま しては赤字になった場合には公費による補てんとかというものが使われておりまして、そ れはでも、医療費とは別の枠で入っていてよく見えないと、そのあたりを医療費として明 らかにすることによって、財源全体を膨らませることはできるのではないかと、そうする と今の保険財源だけで全部考えようというところから一歩踏み込んだということでは、1 号側にとって決して悪い話ではなくて、特に伊藤委員なんかの立場から立ちますと、こう いうことは非常に賛同を得られるんじゃないかなと、そういう思いで書かせていただきま した。 ○遠藤会長  白川委員どうぞ。 ○白川委員  ……(ノイズ)……すみません、マイクも怒っているようでございまして。  私が申し上げたのは、十分な時間をとって委員の先生方が意見書という形でまとめて1 1月25日に出されたと。我々も同じように十分な時間をとって、意見書をまとめたとい うことでございまして、その意見書を見てまた新たな意見が出てくるというのは、ごく当 然の話ですが、少なくとも中医協として合意した文書を出すのは、もともとの公式文書、 意見書をベースに出すべきであると思います。そうしませんと極論すれば、今出された診 療側意見に対して、我々また支払側意見というのを出して、またそれを診療側の先生方が また意見書を出しての繰り返しで一歩も進まないわけですよね。そのために区切りをつけ て、双方の意見書を提出して意見交換しましょうと、こういう場を持ったわけですから、 それをまた蒸し返すようなことは我々としては、苦言を呈せざるを得ないとこういうこと でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。2号側、何か調整する必要はありますか。  白川委員、続きどうぞ。 ○白川委員  マイクを変えていただいたので、少し穏やかに、中身について幾つか質問とコメントを させていただきたいと思います。  1番目の話でございますが、後半部分で公私を問わず病院の経営状態の悪化はより深刻 となったという表現になっておりますが、医療経済実態調査では病院の経営状況は20年 度の改定によって、少しは――少しはというのは大変申しわけないのですけれども、改善 したと、赤字は赤字、全体としては赤字でございますけれども、改善したという認識を持 っておりますので、ここはコメントをさせていただきたいというのが1つ。  2つ目のところでございますが、後半部分にさらなる取り組みが必要という基本認識の 一致と書かれておりますのは、診療側と支払側が基本認識で一致したという意味でしょう か、それとも診療側で認識が一致したという意味でしょうかという、これは質問でござい ます。  3つ目の部分につきまして、中医協は診療報酬の内容、配分を審議するところですので、 各保険者の財政悪化に対して政策的財政支援云々の話は、中医協、少なくとも診療報酬と は関係のない話ではないかというふうに私どもは考えております。  それから、前回出された、公益委員の先生方がまとめられた原案では、確かに保険料引 き上げに直結するような診療報酬の引き上げを行う環境になくというところだけ、抜き書 きをされておりますけれども、私どもの意見書には、それとあわせて患者、国民の負担と いうことも取り上げておりまして、そちらのほうに対する診療側のお考えがここには入っ ていないんじゃないかというふうに思います。  それから、4つ目の話は、おっしゃりたいことが私にはよく理解できないんですけれど も、少なくとも診療報酬を引き上げるか引き上げないかという意見書と、この特定機能病 院、自治体病院という、ある特定の分野の医療費、あるいは国の助成金、この辺の関係が どう関係づけられるのか、私どもには理解できません。 ○遠藤会長  では、今、幾つかの質問も出ております。また、御意見もありますので、それでは西澤 委員どうぞ。 ○西澤委員  最初の2点だけですが、実調で改善といいますが、全体で見ると、マイナス5.0がマ イナス4.5です。これを改善というのか、普通の皆さん方の企業ではどうなんでしょう、 こういうのを改善と言うんでしょうか。赤字基調には変わりなくて、前年度5.0という ような非常に苦しい中で、さらに赤字だったということは、これは深刻さが増していると 私たちは受けとめております。少なくともマイナスがプラスになったんであれば、今の白 川委員が言ったとおりだと思いますが、私はこれは深刻、さらに悪化して深刻だと私は受 けとめております。  2点目でございますけれども、さらなる取り組み、2号側だけのですかと言いますが、 これはこの間まとめていただいたところの、4番目の最初の丸のところに、さらなる取り 組みを進めていくことが必要であるという認識については、意見の一致を見たと書いてご ざいますので、それを受けて書いただけでございますので、特に問題ないんじゃないかな と思います。  以上、最初の2つのことについて私のほうで回答させていただきました。 ○遠藤会長  安達委員どうぞ。 ○安達委員  まず、3つ目の白川委員のご指摘について、私ども考えを述べさせていただきます。  最初に御説明を申し上げましたとおり、ここだけに議論を絞っていただきたいというこ とで、あえてその1.2.3.4.の丸の1、2について、そこを変えた上でということ の御意見は、我々は提出をいたしませんでした。  白川委員がおっしゃっているのは、その1号側の御意見の中に、単純に保険料だけの話 ではなくて、例えばこの公益案によれば、賃金の低下や失業率の上昇など、国民の生活は 大変厳しい状況にあると、そういう御意見であると、この部分を我々もそうも言っている よということをおっしゃったということだろうと思います。  そのことと、2.を変えてほしいという我々の意見をあえて出さなかったということも 含めまして、私どもの認識はこういう状況は十分私どもは理解をしております。理解をし た上でこの御提案をしているという意味で、国民の皆さんにも御理解をいただける形を求 めたいという意味でございます。  つまり、数次にわたるマイナス改定の積算として、今の日本の医療の提供体制の破綻に 近い状態があると、これを改善するためには、この状況の中でも一定の手当が必要なので はないでしょうかということと、強いて言えばそのことは単なる経費だけではないはずで ありましょうと、経済効果というものを持っているのでありましょうということも含めて 申し上げているわけでございます。 ○遠藤会長  北村委員どうぞ。 ○北村(光)委員  今の安達委員のお話について、ちょっと私の意見なんですけれども、この保険者の財政 悪化という原因は、御存じのとおり経済情勢につきます。経済情勢というのは私企業の集 団ですから、私企業が苦しくなって、そして、何かの政策的支援を求めるとなったら、ま ず企業が自助努力を徹底的にしなさいと言われるだけだと思うんです。これが私企業の世 界の厳しさだと思います。私はそれだけを申し上げたい。 ○遠藤会長  小林委員どうぞ。 ○小林(剛)委員  先ほどの西澤委員のお話で、「さらなる取り組みが必要だ」とここに書かれているとい うことすが、これは要するに勤務医等の負担の軽減や、産科・小児科・救急等の積極的な 評価を行っていくことが重要であって、これは20年度重点的に評価が行われたのですが、 次期診療報酬改定においてこれらの分野を支える地域の医療体制の確保を含めて、さらな る取り組みを進めるという意味であって、ここに書いてあります、薬価引き下げ分を含む 診療報酬全体の引き上げが必要だということとは結びついていないと私どもは理解してお ります。  それから、丸の2については1号側の意見でも書いてありますように、さっきも申し上 げた物価情勢、あるいは賃金情勢などを踏まえた保険者の財政状況、こういったものを含 めて、今は底上げを図るという状況にないという考え方については、基本的には変わって いないということです。  それからもう1点、3番目の財政悪化に対して政策的な財政支援が必要だということで すが、この御意見については、医療保険制度の基本的な考えという観点からちょっと問題 があるのではないかと考えております。  私ども、協会けんぽについては、極めて財政基盤がぜい弱だということで、一定の国庫 補助、今は暫定の13%となされておりますが、社会保障という観点からしますと、基本 は保険料で賄うということで私どもは理解しているということでございます。そういった 意味で、診療報酬の引き上げによる財政悪化、これについては別途政策的な支援で賄えば よい、外からお金を持ってくればいいという考えについてはやはり問題があるのではない かと。要は、保険料の負担等のバランスで給付を考えていくのが重要ではないかと考えて おります。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  まず1つ目ですけれども、先ほど白川委員が言ったのは、さらなる取り組みが必要とい う基本認識は、2号側でぶつかったからその認識ということに関してはここに書いてある でしょうと言ったわけでございます。その認識に基づいた後のほうは私どもがくっつけた のでございますが、これは私たちがつけた、そのとおりでございます。  ただ、私たち前回も言いましたけれども、4番目の最初の丸をやはりここら辺で国民、 患者が望む安心・安全で良質な医療を受けられる環境を整えていくということは重要な課 題だということで、その下に勤務医等の負担軽減とか書いていますが、これを実行するた めには、やはり医療費が上がらないとできないというのが私たちの認識でございます。そ れは、1号側はそうじゃないだろうと内部で配分のやりくりをするだけでできるのではな いかというのは、1号側だと思いますが、私たちはそれは無理だという認識でここに書か させていただいたということでございます。  ですから、そこら辺は恐らくお互いに意見が一致していないんじゃないかなと、私たち はやはり、ここの最初の丸で書いてあることをしなければならないと、そのためにはやは り財源を上げてもらわねばできない、財源が上がらない中でこれをしろと言ってももう現 場はできないという、いろんな勤務医を含めたそういう声を受けて私たちが言っていると いうことを理解していただきたいと思っています。  ですから、1号側がなかなか財源がないということに関しては、余計なことだったかも しれませんが、ではこういうことで何とかできませんかというのが私たちからの提案とい いましょうか、お願いというふうな意味も含めて、(3)(4)は書かせていただいたと、 そのように理解していただければと思います。 ○遠藤会長  西澤委員、ありがとうございます。  大体御意見は。  嘉山委員どうぞ。 ○嘉山委員  まず、我々の診療側の意見を今度出させていただいたのは、白川委員も北村委員もおっ しゃるとおりで、長い時間をかけてと、長い時間というのは、私は地方にいるものですか ら、なかなか時間はかけられないんですけれども、我々の責任で出したものです。それを 公益委員がまとめたわけですね。その公益委員がまとめたものに対して、この前どうだろ うかということで、我々はそれに対して意見を出したので、手続論としても私はそんなに は大きくは間違っていないだろうと、前の私が出したやつを変えたのなら別なんですけれ ども。  それで、先ほど白川先生の御質問の特定機能病院、これは、中医協の中で扱う内容だと いうふうに我々は考えています。それはなぜかといいますと、現在中医協に特定機能病院 の委員はだれもいなかったので、そこに私は日本の医療のレベルを支えてきたのは、やは り勤務医を含む大学だと思っています。トリートという意味で。ケアという意味ではなく て、患者さんのケアではなくて、トリートという意味では、完全に勤務医を含む大学病院 だと思っています。  そこのところがずっと置き去りにされてきて、それをほかの財源、例えば銚子市であれ ば、銚子のほかの名目で取った税金を銚子市民病院を維持するのに使ってきたわけです。 その中で何が足りなかったかと言えば、やっぱり中医協の中での議論で、技術料であると か、例えばモニタリング一つにしても、そういうふうな医療費の問題が取り扱われてこな かったために、そういう問題が起きたんだろうということで、医療費でやっぱり独立して 自立できることは必要なので、中医協でこの意見を出すべきだということで、この公益側 の意見の中でも、一番最後のところに、幅広い医療政策が講じられというところに対する 中身を意見させていただいたというところですので、御理解願いたいというふうに思いま す。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  安達委員どうぞ。 ○安達委員  先ほど北村委員から、私企業の話も伺いました。それから小林委員の基本的には保険料 でという、それは私は当然そうだと思いますし、全く異論はございません。  ただ、ここに大きなお世話なのかもしれないけれど、わざわざここに書いているという 意味は、やはり国家の政策として保険料だけでは足りない部分については、従来から医療 費について、保険料ではないつまり、国家の政策のいろんな部分に手当てをする税の一部 の配分を医療に向けてきた、その配分が、少ないのではありませんかということを私ども はあえて申し上げたいということでありまして、例えば後期高齢者医療制度の発足に当た りましても、少子高齢化の中で給付金の4割を健康保険組合が担うということになってい る、これは非現実的な設定だと私どもは思っていますし、あわせて発足した前期高齢者の 財政調整金の支出も計算式上は組合としてはふえる形になっていると、私は思います。  そういう政策の流れが全体として、マイナス2,200億円の社会保障費の伸びの抑制 という基本原理のもとで行われてきたと、これを一度この政権はそれをやめるとおっしゃ るんですから、変えていただけませんかという意見を我々は一致して出しませんかという 意味での御提案でございまして、そういうことで組合に加入される方々の治療に破綻が起 きないようにということを、我々は第一に考えて医療をやるわけでございますから、一緒 にこの意見で一致をして出そうではございませんかという御提案でございます。そういう ことでございます。 ○遠藤会長  北村委員どうぞ。 ○北村(光)委員  安達先生のおっしゃることもよく分かりますけれども、やはりこの問題の根幹は、私企 業の享受の問題で、自らの努力をしないで他に助けを求めるということは、経営者として できませんよ、そういうことは。それは当然だと思います。  それから、今の新政権は大変御尽力をされているけれども、今の全体的な状況を見てい て、何かお願い事ができるような雰囲気に私は感じません。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  鈴木委員どうぞ。 ○鈴木委員  今の1号側の先生方の話を聞いていますと、前政権のときと変わっていない、何が変わ っているんだろうという気がします。今回、政権交代がありまして、それに基づいてこの 国の在り方を変えようということで、やっぱりコンクリートから人へとか、物から人へと か大きく変えようとしているわけで、その試金石として試されているんだと思いますね。  ですから保険料は今の経済情勢では大変かもしれませんけれども、そもそも我が国の保 険料は同じ保険方式をとっているフランスやドイツと比べて高いのでしょうか、決して高 くないんですね、日本の保険料は。ですから、私企業だからそれは当然ですけれども、保 険料の負担からみても、まだ私はそんなに、フランスやドイツの企業が経済の競争力を落 としているという話は聞いておりませんので、それはやはりもう少し考えていただく部分 ではないのかなというふうに思いますし、我々の経営は今までお示ししたとおり、自分で は私企業はとおっしゃるけれども、私企業は景気がいいときに値段上げたりいろいろでき るじゃないですか、私たちは公定価格ですから、どんなに景気がよくても診療報酬はほと んど上がっておりません。ですから、そういう中でじわりじわりと経営が悪化していると いう状態ですので、それをもうここまで来て、医療崩壊という事態が迫ってきております が、ここを救うにはやっぱり政権交代もなったわけですから、ここでやはりセーフティネ ット…… ○遠藤会長  鈴木委員、大体同じ趣旨の話が、2号側から…… ○鈴木委員  そういったものを、ぜひ考え方を変えていただきたい、1号のほうですね。ぜひ思いま す。 ○遠藤会長  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  公益の皆様方からいただいた、最初の提案のこの基本認識の1というところの確認なん ですけれども、この中ではまず前回もそうだったということで、産科・小児科・救急等こ れが積極的に評価すべきですねと、で、20年度改定でもそれを重点的にしましたという ことがあります。  それを支えるというのは、単にそれだけではないと思うんですね。これを支える地域医 療ですから、地域医療全体の確保を含めてさらに取り組みましょうということで、先ほど その重点項目だけについて一致したのではないかというような発言がありましたけれども、 そこのところ公益の皆様方がおまとめいただいたことは、前回改定でも、それは重点項目、 しかしそれ以外に充実すべきことがありますねということで、前回改定が行われたわけで すね。  ですから、今回もその流れに基づいて、また医療部会、医療協議会等も横目に見ながら、 その方針とも横目に見ながらいくと、やはり前回と同じように単にそれだけではないとい う意味での基本認識の一致というふうに私は考えて感じたんですが、これをお出しいただ いた公益の先生方もそのような認識でよろしいのでしょうかということを、確認したいと 思います。 ○遠藤会長  渡辺委員のおっしゃるとおりです。ここに書いてありますとおり、これらの分野を支え る地域の医療提供体制の確保を含め、さらなる取り組みをするということが必要であると いうことでありますから、そのような内容であります。  勝村委員どうぞ。 ○勝村委員  遅れて来て申しわけありません。この案を今、見たばかりなんですけれど、一応2号か ら出していただいた意見を見て、ちょっと感想を一言だけですけれども。  今、皆さんがおっしゃるように、1号側、2号側からそれぞれから意見が出されて、そ れぞれの意見に対する意見交換というのは、もちろんあっていいと思うんですけれど、そ れらを生かす形で公益委員の先生方がもう1枚表紙をつくってくれているんだという理解 ですけれど、その大きな4番、4.の中に丸が公益委員の先生がつくっていただいた4つ ある構成というのを見てみると、僕はどう読んだかというと、1つ目の丸で一致した部分 がこれだけあると。しかし、2つ目の丸で、やはりちょっと十分な時間もなくて、十分に 一致はしていないけれども、それぞれの側から出されている意見があると。3つ目の丸で それらの意見の1つ目の丸、2つ目の丸を酌んで診療報酬を考えてくださいと。4つ目の 丸でさらに、診療報酬以外のところでも、いろいろやってほしいという意見が1号、2号 側問わず出されているので、それもお願いしますという構成になっていると思います。そ う考えると、2号側の先生から今回出された修正意見の(1)というは、やはり1つ目の 一致したという部分を補足している形ではないのか。2つ目の(2)というのは、2つ目 の丸の診療側が主張されている部分のまとめている部分の補足ではないのかと。それから (3)と(4)は、4つ目の丸ではないかと。ここはこれで、診療報酬とは直接は関係な いけれども両者が一致している面だと僕は思いますけれども、4つ目の丸の中を補足する 内容だったのではないかなというふうに思ったので。そういう意味では、新しい意見とい うよりは、それぞれの中に出ているところの話なのかなというふうに思ったという感想で す。  以上です。 ○遠藤会長  それでは、両側から大体の御意見を承りましたので、なかなか一致するところが難しい なというふうに思いますけれども、ただいまの御意見なども反映させた形で、公益委員と して、修正案を作成したいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。  渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  前回のときも、20年度改定に向けてのこうした意見をまとめるときもそうでしたけれ ども、こうしたディスカッションを踏まえた後で、一応おまとめになったものについての 説明を、ここにもう一度、1号と2号と公益という形での説明があってという段取りをと られたというふうに、私は前回を認識しているんですけれども、同じように会長さん、さ れますでしょうか。 ○遠藤会長  つまり公益側が今回つくり上げるものを最終案としてするのではなくて、もう一度ここ で御説明して御意見を聞くというかどうかということですね。 ○渡辺委員  その前に、あの…… ○遠藤会長  ちょっと私、理解ができなかった。 ○邉見委員  前回もこういう状況になりまして、別室で公益の方のたたき台を1号側とまず、で、2 号側ともやって、その後で。 ○遠藤会長  わかりました。そのプロセスの話ですね。呼び込みをするかどうかということですが、 どういたしましょうか、呼び込みをするということは要するに、こちらが文言を書きまし て、よいかどうかというのをやると、それぞれについて呼び込みをするというやり方、私 は実は余り考えていなかったんですけれど、一気にやろうかなと思っていましたが、呼び 込みがいいというのであるならば、それでも構いませんが、どちらがよろしいでしょうか。 ○西澤委員  呼び込みで。 ○遠藤会長  1号はどうでしょうか。 ○白川委員  私どもはどちらでも結構です。 ○遠藤会長  そうしたら、案をつくりましたらば、1号、2号の順でそれぞれ呼び込みという形にさ せていただきたいと思います。  それでは、早速作業に移りますので、しばしお待ちいただければと思います。 〔暫時休憩〕 ○遠藤会長  それでは、大変長らくお待たせいたしました。ただいま、1号側、2号側と個別に相談 をしながら、意見のすり合わせの作業をやってまいりましたけれども、結論から申し上げ ますと、意見の集約ができませんでしたので、1号側、2号側の了解をもまして、中医協 として診療報酬改定についての意見を具申することは行わないということに決めさせてい ただきました。  以上でございます。  何か、よろしゅうございますか。結構ですね。  ありがとうございます。  それでは、これをもちまして、本日の総会は閉会としたいと思います。  事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  昨日、社会保障審議会において、診療報酬改定の基本方針が取りまとめられましたので、 机上に配付しておりますので、御高覧ください。  それから次回の日程は、12月中旬を予定しております。  よろしくお願いします。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして、薬価部会がございますので、準備が整うまでしばらくお待 ちください。         【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)