09/11/30 第37回労働政策審議会安全衛生分科会議事録 第37回労働政策審議会安全衛生分科会 議事録 1 日時 平成21年11月30日(月)10:00〜11:00 2 場所 経済産業省別館1014号会議室 3 出席者 (委 員) 公益代表  相澤委員、今田委員、露木委員、名古屋委員 労働者代表  市川委員、犬飼委員、高橋委員、谷口委員、古市委員、眞部委員 使用者代表 明石委員、瀬戸委員、高橋委員、豊田委員、中村委員、三浦委員 (事務局) 平野安全衛生部長、高崎計画課長、田中安全課長、鈴木労働衛生課長、 半田化学物質対策課長、島田化学物質評価室長 4 議事録 ○計画課長 ただいまから第37回労働政策審議会安全衛生分科会を開催したいと思います。本日は委 員改選後初めての分科会になります。分科会長選出までの間は、安全衛生部計画課長の高崎が議事進 行を務めさせていただきます。本日は、内藤委員、中原委員、土橋委員、芳野委員、伊藤委員が所用 のためご欠席との報告を受けています。労働政策審議会令第9条に規定します定足数を満たしています ので、本日の分科会が成立していることを申し上げます。  議事に入る前に委員に就任されました皆様方をご紹介させていただきます。お手元にお配りしてい ます参考資料No.1に委員名簿を付けていますので、ご覧いただければと思います。順にご紹介させてい ただきます。一言ご挨拶いただければと思います。まず公益代表の相澤委員です。今田委員です。露 木委員です。名古屋委員です。  労働者代表の市川委員です。犬飼委員です。高橋委員です。谷口委員です。古市委員です。眞部委 員です。  続きまして、使用者代表の明石委員です。瀬戸委員です。高橋委員です。豊田委員です。中村委員 です。三浦委員です。  次に事務局も前回以降に異動がありましたので、紹介させていただきます。安全衛生部長の平野で す。安全課長の田中です。化学物質対策課長の半田です。最後は私、計画課長の高崎です。よろしく お願いします。それでは、開催に当たりまして、安全衛生部長より一言ご挨拶申し上げます。 ○安全衛生部長 委員の皆様方には大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。また、日頃から安全衛生行政の推進についてご理解・ご支援を賜っていることにお礼申し上 げる次第です。今年の4月に改選がありまして、引き続き委員になっていただいた皆様、あるいは今回 新たに委員になっていただいた皆様方にはどうぞよろしくお願い申し上げます。前回の開催が今年1月 でして、それから時間が経っていますので、最近の労働災害や安全衛生関係の施策の進展状況などに ついて、簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。  平成21年の労働災害の発生状況をみますと、昨今の経済情勢による産業活動の停滞も影響している と思われますが、死傷災害、死亡災害並びに重大災害のいずれについても前年に比べかなり減少して います。しかしながら、11月7日の時点で把握をしています数字でも771人もの方が亡くなっていまし て、これについては大変重く受け止めています。  また、平成20年の業務上疾病による被災者については8,874人となっていまして、平成16年以降わず かではありますが増加傾向にあります。また、一般健康診断の結果、何らかの所見を有する方が50% を超える状況になっていますし、ストレスを感じる労働者の割合や脳・心臓疾患あるいは精神障害等 によって、労災認定を受ける事案も依然として高い水準にあります。  さらに、就業形態の多様化等に伴いまして、派遣労働者が増加し、それとともに派遣労働者の労働 災害による死傷者数も製造業を中心に増加している状況にあります。また、派遣労働者の問題はご存 じのとおり、社会的に大きな関心を集めていまして、派遣労働者の安全衛生対策の充実・徹底は、喫 緊の課題になっていると認識しています。  次に、最近の施策としましては、石綿対策について、当分科会でのご議論を踏まえまして、「吹き 付けられた石綿等の除去作業では、電動ファン付きの呼吸用保護具又はこれと同等以上の性能を有す る呼吸用保護具の使用を義務付けること」等を内容とします石綿障害予防規則等の改正を行いまし て、今年の4月1日に施行されています。また、墜落・転落災害防止対策の強化を図るために、足場に ついて、同様に当分科会のご議論を踏まえまして、「手すりに加えて中さんの設置等の足場等からの 墜落防止措置の充実」等の内容とする労働安全衛生規則の改正を行いまして、これについては今年6月 1日から施行されています。  職場のメンタルヘルス対策に関しては、平成20年に全国47カ所に設置しました「メンタルヘルス対 策支援センター」の機能を拡充しまして、メンタルヘルス不調の予防から職場の復帰支援まで、事業 者が行うメンタルヘルス対策を総合的に支援しています。  なお、本日の分科会では、「石綿等の全面禁止に係る適用除外製品等の見直し」や「有害物ばく露 作業報告の様式改正」についてご議論をいただきたいと思っています。働く方々の安全と健康を守る 安全衛生分野について、今後とも全力を傾けていく所存ですので、皆様方の一層のご支援をよろしく お願いいたします。 ○計画課長 それでは、1つ目の議題である分科会長の選出に移らせていただきたいと思います。労働 政策審議会令第6条第6項の規定に基づきまして、分科会長は分科会に所属する公益を代表する親審議 会である労働政策審議会委員のうちから労働政策審議会委員が選挙して選出することになっていま す。当分科会において、公益を代表する労働政策審議会の委員でいらっしゃいますのは、相澤委員と 今田委員のお二人です。したがいまして、このお二人の委員のいずれかに分科会長をお願いすること になりますが、何かご提案、ご意見ありますでしょうか。 ○今田委員 僭越ですが、相澤委員を会長に推挙したいと存じますが、いかがでしょうか。                   (異議なし) ○計画課長 ただいま相澤委員を分科会長にというご推薦があり、委員の皆様方からご就任いただく といいうことでご了解をいただきました。それでは、相澤委員に分科会長にご就任いただきたいと思 います。以降の議事進行については分科会長にお願いします。お手数ですが、相澤委員は分科会長席 に移動していただければと思います。 ○分科会長 ご指名いただいた相澤です。適切にこの分科会が進行されますように委員の皆様方のご 協力をよろしくお願いします。それでは、これより私が議事進行を務めさせていただきます。最初に 分科会長代理についてです。これは労働政策審議会令第6条第8項において、分科会に属する公益を代 表する委員又は臨時委員のうちから、分科会長が指名することになっています。私としては、今田委 員に分科会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                    (異議なし) ○分科会長 今田委員よろしくお願いします。もう1つは当分科会に置かれていますじん肺部会の委員 についても分科会長が指名することになっています。参考資料No.2にその(案)を用意しています。こ の案のとおりじん肺部会の委員の指名を行いたいと思いますが、よろしいでしょうか。                    (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。本日の2つ目の議題 に入りたいと思います。議題は「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令 案要綱」及び「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」です。本件は、厚生労働大臣から労 働政策審議会会長あての諮問案件であり、当分科会において審議を行うことにしたいと思います。で は、事務局からご説明をお願いします。 ○安全衛生部長 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱」及び 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」についてご説明します。  まず、1点目の「労働安全衛生施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案の要綱」は、石 綿等の全面禁止に係る適用除外製品等の見直しという内容です。適用除外製品等については、代替化 が可能と判断されたものについて、順次、製造等を禁止していますが、今般、平成21年度中に代替化 が可能とされた一部のガスケット及び断熱材について、製造等を禁止するため、労働安全衛生法施行 令の一部を改正する政令について所要の改正を行うものであります。  2点目の「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」については、これは有害物ばく露作業報 告書の様式を改正する内容です。事業者に報告を義務づけています有害物ばく露作業報告の様式につ いて、事業者の負担軽減とばく露評価を効率的に運用するために、労働安全衛生規則について所要の 改正を行うものであります。以上詳細は担当からそれぞれ説明させますので、よろしくご審議のほど お願いします。 ○化学物質対策課長 化学物質対策課長の半田です。該当文書でご説明させていただきます。資料No.1 −1は案になっていますが、石綿などの全面禁止の関連部分は2頁から3頁にかけてになっています。内 容については別の資料No.1−2を用意していますので、こちらでご説明させていただきます。  石綿含有製品については、ご案内のとおり労働安全衛生法施行令の一部を改正しまして、平成18年9 月1日からその製造等を全面禁止としています。ただ、その際に国民の安全上の観点等から代替化には 実証試験が必要な一部の特殊な製品、たとえば化学工業施設で使用されていますガスケット等につい ては、この改正政令附則に適用除外製品、いわゆるポジティブリストとして列挙していまして、当分 の間製造等の禁止の規定の適用を猶予している状況です。これらのポジティブリスト製品についても 早期に石綿製品の代替化が求められていることから、平成19年11月に学識経験者からなる検討会を開 催しまして、代替化の可能性などについて検討を行い、平成20年4月に報告書を取りまとめました。こ の結果についてはこの資料No.1−2の3頁、4頁に添付しています。ご覧いただければと存じます。  左側に対象となる製品、中ほどに検討結果、右側に代替化が可能となる時期としてお示ししていま す。この検討会の報告を受けまして、私どもは代替化が可能となったものから、順次ポジティブリス ト製品を削除していきたいと考えています。今回お諮りします改正政令案においては、平成21年度中 に代替化が可能と判断された製品について、先の改正政令の一部を改正しまして、ポジティブリスト 製品から削除することとしたいと考えています。  なお、この網掛けの部分ですが、これはすでに代替化が終了しているものです。昨年の改正におい てポジティブリストから削除済みとなっているものです。下線の引いてある製品が今回の検討の対象 製品となっています。3頁の上から2番目、化学工業施設において200℃以上300℃未満の部分に使用さ れるガスケットがこの部分です。もう1つは4頁下から2番目の5で、国内で製造されるミサイルの断熱 材です。  改正前後のポジティブリストについては、2頁に一覧表で掲げています。いちばん左がポジティブリ ストの製品名で、右列が現行の規定となっています。中ほどに今回の検討結果を受けて、政令の改正 を行った場合にどういう姿になるかをお示しています。先ほど申しましたように1のガスケットについ ては、イの部分の200℃以上のものについては猶予していましたが、これを300℃以上にしています。 200℃から300℃で使うものは禁止します。それから、4の断熱材のところで、国内において製造される ミサイルにおいて使用されるものについては、全面禁止としています。  施行期日については1頁に記載しています。来年3月1日を予定しています。ただ、ミサイルの断熱材 については、すでに実証試験が終了しているとご報告をいただいていますので、来年2月1日を予定し ています。なお、このポジティブリスト製品ですが、検討結果において最も遅いもので、平成23年度 中に代替化が可能となると判断されているものがあります。全てのポジティブリスト製品の代替化が 可能となるまでの間、関係団体に対し、代替化の進捗状況などについてご報告をいただくとともに、 引き続き早期の代替化を指導してまいります。それとともに代替化が可能となった製品については、 速やかにポジティブリスト製品から削除するよう対応していきたいと考えています。どうぞご審議の ほどよろしくお願いします。 ○分科会長 ありがとうございました。ただいまのご説明についてご意見、ご質問がありましたらど うぞよろしくお願いします。よろしいでしょうか。それでは、他にご発言がなければ、「労働安全衛 生法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱」について当分科会として妥当と認め ることとしてよろしいでしょうか。                   (異議なし) ○化学物質評価室長 それでは、次に省令案の説明をさせていただきます。化学物質評価室長の島田 です。よろしくお願いします。  お手元の資料No.1-3に基づきまして説明します。有害物ばく露作業報告の様式改正に係る「労働安全 衛生規則の一部を改正する省令」についてです。この報告については、1の趣旨に概略説明があります が、労働安全衛生法第100条第1項の規定に基づいて、事業者に義務づけられた報告です。事業者は、 労働安全衛生規則第95条の6の規定に基づき、労働者に健康障害が及ぼすおそれのある物で厚生労働大 臣が定めるものを製造し、又は取り扱う場合には、報告をすべきこととされています。その報告様式 が定められていまして、現行の様式については、資料として用意しているパンフレットに書かれてい る様式で報告をいただいています。  対象となる事業所については、この様式に基づいて報告をいただく形になりますけれども、その結 果については、労働基準監督署への報告を義務づけられています。監督、あるいは指導、リスク評価 に活用させていただいているものです。今回の見直しについては、主に有害物ばく露作業報告のリス ク評価への活用の視点から行われます。その見直しの必要性については、昨年7月に開始されました、 少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会で取りまとめていただいていますが、少量製造の把握に関 する問題が提起されまして、この検討をいただきました。この小検討会の結果としては、適切な報告 の促進の観点から、有害物ばく露作業報告の内容の見直しが提案され、そのようなご意見を踏まえ て、今回の報告書の様式の改正をすることにしたものです。  改正の内容については、2頁の2から書いてありますので、そこに従ってご説明します。(1)報告項目 の追加ということで、新たに2つほど項目を追加させていただきました。1つは、作業1回当たりの製造 ・取扱い量。もう1つは、1日当たりの作業時間です。ご説明申し上げますと、ばく露濃度レベルの推 定においては、それぞれの作業の短時間のばく露の評価が必要となるため、新たに「作業1回当たりの 製造・取扱い量」を追加することとしました。  もう1点ですが、現在の様式については、後部あるいはパンフレットにもついていますが、1月当た りの作業時間の報告をいただいています。通常、労働者のばく露レベルは、1日8時間当たりの個人ば く露測定により評価されることが普通ですので、新たに「1日当たりの作業時間」を追加することにし ています。  併せて、これらの報告の項目については、検討会で指摘がありました報告書の負担の軽減を図る観 点から、選択肢方式という形で回答をいただくようにし、選択肢についてはばく露推定モデル、これ は入力をすることによってばく露が推定できるようなものであり、この場で使わせていただいたの は、コントロールバンディング方式ですが、これに入力ができるように、それぞれの区分を設定させ ていただいています。コントロールバンディングについては、多少なじみも薄い面もありますので、 ご説明を申し上げますと、化学物質を取り扱う作業ごとに、例えば「物質の有害性」、「揮発性/飛散 性」及び「取扱量」といった要素を入力することによってリスクの程度を何段階か、例えばこの場合 は4段階にランキングできるようなツールです。こういった仕組みについては、ILO等の国際機関等で も活用が推奨されていまして、我が国のリスクアセスメント手法としても、この手法が採用されてい ます。以上で追加する項目についての説明を終わります。  (2)報告項目の変更ですけれども、2頁目の下の部分にあります。これらの見直しについては、基本 的には現行の報告項目と変わりはありませんので、具体的な説明は割愛させていただきますけれど も、項目の平仄、表現を合わせる作業を行いまして、合わせて一部の項目については、先ほどの報告 者の負担軽減の観点から選択肢方式を採用するという形で見直しをさせていただいています。  3頁に移りまして、(3)報告項目の削除ですが、削除の項目について、ア、イ、ウ、エと書かれてい ます。削除の理由についてご報告を申し上げます。アとイについては、製剤等の製造量又は消費量、 含有率についてですが、1つは報告者の負担軽減等の観点から行うものですが、対象物質の製造取扱い 量を選択肢方式で、先ほど報告をするという見直しをさせていただきました観点ですので、そちらの 報告をもって、こちらは必要ないということで削除するものです。ウですが、月当たりのばく露作業 への従事時間ということですが、先ほどご説明を申し上げたとおり、1日当たりの作業時間について見 直しを行ったことに伴い、これについては重複の報告になってしまいますので削除させていただきま す。  エです。保護具の使用状況についてですが、保護具は非常に重要なものです。発散抑制措置が講じ られている中で補足的に用いられるものであるということ、ばく露推定モデルの1つであるコントロー ルバンディングの保護具を採用させていただいたわけですが、これにおける必須項目ではないという ことで、これについては報告ではなく、このあとに行われますばく露調査の中でしっかりみていくこ とにし、この場では報告を求めないことにさせていただいています。以上が様式の改正です。  もう1つ、この資料上は、表に出てこないものですが、報告対象期間の見直しを合わせてさせていた だいています。それについてのご説明を申し上げますが、いままでの報告については、パンフレット 等をみていただければわかりますが、毎年、年末に対象化学物質を告示しまして、その前年度に対象 作業を遡って報告をいただくことがあります。これは、事業者が予め対象物質を確認できないという 状況が出てしまうものですから、これについても見直しが必要ではないかとご指摘をいただいたわけ で、今後の仕組みについては、予め事業者が対象物質を認識した上で作業記録を取っていただき、こ れに基づいて報告できるよう、遡及方式ではない方式に見直したいということです。新しい方式につ いて次年度の報告を例に取りますと、対象物質を今年12月に告示いたしまして、来年1月1日から12月 31日までの1年間を報告対象期間として、この間に行われた対象作業については、再来年(平成23年) 1月から3月に報告をいただくという方式にさせていただくということです。これに伴いまして、報告 書の様式の中に記載で、報告対象期間について「年度」という表記がありますが、この表記を「年」 に見直しをさせていただくということです。以上が報告の見直しの内容です。  本省令については3にありますように本改正の交付日については平成21年12月中を予定し進めたいと 思っておりますが、施行日については、平成22年1月1日を予定しています。説明は以上ですが、こう いった見直しがありますと、事業者のほうで混乱が起きてはいけませんし、正確な報告をいただくと ともに、手順について、事業者の方に周知徹底していくことも併せて行いたいと思っています。以 上、説明を終わります。よろしくお願いいたします。 ○分科会長 ありがとうございました。ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問ございます か。 ○犬飼委員 簡易的にというか、調査しやすいように見直すというのはわかるのですが、いままでの 年度で報告にあった、流通している物質によって適格な調査結果を得られているか、というような例 題がございましたら是非示してほしいというのが1点。保護具の使用状況のところが補足的で、必須項 目ではないという話と、後ほどのばく露調査で行うという話と伺ったのですが、ばく露調査でどのぐ らいの範囲で、使っている全体のところに調査の網がかかるのか、それは抽出の調査なのか、本当に ばく露の保護具の使用状況は、個人個人の作業者を含めて必要のないものかどうか、ちょっと教えて いただけますか。 ○化学物質評価室長 まず、第1点目のご質問ですけれども、これについては、特に私ども、リスク評 価室のほうでさせていただいているリスク評価という観点で、使わせていただく形にはなっておりま すが、そういった意味で、このばく露作業報告、年間、ものによっては数万件の報告があります。使 われ方が非常に少数のケースもありますので、数件しか上がってこないものもありますが、それにつ いては的確な対応をいただいて、それに基づいてリスク評価をさせていただいています。平成18年度 から始めたものですが、概ね十分な報告をいただき、それに基づくリスク評価が的確に出ていると我 々は認識しています。  2点目の保護具の件です。保護具については、いま発散抑制措置を補助するものであるという理由が あったわけですが、保護具の場合には、保護具をどのように装着しているかとか、どういう種類の保 護具をきちんとしているかということで、そういった面も詳しく合わせて調べる必要があるというこ とですので、やはり報告だけで、しているかどうかだけを求めるだけでは不十分であろうということ です。調査の中でしっかりみていこうということで、調査の対象項目とさせていただきました。  先ほど、ご質問いただいたものですが、数万件報告があった中で、すべてのところへ調査をかける わけにはいきませんので、やはり絞った形で事業所を選択し、調査をさせていただくような形になり ます。合わせて、これについては、この報告でばく露が高いと推定される比較的問題がありそうな事 業所に対して、調査をかけていく仕組みになっています。 ○豊田委員 今回の改正につきましては、趣旨としては労働者のばく露評価の手順を明確にして、事 業者の負担軽減とか利便性の向上といったことを趣旨に記載されていますけれども、これに関しまし ては非常に賛同するのです。もう少し丁寧に言いますと、やはり全体の流れとして、リスク評価を労 働安全衛生でもやっているというところを、この省令の普及に当たりましては、まずはリスク評価が あるのだ、その中でこういうばく露を改善していくのだ、というところを丁寧にご説明願えたらと思 いますね。特にコントロールバンディングという片仮名用語が出てきますので、特に中小企業の方た ちにこの辺のところは、自分たちのばく露の改善に繋るのだ、というところがよく理解できるよう に、何らかのガイドラインを含めて、普及の際にそういうところをていねいにお願いしたいと思いま す。以上です。 ○化学物質評価室長 適切に対応させていただきたいと思います。 ○分科会長 ありがとうございます。他には、よろしいでしょうか。ご発言がなければ、「労働安全 衛生法規則の一部を改正する省令案要綱」について、当分科会として妥当と認めるということでよろ しいでしょうか。                   (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。それでは、この一部を改正する省令案要綱について、妥当であ る旨の報告を私から労働政策審議会会長宛てに行うことといたしたいと思います。報告文について は、私に一任させていただくということでよろしいでしょうか。                   (異議なし) ○分科会長 ありがとうございます。  次の課題ですが、「新規化学物質の有害性の調査結果に関する学識経験者の意見について」の報告 です。事務局からご説明をお願いします。 ○化学物質評価室長 資料No.2に基づきまして、説明をさせていただきます。本件につきましては、調 査制度の概要という形で6頁に(参考2)をつけさせていただいております。それを見比べつつ説明を 聞いていただければと思います。  この新規化学物質の有害性の調査に関しましては、労働安全衛生法第57条の3第1項に基づく新規化 学物質の届出がありますが、これに際しまして提出していただく有害性調査に関して学識経験者から いただいた意見に関する報告です。昨年の9月26日から平成21年9月25日までに新たに名称公表がされ た化学物質は、合計で1,422物質ありました。これらの物質の届出に際しましては、企業から厚生労働 省に微生物を用いる変異原性試験等の結果を有害性の調査として提出いただいております。この結果 を学識経験者に送付いたしまして確認をいただきました。意見を聴取した場合には、労働安全衛生規 則の第34条の17に基づいて、1年以内にこの場でご報告することとなっておりますのでその概要を説明 申し上げたいと思います。  意見につきましては、概ね2つございます。第1点目は、今回の名称公表がされた化学物質のうち49 物質につきまして強い変異原性が認められたとのことで、これを確認していただきました。第2点目 は、これら物質につきましては、過去に強い変異原性が認められた物質と同様に、変異原性が認めら れた化学物質によります、健康障害防止を防止するための指針が出されております。これは平成5年に 出されておりまして、後のほうに参考として付けておりますので、後ほど説明申し上げますが、これ に基づく措置を取ることが妥当であるという意見をいただきましたので、この場で報告申し上げたい と思います。少し難しいものもございましたので多少補足の説明をいたします。ここで言う「変異原 性試験」は、がん原性の疑いのある物質かそうでないかをスクリーニングする試験です。微生物の遺 伝子に対しまして強い変異原性が認められるというものです。これにつきましては、この結果といた しまして、ヒトに対するがん原性がある物質とはいえないとのことですが、がん原性試験等により、 より高次の試験を実施した場合には、がん原性物質と断定される可能性があるという物質ですので、 それ相応の対応を取らせていただく。具体的には、健康障害防止措置の実施等の適切な対応が必要で あるとのことです。今回強い変異原性が認められた物質につきましては、49物質のリストを2頁から4 頁に掲載させていただいておりますが、非常に新規化学物質の場合には、新たな物質でこのような形 の非常に長い表記の物質になってくるわけですが。今回この49物質に強い変異原性が認められたとの ことです。  もう1つ強い変異原性が認められた物質に対しての指針は、8頁から9頁に付けさせていただいており ます(参考4)です。これは平成5年に策定されまして、その後必要に応じ所要の改正を行っているも のです。概略を申し上げますと、1の趣旨のところに書いてありますように、強い変異原性が確認され た物質を1%を超えて含有する製品等を製造し、又は取り扱う事業者には、所定の健康障害防止措置を 取ることが定められております。  具体的な措置につきましては、8頁の2のところに書いてあります部分から9頁の6のところまで書い てあります。概略を申し上げますと、作業環境の管理の改善、維持が2に書いてあります。3に作業環 境の測定の実施、記録の保存があります。4に労働衛生教育につきましても、例えば4時間以上の労働 衛生教育を受ける必要があるとのこと。5の危険有害性等の表示について、この物質を譲渡提供する場 合には、MSDSの交付、ラベル表示をしていただく。最後の6番では、従事する労働者の把握について、 作業等の記録、記録の保存も合わせてしていただくとのことで、ここでは30年間の保存をお願いして いるとのことで、強い変異原性が認められた、今回の49物質につきましても、この指針に基づく適切 な対応を事業者にしていただきたいとのことです。  以上が説明です。このようなことにつきましても、やはり事業者に適切な管理をしていただく観点 からは、このような情報を積極的に提供して、また事業者の方のご相談も積極的に応じるとの姿勢で 進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上報告です。 ○分科会長 本件につきまして、何かご質問ございますか。よろしいですか。ご発言がなければ、新 規化学物質の有害性の調査結果に関する学識経験者の意見につきましての報告を承ったことといたし ます。  次に議題の4ですが、「今後の労働者派遣制度の在り方について(労働安全衛生関係)」に入りたい と思います。労働者派遣制度の在り方につきましては、職業安定分科会労働力需給制度部会の方で議 論されております。本日はこれにつきまして、事務局から現在の状況の説明をお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○計画課長 はい、計画課長です。お手元にお配りしております、資料No.3で説明させていただきま す。1頁に諮問文が載っておりますが、次の頁にあります労働者派遣制度を巡る近況につきまして簡単 におさらいをさせていただきます。この資料は、分科会長から紹介がありました、職業安定分科会の 労働力需給制度部会のほうに提出されている資料を見繕って、今回出させていただきました。  ご案内のとおり労働者派遣制度につきましては、派遣労働者が非常に増えてきております、あるい はその処遇の問題ですとか、昨今の経済情勢の中で、いろいろと社会問題化したと。いろんな状況が ある中で、いくつかの動きがありました。1つは2頁の真ん中ほどに20年11月4日に政府が改正法案を臨 時国会に提出したことです。その内容の概要を次の3頁に付けておりますが、その趣旨といたしまして は、労働者派遣の急速な拡大に伴い、日雇派遣等の問題のある派遣形態への対応を図るなど、労働者 の保護の仕組みを強化するとのことで、対応のほうをみていただきたいのですが、日雇派遣の原則禁 止などの項目を内容とする法律案を提出しました。これを受けまして、2頁に戻っていただき、下から 3つ目の○に、それに対抗して、当時は野党でありました、民主、社民、国民新党の3党が、今度は議 員提案で派遣法の改正法案を出した形になっております。  その改正法案の内容は、4頁にそのポイントを付けてありますが、もう少し詳細、中身をみやすくし て、7頁に対比案という形で載せておりますが、その左側に政府提案のもの、右側に3党の共同提案の ものを掲げているところです。中身につきましては政府提案よりも項目も多く中身につきましても、 より踏み込んだ形になっていると思いますが、当分科会の関連するところでみますと、同じ資料の9頁 をみていただければと思います。  9頁の上側に「派遣先責任の強化」という観点の中で、政府提案の方では、「労災保険法の施行のた め、行政庁が、派遣先の事業場へ立入検査すること等ができることとする」規定を盛り込む形になっ ていたものですが、3党の共同提案のほうでは、そこにありますような項目につきまして、義務付け等 によりまして派遣先責任を強化していく内容になっております。その項目の中の下線を引いていま す、「派遣労働者に対する安全衛生教育の義務付け」と「定期健康診断等の代行」といったことで派 遣先責任を強化するという内容になっておりました。この2つの法案が出されたわけですが、2頁に戻 りまして、下から2つ目の○にありますとおり、今年7月21日に衆議院が解散されたことに伴い、いず れの法案も廃案になっております。  その後、解散後の衆議院選挙の結果を踏まえまして、新しい政権ができたわけです。その連立政権 の樹立に当たりまして政策合意がなされたわけです。それが前後して恐縮ですが6頁をご覧ください。 政策合意の抜粋です。政策合意で多くの項目につきまして、合意がされているわけですが、その一つ として、「雇用対策の強化」で、労働者派遣法の抜本改正で、具体的には、「「日雇派遣」「スポッ ト派遣」の禁止のみならず、「登録型派遣」は原則禁止して安定した雇用とする。製造業派遣も原則 的に禁止する。違法派遣の場合の「直接雇用みなし制度」の創設、マージン率の情報公開など、「派 遣業法」から「派遣労働者保護法」にあらためる。」といった形で政策合意がなされております。  そのような政策合意のもとに、発足した現在の政権下におきまして1頁に戻りまして、厚生労働大臣 より労働政策審議会に「今後の労働者派遣制度の在り方について」諮問がされたわけです。いま背景 等は書いておりますが、特に4段落目、「このため」以下ですが、「上記の法律案」、ここでは政府 提案の法律ですが、それにおきまして「措置することとしていた事項のほか、製造業務への派遣や登 録型派遣の今後の在り方、違法派遣の場合の派遣先との雇用契約の成立促進等、派遣労働者の雇用の 安定その他福祉の増進のために追加的に措置すべき事項についても検討を行い、改めて法律案を提出 する必要が生じている。」とのことで調査審議を求めるという形になっております。  これを踏まえまして、現状では労働政策審議会の中でも職業安定分科会の労働力需給制度部会のほ うで議論がされているとのことです。もちろん中身によりましては、いろんな分科会なり部会のほう で審議がされる事項もあるわけです。現在はいわば派遣制度の見直しとのことで、パッケージとし て、議論がされていく形になっているとのことではないかと思います。  現状は皆さま方マスコミ等からお聞きになられているかも知りませんが、原則的なところでも、労 使の主張等がまだ続いているようでして、私どもの分科会の関係でいいますと、候補といたしまして は、2項目があるわけでして、そのような派遣先責任の強化という部分につきまして、踏み込んだと いいますか、深く議論する状況になってはいないとのことだと承知しているところです。そのような ことですので、当分科会としましては、その労働力需給制度部会の審議状況を見守りつつ、必要があ れば対応をしていくこととなるのではないかと考えているところです。以上、労働者派遣制度の見直 しを取り巻く現状につきましての報告を申し上げます。 ○分科会長 ありがとうございました。これにつきましては、労働力需給制度部会での議論をみつ つ、必要がありましたら、当分科会におきましても、議論をすることとしたいと思います。よろしい でしょうか。                   (異議なし) ○分科会長 何かご質問はございますか。それでは本日の会議をもって終了させていただきたいと思 います。  議事録への署名は、市川委員、明石委員にお願いしたいと思います。本日は皆さんお忙しいところ ありがとうございました。 以上 (照会先)  厚生労働省労働基準局安全衛生部  計画課  03−5253−1111(内線5476)