09/12/04 第36回社会保障審議会医療保険部会議議事録 第36回社会保障審議会医療保険部会 議事次第           日 時:平成21年12月4日(金)13:59 〜15:56             場 所:九段会館 真珠の間 ○糠谷部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第36回「社会保障審議会医療保 険部会」を開催いたします。  委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただきまして、御礼申し上げます。  本日の委員の出欠状況について申し上げます。  本日は岡崎委員、神田委員、樋口委員、横尾委員より御欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りします。  岡崎委員の代理として猪塚参考人、神田委員の代理として岩田参考人の御出席につき、御承認 をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○糠谷部会長 それでは、そのように取り計らせていただきます。  それでは、議事に入らせていただきます。 (カメラ退室) ○糠谷部会長 最初に「国民健康保険制度の見直しについて」を議題といたします。国民健康保 険制度につきましては、財政基盤強化策が平成21年度末で期限切れを迎えることから、来年の通 常国会に改正法案を提出する必要があるとのことです。本日は、その改正案について御議論をい ただきたいと思います。事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○伊藤課長 国民健康保険課長でございます。ただいま部会長から御説明がありましたように、 来年の通常国会に国民健康保険制度の見直しについての改正案を出すことを検討しております。 本日は、その内容につきまして簡単に御説明したいと考えております。  資料の方ですけれども、資料1の表紙にありますように、今回の見直しの柱としましては、国 保財政基盤強化策等の取扱い、市町村国保の運営の広域化・地方分権の推進、それから、市町村 国保の保険料の在り方。この3つが大きな柱となっております。  それでは、その内容に入ります前に、国民健康保険の現状を簡単に御紹介したいと思います。 参考資料1を開いていただければと思います。  参考資料1の2ページでございますけれども、この表は市町村国保の単年度の収支、医療給付 分を見たものでございます。  上の方が単年度の収入、下が単年度の支出、その下が収支差というふうになっておりますが、 平成20年度の収支を見ていただきますと、これは概算分でありまして、今後、確定精算する必要 がありますが、収支差は19年度の▲581億円から20年度はプラス456億円というふうになってお ります。この数字の変化につきましては、20年度の医療保険制度改正の影響があったというふう に考えられます。  ただし、この数値は各市町村が赤字補てんのために法定外の一般会計繰入を行った結果でござ いまして、それはその下の方の四角にあります「赤字補填のための一般会計繰入金(B)」という ところでございますけれども、平成20年度に約2,600億円の繰り入れがあります。この繰り入れ を除きますと、その下にありますように、▲2,129億円ということで、約2,100億円の赤字という ことになるわけでございます。  次の3ページをごらんいただきたいと思います。3ページの表は、市町村国保の一般会計繰入 金(法定外)の内訳を見たものでございます。  この内訳につきましては、上の方が赤字補てんの目的、下の方がそれ以外の目的というふうに 分けられておりますけれども、19年度で3,800億円、20年度も3,700億円が法定外繰入れであり、 そのうち、赤字補てんの目的として繰り入れられておりますものが、19年度、20年度とも2,600 億円ということになっているわけでございます。  4ページは、市町村国保の保険料の収納率の推移でございます。  昭和48年以降、収納率は低下傾向にございますが、平成20年度のところをごらんいただきま すと、平成19年度の90.49から88.37へと、2.12%低下をしております。この要因としましては、 まず20年度の制度改正によりまして、収納率が高い後期高齢者が国民健康保険から抜けたことが 考えられます。そのほか、景気の悪化とか、市町村の保険料の引き上げの影響なども考えられる ところでございます。  次に、5ページは市町村国保の保険料の滞納世帯数等の推移でございます。  滞納世帯数は年々増加しておりまして、平成20年は453万世帯となっております。世帯全体に 占める滞納世帯の割合も増加しておりまして、平成20年は20.9%。それから、滞納世帯に交付さ れます短期被保険者証、1年以上の滞納世帯に交付されます資格証明書についても年々増加する 傾向が見られるところでございます。  6ページは、市町村国保の所得階級別の保険料調定額等の変化を見たものでございます。  縦軸は保険料の総額、横軸は所得階級というふうに見ていただければと思いますが、平成10年 に比べまして平成19年におきましては、特に300万円未満の世帯が国保の中で大きく増加してい る。これに伴いまして、それらの層が支払う保険料の総額が大きく増加している。一方におきま して、このグラフの左の少し灰色かかった部分でございますけれども、ここは保険料の軽減が行 われているところでございます。国保の中におきましては、低所得者対策として保険料の軽減制 度があり、これによる軽減が行われている分でありますが、ここの部分も大きくなっているとい うことでございます。  他方、グラフの右側の黒い部分でございますが、保険料の賦課に当たりましては賦課上限が定 められておりまして、それを超えて賦課することはできませんが、賦課限度を超える算定額は、 依然として一定の割合を占めている。つまり、国保の中には高所得者が一定の割合を占めている 一方、低所得者が大きく増加してきている。そういう状況が見て取れるわけでございます。  最後に、7ページは医療保険の被保険者数等の対前年同月比を示したグラフで、真ん中に「国 民健康保険70歳未満」という太くて黒い折れ線グラフがございますが、この70歳未満は近年減 少傾向にあったわけでありますが、20年度以降、その傾向が反転をしてきております。  他方、その右の方で、太くて黒い点線部分でございますが、被用者保険の70歳未満につきまし ては21年度には減少している。これらの詳しい分析はできておりませんけれども、雇用情勢の悪 化により失業者が国保に流れ込んできていることが推測されるわけでございます。  こういった状況を踏まえまして、資料1にお戻りいただきまして、国保の見直し案について説 明させていただきたいと思います。また資料1をごらんいただきたいと思います。  資料1の2ページ目でございますが、まず「1.国保財政基盤強化策等(暫定措置)の取扱い」 でございます。  平成18年度から行われております、この四角の中の(参考)にありますような国保財政基盤強 化策につきましては、今、申し上げましたように、市町村国保の財政は依然として厳しいこと、 それから、今後検討されます新たな高齢者医療制度の影響を見極める必要があるということにか んがみまして、引き続き、暫定措置として延長することが必要ではないかと考えているわけでご ざいます。  この中身につきましては、3ページをごらんいただきたいと思います。3ページの図でござい ますが、これは平成17年末に前政権における厚労、財務、総務の三大臣合意によります財政基盤 強化策の暫定措置の内容でございます。具体的には、右の図の白抜きの太文字で示した部分が三 大臣合意による措置でございます。  一番上の財政安定化支援事業は総務省の措置でございますけれども、市町村に対して1,000億円 程度の地方財政措置を講ずるというものでございます。  その下の高額医療費共同事業と保険財政共同安定化事業につきましては、それぞれ高額のレセ プトの再保険事業というふうに理解していただければよろしいかと思いますが、高額医療費共同 事業については、レセプト1件当たり80万円以上の部分、保険財政共同安定化事業につきまして は、1件当たり30万円以上の部分について市町村が拠出金を出して、それに公費も入れて、都道 府県単位で再保険を行うという事業でございます。  それから、その下の保険者支援分でございます。これにつきましては低・中所得者対策として 行われているもので、低所得者数に着目して、それに応じて公費を投入するという措置でござい ます。市町村、都道府県、国から730億円が投入されているということでございます。  それでは、次の4ページでございます。2番目の見直しの柱は、市町村国保の運営の広域化・ 地方分権の推進に関するものでございます。  国保制度の現在の仕組みにつきまして、都道府県は、国保事業の運営が健全に行われるよう市 町村を指導する、あるいは広域化等支援基金や都道府県調整交付金の配分を通じて、保険運営の 広域化に一定の役割を果たしているということでございます。  平成18年に医療制度改革が行われましたが、市町村国保におきましては、保険財政の広域化の 観点から、先ほど紹介しました都道府県単位の再保険事業(保険財政共同安定化事業)を創設し ております。  また、民主党マニフェストにおきましては「被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将 来、地域保険として一元的運用を図る」とされているところでございます。  更に地方分権改革の観点からは、本年10月に地方分権改革推進委員会の第3次勧告として、市 町村が保険料率の変更や任意給付の創設をする場合などにおける都道府県知事への事前協議義務 を廃止すべきである、それから、医療費が著しく高額であるとして厚労大臣の指定を受けた市町 村が運営安定化計画をつくらなければならないという義務があるわけでありますが、これにつき ましても廃止等の見直しを行うべきであるという勧告がなされております。  一方におきまして、平成20年6月でございますが、地方分権改革推進要綱におきまして「国民 健康保険の運営に関し、保険財政の安定化や保険料の平準化の観点から、都道府県の権限と責任 の強化とともに、都道府県単位による広域化の推進等について検討し、平成21年度中に結論を得 る」とされているところでございます  5ページで、こういった議論の積み重ねを踏まえまして、今回の見直しにおきましては、まず 地方分権改革推進委員会からの指摘につきましては、勧告に従って廃止する一方で、民主党のマ ニフェストでは地域保険としての一元的運用が打ち出されているため、その方向性や地方分権改 革推進要綱での都道府県の役割の強化といった趣旨を踏まえて、新たに都道府県の判断により、 以下のことを実施できることとしてはどうかというふうに考えているところでございます。  (1)ですが、保険財政の都道府県単位化に向けて、先ほど説明しました再保険事業であります保 険財政共同安定化事業の拡大。つまり、レセプト1件当たり30万円以上を対象にしているわけで ございますけれども、例えばこれを20万円以上にするといったことを、都道府県が市町村の意見 を聞きながら都道府県の判断でできるようにしてはどうかということでございます。  (2)で、市町村国保運営の都道府県単位化に向けた「広域化等支援方針(仮称)」を策定するとい うことにしてはどうか。このイメージでございますけれども、真ん中の☆のところでございます。 都道府県が、市町村国保の都道府県単位化による広域化に向けた3〜5年程度の支援方針を策定 する。内容としましては、事業運営の広域化、財政運営の広域化、都道府県内の収納率等の標準 を設定するといったことが考えられるわけでございます。  (3)で、こういった方針を踏まえながら、特に事業運営上問題がある、改善の必要が認められる 市町村に対しては「国保運営改善計画(仮称)」の策定を求めることができるようにしてはどうか ということでございます。このイメージは一番下でございますけれども、収納率が極めて低いと か、大きな赤字を抱えている。そういった問題を抱えている市町村に対して、計画の策定を求め ることができるということにしてはどうかということでございます。  上の四角の※のところでございますけれども、今回の国保の見直しにつきましては、国保の都 道府県単位化を進めるための環境整備というふうに考えておりまして、マニフェストに掲げられ ました「地域保険としての一元的運用」の在り方につきましては、今後、高齢者医療制度の見直 しが行われることに併せまして、引き続き議論を行う必要があるというふうに考えているところ でございます。  最後の6ページで、3つ目の柱でございます。「3.市町村国保の保険料(税)のあり方」でご ざいます。  まず「(1)市町村の実情に応じた保険料(税)の設定」で、この図を見ていただきたいと思い ます。縦軸は保険料額、横軸が所得でございます。所得水準に応じて保険料額が上がっていくと いうのが基本構図で、低所得者の部分につきましては、7割軽減、5割軽減、2割軽減といった 制度がございます。所得水準が高い方につきましては、保険料に賦課上限というものがございま して、現在は上限が59万円でございます。したがいまして、所得水準が幾ら高くても、これ以上 の保険料は取れないという仕組みになっているわけでありますが、ここにつきまして、市町村の 判断によって高所得者にもう少し保険料を負担していただくことができるようにしてはどうかと いうことで、上限額を59万円から63万円に引き上げるということを考えております。  また、保険料を減額賦課する。つまり、先ほど申し上げました7割軽減、5割軽減、2割軽減 にする際に、応益割合にかかわらず、これを可能にするということでございます。  これは、右の四角の表がございます。この表の見方でございますけれども、応益割合が35%未 満とか35〜45%と書いてあるわけでございますが、応益割合が45〜55%のときだけ、市町村は7 割軽減、5割軽減、2割軽減を行うことができる。それ以外の部分につきましては、6割軽減、 4割軽減、あるいは5割軽減、3割軽減しか取ってはならないというふうになっております。  この仕組みは、国が従来から応益割合は50%が標準であるというようにしてきたこととの関連 で、45〜55%の場合のみ7割軽減、5割軽減、2割軽減を認めてきた。他の場合は6割軽減、4 割軽減しかだめだ。ただ、市町村の実情に応じて設定できますように、この要件を撤廃して、応 益割合がいずれであっても、7割軽減、5割軽減、2割軽減を実施できるようにしたらどうかと 考えているわけでございます。  最後に「(2)非自発的失業者の保険料(税)の軽減」でございます。先ほど失業者が国保に流 れ込んでいるのではないかというふうに申し上げたわけでありますけれども、国保におきまして は保険料の算定に当たりまして、前年の給与所得に基づきまして算定されるということでござい まして、現時点で所得がない失業者にとっては保険料負担が過重となっているという指摘がござ います。このため、この負担を軽減する観点から、非自発的失業者の保険料につきましては、お おむね在職中の水準に維持されるよう、つまり、被用者保険に加入していたときの保険料の本人 負担分以下の水準になるように、前年の給与所得を100分の30として算定するという特例措置を 創設したいというふうに考えております。  この保険料の設定の在り方につきましては、国民健康保険料だけでなく、国民健康保険税にも 関係ありますので、地方税法等の改正を行うということにしているわけでございます。  国保の見直しにつきましては、以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして御質問・御 意見等がございましたらば、お願いをいたします。どなたからでも結構でございます。  どうぞ。 ○猪塚参考人 本日は岡崎高知市長が市議会のために東京に来られませんので、私、参考人でト ップバッターということで大変恐縮でございますが、全国市長会事務局の担当部長でございます 猪塚と申します。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。  本日、この議題そのものであるというふうに考えられますので、参考資料2としてお手元に「医 療制度改革及び医師等確保対策に関する決議」というものを配らせていただいております。これ をご覧いただきたいと思います。これは去る11月20日に全国市長会の理事・評議員合同会議が 開催されまして、そこで機関決定をされたものでございます。  特に、総論部分の後に「記」というものが真ん中にございますが「1.医療保険制度について」 の(1)でございます。5行目のところに「また」とございますので、これがポイントでござい ますので、御紹介させていただきたいと思います。  「また、後期高齢者医療制度を廃止して新たに創設する医療保険制度については、全ての国民 を対象とする医療保険制度の一本化に向けて」。これは中長期的な課題でございます。「国または 都道府県を保険者とする国民健康保険制度の再編・統合などを早急に検討すること」。これは平成 25年4月スタートを念頭に置いてのものでございまして、従来は「国を保険者とする」という言 い方で統一しておりましたが、今年の7月ぐらいからずっと、各都道府県での市長会議や各支部 の市長会議の議論を踏まえて、国という支部と都道府県という支部に分かれましたので「国また は都道府県を保険者とする」という表現に変わっております。本日から早速検討に入っていただ けるということで、厚労省の事務局の皆さんには敬意を表するところでございます。  それから(2)でございますが、先ほど伊藤課長の方から御説明がございました、平成21年度 末までの事業である3つの事業については引き続き継続をしていただき、更に財政措置を講じて いただくということでお願いをしたいというものでございます。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  厚労省の事務局の方で何かございますか。 ○伊藤課長 今の猪塚参考人の御意見でございますけれども、国保を広域化した場合の保険者を どうするか。国なのか、都道府県なのか。あるいは高齢者医療制度改革会議の中では都道府県単 位というふうな表現を使っておりますけれども、都道府県なのか。更には、都道府県単位で設立 された広域連合か。いろんな議論があるかと思いますので、これにつきましては市長会の御意見 も踏まえて、また、ほかの関係者の意見も踏まえて、高齢者医療制度改革会議あるいはこの部会 で検討されるものというふうに承知しております。  それから、三大臣合意につきましては先ほど御説明したとおりでございますけれども、国保財 政の厳しい状況、それから、今後、高齢者医療制度改革が行われるという状況を踏まえまして、 当面、今の暫定措置を延長したいというふうに考えているところでございます。 ○糠谷部会長 それでは、ほかの方でいかがでしょうか。  どうぞ。 ○岩田参考人 失礼いたします。今日は神田委員の参考人で来ました岩田と申します。私からは、 全国知事会としてまだ意見が集約中でございますので、すべての項目については結論が出ている わけではございませんが、要約できていない部分につきましては愛知県の意見として御発言をさ せていただきたいというふうに考えています。  まず、資料1の4ページから5ページにかけての「2.市町村国保の運営の広域化・地方分権 の推進」についてでございますが、全国知事会といたしましては、市町村国保の都道府県広域化 を図っても、国保運営の根本的な問題でございます脆弱な財政構造を解決されるものではなく、 こういった問題を解決した上で、医療保険制度全般を視野に入れた枠組みを検討すべきというふ うに考えております。  そこで、ここからは愛知県の意見でございますが、5ページの上段の囲みの中にございます(2) の「広域化等支援方針(仮称)」の策定、(3)の「国保運営改善計画(仮称)」についてでございま す。  4ページの中段にございます地方分権改革の第3次勧告にございますように、都道府県知事へ の事前協議義務や、あるいは運営安定化計画の策定義務の廃止等につきましては、都道府県の関 与を弱め市町村の自主性を尊重するもので、地方分権の趣旨から理解できるものでございますが、 広域化等支援方針の策定などにつきましては、都道府県の関与を強めるもので、地方分権の考え 方に逆行するものと考えます。  また、後期高齢者医療制度の廃止に伴う後継制度につきまして、厚生労働省では有識者等によ ります高齢者医療制度改革会議を設置して検討が進められておりますが、この会議におきまして 市町村国保の広域化につながる見直しについても検討されることとなっております。このため、 今回提示されました「広域化等支援方針(仮称)」及び「国保運営改善計画(仮称)」の策定につ いては、この会議の検討状況を見定めた上で検討すべきものと考えます。  続きまして、6ページ下段の「(2)非自発的失業者の保険料(税)の軽減」についてでござい ます。これにつきましては、参考資料1の16ページ、17ページに具体的な軽減措置の案が記載さ れております。これを拝見させていただきますと、16ページの中段にありますように、軽減によ ります保険料の減収に対して、保険基盤安定制度と特別調整交付金で補てんすることとなってお ります。  この改正案の趣旨につきましては、失業を余儀なくされた者への対策として意義あるものと理 解できるものでございますが、非自発的失業者の負担軽減は国保制度固有の問題ではございませ んで、失業者対策という国の政策から実施するもので、その負担を都道府県あるいは市町村に負 わすものではないと考えます。このため、本来の保険料と、この措置による軽減後の保険料の差 額については、保険基盤安定制度や特別調整交付金の対応ではなく、別に国費で全額補てんする ことを考えていただきたいと思います。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  何か厚労省からありますか。 ○伊藤課長 まず、地方分権とか広域化の関係でございます。国保財政の脆弱さを解消した上で 広域化を検討すべきというのはまさにそのとおりでございまして、国保財政運営が健全にできま すよう、我々としては今回の暫定措置の延長についても考えているところでございますけれども、 地方分権改革との関係でございます。  先ほどの資料の4ページでございますけれども、地方分権改革推進委員会の第3次勧告は、確 かにおっしゃるように、都道府県知事への事前協議の義務を廃止するといったことが書かれてあ ります。一方におきまして、地方分権改革推進要綱でございますけれども、これにつきましては 都道府県の権限と責任の強化、それから、都道府県単位による広域化の推進ということが書かれ ているわけでございます。  基本的には、国保運営に関しましては地方分権改革推進要綱にのっとってやる必要があるとい うふうに我々は理解しております。その上で、現行制度について余り意味があると思われない都 道府県の関与、あるいは市町村への義務づけ・枠づけについては廃止しようというのが地方分権 改革推進委員会の勧告ではないかというふうな理解でございまして、今回お示ししました広域化 の支援方針につきましては、この地方分権改革推進要綱における都道府県の権限と責任の強化と いった基本的な考え方に沿ってお示ししたものというふうに御理解いただければと思っておりま す。  それから、高齢者医療制度改革会議で広域化についても議論をするということでございますけ れども、これは先ほど申し上げましたように、高齢者医療制度改革会議におきましては、高齢者 医療制度を廃止して新たな制度を検討するわけでございますけれども、その際に、国保の広域化 についても検討しようということになっているわけであります。  ただ、高齢者医療制度改革がなされるのは平成25年度の見込みでございますので、それまで何 もしなくていいのかということでございます。基本的には、国保の広域化に向けて環境整備をし なければならないだろうと考えており、この広域化等支援方針については、そのための有効な道 具になるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、非自発的失業者の問題につきましては、御趣旨は御理解いただいているということ で、大変ありがたいことだと考えておりますけれども、財源のお話につきましてはいろんな考え 方があろうかと思います。全額国庫補助でなければならないのか、あるいは国保の中に既に保険 基盤安定制度というものがございまして、この中には都道府県・市町村の負担も入っているわけ でございます。  一方で、新しい補助制度をつくりますと、先ほどの本体の資料の3ページで見ていただきまし たように、ただでさえ国民健康保険制度はいろんな補助金が入っておりまして、非常に複雑な体 系で、一般の国民にはなかなか理解できないような形になっておりますから、更に新しい補助制 度を設けるということになりますと、ますます複雑化するということもございますので、基本的 には現在存在している保険基盤安定制度、低所得者対策の枠組みの中でやったらどうか。  それから、特別調整交付金につきましても、現在、自治体が条例で失業者のために保険料を減 免した場合には、それを国の特別調整交付金で補てんするという制度がございますから、基本的 に現行の仕組みを組み合わせてこういった案を考えたわけでございまして、国保制度をより複雑 化しないとか、あるいは失業者対策について、国保を運営している自治体としても一定の役割が あるだろうという観点から今回の案を考えたということでございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、どうぞ。 ○柴田委員 前回、平成19年度の国保の財政収支を前提に、この暫定措置の継続を是非お願いし たいということを申し上げました。それで、結論は一緒であります。  20年度の財政収支を見ますと、先ほど伊藤課長からもお話がありましたように、他年度の収支 を見ると456億円のプラスということですから、一見、好転したかに見えるわけでありますけれ ども、一般会計繰入は相変わらず2,585億円入れているということもありますので、その赤字体質 が解消したのかどうかということについては、これはまだまだ厳しい状況が続いていると見る方 がいいのではないかというふうに思っております。  何でこんなに20年度は改善したのかというのは、先ほどお話がありました。高齢者医療制度の 実施などの制度間のやりとり、お金のやりとりというものがきいているのではないかというお話 がありました。そういう点では明るい要素と言えなくもないというふうに思いますけれども、こ れは初年度でありますから様子を見なければいけないと思っています。  それから、この後期高齢者医療制度を見直しするというふうに言っておりますので、その見直 しによって、また国保への財政影響というものはいろいろ出てくるわけでありますから、見直し の基本的考え方として、市町村国保への負担増に十分配慮するというふうに言っていただいてい ますので、是非、そういうことでお願いをしたいと思っています。  相変わらず経済が悪くて、非自発的な失業者が増えているということでもありますし、それか ら、先ほどのお話にもありましたように、保険料の収納率もよくないということであります。そ ういう中でありますから、是非、この暫定措置の継続ということについては、お願いをしたいと 思います。これがなければ、市町村の一般会計繰入が増える。あるいは保険料をまた更に引き上 げなければいけないという話になるわけでありますので、是非、継続をお願いしたいということ でございます。  以上です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかの方、どなたでも結構です。  それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 国保の全体的な、構造的な厳しさでありますとか、財政的な厳しさについては私ど もも理解できるところがあるんですけれども、今日の資料で、これからの議論などでも被用者保 険、われわれ健保協会、共済、それから、協会けんぽといったところが俎上に上るんですけれど も、市町村国保の陰に隠れてあまり出てこないんですが、つい先日も報道されましたし、あと、 私も前の医療保険部会、2年ぐらい前ですけれども、そこでも申し上げたんですが、国保組合と いうものがございまして、これはゼネコンさんのサラリーマンの方とか、お医者さん、医療関係 者、それから、弁護士さんといった方も入っておられるんですけれども、たしか三百数十万人に 対しまして3,300億円ぐらいの国費が投入されているということだろうと思うんです。  ですから、そういった本当の現役のサラリーマンとか、医師とか、弁護士さんといったところ に対しまして、市町村国保と同様に3,300億円の国費が投入されている。その辺りについては、や はりきちんと議論の俎上に上らせて、公平性とか納得性とか、その辺りを議論すべきではないか と思いますので、次回、もし医療保険部会を開催するということであれば、その辺りも含めて資 料なりを出していただければと思います。 ○糠谷部会長 それでは、事務局からどうぞ。 ○伊藤課長 国保組合でございますけれども、国保組合に対する補助は定率負担が32%ございま すけれども、その上にそれぞれの国保組合の財政力に応じて調整交付金が交付されておりまして、 所得が高い医師とか弁護士の国保につきましては市町村国保並みの補助はなされていないという ことでございます。  ただ、今、御要望がございましたので、次回、資料を提出させていただきたいと思っておりま す。 ○糠谷部会長 それでは、今の問題はそのようにしていただければと思います。  ほかに、御質問・御意見はいかがでございますか。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員 私は町村会ですが、これをどうするかということは町村会ではまだ協議をしており ませんので、今日は町村会としての意見を申し上げることはできませんが、財政問題は国保が一 番厳しいということだけはおわかりだと思います。これをどう改善していくかということは当然 考えられるべきことです。  今の制度では各市町村が保険者になっているから問題が多いので、この国保は一本化した方が かえっていいのではないでしょうか。そういう意見が出されていいと思いますが、できれば私は 市町村がばらばらに保険者になるよりも、もう一本化してやった方がいい。国が言い出したこと ですから、国が責任者になったらいかがでしょうか。国がやりさえすれば安泰です。財源が不足 しても、国ならすぐに右から左へ補完することができますから、そういう考えを是非ひとつまと めてください。  私どもももう一回、町村会で十分協議をした上で、こうあるべきだということについてまとめ て文書なりで提出をいたします。とにかく一本化するためには国が責任を持つべきであるという のは間違いのないことです。今日はそれだけ申し上げておきますので、覚えておいていただきま すようお願いいたします。   ○糠谷部会長 大変大きな問題提起かもしれませんが、記憶にとどめてというのは当然だと思い ますけれども、この時点で何かというのはございますか。 ○伊藤課長 今すぐにお答えできる話ではございませんけれども、今後、後期高齢者医療制度の 見直しに併せて、国保の広域化の在り方についても議論していくことになると思いますので、関 係団体の意見は十分踏まえて検討させていただきたいと思います。 ○糠谷部会長 それでは、そのほかの方で御意見・御質問等はございますか。  どうぞ。 ○齊藤委員 山本委員の方からもおっしゃられたように、国保については引き続き暫定措置の延 長が必要ではないかと経団連も考えております。これから高齢者医療制度が検討される中で、保 険料の徴収率もどんどん落ちてきていますので、前々から言っておりますように、IT化とか、 背番号制とか、そういうものも併せて考えていただけたらと思いますので、よろしくお願いいた します。 ○糠谷部会長 わかりました。  ほかに、御質問・御意見はいかがでしょうか。どなたでも結構でございます。  特段、よろしゅうございますか。  議題としては、次の問題も大変大きな問題でございますので、もし特にございませんようでし たらば、次に移りたいと思います。  そういうことで、本議題につきましては、今日のところはこれまでとさせていただきます。今 後、厚労省におきまして、関係者との調整や予算編成過程において検討を行っていただき、その 結果を後日、この部会または委員の皆様方にそれぞれ御報告をいただければと思います。  それでは、次に「協会けんぽの財政問題への対応策について」を議題といたします。協会けん ぽの財政問題については、前々回の部会において御議論をいただきましたが、本日は、対応策に ついての資料が提出されておりますので、御議論いただきたいと思います。事務局より資料の説 明をお願いいたします。  どうぞ。 ○吉田課長 保険課長でございます。  本議題に関します資料といたしまして、お手元の横紙、右肩に「資料2」と書かせていただい ております資料と、後ろの方に入ってございます参考資料3、表題に「参考資料(協会けんぽの 財政問題関係)」と書かせていただいております資料。そして、その後に参考資料4として「制度 改正検討要望について」。これは小林委員の方から、協会けんぽにおける御議論の状況ということ で提出いただいている資料でございますが、この3つの資料の固まりが本議題に関するものとい うことで、お手元を御確認いただければと思います。その3つで、特に前の2つを少し行き来し ながら御説明することをお許しいただければと思います。  部会長の方からございましたように、まず参考資料3、この後、資料編と言わせていただきま すが、資料編の方の5ページ目をごらんいただければと思います。  前回、小林委員から御提出がありました「協会けんぽにおける来年度保険料率の見直しの修正 について」ということでございまして、現下の経済状況の中で加入者の方々の所得が大きく落ち 込んでいる一方で、新型インフルエンザをはじめとする給付についての上昇という中、非常に厳 しい財政運営が続き、来年もその見通しになっている。具体的には来年度、現在の国庫補助を前 提にいたしますと、保険料率が8.2%から9.9%、実額で申しますと、これは労使折半の負担でご ざいますけれども、労使それぞれが年間3万2,000円ずつ、合わせて労使で6万4,000円の御負担 増をお願いしなければならない形になっているという財政状況でございます。  なお併せて、その資料の7ページ目には、先回、対馬委員の方から御提出がありました、健康 保険組合の関係の財政状況についての資料も本日改めて配付させていただいております。健康保 険組合につきましても同じように、被用者保険ということで報酬の伸び悩み、場合によっては引 き下げということで、非常に厳しい財政運営になっているというのがまず現在の状況かと思いま す。  このような中、資料2、これからは本編と呼ばせていただきますが、そちらの方に沿って、本 日、私どもとして案としてお示ししてありますものについての御説明を続けさせていただきます。  資料2にございますように、このような状況の中、私どもとして、現在においては、これまで の私どもなりの検討、またはここでの御議論を踏まえまして、それと同時に、報道等にございま すように、現下、国の財政も同じように非常に厳しい状況に陥っております。当初税収見込みで 46兆円と言われておりましたものが、報道のレベルではございますけれども、38兆円に届かない とか、あるいは37兆円前後とか、いろいろな関係者の方々の御発言がありますが、極めて厳しい 国庫の状況というものを念頭に置いて、この協会けんぽの財政問題にどのように対応するかにつ いて、私どもとしての案を3点ほど掲げさせていただいております。  1点目は国庫補助率の引き上げということでございまして、これはこの会議でも御報告申し上 げましたように、定率の補助になっておりますけれども、現在、平成4年以降「当分の間13%」 ということになっておりまして、法律の本則の16.4%〜20%、あるいはこの平成4年直前までの 16.4%に比べて暫定的に引き下がっております。これを私どもとしては引き上げることが大事で はないかということで、概算要求において現在事項要求中でございます。  ただ、率直に申しまして、この間、財政当局ともいろいろなレベルで折衝をしておりますが、 先ほど申しましたような非常に厳しい国家財政。また、あえて申し上げれば、鳩山内閣の下でマ ニフェストに基づく予算編成というものが進められる中で、本事項についてはマニフェスト上の 位置づけというものは現在行われておりませんので、そういうものの中で、この補助率を引き上 げるための所要財源をどのように捻出するかということを、私どもは大変厳しい状況の中で、今、 年末の予算編成に向けて調整をしているという状況でございます。  2つ目の対応策の案といたしましては、単年度の財政収支の仕組みを特例的にできないかとい うことでございます。  現在の協会けんぽにつきましては、毎事業年度の財政均衡を前提とする保険料設定ということ が法律上の要件となってございます。しかしながら、先ほど、あるいは前回から御報告申し上げ ておりますように、足元の21年度における借金が22年度に4,500億円程度繰り越される形になり ますので、その償還を行いながら、現年度の給付を賄うための保険料を確保しようということに なりますと、極めて大幅な料率、先ほど申しました機械的な計算では9.9%という数字が出てまい ります。  それをいかに緩和するかということで、均衡要件の例外を現下の状況における特例として組み 込み、併せて財政規律ということも一方で非常に重要な保険制度としての原則だと思われますの で、中期的な健全化の枠組みというものを仕組みでできないか。これにより、少なくとも22年度 の引き上げ幅の緩和が図れないかというのが提案の2つ目でございます。  3つ目の提案につきましては、被用者保険内の費用負担の在り方について見直せないだろうか ということを、私どもとしては案として考えてございます。  具体的には、その次のページでございます。「別紙」と書いてございますが、現在、被用者保険 内で御負担いただいております後期高齢者制度に対する支援金について、現行の加入者割、頭割 りから総報酬割、応能割りに変えられないかという私どもの案の骨子でございます。  【1.趣旨】と書いてございますように、今の仕組みは国民健康保険、そして、被用者保険の 共通のルールといたしまして、後期高齢者制度については加入者数に応じてそれぞれ御負担をい ただくという仕組みになっております。  一方で、2つ目の○にございますように、被用者保険内、各保険者の財政力にそれぞればらつ きがございますので、結果的に財政力が弱い保険者の方々に相対的に重い御負担をお願いしてい るという現行の仕組みでございます。  このため、この提案といたしましては、できる限り、実質的な負担能力に応じた費用の御負担 をお願いするということから、ここの部分について総報酬割という仕組みに変更できないかとい うことを考えております。  なお、国民健康保険と被用者保険の間につきましては、やはり従来から御指摘いただいており ますように、所得捕捉の問題などなどがございますので、そこについては加入者割という原則で、 一義的には加入者割で負担配分をした後に、被用者保険内においては総報酬割を導入するという 提案でございます。  具体的に、3ページ目に進ませていただきます。何が起こるかというイメージと具体的なケー スで御確認をいただければと思います。  3ページ目の図、このグラフは縦軸に所要保険料、それぞれの保険者の方々が自らに課された 支援金を御負担いただくために必要な保険料が縦軸。横軸は、ここは被保険者ではなく、家族の 方も含めたパーヘッドになった形の加入者お一人当たりの報酬額が横軸になっております。現行 の仕組みは現実に比較的報酬の一番低い方々であります150万円ぐらいの方々が3.2%、この支援 金のために必要になり、650万円という高い方はそれが0.7%まで下がっている。これを総報酬割 にするということは、この比率を各保険者間で共通にするということでございますので、この右 肩下がりのグラフがフラットになるということを、この提案では行おうとしております。  具体的には、その下のところに21年度の賦課ベースで、これは現実にございます健保組合さん を名前だけ匿名化させていただいて御紹介をさせていただきます。A健保さんとB健保さんで、 お互い加入者数がなるべく近寄ったところを選ばせていただきました。  加入者数は近寄っておりますが、加入者お一人当たりの報酬額が、A健保さんは540万円、B 健保さんが156万円というのが現実の姿で、今の制度においては加入者割において、それぞれ加 入者お一人当たりの単価を固定した形で御負担いただいておりますので、A健保さんは9,000万円、 B健保さんは1億円、少し丸い数字になっておりますが、その御負担をいただいております。  これは、実際に総報酬で割ったところの所要保険料という意味では、比較的報酬の高いA健保 さんにとっては0.9%の重みであり、B健保さんにとっては3.1%の重み。報酬に対する重みとい う意味では、これだけの差があるというのが姿でございます。これが今回提案させていただいて おります総報酬割になるとどうなるかといえば、全体の所要保険料率1.8%という数字を軸に計算 がされますので、A健保さんについては1億8,100万円、B健保さんには5,900万円という形で負 担額に変更が生ずる。その代わり、そのために必要な保険料率というところが1.8%でそろうとい うような形の仕組みにできないだろうかというのが私どもの提案でございます。  戻っていただきまして、2ページ目でございますが、このようなことを被用者保険内全体で行 った場合に、今回問題になっております協会けんぽにどのような影響が出るかというのをまとめ たものが2ページ目の後半でございます。  結果は、そこに欄がございますが、大きく3つのグループ、協会けんぽ、健保組合は1,500弱を まとめた一つの集団、そして、共済組合というものを下に書いてございます。  現在、この表の一番右のところ「被用者保険 計」に3兆5,800億円という数字がございます。 これは支援金として必要な額を国保のグループとシェアした上で、被用者保険グループ全体で3 兆5,800億円を御負担いただく。これが前提で、上の現在の仕組みで加入者割にしますと、協会け んぽが1兆6,700億円余、健保組合が1兆4,600億円余、共済組合が4,400億円と、1人当たり単 価を加入者数にかけた形での御負担になっております。  そのものが、その下にございます総報酬割にいたしますと、それぞれそこに書いてございます ような負担額に変更がなされ、結果、現行の加入者割と、変更後の総報酬割の間で、全体として の負担額につきましては、協会けんぽが2,500億円の負担軽減、健保組合におかれては1,400億円 の負担増、共済組合については1,000億円の負担増という形の負担の移行が行われる。このいずれ の数字につきましても、右肩に書いてございます22年度の概算要求に基づいております係数をベ ースにしておりますので、実際に実施するに当たりましては、その直近のデータを入れ込むこと による変更が起こり得るということは御理解いただければと思います。  このような提案を行いますと、その表の上のところに○が2つございますが、現在、協会けん ぽには、この支援金に相当する部分として2,700億円の国庫負担が、他の制度との間の所得の差を バランスさせるという趣旨から入ってございます。  少しここで言葉を足させていただきますと、前のページで、そもそも「国庫負担が13%になっ ているものを16.4%という本則に上げたい」という要求を並行して行っておりますということを 御説明申し上げましたが、今、協会けんぽに対する補助率というものは2段階になってございま して、基本的に65歳未満あるいは前期高齢者納付金という一番大きなボリュームのところにつ いては13%という、補助率が下げられた形の国庫補助。そして、今回、総報酬割に変えられない かという提案をさせていただいております支援金の相当部分については2,700億円の国庫補助が 入っているという、まず2つの仕組みになっております。そのうち、この総報酬割を入れること によりまして、支援金相当分の2,700億円はいわば被用者保険制度全体で支え合うという趣旨から、 国庫が廃止になるのが制度的な考え方かと思われます。  ただ、これだけでは全体としての国庫補助が最終的にほかの制度の方々の負担にということに なりますので、私どもとして、この提案では、そこで生み出されました2,700億円の国庫財源を、 この協会けんぽの現在の厳しい財政状況の中で、国庫補助を拡充する形で対応したいということ を考えております。  ページが少し行ったり来たりしますが、4ページ目をごらんいただければと思います。  このように、被用者保険間である程度の総報酬割という応能負担を導入させていただくことに より、それぞれ負担能力に応じた御負担をお願いできないかというアイデアは、実は具体的に案 にするには3つほど考えられるというふうに私どもとしてはこれまで検討してまいりました。そ こに書いてございますように、65歳未満医療費に対して総報酬割を導入するという仕組み、ある いは前期高齢者納付金に導入するという仕組み、そして、今回御提案させていただいております、 一番右ですが、支援金に導入する仕組み、それぞれございます。  細かいところは飛ばさせていただきますが、例えば65歳未満医療費に総報酬割を導入するとい う場合には、4行目にありますように、保険者間の財政力格差の解消ということには非常に効果 があるのではないかと思いますが、一方の留意点として、その下に2つ掲げさせていただいてお りますように、結果、保険者機能という、非常に医療保険の中で重視しなければいけない部分に ついて、ならされてしまうのではないか。保険者機能の発揮というものが最終的に活かされない のではないかという点。  あるいは民主党のマニフェストにおいて記載されております「将来的な医療保険制度の一元的 運用」という、このテーマに向けていろいろな御議論がこれからなされるべきだというふうに私 どもは思っておりますが、言わばそれを先取りすると申しましょうか、その中で大きな議論があ る中で、今回、仮に65歳未満に入れた場合には、それに対する影響というものを考えなければい けないのではないのかというのが、この若者の医療費に関する影響でございます。  また、前期の納付金に関して入れた場合には、留意点といたしまして、今、申し上げたような 自己医療費を基にすることから保険者機能に対する影響と同時に、高齢者医療制度の議論の中で 行われるべきではないかという議論も起こり得るのではないか。  そして、今回提案させていただいております支援金についての総報酬割についても、これは前々 回、御議論のときにも御発言があったかと思いますが、高齢者医療制度改革の中で取り扱うべき ではないかということには留意する必要があろうと思っております。  私どもとしましては、お手元の資料の5ページ目に続けて引用させていただいておりますが、 今般始まりました高齢者医療制度の廃止後に向けた議論と同時に、現行の制度において指摘され ている問題点には対応すべきではないかということで、舛添前厚生労働大臣下において議論され た際に、この支援金あるいは納付金の在り方について指摘されているということを掲げさせてい ただいておりまして、このようなことも考えた上で、私どもとしては今回の提案に至っていると いうところでございます。  お手元の本編の1ページ目に戻らせていただきます。以上3点申し上げたほかに、検討事項と して考えられるものを挙げてございます。  協会けんぽは、今年の10月からそれぞれの都道府県単位で保険料率を変化させております。地 域における医療費をある程度保険料率に反映させるという趣旨から行ったところでございますが、 当初におきましては激変緩和ということから5年間。その5年間の初年度は10分の1という形で 圧縮しておりますが、これをどう考えるか。  2つ目につきましては、現在、保険料につきましては協会けんぽ、健保組合共通のルールとし て保険料率の上限が10%という形に定められておりますが、先ほど来申しておりますように、非 常に全体としての保険料水準が上がってくる中で、この上限について見直さないと、ここの保険 者さんとしてみれば、料率が上げられない中で運用しなければならないということになるのでは ないかという問題点を認識しております。  ちなみに、資料編の方の11ページに現在の保険料率の上下限について書いてございます。時間 の関係で、また後ほどの御議論の中で御確認いただければというふうに思います。  本編の1本編の1ページ目に戻らせていただきますと【その他の検討事項】の3点目として「現 金給付の見直しについて」ということで、これは協会けんぽの中で運営委員会という場をもって、 いろいろと関係者の方々で御議論があったと承っております。その議論を私ども制度担当部局と しても踏まえた上で、改めて制度担当部局として判断すべきものを判断して、それが制度改正と いうものについてはまた御報告をしなければならないと思っております。  これにつきましても、お手元の資料編の最後の12ページでございますが、傷病手当金及び出産 手当金という、現在設けられております2つの現金給付につきましての概要を載せておりますの で、また後ほどごらんいただければと思います。  長くなりましたが、最後に1点。前々回、この議論をさせていただきましたときに、このよう な形での負担能力に応じた調整というものが、2年前のいわゆる肩代わり法案の再来ではないか という御趣旨の御発言がありましたので、お手元の本編の方の6ページ目に、その当時の、最終 的には廃案になりましたが、平成20年度における国庫補助の特例に関する法律案の概要というも のを載せさせていただいております。  最終的に、この法案は審議未了廃案ということになりましたので、この制度は実現に至ってお りませんが、この制度を政府として提案させていただいたときの基本的なスキームは、当時の政 管健保に対する国庫補助を時の2,200億円のシーリングという、当時は非常に厳然たる財政規律が ございましたが、それへの対応ということで、国庫補助を1,000億円削減する。その国庫補助を削 減した1,000億円を特例交付金という形で健保組合あるいは共済組合の方々に御負担をお願いす るという形での提案でございました。参考までに、このように載せさせていただいております。  長くなりましたが、資料と案については以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。わかりやすくというとなかなか難しい問題ですからあ れですけれども、明快に御説明をいただいたかと思います。  御質問・御意見等、どなたからでも、これはたくさんあると思いますので、それでは、どうぞ。 ○小林委員 協会けんぽの小林でございます。この問題の当事者でありますので、協会けんぽと して一言申し上げたいと思います。  私の方から前回御説明申し上げましたが、それから、ただいま御説明いただきましたけれども、 参考資料3の5ページにありますように、協会けんぽの財政は今年度、準備金も枯渇し、年度内 に4,500億円を借り入れせざるを得ないという、かつてない深刻な財政状況に直面しております。 このため、来年度の保険料率については、現行の制度のままでは、平成15年以来据え置いており ます8.2%という保険料率を9.9%という水準に一気に引き上げなければ財政が維持できないとい う状況に立ち至っております。  このような大変な財政状況を踏まえまして、協会としては平成4年以来暫定的に引き下げられ ております国庫補助率13%について、まずは、健康保険法本則上の補助率であります16.4%ない し20%に戻していただきたいということを厚生労働大臣にお願いしております。私どもとしては 何としても、この補助率引き上げの実現を図っていただきたいと強く念願しておりますが、今回、 この補助率引き上げ、これは本則に戻していただくということでありますけれども、参考資料3 の5ページにありますように、仮に国庫補助率を16.4%に戻していただいた場合でも9.7%、更に 20%に戻していただいたとしても9.4%という、極めて高い水準への引き上げが必要となる見込み であります。  足元の経済情勢の下で、被保険者の方々の賃金は低下しておりまして、中小企業の経営も非常 に厳しい中で、このような大幅な保険料率の引き上げを行うのは大変困難なことだと考えており ます。これだけの財政状況の中で、来年度においては保険料率の一定の引き上げ、これは私ども も加入者、事業主の皆さんにお願いせざるを得ないと思っておりますけれども、そのような中で もあらゆる方策を考えながら、できる限り、その引き上げ幅を圧縮したいと強く思っておるわけ であります。  本日、協会けんぽの財政問題への対応策として、国庫補助率の引き上げ、単年度の財政均衡の 特例・財政健全化計画、それから、被用者保険内の費用負担の在り方の見直しなどの項目が提案 されておりますけれども、協会としては、いずれの案につきましても関係者の皆様の御理解をい ただきながら御検討を進めていただきたいと切に思っております。よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○糠谷部会長 それでは、どうぞ。 ○齊藤委員 経団連の齊藤でございます。  今、協会けんぽの方から御説明がありましたけれども、協会けんぽのみならず、健康保険の方 の財政悪化というものは、もう皆さん御承知のように、保険料収入の4割を超える高齢者医療制 度への多額の拠出金と、経済悪化によります保険料収入の減少が招いたものでございます。そう いう中で、やはり一番は経済全体の浮揚を図りながらパイを拡大することに主眼を置くべきでは ないかというふうに考えます。  負担能力に応じて保険料を取るという提案のようでございますけれども、経済を牽引する層の 力をそぐような施策を取るのではなくて、経済状況を好転させ、保険料収入を増加させる方向を 目指すべきだというふうに考えております。  拠出金の負担につきましては、今後、ますます高齢化が進展する中で、当然、支え手が減少し てまいります。これは今後とも急速に拡大するということでございます。そういう中で、協会け んぽの財政問題を解消するために、その拠出金負担を、健康保険組合にそのツケを回すというの は単に一時しのぎであって、問題の本質の解決につながらないばかりか、同様に拠出金負担に苦 しむ健康保険組合の存在を危うくするものではないかというふうに考えます。  保険者の財政の健全化に向けた施策は、高齢者医療制度そのものの見直しとセットで議論され なければ意味がないというふうに考えます。後期高齢者医療制度の見直しに向けた検討の場が立 ち上がったところでございます。高齢者医療制度の改革の方向性を踏まえつつ議論する形として いただきたいというふうに切に願うものでございます。  失業率は過去最悪の水準で推移しておりますし、今日も各紙に出ておりましたけれども、来年 の春闘も賃金を上げるような状況ではない。むしろ賃金も低下する。こういう厳しい国民生活が 強いられる中で、当面の対応といたしましては、やはり国庫負担の引き上げで対応していただか ざるを得ないのではないかというふうに考えております。  以上です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 お願いが1つと、それから、質問が2つほどございます。  お願いは、昨日、今日と一部新聞でこの問題について報道されましたけれども、私ども健保組 合からさまざまなお問い合わせないしは意見をちょうだいしていまして、大変迷惑をこうむって いますので、恐らく大変苦労されながらやっているんだと思いますけれども、資料とか情報につ いては最大限の慎重な取扱いをお願いしたいというのが1点です。  それから、質問ですけれども、明快な説明と言われましたけれども、私どもはよくわかりかね るところが2つほどあります。  1つは本文の2ページ目のちょうど真ん中辺りですけれども【2.協会けんぽへの財政影響】 で○が2つあって、上の○は2,700億円ほど後期支援金のところに国庫補助を出している。これを 廃止の見込みというんですけれども、私どもから言わせると、これを引きはがす、なくすという ことだと思うんです。それを使って国庫補助を拡充すると言っているんですけれども、多分、こ こで拡充すると言っているのは、若人の方に付けますということを言っているんだと思うんです。  ということは、どうも説明を聞いていると、国庫補助率の引き上げでありますとか、国庫補助 を増やすというふうに見えるんですけれども、実態は全くそうではなくて、先ほど齊藤委員も言 われましたとおり、まさに、大変品の悪いたとえで申し訳ないんですけれども、他人のふんどし で相撲を取る。私ども健保組合、共済組合からお金をもらって、その分で引き上げて、それであ たかも若人の方に回して拡充しました。それは拡充ではないんだろうと思うんです。その質問が、 そういう認識でいいのかどうか。認識というのは別にふんどしがどうのということではなくて、 数字なり財政上の意味合いです。そこが1つです。  もう一点ですけれども、2週間前の説明では、あくまで選択肢の一つだ。材料を提供するんだ ということだったと思うんです。その後、確かに協会けんぽの財政状況が大変厳しくなったとい うことはあるのかもしれませんけれども、ただ、それは私どもの方も、最近の状況からすると、 更に保険料収入が1,500億円ぐらい減るんだということを申し上げたつもりですし、また、ここ2 回ほどの議論の中では、2年前の議論というものは蒸し返すべきではないという意見もありまし たし、また、高齢者医療制度改革会議でセットで議論すべきではないかという意見も随分あった と思うんです。それが2週間も経たないうちに、急に厚生労働省の提案でございますといった形 で唐突に提案された理由が私には理解できないので、そこをお願いしたいと思います。 ○糠谷部会長 それでは、厚労省の方から説明をしてください。 ○吉田課長 資料の管理につきましては、引き続き私ども事務局としても十分、意を用いて、御 迷惑のかからないようにさせていただきたいと思います。  御質問がありました2点につきましてのうち、1点目で、お金の動きという意味では、言葉は 別にいたしまして、今、対馬委員がおっしゃったような形で、後期の部分における総報酬割を導 入させていただき、そこの2,700億円を財源として、若人の国庫補助についての拡充を図りたいと いう構図は、この資料にも書かせていただいておりますし、今、御指摘のとおりであると思いま す。  2点目の、2週間前と何が変わったのかという御質問でございました。勿論、私どもとしては、 この協会けんぽの問題は厳しいことということで、2週間前、前々回もお諮りしたところではご ざいますが、年末までの予算編成という中で、やはり9.9%、年間6万4,000円という引き上げに ついて、何らかの形で国庫負担を拡充する形での、国庫負担率の引き上げができる形での財源を 確保して手当てをしていく必要があろうという切迫した状況の中で、一方で、先ほども少し申し 上げましたように、国全体が極めて厳しい財政状況、マニフェストに載っていないこの項目をど うやって対応していくかというこの状況の中で、私どもとして何らか、こういう必要な支援のた めの財源を確保できないだろうかということで、前回、前々回に提案させていただいた選択肢を 改めて精査させていただき、どのような案があるのかということを考えさせていただいた上で、 今回は案としてお諮りをさせていただいている。この間にもいろいろな交渉、あるいはいろんな 検討をさせていただいたところ、本日のような形になったことを御理解いただけるとありがたい と思います。 ○糠谷部会長 それでは、もう一度、どうぞ。 ○対馬委員 大変時間をいただいて申し訳ございません。ただ、私ども健保組合制度の屋台骨に も関わりますし、また、このことが医療制度ないしは国民皆保険制度にひびを入れる話でもある というふうに思いますので、委員の皆様方にも御理解賜ればというふうに思います。  私どもとしては、こういった提案に対しては断固反対であります。  理由を4点申し上げますと、ただ、これはこれまでにも申し上げましたので、項目程度に、簡 潔にさせていただきたいと思います。  1点目は、やはりこの後期高齢者の負担構造を変えていくというのは、この資料にもあります とおり、在り方の見直しなんです。在り方というものは、こういった予算編成の過程の中で議論 するのではなくて、まさに高齢者医療制度改革会議で在り方を議論するというのが筋だというの が1点目です。  2点目ですけれども、これは2年前の肩代わりの再現ということが今の説明でもはっきりした んだろうと思います。私ども、2年前に大変な苦労をしたわけですけれども、今回、また国庫負 担を増やすことができないので肩代わりしてくれという提案は、大変筋が悪いだろうというのが 2点目です。  3点目ですけれども、協会けんぽと私ども健保組合というものは、これまでの成り立ち、制度 といったものも違います。お互いに保険者機能でありますとか、そういったことで切磋琢磨する 関係にあるわけです。ですから、会社と比べるのはどうかと思いますけれども、言ってみれば同 業他社のようなものですから、そこが支援してはどうかというのは、そもそも基盤がないのでは ないかというのが3点目です。  それから、4点目ですけれども、私どもの方も、今、足元では七千数百億円の赤字で、関係方 面には、特に財政状況が悪い組合に対して支援措置をお願いしているところです。ですから、我々 が支援措置をお願いしているところに、逆にそうではなくて、一千数百億円出しなさいというの は何としても納得がいかない。  この4点の理由で、私どもとしては到底納得できるものではないということを申し上げたいと 思います。 ○糠谷部会長 御意見として承りました。  何かありますか。いいですか。  それでは、どうぞ。 ○神田課長 対馬委員の御意見は、これはこれとして重く受け止めたいと思いますけれども、高 齢者医療制度改革会議の中でまず議論すべきだという御意見は私どもも十分承知いたしておりま すが、先ほど来、協会けんぽの小林委員の方からもお話がございましたように、過去最大の引き 上げ幅、4倍にわたる、御本人だけの負担で3万2,000円というかなり大幅な引き上げが必要とな っている状況の中で次の改革をということになりますと、施行準備等を含めますと3年先になり ますので、この間、次の制度の議論がございますけれども、何も手を打たなくて大丈夫かという ことについては、是非、ここは改正をお願いせざるを得ないのではないかということでございま す。  2点目は2年前の肩代わりの議論ということで、財政構造は先ほどからお話があったとおりで ございますが、本日の資料2の最後の6ページ目をごらんいただきますと、前回との違いという ことで申しますと、平成20年度のときには2,200億円の社会保障の義務的経費の削減ということ がシーリング上でございました。したがいまして、政管健保の国庫補助を削減した分を国庫補助 の削減に、まさに1,000億円充当したわけでありますが、今回、この点につきましては、先ほどの 2ページ目のところでごらんいただきますように、今、協会けんぽの支援金に充当しております 2,700億円をそのまま若人の国庫補助の充実に拡充させていただくということになりますと、助け 合いによって協会けんぽの支援金負担が2,500億円助かりますので、そういう意味ではすべて国庫 補助の拡充などに充当させていただくということで、国の負担だけを削減するという考え方では ないということは御理解をいただければと思っております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 それでは、いろいろ御意見がおありだと思いますので、逢見委員、どうぞ。 ○逢見委員 連合の逢見です。  協会けんぽの財政問題については、私も運営委員会のメンバーで参加しておりまして、この現 在の切迫した状況について、運営委員会の中でもかなり熱心な議論をしております。  やはり9.9%というこれまでにない保険料の引き上げについては、保険料の引き上げはやむを得 ないとしても、その上げ幅をできるだけ少なくするためのあらゆる努力をすべきだというのが大 体一致した考え方でございまして、本日示された中に3つの考え方が出ておりますが、国庫補助 率の引き上げについては、あくまでも本則に戻す。こういうときこそ、やはり本則復帰が基本だ ということで、これは国の財政が非常に厳しい中で所要財源の捻出に苦労しているということは わからないでもないんですが、しかし、我々の協会けんぽの状況から見て、やはり平成22年度に おいて本則復帰ということをはっきり示すべきだということを非常に強い要望として持っており ます。  2番目の単年度の財政均衡の特例・財政健全化についても、単年度での均衡というものは相当 の無理を生ずることになりますので、財政均衡要件の例外ということで複数年度での対応を考え る必要があると思います。  3番目の費用負担の在り方につきまして、今日初めて具体的な中身が示されました。加入者割 を総報酬割にするということについては、前回、私もそのような意見を申し上げまして、これは 平成18年度における医療制度改正の中の議論で、後期高齢者支援金が加入者割であることについ て、当時、連合としても問題視しておりまして、そういう意味で、これを総報酬割に改正してい くという点については、当時あった問題が少しずつ顕在化して、このような方向に持っていくこ とについてはあるべき方向であるというふうに思っております。  ただ、2.のところで健保連さんの方からも問題指摘がありましたけれども、国庫補助の拡充 を後期高齢者に出していた支援金を回すという中で、本当に拡充になるのか。ただ単に迂回させ ているだけではないのかという懸念がございますので、この段階ではまだ国庫補助の拡充の姿が よく見えないところがございます。健保組合の中にも財政力の弱いところもあるわけですから、 国庫補助の拡充という姿がもう少し見えないと、これについて、まだ賛否を言うところには至っ ていないということです。  それから、具体的な負担額の変化の中で、それぞれの負担額の変化が示されておりますが、こ れはこれから連合の中に持ち帰って議論したいと思いますけれども、連合の中にも協会けんぽに 入っているところもありますし、健保組合に入っているところもございまして、特に、この負担 増となる健保組合の側からは、やはり、この負担増についてかなり強い反対意見が出ることも予 想されます。  こうした問題は、それぞれの被用者保険間のいわゆる利害対立という議論に持っていくべきで はないと思いますので、ここについては十分、それぞれの関係者の理解・納得が得られる形で調 整を図るべきだと思いますので、この件については連合として持ち帰って検討したいと思います。 したがって、今日の段階では、ここについての賛否についての意見は留保させていただきたいと 思います。  それから、議論の本来の筋として、こうした問題について高齢者医療保険制度の改革の中で取 り扱うべき問題であるという意見がございますが、これは当然、正論ではあると思いますけれど も、ただ、現在の協会けんぽの財政の切迫感を見ますと、この後期高齢者医療を含めた高齢者医 療制度全体の姿が明らかになるまで全く手がつけられないということでは、その間、加入者に相 当大きな負担を強いることになりますので、全体の制度が見えた中での整合性を図る必要性があ ると思いますから、その間の暫定といいますか、期間を限定した措置と考えて、この費用負担の 在り方の見直しはとらえるべきだろうと思っております。  以上です。 ○糠谷部会長 それでは、藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員 この件につきまして、僣越かもしれませんけれども、意見を述べさせていただきま す。  医療崩壊を防ぐためには我々医療提供者の努力も必要ということは勿論でございますけれども、 先立つ財源の確保が重要だと思います。これまで、この部会で保険者の皆さん方から、賃金の低 下や失業率の上昇など、非常に財政が厳しいという話がありましたし、今日もそういう議論の中 で検討を進められているわけなんですが、そういう影響を一番受けているのは、やはり中小企業 の従業員・家族が加入している協会けんぽではないかと思います。  加入者割といいますか、頭割りと報酬制とを比べてみますと、素直に報酬制の方が公平ではな いかと考えております。そういう公平な仕組みにすることによりまして、財政が弱い協会けんぽ が助かり、財政が少しでも安定化ということになるなら検討すべきではないかと思います。  日本医師会といたしましては、現在、若人の制度に入っている公費を振り向け、高齢者医療に 公費を重点的に投入すべきという主張をしておりますけれども、裏からいえばと言いますか、別 の言い方をすれば若人ではできるだけ助け合いをすべきだと思います。これは大きな方向性とし ても一致していると考えております。また、国の国庫補助率のアップも当然必要ではないかと思 っております。  以上です。 ○糠谷部会長 それでは、岩本委員、どうぞ。その次に岩村委員でお願いします。 ○岩本委員 この問題については私も何遍か意見を申し上げていましたので、それとほぼ重なる 部分がありますけれども、やはりこの12月という予算を組み上げるところでこういう話をすると、 問題の本質と、それから、直近の問題が一緒になってしまって、2年前のことがまた再来するよ うなことになってはいけないのかなと思いますので、改めて整理させていただきたいと思うんで す。  ちょうど岩村先生と私が、この資料の中にもありました舛添大臣のところの高齢者の検討会議 に参加しておりまして、そこで出た意見がこういう形で具体化されているということになってい るんだと思うんですけれども、意見があったということで、後ろに書いていますように、それぞ れの委員の立場などもありますので、私の考え方として御説明します。  保険という以上、応益でやれればいいんですけれども、やはり応益一本でやるには今の医療費 は余りにも高過ぎる状態になってきて、どうしても応能の部分で賄っていかなければ国民皆保険 というものが成り立たないという問題意識でいました。それで、この支援金についてもやはり同 じような考え方を持っていまして、そうであれば負担能力一本で、全体で負担するような仕組み というものは、本来は在り方としては望ましいんでしょうけれども、やはり国保と被用者保険の 間では性質が違うということで、そこを渡る橋がなかなか架けられにくいということで、現状で 加入者割でやっているんですが、少なくとも被用者保険の中であれば、この所得の捕捉に関して も余り問題は生じていないだろうということで、被用者保険の中であれば報酬比例ということで なじんでいるわけですから、この総報酬割ということで理解が得られるのではないか。そういう 考え方で、とりあえず、今、現実にできることということで、こういった意見が検討会の方でま とめられたというふうに私は感じております。  これは、その先には民主党のマニフェストに書いているような一元化ということもあるんでし ょうけれども、一元化は非常に難しい。そもそも、所得捕捉ができたとしても、片や賃金にのみ 依存するという職域保険の領域と、それから、所得全体の地域保険ということですから、ここを またぐということもなかなか難しいわけですから、これは民主党のマニフェストに書いていると いっても、そう簡単に実現するものではないとは思いますが、とりあえず、長期にはそこを見据 えて一歩一歩進めるというところで、こういった考え方もあるのではないかというふうに私は思 っております。  それから、これをまとめられたものが今年の春ですから、予算とかそういったものとは切り離 されて、まさに制度のあるべき姿としてこういったものを考えてはどうかということであって、 その背景には問題意識としては、やはりサラリーマンであって、どこの会社に勤めるかというこ とによって、その保険料率が変わってしまうという制度自体が果たして公平なんだろうかという 問題がありますので、これはまさに問題の本質であろうと思います。その問題の本質に対して手 を打つということは医療保険の中で必要なんだろうというふうに思います。  ですから、この制度を今の時期に御提案されるということによって、健保組合と共済組合に負 担を上げて、それで政管健保を助けましょうなり、あるいは国庫補助が新しく入らないからこち らで財源を捻出しましょうとか、そういう形で矮小化された議論になってしまうかもしれません けれども、本質はそちらの方ではなくて、やはり公平な医療保険制度にしてやって、負担がなか なかできにくいところも中でうまく回るようにやっていかないと国民皆保険が成り立たない。そ の認識の下で考えていくべきだろうと思います。  それと、保険料を上げるとなると苦しい。これはどこも苦しいんだろうと思うんですけれども、 それはもっと長い目で見れば、要するに2けたの保険料、10%上げるということで、大変なこと だと思うかもしれませんけれども、今から10年後、15年後で、それでは、2けたに上がらないで 医療保険料をやっていけるんですかというふうに考えれば、これは高齢化するわけですからやっ ていけないんだろうと思います。  これは政府の方でも2025年まで長期の医療費の推計とかをやっていますから、一度、そういう ものを財政シミュレーションで保険料率が2025年にどういうふうになっているんだということ をわかりやすく見せてやれば、要するに、今、我々は苦しいかもしれないんですけれども、将来 もっと苦しいことはあるわけですから、これでいよいよ払っていかなければいけないということ を考えれば、ほかを切り詰めてもやはり払っていくべきだろうというふうな考えで私の方はおり ます。  それで、私は共済組合の加入でありまして、検討会の方は大学の先生がかなりの人数だったん ですけれども、共済組合・健保組合の加入者で、要するにこういうことをやれば自分たちの保険 料は上がるんですけれども、こういう意見を出しただけなんですけれども、特に反対もなくこの 意見で来ているというわけですから、個人的には自爆なんですが、別に自爆テロではなくて、全 体を見て公平に考えればそういうふうにやっていくべきだろうということで申し上げている次第 であります。  少し異例なんですけれども、傍聴席の方にたくさんメディアの方がおられていると思いますけ れども、テレビとか大手新聞社は給与が高いですから、この健保組合でいきますと保険料の低い ところに所属している皆さんだと思うんですけれども、メディアを通して国民に伝わるんですが、 やはりこれを個人の立場で見るということはできるだけ控えていただいて、国民全体でどのよう に負担していくかという観点から考えていくということで、皆さんも考えていただければと思い ます。  以上でございます。 ○糠谷部会長 それでは、岩村委員、どうぞ。 ○岩村委員 私、中途で退席しなければいけないので、発言させていただきます。  先ほど来、高齢者医療制度改革会議の話が出ておりますけれども、座長になっている身として 一言発言させていただきたいと思います。  筋から言いますと、確かに今日、話題になっているこの被用者保険の支援金の算定の在り方と いうものは、今後のあるべき高齢者医療制度の議論の枠組みの中でやるというのは、そうかもし れません。  ただ、今日示されております、例えば参考資料3というものを拝見して、その5ページを見ま しても、仮に協会けんぽについての国庫補助率、国庫負担率というものを本則に戻したとしても、 やはり保険料率自体は9.4%から9.7%台になるということで、現状から比べると非常に大きな引 き上げになるということについては、それほど大きな変わりがあるわけではないと思います。  そして、さっき神田総務課長からもありましたように、今日の資料3で我々のやっている会議 のスケジュール、それから、新しい高齢者の医療制度のでき上がりまでというものが資料3の1 ページ目に示されておりますように、いずれにせよ、現在の後期高齢者の医療制度というものは まだ3年ぐらいは残ります。そうしますと、この制度を支えているものは、実は現在ある国民健 康保険であり、被用者保険でありということであって、その足元の制度自体が揺らいでしまうと、 今ある後期高齢者の制度自体というものもそもそも非常に存続が難しいというようなことになり かねない。議論自体はやっていくし、そして、新しい制度というものを考えるにしても、とにか くそれまで後期高齢者の制度は持ちこたえていかなければいけないということだと思います。  そういうことを考えますと、実は今やっている会議の方での議論は、勿論、そういう被用者保 険とかからの支援金の問題も含めて議論をしますけれども、しかし、当面、足元の被用者保険制 度の方がやはり揺らいでしまっては困るわけでありますので、後期高齢者医療制度をどうするか という議論は議論としてやりますけれども、現下のこの問題に対してはどうするかということに ついては、やはりこの部会で議論をしていただきたい。  そして、問題としては、こう言っては大変失礼かもしれませんけれども、被用者保険内部での 支援金の負担の在り方なものですから、後期高齢者の現在の制度を支えている支援金の在り方全 体の話ではないということですので、そういう意味でも後期高齢者の制度の議論というものに対 する影響は、私は余り今日の議論というのはないのではないかと思っております。  もう一つ、私自身の意見でありますが、先ほど岩本先生もおっしゃったように、私もたまたま、 前の大臣の下での会合の中にいて、この議論を聞いていたりしたわけでありますけれども、要は 被用者集団の中で、この支援金についてどういう負担の仕方をするのかということであり、勿論、 協会けんぽと健康保険組合と共済組合というそれぞれの制度の中に保険者集団というものがあり ますけれども、全体としては被用者という一つのくくりで、やはりその中でどうやって助け合っ て負担を担っていくか。そういう観点からの議論は必要なのではないかと思っています。  とりわけ、今日の資料の中にも出てきていますように、やはり協会けんぽというものは、どう しても標準報酬の低い人たちが多く加入し、かつ1人当たり医療費が多い人たちが加入している。 他方で、健保組合の方も一枚岩ではないということは重々承知していますけれども、やはり全体 として見たときには、標準報酬が高く、かつ1人当たり医療費が少ない集団であるというような ことを考えますと、やはり被用者集団の中で支援金というものを、いかに負担を分かち合って公 平にやっていくかという観点からすると、いずれにせよ、総報酬制への移行というものは検討し ていただく必要があるのではないかと思っています。  勿論、やはり第1番目には、国庫の負担の本則に戻すということについてが基本的な議論の出 発点であることはそのとおりでありまして、事務当局あるいは大臣等にそこの点については是非 御尽力をいただきたいと思いますけれども、それを仮に実現したとしても効果が限られているの で、やはりこの支援金の議論というものはこの部会でやっていただければと思っております。  どうも、長いこと済みません。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかに御意見・御質問等はいかがでございますか。  どうぞ。 ○小林委員 今日の対応策の中で【その他の検討事項】というものがございまして、「(3)現金給付 の見直し」は後ほど要望事項として御説明させていただきたいと思っております。「(1)都道府県単 位保険料率の激変緩和措置の期間・幅」、これは参考資料3の10ページにございますが、協会け んぽはこの9月から都道府県単位の保険料率に移行しております。その際、5年間の激変緩和措 置ということで、保険料率の大幅な上昇が生ずる場合には、急激な変化にならないよう、徐々に ならして実施するという趣旨で設けられて、これは5年間ということで法定されております。  この表で言いますと、右が高いところ、北海道、佐賀、徳島、福岡、香川といったところが高 いところになっております。青っぽい色が激変緩和前の都道府県単位の保険料率です。それで、 今年9月から10分の1に圧縮してこれを入れました。これが赤い棒グラフになっております。こ ういった状況の中で、今度、平均保険料率の上昇が見込まれるという中、右の方の比較的高い保 険料率の都道府県からは、5年間という期間の延長でありますとか、来年度の幅はなるべく小さ い数字にといった意見がありますことを併せて御報告させていただきたいと思います。  以上です。 ○糠谷部会長 それで小林委員、参考資料4の「制度改正検討要望について」というものを、引 き続き、簡単に御説明いただけますでしょうか。 ○小林委員 かしこまりました。  参考資料4をごらんいただきたいと思います。これは、今、御説明申し上げております、平成 22年度の保険料率の引き上げが避けられない中で、できるだけ引き上げ幅を圧縮したいという観 点から現金給付の見直しといったものが求められておりまして、また、現在、傷病手当金等の支 給に関しまして詐欺事件などの不正受給も明らかになっているということもございます。  私どもとしましては、運用面での審査を強化しておりますけれども、それに加えまして、給付 水準、あるいは給付要件などの制度面での見直しについて当協会の運営委員会で御議論いただい ておりまして、そこでの御議論を踏まえまして、協会けんぽとして、お手元の参考資料4にござ います内容で制度改正を要望したいということで御議論いただきたいと思います。  まず「1.給付の重点化の観点」です。  これは1つ目が、傷病手当金・出産手当金の支給額の上下限の設定ということです。現行これ らの手当金につきましては、標準報酬に支給割合である3分の2を乗じた額として、加入者の生 活水準に対応するために、報酬比例とされておりますが、近年の標準報酬月額の上限引き上げや 支給割合の改善によりまして、現在の支給最高額は月額で約81万円になっております。  そこで、給付の重点化という観点から、上限を一定水準に、それから、下限につきましては月 に約5万円であります雇用保険の例にならって定めてはどうかというものであります。  なお、私どもの運営委員会では、上限額の水準については、傷病手当金は被保険者、それから 出産手当金は女性被保険者の標準報酬の上位四分位相当額として、具体的には、傷病手当金は月 額約21万円、それから、出産手当金は月に約16万円という案をお示ししましたが、上下限の根 拠があいまいであるとの御意見をいただいております。  この点についてもう少し具体的に申し上げますと、余りに高額な給付費については上限額を設 けて引き下げるべきという点についてはおおむねコンセンサスが得られておりますけれども、出 産手当金の上限額は低いのではないかとの御指摘もあり、そういった点を中心に更に検討が必要 な状況にございます。  それから、2つ目として傷病手当金・出産手当金に係る加入期間要件の設定についてです。こ れらの受給要件につきましては、現在、健康保険制度への加入期間に係る定めはなく、保険加入 と同時に受給できる仕組みとなっておりまして、そこで、雇用保険の例などを踏まえまして、直 近1年内に計6か月以上などという一定の加入期間を受給要件として定めてはどうかというもの です。  また、この場合、この加入期間要件を満たさないために受給できなくなる方に対しましては半 分の支給額、すなわち標準報酬の3分の2から3分の1へ、それから、半分の支給期間上限、す なわち1年半から9か月として支給してはどうかという点も併せて御検討いただけたらと存じま す。  なお、運営委員会では、財政状況が非常時の状況にあることを踏まえて、見直しに積極的な御 意見と、それから、セーフティーネット強化の観点から消極的な御意見に分かれております。た だ、協会といたしましては、加入してすぐに高い報酬等級を設定して傷病手当金等を受給しよう とする事例が後を絶たないため、制度の悪用を招いているのではないかといった意味で改善した いと考えております。  次に、財政対策の観点からの提案であります。  傷病手当金・出産手当金の支給割合の見直しについてですが、傷病手当金の支給割合について は、平成19年度より6割から。 ○糠谷部会長 なるべく簡潔にお願いできますか。 ○小林委員 済みません、かしこまりました。あとわずかであります。  平成19年度より6割から3分の2に引き上げられましたが、元に戻すこととしてはどうかとい うものであります。  なお、運営委員会の議論では、やはり足元の財政状況を踏まえて見直しに積極的な意見と、総 報酬への移行と少子化対策を踏まえた改正法の施行後2年しか経過していないということ、特に 出産手当金はILO母性保護条約で3分の2以上とされていること等により現行の割合を維持す べきという意見とに分かれておりますが、この点も含めて御議論いただきたいと存じます。  最後に「3.不正受給対策の観点」です。  事業主等への質問・調査に関する法律上の明確化ということで、健康保険法では、厚生労働大 臣は保険給付等に際して必要時に事業主や保険医療機関に対して質問・調査できますが、政管健 保が社会保険庁から協会に引き継がれて協会けんぽになったことに伴い、質問・調査への協力が 得にくい状態が生じているということです。このため、現金給付の適正化を図る見地から、その 審査において従前同様円滑に協力が得られるように、協会に対しても根拠規定を置くとともに、 必要に応じて国に依頼できるよう明確にしていただきたいということであります。  なお、質問・調査協力については、任意で協力を得るためのものであって、強制的なものでは ないということであります。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。何か補足説明はございますか。  どうぞ。 ○吉田課長 今、協会けんぽの小林委員から御提案がございましたし、本日の資料の本編の方の 最後にも御要望ということで書かせていただきました。  私どもも協会けんぽ内部での御議論にオブザーブをさせていただいておりますが、そこでの御 熱心な議論を承りながらも、協会けんぽ単独の問題ではなく、被用者保険制度全体に横断的な検 討が必要な事項もこの中には幾つかございますし、あるいは今日御提案の、例えば事業主さん等 への質問についても、現在、大臣が権限として持っているものの発動契機として保険者の方から の御意見をいただくといった運用面での改善があるのではないかなどなど、これについてはもう 少し私どもなりに議論はさせていただきたいと思っておりますが、本日のところはこういう御提 案があったということで、私ども事務局も承らせていただきたいと思います。 ○糠谷部会長 協会けんぽの問題はまた次回にもやる予定にしておりますが、今日この際、これ だけはという御意見・御質問等がございましたらば伺いますが、いかがでございますか。  それでは、どうぞ。 ○高原委員 開業医の高原でございます。  今日はほとんどが保険の問題で、それも保険料率を上げる、上げないという形と、それから、 お互いの保険の中で負担をどうするかという問題でございますので、医療関連から余り言うこと はございませんでしたけれども、最終的に皆様にお願いしたいことがあります。  今、保険料率を上げる、上げないという全体の底上げをしないと、どうあっても、やはりこれ から先の医療は崩壊すると思います。先ほど中医協で聞いてまいりましたけれども、かなり保険 側と、1号側と2号側でいろんな議論を闘わせておられました。今の問題は皆様方がお年を召し たときにそのままに返ってくる問題だと思うことを、ここの出席の方も、それから、マスコミの 方もよろしく御理解いただくように、そうしないと、今のことで問題にしておったときに話をし て、先になったときに、しまったというような形で自分たちが医療を受けられないというような ことにもなりかねないと思います。そこのところをよろしくお考えいただいて、御検討をいただ きたいと思います。  以上です。 ○糠谷部会長 承りました。  それでは、よろしければ本議題については、本日のところはこれまでとさせていただきます。 本日、さまざまな御意見や資料のお求めがありましたので、いただいた御意見や資料のお求めに ついては、事務局において準備、整理していただいた上で、この議題については、次回も引き続 いて議論をしたいと思っております。  最後に、議題の「3.その他」といたしまして、事務局より報告をお願いします。 ○吉岡課長 高齢者医療課長でございます。  資料3でございます。先ほど来、話が出ておりますけれども、後期高齢者医療制度廃止後の新 たな制度の在り方を検討するための、長妻大臣主宰の高齢者医療制度改革会議というものが設置 されております。先般、11月30日に第1回の会議が開催され、座長は当部会の委員であります岩 村委員にお願いをしているところでございます。  その1回目の会議で、お手元の資料のスケジュール(見込み)というものを提示させていただ いております。大臣はかねがね、この政権、1期4年の中で新しい制度に移行するということを 申し上げてきておりました。それに沿ったスケジュールの見込みでございますが、そういたしま すと、一番右側のところでありますが、平成25年4月に新しい制度を施行するということになる わけであります。  その施行準備としまして、すべての市町村などでコンピュータシステムの改修とか、体制の見 直しなどが必要になりますので、現在の制度も約2年の準備期間を要しました。そういたします と、平成23年の通常国会に法案を提出するという運びが必要になるわけでございます。したがっ て、この改革会議につきましては、来年の夏を目途に基本的な方向について中間的にとりまとめ いただき、更に意識調査や地方公聴会の開催をしながら、更に具体的な中身を検討いただいて、 平成22年末を目途に最終的なとりまとめをいただく。  そういったスケジュールを念頭に置いて、これからの議論を進めていただくということになっ ているところでございます。また節目節目で、この医療保険部会の方にも状況につきまして御報 告をさせていただきたいと考えております。  そうした中で、足元の来年度の問題が2点ございます。次の2ページでございます。  まず1点目が、保険料軽減等の措置でございます。そこの1.の(1)〜(3)とございますように、 制度施行後、70〜74歳の方の患者負担割合を、法律上は2割に引き上げるところを、予算措置で 1割に引き上げを凍結しているということでありますとか、所得の低い方についての保険料軽減 の措置というものを行っております。また、サラリーマンの被扶養者であった方というのは、従 来、保険料負担がなかったわけでありますので、そうした方の保険料の軽減という3つの措置を 講じてきたところでございますけれども、高齢者の方々に不安や混乱を生じさせることのないよ うに、制度を廃止するまでの間、こうした軽減措置については延長したいと考えているところで あります。  そこで、そのための来年度の財源ですが、1.にございますように、国費で2,900億円余りを、 近く編成されます第2次補正予算でもって措置をしたいということで考えています。  一部、地方負担の部分がございます。244億円、全体の約8%でございますが、これは1.の(3) のところにもありますが、サラリーマンの被扶養者であった方の保険料軽減の9割軽減のうち、 根っこの5割は2.の地方負担ということで今も行われております。上の4割を国費で措置をす るということになっておりますので、引き続き、この5割部分につきましては、地方負担として、 地財措置を行いたいということで考えております。  下の※に書いておりますけれども、この部分につきましては地方負担を行う期間というものが 法律上、加入後2年間とされておりますので、この点につきましては法律も改正して対応したい ということで、今、調整をしているところであります。  次の3ページでございます。来年度が、この保険料の改定年になるわけでございます。財政運 営期間は2年間とされておりますので、この制度の最初の保険料の改定ということでございます。 このまま何も抑制策を講じない場合には、保険料は平成21年度と比較しまして、全国ベースで約 13.8%増加するということが見込まれております。  増加の要因は、そこに(1)〜(4)とございますように、1人当たり医療費の伸び、あるいは後期高 齢者負担率の上昇、医療給付費の算定期間の相違でありますとか、所得の減少といった4つの要 因での増加が見込まれるわけでございます。  こうした中で、2つ目の○でございます。一方、各広域連合におきましては、平成20年度の医 療給付費の実績額が見込額を下回ったことなどから、剰余金が生じているところでございます。 したがって、これを保険料額の上昇の抑制に活用することが可能な状況にございます。ただ、剰 余金の額は広域連合ごとにまちまちでありまして、広域連合によっては剰余金の活用だけで保険 料の上昇をすっかり抑制できるというところもありますし、一部の広域連合では一定程度の保険 料の上昇が必要になるというところまでまちまちでございます。  そこで、次の○の「さらに」というところでございますが、各都道府県に設置されております 財政安定化基金というものを取り崩すことによりまして、保険料額の増加を更に抑制することが 可能であると考えております。  欄外に財政安定化基金の説明がございます。給付費の伸びや保険料の未納により広域連合の財 政に不足が生じた場合に、都道府県が広域連合に対し交付等を行うものということでございます。 したがって、こうした形で保険料の上昇抑制に活用する場合には、法律改正が必要になります。  なお、基金の財源につきましては、国、都道府県、そして、広域連合が3分の1ずつ拠出する という枠組みで、この基金の積み立てを行ってきているところです。  現在、こうした方針に基づきまして、法律改正の実施を含め、関係省庁、それから、各広域連 合・都道府県と個々に具体的な御相談を行っているところですので、その結果を踏まえて適切に 対応していきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、何か御質問・御意見等 はございますでしょうか。  どうぞ。 ○岩田参考人 ただいまの説明なんですけれども、本来の財政安定化基金の積立金というものを 保険料軽減に用いるということは、給付費の見込み違いに備えるという財政安定化基金本来の性 格をやはりゆがめるものであると考えています。しかも、今回は都道府県に対して何ら事前の協 議がないまま通知をされたものですから、次からは事前協議をよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○糠谷部会長 何か説明はありますか。 ○吉岡課長 お話が2点ございましたけれども、この財政安定化基金につきましては、そもそも、 今のこの制度が永続的に続いていくということの前提でもって、医療費が急に増えたときなどに 対応できるように基金を積むということでやってきておりますので、近い将来、この制度が廃止 をされるという中では、将来的なリスクというものは当然ながら軽減されるわけでございます。  しかしながら、今、お話がございましたように、急な給付費の増などに対応できなくなるとい う要素はまだ残るわけでありますので、私どもは目安としましては、医療費が急に3%増えた部 分には対応できる残高を残していただいた上で取り崩すということをやっていただいてはどうか ということをお話し申し上げております。ただ、これは当然ながら、各都道府県が広域連合と具 体的に御相談をしていただいて、まさしく都道府県でお決めいただくという話でありますので、 御検討方いただければと思っております。  私ども、こうした国の考え方というものを、先般、各都道府県、そして、広域連合に通知をさ せていただきました。言うまでもなく、この基金の積み増しをやるかどうか、取り崩しをやるか どうか、どのくらいやるか、これは各都道府県が広域連合と協議の上、お決めいただくことであ りまして、私どもとしましては、この基金の財源の3分の1を拠出しているという立場から、保 険料の上昇を極力抑制することが必要ではないかと考え、同じく財源の3分の1を拠出していた だき、また財政運営の責任を有します広域連合の御意見も踏まえて、これは各都道府県にお願い をさせていただいたわけであります。お願いをする上での事前の協議というものが必要であると いう御指摘であれば、しっかり受け止めさせていただき、十分御相談をさせていただきたいと思 っております。 ○糠谷部会長 ほかに御質問・御意見等はございますか。  よろしゅうございますか。  それでは、よろしければ、予定の時間も近づいてまいりましたので、本日はこれまでとさせて いただきます。  次回は、12月8日の火曜日、もうすぐでございますが、14時からの開催を予定しております。 場所につきましては追って事務局より御連絡を申し上げます。  本日は御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。本日はこれにて散会と いたします。                                   (了)                           【照会先】                               保険局総務課企画調査係                               03-5253-1111                               (内線3218)