09/12/2 第59回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年12月2日(水)0:05〜13:16 2 場   所   全国都市会館 第1会議室(3階)  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 牛丸聡委員 森田朗委員          小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員           北村光一委員           安達秀樹委員 邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 松谷高顕専門委員            <事務局>          外口保険局長 佐藤医療課長 木下経済課長 迫井医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○平成22年度薬価制度改革に向けた全体的な論点整理について ○遠藤部会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第59回中央社会保険医療協議会薬 価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況でございますが、本日は審議官が公務のため欠席される旨の連絡 を受けております。  それでは、議事に移ります。  本日は、「平成22年度薬価制度改革に向けた全体的な論点整理について」を議題とい たします。  事務局から、これまでの部会での議論を踏まえまして、項目ごとに論点を整理して、特 に薬価維持特例とそれ以外の論点に分けた形の資料が提出されておりますので、事務局か ら説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  時間も押しておりますし、皆さんお疲れだと思いますので、私の説明は簡潔にさせてい ただきたいと思います。  資料はいろいろございますけれども、全体の論点整理の紙は薬−3でございますが、今 部会長からお話がありましたように、特に御議論のある点は製薬業界の御提案の薬価維持 特例の部分でございますので、その点については薬−1と薬−2で、特に今まで御指摘を 受けた点につきまして、どのような対応が考えられるかということについてまとめさせて いただいております。薬−1と薬−2を横に置いてごらんいただきたいと思います。  最初に、薬−1の1ページ目でございますけれども、そもそも薬価維持特例を導入する 目的は何かということでございます。そこの「考え方」に書いてございますように、これ までいろいろ加算等を評価いたしまして種々の薬価のルールをつくってきたわけでござい ますけれども、現行の薬価のルールの中では市場実勢価格に基づいて、2年ごとにほぼす べての薬価が下がるということから、コスト回収に時間がかかり、ドラッグ・ラグなどの 影響になるのではないかという御指摘がある。そういう中でこの薬価維持特例については、 一定期間薬価の引き下げを猶予することによりまして、喫緊の問題の適応外薬の問題とか、 革新的新薬の創出を促進するものとして整理してはどうかということでございます。  このような趣旨から、「薬価維持特例」という名称での御提案でございましたけれども、 事務局からは、この名称をここに書いてございますような「新薬創出・適応外薬解消等促 進加算」ということで、市場実勢価格に基づく算定値に加算することを考えてはどうかと いうことでございます。  加算の方法につきましては、薬価の維持までの額を加えるという考え方のほかに、今後 の財政影響なども考えまして、市場実勢価格に基づく算定値、これは具体的には市場実勢 価格の加重平均値に調整幅2%を足した算定値にその一定率を加えるということで、考え ますと、同じようなやり方をやりますと、「加重平均乖離率−2%」を加算するという考 え方もあるのではないかということでございます。  薬−2の資料の1ページをごらんいただきますと、実際に後発品が出た後の引き下げと いうことになりますと、ここに書いてございますような猶予分と、それから市場実勢価格 による引き下げ分、それから特例引き下げ分の現行での4〜6%を足した引き下げになる ということでございます。  薬−1の2ページをごらんいただきたいと思います。2でございますが、その対応は公 費で行うべきではないかということでございます。これまでも、希少疾病用医薬品のケー スなどにつきましては、公費による助成と保険薬価上の加算ということで組み合わせた措 置をとってきているわけでございまして、こういった適応外薬等の問題も考えるにしても、 助成金等での支援ということもございますけれども、こういった薬価上の対応というもの も含めまして、あわせて考えることが効果的ではないかということでございます。  それから、未承認薬・適応外薬の問題について、どのような担保をとって対応するのか ということでございます。ここに書いてございますのは、薬−2の3ページをごらんいた だきたいと思います。現在、医薬局、医政局におきまして、こういった未承認薬・適応外 薬の問題についてきちんと対応するために、有識者会議というものをつくる準備をしてい るところでございます。厚労省において、この夏に関係の学会や患者団体から要望を受け て、全部で350ぐらいございましたけれども、現在、大体200ぐらいではないかとい うことで精査中でございますけれども、そういったものにつきまして、現在準備中の有識 者会議では、右側にございます吹き出しのようなスキームを一つ検討しているところでご ざいます。ここに書いてございますように、医療上の必要性を検討して企業に要請いたし まして、企業のほうで開発工程表を策定していただきまして、そういったものの適切性を 確認していただいた後、またその進捗状況を確認するようなスキームというものを一つ考 えているところでございます。そういった状況を中医協に報告させていただきまして、上 の吹き出しに書いてございますように、その開発・上市が適切に進んでいるかどうかとい うことについて確認していただきまして、その対応が不適切な場合には加算の不適用を検 討するといったスキームで、このような進捗が担保できるような形を考えてはどうかと。 また、不適切な場合について、なるべく客観的な基準をつくったほうがいいと思っており ますので、その点についてはまた少し検討してはどうかということでございます。  続きまして、薬−1の3ページをごらんいただきたいと思います。4でございますけれ ども、その導入によります財政影響はどうなのかということでございます。ここに書いて ございますように、薬価維持特例は、新しい加算ということでございますが、後発品の使 用促進による財政効果と、特例期間終了後の薬価の引き下げによる財政効果で、一定程度 相殺されるということでございますけれども、今日の総会でもございましたように、まだ まだ後発品の使用促進が予定どおり進んでいないということも考えますと、既収載品につ いて一定割合を引き下げることを考えてはどうかということでございます。  これにつきましては、薬−2の4ページをごらんいただきたいと思います。そこに、前 回の部会長からの御指示もございまして、平成22年度薬価改定の見込み、詳細な金額は まだまだ精査中でございまして、まだ少し変動が当然あり得るものでございますけれども、 あらあらまとめさせていただいたものがこれでございます。平成22年度薬価改定の見込 みといたしましては、今約7.8兆円ほど見込んでおりまして、先ほどの総会でございま した薬価調査の平均乖離率が約8.4%ということでございますので、それから算定され る調整幅2%を見ますと、左側に書いてございますように、約5,000億円程度の薬剤 費の削減がまず見込まれるところでございます。その上で今般この新しい加算ということ でございますが、これを後で申し上げるようなスキームでやった場合には、薬剤費で約8 30億円かかるのではないかという見込みでございます。  今申し上げたのは後発品が進んでいない部分についての既収載品の引き下げということ でございますけれども、その下に書いてございますように、後発品のある先発品の追加引 き下げを2%程度やってはどうかということでございます。そういたしますと、また約5 30億円の削減がその分で見込まれます。そうしますと、差し引き約300億円の増にな るということでございます。  なお、この2%の追加引き下げにつきましては、平成18年度の改定におきまして3. 16%の引き下げを行ったところでございますが、その際に行った措置とほぼ同等の措置 を行ってはどうかということでございます。  その上で、もともとこれまでのルールで記載させていただいておりますように、先発品 をさらに特例引き下げで引き下げるとか、市場拡大再算定で引き下げるとか、そういった 市場実勢価格以上に引き下げるような措置がございます。そういったものがもともと先行 実施されておりますので、それとのバランスを見ますと、引き下げのほうが大きいという 状況になってございます。そのほか、長く売られているものは不採算になりますし、最低 薬価という制度がございまして、そういったもので若干のプラスがございまして、そうい ったものをトータルで考えますと、薬剤費全体の削減額といたしまして約4,800億円、 薬価の改定率でいきますと約6.2%程度になろうかと思っております。前回の改定が薬 剤費で4,000億円程度の削減で5.2%というものでございましたけれども、それに 比べて多くの削減が見込まれるという状況になってございます。  それから、薬−1の5でございますけれども、後発品の使用促進を阻害しないかという ことにつきましては、薬−2の2ページに戻っていただきまして、後発品の薬価算定例と いうことでございます。私どもの御提案といたしましては、ここに書いてございますが、 薬価が維持されているような場合には、まず猶予分を差し引いた上で、そこから7掛けと いうことで、後発品の薬価の収載をしてはどうかということでございます。そういたしま すと、現在の後発品の薬価算定と基本的には同じ額になるはずでございますので、後発品 の安定供給ができないということは考えられないと思っているところでございます。なお かつ、短期間でございますけれども、改定までの間は、先発品と後発品との薬価の差がよ り大きく広がるということでございますので、そういった点では患者インセンティブがよ り働きまして、より進むようなことが考えられるのではないかということがございます。  それから、薬−1の3ページにまた戻っていただきまして、一番下の6でございますけ れども、こういった未承認薬・適応外薬の解消に係る費用を保険で見ることはどうなのか ということでございます。ここに書いてございますように、もともと適応外薬や未承認薬 の場合については、そういった治療が必要な方々については、同じように保険料を払われ ているにもかかわらず保険診療の恩恵を受けられないということでございますので、相互 扶助の関係から考えますと、そういった費用を広く薄く被保険者が負担するような形のシ ステムでございますので、一定の合理性があるのではないかと考えられるところでござい ます。  続きまして、4ページでございますけれども、薬価維持特例の実施時期はどう考えてい るのかということでございます。これにつきましては、この導入による効果を今後きちん と検証していく必要があるということでございます。これまでもいろいろ議論がありまし て、いろいろな懸念の点の御指摘があるわけでございます。そういったことを踏まえまし て、今回の措置は平成22年度限りの措置として試行的に実施するということでいかがだ ろうかと思っているところでございます。この改定が終わった後、その財政影響や適応外 薬等の開発状況、後発品の使用促進状況などを検証した上で、ゼロベースで次々期薬価制 度改革時に、引き続き実施するかどうかについて判断したらどうかということでございま す。  その下の8は、新薬の範囲や期間ということでございます。範囲については、議論もご ざいましたけれども、薬の評価については、これまで市場における評価を重視してきたわ けでございまして、そういったものを考えますと、こういった乖離がどのくらいあるのか ということに着目いたしまして、全体の加重平均乖離率の範囲内の新薬とすることはどう かということでございます。そういった観点から、不採算品の薬価を維持することについ ては、まだまだ十分な議論ができなかったこともございまして、今回は対象としないこと でどうかということでございます。また、その期間につきましても、基本は後発品が上市 されるまでということでございますけれども、上市されない場合であっても何らかの足切 りが必要だということでございます。そういったことを考えますと、ここに書いてござい ますように、データで薬価収載から後発品上市までの特許期間が平均12.4年、また7 5%タイル値が14.6年を勘案しますと、足切りの期間といたしましては最大でも15 年とすることでどうだろうかということでございます。  5ページ、6ページにそのスキームを書いてございますが、今書いたことをまとめまし て、こういった別添案で実施するということを考えることはいかがだろうかということで ございます。  続きまして、先ほどの薬−2の5ページをごらんいただきます。一応、財政影響につき ましては、なかなかシミュレーションは難しいわけでございますけれども、今後の見込み としまして、追加される額と、それから削減見込みの分、それは後発品使用促進による削 減と、それから後発品使用が進まない場合には既収載品の薬価の切り下げということを組 み合わせて考えないといけないと思いますけれども、大まかに見てもそういった部分がか なり大きいのではないかという見込みがございます。  続きまして、薬−3は全体的な論点整理ということでございます。基本的考え方にござ いますように、基本的には、平成20年度薬価制度改革と同様に、特許期間中の革新的新 薬の適切な評価に重点を置きまして、特許の切れた新薬については、後発品への置き換え が着実に進むような制度としてはどうかということでございます。これまでの議論を踏ま えまして、具体的には、現行の薬価算定方式を基本としつつ、また以下に書いたようなこ とについて改革を行ってはどうかという御提案でございます。  1ページ目の下のところの再算定でございます。現在、市場拡大再算定については、市 販後のデータでいろいろエビデンスが出てきたもの、真の臨床的有用性が検証されている 場合には、若干の緩和をするということになっているわけでございますけれども、これが 対象になるものでそういうものが1品ございますと、一律にその緩和する率が適用されて しまうということでございます。そういったものについては、こういった市販後臨床試験 の結果については、各社ごとに独自にいろいろ苦労してやっておられるところでございま すので、その各社ごとのデータで個別に判断することとしてはどうかということでござい ます。  (2)でございます。用法・用量変化再算定というものがございまして、主たる効能・ 効果に係る用法・用量に変化があった医薬品については、新たな1日薬価を変更前の1日 薬価に合わせるということでございます。つまり、1日薬価合わせをしますので、例えば 用法・用量が半分になった場合には薬価は倍になる、逆に用量が倍になった場合には薬価 は半分になるということでございます。最近の事例で、副作用の問題から実質的に既に1 日用量が減量になっているケースもございますので、そのような場合には、このような再 算定を行って、薬事上の用法・用量が下がっても薬価は上げないこととしてはどうかとい うことでございます。  (3)でございます。不採算品再算定は、現在、先発品も含めてすべての同一有効成分 の医薬品が不採算になった場合に適用していますけれども、多くの場合、後発品は先発品 よりもより下がります。そうなってきますと、後発品のみが不採算になってしまって、後 発品がなくなってしまうというケースがございます。そういたしますと先発品しか残りま せんので、そういったことを考えますと、後発品のみを不採算品再算定をすることにより 残して、後発品への置き換えを進めたほうがより適切ではないかと考えておりまして、そ ういった形での不採算品再算定のルールを考えてはどうかということでございます。  その他でございます。平成20年の薬価制度改革によりまして、既収載品において小児 適応や希少疾病の効能追加、また市販後に真の臨床的有用性が検証された場合に若干の加 算をすることが決められているところでございますけれども、そのデータをいろいろ見て いきますと、言ってみれば、大学の先生や研究者の先生がいろいろデータを出されたケー スがございます。企業のほうで実際にきちんとお金も使ってやられたようなケースは評価 しなければいけないと思いますけれども、そういったものがなく、企業の努力が余り感じ られないものについては、負担が余りないものについては、加算の対象外としてはどうか ということでございます。  また、これについては幾つかの加算が同時に算定される場合もございますので、基本的 には併算定不可としてはどうかということでございます。  それから、2ページの下の(2)で、最低薬価品目についてでございます。これについ ては、薬−4に少し資料を入れさせていただいております。最低薬価は、言ってみれば剤 形区分ごとに最低の薬価を保障するという形で、それ以上は薬価を下げないというルール でございますけれども、ごらんいただきますと、中には大きく乖離があるものがございま す。そういったものについては、市場実勢価格を考慮いたしまして薬価の見直しをしては どうかということでございます。具体的には、この平均乖離率を超える部分の率の引き下 げを行うこととしてはどうかという提案でございます。  3ページでございますけれども、今度は新既収載品の薬価算定でございます。類似薬効 比較方式でございますけれども、以前も薬価算定組織の意見書にもございましたけれども、 抗菌薬のように、耐性菌発現を防止する観点から、例えば1日1回にして用量を上げると いったケースについて、これも新薬になるわけでございますけれども、例えば抗菌薬のよ うに既収載品が非常に多い中では、新規性が乏しい新薬といたしまして、かなりその類の 中で一番安いものに合ってしまうわけでございますけれども、それは基本的に同一成分の 既収載品を比較薬としてはどうかということでございます。そのほか、こういったケース でも、例えば1日用量の分を1週間1回投与にして、7倍の有効成分を含む製剤としたも のもございまして、このような場合には、単純に1日薬価合わせをするよりは、規格間調 整のほうが常識的に妥当であろうということでございますので、それはそのまま引き続き そのような算定にしてはどうかということでございます。  それから、外国平均価格との関係でございます。現在、外国平均価格調整を考える場合 には、平成18年度薬価制度改革におきまして、米英独仏の国におきまして最高と最低で 5倍以上開いた場合は、最高の価格を除外するというルールがございますけれども、これ まで累次薬価部会でもいろいろ見ていただいたデータの中で、価格が開いているものもご ざいます。そういったものを見ていきますと、5倍ではちょっと大き過ぎるのではないか といった御指摘があろうかと思っておりますので、その点については倍数を2倍としては どうかという提案でございます。  それから、その下のその他でございます。配合剤については、いろいろ御議論がござい ましたけれども、事務局の提案としては、合計の8掛けにしてはどうかということでござ います。  次のページでございます。他社製品を組み合わせる配合剤も今後出てくるかと思います けれども、他社品については当事者から見れば後発品という扱いになるわけでございます ので、後発品のうちの最低薬価を足した価格にするか、それとも他社の先発品の薬価の両 方の合計に8掛けをしたものと、どちらか低い額にしてはどうかということでございます。  また、HIVの薬については、どこの国でも大体足し算になっていることも考えまして、 そのルールの対象外として、これまでどおりでどうかということでございます。  そのほか、(2)でございますけれども、成人対象の薬で、これはトレリーフ錠でいろ いろ薬価部会で御議論がありまして、ルールを見直すべしという御意見があったところで ございます。それについては、この御議論を踏まえまして、原則としては原価計算方式で 算定しまして、類似薬効比較方式による算定値を上限としてはどうかということでござい ます。  長くなりましたけれども、以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは、審議に移りたいと思います。まずは薬価維持特例に関して議論していきたい と思いますが、薬−1に書かれた内容です。これまでの指摘に対する事務局からの回答と いうものが出てきておりますが、これについて御意見、御質問を御自由にいただきたいと 思います。  小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  薬価維持特例は、新薬を創出する、適応外薬を解消するという観点から、市場実勢価格 に基づく算定値に加算するということで随分整理されたと思っておりますが、資料の3ペ ージの開発促進スキームの中に「対応が不適切な場合には加算の不適用を検討」とありま す。客観的で明確な基準という意味では、例えば開発要請を受けてから治験着手までの期 間や承認申請までの期間、あるいは取り組み遅延の場合のペナルティーの設定などは、今 回の改正に合わせて定めておく必要があると思いますが、どう考えているのかお聞きした いと思います。  また、加算によってメリットを受ける企業が未承認薬を開発するという関係であれば、 加算制度は分かりやすいと思いますが、加算を受ける企業と実際に開発の要請を受ける企 業との対応関係がどうなっているのか分かりづらく、加算だけを受けて、実際には開発が 行われないというケースもあるのではないかと思っております。制度の趣旨からするとこ れは必ずしも適当ではないと思っておりますが、その対応についてはどうかということを まずお聞きしたいと思います。 ○遠藤部会長  質問ということでよろしいわけですね。事務局のお考えなのか、あるいはこれは専門委 員にお聞きするのが……。でも、これは規制の話ですから、事務局の考えということにな るかと思います。2つございました。この具体的な加算の不適用というところの条件はど ういうことを考えられるのかということと、もう一つは実際に未承認薬を開発する企業と、 しない企業が出てくる可能性もある。しかし、一様にそれが薬価維持特例の対象になると いうことは不適当なので、その対応関係をどう考えるか。その2つの質問です。いかがで しょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  まず1つ目の御質問でございますが、薬−1の資料の2ページをごらんいただきたいと 思います。その一番下に書いてございますが、まさしく小林委員御指摘のように、その点 については、極力客観的かつ明確な基準を設ける必要があろうかと思っております。今御 指摘があったように、治験に着手するまでの期間とか、承認申請までの期間というのが、 一番分かりやすい設定だろうと思っております。一つ私どもとして気にしておりますのが、 企業によってはかなり数多くの要請を受ける可能性がございます。10品目とか、多けれ ば20品目ぐらいあるのかもしれないんですけれども、そういったケースについてどうす るのかと。つまり、確かに企業も、開発部隊がたくさんいるわけではございませんので、 同時に10品目も開発できるのかということがございます。そういったものの規定ぶりを どうしたらいいのかということがあろうかと思っております。そういった点についてはま た専門委員の御意見も伺いたいとは思っております。  ペナルティーということでございますが、今回の措置でございますけれども、基本的に は、この有識者会議に上がってくるものについては、本来はそういう要望を受けずに、そ れ以前に既に開発に着手しているというのが、多分一番すばらしい企業だと思っておりま す。こういった意味で、ある意味でおしりをたたかれているという状況でございまして、 つまりそう言われずにやっている企業が多分一番立派な企業なんだと思うんです。ただ、 おしりをたたかれてもなおやらないということが一番問題かと思っております。そういっ た場合については、さすがにこういった加算を適用しないということが、一番のペナルテ ィーといいますか、ディスインセンティブといいましょうか、そういった形ではないかな と思っておりまして、現時点でそれに加えての何か引き下げということまでは今回の措置 ではなかなか難しいのではないかと。今後引き続き議論する中で、例えば次回以降どうす るかという中では、その議論はあろうかと思っております。  それから、2番目の点でございます。確かにそういう点が大体マッチングしておりませ んと、この制度はうまく回らないようになっているのが正直なところでございます。この 一つのスキームのポイントは、加算するものと助けるものが違う品目だということでござ います。どちらかというと企業単位でものを見ていくということでございますので、小林 委員御指摘のことがあり得るかと思っております。ただ、その点についつては、大手の製 薬企業はたくさんの新薬を持っておりますし、幾つかの品目についてはこういった要請を 受けるというのは、一応我々のほうであらあら見ておりますと、まだまだお出しできるも のになっておりませんけれども、大体、恩恵を受けるものと、それから要請を受けるもの と、同じような企業が受けるような状況に落ちついているのではないかと思っているとこ ろでございまして、若干ここで資料としてお示しできるものがないのは恐縮でございます けれども、事務局としてはそのように思っているところでございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  小林委員、よろしいですか。小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  資料の4ページの平成22年度薬価改定の見込みの数字ですが、今回平成22年度には 試行的でスタートするということであれば、加算の額830億円が適当なのかどうか、ち ょっと過大ではないか。また、後発品のある先発品の追加引き下げが2%となっています が、これはもう少し下げることができないのか。したがって、ネットで300億円、これ は可能な限り圧縮できる余地はないのかどうか。この辺についてはいかがでしょうか。 ○遠藤部会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  その点はまたいろいろ御議論があるところだと思いますので、いろいろ議論していただ ければいいと思っておりますが、これまで製薬業界の御提案も、先ほどから薬−1でお示 ししたように、これには全く合理性がないかという点については、そういう一定程度の合 理性があるのではないかということで、事務局としては、こういった提案、先ほど薬−1 でお示ししたような形でやることは、必ずしも不適切とは言えないのではないかという気 持ちでございます。  それよりも大事なことは、今御指摘のあった、後発品が進んでいない部分でどのような 既収載品の引き下げをするかということでございます。その点についても、我々のほうで も大分考えましたけれども、最初に御説明したように、一番引き下げ率の厳しかった平成 18年度、医療費全体で3.16%をカットしたわけでございますが、その際には薬価も 追加で引き下げをしておりまして、このときの措置がこれまでで最大で一番厳しい措置だ と思っておりますけれども、これがここに書いてございますような既にある既収載品の後 発品のある先発品の追加で2%下げているということでございまして、これ以上やること はかなり限界に近いのではないかと思っているところでございます。 ○遠藤部会長  小林委員の御意見は、例えばここで議論するときの制度設計の中で、830億円をもっ と圧縮するべきだというのであるならば、平均よりも高いと言っているわけですけれども、 それをさらに上の4分の1にするとか、そういう話になればここが減るとか、そういうこ とでこの制度設計の中で調整できる話だと思いますので、ここでの議論ということだと思 います。  禰宜専門委員、どうぞ。 ○禰宜専門委員  先ほどの未承認の件でございますけれども、業界としても、いつもその対応につきまし ては宣言させていただいておりますように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 したがいまして、万が一対応が不適切な場合におきましては、当該加算の適用を制限され ることに理解できるものと考えております。ただ、1点だけ申し上げれば、基準の策定及 び運用に際しましては、治験着手の状況に加えまして、ライセンス料の問題とか、あるい は複数品目の要請を受けている中で、より優先順位の高いものから取り組んでいるなど、 メーカーによっては個々の状況もございますので、そういうものを勘案していただいた上 で有識者会議で御判断いただけたらと思っております。また、これからそのようなものの 開発がより適切かつ円滑に進むように、業界といたしましては、ファルマ、エフピア、製 薬協で未承認薬等解消促進タスクフォースを立ち上げまして、これらの解決について議論 し、そして行政としっかりと検討してまいりたいと考えて今進めておりますので、その点 だけを御報告いたします。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ほかに御意見はございますか。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  この御提示を受けまして、医療側の議論としては、これは1号側も多分同じ御意見なん だろうと思いますけれども、お互いに財政運営が厳しい中で、我々から言うと失礼なんで すけれども、まだもう少し余裕がおありになるのではないかと思えるお薬のほうで、でき るだけ改定原資を見出していただきたいという希望はあって、特に診療所とか病院の経営 困窮などの現状に比べれば、今期にこれをどうしてもやらなければならないのかという疑 問は根本的にはあるという意見が非常に強く出たということはまず申し上げさせていただ きたいと思います。  しかし、その中で、今回全体の薬剤費引き下げで5,000億円で、今後の特例をやっ ても4,800億円の原資が出てくるという数値を出していただいているわけでございま すので、これは平成20年度改定に比べれば大きな数値になっている。平成20年度まで は、御承知のように政府のマイナス2,200億円の社会保障費の伸びの抑制という枠が ずっとはまっていた中で、その抑制の原資としてとられていくために、改定のほうには回 らなかったという状況であったことを考えると、昨日も足立政務官が記者会見をしてお答 えになっておられましたが、これはしっかり要望していただいて、この分は今回は本体改 定のほうにしっかりこのまま100%とってきていただきたい。これは要望でございます が、これはしっかりお願いしたいということであります。  その上で一つちょっと御質問いたしますが、薬−2の資料の5ページです。積み上げて、 下が青で減らす分ですね。青の減らす分の中に、後発医薬品の使用促進ということと、そ れからいわゆる長期収載品の引き下げというものを見込んで、これだけの見込みの数字に なっているわけですが、これが本当に達成できるのか。例えば、前政府のところでのマイ ナス2,200億円削減の原資としても常に後発品使用促進での目的額が設置されていた と思いますけれども、そのとおりになっていないという中で、これが今後、年を経るごと にこのように減っていけるという見込みがちゃんとあるのかどうか。このことは、この2 年を試行として、その後はまたゼロベースで考えるということと関係があると思いますの で、本当に創薬とか外国企業の参入によるイノベーションの評価ということを言うのであ れば、例えば2年間だけこの特例加算をつけたとしても、それですぐに外国企業が来るか という話もあるわけでございますから、これはこの目標数値どおりにちゃんといけるとい うどのぐらいの確信があってのシミュレーションなのかということが一つと、たった2年 の特例措置でそういうイノベーションの促進ということが図られるのかどうか。その辺の 関連性はこの試案の中ではどう考えられているのかということをお伺いしたいと思います。 ○遠藤部会長  では、事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の御指摘の点でございます。ここの言ってみれば青の引き下げの部分でございますが、 これについては、どちらかというと基本小委の御議論になるかと思いますが、今後どのよ うな後発品使用促進策がどういった形でできるかというのが一つのキーだと思っておりま す。ただ、仮に後発品の使用が進まないとしても、ここで申し上げておくのは、後発品の 使用がちゃんと進むということを前提としてこの制度を導入することを製薬業界が提案さ れたことを考えますと、もし仮に進まない場合であっても、一定程度は既収載品の切り下 げをやらなければいけないということが前提かと思っております。逆に言えば、製薬業界 に対するメッセージといたしましては、後発品の使用が進まなければ、各社の既収載品が 切り下げられていくという構図になるわけでございまして、そういった意味で長期収載品 の販売姿勢にかなり影響を与えるのではないかと私どもは思っております。そういった制 度として取り組んで、確かにどうなるかはふたをあけてみないと分からないところはござ いますが、それはきちんと検証して、毎回毎回どういう状況になっているのかを見ながら、 この措置を継続するかどうかを判断するということが適切ではないかと思っております。  2点目でございますけれども、確かに新薬の開発には長期間かかるわけでございまして、 2年程度ではなかなか分からないところだと思っております。ただ、では今回の改定をし て、その次どうするかということについて、その段階で得られたデータで、直近のデータ では多分適応外薬についてはそれなりの進捗が出てくると思いますので、それなりの進捗 が得られたかどうかというメルクマールは見られてくると思いますので、そのほかの新薬 の状況はまだなかなか分からないと思いますけれども、そういったものを見ながら、その 段階、その段階での適切性は判断していけるのではないかということで、毎回毎回そのチ ェックをしながら、この制度を継続実施するかの判断をしていくことが適切ではないかと 思っているところでございます。 ○遠藤部会長  いかがですか。 ○安達委員  分かりましたが、今回はそれでやむを得ないのかなという気がしないでもないんですけ れども、今申し上げた観点をしっかり考えていただきたいということでございます。  あと、薬−1の3ページの6、これは前にも申し上げましたけれども、この考え方でい いのかどうか。つまり、未承認薬全体の開発の経費を、今回特例加算になる薬剤を使って いる人の負担だけで、あるいはその患者さんが加入している健康保険組合の負担だけで賄 うという考え方は基本的には違うのではないかと私は今でも思いますので、この考え方を 示していただきましたけれども、あわせてその他の政策的な予算というものを別に確保す る努力を続けるという方向を確認した上でこの話を考えないといけないのではないかと思 って、意見を言わせていただきます。 ○遠藤部会長  今の点について、事務局としてコメントはありますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の点はごもっともだと思っておりますので、その他の公費助成等の措置につきまして は、保険局というよりは医政局なりでどう考えていくかということでございますので、そ の部局にちゃんと伝えまして、そういった検討をお願いするようにしたいと思います。  あと何かございましたか。 ○遠藤部会長  経済課長、どうぞ。 ○事務局(木下経済課長)  経済課長でございます。  今、未承認薬あるいは適応外薬につきまして、医政局の中でも研究開発振興課で、具体 的には、補正予算では100億円については未承認薬のみということになりましたけれど も、平成23年度以降の扱いについては、また予算等での対応についても引き続き検討す るということになっております。それから、例えば現在でもオーファンドラッグの開発費 につきましては一定程度の助成をしている事実がございまして、こういったものの充実を 図ることで対応したいと思っております。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  今日の御説明で、適応外薬品の開発促進とか、財政との関連とか、それからジェネリッ クの使用促進との関係など、大体の問題が整理されて、私自身はよく理解できたように感 じますが、現状の医薬業界を見させていただいて、私が特にあれするのは、ファイザーが 日本に乗り込んでくるということです。これは、この制度自体だけでもかなり業界内に大 きな影響が出るのでしょうけれども、私は、ファイザーが乗り込んでくるというのは医薬 品業界に大変大きな影響を与えるのかなと懸念もしているし、また避けられないグローバ ル化だろうと思っております。そういう意味で私は、2年だけやって外国が来るのかとい う先ほどの足立先生の御意見に全く賛成で、今回の中医協のこの議論は外国も注視してい ると思います。日本の医療業界の規制という形がどのように変わるのかということを注視 していると思うし、今の我々の議論は見られていると思います。それだけに、2年で終わ るということになると、大変大きないろいろな影響が出てくると思います。では2年で終 わらないためにはどうするかとなると、この薬価維持特例の大きな改革を何とかして実現 するためには、2年後に相当厳しい検証をさせていただいて、業界も最善の努力を払って、 そして新薬とか適応外の薬品の実効を上げてもらうということが大変重要だろうと。そう すれば、また継続にもつながっていって、外国の見る目も違ってくるのではないかと思い ます。私は、そういう意見をつけて、今回のこの提案については大体理解できるという印 象です。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ほかに、どうぞ。三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  私も、今、安達委員、北村委員がお話しされたのと同じ感想を持っております。医療保 険の財政が逼迫している中で、その原資を勤務医の負担軽減とか医療機関等における経営 の悪化に対して優先して対応していくことが重要であるということはもう言うまでもない ことだと考えておりますが、その一方で新薬開発あるいは未承認薬や適応外薬の問題の解 消も同じように大切な問題であるということは十分理解できると考えております。今回提 出されたこの加算については、参考資料の3ページにありますとおり、有識者会議におい て開発要請があって、そしてその各企業の開発状況の報告を中医協が受けて、対応が不適 切な場合には加算を不適用とするなど、今までの議論にもあった担保の確保という面にお いてもある程度納得できるものと思われます。また、平成22年度限りの措置としての試 行ということも、これはかなり厳しい条件であって、クリアしていくのがなかなか厳しい。 ただ、今、北村委員がおっしゃったように、その後どうするかというところも注目されて いるところだと思っております。この試行後の開発状況等を検証しながら、今回の御提案 については、なかなか必要であるのではないかと考えます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ほかに。中島委員、どうぞ。 ○中島委員  私も意見と、それから質問を一つしたいと思います。意見としては、皆様がおっしゃる ように、大変知恵を絞っていただいたということは、十分に理解できます。ドラッグ・ラ グの解消なり、本来の目的をきちんと担保するということと、こういう状況で原資に限り があるところで、できる限り本体に原資を回せるように努力するという、そこは必要な条 件になるだろうなと思っております。  それで、一つ質問なんですけれども、先ほど事務局のほうからも、薬−1の3のところ で、加算を適用しない場合の基準ということで書いていただいておりますし、これからそ れを検討いただくということなんですけれども、薬−2の資料のほうで見ますと、開発促 進スキームの中にセットで入っている、不適切な場合の加算の不適用のことを指すと理解 していてよろしいのかどうか。これは確認でございます。  それから、平成22年度からスタートということになりますと、ここら辺のルールとい いますか、基準の明確化、できるだけ早い時期に見える形にしていただいたほうがいいの ではないかなと思うんですが、そのスケジュール的なイメージがあれば教えていただきた いと思います。 ○遠藤部会長  事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の中島委員の御質問に関しまして、まさしく薬−2にあるポンチ絵に「対応が不適切 な場合には加算の不適用を検討」とありますが、ではどういう場合が不適切かということ について、先ほどの薬−1に書いたように、客観的かつ明確な基準をつくっていく必要が あるのではないかという事務局の考えでございます。まさしく不適切の基準を明確にすべ きではないかということでございます。ただ、そこについては、先ほど専門委員の話がご ざいましたけれども、どこまで明確化できるのかというのはちょっと悩ましいところでご ざいます。薬−1に書いたような指標が一番分かりやすい指標だと思っておりますが、特 に多くの品目を受けたような場合について、例えば一律1年とか、半年とか、そういった 基準でできるのかというところは私どもも疑問で、今回はちょっと御提案できなかったと いうことでございます。その点については、今日の会議後、また鋭意検討して、出せるも のは出していきたいと思います。 ○遠藤部会長  中島委員、よろしいでしょうか。  先ほど白川委員がお手を挙げておられましたが、いいですか。  では、牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  試行的に実施した場合に、次期改正というのか、次のときに検証して、それで継続する かという、そのためにもその検証というのは重要だと思います。ただ、質問したいことは、 先ほども期限の問題がありましたけれども、2年間たったところで何が情報としてつかめ るかと。実績としてつかめる部分もありますが、この制度が目標としているものは必ずし も2年で達成するものだけではない。そうすると、その2年間で得られる実績の部分と、 そうでない部分というのは、今回お出しいただいているようなある種のシミュレーション という形になるのだろう。そうすると必ずしも実績ではないんですけれども、そのときに どういう形でそれを判断したらいいかという、その辺は何かお考えがあればお聞かせくだ さい。 ○遠藤部会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  一番分かりやすい指標は、先ほどのいわゆる適応外の問題については、要望も実際に既 にこの夏から受けておりまして、有識者会議がセットされた後、多分近々にも企業に要請 はなされると思います。その場合には、品目が特定されて、どの企業に要請されたかもは っきりいたしますので、それがどうなったかについては極めて明快な状況が分かると思っ ておりまして、これが一番はっきりした確認のできる、検証できる事項だと思っておりま す。そのほかは、後発品の使用がどうなっているかについては、これは若干遅れた後、我 々もまた薬価調査等をして、調べてお出ししていくような感じが基本の考え方でございま す。また、今回の改正で精査いたしまして、どういう品目が実際に対象になったのかとい うことについても、これまで専門委員のほうからいろいろな、こういう品目が対象になる のではないかということはございましたが、いわゆる市場の評価、いわゆる加重平均乖離 率を超えないものとしては具体的にどういうものがあったのかということについても、こ れはすぐにまたお出しもできますので、そういった品目の決め方も含めて、検証できる部 分は幾つか出てくると思っております。 ○遠藤部会長  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  財政的な効果といいますか、財政影響というのはつかめるんですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  財政影響については、今日お示ししたように、平成22年度の薬剤費の見込みから、現 在の、今日総会で御報告があった薬価調査から試算いたしますと、この程度でございます ので、これの最終的なものはお出しできると思っております。平成22年度の薬剤費の、 実際にこれにかかった経費という意味では、お出しできると思います。大体これになるも のは、私どもの予算上、これまでの実績からいきますと、ほぼこれになると思っておりま す。 ○遠藤部会長  よろしいですか。  ちょっと確認ですけれども、平成22年度からということですが、平成22年度に導入 して2年間という意味ですか。「平成22年度限りの措置」と書いてあるので、何か2年 という言葉と、この文章では「平成22年度」と書いてあるので、1年間なのか、その辺 をちょっと確認したいと思います。それによって出てくるデータが違ってくるわけです。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  分かりにくい表現でございまして、申しわけございません。平成22年度薬価改定限り の措置という意味でございますので、当然その次の改定はまだ今確定しておりませんので、 2年とか1年とかと言うことはできませんけれども、あくまで今回の改定での措置と、で すからその次の改定までの期間ということがこの意味でございます。 ○遠藤部会長  もう一つ質問させてください。先ほど出た質問と絡むんですけれども、その場合、企業 によっては未承認薬を開発するとか、そういうオブリゲーションがない事業も出てくるわ けですね。そういうのはそのまま素通りするという形になるのですか。どのように考えた らいいのか、その2年間だけの判断ということですけれども。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  我々としては、多分そういった企業は非常に少ないだろうと思っておりますが、確かに そういう企業は論理的に当然ございますし、恩恵を受けた企業はどういう企業で、要請を 受けたのはどういう企業かというのは、改定後は当然お出しもできますので、そういった 点もお示しさせていただいて、こういう措置が適切にワークするのかどうかということも 当然御検討はいただけるものと思っております。ただ、多くの場合は、大体大手の新薬メ ーカーですと、たくさん品目を持っておりまして、その恩恵を受けるであろう品目もござ いますし、要請を受ける品目も大体同じような感じでございます。ただ、企業によっては、 恩恵を受けるものは余りないとか、要請を受けるものが非常に少ないケースも確かにござ いますが、今回の措置が認められるのであれば、それについてもまた改定終了後お出しし て、どのようにワークするのかということについても検討できるような形にはしたいと思 っております。 ○遠藤部会長  白川委員、いいですか。すみませんが、白川委員が先に。よろしいですか。では、白川 委員、どうぞ。 ○白川委員  今私が言おうと思ったことを先に言っていただいたのですけれども、以前にこれを審議 したときに、そもそもこの特例というものは未承認薬とか適応外の開発を促進する費用を 確保するためという説明を聞いておりましたので、それを担保する制度的な仕組みがない かといった御意見を差し上げたのですけれども、確かに中医協等でいろいろチェックして いくと。牛丸先生の質問に対しても、2年後にも、ある項目ごとにチェックしていくのだ というお話は分かるのですが、一つの企業ということで考えると、これで利益を得て、投 資の順番が回らないといいますか、投資の必要がないという企業が出てくるという矛盾点 はどうしても解消できないと思うんです。ぜひともそこのところはもう一工夫していただ けないかと。変な話、この特例を受けるのであれば、必ず一つはそういったものを開発す るのだとか、何かそういうリンクづけをしないと、おかしいのではないかと思いますので。  それからもう一つは、薬−2の4ページの資料で、今回の薬価改定全体で4,800億 円ほど削減できるでしょうというのは分かるのですが、その下の部分の表が私には理解で きないんです。一番下に、後発品のある先発品の追加引き下げは2%減だと。この話と今 回の上の維持特例との関係は、私はないと思うんです。マイナス2%のところは、以前に も私は申し上げたんですけれども、特例引き下げをやるということと、ジェネリックの促 進といいますか、それとは相関関係が全くないし、したがって、先発品と後発品の差をも う少し縮めてもいいのではないかという話で、これは切り離して考えるべきだと思うんで す。そうすると、薬価維持特例で830億円使うという話ですね。これぐらい必要なのか どうかということは私どももよく分からないんです。もともと目的は何回も申し上げてい るような目的ですから、それでどれぐらいのお金が必要なのかということがよく分からな いので、何とも申し上げられないんです。ただ、第一感としては、830億円はちょっと 多過ぎるのではないかという感じがしておりまして、条件面で少し厳し目に対象商品を絞 るといったことも少し考慮すべきではないかなと私は考えております。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  もうかなり時間がたっておりますので、手短に3点ほど意見を申し上げたいと思います。  一つは、今日の総会、それから基本問題小委を傍聴させていただきました。毎回、医療 崩壊をいかに早く食いとめて良質な医療を取り戻すかということでずっと御議論をいただ いている中で、この薬価専門部会では、今のようなお話を1年半、お時間をちょうだいし て続けてまいりました。今さまざまな御意見が出ましたので、その中で、1つは本加算と 称するルールの導入のいわゆる短中長期のドラッグ・ラグの解消との関係を整理して申し 述べたいと思います。2つ目は有識者会議の今後の課題というものを申し上げたいと思い ます。 ○遠藤部会長  手短にお願いします。 ○長野専門委員  まず、まさに未承認効能、未承認薬のドラッグ・ラグを早期に解決するというのが短期 的課題であります。それにこの裏打ち、裏付けというものが先ほどから御紹介されたとこ ろだと私は認識しております。一方で中長期のドラッグ・ラグ、これは欧米の医療と同様 に、日本の患者さん、国民が同時期に画期的な新薬にアクセスできるということを実現し なければならない。これが中長期のドラッグ・ラグの解消という目標だと思います。この トータルをこの制度で動かせたらというところが、そもそも今までいろいろ厳しい御意見 をいただいてきたポイントだと思っております。  2点目は有識者会議でありますが、先ほど事務局からもいろいろ御発言いただきました。 それで、実際に年数とか期間という指標も大事だと思います。実際は、各社、各企業がど ういう工程表をつくるかというところから早急に事務局と議論し、それを確定して有識者 会議に上げていくこと、これが一番大事だと思いますし、ここでそれが適正か不適正かと いう御判断があり、中医協につながってくるものと存じます。ぜひそういう意味で、議論、 検討に業界も当然前向きに参加したいと思います。  3点目でございます。今日は資料説明だけでございましたけれども、例えば再算定とか、 外国価格との差をどう縮めるか。これは、特に外国製薬企業・外国製薬団体が大きく影響 を受けるところだと思います。今後、次回以降に業界代表の意見陳述の場も設けていただ けると私どもは予測しておりますので、ぜひその場でその辺の意見を聴取していただきた いと思います。  最後に、申しわけありません。実は、この10年間ぐらい独創的な革新的な新薬を出し ていない企業は、もろに今回、この先発品の2%追加引き下げの標的になります。つまり、 いわゆる維持特例で恩恵を受ける企業と、先発品でダメージを受ける企業、これもイコー ルフィッティングではないわけであります。業界全体で見れば、今までの御説明にあるよ うな構図にはなります。ある企業は、この10年間で独創的な新薬を出せなかったために、 後発品が出て、売上の8割から9割は今回追加的な引き下げ2%を受ける企業にもなりま しょう。そういうところがかなり多く存在する。これが短期的には雇用の面も含めて大き な経営課題だと思っております。それは、経営者がしっかりと旗振りをして経営的に乗り 切っていくことだと思いますけれども、最終ゴールは患者さんと国のためだと、私どもも かたく思っております。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  2号側、何か意見はありますか。よろしいですか。  そういたしますと、今回は試行的に……。事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  先ほどの白川委員の御疑問に対して若干補足説明をしたいと思います。  参考1に、何度も出している論点がございます。参考1をちょっとごらんいただきたい と思うんですが、その2ページ目です。4で後発品の使用促進との関係ということでござ います。その(2)でございますが、後発品の使用促進が計画どおり進まない場合、製薬業界 は制度導入に伴う財政影響を補てんする方策として既収載品の薬価を引き下げることをや むを得ないといった御指摘でございまして、業界の今回の提案は、後発品の使用促進で浮 いた財源をこれに充ててくれということだったのですが、進まない場合はどうするかとい うことでこういう提案があって、事務局的な考えからいくと、例えば確かに830億円や るということであれば、当然ここの部分をセットの問題として考えなければいけない問題 だととらえておりましたので、830億円と530億円をセットのような書き方で出させ ていただいております。  そもそも論として、白川委員、例えば先発品の特例引き下げの率についてはどういうレ ベルが適切かということはまた御議論があろうかと思いますが、仮にこれをやることで追 加引き下げを2%やると、ではこれ以上どうやっていくのかという話にまたなっていきま すので、結果的に、私どもの考えとしては、ここの部分の論点として御提示させていただ いたと御理解いただければ幸いでございます。 ○遠藤部会長  白川委員。 ○白川委員  ここで余り議論する気はないんですけれども、それでは、この維持特例を導入しないと いうことにしたら、2%の引き下げはやらないというお話ですか。 ○遠藤部会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今回の提案では、そういうことになろうかと思っております。ただ、そもそも特例引き 下げとしてどうするかということは別途の議論としてあろうかと思いますが、今回の提案 はそういう提案でございます。 ○白川委員  セットでということですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  はい。 ○遠藤部会長  従来どおりの特例引き下げというのはやるということですね。これは400億円マイナ スのところですね。それとは関係なく、維持特例をやったときには、530億円分がマイ ナスになるけれども、830億円ぐらいはむしろ追加でかかるという見方ということです ね。先ほどの管理官の御説明だと、先発品の特例引き下げ分と、それから後発品の400 億円ですか、あと530億円を足すと900億円ぐらいになるから、830億円ととんと んになると、そんなイメージでおっしゃったんですか。私の理解の間違いですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  そのとおりです。 ○遠藤部会長  そのようなことをおっしゃったわけですね。わかりました。  本日の議論を踏まえまして、基本的に試行的に導入するということに対して、積極的な 反対をするという意見はなかったと思います。ただし、中身については、まずはかかる費 用がこれで適正なのかという御意見があったこと、あるいは未承認薬の開発をしなければ いけないような製薬会社とそうでない製薬会社が多少とも混在していったときに、その検 証をするときにどういう判断をするのかといったこともまだちょっと不透明であるとか、 いろいろな細かい点について不透明なところがあったと理解してよろしゅうございますか。  ということですので、ただいまの議論等を踏まえまして、もう少し細部に入ったたたき 台を新たに出していただいて、議論を継続したいと思います。よろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、もう一つ、この薬価維持特例ではないほうの論点です。通常であればこうい うものしかないんですけれども、今年はそれに薬価維持特例があるということです。した がいまして、管理官は非常に短い時間で読まれましたけれども、内容的にはいろいろとあ るわけでありますが、何か御質問、御意見はございますでしょうか。  長野専門委員。 ○長野専門委員  もう時間がありませんので内容には触れませんけれども、再算定あるいは外国価格の問 題をどう見るか、これにつきましては次回以降にぜひ意見聴取をお願いできればと思いま す。特に再算定もそうですし、外国価格の場合、いわゆる為替の変動で、円高でございま すけれども、4割、5割の変動幅があったときに、その上限を2倍にしたときに、かなり それが影響してしまうといったこともありますので、導入・変更の時期的な問題も非常に 重要になるのではないかと私は存じております。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ほかにどうぞ。それでは、白川委員、どうぞ。 ○白川委員  事務局の御提案は、ほぼそのとおりかなということで納得しているのですけれども、最 後の例のトレリーフの話で、こういう場合には原価計算方式でやるのだという御提案です が、これでやった場合に問題のトレリーフは幾らになるのでしょうか。 ○遠藤部会長  事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今回の提案は、これからの新規収載品の問題ですので、トレリーフを再算定するという ことではないのですが、実は、当然こういった薬価部会の御議論は我々も十分承知してい るつもりでありますし、こういった類似薬効でいくのか、原価計算でいくのか、なかなか 悩ましい事例で、それは類似薬効になったわけでございますが、正式にいろいろ細かく原 価のデータを見たわけではございませんが、一応企業には、原価ではどうなるのかという ことはこのときにお聞きしております。そう聞きますと、それが適切かどうかは当然あろ うかと思いますが、私には、類似薬効よりも高い金額がかかるということを言っていたと いう記憶がございます。 ○遠藤部会長  では、関連ですから、白川委員、引き続きお願いします。 ○白川委員  それで心配しておりますのは、こういう原則で計算してみたら、要は新薬でもトレリー フみたいなことが起きてしまった、数十倍になったということが現実にはあり得るのでは ないかと思うんです。そういう危険性はあると考えてよろしいんですか。 ○遠藤部会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  確かに、おっしゃることは起こり得ると思っております。どういう場合に起こり得るか と考えますと、もともとの薬が非常に古い薬で、言ってみればほとんど原材料費程度しか かからない、何十円というものになっているケースについて、そういった原料費で考えま すと、治験とか臨床試験を何症例やったかとか、それから市販後の臨床試験で何例ぐらい 見ていくのかとか、そういったことを通常の新薬と同じ程度やるとすると、その比率が大 きく高まってしまうということになりますので、そういった古い薬で薬価が安くなってい るようなケースについては、そういうことがあり得るとは思っております。 ○遠藤部会長  白川委員、よろしいですか。  安達委員、お待たせしました。 ○安達委員  もう最後にします。今、白川委員がおっしゃったことも全部関係あるのですが、トレリ ーフを離れて、前回私はこれは原価計算方式でやるのが一番分かりやすいのではないかと いうことを申し上げた。そしてこういう御提案になったんですけれども、そのときに検証 をぜひしないといけないのは、薬価の場合は、原価としてはむしろ原材料よりも開発経費 と市販後の調査費用が大きいので、それが乗るんだという御説明なんです。例えば市販後 調査一つにしましても、その経費が本当に妥当なのかどうかということも含めて原価計算 をしていただかないと、単純に原価を積み上げるといっても、1回の市販後調査でこれだ けの1件当たりの価格がかかりますと言われて、はい、そうですかと言うわけにいかない ということはあるのではないか。簡単に言うと、今想定されている価格は高過ぎるのでは ないのかなと私は思っているわけでして、そういうことも含めて原価の計算の議論をちゃ んとしていただきたいということを申し上げたいと思います。 ○遠藤部会長  ということですので、特に原価の正確な把握というのは昔からいろいろ議論のあるとこ ろでありますので、ひとつよろしくお願いします。  それでは、松谷専門委員、どうぞ。 ○松谷専門委員  薬価の低い、最低薬価の問題なんですけれども、最低薬価のものが、実際の乖離率より も大変大きな乖離率が実際に薬価調査をすると出てくるということで、それをそこまで下 げたらどうかという御意見なんですけれども、実は今、流通の実態でいいますと、これは 取引ですから、医療機関やいろいろなところから値引要求等が必ずあるわけです。そうい うときに、比較的小さなメーカーさんと言うと失礼ですけれども、局方メーカーさんとか 補液のメーカーさんから我々卸はよくしかられるんですけれども、医療機関からの要請の ときに、大手メーカーさんのものはなかなか下げないで、そういうものを下げて価格調整 をしているという意味で、皆さんの薬価調査や価格の入れ方について、非常にたくさんの クレームが我々流通業者に入っています。そういう意味で、もともと最低薬価というのは、 基本的に、ここでごらんになってもお分かりのように、9円幾らとか6円とか、こういう ものをまたさらに下げること自体がそんなに意味があることとも思えないし、また薬価そ のものも何十年もずっと下がってきて最低薬価になったのですから、乖離率よりも多いか らといって、その最低薬価の小さなものをさらに大きく下げること自体が中小メーカーに とっては大変な負担になっていると、薬価改定のたびに我々は言われております。自分ら ももっときちんとした価格を入れればいいんですけれども、比較的そういう現象が起きて いるということだけはよく御承知の上でこの問題に取り組んでいただかないと、中小メー カーさんに対しては大変きつい提案だと私は思いますので、一言申し上げました。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは、まだ御意見はあるかと思いますけれども、時間が大幅に延びておりますので、 これくらいにさせていただきたいと思います。  事務局におかれましては、本日いろいろな課題が出ましたので、それを踏まえまして、 また新たな整理をしていただきたいと思います。  それから、本日の薬価部会はこれにて終了いたしますけれども、次回の薬価専門部会は 12月9日に開催する予定で、本日事務局から提示された全体的な論点整理について、関 係業界から意見聴取を行って、引き続き検討するということにしたいと思います。  事務局から何か関連でありますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特にございません。 ○遠藤部会長  それでは、本日の薬価部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございまし た。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)