09/12/07 第2回臓器移植に係る普及啓発に関する作業班議事録      第2回臓器移植に係る普及啓発に関する作業班          日時 平成21年12月7日(月)          15:00〜          場所 厚生労働省共用第6会議室 2階 ○竹内補佐 ただいまより第2回「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班」を開催いた します。  本日、有賀班員におかれましては、多少遅れてくるという連絡をいただいております。  議事に先だちまして資料の確認をいたします。まず「臓器移植に係る普及啓発に関する 作業班議事次第」です。次に「臓器移植に係る普及啓発に関する作業班班員名簿」です。 資料1-1「親族優先提供に関する議論の状況について」。資料1-2「臓器の移植に関する法 律の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改正(案)」(概要)について。資料2「親 族優先提供の意思表示について」。資料3-1「親族優先提供に関してお伝えする内容(案)」。 資料3-2「臓器提供意思登録システムにおけるイメージ」。資料3-3「臓器提供意思表示カ ード・シールの記載箇所」。資料4-1「親族優先提供に関する周知について」。資料4-2「ポ スター・ポップ・タックシールに記載する内容について」です。本日の資料は以上になっ ております。皆さんお揃いでしょうか、不備等がありましたら事務局のほうにお伝えくだ さい。  また、審議会・作業班参考資料をファイルに綴じて各班員の机の上に置いておりますの で、議論の際にご活用いただければと思います。なお、この資料は次回以降も使用するた め回収いたしますので、会議終了後、お持ちにならないようにご協力をお願いいたします。  それでは、これより篠崎班長に議事進行のほうをお願いいたします。 ○篠崎班長 はい、どうもありがとうございます。皆さまご苦労さまです。  前回の作業班では、親族優先提供に関する周知方策として、具体的な運用についての検 討が進んだ段階で、議論を重ねていくということになったかと記憶しております。そこで 今回は「親族優先提供に関する論点についての検討状況」を確認した上で、まず大きく2 つあります。1つは「親族優先提供の意思表示の方法」をどうするのかということ。第2 に「親族優先提供に関する周知方策」です。施行までに向けた方法をどうするかというこ とについて、ご議論をお願いしたいと思います。では議事に入りたいと思います。 ○竹内補佐 すみません、報道カメラの方いらっしゃいましたらご退出願います。 ○篠崎班長 では最初の議題の「親族優先提供に関する論点の検討状況について」、事務局 より報告を受けたいと思いますので、資料の説明をお願いいたします。 ○長岡補佐 資料1に基づいて説明いたします。2つに分かれておりまして、一枚紙の資 料1-1から説明いたします。資料1-1「親族優先提供に関する議論の状況について」です が、親族優先提供は来年の1月17日から施行となるわけですが、これの諸課題について、 9月15日の臓器移植委員会を皮切りに、作業班なども含めまして検討を行ってきたところ です。今日は12月7日ということで、これまで作業班は法律の関係ですが、臓器移植委員 会を3回開催し、検討を重ねてきたところです。下のほうの、これまでに検討された項目 ですが、これらの会議を通じて、大きく4点について議論を続けてまいりました。1点目 が親族の範囲。2点目が意思表示の内容。3点目が意思表示の方法。4点目が親族関係の確 認方法。これらの点について議論を重ねてきたということです。  具体的には、1番目の親族の範囲をどこにするのか。それから養子や事実婚をどのよう に扱うのかという問題です。2番目の意思表示内容では、特定の親族を指定する意思表示 をどう取り扱うのか。もう1つが親族に限定する、親族にしかあげたくないという意思表 示をどのように扱うか。3つ目に親族優先提供の意思表示が可能となる年齢はいくつから なのか、といった点などについて議論を重ねてきております。  3点目の意思表示方法では、臓器提供意思登録システムをどう活用していくのか。ドナ ーカードへの記載方法をどうしていくのか、といったことについて議論をしております。  最後の4に、公的証明書を用いて親族関係を確認するということではどうかという問題。 それから、そのような公的証明書が入手困難な場合には、どのような形であっせんを行っ ていくのか。これらについてのご議論を重ねてきております。  これを踏まえまして、資料1-1の上の検討状況で少し黒く塗りつぶした所の、11月18 日よりパブリックコメントの開始をしており、1カ月間取ることとしております。このパ ブリックコメントでお示ししている内容が、資料1-2となります。資料1-2は11月18日 より30日間の予定で、厚生労働省よりガイドラインについてパブリックコメントをかけて いる文章です。ここの中で2番の「改正の概要」というところがこれまでの議論の状況を 踏まえて現時点でお示ししている案ということになります。  まず、1点目、2の(1)で、先ほどの年齢のところですが、親族優先提供の意思表示はこれ までの臓器提供の意思表示と併せて行うということですので、15歳以上の方が行う、これ が有効と取り扱うということです。  2点目は、これは(3)とも絡むのですが、(2)親族に対して臓器を優先的に提供する意思表 示に関する規定を新たに追加いたしますので、これまでの臓器の提供先を指定する意思が 書面により表示されていた場合についての規定は削除ということとしております。(3)が親 族優先提供の意思表示に関する諸課題に対して定めているもので、(3)のアの親族の範囲で すが、立法者の意思を踏まえて限定的に解釈し、配偶者、子及び父母とすること、として 示しております。  これについては、別紙の中で考え方を示しておりますのでご覧ください。ガイドライン の内容で親族の範囲は「配偶者、子及び父母とする」と書いてありますが、これについて は基本的考え方を記したものです。基本的考え方の部分を少し紹介しますと、まず、改正 法の国会審議において、立法者からこのような形で明確な答弁をいただいているというこ と。もう1点目が同じく改正法の国会審議において「臓器移植の公平性の原則に極力抵触 しないような仕組みにする必要がある」という答弁がなされているということです。3点 目に臓器売買の防止等の観点から、範囲をできるだけ狭く解したほうがよいというご議論。 最後に家族概念の最小単位を考えた場合、「婚姻関係」と「親子関係」があると考えられる ことから、この「配偶者及び親、子」の立法者の意思は妥当と考えられるのではないか、 といったご議論をいただきました。  その下の養子と配偶者の関係で、養子は現行の日本の養子縁組制度が成年養子を広く認 めるという制度となっていることを考慮しますと、要件が厳しく、実方の親子関係を終了 させる特別養子縁組に限り、これを認めたらどうかということです。配偶者では、臓器移 植の場面において、配偶者の事実婚の関係を形式だけではなく、安定性も含めて統一的に 確認することは困難ではなかろうかと。法律上の地位を差別する趣旨ではありませんが、 臓器移植の場面においては法律婚に限定すべきではないのかという議論をいただいたとこ ろです。  イの意思表示の方法の部分では、親族優先提供の意思表示は通常の臓器の提供意思に併 せて、書面により表示することができることと定めております。また、特定の親族を指定 して、臓器を優先的に提供するという意思表示が書面で表示されていた場合には、当該臓 器を当該親族を含む親族、これは親族の全体ということですが、親族へ優先的に提供する 意思表示として取り扱うこととさせていただいております。  最後の頁の基本的考え方ですが、親族優先提供の意思表示は移植機会の公平の特例であ るということ。もう1つは運用上のトラブルを防ぐ必要があるということを踏まえた解釈 ということでこのような形に記しております。その場合2つ目の・にあるように、優先提 供の対象親族が複数人となることがあるかと思いますが、その場合は医学的に優先順位を 決定するということです。  戻りまして2枚目のウ、親族関係等の確認ですが、親族への優先的な臓器をあっせんす る場合は、その方が親族かどうかといったことについて、公的証明書で確認したらどうか ということで書いております。ただし、レシピエント選択の際に親族関係を確認できる公 的証明書の入手が困難であるといった事情が明らかな場合には、入手可能なその他の公的 証明書の情報及び、できれば複数ということで、家族、遺族からの証言をいただきまして、 レシピエントの選択を開始して差し支えない。ただし、その場合も速やかに親族関係を確 認できる公的証明書をもって確認をいただきたいというようなことです。  次にエ、留意事項ですが、1つ目の親族の優先提供の意思表示があった場合でも、医学 的な理由等から、必ずしも親族に対して移植術が行われるとは限らないということです。2 つ目に、臓器提供の意思に併せて、親族以外の方に対して優先提供の意思表示があった場 合、優先提供に関する意思表示は無効ですが、単に臓器を提供する意思表示ということで 取り扱うということです。最後に、臓器の提供先を限定する意思表示ですが、それが親族 に限定される場合も含め、脳死・心臓死の区別や臓器の別に関わらず、法に基づく脳死判 定及び臓器摘出は見合わせることとさせていただいております。いちばん下の留意事項に ついての部分で、この考え方を紹介しております。この考え方ですが、親族優先提供の意 思表示は臓器提供の意思表示に併せて行うことができるということから、臓器の提供先を 限定して、そのほかの方には臓器を提供しないという意思が明らかな場合には親族の優先 提供、意思の前提となる臓器提供の意思がないと解釈して、臓器提供を行うべきではない、 との考え方が記されています。以上が親族優先提供に関する議論の状況の紹介です。 ○篠崎班長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問等ありましたらど うぞ、ご議論をお願いしたいと思います。  このガイドライン自体の出来上がりはいつごろの予定になりますか。 ○長岡補佐 スケジュールは、パブリックコメントが12月17日までということで行って おりますので、これを踏まえて、この案を再度検討しまして、臓器移植委員会でご議論を いただくと。それを踏まえた上で厚生労働省として発出するということを考えております ので、年末年始辺りになってくるかと思います。 ○篠崎班長 そうなりますと、今日、ここでご議論をいただくことが、かなり盛り込むの には最後のチャンスとなる可能性があるので、皆さま方から広いご議論をいただきたいと 思います。前例としては親族優先提供があったと、個人名であろうがなかろうが、記載が あった方に関しては、それは医学的な父子親族にそういう方が登録されている条件を満た した中で、妥当な方がいらっしゃれば優先提供となると。それ以外には一般の普通の臓器 提供意思というふうに認めると。親族優先提供のみというところは、臓器提供を広く公平 に行いたいという提供意思と反するので、これは認められないと、こういう理解でよろし いですか。 ○小野班員 小野です。すみません確認ですが、いま資料1-2のほうのウの親族関係等の 確認のところで、ご家族が承諾書を書かれるときには、その提出先が病院の病院長、もし くはセンター長宛ですが、そのことにおいて、このガイドラインに載っているままでいき ますと、ただ公的証明書を確認すればよしと、それが難しければ証言によりその承諾書を 得ていくと、進めていくということになるのですが、これは現場の病院長、センター長が ガイドラインを見て、これはサインできないよという病院、そういう所が出てくる可能性 があるのではないでしょうか。現場の状況からみて。つまりこれは本当に親族関係がある のかどうかということが確認しないまま進めて、その現場で混乱が生じないのでしょうか。 ○峯村室長 臓器移植対策室長の峯村です。いまご質問の趣旨は親族関係についてはコー ディネーターが確認をするということで、ガイドライン上も従前、本人意思の確認につい て、コーディネーターが行っていたわけですが、今回親族優先提供ということですと、レ シピエントとドナーの間の親族関係についての確認をしていただくということを行ってい ただくと。ただその際に、どこまでの確認で充分とするかということについて、ガイドラ イン上に明記することにより、その実務的な裏打ちというか、そういうことをさせていた だいたということです。このガイドラインの趣旨を理解していただき、病院の医師に直接 的な確認の責務は生じないわけです。そのような仕組の下でガイドラインでもきちんと明 記した上での枠組みを作った形で事務を遂行していきたいということでご理解いただけれ ばと思っております。 ○小野班員 つまり、よりドナーとして提供の意思をもっている方々の情報は、今後は多 分出てくる議題の中であると思うのですが、つまり登録時にかなり厳しくというか、きち んとした形で登録を進めていくということも大事だと思います。 ○峯村室長 いまの話はレシピエント登録ではなくて、ドナー登録の意味ですか。 ○小野班員 ドナーとなる患者さんが、いわゆる休み中とかで自分の親族の関係を明らか にできない場合に、現場が混乱するのではないですかという話の質問です。 ○篠崎班長 先生、2つあると思うのです。まず先生の救急の現場にいる方は最初の前提 にあったように、親族優先提供意思があるのは普通の臓器提供者と同じ扱いになると思う のです。その親族優先が適切であるかどうか、あるいはそういった患者さんがいらっしゃ るかどうかというのは、その場でのコーディネーターしか調べようがないわけですから、 そのコーディネーターがついたところから始まると。先生がおっしゃるように、これが意 思として認められない場合があるのではないかということだと思うのですが、それは多分、 先ほどの確認でちょっと間違っていたら訂正してもらいたいのですが、特定の親族のみに 提供したいという記載があった場合、一般の臓器提供はなしで、というのは意思として認 めないということなので、現場で、そこがご理解いただくことはすごく大事なのではない かという気がするのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。  ですから、親族への優先提供が明記された場合には、一般の臓器提供と同じように動き、 妥当な提供をする方がいるかどうかは、医療現場ではなくて、ネットワークの責任として 確認すべきであるという内容ですね。 ○大久保班員 最終的には、ネットワークが正しかったか正しくないかという責任を全部 負うということですか。確認作業をネットワークがするということで、提供施設に対して は一切関係なく、すべての責任はネットワークが負うということですね。  いろいろあるわけですよね。それが本当にその関係だったかということと、もしもカー ドが偽造されたものではないかとか、そういったことについて、すべて最終的にそれを確 認して、責任を負うのはネットワークなのですね。 ○峯村室長 あっせんの役割というのは、コーディネーターの方がおられますので、法律 上ネットワークのみが死体臓器のあっせんを行うということになっておりますから、その あっせんにかかわる確認のやり取りに含めて、責任はコーディネーターが一時的に負う形 になろうかと思います。 ○大久保班員 ということは、先ほど先生がおっしゃったように、提供施設自体が責任を 負うわけではないということがきちんと明確にされていれば、施設の先生方に、別にサイ ンをすることに対する支障は少ないのではないかと思うのですけれど。 ○小野班員 はい、おっしゃるとおりで、いまこのガイドラインから、もらえるような事 実においては、おそらく現場がいま心配していただいたような、そういったことが生じて しまうのではないかということで話したかと思います。 ○大久保班員 そうですね、それは明記したほうがいいと思います。 ○岩田班員 ちょっと教えていただきたいところがあります。エの所で、親族以外の者に 例えば優先的に提供する意思があると、それが親族以外だと、可能性があるのだったらと いうことは、兄弟とか、今回親族の範囲に入らないということなので、兄弟のほうに優先 的に提供するとあった場合は、兄弟に対する提供は駄目だけども、臓器提供自体はできる という解釈ですよね。その2つ下のところに、提供先を限定する意思表示があったときは、 これは提供自体を見合わせると。ということは、兄弟に優先的に提供すると書いてあれば、 兄弟に臓器提供できないけれど、臓器提供自体はできると。これが兄弟のみに提供したい と書いていたら臓器提供自体ができないということでよろしいですか。 ○峯村室長 はい、そうです。 ○岩田班員 例えばその辺の表現を、明らかに違いがわかるような表現で書いてある場合 もあれば、そうではない場合もあると思うのですが、その辺は最終的にはまた確認をして という形になるのですか。 ○峯村室長 特に3番目は、限定提供と言われるもので、2番目の無効な優先提供意思と はちょっと違う形の意思表示になるわけですので、実際の現場である程度疑義があるよう なものについては、優先提供意思という形で言わざるを得ないだろうと思っております。 そこは実際の記述に当たって、混乱が生じないように、そこはまた詳しいマニュアルなり も含めてお示しをしていかなければいけないと思っております。ですから子どもにあげた いというのが、限定というニュアンスで取られないように、こういった書き方は駄目です ということもきちんと周知をしていかないといけないと思うのです。子ども以外、ほかに は絶対にあげませんと、そういう第三者提供意思というのが明確にないという場合は、限 定提供ということで、いまもそうですけども、これからも脳死判定、臓器提供は行わない という形の取扱いになりますので、そこはきちんと周知をしていかないといけないと思っ ております。 ○篠崎班長 そのほかに何かございますか。 ○小野班員 これは特に相川先生にお聞きしたほうがいいかもしれませんが、エの部分の 留意事項のところで、「医学的理由等から、必ずしも親族に対して移植術が行われるとは限 らない」というところは、具体的にはどういったことを、予想というか、想像すればいい のですか。 ○相川班員 例えば、親族が自分のお子さんに優先提供をしたいと書いてあっても、抗体 陽性そういう場合には絶対的な提供がないわけです。やってしまえば間違いなく、移植は 駄目になってしまいますから。または、全身的な感染症を起している場合とか、インフル エンザにかかったばかりとか、そういう場合には医学的に手術ができない、移植ができな い状態ですから、そういう意味です。 ○小野班員 そういう意味ですか。 ○篠崎班長 よろしいですか。ほかにこの件に関しましてご意見、ご質問はございません でしょうか。  それでは続きまして、次の議題の親族優先提供の意思表示方法等については、これまで 臓器移植委員会等で議論されていますので、その状況を踏まえつつ、ご議論をいただきた いと思います。まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○長岡補佐 それでは資料2に基づいて説明をいたします。「親族優先提供の意思表示につ いて」と題した紙です。2点、今回論点として挙げております。1つが臓器提供の意思表示 を行う仕組み。2つ目が意思表示の具体的なやり方、方法です。1点目の臓器提供の意思表 示を行う仕組みは、現行は臓器提供の意思表示を行う手段として大きく3つあります。(1) がインターネット上で意思を登録する臓器提供意思登録システム。(2)が、いわゆるドナー カードと言われる臓器提供意思表示カード、それからシールです。(3)が健康保険証などに 設けられている記入欄に書いていただくやり方ということで3つありますけれども、今回 臓器移植委員会における議論も踏まえて、親族優先提供の意思表示を行うために、これら の手段をどのように活用して周知を図っていけばよいのかについて、検討する必要がある ということで挙げております。これについては※のような議論が臓器移植委員会でもなさ れましたので、紹介したいと思います。  まず、【親族優先提供の実施に向けた課題】です。3つ目のポツで、先ほど説明しました が、親族優先提供の意思表示は制度を十分に理解していただいた上で、記載を行っていた だく必要があるのではないかという考え方が示され、それをもとに1つ目のポツで、可能 なかぎり(1)で挙げたシステムを利用していただくとしたらどうかというご指摘です。もう 1つは現行のドナーカードやシールに記載の方もいらっしゃるかと思うのですが、その方 には余白へ記載をしていただくという扱いとしてはどうかということで、ご指摘をいただ いております。以上が仕組みの部分です。  次は【今後の課題】で、新しいカード・シールについては、来年7月に施行部分に関す る諸課題についての検討状況を踏まえながら、引き続き検討を行ってはどうかというご指 摘があり、前回までの臓器移植委員会での議論状況となっております。  次に2番目の意思表示の方法の部分です。これについては親族優先提供の意思は、具体 的に、どのような記載をしていただくか、どのように表示をしていただくかということで、 周知をしていくかどうかの点についての検討が必要であろうということです。こちらも※ で示しており、パブリックコメントにおいて先ほど説明した内容で考え方を記しておりま すが、そこで臓器移植委員会において、周知に当たって留意すべきとご指摘いただいた事 項について紹介します。  1点目が「親族」と書いていただくのがいいのだろうが、「個人名」と書くことについて も特に排除はされていないのではないかというご指摘でした。2つ目が、特定の親族名を 書いた場合も、親族全体を優先するとして取り扱うと、このようにパブリックコメントに 記載されていることについて、しっかりと周知をする必要があるのではないかというご指 摘でした。3つ目がこれも先ほど議論になりましたが、親族も含めて提供先を限定するよ うな意思表示は行えないということについて、しっかり周知したらどうかというご指摘を いただいております。  最後、参考となる議論ということで紹介したいと思いますが、1つ目が「親族」「個人名」 どちらの表示であっても、臓器提供の場面においては、親族関係の確認の必要は生じます ので、実務上、どちらがいいということまでは言えないのではないか、というご指摘をい ただきました。2点目は具体的なレシピエントがいらっしゃる方については、その方を思 い浮かべて個人名を記載することもあろうかと思いますが、その場合も先ほど挙げました が、親族全体への優先と取り扱うということで、しっかりと周知をしなければいけないで あろうというご指摘をいただきました。以上です。 ○篠崎班長 ただいまの説明について何かご質問、ご意見をどうぞ。 ○大久保班員 これでよいというように書いてありますが、私は同意した覚えはないです。 親族の個人名が書いてあっても、全体に優先する、とこの前の委員会の中で議論として合 意した覚えはないです。いろいろ意見が出ていて、兄弟なり2人レシピエントがいて、1 人の名前が書いていて、名前が書いてあってもそれは無視して、医学的な見地から誰々に するというのが、この案なのです。それに対してあそこで私は合意した覚えはないです。 いま合意できたような書き方をしていますが、合意はできていません。それははっきり言 っておきます。もう1回議論しようという話でした。 ○峯村室長 いま大久保委員からお話があったところですが、※の所はパブリックコメン トで提示されている考え方のうち、臓器移植委員会で留意すべきと指摘された事項で、こ の点について合意がされたということではなくて。 ○大久保班員 「周知すべき」と書いてあるから、それしか書いていないです。だからそ ういう言い方では、それはもう一応皆さんが合意して周知することを留意するような形の 書き方だと言っているのです。臓器移植委員会で合意はしていないし、もう1回議論しま しょうという話になっていたのです。いまの書き方では、要するに親族全体が優先提供と 取り扱うことについて、しっかり周知しましょうという話が留意点に入っているのであっ て、実際に、これではその議論が終わっているような書き方に取られているので、私は承 認できませんと言っているのです。 ○峯村室長 こういうご意見も出たということで。 ○大久保班員 出たけれど、私の意見は書いてないから、これを読んだら優先提供につい ては親族全体、要するに個人の名前を書いても親族全体との優先提供と取り扱うというよ うに、これを読んだらこれは両方で見られるのではないかと言っているのです。それまで は合意していないでしょう。合意しているのなら合意しているでいいですが、こういう書 き方をしたらそれは合意したような書き方ではないですか。この書き方ははっきり言って 私は非常に不愉快です。もう時間が無駄ですからそれはいいです。 ○篠崎班長 ここに書いてある、そこの合意というのはもう1回委員会で最終合意を得た 上で、施行するわけですね。 ○峯村室長 委員会で合意を得た上で、最終的にはさらにその委員会の意見をもとに政務 三役が判断をして、その上で決めるということですので、最終的には政務三役が決めると いうことです。 ○篠崎班長 そこの議論は、その上の委員会と並びに政務三役の決定を待つということで、 ここではどう周知するのかを議論している場なので、何度も言いますが、それを時間的に も1月17日に施行ですので、日程的にかなり厳しい状況にはあると思うので、そこに少し 集中してご議論いただければと思います。 ○小野班員 素人なのですが、委員会で可能なかぎりのシステムを利用してはどうかとい う文章が書いてありますが、これはいままで臓器提供をしたいと思っていらっしゃる国民 の方々が、例えばインターネット上で難しくてできない、大変だ、それからカードがどこ にあるのかわからないというような人たちが、どのようにして自分の提供意思を示すのか についてはここの文章だけを読むと、これまでのシステムだけを利用することになるでし ょうか。それとももっと幅広く例えば、ご老人の方ならネットワークに提供したいのだけ れども何とかしてくれというような手紙を出したりなど、もっと何か国民目線に立って、 もう少し提供意思を表わしやすいようなシステムをこの委員会では話し合われなかったの ですか。単なる電話などは難しいでしょうが。 ○長岡補佐 その点については、システムをまず利用していただくのが、ご本人の意思表 示をしっかり表わしていただくということではいいのではないかというご指摘はいただき ました。一方で、システムが使えない方がいらっしゃるということで、まず当面の間はそ の方については、現行のカード・シールを活用していただくことがよいのではないかとい うご指摘をいただいております。いま小野先生からご指摘いただいたように、その他のや り方、または新しいカードをつくるなど、そういうことについては引き続き議論しようと いうことで、前回までの議論はまずシステムを可能なかぎり使っていただく。ただシステ ムだけでは拾えない方も当然いらっしゃるので、その方についてはカード・シールへの余 白記載ということで、対応したらどうかというご指摘をいただいております。 ○相川班員 意思登録システムを使うと、確実に優先提供の意思が確認できるということ と、ここまで登録される方はそれだけ意思がはっきりされているということ、もう1つレ シピエントの登録状況が確実に把握できるということです。優先提供する親族のレシピエ ント自身の登録も、同時に確認できる可能性があるので、システムとしては非常にいいと いうことです。ただ問題はインターネットができない方も先生がご心配のように、どのよ うにして登録するのか。手紙を出せば、現実的にはこのようにして登録をしますよという 指導をする必要があります。私の考えとしては例えば、全国の保健所にインターネットの 窓口を置いておいて、インターネットが使えない方が来られても、保健所の職員などが指 導をしてネットワークに登録するように手伝ってあげる。そういうやり方も考えれば、場 合によってはスムーズにいくのではないかなと思っています。 ○小野班員 先生の考えに賛成です。とにかく顔を見合わせてやったほうがわかりやすい 方もいっぱいいらっしゃるのではないかとは思っています。 ○大久保班員 お年寄りはほとんど無理ですよね。 ○小野班員 そうですね。 ○大久保班員 お年寄りが提供することはあまりないかもしれないが、50、60でもインタ ーネットを使えない人はいっぱいいますから。 ○小野班員 わかりました。 ○大久保班員 手紙を出すといっても、手紙がきたらネットワークは大変ですね。 ○峯村室長 現状でもあるのですね。 ○雁瀬班員 一般の資料をお送りすることはできますが、ご本人確認も含め、システムの 運用に定められているので、意思登録を私たちが代行するということは行えません。イン ターネットを使えないが、意思登録をしておきたいというご要望はいくつかお電話をいた だいています。 ○相川班員 ただ問題はアナログでやったほうが確実に本人だと確認できるわけです。デ ジタルでただインターネットで登録すると、本当にご本人かどうかという確認作業は非常 に難しいと思います。その辺りの欠点はもちろんあると思います。 ○大久保班員 先生、いまのシステムはデジタルでも一旦登録していただいた方に対して、 手紙を送って、それで初めて有効になります。そしてIDを1回持ってもらい、もう1回登 録し直さないと、有効にならないので、ある意味ではかなり。それは成り済ましでどこか の住所ということは、それならば手紙でも一緒ですから。それはある程度登録でも防ぐこ とはできると思います。問題は先生がおっしゃったように、葉書を出して、葉書で登録し たいという人に対して、今度は葉書でわかりましたと送ってもらって、往復葉書でもう一 度くるなど、そういう形で手間はかかるけれども、少し考えなければいけないかもしれま せん。 ○相川班員 そういうやり方もやはり必要でしょうね。 ○大久保班員 レシピエント登録している方だけはほとんど有効なので、何百万人の人が くるわけではないので、そういうことも必要なのかもしれないです。 ○相川班員 ほかの話をしてもよろしいでしょうか。 ○篠崎班長 どうぞ。 ○相川班員 優先提供においては、現時点で該当する親族の方が臓器不全に陥っていなく ても、将来的に臓器不全に陥っていくことを憂慮して、親族提供という欄があれば○をし てもいい、そういう意思表示もいいのだというように言っていますが、それをすると家族 が将来的に臓器不全になったときを想定すると、そういう形でやるとおそらくみんな○を してしまうと思うのです。そうするといままでの経験では、年間2〜4件ぐらいの親族提供 の割合しか実際にはないわけです。そうすると、ほとんどの方が記載しているのに、将来 を憂慮して全部親族提供と書いてあるカードばかりで、非常に効率が悪いのと、コーディ ネーターの作業が非常に繁雑になる可能性があるので、その表示方法は一般のカードに同 じように、親族提供と書くのは私はどうなのかなと思っているのです。あまりにも効率が 悪すぎると思うのです。 ○大久保班員 それとこの前、法律家の水野先生が言っているのですが、それをやると後 から○をしたり、いくらでも出てくるよと。要するに家族が成り済ましで、その人はほと んど気がなかったのに、それを偶然いたからということで○をする。それをどう見分ける のだという話をあのときも水野先生がおっしゃっていました。だからそれが本当に本人の 意思なのか確認するのが、非常に難しいということは出ていたと思います。 ○篠崎班長 この点についてどうぞ。 ○岩田班員 自分たちはコーディネーターで、現場でほかのコーディネーターにも聞いた のですが、やはりいちばん心配なのはそこの部分でこういう条件が揃えば親族の優先提供 ができますという情報提供は、当然家族にすると思うのです。そうなったときに、普通な ら「親族」と書きさえすれば優先提供になるという仕組みであれば、そのように書く人は いると思うのです。それは本当に本人が書いたのか、ご家族が書いたのか見分けるのはな かなか難しいと思います。だから親族優先の提供意思というのは、通常の提供意思のよう に平たく誰でも書けるのではなくて、本当に趣旨をわかった上で希望するという、そうい う1つハードルがあってもいいのかなと思っています。 ○篠崎班長 非常に重要な問題だと思います。例えばWHOのガイドラインを見ても、臓器 提供というもの自体が、日本語で何と言うのかいい言葉がないのですがアルタリズムと書 いてありますが、「非常に公正、公平な善意に基づいてなされるものである」という大前提 がありますので、そこが日本だけ特殊な法律、「親族優先」というのは、たぶん世界でもか なり希有な部分だと思います。これは我々の文化にあったと取るのか、あるいはそれにし ても本来の臓器提供の意思というものを活かした中で、どのようなシステムにしていくの かというところでは、意味が完全にわかった上で、そこに印する、あるいは我々が確認で きるようなシステムというのは、非常に重要ではないかと思います。その辺の方法、意思 を表示するときの意思を表示する方の意思が、どの程度理解されているのか、あるいはそ の意思というものが、本当に本人のものであるかどうかの確認をどのように取るのかが、 とても大事なのかなという気はします。この点について、もう少し議論を進めていただけ ればと思います。 ○雁瀬班員 インターネットの意思登録は、本人がインターネットを使える環境にあって、 しかもかなりチェック項目が多いので、個人情報まで入れて登録するのはかなり関心が高 くて、意思を表示したいという強い思いがある方たちなのですが、それでもレシピエント 登録をしている家族がいなくても、割と自由にできてしまうというのは同じではあります。 ○大久保班員 ただ一応先ほど言ったように、レシピエント登録、しっかり同意するとい うか、要するにレシピエント登録している人以外は、もういきませんよということがはっ きり理解して同意しないかぎりは、一応いかないようで。 ○雁瀬班員 そのように仕組むことができるので、一般の人がカードに対して詳しいパン フレットも読んでいないうちに、「親族優先」「親族」というキーワードだけ見て書き込む という危険性は、防げるということはあります。 ○篠崎班長 なるほど。これは倫理上非常に大きな問題だと思うので、システムの導入と、 その背後にある倫理問題、最初に事務局から説明があったように、限定した人にだけ提供 したいという意思は、臓器提供意思としてはもう認めないというのが、大前提にあるので、 そのハードルをどうクリアした意思表示にするのか。あるいは社会として限定することも できるが、それは社会の多くに、公平に臓器提供をしたいという方の1つの条件にしかす ぎないということを周知させることが、たぶんいちばん大きな社会的な役割だと思います。 その辺の倫理性をもう少し理解した表示なり、普及啓発をしていかないと、国民の理解は 得られない。親族にだけ頭がいくと先ほどいったような混乱が生じるし、国際的に見ても、 少し違う方向に臓器提供というものが、日本だけ行ってしまう可能性はあると思います。 その辺を非常に留意して進めるべき問題だと思うのです。 ○大久保班員 私はどちらかと言うと、ここは法律の先生は「親族」というけれども、あ る意味では私は「個人名」のほうがより具体的に、自分の子どもが心臓病になっていて、 もう移植が必要だというときに、親がもしも事故があったときに、その親の情としては自 分の子どもにやりたいと思うのは、これはもう当たり前のことだと思うのです。そこだけ はもう仕方ないと私は思うので、その部分で本当にもう限られた情のところだけはもう生 かしましょうというのがこの案だと思います。だから取りあえず病気になったら親族にあ げましょうという話ではないので、ほとんどの方は個人名を自分なり、自分のだれかを頭 に描いて、「この子に」「このお父さんに」などということで記入することがほとんどでは ないかなと私は思っています。だからおっしゃるようにもう少し限定した形で、運用する ように考えないといけないのではないかなと思います。 ○篠崎班長 ただこれは事務局に確認したいのですが、法解釈上は「親族」となっている わけですね。 ○峯村室長 法律上は「親族」という規定になっておりますので、そこで個人名を記載す るのが無効になるのかということで言うと、そこまでは無効とするのは妥当ではないだろ うということで、パブリックコメント(案)、あるいは法律の作業班での議論では「親族」 という表現を原則としつつも、個人名記載も無効としないで、「親族」という扱いの中に含 めるという整理にされていたということです。 ○篠崎班長 相川委員はその議論に関わったと思いますが、その辺の概念として2種類考 えられるかなと思うのですが、1つは限定した親族がいても、それは親族という全体で広 く取りますよという考え方がいまの説明だと思います。逆にいま大久保委員から出ている のは、いや、親族というのはイメージしているのだから、その親族を指定しておいて、そ の人が医学的に適用でない場合には、広く提供するという考え方と、この2つがいま交錯 している。その辺の議論はあったのですか。 ○相川班員 まだ詳しい議論はなされていないです。これはやはり大久保さんは患者さん 自身のことを考えていることなので、当然そういう議論があってもいいと思うのです。や はり医学的な適用というのがあって、例えば個人名で書いた場合でも、この子には絶対的 に先ほど言ったインフルエンザになったばかりなど、できないのです。そうなった場合に もしほかに親族がいれば、そちらに同じ親族の括りとして臓器提供するということがスム ーズに行えるようにということで、このような表現にしているのだと思います。ただやは り大前提は、アノニマスの方に無償の愛を捧げるというのが臓器提供の基本ですので、そ の中で親族の方が病気であった場合は、臓器不全であった場合はその方にやってもいいで はないかという、一般的なパブリックコメント、実際にパブリックのコメントが出ていま したから。だからそういう大きな括りの中で親族が一部その臓器を使ってもそれほど大騒 ぎすることではない、間違っていることはないという意味で解釈しているのです。皆さん、 大体そのような解釈をされていると思います。 ○篠崎班長 そこは上の委員会の結論を待ちたいと思いますが、これは周知する段階でで も、その概念、文化的なところ、あるいは倫理性も含めたところで、そういうものの運用 なのだということを、国民に広く理解していただくような方向性でいかないと、違う方向、 誤った方向に行く可能性がありますので、この辺は十分に取り扱いに注意していただきた いと思います。 ○相川班員 これは普及啓発に関する作業班で、普及啓発の親族提供のポイントはそこな のです。あくまでも臓器提供というのは、やはり無償の愛で臓器不全に苦しんでいる方を どなたでも対象にするということが大前提です。 ○篠崎班長 そうですね。 ○相川班員 たまたま親族がいた場合には、その方に臓器提供をするというだけのことで あって、最初から親族に提供していいのだよということではない。 ○篠崎班長 そうですね。 ○相川班員 だからその順序を間違わないようにしないと、結構大変なことになってしま いますし、変な普及活動、啓発活動になってしまうと思います。その点だけは注意をしな いといけないです。 ○有賀班員 大阪大学の福嶌先生にお聞きしたのですが、脳死下での臓器提供の場合に、 確か米国が1人の死体から3臓器ぐらいで、我が国は6臓器ぐらいが、腎臓は腎臓、肺は 肺と数えるのか、私はどのようにして数えるのか知りませんが。いま言われたように、も しかして片端から親族の所に○を付けるようなシステムがあったとします。しかしあの子 は、つまり自分の息子なり何なりは‥‥の臓器が傷みそうだから、その傷む臓器にだけ○ を付けて親族というようなことを想定しているわけではないのですよね。 ○篠崎班長 違いますね。 ○有賀班員 だから6臓器のうち、1臓器がご家族にいくと。あとの5臓器は通常のルー ルでいくということなのでしょう。だから何と言うか、高邁な倫理性などのあるべき姿と いうことで、議論してはいいと思いますが、その辺を歩いているお兄ちゃん、お姉ちゃん、 町内会のおじさん、おばさんなどに関して言えば、6臓器のうち1つはいきます。可能性 としていきますよと。あとは皆さんにいきますよと。これはある意味逆に言えばわかりや すいというか、何が本当に倫理的に正しいのかという話は、少なくとも倫理性という言葉 を出した途端にエンドレスゲームに陥りますから、もう少し現実的な話でいくと言っても、 医学的に障害がある場合にはいかないわけですよね。それでいいのですよね。だからその 程度の易しい説明が、いちばんわかりやすいのではないかと思います。それが倫理的にど うなのか、それが私にはよく理解できないのです。 ○相川班員 いやもう結果がそれであれば、全然問題ないと思います。先生がおっしゃる とおりです。 ○篠崎班長 いま現場から異議があったように、その状況をよく理解せずにあまりにも数 が多い意思表示があると、実際の臓器提供の現場でかなり混乱するのではないかというご 意見がいま出ております。 ○有賀班員 いま言ったようにそもそもそのように思ってしまっている国民の人たちだと 思えば。そのことからコーディネーションをするときに、そのように激しい、親子と。 ○相川班員 奥さんなど。 ○有賀班員 配偶者と子どもでしょう。 ○相川班員 はい。 ○有賀班員 子どもなど6人も8人もいれば知りませんが、いまどきそんなにいないわけ ですよね。それほどびっくりするほど混乱しますかね。 ○篠崎班長 おたくの現場はどうですか。 ○岩田班員 カード自体を最初から持っていらっしゃる家族は意外と少なくて、条件をお 話したら、ではちょっと探してきますと言って、一旦帰って見つけたというケースもやは りあったりするのです。その間に書き足さないという保証があれば、いいのかなとは思う のですが、得てしてそういう説明をした後にカードを持ってきて、書いてしまうようなケ ースも想定できないわけではないので、そこはどう判別するかは少し気になったところで した。 ○有賀班員 書いたときに、平均6臓器と仮定して、1臓器がいま言った配偶者ないし子 どもにいったということは、牢屋に入らないといけないほどの犯罪なのですか。 ○篠崎班長 先生、たぶんいま、提供が親族にいくかいかないかの問題の一歩手前で、親 族がいるかいないかの確認作業が、今度は親族に優先提供は書面による意思表示が必要で す。ところが臓器提供のところは意思表示か書面の必要はなくなるということを見据えて、 取りあえず1月17日と来年7月までの間が、まず1つのいま議論の対象だと思います。も う1つは7月以降です。意思表示がなくても脳死下での臓器提供ができるようになった場 合の取り扱いをどうするのかが、いまここで一緒に議論されているのだと認識しています。 たぶんおっしゃるように、親族優先と言っても、親族の方がレシピエント登録されていな いかぎり絶対にこれはあり得ないことですので、先生がおっしゃるとおりだと思います。 そんなに数があるわけがない。たぶんいま議論なのは2つあって、1つは国民の認識に基 づいて親族への優先提供というものが理解される方法があるのかどうかが1つ。もう1つ は、現場での混乱を防ぐための方策としてどのようなものが考えられるのか。この2点に ついて議論しているという認識です。 ○有賀班員 おそらく病院の医療安全などをやっている立場からすると、先生が言われた 後ろのほうは、おそらく想定外のことはきっと起こると思います。それはそういう想定外 が起こるときに、どのように組織的に対応できるかということさえ決めておけば、別に想 定外のことは想定外のことでその時点においては想定の範囲内に入りますから、考えれば いいのではないか。 ○篠崎班長 実は最初その点について、小野委員から質問があり、現場での混乱というこ とで、親族優先であるかどうか、あるいはその該当者がいるかどうかは全部ネットワーク が決めることですので。 ○有賀班員 もちろんそうです。 ○篠崎班長 現場での臓器提供の、例えば先生のような救急の現場では個人指定の意思、 臓器提供のみで、一般にはしたくないというのは、臓器提供意思としては取り扱わないと いうことになっていますので、現場での混乱はそこで避けるのがいちばんの決め手なのか なと。ただそれについて後ほど先生からもご意見をいただかなくてはいけないと思うので すが、それを救急の現場にどのように周知していくのかというのが、とても大きな課題の 1つになるかなと思います。実はそれは後で出てくる周知の方法についての所で、ご議論 いただきたいと思っています。 ○有賀班員 救急の現場というのは、救急に携わっている医療者たちにという意味ですね。 ○篠崎班長 そうです。ですから取りあえず時間的なところもあり、1月17日までに議論 しなくてはいけない部分は非常に大きなところです。先ほど大きな倫理問題云々は大きな 問題という話も出ましたが、中長期的な所に関してはまだ多少余裕があるので、どのよう な形で進めていくのかという議論はまだ機会があるのかと思いますが、取りあえず1月17 日施行に向けて、具体的に取れる手段ということで理解していきたいと思います。取りあ えずまず、ここの資料2にありますように、先ほどのパブリックコメント云々のところで 大久保委員から出たところ、これはまだ確定していない、あくまでパブリックコメントに よる意見であるという認識で、意思表示について委員会で出された方向性は、一応我々も 認識したということで確認したいと思いますので、よろしくお願いします。時間の関係も ありますので次の議案に移りたいと思います。  いままでの議論を踏まえて、具体的にどのように周知していくのかという議論について 内容を話し合いたいと思います。パブリックコメントで示されている内容を基に作成した ものを事務局からご説明をお願いします。 ○長岡補佐 それでは、資料3-1に基づいて説明します。資料3-1は「親族優先提供に関 してお伝えする内容(案)」と題して、各種媒体にこの中から必要に応じて盛り込んでいく ということで、幅広に書いたものです。さらに注釈を書いておりますが、この内容はパブ リックコメントで現時点で示している考え方を基に作成しておりますので、今後の臓器移 植委員会等での議論の状況によって、一部修正・変更があり得ることを前提にしていると いうことでお聞きいただければと思います。  大きく5点書いています。1.は「親族優先」とは何かという部分です。2.は「意思表示」 ができる方はどなたか。3.は「親族」とは誰なのか、4.は「意思表示」はどのような手順 で行うのか。5.は注意事項です。では、順に説明します。  1.の「親族優先とは」です。これまでは、臓器提供の意思を表示する際には、移植を受 ける側を選ぶことはできなかったのですが、今後は臓器提供の意思にあわせて、親族に優 先的に提供する意思表示を行うと、親族を他の方よりも優先して、移植が行われるように なるということです。  具体的には以下の順で移植が行われます。(1)が親族に移植希望登録をしている方がいれ ばその方へ、その方々がいなければ(2)親族以外の方に行くということです。ただし、先ほ ど紹介しましたが、親族に優先的に提供する意思表示があった場合でも、以下のケースの ときには親族への移植は行われないと書いています。  (1)が、移植希望の登録をしている親族がいない場合には行きません。(2)が、医学的な条 件を満たさない場合、この場合も親族に行かないということを、まずはご理解いただきた いということで書いています。  2.は意思表示ができる方についてです。15歳以上の方が、臓器提供の意思にあわせて行 うことができるということで記載をしています。  3.の「親族」の範囲は配偶者、子ども、父母になります。さらに配偶者は、いわゆる婚 姻届を出している方で、事実婚の方は含まれません。親子は実の親子のほか、特別養子縁 組による養子及び養父母を指すということで記しています。  4.は意思表示の手順です。(1)ですが、先ほどの議論も踏まえて、意思表示を行う手段と しては、臓器提供意思登録サイト、ホームページから意思表示をするということを紹介し ています。この登録サイト上で意思表示登録を行うと、その内容を印刷したカードが郵送 されますので、署名をして大切に持っていていただくということで紹介をしています。  すでに登録済みの方については、追加で親族優先提供の意思表示を行うことができます ので、登録内容の変更をしていただき、これによって新しいカードを送ります。  (2)ですが、インターネットに接続されたパソコンを持っていないなど、(1)の方法で行う ことが難しい事情がある方には、当面の措置でカードや健康保険証などの意思表示欄に記 入することもできる形にしています。  その方法は後ほど資料3-2以下で説明をしますが、登録サイトの場合には、まず親族以 外の方への提供意思をチェックしていただき、その後に親族優先に関する留意事項に同意 をいただいた上で、「親族優先」という意思表示を行うという手順を踏むことにしています。 また、カードや保険証の意思表示欄に記入する場合ですが、これも親族以外の方への提供 書に記入した後に、余白に記載するという形をとりたいと思っています。  次は留意事項です。ここも先ほどの2点のところに書いています。「親族だけに提供する」 という限定の意思表示はできない、有効とならないと記しています。2点目は、優先提供 する親族を「指定」したり、「順位づけ」をすることはできないと書いてあります。これは 無効ではなく、こういう場合も、その方以外も含めた親族への提供意思と取り扱われます ということで記しています。  5.の注意事項は確認の部分です。本人が実際に臓器提供者となった場合は、移植コーデ ィネーターより手続を家族に説明することになりますが、移植を受ける方との家族関係、 親族関係を証明する公的証明書による確認が必要となるということを書いています。2点 目は、提供を受ける親族が2人以上になった場合には、医学的な優先度で決めると書いて います。最後ですが、1月17日から法律が施行になりますので、1月17日以降に意思表示 が有効になるということを確認的に記しています。これについて、その他、ご指摘などが ありましたら、よろしくお願いします。以上です。 ○篠崎班長 ただいまの説明でご意見、ご質問はありますか。お伝えする内容には、大き な項目が5点ありますが、大項目から不足しているところ、あるいは内容的なところで何 かご意見がありますか。 ○大久保班員 これは今日決めて、これで最後ですか。 ○峯村室長 最後です。 ○大久保班員 では、それを留意して答えなければいけませんね。 ○峯村室長 念のため申し上げますが、これで最後です。今日で文案を固めたいと思って いますので、よろしくお願いします。 ○篠崎班長 具体的な内容に関しては、上の委員会で決めることに基づくわけですね。で すから、ここでは項目についてどうか、またその内容についてわかっている範囲内でどう 周知するかということですね。 ○石川班員 先ほど来の議論を聞いていて、私は専門的な議論はあまりわからないので、 単純な一国民というか、一般の人間の立場から聞かせていただいて、さらに資料3-1を読 みますと、例えば人類愛から自分の臓器を提供するというのは、極めて抽象的なので、こ ういう実感はなかなか持てません。しかし、自分の親しい人だったら、何とか助かってほ しいという、非常にはっきりしたエモーションを感じると思います。  「親族優先とは」というのは、「いまでは移植を受ける側を選ぶことはできなかったが、 今後はある意味でできるようになる」という記述があった場合、倫理の問題など入ってこ ないと思います。非常にわかりやすいところから入っていくと、ああ、そうか、自分なり の気持を表現できるのだな、というわかりやすいところから入ると思います。  私は前提となる議論がどうこうということに触れているわけではなくて、この表現を見 た場合、どう受け止めるかということについていっているのですが、親しい人を助けたい と思うほうが自然ですから、もっと抽象度の高い理性的な判断は当然あるにしても、非常 に理念的でなかなか共有は難しいと思います。表現というのは仕方がなくて、どこかでわ かりやすく伝えなければいけない。それがどう解釈されるかというのは、解釈する側の自 由ですから、残念ながらこちらは選ぶ手段がなないのです。ですから、少なくとも誤解を 受けない表現をすればいいと思います。  先ほどの話からすると、誤解を受けるということと、手続上のいろいろな問題がさらに 派生するだろうというところも、誤解とは違うのですが、後々のことをフォローして考え なければいけない。そうすると、この問題というのは、「なぜ親族が優先できるようになっ たのか」という一文がないことが、いちばんわかりにくいのだと思います。先ほどの議論 を聞いていても、実は私がわからなかったのはそこなのです。なぜこういうことになった のかというのが、いきなりきているのです。ですから、解釈は自由になってしまうのだと 思います。 ○篠崎班長 周知する場合でも、これだけいきなりボンと来ることはないと思います。こ のあとでもご議論いただきますが、例えば今度の法改正のポスターにせよ、ネットワーク のホームページなどはいい例だと思いますが、臓器提供について理解した上で、そこで親 族優先が始まる。そこをクリックした場合に説明が何段階か付いて、そこに行くというこ とになります。ですから、本当に石川委員が言われるとおりで、そこの具体的なクリック 段階に入ってしまった人は、別に倫理性云々とは全く関係がなくなってきているというの は事実だと思います。  ただ、その前段階として、臓器提供というものがあって、それに賛同する国民が少なか らずおられるわけですから、その段階から1つの条件として選択肢を選ぶ。その中でしっ かり理解してもらう周知をどのようにしていくのかという議論だと認識しています。です から、親族優先の前に必ずネットワークのもあって、これがいきなりホームページで出て くるわけではないと思います。 ○雁瀬委員 そうですね、まず法改正があって、1月17日というポイントと7月17日とい うポイントに、何がどう変わっていくか。それは皆さんにお知らせして、その詳しいもの は知りたい方がどんどん知っていけるような環境にしていきたいと思います。たぶん、表 現としてはこういう意味合いのものをということで示されたと思いますが、私たちは情的 なものではなくて、淡々とそのルールが変わったことをきちんとお伝えすると。 ○相川班員 違った質問ですが、河野議員はどのような経過というか、どのような理由で この親族の優先提供を発案されたのでしょうか。問題はその辺ですよね。何かあったから ですか。 ○大久保班員 最初は実際に事例があって、その事例が1回行われたところが、臓器移植 委員会に上がってきて、親族に対する優先提供を認めてもいいのかどうかを委員会で決め ろという話があったのです。臓器移植委員会というのは10か月ぐらいあって、そこでやっ たのですが、結論は出ず、合意に至らなかったのです。この問題はもともと法を作った議 員が決めるべきだというのがそこの結論になったのです。  その議員に対して次に法律を作るときは優先提供をするか、しないかをあなたたちが国 会で決めてくださいと投げかけたのです。国会の中でどうしようかということで今度提案 した河野太郎さんも含めて議論が行われ、私も何回か議論を聞いたのですが、親子の情と か、本当に近い人の情に関してだけは認めてもいいのではないかと。最初は親子間だけで はなく、兄弟間もやろうかという話もあったのですが、公平公正というのが臓器移植にと って、いちばんの理念なので、本当に限られたところだけ、これは情の世界として親子間 と夫婦間だけはいいのではないかということで決めたのです。国会議員が、我々が投げか けたものに答えたというのがもともとの経緯だったのです。 ○相川班員 実は関東甲信越の臓器移植ネットワークでは、その前に親族提供を実際にや っていたのです。1つの腎臓は家族・親族の方に、もう1つの腎臓はほかに提供してくだ さいという内規で動いていたのです。それがある事情から、その時点で登録していなかっ た親族の方に2つの腎臓が行ったということで問題になったのです。  具体的な例を挙げますと、それ以来、親族への提供は駄目ということになり、実際は親 族の優先提供をしたいという方が年に2〜4件ぐらい出ています。その1例としては、ある 施設に生体腎移植を1年後か2年後に予約をしていた方がいました。母親から子どもへの 移植だったのですが、その母親が運転中に交通事故を起こして脳死になってしまったので す。当然1年後、2年後に生体腎移植の予定になっていますから、家族は子どもにあげて ほしいと臓器移植ネットワークに申し入れたのです。ところが、その時点では親族への優 先提供はまかりならんということが決まっていましたので、当然臓器移植ネットワークは 断ったのです。そういう事例が何例か続いています。  それを国民的な感情で考えると、もう1年後か2年後に生体腎移植が予定されていたも のを、1つぐらい腎臓を子どもにあげてもいいのではないかと。非常に法律的なものでは なくて、感情的なものが国民の方々は理解をされていると。そういうことで、この話がま た持ち上がってきたのです。 ○有賀班員 私が聞いたのは、もう何週間後にオペレーション日まで決まっていたという 話がありました。 ○峯村室長 事務局からですが、親族優先提供の関係については、国会ではあまり深く議 論はされていません。その中で、なぜこの規定を盛り込んだかについて5月27日の厚生労 働省委員会での議論が、数少ない議論の中の1つですが、この中で公平性の点から問題で はないかという点について、河野議員が言われたのは、公平性を若干失うことになるのは 紛れもない事実だと思う。しかしながら、いわば生命の受け渡しをした親子あるいは配偶 者といった家族の中で、例えば息子が心臓移植を待っているときに、父親、母親が脳死で、 その心臓が公平性の観点からだけで第三者に行くというのも、心情を考えるとそれは余り あるのではないか。生命を受け渡しをした親子ということと、家族の心情を考えた上で、 この規定が設けられたということです。  法律案は1回提出して廃案になって、もう一度出し直しをしているのですが、1回目に 出したときは、大久保委員が言われたように二親等まで考えられていたようですが、今回 の場合には親子、配偶者という範囲内で国会では答弁がされています。どちらかというと 家族の中での生命の受け渡しという観点から、公平性の、いわば例外という形で規定が設 けられたという背景です。 ○有賀班員 言葉遊びをするつもりはないのですが、公平というのは何かという話ですよ ね。河野議員は公平性に齟齬があるのかもしれませんが、情に鑑みて云々という話はむし ろ公平だという考えだってあるわけです。だから、この件はそういうセンチメンタルリズ ムの話ではなくて、移植の先生方には私がこれから言うことを言ってくれたほうがいいと は思いますが、極めて具体的には、もう少し親族の範囲を広げておいたほうがいいのでは ないか。生体間はもっともっと広い範囲でやっているわけです。そのようなことからすれ ば、何が公平で何が公平ではないか。または情の範囲がどこまでならオーケーで、どこま でがそうではないのか。生体間だったら全然違うわけで、一体何なのかという話になって しまうので、決まったことは決まったこととする。  普通の人は上からこれを読んでいき、下から読む人はいません。上から読んでいくと、 親族優先はなかなかいいではないかと言っているが、最後にガクッとくるわけです。何だ 親子だけかと。もし、そういう意味で人々に話をするのであれば、それこそ移植希望の登 録をしている父親、母親、子どもがいたら、このようなことができますよと。これがエッ センスですよね。あとはその気になった人が読めばいいのです。  そのような意味では、親族優先に関する啓蒙をやさしい言葉でどのように言うかがポイ ントで、その気になってしまえばあとはクリックしようが、辞書をめくろうが、そんなも のはその人その人の熱意の問題だと思います。行政によって書かれている文章その他は、 その意味では結構完璧ですが、読み手の気持などは一切考えていません。そのような意味 での普及啓発を考えるのが、私はいちばん正しいやり方だと思います。 ○篠崎班長 皆さんの意見を聞いていると、ここに入る前段階、あるいはここに入る最初 のところに、ここは限定されている条件なのだということを、もう少し平易な言葉で書い た上で、かつ、こういう具体的な内容、事務的なところを具体的に進めるということで進 めるのが国民フレンドリーというか、理解していただきやすいと思います。  我々はここでずっと議論しているからいいのですが、初めてホームページを見た人が、 いちいち条件を全部読んでいって、どこで外れるかという議論になってしまいます。そう ではなくて、もともとこういう条件の方が親族優先提供はできるのだというところを、も う少し平易に書いた上で、わかりやすく進めるという方向性でやっていただく。ネットワ ークのホームページも1回書いたらそれきりというわけではないでしょうし、この会でも 話し合えるのは今回が最後かもしれません。内容的に批判があるようでしたら、皆さんに も見ていただきます。作業のほうも時間的なこともありますので、進めていただく方向で、 内容の項目に関してはこれでよろしいですか。 ○大久保班員 4のところでまだ決まっていない。先ほども言ったように、配偶者、子及 び父母の個人の名前を記載することができますが、その方以外も含めた親子への提供意思 と取り扱われますということは、最終的に決まっていないのです。  ○篠崎班長 この例も決まったとおりに載せるということですね。 ○大久保班員 だから、まだ決まっていないので、決まったことだけを載せてください。 ○篠崎班長 わかりました。 ○大久保班員 先生のおっしゃるのがいちばん素晴らしいと思います。 ○有賀班員 他人に説明しようと思ったら、そうやって説明しないとわかりませんものね。 ○相川班員 機械の取扱説明書を読むのと同じように。 ○大久保班員 最後まで行って、やっとわかるというのではね。 ○雁瀬班員 確認したいのですが、例えば、いまのように入口を非常に明確にしておく。 その方たちが唯一登録できる人たちだけではなくて、そうではない人ももちろん親族優先 の意思表示をしておくことができるということが大前提ですね。 ○有賀班員 当たり前ではないですか。親族の優先提供に関してはどうするかという話を しているのです。 ○雁瀬班員 そうです。それをレシピエントの家族がいる方たちが有効であると。 ○大久保班員 要するに、これは有効な意思として受け取られないということですね。有 効なのは基本的に配偶者と親子間と、なおかつ、レシピエントが臓器移植ネットワークに登 録されていて、初めて有効な優先提供として認められるということが最初に書いてあれば、 それ以外の人は関係ないとなるわけです。 ○篠崎班長 その点を踏まえて、インターネットとか、カード・シール普及、あるいは後々 議論されるでしょうが、それ以外の普及啓発方法というのは出てくると思うので、それに 対してはもう少しわかりやすく、そういった方に関しての親族優先提供で、それが成立す るのだという条件をまず明記しながら、優先提供の意思表示ができるということにしてい く。当然といえば当然の方法だと思いますが、事務的にただ優先提供は何かということを 説明するのではなく、優先提供者自身が優先提供できる条件というのはどういうものか。 それで意思表示がどうなるかということが2番目という形で、確認を取るという概念でよ ろしいですか。 ○黒田班員 先ほど相川先生が言われた、なぜこの法律改正があるのかを、ここでなくて もいいのですが、どこかで書いていただかなければいけません。私は学校の立場でここに 来ていますが、高校生が調べて、法改正があるのだと読んだときに、変わることばかり書 いてあって、なぜ変わったのかがわからないという状況に陥りますので、どこかの場所で 扱っていただきたいと思います。それを書く所をホームページで考えていただければと思 います。 ○篠崎班長 なるほど。それも非常に重要だと思います。例えば医学教育の中でも、脳死 や臓器提供のことをあまりしっかりやってこなかったという歴史もあると思います。一般 の方はそれに触れる頻度もない。例えば、倫理問題と言われても、確かに授業で倫理社会 を習った時代の我々でも、生命倫理云々ということはあまり触れずに世の中へ出てきてし まっているというのがありますので、それについてもう少し気配りを持って、概念的なと ころを説明するということがあってもいいのかなと思います。ネットワークで、なぜ法改 正があったのかということを、教育的なところで考えていただくことは可能ですか。それ は難しいですか。 ○雁瀬班員 きちんと調べさせていただいて、誤解のないような表現をきちんと集約でき ればと思います。皆さんが見るパンフレットだけではなく、私たちは教師用の解説書など も作っているので、どこかで解説できると思います。 ○大久保班員 もう1つ、いまとりあえず7月までは新しいカードも作らないし、実際に カードに書いたのが有効なのかどうか。ただ親族優先と書いて、それで全部オーケーにす るのかどうかということは、まだ決まってないので、とりあえずはこれで動くのでしょう が、いままでのカードの横に記入するということは当面の間とか、何かを書いておいてい ただきたいのです。それでオーケーになるかどうかはまだ決まっていないわけですから、 当面の間は、とりあえず仕方がないので、これでやるかもしれません。これは法律家の先 生が非常に気にかけておられるところなので、あとの書込みとか、あとの書込みが出てき て、実はそうではなかったと言って、それで亡くなって、第2位にいた心臓移植を待って いた方が死んでしまった。もしそういうことになるということも考えておくので、少し慎 重に扱うべきだと思います。 ○篠崎班長 とりあえず、いま内容に関してはこのような項目で、その前に有賀班員、石 川班員から出たように、もう少し平易な、わかりやすい文章から導入していく。条件を先 に言っておくということでやる。内容に関してはこれで進めていこう。上の委員会で決ま っていないことに関しては決まり次第、決まってないことは書かないということで周知し ていく。今後の作業はそれに基づいて事務局で行っていただくということです。私も行い ます。 ○相川班員 自殺防止に関しては、まだ確定的に決まっているわけではないのです。ただ、 私もこの間発言したのですが、親族提供で自殺を危惧している意見が出ております。普及 啓発に大事なのは、脳死になったり、心停止、心臓死になって、うまく臓器提供が行える ようにすることで、自殺ではできませんということを、どこかで言っておく。 ○大久保班員 どちらにするかは、この前委員会の中では、最後に永井委員長から「基本 的に自殺は除外しましょうね」ということで、一応合意は取れたのです。ただ、最終的に それは厚労省に上がって合意がとれていないだけで、あの委員会の中ではそこまで行って いたのですから、とりあえずここ今日だと無理なので、次とか、何らかの形でそれが決ま った段階で自殺は除外になるということは、あとでやるしかないですよね。 ○相川班員 ただ、自殺をしても臓器提供には至らない。実際に医学的に無理なのです。 ○大久保班員 でも、一般の方で自殺をされた方が臓器提供をしていますからね。だから、 絶対に自殺した人から臓器提供はできないというわけではありません。偶然かもしれませ んが、何例かあるので、必ずしも絶対無理というわけではないのです。自殺自体は優先提 供から除外だということが決まったら、広報をする必要がありますが、決まるまでは出せ ません。 ○篠崎班長 それも含めて項目の中で、これも大事なポイントだと思いますので、決まり 次第取り扱いを考えていただきます。 ○有賀班員 確かにそういう例はありましたが、自殺は、いま年間4万件ぐらいですか。 ○大久保班員 3万何千件あります。 ○有賀班員 そのうちの数件だから、パーセントの後に0が2つか3つぐらい。 ○大久保班員 でもあり得ますね。 ○篠崎班長 折角移植によって生命を救うという行為のために、生命を落とすようなこと があっては許されるはずもないので、それについても国民の理解を得られるように考えて もらいたいと思います。 ○峯村室長 いまの話については、永井委員長と、例えばガイドラインに入れ込むのか、 あるいは普及啓発でやっていくのか、その仕組みについては、ある程度方向が固まってか らでなければ書き込むことは難しいと思っていますので、その辺の状況を見て判断すると いう形になろうかと思います。  事務局で心配をしているのですが、親族優先提供の意思表示の仕組みとして、システム を利用していただくという点についてはよろしいということですか。当面というか、現行 のドナーカード・シールを1月17日から当面活用するとして、余白への記載ということで よろしいのですか。 ○大久保班員 当面入れたほうがいいのではないかと思いますが、どういう方法にするか は最終的に結論が出ていないのです。 ○峯村室長 残念ながら、移植委員会はあと1回しかありません。延々と議論が続いてい ますので、このままですと次回の委員会の場でも、場合によっては事務局としての判断を せざるを得ないと思いますが、それでよろしいですか。  ○篠崎班長 ただ、1月17日ですから、いまあるものを使う以外に、普及啓発ポスター以 外は、いまから印刷というのは無理でしょうし、登録システムを使うことと、カードに親 族と書いていただくということで対応することに関して、何かご意見がありますか。 ○有賀班員 親子、配偶者だから書き手の気になったら「妻によろしく」とか「お父さん にお願いします」とか書くのではありませんか。それでいいのではないですかね。 ○篠崎班長 カードにそれを追加して書いておくことですね。それ以外の書面でも、きち んとした書面が出てきた場合には、以前の脳死下での提供と一緒で活かす。それで何かご 意見がありますか。 ○大久保班員 当面はそれで仕方がないと思います。 ○篠崎班長 それの方策についての普及・啓発を考えていただくということで、その具体 的な内容に関してインターネットの意思登録とカードとかシールの記載に関して、事務局 より説明をお願いします。 ○竹内補佐 資料3-2に「臓器提供意思登録システムにおけるイメージ」という表があり ます。現在、新規登録する場合には、日本臓器移植ネットワークのホームページの臓器提 供の意思登録をクリックして、その上で意思登録の説明、注意事項、プライバシーポリシ ーに同意していただいて、この表の左側に書いてある1と2の仮登録の場面に移ります。  1ですが、いまのところでは「意思を選択してください」という表題になっており、そ の中で1.の「脳死判定に従い、脳死後、移植の為に○を選択した臓器を提供します」もし くは2.の「私は、心臓が停止した死後、移植の為に○を選択した臓器を提供します」もし くは3.の「私は、臓器を提供しません」のいずれかにチェックをし、その後、個人情報、 氏名、生年月日、住所、パスワード等を記入し、いちばん下の緑の「戻る」という欄と、 右側の「次へ」の欄が「確認画面に進みます」という項目になっています。この部分だけ であとは確認画面を登録して、自宅にID番号とパスワードが届き、そこから本登録をする というシステムになっています。  これから説明しますのが、いま考えているシステムのイメージで、1の「提供意思の入 力」で1、2、3の項目については、いまの画面と変更はありません。ただ、この中で1も しくは2または1と2のいずれかをチェックしている方。つまり、臓器提供の意思表示を 持った方が、次に個人の情報を登録すると「戻る」と「次へ」というステップに移ります。 ここからが新しいシステムになります。  ここで3の「臓器提供しません」という方が「次へ」というボタンを押すと確認の画面 に行きます。1もしくは2、または1と2を押している方に対しては3の「親族優先提供の 説明」に飛び、「臓器提供意思登録を表示した方へ」というメッセージが出ます。その中で 「平成22年1月17日より、新たに、臓器提供の意思に併せて、親族に対し臓器を優先的 に提供する意思を表示できることになりました。親族への優先提供を希望する場合には、 注意事項をお読みいただき、同意したうえでご登録ください。」ということで、「現在の入 力内容で意思登録をする」方であれば、これを押すと確認の画面へ行きます。さらに注意 事項を読みたい場合は「注意事項を読む」のボタンをクリックすると、また次の画面に進 むという状況です。  注意事項の同意を求める作業に入ります。まず1.「優先提供の意味」という欄を設けて、 “親族だけにしか提供したくない”といった場合には、親族の方を含め、臓器提供は行わ れません。注として親族の優先提供の意思は、臓器提供の意思に併せて表示することとさ れています。そこで同意をすると、右の2.に移るということを考えています。2.で「優先 提供の対象となる方」、配偶者・子ども・父母。注1で配偶者とは、婚姻届を出している方 に限ります。注2で養子は特別養子縁組に限ります、ということを知っていただき、そこ に同意すると、もう一度新しい3.が出てきます。3.「優先提供が行われない場合もありま す。」、文言が抜けているのですが、親族とか、患者が社団法人日本臓器移植ネットワーク に移植希望者の登録をしていない場合。ポツ2の、医学的条件を満たさない場合(血液型 が合わないなど)、これらの場合には、社団法人日本臓器移植ネットワークに登録されてい る方に提供されます。ということで、ここで同意をすると、登録画面に行き、3枚目につ ながります。  5「親族優先提供の意思登録」で、「親族優先提供の意思登録を希望し、注意事項に同意 された方へ」という画面が出て、その上で「親族の優先提供の意思を登録しますか?」と、 再度ここで確認をさせていただき、ここで登録をするのであれば、仮登録の確認画面に入 ります。  右側の確認画面で「私は親族への優先提供を希望します。」という表示が出ています。そ こで「送信」というボタンを押すと、親族優先提供に関するすべての同意事項を満たした ということで、カードの右上に「親族優先登録済」という文言が入ったカードが登録した 方に送られるというイメージを、いまのところは考えています。  資料3-3ですが、やはりインターネットに接続されたパソコンを持っていないなど、イ ンターネットによる意思登録を行うことが難しい場合には、現在の臓器提供意思表示カー ド・シールに何らかを記載しなければいけません。余白のある場所が意思登録カード、保 険証、シールではこの辺なのかなということで、赤いマークで表している資料です。以上 です。 ○篠崎班長 ただいまの説明でご意見、ご質問はありますか。 ○大久保班員 初歩的な質問ですが、臓器提供意思表示をするとずっと行って、どこかで 同意しないとなったら、設定拒否のところへ戻るのですか。 ○竹内補佐 いまの2枚目の確認事項の3箇所で同意しないというところを選択すれば、 そのまま確認の画面に飛んでしまいます。ただ、確認の画面の中では「親族優先提供を希 望する」という欄がない所に飛ぶことになります。 ○大久保班員 それで登録できるわけですね。 ○竹内補佐 はい。  ○篠崎班長 ほかに何かありますか。「表示する方へ」のところで、最初にもう少し平易な 説明があるべきだということですね。 ○大久保班員 進んできたら、途中でガクッとくるようなね。 ○竹内補佐 資料の説明をし忘れました。資料3-2の4枚目に、すでに登録をしている方、 本登録を済ませている方の変更画面についても記載されています。こちらの方については、 すでに1、2に○が付いている方に対しての周知です。ただ、この場合でも「次へ」という ボタンを押すと、先ほどの資料3-2の1の右側の頁に飛んで、その後2枚目の「注意事項 の同意」という3つのパターンを経て登録という形を考えています。 ○篠崎班長 とりあえず、ここに親族優先提供が行われる条件というのを、同意、同意で はなく、本当に簡単な文章で読んでわかるような程度で入れて、優先提供意思が表示でき る。それは誰でもできるわけですから、そういう段階にしておかないと、時間をかけてや ったあげくに落胆させるような手法は好ましくないと思いますので、その辺の配慮をお願 いしたいと思います。  カード・シールのほうはどうですか。何と言っても、こんなサイズなので、隙間にちょ っと書いていただくしかないのですが、これを手書きでもいいようなサンプル的なものも。 ○有賀班員 この中に書くのでしょう。「お父さんへ、よろしく」と書けるのではありませ んか。 ○篠崎班長 できれば周知するときには、親族優先という言葉を明確に書いていただける ように。 ○有賀班員 書き手の人から見れば、たくさんのお父さん、お母さん、子ども達、妻とい うか、配偶者も含めて、みんなが登録しているのであれば、親族優先という言葉は馴染む と思います。しかし、一族郎党みんな登録などという家系がいるのですか。例えば、農道 が書けるような家系と言って、車がバーッと付いているような家系が出てきて、遺伝子が 関係しているとなどという議論がありますよね。そのような家系が山ほどあって、お父さ ん、お母さん、自分の子どもが片端から出てきたら、いま言った親族優先と書くでしょう が、親族などという言葉は普段私たちは使いませんよね、使いますか。親戚ならまだ使い ます。  そういう意味で、私が言ったのは、こういう所に書く人は「お母さんによろしく」とか、 そのように書くのではないかと言っているわけです。患者というか一般の人の目線に立て ば、親族優先と書けというのは、役人ならそう言いますが、先生は役人ではないのだから。 ○篠崎班長 サンプルとして、ここに表記するのです。 ○有賀班員 だから、私はいまいちばん小さい所に「お父さんへ、よろしく」と書けるか なと思ったら、尖った鉛筆なら書けるのです。 ○峯村室長 パブリックコメントの書きぶりでも、どちらを書いても最後は救われる形に なっていますので、極論すればどちらでもいい話だと思います。問題はその次のステップ で、複数いたときの選び方がまだ議論があるのだと思います。名前を書こうが、親族と書 こうが効果としては。 ○有賀班員 私がいま聞いたのは、いわゆる対象となる複数の親族が、同時に登録される 状況が山ほどあるのかということです。 ○峯村室長 前回の移植委員会の議論になったのは、太郎さんと花子さんという子どもが いて、両方ともレシピエント登録をしていた。そのときにカードには花子さんしか書いて なかった。いまのパブリックコメントの案では、一応太郎さん、花子さんは優先順位1位 と書いてない太郎さんも一緒に1位とした上で、医学的事由で判断をする。ですから、場 合によると、医学的事由が高ければ、期待されたとおり花子さんに行くかもしれませんし、 もし医学的事由が太郎さんのほうが高ければ、太郎さんがカードには書かれていないが、 親族優先の1位ということで、太郎さんに臓器が行く。そうすることがいいのか、それと も花子さんと書いてあるのだったら、花子さんで行けとすべきだという意見とで、まだ結 論は出ていないのです。その意見をここで伺おうかと思ったのですが、臓器移植委員会で やるべきだというお話であれば、次回の1回で決めたいと思います。 ○有賀班員 おそらくこの机の上なので、そういう話です。しかし、花子も太郎も透析し ていることを知っている親が、花子しか書かないという話は、おそらくその家族はわかっ ています。 ○峯村室長 好き嫌いが。 ○有賀班員 好き嫌いというか、息子が緊急で入院しても死んでくれという親もいるので す。だから、家族の間というのは、きれいにこういうときはどうしましょう、シャンシャ ンなどという話ではないのです。「そのように決まっています」と言ったら「全部やめます」 と言うかもしれないのです。 ○篠崎班長 という順位づけなども含めて、された場合でも、トラブルがいちばん少ない やり方がいいのではないかということで、一応作業班でこのやり方があったのです。 ○有賀班員 考えてくれて構わないのですが、現場はそのようなことが山ほどあるという ことを言っているわけです。だから、子ども達が何人もいても、その人しか書かないのに は、たぶん何か理由があるだろうという話は知っていなければいけないということを言っ ているわけです。 ○小野班員 余計な危惧かもしれませんが、いま有賀先生も言われたように、強い意思で 親が、例えば自分の子どもに臓器提供をしたいと、父親が救命センターへ来られた場合は、 強い意思ですから、登録内容は現場ではすぐ誰かがチェックしなければならないのは当た り前のことですが、もしインターネット上で登録した場合、本人はカードを持っていない、 わからない場合は、現場の者が登録されたホームページとか、PDF状態でもいいのですが、 確認する術があったほうがいいのではないかという意見もあったのですが、どうでしょう か。 ○有賀班員 コーディネーターが来ればわかりますね。 ○小野班員 コーディネーターが来ればわかるのですね。 ○相川班員 通常は親族へ優先的に提供される方は、自ら言われる方がほとんどだと思い ます。ただ、問題は稀に言わない方がいた場合、救急側からオプション提示をしないで成 立しなかった場合、普通はアノニマスの方にやる分にはそんなに問題は起こらないと思い ますが、親族提供の方にそれをやってしまったら、成立しなかったことでものすごく怒る と思います。だから、救急側の先生方にそれを理解していただくのはとても大事です。先 生は前も議論されましたが、一般の方には広報でいいと思いますが、医療者にはまた別の 広報をしないと、そういう意味では結構大変なことになるのではないかと思います。 ○有賀班員 大変だってしょうがないのです。わからないものはわからないのです。あと から責任をとれと言われても、わからないものはわからないのです。誰だってガアガア言 われてもどうにもなりません。 ○長岡補佐 いまの点は事務局からですが、医療従事者への周知について、またこのあと で議論をいただく予定にしています。いま現場の医師が登録内容を見ることができるかと いうことですが、これはあっせんの事業ということになりますので、その個人情報は日本 臓器移植ネットワークでしか扱えないことになっていますので、医師は見ることができな いということでご理解いただきたいと思います。  確認ですが、先ほど意思登録システムの中で、最初に非常にわかりやすいものを入れて おくべきという議論があったかと思いますが、いまは同意ということで3つの画面を用意 しています。例えば最初の説明のところに入れてしまうのがよろしいのか、その説明をも う少しわかりやすくしていくのかというところはいかがでしょうか。例えば、1頁の3の 説明というところがあるかと思いますが、そこでわかりやすくポンと書いてしまうのとか で。 ○大久保班員 最初の頁の「意思表示をしたい方へ」の最初に基本的には配偶者と親子間 だけで、レシピエント登録していないと対象外ですというのを書いておけば、もう私は関 係ないなということで、現在の入力でオーケーにしてしまうと思います。  それを書いてないので、どんどん行って、結果として登録していなければ駄目なのかと いう話になってきて、そこでまた戻るというのはないだろうということです。だから、そ の体制で簡単に書いておけばいいという解釈です。 ○有賀班員 ものすごくやさしく言うと、説明される人の身になったら、あなたのお父さ ん、お母さん、子ども、配偶者で登録をされている方がおられたら、読む価値があるとい う話です。 ○篠崎班長 とにかく最初の画面で、後ろの同意のところはこれでいいと思います。言葉 が云々というのはあると思いますが、考えてもらうにしても、このシステムに関してはい いと思います。ただ、もともと最初にわからない状況で行って、落胆させるようなことは やめましょうというのが、この趣旨だと理解しています。こんな形で周知もそろそろ始ま るという状況ですか。 ○雁瀬班員 プログラムの整理についても、本当に今日決めないと17日に間に合わないと いう状況ですので、このようなチェックの仕方で進めるかどうかということです。 ○篠崎班長 では、内容、周知方法、手段に関しては、ここに出ているような形で行きた いと思いますが。いまの議論で大体よろしいですか。最もわかりやすくすること。同意は そのあとに取ること。その1つがインターネットの部分です。  カードに関しは、スペースに書く例文、お父さん、お母さんでも何でもいい。サンプル も入れて周知していくということです。  時間もかなり迫まっていますので、もう1つ大事なステップがあります。周知する内容 はいま議論いただいたのですが、時期と手順、特に医療現場のというのもありましたので、 その点について資料があるようですので、事務局から説明をお願いします。 ○長岡補佐 それでは資料4-1に基づいて、周知時期、対象、手段について説明をしたい と思います。大きく周知時期と周知の対象、手段ということで資料をまとめております。 (1)周知を行う時期ですが、前回の10月の作業班で親族優先提供の制度は複雑であること から、十分な情報が出そろった段階で詳細な情報提供を行うべきであるという議論を踏ま えて、どのように考えるかということで示しています。  ガイドライン等の発出前と後にどのようなことを行うかということですが、(1)発出前に ついては、具体的な制度の内容など、詳しい情報提供を行うことは難しいのですが、ポス ターなどの媒体を用いて、詳細情報を掲載するホームページを見ていただくための周知を 行っていくことが考えられるかどうかです。2点目は、情報提供を行う場合、その開始時 期をいまの段階、「できるだけ早い時期」から行っていくのか、それとも「ガイドライン等 の発出直前辺り」から集中的に行うのかということで、いろいろ考えられるかと思います が、周知効果という観点からどのように考えたらよいのかということです。  (2)がガイドライン等の発出後です。これは前回の作業班でも指摘がありましたが、(1)の 周知を踏まえて、制度の詳細情報についての資料を作成し、厚生労働省及び日本臓器移植 ネットワークのホームページに掲載して構わないかどうかです。  (2)は周知の対象と手段です。対象者として3つの層を想定していますが、どのような手 段で行うかです。1つ目は一般の方です。一般の方については各種媒体を用いて、目に触 れていただくということで、ホームページ、ポスター、厚生労働省の中のYoutubeのチャ ンネル、定期刊行物などを用いて行ったらどうかということです。  次はすでに意思表示を行っている方等、関心が高いであろう方については、一般の方向 けの周知に加えて、こちらからアクセス可能な方についは、直接働きかけを行ってはどう かということです。具体的にはシステム登録者です。これはインターネット上で行います ので、メールアドレス等を登録しており、この方への直接連絡などを活用したらどうかと いうことです。  最後は医療従事者です。この方についても提供施設の医師など、アクセス可能な方には 直接の働きかけを活用していったらどうかと考えています。  それを踏まえて「今後のスケジュール(案)」を作成しています。真ん中辺りがガイドラ イン、省令の改正です。こちらの段階で厚生労働省、日本臓器移植ネットワークのホーム ページにおいて、制度の詳細情報についてお知らせをするということで、具体的にはパン フレット、チラシなどダウンロードもできる形で、こちらに詳細情報を載せていきます。 それに向かって12月の段階から法改正の概要の形で周知を行い、具体的にはホームページ、 厚生労働省の動画チャンネル、定期刊行物、ジャクラビジョン、既存ポスターに貼って注 意喚起を促すタックシールによる普及啓発を行っていきます。  先ほど指摘がありましたが、ポスターや意思表示カードの設置箱にポップで紙を差し込 むような形でも普及啓発を行います。ただし、これは半年でポスターを全面的に貼り替え ることは難しいものですから、現時点で7月を見据えた概要的なものとならざるを得ない ということで、ここに挙げています。  最後に、その他システムを登録している方、レシピエント登録者の家族、医療従事者に ついては、直接的なアクセスもこの中で考えていったらどうかということで表に記してお ります。  資料4-2です。先ほどは詳細な情報ということで資料3-1で示した内容ではどうかとい うことで説明をしましたが、今度はポスター・ポップ・タックシールと言われる情報量が 非常に少ないもので、かつ7月までを見据えた概説的な周知を行う手段についての記載す る内容ということで紹介をしています。  まずポスターですが、法律改正の全般に関して書くということで、1.の法律改正につい て、臓器移植法の改正で新たに親族優先提供が可能となることと、もう1つは意思表示が 不明な場合でも、家族の承諾で臓器提供は可能となるという2点について知らせる。さら にその施行日について知らせるということです。  詳細内容ですが、これはホームページに掲載する、と先ほど申し上げましたので、そち らを見ていただくために、厚生労働省と日本臓器移植ネットワークのホームページを紹介 することにしています。  次はポップ・タックシールです。ポップについては意思表示カードを配付するところで 周知をするということですので、主に自分で書く方に向けての周知となります。親族優先 提供のところを中心に記載をしています。以上です。 ○篠崎班長 ただいまの説明についてご意見、ご質問はありますか。 ○有賀班員 今日の資料4-1は親族優先提供の話題です。資料4-2の上半分は、それと全 体のことと2つになるのですか。医療従事者への親族優先提供に関する周知でいいのです ね。 ○峯村室長 はい、そうです。 ○有賀班員 そうすると、先ほど相川先生が脅すようなことを言っていましたが、知らな いものは知らないのだと。 ○相川班員 すみません。この間、その前に議論がありまして、小野班員から、これから はクリスマスもあるし、お正月もありますから、一般人への普及啓発は結構できるだろう。 ところが、医療者は休みでも救急医は従事しているわけで、ばく露量が少ないのではない か。だから、医療者側に向けて、何かそういう対策をとってほしいという意見が、小野班 員から述べられたのです。 ○有賀班員 私たちの普通の仕事からすると学会活動ですかね。救急学会でいうとホーム ページで私たちが見られるところに入れるとか、臨救もきっとそうですね。だから、その 学会のほうに「こういうページ、よろしくね」という、先ほど言ったこういうときにはこ うですよというようなキャッチコピーがあって、詳しくはどこを見なさいというのがある ようなものを、救急学会とか、臨床救急学会。脳外科だと、脳神経外科学会と病院脳神経 外科の2つに出せば、たぶん行けますよね。救急看護学会とか、そちらにもやったほうが いいのですか。 ○小野班員 それは大丈夫だと思います。看護学のほうには波及したほうがいいと思いま す。 ○有賀班員 一般の看護師などはどのように束ねられているのだろう。 ○小野班員 いろいろな部署に入ってしまっていますが、いま言われたような学会しかな いと思います。 ○有賀班員 救急なら救急医学会と日本臨床救急医学会でしょう。そうすると、そこに入 っている看護師たちはわかりますね。それから脳外科だと日本脳神経外科学会があります ね。日本病院脳神経外科学会のほうにコメディカルか何かが入っていますよね。きっとそ の2つですね。コングレスは上だけですかね。 ○小野班員 あとは日本集中治療医学会が必要かどうかですね。 ○有賀班員 あとは日本集中治療医学会と、場合によっては日本救急看護学会ですね。 ○小野班員 そこまで行けば、たぶんリンクしていくと思います。 ○篠崎班長 具体的にはどのように手段をとったらよろしいでしょうね。 ○有賀班員 先生からお手紙を出してしまえばいいのではないですかね。 ○篠崎班長 各学会理事長宛にお手紙を。その点については学会宛に依頼をするというシ ステムですか。事務局としてはどうでしょうか。 ○峯村室長 それは非常にいいご提案だと思いますので、我々として学会理事長宛に依頼 のお願いをして、タイトなスケジュールの中でホームページに掲載していただきますので、 非常にご迷惑をおかけしますが、いまご指摘のあった学会に対して、対象者宛には私ども から依頼をさせていただいて、お願いをすることはやぶさかではありません。 ○有賀班員 でも、厚生労働省の厚生部というのはあるのでしょう。キャッチコピーにな っているかどうか知りませんが、読んでいくうちに腰が折れるような内容はおそれますが、 私が言っているのは、もし雛形みたいなページがあれば、そちらへ飛んでいってしまえば いいわけですから、それでもいいのではないかと思ったのです。 ○相川班員 ただ、先生が言われたように、ネットワークでやるのはあまりにもどうなの かと思うので、学会主体でやっていただいたほうがスムーズにいくかと思います。 ○有賀班員 学会でいいのではないかと思います。 ○篠崎班長 折角、有賀班員がおられるので、文章をポンとだけではなく、例えばサンプ ル的なものを載せるのかどうか、あるいはそれの妥当性、先ほど先生がおっしゃるように、 そんなものを出されて救急の医師は忙しくて読まないよというのも。 ○有賀班員 おそらくこの1枚の半分ぐらいで、とにかくそのようなことはあるというこ とがわかればいいわけで、内容は場合によってはコーディネーターに聞けということです よね。  先ほど言った奥さんと旦那さんの関係で、ただ一緒にいるだけでは駄目だというのはわ かりますが、養子などは私たちはわかりませんよね。 ○大久保班員 特別養子縁組。 ○有賀班員 それは何ですか。 ○大久保班員 それは私から説明するより事務局から説明したほうがいいのです。 ○有賀班員 そのようなことはわからないから、場合によってはコーディネーターに聞け とか、相談したほうがいいと思います。 ○小野班員 そういう流れは必要なのです。 ○長岡補佐 わかりました。そこについては、いまのような非常にわかりやすいものを作 って、詳しくは例えば厚生労働省のホームページを見てくださいとか、そういう内容の周 知文案を作り、またご相談に上がるということで進めていきたいと思います。 ○有賀班員 ご相談というより、どんどん進めてください。 ○長岡補佐 わかりました。 ○篠崎班長 資料4-1に戻りまして、一般の方は時間も限られていますし、その後ろの2 頁目を見たのですが、縦書きですごく余裕があるように見えるのですが、よくよく考えて みますと、省令、ガイドラインの改正時という真ん中が、現状では1月になってしまう状 況ですから、ホームページで云々とありますが、それから施行までの間が1週間あるかな いかという状況だと思います。日程調整、その他諸々、委員会の調整等々があって、かな り詰めた日程でやったつもりですが、いかんせん6か月で施行というのは非常に厳しいス ケジュールではあると思います。どちらにしても決まりは決まりですので。  1頁に戻って、一般の方への普及啓発とホームページは厚生労働省ならびに日本臓器移 植ネットワークでいいとして、ポスターは保健所分が何万枚などという決まりがあるので すか。 ○雁瀬班員 いままで推進月間とか、キャンペーンのときにポスターを送っている先が行 政機関とか、関連団体がありますので、大体2万枚ずつB2とB3とサイズを変えて作る予 定です。 ○篠崎班長 印刷の時期はどのぐらいになる予定ですか。 ○雁瀬班員 今日決めないと。ただ、印刷物というのはどうしても1か月かかってしまい ますので、ポスターやポップについては、親族優先の先ほどの細かい説明文章、配偶者、 親子というのはまだ決まっていない状況で、そこを入れるのではなくて、「1月17日から こういう意思表示が可能になります。詳しくはホームページをご覧ください」というポス ターになります。 ○大久保班員 これは法律が変わって、施行されるというお知らせは、厚生労働省からは 出さないでネットワークから出すのですか。 ○峯村室長 厚生労働省からも出すのですが、厚生労働省から出すのは1月17日を越えた タイミングでないとできないので、いまの段階からお知らせするのもありますし、ポスタ ーは印刷に入らないといけませんので、当然厚生労働省もネットワークもやるのですが、 その中で先行してやる部分はネットワークさんのほうが早いということです。 ○篠崎班長 もう1点ですが、すでに意思表示を行っているという真ん中のセクションの ことがありますが、そのアクセス可能な方へのメールか何かで出せるということですか。 ○雁瀬班員 メールでのお知らせと郵送でも考えています。 ○篠崎班長 現状でどのぐらいの数ですか。 ○雁瀬班員 5万人強です。 ○篠崎班長 大変な作業になりますが、とりあえずの2つに関しては、本日から動き出す ということで、委員の先生方よろしいですか。一刻も早いほうがいいと思います。医療従 事者に関しては、先ほど議論いただいた形で進めるということですね。 ○有賀班員 テレビは使えないのですか。 ○篠崎班長 それはメディアの皆様によることなので。 ○石川班員 それについてはこれを読んだときに、通常広報というのは自前の情報発信で はとても無理なのです。ですから、当然PRとか取り上げていただくのです。取り上げてい ただくにはこちらが何を伝えたいのかを、まずまとめなければいけませんから、今日のお 話を聞いていたら、その核を見えたような気がするのですが、通常プレス・リリースを作 って、マスメディアの方に見ていただく。もちろん関心を持っていただけるかどうかは保 証の限りではないのですが、少なくてもそういうことはやっておくのだろうと思います。 それがまるでここにはないので、基本的にはプレス・リリースを使って、一体何をお知ら せしなければいけないか文例を作っておくのではないかと思います。  よく我々が関心を持っていただきたい方が読む雑誌など、その媒体の特性を把握して、 そこにきちんとリリースを毎回送っていくということをやる必要があるのではないかと思 います。 ○大久保班員 おそらく全部決まった段階で報道はされると思います。大きさは別として 記事としては載ると思います。いま全く関心がないわけではなくて、今日もたくさん来ら れているから、基本的にこういう議論があって、最終的にこうなりましたというのは、時々 載っていますが、委員会が終わったあとに必ず少しずつ載せています。全然載せていない 新聞社もあります。それはある程度はあると思いますが、おっしゃったように、我々でも 決まった段階で何かあったときには、必ず厚生労働省の中の記者クラブを使ってやるし、 もちろんメールで送ったり、資料を送ったり、もちろん郵送もします。それはいくつも数 をやったほうがいいと思います。 ○篠崎班長 委員会で記者会見はやったことがあるのですか。 ○峯村室長 ありません。 ○篠崎班長 やる機能はありますよね。いずれにしても法施行に近づけば、当然議論も高 まるでしょうし、国の法律が変わるわけですから、それに基づいてプレスキットまで行け るかどうかわかりませんが、内容の論点をまとめたものを周知する。それはたぶん委員会 のほうで考えていただけると思いますので、そういうことを作業班からお願いしたいと思 います。 ○石川班員 記者会見というよりも、自由に質問ができるような、勉強会がいいのではな いかと思います。 ○篠崎班長 ただ、委員会作業班で勉強会ということもいかがなものか。枠組みとしてそ ういったのができる形態というのがあってもいいのかなと思うのですが、関連団体とか。 ○大久保班員 移植学会は20組でもいいわけですね。 ○篠崎班長 移植学会はやります。移植学会はメディアワークショップをやりますが。 ○大久保班員 今回は12月にやります。 ○篠崎班長 もう少し公的なアカデミアとしてやるわけですが、もう少し実務的なところ も含めた意味での、本来ですと推進というか、普及啓発という国の広報を行うようなセク ションがあって然るべきです。アメリカでいうとHRSAがやっています。規制に関しては FDAがやっていますが、全く違う政府機関で普及啓発をやっています。予算もかなり大き いと思います。  我々は日本の中でネットワークがあっせん機関で唯一であり、広報もやっているという ことになっていますので、その中で枠組みを考える必要があると思います。それは長期的 な話になりますので、とりあえず本日の皆さんからいただいたご議論を基に、法施行に向 けての、特に親族優先提供に関する方法ならびに啓発はそういう形でとりまとめていきた いと思います。この結果を踏まえて委員会にも上げたいと思います。  座長の不手際で時間をオーバーしてしまいましたが、本日は長時間にわたるご議論を賜 りましてありがとうございます。事務局と意見を今後まとめていきたいと思いますので、 これにて本日の会議は終了したいと思います。次回以降の日程について、事務局から説明 をお願いします。 ○峯村室長 本日は長時間にわたる活発なご議論をいただきましてありがとうございまし た。今後の進め方等については、文書にてご連絡を差し上げますので、よろしくお願いし たいと思います。今日は本当にご多忙のところ、ありがとうございました。 ○篠崎班長 どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365