09/12/09 第1回小腸移植の基準等に関する作業班議事録 第1回小腸移植の基準等に関する作業班 日時 平成21年12月9日(水) 15:00〜 場所 厚生労働省共用第6会議室 ○大竹補佐 これより「第1回小腸移植の基準等に関する作業班」を開催させていただき ます。先生方におかれましては、本日、大変お忙しいところをお集まりいただきまして誠 にありがとうございます。本作業班につきましては、先の国会で「臓器の移植に関する法 律の一部を改正する法律」が成立したことを受けまして、改正法の施行にあたりまして小 腸移植における移植希望者選択基準、臓器提供者適応基準等を検討することを目的として おります。  本日は、第1回目の会議となります。班員の先生方のご紹介を事務局よりさせていただ きます。国立成育医療センターの新井勝大先生です。京都大学教授の上本伸二先生です。 国立感染症研究所部長の佐多徹太郎先生です。九州大学教授の田口智章先生です。慶應義 塾大学教授の日比紀文先生です。大阪大学教授の福澤正洋先生です。滋賀医科大学教授の 藤山佳秀先生です。防衛医科大学校教授の三浦総一郎先生です。続きまして事務局を紹介 させていただきます。峯村室長です。井原主査です。私、大竹と申します。よろしくお願 いいたします。また、当班の班長ですが、事務局としては慶應義塾大学の日比先生にお願 いしたいと思っておりますが、皆様、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○大竹補佐 ありがとうございます。それでは、日比先生に班長席にお移りいただければ と思います。これより日比班長に議事進行をお願いしたいと思っております。報道のカメ ラの方はご退席をお願いいたします。なお、日比先生におかれましては、本日16時を目処 に所用のためご退席なさると伺っております。それ以降の進行を防衛医科大学校の三浦先 生にお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。それでは、議事進行の ほど、よろしくお願いいたします。 ○日比班長 では、よろしくお願いいたします。申し訳ございませんが、どうしても出な ければいけませんので4時ごろに交替させていただきます。早く終わればそれでよいとい うことでございます。初めに、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。 ○大竹補佐 お手元の資料に沿ってご説明したいと思っております。ファイリングされた 資料と、別途こうした資料があります。この1枚目の議事次第に沿ってご説明いたします。 まず、資料1「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」があります。資料2 としまして「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会について」という3頁のものが あります。資料3として「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針の一部改正(案) (概要)について」という紙があります。資料4-1として「親族への優先提供について」 という1枚紙があります。資料4-2として「親族への優先提供と移植希望者(レシピエン ト)選択基準の関係について」という1枚紙です。資料5として「小腸移植希望者(レシ ピエント)選択基準(案)」があります。資料6として「<小腸>臓器提供者(ドナー)適 応基準の法改正に係る主なご意見」という1枚紙です。最後に、参考資料として2つあり ます。「小腸移植希望者(レシピエント)選択基準」(現行)と「<小腸>臓器提供者(ド ナー)の適応基準」(現行)というものがあります。  ご確認いただきました上、不足等がありましたら事務局までお申し付けいただければと 思います。また、ファイリングされた資料があります。こちらは今回の法律改正に伴う参 考資料を掲載しております。大変恐縮ですが、お帰りの際には、机の上において、お持ち 帰りにならないようお願いいたします。資料の説明は以上です。 ○日比班長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本作業班においては、改正さ れた法律の施行に向けた厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会での審議にあたりま して、専門的な観点から検討が必要な事項について議論を行うこととなります。先般、パ ブリックコメントも開始されたということですが、まず、法改正の概要と作業班の位置付 け等についてご説明をお願いいたします。 ○大竹補佐 それでは、資料1、資料2に沿いましてご説明いたします。まず、資料1に つきましては法改正の概要です。先般7月に法改正がなされたわけですが、その件に関し ましてご説明したいと思います。資料1の1枚目ですが、こちらはその概要について記載 したもので、2頁の表でご説明させていただきます。こちらは臓器の移植に関する法律、 現行法と改正法の比較表となっております。  大きな改正点は5点ありまして、まず「親族に対する優先提供」というのがあります。 現行法では「当面見合わせる」とガイドラインに記載されていますが、改正法におきまし ては「臓器の優先提供を認める」ということが記載されております。こちらに関しまして は施行日が来年の1月17日となっております。  次の欄ですが、「脳死判定・臓器摘出の要件」というのがあります。こちらは現行法では 「本人の生前の書面による意思表示があり、家族が拒否しない又は家族がいないこと」が 要件となっていますが、改正法におきましては、2点あるうちの2つ目の○、「又は」以下 ですが、「本人の意思が不明(拒否の意思表示をしていない場合)であり、家族の書面によ る承諾があること」ということで、こちらも要件として記載されております。  3点目は「小児の取扱い」についてですが、「15歳以上の者の意思表示を有効とする」と ガイドラインでは現行法なっておりますが、改正法におきましては、「年齢に関わりなし」 となっております。  4点目として、「被虐待児への対応」ですが、これまで現行法では規定がありませんでし た。しかしながら、改正法におきましては、「虐待を受けて死亡した児童から臓器が提供さ れることのないよう適切に対応」という規定があります。  最後に、「普及・啓発活動」ですが、現行法では規定がありません。改正法におきまして は、「運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策」を講じていくという法律が 記載されております。下4点につきましては来年の7月17日が施行日となっております。  続きまして、資料2に沿って本作業班の位置付けについて簡単に説明いたします。資料 2は3枚紙ですが、そのうちの2頁をご覧ください。こちらが臓器移植法の改正を受けて、 主に検討事項を進めていく全体図となっております。いちばん右に、厚生科学審議会疾病 対策部会臓器移植委員会というのがありますが、こちらが審議会として規定されているも ので、本臓器移植委員会が、改正後、9月早々に行われた次第です。その中で規定された こととして主な検討課題が大きく分けて5つあろうとされたところです。  いちばん左にある「主な検討課題」に記載されておりますが、「I 親族への優先提供」 については、本日、ご議論いただく内容の中心になろうかと思います。親族の範囲につい て、親族への優先提供意思の取扱いについて、あっせん手続きについて、こうしたことが 課題としてあります。また「II 小児からの臓器提供について」は小児の脳死判定基準等、 被虐待児の取扱い、15歳未満の者による拒否の意思表示について。「III 本人意思が不明の 場合」については、意思表示をしていないことへの確認について、有効な意思表示ができ ない者の取扱いについて。「IV 普及啓発等」については、例えば、臓器提供意思表示カー ドについて、臓器提供意思登録システムについて、普及啓発の対象者と啓発方法について、 その内容について。「V 臓器移植の実施に係る課題」としまして、1点目に、ドナー適応 基準、レシピエント選択基準についてという課題が出された次第です。本ワーキンググル ープにおきましては、このレシピエント選択基準、そしてドナー適応基準の小腸につきま してご議論、また、ご決定をいただければと考えております。  また、これまで出された検討課題を検討する体制としまして中段にあります。1つは、「臓 器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等にかかわる作業班」、こちらは主に法律の先 生方を中心として作業班を設置し、これまで数回議論をいただき、親族の範囲でしたり、 親族への優先提供に係る意思表示内容等についての検討をさせていただきました。この中 で一定の方向性が出されているわけです。  また、「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班」、先日も行われた次第ですが、ドナー カードの様式とか、登録システム、普及啓発、こうしたことを中心にご議論いただいてお ります。  さらに、本作業班の位置付けとしまして、上から3つ目にあります。「臓器毎による作業 班」、親族優先、小児からの臓器提供等に伴うドナー基準、レシピエント基準について、ご 議論いただいているところです。こちらの臓器毎の作業班は7班ありまして、順次開催を し、ご議論いただいているところです。最後に、「厚生労働科学研究の研究班」としまして、 小児の脳死判定基準、また、臓器提供施設の体制整備、虐待を受けた児童への対応につい てということで、研究班という枠組みの中、貫井先生を中心にしましてご議論、研究を続 けていただいているところです。こうした各作業班の検討、決定事項を受けまして、さら に疾病対策部会臓器移植委員会を開催し、また、パブリックコメント等の結果と合わせて 省令やガイドラインを策定していきたいと考えている次第です。  主に、スケジュールを3頁に記させていただきました。こちらにありますように、9月 15日に法改正を受けての第1回臓器移植委員会をやらせていただきました。順次、法律に 関する作業班、9月29日には肝臓移植の基準等に関する作業班を開催しまして、肺、心臓、 腎臓、膵臓と進めさせていただいております。本日12月9日、小腸の基準に関する作業班 を開催させていただき、後日、臓器移植委員会を開催し、またさらに、1月17日の施行に 向けて準備を進めてまいりたいと考えております。資料1、資料2については以上です。 ○長岡補佐 続きまして、資料3につきまして説明したいと思います。資料3、横長の紙 ですが、別紙も含めて4頁の資料です。これは11月18日より、厚生労働省より公表しま して、30日間の予定で行っているパブリックコメントの案そのものです。こちらにおきま して、親族優先提供の各論点についての考え方ということで、現在、パブリックコメント として皆様のご意見を募集しているということです。この資料に沿いまして順に説明いた します。  まず、2の改正の概要の所をご覧ください。こちらについて、大きく(1)から(4)とお示し しておりますので、順次説明します。1点目ですが、親族優先提供の意思表示は、これま での臓器を提供する意思表示に併せて行うということから、15歳以上の方の意思表示を有 効と取り扱うということで記しております。  2番目ですが、これは(3)の所で親族優先提供の関係規定を設けることに伴って削除する ということを書かせていただいております。(3)に進んでいただきまして、こちらが親族優 先提供の関係について記した部分です。アをご覧ください。親族の範囲ですが、親族の範 囲についてはアの1行目の最後の所からですが、「立法者の意思を踏まえて限定的に解釈し、 配偶者、子及び父母とすること」としております。この考え方につきまして、2枚後ろに 別紙という形で考え方を示しておりますので、そちらをご覧ください。  親族の範囲等という所ですが、基本的な考え方としましては、右のほうにあるとおり、1 点目に、国会の審議において立法者から「親子及び配偶者」という形で明確な答弁があっ たということです。もう1点が、同じく立法者の答弁ですが、「臓器移植の公平性の原則に 極力抵触しないような仕組みにする必要がある」という答弁があったということです。3 つ目ですが、臓器売買等の危険性を考えると、できる限り範囲は狭く解したほうがよいだ ろうという考え方です。4つ目ですが、家族概念の最小単位としましては、「婚姻関係」と 「親子関係」が考えられるというご指摘をいただいているところです。  次に、その親子・配偶者というと、養子と事実婚についての問題が生じるということで 検討したものです。養子につきましては、特別養子縁組は認めますが、これ以外の縁組に よる養子・養父母は除くということで考え方をお示ししております。この基本的な考え方 ですが、日本の養子縁組制度の下では、成年養子を広く認めるという制度となっておりま すので、臓器売買などの危険性を考えると、限定的に取り扱うこと。そのため、要件は厳 しく、実方の親子関係を終了させる特別養子縁組については、含めるということでよいの ではないかということです。  事実婚の所ですが、基本的考え方としましては、法律婚と事実婚は同様の権利を認める 流れにはありますが、臓器移植の場面において、事実婚を形式だけではなく、安定性も含 めて統一的に確認することは困難ではないかという考え方の下、法律上の地位を差別する 趣旨ではありませんが、臓器移植においては法律婚に限定すべきと考えるということで考 え方を示しているところです。  2頁に戻りまして、イの意思表示の方法という所をご覧ください。こちらは、親族に対 して優先的に提供するという意思表示は、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に 提供する意思に併せて、書面により表示することができる。このため、特定の親族を指定 して、臓器を優先的に提供する意思が書面により意思表示されていた場合は、当該臓器を その指定された親族の方を含めて親族全体へ優先的に提供する意思表示として取り扱うと いうことで考え方をお示ししております。  この考え方につきましては最後の頁をご覧ください。こちらに基本的な考え方としてお 示ししております。4頁目ですが、親族優先の意思表示は移植機会の公平の特例であるこ と、また、運用上のトラブルを防ぐ必要があることから、特定の親族を指定した意思表示 があった場合には、順位付けがあった場合も含めて、指定された親族を含む親族一般への 優先提供意思と解すべきである、というような考え方をお示ししております。その際に、 優先提供の対象親族が複数人となる場合があると思いますが、その場合はレシピエント選 択基準に従って医学的に優先順位を決定していただくことがよいのではないかということ で、基本的考え方としてお示ししているところです。  2頁目に戻りまして、ウの親族関係等の確認という所に進みたいと思います。親族への 優先的な臓器のあっせんを行う際は、親族関係及び当該親族本人であることについて、公 的証明書によって確認していただくということです。その際、レシピエント選択の際に、 親族関係を確認できる公的証明書の入手が困難であるのが明らかな場合は、入手可能なそ の他の公的証明書の情報及び、これは複数の方が望ましいとしていますが、ご家族・ご遺 族の方からの証言によってレシピエント選択を開始して差し支えないということで記して おります。ただし、この場合も、可能な限り速やかに親族関係を確認できる公的証明書に より確認していただくということで記載しております。  最後のエの所の留意事項ですが、親族優先提供の意思表示があった場合であっても、1 つ目ですが、医学的な理由等から、必ずしも親族に対して移植術が行われるとは限らない ということで記しております。2点目ですが、臓器を提供する意思に併せて、親族以外の 方に優先的に提供する意思が表示されていた場合には、優先提供に係る意思表示は無効と いたしますが、単に臓器を提供する意思表示としてこれを取り扱うということで記載して おります。最後ですが、臓器の提供先を限定する。例えば、親族だけに提供したいという 場合ですが、そうした場合は親族に限定する場合も含めまして、脳死・心臓死の区別や臓 器の別に関わらず当該意思表示を行った者に対する法に基づく脳死判定及び臓器摘出は見 合わせるということで記載しております。  この考え方がいちばん最後の4頁目の最後に記してありますのでご覧ください。基本的 考え方という所ですが、親族優先提供の意思表示は、先ほども申し上げましたが、臓器提 供の意思表示に併せて行うことができるということです。したがって、臓器の提供先を指 定して、その他の方には臓器を提供しない、臓器提供を拒否する意思が明らかな場合には、 親族優先提供意思の前提となる臓器提供の意思が無いということで解釈しまして、臓器提 供を行うべきではないのではないか、という考え方をお示ししているところです。  最後に、2頁目の(4)ですが、コーディネーターの手続きについて書いている部分です。 コーディネーターは、1月17日の施行後では、臓器を提供する意思を表示していた方が、 併せて親族優先提供の意思を表示していたかどうかについて確認いただくということです。 その確認をされた場合には、親族の優先提供に関して必要な説明を行っていただくととも に、該当する親族と親族の移植希望者登録の有無について確認いただくということで定め を置いているものです。パブリックコメントの案の説明については以上でございます。 ○日比班長 ただいまのご説明に関しまして、ご意見等がありましたらご発言をいただき たいと思います。 ○上本班員 確認なのですが、この特別養子縁組というのは、血がつながっていないとい うことですね。元の親子関係が完全に切れた縁組ということで、例えば、それは1年前に そういう縁組があったとか、そういう期間も関係ないわけですね。私たちがあまり口を出 す問題ではないと思うのですけど。 ○長岡補佐 特別養子縁組は、通常、6歳までに裁判所の許可を得た上で、実方と言われ る元の親子関係を切って、新しい親の所に行くということになるのです。それが特別養子 縁組というものですが、こちらについては、元の親子関係も切れるというところがありま すので認めてもよいのではないか、というご議論があったところです。 ○日比班長 ほかにいかがですか。ご意見、確認等がありましたらどうぞ。よろしいです か。では、次に進ませていただきます。最初に、親族優先とレシピエント選択基準の関係 について、本作業班で議論を行うに際しての留意点等について、法律の専門家による作業 班での議論などを踏まえ、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○大竹補佐 それでは、資料4-1、資料4-2に沿いまして簡単にご説明したいと思います。 まず、資料4-1ですが、こちらは親族への優先提供について、法律または国会でどのよう に議論されてきたかということをご紹介したいと思います。  資料4-1の1.親族に臓器の優先提供を認める規定、こちらが1月17日施行のものですが、 法律には以下のように規定しております。第6条の2「移植術に使用されるための臓器を 死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その 意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示する ことができる」という記載が法律に盛り込まれた次第です。  この法律に至るまでの国会の主な議論ですが、2.にあるとおりいくつか抜粋しておりま す。1点目に、河野太郎議員による平成21年5月27日衆議院厚生労働委員会における発言 です。下から3行目から読ませていただきますが、「親子及び配偶者に対しては親族の優先 提供を認めることということで、かなり厳しい枠をはめて、その中に限り優先提供を心情 を考えて認める」、このような発言がありました。また、2点目に、7月7日参議院厚生労 働委員会の山内康一議員のご発言です。こちらも下線部から読ませていただきます。下か ら5行目です。A案というのは本案ですが、「A案におきましては、親族への優先提供の意 思表示の規定を設けることとしておりますが、この場合におきましても、その意思表示を 踏まえた上で、最終的には血液型が適応するかなどの条件に照らし合わせて順位が判定さ れることになると想定しており、決して順位の判定が恣意的に行われることはないと認識 しております」、このようにご発言しております。  また、資料4-2ですが、こちらに関しましては、「臓器提供に係る意思表示・小児からの 臓器提供等に関する作業班」、いわゆる法律に関する作業班ですが、この作業班におきまし ては臓器移植に関わる医療従事者も加わりまして、親族優先のレシピエント選択基準にお ける取扱い等について議論が行われております。その結果としまして、レシピエント選択 基準において優先順位の第一位として取り扱うこと、こうしたことを基本とし、本作業班 のような臓器毎の作業班において検討を行うこととなりました。  主に、その法律の作業班における親族優先に関する考え方の議論をご紹介いたします。 資料4-2の中段からですが、まず、優先提供を受ける親族は、予め、レシピエント登録さ れていることを前提とすべきというご意見を出されております。また、2点目に、親族優 先は、レシピエント選択基準の優先順位の第一位とするのが妥当ではないか。3点目に、 法律に規定されており、医学的緊急度などよりも優先されると解釈される。  4点目に、同時移植希望者よりも単独での移植を希望する親族が優先されると解釈され る。5点目に、虚血許容時間の位置付けは臓器ごとの作業班において検討を行ってはどう か。最後に、その他、親族への優先提供に伴う、移植を必要とする方の親族に対する心理 的な影響。特に生体移植の行えない心臓移植における、親族の自殺の誘発について懸念が 示されたところです。親族優先提供に係る主な論点について、ご説明は以上でございます。 ○日比班長 ただいまのご説明についてご意見等がありましたら、ご発言をお願いしたい と思いますが、いかがでしょうか。 ○田口班員 この親族の優先ということと、生物学的な血液型の一致とか不一致という、 その2つのことがいま説明されましたが、実際的にこれが施行された場合にはどちらが優 先されるということはこの中に記載されておりませんが、その辺の考え方はどのようにな っているのでしょうか。 ○峯村室長 当然、1回目の議論も踏まえてのことですが、移植にあたりまして優先順位 と医学的な判断とをどう考えるかということですが、これまですでに5つの作業班で議論 があったところですが、適合条件をクリアするということが絶対的な要件であろうと。し たがって、その次の優先順位付けの段階において、親族優先、親族の方を第1順位として 位置付ける。ですから、後ほどご議論いただきますが、レシピエント選択基準であれば適 合条件の中に血液型とか抗体の状況について、まずそれを確認することになっているわけ ですが、それを経た上で次の優先順位の判断の際に、親族が第1順位に位置付けられる。 医学的な適応がないことを超えてまで親族優先の規定が優先されるということではないと いう、そういう理解で議論がされています。 ○上本班員 理解不足なのですが、資料4-1の最初の部分、6条の2の説明なのですが、「意 思を書面により表示している者又は表示しようとする者」となっています。表示しようと する者というのはどういうことですか。 ○峯村室長 これは法律の書き方として、前段の提供意思をすでにこれまでも示している 方。その前提というのは6条1項の中で、臓器提供をする場合には現行法では本人の書面 による意思表示が要件になっているわけですが、すでに意思表示をされている方、または これから意思表示を新しくしようとする方について、その臓器提供の意思表示と併せて親 族への優先提供の意思を表示することができると。ですから、ドナーカードがわかりやす いと思うのですが、ドナーカードにすでに記載されている方、もしくはこれからドナーカ ードに書こうと思っている方は、その際に、すでに書かれている方は親族優先の意思表示 を追加で書くことができますし、まだそもそも臓器提供の意思表示をされていない方は、 臓器提供の意思表示をする際に、親族優先提供も一緒に表示ができます。そういう内容を ここで規定しているということです。 ○日比班長 過去にされた方とこれからという方ということですね。 ○峯村室長 はい、そうです。 ○藤山班員 脳死提供で、実際のコーディネーションがスタートするのは脳死判定が終わ ってからということが原則的になっていると思うのですが、親族優先の場合だと、あらか じめ適合する血液型なり、あるいはHLAを含めたHTLV抗体の適合性とか、そういったもの があらかじめ行われてしまう可能性があるのかないのかというところはどうなのでしょう か。要するに、言いたいのは、あらかじめ適合するかどうかを脳死判定前に行うことは認 めないという判断でいいのか。親族優先ということを希望されている場合には、その脳死 判定以前から適合性について検討を始める、コーディネートを始めるということが許され るのかどうかという点はいかがなのでしょうか。 ○井原主査 コーディネートの手続き自体は、通常の手続きと変更するものではないと考 えております。あくまでも優先順位付け、ネットワークの中でドナーが発生した場合に、 優先順位付けをする中で親族の方が第1位になる。最終的に、移植施設に対して、優先順 位ごとに移植を今回受けるかどうかという意思の確認をするのは、あくまでも法的な脳死 判定が終わった後になりますので、その通常の手続き自体がこれによって変わるものでは ないと考えております。 ○藤山班員 そこは絶対に動かないということですね。 ○井原主査 そこは変わりません。 ○日比班長 適合条件が合っている上でそうなるのですね。 ○井原主査 はい。 ○日比班長 あと、ご意見はありませんか。よろしければ次に移らせていただきます。で は、レシピエント選択基準について検討を行いたいと思います。現在の基準及び改正後の 内容を踏まえた基準案について、事務局よりご説明をお願いいたします。 ○大竹補佐 それでは、レシピエント選択基準について簡単にご説明いたします。お手元 の資料5と参考資料1を並立してご用意いただければと思います。参考資料1が現行の選 択基準で、資料5の中に朱書きで書いたものが(案)とさせていただいたものです。資料 5の朱書きのものに沿ってご説明します。まず、大きく分けまして適合条件と優先順位に 分かれております。適合条件ですが、(1)はABO式血液型として変更がありません。変更点 (2)ですが、これまで「搬送時間」と書かせていただいたものが、内容を確認すると、「小 腸を摘出してから血流再開まで12時間以内で行えること」と書かれていましたが、これは まさに虚血許容時間ということでありますので、他のレシピエントの選択基準と合わせま しても「虚血許容時間」とさせていただければと思っております。なお、これまで「12時 間以内で行えること」としていましたが、今後は「12時間以内に血流を再開することが望 ましい」という記載にしていただければと思っております。(3)以下、レシピエントについ て、そしてCMV抗体、HLA型、この辺は変更がありません。  2点目、優先順位についてですが、以下の項目に沿って優先順位を付けるということで、 (1)として、法律の改正点を受けまして、優先すべき親族、当該親族を優先するということ を第1点目に書かせていただきました。また、(2)以下は緊急度、そしてABO式血液型、さ らには待機期間というように順次記載しております。レシピエントの選択基準の変更点に つきましては以上でございます。 ○日比班長 その赤字の所ですが、選択基準における親族優先の取扱いについてですが、 これについて今までのことを踏まえましてご意見をいただければと思います。 ○新井班員 小児例、特に2歳以下のお子さんがレシピエントの場合に、ABO式の血液型 が不一致であっても、特に肝移植等であれば生体肝移植を行うという、それでも拒絶のリ スクは年長児に比べると低いということになっているのですが、完全に一致もしくは適合 のみとするのか、もしくは年齢等においては不一致であっても考慮されるという形にする のか、その辺はいかがでしょうか。 ○大竹補佐 そこはここでご議論していただければと思っております。 ○日比班長 ご議論いただかないといけないところですね。 ○上本班員 日本ではまだ小腸移植の経験が非常に少ないですから、日本では肝臓のよう にエビデンスはないと思います。海外にあるのかどうかも私はわからないのですが、小腸 は肝臓と比べると拒絶の非常に強い臓器ですので、現時点ではなかなか入れられないので はないかなと個人的には思います。 ○日比班長 海外でも報告はないですね。 ○上本班員 ないです、不適合はないです。 ○日比班長 新井先生、よろしいですか。 ○新井班員 はい。 ○上本班員 私、肝臓のほうで意見を出させていただいたのですが、肝臓の場合は親族、 親子になると、基本的には血がつながっていると、HLAが半分同じなのです。その場合に、 ドナーのHLAがすべてホモタイゴイトの方が大体20人に1人か50人に1人ぐらいはいる のですが、その場合にホモからヘテロに親子間で移植になった場合は、かなりの確率で GVHDが起こって死亡するのです。ですので、肝臓の場合は生体でエビデンスがありますの で少し強く意見を出させていただいたのですが、理屈から考えると、小腸のほうがすごい ことが起こる可能性は肝臓よりも、より怖いのではないかと思うのです。少なくとも日本 では生体の小腸移植でそういうエビデンスはないのです。 ○日比班長 肝臓でのエビデンスは日本にあるということですね。肝臓の班では、何か規 定されているのですか。 ○上本班員 この前、意見を出させていただいて、案の段階では、かなりのリスクになる ので入れようというような案になっていたのではないかなと思います。 ○日比班長 事務局のほうでは何か情報ありますか。 ○大竹補佐 そこはHLAへの確認についてもこのレシピエント基準の中で入れようという ことで、いま検討しているところです。 ○日比班長 おそらく、肝臓がそういうふうに入れば、小腸も入れないと余計危ないです よね。小腸は大丈夫ということもあり得るのですか。 ○上本班員 大丈夫ということはないですけど。 ○福澤班員 将来的には肝小腸同時移植という可能性が出てくる、そういう話が出てくる と思いますので、そこは同じ様に入れておいたほうが、肝臓と合わせたほうがいいかもし れないですね。 ○上本班員 そうですね。確率は非常に低いですけど、そういう親子間の場合は親族優先 がそこで外れてしまうということになります。 ○日比班長 そこですね。だけど、小腸の移植は少ないですけど、待っている人にしてみ たらそこが駄目になってしまうというのもしょうがないですかね。今度、逆に、危険があ るからと。だけど、それを危険を冒かしてまでやるべきかどうかという難しいところがあ りますが。 ○上本班員 そうですよね。理屈上は、かなり強いエビデンスが出るのではないかと思う のですが、それを確認してというのも、何か、残酷な感じがしますね。 ○福澤班員 肝臓のものがもしそこに入るのだったら、そのままこっちにポンと持ってき てもね。実用のことに関して記載しておいたら。 ○上本班員 そうですね、肝臓に入れば。どうでしょうか。 ○日比班長 小腸のほうが起きやすいと思いますので、肝臓に入れば。肝臓は先行してま だ今は入っていないのですか。 ○井原主査 内容としては肝臓と全く同じで、ドナーのHLAのA・B・DRがすべてホモタイ ドで、レシピエントがそれを共有するヘテロタイプであれば移植の適用から除くという全 く同じ内容ということでよろしいでしょうか。 ○上本班員 そうではないでしょうかね、エビデンスはないのですけど。肝臓より強い場 合は、ひょっとしたら3つともでなくても起こるかもしれないですけど、そんなことを言 い出したら想像の域ですので。肝臓は、これまではA・B・DR3つすべてホモの場合しか起 こっていません。2つだけホモの場合は起こっていないです。 ○日比班長 そうすると、いまのところをお聞きしていると、肝臓のほうはまだこれから 議論されていくのでしょうか。今それは入っていないのですね。 ○大竹補佐 今は、案として固めつつありますので、それも参考にしながら、またご了承 いただければ、班長と文案を相談させていただいた上で入れ込みたいと思います。 ○日比班長 そのときには、皆様にまたご相談して決めたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。あと、ご意見はいかがでしょうか。 ○田口班員 親族のことなのですが、親族というのは親子、養子ですか、その議論は決定 したのですか。 ○峯村室長 今、パブリックコメントという形で案をかけていますので、まだ最終的な決 定ということではありません。その案で国民の意見を聞いているという段階です。聞いて いる内容としては、親子、配偶者で、そのうち、養子については特別養子縁組のみ認める という内容で国民の意見を伺っておりますので、今後、またパブリックコメントの状況等 を踏まえて、厚生科学審議会で最終的に確認していただいて、案として確定させたいと考 えております。 ○日比班長 これも臓器毎の全作業班で大体同じようになると考えてよろしいですね。 ○峯村室長 親族の範囲についてはすべての臓器に対して、統一的に適用されるというふ うに考えております。 ○田口班員 実際に生体肝臓移植とかを今やっておりますけれども、そういう場合には親 族というのは、例えば、うちの施設では3親等とか、移植学会では6親等でしたかね、そ ういうかなり広い範囲を認めているのが現状でありますが、それが今度はかなり狭い範囲 という形になった経緯とかについて教えていただければありがたいのですけど。 ○峯村室長 田口先生のほうからお話があったとおり、日本移植学会の生体移植のガイド ラインにおきましては6親等までということで、民法の親族の範囲と同様の扱いにする。 また、第三者を認めておりまして、その場合は倫理委員会での確認を経て行うという形に なっていたかと思うのですが、今回、死体臓器と申しますか、臓器移植法の中で親族優先 の規定が設けられた際に、法律上は親族としか書いておりませんので、その範囲をどう考 えるかということでこれまで審議会で議論されてまいりました。  民法の親族の範囲をそのまま準用するのか、それとも、それよりもある程度狭く限定す るのかという議論がありまして、1点目として、この臓器移植法は議員立法で国会で審議 がされて成立したわけですが、法制定時をめぐる国会での議論、提案者の方の国会でのや り取りを伺うと、親子及び配偶者という、ある程度限定的にその範囲を考えると。それは、 国会の場で、公平性の原則というのが臓器移植の場合にはあるわけですが、あくまでその 例外的な取扱いということで限定的に取扱いをしていこうという意見が示されたと。また、 当然、親族ということで、広く認めるとさまざまな問題も生じることも可能性として大き くなりますので、その点も踏まえて、親子・配偶者という、いわば家族の中でいちばん基 礎となるその範囲内にとどめようということで、夫婦関係と親子関係というそのコアとな る形の範囲で今回のパブリックコメントの案としてはお示しさせていただいたということ です。  当然、兄弟姉妹まで広げるべきだという意見も委員会の場では出されておりますので、 またパブリックコメントの状況でどういう意見が示されているかも見ながら、最終的に親 族の範囲については決定していきたいと考えております。 ○藤山班員 この優先順位の1番にくるというのが適切なのかどうかですね。だから、別 立てで、そういう意思のある場合と意思のない場合という、そのほうが実際に移植に携わ る側としては馴染みやすいのかなと思います。この優先順位付けの(1)(2)(3)(4)とされて いる中で、親族の提供意思が表明されている場合と表明されていない場合に分けて書いた ほうがいいのではないか。あるいは、その1の所は「ただし、そういう意思表示のある場 合には優先される」という。まあ、1位をなくしてもいいのかもしれないですけど。 ○大竹補佐 あくまで、我々の趣旨としては、意思表示があって、また、そうすべきレシ ピエント登録をしている親族がいた場合に、これが適用されるということでありまして、 もしそういう人がいない場合には、いままでどおり何ら変わりなくなるという趣旨です。 そこをもう少しわかりやすくということであれば、「優先すべき親族がいる場合には」とか 「意思表示がされている場合には」とかいうこともまた検討したいとは思いますが、そこ はご意見をいただければと思います。 ○日比班長 それがもともと条件にあるわけですから、それを改めてもう一回ここに書か れたほうがいいのではないかということですか。 ○藤山班員 どの程度の比率になるかわからないのですが、どちらかというと、親族優先 という意思表示をされるケースが極端に少ない場合に、この基準での優先順位付けは馴染 まないという印象を持つのです。 ○井原主査 基本的に、ネットワークに登録されている方を、ドナーが発生した場合に優 先順位を付けるために用いる基準ですので、例えば緊急度においてもそうなのですが、 Status1の方が登録条件としていらっしゃらなければ、Status2のほうに移るということが 前提となっております。そもそも親族優先の意思表示がない場合であるとか、登録されて いる親族がいらっしゃらないということであれば、この優先順位の(2)から自動的にスター トするということを想定して記載しております。 ○峯村室長 心臓と肺と心肺同時については、レシピエントの選択基準が決定しているの ですが、いずれも、この優先順位の所に「優先すべき親族」という形で書き込むという形 式で、今、レシピエントの選択基準がまとまっておりますので、ほかの臓器の状況を参考 までに申し上げるとこの書き振りで進んでいるということです。 ○藤山班員 そうだったら、もう少しナレイティブな表現がふさわしいのではないかなと 思うのです。 ○日比班長 ほかの臓器との関連もあると思うのですけど。 ○大竹補佐 かしこまりました。そこはご意見として承りまして、ほかの臓器との兼ね合 いも考えまして預からせていただきます。 ○日比班長 あと、ご意見はいかがでしょうか。 ○福澤班員 小腸移植研究会のほうでワーキングがあって、それに諮ってみて意見を聞い た中で、この優先順位の中に15歳未満のドナーが出た場合ですが、その場合に、上本先生 の所で、アメリカなどでは2歳ぐらいの子どもが結構多いのですけれども、そのサイズの マッチングのあれを優先順位に入れたらどうかという意見がかなり出てきたので、一応出 させていただいたのです。そういうのは、ほかの臓器と同じ話になってしまうのですかね。 記載はせずにしているのですかね。 ○上本班員 この前、話が出たのは、子どもは小さな分割でできるのでいいと。逆に、子 どもさんがドナーになった場合に、大人が優先順位が上だったらどれぐらいのサイズ差が あれば許容できるだろう、という意見が出たところで終わりましたけど、逆の感じですね。 ○日比班長 小腸の場合はレシピエントが2歳以下の場合小さくてということですね。 ○福澤班員 大人から子どもにはあり得ないし。 ○上本班員 小腸も同じことではないかと思うのです。大人がドナーだと小腸の部分を子 どもに使うことができるのではないかと思うのです。 ○福澤班員 長さは一応必要だから、例えば1メートルとか、お腹の中に入らないという ことがある。 ○日比班長 何かそういう基準はあるのですか。 ○福澤班員 案が出たのは、レシピエントの体重比は1対2から2対1を優先すると。し かし、この条件を満たさない場合であっても、こうして考慮するというような意見で述べ させてもらうと。理想的にはドナーとレシピエントの体重比が1対2から2対1というぐ らいの感じにしたらどうかということにして、必ずしもそれは満たさない場合であっても 考慮してよろしいけれどもということです。そんな意見が、例えば(3)のABO血液型という か、どこかこの辺の順番に入るかどうかという。 ○日比班長 どの順位でしょうか。 ○福澤班員 ABO血液型の下ぐらいとか、(4)の下とか。 ○井原主査 ほかの臓器の基準を参考に申し上げますと、心臓と肺についてはそれぞれの サイズというのが問題になってきますので、適合条件の中で、ともに制限をある程度かけ ております。例えば、心臓だと体重がマイナス20%から30%であることが望ましいと。小 児はこの限りではないと。ですので、そういう形がよろしいのか。もしくは、小腸という 臓器の移植の特性といいますか、腸管のサイズなどを考えた場合には優先順位付けの中で ある程度考慮されれば、医学的に実行可能なのかどうか。そういう観点でご検討いただけ ればと思います。 ○福澤班員 そうしたら、心臓とかと合わせてしまってもいいかもしれません。上の適合 条件の中に入れてしまったら。 ○日比班長 上の適合条件のほうですね。 ○上本班員 そうなると、親族の優先権が強いですね。 ○井原主査 それは小腸移植という医療行為の安全性の観点からどちらに入れておくのが 望ましいかという点になろうかと思います。 ○日比班長 心臓のほうは適合条件のほうに入っている。 ○井原主査 心臓は適合条件です。肺のほうも適合条件の中で、肺活量などで、何%以内 に収まっているということである程度判断されている。 ○上本班員 福澤先生、その1対2から2対1というのはアメリカの基準なのですか。 ○福澤班員 たぶんそうだと思います。それで意見が出てきて、大体、この辺が一部のア メリカからとか、10ぐらいの部会とかの意見がこの案が出てきていました。 ○日比班長 アメリカの経験を踏まえている。 ○福澤班員 踏まえている。一応、10ぐらいですか、このぐらいがいいだろうと。 ○三浦班員 サイエンティフィックなデータがあるとか、そういうものがあると非常にい いのですけどね。 ○日比班長 アメリカと言っても、経験もそんなにないですしね。 ○福澤班員 アメリカでは脳死でやってしまうので、あまり考えずにやっている。 ○日比班長 いかがいたしましょうか。 ○井原主査 基準に盛り込まなくても、基本的にはドナー情報というのが必ずレシピエン トの方には行くことになりますので、そこで移植を受ける側の先生方が、ある程度のサイ ズを聞きながら判断できるのか。 ○上本班員 「望ましい」にしておけばすべてコンスタントに行きますよね。虚血時間と かも、これは12時間でポンと切るわけではないですものね。 ○井原主査 12時間以内に移植術が行われるように、これより短い時間で臓器が搬送でき るように、ネットワークのほうでも移動手段などを考えてやっていただいていますので、 なるべくすべての方が、全国的にレシピエント登録されている方皆様が、移植の対象にな るようにということにはなっています。 ○上本委員 もちろん、この虚血時間は搬送時間だけでなくて、レシピエントの手術の難 しさもありますからね。それも、担当者ができると思ったらいいわけだし、サイトメガロ ウイルスの抗体もこういう組み合わせでもあえて受けますということだったらいいわけで すね。「望ましい」という表現であれば。 ○日比班長 適合条件にこれを入れたほうがいいということになりますか。 ○上本班員 「望ましい」であれば、いいように思います。 ○日比班長 心臓と肺はもう適合条件に入っているのですか。 ○井原主査 はい、基準にはなっています。 ○日比班長 それは今度の変更で入ったというのではなくて、以前からあったのですね。 ○井原主査 従前から入っています。 ○日比班長 こちらは、もしあれするとしたら、この選択基準の案が少し変わるわけです ね。 ○井原主査 そうですね。それは優先順位付けであっても特段何か問題があるということ ではないので、小腸移植の中でどう取り扱うかということだと思います。 ○日比班長 いかがでしょうか。 ○上本班員 いいように思います。 ○日比班長 小腸移植の中で1対2とか。 ○福澤班員 レシピエント対ドナーの体重比は1対2から2対1以内であることが望まし い。 ○日比班長 それが何番の所に入ることになりますか。 ○井原主査 適合条件の中で、例えば心臓は血液型の次に入っております。 ○日比班長 次ですね、それで今度は許容時間とは。どっちも同じぐらいの感じですけど。 ○福澤班員 許容時間と似たようなものですから、その後でもいいし。 ○日比班長 心臓と肺と合わせるとすればそのほうがいいような形になりますが、この順 位で決定してよろしいのですか。 ○井原主査 では、(2)で「体重」という形で「1対2から2対1までに収まることが望ま しい」ということで、文案はまた考えさせていただきます。 ○日比班長 ほかにご意見はよろしいでしょうか。 ○田口班員 先ほど福澤先生からもお話がありましたが、肝・小腸ですね、同時移植とか 多臓器移植とかいうのが小腸の場合はあり得るのですが、それについての医学的緊急度の Status2というのがありますが、これに関して肝臓移植との整合性というのが必要だろう と考えるのですが、そこら辺の基準については、今回もこの会で検討すべきなのでしょう か。 ○大竹補佐 おそらく、今後出てくる可能性があるというのであれば、そこは本日という わけにはいかないと思いますが、またご意見をいただけるような場を設けたいと思います ので、そこで案を示してご議論いただくということになろうかと思います。 ○日比班長 あと、ご意見はありませんか。親族優先についてですが、よろしいでしょう か。では、親族優先については、事務局案にありますように、適合条件を満たす場合とい うことになりますが、優先順位の1位とするということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○日比班長 ありがとうございます。それでは、ほかにありましたレシピエント選択基準 について、将来的に移植希望者や臓器提供者が増加した場合、そんなに増加しないと思い ますが、検討を行ったほうがよいと考える点がありましたら、またご意見をいただければ と思います。 ○大竹補佐 それでは、以下の進行を三浦先生にお願いしたいと思います。日比先生、ど うもありがとうございました。 (日比班長退室) ○三浦班長代理 それでは、引き続いて議事進行を務めさせていただきます三浦でござい ます。レシピエントの件に関しての議論はこれで終わりということでよろしいでしょうか。 将来的に肝臓・小腸同時移植などの基準作成については新しい機会を設けて検討していた だくということでよろしいかと思います。  続きましてドナーの適応基準について検討したいと思います。まず、事務局から現行の ドナーの適応基準についてご説明いただきたいと思います。 ○大竹補佐 それでは、資料6に沿いまして説明したいと思います。1枚紙ですが、「<小 腸>臓器提供者(ドナー)適用基準の法改正に係る主なご意見」としてあります。こちら は今回の親族優先を受けての変更点ということではありませんが、小児が対象になるとい うことを受けまして、3.の年齢について下限を設けるかどうか、というご意見を事前にい ただいております。またこうした議論があろうかと思いますので朱書きで入れさせていた だきました。主な変更点といいますか、現状の課題としましては本点があろうかと思いま す。  また、1.としまして、「以下の疾患又は状態を伴わないこととする」ということで、(1) から(4)、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病あるいは悪性腫瘍、こうしたものが記載され ております。また、2.としまして、「以下の疾患又は状態が存在する場合は、慎重に適応を 決定する」ということで、(1)から(3)まで、小腸疾患又はその既往、細菌感染、HCV抗体 陽性ということで記載しております。また、年齢につきましては現状では60歳以下が望ま しいということになっております。以上です。 ○三浦班長代理 事務局のほうから、今回、15歳未満の脳死下での臓器提供が可能になっ たことを考えて、年齢の下限とかに関してはどうかというようなことと、従来からある60 歳以下に関してはどうかということもあると思います。何かご意見はありますか。年齢の 下限に関しては、今回、臓器提供が可能になったことのメリットが小児からできるという ことなので、設ける必要はないのかとも思いますが、よろしいでしょうか。 ○上本班員 上限は、これは何か意味があるのでしょうか。 ○三浦班長代理 この辺の上限については、前回の議論とかはいかがだったのでしょうか。 ○大竹補佐 上限については、例えば心臓であれば、石灰化とか、そうした血管病変が多 く出てくるだろうということで50歳になっております。そういう観点から臓器ごとで決定 されている次第ですが、小腸について何かご意見があれば。 ○上本班員 これも「望ましい」だから、最終的には患者さんが決めるということなので すね。 ○峯村室長 そこは現場で判断するということです。 ○上本班員 そこで切られてしまうということではないのですね。 ○峯村室長 そういうことです。 ○新井班員 下限についてですが、新生児がドナーになる場合に、基礎疾患に何があるか が全くわからないような一面もあって、ひょっとしたら免疫異常が隠れていたり、そうい うことを考慮すると、1つの考えとしては下限を設けることで、そういう診断をしていな いが故にレシピエントに何らかの疾患を持っていってしまうことを防ぐことも1つ考えら れるのかなとは思うのです。実際に海外等ではどうなっているのかとか、そこは私も存じ てはいないのですけど。 ○上本班員 おそらく、小児といっても、12週ですから、生後3カ月以降ということにな りますよね。 ○峯村室長 小児の脳死判定基準については別の研究班で議論をしていまして、いま12 週というお話が出ましたのは、竹内先生が、厚生労働科学研究の中で小児の脳死判定に関 する研究をした際に、除外例という形で小児12週という1つの考え方を示されたというこ とです。そういったことも踏まえながら、今、小児の脳死判定基準については議論されて いるのですが、いちばん下限のところは、そもそも脳死判定のところで何歳まででするか というところで1つの線引きは決まると思います。ですから、どういう形になるかわかり ませんが、例えば12週ということであれば3カ月ということですので、新生児とかはそも そも脳死判定の段階から除かれるという形になろうかと思います。 ○三浦班長代理 小児の脳死判定基準ということで、現在、大体コンセンサスが得られて いるということで、ほかの班との整合性もありますし、年齢については下限を設けないと いうことでよろしいですね。では、そうしたいと思います。ほかに上の項目、その他で特 にありますか。 ○上本班員 肝臓のところでも意見が出たのですが、HTLV-1の抗体陽性者の場合、再考し たらどうだという意見が出たときに、危険だからはっきりしたエビデンスを出して考えた ほうがいいのではないかという意見が出たのですが、その後、何か進みましたか。 ○大竹補佐 そこはまだ現状のままという取扱いです。 ○上本班員 基本的に、このHTLV-1はほかの臓器もすべて同じですね。HIV、HTLV、HBs 抗原というところは。 ○峯村室長 そうです。 ○上本班員 そうすると、これはほかの臓器と同じということですね。 ○峯村室長 はい。 ○藤山班員 対象が小児になる場合、リスクをレシピエントに与える結果になるのではな いかと思います。 ○上本班員 そうですね。 ○三浦班長代理 これについては残すということでよろしいですか。 ○上本班員 はい。 ○三浦班長代理 ほかにありますか。よろしいですか。それでは、今回のレシピエント選 択基準及びドナーの適応基準については、今回の議論を踏まえて事務局のほうで改正案の 作成をお願いいたします。変更点につきましては、座長に一任させていただきたいと思い ます。事務局のほうから何かありますか。 ○峯村室長 それでは、今回ご指摘いただきましたご意見を踏まえまして、レシピエント 選択基準について大きく2点ほどご意見も出たかと思いますが、こちらのほうで座長とご 相談の上、案を作成しましてまた新たな基準としてまとめていきたいと考えております。 今後ともまた、その他のご指摘がありました内容につきましても、医学的治験の集積など、 先生方のほうのご指導をいただいた上で、引き続き議論を進めていくということでお願い したいと思います。今日は本当にお忙しいところをありがとうございました。 ○三浦班長代理 ありがとうございました。それでは、会議を終了いたします。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365