09/11/27 第38回社会保障審議会年金数理部会議事録 第38回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第38回)議事録 日時:平成21年11月27日(金)10:00〜11:20 場所:全国都市会館ホールB(2階) 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、熊沢委員、栗林委員、近藤委員      林委員、宮武委員   議題 1.公的年金財政状況報告−平成19年度−について    〇石原首席年金数理官  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第38回社会保証審議会年金数理部会を開催 させていただきます。  審議に入ります前に、前回の部会開催以降に事務局で異動がありましたので、御紹介させてい ただきます。  年金局長の榮畑でございます。  年金局総務課長の古都でございます。  数理課長の安部でございます。  年金数理官の五十里でございます。  あと、本日は国会用務で出席できませんが、年金課長に異動があり、梶尾が着任しております ので御紹介申し上げます。  次にお手元の資料の確認をさせていただきます。  「座席図」、「議事次第」のほか、次のとおりでございます。  資料1は、資料1−1、1−2、1−3の3つに分けておりますが、「平成19年度公的年金財政状況 報告(案)」でございます。  資料2は「平成19年度公的年金財政状況報告(要旨)(案)」でございます。  配布資料は、以上でございます。  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は牛丸委員が御都合により御欠席とのことでございます。御出席いただきました委員の方 が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。  それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 〇山崎部会長  おはようございます。御多忙の折、御出席いただきましてどうもありがとうございます。本日 は、平成19年度の「公的年金財政状況報告」の取りまとめに関して審議を行います。それでは、 本日の議事に入ります。事務局から資料の説明をお願いいたします。 〇石原首席年金数理官  私から資料の説明をさせていただきます。   先ほど御紹介申し上げました公的年金財政状況報告でございますが、資料1−1、1−2に分かれ てございます。資料1−3は付属資料、資料2は(要旨)でございますので、本日は資料1−1、1 −2を中心に本文をご覧いただければと思います。  まず資料1−1でございますが、お開きいただきまして、2枚めくっていただきますと、まず目 次がございます。目次で全体像をご覧いただければと思います。目次のところで、全体像を見て いただきますと、「第1章 公的年金の概要」、ここは概要を例年どおり記載してございます。「第 2章 財政状況」ということで、公的年金制度各制度の財政状況について、現状がどうなっている か、財政指標等を交え、ここで分析しています。  第2章の5番目に「被保険者及び受給権者のコーホート分析」というのを入れてございます。 本年3月の部会でコーホート分析等によって、年金制度の現状を少し分析を深めたらどうかとい うことで御審議いただいて御了承いただいておりますが、その分析の実際の結果ということでご ざいますので、本日はここを中心に少しご覧いただければと思います。  「第3章 平成16年財政再計算結果との比較」ということで、財政再計算の結果で比較した分 析ということでございます。  具体的な内容でございますが、まず決算の状況でございますが、6ページをご覧いただきたい と思います。例年同様でございますが、図2-1-1「財政収支状況」ということで、各公的年金制度 につきまして、決算の状況をそれぞれ並べまして比較して見ていただけるようにしてございます。 決算でございますので、表側のほうですが、区分としては収入総額を簿価ベース、時価ベースご ざいます。保険料収入、国庫・公経済負担、追加費用、運用収入、これも簿価・時価と分かれて ございますが、あとは基礎年金交付金、その他の収入項目について記載してございます。  それから、支出につきましては、給付費、基礎年金拠出金、年金保険者拠出金という形で、こ れもそれぞれ細かい項目を記載してございます。  それから、収支残、年度末積立金、年度末積立金の対前年度増減額ということで並べてござい ます。  表頭のほうは、厚生年金、国共済、地共済、私学共済、国民年金、国民年金は国民年金勘定と 基礎年金勘定に分けたもの、それと合計という形でございます。  収入総額でご覧いただきますと、厚生年金で36兆830億円、国共済が2兆1,257億円、地共済 が6兆708億円、私学共済が4,971億円、国民年金の国民年金勘定が5兆5,729億円、基礎年金勘 定が19兆9,611億円、合計が70兆3,106億円になってございます。  この合計ですが、単純に計を出しておりまして、その下のほうを見ていただきますと、収入の 項目の中で、基礎年金の関係ですと、例えば下から4行目に基礎拠出金収入というのがございま す。それが18兆5,080億ですが、それと同じ額が支出に計上されてございます。それが基礎年金 拠出金ということで、各制度から18兆5,080億円出たものが基礎年金勘定に収入として18兆 5,080億円入ってくるという形で、収入と支出に同じ、制度間の調整の数字が入っておるものです から、それを合計しても重複があるということで、重複を除いた形のものということで、一番右 の欄に公的年金制度全体というものを計上しております。どのような重複を除いたかというのが 右の7ページの赤い線、ピンクの線、緑の線が書いてありますが、これが重複しているというこ とで、その重複を除いた結果としてご覧いただくということでございまして、収入総額で46兆 3,416億円、支出が45兆987億円という形になっているということでございます。  数理部会としましては、この形で重複を除くだけではなくて、従来から単年度収支に決算をし てみるという形のことをしてございます。それが何で単年度収支かといいますと、収入の欄の下 から2番目に積立金からの受入収入を厚生年金と国民年金で計上してございます。積立金からの 受入というのは財産の取り崩しに当たるものですから、そういった意味では、それは単年度の収 支という形のものではないということで、その項目を除いて処理をしておりまして、その処理の 最終的な処理の結果が11ページになってございます。  11ページをご覧いただきたいのですが、11ページが同じように、収入と支出が項目で並んでご ざいまして、各制度の単年度収支、先ほど申し上げましたような処理をした後でどうなっている かを見たものです。公的年金制度全体でご覧いただきますと、収入ベース、簿価ベースで42兆72 億円、その内訳が保険料収入28兆2,029億円、国庫・公経済負担7兆6,847億円、追加費用が1 兆5,088億円、運用収入が簿価ベースで3兆3,492億円という形になっております。  運用収入のところですが、運用が実情は経済環境が良くないこともございまして、簿価ベース は黒字が立っておりますが、時価ベースではマイナスが立っておりまして、△6兆7,587億円とい うことで、時価ベースに直しますと、それの評価も加えまして、時価ベースの収入括弧で書いて ありますが、32兆1,189億円という形になってございます。  支出が45兆987億円、これはほとんどは給付で、給付費が44兆7,338億円となってございま して、収支残が簿価ベースで2兆8,915億円、時価で、先ほどの評価損を入れますと12兆9,797 億円という形で、最終的な積立金時価ベースですが、191兆5,595億円という形になっているとい うことでございます。  以上が決算の取りまとめでございます。  12ページへ進んでいただきまして、決算の各項目についてどのような状況かということでござ います。まず大きなところで収入の状況、保険料収入でございますが、12ページの図2-1-4です。 これは表側が年度でとっておりまして、表頭が各制度という形の表になってございますが、上が 実数、下が伸び率という形の構成。以後、このような形の構成の作表が多いので、そういう形で 御了解いただきたいと思います。  19年度の実数の欄で見ていただきますと、厚生年金で保険収入が21兆9,691億円、伸び率にし て4.7%でございます。国共済が1兆350億円、伸び率で0.2%、地共済が3兆358億円、伸び率 0.2%、私学共済3,049億円、伸び率4.5%、国民年金が1兆8,582億円で伸び率が△2.4%、全体 で28兆2,029億円、伸び率3.5%という結果でございます。どちらかといいますと、厚生年金、 私学共済で高い伸びが示されています。  大きなところで申しますと、あとは18ページに運用利回りがございます。運用利回りですが、 19年度の欄で見ていただきますと、厚生年金で△3.54%。昨年度までプラスでしたが、ことしは 株価の下落等ございましてマイナスになってございます。国共済で△0.53%、地共済が△3.42%、 私学共済△2.81%、国民年金△3.38%ということで、国共済は運用が若干保守的な面がございま すが、それ以外では大体3%前後のマイナスが立っているという状況になってございます。  20ページに行っていただきますと、給付費でございます。厚生年金で22兆3,179億円というこ とでございまして、伸び率が0.3%、国共済も同じく0.3%、地共済0.8%、私学共済で2.8%、 国民年金は△7.1%、基礎年金勘定が7.2%という形になってございます。全体として2.2%の伸 び。基本的には高齢化が進んでおりますが、厚生年金等では若干、後で出てきますが、支給開始 年齢の関係等で伸びが抑えられているという状態になってございます。  次を見ていただきますと、25ページに積立金がございます。積立金をごらんいただきますと、 図2-1-15ですが、厚生年金時価ベースで130兆1,810億円でございます。公的全体で191兆とい うのは、先ほど申し上げた数字が出てございます。伸び率で見ていただきますと、厚生年金が△ 6.8%、国共済が△3.5%、地共済△5.2%、私学共済△3.5%、国民年金が△9.8%、全体で△6.4% という形になってございます。基本的には厚生年金と国民年金は積立金の取り崩しの時期に入っ ておりますので、各制度とも運用が悪かったことを反映してマイナスが立っているということに なってございます。  次に見ていただきたいのは、今まで決算の項目が終わりましたので、基礎的な状況がどうなっ ているかということでございますが、32ページに被保険者の状況がございます。被保険者のとこ ろを少し押さえていただきますと、図2-2-1、被保険者数の伸びですが、厚生年金3,457万人でご ざいます。伸び率にして2.3%。国共済は伸び率が△1.7%、地共済△1.4%、私学共済1.4%、国 民年金1号がが△4.1%、3号が△1.5%ということになってございます。  どちらかといいますと、運用は良くないのですが、経済環境は若干いい状態が続いておりまし て、被保険者も伸びております。共済は定員の関係もございまして、毎年減っておりますが、厚 生年金では去年も2.3%の伸びですし、ことしも2.3%ということで順調に被保険者が増えている。 最近景気に若干問題が出ておりますが、そういった意味では、19年度ですので、経済も順調に伸 びているという状態という形になってございます。2.3%の伸びということで、厚生年金が伸び国 民年金が減っているという状態になっているということでございます。  次に見ていただきますのが39ページでございます。標準報酬でございます。図表2-2-9でござ いまして、1人当たりの標準報酬の実額と伸び率がございます。ここでかぎ括弧がついてござい ます。かぎ括弧がついてございますのは実数値、何もついてない厚生年金で申し上げますと、37 万2,460円がボーナス込みの総報酬ということでございます。それの1月当たりの額が37万円。 括弧をつけておりますのは、〈31万2,258円〉、これが厚生年金のボーナスを抜いた月々の標準報 酬でございます。月々のものは置いておきまして、ボーナス込みの伸び率を見ていただきますと、 厚生年金で△0.4%、国共済で0.1%、地共済で△0.8%、私学共済△0.5ということで、昨年から 被保険者数等は増えているのですが、賃金は伸びない状況が続いていることはご覧いただけると 思います。  次にまいりまして42ページ、総報酬、被保険者数と先ほどの賃金を掛け合わせた総賃金がどれ ぐらいになっているかという表でございます。後で参考で出てまいりますので簡単に見ておいて いただきますと、19年度で厚生年金は155兆円ぐらい、国共済が7兆円ぐらい、地共済が21兆円、 私学共済が3兆弱といった形の賃金総額になっているということでございます。  次のページ、43ページ、ここからが受給権者数でございます。受給権者をご覧いただきますと、 厚生年金で実数が2,750万2,000人、伸び率で5.1%、国共済が3.6%、地共済3.9%、私学共済 5.5%、国民年金3.8%。各制度とも高齢化が進んでおりますので、受給権者が増えているという ことで伸びておりますが、どちらかというと共済制度(地共済、国共済)のほうは成熟化が進んで いることもあって伸び率が若干少ない。  次にまいりたいと思います。年金額を見ていただきます、63ページでございます。上のほうが 基礎年金を含んだ額、下が基礎年金を含まない額という表でございます。基礎年金を含んだ額、 上のほうで見ていただきますと、厚生年金で15万8,104円、国共済20万3,697円、地共済21万 5,310円、私学共済が20万932円、国民年金5万3,552円という形でございます。伸び率で見て いただきますと、厚生年金△2.9%、国共済が△2.1%、地共済△2.5、私学共済△2.7、国民年金 0.7%ということでございます。  伸び率が若干去年より低くなってございます。厚生年金で△2.9%でございます。厚生年金の伸 び率をちょっと追っていただきますと、平成12年が△0.2%、13年△1.7%、14年△0.5%、15年 △1.3%、16年△2.5%ということで、13年、16年、19年と伸び率がマイナスが大きくなってい るのをご覧いただけるかと思います。これが支給開始年齢の影響でございまして、定額部分の支 給開始が63歳になっておるのですが、それが18年度まで62だったものが19年度63歳になった ということで、そこの部分で年金額が62歳の年金額が伸びてないというか、そのまま据え置かれ ているということで、伸び率が低くなっているということがこういうところに出てきているとい うことでございます。  それから、次にまいりまして、そういったものを合せた財政指標でございます。73ページに年 金扶養比率がございます。年金扶養比率を見ていただきますと、要は老齢年金の受給権者は何人 の被保険者で支えられているかという指標ですが、厚生年金で2.74、国共済1.62、地共済が1.79、 私学共済4.67、国民年金2.67という数字でございます。やはり成熟化が進んでいる地共済と国共 済は低い数字という形になってございます。  差ですが、昨年に比べまして0.08ダウンということで、各制度ともダウンしてございます。私 学共済は0.21ダウンということで、私学共済はまだ若いものですから、成熟化のスピードが速い という状態になっています。  次に総合費用率を見ていただきたいと思いますが、76ページ、総合費用率というのは、積立金 等の影響がないと仮定した場合の純賦課保険料でございます。いくら保険料をとれば運用収入が なくてもやっていけるかということでございますが、その総合費用率で見ていただきますと、厚 生年金が17.8。括弧で書いてありますのが、標準報酬ベースで、高い数字で出ておりますが、括 弧のないところで見ていただきますと、17.8、国共済18.7、地共済17.6、私学共済12.4でござ います。  前年との差で見ていただきますと、厚生年金はほぼ横ばいでございます。国共済と地共済は1 ポイントぐらい、私学共済で0.4%ぐらい上がっているということで、次第に支出の重さが効いて きている。厚生年金の場合には被保険者の伸び、先ほど景気がまだいい時期でということを申し 上げましたが、被保険者がかなり伸びていまして、その影響で19年度は厚生年金の総合費用率が 伸びていない。そういった意味で若干財政的には楽な状態になっていることが示されていると思 っております。  次の80ページに飛んでいただきますと、その状態で保険料と比べてどうかという表があります ので見ていただきたいと思います。表2-4-11ですが、19年度総合費用率、厚生年金17.8ですが、 保険料率14.996、国共済が18.7で保険料率14.896、地共済が17.6で、保険料率14.446、私学共 済12.4で、保険料率11.522ですので、各制度とも現在の保険料ではまだ給付が賄える状態にな ってない。そういった意味で積立金の取り崩しですとか、運用収入を充てて賄える状態になって いるということが示されてございます。 そういった意味では、まだこれからも保険料は上がりますし、収入面の努力も必要な状態とい うことになっているということでございます。 このような状況で、全体像はご覧いただけたと思いますので、今年の特徴でございますコーホ ート分析を少し丁寧に見ていただきたいと思います。91ページでございます。表のつくり方を少 し説明させていただきますと、表頭が各制度でございますので、制度別の公的年金各制度、厚生 年金を男性・女性に分けて、国共済、地共済、私学共済、国民年金は1号と3号に分けて出して ございます。表側が年齢でございます。  20歳のところで、厚生年金が18.6%の伸びとなってございます。この意味ですが、19年度末 に20歳だった厚生年金の人が18年度末には19歳だったわけで、18年度末に19歳だった厚生年 金の被保険者が、19年度末に20歳になる、1年たったときに1歳上がるわけで、その集団が、そ の集団同士で比較して、人数がどれぐらい増えたかということを見たもの、それが18.6%増えて いますよという数字がこのコーホートの増減率というものでございます。 そういう形で見ていただきたいと思いますが、若いほうですと、そういう形で見ますと当然新 規に学生からお勤めされるということで、どんどん厚生年金が増えてきます。そういった意味の 増加があることがわかるわけで、20歳では18.6%ですが、21歳ですと、48.7%も増えるという形 でございます。  22歳男子で21.5%、23歳が69.2%ということで、23歳のところは大学を出て就職されること にもあって、この辺で大きな数字が出てくることがごらんいただけると思います。  女性で見ますと、21歳が88.9%、23歳が56.3%ということで、どちらかというと、女性のほ うが21歳のところの山が大きいということで、短大卒業とか、そういうことで早めに就職される 女性が多いのだろうということで、この辺からも特徴が見られるかと思います。  それから、国共済ですと、これは厚生年金同様、23歳のところで30.4%という形で、地共済は もっと差がありまして、23歳のところは158.1%ということで、地共済の場合ですと、かなり高 学歴の方が就職されているという状況を示していると思います。  私学共済ですと、それが逆転しておりまして、21歳のところが3155.7%、とりあえず21歳短 大卒業で保母さん等になられる方ということでございましょうが、この辺で伸びがいっぱい出て きているということで、そういった状況があらわれています。  その逆ですが、どちらかというと、国民年金は21歳、23歳のところで、1号ですと、△13.9%、 23歳では△33%が立っています。3号は、結婚されて奥さんになられる方ということで、かなり 高い伸びが最初のほうは出ていまして、だんだんそういった方が増えてくるに従って伸び率も減 ってくるという状態が出てございます。  それから、厚生年金の男子に戻っていただきますと、そういった形で若いほうは伸び率が高い のですが、ずっと見ていただきますと、54歳までずっとプラスが立っております。どちらかとい うと、かなり景気も良かったということで中途採用も活発だったということで、恐らくこの辺が プラスがずっと立っているという状況なのかと理解してございます。  女性の欄を見ていただきますと、27歳あたりからマイナスが立っております。30歳前後でマイ ナスが立っておりますのは結婚・出産で職場を去られる方がいらっしゃるということで、この辺 にマイナスが立っている。その話は私学でも同じようにマイナスが立っております。それが逆に3 号のほうはプラスが大きくなっているという原因で、全体としてはそういう入り繰りになってい ます。  今のマイナスが出産等を終えられ再就職されるということで、40代を中心に女性ですとプラス がかなり大きいものがございます。43歳のところが5.1%で、この辺で4〜5%伸びということで、 かなり積極的に就職されているという状況を示してございます。  そういったこともあって、ここの逆を見ますと、どこが減っているかということですが、国民 年金の3号のところですが、ここが43歳で△5.5%、この辺で3号から厚生年金へ移動している という状態が見てとれます。  そういった流れがありますが、厚生年金の男性に戻りますと、55歳からマイナスになってござ います。この辺からだんだんと退職されて厚生年金から離れていくということですが、60歳のと ころをご覧いただきますと、定年ということもございまして、△14.9%が立ってございます。  女性ですと△17.3%。  この辺のマイナスのところをご覧いただきますと、退職関係ですが、国共済ですと、54歳のと ころに19.5%という大きなマイナスが立ってございます。これは自衛官が国共済にいらっしゃっ て、自衛官の定年等が54歳前後にあるということで、この辺で大きなマイナスが立つ事情がある と伺っております。  それから、60歳のところですと、厚生年金より多くて、23.9、61歳のほうが大きいというのが 国共済、地共済の特徴ですが、61歳で△62.3%。要するに公務員ですと、60までは働かれる方多 いのですが、60になるとぴったりと定年の関係できっちりできていて、そこ以降はなかなか働い ておられないということだと思います。地共済ですと61歳で△92.1%という数字が立ってござい ます。  私学共済ですと、60歳でやめられる方が若干少ない。他制度に比べるとよくわかると思います。 私学共済はどこでマイナスが多いかといいますと、66歳で△30%弱という形でそれぞれ特徴的な 動きが見てとれるかと思います。こんな状況がわかります。  次に見ていただきたいのが93ページでございます。93ページがコーホートの今度は人数では なくて標準報酬でございます。月々の標準報酬ですが、これも20歳のあたりから13.6とか高い 数字が男性で立っております。22歳で5.6%、24歳で7.2%、この辺で大学出られたとかそうい うことで、評価されて高い標準報酬の方が加入されるという状況を示しておるものと思います。 30代前後、26歳あたりからも昇給カーブと呼んでおりますが、1歳上がるごとに賃金もかなり上 がっているという状況が示されてございます。全体では賃金は下がっておりましたが、コーホー トで見ると昇給カーブで厚生年金などもかなり上がっていることが見てとれるかと思います。  女性の場合ですと、その上がりが男性に比べ少ないのが特徴的に示されていると思います。そ れが50歳までは上がっておりますが、51歳のところから、厚生年金の男性ですと、減ってくると いう形になって、昇給カーブがこの50代あたりから寝てきてダウンしてくるということを示して おりますが、国共済や地共済ではそれがプラスが続いているという意味では若干特徴的な状況を 示してございます。60歳になりますと、ここが△14%、男子でもここは60歳を境に給料もかなり 下がっていることを示しております。国共済はそれがあまり変わっておりません。60歳前後でも 人数は減るのですが、給料という意味ではそれほど変わっていないということになってございま す。地共済は別でして、地共済は61歳で人数は90%減りますが、標準報酬も23%ぐらいダウン しておりまして、地共済と国共済でかなり様相が違っていることがこの辺からも見てとれるかと 思います。  次のページ、94ページがボーナスでございます。ボーナスは20歳のところは大きい数字が立 っておりますが、21歳のところが△5.7%ということになってございます。この辺で加入して来ら れる方が多いのですが、加入した年はボーナスが出ないということも反映しておると思いますが、 マイナスになっている。加入してきた人がボーナスをもらわないで、ボーナスの平均としてはマ イナスが立つというような傾向かと思います。そういった意味では、加入してきた年が23歳など も24歳に比べて小さい。その分、24歳の伸び率は高い傾向が出ているかと思います。30歳前後 でも5%ぐらい伸びておりますが、先ほどの標準報酬と比べて若干ボーナスの伸びが高いという状 態になっております。どちらかというと、厚生年金ですと、月々の給料というよりも景気も若干 まだ良かった時期ということで、ボーナスでそこを処遇しているということがあったのかという ように思います。  女性の欄ですが、30代でマイナスが立っているのが目立っております。ここは再加入されてこ られる方がフルタイムでも若干短時間労働の方も混じっているということもあるのだと思います が、あまりボーナスをもらっておられない傾向があるのかと思います。そういったことで、新し く30代で加入されてこられるわけですが、その方々のボーナス等があまりないということを反映 してマイナスが立っているのかということでございます。  それから、ボーナスですが、厚生年金の男子ですと、47あたりからマイナスが立って、そして 60歳のところで△41.9%ということで、月々の賃金よりもボーナスがなくなっているということ がこの辺では特徴的に出ているかと思います。そういったところでございます。  それから、95ページに行っていただきますと、今まで被保険者数と賃金を見てきたので、総賃 金がどうなっているかということで見たものでございます。標準報酬総額(総賃金)、去年から今 年のコーホートで見ると、若いほうは新しく加入してきて被保険者も増えて賃金も昇給カーブで 増えたりしておりますので、そういった意味ではかなり賃金全体もそこでかなり増えている。だ けど、60代になりますと、やめないで残っていても賃金も下がっている。ボーナスもなくなって いるというようなこともあって、コーホートで見ればマイナスになっているという動きがあるわ けで、賃金全体としては、退職世代の賃金を若い世代に回してという構造になっております。そ ういった構造が全体としてどうなっているのかというのがコーホートで見れるのではないかとい うことでございます。  男性で見ていただきますと、24までのところでは、若いほうで賃金総額が上がって、総額で1 兆5,000億ぐらい。25〜34で1兆8,000億ぐらい、35〜44で9,000億ぐらい。この辺が加入及び 昇給カーブの影響、賃金が上がるものですからかなり増えています。  厚生年金の男子ですと、55〜64、この辺に団塊の世代が入っていますが、それが退職するとい うこともあって、ここで2兆円ぐらい浮いています。65歳で6,000億ということで、そういった 入り繰りになっていて、全体としては団塊の世代等の退職はあるのですが、被保険者が増加して いるとか、賃金を上げているということもあって、全体としては1兆7,000億ぐらい男子でいえ ば上がっているという状態になっています。  厚生年金で申しますと、男女合せますと、団塊の世代等の退職世代で3兆1,000億ぐらい減が 立っていて、ただ、全体としては3兆円ぐらい増やしているということで、若いほうに6兆円ぐ らい戻しています。団塊世代の影響という形で見ますと、3兆1,000億ぐらいですので、全体で先 ほどご覧いただいた総賃金が厚生年金で155兆ですから、2%ぐらいの影響がこの辺であって、た だ、若いほうでかなり返しているということがこういうところで見れます。  国共済と地共済ですと、若い方で加入があまりないということで、若いほうは低い数字が立っ ています。その割には50代のところの団塊の世代等でマイナスが大きい。国共済で△2,000億ぐ らい、地共済で△9,000億が立っております。  そういったこともありまして、全体として国共済でも地共済でも賃金総額は減っているという 状態になってございます。私学ですと、そこは65歳の退職のほうは若干少ないものですから、60 代もあまりいないということで、退職の関係の影響はそれほど全体が大きくないですが、全体と しては274億という形になっています。  全体としてまとめてみますと、団塊の世代等の影響で退職の額ですが、被用者年金全体で見る と、4兆3,000億ぐらいが60歳前後世代の退職によって、4兆3,000億ぐらい賃金がマイナスにな るのですが、それを返すという形で2兆6,000億ぐらい増えているという形になっています。全 体としては、賃金総額が被用者年金で196兆ですので、全体として退職によるインパクトは2.3% ぐらいということになってございます。  そういった意味で退職のインパクトは地共済が9,000億あって、地共済の標準報酬は21兆ぐら いですので、地共済のインパクトが大きそうだなということがこの辺で見てとれるかと思います。  97ページに行っていただきます。コーホート増減率の要因を分析したものでございます。今の ような形で賃金総額が変化しているというのを、人数の変化分と賃金が1歳上がって定昇で上が る分と、1歳上がったのだけど、去年の1歳の上の人と比べどの程度増減があるのかというベア分 という形で分けて計算しておるものですが、時間もございますので、厚生年金の男性で見ていた だきますと、若いほうで24歳までのところでは、賃金総額がこのコーホートで1兆5,000億ぐら い増えています。人数の変化分が1兆2,000億で定昇分が3,000億、どちらかというと若いほう では人数の変化分、若いほうは加入者が増えることで賃金総額が増えている。  25からになりますと、1兆8,000億のうち、人数の変化分は9,000億弱ですが、定昇分で9,000 億もあり、どちらかというとだんだんとこの辺が定昇の圧力が高まってくる。35〜44ですと、8,700 億が賃金増加ですが、人数の変化は3,000億しかなくて、定昇分で8,000億あり、ここは如実に 定昇の影響が大きくなってございます。定昇が大きいこともあって、全体の賃金総額を抑えると いうこともあり、ベア分でマイナスが立っているというのがこの辺の特徴でございます。18年度 であれば、1歳上がると賃金全体は上がっているのですが、去年ほど上がってないということでベ ア分が抑えられている数字が35〜44歳の△2,600億というようなところで出ています。共済など の減については人数の変化分のところの減が大きいということが出ております。そういったとこ ろがこの辺の特徴で見れます。  時間もありますので、98ページが受給権者の状況でございます。同じようにコーホートで見て みますと、要は死亡されて失権されるという形のものが多いのだと思いますが、そういう形で死 亡率に近い数字が出てございます。各制度ともマイナスが立っております。それは年を追うごと に亡くなられるということでマイナスになるわけですが、どちらかというと、男性のほうが当然 死亡率も高いものですから大きい数字が出ている。国民年金も同じように男子のほうが高いとい う数字になってございます。  最後に100ページが年金額ですが、年金額については1年たってスライド等がないものですか ら、70代を超えるとほとんど小動きという数字です。60代の後半ですと、男性は加給年金、加給 年金額が奥さんが65歳になられてなくなるということもございまして、マイナスが立つというこ とや統計の関係で65歳のところにマイナスが立っているので、注2に書いておりますように年金 額が基礎年金を含んでいるとか、そういったことで若干数字に乱れがございますが、全体として は加給年金以外ではそれほど動いていないということになってございます。  次に1-2に移らせていただきます。105ページをご覧いただきたいと思いますが、再計算と比 べてどうなのかということが問題なのですが、そういった分析をごらんいただきたいということ でございます。  105ページが被保険者数でございます。再計算と比較しますと、被保険者数は、厚生年金で19 年度、実績が3,400万人ですが、再計算で3,200万人ということで、先ほどから加入者が増えて いるという話を申しましたが、再計算よりもさらに増えておりまして、割合としては6.3%ぐらい 上回っている状態になっている。  それに対して共済ですと、ここが減っておりまして、再計算よりも実績のほうが0.3%ぐらい 減っているという状態です。私学は逆でして、国共済、地共済と逆で厚生年金同様再計算よりも 多いという状態になっています。  標準報酬等は時間の関係で飛ばさせていただきまして、112ページ、運用収入でございます。 運用収入額と利回りについて再計算と比較してございまして、実績と実績推計、再計算とござい ますが、利回りだけ見ていただきますと、厚生年金は実績の利回りが△3.54ですが、再計算が2.51 ということで、運用利回りがマイナスになっているということで、この辺がかなり再計算とは異 なっている状態になってございます。  114ページが実質的な支出額でございます。ご覧いただきますと、ここを説明させていただき ますと、厚生年金では実績、実績推計、再計算と差を出してございます。実績は厚生年金基金が 入っていないものですから、実績推計という形で再計算と合せて、再計算は厚生年金基金込みの 数字ですので、合せるという意味で実績推計という欄を設けて比較しているということで御了解 いただきたいと思います。実績推計と再計算をご覧いただきますと、実績推計34兆円、再計算33 兆円で、支出は若干上回っている状態です。国共済+地共済について、これは逆で、実績は5兆 6,960億で再計算5兆7,385億ですから、再計算のほうが上回っているという状態になってござい ます。私学は実績のほうが上回っているという状態です。  そういった差が出てきているということで、最終的な積立金ですが、119ページでございます。 積立金の比較がございます。ここも実績推計と再計算でございますが、実績推計でごらんいただ きますと、164兆円の積立金(時価ベース)。括弧で書いておりますのは、再計算の数字は158兆で すが、再計算よりも国庫負担を厚めにしてございましたのでその調整をやっております。したが って、括弧の中の数字と純粋には比較していただきたいと思います。括弧の中の数字と比較しま すと、差が5.6兆円ということで、再計算よりも積立金が上回っているという状態を示してござ います。  それから、国共済+地共済でも1.4兆円上回っておりますし、私学共済でも785億円上回って いるということで、運用については若干マイナス等立っておりましたが、昨年度までの好調な運 用収入等もありまして、どちらかというと、積立金ベースでは再計算を上回っているという状態 になってございます。  それから総合費用率が123ページでございます。見ていただきますと実績推計で厚生年金が 18.6、再計算18.8ですので、若干ですが、再計算を下回っている。国共済+地共済は逆ですが、 若干再計算が16.7で実績17.9なので、再計算を上回っているという状態です。私学はやはり再 計算を上回っているという状態になってございます。  扶養比率は121ページです。すみません、前後しまして。扶養比率のほうは、厚生年金は2.95 で再計算が2.79で再計算よりも実績のほうが上回っているのですが、基本的には厚生年金の場合 ですと、被保険者の加入が多かったということで伸びておりますので、それを反映して扶養比率 も高い状態、成熟化が再計算よりは若干進んでない状態が示されています。そういうこともあっ て、先ほど申し上げた総合費用率、123ページですが、再計算よりも抑えられているという状態に なっています。  そういった変化を受けて、積立金を分析しているのが数理部会の評価になっていますが、その 評価の最終的なところですが、138ページをご覧いただきたいと思います。これが先ほど申し上げ た積立金の再計算との比較でございます。一覧にしておりますので、厚生年金のところだけご覧 いただきますと、積立金が実績で164兆4,000億、将来見通し158兆8,000億ということで、ここ の乖離が5.6兆、まだ上回っているという数字でございます。  これを分析しておりますのが、次の139ページ、5.6兆の差はどこから生まれているかという ことですが、139ページ、厚生年金で見ますと、名目利回りの差が1.4ですから、利回り以外で 4.2兆円の差であるということでございます。  それから、次の140ページに行っていただきますと、その差をさらに分析してございます。5.6 兆円の差を名目利回りを各年度で分けておりまして、各年度で見ていただきますと、16年度当初 から4.1兆円ぐらい違っていたのですが、17年度以降、名目利回りがプラスであったのが、19年 度になると名目利回りのところでマイナスが立っている。運用が悪くて19年度はマイナスが立っ ているということですが、全体としては名目利回りのところは先ほどご覧いただきましたように プラスになっているということで、18年までの運用がよかったので、19年度の運用はそれほどよ くないのですが、17年の7.3あたりと相殺していて全体としてはプラスが立っている状況がご覧 いただけるかと思います。  142ページをご覧いただきたいのですが、それをさらに分析をしておりまして、今、ご覧いた だきましたのが142ページの図にございますのは、19年度末の積立金と実績の乖離を分解して、 16年度末でどのぐらい差があったか。17年度でその差がどういった要因で生まれたか、18年度は どういった要因で生まれたかというのを分けているわけですが、その要因については(2)と(3)、(4) と(5)、(6)と(7)。(2)が名目運用利回りとその他に分けて、名目運用利回りも実質的な運用利回りと 賃金上昇による分と分けてございます。賃金上昇による分というのは、どちらかというと、賃金 と連動して給付も増えるということから、実質的にはそこについては影響がないものと考えたほ うがいいということで、賃金上昇の分を外して考えなければいけないという立場で考えておりま して、その分で外したものが最終的には145ページでございます。  賃金上昇の分を外してみますと、積立金としての差は厚生年金では14兆円ぐらいあります。実 質的な運用利回りがその分で見ると、運用利回りはそれほど大きくなかったのですが、賃金が減 っているものですから、実質的な運用利回りということではかなり確保されていて、11兆円ぐら いプラスになっている。それ以外の経済要素では△1兆4,000億。人口要素では1兆2,000円のプ ラスということで、この辺はこういう動きなのですが、まだ賃金に比べて利回りという意味では かなり高い利回りがまだまだ続いているという状態だということを示してございます。  その辺を表でわかりやすくしたのが148ページでございます。148ページが最終的なまとめと いうことでご覧いただきたいと思いますが、厚生年金でご覧いただきますと、この図の見方です が、青い点線が厚生年金の積立金の将来見通しでございます。それは現在積立金を取り崩す時期 になってございますので、それがだんだん減っております。緑の線が実績の積立金を示していま す。実績の積立金は将来見通しよりもかなり上回ってきていました。それが18年度までその差が 開いていたわけですが、19年度になりますと、運用があまり良くないということでその差が縮ま っていますが、まだ実際の積立、青い線より緑線のほうが上で、実際の積立金より上になってい るということを示してございます。  先ほどちょっと早口で申し上げました点ですが、実際は賃金が減っておるものですから、その 分を勘案すると、もう少しそういった意味では積立金は賃金が減っていれば、賃金と連動してい る部分という意味ではもうちょっと差があってもいいだろうという線が赤い点線になってござい まして、その赤い点線と比べるとまだまだ余裕があるという状態であるということを示してござ います。  各制度とも同じような形状ですが、収支見通し自体は青い線は上向いていますが、形状として は同じように積立は将来見通しよりもまだ上回っているという状態が続いているということはご らんいただけるかと思います。  ちょっと早口になって申し訳ありませんでした。私からは以上です。   〇山崎部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明に対する御質問、あるいは報告書全 体に関する御意見などがありましたらお願いいたします。 都村委員、お願いします。 〇都村部会長代理 どうも御説明ありがとうございました。年金制度の今後の課題に関連して、2点ほどお尋ねしま す。まず第1点は、63ページに平均年金月額の推移が平成7年〜19年まで書かれていますけれど も、この表についてですけれども、御説明もありましたように、近年、被用者年金では平均年金 月額が減少を続けていて、国民年金では増加を続けています。この表の国民年金は繰上げ、繰下 げ支給分も含めた平均年金額ということで、それを除けばもう少し高くなるわけですけれども、 それも含めているということですね。 御説明にありましたように、被用者年金については定額部分の開始年齢の引き上げが結構効い ているから下がってきているということがあると思います。他方、国民年金のほうですけれども、 平均加入期間が増加していること、フルペンションを受けられる者が増加していること、そうい う影響で年金額の高い者が増えているということは考えられます。 しかし、他方で繰上げ受給を選択して年金額が減額されている者とか、低所得であったために 保険料の免除を受けた者で受給権ができたという者もあるわけですね。社保庁の事業概況により ますと、老齢基礎年金の受給権者約2,200万人のうち受給権者4人に1人が月4万円以下であり、 月3万円以下の者も168万人いるということで、低年金グループもかなり多くなっています。基 礎年金の最低保障機能の強化が課題となっています。 各制度の年金財政の分析とともに、受給権者の年金額の分布の変化、すなわち受給権者数の年 金額分布の歪みみたいなもの、平均があって、それから高いほうと低いほうがあるわけですけれ ども、その分布の歪みのようなものの年次推移を分析することも必要ではないかと思います。 それでお尋ねなのですけれども、国民年金の平均年金額が平成7年〜19年の12年間に20%増 加しているわけですけれども、その背景については、どういうふうにお考えになるかということ と、それから国民年金の繰上げ、繰下げ支給の割合というか、全体に占める割合がどうなってい るのかということ、あるいはフルペンションを受給する方が増えてきたということですけど、そ の割合もどのくらいか、低年金者の増加にもかかわらず平均額が伸びてきた背景がわかるような データがございましたら、教えていただきたいというのが1点です。 第2点は、民間サラリーマンと公務員等の年金制度上の公平性に関してですけれども、標準報 酬月額の上限について、平均標準報酬月額の概ね2倍に当たる額を基準に上限の改定を行うこと ができるというのが厚年法の20条に決められています。ヒアリングのときにも申し上げたのです けれども、現在、厚年は上限が平均の2倍になっていますが、国共済、地共済、私学共済につい ては、平均と上限の設定が相当乖離しており、上限が低いのです。ずっと改定がないということ もあるし、標準報酬が高いということもあるのでしょうけれども、平均と上限の差が非常に大き いのです。それで拠出能力に応じた負担という点からは、制度間に違いが出ています。制度所管 の各省が出してくださった財政報告にそれがはっきりと出ていて大変興味深いデータがあります。 今日の資料では制度所管省報告内容というのは入っていなかったのですけれども、制度間の公平 性の議論はこれからますます続き、その基礎資料にもなると思いますので、今日の資料には入っ てなかったのですけれども、ぜひ最終報告書では所管省の財政報告の詳しい部分も入れていただ けたらと思います。  以上、2点です。   〇山崎部会長 ありがとうございました。 〇石原首席年金数理官 今、お尋ねございましたが、手持ちにない数字もございますが、まず国民年金の年金額が増加 している原因でございます。63ページから1ページめくっていただきまして、64ページをご覧い ただければと思います。先ほど説明省略させていただいた部分でございますが、年金額に影響を 与えるものとしましては、平均加入期間がございます。国民年金ですと、当然定額ですので加入 期間の影響も大きいと思いまして、国民年金でご覧いただきますと、平成7年度、加入期間です が、241月であったものが、現在336月、延びでご覧いただきましても国民年金の伸びは現在でも 毎年7月とか8月伸びております。ほかの厚生年金等に比べましても、この辺の伸びが著しく高 いということがご覧いただけると思います。  そういった意味で、加入期間が延びているということが、どちらかというと、単価はスライド 等の問題がございますが、加入期間が延びていて、新規加入者は特に長い加入の方が新しく老齢 年金等発生しているものですから、その影響もあって、伸びが高くなっているというように思い ます。  先ほどご覧いただきました100ページ、一番後ろのページですが、国民年金につきましても、 70代で見ますと、0.1とか0.0という数字が出ております。これはコーホートで見ると年金額自 体はそれほど動いてないと。去年と今年ではそれほど差はないわけですが、要するにスライド等 もやっていないものですから、そういった意味で差がないのですが、新規加入のところでどんど ん新しい人が長い期間の年金もらっているということで伸び率も高いのかなというふうに思って おります。  それから、もう一点、ご指摘の繰上げ、繰下げ受給の件ですが、年度末現在で申し上げますと、 繰上げ受給率が18年度が47.4%、19年度が46.2%ということで順調に減っております。そうい った意味で繰上げ受給して年金額の少ない方はどんどん減ってきているという状態だと認識して ございます。それもそういった意味では年金額増加要因という形になっているかと思います。 〇都村部会長代理  繰上げは減少要因ですね。   〇石原首席年金数理官  繰上げは減っているので増加要因になっているということで理解してございます。  それから、もう一点でございますが、上限等については、ご指摘のとおり、かなり特徴的な数 字でございましたので、今回は載せていない。若干ありますが。 〇都村部会長代理 18年度は、今日お配りいただいた付属資料の後に載っていますね。 〇石原首席年金数理官 基本的には付属資料、今回まだつけておりませんが、最終的な報告書は厚い報告書になるもの ですから、そこには載せる形にさせていただきたいと思います。 それから、御指摘いただきました分布、標準報酬の上限もそうなのですが、年金額もそうです が、今回コーホートということで新しい視点で分析をご覧いただきましたが、分布についても、 当然重要な視点でございまして、年金額がどう分布していて、どう変化してくるのかという点で も、単に平均値でなくて分布をとってやるというのも重要な視点だと考えておりますので、ちょ っとお時間をいただいて課題とさせていただければと思います。  以上です。 〇宮武委員 繰下げのデータというのはお持ちですか。 〇安部数理課長  繰上げに比べますと、繰下げというのは非常に少なくなっておりますけれども、例えば平成19 年度の直近の受給権者で繰下げの割合ですと、1%程度という非常に繰上げに比べますと圧倒的に 少ない割合になっております。   〇山崎部会長  ただいまの都村委員の御質問に対する説明で1点ちょっと気になるのですけれども、加入期間 が延びれば年金額が上がる、単純にいえばそうなのですが、実は若い年齢ほど単価が落ちており ますから、仮に記述する場合はそのことについても併せて説明が必要だと思います。  その他、ございますでしょうか。 〇近藤委員  この部会では、単年度ベースの収支を加えて見ていますが、国庫負担が2分の1になり、保険 料の変更が着実に行われていけば、当面の収支は問題ないと考えます。  ただ、今の経済情勢では、マクロ経済スライドが適用されない場合も予想されます。この場合 の財政再計算数値は無いので、これを次回以降に比較検討していくには、そのベースになる数値 が必要となります。来年度以降の課題として、マクロ経済スライドが適用されなかったら一体ど うなるのかを検討に加えるべきかと思います。  特に、要旨のところにあるように、「財政再計算において見込まれていた状況と比較して評価す る必要がある」と書きましたが、これを評価する基準の数値を、是非、来年度以降の問題として 作成するようにお願いします。 〇石原首席年金数理官 大変貴重な御視点だと思います。基本的には、今回の財政報告におきましても、賃金と積立金 の評価ですが、賃金と連動して給付等も動くという前提で賃金が下がっているので、積立金もそ れほど必要ないのではないかというような前提で、これまでの分析、先ほどご覧いただいた分析 もそういう分析の前提に立っておりまして、ただ、賃金連動ということも、大きくはそうなので ございますが、マクロ経済スライドという面で見ますと、賃金が低いとマクロ経済スライドが働 かないので、給付にはその分、確かに給付費が賃金に比べて高どまりしてしまうということが当 然懸念されるわけで、それにつきまして、今回の検証、厚生年金等については財政検証結果をヒ アリングしていただきましたが、5年に1回、数理部会として各年金制度の再計算なり検証結果を 検証する形の検証の中で、経済前提をどうするかということで御議論いただいておりまして、そ の経済前提について、ある程度幅を持った経済前提を、今、各制度にお願いしたいと思っていま すので、そういった経済前提のいろんな幅の中で、おっしゃられたようなケースも含めて考えて 分析していきたいと思っています。 〇山崎部会長 他にございますでしょうか。熊沢委員。 〇熊沢委員 平成19年度の公的年金の運用がマイナス運用になっていますが、単に名目の利回りがマイナス だったから、公的年金の財政に非常に悪い影響を与えるというような、短絡的な見方が多いので、 特にこういう数理部会とかの報告では、資料1-2の144ページにはわかりやすく記述してあるよ うに、こういうところをきっちり実質で見ていかなければいけない。すなわち、19年度はマイナ ス運用になっていますが、実質で見ると再計算と比べても悪くないんですよといったことです。 特に19年度はマイナス運用ですけれども、先ほどの説明にもありましたように、平成18年度と か17年度はプラス運用で、運用は結構波がありますから、例えば5年とかもう少し長いスパンで 見ていくというようなこともこういう数理部会の報告などで強調しておいていただく必要がある のではないか。これは感想です。 〇山崎部会長 いかがでしょうか。 〇石原首席年金数理官 貴重な御指摘いただきました。先ほど私が説明を漏らしておりましたので、若干今の関係で御 説明申し上げたいのは、資料1−2の137ページでございます。今年、今のような御指摘もござい ましたので、工夫をちょっとさせていただいていまして、運用利回りのところでございます。5 年平均というのをつけてございます。厚生年金で5年平均の運用利回りを見ていただきますと 2.88%ということです。2.88%の運用利回りですので、名目運用利回りが19年度でも2.51%です から、再計算の前提よりも上回っておりますし、先ほど熊沢委員から御指摘の実質的な運用利回 りということで見ると、再計算の前提0.21%ですので、どちらかといいますと、運用利回りは、 今回マイナスが立っておりますが、平均してみればそれほどまだ悪いという状態ではないという ことはここでも示されているかと思います。 以上です。 〇山崎部会長  他にございますでしょうか。 いろいろと御指摘いただきましたが、本報告書そのものにつきましては、修文が必要だという 御意見はなかったように思います。あと、付属資料につきまして、事務局のほうもさらに考えて いるようでございますから、それはお任せいただきたいと思います。あとは熊沢委員の御指摘に もございましたが、一般に説明する機会があれば、公的年金制度の財政状況を正しく理解してい ただけるよう、より丁寧な御説明をお願いしたいと思います。 これをもちまして、本部会の平成19年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思いま すが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) 〇山崎部会長 それでは、異議ないものと認めます。これを本部会の報告とさせていただきます。 本日はこれをもって終了したいと思います。どうもありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)